<第1の背景技術>
従来、車両には、セキュリティシステムの制御、ドアロックの制御、パワーウィンドウの制御などのためにBCM[Body Control Module]が用いられている。BCMにもよく知られたECU[Electronic Control Unit]が用いられている。ECUは、ECUの内部のCPU[Central Processing Unit]、MPU[Micro Processing Unit]等の処理装置により、車両に設けられた複数のスイッチの状態を検出して、ユーザの操作に応じた処理を行う機能を有している。ECUは、車両のエンジンの動作に関わらず車両に設けられたスイッチの状態を検出する必要がある。そのため、ECUによるバッテリの消費電力を抑制することが望まれる。
特許文献1の図1、図2を参照するとスイッチ検出回路1は、N個の接続端子(11-1~11-N)、N個の切替スイッチ(12-1~12-N)、接続ライン13、検出回路14、電力調節回路15、制御回路16、記憶回路17、および、通信回路18を備える。開閉スイッチ(2-1~2-N)の開閉状態の検出は、まず電力調節回路15による定電流Iaを接続ライン13に供給する。その後、接続ラインにつながる開閉スイッチの開閉状態を検出回路14で検出する。
図4に本発明者が事前に検討したスイッチ監視装置400の回路図を示す。
スイッチ監視装置400は、スイッチSW1、定電流源CC1、コンパレータCOMP1、参照電圧VREF1、ロジックLOGIC、基準電流源BC1、バイアス電流回路BCC1、及び、マイコンMCUを備える。定電流源CC1、コンパレータCOMP1、参照電圧VREF1、ロジックLOGIC、基準電流源BC1及びバイアス電流回路BCC1は、一つの集積回路LSIに集積されている。
スイッチSW1の一端は接地電圧GNDに接続されており、その他端は定電流源CC1の一端及びコンパレータCOMP1の非反転入力端子(+)に接続されている。定電流源CC1の他端は電源電圧VCCに接続されている。参照電圧VREF1の一端は接地電圧GNDに接続されており、その他端はコンパレータCOMP1の反転入力端子(―)に接続されている。コンパレータCOMP1の出力はロジックLOGICに接続されている。ロジックLOGICはコンパレータCOMP1の出力を受けて、その結果をシリアル通信(SPI[Serial Peripheral Interface]通信など)を用いてマイコンMCUに転送する。マイコンMCUは、ロジックLOGICからの通信を受けて、図示しないドライバなどに命令を下す。基準電流源BC1はバイアス電流回路BCC1に接続されており、バイアス電流回路BCC1は定電流源CC1に接続されている。また、ロジックLOGICから電流制御信号IS1_1~IS1_Nがバイアス電流回路BCC1に接続されている。
本構成例のスイッチ監視装置400の動作について簡単に説明する。スイッチ監視装置400はスイッチSW1の開閉を検出する。スイッチSW1は、例えばドアミラーの格納状態を変更するユーザーインターフェイスである。例えばスイッチSW1が開の時はドアミラーが開いており、スイッチSW1が閉の時はドアミラーが閉じていることを示す。
定電流源CC1により入力ラインVN1に電流が供給される。スイッチSW1が開の場合は、入力ラインVN1がほぼ電源電圧VCCになる。逆に、スイッチSW1が閉の場合は、入力ラインVN1がほぼ接地電圧GNDになる。この電圧変化をコンパレータCOMP1にて検出する。従って、参照電圧VREF1は、電源電圧VCCより低く接地電圧GNDより高い電圧に設定される。例えば3Vである。
コンパレータCOMP1の出力電圧VO1は、スイッチSW1が開の場合はハイレベルとなり、スイッチSW1が閉の場合はロウレベルとなる。この出力電圧VO1をロジックLOGICが受け取り、SPI通信でマイコンMCUに状態を伝える。
基準電流源BC1は、基準電流IBaseを生成する。バイアス電流回路BCC1は、ロジックLOGICからの電流制御信号IS1_1~IS1_Nを受けて基準電流IBaseを所望のバイアス電流IBias1に増幅して出力する。バイアス電流IBias1は、電流制御信号IS1_1~IS1_Nに応じた電流量となる。定電流源CC1は、バイアス電流IBias1を増幅して出力する。なお、バイアス電流回路BCC1及び定電流源CC1はよく知られたカレントミラー回路で構成されている。
定電流源CC1はスイッチSW1に必要な電流を供給する。供給される電流量はスイッチSW1の種類により変更される。スイッチの種類により供給する電流量を変更する必要があるため、バイアス電流回路BCC1で調整する。
図5に本発明者が事前に検討したバイアス電流回路BCC1の回路例を示す。
バイアス電流回路BCC1は、例えばN通りのバイアス電流IBias1を出力することができる。その為にロジックLOGICからの電流制御信号IS1_1~IS1_Nが接続されている。
まず電流制御信号IS1_1を使用する系について説明する。
基準電流IBaseがMOSトランジスタM1のドレインに接続されており、そのソースは接地電圧GNDに接続されている。またMOSトランジスタM1~M3のゲートはMOSトランジスタM1のドレインに共通接続されている。MOSトランジスタM2,M3のソースはMOSトランジスタM1のソースと同様に接地電圧GNDに接続されている。すなわちMOSトランジスタM1~M3によってよく知られたカレントミラー回路を形成している。ただしMOSトランジスタM3は、MOSトランジスタM1の99倍あるものとする。すなわちMOSトランジスタM3によって生成される電流は、基準電流IBaseの99倍の大きさとなる。
MOSトランジスタM3のドレインは、MOSトランジスタM4のソースに接続されている。MOSトランジスタM4のドレインは、MOSトランジスタM2のドレインと共通接続されバイアス電流IBias1を形成する。
電流制御信号IS1_1は、MOSトランジスタM4のゲートに接続されている。
