発明の詳細な説明
定義
「ハロゲン」又は「ハロ」は、F、Cl、Br又はIを指す。加えて、例えば、「ハロアルキル」という用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むように意味する。
「アルキル」という用語は、飽和の直鎖又は分岐鎖で一価の炭化水素基を指し、ここで、アルキル基は、場合により置換されていてもよい。一例において、アルキル基は、1~18個の炭素原子(C1~C18)である。他の例では、アルキル基は、C0~C6、C0~C5、C0~C3、C1~C12、C1~C10、C1~C8、C1~C6、C1~C5、C1~C4又はC1~C3である。C0アルキルは、結合を指す。アルキル基の例は、メチル(Me、-CH3)、エチル(Et、-CH2CH3)、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CH2CH2CH3)、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH3)2)、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CH2CH2CH2CH3)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CH2CH(CH3)2)、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH3)CH2CH3)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH3)3)、1-ペンチル(n-ペンチル、-CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペンチル(-CH(CH2CH3)2)、2-メチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH2CH3)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH3)CH(CH3)2)、3-メチル-1-ブチル(-CH2CH2CH(CH3)2)、2-メチル-1-ブチル(-CH2CH(CH3)CH2CH3)、1-へキシル(-CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2-へキシル(-CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3-へキシル(-CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH3)2CH2CH2CH3)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH3)(CH2CH3)2)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH3)C(CH3)3、1-ヘプチル及び1-オクチルを含む。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているアルキル」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルのうちの1~4個の例を含み、ここで、それらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1~4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位(即ち、炭素-炭素二重結合)を有する直鎖又は分枝鎖で一価の炭化水素基を指し、ここで、アルケニル基は、場合により置換されていてもよく、「cis」及び「trans」配向、又は代替的に「E」及び「Z」配向を有する基を含む。一例において、アルケニル基は、2~18個の炭素原子(C2~C18)である。他の例では、アルケニル基は、C2~C12、C2~C10、C2~C8、C2~C6又はC2~C3である。例は、これらに限定されるものではないが、エテニル(即ち、ビニル(-CH=CH2))、プロパ-1-エニル(-CH=CHCH3)、プロパ-2-エニル(-CH2CH=CH2)、2-メチルプロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ブタ-2-エニル、ブタ-3-エニル、ブタ-1,3-ジエニル、2-メチルブタ-1,3-ジエン、ヘキサ-1-エニル、ヘキサ-2-エニル、ヘキサ-3-エニル、ヘキサ-4-エニル及びヘキサ-1,3-ジエニルを含む。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているアルケニル」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルのうちの1~4個の例を含み、ここで、それらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1~4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和部位(即ち、炭素-炭素三重結合)を有する直鎖又は分枝鎖で一価の炭化水素基を指し、ここで、アルキニル基は、場合により置換されていてもよい。一例において、アルキニル基は、2~18個の炭素原子(C2~C18)である。他の例では、アルキニル基は、C2~C12、C2~C10、C2~C8、C2~C6又はC2~C3である。例は、これらに限定されるものではないが、エチニル(-C≡CH)、プロパ-1-イニル(-C≡CCH3)、プロパ-2-イニル(プロパルギル、-CH2C≡CH)、ブタ-1-イニル、ブタ-2-イニル及びブタ-3-イニルを含む。幾つかの実施態様では「場合により置換されているアルキニル」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルのうちの1~4個の例を含み、ここで、それらアルキル、フェニル及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1~4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。
「アルキレン」は、親アルカンの同じか又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を除去することにより得られる2つの一価の基中心を有する飽和で分岐鎖又は直鎖の炭化水素基を指す。一例において、二価のアルキレン基は、1~18個の炭素原子(C2~C18)である。他の例では、二価のアルキレン基は、C0~C6、C0~C5、C0~C3、C1~C12、C1~C10、C1~C8、C1~C6、C1~C5、C1~C4又はC1~C3である。基C0アルキレンは、結合を指す。アルキレン基の例は、メチレン(-CH2-)、1,1-エチル(-CH(CH3)-)、1,2-エチル(-CH2CH2-)、1,1-プロピル(-CH(CH2CH3)-)、2,2-プロピル(-C(CH3)2-)、1,2-プロピル(-CH(CH3)CH2-)、1,3-プロピル(-CH2CH2CH2-)、1,1-ジメチルエタ-1,2-イル(-C(CH3)2CH2-)、1,4-ブチル(-CH2CH2CH2CH2-)等を含む。
「アルコキシ」という用語は、式-OR(式中、Rは、本明細書中で定義されるとおりのアルキルである)により表わされる直鎖又は分枝鎖で一価の基を指す。
「チオアルキル」という用語は、式-SR(式中、Rは、本明細書中で定義されるとおりのアルキルである)により表わされる直鎖又は分枝鎖で一価の基を指す。
「アミノ」は、第一級(即ち、-NH2)、第二級(即ち、-NRH)、第三級(即ち、-NRR)及び第四級(即ち、-N(+)RRR)アミンを指し、これらは、場合により置換されていることができ、ここで、各Rは、同じか又は異なり、アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルから選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリル基は、本明細書中で定義されるとおりである。特定の第二級及び第三級アミンは、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン及びジアラルキルアミンであり、ここで、アルキル及びアリール部分は、場合により置換されていることができる。特定の第二級及び第三級アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジイソプロピルアミンである。幾つかの実施態様では、第四級アミンのR基は、それぞれ独立して、場合により置換されているアルキル基である。
「アリール」は、1つ以上の基に縮合しているか否かにかかわらず、指定された数の炭素原子を有するか、又は数が指定されない場合、14個までの炭素原子を有する、炭素環式芳香族基を指す。一例は、6~14個の炭素原子を有するアリール基を含む。別の例は、6~10個の炭素原子を有するアリール基を含む。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタセニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル、1H-インデニル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル等を含む(例えば、Lang’s Handbook of Chemistry (Dean, J. A., ed.) 13th ed. Table 7-2 [1985]を参照のこと)。特定のアリールは、フェニルである。置換されているフェニル又は置換されているアリールは、例えば、本明細書中で特定された基(「場合により置換されている」の定義を参照のこと)(例えば、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル、ピペリジニル及びピリミジニル)から選択される、1、2、3、4又は5つの置換基(例えば、1~2個、1~3個又は1~4個の置換基)で置換されているフェニル基又はアリール基を意味し、ここで、それらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1~4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。「置換されているフェニル」という用語の例は、モノ-又はジ(ハロ)フェニル基、例えば、2-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、4-クロロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3-クロロフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、3,4-ジブロモフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、2-フルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル等;モノ-又はジ(ヒドロキシ)フェニル基、例えば、4-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、2,4-ジヒドロキシフェニル、それらの保護されているヒドロキシ誘導体等;ニトロフェニル基、例えば、3-又は4-ニトロフェニル;シアノフェニル基、例えば、4-シアノフェニル;モノ-又はジ(アルキル)フェニル基、例えば、4-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2-メチルフェニル、4-(イソプロピル)フェニル、4-エチルフェニル、3-(n-プロピル)フェニル等;モノ-又はジ(アルコキシ)フェニル基、例えば、3,4-ジメトキシフェニル、3-メトキシ-4-ベンジルオキシフェニル、3-エトキシフェニル、4-(イソプロポキシ)フェニル、4-(t-ブトキシ)フェニル、3-エトキシ-4-メトキシフェニル等;3-又は4-トリフルオロメチルフェニル;4-カルボキシフェニルのようなモノ-若しくはジカルボキシフェニル又は(保護されているカルボキシ)フェニル基、3-(保護されているヒドロキシメチル)フェニル又は3,4-ジ(ヒドロキシメチル)フェニル等のモノ-若しくはジ(ヒドロキシメチル)フェニル又は(保護されているヒドロキシメチル)フェニル;モノ-若しくはジ(アミノメチル)フェニル又は(保護されているアミノメチル)フェニル、例えば、2-(アミノメチル)フェニル又は2,4-(保護されているアミノメチル)フェニル;或いは、モノ-又はジ(N-(メチルスルホニルアミノ))フェニル、例えば、3-(N-メチルスルホニルアミノ))フェニルを含む。また、「置換されているフェニル」という用語は、二置換されているフェニル基(ここで、置換基は異なる)(例えば、3-メチル-4-ヒドロキシフェニル、3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル、2-メトキシ-4-ブロモフェニル、4-エチル-2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシ-4-ニトロフェニル、2-ヒドロキシ-4-クロロフェニル、2-クロロ-5-ジフルオロメトキシ等)、並びに三置換されているフェニル基(ここで、置換基は異なる)(例えば、3-メトキシ-4-ベンジルオキシ-6-メチルスルホニルアミノ、3-メトキシ-4-ベンジルオキシ-6-フェニルスルホニルアミノ)及び四置換されているフェニル基(ここで、置換基は異なる)(例えば、3-メトキシ-4-ベンジルオキシ-5-メチル-6-フェニルスルホニルアミノ)を表わす。幾つかの実施態様では、アリール(例えば、フェニル)の置換基は、アミドを含む。例えば、アリール(例えば、フェニル)置換基は、-(CH2)0-4CONR’R’’(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;置換されていないC1~C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6アルキル;置換されていないC1~C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6ヘテロアルキル;置換されていないC6~C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC6~C10アリール;置換されていない3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指すか、又は、R’及びR’’は、窒素原子と組み合わさって、3-、4-、5-、6-又は7-員環を形成することができ、ここで、環原子は、N、O又はSで場合により置換されており、ここで、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により場合により置換されている)であってもよい。
「シクロアルキル」は、非芳香族で、飽和又は部分的に不飽和の炭化水素環基を指し、シクロアルキル基は、独立して、本明細書中で記載された1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい。一例において、シクロアルキル基は、3~12個の炭素原子(C3~C12)である。他の例では、シクロアルキルは、C3~C8、C3~C10又はC5~C10である。他の例では、単環としてのシクロアルキル基は、C3~C8、C3~C6又はC5~C6である。別の例では、二環としてのシクロアルキル基は、C7~C12である。別の例では、スピロ系としてのシクロアルキル基は、C5~C12である。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロへキシル、過重水素化されているシクロへキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルを含む。7~12個の環原子を有する二環式シクロアルキルの例示的な配置は、限定されるものではないが、[4,4]、[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]の環系を含む。例示的な架橋二環式シクロアルキルは、限定されるものではないが、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンを含む。スピロシクロアルキルの例は、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン及びスピロ[4.5]デカンを含む。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているシクロアルキル」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル、ピペリジニル及びピリミジニルのうちの1~4個の例を含み、それらのアルキル、アリール及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1~4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているシクロアルキル」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルのうちの1~4個の例を含み、ここで、それらのアルキル、アリール及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1~4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、シクロアルキルの置換基は、アミドを含む。例えば、シクロアルキル置換基は、-(CH2)0-4CONR’R’’(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;置換されていないC1~C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6アルキル;置換されていないC1~C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6ヘテロアルキル;置換されていないC6~C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ又はNR’R’’により置換されているC6~C10アリール;置換されていない3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指すか、又は、R’及びR’’は、窒素原子と組み合わさって、3-、4-、5-、6-又は7-員環を形成することができ、ここで、環原子は、N、O又はSで場合により置換されており、ここで、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’で場合により置換されている)であってもよい。
「グアニジン」又は「グアニジニル」は、基-NH-C(NH)-NHR(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリル基は、本明細書中で定義されるとおりである)を意味する。特定のグアニジンは、基-NH-C(NH)-NH2である。
「複素環基」、「複素環式」、「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロ」は互換可能に使用され、3~20個の環原子を有する、任意の単環式、二環式、三環式又はスピロであり、飽和又は不飽和の芳香族(ヘテロアリール)又は非芳香族(例えば、ヘテロシクロアルキル)の環系を指し、ここで、環原子は、炭素であり、環又は環系における少なくとも1つの原子は、窒素、イオウ又は酸素から選択されるヘテロ原子である。環系の任意の環原子がヘテロ原子である場合、その系は、分子の残部に対する環系の結合点にかかわらず複素環である。一例において、ヘテロシクリルは、3~11個の環原子(「員」)を含み、単環、二環、三環及びスピロ環系を含み、ここで、環原子は、炭素であり、環又は環系における少なくとも1つの原子は、窒素、イオウ又は酸素から選択されるヘテロ原子である。一例において、ヘテロシクリルは、1~4個のヘテロ原子を含む。一例において、ヘテロシクリルは、1~3個のヘテロ原子を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、イオウ又は酸素から選択される1~2個、1~3個又は1~4個のヘテロ原子を有する3~7員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、イオウ又は酸素から選択される1~2個、1~3個又は1~4個のヘテロ原子を有する4~6員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、3員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、4員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、5~6員の単環(例えば、5~6員のヘテロアリール)を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、3~11員のヘテロシクロアルキル(例えば、4~11員のヘテロシクロアルキル)を含む。幾つかの実施態様では、ヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つの窒素を含む。一例において、ヘテロシクリル基は、0~3個の二重結合を含む。任意の窒素又はイオウのヘテロ原子は、場合により酸化(例えば、NO、SO、SO2)されていてもよく、任意の窒素のヘテロ原子は、場合により四級化(例えば、[NR4]+Cl-、[NR4]+OH-)されていてもよい。複素環の例は、オキシラニル、アジリジニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2-ジチエタニル、1,3-ジチエタニル、ピロリジニル、ジヒドロ-1H-ピロリル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ヘキサヒドロチオピラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、オキサジナニル、チアジナニル、チオキサニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、オキサゼパニル、ジアゼパニル、1,4-ジアゼパニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、チアゼパニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,1-ジオキソイソチアゾリジノニル、オキサゾリジノニル、イミダゾリジノニル、4,5,6,7-テトラヒドロ[2H]インダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[d]イミダゾリル、1,6-ジヒドロイミダゾール[4,5-d]ピロロ[2,3-b]ピリジニル、チアジニル、オキサジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、チアピラニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジチアニル、ジチオラニル、ピリミジノニル、ピリミジンジオニル、ピリミジン-2,4-ジオニル、ピペラジノニル、ピペラジンジオニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、2-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2-アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、8-アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザスピロ[3.5]ノナニル、アザスピロ[2.5]オクタニル、アザスピロ[4.5]デカニル、1-アザスピロ[4.5]デカン-2-オニル(1-azaspiro[4.5]decan-2-only)、アザスピロ[5.5]ウンデカニル、テトラヒドロインドリル、オクタヒドロインドリル、テトラヒドロイソインドリル、テトラヒドロインダゾリル、1,1-ジオキソヘキサヒドロチオピラニルである。イオウ原子又は酸素原子、及び1~3個の窒素原子を含有する5員の複素環の例は、チアゾリル(チアゾール-2-イル及びチアゾール-2-イル N-オキシドを含む)、チアジアゾリル(1,3,4-チアジアゾール-5-イル及び1,2,4-チアジアゾール-5-イルを含む)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール-2-イル)、並びにオキサジアゾリル(例えば、1,3,4-オキサジアゾール-5-イル及び1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)である。2~4個の窒素原子を含有する5員環の複素環の例は、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-2-イル);トリアゾリル(例えば、1,3,4-トリアゾール-5-イル;1,2,3-トリアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル)、及びテトラゾリル(例えば、1H-テトラゾール-5-イル)を含む。ベンゾ-縮合された5員の複素環の例は、ベンゾオキサゾール-2-イル、ベンゾチアゾール-2-イル及びベンゾイミダゾール-2-イルである。1~3個の窒素原子、及び場合によりイオウ原子又は酸素原子を含有する6員の複素環の例は、例えば、ピリジル(例えば、ピリダ-2-イル、ピリダ-3-イル及びピリダ-4-イル);ピリミジル(例えば、ピリミダ-2-イル及びピリミダ-4-イル);トリアジニル(例えば、1,3,4-トリアジン-2-イル及び1,3,5-トリアジン-4-イル);ピリダジニル(特に、ピリダジン-3-イル)、並びにピラジニルである。ピリジン N-オキシド及びピリダジン N-オキシド、並びにピリジル、ピリミダ-2-イル、ピリミダ-4-イル、ピリダジニル及び1,3,4-トリアジン-2-イル基は、他の例の複素環基である。複素環は、場合により置換されていてもよい。例えば、「場合により置換されている複素環」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル、ピペリジニル及びピリミジニルのうちの1~4個の例を含み、ここで、それらのアルキル、アリール及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1~4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、複素環基(例えば、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル)の置換基は、アミドを含む。例えば、複素環式(例えば、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル)置換基は、-(CH2)0-4CONR’R’’(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;置換されていないC1~C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6アルキル;置換されていないC1~C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6ヘテロアルキル;置換されていないC6~C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ又はNR’R’’により置換されているC6~C10アリール;置換されていない3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);及びハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を意味するか;或いは、R’及びR’’は、窒素原子と組み合わさって、3-、4-、5-、6-又は7-員の環を形成することができ、ここで、環原子は、N、O又はSで場合により置換されており、ここで、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’で場合により置換されている)であってもよい。
