JP7049878B2 - グラフィックシート - Google Patents
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Description
一方、建築基準法では、内装建材や屋外建材に不燃や難燃の防火材料を用いることについて定められている。そのため、グラフィックシートにおいても、所定の防火性能が発揮されることが求められている。
また、特許文献2に開示されている、溶剤系インキを用いて印刷したメディアフィルムを備えるグラフィックシートは、溶剤系インキが樹脂を含まないため総発熱量が抑えられる。それに対して、UV系インキまたはラテックス系インキを用いて印刷したメディアフィルムを備えるグラフィックシートは、UV系インキとラテックス系インキが樹脂を含み、インキの皮膜をつくるため、樹脂が燃え、その分だけ総発熱量が大きくなってしまう。
本発明は、上記事情に鑑み、メディアフィルムに、発熱量の大きいUV系インキやラテックス系インキを含む各種インキで印刷した場合でも、総発熱量が抑えられ、防火性に優れるグラフィックシートを提供することを目的とする。
(1)透明な基材フィルムと、透明な粘着剤を含有する第1の粘着剤層と、少なくとも前記第1の粘着剤層の側に印刷が施されたメディアフィルムと、粘着剤を含有する第2の粘着剤層と、をこの順に備えたグラフィックシートであって、
前記透明な基材フィルム及び前記メディアフィルムの材質は、塩化ビニル系樹脂であり、
前記第1の粘着剤層が、粘着剤乾燥質量100質量部に対して、リン系難燃剤を乾燥質量として20~40質量部、臭素系難燃剤である臭素化イソシアヌラートを乾燥質量として10~20質量部それぞれ含有し、
下記発熱性試験において、試験片として、両表面に原紙を有する石膏ボードと前記石膏ボードの輻射熱の与えられる側に積層された前記グラフィックシートとを有する積層体を用いたときの前記試験片の20分間の試験時間での総発熱量が7.2MJ/m2以下であるグラフィックシート。
発熱性試験:ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験
(2)前記リン系難燃剤が、リン酸エステル系難燃剤である、(1)に記載のグラフィックシート。
(3)前記リン酸エステル系難燃剤が、縮合リン酸エステルである、(2)に記載のグラフィックシート。
(4)前記臭素化イソシアヌラートが、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラートである、(1)~(3)のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
(5)前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層の少なくとも一方が、アクリル系粘着剤を含有する、(1)~(4)のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
(6)前記第2の粘着剤層が、粘着剤とリン系難燃剤及び臭素系難燃剤とを含む、(1)~(5)のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
(7)前記透明な基材フィルム及び前記第1の粘着剤層から構成されるラミネート材のヘーズが5%以下である、(1)~(6)のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
(8)前記メディアフィルムが、溶剤系インキ、UV系インキ及びラテックス系インキからなる群から選ばれる少なくとも1種のインキにより、前記第1の粘着剤層の側に印刷が施されている、(1)~(7)のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
本発明のグラフィックシートは、透明な基材フィルムと、透明な粘着剤層を含有する第1の粘着剤層と、少なくとも前記第1の粘着剤層の側に印刷が施されたグラフィックシートであって、
前記透明な基材フィルム及び前記メディアフィルムの材質は、塩基ビニル系樹脂であり、第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層の少なくとも一方が、リン系難燃剤及び臭素系難燃剤を含有し、
下記発熱性試験において、試験片として、両表面に原紙を有する石膏ボードと前記石膏ボードの輻射熱の与えられる側に積層された前記グラフィックシートとを有する積層体を用いたときの前記試験片の20分間の試験時間での総発熱量が7.2MJ/m2以下であるグラフィックシートである。
発熱性試験:ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験
以下、図を参照しながら、本発明の一実施形態に係るグラフィックシートを説明する。
グラフィックシート1は、防火性に優れている。係る防火性は、前記発熱性試験において、20分間の試験時間で試験された前記試験片の総発熱量が7.2MJ/m2以下であることを意味する。
不燃材料を評価する方法の一つとして、発熱性試験が知られている。本明細書中における発熱性試験とは、ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験である。
発熱性試験に際し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定されるよう、コーンカロリーメータの炉は、前記発熱性試験の前に予め加熱してある。20分間の試験時間とは、コーンカロリーメータの炉により試験片表面の加熱を開始してからの時間である。
ラミネート材15は、透明な基材フィルム10及び第1の粘着剤層11から構成される。
