JP3015363B1 - ワカメ芽株を原料とする抗酸化食品素材の製造方法 - Google Patents

ワカメ芽株を原料とする抗酸化食品素材の製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】 ワカメ芽株を原料として、付加価値の高い抗
酸化型の食品素材を製造する。 【解決手段】 ワカメ芽株をエタノールに浸漬して、ワ
カメ芽株に含まれる有効成分をエタノールに抽出させる
エタノール抽出工程と、このエタノール抽出工程におい
て得られたエタノール抽出液を分液操作して、エタノー
ル抽出液に含まれる不要物を除去する分液工程とで、抗
酸化食品素材を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗酸化能を有する
食品素材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品の加工・保蔵分野における抗酸化技
術の関連については、空気中の酸素によって脂質成分が
酸化を受けると、生じた過酸化脂質は、食品の風味や栄
養価の低下を引き起こすだけでなく、生体への毒性を生
じたりと、食品衛生上重要な問題となっており、脂質の
酸化のメカニズムや抑制方法について多方面から研究が
行われている。
【0003】一方、今日、様々な疾病の原因の一つとし
て、活性酸素が考えられている。空気中の安定な酸素分
子は、なんらかの影響により、還元される過程で、スー
パーオキシドラジカル(・O2 -)→過酸化水素(H2O2)→
ヒドロキシラジカル(・OH)などに変化する。これに光
増感反応などで生じる一重項酸素(102)を含め活性酸
素と呼ばれているが、広義には前述の脂質ヒドロペルオ
キシド(LOOH)や、それから生じるフリーラジカル(LO
O・,LO・)などの過酸化脂質等も含まれる。これらの活
性酸素は反応性が高く、過剰に発生すると、脂質や蛋白
質等の生体成分と反応し、その結果、生体障害を引き起
こす。この酸化的ストレスが様々な疾病の原因となると
の考えが一般的になってきている。このような酸化的ス
トレスから生体を防御することを目的に、食品の抗酸化
機能に関する研究が盛んに行われている。
【0004】野菜や種子等の陸上植物は、抗酸化能を有
する成分を多く含むとされているが、海藻の抗酸化能に
ついても幾つか報告されている。紅藻フジマツモ科ソゾ
属、緑藻ヒトエグサ科、褐藻類アミジグサ科ウミウチワ
属などがあるが、いずれも抽出に、酢酸エチルやクロロ
ホルムなどの食品衛生法上好ましくない溶媒を用いてい
ることと、食経験の少ない海藻が含まれていることが、
食品素材とする場合難点となる。一方、ワカメやひじ
き、こんぶなどの抗酸化能の報告例もあるが、いずれも
溶媒や水で抽出しただけの物が多く、食品素材とする場
合、変質する可能性のある成分を多く含むことが難点で
ある。
【0005】芽株は、ワカメの生殖器官として藻体の成
長と共に形成され、成長段階にもよるが、藻体の数%を
しめると言われる。芽株には、葉状部に比べ有効成分が
多く含まれると言われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、芽株を
有効に利用できる方法が開発されておらず、ワカメの加
工工程で発生する多量の芽株は、ほとんどを廃棄してい
るのが実状である。わずかな芽株は、加工食品として市
販されているが、その割合は極めて少ない。とくに、芽
株を加工食品にするために、含まれている砂を完全に除
去する必要がある。芽株は、ワカメの下部にあって砂を
含んでいる。さらに困ったことに、芽株はぬるぬるとし
た粘着層で覆われているので、水洗い等では簡単に砂を
除去できない。このため、砂を完全に除去するために、
相当な手間がかかり、このことが加工コストを高くして
いるのが実状である。さらに、芽株のぬるぬるした粘着
層は、廃棄をも難しくしている。表面の粘着層が乾燥を
難しくするからである。乾燥されない芽株は、短期間で
腐食して悪臭を発生する。乾燥の難しい芽株は、焼却し
て廃棄できるが、水分率が高いために、焼却には多量の
エネルギーを必要として廃棄コストを高くする。燃焼さ
