JP7057683B2 - 導電性繊維及び導電性繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、導電性繊維及び、導電性繊維の製造方法に関するものである。
スマートテキスタイルまたはe-テキスタイルとは、導電機能を有する繊維や織物を含み、ウェアラブルエレクトロニクスに不可欠なキーデバイスである。例えば、導電性繊維を用いた衣服を着用することで、心拍数や心電波形などのバイタルデータをリアルタイムに計測する衣服、圧電並びに導電性繊維からなる組紐を用いて脈拍や歩数をモニターする圧電ファブリック、さらに生地に電気回路を直接編み込み、外部電源によって温めるニットヒーターや車の座席を加熱するシートヒーターなどが開発されている。これらの導電性繊維では、導電性材料として、例えば銀や銅、エナメルといった金属、カーボンナノチューブなどの無機材料に加え、導電性高分子材料などを用いる。これらの各種導電性材料を混練、紡糸、メッキ、含浸等の手法により繊維に含めることで導電性繊維を作製している。特に、スマートテキスタイルとして重要な素材は、軽量でフレキシブル、安価な導電性マイクロファイバーである。
一方、導電性高分子材料としては、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等に代表されるπ共役系高分子に、電子受容性化合物をドーパントとしてドープした材料が開発されたことにより、例えば、帯電防止剤、コンデンサの固体電解質、導電性塗料、電磁波シールド、エレクトロクロミック素子、電極材料、熱電変換材料、透明導電膜、化学センサー、アクチュエーター等への応用が検討されている。これらの中でも、化学的安定性の面からポリチオフェン系導電性高分子材料が実用上有用である。
ポリチオフェン系導電性高分子材料を用いた導電性繊維の作製方法としては、例えば、特許文献1,2に開示された方法がある。特許文献1では、ドーパントとなるポリスチレンスルホン酸(PSS)の水溶液中で、3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を重合させることで得られるPEDOT/PSS水分散体溶液と界面活性剤および/またはアルコールを含む混合溶液を用意し、混合溶液中の溶媒を脱溶媒する脱溶媒液中に押し出すことにより、導電性高分子繊維を製造している。特許文献2では、ドーパントが添加された共役系導電性高分子材料であるポリ3,4エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)の繊維を、エチレングリコール及び/又は非プロトン性溶媒を含む導電性向上剤中に所定時間浸漬することにより、繊維の導電特性並びに機械的特性を改善している。
特許第4756547号 特許第5256454号
特許文献1のようにPEDOT/PSSを用いた導電性繊維は、1~10S/cm程度の低い導電率であるという課題がある。また、特許文献2で示されている導電性繊維の導電率は平均で200S/cmと改善されているが、導電性繊維を導電性向上剤中に所定時間浸漬する工程が必須であるため、生産性が低いという課題がある。
そこで、本発明の目的は、特定の自己ドープ型導電性高分子を用いて20S/cm以上の高導電性を有する導電性繊維を提供することと、導電性繊維を導電性向上剤中に浸漬する工程を施すことなく、高導電性を有する導電性繊維を製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本願発明で特定される高い導電性を有する特定の自己ドープ型導電性高分子を用いて得た導電性繊維によって、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下に示すとおりの導電性繊維と、この導電性繊維の製造方法に関するものである。
[1] 下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含む自己ドープ型のポリチオフェン(A)を含み、X線回折ピークを100面と020面に有することを特徴とする導電性繊維。
Figure 0007057683000001
上記一般式(1)において、Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アミン化合物の共役酸、又は第4級アンモニウムカチオンを表す。上記一般式(1),(2)において、Rは水素原子、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは1~10の整数を表し、nは0又は1を表す。
[2] 前記導電性繊維の導電率が20S/cm以上であることを特徴とする、[1]に記載の導電性繊維。
[3] ポリチオフェン(A)に加え、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエステル、及び水溶性ポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶性樹脂(B)を0.001~10質量%含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載の導電性繊維。
[4] [1]乃至[3]のいずれか1つに記載の導電性繊維を製造する方法であって、上述したポリチオフェン(A)及び溶媒を含む紡糸液を凝固液中に吐出することを特徴とする、導電性繊維の製造方法。
本発明によれば、自己ドープ型のポリチオフェン(A)を用いて、高導電性を有する導電性繊維を提供することができる。また、ポリチオフェン(A)及び溶媒を含む紡糸液を凝固液中に吐出するだけで、高導電性を有する導電性繊維を製造でき、導電性向上剤中に浸漬する等の追加工程が不要となる。このため、導電性に優れた導電性繊維の量産性を向上することができる。また、この導電性繊維は、従来の導電性繊維では困難な高い導電性を有しているため、ウェアラブルエレクトロニクス、アクチュエーター、センサー等といった幅広い用途での使用が期待できる。
実施例1~5で湿式紡糸したマイクロファイバーのSEM写真である。濃度(wt%)は、用いたポリチオフェン(A-1)水溶液におけるポリチオフェン(A-1)の濃度を表す。 実施例7で測定したポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーの二次元回折像を表す。 ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーの2θ-I(強度)プロファイルを表す。 ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーのβ-I(強度)プロファイルを表す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性繊維は、下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含む自己ドープ型のポリチオフェン(A)を含み、X線回折ピークを100面と020面に有することを特徴とする。