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環が窒素、酸素及びイオウから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する、5-又は6-員の芳香族環であり、例示的な実施態様では、少なくとも1つのヘテロ原子が窒素である、任意の単環、二環又は三環系を意味する。例えば、Lang’s Handbook of Chemistry (Dean, J. A., ed.) 13th ed. Table 7-2 [1985] を参照のこと。上記ヘテロアリール環のいずれかがアリール環に縮合している、任意の二環式基が定義に含まれ、ここで、アリール環又はヘテロアリール環は、分子の残部に結合している。一実施態様において、ヘテロアリールは、1つ以上の環原子が窒素、イオウ又は酸素である5~6員の単環式芳香族基を含む。ヘテロアリール基の例は、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニル、イミダゾール[1,2-a]ピリミジニル及びプリニル、並びにベンゾ-縮合誘導体(例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びインドリル)を含む。ヘテロアリール基は、場合により置換されていることができる。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているヘテロアリール」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル、ピペリジニル及びピリミジニルのうちの1~4個の例を含み、ここで、それらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1~4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、ヘテロアリールの置換基は、アミドを含む。例えば、ヘテロアリール置換基は、-(CH2)0-4CONR’R’’(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;置換されていないC1~C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6アルキル;置換されていないC1~C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6ヘテロアルキル;置換されていないC6~C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ又はNR’R’’により置換されているC6~C10アリール;置換されていない3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);及びハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を意味するか;或いは、R’及びR’’は、窒素原子と組み合わさって、3-、4-、5-、6-又は7-員の環を形成することができ、ここで、環原子は、N、O又はSで場合により置換されており、ここで、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’で場合により置換されている)であってもよい。
特定の実施態様では、ヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基の炭素原子において結合している。一例として、炭素に結合するヘテロシクリル基は、ピリジン環の2、3、4、5若しくは6位、ピリダジン環の3、4、5若しくは6位、ピリミジン環の2、4、5若しくは6位、ピラジン環の2、3、5若しくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール若しくはテトラヒドロピロール環の2、3、4若しくは5位、オキサゾール、イミダゾール若しくはチアゾール環の2、4若しくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール若しくはイソチアゾール環の3、4若しくは5位、アジリジン環の2若しくは3位、アゼチジン環の2、3若しくは4位、キノリン環の2、3、4、5、6、7若しくは8位、又はイソキノリン環の1、3、4、5、6、7若しくは8位の結合配置を含む。
ある実施態様では、ヘテロシクリル基は、N-結合している。一例として、窒素に結合するヘテロシクリル又はヘテロアリール基は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの1位、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾール又はβ-カルボリンの9位における結合配置を含む。
「アルコキシ」という用語は、式-OR(式中、Rは、本明細書中で定義されるアルキルである)により表わされる、直鎖又は分岐鎖で一価の基を指す。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、モノ-、ジ-及びトリフルオロメトキシ、並びにシクロプロポキシを含む。
「アシル」は、式-C(O)-R(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、ここで、アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは、本明細書中で定義されるとおりである)により表わされるカルボニル含有置換基を意味する。アシル基は、アルカノイル(例えば、アセチル)、アロイル(例えば、ベンゾイル)及びヘテロアロイル(例えば、ピリジノイル)を含む。
「場合により置換されている」は、そうではないと具体化されない限り、基が置換されていなくてもよいし、その基について列記された1つ以上(例えば、0、1、2、3、4若しくは5個以上、又は本明細書中において導き出すことができる任意の範囲)の置換基(該置換基は、同じであってもよいし、異なっていてもよい)により置換されていてもよいことを意味する。実施態様において、場合により置換されている基は、1つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、2つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、3つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、4つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、5つの置換基を有する。
単独又は別の置換基(例えば、アルコキシ)の一部としてのアルキル基、並びにそれぞれ単独又は別の置換基の一部としてのアルキレニル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキルについての任意の置換基は、各種の基(例えば、本明細書中に記載されたもの、並びにハロゲン;オキソ;CN;NO;N3;-OR’;パーフルオロ-C1~C4アルコキシ;置換されていないC3~C7シクロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC3~C7シクロアルキル;置換されていないC6~C10アリール(例えば、フェニル);ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ又はNR’R’’により置換されているC6~C10アリール;置換されていない3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);-NR’R’’;-SR’;-SiR’R’’R’’’;-OC(O)R’;-C(O)R’;-CO2R’;-CONR’R’’;-OC(O)NR’R’’;-NR’’C(O)R’;-NR’’’C(O)NR’R’’;-NR’’C(O)2R’;-S(O)2R’;-S(O)2NR’R’’;-NR’S(O)2R’’;-NR’’’S(O)2NR’R’’;アミジニル;グアニジニル;-(CH2)1-4-OR’;-(CH2)1-4-NR’R’’;-(CH2)1-4-SR’;-(CH2)1-4-SiR’R’’R’’’;-(CH2)1-4-OC(O)R’;-(CH2)1-4-C(O)R’;-(CH2)1-4-CO2R’;及び-(CH2)1-4CONR’R’’、又は、0から(2m’+1)(式中、m’は、このような基における炭素原子の総数である)までの範囲の数でのそれらの組み合わせからなる群より選択されるもの)であることができる。R’、R’’及びR’’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;置換されていないC1~C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6アルキル;置換されていないC1~C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6ヘテロアルキル;置換されていないC6~C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ又はNR’R’’により置換されているC6~C10アリール;置換されていない3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指す。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは、窒素原子と組み合わさって、3-、4-、5-、6-又は7-員環を形成することができ、ここで、環原子は、N、O又はSで場合により置換されており、ここで、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’で場合により置換されている。例えば、-NR’R’’は、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことを意味する。
同様に、アリール基及びヘテロアリール基についての場合による置換基は多様である。幾つかの実施態様では、アリール基及びヘテロアリール基についての置換基は、ハロゲン;CN;NO;N3;-OR’;パーフルオロ-C1~C4アルコキシ;置換されていないC3~C7シクロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC3~C7シクロアルキル;置換されていないC6~C10アリール(例えば、フェニル);ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ又はNR’R’’により置換されているC6~C10アリール;置換されていない3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);-NR’R’’;-SR’;-SiR’R’’R’’’;-OC(O)R’;-C(O)R’;-CO2R’;-CONR’R’’;-OC(O)NR’R’’;-NR’’C(O)R’;-NR’’’C(O)NR’R’’;-NR’’C(O)2R’;-S(O)2R’;-S(O)2NR’R’’;-NR’S(O)2R’’;-NR’’’S(O)2NR’R’’;アミジニル;グアニジニル;-(CH2)1-4-OR’;-(CH2)1-4-NR’R’’;-(CH2)1-4-SR’;-(CH2)1-4-SiR’R’’R’’’;-(CH2)1-4-OC(O)R’;-(CH2)1-4-C(O)R’;-(CH2)1-4-CO2R’;及び-(CH2)1-4CONR’R’’、又は、0から(2m’+1)(式中、m’は、このような基における炭素原子の総数である)までの範囲の数でのそれらの組み合わせからなる群より選択される。R’、R’’及びR’’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;置換されていないC1~C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6アルキル;置換されていないC1~C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1~C6ヘテロアルキル;置換されていないC6~C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ又はNR’R’’により置換されているC6~C10アリール;置換されていない3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル);並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3~11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する4~11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を指す。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは、窒素原子と組み合わさって、3-、4-、5-、6-又は7-員環を形成することができ、ここで、環原子は、N、O又はSで場合により置換されており、ここで、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1~C6アルキル、置換されていないC1~C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’で場合により置換されている。例えば、-NR’R’’は、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことを意味する。
「オキソ」という用語は、=O又は(=O)2を指す。
本明細書中で使用する場合、化学構造における結合と交差する波線
は、該化学構造において波状結合が接続されている原子の、分子の残部への又は分子の断片の残部への結合点を示す。幾つかの実施態様では、アスタリスクと一緒の矢印が、結合点を示すために波線のように用いられる。
ある実施態様では、二価の基は、具体的な結合配置なしで、一般的に記載される。一般的な記載は、そうではないと特定されない限り、両方の結合配置を含むことを意味すると理解される。例えば、基R1-R2-R3において、基R2が-CH2C(O)-と記載されている場合、この基は、そうではないと特定されない限り、R1-CH2C(O)-R3としてもR1-C(O)CH2-R3としても結合することができると理解される。
語句「薬学的に許容し得る」とは、必要に応じて、動物(例えば、ヒト等)に投与した場合に副作用、アレルギー反応又は他の有害反応を生じさせない分子全体及び組成物を指す。
本発明の化合物は、塩(例えば、薬学的に許容し得る塩)の形態であってもよい。「薬学的に許容し得る塩」は、酸及び塩基付加塩の両方を含む。「薬学的に許容し得る酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持しており、かつ、生物学的に又はその他の点で非所望ではない、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等)、及び有機酸(脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸のクラスの有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等)から選択されてもよい)と形成される塩を意味する。
「薬学的に許容し得る塩基付加塩」は、無機塩基(例えば、ナトリウムの、カリウムの、リチウムの、アンモニウムの、カルシウムの、マグネシウムの、鉄の、亜鉛の、銅の、マンガンの、アルミニウムの塩等)から得られるものを含む。特定の塩基付加塩は、アンモニウムの、カリウムの、ナトリウムの、カルシウムの及びマグネシウムの塩である。薬学的に許容し得る有機の非毒性の塩基から得られる塩は、一級、二級及び三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、並びに塩基性イオン交換樹脂(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール、トロメタミン、ジシクロへキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等)の塩を含む。特定の有機の非毒性の塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トロメタミン、ジシクロへキシルアミン、コリン及びカフェインを含む。
幾つかの実施態様では、塩は、塩酸塩、臭化水素塩、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、重硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、マロン酸塩、キシナホ酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、ニコチン酸塩、サッカリン酸塩、アジピン酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、パルミチン酸塩、L-乳酸塩、D-乳酸塩、アスパラギン酸塩、リンゴ酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、ステアリン酸塩、フロ酸塩(例えば、2-フロ酸塩又は3-フロ酸塩)、ナパジシル酸塩(ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩又はナフタレン-1-(スルホン酸)-5-スルホン酸塩)、エジシル酸塩(エタン-1,2-ジスルホン酸塩又はエタン-1-(スルホン酸)-2-スルホン酸塩)、イセチオン酸塩(2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩)、2-メシチレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、2,5-ジクロロベンゼンスルホン酸塩、D-マンデル酸塩、L-マンデル酸塩、ケイヒ酸塩、安息香酸塩、アジピン酸塩、エシル酸塩、マロン酸塩、メシチル酸塩(2-メシチレンスルホン酸塩)、ナプシラート(2-ナフタレンスルホン酸塩)、カンシラート(カンフル-10-スルホン酸塩、例えば、(1S)-(+)-10-カンフルスルホン酸塩)、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、馬尿酸塩(2-(ベンゾイルアミノ)酢酸塩)、オロト酸塩、キシリル酸塩(p-キシレン-2-スルホン酸塩)及びパモ酸塩(2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ジナフチルメタン-3,3’-ジカルボキシラート)から選択される。
「滅菌」処方物は、無菌であるか、又は全ての生体微生物及びそれらの胞子を含まない。
「立体異性体」とは、同一の化学的構成を有するが、空間内の原子又は基の配置に関しては異なる化合物を指す。立体異性体は、ジアステレオマー、鏡像異性体、配座異性体等を含む。
「キラル」とは、鏡像パートナーを重ねることができない性質を有する分子を指すが、用語「アキラル」とは、それらの鏡像パートナーに重ねることができる分子を指す。
「ジアステレオマー」とは、2個以上の不斉中心を有し、そして、それらの分子が互いの鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物性(例えば、融点、沸点、スペクトル特性又は生物活性)を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィー(HPLC等)等の高分離能の分析手順下で分離してもよい。
「鏡像異性体」とは、互いに重ねることができない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を指す。
本明細書中で使用する立体化学的な定義及び慣行は、一般的に、S. P. Parker, Ed., McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York;及びEliel, E. and Wilen, S., “Stereochemistry of Organic Compounds”, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。多くの有機化合物は、光学的活性型で存在する(即ち、平面偏光の平面を回転させる能力を有する)。光学的活性化合物の記載において、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心について、中心とする分子の絶対配置を示すために用いられる。接頭辞d及びl、又は(+)及び(-)は、化合物による平面偏光の回転の記号を示すために用いられ、(-)又はlは、該化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞が付された化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これら立体異性体は、互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体を鏡像異性体と称することもあり、そして、このような異性体の混合物は、鏡像異性体混合物と呼ばれることが多い。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、これは、化学的な反応又はプロセスにおいて立体選択性又は立体特異性が存在しない場合に生じ得る。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」は、光学活性を有しない、2つの鏡像異性体種の等モル混合物を指す。
用語「互変異性体」又は「互変異性型」とは、低エネルギー障壁を介して相互変換可能である、異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られている)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化等のプロトンの遊走を介する相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合電子の幾つかの再構成による相互変換を含む。
本発明のある化合物は、非溶媒和形態、並びに溶媒和形態(水和形態を含む)でも存在し得る。「溶媒和物」とは、1個以上の溶媒分子と本発明の化合物との会合又は複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒の例は、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンを含む。本発明のある化合物は、複数の結晶形又は非晶形で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本発明の範囲内であることを意図する。用語「水和物」とは、溶媒分子が水である複合体を指す。
「代謝物」とは、特定の化合物又はその塩の、体内における代謝を通して産出された生成物を指す。このような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的切断等から得ることができる。
代謝産物は、典型的に、本発明の化合物の放射標識(例えば、14C又は3H)同位体を調製し、それを、検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)でラット、マウス、モルモット、サル等の動物に又はヒトに投与し、代謝が生じるのに十分な時間(典型的に、約30秒間~30時間)放置し、そして、尿、血液又は他の生体試料からその変換生成物を単離することによって同定される。これら生成物は、標識されているので容易に単離される(他のものは、代謝物中に残存しているエピトープに結合することが可能な抗体の使用によって単離される)。代謝物の構造は、例えば、MS、LC/MS又はNMR分析等の従来の方法で決定される。一般に、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝試験と同じ方法で行われる。代謝産物は、インビボにおいて他の方法で見出されない限り、本発明の化合物の治療的投与についての診断アッセイにおいて有用である。
「アミノ保護基」とは、本明細書中で使用する場合、化合物の他の官能基で反応が行われている間、アミノ基をブロック又は保護するために一般的に使用される基の誘導体を指す。このような保護基の例は、カルバマート、アミド、アルキル及びアリールの基、並びにイミン、並びに、除去して所望のアミン基を再生することができる多くのN-ヘテロ原子誘導体を含む。具体的なアミノ保護基は、Pmb(p-メトキシベンジル)、Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)、及びCbz(カルボベンジルオキシ)である。これら基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis”, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999にみられる。用語「保護アミノ」とは、上記アミノ保護基のうちの1つで置換されているアミノ基を指す。
「カルボキシ保護基」とは、本明細書中で使用する場合、分子の残部を破壊することなく適当な時点で除去して保護されていないカルボキシ基を得ることができる、分子の他の位置における後続反応の条件に対して安定である基を指す。カルボキシ保護基の例は、エステル基及びヘテロシクリル基を含む。カルボン酸基のエステル誘導体は、化合物の他の官能基で反応が行われている間、カルボン酸基をブロック又は保護するために用いられ得る。このようなエステル基の例は、置換ベンジルを含む置換アリールアルキル(例えば、4-ニトロベンジル、4-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、2,4-ジメトキシベンジル、2,4,6-トリメトキシベンジル、2,4,6-トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジル、3,4-メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリル、4,4’-ジメトキシベンズヒドリル、2,2’,4,4’-テトラメトキシベンズヒドリル)、アルキル又は置換アルキルエステル(例えば、メチル、エチル、t-ブチルアリル、又はt-アミル、トリフェニルメチル(トリチル)、4-メトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、4,4’,4’’-トリメトキシトリチル、2-フェニルプロパ-2-イル)、チオエステル(例えば、t-ブチルチオエステル)、シリルエステル(例えば、トリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリルエステル)、フェナシル、2,2,2-トリクロロエチル、ベータ-(トリメチルシリル)エチル、ベータ-(ジ(n-ブチル)メチルシリル)エチル、p-トルエンスルホニルエチル、4-ニトロベンジルスルホニルエチル、アリル、シンナミル、1-(トリメチルシリルメチル)プロパ-1-エン-3-イル、及び同様の部分を含む。カルボキシ保護基の別の例は、1,3-オキサゾリニル等のヘテロシクリル基である。これら基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis”, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999にみられる。用語「保護カルボキシ」とは、上記カルボキシ保護基のうちの1つで置換されているカルボキシ基を指す。
