以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1を参照して、実施の形態1に係る発光モジュール1を説明する。本実施の形態の発光モジュール1は、深紫外光19を放射し得るように構成された半導体発光素子10と、半導体発光素子10を載置する基台30とを主に備える。本実施の形態の発光モジュール1は、深紫外光19を放射し得るように構成された半導体発光素子10と、半導体発光素子10を封止する液体62と、半導体発光素子10と液体62とを収容するパッケージ(30,60)とを主に備えてもよい。
基台30に用いられる材料として、金属、樹脂、セラミックを例示することができる。基台30は、高い熱伝導性を有する材料から構成され、ヒートシンクとして機能してもよい。
半導体発光素子10は、サブマウント20を介して、基台30の上に載置されてもよい。サブマウント20の材料として、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al2O3)、炭化珪素(SiC)、ダイヤモンド、珪素(Si)を例示することができる。サブマウント20は、5W/(m・K)以上高い熱伝導性を有する材料から構成されてもよい。サブマウント20は、160W/(m・K)以上250W/(m・K)以下の熱伝導率を有する窒化アルミニウム(AlN)から構成されてもよい。半導体発光素子10が載置されるサブマウント20の表面に、半導体発光素子10からの深紫外光19を反射するために、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)または銀(Ag)などからなる反射層が設けられてもよい。サブマウント20は、金-すず(AuSn)などからなる共晶半田、銀ペーストなどの導電性ペーストまたは接着剤を用いて、基台30に固着されてもよい。
半導体発光素子10が載置されるサブマウント20の表面に、第1の導電パッド21と第2の導電パッド22とが設けられてもよい。導電性を有する接合部材25を用いて、半導体発光素子10のn型電極15とサブマウント20の第1の導電パッド21とが接続され、半導体発光素子10のp型電極16とサブマウント20の第2の導電パッド22とが接続される。接合部材25として、例えば、金(Au)-すず(Sn)、銀(Ag)-すず(Sn)などからなる半田、金(Au)や銅(Cu)などからなる金属バンプ、または、銀ペーストなどの導電性ペーストが用いられ得る。
半導体発光素子10はサブマウント20上にフリップチップボンディングされてもよい。すなわち、半導体発光素子10の基板11側をサブマウント20及び基台30とは反対側に向けるとともに、半導体発光素子10の半導体層18(n型半導体層12、活性領域13、p型半導体層14)側をサブマウント20及び基台30の側に向けて、半導体発光素子10はサブマウント20上に載置されてもよい。半導体発光素子10がサブマウント20の上にフリップチップボンディングされているため、活性領域13から放射される深紫外光19がp型半導体層14で吸収されることが低減され得る。
本実施の形態の発光モジュール1は、導電ワイヤ33,34と、絶縁層35と、電気配線37と、電気配線37,39に接続された導電パッド36,38とをさらに備えてもよい。絶縁層35と、電気配線37,39と、導電パッド36,38とは、サブマウント20の周りでかつ基台30上に設けられている。電気配線37,39は、絶縁層35に埋め込まれてもよい。導電パッド36,38は、絶縁層35から露出している。導電ワイヤ33は、導電パッド36と第1の導電パッド21とを接続する。導電ワイヤ34は、導電パッド36と第2の導電パッド22とを接続する。導電ワイヤ33,34として、例えば、金(Au)ワイヤが用いられ得る。電気配線37,39、導電パッド36,38、導電ワイヤ33,34、第1の導電パッド21、第2の導電パッド22及び接合部材25を介して、外部電源(図示せず)から、半導体発光素子10に電流が供給されて、半導体発光素子10は、深紫外光19を放射する。
図1から図5を参照して、実施の形態1に係る半導体発光素子10を説明する。導体発光素子は、基板11と、n型半導体層12と、活性領域13と、p型半導体層14と、n型電極15と、p型電極16と、周期的凹凸構造17とを主に含む。
基板11は、第1の主面11aと、第1の主面11aとは反対側の第2の主面11bとを有する。第2の主面11bは、出射面であってもよい。第1の主面11aの第1の平面視における基板11の第1の主面11aの面積は、第1の主面11aの第1の平面視における活性領域13の面積と同じであるか、それより大きい。第2の主面11bの第2の平面視における基板11の第2の主面11bの面積は、第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積と同じであるか、それより大きい。第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は、第1の主面11aの第1の平面視における活性領域13の面積と同じであってもよい。第2の主面11bの第2の平面視における第2の主面11bの第2の面積は、0.50mm2以上であってもよく、1.0mm2以上であってもよく、2.0mm2以上であってもよく、5.0mm2以上であってもよい。第2の主面11bの第2の面積は、特に制限はないが、30mm2以下であってもよく、20mm2以下であってもよく、10mm2以下であってもよい。
基板11は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長に対して、例えば50%以上のような、高い透過率を有することが好ましい。基板11は、特に限定されないが、例えば、窒化アルミニウム(AlN)基板、炭化珪素(SiC)基板、サファイア基板、窒化ガリウム(GaN)基板であってもよい。基板11として、テンプレート基板が用いられてもよい。テンプレート基板は、窒化アルミニウム(AlN)や窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)などから構成される下地層が基板11上に形成されたものをいう。
窒化アルミニウム(AlN)は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)に近い格子定数及び熱膨張係数を有する。そのため、窒化アルミニウム(AlN)基板は、基板11上に形成されかつ窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を主成分として含む半導体層18における転位欠陥密度を減少させることができる。基板11として、ハイドライド気相成長(HVPE)法によって作成された窒化アルミニウム(AlN)基板が用いられてもよい。窒化アルミニウム(AlN)基板をハイドライド気相成長(HVPE)法によって作成することによって、窒化アルミニウム(AlN)基板の光吸収係数は、265nmの波長において、約10cm-1以下に低減され得る。
基板11の第1の主面11a上に、半導体層18が設けられる。半導体層18は、n型半導体層12と、活性領域13と、p型半導体層14とを含んでもよい。n型半導体層12は、活性領域13に対して基板11側に設けられてもよい。p型半導体層14は、活性領域13に対して基板11とは反対側に設けられてもよい。
n型半導体層12は、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、n型半導体層12は、Alx1Iny1Gaz1N(x1、y1、z1は、0≦x1≦1.0、0≦y1≦0.1、0≦z1≦1.0を満たす有理数とし、x1+y1+z1=1.0である)から構成されてもよい。特定的には、n型半導体層12は、Alx1Gaz1N(x1、z1は、0≦x1≦1.0、0≦z1≦1.0を満たす有理数とし、x1+z1=1.0である)から構成されてもよい。n型半導体層12は、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、酸素(O)または炭素(C)のようなn型不純物を含んでもよい。n型半導体層12におけるn型不純物の濃度は、1.0×1017cm-3以上1.0×1020cm-3以下であってもよい。n型半導体層12におけるn型不純物の濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下であってもよい。n型半導体層12は、100nm以上の膜厚を有してもよく、500nm以上の膜厚を有してもよい。n型半導体層12は、10000nm以下の膜厚を有してもよく、3000nm以下の膜厚を有してもよい。
n型半導体層12によって活性領域13に電子及び正孔を閉じ込めるとともに、活性領域13から放射される深紫外光19がn型半導体層12によって吸収されることを抑制するために、n型半導体層12は、活性領域13から放射される深紫外光19のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有することが好ましい。n型半導体層12は、活性領域13よりも低い屈折率を有し、クラッド層として機能してもよい。n型半導体層12は、単層から構成されてもよいし、Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層から構成されてもよい。Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層は、超格子構造、または、その組成が徐々に変化する傾斜組成構造を有してもよい。
n型半導体層12の上に、活性領域13が設けられる。活性領域13は、深紫外光19が放射され得るように構成されている。深紫外光19は、190nm以上の波長を有している。深紫外光19は、200nm以上の波長を有してもよく、220nm以上の波長を有してもよい。深紫外光19は、350nm以下の波長を有している。深紫外光19は、320nm以下の波長を有してもよく、300nm以下の波長を有してもよい。第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は、0.15mm2以上である。第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は、0.25mm2以上であってもよく、第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は、0.35mm2以上であってもよい。第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は、特に限定されないが、10mm2以下であってもよく、5.0mm2以下であってもよく、2.0mm2以下であってもよく、1.0mm2以下であってもよく、0.5mm2以下であってもよい。
活性領域13は、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、活性領域13は、Alx2Iny2Gaz2N(x2、y2、z2は、0≦x2≦1.0、0≦y2≦0.1、0≦z2≦1.0を満たす有理数とし、x2+y2+z2=1.0である)から構成される井戸層と、当該井戸層よりもバンドギャップエネルギーが大きいAlx3Iny3Gaz3N(x3、y3、z3は、0≦x3≦1.0、0≦y3≦0.1、0≦z3≦1.0を満たす有理数とし、x3+y3+z3=1.0である)から構成される障壁層とを含む多重量子井戸(MQW)構造を有してもよい。n型半導体層12及びp型半導体層14によって活性領域13に電子及び正孔を閉じ込めるために、活性領域13は、n型半導体層12及びp型半導体層14よりも小さなバンドギャップエネルギーを有することが好ましい。活性領域13は、n型半導体層12及びp型半導体層14よりも高い屈折率を有してもよい。
活性領域13の上に、p型半導体層14が設けられる。p型半導体層14は、活性領域13側に位置する第1のp型半導体層14aと、活性領域13と反対側に位置する第2のp型半導体層14bとから構成されてもよい。
第1のp型半導体層14aは、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、第1のp型半導体層14aは、Alx4Iny4Gaz4N(x4、y4、z4は、0≦x4≦1.0、0≦y4≦0.1、0≦z4≦1.0を満たす有理数とし、x4+y4+z4=1.0である)から構成されてもよい。第1のp型半導体層14aは、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)のようなp型不純物を含んでもよい。第1のp型半導体層14aにおけるp型不純物の濃度は、1.0×1017cm-3以上であってもよい。第1のp型半導体層14aにおけるp型不純物の濃度は、1.0×1018cm-3以上であってもよい。第1のp型半導体層14aは、5nm以上の膜厚を有してもよく、10nm以上の膜厚を有してもよい。第1のp型半導体層14aは、1000nm以下の膜厚を有してもよく、500nm以下の膜厚を有してもよい。
第1のp型半導体層14aによって活性領域13に電子及び正孔を閉じ込めるとともに、活性領域13から放射される深紫外光19が第1のp型半導体層14aによって吸収されることを抑制するために、第1のp型半導体層14aは、活性領域13から放射される深紫外光19のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有してもよい。第1のp型半導体層14aから活性領域13により均一に正孔を注入するために、第1のp型半導体層14aは小さなAl組成比を有してもよい。第1のp型半導体層14aは、活性領域13よりも低い屈折率を有し、クラッド層として機能してもよい。第1のp型半導体層14aは、単層から構成されてもよいし、Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層から構成されてもよい。Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層は、超格子構造、または、その組成が徐々に変化する傾斜組成構造を有してもよい。
第2のp型半導体層14bは、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、第2のp型半導体層14bは、Alx5Iny5Gaz5N(x5、y5、z5は、0≦x5≦1.0、0≦y5≦0.1、0≦z5≦1.0を満たす有理数とし、x5+y5+z5=1.0である)から構成されてもよい。第2のp型半導体層14bは、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)のようなp型不純物を含んでもよい。第2のp型半導体層14bは、第1のp型半導体層14aよりも高いp型伝導度を有し、p型コンタクト層として機能してもよい。第2のp型半導体層14bにおけるp型不純物の濃度は、1.0×1017cm-3以上であってもよい。第2のp型半導体層14bにおけるp型不純物の濃度は、1.0×1018cm-3以上であってもよい。活性領域13から放射される深紫外光19が第2のp型半導体層14bによって吸収されることを抑制するためと、第2のp型半導体層14bにおいて良好なp型コンタクトを得るために、第2のp型半導体層14bは、1nm以上500nm以下の膜厚を有してもよい。
