JP7052997B2 - 安定化剤、飲料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、安定化剤、飲料およびその製造方法に関する。
近年、高齢化に伴う加齢、疾病、食事からの栄養摂取量の不足等により、高齢者のフレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉量および筋力の減少)が問題視されている。また、骨折等により回復期リハビリテーション病院等に入院した患者の多くが低栄養状態にあることが報告されており、このような患者がリハビリを行い、在宅に復帰するためには、リハビリ量(活動量)に応じた栄養補給が必要であることが報告されている。
このような高齢者や患者の課題は、栄養補給を行うことが重要であるが、同時に、筋肉量や筋力量を効率的に増やすことで日常生活動作(ADL)を改善することも重要である。栄養補給を行うための製品としては、蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル等を含む栄養剤が知られているが(例えば、特許文献1参照)、筋肉量や筋力量を効率よく増やすためには、良質の蛋白質を配合した栄養剤を摂取するのが有効である。
このような栄養剤として、例えば、乳蛋白質(カゼインを主体)を含む中性の液体経口栄養剤や乳清蛋白質を含む酸性のゼリー状経口栄養剤が市販されている。前述のように筋肉量や筋力量を効率よく増やすためには、栄養剤中の乳清蛋白質の割合を高めることが有効である。しかし、一般的な乳清蛋白質は熱によって変性し易く、加熱殺菌を必要とする中性の液体栄養剤に多量に配合することは困難である。
一方、近年、耐熱性に優れた乳清蛋白質が市販されている(例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製シンプレス100、フォンテラ社製WPC550等)。
特許3393946号公報
上述したような耐熱性に優れた乳清蛋白質を使用すれば、乳清蛋白質の割合を高めた中性の液体経口栄養剤を調製することができる。しかしながら、これらは乳清蛋白質を熱により凝集させ、細かく砕いたものであるので、水には溶解せずに分散するのみであり、沈殿が生じるという問題点がある。そのため、従来技術では、乳清蛋白質の沈殿を抑制し、かつ乳清蛋白質の割合を高めた中性の液体経口栄養剤を提供することは困難であった。
したがって本発明は、乳清蛋白質の沈殿を抑制し、かつ乳清蛋白質の割合を高めた飲料を調製可能な、加熱により不溶化した乳清蛋白質の飲料中の分散を安定化させる安定化剤を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、セルロースを有効成分とするとともに、キサンタンガムの含有量を特定量以下に抑制した安定化剤を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の通りである。
1.セルロースを有効成分とし、かつ、キサンタンガムの含有量が5%(w/w)以下である、加熱により不溶化した乳清蛋白質の飲料中の分散を安定化させる安定化剤。
2.前記セルロースが結晶セルロースである、前記1に記載の安定化剤。
3.さらにカルボキシメチルセルロースを含む、前記2に記載の安定化剤。
4.加熱により不溶化した乳清蛋白質と、前記1~3のいずれか1に記載の安定化剤とを含有する、液体飲料。
5.25℃における粘度が、5~50mPa・sである、前記4に記載の液体飲料。
6.さらにカゼインを含む、前記4または5に記載の液体飲料。
7.前記乳清蛋白質と前記カゼインとの質量比が、前者:後者として、2:8~5:5である、前記6に記載の液体飲料。
8.乳清蛋白質および前記1~3のいずれか1に記載の安定化剤を含有する水性液体を加熱殺菌する工程を含む、液体飲料の製造方法。
本発明の安定化剤は、セルロースを有効成分とし、かつ、キサンタンガムの含有量が5%(w/w)以下であることにより、乳清蛋白質の沈殿を抑制し、かつ従来と比較して乳清蛋白質の割合を向上させた飲料を調製可能であり、加熱により不溶化した乳清蛋白質の飲料中の分散を安定化させることができる。また、当該飲料は、あっさりと飲みやすく、該飲料を摂取した場合、血漿中のアミノ酸濃度および筋肉中の蛋白質合成を維持することができる。
図1は、蛋白質とアミノ酸のみで構成され、且つ、栄養剤中の乳清蛋白質量の異なる3種類の栄養剤を投与し、筋肉中(脛骨筋)の蛋白質合成速度(FSR)を調べた結果を示す図である。MP(カゼイン:乳清=9:1)、WH(カゼイン:乳清=0:10)、MP+WH(カゼイン:乳清=6:4)で構成され、各栄養剤をラット(8週齢)に15ml/kg体重で経口投与し、1時間、2時間、4時間後に解剖し、右後肢の脛骨筋を採取し、筋肉中の蛋白質合成速度(FSR)を求めた結果である。投与後1時間ですべての栄養剤においてFSRの有意な上昇が認められた。2時間後にはMP+WH群のみFSRが有意に高値、4時間後にはMP群のみ有意に高値であった。コントロール群と各群の比較はDunnett’ testにより、**はp<0.01、*はp<0.05で有意差があることを示す。各時間毎の群間比較はTukey’s testによりa、b間でp<0.05で有意差があることを示す。