「ヒドロキシ保護基」とは、本明細書中で使用する場合、化合物の他の官能基で反応が行われている間、ヒドロキシ基をブロック又は保護するために一般的に使用されるヒドロキシ基の誘導体を指す。このような保護基の例は、テトラヒドロピラニルオキシ、ベンゾイル、アセトキシ、カルバモイルオキシ、ベンジル、及びシリルエーテル(例えば、TBS、TBDPS)基を含む。これら基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis”, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999にみられる。用語「保護ヒドロキシ」とは、上記ヒドロキシ保護基のうちの1つで置換されているヒドロキシ基を指す。
「被験体」、「個体」又は「患者」は、脊椎動物である。ある実施態様では、脊椎動物は、哺乳類である。哺乳類は、限定されるものではないが、家畜(例えば、ウシ)、スポーツ動物、ペット(例えば、モルモット、ネコ、イヌ、ウサギ及びウマ)、霊長類、マウス及びラットを含む。ある実施態様では、哺乳類は、ヒトである。患者に式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩を投与することを含む実施態様では、該患者は、典型的には、それを必要としている。
「ヤヌスキナーゼ」という用語は、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2タンパク質キナーゼを意味する。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1、JAK2、JAK3又はTYK2のうちの1つとして更に定義してもよい。任意の実施態様では、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2のいずれか1つを、ヤヌスキナーゼとして具体的に除外してもよい。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1である。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1とJAK2との組み合わせである。
用語「阻害」及び「低減」、又はこれらの用語の任意の変形は、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。例えば、正常と比較して、約、最大約、又は少なくとも約、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%若しくはそれ以上、又はこの中で導き出し得る任意の範囲の減少、活性(例えば、JAK1活性)の減少であり得る。
幾つかの実施態様では、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩は、JAK3及びTYK2を上回ってJAK1の阻害に対して選択的である。幾つかの実施態様では、式(I)又は(II)で示される化合物は、JAK2、JAK3若しくはTYK2、又はJAK2、JAK3若しくはTYK2の任意の組み合わせを上回ってJAK1の阻害に対して選択的である。幾つかの実施態様では、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩は、JAK3及びTYK2を上回ってJAK1及びJAK2の阻害に対して選択的である。幾つかの実施態様では、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩は、JAK3を上回ってJAK1の阻害に対して選択的である。「阻害に対して選択的である」は、本化合物が、別の特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK3)活性と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%若しくは以上、又はそれから導き出すことができる任意の範囲で、特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1)活性の優れた阻害剤であるか、或いは、別の特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1)活性と比較して、少なくとも2-、3-、4-、5-、10-、25-、50-、100-、250-又は500-倍、特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1)活性の優れた阻害剤であることを意味する。
「治療上有効量」は、(i)特定の疾患、病態若しくは障害を処置若しくは予防するか、又は(ii)特定の疾患、病態若しくは障害の1つ以上の症状を減弱、寛解若しくは排除し、そして、場合により(iii)本明細書中に記載される特定の疾患、病態若しくは障害の1つ以上の症状の発症を予防若しくは遅延する、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)の量を意味する。幾つかの実施態様では、治療上有効量は、自己免疫又は炎症性の疾患(例えば、喘息)の症状を低減又は緩和するのに十分な量である。幾つかの実施態様では、治療上有効量は、B細胞の活性又は数を著しく減少させるのに十分な、本明細書中に記載される化学実体の量である。ガンの場合、薬物の治療上有効量は、ガン細胞の数を低減する;腫瘍サイズを低減する;ガン細胞の末梢器官への浸潤を阻害する(即ち、ある程度減速させ、そして、好ましくは停止させる);腫瘍の転移を阻害する(即ち、ある程度減速させ、そして、好ましくは停止させる);腫瘍の成長をある程度阻害する;又はガンに関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減することができる。薬物が既存のガン細胞の成長を妨げるか又は殺傷し得る程度に、該薬物は細胞増殖抑制性又は細胞毒性であり得る。ガン療法については、効果は、例えば、無増悪期間(TTP)を評価するか又は奏効率(RR)を決定することによって測定できる。
「処置」(及び「処置する」又は「処置している」等の変形)とは、処置される個体又は細胞の自然経過を変化させる試みにおける臨床的介入を指し、そして、予防のために又は臨床病理の経過中に実施してもよい。処置の望ましい効果は、疾患の発症又は再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的帰結の減弱、疾患の安定化(即ち、悪化しない)状態、疾患増悪率の低減、疾患状態の寛解又は緩和、処置を受けなかった場合の予測生存期間と比べた生存期間の延長、及び緩解又は予後の改善を含む。幾つかの実施態様では、本発明の化合物(例えば、式(I)又は(II)で示される化合物)は、疾患若しくは障害の発症を遅延させるか又は疾患若しくは障害の進行を減速させるために用いられる。処置を必要としているものは、既に病態若しくは障害を有しているもの、並びに病態若しくは障害を有しやすいもの(例えば、遺伝子の突然変異を通して)、又は病態若しくは障害が予防されるべきものを含む。
「炎症性障害」とは、過剰な又は未制御の炎症反応が、過剰な炎症症状、ホスト組織の損傷又は組織機能の喪失につながる任意の疾患、障害又は症候群を指す。また、「炎症性障害」とは、白血球の流入又は好中球の走化性によって媒介される病理学的状態を指す。
「炎症」とは、組織の傷害又は破壊によって誘発される局所的保護応答を指し、傷害性物質及び傷害組織の両方を破壊、希釈又は隔離(隔絶)する機能を有する。炎症は、白血球の流入又は好中球の走化性と明白に関連している。炎症は、病原体及びウイルスの感染から、そして、心筋梗塞又は脳卒中後の外傷又は再灌流、外来抗原に対する免疫応答、及び自己免疫応答等の非感染的手段から生じ得る。したがって、本発明の化合物(例えば、式(I)又は(II)で示される化合物)による処置が受け入れられる炎症性障害は、特異的防御系の反応に及び非特異的防御系の反応に関連する障害を包含する。
「特異的防御系」とは、特異的抗原の存在に反応する免疫系の成分を指す。特異的防御系の応答に起因する炎症の例は、外来抗原に対する古典的な応答、自己免疫疾患、及びT細胞によって媒介される遅延型過敏反応を含む。慢性炎症性疾患、固形の移植された組織及び器官(例えば、腎臓及び骨髄の移植片)の拒絶、並びに移植片対宿主病(GVHD)は、特異的防御系の炎症反応の更なる例である。
用語「非特異的防御系」とは、免疫記憶ができない白血球(例えば、顆粒球及びマクロファージ)によって媒介される炎症性障害を指す。少なくとも部分的に非特異的防御系の反応に起因する炎症の例は、成人(急性)呼吸促迫症候群(ARDS)又は多臓器損傷症候群;再灌流傷害;急性糸球体腎炎;反応性関節炎;急性炎症成分を伴う皮膚疾患;急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系炎症性障害(例えば、脳卒中);熱傷;炎症性腸疾患;顆粒球輸血関連症候群;及びサイトカイン誘発毒性等の病態に関連する炎症を含む。
「自己免疫疾患」とは、組織の傷害が身体そのものの構成成分に対する体液性又は細胞媒介性の応答に関連している任意の障害群を指す。自己免疫疾患の非限定的な例は、関節リウマチ、ループス及び多発性硬化症を含む。
「アレルギー疾患」とは、本明細書中で使用する場合、アレルギーに起因する任意の症状、組織の損傷、又は組織機能の喪失を指す。「関節疾患」とは、本明細書中で使用する場合、様々な病因に起因する関節の炎症性病変を特徴とする任意の疾患を指す。「皮膚炎」とは、本明細書中で使用する場合、様々な病因に起因する皮膚の炎症を特徴とする皮膚の疾患の大きなファミリーのいずれかを指す。「移植拒絶」とは、本明細書中で使用する場合、移植された組織及び周囲の組織の機能喪失、疼痛、膨潤、白血球増加症、及び血小板減少症を特徴とする、器官又は細胞(例えば、骨髄)等の移植された組織に対する任意の免疫反応を指す。本発明の治療法は、炎症細胞の活性化に関連する障害を処置する方法を含む。
「炎症細胞の活性化」とは、炎症細胞(単球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、顆粒球(即ち、限定されるものではないが、好中球、好塩基球及び好酸球等の多形核白血球)、マスト細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞及び内皮細胞を含む)における、増殖性細胞応答の刺激(限定されるものではないが、サイトカイン、抗原又は自己抗体を含む)、可溶性メディエーター(限定されるものではないが、サイトカイン、酸素ラジカル、酵素、プロスタノイド又は血管作用性アミンを含む)の産生、又は新規の若しくは増加したメディエーター(限定されるものではないが、主要組織適合性抗原又は細胞接着分子を含む)の細胞表面の発現による誘導を指す。これら細胞におけるこれら表現型のうちの1つ又は組み合わせの活性化が、炎症性障害の発症、永続化又は増悪の一因となり得ることを当業者であれば理解するであろう。
幾つかの実施態様では、本発明の方法により処置することができる炎症性障害は、限定されるものではないが、喘息、鼻炎(例えば、アレルギー性鼻炎)、アレルギー性気道症候群、アトピー性皮膚炎、気管支炎、関節リウマチ、乾癬、接触皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、及び遅延型過敏反応を含む。
用語「ガン」及び「ガン性」、「新生物」及び「腫瘍」、並びに関連する用語は、典型的には未制御の細胞成長を特徴とする、哺乳類における生理学的病態を指すか又は説明する。「腫瘍」は、1つ以上のガン性細胞を含む。ガンの例は、癌腫、芽細胞腫、肉腫、精上皮腫、グリア芽細胞腫、黒色腫、白血病、及び骨髄性又はリンパ性の悪性腫瘍を含む。このようなガンのより特定の例は、扁平細胞ガン(例えば、扁平上皮細胞ガン)、並びに肺ガン(小細胞肺ガン、非小細胞肺ガン(「NSCLC」)、肺の腺ガン及び肺の扁平上皮癌腫を含む)を含む。他のガンは、皮膚、角化棘細胞腫、濾胞癌腫、ヘアリーセル白血病、口腔、咽頭(口腔)、口唇、舌、口、唾液腺、食道、喉頭、肝細胞、胃(gastric)、胃(stomach)、胃腸、小腸、大腸、膵臓、頸部、卵巣、肝臓、膀胱、肝ガン、乳、結腸、直腸、結腸直腸、泌尿生殖器、胆汁道、甲状腺、乳頭、肝臓、子宮内膜、子宮、唾液腺、腎臓又は腎、前立腺、精巣、外陰、腹膜、肛門、陰茎、骨、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、中枢神経系、脳、頭頸部、ホジキン、及び関連する転移を含む。新生物性障害の例は、骨髄増殖性障害、例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症)、及び慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
「化学療法剤」は、所与の障害(例えば、ガン又は炎症性障害)の処置において有用な剤である。化学療法剤の例は、当技術分野において周知であり、そして、例えば、参照により本明細書中に援用される米国特許出願公開第2010/0048557号明細書に開示されているもの等の例を含む。更に、化学療法剤は、化学療法剤のいずれかの薬学的に許容し得る塩、酸又は誘導体、並びにこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含む。
「添付文書」は、このような治療製品の使用に関する、適応症、用法、用量、投与、禁忌又は警告についての情報を含有する治療製品の市販包装に慣例的に含まれる説明を指すのに使用される。
「発明の化合物」及び「本発明の化合物」等の用語は、そうではないと指示されない限り、式(I)又は(II)で示される化合物及びその立体異性体(アトロプ異性体を含む)、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、同位体、塩(例えば、薬学的に許容し得る塩)及びプロドラッグを含む。幾つかの実施態様では、溶媒和物、代謝産物、同位体若しくはプロドラッグは除外されるか、又はその任意の組み合わせ。
そうではないと指定しない限り、本明細書中に記載される構造は、同位体的に濃縮された1つ以上の原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意味する。本発明の化合物(例えば、式(I)又は(II)で示される化合物)に取り込むことができる例示的な同位体は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体を含み、例えば、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125I等である。同位体標識された化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物又は基質の組織分布アッセイにおいて有用であり得る。トリチウム化(即ち、3H)及びカーボン-14(即ち、14C)の同位体は、調製及び検出可能性が容易であるため有用であり得る。更に、ジュウテリウム(即ち、2H)等のより重い同位体で置換すると、より高い代謝安定性に起因する、ある治療上の利点(例えば、インビボにおける半減期の増加又は必要投与量の低減等)を与え得る。幾つかの実施態様では、式(I)又は(II)で示される化合物において、
1つ以上の水素原子が2H若しくは3Hにより置き換えられているか、又は1つ以上の炭素原子が13C若しくは14Cで濃縮された炭素によって置き換えられている。陽電子放出同位体(例えば、15O、13N、11C及び18F)は、基質の受容体占有について調べるための陽電子放出断層撮影(PET)試験に有用である。同位体標識された化合物は、一般的に、同位体標識された試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに用いることによって、本明細書中のスキームに又は実施例に開示されるものと同様の手順により調製することができる。
本明細書中の1つの実施態様に関して論じられる任意の限定が、本明細書中の任意の他の実施態様にも適用され得ることが具体的に企図される。更に、本発明の任意の化合物又は組成物は、本発明の任意の方法で用いてもよく、そして、本発明の任意の方法を用いて、本発明の任意の化合物又は組成物を生成又は利用してもよい。
用語「又は」の使用は、選択肢のみを指すか又は選択肢が相互排他的であることを明示しない限り「及び/又は」を意味するために用いられるが、本開示は、選択肢のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。
本願全体を通して、用語「約」は、値を決定するために用いられる装置又は方法の誤差の標準偏差を含む値を示すために用いられる。
本明細書中で使用する場合、「a」又は「an」は、そうではないと明示的に記載しない限り、1つ以上を意味する。本明細書中で使用する場合、「別の」は、少なくとも第2の又はそれ以上を意味する。
本明細書中で使用する標題は、構造化上の目的のためだけのものであることを意図する。
ヤヌスキナーゼ阻害剤
したがって、本発明の一態様は、式(I)若しくは(II):
[式中、
環Aは、フェニル、ピリジニル、ピラゾリル又はイソキノリニルであり;
環Bは、フェニル又は5~6員のヘテロアリールであり;
nは、0、1又は2であり;
R
2は、
(i)-(C0~C6アルキレン)-R
c、
(ii)-C(O)-NH-(ハロゲン、OH又はCNにより場合により置換されているC1~C6アルキル)又は
(iii)-C(O)-(C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されているアゼチジニル)
から選択され;
R
3、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、水素、CH
3、CH
2CH
3、OCH
3、CF
3、F及びClからなる群より選択され;
R
6は、H又はC1~C3アルキルであり;
R
1aは、各出現時に独立して、ハロゲン;ハロゲン、CN又はOHにより場合により置換されているC1~C6アルキル;C1~C6アルコキシ;3~10員のシクロアルキル;3~10員のヘテロシクロアルキル;-C(O)-NR
aR
b;-C(O)-(C1~C6アルキル、3~7員のヘテロシクロアルキル又は-C(O)-(C1~C6アルキルにより場合により置換されている3~7員のヘテロシクロアルキル)により場合により置換されている3~10員のヘテロシクロアルキルであり;
R
1b及びR
1cは一緒に、ハロゲン、CN、OH又はC1~C6アルコキシにより場合により置換されているC1~C6アルキルにより場合により置換されている3~10員のヘテロシクロアルキル;-(C0~C6アルキレン)-(C1~C6アルキル、-C(O)-(C1~C6アルキル)、-C(O)O-(C1~C6アルキル)若しくは(C0~C6アルキレン)-C(O)-NR
aR
bにより場合により置換されている3~7員のヘテロシクロアルキル);又は-(C0~C6アルキレン)-NR
aR
bを形成しており;
R
a及びR
bは、独立して、水素;ハロゲン、OH、CN又はC1~C6アルコキシにより場合により置換されている-C1~C6アルキル;-C(O)-(C1~C6アルキレン)-(3~10員のシクロアルキル);-(C0~C6アルキレン)-(C1~C6アルキルにより場合により置換されている5~6員のヘテロアリール);-(C0~C6アルキレン)-(C1~C6アルキル又は3~7員のヘテロシクロアルキルにより場合により置換されている3~7員のヘテロシクロアルキル);及び
からなる群より選択され;
R
cは、3~10員のシクロアルキル、3~10員のヘテロシクロアルキル、フェニル又は5~6員のヘテロアリールであり、ここで、R
cは、ハロゲン;CN;OH;ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルコキシ又はC1~C6チオアルキルにより場合により置換されているC1~C6アルキル;ハロゲンにより場合により置換されているC1~C6アルコキシ;ハロゲンにより場合により置換されているC1~C6チオアルキル;-(C0~C6アルキレン)-NR
aR
b;-(C0~C6アルキレン)-3~7員のシクロアルキル;-(C0~C6アルキレン)-(ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されている3~10員のヘテロシクロアルキル);-(C0~C6アルキレン)-(ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されているフェニル);又は-(C0~C6アルキレン)-(ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されている5~6員のヘテロアリール)により場合により置換されている]
で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩を含む。
幾つかの実施態様では、式(I)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩が提供される。幾つかの実施態様では、式(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩が提供される。
幾つかの実施態様では、R2は、-C(O)-NH-(ハロゲン、OH又はCNにより場合により置換されているC1~C6アルキル)又は-C(O)-(C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されているアゼチジニル)である。幾つかの実施態様では、R2は、-(C0~C6アルキレン)-Rcである。
幾つかの実施態様では、Rcは、3~10員のシクロアルキル、3~10員のヘテロシクロアルキル又はフェニルであり、ここで、Rcは、ハロゲン;CN;OH;ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルコキシ又はC1~C6チオアルキルにより場合により置換されているC1~C6アルキル;ハロゲンにより場合により置換されているC1~C6アルコキシ;ハロゲンにより場合により置換されているC1~C6チオアルキル;-(C0~C6アルキレン)-NRaRb;-(C0~C6アルキレン)-3~7員のシクロアルキル;-(C0~C6アルキレン)-(ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されている3~10員のヘテロシクロアルキル);-(C0~C6アルキレン)-(ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されているフェニル;)又は-(C0~C6アルキレン)-(ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されている5~6員のヘテロアリール)により場合により置換されている。
幾つかの実施態様では、Rcは、ハロゲン;CN;OH;ハロゲン、CN、OHにより場合により置換されているC1~C6アルコキシ;ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルコキシ又はC1~C6チオアルキルにより場合により置換されているC1~C6アルキル;ハロゲンにより場合により置換されているC1~C6アルコキシ;ハロゲンにより場合により置換されているC1~C6チオアルキル;-(C0~C6アルキレン)-NRaRb;-(C0~C6アルキレン)-3~7員のシクロアルキル;-(C0~C6アルキレン)-(ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されている3~10員のヘテロシクロアルキル);-(C0~C6アルキレン)-(ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されているフェニル);又は-(C0~C6アルキレン)-(ハロゲン、OH、CN、C1~C6アルキル又はC1~C6ハロアルキルにより場合により置換されている5~6員のヘテロアリール)により場合により置換されている5~6員のヘテロアリールである。
幾つかの実施態様では、nは、0である。幾つかの実施態様では、nは、1であり、R1aは、ハロゲン;ハロゲン、CN又はOHにより場合により置換されているC1~C6アルキル;C1~C6アルコキシ;3~10員のシクロアルキル;3~10員のヘテロシクロアルキル;-C(O)-NRaRb;-C(O)-(C1~C6アルキル、3~7員のヘテロシクロアルキル又は-C(O)-(C1~C6アルキル)により場合により置換されている3~7員のヘテロシクロアルキルにより場合により置換されている3~10員のヘテロシクロアルキルである。幾つかの実施態様では、nは、1であり、R1aは、各出現時に独立して、ハロゲン;ハロゲン、CN若しくはOHにより場合により置換されているC1~C6アルキル;C1~C6アルコキシ;3~10員のシクロアルキル;又は3~10員のヘテロシクロアルキルである。
幾つかの実施態様では、R
aは、水素又はC1~C3アルキルであり、R
bは、ハロゲン、OH、CN又はC1~C6アルコキシにより場合により置換されている-C1~C6アルキル;-C(O)-(C1~C6アルキレン)-(3~10員のシクロアルキル);-(C0~C6アルキレン)-(C1~C6アルキルにより場合により置換されている5~6員のヘテロアリール);-(C0~C6アルキレン)-(C1~C6アルキル又は3~7員のヘテロシクロアルキルにより場合により置換されている3~7員のヘテロシクロアルキル);又は
である。
幾つかの実施態様では、環Aは、フェニル、ピリジニル又はピラゾリルである。幾つかの実施態様では、環Aは、ピラゾリルである。幾つかの実施態様では、環Bは、フェニルである。幾つかの実施態様では、環Bは、5~6員のヘテロアリールである。幾つかの実施態様では、環Bは、ピラゾリルである。
幾つかの実施態様では、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素、CH3、CH2CH3、CF3、F及びClからなる群より選択される。幾つかの実施態様では、R3、R4及びR5は、それぞれ水素である。幾つかの実施態様では、R6は、水素である。
幾つかの実施態様では、化合物は、表1から選択されるか又は実施例のもの、或いはその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ又は塩。
また、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物も提供される。
また、治療における、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩の使用も提供される。
また、炎症性疾患(例えば、喘息)の処置における、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩の使用も提供される。
また、炎症性疾患(例えば、喘息)の処置用の医薬を調製するための、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩の使用も提供される。
また、炎症性疾患(例えば、喘息)の処置において使用するための、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩も提供される。