ラミネート材15の基材フィルム10の材質は塩化ビニル系樹脂である。塩化ビニル系樹脂は燃え難く、また伸びがよいために易施工性に優れるという利点を有する。
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル由来の繰り返し単位を有する重合体である。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体であってもよいし、塩化ビニルと、当該塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。共重合体としては、エチレン-塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-ハロゲン化オレフィン共重合体等の塩化ビニルを主体とする共重合体等が挙げられる。塩化ビニルを主体とする共重合体において、塩化ビニル由来の繰り返し単位の量は、全繰り返し単位中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましい。
ラミネート材15の基材フィルム10の厚みが10μm以上120μm以下であると、グラフィックシートの視認性及び防火性に優れる。
メディアフィルム12の材質は、塩化ビニル系樹脂である。塩化ビニル系樹脂は燃え難く、また伸びがよいために易施工性に優れるという利点を有する。
塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル由来の繰り返し単位を有する重合体である。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体であってもよいし、塩化ビニルと、当該塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。共重合体としては、エチレン-塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、塩化ビニル-ハロゲン化オレフィン共重合体等の塩化ビニルを主体とする共重合体等が挙げられる。塩化ビニルを主体とする共重合体において、塩化ビニル由来の繰り返し単位の量は、全繰り返し単位中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましい。
メディアフィルムの厚みが30μm以上150μm以下であると、グラフィックシートの施工性及び防火性に優れる。
上記のメディアフィルム12は、必要に応じ各種添加剤が含有されてもよい。添加剤としては、例えば着色剤が挙げられる。
着色剤は、例えば、メディアフィルム12に含有されてもよい。着色されたメディアフィルムは、メディアフィルムの原料となる樹脂組成物に着色剤を配合し、これをフィルム成形することで製造することができる。メディアフィルム12に含有される着色剤としては、メディアフィルム12を白色にすることができる白色顔料または体質顔料が好ましい。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が用いられる。体質顔料としては、例えば、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が用いられる。
メディアフィルム12に含有される着色剤の配合量は、例えばメディアフィルム100質量%中、0~40質量%であってもよく、10~30質量%であってもよい。
着色剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1の粘着剤層11は、基材フィルム10を、メディアフィルム12に貼付させる機能を有する。第2の粘着剤層は、メディアフィルム12(剥離ライナー14を除く)を、被着体に貼付させる機能を有する。第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層13の少なくとも一方には、リン系難燃剤及び臭素系難燃剤を含む。第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層13の少なくとも一方にリン系難燃剤及び臭素系難燃剤を含有させることにより、グラフィックシートの難燃性を高めることができる。
リン系難燃剤としては、例えば、リン酸エステル系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、メラミンリン酸塩系難燃剤、リン酸アミド系難燃剤、フォスファゼン化合物系難燃剤などが挙げられるが、リン酸エステル系難燃剤が好ましい。
大八化学工業社製非ハロゲンリン酸エステルであるTMP(トリメチルホスフェート)、TEP(トリエチルホスフェート)、TPP(トリフェニルホスフェート)、TCP(トリクレジルホスフェート)、TXP(トリキシレニルホスフェート)、CDP(クレジルジフェニルホスフェート)、NDPP(2-ナフチルジフェニルホスフェート)、PX-110(クレジルジ2,6-キシレニルホスフェート)、 非ハロゲン縮合リン酸エステルであるCR-733S、CR-741、PX-200、DAIGUARD-580、DAIGUARD-610、DAIGUARD-880、
含ハロゲンリン酸エステルであるTMCPP(トリス(クロロプロピル)ホスフェート)、CR-900(トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート)、
含ハロゲン縮合リン酸エステルであるCR-504L、CR-570、DAIGUARD-540、
アクゾノーベルジャパン社製フォスフレックス112、112B、179A等のフォスフレックスシリーズ、ファイヤロールフレックスRDP、BDP、4800、ファイヤクエル220、EHC、ファイロールDPN、6、DMMP等のファイロールシリーズ;