せないで、投棄して廃棄すると、腐食して悪臭公害の原
因となり、しかも、なかなか乾燥しないので悪臭が極め
て長い期間にわたって、消滅しない。
【0007】芽株に含まれる有効成分を簡単に抽出でき
るなら、機能性食品として有効利用できる。ワカメ芽株
を沸騰した蒸留水に浸漬して、スピントラップ効果のあ
る老化抑制品素材を抽出する方法が、特開平8−486
33号公報に記載される。さらに、ワカメ等の植物を原
料に使用して、水、低級アルコール、低級アルコール水
溶液で有効成分を抽出して、抗酸化剤を製造する方法
が、特開平6−24937号公報に記載される。
【0008】しかしながら、これ等の公報に記載される
方法では、安全で簡便に実用に耐える抗酸化食品素材を
製造することができない。たとえば、特開平6−249
37号公報に記載される方法で、ワカメから抽出された
抗酸化食品素材は、短い期間で変質するので便利に使用
できない。このため、ワカメ芽株は、その発生量が極め
て多いにもかかわらず、実際にはとんど有効に使用され
ずに、廃棄しているのが実状である。
【0009】本発明は、この欠点を解決することを目的
に開発されたものである。本発明の重要な目的は、現状
では利用度が低く、しかも、有効な投棄処理方法も見い
だされていない、ワカメ芽株を原料として、付加価値の
高い抗酸化型の食品素材を得る、ワカメ芽株を原料とす
る抗酸化食品素材の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
している、ワカメ芽株を原料とする抗酸化食品素材の製
造方法は、ワカメ芽株をエタノールに浸漬して、ワカメ
芽株に含まれる有効成分をエタノールに抽出させるエタ
ノール抽出工程と、このエタノール抽出工程において得
られたエタノール抽出液を分液操作して、エタノール抽
出液に含まれる不要物を除去する分液工程とで、抗酸化
食品素材を製造する。
【0011】請求項1の方法で製造された抗酸化食品素
材は、充分に使用に耐えるものであるが、さらに、請求
項2に記載している方法によって、より有効成分濃度の
高い、抗酸化食品素材が製造できる。この製造方法は、
ワカメ芽株をエタノールに浸漬して、ワカメ芽株に含ま
れる有効成分をエタノールに抽出させるエタノール抽出
工程と、このエタノール抽出工程において得られたエタ
ノール抽出液を分液操作して、エタノール抽出液に含ま
れる不要物を除去する分液工程に加えて、分液工程で得
られた中間の抗酸化食品素材の不要物を、さらに合成吸
着剤で吸着脱離させる吸着脱離工程で精製する。
【0012】本発明の請求項3に記載している、ワカメ
芽株を原料とする抗酸化食品素材の製造方法は、分液工
程において、エタノール抽出液を、含水エタノール−ヘ
キサン系で分液して、エタノール層に抗酸化性物質を含
有させる。
【0013】本発明の請求項4のワカメ芽株を原料とす
る抗酸化食品素材の製造方法は、吸着脱離工程におい
て、中間の抗酸化食品素材を、水−含水エタノール系で
不要物を除去して、吸着分画に抗酸化性物質を含ませ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明す
る。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を
具体化するためのワカメ芽株を原料とする抗酸化食品素
材の製造方法を例示するものであって、本発明は抗酸化
食品素材の製造方法を下記のものに特定しない。
【0015】以下、本発明のワカメ芽株を原料とした抗
酸化性食品素材の製造方法を詳述する。本発明で用いる
ワカメ芽株は、葉状部刈り取り作業を行う際、同時に採
取するもので、採取地域や時期にはこだわらない。しか
し老成期のものは、異物混入のおそれがあるため、葉状
部刈り取り期間中に採取するものが望ましい。
【0016】本発明に用いるワカメ芽株は、生鮮物はも
ちろん凍結乾燥品や通常の乾燥品、湯通し塩蔵品を脱塩
したものでもよい。
【0017】本発明のエタノール抽出工程は、以下のよ
うにしてエタノール抽出液を得る。 ワカメ芽株を粉砕して、これに85%エタノールを
加えて、室温で2時間静置することにより有効成分を抽
出する。 有効成分を抽出させた液を固液分離して、エタノー
