JP7057831B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2011-239576号公報(特許文献1)がある。この公報には、ステータを嵌合するハウジングに、半径方向に屈曲すると共に回転軸方向に延びたひだ部を形成し、このひだ部が伸張することで、ステータの各々の部材にある寸法上のばらつきを吸収し、ステータに発生する面圧の増大を抑制する回転電機が記載されている。
特開2011-239576号公報
前記特許文献1には、ステータに発生する面圧の増大を抑制する回転電機が記載されている。しかし、特許文献1に記載の回転電機は、ハウジングの端部が溶接される構造であり、この溶接に伴う材料の塑性変形が懸念される。また、ハウジングの端部が溶接されることにより、ハウジングの真円度の悪化が懸念される。
そこで、本発明は、真円度を向上させたハウジングを使用することにより、ステータに発生する面圧の増大を抑制し、信頼性を向上させた回転電機を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の回転電機は、ロータと、ステータと、ステータを外周側から固定する筒状のハウジングと、を有し、ハウジングは、外周面の軸方向端部に、外周方向に伸長したフランジを有し、ハウジングの外周面の軸方向端部とフランジとからなる根元部に、周方向に伸長する凹部を有し、ハウジングの内周部であって、凹部が形成される反対面に凸部を有する。
本発明によれば、真円度を向上させたハウジングを使用することにより、ステータに発生する面圧の増大を抑制し、信頼性を向上させた回転電機を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
本実施例に係る回転電機100の分解斜視図である。 本実施例に係る回転電機100の外観斜視図である。 本実施例に係る回転電機100の部分外観斜視図である。 本実施例に係るハウジング400の外観斜視図である。 本実施例に係る回転電機100の部分断面図である。 本実施例に係るハウジングの真円度がステータの磁気特性(磁界強度と磁束密度との関係)に影響を与える説明図である。 本実施例に係るハウジングの真円度がステータの磁気特性(磁束密度と鉄損との関係)に影響を与える説明図である。 比較例に係るハウジング400の製造方法の第1工程を示す斜視図である。 比較例に係るハウジング400の製造方法の第2工程を示す説明図である。 比較例に係るハウジング400の製造方法の第3工程を示す説明図である。 比較例に係るハウジング400の製造方法の第4工程を示す説明図である。 比較例に係るハウジング400の製造方法の第5工程を示す説明図である。 比較例に係るハウジング400の製造方法の第6工程を示す説明図である。 本実施例に係るハウジング400の製造方法の第1工程を示す斜視図である。 本実施例に係るハウジング400の製造方法の第2工程を示す説明図である。 本実施例に係るハウジング400の製造方法の第3工程を示す説明図である。 本実施例に係るハウジング400の製造方法の第4工程を示す説明図である。 本実施例に係るハウジング400の製造方法の第5工程を示す説明図である。 本実施例に係るハウジング400の製造方法の第6工程を示す説明図である。 別の実施例に係るハウジング400の部分外観斜視図である。
以下、図面を用いて、本発明の実施例を説明する。なお、各図面において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する部分については、その説明を省略する場合がある。
自動車用や発電機用等の回転電機は、高出力化が求められており、高出力化に伴い、回転電機も大型化されている。これにより、回転電機のハウジングによって嵌合されるステータの保持力も大きくなり、それに伴いステータに発生する面圧も増大する。
こうしたステータに発生する面圧が増大した場合には、ステータの端面に位置する電磁鋼板が損傷する可能性があり、ステータへの応力を低減させることが重要である。
図1は、本実施例に係る回転電機100の分解斜視図である。
回転電機100は、ロータ200とステータ300とハウジング400とにより構成される。特に、自動車用モータや発電機用モータは、高出力化が求められており、高出力化に伴い、回転電機100も大型化する。
ロータ200は、複数のロータ鉄心と、永久磁石とにより構成されている。複数のロータ鉄心は、回転軸方向に並べられ、互いにスキュー(トルク脈動が抑制)される。
ステータ300は、分割したコアと、このコアに巻回したコイルと、により構成される。ステータ300は、その外周がハウジング400の内周と焼嵌めにより固定される。