バイアス電流回路BCC1は、電流制御信号IS1_1がハイレベルの時にMOSトランジスタM4がオンすることで基準電流IBaseの100倍のバイアス電流IBias1を出力する。
続いて電流制御信号IS1_Nの系について説明する。例えば電流制御信号IS1_Nの系においては基準電流IBaseの50倍のバイアス電流IBias1を出力するものとする。MOSトランジスタM1を基準としたカレントミラー回路にMOSトランジスタM5を追加しサイズを49倍とする。MOSトランジスタM5のソースは接地電圧GNDに接続される。MOSトランジスタM5のドレインにMOSトランジスタM6のソースを接続し、MOSトランジスタM6のゲートに電流制御信号IS1_Nを接続する。そしてMOSトランジスタM6のドレインをMOSトランジスタM2のドレインにMOSトランジスタM4のドレインと共通に接続する。
上記接続をN個作成することで、Nパターンのバイアス電流IBias1を出力することができるようになる。
<第2の背景技術>
スイッチ状態検出回路およびスイッチシステムとしては、例えば特許文献1が知られている。このスイッチ状態検出回路およびスイッチシステムは、例えば車載用装置の1つとして利用され、マイコン等の制御装置と共に用いられる。各スイッチ状態の検出結果を制御装置へ通知することにより、制御装置は各スイッチの状態に応じた制御を行うことが可能となる。
特許文献1の図1、図2を参照すると、スイッチ検出回路1はN個の接続端子(11-1~11-N)、N個の切替スイッチ(12-1~12-N)、接続ライン13、検出回路14、電力調節回路15、制御回路16、記憶回路17、および、通信回路18を備える。開閉スイッチ(2-1~2-N)の開閉状態は、電流調節回路15による定電流Iaを接続ラインに13に供給することによって検出回路14で検出する。
特許文献2は、スイッチやコネクタなどの接点の腐食で生じる酸化被膜を、電流を流して破壊する機能を備える接点腐食防止回路に関するものである。特許文献2に記載された接点腐食防止回路は、外部の接点と接続される入力端子と、入力端子に接続され、その電位によって接点の接続状態を判定するための入力信号ライン140と、入力信号ライン140に接続され、能動化によって入力端子に接点の腐食防止電流を流すことが可能な状態となる低インピーダンス手段141と、入力信号ライン140に接続される高インピーダンス手段142と、入力信号ライン140の電位と接点の腐食となりうる所定電位とを比較する比較手段143とを含み、比較手段143の出力によって低インピーダンス手段141が能動化される。
特許文献2の図1、図4を参照すると、入力端子13のローサイド側(接地電位側)には図1(b)に示されるローサイドスイッチ120が、ハイサイド側(電源側)にはハイサイドスイッチ130が接続される例が示されている。ここで、ローサイドスイッチ120側、ハイサイドスイッチ130側に電流を供給するための低インピーダンス手段は、スイッチング素子147,167が相当するが、これらのスイッチング素子を含む接点腐食防止回路102CxはLSI(半導体集積回路)に内蔵されている。
特許文献3は、特許文献2と同様にスイッチの腐食防止回路を開示する。特に、車両などに搭載される大電流用スイッチを電子化ユニットの低電流化システムの信号入力スイッチに転用可能にするものに係る。
特許文献3の図1を参照すると、電子化ユニット4には信号発生回路4aが内蔵され、スイッチングトランジスタTrのベースは信号発生回路4aの出力端子に接続される。腐食防止の対象となり比較的大電流が流れる大電流用スイッチ1の一端が抵抗R2の一端に接続され、抵抗R2の他端は電子化ユニット4の入力端子に接続される。スイッチ1からの信号は、電子化ユニット4内で処理されてランプ3等が点灯制御される。特許文献3では、スイッチ1がオンとなる時点で抵抗R1を介して約1mAの電流がスイッチ1に流れ込み、信号発生回路4aからのパルスに同期してスイッチングトランジスタTr、抵抗R3、およびダイオードDを介してスイッチ1に約200mAの電流が流れ込み、スイッチ1の接点に形成された接触抵抗を低減する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るスイッチ監視装置100の構成の一例を示す。図4のスイッチ監視装置400におけるバイアス電流回路BCC1をバイアス電流回路BCC2に置き換えて、コンパレータCOMP1の出力電圧VO1によってバイアス電流回路BCC2を制御したものが本発明に係るスイッチ監視装置100となる。
大方の基本動作は図4と類似するが図1について説明する。
スイッチ監視装置100はスイッチSW1の開閉を検出する。スイッチSW1は、例えばドアミラーの格納状態を変更するユーザーインターフェイスである。例えばスイッチSW1が開の時はドアミラーが開いており、スイッチSW1が閉の時はドアミラーが閉じていることを示す。
定電流源CC1により入力ラインVN1に電流が供給される。スイッチSW1が開の場合は、入力ラインVN1がほぼ電源電圧VCCになる。逆に、スイッチSW1が閉の場合は、入力ラインVN1がほぼ接地電圧GNDになる。この電圧変化をコンパレータCOMP1にて検出する。従って、参照電圧VREF1は、電源電圧VCCより低く接地電圧GNDより高い電圧に設定される。例えば3Vである。
コンパレータCOMP1の出力電圧VO1は、スイッチSW1が開の場合はハイレベルとなり、スイッチSW1が閉の場合はロウレベルとなる。この出力電圧VO1をロジックLOGICが受け取り、シリアル通信でマイコンMCUに状態を伝える。また出力電圧VO1がバイアス電流回路BCC2にも接続されている。これによりバイアス電流回路BCC2がスイッチSW1の開閉状態を知ることができ、スイッチSW1の開閉状態に応じた電流制御をすることが可能となっている。