第1のp型半導体層14aと第2のp型半導体層14bとが窒化物半導体から構成される場合には、窒化物半導体のAl組成が小さくバンドギャップが小さいほど、第2のp型半導体層14bから活性領域13により均一に正孔を注入することができ、良好なp型コンタクト特性を得ることができる。そのため、第2のp型半導体層14bは、小さなAl組成比を有してもよい。活性領域13から放射される深紫外光19が第2のp型半導体層14bによって吸収されることを抑制するために、第2のp型半導体層14bは、活性領域13から放射される深紫外光19のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有してもよい。
n型電極15は、n型半導体層12に接触している。n型電極15は、n型半導体層12の露出面上に設けられもよい。n型半導体層12の露出面は、基板11の上に、n型半導体層12、活性領域13及びp型半導体層14を積層した後、n型半導体層12の一部と、活性領域13と、p型半導体層14とを部分的に除去することによって露出されたn型半導体層12の面を意味する。半導体発光素子10は、n型半導体層12の一部と、活性領域13の一部と、p型半導体層14の一部とが除去されたメサ構造を有してもよい。p型電極16は、基板11とは反対側の半導体層18の表面18a上に設けられる。p型電極16は、p型半導体層14に接触している。特定的には、p型電極16は、p型コンタクト層として機能する第2のp型半導体層14bに接触している。第1の主面11aの第1の平面視において、p型電極16は、櫛歯形状を有してもよい。
周期的凹凸構造17は、基板11の第2の主面11bに形成されている。周期的凹凸構造17は、活性領域13から放射される深紫外光19が基板11の第2の主面11bで全反射されることを防止して、半導体発光素子10の深紫外光19の取り出し効率を増加させる。
周期的凹凸構造17は、第2の主面11bから突出する複数の突起部17aを含む。本実施の形態では、複数の突起部17aは、各々、円錐の形状を有している。複数の突起部17aは、各々、角錐の形状を有してもよい。複数の突起部17aは、各々、円柱または多角柱の形状を有してもよい。複数の突起部17aは、各々、0.6より大きなアスペクト比h1/d1を有してもよく、0.8より大きなアスペクト比h1/d1を有してもよく、1.0以上のアスペクト比h1/d1を有してもよく、1.5以上のアスペクト比h1/d1を有してもよい。複数の突起部17aは、各々、特に限定されないが、周期的凹凸構造17を含む基板11の生産性を考慮して、10以下のアスペクト比h1/d1を有してもよい。複数の突起部17aは、各々、10以下のアスペクト比h1/d1を有してもよく、5以下のアスペクト比h1/d1を有してもよく、3以下のアスペクト比h1/d1を有してもよい。
本明細書において、複数の突起部17aの各々のアスペクト比h1/d1は、複数の突起部17aの各々の幅(直径)d1に対する複数の突起部17aの各々の高さh1の比h1/d1で与えられる。複数の突起部17aの各々の高さh1は、第2の主面11bから第2の主面11bに垂直な方向に測定された複数の突起部17aの各々の長さである。複数の突起部17aの各々の幅(直径)d1は、基板11の第2の主面11bに平行な方向における複数の突起部17aの各々の底部の長さである。
複数の突起部17aの各々の高さh1は、150nmより大きくてもよく、350nm以上であってもよく、500nm以上であってもよい。周期的凹凸構造17は、ナノサイズの周期構造を有してもよい。周期的凹凸構造17は、1μmより小さな周期pを有してもよく、800nm以下の周期pを有してもよく、600nm以下の周期pを有してもよい。
第2の主面11bの第2の平面視における第2の主面11bの第2の面積に対する、第2の主面11bの第2の平面視における複数の突起部17aの第3の面積の比は、60%以上であってもよく、80%以上であってもよく、90%以上であってもよい。第2の主面11bの第2の平面視における第2の主面11bの第2の面積に対する、第2の主面11bの第2の平面視における複数の突起部17aの第3の面積の比は、100%以下であってもよく、98%以下であってもよく、95%以下であってもよい。本明細書において、第2の面積は、第2の主面11bを第2の平面視したときにおける、第2の主面11bの外周に囲まれる領域の面積として与えられる。本明細書において、第3の面積は、第2の主面11bを第2の平面視したときにおける、第2の主面11bに接する複数の突起部17aの底部の総面積として与えられる。
図3及び図6から図14を参照して、本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法を説明する。
図6及び図7を参照して、本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法は、基板11の第1の主面11a上に、活性領域13を含む半導体層18を形成することを備える(S1)。活性領域13は、深紫外光19を放射し得るように構成されている。第1の主面11aとは反対側の基板11の第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は、0.15mm2以上である。半導体層18を形成すること(S1)は、基板11の第1の主面11a上に、n型半導体層12、活性領域13及びp型半導体層14をこの順に堆積させる工程を含んでもよい。半導体層18を堆積する方法は、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)、有機金属気相成長(MOVPE)法、分子線エピタキシー(MBE)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法であってもよい。半導体層18を形成すること(S1)は、活性領域13を含む半導体層18の一部をエッチングして、半導体層18にメサ構造を形成することを含んでもよい。特定的には、n型半導体層12の一部と、活性領域13の一部と、p型半導体層14の一部とがエッチングされてもよい。このエッチングにより、n型半導体層12の一部の表面が露出する。
図6及び図7を参照して、本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法は、n型半導体層12上に、n型電極15を形成すること(S2)を備える。特定的には、半導体層18にメサ構造を形成するためのエッチングにより露出されたn型半導体層12上に、n型電極15が形成されてもよい。n型電極15は、例えば、真空蒸着法によって、n型半導体層12上に形成されてもよい。n型半導体層12とn型電極15との間の電気的コンタクトを向上させるために、n型電極15を形成すること(S2)は、300℃以上1100℃以下の温度で、30秒以上3分間以下の時間、n型電極15及びn型半導体層12をアニールすることを含んでもよい。
図6及び図7を参照して、本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法は、基板11とは反対側の半導体層18の表面18a上に、p型電極16を形成すること(S3)を備える。p型電極16は、p型半導体層14上に形成される。特定的には、p型電極16は、p型コンタクト層として機能する第2のp型半導体層14bの表面に形成されてもよい。p型電極16は、例えば、真空蒸着法によって、p型半導体層14上に形成されてもよい。p型半導体層14とp型電極16との間の電気的コンタクトを向上させるために、p型電極16を形成すること(S3)は、200℃以上800℃以下の温度で、30秒以上3分間以下の時間、p型電極16及びp型半導体層14をアニールすることが好ましい。
図3、図6及び図8から図14を参照して、本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法は、基板11の第2の主面11bに周期的凹凸構造17を形成すること(S4)を備える。周期的凹凸構造17は、第2の主面11bから突出する複数の突起部17aを含む。第2の主面11bの第2の平面視における第2の主面11bの第2の面積に対する、第2の主面11bの第2の平面視における複数の突起部17aの第3の面積の比は、60%以上100%以下である。複数の突起部17aは、各々、0.6以上のアスペクト比を有している。図3、図6及び図8から図14を参照して、周期的凹凸構造17は、以下に詳しく記載されているように、ナノインプリントリソグラフィー(NIL)法と異方性エッチング法とによって形成される。そのため、第2の主面11bの第2の面積の60%以上の広い領域にわたって、周期的凹凸構造17が、高スループット、高精度かつ安価に形成され得る。
図8を参照して、周期的凹凸構造17を形成することは、第2の主面11b上に、第1の層41と、第2の層42と、第3の層43とをこの順に積層することを含む。第1の層41、第2の層42及び第3の層43は、互いに異なる材料からなる。第1の層41は、第2の層42及び第3の層43のそれぞれよりも大きな厚さを有している。第1の層41を形成する前に、基板11の第2の主面11bがヘキサメチルジシラザン(HMDS)などにより疎水化処理されてもよい。
第1の層41は、基板11の第2の主面11b上に形成される。第1の層41は、第1の樹脂材料を含んでもよい。第1の樹脂材料は、例えば、レジスト(ZEP520A、日本ゼオン社製)であってもよい。第1の層41は、第1の樹脂材料を含む第1の材料を基板11の第2の主面11b上にスピンコートし、それから150℃以上で30分間ベークすることによって、形成されてもよい。第1の層41は、第2の層42及び第3の層43のそれぞれよりも大きな厚さを有する。第1の層41は、400nmより大きな厚さを有してもよい。また、第1の層41は、特に制限されないが、第1の層41の加工性等を考慮して、10μm以下の厚さを有してもよい。第1の層41は、多層構造(図示せず)を有してもよい。この多層構造の最表面の層は、第2の層42を構成する第2の材料の濡れ性を向上させる層であってもよい。この多層構造の最表面の層は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)層であってもよい。この多層構造の最表面の層は、例えば、5nm以上の厚さを有してもよく、50nm以下の厚さを有してもよい。第1の層41は、アセトンやN-メチルピロリドン等の極性溶媒に対して溶解性を有する材料から構成されてもよい。
第2の層42は、第1の層41上に形成される。第2の層42は、酸化シリコンのような無機材料を含む第2の材料から構成されてもよい。第2の層42を構成する第2の材料は、第1の層41を構成する第1の材料と異なっている。第2の層42は、多層構造(図示せず)を有してもよい。第2の層42は、第2の材料を第1の層41上にスピンコートし、それから80℃以上で30分間ベークすることによって、形成されてもよい。第2の層42をスピンコートで形成する場合は、第2の層42を形成するために用いられるスピンコート材に含まれる溶媒などによって、第1の層41が溶解されないことが好ましい。第2の層42は、スピンオングラス(SOG)層であってもよい。第2の層42は、例えば、10nm以上の厚さを有してもよく、100nm以下の厚さを有してもよい。第2の層42に対する第3の層43の濡れ性を向上させるために、第2の層42の表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)などにより疎水化処理し、それから、第2の層42の表面上にレジスト(ZEP520A、日本ゼオン社製)などからなる中間層(図示せず)を形成してもよい。この中間層は、例えば、5nm以上の厚さを有してもよく、50nm以下の厚さを有してもよい。
第3の層43は、第2の層42上に形成される。第3の層43は、中間層(図示せず)上に形成されてもよい。第3の層43は、第2の樹脂材料を含む第3の材料で構成されてもよい。第3の層43は、多層構造(図示せず)を有してもよい。第3の層43を構成する第3の材料は、第1の層41を構成する第1の材料及び第2の層42を構成する第2の材料と異なっている。第1の層41、第2の層42及び第3の層43は互いに異なる材料で構成されている。第2の樹脂材料は、例えば、紫外線硬化性樹脂を含む光硬化性樹脂を含んでもよい。第2の樹脂材料は、例えば、レジスト(MUR-XR、丸善石油化学社製)であってもよい。第3の層43は、第2の樹脂材料を含む第3の材料を第2の層42上にスピンコートし、それからベークすることによって、形成されてもよい。第3の層43をスピンコートで形成する場合は、第3の層43を形成するために用いられるスピンコート材に含まれる溶媒などによって、第2の層42が溶解されないことが好ましい。第3の層43の厚さは、モールド45(図9を参照)の凹凸パターンに応じて適宜定められる。第3の層43は、例えば、20nm以上の厚さを有してもよく、300nm以下の厚さを有してもよい。
図9及び図10を参照して、周期的凹凸構造17を形成することは、凹凸パターンを有するモールド45を第3の層43にインプリントすることにより、第3の層43に複数の第1凹部43aを形成することを含む。モールド45は、ナノサイズを有する凹凸パターンを含む。凹凸パターンは、例えば、280nm以上320nm以下の直径と、280nm以上300nm以下の深さとを有する凹部が、周期600nmで正三角格子に配列された構造を有してもよい。モールド45は、特に限定されないが、シリコン(Si)で構成されてもよい。
図9を参照して、凹凸パターンを有するモールド45を第3の層43にインプリントすることにより、第3の層43に複数の第1凹部43aを形成する。特定的には、凹凸パターンを有するモールド45を第3の層43にインプリントする。モールド45を第3の層43にインプリントしながら、第3の層43に含まれる第2の樹脂材料を硬化させる。第2の樹脂材料が紫外線硬化性樹脂を含む光硬化性樹脂である場合には、紫外線を含む光46を第3の層43に照射して、第3の層43に含まれる第2の樹脂材料は硬化される。
図10を参照して、モールド45は第3の層43から剥離される。こうして、第3の層43に複数の第1凹部43aを形成することができる。複数の第1凹部43aを形成する際、複数の第1凹部43aの底部に残膜43bが存在してもよい。モールド45を第3の層43にインプリントした後、すなわちモールド45を第3の層43から剥離した後に、第3の層43に光を照射するなどして、第3の層43に含まれる第2の樹脂材料が硬化されてもよい。
