JP7060438B2 - 化粧シート、及び化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
一方、建築基準法では、内装建材に不燃や難燃の防火材料を用いることについて定められている。そのため、化粧シートにおいても、所定の防火性能が発揮されることが求められている。
また、化粧シートに用いられる粘着剤は、施工性の観点から、低温及び常温でも粘着性能を発揮することが求められている。
本発明は、上記事情に鑑み、防火性、施工性及び定荷重性に優れる化粧シート、及び該化粧シートの製造方法を提供することを目的とする。
(1)基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の側に設けられた粘着剤層と、を備えた化粧シートであって、前記粘着剤層が、粘着剤とリン系難燃剤及び臭素系難燃剤(ただし、含臭素リン系難燃剤は、リン系難燃剤に属するものとし、臭素系難燃剤には属しないものとする。)とを含み、
前記粘着剤層が、粘着剤乾燥質量100質量部に対して、前記リン系難燃剤を乾燥質量として20~40質量部、前記臭素系難燃剤を乾燥質量として10~20質量部それぞれ含有し、
下記発熱性試験において、試験片として、両表面に原紙を有する石膏ボードと前記石膏ボードの輻射熱の与えられる側に積層された前記化粧シートとを有する積層体を用いたときの前記試験片の20分間の試験時間での総発熱量が7.2MJ/m2以下であり、
下記初期粘着力試験において、初期粘着力が5℃環境下で、5N/25mm以上、23℃、50%RH環境下で、15N/25mm以上であり、かつ、
下記定荷重性試験において、剥離距離が5mm以下である化粧シート。
発熱性試験:ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験
初期粘着力:JIS Z0237:2009に準拠し、化粧シートの試験片をステンレス試験板(試験板)にローラ圧着しながら貼付し、貼付から30秒以内に、剥離速度300mm/minの条件で、試験片を試験板に対して180°に引きはがす試験方法により測定される初期粘着力試験
定荷重性試験:化粧シートから幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出し、試験片の一方の端部から50mmの粘着剤層面を試験板に対してローラ圧着しながら貼付し、貼付直後から24時間、23℃、50%RHの標準環境下に放置した後、試験板を試験片が貼付された面を下側に向けて水平に配置し、試験片の他方の端部に、試験片が鉛直方向に剥離するように質量50gのおもりを取り付け、その状態を24時間維持した後、試験片が試験板の表面から剥離される距離(剥離距離、mm)で測定される定荷重性試験
(2)前記リン系難燃剤が、リン酸エステル系難燃剤である、前記(1)に記載の化粧シート。
(3)前記リン酸エステル系難燃剤が、縮合リン酸エステルである、前記(2)に記載の化粧シート。
(4)前記臭素系難燃剤が、臭素化イソシアヌラートである、前記(1)~(3)のいずれか一つに記載の化粧シート。
(5)前記臭素化イソシアヌラートが、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラートである、(4)に記載の化粧シート。
(6)前記粘着剤がアクリル系粘着剤である、前記(1)~(5)のいずれか一つに記載の化粧シート。
(7)前記基材フィルムが塩化ビニル系樹脂を含有する、前記(1)~(6)のいずれか一つに記載の化粧シート。
(8)前記基材フィルムが、溶剤系インキ、UV系インキ、ラテックス系インキからなる群より選ばれる少なくとも1種のインキにより、前記粘着剤層が設けられた側とは反対側の面に印刷が施されている、(1)~(7)のいずれか一つに記載の化粧シート。
(9)前記基材フィルム上に、前記粘着剤層を設ける、前記(1)~(8)のいずれか一つに記載の化粧シートの製造方法。
本発明の化粧シートは、基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の側に設けられた粘着剤層と、を備えた化粧シートであって、
前記粘着剤層に、粘着剤とリン系難燃剤及び臭素系難燃剤とを含み、
下記発熱性試験において、試験片として、両表面に原紙を有する石膏ボードと前記石膏ボードの輻射熱の与えられる側に積層された前記化粧シートとを有する積層体を用いたときの前記試験片の20分間の試験時間での総発熱量が7.2MJ/m2以下であり、
下記初期粘着力試験において、初期粘着力が5℃環境下で、5N/25mm以上、23℃、50%RH環境下で、15N/25mm以上であり、かつ、
下記定荷重性試験において、剥離距離が5mm以下である化粧シートである。
発熱性試験:ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験
初期粘着力:JIS Z0237:2009に準拠し、化粧シートの試験片をステンレス試験板(試験板)にローラ圧着しながら貼付し、貼付から30秒以内に、剥離速度300mm/minの条件で、試験片を試験板に対して180°に引きはがす試験方法により測定される初期粘着力試験
定荷重性試験:化粧シートから幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出し、試験片の一方の端部から50mmの粘着剤層面を試験板に対してローラ圧着しながら貼付し、貼付直後から24時間、23℃、50%RHの標準環境下に放置した後、試験板を試験片が貼付された面を下側に向けて水平に配置し、試験片の他方の端部に、試験片が鉛直方向に剥離するように質量50gのおもりを取り付け、その状態を24時間維持した後、試験片が試験板の表面から剥離される距離(剥離距離、mm)で測定される定荷重性試験