Figure 0007057683000002
上記一般式(1)において、Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アミン化合物の共役酸、又は第4級アンモニウムカチオンを表す。上記一般式(1),(2)において、Rは、水素原子、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を表す。また、mは1~10の整数を表し、nは0又は1を表す。
アルカリ金属イオンとしては、例えば、Liイオン、Naイオン、Kイオンが好ましい。
アミン化合物の共役酸は、アミン化合物にヒドロン(H)が付加してカチオン種になったものを示す。
第4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラノルマルプロピルアンモニウムカチオン、テトラノルマルブチルアンモニウムカチオン、テトラノルマルヘキシルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。入手の観点から、好ましくは、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオンを用いることができる。
炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-へキシル基、2-エチルブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。
については、水素原子、メチル基、エチル基、又はフッ素原子であることが好ましい。
mは、1~10の整数であるが、好ましくは、1~4の整数であり、より好ましくは2である。
nは0又は1であるが、好ましくは、0である。
上記一般式(2)で表される構造単位は、上記一般式(1)で表される構造単位のドーピング状態を表す。
ドーピングにより絶縁体-金属転移を引き起こすドーパントは、アクセプタとドナーに分けられる。アクセプタは、ドーピングにより導電性ポリマーの高分子鎖の近くに入り、主鎖の共役系からπ電子を奪う。結果として、主鎖上に正電荷(正孔、ホール)が注入されるため、p型ドーパントとも呼ばれる。また、ドナーは、アクセプタとは逆に主鎖の共役系に電子を与えることにより、この電子が主鎖の共役系を動くことになるため、n型ドーパントとも呼ばれる。
本発明におけるドーパントは、ポリマー分子内に共有結合で結びついたスルホ基又はスルホナート基であり、p型ドーパントである。このように外部からドーパントを添加することなく導電性を発現するポリマーは、自己ドープ型ポリマーと呼ばれている。
本発明におけるポリチオフェン(A)は、下記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーを、水又はアルコール溶媒中、酸化剤の存在下で重合させることにより製造することができる。
Figure 0007057683000003
上記一般式(3)において、R、m、nは上記一般式(1)と同じ定義である。Mは、アルカリ金属イオンを表わす。
上記一般式(3)におけるアルカリ金属イオンMとしては、特に限定するものではないが、Liイオン、Naイオン、及びKイオン等が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーはアルカリ金属イオンMを含むため、このチオフェンモノマーを重合した後のポリマー(ポリチオフェン)は、金属塩となる。必要に応じて、金属塩のポリマーを酸処理することで、アルカリ金属イオンMを水素イオンへ変換可能である。さらに、水素イオンに変換されたポリマーをアミン化合物又は第4級アンモニウムと反応させることで、水素イオンをアミン化合物の共役酸又は第4級アンモニウムカチオンへ変換可能である。
上記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーとしては、具体的には、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロパンスルホン酸カリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-エチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロピル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ペンチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ヘキシル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソプロピル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソブチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソペンチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸カリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸アンモニウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸トリエチルアンモニウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブタンスルホン酸カリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-ブタンスルホン酸カリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-ブタンスルホン酸カリウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸ナトリウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸リチウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸カリウム、8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸、8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸ナトリウム、及び8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸カリウム等が例示される。