図11を参照して、周期的凹凸構造17を形成することは、複数の第1凹部43aが形成された第3の層43を用いて、第2の層42に複数の第2凹部42aを形成することを含む。第2の層42に複数の第2凹部42aを形成することは、第3の層43をマスクとして用いて、複数の第1凹部43aに対応する第2の層42の一部をエッチングすることを含んでもよい。第2の層42の一部のエッチングは、ドライエッチングであってもよい。第2の層42の一部のエッチングは、フッ素系のエッチングガスのような第1のエッチングガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)エッチングであってもよい。例えば、200W以上600W以下の出力を有するアンテナ電極と、10W以上400W以下の出力を有するバイアス電極と、0.1Pa以上1.0Pa以下の圧力を有するチャンバーとを有するICPエッチング装置を用いて、1分以上5分以下の間、第2の層42の一部をエッチングすることによって、第2の層42に複数の第2凹部42aを形成してもよい。
複数の第2凹部42aを形成するために第2の層42の一部をエッチングすることは、複数の第1凹部43aの底部に残存している第3の層43の一部(残膜43b)を除去することを含んでもよい。すなわち、複数の第2凹部42aを形成するために第2の層42の一部をエッチングする際、複数の第1凹部43aの底部に残存した第3の層43(残膜43b)がさらに除去されてもよい。複数の第2凹部42aを形成するための第2の層42の一部のエッチングにおいて、第1の層41は第2の層42よりも小さなエッチングレートを有してもよい。複数の第2凹部42aを形成するために第2の層42の一部をエッチングする際、第1の層41はエッチング停止層として機能してもよい。
図12を参照して、周期的凹凸構造17を形成することは、複数の第2凹部42aが形成された第2の層42をマスクとして用いて、第1の層41の一部を異方性エッチングすることにより、第1の層41に複数の第3凹部41aを形成することを含む。複数の第3凹部41aにおいて、基板11の第2の主面11bは露出している。
第1の層41の一部の異方性エッチングにおいて、第1の層41のエッチングレートは、第2の層42のエッチングレートの10倍以上であってもよい。第1の層41の一部の異方性エッチングにおいて、第1の層41のエッチングレートは、第2の層42のエッチングレートの50倍以上であってもよい。第1の層41の一部の異方性エッチングにおいて、第1の層41のエッチングレートは、第2の層42のエッチングレートの100倍以上であってもよい。
第1の層41の一部を異方性エッチングする際、主に基板11の第2の主面11bに垂直な方向にエッチングされるが、基板11の第2の主面11bに平行な方向には第1の層41はほとんどエッチングされない。そのため、第1の層41が第2の層42及び第3の層43のそれぞれよりも大きな厚さを有していても、アスペクト比の大きな複数の第3凹部41aを形成することができる。第1凹部43aのアスペクト比及びモールド45の凸部のアスペクト比よりも大きなアスペクト比を有する第3凹部41aが形成され得る。第3凹部41aのアスペクト比は、第3凹部41aの高さに対する第3凹部41aの幅(直径)の比として与えられる。第3凹部41aの高さは、第2の主面11bから第2の主面11bに垂直な方向に測定された第3凹部41aの長さである。第3凹部41aの幅(直径)は、基板11の第2の主面11bに平行な方向における第3凹部41aの長さである。第1の層41の一部を異方性エッチングする際、第2の層42上に残る第3の層43も除去されてもよい。
第1の層41の一部の異方性エッチングは、ドライエッチングであってもよい。第1の層41の一部の異方性エッチングは、酸素とアルゴンとを含む第2のエッチングガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)エッチングであってもよい。第2のエッチングガスは第1のエッチングガスと異なってもよい。例えば、200W以上600W以下の出力を有するアンテナ電極と、10W以上100W以下の出力を有するバイアス電極と、0.1Pa以上1.0Pa以下の圧力を有するチャンバーとを有するICPエッチング装置を用いて、10分以上70分以下の間、第1の層41の一部を異方性エッチングすることによって、第1の層41に複数の第3凹部41aが形成されてもよい。図11に示される、第2の層42に複数の第2凹部42aを形成する工程と、図12に示される、第1の層41に複数の第3凹部41aを形成する工程とは、1つのICPエッチング装置を用いて行われてもよい。図11及び図12に示される2つの工程を1つのICPエッチング装置を用いて行うことにより、周期的凹凸構造17を含む基板11が高スループットで製造され得る。
図13を参照して、周期的凹凸構造17を形成することは、複数の第3凹部41aにおいて露出された基板11の第2の主面11b上と第2の層42上とに、第4の層47を形成することを含む。第4の層47は、複数の第3凹部41a内に形成された第1の部分47aと、第1の層41上に形成された第2の部分47bとからなってもよい。第4の層47のエッチングレートは、基板11のエッチグレートの1.5倍以下であってもよく、1.0倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよい。第4の層47は、ニッケル(Ni)層であってもよい。第4の層47は、特に限定されないが、真空蒸着法を用いて形成されてもよい。
図14を参照して、周期的凹凸構造17を形成することは、複数の第3凹部41aが形成された第1の層41をリフトオフすることにより、第2の主面11b上に複数の柱状構造体48を形成することを含む。複数の柱状構造体48は、第4の層47の第1の部分47a(図13を参照)に対応する。例えば、複数の第3凹部41aを有する第1の層41と基板11とを40℃以上の温度を有するアセトンに浸漬させながら、基板11に100kHzの周波数を有する超音波を施すことによって、第1の層41は基板11からリフトオフされてもよい。
本実施の形態では、複数の柱状構造体48は、各々、円錐の形状を有している。複数の柱状構造体48は、各々、多角錐、円柱または多角柱の形状を有してもよい。複数の柱状構造体48は、各々、0.6より大きなアスペクト比を有してもよく、0.8より大きなアスペクト比を有してもよく、1.0以上のアスペクト比を有してもよく、1.5以上のアスペクト比を有してもよい。周期的凹凸構造17を含む基板11の生産性を考慮して、複数の柱状構造体48は、各々、10以下のアスペクト比を有してもよく、5以下のアスペクト比を有してもよく、3以下のアスペクト比を有してもよい。柱状構造体48のアスペクト比は、柱状構造体48の高さに対する柱状構造体48の幅(直径)の比として与えられる。複数の柱状構造体48の各々の高さは、第2の主面11bから第2の主面11bに垂直な方向に測定された複数の柱状構造体48の各々の長さである。複数の柱状構造体48の各々の幅(直径)は、基板11の第2の主面11bに平行な方向における複数の柱状構造体48の各々の底部の長さである。複数の柱状構造体48は、1μmより小さな周期を有するナノ柱状構造体であってもよい。
周期的凹凸構造17を形成することは、複数の柱状構造体48を用いて、第2の主面11bをエッチングすることにより、基板11の第2の主面11bに周期的凹凸構造17(図3を参照)を形成することとをさらに含む。基板11の第2の主面11bに周期的凹凸構造17を形成することは、複数の柱状構造体48をマスクとして用いて、第2の主面11bをエッチングすることを含んでもよい。基板11の第2の主面11bをエッチングする際、基板11の第2の主面11bとともに複数の柱状構造体48の少なくとも一部もエッチングされてもよい。基板11の第2の主面11bのこのエッチングにより、複数の柱状構造体48のパターンが基板11の第2の主面11bに転写されて、第2の主面11bに周期的凹凸構造17が形成される。複数の柱状構造体48のエッチグレートは、基板11のエッチグレートの1.5倍以下であってもよく、1.0倍以下であってもよく、は0.8倍以下であってもよい。そのため、高アスペクト比を有する複数の柱状構造体48を用いて、基板11の第2の主面11bに、高アスペクト比を有する周期的凹凸構造17が形成され得る。複数の柱状構造体48は、ニッケル(Ni)を主に含んでもよい。
基板11の第2の主面11bは、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング法によってエッチングされてもよい。エッチングガスは、三フッ化メタン(CHF3)ガスのようなフッ素系ガスを用いてもよい。例えば、200W以上600W以下の出力を有するアンテナ電極と、100W以上400W以下の出力を有するバイアス電極と、0.1Pa以上1.0Pa以下の圧力を有するチャンバーとを有するICPエッチング装置を用いて、基板11の第2の主面11bをエッチングすることによって、基板11の第2の主面11bに周期的凹凸構造17が形成されてもよい。続いて、複数の柱状構造体48の残渣を除去してもよい。例えば、周期的凹凸構造17が形成された基板11を、30℃以上100℃以下の温度を有する濃塩酸に1分間以上40分間以下浸漬することによって、複数の柱状構造体48の残渣が除去されてもよい。
以上の工程により、図3に示される、周期的凹凸構造17を含む基板11を備える半導体発光素子10は製造され得る。本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法では、基板11の第1の主面11a上に活性領域13を含む半導体層18を形成した後に、基板11の第2の主面11bに周期的凹凸構造17が形成されているが、基板11の第1の主面11a上に活性領域13を含む半導体層18を形成する前に、基板11の第2の主面11bに周期的凹凸構造17が形成されてもよい。
パッケージ(30,60)は、基台30と、半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明な透明部材60とを含む。パッケージ(30,60)は、サブマウント20と、絶縁層35と、導電パッド36,38と、電気配線37,39と、導電ワイヤ33,34とをさらに含んでもよい。
透明部材60は、半導体発光素子10を覆うように、基台30上に設けられてもよい。基台30と透明部材60とは、接着剤等によって接合されてもよい。特定的には、透明部材60は、半導体発光素子10を覆うように、絶縁層35上に設けられてもよい。絶縁層35と透明部材60とは、接着剤64等によって接合されてもよい。
透明部材60は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明である。本明細書において、透明部材60が半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明であるとは、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、透明部材60が60%以上の透過率を有することを意味する。透明部材60は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、75%以上の透過率を有してもよい。透明部材60は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、90%以上の透過率を有してもよい。
透明部材60の透過率は、単位長さ当たりの透明部材60の透過率が高いほど高くなり、透明部材60が厚いほど低くなる。透明部材60は、190nm以上350nm以下の波長を有する深紫外光19に対して低い光吸収率と高い光透過率を有してもよい。透明部材60は、200nm以上320nm以下の波長を有する深紫外光19に対して低い光吸収率と高い光透過率を有してもよい。透明部材60は、220nm以上300nm以下の波長を有する深紫外光19に対して低い光吸収率と高い光透過率を有してもよい。透明部材60は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、100μmの経路長当たり80%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。透明部材60は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、100μmの経路長当たり90%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。透明部材60は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、100μmの経路長当たり95%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。
透明部材60は、一方に開口を有するとともに、外側に膨らむ形状を有してもよい。透明部材60は、内側に空間を有している。透明部材60は、キャップであってもよい。本明細書において、キャップとは、一方に開口を有し、内側に空間を有する殻の形状を有するものをいう。本実施の形態では、キャップである透明部材60は、一方に開口を有し、内側に空間を有する半球殻の形状を有してもよい。透明部材60を半球殻の形状を有するキャップで構成することによって、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の透明部材60への入射角を垂直に近づけることができて、深紫外光19に対する透明部材60の反射率を低減させることができる。
透明部材60は、合成石英、石英ガラス、無アルカリガラス、サファイア、蛍石(CaF)などの無機化合物または樹脂で構成されてもよい。表1に、透明部材60に用いることができる材料の一部について、265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率の一例を示す。
透明部材60に用いることができる樹脂として、芳香族環を有しないシリコーン樹脂、非晶質のフッ素含有樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン系樹脂、ポリシラン、ポリビニルエーテル、無機化合物が添加された樹脂を例示することができる。
芳香環を有しないシリコーン樹脂として、ポリジメチルシロキサンであるJCR6122(東レ・ダウコーニング製)、JCR6140(東レ・ダウコーニング製)、HE59(日本山村硝子製)、HE60(日本山村硝子製)、HE61(日本山村硝子製)、KER2910(信越化学工業製)、含フッ素系オルガノポリシロキサンであるFER7061(信越化学工業製)を例示することができる。
非晶質のフッ素含有樹脂として、ペルフルオロ(4-ビニルオキシ-1-ブテン)重合体(サイトップ(登録商標)、旭硝子製)、2,2-ビストリフルオロメチル-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソール重合体(テフロン(登録商標)AF、DuPont製)を例示することができる。