以下、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
(安定化剤)
まず、本発明の安定化剤について説明する。本発明の安定化剤は、セルロースを有効成分とし、かつ、キサンタンガムの含有量が5%(w/w)以下であることを特徴とする。本発明の安定化剤は、加熱により不溶化した乳清蛋白質の飲料中の分散を安定化させることができる。
セルロースとしては、例えば、結晶セルロース、微小繊維状セルロース、発酵セルロースおよびセルロース誘導体等が挙げられる。結晶セルロースは、セルロースを含有する天然由来の繊維原料の結晶部分を取り出し、精製したものであり、発酵セルロースは、セルロース生産菌が生産するセルロースであり、いずれも公知である。
セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシエチルセルロース並びにこれらの塩類等が挙げられる。
本発明の安定化剤におけるセルロースの含有量は、30%(w/w)以上が好ましく、40%(w/w)以上がより好ましく、50%(w/w)以上がさらに好ましい。セルロースの含有量を50%(w/w)以上とすることにより、乳清蛋白質の沈殿を抑制する効果を向上することができる。
本発明の安定化剤に使用されるセルロースとしては、乳清蛋白質の沈殿を一層抑制するという観点から、結晶セルロースが好ましい。結晶セルロースの平均粒子径は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましく、10μm以下が最も好ましい。結晶セルロースの粒子径は、レーザー回折法による直接的な計測によって求めることができる。
なお本発明の安定化剤における発酵セルロースの含有量は、5%(w/w)以下が好ましく、3%(w/w)以下がより好ましい。発酵セルロースの含有量を上記記載の量で加えることにより、乳清蛋白質の沈殿を抑制する効果の悪化を防ぐことができる。
本発明の安定化剤におけるキサンタンガムの含有量は、5%(w/w)以下である。キサンタンガムの含有量が5%(w/w)を超えると、乳清蛋白質の沈殿を抑制する効果が悪化する。本発明の安定化剤におけるキサンタンガムの含有量は、5%(w/w)以下が好ましく、3%(w/w)以下がより好ましい。
また本発明の安定化剤の一態様として、乳清蛋白質の沈殿を一層抑制するという観点から、結晶セルロースとセルロース誘導体とを併用する形態が好ましく、セルロース誘導体としてカルボキシメチルセルロースを使用するのがより好ましい。この形態において、本発明の安定化剤におけるカルボキシメチルセルロースの含有量は、好ましくは15%(w/w)以下であり、10%(w/w)以下がより好ましい。
また、本発明の安定化剤は、カラギーナンの含有量が、10%(w/w)以下であることが好ましく、5%(w/w)以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。特に、本発明の安定化剤は、κカラギーナンの含有量が10%(w/w)以下であることが好ましく、5%(w/w)以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
(飲料)
次に、本発明の飲料について説明する。本発明の飲料は、加熱により不溶化した乳清蛋白質と、前記本発明の安定化剤とを含有する。本発明の飲料は、加熱により不溶化した乳清蛋白質と、前記本発明の安定化剤とを含有するため、乳清蛋白質の沈殿が抑制され、かつ乳清蛋白質の割合が従来と比較して高められた飲料となり得る。
乳清蛋白質としては、公知のものを適宜選択することができ、特に制限されない。例えば、牛乳または脱脂乳等から公知の方法により分離された乳清蛋白質、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質単離物(WPI)、またはこれらの混合物が挙げられる。
本発明の飲料における乳清蛋白質は、後述の製造方法の加熱工程での加熱により不溶化するか、あるいは予め熱により不溶化した乳清蛋白質を用いることもできる。不溶化した乳清蛋白質の平均粒径は、1%水溶液に溶解した状態において、通常100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。
また、乳清蛋白質としては市販されているものを使用することができる。例えば、熱安定性は向上しているものの、熱処理されているため飲料中で不溶化する乳清蛋白質として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製シンプレス100、フォンテラ社製WPC515、WPC550等が挙げられる。
本発明の飲料において、乳清蛋白質と本発明の安定化剤との割合は、乳清蛋白質の沈殿を一層抑制するという観点から、前者:後者(質量比)として、好ましくは95:5~75:25であり、より好ましくは90:10~80:20である。また、本発明の飲料において、乳清蛋白質の割合は、好ましくは20~50%(w/w)であり、より好ましくは30~40%(w/w)である。