味の素ファインテクノ社製非ハロゲンリン酸エステルであるレオフォス35、50、65、95、110、TPP、RDP、BAPP、CDPといったレオフォスシリーズ、クロニテックスCDP、TCP、TXPといったクロニテックスシリーズ、レオモールTIBP、TOP等のレオモールシリーズ、レオルーブHYD-110、デュラッドCDP、TCP、TXP等のデュラッドシリーズ;
ADEKA社製縮合リン酸エステルであるアデカスタブPFR、FP-500、FP-600、FP-700等のアデカスタブシリーズ;
アルベマール日本社製縮合リン酸エステルであるNcendXP-30、含ハロゲンリン酸エステルであるAntiblazeTMCP、195、含ハロゲン縮合リン酸エステルであるAntiblazeV-6;
ケムチュラ・ジャパン社製非ハロゲンリン酸エステルであるReofosTPP、RDP、BAPP等のReofosシリーズ;
等が挙げられるが、揮発性が低い縮合リン酸エステルが好ましい。
該ポリリン酸アンモニウムは、一般式(NH4)r+2PrO3r+1(但し、rは20~1000の整数)で表すことができる化合物であり、rが十分に大きいときはメタリン酸の式(NH4PO3)r(ここでrは前記と同じ)で近似できる化合物である。
一方、該ポリリン酸アンモニウムを主成分とする化合物としては、該ポリリン酸アンモニウムを熱硬化性樹脂で被覆もしくはマイクロカプセル化したもの、メラミンモノマーや他の含窒素有機化合物等で該ポリリン酸アンモニウム表面を被覆したもの、界面活性剤やシリコーン化合物で処理したもの、あるいはポリリン酸アンモニウムを製造する過程でメラミン等を添加し難溶化したもの等が挙げられる。
市販のポリリン酸アンモニウム系難燃剤としては、例えば、クラリアント社製エキソリット(Exolit)-422、463、700、AP-750、モンサント社製フォスチェク(Phos-chek)-P/30、P/40、住友化学工業社製スミセーフ-P、PM、チッソ社製テラージュ(TERRAJU)-S10、S20、C60、C70、C80、アルベマール日本社製AntiblazeMC、PI等が挙げられる。
テトラブロモビスフェノールAビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2-ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールSビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS、などの臭素化ビスフェノール系化合物あるいはその誘導体、
ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモベンジルブロマイド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルアリルエーテル、2,3-ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの臭素化芳香族化合物あるいはその誘導体、
モノ(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラート、ジ(2,3-ジブロモプロピルイソシアヌラート)、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラート、モノ(2,3,4-トリブロモブチル)イソシアヌラート、ジ(2,3,4-トリブロモブチル)イソシアヌラート、トリス(2,3,4-トリブロモブチル)イソシアヌラートなどの臭素化イソシアヌラートあるいはエチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)1,3,5-トリアジンなどの臭素及び窒素原子含有化合物、
テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、
ペンタブロモベンジルアクリレートポリマーなどの臭素化アクリル樹脂、
トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ブロモフェニル)ホスフェート等の臭素及び燐原子含有化合物、
臭化アンモニウムなどの臭素化無機化合物、等が挙げられる。これらのなかでも、溶剤への溶解性に優れるという観点から、臭素化イソシアヌラートが好ましく、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラートがより好ましい。
また、定荷重性は、グラフィックシートから幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出し、試験片の一方の端部から50mmの粘着剤層面を試験板に対してローラ圧着しながら貼付し、貼付直後から24時間、23℃、50%RHの標準環境下に放置した後、試験板を試験片が貼付された面を下側に向けて水平に配置し、試験片の他方の端部に、試験片が鉛直方向に剥離するように質量50gのおもりを取り付け、その状態を24時間維持した後、試験片が試験板の表面から剥離される距離(剥離距離、mm)で測定された値であって、5mm以下であり、3mm以下が好ましい。前記定荷重性が、5mm以下であると、グラフィックシート貼付経時後の浮き剥がれが少なくなり好ましい。