ル抽出液と残渣に分離する。 固液分離した得られた残渣に、エタノールを加え
て、1時間から2時間、加熱還流した後、さらに固液分
離して、エタノール抽出液を分離する。 で得られたエタノール抽出液を、で得たエタノ
ール抽出液に混合して、エタノール抽出液を得る。この
エタノール抽出液は、必要に応じて濃縮して使用する。
【0018】分液工程において、エタノール抽出物は、
好ましくは、ヘキサンを使用する分液操作で不要物が除
去される。この分液工程において、エタノール抽出液
は、脱色される。この分液工程には、ヘキサンに代わっ
て、石油エーテル、エチルエーテル、酢酸エチル、クロ
ロホルム等の有機溶媒も使用できる。
【0019】分液工程において、エタノール抽出物のエ
タノール濃度は高い方が良い。ただ、エタノール濃度が
100%では分配しにくく、また低すぎればクロロフィ
ル色素の残存が多くなるので80%が適当である。
【0020】吸着脱離工程において、ヘキサン分配溶液
からの不要物の除去は、合成吸着剤への吸着脱離により
行うが、合成吸着剤には、好ましくは、ポリスチレン−
ジビニルベンゼン系の合成吸着剤が効果的である。ポリ
スチレン−ジビニルベンゼン系の合成吸着剤には、たと
えば、ファルマシアバイオテク株式会社製の「SOURCE15
RPC」や三菱化学株式会社製の「SEPABEADS SP800」等が
使用できる。
【0021】吸着脱離工程において、不要物の脱離に用
いるエタノールには、50%以上の濃度のものを用い
る。さらに、好ましくはエタノール濃度を85%とする
エタノールが適している。
【0022】精製には、ゲルろ過クロマトグラフィー技
術を用いるが、担体としては有機溶媒耐性のあるものが
良い。精製に用いる移動相は、50%以下で良いが35
%が適当である。
【0023】
【実施例】本発明の好ましい実施態様を次に挙げる。 [エタノール抽出工程] 原料のワカメ芽株の凍結乾燥品を粉砕する。 粉砕した芽株に、2倍容量の85%エタノールを加
えて室温で2時間静置し、その後、固液分離して、第1
のエタノール抽出液と残渣に分離する。 残渣に、等量の85%エタノールを加え、加熱還流
しながら、1〜2時間静置する。さらに、固液分離し
て、第2のエタノール抽出液を分離する。 第1のエタノール抽出液と、第2のエタノール抽出
液とを合わせて濃縮して、エタノール抽出液とする。
【0024】[分液工程] エタノール抽出液にヘキサンを加えて、激しく攪拌
した後静置する。この工程で、エタノール抽出液に含ま
れる有効成分は、エタノール層に移行して、色素等の不
要物はヘキサン層に移行し、エタノール抽出液は脱色さ
れる。ヘキサンの添加量は、体積比で、エタノール抽出
液の1/4とする。 静置してエタノール抽出液とヘキサンとを比重分離
した後、エタノール抽出液を分離する。
【0025】以上の工程で抗酸化食品素材が得られる
が、さらに純度の高い抗酸化食品素材は、次の吸着脱離
工程で精製して製造される。
【0026】[吸着脱離工程] 不要物を除去して脱色したエタノール抽出液からエ
タノールを揮散させて水に懸濁させる。 水に懸濁させたものを、ポリスチレン−ジビニルベ
ンゼン系の合成吸着剤と室温で1時間攪拌混合する。 その後、85%エタノールで合成吸着剤から吸着成
分を脱離させて、抗酸化成分を含む高純度の抗酸化食品
素材を得る。
【0027】以下、実施例をもって本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されな
い。なお、実施例で得られた抽出液、並びに食品素材の
分析方法は、次のとおりである。 (1) ワカメ芽株に含まれる総ポリフェノールを定量
測定して指標とした。フォーリンデニス法を用い検量線
はフロログルシンを用いて作成した。
【0028】(2) 脂質過酸化抑制能は、以下のよう
にして測定した。ロダン鉄法により、エタノール−水系
でのリノール酸の過酸化抑制能を測定した。この方法
は、エタノールで希釈した、抗酸化食品素材等の測定試
料0.8mリットル(ポリフェノール量で約100μg
含有)を、0.1M−Naリン酸緩衝液(pH7.0)
0.8mリットル、蒸留水1.6mリットル及び2.6