本発明の飲料は、25℃における粘度が、好ましくは5~50mPa・sであり、より好ましくは5~30mPa・sである。この粘度範囲によれば、本発明の飲料は常温で液体である。本発明の飲料が常温で液体である形態では、本発明の安定化剤の効果が一層向上し、乳清蛋白質の沈殿をさらに抑制し、かつ乳清蛋白質の割合を高めることが可能となる。
本発明の飲料の一態様として、さらにカゼインを含むことができる。この形態では、飲料の栄養価が高まるとともに、乳清蛋白質の沈殿が抑制される。本発明の飲料において、乳清蛋白質とカゼインとの質量比は、前者:後者として、好ましくは2:8~5:5であり、より好ましくは3:7~4:6である。この形態では、良質の蛋白質源を摂取することができ、かつ血中のアミノ酸を長時間にわたり維持することが可能となる。
本発明の飲料には、前記各成分に加えて、所望により公知の各種添加剤成分を配合することができる。該成分としては、例えば、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、アミノ酸およびペプチドまたはその誘導体等が挙げられる。
脂質としては、例えば、必須脂肪酸源としての長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)を挙げることができる。LCTとしては、例えば、大豆油、綿実油、サフラワー油、コーン油、米油、ヤシ油、シソ油、ゴマ油およびアマニ油などの植物油;イワシ油およびタラ肝油などの魚油;ガマ油などが挙げられる。また、他の脂質としては、例えば、炭素数が8~10である中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を挙げることができる。
炭水化物としては、例えば、グルコースおよびフラクトースなどの単糖類;マルトース、蔗糖および乳糖などの二糖類;キシリトール、ソルビトール、グリセリンおよびエリスリトールなどの糖アルコール類;デキストリンおよびシクロデキストリンなどの多糖類;フラクトオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖類などが挙げられる。
ビタミンとしては、水溶性および脂溶性の各種ビタミン類、例えば、ビタミンA(レチノール類)、ビタミンB(チアミン)、ビタミンB(リボフラビン)、ビタミンB(ピリドキシン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ビタミンD(例えば、コレカルシフェロールなど)、ビタミンE(トコフェロール)、ナイアシン、ビスベンチアミン、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、葉酸、ビオチンおよび重酒石酸コリンなどが挙げられる。
ミネラル(電解質および微量元素)としては、例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、シッフカルシウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、グリセロリン酸カルシウム、卵殻カルシウム、牛骨粉、ミルクカルシウム、クエン酸鉄、ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸亜鉛、ヨウ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、亜鉛、マンガン、銅、ヨウ素およびコバルトなどが挙げられる。
アミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびバリンの3種のアミノ酸(BACC)を含むことが好ましく、さらにこれに加えて他のアミノ酸を含むことができる。他のアミノ酸としては、例えば、シトルリン、グルタミン、オルニチン、アルギニン、システインおよびシスチン等が挙げられる。
ペプチドまたはその誘導体としては、例えば、グルタチオン、カルノシンおよびアンセリン等が挙げられる。
本発明の飲料中の前記各成分の含有量としては、具体的には例えば、脂質が好ましくは1~3%(w/w)、炭水化物が好ましくは15~20%(w/w)、ビタミンが好ましくは0.005~0.1%(w/w)、ミネラルが好ましくは0.01~0.4%(w/w)、蛋白質(アミノ酸含む)が好ましくは5~15%(w/w)である。
また本発明の飲料には、乳化剤、天然甘味料(炭水化物を除く)、合成甘味料などの甘味料、天然香料、合成香料などの着香料、着色料、風味物質(例えば、コーヒーエキス、抹茶粉末、カカオエキスなど)、保存料、天然果汁または天然果肉等も配合できる。
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル類やショ糖脂肪酸エステル類等が挙げられる。グリセリン脂肪酸エステル類としては、この種食品分野で乳化剤として利用されることの知られている各種のもの、例えば、高純度モノグリセライド、高純度ジグリセリンモノ脂肪酸エステルまたはポリグリセリンエステルなどに分類される各種のものが挙げられる。