基準電流源BC1は基準電流IBaseを生成する。バイアス電流回路BCC2は、ロジックLOGICから電流制御信号IS1_1~IS1_Nを受けて基準電流IBaseを所望のバイアス電流IBias1に増幅して出力する。バイアス電流IBias1は、電流制御信号IS1_1~IS1_Nに応じた電流量となる。定電流源CC1は、バイアス電流IBias1を増幅して出力する。本例においては簡単のため定電流源CC1における増幅度は固定として説明するが、定電流源CC1でも増幅度を変更したい場合はロジックLOGICから別途電流制御信号を接続すればよい。なお、バイアス電流回路BCC2及び定電流源CC1はよく知られたカレントミラー回路で構成されている。
定電流源CC1はスイッチSW1に必要な電流を供給する。供給される電流量はスイッチSW1の種類により変更される。スイッチの種類により供給する電流量を変更する必要があるため、バイアス電流回路BCC2で調整する。
スイッチSW1が閉の場合は、定電流源CC1はスイッチSW1の種類に応じた電流量を供給する必要がある。しかしスイッチSW1が開の場合は、スイッチSW1の種類に関係なくコンパレータCOMP1の出力電圧VO1が安定するだけの電流量が供給されていればよい。その電流量は、例えば100μAである。
図2は、本発明に係るバイアス電流回路BCC2の構成の一例を示す。図5のバイアス電流回路BCC1にMOSトランジスタM7とインバータINV1が追加されている。
バイアス電流回路BCC2は、例えばN通りのバイアス電流IBias1を出力することができる。その為にロジックLOGICからの電流制御信号IS1_1~IS1_Nが接続されている。
まず電流制御信号IS1_1を使用する系について説明する。
基準電流IBaseがMOSトランジスタM1のドレインに接続されており、そのソースは接地電圧GNDに接続されている。またMOSトランジスタM1~M3のゲートはMOSトランジスタM1のドレインに共通接続されている。MOSトランジスタM2,M3のソースはMOSトランジスタM1のソースと同様に接地電圧GNDに接続されている。すなわちMOSトランジスタM1~M3によってよく知られたカレントミラー回路を形成している。ただしMOSトランジスタM3は、MOSトランジスタM1の例えば99倍あるものとする。すなわちMOSトランジスタM3によって生成される電流は、基準電流IBaseの例えば99倍の大きさとなる。
MOSトランジスタM3のドレインは、MOSトランジスタM4のソースに接続されている。MOSトランジスタM4のゲートには電流制御信号IS1_1が接続されている。
バイアス電流IBias1とMOSトランジスタM4のドレインとの間にMOSトランジスタM7が挿入されている。MOSトランジスタM7のゲートにはインバータINV1の出力が接続されており、インバータINV1の入力にはコンパレータCOMP1の出力電圧VO1が接続されている。
MOSトランジスタM7のドレインは、MOSトランジスタM2のドレインと共通接続されバイアス電流IBias1を形成する。
続いて電流制御信号IS1_Nの系について説明する。例えば電流制御信号IS1_Nの系においては基準電流IBaseの例えば50倍のバイアス電流IBias1を出力するものとする。MOSトランジスタM1を基準としたカレントミラー回路にMOSトランジスタM5を追加しサイズを例えば49倍とする。MOSトランジスタM5のソースは接地電圧GNDに接続される。MOSトランジスタM5のドレインにMOSトランジスタM6のソースを接続し、MOSトランジスタM6のゲートに電流制御信号IS1_Nを接続する。そしてMOSトランジスタM6のドレインをMOSトランジスタM4のドレインと共通に接続する。
上記接続をN個作成することで、Nパターンのバイアス電流IBias1を出力することができるようになる。
すなわちバイアス電流回路BCC2は、電流制御信号IS1_1~IS1_Nと出力電圧VO1によって制御されることとなる。
バイアス電流回路BCC2は、出力電圧VO1がロウレベルかつ電流制御信号IS1_1がハイレベルの時に基準電流IBaseの例えば100倍のバイアス電流IBias1を出力する。出力電圧VO1がロウレベルかつ電流制御信号IS1_Nがハイレベルの時に基準電流IBaseの例えば50倍のバイアス電流IBias1を出力する。すなわちスイッチSW1が閉の場合は、電流制御信号IS1_1~IS1_Nの設定に応じたバイアス電流IBias1を出力する。
一方、出力電圧VO1がハイレベルの場合は、電流制御信号IS1_1~IS1_Nの設定に関係なく、基準電流IBaseの例えば1倍のバイアス電流IBias1を出力する。すなわちスイッチSW1が開の場合は、基準電流IBaseと同じ電流量をバイアス電流IBias1として出力する。
ここで理解を簡単にするため、電流制御信号IS1_1がハイレベルの時、すなわち基準電流IBaseの例えば100倍のバイアス電流IBias1を出力する状態を例示して説明を付け加える。
図1に戻り説明を続ける。前述の通り図4のスイッチ監視装置400との違いは、コンパレータCOMP1の出力電圧VO1によってバイアス電流回路BCC2を制御している点である。すなわちスイッチSW1の開閉状態の情報がバイアス電流回路BCC2に与えられている。
まずスイッチSW1が閉の場合を考える。入力ラインVN1はほぼ接地電圧GNDになる。その結果、コンパレータCOMP1の出力電圧VO1はロウレベルとなる。従って、図2のMOSトランジスタM7はオンすることとなり、図5との動作上の違いはない。バイアス電流回路BCC2での消費電流は基準電流IBaseの100倍となる。
次にスイッチSW1が開の場合を考える。入力ラインVN1はほぼ電源電圧VCCになる。その結果、コンパレータCOMP1の出力電圧VO1はハイレベルとなる。従って、図2のMOSトランジスタM7はオフすることとなり、電流制御信号IS1_1で制御される経路すなわちMOSトランジスタM3で生成されたカレントミラー電流の経路が遮断される。その結果、バイアス電流回路BCC2での消費電流は基準電流IBaseの1倍となる。従って、スイッチSW1が開の場合のバイアス電流回路BCC2での消費電流はスイッチSW1が閉の場合と比較して1/100となる。