%(W/V)リノール酸エタノール溶液0.8mリット
ルと共に、褐色ネジ口試験管中に入れて混合し、暗所4
5℃で静置して酸化処理溶液を得る。
【0029】得られた酸化処理溶液50μリットルに、
エタノール3.65mリットル、蒸留水1.20mリッ
トル、30%チオシアン酸アンモニウム溶液50μリッ
トル、0.02M−塩化第一鉄3.5%(V/V)塩酸
水溶液50μリットルを加えて混合し、5分後に、波長
を500nmとする吸光度を測定した。
【0030】酸化と共に増加する吸光度の推移を空試験
に比較して記録し、吸光度増加の抑制を過酸化抑制能と
した。なお、比較として合成抗酸化剤BHAの抗酸化活
性を測定した。
【0031】(3) スーパーオキシドラジカル消去能
を以下のようにして測定した。キサンチン−キサンチン
オキシダーゼ系で生成したスーパーオキシドラジカルに
よって、共存させたニトロブルーテトラゾリウムが還元
される方法を用いて、スーパーオキシドラジカル消去能
を測定した。
【0032】すなわち、試験管に50mM炭酸ナトリウ
ム緩衝液(pH10.2)2.4mリットルをとり、こ
れに、3mMキサンチンと、3mMEDTAと、1.5
mg/mリットルBSAと、0.75mMNBTを各
0.1mリットル加え、さらに、これに、測定試料0.
1mリットル(ポリフェノール量で50μg含有)を加
える。その後、25℃で10分後、キサンチンオキシダ
ーゼ溶液0.1mリットルを加えて攪拌し、25℃で2
0分インキュベートする。6mM塩化銅で反応を停止
し、波長を560nmとする吸光度を測定した。空試験
との比較により、吸光値の抑制率をスーパーオキシドラ
ジカル消去能とした。
【0033】抑制率=(A−B)/A×100(%) A;試料を含まない場合の波長560nmの吸光度 B;試料添加の場合の波長560nmの吸光度
【0034】(実施例1)以下の工程で、ワカメ芽株か
ら抗酸化食品素材を製造する。 [エタノール抽出工程] 凍結乾燥したワカメ芽株を、家庭用フードカッター
で粉砕する。 粉砕したワカメ芽株100gに対して、1リットル
の85%エタノールを加え、室温で2時間静置して、ワ
カメ芽株の有効成分をエタノールに抽出させる。 固液分離して、第1のエタノール抽出液と残渣に分
離する。 さらに、残渣に対して、85%エタノールを500
mリットル加え、還流冷却器を付けた、なす型フラスコ
中で1時間から2時間加熱還流後、固液分離して、第2
のエタノール抽出液と残渣とに分離する。 第1と第2のエタノール抽出液を混合し、これを減
圧濃縮して、エタノールを揮散させて80%エタノール
濃度に調製し、100mリットルに定容してエタノール
抽出液を得た。これをエタノール抽出液Aとする。
【0035】[分液工程] エタノール抽出液Aに、容積比で1/4量のヘキサ
ンを加えて混合して、エタノール抽出液Aからヘキサン
層に、クロロフィル関連色素などの不要物を転溶させ
る。 静置して、エタノール抽出液とヘキサンとを上下に
比重分離する。クロロフィル関連色素などを転溶して除
いたエタノール層が下層に、ヘキサンは上層に分離され
る。 下層に分離されたエタノール抽出液を分取し、抗酸
化食品素材Bを得る。
【0036】[吸着脱離工程] ポリフェノール量に換算して、約7mgとなる抗酸
化食品素材Bを、減圧濃縮し、少量の水に懸濁する。 水に懸濁した抗酸化食品素材Bを、ポリスチレン−
ジビニルベンゼン系合成吸着剤を充填したカラムに展開
する。 このカラムに、濃度を0〜100%に変化させたエ
タノール溶液を流し入れることにより、合成吸着剤から
吸着物質を遂次脱離して、(1)〜(6)分画に選別した抗酸
化食品素材を得た。
【0037】図1は、合成吸着剤から吸着物質を離脱さ
せるのに、最初は蒸留水を使用し、その後に、エタノー
ル濃度を高くして、(1)〜(6)の分画の吸着物質を離脱す
る状態を示している。この図において、横軸は、合成吸
着剤から吸着物質を離脱させる時間を示し、縦軸は時間
の経過にしたがって離脱される抗酸化食品素材の量を示
している。ただし、縦軸は、離脱される抗酸化食品素材
の量を、波長を260nmとする吸光度で表している。
さらに、この図において、200時間から次第に高くな