上記一般式(1)において、Mであるアミン化合物の共役酸を得るためには、スルホン酸基と反応して共役酸を形成するアミン化合物を用いればよい。このアミン化合物としては、例えば、sp3混成軌道を有するN(Rで表されるアミン化合物(共役酸としては[NH(Rで表される。)、又はsp2混成軌道を有するピリジン類化合物、イミダゾール類化合物等がある。
3つの置換基Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は置換基を有する炭素数1~6のアルキル基を表す。
炭素数1~6のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-へキシル基、2-エチルブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有する炭素数1~6のアルキル基において、この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、アミノ基、又はヒドロキシ基が挙げられる。置換基を有する炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、トリフルオロメチル基、2-ヒドロキシエチル基等が例示される。
3つの置換基Rとしては、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基が好ましい。
N(Rで表されるアミン化合物としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ノルマルブチルアミン、tert-ブチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン化合物(例えば、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン)、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-メチルアミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジアミン等がある。また、N(Rで表されるアミン化合物以外の化合物としては、イミダゾール類化合物(例えば、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール)や、ピリジン類としてのピリジンピコリン、ルチジン等が例示される。これらのうち、好ましくは、エタノールアミン化合物、イミダゾール類化合物が挙げられる。
本発明において導電性繊維の導電率(電気伝導度)は、特に限定するものではないが、ポリチオフェン(A)を含む溶液をフィルム状態に成膜したときの導電率(電気伝導度)としては、10S/cm以上であることが好ましい。
本発明の導電性繊維では、自己ドープ型のポリチオフェン(A)を用いているため、二次ドーパントによる導電性向上剤に浸漬する工程といった追加工程を施す必要はない。すなわち、エチレングリコール及び/又はジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性溶媒を含む導電性向上剤中に繊維を所定時間だけ浸漬して、導電性繊維の導電特性を向上させる工程を省略することができる。そのため、導電性繊維の製造工程の短縮化が図れる。
本発明の導電性繊維については、繊維の機械特性を調整する目的で、水溶性樹脂(B)を含有していることが好ましい。
本発明において、水溶性樹脂(B)としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ(N-ビニルアセトアミド)、水溶性ポリエステル、及び水溶性ポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエステル、及び水溶性ポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。なおこれらの水溶性樹脂(B)については、金属量の低減の観点から、顆粒状、膜状の陽イオン交換樹脂、ゼータ電位を利用した金属除去フィルター処理を行ったものを用いることが好ましい。
水溶性樹脂(B)の分子量Mwは、水溶性樹脂(B)の水溶性が良好であれば特に制限されないが、好ましくは1千~200万、より好ましくは1千~150万、更に好ましくは1千~25万、更に好ましくは1千~5万の範囲である。
本発明の導電性繊維が水溶性樹脂(B)を含む場合、水溶性樹脂(B)を0.001~10質量%含むことが好ましい。ここで、ポリチオフェン(A)は、50質量%以上含有することが好ましい。
本発明の導電性繊維については、繊維自体の機能向上、生産性向上、品質向上等の観点から、界面活性剤やアルコールなどを含んでいることが好ましい。
ここで、界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤等が使用できる。より好ましくは非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
非イオン界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレングリコール型界面活性剤、アセチレングリコール型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、高分子型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
ポリエチレングリコール型界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、又はポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
アセチレングリコール型界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、サーフィノール(エアプロダクツ社製)、オルフィン(日信化学工業社製)等が挙げられる。
多価アルコール型界面活性剤としては、例えば、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、高アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