図1には簡単のためスイッチはスイッチSW1の1系統しか図示していないが、実際のスイッチ監視装置100は多数のスイッチを監視してもよい。例えば33個である。その場合には、スイッチSW1、入力ラインVN1、コンパレータCOMP1、出力電圧VO1、電流制御信号IS1_1~IS1_N、バイアス電流IBias1及び定電流源CC1をそれぞれ33個ずつ用意することとなる。
定電流源CC1に相当する電流源を例えば33個用意した場合には、定電流源の符号は例えば定電流源CC1~CC33で表示される。定電流源CC1~CC33それぞれに基準電流源BC1~BC33を用意すると、これらの間の電流値のばらつきが増大し、このばらつきが定電流源CC1~CC33の電流値のばらつきとなって表れるので好ましくない。その為、バイアス電流回路BCC2内部のカレントミラー経路を増やすことで対応する。すなわち図2におけるMOSトランジスタM2~M7とインバータINV1の組み合わせをトータルで33セットに増やせばよい。
仮にスイッチSW1に相当するスイッチを33個用意し、それぞれスイッチSW1~SW33の33経路を構成したとする。スイッチSW1~SW33が全て開の場合のバイアス電流回路BCC2の消費電流Ibcc2は、以下となる。
Ibcc2=33×IBase
図4のスイッチ監視装置400のバイアス電流回路BCC1の構成で33経路ある場合のバイアス電流回路BCC1の消費電流Ibcc1は、以下となる。
Ibcc1=33×(IBase×100)
従って、図1のスイッチ監視装置100のバイアス電流回路BCC2の消費電流Ibcc2は、図4のスイッチ監視装置400のバイアス電流回路BCC1の消費電流Ibcc1と比べると、以下の式より1/100となっていることがわかる。
Ibcc2/Ibcc1=1/100
また、特許文献1のスイッチ検出回路と比べてみる。特許文献1は、33経路のスイッチを1つの定電流源・バイアス電流回路で時分割検出させていると仮定する。この場合のバイアス電流回路の消費電流I1は、以下となる。
I1=(IBase×100)
従って、図1のスイッチ監視装置100のバイアス電流回路BCC2の消費電流Ibcc2は、特許文献1のスイッチ検出回路のバイアス電流回路の消費電流I1と比べると、以下の式より33/100となっていることがわかる。
Ibcc2/I1=33/100
仮に100経路のスイッチを制御する場合を考えると、図1のスイッチ監視装置100のバイアス電流回路BCC2の消費電流Ibcc2と特許文献1のスイッチ検出回路のバイアス電流回路の消費電流I1は等しくなる。しかし、特許文献1のスイッチ検出回路で100経路のスイッチを時分割検出させた場合は、その応答性が問題となる可能性があるのに対し、図1のスイッチ監視装置100では100経路のスイッチを独立して検出する為、応答性にはなんら影響を与えない。ここでいう応答性とはスイッチが開→閉もしくは閉→開と状態を変化させた時のドアミラー等の反応速度のことをいう。
また、特許文献1のスイッチ検出回路は複数のスイッチを時分割検出させるため、その動作周期に応じたEMIノイズが発生してしまうが、図1のスイッチ監視装置100の電流経路は常時オン状態であり、周期的なEMIノイズが発生する恐れはない。
従って、図1のスイッチ監視装置100を使用することでEMIノイズと消費電流を低く抑えたスイッチ監視装置を実現することができる。
実際にスイッチ監視装置100を集積回路LSIとしてレイアウトすることを考える。
図3に本発明に係る基準電流源BC1、バイアス電流回路BCC2、定電流源CC1~CC33、パッドPAD1~PAD33のレイアウトイメージを示す。
基準電流源BC1とバイアス電流回路BCC2と定電流源CC1~CC33とパッドPAD1~PAD33のレイアウト上の配置に関して述べる。基準電流源BC1は、定電流源CC1~CC33の基準となるためその電流精度をなるべくよくしたい。そのため集積回路LSIの中央部に配置することが望まれる。
バイアス電流回路BCC2は、基準電流源BC1の近辺に配置することが望まれる。基準電流IBaseは、電流の絶対値が小さいため集積回路LSI内部を引き回すことによる電流リークや各種ノイズの影響を受けやすい。そのため基準電流IBaseの引き回し距離は短いことが望まれる。また、バイアス電流回路BCC2内部には33経路のカレントミラー回路が存在する。これらの経路はなるべく相対ばらつきを低く抑えることが望ましいため各々が近傍に配置されることが望まれる。
定電流源CC1~CC33は、スイッチSW1~SW33に接続する為に集積回路LSIの外周部に配置されるパッドPAD1~PAD33を通して集積回路LSIの外部へと接続される。その為、定電流源CC1~CC33はバイアス電流回路BCC2よりも外側に配置されることになる。また定電流源CC1~CC33は比較的大きな電流を生成することから、集積回路LSIの発熱源ともなる。集積回路LSIの放熱の観点から考えると分散して配置されていることが望ましい。
本発明では仮に定電流源CC1での増幅度を100倍、バイアス電流回路BCC2での増幅度を最大100倍としトータルで最大10000倍としている。仮に、定電流源CC1での増幅度を最大10000倍で可変とし、バイアス電流回路BCC2を省略した構成を考える。すなわち基準電流源BC1からの基準電流IBaseを直接定電流源CC1に接続する。この場合、ロジックLOGICからの電流制御信号IS1_1~IS1_Nを定電流源CC1に接続することで、定電流源CC1の電流値を調整することができるようにする。