ポリイミドとして、芳香族化合物が脂環式化合物に置換されたポリイミドが好ましい。脂環式ポリイミドとして、脂環式酸二無水物と脂環式ジアミンの反応物を例示することができる。脂環式酸二無水物として、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-endo,3-endo,5-exo,6-exo-テトラカルボン酸-2,3:5,6-二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-exo,3-exo,5-exo,6-exo-テトラカルボン酸-2,3:5,6-二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ-2-endo,3-endo,5-exo,6-exo-テトラカルボン酸2,3:5,6-二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ-2-exo,3-exo,5-exo,6-exo-テトラカルボン酸2,3:5,6-二無水物、(4arH,8acH)-デカヒドロ-1t,4t:5c,8c-ジメタノナフタレン2c,3c,6c,7c-テトラカルボン酸-2,3:6,7-二無水物を例示することができる。脂環式ジアミンとして、ビス(アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンを例示することができる。
エポキシ樹脂として、芳香環が脂環式化合物に変更されたエポキシ樹脂が好ましい。芳香環が脂環式化合物に変更されたエポキシ樹脂としては、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P,ダイセル製)、ε-カプロラクトン変性 3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2081,ダイセル製)、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(セロキサイド2000,ダイセル製)を例示することができる。
ポリオレフィンとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンなどの鎖状オレフィンの重合体、ノルボルネンなどの環状オレフィンの重合体、TPX(三井化学製)、APEL(三井化学製)、ARTON(JSR製)、ZEONOR(日本ゼオン製)、ZEONEX(日本ゼオン製)、TOPAS(ポリプラスチックス製)を例示することができる。
無機化合物が添加された樹脂として、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホフニウム、α-酸化アルミニウム、γ-酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、フッ化カルシウム、ルテチウムアルミニウムガーネット、二酸化ケイ素、マグネシウムアルミネート、サファイア、ダイヤモンドなどの無機化合物を、上記の樹脂に添加したものを例示することができる。
半導体発光素子10は、流体(62)で覆われている。流体(62)は、空気、窒素ガスまたは希ガスのような不活性気体であってもよいし、液体62であってもよい。流体(62)は、パッケージ(30,60)の内側の空間に充填されている。特定的には、液体62は、パッケージ(30,60)の内側の空間に充填されてもよい。液体62は、基台30と透明部材60との間の空間に充填される。液体62は、半導体発光素子10を封止する。液体62は、少なくとも半導体発光素子10の出射面(基板11の第2の主面11b)を封止してもよい。
液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明である。本明細書において、液体62が半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明であることは、液体62が、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、60%以上の透過率を有することを意味する。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、75%以上の透過率を有してもよい。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、90%以上の透過率を有してもよい。
液体62の透過率は、単位長さ当たりの液体62の透過率が高いほど高くなり、液体62が厚いほど低くなる。液体62は、190nm以上350nm以下の波長を有する深紫外光19に対して低い光吸収率と高い光透過率を有する。液体62は、220nm以上300nm以下の波長を有する深紫外光19に対して低い光吸収率と高い光透過率を有してもよい。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、100μmの経路長(厚さ)当たり80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、100μmの経路長(厚さ)当たり90%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、100μmの経路長(厚さ)当たり95%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。
液体62は、純水、液体有機化合物、塩溶液、及び微粒子分散液のいずれかから構成されてもよい。表2から表10に、液体62に用いることができる材料の一部について、193nm、248nm、265nmまたは300nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率の一例と、193nm、248nm、265nmまたは300nmの波長における屈折率の一例を示す。
表2に、純水の、193nm、248nm、及び265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nm、248nm、及び265nmの波長における屈折率とを示す。
液体有機化合物は、飽和炭化水素化合物、芳香環を有しない有機溶媒、有機ハロゲン化物、シリコーン樹脂、シリコーンオイルのいずれかから構成されてもよい。表3から表6に、液体62に用いることができる液体有機化合物材料の一部について、193nm、248nm、または265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率の一例と、193nm、248nm、または265nmの波長における屈折率の一例を示す。
表3に、液体62に用いることができる飽和炭化水素化合物の一部について、193nmまたは265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nmまたは265nmの波長における屈折率とを示す。
飽和炭化水素化合物として、鎖式飽和炭化水素化合物と、環式飽和炭化水素化合物とを例示することができる。鎖式飽和炭化水素化合物として、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、n-ペンタデカン、n-ヘキサデカン、n-ヘプタデカン、n-オクタデカン、2,2-ジメチルブタン、2-メチルペンタンを例示することができる。環式飽和炭化水素化合物ととして、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、メチルキュバン、メチルジノルボルネン、オクタヒドロインデン、2-エチルノルボルネン、1,1’-ビシクロヘキシル、trans-デカヒドロナフタレン、cis-デカヒドロナフタレン、exo-テトラヒドロジシクロペンタジエン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン、ペルヒドロフルオレン、3-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、1,3-ジメチルアダマンタン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロピレンを例示することができる。飽和炭化水素化合物として、IF131(DuPont製)、IF132(DuPont製)、IF138(DuPont製)、IF169(DuPont製)、HIL-001(JSR製)、HIL-002(JSR製)、HIL-203(JSR製)、HIL-204(JSR製)、Delphi(三井化学製)、Babylon(三井化学製)をさらに例示することができる。
表4に、液体62に用いることができる芳香環を有しない有機溶媒の一部について、193nm、248nm、または265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nm、248nm、または265nmの波長における屈折率とを示す。
芳香環を有しない有機溶媒として、ヒドロキシル基を有する化合物と、カルボニル基を有する化合物と、スルフィニル基を有する化合物と、エーテル結合を有する化合物、ニトリル基を有する化合物、アミノ基を有する化合物、及び含硫黄化合物を例示することができる。ヒドロキシル基を有する化合物として、イソプロパノール、イソブタノール、グリセロール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールを例示することができる。カルボニル基を有する化合物として、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、n-アクリル酸ブチルを例示することができる。スルフィニル基を有する化合物として、ジメチルスルホキシドを例示することができる。エーテル結合を有する化合物として、テトラヒドロフラン、1,8-シネオールを例示することができる。ニトリル基を有する化合物として、アセトニトリルを例示することができる。アミノ基を有する化合物として、トリエチルアミン、ホルムアミドを例示することができる。含硫黄化合物として、二硫化炭素を例示することができる。
表5に、液体62に用いることができる有機ハロゲン化物の一部について、265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、265nmの波長における屈折率とを示す。
有機ハロゲン化物として、フッ素化合物、塩素化合物、臭素化合物、及びヨウ素化合物を例示することができる。フッ素化合物として、ペルフルオロ(4-ビニルオキシ-1-ブテン)重合体(サイトップ)(登録商標)、2,2-ビストリフルオロメチル-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソール重合体(テフロン(登録商標)AF、DuPont製)を例示することができる。塩素化合物として、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、トリクロロプロパン、テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロプロパン、クロロヘキサノール、トリクロロアセチルクロリド、四塩化炭素、クロロアセトン、1-クロロブタン、クロロシクロヘキサン、クロロホルム、クロロエタノール、クロロヘキサン、クロロヘキサノン、エピクロロヒドリンを例示することができる。臭素化合物として、ブロモエタン、ブロモエタノール、ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ブロモホルム、トリブロモエタン、トリブロモプロパン、テトラブロモエタン、1-ブロモプロパンを例示することができる。ヨウ素化合物として、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ジヨードメタン、ジヨードプロパンなどのヨウ素化合物を例示することができる。
表6に、液体62に用いることができるシリコーン樹脂またはシリコーンオイルの一部について、265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、265nmの波長における屈折率とを示す。
シリコーン樹脂またはシリコーンオイルは、オルガノポリシロキサンを主鎖とし、Si原子に有機基が結合している。有機基として、炭素原子を含む官能基、フッ素原子を含む官能基、塩素原子を含む官能基、臭素原子を含む官能基、ヨウ素原子を含む官能基、窒素原子を含む官能基、酸素原子を含む官能基、硫黄原子を含む官能基のいずれか1つ以上を含む官能基を例示することができる。炭素原子を含む官能基として、メチル基、エチル基、プロピル基を例示することができる。フッ素原子を含む官能基として、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基を例示することができる。塩素原子を含む官能基として、トリクロロメチル基、トリクロロエチル基、トリクロロプロピル基を例示することができる。臭素原子を含む官能基として、トリブロモメチル基、トリブロモエチル基、トリブロモプロピル基を例示することができる。ヨウ素原子を含む官能基として、トリヨードメチル基、トリヨードエチル基、トリヨードプロピル基を例示することができる。窒素原子を含む官能基として、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、ウレイド基を例示することができる。酸素原子を含む官能基として、エポキシ基、メタクリル基、エーテル基を例示することができる。硫黄原子を含む官能基として、メルカプト基、スルフィニル基を例示することができる。シリコーン樹脂、またはシリコーンオイルとして、JCR6122(東レ・ダウコーニング製)、JCR6140(東レ・ダウコーニング製)、HE59(日本山村硝子製)、HE60(日本山村硝子製)、HE61(日本山村硝子製)、KER2910(信越化学工業製)、FER7061(信越化学工業製)をさらに例示することができる。これらの材料の中には、深紫外光19以外の光を照射したり加熱したりすることによって硬化し得る材料が含まれるが、本実施の形態では、これらの材料を硬化処理しないで液体の状態のものを、液体62として利用する。
塩溶液は、酸溶液、無機塩溶液、有機塩溶液のいずれかから構成されてもよい。表7から表9に、液体62に用いることができる塩溶液の一部について、193nm、または248nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率の一例と、193nm、または248nmの波長における屈折率の一例を示す。
表7に、液体62に用いることができる酸溶液の一部について、193nm、または248nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nm、または248nmの波長における屈折率とを示す。
酸として、リン酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、クエン酸、メタンスルホン酸、メタクリル酸、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸を例示することができる。