高分子型非イオン界面活性剤としては、特に限定するものではないが、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンの共重合体等が挙げられる。本発明に使用されるポリビニルピロリドンの平均分子量は1千~200万であり、好ましくは1万~150万である。ポリビニルピロリドンの共重合体としては、特に限定するものではないが、親水性部と疎水性部をポリマー鎖中に併せ持つものが好ましく、例えば、ポリビニルピロリドンをポリビニルアルコールにグラフトしたコポリマーや、[ビニルピロリドン-酢酸ビニル]ブロック共重合体、[ビニルピロリドン-メチルメタクリレート]共重合体、[ビニルピロリドン-ノルマルブチルメタクリレート]共重合体、[ビニルピロリドン-アクリルアミド]共重合体などが例示できる。
両性界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。ベタイン型両性界面活性剤としては、特に限定するものではないが、例えば、アルキルジメチルベタイン、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有するものであれば特に限定されないが、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、又はパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基含有ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、又はシリコーン変性アクリル化合物などが挙げられる。
導電性繊維に含ませるアルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、1価のアルコール(エタノール等)、2価のアルコール、3価のアルコール、及び糖アルコールからなる群より選択される少なくとも一種のアルコールが挙げられる。
2価のアルコールとしては、特に限定するものではないが、入手の観点から、エチレングリコールが好ましい。3価のアルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、グリセロールが好ましい。
本発明の導電性繊維は、ポリチオフェン(A)及び溶媒を含む紡糸液を凝固液中に吐出することによって製造することができる。
紡糸液の溶媒としては、ポリチオフェン(A)を溶解するものであることが好ましく、特に限定するものではないが、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、又はギ酸等が挙げられる。
凝固液としては、紡糸液に用いた溶媒より極性の低い溶媒又は溶液を用いることが好ましく、特に限定するものではないが、例えば、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチルエステル、アセトン、又はアセトニトリル等が挙げられる。
また、紡糸液については、特に限定するものではないが、例えば、本発明のポリチオフェン(A)の水溶液又は固体と、上述した溶媒を混合して溶解することによって調製することができる。
なお、紡糸液については、導電性繊維の樹脂物性や機能性を改善させる目的で、水溶性樹脂(B)、界面活性剤、またはアルコール等を添加させて混合することが好ましい。水溶性樹脂(B)、界面活性剤、またはアルコール等を添加する方法や添加の順序については、特に限定されるものではなく、任意の順で添加することができる。
ここで、紡糸液を調製する際の温度は、特に限定するものではないが、例えば、冷却後の温度、室温、又は加温後の温度とすることができ、0℃以上100℃以下が好ましい。
紡糸液を調製する際の雰囲気は、特に限定するものではないが、大気中でも、不活性ガス中でもよい。
紡糸液のpHは、特に限定するものではないが、例えば、10以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましい。さらに、紡糸液のpHは、1.5以上9.5以下の範囲が好ましく、1.5以上9以下の範囲内がより好ましい。ここで、pHを調整する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、紡糸液にアミン化合物(C)を添加する方法を挙げることができる。
アミン化合物(C)としては、特に限定するものではないが、例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、ノルマル-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ノルマルブチルアミン、ターシャリーブチルアミン、ヘキシルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-メチルアミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジアミン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、1、2-ジメチルイミダゾール、ピリジン、ピコリン、又はルチジン等が挙げられる。アミン化合物を添加する際には、ニートでも水溶液でもよい。
紡糸液を調製する方法は、特に限定するものではないが、スターラーチップ、攪拌羽根等による一般的な混合溶解操作に加えて、超音波照射、ホモジナイズ処理(例えば、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等の使用)を行うことが好ましい。ホモジナイズ処理を行う場合には、ポリチオフェン(A)の熱劣化を防ぐため、紡糸液を除熱又は冷却しながら行うことが好ましい。
紡糸液の濃度調整は、配合比で調整してもよいし、配合後に濃縮により調整してもよい。濃縮の方法は、減圧下に溶媒を留去する方法であっても、限外ろ過膜を利用する方法であってもよい。
本発明における紡糸液の粘度(20℃)は、特に限定するものではないが、200mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以下であることがより好ましく、50mPa・s以下であることがさらに好ましい。
紡糸液を凝固液中に吐出する方法としては、特に限定されないが、例えば、紡糸液をシリンダーに充填し、マイクロシリンジポンプを用いてノズルから紡糸液を押し出す方法を挙げることができる。押し出された紡糸液は、凝固溶媒中で凝固し、その結果、ファイバー状の固体(即ち本発明の導電性繊維)が生成する。当該導電性繊維については、特に限定するものではないが、例えば濾過などの方法によって回収することができるし、さらに脱溶媒や乾燥によって、有機溶媒の含有量が少ない導電性繊維を得ることができる。
合成例1
ポリチオフェン(A-1)[下記式(5)及び下記式(6)で表される構造単位を含む重合体]の合成.