っている鎖線は、合成吸着剤から吸着物質を離脱させる
エタノール濃度を示している。すなわち、0〜250時
間までは、蒸留水を使用して合成吸着剤から吸着物質を
離脱して(1)〜(3)分画の抗酸化食品素材を離脱し、25
0時間から350時間までの間で、合成吸着剤から吸着
物質を離脱させるエタノール濃度を、直線的に0から1
00%と高くして、350時間よりも後は、エタノール
濃度を100%とする溶液で、(4)〜(6)分画の抗酸化食
品素材を離脱させた。
【0038】(1)〜(6)分画で得られた抗酸化食品素材
の、脂質過酸化抑制活性を測定した結果を、図2に示し
ている。
【0039】図2において、(1)〜(6)の分画は、カラム
からの溶出順位に従って付記したものである。(1)〜(3)
は、合成吸着剤から有効成分を溶出させるエタノール濃
度を0%、すなわち蒸留水を使用した分画である。これ
等の分画の抗酸化食品素材は、比較のために使用した合
成抗酸化剤であるBHAよりも優れた活性を示さない。
さらに、(4)分画の抗酸化食品素材も、測定初期にすで
に吸光度が上昇し、合成抗酸化剤であるBHAに比較し
て、好ましい活性を示さない。
【0040】これに対して、一方、エタノール濃度を5
0〜90%とする状態で溶出された(5)分画と、エタノ
ール濃度を100%として溶出された(6)分画の抗酸化
食品素材の活性は、65日から80日間継続して極めて
優れていることがわかった。
【0041】さらに、(1)〜(6)分画で得られた抗酸化食
品素材のスーパーオキシドラジカル消去能を測定する
と、以下の抑制率を示した。
【0042】 (1)分画…………42.6% (2)分画………… 0% (3)分画…………33.8% (4)分画…………14.2% (5)分画…………67.2% (6)分画………… 0%
【0043】以上の結果から、(5)分画の抗酸化食品素
材に強い活性があることがわかった。この分画は脂質過
酸化抑制活性の最も強い分画でもあることから、抗酸化
能の優れた高純度の抗酸化食品素材となる。したがっ
て、(5)と(6)分画を選択することにより、脂質過酸化抑
制能とスーパーオキシドラジカル消去能のいずれかまた
は両方に優れた抗酸化食品素材が得られる。
【0044】(実施例2)以下の工程で、ワカメ芽株か
ら抗酸化食品素材を製造する。 [エタノール抽出工程と分液工程]実施例1と同じ。
【0045】[吸着脱離工程] ポリフェノール量に換算して、約7mgとなる抗酸
化食品素材Bを、減圧乾固し、水に懸濁したものを10
mリットルとり、水で10倍容量に希釈する。 水に懸濁した抗酸化食品素材Bを、ポリスチレン−
ジビニルベンゼン系合成吸着剤15gと、室温で1時間
振とうした後、吸引ろ過により洗浄する。 抗酸化食品素材Bの成分を吸着させた合成吸着剤
を、85%エタノール中に戻し、室温で1時間振とうす
ることにより、合成吸着剤から吸着物質を脱離させる。
以上の工程で、実施例1に示した分画(5)の抗酸化食品
素材を含むエタノール溶液を得た。これを抗酸化食品素
材Cとする。
【0046】(実施例3)実施例2で得た抗酸化食品素
材Cを、35%エタノールを移動相として、ゲルろ過ク
ロマトグラフィーによりさらに分画したところ、(1)〜
(9)の分画が得られた。(1)〜(9)分画のスーパーオキシ
ドラジカル消去能を測定すると以下の抑制率となった。
【0047】 (1)分画…………12.3% (2)分画…………15.9% (3)分画…………14.9% (4)分画…………12.3% (5)分画…………18.8% (6)分画…………14.1% (7)分画…………25.7% (8)分画…………47.5% (9)分画…………80.1%
【0048】この測定結果から、最も強い活性があった
(9)分画を用いて、GC−MS分析を行った。その結果
のクロマトグラフを図3に、マススペクトルを図4に示
している。この測定結果から、(9)分画の抗酸化食品素
材は、アデニンと推定される。比較のために、アデニン
のマススペクトルを図5に示している。
【0049】実施例1の分液工程で得られた抗酸化食品
素材B、さらに実施例1の吸着脱離工程で得られた分画