また、患者におけるヤヌスキナーゼ活性の阻害に応答性の疾患又は状態を予防し、処置し、又は同疾患又は状態の重症度を下げる方法であって、治療上有効量の式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩を患者に投与することを含む、方法も提供される。幾つかの実施態様では、疾患又は状態は、喘息である。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1である。幾つかの実施態様では、化合物は、吸入により投与される。
また、表1から選択される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩、或いはそれらの任意の組み合わせも提供される。
本発明の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を含有し得る。したがって、該化合物は、ジアステレオマー、鏡像異性体、又はそれらの混合物として存在し得る。該化合物の合成は、出発物質として又は中間体としてラセミ体、ジアステレオマー又は鏡像異性体を使用し得る。特定のジアステレオマー化合物の混合物は、クロマトグラフィー法若しくは結晶化法によって分離し得るか又は1つ以上の特定のジアステレオマーを濃縮し得る。同様に、鏡像異性体混合物も、同じ技術又は当技術分野において公知の他の技術を用いて分離又は鏡像異性的に濃縮することができる。不斉炭素原子又は不斉窒素原子は、それぞれ、R又はS配置であってもよく、そして、これら配置の両方が本発明の範囲内である。
本明細書中に示す構造では、任意の特定のキラル原子の立体化学が指定されていない場合、全ての立体異性体が意図され、そして、本発明の化合物として含まれる。特定の配置を表す濃いくさび又は点線によって立体化学が指定されている場合、その立体異性体は、そのように指定され、そして、規定される。そうではないと指定しない限り、濃いくさび又は点線が用いられる場合、相対立体化学が意図される。
別の態様は、生理学的条件下で放出されて(例えば、加水分解されて)本発明の化合物を得る公知のアミノ保護基及びカルボキシ保護基を含む、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)のプロドラッグを含む。
用語「プロドラッグ」とは、親薬物に比べて患者に対する有効性が低く、そして、より活性の高い親型へ酵素的に又は加水分解的に活性化され又変換されることが可能な薬学的活性物質の前駆体又は誘導体の形態を指す。例えば、Wilman, “Prodrugs in Cancer Chemotherapy” Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)、及びStella et al., “Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,” Directed Drug Delivery, Borchardt et al., (ed.), pp. 247-267, Humana Press (1985)を参照。プロドラッグは、限定されるものではないが、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されているフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、又は場合により置換されているフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、並びに5-フルオロシトシン及び5-フルオロウリジンのプロドラッグを含む。
プロドラッグの特定の分類は、アミノ、アミジノ、アミノアルキレンアミノ、イミノアルキレンアミノ又はグアニジドの基中の窒素原子が、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル(-CO-R)基、アルコキシカルボニル(-CO-OR)若しくはアシルオキシアルキル-アルコキシカルボニル(-CO-O-R-O-CO-R)基(式中、Rは、一価又は二価の基、例えば、アルキル、アルキレン又はアリールである)、又は式-C(O)-O-CP1P2-ハロアルキルを有する基(式中、P1及びP2は、同じであるか又は異なり、そして、水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル又はアリールである)で置換されている化合物である。特定の実施態様では、窒素原子は、式(I)若しくは(II)、又はその部分式で示される化合物のアミジノ基の窒素原子のうちの1つである。プロドラッグは、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)を活性化基(例えば、アシル基)と反応させて、(例えば、該化合物中の窒素原子を)活性化アシル基の例示的なカルボニルに結合させることによって調製し得る。活性化カルボニル化合物の例は、カルボニル基に結合している脱離基を含有するものであり、そして、例えば、アシルハロゲン化物、アシルアミン、アシルピリジニウム塩、アシルアルコキシド、アシルフェノキシド(例えば、p-ニトロフェノキシアシル、ジニトロフェノキシアシル、フルオロフェノキシアシル及びジフルオロフェノキシアシル)を含む。該反応は、一般的に、-78~約50℃等の低温で不活性溶媒中にて実施される。また、該反応は、無機塩基(例えば、炭酸カリウム又は重炭酸ナトリウム)又は有機塩基(例えば、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンを含むアミン)等の存在下で実施してもよい。
更なる種類のプロドラッグも包含される。例えば、本発明の化合物(例えば、式(I)又は(II)で示される化合物)の遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化することができる。別の例として、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、Fleisher, D. et al., (1996) Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs Advanced Drug Delivery Reviews, 19:115に概説されているとおり、ヒドロキシ基を、限定されるものではないが、リン酸エステル、ヘミスクシナート、アミノ酢酸ジメチル又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニル基等の基に変換することによって、プロドラッグとして誘導体化され得る。ヒドロキシ基のカルボナートプロドラッグ、スルホン酸エステル及び硫酸エステルと同様に、ヒドロキシ及びアミノの基のカルバマートプロドラッグも含まれる。アシル基が、限定されるものではないが、エーテル、アミン及びカルボン酸の官能基を含む基で場合により置換されているアルキルエステルであり得るか、又はアシル基が上記のとおりアミノ酸エステルである、(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も包含される。この種のプロドラッグは、J. Med. Chem., (1996), 39:10に記載されている。より具体的な例は、(C1-C6)アルカノイルオキシメチル、1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、1-メチル-1-((C1-C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1-C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N-(C1-C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1-C6)アルカノイル、アルファ-アミノ(C1-C4)アルカノイル、アリールアシル及びアルファ-アミノアシル、又はアルファ-アミノアシル-アルファ-アミノアシル(各アルファ-アミノアシル基は、独立して、天然のL-アミノ酸、P(O)(OH)2、-P(O)(O(C1-C6)アルキル)2、又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去から得られる基)から選択される)等の基による、アルコール基の水素原子の置き換えを含む。
「脱離基」とは、化学反応における第1の反応物質から置き換えられる、該化学反応における第1の反応物質の部分を指す。脱離基の例は、限定されるものではないが、ハロゲン原子、アルコキシ基及びスルホニルオキシ基を含む。スルホニルオキシ基の例は、限定されるものではないが、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ(メシラート基)及びトリフルオロメチルスルホニルオキシ(トリフラート基))、及びアリールスルホニルオキシ基(例えば、p-トルエンスルホニルオキシ(トシラート基)及びp-ニトロスルホニルオキシ(ノシラート基))を含む。
ヤヌスキナーゼ阻害剤化合物の合成
本発明の化合物は、本明細書中に記載される合成経路によって合成してもよい。特定の実施態様では、本明細書中に含まれる記載に加えて又はこれを考慮して、化学分野で周知のプロセスを用いてもよい。出発物質は、Aldrich Chemicals (Milwaukee, Wis.) 等の商業的供給元から一般的に入手可能であるか、又は当業者に周知の方法を用いて容易に調製される(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1-19, Wiley, N.Y. (1967-1999 ed.)、Beilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer-Verlag, Berlin(補足を含む)(Beilsteinオンラインデータベースを介しても入手可能である)、又はComprehensive Heterocyclic Chemistry, Editors Katrizky and Rees, Pergamon Press, 1984に概して記載されている方法によって調製される)。
化合物は、1種ずつ調製してもよく、又は少なくとも2種(例えば、5~1000種の化合物又は10~100種の化合物)を含む化合物ライブラリとして調製してもよい。化合物のライブラリは、コンビナトリアル「スプリット・アンド・ミックス」アプローチによって、又は液相若しくは固相の化学反応のいずれかを用いる複数の並行合成によって、当業者に公知の手順によって調製され得る。したがって、本発明の更なる態様によれば、本発明の化合物(例えば、式(I)又は(II)で示される化合物)を少なくとも2種含む化合物ライブラリが提供される。
説明する目的のために、以下に示される反応スキームは、本発明の化合物並びに重要な中間体を合成するための経路を提供する。個々の反応工程のより詳細な説明については、以下の実施例の項を参照されたい。当業者であれば、他の合成経路を用いてもよいことを理解するであろう。幾つかの具体的な出発物質及び試薬をスキームに示し、そして、以下で論じるが、様々な誘導体又は反応条件を提供するために他の出発物質及び試薬に置き換えることもできる。更に、以下に記載する方法によって調製される化合物の多くは、当業者に周知の従来の化学反応を用いて本開示を考慮して更に改変することができる。
本発明の化合物の調製では、中間体の遠隔官能基(例えば、一級又は二級のアミン)の保護が必要になることがある。このような保護の必要性は、遠隔官能基の性質及び調製方法の条件に依存して変動する。好適なアミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、フェニルスルホニル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。このような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。保護基及びそれらの使用に関する一般的な説明については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照されたい。
本発明の化合物の合成において一般的に用いられ、そして、様々な試薬及び条件を用いて実施することができる他の変換は、以下を含む:
(1)カルボン酸をアミンと反応させてアミドを形成する。このような転換は、当業者に公知の様々な試薬を用いて達成することができるが、包括的な総説は、Tetrahedron, 2005, 61, 10827-10852に見出すことができる。
(2)一般的に「Buchwald-Hartwigクロスカップリング」として知られている一級又は二級のアミンとアリールハロゲン化物又は擬ハロゲン化物(例えば、トリフラート)との反応は、様々な触媒、リガンド及び塩基を用いて達成することができる。これら方法の総説は、Comprehensive Organic Name Reactions and Reagents, 2010, 575-581に提供されている。
(3)アリールハロゲン化物とビニルボロン酸又はボロン酸エステルとの間のパラジウムクロスカップリング反応。この転換は、Chemical Reviews, 1995, 95(7), 2457-2483に十分に概説されている反応の分類である「Suzuki-Miyauraクロスカップリング」の1種である。
(4)エステルを加水分解して対応するカルボン酸を得ることは、当業者に周知であり、そして、条件は、以下を含む:メチル及びエチルエステルについては、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムの水酸化物等の水性強塩基、又はHCl等の水性強鉱酸を使用する;tert-ブチルエステルについては、加水分解は、例えば、ジオキサン中のHCl、又はジクロロメタン(DCM)中のトリフルオロ酢酸(TFA)等の酸を用いて行われる。
適切な官能基が存在する場合、様々な式で示される化合物又はそれらの調製において用いられる任意の中間体を、縮合、置換、酸化、還元又は切断の反応を用いる1つ以上の標準的な合成方法によって更に誘導体化し得ることが理解される。特定の置換アプローチは、従来のアルキル化、アリール化、ヘテロアリール化、アシル化、スルホニル化、ハロゲン化、ニトロ化、ホルミル化及びカップリングの手順を含む。
更なる例では、アシル化によって一級アミン又は二級アミンの基をアミド基(-NHCOR’又は-NRCOR’)に変換してもよい。アシル化は、塩基(トリエチルアミン等)の存在下、好適な溶媒(ジクロロメタン等)中、適切な酸塩化物と反応させることによって、又は好適なカップリング剤(HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)のような)の存在下、好適な溶媒(ジクロロメタン等)中、適切なカルボン酸と反応させることによって達成してもよい。同様に、好適な塩基(トリエチルアミン等)の存在下、好適な溶媒(ジクロロメタン等)中で適切な塩化スルホニルと反応させることによって、アミン基をスルホンアミド基(-NHSO2R’又は-NR’’SO2R’)基に変換してもよい。好適な塩基(トリエチルアミン等)の存在下、好適な溶媒(ジクロロメタン等)中、適切なイソシアナートと反応させることによって、一級又は二級アミンの基をウレア基(-NHCONR’R’’又は-NRCONR’R’’)に変換することができる。
例えば、接触水素化(水素等を用いて、金属触媒(例えば、炭素等の担体に担持されているパラジウム)の存在下、溶媒(例えば、酢酸エチル、又はメタノール等のアルコール)中)によってニトロ(-NO2)基を還元することによって、アミン(-NH2)を得てもよい。或いは、化学的還元(塩酸等の酸の存在下、例えば、金属(スズ又は鉄等)を用いて)によって転換を実施してもよい。
更なる例では、例えば、接触水素化(水素等を用いて、金属触媒(例えば、炭素等の担体に担持されているパラジウム、又はラネーニッケル)の存在下、溶媒(例えば、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン等の環状エーテル))中、適切な温度(例えば、約-78℃~該溶媒の還流温度))によってニトリル(-CN)を還元することによって、アミン(-CH2NH2)基を得てもよい。
更なる例では、対応するアジ化アシル(-CON3)への変換、クルチウス転位、及び得られるイソシアナート(-N=C=O)の加水分解によって、カルボン酸基(-CO2H)からアミン(-NH2)基を得てもよい。
溶媒(例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、又はエタノール等のアルコール)中で、必要な場合、酢酸等の酸の存在下、およそ周囲温度で、アミン及びホウ化水素(例えば、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム又は水素化シアノホウ素ナトリウム)を使用する還元的アミノ化によって、アルデヒド基(-CHO)をアミン基(-CH2NR’R’’)に変換してもよい。
更なる例では、当業者に公知の標準的な条件下で、適切なホスホラン又はホスホナートを用いて、Wittig反応又はWadsworth-Emmons反応を使用することによって、アルデヒド基をアルケニル基(-CH=CHR’)に変換してもよい。
トルエン等の好適な溶媒中、水素化ジイソブチルアルミニウムを用いてエステル基(例えば、-CO2Et)又はニトリル(-CN)を還元することによって、アルデヒド基を得てもよい。或いは、アルデヒド基は、当業者に公知の任意の好適な酸化剤を用いてアルコール基を酸化することによって得てもよい。
Rの性質に依存して、酸又は塩基によって触媒される(catalused)加水分解によって、エステル基(-CO2R’)を対応する酸基(-CO2H)に変換してもよい。Rがt-ブチルである場合、酸によって触媒される加水分解は、例えば、水性溶媒中、トリフルオロ酢酸等の有機酸で処理することによって、又は水性溶媒中、塩酸等の無機酸で処理することによって達成することができる。
HATU等の好適なカップリング剤の存在下、ジクロロメタン等の好適な溶媒中、適切なアミンと反応させることによって、カルボン酸基(-CO2H)をアミド(CONHR’又は-CONR’R’’)に変換してもよい。
更なる例では、対応する酸塩化物(-COCl)に変換し、続いて、Arndt-Eistert合成によって、カルボン酸をホモログ化(homologated)(即ち、-CO2Hから-CH2CO2Hに)することができる。
更なる例では、例えば、錯体金属水素化物(ジエチルエーテル若しくはテトラヒドロフラン中の水素化アルミニウムリチウム、又はメタノール等の溶媒中の水素化ホウ素ナトリウム等)を用いて還元することによって、対応するエステル(例えば、-CO2R’)又はアルデヒド(-CHO)から-OH基を生成してもよい。或いは、アルコールは、例えば、テトラヒドロフラン等の溶媒中の水素化アルミニウムリチウムを用いて、対応する酸(-CO2H)を還元することによって、又はテトラヒドロフラン等の溶媒中でボランを用いることによって、調製してもよい。
当業者に公知の条件を用いて、アルコール基を脱離基(例えば、ハロゲン原子又はスルホニルオキシ基(例えば、トリフルオロメチルスルホニルオキシ等のアルキルスルホニルオキシ、若しくはp-トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ))に変換してもよい。例えば、アルコールをハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)中で塩化チオニル(thioyl chloride)と反応させて、対応する塩化物を生成してもよい。該反応では、塩基(例えば、トリエチルアミン)を用いてもよい。
別の例では、ホスフィン(トリフェニルホスフィン等)及び活性化剤(ジエチル-、ジイソプロピル又はジメチルアゾジカルボキシラート等)の存在下、テトラヒドロフラン等の溶媒中で、フェノール又はアミドをアルコールとカップリングさせることによって、アルコール、フェノール又はアミドの基をアルキル化してもよい。或いは、アルキル化は、水素化ナトリウム等の好適な塩基を用いて脱プロトン化し、続いて、後続するアルキル化剤(アルキルハロゲン化物等)の付加によって達成してもよい。
該化合物中の芳香族ハロゲン置換基を、場合により低温(約-78℃等)で、テトラヒドロフラン等の溶媒中にて、塩基(例えば、n-ブチル又はt-ブチルリチウム等のリチウム塩基)で処理することによってハロゲン-金属交換に供し、次いで、求電子剤でクエンチして所望の置換基を導入してもよい。したがって、例えば、求電子剤としてN,N-ジメチルホルムアミドを用いることによって、ホルミル基を導入してもよい。或いは、芳香族ハロゲン置換基を金属(例えば、パラジウム又は銅)触媒反応に供して、例えば、酸、エステル、シアノ、アミド、アリール、ヘテロアリール(heteraryl)、アルケニル、アルキニル、チオ-又はアミノの置換基を導入してもよい。使用してもよい好適な手順は、Heck、Suzuki、Stille、Buchwald、又はHartwigによって記載されているものを含む。
また、芳香族ハロゲン置換基は、アミン又はアルコール等の適切な求核剤との反応後、求核置換を受けてもよい。有利なことに、このような反応は、マイクロ波照射の存在下、高温で実施してもよい。
分離法
各例示的なスキームにおいて、反応生成物を、互いから又は出発物質から分離することが有利であり得る。各工程又は一連の工程の所望の生成物は、当技術分野において一般的な技術によって所望の均一度に分離又は精製(以後、分離)される。典型的には、このような分離は、多相抽出、溶媒若しくは溶媒混合物からの結晶化若しくは粉砕、蒸留、昇華、又はクロマトグラフィーを含む。クロマトグラフィーは、例えば、逆相及び順相;サイズ排除;イオン交換;超臨界流体;高、中及び低圧の液体クロマトグラフィーの方法及び装置;小規模分析;疑似移動床(SMB)及び分取薄層又は厚層クロマトグラフィーを含む任意の数の方法、並びに小規模薄層及びフラッシュクロマトグラフィーの技術を含み得る。
分離方法の別の分類は、所望の生成物、未反応の出発物質、反応副生成物等に結合するか、又は他の方法でこれらを分離可能にするように選択された試薬で混合物を処理することを含む。このような試薬は、活性炭、分子篩、イオン交換媒体等の吸着剤又は吸収剤を含む。或いは、該試薬は、塩基性物質の場合は酸、酸性物質の場合は塩基、抗体等の結合試薬、結合タンパク質、クラウンエーテル等の選択的キレート剤、液体/液体イオン抽出試薬(LIX)等であってもよい。
適切な分離方法の選択は、含まれる物質の性質に依存する。分離方法の例は、沸点、並びに蒸留及び昇華における分子量、クロマトグラフィーにおける極性官能基の有無、多相抽出における酸性及び塩基性の媒体中の物質の安定性等を含む。当業者は、所望の分離を達成する可能性が最も高い技術を適用する。
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィー又は分別結晶化等の当業者に周知の方法によって、それらの物理化学的差異に基づいてそれらの個々のジアステレオ異性体に分離され得る。鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコール又はモッシャー酸塩化物等のキラル補助剤)と反応させることによって鏡像異性体混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、そして、個々のジアステレオ異性体を対応する純鏡像異性体に変換(例えば、加水分解)することによって分離することができる。また、本発明の幾つかの化合物は、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、そして、本発明の一部としてみなされる。また、鏡像異性体は、キラルHPLCカラム又は超臨界流体クロマトグラフィーの使用によって分離することもできる。
実質的にその立体異性体を含まない単一の立体異性体(例えば、鏡像異性体)は、光学活性分割剤を用いてジアステレオマーを形成する等の方法を用いて、ラセミ混合物を分割することによって得てもよい(Eliel, E. and Wilen, S., Stereochemistry of Organic Compounds, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994;Lochmuller, C. H., J. Chromatogr., 113(3):283-302 (1975))。本発明のキラル化合物のラセミ混合物は、以下を含む任意の好適な方法によって分離及び単離することができる:(1)キラル化合物とイオン性ジアステレオマー塩を形成し、そして、分別結晶化又は他の方法によって分離する、(2)キラル誘導体化試薬を用いてジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、そして、純立体異性体に変換する、及び(3)キラル条件下で直接、実質的に純粋な又は濃縮された立体異性体を分離する。Drug Stereochemistry, Analytical Methods and Pharmacology, Irving W. Wainer, Ed., Marcel Dekker, Inc., New York (1993)を参照。
ジアステレオマー塩は、鏡像異性的に純粋なキラル塩基(ブルシン、キニーネ、エフェドリン、ストリキニーネ、α-メチル-β-フェニルエチルアミン(アンフェタミン)等)を、カルボン酸及びスルホン酸等の酸性官能基を有する不斉化合物と反応させることによって形成することができる。分別結晶化又はイオンクロマトグラフィーによってジアステレオマー塩の分離に導いてもよい。アミノ化合物の光学異性体の分離については、キラルカルボン酸又はスルホン酸(ショウノウスルホン酸、酒石酸、マンデル酸又は乳酸等)の付加で、ジアステレオマー塩の形成をもたらす。
或いは、分割される基質をキラル化合物のうちの一方の鏡像異性体と反応させて、ジアステレオマー対を形成する(Eliel, E. and Wilen, S., Stereochemistry of Organic Compounds, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994, p. 322)。不斉化合物をメンチル誘導体等の鏡像異性的に純粋なキラル誘導体化試薬と反応させ、次いで、ジアステレオマーを分離し、そして、加水分解して、純粋な又は濃縮された鏡像異性体を生成することによって、ジアステレオマー化合物を形成することができる。光学純度を決定する方法は、塩基又はラセミ混合物のモッシャーエステル(α-メトキシ-α-(トリフルオロメチル)フェニルアセタート(Jacob, J. Org. Chem. 47:4165 (1982)))の存在下、キラルエステル(例えば、(-)メンチルクロロホルマート等のメンチルエステル)を作製し、そして、2種のアトロプ異性鏡像異性体又はジアステレオマーの存在についてNMRスペクトルを分析することを含む。アトロプ異性化合物の安定なジアステレオマーは、アトロプ異性ナフチルイソキノリンを分離するための方法(参照により本明細書中に援用される国際公開第96/15111号)に従って、順相及び逆相のクロマトグラフィーによって分離及び単離することができる。方法(3)によって、キラル固定相を用いるクロマトグラフィーによって2種の鏡像異性体のラセミ混合物を分離することができる(Chiral Liquid Chromatography W. J. Lough, Ed., Chapman and Hall, New York, (1989); Okamoto, J. of Chromatogr. 513:375-378 (1990))。濃縮又は精製された鏡像異性体は、不斉炭素原子を含む他のキラル分子(旋光性及び円偏光二色性等)を区別するために用いられる方法によって区別することができる。キラル中心及び鏡像異性体(enatiomers)の絶対立体化学は、x線結晶構造解析によって決定することができる。
式(I)又は(II)で示される化合物の位置異性体(例えば、E及びZ型)、並びにそれらを合成するための中間体は、NMR及び分析HPLC等の特性評価法によって観察され得る。相互変換のためのエネルギー障壁が十分に高い特定の化合物については、例えば、分取HPLCによってE及びZ異性体を分離してもよい。