ハウジング400は、回転電機100の大型化に伴い、例えば、電動車両に搭載する場合には、その電動車両の振動に耐えるため、ハウジング400の板厚が厚くなる。一方、ハウジング400は、生産性向上のため、プレス加工や絞り加工により形成される。この板厚の厚肉化に伴い、プレス加工がより好ましい場合がある。
つまり、回転電機100は、ロータ200と、ステータ300と、ハウジング400とを有し、ハウジング400は、筒状であり、ステータ300を外周側から固定する。
図2は、本実施例に係る回転電機100の外観斜視図である。
回転電機100のハウジング400は、ステータ300に焼嵌め固定される。
ハウジング400は、ステータ300を外周側から締め付けて固定する筒状部410を有し、ハウジング400の外周面の軸方向端部には、フランジ(平面部)420が形成される。フランジ420の一部には、相手部材(図示せず)との取付面となるタブ(取付面)430が形成される。フランジ420は、ハウジング400の外周面の軸方向端部に形成され、ハウジング400の外周方向に伸長して形成される。
また、タブ430は、ハウジング400の外周面の軸方向端部に形成され、ハウジング400の外周方向に、フランジ420よりさらに部分的に伸長して形成される。
図3は、本実施例に係る回転電機100の部分外観斜視図である。
ハウジング400は、ステータ300に焼嵌め固定され、筒状部410、フランジ420、タブ430を有する。
フランジ420には、ハウジング400の外周面の軸方向端部に、周方向に伸長する凹部450を有する。これにより、ハウジング400の真円度を向上させることができ、ステータ300に発生する面圧の増大を抑制することができる。凹部450は、フランジ420の厚さに対して、10%~15%の深さであることが好ましい。これにより、ハウジング400の真円度を向上させることができる。
なお、本実施例に記載するハウジング400を有するステータ300は、このステータ300を外周側から固定する筒状のハウジング400を有し、このハウジング400は、平板よりプレス加工又は絞り加工によって形成され、外周面の軸方向端部に、外周方向に伸長したフランジ420を有し、フランジ420は、周方向に伸長する複数の凹部450を有する。
図4は、本実施例に係るハウジング400の外観斜視図である。
ハウジング400は、筒状部410、フランジ420、複数(本実施例では6か所)のタブ430を有する。
タブ430は、ハウジング400の周方向の長さが異なる2種類のものがあり、ハウジング400の中心に対して、同種類のタブ430が対向するように形成される。
フランジ420は、ハウジング400の外周面の軸方向端部に、周方向に伸長する複数(本実施例では8か所)の凹部450を有する。これにより、ハウジング400の真円度を向上させることができ、ステータ300に発生する面圧の増大を抑制することができる。
凹部450は、ハウジング400の周方向に、略等ピッチに形成される。そして、凹部450は、タブ430が形成されるフランジ420に形成されると共に、タブ430が形成されないフランジ420にも形成される。
また、凹部450の長さ(ハウジング400の周方向の凹部450の長さ)は、同一であってもよく、タブ430の長さに合わせ、長いタブ430のフランジ420の部分を長く、短いタブ430のフランジ420の部分を短くしてもよい。
つまり、凹部450は、フランジ420の周方向に複数個所断続的に形成されることになる。
また、凹部450が形成されるハウジング400の円筒部410の内周面には、凸部460が形成される。
なお、本実施例に記載するハウジング400を有するステータ300は、フランジ420に形成される複数のタブ430を有し、凹部450は、タブ430が形成されるフランジ420に形成されると共に、凸部460は、ハウジング400の内周部であって、凹部450が形成される反対面に形成される。
図5は、本実施例に係る回転電機100の部分断面図である。
特に、図5は、ステータ300とハウジング400に形成される凸部460との位置関係を示す。凸部460は、ステータ300とハウジング400との接地面から離れて形成される。これにより、ステータ300と接地するハウジング400の軸方向の筒状部410は真円度が確保され、ステータ300に発生する面圧を低減することができる。なお、凸部460は矩形状の凸部ではなく、滑らかな形状の突出部である。
つまり、凸部460は、ハウジング400の内周部であって、凹部450が形成される反対面に形成される。これにより凸部460も、ハウジング400の周方向に、略等ピッチに形成される。
図6は、本実施例に係るハウジングの真円度がステータの磁気特性(磁界強度と磁束密度との関係)に影響を与える説明図である。
図6より、真円度が向上すると、磁界強度に対する磁束密度が上昇することがわかる。