(5)および(6)、さらに、実施例2で得られた抗酸化食品
素材Cは、飲用のアルコールに利用して、抗酸化性の優
れたリキュールとすることができる。実施例の分液工程
で得られた抗酸化食品素材Bは、エタノールに抗酸化食
品素材を含んでいる。さらに、実施例1の吸着脱離工程
で得られた分画(5)および(6)と、実施例2で得られた抗
酸化食品素材Cは、吸着脱離工程で不要物を除去してい
るので、より高純度な抗酸化食品素材となる。
【0050】本発明の抗酸化食品素材は、飲用アルコー
ルのみでなく、その他の食品、たとえば、食用油等に添
加して酸化を防止できる効果がある。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、ワカメ芽株から脂質過
酸化抑制能またはスーパーオキシドラジカル消去能を有
する付加価値の高い抗酸化食品素材を、安全に製造でき
る。また、低利用資源もしくは廃棄物として扱われてい
るワカメ芽株の高度に有効に利用できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成吸着剤から吸着物質を離脱させるため
に、最初は蒸留水を使用し、その後にエタノール濃度を
高くして、(1)〜(6)の分画の吸着物質を離脱する状態を
示すグラフこの図は、横軸を、合成吸着剤から吸着物質
を離脱させる時間とし、縦軸を、時間の経過にしたがっ
て離脱される抗酸化食品素材の量を示している。
【図2】 (1)〜(6)分画で得られた抗酸化食品素材の脂
質過酸化抑制活性を測定した結果示すグラフ
【図3】 実施例3において最も強い活性があった(9)
分画を用いて、GC−MS分析を行った結果のクロマト
グラフ
【図4】 実施例3において最も強い活性があった(9)
分画を用いて、GC−MS分析を行った結果のマススペ
クトルを示すグラフ
【図5】 アデニンのマススペクトルを示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−306035(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/337 A23L 3/3472 C09K 15/34 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワカメ芽株をエタノールに浸漬して、ワ
    カメ芽株に含まれる有効成分をエタノールに抽出させる
    エタノール抽出工程と、このエタノール抽出工程におい
    て得られたエタノール抽出液を分液操作して、エタノー
    ル抽出液に含まれる不要物を除去する分液工程とで、抗
    酸化食品素材を製造することを特徴とする、ワカメ芽株
    を原料とする抗酸化食品素材の製造方法。
  2. 【請求項2】 ワカメ芽株をエタノールに浸漬して、ワ
    カメ芽株に含まれる有効成分をエタノールに抽出させる
    エタノール抽出工程と、このエタノール抽出工程におい
    て得られたエタノール抽出液を分液操作して、エタノー
    ル抽出液に含まれる不要物を除去する分液工程と、分液
    工程で得られた中間の抗酸化食品素材の不要物をさらに
    合成吸着剤で吸着脱離させる吸着脱離工程とで、抗酸化
    食品素材を製造することを特徴とする、ワカメ芽株を原
    料とする抗酸化食品素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 分液工程において、エタノール抽出液
    を、含水エタノール−ヘキサン系で分液し、エタノール
    層に抗酸化性物質を得る請求項1または請求項2に記載
    されるワカメ芽株を原料とする抗酸化食品素材の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 吸着脱離工程において、中間の抗酸化食
    品素材を、水−含水エタノール系で不要物を除去して、
    吸着分画に抗酸化性物質を得る請求項2に記載されるワ
    カメ芽株を原料とする抗酸化食品素材の製造方法。
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