第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13は粘着剤を含み、架橋剤を反応させて形成される。粘着剤は、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等の粘着性樹脂を含有する粘着剤が挙げられるが、アクリル系樹脂を含有するアクリル系粘着剤であることが好ましい。粘着剤層100質量%に対する、アクリル系樹脂の含有量は、10~100質量%であってよく、20~99.9質量%であってよく、40~90質量%であってよく、65~85質量%であってよい。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの重合体が挙げられ、例えば(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を有する重合体又は共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、全構成単位中、好ましくは70~99.9質量%、より好ましくは80~99.5質量%、更に好ましくは85~99質量%、特に好ましくは88~95質量%である。(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、活性水素を有する官能基を含む単量体と、任意で用いられる他の単量体との共重合体が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含む概念である。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤及びアミン系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等、及びこれらのアダクト体、ビウレット体、ヌレート体等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、1,3′-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシレンジアミンなどが挙げられる。
このような難燃剤としては、例えば、熱発泡性難燃剤などがあげられる。熱発泡性難燃剤は、第1の粘着剤層11又は第2の粘着剤層13に熱発泡性を付与することができる。なお、第1の粘着剤層11又は第2の粘着剤層13に熱発泡性を与えるものは、熱発泡性難燃剤に限られるものではない。
剥離ライナー14は、公知のいずれのものを使用してもよい。剥離ライナー14の基材としては、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどよりなる樹脂フィルムが挙げられる。そして、この基材の第2の粘着剤層13との接合面を剥離剤(例えば、シリコーン系剥離剤など)で処理したものが好適に使用される。
一実施形態として、グラフィックシートは、例えば、次のようにして製造することができる。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソブタノール、n-ブタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塗工装置としては、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ファウンテンダイコーター、スロットダイコーター、リバースコーター等が挙げられる。
同様にして、剥離ライナー上に、第1の粘着剤層を形成させ、当該第1の粘着剤層を透明な基材フィルム上に転写することにより、透明な基材フィルム、第1の粘着剤層、及び剥離ライナーからなる積層体を得る。
(メディアフィルムの製造)
下記ベース樹脂を溶融させて得られたメディアフィルム用組成物を、カレンダーにより80μmの厚みに成膜することにより、メディアフィルムを得た。
ポリ塩化ビニル(PVC):100質量部、フタル酸ジオクチル:20質量部、エポキシ系可塑剤:5質量部、バリウム亜鉛系安定剤:2質量部、酸化チタン(顔料):10質量部
単量体成分として、アクリル酸ブチル92質量部、及びアクリル酸8質量部、溶剤として、酢酸エチル200質量部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を反応器に入れ混合した。4時間窒素ガスで脱気を行い、60℃まで徐々に昇温した後、24時間撹拌しながら重合反応を行い、重量平均分子量が65万のアクリル系共重合体を含む酢酸エチル溶液(乾燥質量濃度33質量%)を得た。得られたアクリル系共重合体の乾燥質量100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(東ソー社製、商品名「コロネートL」)を乾燥質量2.25質量部添加し、乾燥質量濃度が28質量%となるように酢酸エチルで希釈し、第2の粘着剤組成物の溶液を作製した。
インクジェットプリンタ(富士フィルム社製、商品名Acuity LED 1600)を用いて、メディアフィルムの上に、インキを吐出し、盛量30g/m2のベタ画像を形成した。
下記ベース樹脂を溶解させて得られたラミネート材の基材フィルム用組成物を、カレンダーにより80μmの厚みに製膜することにより、ラミネート材の透明な基材フィルムを得た。
ポリ塩化ビニル(PVC):100質量部、フタル酸ジオクチル:20質量部、エポキシ系可塑剤:5質量部、バリウム亜鉛系安定剤:2質量部
単量体成分として、アクリル酸ブチル92質量部、及びアクリル酸8質量部、溶剤として、酢酸エチル200質量部、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を反応器に入れ混合した。4時間窒素ガスで脱気を行い、60℃まで徐々に昇温した後、24時間撹拌しながら重合反応を行い、重量平均分子量が65万のアクリル系共重合体を含む酢酸エチル溶液(乾燥質量濃度33質量%)を得た。
この溶液を、剥離ライナーに、塗布量が30g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥した後に、ラミネート材の透明な基材フィルムに転写して第1の粘着剤層を形成した。