医薬組成物及び投与
本発明が関係する化合物は、JAK1阻害剤等のJAKキナーゼ阻害剤であり、そして、幾つかの疾患(例えば、喘息等の炎症性疾患)の処置において有用である。
したがって、別の実施態様は、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤とを含有する医薬組成物又は医薬、並びに本発明の化合物を用いてこのような医薬組成物及び医薬を調製する方法を提供する。
一例では、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩は、周囲温度、適切なpH、及び所望の純度で、生理学的に許容し得る担体(即ち、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性である担体)と混合することによりガレヌス投与形態に処方化され得る。処方物のpHは、主に特定の用途及び化合物の濃度に依存するが、典型的には、約3~約8の範囲のいずれでもよい。一例では、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩は、酢酸バッファ中、pH5で処方化される。別の実施態様では、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩等の本発明の化合物は無菌である。該化合物は、例えば、固体若しくは非晶質の組成物として、凍結乾燥処方物として、又は水溶液として保存してもよい。
組成物は、適正な医療実施基準(good medical practice)に合致するように処方化、調薬及び投与される。この状況において考慮すべき要因は、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医師に知られている他の要因を含む。
任意の特定の患者についての具体的な用量レベルは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身的な健康度、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬物の組み合わせ、及び処置を受ける特定の疾患の重篤度を含む様々な要因に依存することが理解される。最適な用量レベル及び投与頻度は、薬学分野において必要とされているように、臨床試験によって決定される。一般的に、経口投与のための日用量範囲は、単一用量又は分割用量で、約0.001mg~約100mg/kg(ヒトの体重)、多くの場合、0.01mg~約50mg/kg、例えば、0.1~10mg/kgの範囲内になる。一般的に、吸入投与についての日用量範囲は、単一用量又は分割用量で、約0.1μg~約1mg/kg(ヒトの体重)、好ましくは0.1μg~50μg/kgの範囲内になる。他方、場合によっては、これら限度外の投与量を用いる必要がある場合もある。
本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、経口、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸内、膣内、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、くも膜下腔内、吸入及び硬膜外、並びに鼻腔内、並びに、局所処置が望ましい場合、病巣内への投与を含む任意の好適な手段によって投与してもよい。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下への投与が含まれる。幾つかの実施態様では、吸入投与が使用される。
本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、ロゼンジ、顆粒剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、噴霧剤、吸入剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、パッチ剤等の任意の便利な投与形態で投与してもよい。このような組成物は、医薬製剤において常用される成分、例えば、希釈剤(例えば、グルコース、ラクトース又はマンニトール)、担体、pH改変剤、バッファ、甘味剤、増量剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、着香剤、風味剤、他の公知の添加剤、並びに更なる活性剤を含有し得る。
好適な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、そして、例えば、Ansel, Howard C., et al., Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004;Gennaro, Alfonso R., et al. Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000;及びRowe, Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients. Chicago, Pharmaceutical Press, 2005に詳細に記載されている。例えば、担体は、当業者に知られているような、溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、風味剤、染料、このような類似の物質、及びこれらの組み合わせを含む(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, pp 1289-1329, 1990を参照)。任意の従来の担体が活性成分と適合しない場合を除いて、治療組成物又は医薬組成物におけるその使用が企図される。例示的な賦形剤は、リン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、又はこれらの組み合わせを含む。医薬組成物は、それが固体、液体又はエアゾールの形態のいずれで投与されるか、及びそれがこのような投与経路について無菌である必要があるかどうかに依存して、様々な種類の担体又は賦形剤を含んでもよい。
例えば、経口投与用の錠剤及びカプセル剤は、単位用量提示形態(unit dose presentation form)であってもよく、そして、結合剤(例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント又はポリビニルピロリドン);充填剤(例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン);打錠用滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール又はシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプン)、又は許容し得る湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)等の従来の賦形剤を含有し得る。錠剤は、通常の薬務において良く知られている方法によりコーティングされてもよい。経口用液体製剤は、例えば、水性又は油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤若しくはエリキシル剤の形態であってもよいか、又は使用前に水若しくは他の好適なビヒクルで再構成するための乾燥製品として提示されてもよい。このような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン又はアラビアゴム);非水性ビヒクル(食用油を含んでいてもよい)(例えば、アーモンド油、分画ヤシ油、油状エステル(例えば、グリセリン、プロピレングリコール又はエチルアルコール));保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル、又はソルビン酸)、及び必要に応じて従来の風味剤又は着色剤等の従来の添加剤を含有し得る。
皮膚への局部塗布については、化合物からクリーム剤、ローション剤又は軟膏剤を製造することができる。薬物に用いることができるクリーム剤又は軟膏剤の処方物は、例えば、英国薬局方等の薬剤学の標準的な教科書に記載されているとおりの、当技術分野において周知の従来の処方物である。
本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、吸入用(例えば、鼻用スプレー、又は乾燥粉末若しくはエアゾール吸入剤)として処方化してもよい。吸入によって送達する場合、該化合物は、典型的には、マイクロ粒子の形態であり、これは、噴霧乾燥、凍結乾燥及び微粉化を含む様々な技術によって調製してもよい。エアゾールの発生は、例えば、圧力駆動ジェット噴霧器若しくは超音波噴霧器を用いて(例えば、噴射剤駆動定量エアゾールを用いることによって)行ってもよいか、又は、例えば吸入カプセル剤若しくは他の「乾燥粉末」送達系から、噴射剤を用いずに微粉化化合物を投与してもよい。
一例として、本発明の組成物は、ネブライザから送達するための懸濁液として、又は、例えば加圧式定量噴霧式吸入器(PMDI)において使用するための液体噴射剤中エアゾールとして調製してもよい。PMDIにおいて使用するのに好適な噴射剤は、当業者に知られており、そして、CFC-12、HFA-134a、HFA-227、HCFC-22(CCl2F2)及びHFA-152(CH4F2及びイソブタン)を含む。
幾つかの実施態様では、本発明の組成物は、乾燥粉末吸入器(DPI)を用いて送達するための乾燥粉末形態である。多くの種類のDPIが公知である。
投与によって送達するためのマイクロ粒子は、送達及び放出を支援する賦形剤を用いて処方化され得る。例えば、乾燥粉末処方物では、DPIから肺への流れを支援する大きな担体粒子を用いてマイクロ粒子を処方化し得る。好適な担体粒子は、公知であり、そして、ラクトース粒子を含み;該粒子は、例えば、90μmを超える空気動力学的質量中央粒径を有し得る。
エアゾールに基づく処方物の場合、例は、以下のとおりである:
本発明の化合物* 24mg/キャニスター
レシチン、NF原液 1.2mg/キャニスター
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025g/キャニスター
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15g/キャニスター。
*式(I)又は(II)で示される化合物等。
化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、用いられる吸入器システムに依存し、記載されるとおり投与され得る。該化合物に加えて、投与形態は、上記のような賦形剤、又は、例えば、噴射剤(例えば、定量エアゾールの場合、Frigen)、表面活性物質、乳化剤、安定剤、保存剤、風味剤、充填剤(例えば、粉末吸入器の場合、ラクトース)、若しくは必要に応じて更なる活性化合物を更に含有していてもよい。
吸入目的のために、患者にとって適切な吸入技術を用いて最適な粒径のエアゾールを生成及び投与することができる多数のシステムが利用可能である。アダプタ(スペーサ、エキスパンダ)及び洋梨形容器(例えば、Nebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))、並びに、特に粉末吸入器の場合は定量エアゾール用のパフ噴霧(puffer spray)を噴出する自動デバイス(Autohaler(登録商標))の使用に加えて、多数の技術的解決策が利用可能である(例えば、参照により本明細書中に援用される米国特許第5263475号明細書に記載されているとおり、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)又は吸入器)。更に、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、多室装置で送達されてもよく、それによって、併用剤を送達することが可能になる。
化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、滅菌媒体中で非経口的に投与することもできる。用いられるビヒクル及び濃度に依存して、該化合物はビヒクル中に懸濁又は溶解し得る。有利なことに、局所麻酔剤、保存剤又は緩衝剤等の補助剤は、ビヒクル中に溶解することができる。
ターゲット化吸入薬物送達
局所(吸入)投与によって肺に送達するための薬物の最適化については、最近概説されている(Cooper, A. E. et al. Curr. Drug Metab. 2012, 13, 457-473)。送達装置における制限のため、非常に強力な分子を必要とするヒトにおいては吸入薬の用量が低くなる(約<1mg/日)可能性がある。乾燥粉末の吸入を介して送達されるようになっている化合物については、1~5μmの大きさに微粒子化することができる化合物の結晶形を製造することができることも要求される。更に、該化合物は、所望の期間、薬理学的効果を発揮することができるように所与の期間にわたって肺において十分な濃度を維持し、そして、全身阻害が望ましくない薬理学的標的については、全身曝露を少なくする必要がある。肺は、大きな分子(タンパク質、ペプチド)並びに短い肺半減期を同時に有する小さな分子に対しても、本質的に高い透過性を有するので、該化合物の1つ以上の特徴の改変(膜透過性を最小化する、溶解速度を低減する、又はある程度の塩基性を該化合物に導入してリン脂質リッチな肺組織に対する結合を増大させる)を通してか、又はリソソーム(pH5)等の酸性細胞内コンパートメントへの捕捉を通して肺吸収速度を抑える必要がある。したがって、幾つかの実施態様では、本発明の化合物は、これら特徴のうちの1つ以上を示す。
ヤヌスキナーゼ阻害剤による処置方法及び使用
本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、JAK1キナーゼ等のヤヌスキナーゼの活性を阻害する。例えば、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、JAK1キナーゼによるシグナル伝達性転写因子(STAT)のリン酸化及びSTATに媒介されるサイトカイン産生を阻害する。本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、IL-6、IL-15、IL-7、IL-2、IL-4、IL-9、IL-10、IL-13、IL-21、G-CSF、IFNアルファ、IFNベータ又はIFNガンマの経路等のサイトカイン経路を通して細胞におけるJAK1キナーゼ活性を阻害するのに有用である。したがって、一実施態様では、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)を細胞と接触させて、該細胞におけるヤヌスキナーゼ活性(例えば、JAK1活性)を阻害する方法が提供される。
本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、異常なIL-6、IL-15、IL-7、IL-2、IL-4、IL9、IL-10、IL-13、IL-21、G-CSF、IFNアルファ、IFNベータ又はIFNガンマのサイトカインシグナル伝達によって駆動される免疫学的障害を処置するために使用することができる。
したがって、一実施態様は、治療において使用するための本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)を含む。
幾つかの実施態様では、炎症性疾患の処置における本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)の使用が提供される。更に、喘息等の炎症性疾患を処置するための医薬を調製するための、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)の使用も提供される。また、喘息等の炎症性疾患の処置において使用するための、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)も提供される。
別の態様は、患者におけるJAK1キナーゼ活性等のヤヌスキナーゼ活性の阻害に応答性の疾患又は状態(例えば、喘息)を予防し、処置し、又は同疾患若しくは状態の重篤度を下げる方法を含む。該方法は、治療上有効量の本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)を患者に投与する工程を含み得る。一実施態様では、JAK1キナーゼ等のヤヌスキナーゼの阻害に応答する疾患又は状態は、喘息である。
一実施態様では、該疾患又は状態は、ガン、脳卒中、糖尿病、肝腫大、心血管疾患、多発性硬化症、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患、喘息、アレルギー性障害、炎症、神経障害、ホルモン関連疾患、臓器移植に関連する状態(例えば、移植拒絶)、免疫不全障害、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、細胞死に関連する状態、トロンビン誘導性血小板凝集、肝疾患、T細胞の活性化を伴う病的免疫状態、脱毛症、CNS障害又は骨髄増殖性障害である。
一実施態様では、炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬、喘息、炎症性腸疾患、接触皮膚炎又は遅延型過敏反応である。一実施態様では、自己免疫疾患は、関節リウマチ、ループス又は多発性硬化症である。
一実施態様では、ガンは、乳、卵巣、子宮頸部、前立腺、精巣、陰茎、泌尿生殖器、精上皮腫、食道、喉頭、胃(gastric)、胃(stomach)、胃腸、皮膚、角化棘細胞腫、濾胞ガン、黒色腫、肺、小細胞肺ガン、非小細胞肺ガン(NSCLC)、肺腺ガン、肺の扁平上皮ガン、結腸、膵臓、甲状腺、乳頭、膀胱、肝臓、胆汁道、腎臓、骨、骨髄障害、リンパ球障害、ヘアリーセル、口腔及び咽頭(口)、口唇、舌、口、唾液腺、咽頭、小腸、結腸、直腸、肛門、腎臓、前立腺、外陰、甲状腺、大腸、子宮内膜、子宮、脳、中枢神経系、腹膜のガン、肝細胞ガン、頭部ガン、頸部ガン、ホジキン又は白血病である。
一実施態様では、疾患は、骨髄増殖性障害である。一実施態様では、骨髄増殖性障害は、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症又は慢性骨髄性白血病(CML)である。
別の実施態様は、本明細書中に記載される疾患(例えば、炎症性障害、免疫学的障害又はガン)を処置するための医薬を製造するための、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)の使用を含む。一実施態様では、本発明は、JAK1等のJAKキナーゼの阻害を標的とすることによって、本明細書中に記載される疾患又は状態(例えば、炎症性障害、免疫学的障害又はガン)を処置する方法を提供する。
併用療法
本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、単独で又は処置用の他の剤と組み合わせて使用してもよい。医薬組成物又は投与レジメンの第2の化合物は、典型的には、互いに有害な影響を与えないように本発明の化合物に対して補完的な活性を有する。このような剤は、好適には、意図する目的に有効な量で組み合わされて存在する。該化合物は、単一の医薬組成物で一緒に又は別々に投与してもよく、そして、別々に投与する場合、同時に又は逐次的に起こってもよい。このような逐次的投与は、時間的に近接していても、離れていてもよい。
例えば、喘息等の炎症性疾患の予防又は処置のために、他の化合物を本発明が関係する化合物と組み合わせてもよい。したがって、本発明は、また、治療上有効量の本発明の化合物と1つ以上の他の治療剤とを含む医薬組成物に関する。本発明の化合物との併用療法に好適な治療剤は、これらに限定されるものではないが、以下を含む:アデノシンA2A受容体アンタゴニスト;抗感染剤;非ステロイド性グルココルチコイド受容体(GR受容体)アゴニスト;酸化防止剤;β2アドレナリン受容体アゴニスト;CCR1アンタゴニスト;ケモカインアンタゴニスト(CCR1ではない);コルチコステロイド;CRTh2アンタゴニスト;DP1アンタゴニスト;ホルミルペプチド受容体アンタゴニスト;ヒストンデアセチラーゼ活性化剤;クロリドチャネルhCLCA1ブロッカー;上皮ナトリウムチャネルブロッカー(ENACブロッカー;細胞間接着分子1(inter-celluar adhesion molecule 1)ブロッカー(ICAMブロッカー);IKK2阻害剤;JNK阻害剤;シクロオキシゲナーゼ阻害剤(COX阻害剤);リポキシゲナーゼ阻害剤;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;二重β2アドレナリン受容体アゴニスト/M3受容体アンタゴニスト(MABA化合物);MEK-1阻害剤;ミエロペルオキシダーゼ阻害剤(MPO阻害剤);ムスカリン性アンタゴニスト;p38 MAPK阻害剤;ホスホジエステラーゼPDE4阻害剤;ホスファチジルイノシトール3-キナーゼδ阻害剤(PI3-キナーゼδ阻害剤);ホスファチジルイノシトール3-キナーゼγ阻害剤(PI3-キナーゼγ阻害剤);ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト(PPARγアゴニスト);プロテアーゼ阻害剤;レチノイン酸受容体モデュレータ(RARγモデュレータ);スタチン;トロンボキサンアンタゴニスト;TLR7受容体アゴニスト;又は血管拡張剤。
更に、本発明の化合物(例えば、式(I)又は(II)で示される化合物)を以下と組み合わせてもよい:(1)コルチコステロイド、例えば、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アメロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸ブチキソコルト、ビクレソニド(biclesonide)、プロピオン酸ブロベタゾール(blobetasol propionate)、デスイソブチリルシクレソニド、デキサメタゾン、ヂチプレドノールジクロアセタート(dtiprednol dicloacetate)、フルオシノロンアセトニド、フロ酸フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、エタボン酸ロテプレドノール(局所)又はフロ酸モメタゾン;(2)β2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、サルブタモール、アルブテロール、テルブタリン、フェノテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、リモテロール(rimoterol)、テルブタリン、トレトキノール、ツロブテロール、及び長時間作用型β2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、メタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、サルメテロール、インダカテロール、フォルモテロール(フマル酸フォルモテロールを含む)、アルフォルモテロール、カルモテロール、アベジテロール、ビランテロールトリフェナタート、オロダテロール;(3)コルチコステロイド/長時間作用型β2アゴニスト組み合わせ製品、例えば、サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン(Advair(登録商標)、Seretide(登録商標)としても販売)、フォルモテロール/ブデソニド(Symbicort(登録商標))、フォルモテロール/プロピオン酸フルチカゾン(Flutiform(登録商標))、フォルモテロール/シクレソニド、フォルモテロール/フロ酸モメタゾン、インダカテロール/フロ酸モメタゾン、ビランテロールトリフェナート(vilanterol trifenate)/フロ酸フルチカゾン、又はアルフォルモテロール/シクレソニド;(4)抗コリン剤、例えば、ムスカリン性-3(M3)受容体アンタゴニスト、例えば、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、アクリジニウム(LAS-34273)、臭化グリコピロニウム、臭化ウメクリジニウム;(5)M3-抗コリン剤/β2-アドレナリン受容体アゴニストの組み合わせ製品、例えば、ビランテロール/ウメクリジニウム(Anoro(登録商標)Ellipta(登録商標))、オロダテロール/臭化チオトロピウム、臭化グリコピロニウム/インダカテロール(Ultibro(登録商標)、Xoterna(登録商標)としても販売)、臭化水素酸フェノテロール/臭化イプラトロピウム(Berodual(登録商標))、硫酸アルブテロール/臭化イプラトロピウム(Combivent(登録商標))、フマル酸フォルモテロール/グリコピロラート、又は臭化アクリジニウム/フォルモテロール;(6)二重薬理M3-抗コリン/β2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、コハク酸バフェンテロール、AZD-2115、又はLAS-190792;(7)ロイコトリエンモデュレータ、例えば、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、ザフィルラスト(zafirulast)若しくはプランルカスト)、又はロイコトリエン生合成阻害剤(例えば、ジレウトン)、或いはLTB4アンタゴニスト(例えば、アメルバント)、又はFLAP阻害剤(例えば、フィボフラポン、GSK-2190915);(8)ホスホジエステラーゼ-IV(PDE-IV)阻害剤(経口又は吸入)、例えば、ロフルミラスト、シロミラスト、オグレミラスト、ロリプラム、テトミラスト、AVE-8112、レバミラスト(revamilast)、CHF 6001;(9)抗ヒスタミン剤、例えば、選択的ヒスタミン-1(H1)受容体アンタゴニスト(例えば、フェキソフェナジン、シチリジン(citirizine)、ロラチジン(loratidine)若しくはアステミゾール)、又は二重H1/H3受容体アンタゴニスト(例えば、GSK 835726若しくはGSK 1004723);(10)鎮咳剤、例えば、コデイン又はデキストラモルファン(dextramorphan);(11)粘液溶解剤、例えば、N-アセチルシステイン又はフドステイン;(12)去痰剤/粘液作動モデュレータ(mucokinetic modulator)、例えばアンブロキソール、高張液(例えば、生理食塩水又はマンニトール)、又は界面活性剤;(13)ペプチド粘液溶解剤、例えば、組み換えヒトデオキシリボノクレアーゼ(deoxyribonoclease)I(ドルナーゼ-アルファ及びrhDNase)又はヘリチジン(helicidin);(14)抗生物質、例えば、アジスロマイシン、トブラマイシン又はアズトレオナム;(15)非選択的COX-1/COX-2阻害剤、例えば、イブプロフェン又はケトプロフェン;(16)COX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ及びロフェコキシブ;(17)VLA-4アンタゴニスト、例えば、それぞれ参照により本明細書中に援用される国際公開第97/03094号及び同第97/02289号に記載されているもの;(18)TACE阻害剤及びTNF-α阻害剤、例えば、Remicade(登録商標)及びCDP-870等の抗TNFモノクローナル抗体、並びにEnbrel(登録商標)等のTNF受容体免疫グロブリン分子;(19)マトリクスメタロプロテアーゼの阻害剤、例えば、MMP-12;(20)ヒト好中球エラスターゼ阻害剤、例えば、BAY-85-8501、又はそれぞれ参照により本明細書中に援用される国際公開第2005/026124号、同第2003/053930号及び同第06/082412号に記載されているもの;(21)A2bアンタゴニスト、例えば、参照により本明細書中に援用される国際公開第2002/42298号に記載されているもの;(22)ケモカイン受容体機能のモデュレータ、例えば、CCR3及びCCR8のアンタゴニスト;(23)他のプロスタノイド受容体の作用をモデュレーションする化合物、例えば、トロンボキサンA2アンタゴニスト;DP1アンタゴニスト、例えば、ラロピプラント又はアサピプラント(asapiprant) CRTH2アンタゴニスト、例えば、OC000459、フェビピプラント、ADC 3680又はARRY 502;(24)PPARアルファアゴニスト(例えば、フェノフィブラート)、PPARデルタアゴニスト、PPARガンマアゴニスト(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン及びバラグリタゾン)を含むPPARアゴニスト;(25)メチルキサンチン(例えば、テオフィリン又はアミノフィリン)、及びメチルキサンチン/コルチコステロイドの組み合わせ(例えば、テオフィリン/ブデソニド、テオフィリン/プロピオン酸フルチカゾン、テオフィリン/シクレソニド、テオフィリン/フロ酸モメタゾン、及びテオフィリン/ジプロピオン酸ベクロメタゾン);(26)A2aアゴニスト、例えば、欧州特許出願公開第1052264号明細書及び同第1241176号明細書に記載されているもの;(27)CXCR2又はIL-8のアンタゴニスト、例えば、AZD-5069、AZD-4721、ダニリキシン;(28)IL-Rシグナル伝達モデュレータ、例えば、キネレット(kineret)及びACZ 885;(29)MCP-1アンタゴニスト、例えば、ABN-912;(30)p38MAPK阻害剤、例えば、BCT197、JNJ49095397、ロスマピモド又はPH-797804;(31)TLR7受容体アゴニスト、例えば、AZD 8848;(32)PI3キナーゼ阻害剤、例えば、RV1729又はGSK2269557。