以下、図を参照しながら、本発明の一実施形態に係る化粧シートを説明する。
化粧シート1は、防火性に優れている。係る防火性は、前記発熱性試験において、20分間の試験時間で試験された前記試験片の総発熱量が7.2MJ/m2以下であることを意味する。
不燃材料を評価する方法の一つとして、発熱性試験が知られている。本明細書中における発熱性試験とは、ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験である。
発熱性試験に際し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定されるよう、コーンカロリーメータの炉は、前記発熱性試験の前に予め加熱してある。20分間の試験時間とは、コーンカロリーメータの炉により試験片表面の加熱を開始してからの時間である。
基材フィルム10の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリウレタン(PU)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体などの樹脂で構成されたものが挙げられる。
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル由来の繰り返し単位を有する重合体である。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体であってもよいし、塩化ビニルと、当該塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。共重合体としては、エチレン-塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-ハロゲン化オレフィン共重合体等の塩化ビニルを主体とする共重合体等が挙げられる。塩化ビニルを主体とする共重合体において、塩化ビニル由来の繰り返し単位の量は、全繰り返し単位中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましい。
基材フィルム10の厚みが100μm以上300μm以下であると、化粧シートの施工性及び防火性により優れる。
上記の基材フィルム10は、必要に応じ各種添加剤が含有されてもよい。添加剤としては、例えば着色剤が挙げられる。
着色剤は、例えば、基材フィルム10に含有されてもよい。着色された基材フィルムは、基材フィルムの原料となる樹脂組成物に着色剤を配合し、これをフィルム成形することで製造することができる。
着色剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着剤層20は、化粧シート1(剥離ライナー30を除く)を、被着体に貼付させる機能を有する。粘着剤層20には、リン系難燃剤及び臭素系難燃剤を含む。粘着剤層にリン系難燃剤及び臭素系難燃剤を含有させることにより、化粧シートの難燃性を高め、かつ、施工性を高めることができる。
粘着剤層20を構成する粘着剤組成物中の、リン系難燃剤の含有量は、粘着剤乾燥質量100質量部に対して、乾燥質量として、10~50質量部、好ましくは、20~40質量部である。粘着剤層20を構成する粘着剤組成物中の、臭素系難燃剤の含有量は、粘着剤乾燥質量100質量部に対して、乾燥質量として、5~30質量部、好ましくは、10~20質量部である。
リン系難燃剤としては、例えば、リン酸エステル系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、メラミンリン酸塩系難燃剤、リン酸アミド系難燃剤、フォスファゼン化合物系難燃剤などが挙げられるが、リン酸エステル系難燃剤が好ましい。
大八化学工業社製非ハロゲンリン酸エステルであるTMP(トリメチルホスフェート)、TEP(トリエチルホスフェート)、TPP(トリフェニルホスフェート)、TCP(トリクレジルホスフェート)、TXP(トリキシレニルホスフェート)、CDP(クレジルジフェニルホスフェート)、NDPP(2-ナフチルジフェニルホスフェート)、PX-110(クレジルジ2,6-キシレニルホスフェート)、 非ハロゲン縮合リン酸エステルであるCR-733S、CR-741、PX-200、DAIGUARD-580、DAIGUARD-610、DAIGUARD-880、
含ハロゲンリン酸エステルであるTMCPP(トリス(クロロプロピル)ホスフェート)、CR-900(トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート)、
含ハロゲン縮合リン酸エステルであるCR-504L、CR-570、DAIGUARD-540、
アクゾノーベルジャパン社製フォスフレックス112、112B、179A等のフォスフレックスシリーズ、ファイヤロールフレックスRDP、BDP、4800、ファイヤクエル220、EHC、ファイロールDPN、6、DMMP等のファイロールシリーズ;
味の素ファインテクノ社製非ハロゲンリン酸エステルであるレオフォス35、50、65、95、110、TPP、RDP、BAPP、CDPといったレオフォスシリーズ、クロニテックスCDP、TCP、TXPといったクロニテックスシリーズ、レオモールTIBP、TOP等のレオモールシリーズ、レオルーブHYD-110、デュラッドCDP、TCP、TXP等のデュラッドシリーズ;
ADEKA社製縮合リン酸エステルであるアデカスタブPFR、FP-500、FP-600、FP-700等のアデカスタブシリーズ;