表8に、液体62に用いることができる無機塩溶液の一部について、193nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nmの波長における屈折率とを示す。
無機塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化ルビジウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化アルミニウム6水和物、臭化ナトリウム、臭化亜鉛、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム、臭化アンモニウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ガドリニウム、硫酸亜鉛、ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムを例示することができる。
表9に、液体62に用いることができる有機塩溶液の一部について、193nm波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nmの波長における屈折率とを示す。
有機塩として、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラプロピルアンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウム、酢酸ジエチルジメチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、メタンスルホン酸バリウム、メタンスルホン酸ランタン、メタンスルホン酸セシウム、メタンスルホン酸シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、シクロヘキサンスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルメタンスルホン酸ナトリウム、デカヒドロナフタレン-2-スルホン酸ナトリウム、1-アダマンタンメタンスルホン酸カリウム、1-アダマンタンスルホン酸カリウム、メタンスルホン酸デシルトリメチルアンモニウム、メタンスルホン酸ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、メタンスルホン酸アダマンチルトリメチルアンモニウム、メタンスルホン酸シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、メタンスルホン酸1,1’-ジメチルピペリジニウム、メタンスルホン酸1-メチルキヌクリジニウム、メタンスルホン酸1,1-ジメチルデカヒドロキノリニウム、メタンスルホン酸1,1,4,4-テトラメチルピペラジン-1,4-ジイウム、1,4-ジメチル1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンを例示することができる。
塩溶液に用いる溶媒として、水、有機溶媒、及びシリコーン樹脂またはシリコーンオイルに溶解した溶液を例示することができるが、これらに限られない。有機溶媒として、シクロヘキサン、デカン、デカヒドロナフタレンなどの飽和炭化水素化合物溶液、n-アクリル酸ブチル、n-アクリル酸メチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチルケトン、メタクリル酸メチル、ジクロロメタン、ジメチルシリコーンオイルを例示することができる。
表10に、液体62に用いることができる微粒子分散液の一部について、248nm、または300nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nm、248nm、または300nmの波長における屈折率とを示す。
微粒子分散液の微粒子として、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、α-酸化アルミニウム、γ-酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、フッ化カルシウム、ルテチウムアルミニウムガーネット、二酸化ケイ素(シリカ)、マグネシウムアルミネート、サファイア、ダイヤモンドなどの無機化合物を例示することができる。微粒子は、表面修飾ジルコニアのように、その表面が他の材料で修飾されてもよい。
微粒子を分散させる溶媒として、水、有機溶媒、及びシリコーン樹脂またはシリコーンオイルに溶解した溶液を例示することができるが、これらに限られない。有機溶媒として、シクロヘキサン、デカン、デカヒドロナフタレンなどの飽和炭化水素化合物溶液、n-アクリル酸ブチル、n-アクリル酸メチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチルケトン、メタクリル酸メチル、ジクロロメタン、ジメチルシリコーンオイルを例示することができる。
液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、1.32以上の屈折率を有してもよい。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、1.40以上の屈折率を有してもよい。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、1.45以上の屈折率を有してもよい。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、1.50以上の屈折率を有してもよい。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、1.55以上の屈折率を有してもよい。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、1.32以上の屈折率を有するので、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長における液体62の屈折率を、深紫外光19の波長における基板11の屈折率により一層近づけることができる。そのため、半導体発光素子10の出射面(第2の主面11b)と液体62との界面における反射率は低減され得る。
液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の波長において、半導体発光素子10の出射面(第2の主面11b)よりも小さな屈折率を有し、かつ、透明部材60よりも大きな屈折率を有してもよい。そのため、半導体発光素子10の出射面(第2の主面11b)と液体62との界面における反射率と液体62と透明部材60との界面における反射率とは低減され得る。
液体62は、絶縁性を有してもよい。本実施の形態では、液体62は、n型電極15と、p型電極16と、第1の導電パッド21と、第2の導電パッド22と、接合部材25と、導電ワイヤ33とに接触している。絶縁性を有する液体62は、n型電極15とp型電極16とが短絡することを防ぐことができる。液体62が導電性を有する場合には、半導体発光素子10の表面上と、第1の導電パッド21の表面上と、第2の導電パッド22の表面上と、接合部材25の表面上と、導電ワイヤ33の表面上とに、薄い絶縁膜を設けてもよい。
パッケージ(30,60)は、本実施の形態に開示されたタイプのパッケージ(30,60)に限られず、発光ダイオードに用いられる任意のタイプのパッケージが用いられ得る。例えば、基台30は、半導体発光素子10を囲む側壁を含み、透明部材60が平板の形状を有し、透明部材60が接着剤等を用いて側壁上に固定されてもよい。
本実施の形態の半導体発光素子10及びその製造方法並び発光モジュール1の効果を説明する。
本実施の形態の半導体発光素子10は、第1の主面11aと、第1の主面11aとは反対側の第2の主面11bとを有する基板11と、第1の主面11a上に設けられた半導体層18とを備える。半導体層18は深紫外光19を放射し得るように構成されている活性領域13を含む。本実施の形態の半導体発光素子10は、第2の主面11b上に形成された周期的凹凸構造17を備える。周期的凹凸構造17は、第2の主面11bから突出する複数の突起部17aを含む。第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は、0.15mm2以上である。第2の主面11bの第2の平面視における第2の主面11bの第2の面積に対する、第2の主面11bの第2の平面視における複数の突起部17aの第3の面積の比は、60%以上100%以下である。複数の突起部17aは、各々、0.6以上のアスペクト比を有する。
第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は0.15mm2以上であるため、深紫外光19が生成される活性領域13の面積が増加されている。また、深紫外光19の取り出し面である基板11の第2の主面11bの60%以上の領域に、複数の突起部17aが形成されているため、半導体発光素子10からの深紫外光19の取り出し効率が増加され得る。さらに、深紫外光19の取り出し面である基板11の第2の主面11bの60%以上の領域に、複数の突起部17aが形成されており、かつ、複数の突起部17aは、各々、0.6以上のアスペクト比を有するため、基板11の表面積が増加され得る。半導体発光素子10が深紫外光19を放射している間に半導体発光素子10において発生する熱は、複数の突起部17aから効率的に、半導体発光素子10の外部に放散され得る。半導体発光素子10が深紫外光19を放射している間の半導体発光素子10の温度が低下され得る。半導体発光素子10に大電流を注入する際に、ドループ現象が抑制され得る。ドループ現象は、半導体発光素子10に流れる電流が増加するにつれて、半導体発光素子10の発光効率が低下する現象である。本実施の形態の半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、従来の深紫外光19を放射する半導体発光素子10からは予測し得ない程度に増加され得る。以上述べたことは、以下の実験例によっても裏付けられる。
図15に示されるように、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子から放射される深紫外光19の出力よりも大きい。比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子は、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10と同様の構造を有するが、周期的凹凸構造17を備えていない。例えば、半導体発光素子10に注入される電流が500mAである時、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子から放射される深紫外光19の出力の2.6倍に増加している。半導体発光素子10に注入される電流が600mAである時、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子から放射される深紫外光19の出力の3.3倍に増加している。半導体発光素子10に注入される電流が700mAである時、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子から放射される深紫外光19の出力の4.5倍に増加している。半導体発光素子10に注入される電流が800mAである時、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子から放射される深紫外光19の出力の7.9倍に増加している。半導体発光素子10に注入される電流が850mAである時、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子から放射される深紫外光19の出力の19.6倍に増加している。
本実施の形態の半導体発光素子10では、半導体発光素子10へ注入される電流が増加するにつれて、発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は単調に増加する。これに対し、比較例の半導体発光素子では、半導体発光素子10へ注入される電流が約450mA以上に増加すると、発光モジュールに含まれる半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は減少する。
図16に示されるように、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10の外部量子効率(EQE)は、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子の外部量子効率(EQE)よりも大きい。本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10では、半導体発光素子10へ注入される電流が増加しても、半導体発光素子10の外部量子効率(EQE)は、ほぼ一定である。これに対し、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子では、半導体発光素子10へ注入される電流が増加するにつれて、半導体発光素子10の外部量子効率(EQE)が著しく減少している。
図17及び図18に示されるように、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10への注入電流が50mAである時の本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10のエレクトロルミネッセンス強度のピーク波長は、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子への注入電流が50mAである時の比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子のエレクトロルミネッセンス強度のピーク波長とほぼ等しい。本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10も比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子も、注入される電流が増加するにつれて、エレクトロルミネッセンス強度のピーク波長は長波長側にシフトする。しかし、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10のエレクトロルミネッセンス強度のピーク波長のシフトは、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子のエレクトロルミネッセンス強度のピーク波長のシフトよりも大幅に小さい。