天然甘味料としては、例えば、ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドAなど)およびグリチルリチンなどが挙げられる。合成甘味剤としては、例えば、スクラロース、サッカリンおよびアスパルテームなどが挙げられる。
天然香料、合成香料などの着香料としては、例えば、コーヒーフレーバー、抹茶フレーバー、バナナフレーバー、マンゴーフレーバー、ピーチフレーバー、アップルフレーバー、オレンジフレーバー、グレープフルーツフレーバーおよびレモンフレーバーなどが挙げられる。
着色料としては、例えば、赤色2号、赤色3号、緑色3号、青色1号、青色2号、黄色4号、黄色5号、赤キャベツ色素、オレンジ色素、クチナシ色素、クロロフィル、シソ色素、トマト色素およびベニバナ色素などが挙げられる。
風味物質としては、例えば、コーヒーエキス、抹茶粉末、カカオエキスなどが挙げられる。
保存料としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA・2Na)、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、安息香酸、エゴノギ抽出物、カワラヨモギ抽出物、ヒノキチオール抽出物、ペクチン分解物、ホオノギ抽出物およびレンギョウ抽出物などが挙げられる。
天然果汁または天然果肉としては、例えば、リンゴ、青リンゴ、オレンジ、ミカン、グレープフルーツ、モモ、イチゴ、マスカット、ブドウ、パインアップル、レモン、洋ナシ、ライチ、ブルーベリー、マンゴーおよびバナナの果汁または果肉などが挙げられる。
(飲料の製造方法)
次に、本発明の飲料の製造方法について説明する。本発明の飲料の製造方法は、乳清蛋白質および前記本発明の安定化剤を含有する水性液体を加熱する工程を含む。
本発明の飲料の製造方法としては、具体的には例えば、乳清蛋白質および前記本発明の安定化剤、並びに必要に応じて前記各種添加成分を水に溶解ないし分散させ、缶、ペットボトル、ビン、紙パックまたはパウチ等の容器に充填後、公知の方法に従って殺菌処理を兼ねた加熱を行う方法が挙げられる。なお、殺菌処理条件としては、公知のレトルト殺菌条件、高温短時間殺菌条件等を適用することができる。
本発明の飲料の製造方法によれば、乳清蛋白質の沈殿が抑制され、かつ乳清蛋白質の割合が高められ、なおかつ長期保存が可能な飲料を提供することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
実施例1
(安定化剤1の調製)
以下の配合割合を有する安定化剤1を用意した。
結晶セルロース:58.4%(w/w)
キサンタンガム:2.24%(w/w)
カルボキシメチルセルロース:4.0%(w/w)
グリセリン脂肪酸エステル:12.4%(w/w)
カゼインNa:0.8%(w/w)
リン酸二ナトリウム:0.1%(w/w)
食品素材(デキストリン):22.06%(w/w)
なお、安定化剤1は、太陽化学株式会社から市販されている商品名サンソフトスーパーV-228としても入手可能である。
(飲料1の調製)
乳清蛋白質(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製シンプレス100)を3.1g、総合乳蛋白質(日本新薬株式会社製ミルカMCI80)を7.7g、前記安定化剤1を飲料全体に対し0.5%(w/w)となるように、水125mlに溶解ないし分散させ、アルミ製の容器に充填し、128℃で2分間の加熱殺菌を行い、飲料1を得た。なお、飲料1において乳清蛋白質とカゼインとの質量比は、前者:後者として、4:6である。また、飲料1の25℃での粘度は、26mPa・sであった。
得られた飲料1を40℃にて4日間または60℃にて4日間放置し、液体部分を除いたもの(沈殿)の重量を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、以下の配合割合を有する安定化剤2を使用し、安定化剤2を飲料全体に対し0.4%(w/w)となるように配合したこと以外は、実施例1を繰り返し、飲料2を製造した。飲料2の25℃での粘度は、46mPa・sであった。結果を表1に示す。
安定化剤2
微結晶セルロース:52.3%(w/w)
発酵セルロース:2.5%(w/w)
カルボキシメチルセルロース:7.8%(w/w)
キサンタンガム:2.6%(w/w)
ジェランガム:5%(w/w)
ブドウ糖:23.4%(w/w)
デキストリン:6.3%(w/w)
食品油脂:0.1%(w/w)
なお、安定化剤2は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社から市販されている商品名ホモゲンNO.7521Pとしても入手可能である。
比較例1
実施例1において、安定化剤3として、k-カラギーナン(三晶株式会社製K-100-J)を使用し、安定化剤3を飲料全体に対し0.04%(w/w)となるように配合したこと以外は、実施例1を繰り返し、飲料3を製造した。飲料3の25℃での粘度は、22mPa・sであった。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、以下の配合割合を有する安定化剤4を使用し、安定化剤4を飲料全体に対し0.3%(w/w)となるように配合したこと以外は、実施例1を繰り返し、飲料4を製造した。飲料4の25℃での粘度は、26mPa・sであった。結果を表1に示す。