アルベマール日本社製縮合リン酸エステルであるNcendXP-30、含ハロゲンリン酸エステルであるAntiblazeTMCP、195、含ハロゲン縮合リン酸エステルであるAntiblazeV-6;
ケムチュラ・ジャパン社製非ハロゲンリン酸エステルであるReofosTPP、RDP、BAPP等のReofosシリーズ;
等が挙げられるが、揮発性が低い縮合リン酸エステルが好ましい。
該ポリリン酸アンモニウムは、一般式(NH4)r+2PrO3r+1(但し、rは20~1000の整数)で表すことができる化合物であり、rが十分に大きいときはメタリン酸の式(NH4PO3)r(ここでrは前記と同じ)で近似できる化合物である。
一方、該ポリリン酸アンモニウムを主成分とする化合物としては、該ポリリン酸アンモニウムを熱硬化性樹脂で被覆もしくはマイクロカプセル化したもの、メラミンモノマーや他の含窒素有機化合物等で該ポリリン酸アンモニウム表面を被覆したもの、界面活性剤やシリコーン化合物で処理したもの、あるいはポリリン酸アンモニウムを製造する過程でメラミン等を添加し難溶化したもの等が挙げられる。
市販のポリリン酸アンモニウム系難燃剤としては、例えば、クラリアント社製エキソリット(Exolit)-422、463、700、AP-750、モンサント社製フォスチェク(Phos-chek)-P/30、P/40、住友化学工業社製スミセーフ-P、PM、チッソ社製テラージュ(TERRAJU)-S10、S20、C60、C70、C80、アルベマール日本社製AntiblazeMC、PI等が挙げられる。
テトラブロモビスフェノールAビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2-ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールSビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS、などの臭素化ビスフェノール系化合物あるいはその誘導体、
ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモベンジルブロマイド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルアリルエーテル、2,3-ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの臭素化芳香族化合物あるいはその誘導体、
モノ(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラート、ジ(2,3-ジブロモプロピルイソシアヌラート)、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラート、モノ(2,3,4-トリブロモブチル)イソシアヌラート、ジ(2,3,4-トリブロモブチル)イソシアヌラート、トリス(2,3,4-トリブロモブチル)イソシアヌラートなどの臭素化イソシアヌラートあるいはエチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)1,3,5-トリアジンなどの臭素及び窒素原子含有化合物、
テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、
ペンタブロモベンジルアクリレートポリマーなどの臭素化アクリル樹脂、
トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ブロモフェニル)ホスフェート等の臭素及び燐原子含有化合物、
臭化アンモニウムなどの臭素化無機化合物、等が挙げられる。これらのなかでも、溶剤への溶解性に優れるという観点から、臭素化イソシアヌラートが好ましく、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラートがより好ましい。
また、定荷重性は、化粧シートから幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出し、試験片の一方の端部から50mmの粘着剤層面を試験板に対してローラ圧着しながら貼付し、貼付直後から24時間、23℃、50%RHの標準環境下に放置した後、試験板を試験片が貼付された面を下側に向けて水平に配置し、試験片の他方の端部に、試験片が鉛直方向に剥離するように質量50gのおもりを取り付け、その状態を24時間維持した後、試験片が試験板の表面から剥離される距離(剥離距離、mm)で測定された値であって、5mm以下であり、3mm以下が好ましい。前記定荷重性が、5mm以下であると、化粧シート貼付経時後の浮き剥がれが少なくなり好ましい。
粘着剤層は粘着剤を含み、架橋剤を反応させて形成される。粘着剤は、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等の粘着性樹脂を含有する粘着剤が挙げられるが、アクリル系樹脂を含有するアクリル系粘着剤であることが好ましい。粘着剤層100質量%に対する、アクリル系樹脂の含有量は、20~99.9質量%であってよく、40~90質量%であってよく、65~85質量%であってよい。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの重合体が挙げられ、例えば(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を有する重合体又は共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、全構成単位中、好ましくは70~99.9質量%、より好ましくは80~99.5質量%、更に好ましくは85~99質量%、より好ましくは88~95質量%である。(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、活性水素を有する官能基を含む単量体と、任意で用いられる他の単量体との共重合体が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含む概念である。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤及びアミン系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5、5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンイソシアネート等の多価イソシアネート化合物が挙げられる。