図18を参照して、本実施の形態の発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10の接合部温度は、比較例の発光モジュールに含まれる半導体発光素子の接合部温度よりも大幅に低い。接合部温度は、発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10のp型半導体層14とn型半導体層12との間の接合部の温度である。接合部温度は、活性領域13の温度としても定義され得る。接合部の温度は、発光モジュール1に含まれる半導体発光素子10のエレクトロルミネッセンス強度のピーク波長のシフトから見積もられる。
本実施の形態の半導体発光素子10も比較例の半導体発光素子も、0.15mm2以上の活性領域13の第1の面積を有している。このように広い面積を有する活性領域13に大電流を注入すると、半導体発光素子10内において大量の熱が発生する。この熱は、主に、活性領域13、p型コンタクト層(第2のp型半導体層14b)及び基板11において発生する。p型コンタクト層(第2のp型半導体層14b)及び基板11では、活性領域13から放射される深紫外光19がp型コンタクト層(第2のp型半導体層14b)及び基板11に吸収されることによって熱が発生する。比較例の半導体発光素子は周期的凹凸構造17を備えていないため、比較例の半導体発光素子は、半導体発光素子10内で発生する熱を、半導体発光素子10の外部に放散させることができない。比較例の半導体発光素子に注入される電流が増加するにつれて、比較例の半導体発光素子の温度が急激に上昇する。比較例の半導体発光素子に注入される電流が増加するにつれて、比較例の半導体発光素子では、ドループ現象が発生して、半導体発光素子10の外部量子効率(EQE)が低下する。さらに、比較例の半導体発光素子は高い素子温度(接合部温度)を有するため、比較例の半導体発光素子は本実施の形態の半導体発光素子10よりも短い寿命を有する。
これに対し、本実施の形態の半導体発光素子10は周期的凹凸構造17を備えている。本実施の形態の半導体発光素子10の基板11は、比較例の半導体発光素子の基板11よりも大きな表面積を有している。そのため、本実施の形態の半導体発光素子10は、半導体発光素子10内で発生する熱を、半導体発光素子10の外部に効率的に放散させることができる。本実施の形態の半導体発光素子10に注入される電流が増加しても、本実施の形態の半導体発光素子10の温度が急激に上昇することが抑制され得る。本実施の形態の半導体発光素子10に注入される電流が増加しても、本実施の形態の半導体発光素子10では、ドループ現象が発生することが抑制されて、半導体発光素子10の外部量子効率(EQE)が低下することが抑制される。さらに、本実施の形態の半導体発光素子10は比較例の半導体発光素子よりも低い素子温度(接合部温度)を有するため、本実施の形態の半導体発光素子10は、比較例の半導体発光素子よりも、長い寿命と高い信頼性とを有する。
本実施の形態の周期的凹凸構造17は、以下の2つの機能を有する。本実施の形態の周期的凹凸構造17の第1の機能は、活性領域13から放射される深紫外光19が基板11の第2の主面11bで全反射されることを防止して、半導体発光素子10の深紫外光19の取り出し効率を増加させることである。本実施の形態の周期的凹凸構造17の第2の機能は、基板11の表面積を増加させて、半導体発光素子10内で発生する熱を半導体発光素子10の外部に効率的に放散させることである。すなわち、本実施の形態の周期的凹凸構造17は、半導体発光素子10の放熱フィンとして機能し得る。本実施の形態の半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、従来の深紫外光19を放射する半導体発光素子10からは予測し得ない程度に増加され得る。
本実施の形態の半導体発光素子10は、流体(62)で覆われている。本実施の形態の半導体発光素子10は、0.15mm2以上の活性領域13の第1の面積を有している。このように広い面積を有する活性領域13に大電流を注入すると、半導体発光素子10内において大量の熱が発生する。この熱は、主に、活性領域13、p型コンタクト層(第2のp型半導体層14b)及び基板11において発生する。p型コンタクト層(第2のp型半導体層14b)及び基板11では、活性領域13から放射される深紫外光19がp型コンタクト層(第2のp型半導体層14b)及び基板11に吸収されることによって熱が発生する。流体(62)は、半導体発光素子10で生じる熱によって、半導体発光素子10のまわりを対流する。そのため、流体(62)の特定の一部分が、深紫外光19の光密度が高い半導体発光素子10の近傍に存在し続けることがない。半導体発光素子10が深紫外光19を放射し続けている間に流体(62)の温度の上昇が抑制される。流体(62)は、半導体発光素子10を効率的に冷却し得る。半導体発光素子10に大電流を注入する際に、ドループ現象が抑制され得る。本実施の形態の半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、従来の半導体発光素子からは予測し得ない程度に増加され得る。
本実施の形態の半導体発光素子10では、活性領域13の第1の面積は、0.35mm2以上であってもよい。活性領域13はさらに広い面積を有するため、本実施の形態の半導体発光素子10によれば、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。
本実施の形態の半導体発光素子10では、複数の突起部17aの各々のアスペクト比h1/d1は、1.0以上であってもよい。基板11の表面積がさらに増加するため、半導体発光素子10内で発生する熱が半導体発光素子10の外部にさらに効率的に放散され得る。本実施の形態の半導体発光素子10によれば、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。本実施の形態の半導体発光素子10は、長い寿命と高い信頼性とを有する。
本実施の形態の半導体発光素子10では、基板11は、窒化アルミニウム(AlN)基板であってもよい。窒化アルミニウム(AlN)基板である基板11は、深紫外光19を放射し得るように構成された活性領域13を含む半導体層18と、同様の格子定数及び熱膨張係数を有している。そのため、窒化アルミニウム(AlN)基板である基板11は、半導体層18における転位欠陥密度を減少させることができる。本実施の形態の半導体発光素子10によれば、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。本実施の形態の半導体発光素子10は、長い寿命と高い信頼性とを有する。
本実施の形態の半導体発光素子10では、複数の突起部17aは、各々、円錐または角錐の形状を有してもよい。本実施の形態の半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力は、従来の深紫外光19を放射する半導体発光素子10からは予測し得ない程度に増加され得る。
本実施の形態の半導体発光素子10は、基板11とは反対側の半導体層18の表面18a上に、電極(p型電極16)をさらに備える。第1の主面11aの第1の平面視において、電極(p型電極16)は櫛歯形状を有する。櫛歯形状を有する電極(p型電極16)は、0.15mm2以上の第1の面積を有する活性領域13に均一に電流を注入することを可能にする。本実施の形態の半導体発光素子10によれば、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。本実施の形態の半導体発光素子10は、長い寿命と高い信頼性とを有する。
本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法は、基板11の第1の主面11a上に半導体層18を形成することを備える。半導体層18は、深紫外光19を放射し得るように構成されている活性領域13を含んでいる。第1の主面11aとは反対側の基板11の第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は、0.15mm2以上である。本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法は、第2の主面11b上に周期的凹凸構造17を形成することをさらに備える。周期的凹凸構造17は、第2の主面11bから突出する複数の突起部17aを含む。第2の主面11bの第2の平面視における第2の主面11bの第2の面積に対する、第2の主面11bの第2の平面視における複数の突起部17aの第3の面積の比は、60%以上100%以下である。複数の突起部17aは、各々、0.6以上のアスペクト比を有している。
周期的凹凸構造17を形成することは、第2の主面11b上に、第1の層41と、第2の層42と、第3の層43とをこの順に積層することを含む。第1の層41、第2の層42及び第3の層43は、互いに異なる材料からなる。第1の層41は、第2の層42及び第3の層43のそれぞれよりも大きな厚さを有している。周期的凹凸構造17を形成することは、凹凸パターンを有するモールド45を第3の層43にインプリントすることにより、第3の層43に複数の第1凹部43aを形成することと、複数の第1凹部43aが形成された第3の層43を用いて、第2の層42に複数の第2凹部42aを形成することとをさらに含む。周期的凹凸構造17を形成することは、複数の第2凹部42aが形成された第2の層42をマスクとして用いて、第1の層41の一部を異方性エッチングすることにより、第1の層41に複数の第3凹部41aを形成することをさらに含む。複数の第3凹部41aにおいて、基板11の第2の主面11bは露出している。周期的凹凸構造17を形成することは、複数の第3凹部41aにおいて露出された基板11の第2の主面11b上に、第4の層47を形成することと、複数の第3凹部41aが形成された第1の層41をリフトオフすることにより、第2の主面11b上に複数の柱状構造体48を形成することと、複数の柱状構造体48を用いて、第2の主面11bをエッチングすることにより、第2の主面11bに周期的凹凸構造17を形成することとをさらに含む。
第2の主面11bの第2の平面視における活性領域13の第1の面積は0.15mm2以上であるため、深紫外光19が生成される活性領域13の面積が増加されている。また、深紫外光19の取り出し面である基板11の第2の主面11bの60%以上の領域に、複数の突起部17aが形成されているため、半導体発光素子10からの深紫外光19の取り出し効率が増加され得る。さらに、深紫外光19の取り出し面である基板11の第2の主面11bの60%以上の領域に、複数の突起部17aが形成されており、かつ、複数の突起部17aは、各々、0.6以上のアスペクト比を有するため、基板11の表面積が増加され得る。半導体発光素子10が深紫外光19を放射している間に半導体発光素子10において発生する熱は、複数の突起部17aから効率的に、半導体発光素子10の外部に放散され得る。半導体発光素子10が深紫外光19を放射している間の半導体発光素子10の温度が低下され得る。半導体発光素子10に大電流を注入する際に、ドループ現象が抑制され得る。本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法によれば、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力が、従来の深紫外光19を放射する半導体発光素子10からは予測し得ない程度に増加され得る。
本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法では、凹凸パターンを有するモールド45を第3の層43にインプリントすることにより、第3の層43に複数の第1凹部43aが形成されている。そのため、周期的凹凸構造17は、第2の主面11bの60%以上にわたって、高スループット、高精度かつ安価に形成され得る。これに対し、電子線リソグラフィを用いて基板11の第2の主面11bに周期的凹凸構造17を形成するためには、広い面積を有する第2の主面11bの60%以上にわたって電子線を走査しなければならない。そのため、電子線リソグラフィを用いて基板11の第2の主面11bの60%以上に周期的凹凸構造17を形成する方法によっては、周期的凹凸構造17を含む基板11を高スループットかつ安価で製造することはできない。
本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法では、複数の第2凹部42aが形成された第2の層42をマスクとして用いて、第1の層41の一部を異方性エッチングすることにより、第1の層41に複数の第3凹部41aを形成している。第1の層41は、第2の層42及び第3の層43のそれぞれよりも大きな厚さを有する。そのため、第3凹部41aのアスペクト比と、第3凹部41a内に形成される複数の柱状構造体48の各々のアスペクト比とを大きくすることができる。複数の柱状構造体48を用いて、基板11の第2の主面11bをエッチングすることにより、基板11の第2の主面11bに高アスペクト比を有する周期的凹凸構造17が形成され得る。また、第1の層41と第3の層43とは互いに異なる材料からなる。第1の層41を構成する第1の材料として、第3の層43を構成する第3の材料よりも容易にリフトオフされ得る材料が選択され得る。複数の第3凹部41aが形成された第1の層41をリフトオフすることにより、基板11の第2の主面11b上に、高アスペクト比を有する周期的凹凸構造17が容易に形成され得る。本実施の形態の半導体発光素子10の製造方法によれば、放射される深紫外光19の出力が増加された半導体発光素子10が、高スループット、安価かつ容易に製造され得る。
本実施の形態の発光モジュール1は、半導体発光素子10と、半導体発光素子10を封止する液体62と、半導体発光素子10と液体62とを収容するパッケージ(30,60)とを備える。液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明である。パッケージ(30,60)は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明な透明部材60を含む。
本実施の形態の発光モジュール1は、半導体発光素子10を備えるため、発光モジュール1から放射される深紫外光19の出力が増加され得る。また、半導体発光素子10から放射される深紫外光19の出力が増加されるため、1つの発光モジュール1に使用される半導体発光素子10の数が低減され得る。そのため、発光モジュール1の価格が低減され得る。本実施の形態の発光モジュール1は、長い寿命と高い信頼性とを有する半導体発光素子10を備えている。そのため、本実施の形態の発光モジュール1は、長い寿命と高い信頼性とを有する。例えば、発光モジュール1の光出力が動作直後における発光モジュール1の光出力の半分となる時間が発光モジュール1の寿命として定義されるとき、本実施の形態の発光モジュール1は、約11,500時間の寿命を有する。