500mlセパラブルフラスコに、従来公知の製造方法に準じて合成した3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム10g(30mmol)と、水150gを加えた。水への溶解後、室温下において、無水塩化鉄(III)2.94g(18.1mmol)をセパラブルフラスコに加えて20分攪拌した。次いで、反応液温度30℃以下を保持しながら、過硫酸ナトリウム14.5g(60.4mmol)と水100gからなる混合溶液をセパラブルフラスコ内に滴下した。滴下が完了した後、室温で3時間攪拌した後、反応液を800gのアセトンに滴下させ、黒色のNa型のポリマーを析出させた。ポリマーを濾過して真空で乾燥することで、18.0gの3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウムの粗ポリマーを得た。
次に、この粗ポリマー14.5gに水を加えて2質量%溶液に調製した水溶液700gを、陽イオン交換樹脂Lewatit MonoPlus S100(H型)200mlを充填したカラムに通液(空間速度=1.1)することにより、H型のポリマー水溶液を738g得た。更に、本ポリマー水溶液をクロスフロー式限外ろ過(ろ過器=ビバフロー200、分画分子量=5,000、透過倍率=5)により精製することにより、下記式(5)及び式(6)で表される構造単位を含む重合体の濃群青色水溶液を698g合成した。本ポリマー(ポリチオフェン(A-1))水溶液に含まれるポリマーの含有量は0.74質量%であった。
Figure 0007057683000004
実施例1 ポリチオフェン(A)を含む導電性繊維(マイクロファイバー)の作製
ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーは次のように作製した。合成例1で得られたポリチオフェン(A-1)について限外ろ過膜を用いて濃度調整し、1wt%の水溶液(紡糸液)とした。当該紡糸液をシリンダーに充填し、マイクロシリンジポンプを用いて直径350μmのノズルから、凝固液であるアセトニトリル(Fisher scientific)中に0.364μl/minの速度で紡糸液を押し出した。その後、凝固物をアセトニトリル中から取り出すことで、ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーを得た。その後、得られたポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーについて、真空低温乾燥機(DRV220DA,ADVANTEC)を用いて真空中200℃、1時間熱処理を行った。
真空加熱処理したポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーの直径(d)を電子走査型顕微鏡(JSM-6510, JEOL)を用いて測定した。引き続き、真空加熱処理したポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーの抵抗値(R)を四端子法を用いて測定した。具体的には、熱処理したワイヤラップタイプICソケットのマイクロファイバーにテスターのプローブを隣り合う2本のピンに差し込み、接触の確認をする。そのうち隣り合う4本のピンにポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーが掛かり、抵抗を示しているピンを確認した後、ジャックプラグと繋げた銅線をハンダ付けしたICソケットをピンに差し込み、最後に、デジタルマルチメータ(Model2700,Keithley)を用いて抵抗値(R)を測定した。工具顕微鏡(TM-500,ミツトヨ)を用いて中央2本のピンの電極間距離(l)を測定した。求めた直径(d)と電極間距離(l)、抵抗値(R)を用い、電気伝導度(σ)を算出した。算出結果を下記表1に示した。また、図1には、実施例1におけるポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーのSEM写真を示す。
実施例2
実施例1において、濃度1wt%の紡糸液の代わりに、濃度1.5wt%の紡糸液を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーを得、その電気伝導度(σ)を算出した。算出結果を下記表1に示した。また、図1には、実施例2におけるポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーのSEM写真を示す。
実施例3
実施例1において、濃度1wt%の紡糸液の代わりに、濃度2wt%の紡糸液を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーを得、その電気伝導度(σ)を算出した。算出結果を下記表1に示した。また、図1には、実施例3におけるポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーのSEM写真を示す。
実施例4
実施例1において、濃度1wt%の紡糸液の代わりに、濃度2.5wt%の紡糸液を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーを得、その電気伝導度(σ)を算出した。算出結果を下記表1に示した。また、図1には、実施例4におけるポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーのSEM写真を示す。
実施例5