このような難燃剤としては、例えば、熱発泡性難燃剤などがあげられる。熱発泡性難燃剤は、粘着剤層20に熱発泡性を付与することができる。なお、粘着剤層20に熱発泡性を与えるものは、熱発泡性難燃剤に限られるものではない。
剥離ライナー30は、公知のいずれのものを使用してもよい。剥離ライナー30の基材としては、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどよりなる樹脂フィルムが挙げられる。そして、この基材の粘着剤層20との接合面を剥離剤(例えば、シリコーン系剥離剤など)で処理したものが好適に使用される。
本発明の化粧シートの製造方法は、本発明の化粧シートの製造方法であって、前記基材フィルム上に、前記粘着剤層を設けるものである。
一実施形態として、化粧シートは、例えば、次のようにして製造することができる。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n-ブタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塗工装置としては、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ファウンテンダイコーター、スロットダイコーター、リバースコーター等が挙げられる。
(基材フィルムの製造)
下記ベース樹脂を溶融させて得られた基材フィルム用組成物を、カレンダーにより160μmの厚みに成膜することにより、基材フィルムを得た。
ポリ塩化ビニル(PVC):100質量部、フタル酸ジオクチル:20質量部、エポキシ系可塑剤:5質量部、バリウム亜鉛系安定剤:2質量部、酸化チタン(顔料):10質量部
単量体成分として、アクリル酸ブチル92質量部、及びアクリル酸8質量部、溶剤として、酢酸エチル200質量部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を反応器に入れ混合した。4時間窒素ガスで脱気を行い、60℃まで徐々に昇温した後、24時間撹拌しながら重合反応を行い、重量平均分子量が65万のアクリル系共重合体を含む酢酸エチル溶液(乾燥質量濃度33質量%)を得た。
この溶液を、剥離ライナーに、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥した後に、基材フィルムに転写して粘着剤層を形成し、実施例1の化粧シートを作製した。
実施例1で得られた化粧シートの基材フィルムの表面(基材フィルムの粘着剤層が設けられた側とは反対側の面)に、UV系インクジェットプリンタ(富士フィルム社製、商品名Acuity LED 1600)を用いて、インキを吐出し、盛量30g/m2のベタ画像を形成し、基材フィルム表面にUV系インキで印刷が施された実施例2の化粧シートを作製した。
難燃剤を用いない以外は、上記実施例1の化粧シートと同様にして、比較例1の化粧シートを製造した。
難燃剤として、リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業社製、商品名「CR741」、常温で液体)30質量部を用いた以外は、実施例1の化粧シートと同様にして、比較例2の化粧シートを製造した。
難燃剤として、リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業社製、商品名「CR741」、常温で液体)を50質量部用いた以外は、実施例1の化粧シートと同様にして、比較例3の化粧シートを製造した。
難燃剤として、臭素系難燃剤(トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラート、マナック社製、商品名「EB-70」)を15質量部用いた以外は、実施例1の化粧シートと同様にして、比較例4の化粧シートを製造した。
難燃剤として、臭素系難燃剤(トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラート、マナック社製、商品名「EB-70」)を30質量部用いた以外は、実施例1の化粧シートと同様にして、比較例5の化粧シートを製造した。
25mm×300mmにカットした上記実施例1、2、及び比較例1~5の化粧シートを粘着力測定用の試料とし、JIS Z0237:2009に準拠して、前記試料をステンレス試験板(試験板)にローラ圧着しながら貼付し、貼付から30秒以内に、23℃±1℃、50%RH環境下、又は、5℃±1℃環境下で、剥離速度300mm/minの条件で、試料を試験板に対して180°に引きはがす試験方法により粘着力を測定した。結果を表1に示す。
得られた化粧シートにおける定荷重性を評価した。すなわち、得られた化粧シートから、幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出し、試験片の一方の端部から50mmの粘着剤層面を試験板に対してローラ圧着しながら貼付し、貼付直後から24時間、23℃、50%RHの標準環境下に放置した。