安定化剤4
発酵セルロース:18.3%(w/w)
カルボキシメチルセルロース:6.2%(w/w)
キサンタンガム:12.1%(w/w)
デキストリン:63.4%(w/w)
なお、安定化剤4は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社から市販されている商品名サンアーティストPNとしても入手可能である。
比較例3
実施例1において、安定化剤5として、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチンを含む、ユニテックフーズ株式会社製Unet XD-21を飲料全体に対し0.1%(w/w)となるように配合したこと以外は、実施例1を繰り返し、飲料5を製造した。飲料5は23℃でゲル状であった。結果を表1に示す。
参考例1
実施例1において、安定化剤1を使用しなかったこと以外は、実施例1を繰り返し、飲料6を製造した。飲料6の25℃での粘度は、10mPa・sであった。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、以下の配合割合を有する安定化剤6を使用し、安定化剤6を飲料全体に対し0.4%(w/w)となるように配合したこと以外は、実施例1を繰り返し、飲料6を製造した。飲料6の23℃での粘度は、48mPa・sであった。結果を表1に示す。
安定化剤6
発酵セルロース:20%(w/w)
カルボキシメチルセルロース:6.7%(w/w)
グアーガム:6.7%(w/w)
食品素材:66.6%(w/w)
なお、安定化剤6は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社から市販されている商品名サンアーティストPGとしても入手可能である。
Figure 0007052997000001
表1に示すように、セルロースを有効成分とし、かつ、キサンタンガムの含有量が5%(w/w)以下である安定化剤1~2は、乳清蛋白質の沈殿が抑制されつつ、乳清蛋白質の割合を高めた飲料1~2を調製可能であることがわかった。
これに対し、安定化剤3は、カラギーナンを主成分とするものであるので、乳清蛋白質の沈殿を抑制できなかった。また、安定化剤4は、キサンタンガムの配合量が本発明における規定の上限を超えているので、乳清蛋白質の沈殿を抑制できなかった。
また、安定化剤5は、セルロースを有効成分とするものではないので、乳清蛋白質の沈殿を抑制できなかった。安定化剤6は、発酵セルロースを20%(w/w)含有しているので、沈殿量がやや増加した。
参考例2
乳清蛋白質を含有する以下の表2の組成からなる飲料を製造した。
Figure 0007052997000002
参考例3
栄養剤中の乳清蛋白質の割合を高めることが、筋肉量や筋力量を効率よく増やすためには有効であることを示すために、表3に示す蛋白質とアミノ酸のみで構成され、且つ、乳清蛋白質量の異なる3種類の蛋白質栄養剤を作成し、これらの栄養剤をラットに投与した際の筋蛋白質(脛骨筋)の合成速度を比較した。
Figure 0007052997000003
試験は、MP(カゼイン:乳清=9:1)、WH(カゼイン:乳清=0:10)、MP+WH(カゼイン:乳清=6:4)で構成される、表3に示す3種類の栄養剤をラット(8週齢)に15ml/kg体重で経口投与し、1時間、2時間、4時間後に解剖し、右後肢の脛骨筋を採取し、筋肉中の蛋白質合成速度(FSR)を求めた。結果を図1に示す。
図1に示すように、投与後1時間ですべての試験物質においてFSRの有意な上昇が認められた。2時間後にはMP+WH群のみFSRが有意に高値、4時間後にはMP群のみ有意に高値であった。この結果より、栄養剤中の乳清蛋白質の割合を高めることにより、筋肉中の蛋白質合成速度が持続することが示唆された。

Claims (7)

  1. セルロースを有効成分とし、かつ、キサンタンガムの含有量が5%(w/w)以下である、加熱により不溶化した乳清蛋白質の飲料中の分散を安定化させる安定化剤であって、
    前記セルロースは、結晶セルロースおよび発酵セルロースを含み、
    前記安定化剤中、前記結晶セルロースの含有量が30%(w/w)以上であり、かつ前記発酵セルロースの含有量が5%(w/w)以下である、
    安定化剤。
  2. さらにカルボキシメチルセルロースを含む、請求項に記載の安定化剤。
  3. 加熱により不溶化した乳清蛋白質と、請求項1または2に記載の安定化剤とを含有する、飲料。
  4. 25℃における粘度が、5~50mPa・sである、請求項に記載の飲料。
  5. さらにカゼインを含む、請求項またはに記載の飲料。
  6. 前記乳清蛋白質と前記カゼインとの質量比が、前者:後者として、2:8~5:5である、請求項に記載の飲料。
  7. 乳清蛋白質および請求項1または2に記載の安定化剤を含有する水性液体を加熱する工程を含む、飲料の製造方法。
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