実施例1において、濃度1wt%の紡糸液の代わりに、濃度3wt%の紡糸液を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーを得、その電気伝導度(σ)を算出した。算出結果を下記表1に示した。また、図1には、実施例5におけるポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーのSEM写真を示す。
Figure 0007057683000005
実施例6 応力‐歪測定
実施例2で作製した1.5wt%のポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーについて、直径(d)を測定し、これを引張試験のサンプル幅とした。次いで引張試験機(EZ-TEST,島津製作所)で歪を加えていき、その応力を測定した。さらに解析ソフト(TrapeziumX)を使用し、ヤング率、切断強度、切断伸度を算出した。引張試験機におけるチャック間距離および歪速度は、それぞれ20mmおよび2mm/minとした。本測定は、サンプルが延伸により破断するまで行った。また、切断伸度(%)は、もとのサンプルの長さに対する伸びの比率(%)として表しており、例えば、切断伸度100%は、サンプルが元の長さの2倍まで伸びて破断したことを意味する。ヤング率、切断強度及び切断伸度の算出結果を下記表2に示した。
比較例1 応力-歪測定
実施例2において、ポリチオフェン(A-1)の代わりにPEDOT:PSSを用いた以外は実施例2と同様に操作して、PEDOT:PSSのマイクロファイバーを作製した。次いで、得られたPEDOT:PSSマイクロファイバーについて、実施例6と同様の操作を行い、ヤング率、切断強度、切断伸度を算出した。これらの算出結果を下記表2に示した。
Figure 0007057683000006
ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーは、PEDOT:PSSマイクロファイバーに比べて、切断強度が約2倍高く、強度特性に優れることがわかった。このように湿式紡糸により作製したポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーは優れた電気・力学特性を有することが明らかとなった。
実施例7 X線回折
実施例2で作製したポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーのX線回折を湾曲イメージングプレートシステム(Rigaku Co.Ltd.RINT RAPID-CMF)で調べた。照射条件を以下に示す。フィルムとしてイメージングプレートを使用し装置制御ソフトウェア(RINT RAPID control softwave)で操作した。撮影後、汎用2次元データ処理ソフトウェア(2DP)で画像解析を行い、配向係数πを算出した。図2に示すように、ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーは赤道方向にアーク状の回折を示すことから、湿式紡糸における高分子鎖の配向を示唆する。図3に示すように、ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーにおける2θ-I(強度)のプロファイルより、5°と24°にそれぞれポリチオフェン(A-1)結晶の100面と020面からの回折ピークが確認された。さらに図4に示すように、β-I(強度)のプロファイルにおいて、ポリチオフェン(A-1)マイクロファイバーの回折ピークがデバイ環方向の角度βに対してピークを持つことから、繊維軸方向に沿ってポリチオフェン(A-1)の分子鎖が配向していることがわかった。半値幅から算出した配向係数πは72%に達した。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含む自己ドープ型のポリチオフェン(A)と溶媒を含有する紡糸液を紡糸してなる導電性繊維であって、X線回折ピークを100面と020面に有することを特徴とする導電性繊維。
    Figure 0007057683000007
    [上記一般式(1)において、Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アミン化合物の共役酸、又は第4級アンモニウムカチオンを表す。上記一般式(1),(2)において、Rは水素原子、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは1~10の整数を表し、nは0又は1を表す。]
  2. 前記導電性繊維の導電率が20S/cm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性繊維。
  3. 前記ポリチオフェン(A)に加え、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエステル、及び水溶性ポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶性樹脂(B)を0.001~10質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性繊維。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の導電性繊維を製造する方法であって、
    前記ポリチオフェン(A)及び溶媒を含む紡糸液を凝固液中に吐出することを特徴とする、導電性繊維の製造方法。
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