次いで、放置後の試験片を試験片が貼付された面を下側に向けて水平に配置し、試験片の他方の端部に、試験片が鉛直方向に剥離するように質量50gのおもりを取り付け、その状態を24時間維持した後、試験片が試験板の表面から剥離される距離(剥離距離、mm)を測定し、定荷重性を評価した。得られた結果を表1に示す。
100mm角に切断された厚さ12.5mmの不燃認定の石膏ボード(両表面に原紙が貼付されたもの)又は金属板(厚さ約2mmの鋼板)に、実施例及び比較例で得られた各化粧シート(厚さ210μm、100mm角に切断したもの)を重ねあわせて積層体を形成し、これを試験片とした。製造された試験片は、23℃、50%RHの環境下に1週間以上置いた後、下記試験に使用した。
当該試験片に対し、コーンカロリーメータ(Fire Testing Technology Ltd製)を用いて、ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験を行った。ここで試験片表面(輻射熱の与えられる側)とは、試験片の化粧シート表面である。このようにして、前記試験片の20分間の試験時間での総発熱量を求めた。結果を表1に示す。
上記の結果から、実施例1の化粧シートは、比較例1~5の化粧シートと比較して、20分間での発熱性試験時間での総発熱量が低く、防火性に優れるとともに、5℃環境下及び23℃環境下での初期粘着力が高く、かつ、定荷重性(剥離距離)の値が低く、施工性に優れていた。また、実施例2の化粧シートは、燃える樹脂を含み、発熱量が大きいUV系インキを用いた印刷が施されているにも関わらず、比較例1~5の化粧シートと比較して、20分間での発熱性試験時間での総発熱量が低く、防火性に優れるとともに、5℃環境下及び23℃環境下での初期粘着力が高く、かつ、定荷重性(剥離距離)の値が低く、施工性に優れていた。
Claims (9)
- 基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の側に設けられた粘着剤層と、を備えた化粧シートであって、前記粘着剤層が、粘着剤とリン系難燃剤及び臭素系難燃剤(ただし、含臭素リン系難燃剤は、リン系難燃剤に属するものとし、臭素系難燃剤には属しないものとする。)とを含み、
前記粘着剤層が、粘着剤乾燥質量100質量部に対して、前記リン系難燃剤を乾燥質量として20~40質量部、前記臭素系難燃剤を乾燥質量として10~20質量部それぞれ含有し、
下記発熱性試験において、試験片として、両表面に原紙を有する石膏ボードと前記石膏ボードの輻射熱の与えられる側に積層された前記化粧シートとを有する積層体を用いたときの前記試験片の20分間の試験時間での総発熱量が7.2MJ/m2以下であり、
下記初期粘着力試験において、初期粘着力が5℃環境下で、5N/25mm以上、23℃、50%RH環境下で、15N/25mm以上であり、かつ、
下記定荷重性試験において、剥離距離が5mm以下である化粧シート。
発熱性試験:ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験
初期粘着力:JIS Z0237:2009に準拠し、化粧シートの試験片をステンレス試験板(試験板)にローラ圧着しながら貼付し、貼付から30秒以内に、剥離速度300mm/minの条件で、試験片を試験板に対して180°に引きはがす試験方法により測定される初期粘着力試験
定荷重性試験:化粧シートから幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出し、試験片の一方の端部から50mmの粘着剤層面を試験板に対してローラ圧着しながら貼付し、貼付直後から24時間、23℃、50%RHの標準環境下に放置した後、試験片を試験片が貼付された面を下側に向けて水平に配置し、試験片の他方の端部に、試験片が鉛直方向に剥離するように質量50gのおもりを取り付け、その状態を24時間維持した後、試験片が試験板の表面から剥離される距離(剥離距離、mm)で測定される定荷重性試験 - 前記リン系難燃剤が、リン酸エステル系難燃剤である、請求項1に記載の化粧シート。
- 前記リン酸エステル系難燃剤が、縮合リン酸エステルである、請求項2に記載の化粧シート。
- 前記臭素系難燃剤が、臭素化イソシアヌラートである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧シート。
- 前記臭素化イソシアヌラートが、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラートである、請求項4記載の化粧シート。
- 前記粘着剤がアクリル系粘着剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧シート。
- 前記基材フィルムが塩化ビニル系樹脂を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の化粧シート。
- 前記基材フィルムが、溶剤系インキ、UV系インキ、ラテックス系インキからなる群より選ばれる少なくとも1種のインキにより、前記粘着剤層が設けられた側とは反対側の面に印刷が施されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧シート。
- 前記基材フィルム上に、前記粘着剤層を設ける、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧シートの製造方法。
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