この構成の場合の消費電流は、バイアス電流回路BCC2がない分だけ図1のスイッチ監視装置100よりも少なくなる。しかし、基準電流源BC1の基準電流IBaseが集積回路LSI内部を引き回されることになり、電流リークや各種ノイズの影響を受けやすくなってしまう。これら電流リークや各種ノイズの影響はスイッチSW1~SW33が開の場合は特に問題にならないが、スイッチSW1~SW33が閉の場合は定電流源CC1~CC33から供給される電流が安定しないという問題を引き起こす。基準電流IBaseは、その絶対値が小さいため電流リークによる影響を強く受け、定電流源CC1~CC33の電流値がばらつく原因となってしまう。また、集積回路LSI内部を長距離引き回すことになるため各種ノイズの影響を受けやすくなり、定電流源CC1~CC33の電流値が安定しない原因となってしまう。
しかし図1のスイッチ監視装置100の構成では、バイアス電流IBias1はスイッチSW1~SW33が開の場合はその絶対値は小さいが、スイッチSW1~SW33が閉の場合はある程度の大きさを持っている。これにより電流リークや各種ノイズの影響を受けにくくなっている。従って、バイアス電流IBias1がある程度の大きさをもっている、本発明の構成がより望ましいといえる。
本発明は、スイッチSW1によって入力ラインVN1が接地されるケースで説明を行ったが、スイッチSW1によって高電圧(例えばVCC)に接続される場合も利用可能である。この場合は、入力ラインVN1と接地電圧GNDの間に定電流源CC1を配置し、定電流源CC1から接地電圧GNDに対して電流を流すように変更すればよい。そしてバイアス電流回路BCC2へ入力するコンパレータCOMP1の出力電圧VO1の論理を適宜変更すればよい。
また、本発明はMOSトランジスタで構成されるカレントミラー回路にこだわらない。バイポーラトランジスタで構成されるカレントミラー回路でも同様のことが可能である。
図6は、本発明に係るスイッチ状態検出回路および車載用スイッチシステムCSSに係る。本発明に係るスイッチ状態検出回路および車載用スイッチシステムは、半導体集積回路LSIと、この半導体集積回路LSIの外部に配設された複数の外部端子T1~T5および外部端子の1つとして配設した電流源イネーブル外部端子TEを有する。さらにこれらの外部端子T1~T5や電流源イネーブル外部端子TEに接続され、半導体集積回路LSIの外部に用意される外部電流生成手段CC1、外部スイッチSW1、開閉スイッチBSW1,BSW2,BSW3,BSW4,およびBSW5等を含む。
外部端子T1と電源端子VCCとの間には外部電流生成手段CC1と外部スイッチSW1とが直列に接続され、外部端子T1と接地電位(記号▽)との間には開閉スイッチBSW1が接続される。したがって、電源端子VCCと接地電位との間には、外部電流生成手段CC1、外部スイッチSW1、および開閉スイッチBSW1が直列に接続されている。接続ラインN1には、開閉スイッチBSW1の一端と外部端子T1が接続され、外部電流生成手段CC1および後述する内部電流生成手段iC1から所定の電流が供給される。内部電流生成手段iC1および外部電流生成手段CC1は具体的には、トランジスタを主体構成とするカレントミラーか、または抵抗を用いた回路で構成することができる。以降の説明に用いる電流生成手段もこうした回路構成からなる。こうした回路構成は、半導体集積回路LSIに1段だけではなく、例えば12段配設されている。したがって外部端子T1に相当するものが12個用意されていることになる。開閉スイッチBSW1は例えばドア(開閉)P1の開閉状態を示すスイッチである。ドア(開閉)P1が“開”の状態、すなわちドア(開閉)P1が開いた状態であるとき、開閉スイッチBSW1は“開”にあたる。ドア(開閉)P1が“閉”の状態、すなわちドア(開閉)P1が閉じた状態であるとき、開閉スイッチBSW1は“閉”にあたる。なお、以降の説明において、各種スイッチが“開”とは、開閉スイッチや他のスイッチに関わらず“オフ”状態であり、“閉”とは“オン”状態であることを表している。
外部端子T2には、例えば車のドアミラーの制御を行うときに用いる開閉スイッチBSW2が接続されている。開閉スイッチBSW2は接地電位側に接続されている。また、図6における外部端子T2には、外部端子T1と電源端子VCCとの間に接続される外部電流生成手段CC1および外部スイッチSW1に相当する回路手段が接続されていない状態を示している。複数の外部端子の中には、外部電流生成手段CC1や外部スイッチSW1に相当する回路手段を備えていないものが複数用意されている。
外部端子T3には、例えば車のドアロックの制御を行うときに用いる開閉スイッチBSW3が接続されている。開閉スイッチBSW3は接地電位側に接続されている。また、外部端子T2と同様、外部端子T1と電源端子VCCの間に接続される外部電流生成手段CC1及び外部スイッチSW1に相当する回路手段が接続されていない状態を示している。
外部端子T4には、例えばパワーウインドウの制御を行うときに用いる開閉スイッチBSW4が接続されている。ここで、パワーウインドウとは車両のウインドウを開閉する機構であり、この種の技術分野ではよく知られている。パワーウインドウの制御対象としては、座席ごとのウインドウであったり、または、全座席分のウインドウであったりする。開閉スイッチBSW4は接地電位側に接続されている。また、外部端子T2,T3と同様に、外部端子T1と電源端子VCCとの間に接続される外部電流生成手段CC1および外部スイッチSW1に相当する回路手段が接続されていない状態を示している。
外部端子T5には、外部端子T1~T4には接続されない、ワイパー制御やミラー調節などをその他と称する各種の開閉スイッチBSW5が接続されている。開閉スイッチBSW5は接地電位側に接続されている。また、外部端子T2~T4と同様に、外部端子T1と電源端子VCCとの間に接続される外部電流生成手段CC1および外部スイッチSW1に相当する回路手段が接続されていない状態を示している。
なお、開閉スイッチBSW1~BSW5は、ワイヤーのハーネスHARNNESを介して半導体集積回路LSIおよび車載用スイッチシステムCSSと結合されている。