幾つかの実施態様では、本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)は、1つ以上の更なる薬物(例えば、抗過剰増殖剤、抗ガン剤、細胞増殖抑制剤、細胞毒性剤、抗炎症剤又は化学療法剤(例えば、参照により本明細書中に援用される米国特許出願公開第2010/0048557号明細書に開示されている剤等))と併用してもよい。本発明の化合物(例えば、式(I)又は(II)で示される化合物)は、当技術分野において公知であるとおり、放射線療法又は外科手術と併用してもよい。
製品
別の実施態様は、JAK1キナーゼ等のヤヌスキナーゼの阻害に応答性の疾患又は障害を処置するための製品(例えば、キット)を含む。該キットは、
(a)本発明の化合物(例えば、式(I)若しくは(II)で示される化合物、又はその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ若しくは塩)を含む第1の医薬組成物;及び
(b)使用説明書
を含み得る。
別の実施態様では、該キットは、更に、
(c)上記の処置用の剤(例えば、炎症性障害を処置するための剤)又は化学療法剤を含む医薬組成物等の第2の医薬組成物
を含む。
一実施態様では、該説明書には、それを必要としている患者に対する該第1及び第2の医薬組成物の同時、逐次又は別々の投与について記載されている。
一実施態様では、該第1及び第2の組成物は、別々の容器に含まれている。別の実施態様では、該第1及び第2の組成物は、同じ容器に含まれている。
使用するための容器は、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、ブリスターパック等を含む。該容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成され得る。該容器は、状態を処置するのに有効な本発明の化合物(例えば、式(I)又は(II)で示される化合物)又はその組成物を含み、そして、滅菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静脈注射溶液の袋又はバイアルであってもよい)。ラベル又は添付文書は、該化合物又は組成物が、喘息又はガン等の選択された状態を処置するために用いられることを示す。一実施態様では、該ラベル又は添付文書は、該化合物又は組成物が障害を処置するために用いられ得ることを示す。更に、該ラベル又は添付文書は、処置される患者が、過剰な又は不規則なヤヌスキナーゼ活性(過剰な又は不規則なJAK1活性等)によって特徴付けられる障害を有する患者であることを示し得る。また、該ラベル又は添付文書は、該化合物又は組成物が他の障害を処置するために用いられ得ることも示し得る。
或いは、又は更に、該キットは、薬学的に許容し得るバッファ(注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液又はデキストロース溶液等)を含む第2の(又は第3の)容器を更に含んでもよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針及びシリンジを含む、商業的な観点及びユーザの観点から望ましい他の材料を更に含んでもよい。
本発明を説明するために、以下の実施例が含まれる。しかし、これら実施例は、本発明を限定するものではなく、そして、本発明を実施する方法を示唆することのみを意味すると理解されるべきである。当業者は、記載されている化学反応が、本発明の他の化合物を調製するために容易に適用可能であり得、そして、該化合物を調製するための代替方法が本発明の範囲内であることを認識する。例えば、本発明に係る例示されていない化合物の合成は、当業者に明らかな改変によって(例えば、干渉基を適切に保護することによって、記載されているもの以外の当技術分野において公知の他の好適な試薬を利用することによって、又は反応条件を通例どおり改変することによって等)、成功裏に実施され得る。或いは、本明細書中に開示されているか又は当技術分野において公知である他の反応は、本発明の他の化合物を調製するための適応性を有すると認識される。
本発明をある程度詳細に説明し、例示してきたが、本開示は、単に例としてなされたものであり、部分の組み合わせ及び配置における多数の変更が、特許請求の範囲により定義された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者により行われ得る、と理解される。
式8~10で示される化合物を、スキーム1に示されるとおりの一般的な合成法により調製してもよい。
化合物2を、適切に保護されているアゼチジノン1の処理により合成することができる。有機溶媒(例えば、これに限定されるものではないが、THF)中のアゼチジノン1の溶液を、ジエチルシアノメチルホスファート及び塩基(例えば、これに限定されるものではないが、カリウムtert-ブトキシド)の有機溶媒(例えば、これに限定されるものではないが、THF)中溶液に、約-5℃の温度、3~5時間の変動する時間で加えて、(シアノメチリデン)アゼチジン2を得た。化合物2を、適切に置換されているピラゾールと塩基(例えば、これに限定されるものではないが、DBU)により、有機溶媒(例えば、これに限定されるものではないが、アセトニトリル)中、約50℃の温度で約3~24時間処理して、式3で示される化合物を容易に得ることができる。Cbz基を、触媒(例えば、これに限定されるものではないが、Pd/C)及び水素ガスを用いて、大気圧で、約室温の温度、そして、12~24時間で変動する時間、脱保護して、式4で示される化合物を得た。或いは、(シアノメチリデン)アゼチジン2を、適切に置換されているボロン酸、触媒(例えば、これに限定されるものではないが、[Rh(COD)Cl]2)及び塩基(例えば、これに限定されるものではないが、水酸化カリウム)を用いて、有機溶媒(例えば、これに限定されるものではないが、1,4-ジオキサン)中、マイクロ波照射の存在下、約100℃の温度で約1時間処理して、式5で示される化合物を得ることができる。また、化合物2を、CuIの存在下、有機溶媒(例えば、これに限定されるものではないが、THF)中、約室温の温度、そして、12~24時間の変動する時間、種々のグリニャール試薬で処理して、式6で示される化合物を得ることができる。最後に、化合物2を、有機溶媒(例えば、これに限定されるものではないが、MeOH)中、約還流温度の温度、そして、12~24時間の変動する時間、適切に置換されているアミンで処理して、式7で示される化合物を得ることができる。式8~10で示される化合物を、酸性条件下(例えば、これらに限定されるものではないが、HCl又はTFA)下、約室温、そして、12~24時間で変動する時間、式5~7で示される化合物を処理することにより、得ることができる。
式14で示される化合物を、スキーム2に示されるとおりの一般的な合成法により調製してもよい。
化合物11を、触媒(例えば、これに限定されるものではないが、Pd2(dba)3)、リガンド(例えば、これに限定されるものではないが、BINAP)及び塩基(例えば、これに限定されるものではないが、Cs2CO3)で、約100℃の温度、そして、12~24時間の変動する時間、処理することにより、式12で示される化合物を合成することができる。酸性条件下、12で示されるSEM基を脱保護し、続けて、塩基(例えば、これに限定されるものではないが、DIPEA)の存在下、有機溶媒(例えば、これに限定されるものではないが、DMF)中、約室温の温度、そして、12~24時間の変動する時間、適切に置換されているハロゲン化アルキルをアルキル化することにより、式14で示される化合物を得る。
式22及び23で示される化合物を、スキーム3に示されるとおりの一般的な合成法により調製してもよい。
有機溶媒(例えば、これに限定されるものではないが、DMF)中、室温で約2時間、水素化ナトリウム及び(Boc)2Oで15を処理することにより、式16で示される化合物にアクセスすることができる。約100℃の温度、そして、12~24時間の変動する時間で、触媒(例えば、これに限定されるものではないが、Pd2(dba)3)、リガンド(例えば、これに限定されるものではないが、BINAP)及び塩基(例えば、これに限定されるものではないが、Cs2CO3)を使用し、3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]アゼチジンと化合物16とのカップリングを行うことができる。TBDPS基(室温で、THF中のTBAF)の脱保護、続けて、得られたアルコールを、有機溶媒(例えば、DCM)中、約室温で12~24時間の変動する時間、酸化剤(例えば、NMO/TPAP)で酸化させる。式21で示される化合物を、スキーム1で概説したのと同じ一般順序に従って得ることができる。21を、室温で約2時間、酸(例えば、これに限定されるものではないが、TFA)で処理することにより、式22又は23で示される化合物のいずれかを得た。
式26で示される化合物を、スキーム4に示されるとおりの一般的な合成法により調製してもよい。
適切に置換されている5員又は6員のアニリン、触媒(例えば、これに限定されるものではないが、Pd2(dba)3)、リガンド(例えば、これに限定されるものではないが、XantPhos)及び塩基(例えば、これに限定されるものではないが、Cs2CO3)により、約60℃で12~24時間の変動する時間、24を処理することにより、式25で示される化合物を合成することができる。スキーム2に概説されるように、25と適切に置換されているアゼチジンとのカップリングにより、式26で示される化合物を形成することができる。
略語
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DMSO-d6 重水素化ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
g グラム
HATU (O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’
,N’-テトラメチルウロニウム へキサフルオロホスファート)
HCl 塩酸
HM-N Isolute HM-Nは、珪藻土を改変した形態である
L リットル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
mg ミリグラム
mL ミリリットル
NaOH 水酸化ナトリウム
Pd2(dba)3 トリス(ジベンジリリヂンアセトンジベンジリジンアセトン)パラ
ジウム(0)
Pd(PPh3)4 テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
RT 周囲温度
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
XantPhos 4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサン
テン
X-phos 2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプ
ロピルビフェニル
中間体A
2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オン
2000mLの丸底フラスコに、ジオキサン中の飽和HCl溶液(800mL)を加えた。N-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]-メチル]-1H-ピラゾール-4-アミン(国際公開第2015/32286号、100g、244mmol)を幾つかのバッチで加えた。溶液を室温で5時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。水(600mL)を加え、20%炭酸ナトリウム水溶液で溶液のpH値を9に調整した。固体を濾過により集め、乾燥して、N-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-1H-ピラゾール-4-アミン(68.0g)を白色の固体として得た。
2000mLの丸底フラスコに、N-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-1H-ピラゾール-4-アミン(70.0g、250mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(1000mL)中溶液を加え、続いて、DIPEA(98.0g、758mmol)を加えた。2-ブロモ酢酸tert-ブチル(98.0g、502mmol)を室温で加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。次に、反応物を水(2000mL)の添加によりクエンチした。得られた溶液を酢酸エチル(3×1000mL)で抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物をブライン(1×1000mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサン(1/1)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]酢酸tert-ブチル(80.1g(81%))を淡黄色の固体として得た。
2000mLの丸底フラスコに、ジオキサン中の飽和HCl溶液(1L)を加え、2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]酢酸tert-ブチル(70.0g、178mmol)を幾つかのバッチで加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、混合物がpH~5に達するまで、この残留物に20%Na2CO3水溶液を加えた。固体を濾過により集め、乾燥して、2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]酢酸(35.1g(58%))を黄色の固体として得た。
500mLの丸底フラスコ内に、2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]酢酸(10.0g、29.6mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(200mL)、EDC.HCl(11.4g、59.6mmol)、HOBt(8.04g、59.5mmol)、DIPEA(15.3g、118mmol)及び1-メチルピペラジン(5.95g、59.4mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物をDCM(400mL)中に溶解し、混合物を0.5M NaOH溶液(3×200mL)で洗浄した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物を、DCM(100ml)中での再結晶化により精製して、2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(9.17g(74%))を灰色の固体としてもたらした。LC/MS(方法1、ESI):[M+H]+=419.1、保持時間=1.12分;1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ(ppm) 9.44 (s, 1 H), 8.72 (dd, J = 6.6, 0.9 Hz, 1 H), 7.83 (dd, J = 7.8, 0.9 Hz, 1 H), 7.77 (s, 1 H), 7.44 (s, 1 H), 6.89 (dd, J = 7.8, 6.9 Hz, 1 H), 5.08 (s, 2 H), 3.48-3.45 (m, 4 H), 2.32-2.27 (m, 4 H), 2.19 (s, 3 H)。
中間体B
2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル
3-(シアノメチリデン)アゼチジン-1-カルボン酸ベンジル(2.40g、10.5mmol)のアセトニトリル(20mL)中溶液に、4-エチル-1H-ピラゾール(1.00g、10.4mmol)及びDBU(1.08g、7.09mmol)を加えた。溶液を50℃で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/2)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、3-(シアノメチル)-3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-カルボン酸ベンジル(3.00g(88%))を淡黄色の油状物として得た。LC/MS(方法7、ESI):[M+H]+=325.2、保持時間=1.47分
10%Pd/C(100mg)のメタノール(15mL)中混合物に、3-(シアノメチル)-3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-カルボン酸ベンジル(3.00g、9.24mmol)を加えた。反応混合物を、水素雰囲気下(バルーン)、室温で一晩撹拌した。触媒を濾別した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(87/13)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(1.60g(91%))を無色の油状物として得た。LC/MS(方法7、ESI):[M+H]+=191.3、保持時間=0.65分
中間体C
2-(3-ベンジルアゼチジン-3-イル)アセトニトリル
ベンジルマグネシウムクロリドの溶液(5.00mL、THF中 1M)を、窒素下、3-(シアノメチリデン)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル(500mg、2.57mmol)とCuI(196mg、1.02mmol)とのTHF(40mL)中混合物に滴加した。溶液を室温で一晩撹拌した。次に、反応物を水(5ml)の添加によりクエンチした。固体を濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(2/3)で溶離するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、濃縮して、3-ベンジル-3-(シアノメチル)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル(460mg(62%))を黄色の油状物として得た。
3-ベンジル-3-(シアノメチル)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル(230mg、0.803mmol)、酢酸エチル(2.00ml)及びHCl/ジオキサン(8mL、4M)の溶液を、室温で2時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を水(5mL)中に溶解した。重炭酸ナトリウムで溶液のpH値を9に調整した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物をDCM/MeOH(5/1)(30ml)中に溶解し、固体を濾過した。次に、濾液を濃縮して、2-(3-ベンジルアゼチジン-3-イル)アセトニトリル(200mg)を淡黄色の固体として得た。LC/MS(方法7、ESI):[M+H]+=187.3、保持時間=0.67分
中間体D
2-[3-(4-クロロ-3-メチルフェニル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル
窒素でパージした30mLのマイクロ波バイアル内に、[Rh(COD)Cl]2(40.0mg、0.081mmol)、3-(シアノメチリデン)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル(500mg、2.57mmol)、(4-クロロ-3-メチルフェニル)ボロン酸(658mg、3.86mmol)及び水酸化カリウム(217mg、3.86mmol)、並びにジオキサン(10.0mL)を加えた。次に、反応容器を脱気し、窒素を3回充填した。反応混合物を、マイクロ波を用いて100℃で1時間照射した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を酢酸エチル/石油エーテル(1/9)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、3-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-3-(シアノメチル)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル(547mg(66%))を黄色の固体として得た。
4M HClジオキサン溶液(5mL、20mmol)を、3-(4-クロロ-3-メチルフェニル)-3-(シアノメチル)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル(547mg、1.70mmol)のジオキサン(20mL)中溶液に加えた。混合物を25℃で15時間撹拌し、減圧下で濃縮した。水(5mL)を加え、重炭酸ナトリウムで溶液のpH値を9に調整した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物をDCM(10mL)及びMeOH(10mL)中に再溶解した。固体を濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、2-[3-(4-クロロ-3-メチルフェニル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(500mg)を黄色の油状物として得た。
中間体E
2-[3-(モルホリン-4-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル
3-(シアノメチリデン)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル(200mg、1.03mmol)及びモルホリン(860mg、9.87mmol)のメタノール(2mL)中溶液を、還流温度で一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷やし、減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/ヘキサン(勾配、ヘキサン中 50%酢酸エチル~100%酢酸エチル)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、3-(シアノメチル)-3-(モルホリン-4-イル)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル(200mg(69%))を無色の油状物として得た。
3-(シアノメチル)-3-(モルホリン-4-イル)アゼチジン-1-カルボン酸tert-ブチル(210mg、0.746mmol)を、4M HClジオキサン溶液(6.00mL)に加えた。溶液を25℃で15時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を水(5mL)中に溶解した。炭酸カリウムで溶液のpHを8に調整した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物をDCM(30mL)及びMeOH(30mL)中に再溶解した。固体を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、2-[3-(モルホリン-4-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(260mg)を白色の固体として得た。
中間体F
2-[3-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)フェニル]-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オン
窒素でパージした8mLのマイクロ波バイアルに、8-ブロモ-2-ヨード-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン(300mg、0.926mmol)、Pd2(dba)3(80.0mg、0.087mmol)、2-(3-アミノフェニル)-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(200mg、0.857mmol)、XantPhos(99.0mg、0.171mmol)、Cs2CO3(580mg、1.78mmol)及びジオキサン(7.00mL)を入れた。反応容器を脱気し、窒素を3回充填した。溶液を油浴中で60℃にて一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(20/1)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、2-[3-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)フェニル]-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(200mg(54%))を黄色の固体として得た。
実施例1(一般手順A)
2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-([1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル
窒素でパージした30mLのマイクロ波バイアル内に、2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体A、1.50g、3.57mmol)、Cs2CO3(2.34g、7.18mmol)、Pd2(dba)3(743mg、0.811mmol)、BINAP(893mg、1.43mmol)、ジオキサン(20.0mL)及び2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(中間体B、682mg、3.58mmol)を入れた。反応容器を脱気し、窒素を3回充填した。溶液を100℃で一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(90/10)で溶離するシリカゲルカラムに適用した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、分取HPLC(カラム、XBridge Shield RP18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相、水(0.05%NH4OH)及びACN(8分で15.0%ACNを45.0%にまで);検出器、UV 254/220nm)で精製して、標題化合物(718mg、38%)をオフホワイト色の固体として得た。LC/MS(方法1、ESI):[M+H]+=529.3、保持時間=1.42分;1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ (ppm) 8.00 (d, J=6.4 Hz, 1 H), 7.97 (s, 1 H), 7.81 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 6.83 (dd, J=8.0, 6.8 Hz, 1H), 6.48 (d, J=8.0 Hz, 1H), 5.12 (s, 2H), 4.60 (d, J=8.8 Hz, 2H), 4.54 (d, J=8.8 Hz, 2H), 3.63-3.54 (m, 4H), 3.50 (s, 2H), 2.56 (q, J =7.6 Hz, 2H), 2.50-2.44 (m, 4H), 2.33 (s, 3H), 1.24 (t, J=7.6 Hz, 3H)。
実施例2(一般手順B)
2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-[(1H-ピラゾール-4-イル)アミノ]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル
窒素でフラッシュしたマイクロ波管に、Pd2(dba)3(700mg、0.764mmol)、BINAP(930mg、1.49mmol)、ジオキサン(16.0mL) Cs2CO3(2.50g、7.67mmol)、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(中間体B、850mg、4.46mmol)及びN-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-ピラゾール-4-アミン(1.50g、3.66mmol)を入れた。容器を脱気し、窒素を3回充填した。反応混合物を100℃で一晩撹拌し、室温まで放冷した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(勾配、石油エーテル中 0~50%酢酸エチル)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-[(1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(1.70g(89%))を黄色の固体として得た。
2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-[(1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(4.35g、8.38mmol)のジクロロメタン(400mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(40mL)を室温で加えた。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタン(50mL)中に再溶解し、DIPEA(2mL)を加えた。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(DCM中 3%~5%MeOH)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。残留物を、分取HPLC(カラム、XBridge Shield RP18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相、水(0.05%NH4OH)及びACN(7分で15.0%ACNを45.0%にまで);検出器、UV 254/220nm)で更に精製して、標題化合物(300.2mg、9.2%)を白色の固体として得た。LC/MS(方法2、ESI):[M+H]+=389.1、保持時間=2.42分; 1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ (ppm) 8.02 (d, J=6.8 Hz, 1H), 7.92-7.81 (broad, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.79-7.55 (broad, 1H), 7.51 (s, 1H), 6.84 (dd, J=7.6, 6.8 Hz, 1H), 6.51 (d, J=7.6 Hz, 1H), 4.61 (d, J=8.8 Hz, 2H), 4.55 (d, J=8.8 Hz, 2H), 3.55 (s, 2H), 2.56 (q, J=7.6 Hz, 2H), 1.24 (t, J=7.6 Hz, 3H)。
実施例3(一般手順C)
2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(2-[[1-(3-ヒドロキシプロピル)-1H-ピラゾール-4-イル]アミノ]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル
50mLのフラスコ(窒素でフラッシュ)に、3-ブロモプロパン-1-オール(370mg、2.66mmol)、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-[(1H-ピラゾール-4-イル)アミノ]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]-ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(200mg、0.515mmol)、Cs2CO3(840mg、2.58mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)を加えた。反応混合物を90℃で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(10/1)で溶離するシリカゲルのショートパッドを通して濾過した。粗生成物を、分取HPLC(カラム、XBridge Shield RP18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相:水(0.05%NH4OH)及びACN(7分で15.0%ACNを45.0%にまで);検出器、UV 254/220nm)で精製して、標題化合物(3.7mg、1.6%)を白色の固体として得た。LC/MS(方法3、ESI):[M+H]+=447.2、保持時間=1.63分。1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ (ppm) 8.01 (d, J=6.6 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 6.84 (dd, J=7.5, 6.6 Hz, 1H), 6.50 (d, J=7.5 Hz, 1H), 4.59 (d, J=8.7 Hz, 2H), 4.54 (d, J=8.7 Hz, 2H), 4.24 (t, J=6.9 Hz, 2H), 3.64-3.54 (m, 4H), 2.55 (q, J=7.5 Hz, 2H), 2.10-2.02 (m, 2H), 1.23 (t, J=7.65 Hz, 3H)。
実施例4(一般手順D)
1-[[(1-[2-[4-([8-[3-(シアノメチル)-3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]アセチル]ピペリジン-4-イル)アミノ]メチル]シクロプロパン-1-カルボニトリル
丸底フラスコ中の1-(2-ブロモアセチル)ピペリジン-4-オン(490mg、2.22mmol)に、N-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-1H-ピラゾール-4-アミン(300mg、1.07mmol)、Cs2CO3(1.08g、3.31mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(15.0mL)を加えた。溶液を60℃で1時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(20/1)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、1-[2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]アセチル]ピペリジン-4-オン(260mg)を黄色の固体として得た。
NaBH(OAc)3(820mg、3.86mmol)を、1-[2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]アセチル]ピペリジン-4-オン(400mg、0.956mmol)及び1-(アミノメチル)シクロプロパン-1-カルボニトリル(190mg、1.97mmol)のジクロロメタン(20mL)中溶液に少量ずつ加えた。溶液を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(10/1)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、1-[[(1-[2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]アセチル]ピペリジン-4-イル)アミノ]メチル]シクロプロパン-1-カルボニトリル(400mg(84%))を黄色の固体として得た。
窒素ガスでパージした8mLのマイクロ波バイアルに、1-[[(1-[2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]アセチル]ピペリジン-4-イル)アミノ]メチル]シクロプロパン-1-カルボニトリル(100mg、0.201mmol)、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(中間体B、50.0mg、0.263mmol)、Cs2CO3(135mg、0.414mmol)、Pd2(dba)3.CHCl3(42.0mg、0.041mmol)、BINAP(51.0mg、0.082mmol)及びジオキサン(6.00mL)を入れた。容器を脱気し、窒素を3回充填した。混合物を100℃で一晩撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(10/1)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、分取HPLC(カラム、XBridge Shield RP18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相:水(0.05%NH4OH)及びACN(10分で10.0%ACNを50.0%にまで);検出器、UV 254/220nm)で精製して、標題化合物(59.5mg、49%)を白色の固体として得た。LC/MS(方法4、ESI):[M+H]+=608.4、保持時間=2.03分;1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ (ppm) 8.00 (d, J=6.3 Hz, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 6.83 (dd, J=6.6, 6.3 Hz, 1H), 6.48 (d, J=6.6 Hz, 1H), 5.15 (d, J=16.5 Hz, 1H), 5.07 (d, J=16.5 Hz, 1H), 4.60 (d, J=8.7 Hz, 2H), 4.54 (d, J=8.7 Hz, 2H), 4.40-4.30 (m, 1H), 4.00-3.85 (m, 1H), 3.60-3.50 (m, 3H), 3.30-3.15 (m, 1H), 2.87-2.83 (m, 2H), 2.73 (s, 2H), 2.54 (q, J=7.5 Hz, 2H), 2.05-1.85 (m, 2H), 1.40-1.26 (m, 1H), 1.25-1.20 (m, 5H), 0.98 (dd, J=7.2, 4.8 Hz, 2H)。
実施例5(一般手順E)
2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-([3-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]フェニル]アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル
窒素でパージした8mLのマイクロ波バイアルに、2-[3-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)フェニル]-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体F、150mg、0.349mmol)、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(中間体B、70.0mg、0.368mmol)、Pd2(dba)3(70.0mg、0.076mmol)、BINAP(90.0mg、0.145mmol)、Cs2CO3(250mg、0.767mmol)及びジオキサン(6mL)を入れた。反応容器を脱気し、窒素を3回充填した。溶液を、油浴中で100℃にて一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(10/1)で溶離するシリカゲルのショートパッドに通した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。残留物を、分取HPLC(カラム、XBridge Shield RP18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相、水(0.05%NH4OH)及びACN(9分で15.0%ACNを45.0%にまで);検出器、UV 254/220nm)で更に精製して、標題化合物(57.4mg、30%)を白色の固体として得た。LC/MS(方法5、ESI):[M+H]+=539.4、保持時間=2.45分;1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ (ppm) 7.96 (d, J=6.9 Hz, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.41 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.28 (dd, J=8.1, 7.5 Hz, 1H), 6.92 (s, 1H), 6.83 (d, J=7.5 Hz, 1H), 6.75 (dd, J=7.5, 6.9 Hz, 1H), 6.31 (d, J=7.5 Hz, 1H), 4.61 (s, 4H), 3.76 (s, 2H), 3.75-3.65 (m, 2H), 3.55-3.45 (m, 2H), 3.41 (s, 2H), 2.50 (q, J=7.5 Hz, 2H), 2.45-2.35 (m, 2H), 2.27-2.15 (m, 5H), 1.20 (t, J=7.5 Hz, 3H)。
実施例6(一般手順F)
2-[3-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-([1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル
水素化ナトリウム(鉱油中 60%、384mg、9.44mmol)を、窒素下、0℃で、2-[4-([8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体A、2.00g、4.77mmol)のDMF(30mL)中溶液に数回に分けて加えた。得られた溶液を室温で0.5時間撹拌し、その後、(Boc)2O(2.10g、9.62mmol)を加えた。溶液を室温で2時間撹拌した。水(10mL)を加え、混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(勾配、DCM中 5%MeOH~DCM中 10%MeOH)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(2.20g(89%))を淡黄色の固体として得た。LC/MS(方法6、ESI):[M+H]+=519.2、保持時間=0.96分。
窒素でパージした10mLのマイクロ波バイアルに、N-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(200mg、0.385mmol)、Pd2(dba)3(70.0mg、0.0760mmol)、BINAP(96.0mg、0.154mmol)、3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]アゼチジン(160mg、0.514mmol)、Cs2CO3(252mg、0.773mmol)及びジオキサン(4.00mL)を入れた。得られた溶液を、油浴中で100℃にて一晩撹拌した。反応混合物を冷却し、混合物を減圧下で濃縮した。反応を上記と同じ規模で7回繰り返した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(勾配、DCM中 5%MeOH~DCM中 10%MeOH)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N-(8-[3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]アゼチジン-1-イル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル)-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(1.94g)を淡黄色の固体として得た。LC/MS(方法6、ESI): [M+H]+=750.2、保持時間=1.40分。
TBAF(2.70mL、THF中 1M、2.70mmol)を、窒素下、N-(8-[3-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]アゼチジン-1-イル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル)-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(2.00g、2.66mmol)の無水THF(30mL)中溶液に加えた。溶液を室温で2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(勾配、DCM中 10%MeOH~DCM中 20%MeOH)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N-[8-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(1.35g(99%))を淡黄色の固体として得た。
NMO(430mg、3.67mg)を、ジクロロメタン(30mL)中のN-[8-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(1.55g、3.03mmol)及びTPAP(55.0mg、0.157mmol)の溶液に加えた。溶液を室温で一晩撹拌し、混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(勾配、DCM中 10%MeOH~DCM中 20%MeOH)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]-N-[8-(3-オキソアゼチジン-1-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]カルバミン酸tert-ブチル(765mg(50%))を淡黄色の固体として得た。
窒素でパージした50mLの丸底フラスコに、THF(10mL)中の(シアノメチル)ホスホン酸ジエチル(292mg、0.824mmol)を入れた。この溶液に、水素化ナトリウム(60.0mg、1.50mmol、鉱油中 60%)を0℃で加えた。得られた溶液を室温で0.5時間撹拌した。得られた溶液の半分を、THF(10mL)中のN-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]-N-[8-(3-オキソアゼチジン-1-イル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]カルバミン酸tert-ブチル(765mg、1.50mmol)に加えた。得られた溶液を室温で更に2時間撹拌した。水(1mL)を加えた。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(6/1)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N-[8-[3-(シアノメチリデン)アゼチジン-1-イル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(635mg、79%)を淡黄色の固体として得た。LC/MS(方法6、ESI):[M+H]+=533.4、保持時間=1.01分。
4-ブロモ-1H-ピラゾール(102mg、0.694mmol)を、窒素下、N-[8-[3-(シアノメチリデン)アゼチジン-1-イル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(75.0mg、0.141mmol)のCH3CN(5mL)中溶液に加えた。DBU(15.0mg、0.0990mmol)を加え、混合物を、油浴中で50℃にて1.5時間撹拌した。反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(6/1)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N-[8-[3-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(シアノメチル)アゼチジン-1-イル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(85.0mg(89%))を淡黄色の油状物として得た。
トリフルオロ酢酸(0.40mL)を、N-[8-[3-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(シアノメチル)アゼチジン-1-イル]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-N-[1-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-オキソエチル]-1H-ピラゾール-4-イル]カルバミン酸tert-ブチル(75.0mg、0.110mmol)のジクロロメタン(8.00mL)中溶液に滴加した。溶液を室温で2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した後、DCM(5mL)及びDIPEA(0.20mL)を加えた。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(勾配、DCM中 10%MeOH~DCM中 20%MeOH)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、分取HPLC(カラム、XBridge Shield RP18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相、水(0.05%NH4OH)及びACN(7分で15.0%ACNを45.0%にまで);検出器、UV 254/220nm)で更に精製して、標題化合物(18.3mg、29%)をオフホワイト色の固体として得た。LC/MS(方法1、ESI):[M+H]+=581.2;保持時間=1.43分;1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ (ppm) 8.18 (s, 1H), 7.99 (d, J=6.6 Hz, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 6.82 (dd, J=7.8, 6.6 Hz, 1H), 6.48 (d, J=7.8 Hz, 1H), 5.10 (s, 2H), 4.62 (d, J=8.7 Hz, 2H), 4.53 (d, J=8.7 Hz, 2H), 3.67-3.57 (m, 4H), 3.55 (s, 2H), 2.53-2.39 (m, 4 H), 2.30 (s, 3H)。
実施例127(一般手順G)
2-(3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル
N-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(1.00g、3.41mmol、中間体G)のジオキサン(12.0mL)中溶液に、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(780mg、4.10mmol、中間体B)、Pd2(dba)3.CHCl3(710mg、0.686mmol)、BINAP(852mg、1.36mmol)及びCs2CO3(2.23g、6.84mmol)を窒素下で加えた。得られた溶液を、油浴中で100℃にて一晩撹拌した。反応混合物を冷却した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1/1~3/1)で溶離するシリカゲルカラムに適用した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、以下の条件を用いた分取HPLC[カラム、XBridge Prep C18 OBD Column、30*100mm、5um;移動相、水(10MMOL/L NH4HCO3)及びACN(5分で25.0%ACNを57.0%にまで);検出器、UV 254/220nm]で更に精製し、続いて、t-BuOMe(3ml/100mg)中で再結晶化して、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-[(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(714mg(52%))をオフホワイト色の固体として得た。LC/MS(方法2、ESI):[M+H]+=403.2、保持時間=2.71分;1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ (ppm) 8.01 (dd, J=6.8, 0.8 Hz, 1H), 7.85 (d, J=0.8 Hz, 1H), 7.79 (d, J=0.8 Hz, 1H), 7.54 (d, J=0.8 Hz, 1H), 7.50 (d, J=0.8 Hz, 1H), 6.83 (dd, J=8.0, 6.8 Hz, 1H), 6.49 (dd, J=8.0, 0.8 Hz, 1H), 4.58 (d, J=8.8 Hz, 2H), 4.53 (d, J=8.8 Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.54 (s, 2H), 2.55 (q, J=7.6 Hz, 2H), 1.23 (t, J=7.6 Hz, 3H)。