図7は、本実施例に係るハウジングの真円度がステータの磁気特性(磁束密度と鉄損との関係)に影響を与える説明図である。
図7より、真円度が向上すると、磁束密度に対する鉄損が低減されることがわかる。
つまり、真円度が向上すると、ステータ300に発生する面圧を低減でき、ステータ300に作用する圧縮応力を低減させることができる。磁気特性が向上し、回転電機の出力が上昇し、または回転電機の効率が上昇する。なお、真円度とは、幾何学的な正しい円からのズレを表すものであり、真円度「良」とは幾何学的な正しい円により近いことを示す。
このように、本実施例では、圧縮応力による磁気特性の悪化を抑制することができ、より良いモータ特性を有する回転電機を提供することができる。
図8(a)~図8(f)は、比較例に係るハウジング400の製造方法の第1工程~第6工程を示す斜視図である。なお、図8(b)~図8(f)には上図と下図とがあるが、上図は平面図であり、下図は断面図である。
ハウジング400を製造する際、生産性向上のため、図8(a)~図8(f)の順で、圧延されたロール材より、絞り加工の工程を経て、ハウジング400は製造される。
図8(a)に示されるように、圧延方向に圧延されるロール材(平板)810は、回転するロールの間に板状の材料を通し、所定の寸法に仕上げ製作される。
図8(b)に示されるように、ブランク材820は、ロール材810を所定の形状にプレスによって打ち抜き加工される。
図8(c)に示されるように、絞り材830は、ブランク材820を絞り加工によりお釜形状に加工され、底辺部831と、軸方向に形成される筒状部832と、径方向に形成される外周部833で構成される。後工程での本体部841となる筒状部832は、筒状に伸びた第1ジグ891により絞り加工が施され、良好な真円度で成形される。
図8(d)に示されるように、トリミング材840は、絞り材830の底辺部831及び外周部833をトリミングすることにより略筒形状となる。つまり、軸方向に筒状に形成される本体部841と、径方向に形成されるフランジ部842と、そのフランジ部842より形成される取付面タブ843より構成される。本体部841の外周面の軸方向端部とフランジ部842とからなる根元部は、鋭角に曲がり、プレス加工時にR部が形成される。
図8(e)に示されるように、タブ平面出し工程材850は、台座である第3ジグ893と上方より押圧する第2ジグ892とによって、プレス加工される。この際、第2ジグ892は、取付面タブ843を押圧する。
図8(f)に示されるように、こうした工程により、筒状部410、フランジ420、タブ430を有するハウジング400が製造される。
通常、ロール材810は、圧延材であり、圧延方向及び圧延方向に対して所定の角度(例えば、45°方向又は90°方向)の方向で性質が異なる(異方性がある)ことが知られている。この異方性の現象は、曲げ加工後のスプリングバック量にも影響を及ぼす。
このため、図8(e)に示されたタブ平面出し工程材850は、すべてのタブを同じ条件でプレス加工しても、図8(f)に示されたハウジング400(最終形状)は、スプリングバック量が異なり、ハウジング400の筒状部410の真円度にも影響を及ぼす。
また、図8(c)に示された絞り材830は、真円度が良い第1ジグ891を使用し、本体部841を形成しても、本体部841が第1ジグ891から離形される際に、圧延材の異方性により、スプリングバック量の差で真円度は悪くなる。また、トリミング材840、タブ平面出し工程材850を経ることで、真円度はさらに悪くなる。
図9(a)~図9(f)は、本実施例に係るハウジング400の製造方法の第1工程~第6工程を示す説明図である。なお、図9(b)~図9(f)には上図と下図とがあるが、上図は平面図であり、下図は断面図である。また、図9(a)~図9(d)に示される第1工程~第4工程は、図8(a)~図8(d)に示される第1工程~第4工程と同様の工程であるため、その説明を省略する。
図9(e)に示されるように、タブ平面出し工程材850は、台座である第3ジグ893と上方より押圧する第2ジグ892とによって、プレス成形加工され、平面出しされる。この際、第2ジグ892は、フランジ部842を押圧し、第2ジグ892は、略等ピッチで、フランジ部842を押圧する。また、この押圧の際に、ハウジングに凹部が形成され、同時にハウジングに凸部が形成される。
つまり、本体部841の外周面の軸方向端部とフランジ部842とからなる根元部のR部に、凹部が形成される。この凹部は、圧延材の異方性によるスプリングバック量の差に起因する変形を矯正し、真円度の悪化を抑制することができる。
凹部が、軸方向に伸びて形成させるのではなく、周方向に伸びて形成されるため、スプリングバック量の差に起因する変形を局所的に矯正するのではないため、真円度の悪化を抑制する十分な効果が得られる。凹部を周方向に伸びて形成することで、全体的に矯正することができ、良好な真円度を維持することができる。