以上説明したように説明の便宜上および作図の都合上、外部電流生成手段CC1および外部スイッチSW1に相当する回路手段は外部端子T1にのみ設けているがスイッチ状態検出回路の目的、用途に応じて種々の回路構成が考えられる。例えば、外部端子T2と電源端子VCCとの間に図示しない外部電流生成手段と外部スイッチとを直列に接続することもできる。
外部端子の1つとして用意される電流源イネーブル端子TEについては後述する。
半導体集積回路LSIは、例えば、48ピンのリードをもたないQFN[Quad-Flat-No-lead]パッケージに実装されている。図6には説明の便宜上および作図の都合上、外部端子T1~T5および電流源イネーブル端子TEのみを示したが、各種の開閉スイッチに接続できる外部端子が例えば33ピン用意され、全体の48ピンの70%近くを占めている。この他に、MCUとSPI[Serial Peripheral Inteface]やIIC[Inter IC]などでシリアル通信を行うための外部端子T50が用意されている。開閉スイッチBSW1~BSW5の開閉状態の検出は、半導体集積回路LSIからマイコンMCUへのシリアル通信SPIの要求、及びそれに伴うマイコンMCUから半導体集積回路LSIへのシリアル通信SPIによって、半導体集積回路LSIの内部に配置された図示しないレジスタの値に応じて行われる。その検出結果は外部端子T50を介してシリアル通信SPIによりマイコンMCUに伝達される。さらにマイコンMCUの指示により、車内に設置したランプや音声等で通知される。
本発明に係る車載用スイッチシステムCSSは、車載ネットワークプロトコルLIN/CANに適合させることが可能である 。LIN[Local Interconnect Network]は、CAN[Controller Area Network]のサブバスとして位置づけられ、CANよりも安価に構成できるというメリットを備えている。いずれにしても本発明に係る車載用スイッチシステムCSSは本発明に係るスイッチ状態検出回路を備え、本発明に係るスイッチ状態検出回路によって車載用スイッチシステム、延いては車のとりわけボディ系の電子制御ユニット(ECU)の1つの構成要素を成している。
電源部POWERは、半導体集積回路LSIおよび車載用スイッチシステムCSSを駆動する電源電圧を生成し、たとえばPWM方式のスイッチングレギュレータで構成されている。ドライブDRIVEはドア(開閉)P1~その他P5を制御するモータを駆動する回路部である。
半導体集積回路LSIには、内部電流生成手段iC1,iC4、内部スイッチS1,S4、コンパレータCOMP1,COMP4及び論理回路LOGIC等が内蔵されている。これらの他に、図示しない内部電流生成手段とそれに直列に接続される内部スイッチ及びコンパレータ等が内蔵されているが、図面のスペース上これらについては割愛している。
さて、前述の通り半導体集積回路LSIには電流源イネーブル端子TEが用意されている。半導体集積回路LSIに外部端子を増設すると半導体集積回路LSIが実装されるパッケージが大きくなりコスト高に繋がるので、半導体集積回路LSIに外部端子を増設することは一般的には好まれていない。しかし、本発明においては外部端子の数が48ピンと多数の中での1ピンであるから、さほどのコスト高には繋がらない。むしろ、多数の中の1ピンを有効活用することで、スイッチ状態検出回路内のスイッチ(S1、S4など)の状態を検出する新たなスイッチ状態検出回路(LOGIC)を増設することが容易となり、さらに回路およびシステムの機能チェックに有用であることを見出した。
電流源イネーブル端子TEに取り出される電流源イネーブル信号CS1beは開閉制御信号の1つであり、論理回路LOGICから内部スイッチS1,S4を制御する開閉制御信号CS1aを元にして生成されている。これによって内部スイッチS1,S4と外部スイッチSW1とを同じ導電型のトランジスタで構成することができる。例えば、これらのスイッチをPMOSトランジスタやPNPバイポーラトランジスタで構成することができる。両者の極性が反転していることを望む場合は、電流源イネーブル端子TEに取り出した開閉制御信号CS1aを論理回路LOGICで反転し、その反転した制御信号を外部スイッチSW1の制御に利用することになる。または、電流源イネーブル端子TEに取り出した開閉制御信号CS1aをインバータで反転し、その反転した制御信号を外部スイッチSW1の制御に利用することもできる。さらに加えて、論理回路LOGICから電流源イネーブル端子TEまでに取り出される開閉制御信号CS1bと開閉制御信号CS1aは論理回路LOGICの同じ回路点から取り出すことが好ましい。なぜならば、電流源イネーブル端子TEを強制的にハイレベルおよびローレベルに設定することで、半導体集積回路LSIの回路機能チェックが容易にできるからである。すなわち、電流源イネーブル端子TEをハイレベルおよびローレベルに切替えて、例えば外部端子T1の外部端子電位VT1を測定することで、内部電流生成手段iC1と内部スイッチS1との回路接続が正常であるか否かの確認、および内部電流生成手段iC1で生成される電流が所定値の範囲に収まっているか否かの確認が容易かつ確実に行えるからである。外部端子T1以外についても同様であり、容易かつに確実に開閉スイッチBSW1の開閉状態を測定(検査)することができる。
また、内部スイッチS1と外部スイッチSW1は連動して開閉制御されている。ここで連動とは、内部スイッチS1がオンのとき外部スイッチSW1もオン、内部スイッチS1がオフのとき外部スイッチSW1もオフである状態のことをいう。さらに、本発明に係るスイッチ状態検出回路は、内部スイッチS1及び外部スイッチSW1を常にオンにして開閉スイッチBSW1~BSW5の状態を常に検出する常時監視動作と、間欠的にオンにして開閉スイッチBSW1~BSW5の状態を間欠的に検出する間欠監視動作とがある。なお、間欠監視動作時の監視周期は設定が可能である。常時監視動作、間欠監視動作、及び間欠監視動作の監視周期を半導体集積回路LSIの内部に配置された図示しないレジスタの値に基づき切り換えることで、消費電力の削減が可能となる。