実施例152(一般手順H)
2-(1-(2-((1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル)-3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル
5-ニトロ-1H-1,2,3-トリアゾール(300mg、2.63mmol)のテトラヒドロフラン(20.0mL)中溶液に、水素化ナトリウム(215mg、鉱油中 60%分散液、5.37mmol)を加えた。次に、[2-(クロロメトキシ)エチル]トリメチルシラン(700mg、4.19mmol)を幾つかのバッチで加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。次に、反応物を水(1ml)の添加によりクエンチした。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:4)を用いたシリカゲルカラムに適用して、5-ニトロ-1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール(400mg(62%))を黄色の固体として得た。TLC:Rf=0.3;酢酸エチル/ヘキサン=1/8。
5-ニトロ-1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール(400mg、1.63mmol)のエタノール(20mL)及び水(2.0mL)中溶液に、NH4Cl(710mg、13.2mmol)及び鉄粉(740mg、13.2mmol)を加えた。得られた混合物を、油浴中で90℃にて2時間撹拌し、室温まで放冷し、そして、セライトに通して濾過し、エタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(4:1)を用いたシリカゲルカラムに適用して、1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-アミン(300mg(85%))を黄色の油状物として得た。TLC:Rf=0.3; 酢酸エチル/ヘキサン=1/1。
1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-アミン(250mg、1.16mmol)のジオキサン(5.0mL)中溶液に、Xantphos(75.0mg、0.130mmol)、8-ブロモ-2-ヨード-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン(450mg、1.38mmol)、Pd2(dba)3.CHCl3(60.0mg、0.0580mmol)及びCs2CO3(800mg、2.45mmol)を窒素下で加えた。得られた混合物を、油浴中で70℃にて一晩撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)で溶離するシリカゲルカラムに適用して、N-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-アミン(200mg(42%))を黄色の固体として得た。TLC:Rf=0.3; 酢酸エチル/ヘキサン=1/1。
N-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-アミン(100mg、0.244mmol)のジオキサン(5.0mL)中溶液に、BINAP(33.0mg、0.0530mmol)、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(55.0mg、0.289mmol)、Pd2(dba)3.CHCl3(30.0mg、0.0290mmol)及びCs2CO3(160mg、0.491mmol)を窒素下で加えた。得られた混合物を油浴中で100℃にて一晩撹拌し、室温まで放冷し、そして、減圧下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(2:1)で溶離するシリカゲルカラムに適用して、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-[(1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)アミノ]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(80mg(63%))を黄色の固体として得た。TLC:Rf=0.3;酢酸エチル/ヘキサン=2/1。
トリフルオロ酢酸(1mL)を、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-[(1-[[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)アミノ]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(80.0mg、0.154mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に加えた。溶液を室温で4時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。DIPEAで溶液のpH値を7に調整した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(4:1)で溶離するシリカゲルカラムに適用した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、以下の条件を用いた分取HPLC[(2#-AnalyseHPLC-SHIMADZU(HPLC-10)):カラム、XBridge Shield RP18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相、Waters(0.05%NH3H2O)及びACN(10分で15.0%ACN~を55.0%にまで);検出器、UV254/220nm]で更に精製して、2-[3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-[2-[(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)アミノ]-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-イル]アゼチジン-3-イル]アセトニトリル(20mg(33%))を白色の固体として得た。LC/MS(方法3、ESI):[M+H]+=390.2、保持時間=1.52分;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ (ppm) 14.19 (s, 1H), 10.01 (s, 1H), 8.16 (dd, J=6.8, 1.0 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.96 (d, J=0.8 Hz, 1H), 7.48 (d, J=0.8 Hz, 1H), 6.88 (dd, J=7.6, 6.8 Hz, 1H), 6.48 (dd, J=7.6, 1.0 Hz, 1H), 4.61 (d, J=8.8 Hz, 2H), 4.49 (d, J=8.8 Hz, 2H), 3.65 (s, 2H), 2.47 (q, J=7.6 Hz, 2H), 1.16 (t, J=7.6 Hz, 3H)。
実施例153(一般手順I)
2-(1-(2-((1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-8-イル)-3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル
3-クロロピラジン-2-アミン(2000mg、15.44mmol)のジオキサン(80mL)中溶液に、エトキシカルボニルイソチオシアナート(2227mg、2.01mL、16.98mmol)を25℃で加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。次に、反応混合物を濃縮し、乾燥した。残留物を更に精製することなく次の工程に用いた。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=261.0、保持時間=1.17分。
ヒドロキシルアミン塩酸塩(5364mg、77.19mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(8.08mL、46.31mmol)のエタノール(24mL)及びメタノール(24mL)中溶液に、N-[(3-クロロピラジン-2-イル)カルバモチオイル]カルバミン酸エチル(4024mg、15.44mmol)のエタノール(24mL)及びメタノール(24mL)中溶液を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に、反応混合物を3時間、60℃まで加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮し、乾燥した。残留物を酢酸エチル中に溶解し、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、8-クロロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-アミン(725mg、28%)を黄褐色の固体として得、これを更に精製することなく次の工程に用いた。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=170.2、保持時間=1.01分。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.74 (d, J=4.2 Hz, 1H), 7.81 (d, J=4.3 Hz, 1H), 6.71 (s, 2H)。2工程後の総収率は28%である。
2-(3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(185mg、0.97mmol)、8-クロロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-2-アミン(181mg、1.07mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.36mL、7.78mmol)のジメチルスルホキシド(6mL)中溶液を、マイクロ波管中で180℃にて40分間撹拌した。完了後、酢酸エチルを反応混合物に加え、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして、濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、100~200メッシュ、ジクロロメタン中 0~20%メタノール(methonal))で精製して、2-(1-(2-アミノ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-8-イル)-3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(110mg、35%)をオフホワイト色の固体として得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=324.2、保持時間=1.28分。
2-(1-(2-アミノ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-8-イル)-3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(188mg、0.58mmol)及びp-トルエンスルホン酸(425mg、2.23mmol)のアセトニトリル(10mL)中溶液に、ヨウ化カリウム(318mg、1.92mmol)及び亜硝酸ナトリウム(101mg、1.46mmol)の水(1.5mL)中溶液を24℃で加えた。18時間後、酢酸イソプロピルを反応混合物に加えた。得られた溶液を、水(2×)及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして、濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、100~200メッシュ、ジクロロメタン中 0~20%メタノール)で精製して、2-(3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(2-ヨード-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-8-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(115mg、46%)を淡橙色の固体として得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=435.1、保持時間=1.56分。
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(8.0mg、0.0092mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(5.0mg、0.0092mmol)、炭酸セシウム(120mg、0.37mmol)、酢酸パラジウム(ii)(2mg、0.0092mmol)、2-(3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(2-ヨード-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-8-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(40mg、0.092mmol)、1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール-4-アミン(79mg、0.37mmol)を、スクリューキャップバイアルに加えた。次に、5分間、反応バイアルに窒素を通してパージした。固体を、1,4-ジオキサン(1mL)及び1,2-ジメトキシエタン(1mL)中に溶解した。反応フラスコを窒素でパージした。バイアルを90℃のヒートブロック内に入れ、1時間撹拌するにまかせた。粗残留物を酢酸イソプロピル中に溶解し、セライトに通して濾過した。粗残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン中 0~20%メタノール)で精製して、2-(3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(2-((1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-8-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(23mg、48%)を得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=520.3、保持時間=1.78分。
2-(3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(2-((1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-8-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(15mg、0.029mmol)のジクロロメタン(2mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(0.2mL)を加えた。得られた溶液を、N2下、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、乾燥した。この残留物に、ジクロロメタン(0.5mL)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.02mL)を加えた。得られた溶液を室温で5分間撹拌し、次に、濃縮し、乾燥した。残留物を、分取RP-HPLC(水中 5~50%アセトニトリル+0.1%水酸化アンモニウム、Gemini-NX C18 5um、110 A、50×30mm、10分)で精製して、2-(1-(2-((1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピラジン-8-イル)-3-(4-エチル-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(5mg、36%)を得た。LC/MS(方法8、ESI):[M+H]+=309.2、保持時間=1.37分。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.28 (s, 1H), 8.11 (d, J=4.5 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.69 - 7.66 (m, 2H), 7.51 (d, J=4.6 Hz, 1H), 7.48 (s, 1H), 4.82 - 4.75 (m, 2H), 4.70 - 4.63 (m, 2H), 3.71 (s, 2H), 2.49 - 2.42 (m, 2H), 1.16 (t, J=7.5 Hz, 3H)。
LC/MS条件
LC/MS 方法1:
C18逆相カラム(50×3.0mm Shim-pack XR-ODS、2.2μm 粒径)を備えるSHIMADZU 20A HPLC、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸で溶離。勾配:
勾配-時間 流速 mL/分 %A %B
0.01 1.0 95 5
2.20 1.0 0 100
3.20 1.0 0 100
3.30 1.0 95 5
検出-UV(254nm)及びELSD
LC/MS 方法2:
C18-逆相カラム(50×3.0mm Shim-pack XR-ODS、2.2μm 粒径)を備えるSHIMADZU 20A HPLC、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸で溶離。勾配:
勾配-時間 流速 mL/分 %A %B
0.01 1.2 95 5
3.50 1.2 30 70
3.70 1.2 0 100
4.50 1.2 0 100
4.75 1.2 95 5
検出-UV(254nm)及びELSD
LC/MS 方法3:
C18逆相カラム(50×3.0mm Shim-pack XR-ODS、2.2μm 粒径)を備えるSHIMADZU 20A HPLC、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸で溶離。勾配:
勾配-時間 流速 mL/分 %A %B
0.01 1.2 95 5
2.00 1.2 5 95
2.70 1.2 5 95
2.75 1.2 95 5
検出-UV(254nm)及びELSD
LC/MS 方法4:
C18逆相カラム(50×3.0mm Shim-pack XR-ODS、2.2μm 粒径)を備えるSHIMADZU 20A HPLC、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸で溶離。勾配:
勾配-時間 流速 mL/分 %A %B
0.01 1.0 80 20
3.00 1.0 60 40
3.60 1.0 0 100
4.60 1.0 0 100
4.80 1.0 95 5
検出-UV(254nm)及びELSD
LC/MS 方法5:
C18逆相カラム(50×3.0mm Shim-pack XR-ODS、2.2μm 粒径)を備えるSHIMADZU 20A HPLC、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸で溶離。勾配:
勾配-時間 流速 mL/分 %A %B
0.01 1.0 95 5
3.50 1.0 30 70
3.80 1.0 0 100
4.60 1.0 0 100
4.75 1.0 95 5
検出-UV(254nm)及びELSD
LC/MS 方法6:
C18逆相カラム(50×3.0mm Shim-pack XR-ODS、2.2μm 粒径)を備えるSHIMADZU 20A HPLC、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸で溶離。勾配:
勾配-時間 流速 mL/分 %A %B
0.01 1.2 95 5
1.10 1.2 0 100
1.70 1.2 0 100
1.75 1.2 95 5
検出-UV(25nm)及びELSD
LC/MS 方法7
C18逆相カラム(50×3.0mm Shim-pack XR-ODS、2.2μm 粒径)を備えるSHIMADZU 20A HPLC、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸で溶離。勾配:
勾配-時間 流速 mL/分 %A %B
0.01 1.0 95 5
1.20 1.0 0 100
2.20 1.0 0 100
2.30 1.0 95 5
LC/MS 方法8:
C18逆相カラム(Waters BEH 30×2.1mm、1.7μm 粒径)を備えるSHIMADZU LCMS-2020、溶媒A:水+0.1%ギ酸;溶媒B:アセトニトリル+0.1%ギ酸で溶離。勾配:
勾配-時間(分) 流速 ml/分 %A %B
0 0.7 98 2
2 0.7 2 98
2.19 0.7 2 98
2.2 0.7 98 2
2.5 0.7 98 2
検出-UV(254nm)
1H NMRスペクトルを周囲温度で、5mmブロードバンド液体プローブBBFO(ATM+Zを備える)を備えるBruker Avance III 300(300MHz)分光計、及び5mmブロードバンド液体プローブBBFO(ATM+Zを備える)を備えるBruker Avance III HD(400MHz)分光計を使用して記録した。
下記表中の実施例を上記されたものと類似の方法を使用して調製した。一般的な手順Aを使用したと列記された化合物を、中間体A又は他の置換されているN-[8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル]-1H-ピラゾール-4-アミンと種々のアゼチジン中間体とをカップリングさせることにより調製することができる。様々なクラスのアゼチジン中間体を、上記された一般的な方法により調製することができる。
JAK酵素アッセイを以下のように行った
Caliper LabChip(登録商標)技術(Caliper Life Sciences, Hopkinton, MA)を用いてJAK3(Val-Ala-Leu-Val-Asp-Gly-Tyr-Phe-Arg-Leu-Thr-Thr、5-カルボキシフルオレセインでN末端が蛍光標識されている)に由来するペプチドのリン酸化をモニタリングすることによって、単離した組み換えのJAK1及びJAK2のキナーゼドメインの活性を測定した。阻害定数(Ki)を決定するために、化合物をDMSOで段階的に希釈し、そして、最終DMSO濃度が2%になるように、キナーゼ反応液(精製酵素(1.5nM JAK1又は0.2nM JAK2)、100mM HEPESバッファ(pH7.2)、0.015% Brij-35、1.5μM ペプチド基質、ATP(25μM)、10mM MgCl2、4mM DTTを含有する) 50μLに添加した。反応物を384ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレート内で22℃にて30分間インキュベートし、次いで、EDTA含有溶液 25μL(100mM HEPESバッファ(pH7.2)、0.015% Brij-35、150mM EDTA)を添加することによって停止させたところ、最終EDTA濃度は50mMになった。キナーゼ反応の終了後、製造業者の仕様書によりCaliper LabChip(登録商標)3000を用いて、総ペプチド基質の分率としてリン酸化生成物の比率を決定した。次いで、ATP競合阻害用に改変したMorrison緊密結合モデル(Morrison, J.F., Biochim. Biophys. Acta. 185:269-296 (1969);William, J.W. and Morrison, J.F., Meth. Enzymol., 63:437-467 (1979))[Ki=Ki,app/(1+[ATP]/Km,app)]を用いてKi値を決定した。
細胞株におけるJAK1経路アッセイを以下のとおり実施した:
JAK1依存性STATリン酸化を測定するために設計された細胞ベースアッセイにおいて阻害能(EC50)を決定した。上述のとおり、Jak/Statシグナル伝達経路をブロックすることによるIL-4、IL-13及びIL-9のシグナル伝達の阻害は、前臨床肺炎症モデルにおいて喘息の症状を軽減することができる(Mathew et al., 2001, J. Exp. Med. 193(9): 1087-1096;Kudlacz et. al., 2008, Eur. J. Pharmacol. 582(1-3): 154-161)。
1つのアッセイアプローチでは、American Type Culture Collection (ATCC;Manassas, VA)から入手したTF-1ヒト赤白血病細胞を用いて、IL-13刺激の下流のJAK1依存性STAT6リン酸化を測定した。アッセイで使用する前に、0.5%チャコール/デキストランで処理したウシ胎仔血清(FBS)、0.1mM 非必須アミノ酸(NEAA)及び1mM ピルビン酸ナトリウムを補給したOptiMEM培地(Life Technologies, Grand Island, NY)中で、TF-1細胞を一晩GM-CSF欠乏させた。300,000細胞/ウェルを用いて、384ウェルプレートの無血清OptiMEM培地中でアッセイを実施した。第2のアッセイアプローチでは、ATCCから入手したBEAS-2Bヒト気管支上皮細胞を、実験の1日前に96ウェルプレートに100,000細胞/ウェルでプレーティングした。完全成長培地(気管支上皮基本培地プラスbulletkit;Lonza;Basel, Switzerland)においてBEAS-2Bアッセイを行った。
試験化合物をDMSOで1:2に段階的に希釈し、次いで、使用直前に培地で1:50希釈した。希釈した化合物を、最終DMSO濃度が0.2%になるように細胞に添加し、そして、37℃で30分間(TF-1アッセイについて)又は1時間(BEAS-2Bアッセイについて)インキュベートした。次いで、各個々のロットについて既に決定していたとおりの、それぞれのEC90濃度のヒト組み換えサイトカインで細胞を刺激した。37℃で15分間、細胞をIL-13(R&D Systems, Minneapolis, MN)で刺激した。TF-1細胞の反応は、10×lysisバッファ(Cell Signaling Technologies, Danvers, MA)を直接添加することによって停止させたが、一方、BEAS-2B細胞のインキュベートは、培地を除去し、そして、1×lysisバッファを添加することによって停止させた。得られたサンプルを-80℃でプレート内にて冷凍した。MesoScale Discovery(MSD)技術(Gaithersburg, MD)を用いて、細胞溶解物中でSTAT6リン酸化の化合物媒介性の阻害を測定した。DMSO対照について測定されたものに対してSTATリン酸化を50%阻害するために必要な化合物の濃度として、EC50値を決定した。