ラミネート材の臭素系難燃剤として、臭素化ポリスチレン(商品名:「プラセフティ900」、マナック社製)を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例2のグラフィックシートを作製した。
ラミネート材の第1の粘着剤組成物として、実施例1のメディアフィルムに用いた第2の粘着剤組成物を用い、メディアフィルムの第2の粘着剤組成物として、実施例1のラミネート材に用いた第1の粘着剤組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例3のグラフィックシートを作製した。
メディアフィルムにインキを塗布しない以外は、実施例1のグラフィックシートと同様にして、実施例4のグラフィックシートを作製した。
ラミネート材に難燃剤を用いない以外は、上記実施例1のグラフィックシートと同様にして、比較例1のグラフィックシートを製造した。
ラミネート材に難燃剤を用いず、また、ラミネート材及びメディアフィルムの厚みを50μmとする以外は、実施例1のグラフィックシートと同様にして、比較例2のグラフィックシートを製造した。
ラミネート材に難燃剤を用いず、また、メディアフィルムにインキを塗布しない以外は、実施例1のグラフィックシートと同様にして、比較例3のグラフィックシートを製造した。
100mm角に切断された厚さ12.5mmの不燃認定の石膏ボード(両表面に原紙が貼付されたもの)又は金属板(厚さ約2mmの鋼板)に、実施例及び比較例で得られた各グラフィックシート(厚さ210μm、100mm角に切断したもの)を重ねあわせて積層体を形成し、これを試験片とした。製造された試験片は、23℃、50%RHの環境下に1週間以上置いた後、下記試験に使用した。
当該試験片に対し、コーンカロリーメータ(Fire Testing Technology Ltd製)を用いて、ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験を行った。ここで試験片表面(輻射熱の与えられる側)とは、試験片のグラフィックシート表面である。このようにして、前記試験片の20分間の試験時間での総発熱量を求めた。結果を表1に示す。
上記で得られた各実施例及び比較例のラミネート材の剥離ライナーを剥がし、ヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH-2000」)を用いて、JIS K 7136に従ってヘーズを測定した。結果を表1に示す。
それに対して、比較例1~3の試験片は、いずれも20分間の発熱性試験時間での総発熱量が、メディアフィルムにUV系インキを塗布しない場合でも、7.2を超えており、高かった。
上記の結果から、ラミネート材の第1の粘着剤層とメディアフィルムの第2の粘着剤層の少なくとも一方にリン系難燃剤及び臭素系難燃剤を含む実施例1~4のグラフィックシートは、ラミネート材の粘着剤層、及びメディアフィルムの粘着剤層のいずれにもリン系難燃剤及び臭素系難燃剤を含まない比較例1~3のグラフィックシートと比較して、メディアフィルムに発熱量が高いUV系インキを塗布した場合でも、20分間での発熱性試験時間での総発熱量が低く、防火性に優れていた。
Claims (8)
- 透明な基材フィルムと、透明な粘着剤を含有する第1の粘着剤層と、少なくとも前記第1の粘着剤層の側に印刷が施されたメディアフィルムと、粘着剤を含有する第2の粘着剤層と、をこの順に備えたグラフィックシートであって、
前記透明な基材フィルム及び前記メディアフィルムの材質は、塩化ビニル系樹脂であり、
前記第1の粘着剤層が、粘着剤乾燥質量100質量部に対して、リン系難燃剤を乾燥質量として20~40質量部、臭素系難燃剤である臭素化イソシアヌラートを乾燥質量として10~20質量部それぞれ含有し、
下記発熱性試験において、試験片として、両表面に原紙を有する石膏ボードと前記石膏ボードの輻射熱の与えられる側に積層された前記グラフィックシートとを有する積層体を用いたときの前記試験片の20分間の試験時間での総発熱量が7.2MJ/m2以下であるグラフィックシート。
発熱性試験:ISO 5660-1:2002 コーンカロリーメータ法に準拠し、試験片表面での輻射熱条件が50kW/m2で測定される発熱性試験 - 前記リン系難燃剤が、リン酸エステル系難燃剤である、請求項1に記載のグラフィックシート。
- 前記リン酸エステル系難燃剤が、縮合リン酸エステルである、請求項2に記載のグラフィックシート。
- 前記臭素化イソシアヌラートが、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌラートである、請求項1~3のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
- 前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層の少なくとも一方が、アクリル系粘着剤を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
- 前記第2の粘着剤層が、リン系難燃剤及び臭素系難燃剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
- 前記透明な基材フィルム及び前記第1の粘着剤層から構成されるラミネート材のヘーズが5%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
- 前記メディアフィルムが、溶剤系インキ、UV系インキ、ラテックス系インキからなる群より選ばれる少なくとも1種のインキにより、前記第1の粘着剤層の側に印刷が施されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
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