なお、例えば内部電流生成手段iC1と内部スイッチS1との回路接続が正常であるか否かの確認、測定(検査)等は、電流源イネーブル端子TEを制御せずに論理回路LOGIC側から出力される開閉制御信号を用いて行うことも可能ではある。しかし、論理回路LOGICから例えば内部スイッチS1までには、多くのフリップフロップやラッチ回路等を経由して信号が印加されるので、内部スイッチS1の開閉が確実には行えなくなる不具合が生じうる。これに対して本発明では例えば内部スイッチS1の開閉制御を直接行うので確実に各種回路の接続や電流生成回路で生成される電流の大きさを測定(検査)することができる。
図7は、図6に示したスイッチ状態検出回路の説明を補足するために用意した構成図である。図6と同じ箇所には同じ符号を付している。コンパレータCOMP1の非反転入力端子(+)には半導体集積回路LSIの外部端子T1が、反転入力端子(-)には参照電位Vref1が接続されている。コンパレータCOMP1は開閉スイッチBSW1の開閉状態を検出する。開閉スイッチBSW1は、図6に示すように例えば車載のドア(開閉)P1に用いられている。開閉スイッチBSW1がオン(閉)されているか、オフ(開)されているかの検出は、内部スイッチS1を閉じて、内部電流生成手段iC1で生成される電流を外部端子T1を介して開閉スイッチBSW1に供給し、外部端子T1の外部端子電位VT1と参照電位Vref1とをコンパレータCOMP1で比較して行う。開閉スイッチの開閉状態の通知は車内に設置したランプや音声等で行うことができる。
開閉スイッチBSW1が閉じているときには、外部端子電位VT1が接地電位の0Vとほぼ等しくなり、コンパレータCOMP1の出力電位VCM1は、ローレベル(L)となる。一方、開閉スイッチBSW1が開いているときには、外部端子電位VT1が電源端子VCCの電位とほぼ等しくなり、コンパレータCOMP1の出力電位VCM1は、ハイレベル(H)となる。なお、開閉スイッチBSW1の開閉状態の検出は内部電流生成手段iC1を用いずに外部電流生成手段CC1で生成される電流を外部スイッチSW1および接続ラインN1を介して開閉スイッチBSW1に供給して行うこともできる。もちろん、内部電流生成手段iC1および外部電流生成手段CC1の両者を同時に能動化させて、外部端子電位VT1をコンパレータCOMP1で比較するようにしてもよい。なお、外部電流生成手段CC1で生成される電流は内部電流生成手段iC1で生成される電流の大きさよりも大きく設定しておき、開閉スイッチBSW1の腐食防止用の電流として開閉状態を検出する前または後の少なくともいずれかにおいて供給させるとよい。
開閉スイッチBSW2の開閉状態の検出は、内部電流生成手段iC2で生成される電流を内部スイッチS2、外部端子T2、および接続ラインN2を介して開閉スイッチBSW2に供給して行う。
開閉スイッチBSW2が閉じているときには、外部端子電位VT2が接地電位の0Vとほぼ等しくなり、コンパレータCOMP2の出力電位VCM2は、ローレベル(L)となる。一方、開閉スイッチBSW2が開いているときには、外部端子電圧VT2が電源端子VCCの電位とほぼ等しくなり、コンパレータCOMP2の出力電位VCM2は、ハイレベル(H)となる。接続ラインN2は、開閉スイッチBSW2の一端と外部端子T2が接続され、内部電流生成手段iC2から電流の供給を受ける。
図7に示すように、内部電流生成手段iC1と内部スイッチS1とで構成される第1の直列接続体と、外部電流生成手段CC1と外部スイッチSW1とで構成される第2の直列接続体は、電源端子VCCと外部端子T1すなわち接続ラインN1を介して接続される。こうした回路構成は、仮にいずれか一方の直列接続体に不具合が生じたとしても、他方の直列接続体によって電源端子VCC側から開閉スイッチBSW1に向かって電流を供給することができる。すなわち、フェールセーフの回路機能を享受することができる。
また、図7において外部電流生成手段CC1を例えば抵抗で、外部スイッチSW1を例えばPMOSトランジスタで構成することも可能である。なお、抵抗はカレントミラーに置き換えてもよい。また、内部スイッチS1,S2は具体的には例えばPMOSトランジスタと同じ導電型のPMOSトランジスタで構成することができる。こうした回路構成を用いると、論理回路LOGICから出力される同一の制御信号によって内部電流生成手段iC1と外部電流生成手段CC1を連動して制御でき、かつ回路構成の簡便化が図れる。
なお、図7には説明の便宜上、外部端子T1,T2,および電流源イネーブル端子TEのみを示した。しかし、実際は図6に示した外部端子T3~T5、およびその他の外部端子が用意されている。
図8は、開閉スイッチBSW1が電源端子VCC側に接続され、外部電流生成手段CC1および外部スイッチSW1が接地電位GND側に接続される場合を示す。こうした回路構成は図6、図7とは異なるが、外部端子T1に生じる外部端子電位VT1と参照電位Vref1とをコンパレータCOMP1で比較して行うことは同じである。図8において、外部端子電位VT1は、例えば、電源端子VCC→開閉スイッチBSW1→内部スイッチS1L→内部電流生成手段iC1L→接地電位GNDの電流経路IC1Lに基づき発生する。なお、内部スイッチS1Lおよび内部電流生成手段iC1Lによる電流経路を用いずに外部電流生成手段CC1および外部スイッチSW1による電流経路ICC1を用いて開閉スイッチBSW1の開閉状態を検出するようにしてもよい。外部電流生成手段CC1と外部スイッチSW1との直列接続体と、内部電流生成手段iC1Lと内部スイッチS1Lとの直列接続体とは外部端子T1と接地電位GNDとの間に並列に接続しているので、本発明では開閉スイッチBSW1の開閉状態の検出に少なくともいずれか一方の電流経路を利用することができる。すなわち、いずれか一方の電流経路に何らかの不備が生じたとしても他方の電流経路を利用して開閉スイッチBSW1の開閉状態を検出できるという、いわばフェールセーフの機能を享受することができる。