透明部材60及び液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明であるので、半導体発光素子10から放射される深紫外光19は、パッケージ(30,60)の外部へ効率よく取り出され得る。透明部材60及び液体62は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明であるので、透明部材60及び液体62は、深紫外光19の波長において、低い光吸収率を有する。そのため、透明部材60及び液体62が深紫外光19に長時間さらされても、深紫外光19の波長における透明部材60及び液体62の光透過率が低下することが防止され得る。
本実施の形態の半導体発光素子10は、0.15mm2以上の活性領域13の第1の面積を有している。このように広い面積を有する活性領域13に大電流を注入すると、半導体発光素子10内において大量の熱が発生する。この熱は、主に、活性領域13、p型コンタクト層(第2のp型半導体層14b)及び基板11において発生する。p型コンタクト層(第2のp型半導体層14b)及び基板11では、活性領域13から放射される深紫外光19がp型コンタクト層(第2のp型半導体層14b)及び基板11に吸収されることによって熱が発生する。本実施の形態の発光モジュール1では、半導体発光素子10は、半導体発光素子10から放射される深紫外光19に対して透明である液体62によって封止されている。液体62は、半導体発光素子10で生じる熱によって、パッケージ(30,60)の内側空間を対流する。そのため、液体62の特定の一部分が、深紫外光19の光密度が高い半導体発光素子10の近傍に存在し続けることがない。半導体発光素子10が深紫外光19を放射し続けている間に液体62の温度の上昇が抑制される。液体62は、半導体発光素子10を効率的に冷却し得る。半導体発光素子10に大電流を注入する際に、ドループ現象が抑制され得る。本実施の形態の発光モジュール1によれば、発光モジュール1から放射される深紫外光19の出力が、従来の発光モジュールからは予測し得ない程度に増加され得る。さらに、深紫外光19の光密度が高い半導体発光素子10の近傍に存在する液体62が劣化して、深紫外光19の波長における液体62の光透過率が低下することが防止され得る。本実施の形態の発光モジュール1は、長い寿命と高い信頼性とを有する。
透明部材60と深紫外光19を放射する半導体発光素子10との間に液体62が位置するので、透明部材60における深紫外光19の光密度は、半導体発光素子10の近傍における深紫外光19の光密度よりも十分小さい。そのため、固体である透明部材60が、液体62よりも、深紫外光19に対して高い光吸収率を有していても、深紫外光19が照射されることによって透明部材60が劣化することが防止され得る。本実施の形態の発光モジュール1は、長い寿命と高い信頼性とを有する。
(実施の形態2)
図19から図21を参照して、実施の形態2に係る半導体発光素子10bを説明する。本実施の形態の半導体発光素子10bは、実施の形態1の半導体発光素子10と同様の構成を備えるが、以下の点で主に異なる。図19及び図20を参照して、本実施の形態の半導体発光素子10bでは、複数の突起部17bは、各々、円錐台の形状を有している。複数の突起部17bは、各々、角錐台の形状を有してもよい。円錐台または角錐台の形状を有する複数の突起部17bは、実施の形態1の複数の突起部17aよりも、さらに半導体発光素子10bから放射される深紫外光19の出力を増加させ得る。複数の突起部17bの各々が、底部の幅(直径)d1と高さh1と上面の幅(直径)d2とを有する。d2/d1は、0.10以上であってもよく、0.15以上であってもよい。d2/d1は、0.50以下であってもよく、0.45以下であってもよい。d2/h1は、0.08以上であってもよく、0.12以上であってもよい。d2/h1は、0.50以下であってもよく、0.40以下であってもよい。
図21を参照して、複数の突起部17bの各々の上面の幅(直径)d2を変化させたときの活性領域13から半導体発光素子10bの第2の主面11bに垂直な方向に平面波として進行する深紫外光19の出力の変化を示す。半導体発光素子10bは、空気で覆われている。複数の突起部17bは、300nmの周期で三角格子状に配置されている。複数の突起部17bの各々は、290nmの幅(直径)d1と300nmの高さh1とを有している。複数の突起部17bの各々の上面の幅(直径)d2が60nm以上140nm以下のとき、半導体発光素子10bの深紫外光19の出力が特に増加している。
本実施の形態の半導体発光素子10bの製造方法は、実施の形態1の半導体発光素子10の製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点で主に異なる。本実施の形態の半導体発光素子10bの製造方法では、複数の柱状構造体48を用いて第2の主面11bをエッチングする際、第2の主面11bのエッチング深さを、実施の形態1における第2の主面11bのエッチング深さよりも小さくする。こうして、各々が円錐台または角錐台の形状を有する複数の突起部17bが形成され得る。
本実施の形態の半導体発光素子10bは、実施の形態1の半導体発光素子10の効果に加えて、以下の効果を奏する。本実施の形態の半導体発光素子10bでは、複数の突起部17bは、各々、円錐台または角錐台の形状を有している。本実施の形態の半導体発光素子10bによれば、半導体発光素子10bから放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。
(実施の形態3)
図22及び図23を参照して、実施の形態3に係る半導体発光素子10cを説明する。本実施の形態の半導体発光素子10cは、実施の形態2の半導体発光素子10bと同様の構成を備えるが、以下の点で主に異なる。
本実施の形態の半導体発光素子10cでは、第2の主面11b上に1つ以上の微細構造50をさらに備える。1つ以上の微細構造50の各々は、複数の突起部17bの各々よりも小さなサイズを有している。1つ以上の微細構造50の各々は、d3の幅(直径)と、h3の高さとを有している。1つ以上の微細構造50の各々の幅(直径)d3は、複数の突起部17bの各々の幅(直径)d1よりも小さい。1つ以上の微細構造50の各々の幅(直径)d3は、5nm以上であってもよく、10nm以上であってもよい。1つ以上の微細構造50の各々の幅(直径)d3は、70nm以下であってもよく、50nm以下であってもよい。1つ以上の微細構造50の各々の高さh3は、複数の突起部17bの各々の高さh1よりも小さい。1つ以上の微細構造50の各々の高さh3は、3nm以上であってもよく、5nm以上であってもよい。1つ以上の微細構造50の各々の高さh3は、60nm以下であってもよく、40nm以下であってもよい。
1つ以上の微細構造50の各々は、半球の形状を有してもよい。1つ以上の微細構造50の各々は、円錐の形状を有してもよいし、角錐の形状を有してよい。1つ以上の微細構造50の各々は、円錐台の形状を有してもよいし、角錐台の形状を有してもよい。
1つ以上の微細構造50が、複数の突起部17bの1つの周りに配置されている。1つ以上の微細構造50の各々と複数の突起部17bの1つとの間の距離d4は、活性領域13から放射される深紫外光19の波長以下であってもよい。複数の微細構造50が、複数の突起部17bの各々の周りに配置されてもよい。第2の主面11bの第2の平面視において、複数の微細構造50が、複数の突起部17bの各々の周りに対称に配置されてもよい。
本実施の形態の半導体発光素子10cの製造方法は、実施の形態2の半導体発光素子10bの製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点で主に異なる。本実施の形態の半導体発光素子10cの製造方法は、1つ以上の微細構造50に対応する1つ以上の微細構造体(図示せず)を基板11の第2の主面11b上に形成することを含む。1つ以上の微細構造体は、実施の形態1の複数の柱状構造体48と同様の工程で作成され得る。1つ以上の微細構造体の各々は、複数の柱状構造体48の各々よりも小さなサイズを有する。本実施の形態の半導体発光素子10cの製造方法は、複数の柱状構造体48及び1つ以上の微細構造体を用いて、第2の主面11bをエッチングすることにより、基板11の第2の主面11bに周期的凹凸構造17と1つ以上の微細構造50とを形成することをさらに含む。こうして、本実施の形態の半導体発光素子10cが製造され得る。
本実施の形態の半導体発光素子10cは、実施の形態2の半導体発光素子10bの効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の半導体発光素子10cは、第2の主面11b上に1つ以上の微細構造50をさらに備える。1つ以上の微細構造50の各々は、複数の突起部17bの各々よりも小さなサイズを有している。1つ以上の微細構造50は、複数の突起部17bの1つの周りに配置されている。活性領域13から放射される深紫外光19が1つ以上の微細構造50の各々に入射することによって、1つ以上の微細構造50の各々の周りに、近接場光が発生する。1つ以上の微細構造50の各々に隣接する複数の突起部17bの1つにおいて、この近接場光は、1つ以上の微細構造50を経由することなく、1つ以上の微細構造50の各々に隣接する複数の突起部17bの1つに入射する深紫外光19と結合される。近接場光と、1つ以上の微細構造50を経由することなく、複数の突起部17bに入射する深紫外光19とは、複数の突起部17bから半導体発光素子10cの外部に取り出される。本実施の形態の半導体発光素子10cによれば、半導体発光素子10cから放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。
(実施の形態4)
図24を参照して、実施の形態4に係る半導体発光素子10dを説明する。本実施の形態の半導体発光素子10dは、実施の形態1の半導体発光素子10と同様の構成を備えるが、以下の点で主に異なる。
本実施の形態の半導体発光素子10dでは、半導体層18は、n型半導体層12からp型半導体層14まで延在する転位欠陥55を含んでいる。転位欠陥55は、基板11とは反対側の半導体層18の表面18aまで延在してもよいし、延在していなくてもよい。転位欠陥55は、n型を有してもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、p型電極16は、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れて配置されている。
特定的には、半導体発光素子10dは、半導体層18(またはp型半導体層14)の表面18aの第1の領域上に、島状の絶縁層35をさらに備える。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分は、第1の領域内に存在している。島状の絶縁層35は、半導体層18の表面18aの第1の領域を覆っている。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、島状の絶縁層35は半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分を覆っている。p型電極16は、第1の領域とは異なる半導体層18(またはp型半導体層14)の表面18aの第2の領域上に設けられている。p型電極16は、半導体層18の表面18aの第2の領域に接触している。p型電極16は、半導体層18(またはp型半導体層14)の表面18aの第1の領域に接触していない。p型電極16は、島状の絶縁層35上にも設けられてもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分は、半導体層18の表面18aの第2の領域内に存在していない。
島状の絶縁層35は、特に限定されないが、二酸化シリコン(SiO2)層であってもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、島状の絶縁層35は、特に限定されないが、矩形の形状を有してもよく、円形の形状を有してもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視における、島状の絶縁膜の外周(またはp型電極16)と半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分との間の最短距離d5は、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視における、島状の絶縁膜の外周(またはp型電極16)と半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分との間の最短距離d5を10μm以上に設定することによって、n型電極15及びp型電極16から注入される電流が転位欠陥55にリークすることが確実に防止され得る。半導体層18の表面18aの第3の平面視における、島状の絶縁膜の外周(またはp型電極16)と半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分との間の最短距離d5は、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視における、島状の絶縁膜の外周(またはp型電極16)と半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分との間の最短距離d5を100μm以下に設定することによって、p型電極16と半導体層18(またはp型半導体層14)との間の接触面積が小さくなって半導体発光素子10dの発光効率が低下することとが防止される。
図25を参照して、実施の形態4に係る半導体発光素子10dの製造方法を説明する。本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法は、実施の形態1の半導体発光素子10の製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点で主に異なる。
本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法は、半導体層18の表面18aの第3の平面視における転位欠陥55の位置を特定すること(S11)を備えている。例えば、顕微ラマン分光法によって、または、光学顕微鏡を用いて半導体層18の表面18aを観察することによって、半導体層18の表面18aの第3の平面視における転位欠陥55の位置が特定されてもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分は、半導体層18の表面18aの第1の領域内に存在している。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分は、第1の領域とは異なる半導体層18の表面18aの第2の領域内に存在していない。