図9(f)に示されるように、こうした工程により、筒状部410、フランジ420、タブ430を有する良好な真円度を有するハウジング400が製造される。
特に、自動車用回転電機は、高出力化に伴い大型化が進み、嵌合するステータの保持力が大きくなると共に、ハウジングへの必要強度も高くなり、高張力鋼板を選択する機会が増えている。普通鋼板より高張力鋼板の方が、スプリングバック量が大きく、スプリングバックによる真円度の悪化の影響は大きいと考えられるため、本方法によるスプリングバックの抑制は有効である。
これにより、圧延材の異方性によるスプリングバック量の差に起因する変形を矯正することができ、真円度の良くハウジングを提供することができる。
なお、タブのある面を平面出しすることは、タブの平面度を確保する上で必要であるが、真円度を良くするためには、略等ピッチにプレス成形加工をすることが望ましく、タブが無いフランジもプレス成形加工することが望ましい。これにより、ハウジングは、タブの平面度を確保すると共に、真円度の良い形状を確保することができる。
これにより、絞り加工の難しい板厚が厚いハウジングであっても、真円度が良いハウジングを使用することで、ステータに発生する面圧を均一にし、信頼性が高い回転電機を提供することができる。
ハウジングの真円度は、ステータの真円度にも影響を及ぼし、磁気音の増加にも影響する。加えて、ステータの真円度に基づいたロータとステータとのエアギャップを考慮する必要があるため、本実施例では、不必要なエアギャップを設定する必要がなく、良好なモータ特性を有する回転電機を提供できる。
図10は、別の実施例に係るハウジング400の部分外観斜視図である。
ハウジング400には、フランジ420及びタブ430が形成されており、ハウジング400の外周面の軸方向端部には、周方向に断続的に略等ピッチで凹部451が形成される。
つまり、凹部451は、タブ430が形成されるフランジ420に、周方向に断続的に形成される。
本実施例によれば、真円度を向上させたハウジングを提供することができ、ステータに発生する面圧の部分的な増大を抑制することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
100 回転電機
200 ロータ
300 ステータ
400 ハウジング
410 筒状部
420 フランジ
430 タブ
450 凹部
460 凸部

Claims (8)

  1. ロータと、ステータと、前記ステータを外周側から固定する筒状のハウジングと、を有し、
    前記ハウジングは、外周面の軸方向端部に、外周方向に伸長したフランジを有し、
    前記ハウジングの外周面の軸方向端部と前記フランジとからなる根元部に、周方向に伸長する凹部を有し、
    前記ハウジングの内周部であって、前記凹部が形成される反対面に凸部を有することを特徴とする回転電機。
  2. 前記フランジに形成される複数のタブを有し、
    前記凹部は、前記タブが形成される前記根元部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記凹部は、前記タブが形成される前記根元部及び前記タブが形成されない前記根元部に形成されることを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
  4. 前記凹部は、前記根元部の周方向に複数個所断続的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  5. 前記凹部は、前記タブが形成される前記根元部に、周方向に断続的に、形成されることを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
  6. 前記凸部は、前記ステータと前記ハウジングとの接地面から離れて形成されることを特徴とする請求項に記載の回転電機。
  7. 前記凹部及び前記凸部は、前記ハウジングの周方向に対して、略等ピッチに形成されることを特徴とする請求項に記載の回転電機。
  8. ステータを外周側から固定する筒状のハウジングであって、
    前記ハウジングは、平板よりプレス加工又は絞り加工によって形成され、外周面の軸方向端部に、外周方向に伸長したフランジを有し、
    前記ハウジングの外周面の軸方向端部と前記フランジとからなる根元部に、周方向に伸長する複数の凹部を有し、
    前記ハウジングの内周部であって、前記凹部が形成される反対面に凸部を有することを特徴とするハウジングを有するステータ。
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