内部電流生成手段iC1Lで生成する定電流は1種類だけではなく、例えば、iC1La,iC1Lb,iC1Lc,iC1Ld,IC1Leという具合に電流値の大きさが異なる5種類の電流がプログラムによって論理回路LOGIC等で制御、生成されている。例えば、iC1La,iC1Lb,iC1Lc,iC1Ld,IC1Leはそれぞれ1mA,3mA,5mA,10mA,15mAという具合である。
図8には内部電流生成手段iC1Hが電源端子VCCと外部端子T1との間に内部スイッチS1Hを介して接続される状態も示している。開閉スイッチBSW1が電源端子VCC側に接続される構成下では内部電流生成手段iC1Hおよび内部スイッチS1Hを用いる必要はないが、開閉スイッチBSW1が接地電位GND側に接続される構成下では内部電流生成手段iC1Lおよび内部スイッチS1Lに替わってこれらが用いられることになる。内部電流生成手段iC1Hで生成される電流も1種類だけではなく、例えばiC1Ha,iC1Hb,iC1Hc,iC1Hd,IC1Heという具合に電流値の大きさが異なる5種類の電流がプログラムによって論理回路LOGIC等で制御、生成されている。例えば、iC1Ha,iC1Hb,iC1Hc,iC1Hd,IC1Heはそれぞれ1mA,3mA,5mA,10mA,15mAであり、内部電流生成手段iC1Lで生成される定電流と同じ大きさに選ばれている。
図8において、コンパレータCOMP1の反転入力端子(-)に与える参照電位Vref1は抵抗R2とR3で設定して、それらの大きさが例えば3Vか4Vに設定されることを示している。なお、電源端子VCCの電圧は例えば5~12Vである。
なお、図8の開閉スイッチBSW1が電源端子VCC側に接続される場合においては、開閉スイッチBSW1が閉じているとき外部端子電位VT1は電源端子VCCの電位とほぼ同じハイレベルとなり、それが開いているとき外部端子電位VT1は接地電位とほぼ等しいローレベルとなる、したがって、図7に示した回路構成とは外部端子電位VT1のハイレベルとローレベルとの関係が逆転する。
図9は、図6に示したパワーウインドウP4を例として取り上げ、外部端子T4に接続される開閉スイッチBSW4が電源端子VCC側と接地電位GND側に接続される状態を併記している。実際のスイッチ状態検出回路ではこうした回路構成は存在しないが、説明の便宜上示したものである。プルアップ開閉スイッチBSW4Hは電源端子VCC側に、プルダウン開閉スイッチBSW4Lは接地電位GND側にそれぞれ接続されている。プルアップ開閉スイッチBSW4Hの開閉状態の検出は内部電流生成手段iC4LがプルダウンスイッチS4Lによって能動化されることによって、プルダウン開閉スイッチBSW4Lの開閉状態は内部電流生成手段iC4HがプルアップスイッチS4Hによって能動化されることによって外部端子T4の外部端子電位VT4と参照電位Vref4とをコンパレータCOMP4で比較し、コンパレータCOMP4の出力電位VCM4を検出して行う。プルアップスイッチS4HまたはプルダウンスイッチS4Lの能動化は論理回路LOGICから出力される開閉制御信号CS1aによって行う。参照電位Vref4は、抵抗R4とR5で設定され、その大きさは図8に示した参照電位Vref1と同じ例えば3Vか4Vに設定されている。
内部電流生成手段iC4Lで生成する電流は図8に示したものと同様に1種類だけではなく、例えばiC4La,iC4Lb,iC4Lc,iC4Ld,IC4Leという具合に電流値が異なる5種類の電流がプログラムによって論理回路LOGIC等で制御、生成されている。例えばiC4La,iC4Lb,iC4Lc,iC4Ld,IC4Leは、それぞれ1mA,3mA,5mA,10mA,15mAという具合である。
内部電流生成手段iC4Hで生成する電流も内部電流生成手段iC4Lと同様に1種類だけではなく、例えばiC4Ha,iC4Hb,iC4Hc,iC4Hd,IC4Heという具合に電流値が異なる5種類の電流がプログラムによって論理回路LOGIC等で制御、生成されている。例えばiC4Ha,iC4Hb,iC4Hc,iC4Hd,IC4Heは、それぞれ1mA,3mA,5mA,10mA,15mAという具合である。
以上、図6~図9を用いて本発明に係るスイッチ状態検出回路及び車載用スイッチシステムについて説明してきた。ここで、本発明に係る実施態様は上述に限定されない。例えば、図6には1つの外部端子に1つの開閉スイッチを接続させる構成を示した。しかし、例えば外部端子T2とT3を共通に接続し、この共通接続点に1つの開閉スイッチを接続するようにしてもよい。もちろん3以上の外部端子を共通に接続し、この共通接続点に1つの開閉スイッチを接続するようにしてもよい。例えば1つの電流生成手段で15mAが生成される場合、こうした構成によれば例えば3つの外部端子を共通にすることによりその3倍の45mAの電流容量を有する開閉スイッチに電流を供給することが可能となる。
また、1つの半導体集積回路LSIの各外部端子を組み合わせる方法とは別に、例えば本発明に係る半導体集積回路LSIを2つ以上用意し、それらの関連する端子同士を共通に接続して、この共通接続端子に1つの開閉スイッチを接続するようにしてもよい。例えば、外部端子T1同士を、または外部端子T2同士をそれぞれ共通に接続し、これらの共通接続端子に異なる開閉スイッチをそれぞれ接続するようにしてもよい。こうした回路構成は、図6~図8に示した外部電流生成手段CC1および外部スイッチSW1を本発明に係る半導体集積回路LSIに置き換えることにほかならず、大電流用としての開閉スイッチや、それを切替えるスイッチの増設に臨機応変かつ容易に対応できることにつながる。したがって、本発明に係るスイッチ状態検出回路および車載用スイッチシステムは、本発明にかかる半導体集積回路の数と外部端子の接続の組み合わせに基づき開閉スイッチの増設に容易に対応できる。