本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法は、p型電極16を、半導体層18の表面18aの第3の平面視において半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れた半導体層18の表面18a上に形成すること(S12,S3d)を備えている。特定的には、p型電極16を、半導体層18の表面18aの第3の平面視において半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れた半導体層18の表面18a上に形成すること(S12,S3d)は、半導体層18の表面18aの第3の平面視において半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分を覆う島状の絶縁層35を、半導体層18の表面18aの第1の領域上に形成すること(S12)と、第1の領域とは異なる半導体層18の表面18aの第2の領域上にp型電極16を形成すること(3d)とを含んでもよい。p型電極16は、島状の絶縁層35上にも形成されてもよい。島状の絶縁層35を半導体層18の表面18aの第1の領域上に形成すること(S12)は、例えば、蒸着法またはスピンコーティング法などによって、半導体層18の表面18aの全ての上に絶縁層35を形成することと、半導体層18の表面18aの第2の領域上の絶縁層35をエッチングによって除去することとを含んでもよい。
本実施の形態の半導体発光素子10d及びその製造方法は、実施の形態1の半導体発光素子10及びその製造方法の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の半導体発光素子10dは、基板11とは反対側の半導体層18の表面18a上に、p型電極16をさらに備える。半導体層18は、n型半導体層12とp型半導体層14とをさらに含む。n型半導体層12は、活性領域13に対して基板11側に設けられている。p型半導体層14は、活性領域13に対して基板11とは反対側に設けられている。p型電極16は、p型半導体層14に接触している。半導体層18は、n型半導体層12からp型半導体層14に延在する転位欠陥55を含む。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、p型電極16は、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れて配置されている。
半導体層18の表面18aの第3の平面視において、p型電極16は半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れて配置されているため、n型電極15及びp型電極16から半導体層18の活性領域13に注入される電流が転位欠陥55にリークすることが防止され得る。そのため、半導体発光素子10dの発光効率が増加し、ドループ現象が抑制される。本実施の形態の半導体発光素子10dによれば、半導体発光素子10dから放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。本実施の形態の半導体発光素子10dは、長い寿命と高い信頼性とを有する。
本実施の形態の半導体発光素子10dは、半導体層18の表面18aの第1の領域上に、島状の絶縁層35をさらに備える。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分は、半導体層18の表面18aの第1の領域内に存在している。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、島状の絶縁層35は半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分を覆っている。p型電極16は、第1の領域とは異なる半導体層18の表面18aの第2の領域と島状の絶縁層35とを覆っている。
島状の絶縁層35は、n型電極15及びp型電極16から半導体層18の活性領域13に注入される電流が転位欠陥55にリークすることを防止し得る。そのため、半導体発光素子10dの発光効率が増加し、ドループ現象が抑制される。本実施の形態の半導体発光素子10dによれば、半導体発光素子10dから放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。本実施の形態の半導体発光素子10dは、長い寿命と高い信頼性とを有する。
本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法は、半導体層18の表面18aの第3の平面視における転位欠陥55の位置を特定すること(S11)をさらに備える。半導体層18は、n型半導体層12とp型半導体層14とをさらに含む。n型半導体層12は活性領域13に対して基板11側に設けられている。p型半導体層14は活性領域13に対して基板11とは反対側に設けられている。転位欠陥55は、n型半導体層12からp型半導体層14に延在している。本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法は、p型電極16を、半導体層18の表面18aの第3の平面視において半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れた半導体層18の表面18a上に形成すること(S12,S3d)とをさらに備える。p型電極16は、p型半導体層14に接触している。
半導体層18の表面18aの第3の平面視において、p型電極16は半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れて配置されているため、n型電極15及びp型電極16から半導体層18の活性領域13に注入される電流が転位欠陥55にリークすることが防止され得る。そのため、半導体発光素子10dの発光効率が増加し、ドループ現象が抑制される。本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法によれば、半導体発光素子10dから放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法によれば、長い寿命と高い信頼性とを有する半導体発光素子10dが製造され得る。
本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法では、p型電極16を、半導体層18の表面18aの第3の平面視において半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れた半導体層18の表面18a上に形成すること(S12,S3d)は、半導体層18の表面18aの第3の平面視において半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分を覆う島状の絶縁層35を半導体層18の表面18aの第1の領域上に形成すること(S12)と、第1の領域とは異なる半導体層18の表面18aの第2の領域上にp型電極16を形成すること(3d)とを含んでもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分は第1の領域内に存在している。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、島状の絶縁層35は半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分を覆っている。
島状の絶縁層35は、n型電極15及びp型電極16から半導体層18の活性領域13に注入される電流が転位欠陥55にリークすることを防止し得る。そのため、半導体発光素子10dの発光効率が増加し、ドループ現象が抑制される。本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法によれば、半導体発光素子10dから放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。本実施の形態の半導体発光素子10dの製造方法によれば、長い寿命と高い信頼性とを有する半導体発光素子10dが製造され得る。
(実施の形態5)
図26を参照して、実施の形態5に係る半導体発光素子10eを説明する。本実施の形態の半導体発光素子10eは、実施の形態4の半導体発光素子10dと同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、以下の点で主に異なる。
本実施の形態の半導体発光素子10eでは、半導体層18の表面18aの第3の平面視において、p型電極16は、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れて配置されている。特定的には、p型電極16は、貫通孔57を有している。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分は、貫通孔57内に存在している。半導体層18の表面18aの第1の領域は、貫通孔57を通して、p型電極16から露出している。p型電極16は、第1の領域とは異なる半導体層18の表面18aの第2の領域上に設けられている。p型電極16は、半導体層18の表面18aの第2の領域に接触している。p型電極16は、半導体層18の表面18aの第1の領域に接触していない。半導体層18の表面18aの第3の平面視において、半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分は、半導体層18の表面18aの第2の領域内に存在していない。
半導体層18の表面18aの第3の平面視において、貫通孔57は、特に限定されないが、矩形の形状を有してもよく、円形の形状を有してもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視における、p型電極16と半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分との間の最短距離d6は、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視における、p型電極16と半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分との間の最短距離d6を10μm以上に設定することによって、n型電極15及びp型電極16から注入される電流が転位欠陥55にリークすることが確実に防止され得る。半導体層18の表面18aの第3の平面視における、p型電極16と半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分との間の最短距離d6は、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。半導体層18の表面18aの第3の平面視における、p型電極16と半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分との間の最短距離d6を100μm以下に設定することによって、p型電極16と半導体層18(またはp型半導体層14)との間の接触面積が小さくなって半導体発光素子10eの発光効率が低下することとが防止される。
図26及び図27を参照して、実施の形態5に係る半導体発光素子10eの製造方法を説明する。本実施の形態の半導体発光素子10eの製造方法は、実施の形態4の半導体発光素子10dの製造方法と同様の工程を備えるが、以下の点で主に異なる。
本実施の形態の半導体発光素子10eの製造方法は、半導体層18の表面18aの第3の平面視における転位欠陥55の位置を特定すること(S11)の後に、p型電極16を、半導体層18の表面18aの第3の平面視において半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れた半導体層18の表面18aの第2の領域上に形成すること(S3e)を備えている。p型電極16は、p型半導体層14に接触している。p型電極16を、半導体層18の表面18aの第3の平面視において半導体層18の表面18aに最も近い転位欠陥55の部分から離れた半導体層18の表面18aの第2の領域上に形成すること(S3e)は、例えば、蒸着法などによって、半導体層18の表面18aの全ての上にp型電極16を形成することと、半導体層18の表面18aの第1の領域上のp型電極16をエッチングによって除去して、貫通孔57を形成することとを含んでもよい。
(実施の形態6)
図28を参照して、実施の形態6に係る発光モジュール1gを説明する。本実施の形態の発光モジュール1gは、実施の形態1の発光モジュール1と同様の構成を備えるが、以下の点で主に異なる。
本実施の形態の発光モジュール1gは、パッケージ(30,60)の外側に配置されたポンプ66と、配管67とをさらに備えてもよい。配管67は、液体62が収容されるパッケージ(30,60)の内部空間と、ポンプ66とを接続する。ポンプ66及び配管67は、液体62がパッケージ(30,60)の内部空間と配管67とを循環するように構成されている。ポンプ66は、基台30の一端から、パッケージ(30,60)の内側空間にある液体62を排出する。基台30の一端から排出された液体62は冷却される。冷却された液体62は、基台30の他端から、パッケージ(30,60)の内側空間に注入される。
本実施の形態の発光モジュール1gは、実施の形態1の発光モジュール1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
本実施の形態の発光モジュール1gは、パッケージ(30,60)の外側に配置されたポンプ66と、配管67とをさらに備えている。配管67は、液体62が収容されるパッケージ(30,60)の内部空間と、ポンプ66とを接続する。ポンプ66及び配管67は、液体62がパッケージ(30,60)の内部空間と配管67とを循環するように構成されている。ポンプ66は、パッケージ(30,60)の内側空間にある液体62を排出する。排出された液体62は冷却される。ポンプ66は、冷却された液体62を、パッケージ(30,60)の内側空間に注入する。そのため、半導体発光素子10が深紫外光19を放射している間に液体62の温度が上昇することがさらに抑制される。本実施の形態の発光モジュール1gによれば、発光モジュール1gから放射される深紫外光19の出力がさらに増加され得る。本実施の形態の発光モジュール1gは、長い寿命と高い信頼性とを有する。
今回開示された実施の形態1-6はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態1-6の少なくとも2つを組み合わせてもよい。例えば、実施の形態1,6における発光モジュール1,1gは、半導体発光素子10に代えて、実施の形態2から実施の形態5の半導体発光素子10b-10eのいずれかを備えてもよい。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。