以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。特に説明しない限り、同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
(実施の形態1)
図1から図13を参照して、実施の形態1に係る凹凸構造17を含む基板11及び凹凸構造17を含む基板11の製造方法を説明する。
図1及び図2を参照して、実施の形態1に係る凹凸構造17を含む基板11は、第1の表面11aと第1の表面11aと反対側の第2の表面11bとを有する。基板11の第2の表面11bは凹凸構造17を含む。本実施の形態の凹凸構造17は、回折格子、光屈折素子、光散乱素子及びフォトニック結晶のような光学要素、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、太陽電池、電界放出用電子源、ナノインプリント用モールド、プローブ顕微鏡用探針、高密度磁気記録層、高周波数用配線基板、多周波数対応アンテナ基材、バイオ検査チップ、増強電場を発生させる微細構造体などに適用することができる。
基板11の材料は、特に限定されないが、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、サファイア、窒化ガリウム(GaN)、炭化珪素(SiC)、酸化ガリウム(Ga2O3)、シリコン(Si)などを用いることができる。基板11は、窒化アルミニウム、サファイアまたは酸化ガリウムのような高い硬度を有してもよい。基板11は、9GPa以上のビッカース硬度を有してもよい。
凹凸構造17の凸部17bは、円錐、多角錐、円柱または多角柱の形状を有してもよい。凸部17bを有する凹凸構造17は、0.8より大きなアスペクト比、好ましくは1.0より大きなアスペクト比、より好ましくは1.5より大きなアスペクト比を有してもよい。凹凸構造17のアスペクト比の上限値は特に制限されるものではないが、凹凸構造17を含む基板11の生産性を考慮すると、10以下が好ましい。凹凸構造17のアスペクト比は、凸部17bの高さh1を凸部17bの幅d1で除算した値として定義される。凸部17bの高さh1は、基板11の第2の表面11bに垂直な方向における凸部17bの長さである。凸部17bの幅d1は、基板11の第2の表面11bに平行な方向における凸部17bの長さである。凸部17bの高さh1は、200nmより大きくてもよく、好ましくは350nm以上であってもよく、さらに好ましくは500nm以上であってもよい。互いに隣り合う凸部17bの間の距離dは、1μmより小さくてもよく、好ましくは800nm以下であってもよく、さらに好ましくは600nm以下であってもよい。凹凸構造17は、ナノ構造であってもよい。凹凸構造17は、1μmより小さな周期、好ましくは800nm以下の周期、さらに好ましくは600nm以下の周期を有してもよい。凹凸構造17は、ナノサイズの周期構造を有してもよい。
図1及び図3から図13を参照して、凹凸構造17を含む基板11の製造方法を説明する。
図3を参照して、第1の表面11aと第1の表面11aと反対側の第2の表面11bとを有する基板11を準備する。
図4を参照して、基板11の第2の表面11b上に、第1の層21と、第2の層22と、第3の層23とをこの順に積層する。基板11の第2の表面11bと第1の層21との密着性を向上させるために、第1の層21を形成する前に、基板11の第2の表面11bをヘキサメチルジシラザン(HMDS)などにより疎水化処理してもよい。
第1の層21は、基板11の第2の表面11b上に形成される。第1の層21は、第1の樹脂材料を含んでもよい。第1の樹脂材料は、レジスト(ZEP520A、日本ゼオン社製)であってもよい。第1の層21は、第1の樹脂材料を含む第1の材料を基板11の第2の表面11b上にスピンコートし、それから150℃以上で30分間ベークすることによって、形成されてもよい。第1の層21は、第2の層22及び第3の層23のそれぞれよりも大きな厚さを有する。第1の層21は、400nmより大きな厚さを有してもよい。また、第1の層21の厚さの上限値は、特に制限されるものではないが、第1の層21の加工性等を考慮すると、10μm以下が好ましい。本実施の形態では、第1の層21は、460nmの厚さを有している。第1の層21は、多層構造(図示せず)を有してもよい。この多層構造の最表面の層は、第2の層22を構成する第2の材料の濡れ性を向上させる層であってもよい。この多層構造の最表面の層は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)層であってもよい。この多層構造の最表面の層は、例えば5nm以上50nm以下の厚さを有してもよい。さらに、第1の層21は、アセトンやN−メチルピロリドン等の極性溶媒に対して溶解性を有する材料からなることが好ましい。
第2の層22は、第1の層21上に形成される。第2の層22は、酸化シリコンのような無機材料を含む第2の材料から構成されてもよい。第2の層22を構成する第2の材料は、第1の層21を構成する第1の材料と異なる。第2の層22は、多層構造(図示せず)を有してもよい。第2の層22は、第2の材料を第1の層21上にスピンコートし、それから80℃以上で30分間ベークすることによって、形成されてもよい。第2の層22をスピンコートで形成する場合は、第2の層22を形成するために用いられるスピンコート材に含まれる溶媒などによって、第1の層21が溶解されないことが好ましい。第2の層22は、スピンオングラス(SOG)層であってもよい。第2の層22は、10nm以上100nm以下の厚さを有してもよい。第2の層22に対する第3の層23の濡れ性を向上させるために、第2の層22の表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)などにより疎水化処理し、それから、第2の層22の表面上にレジスト(ZEP520A、日本ゼオン社製)などからなる中間層(図示せず)を形成してもよい。この中間層は、例えば5nm以上50nm以下の厚さを有してもよい。
第3の層23は、第2の層22上に形成される。第3の層23は、中間層上に形成されてもよい。第3の層23は、第2の樹脂材料を含む第3の材料で構成されてもよい。第3の層23は、多層構造(図示せず)を有してもよい。第3の層23を構成する第3の材料は、第1の層21を構成する第1の材料及び第2の層22を構成する第2の材料と異なる。第1の層21、第2の層22及び第3の層23は互いに異なる材料からなる。第2の樹脂材料は、紫外線硬化性樹脂を含む光硬化性樹脂を含んでもよい。第2の樹脂材料は、レジスト(MUR−XR、丸善石油化学社製)であってもよい。第3の層23は、第2の樹脂材料を含む第3の材料を第2の層22上にスピンコートして、形成されてもよい。第3の層23をスピンコートで形成する場合は、第3の層23を形成するために用いられるスピンコート材に含まれる溶媒などによって、第2の層22が溶解されないことが好ましい。第3の層23の厚さは、モールド35(図5(C)及び図6を参照)の凹凸パターン34aに応じて適宜定めればよい。第3の層23の厚さは、20nm以上300nm以下であってもよい。
図5(A)から図5(C)を参照して、凹凸パターン34aを有するモールド35の製造方法を説明する。モールド35は、安価かつ高均一なインプリントに適したソフトフィルムモールドが好ましい。図5(A)を参照して、ナノサイズを有する凹凸パターン31aを含むマスターモールド31を作成する。凹凸パターン31aは、280nm以上320nm以下の直径と、280nm以上300nm以下の深さとを有する凹部が周期600nmで正三角格子に配列された構造を有してもよい。図5(B)を参照して、表面に樹脂層34が設けられたフィルム33を準備する。フィルム33は、PETフィルムであってもよい。樹脂層34は、紫外線硬化性樹脂を含む光硬化性樹脂であってもよい。図5(C)を参照して、フィルム33上の樹脂層34にマスターモールド31をインプリントして、樹脂層34を硬化させる。樹脂層34が紫外線硬化性樹脂である場合には、例えば365nmの波長を有する紫外線を樹脂層34に照射して、樹脂層34を硬化させてもよい。マスターモールド31を樹脂層34から剥離する。こうして、凹凸パターン34aを有するモールド35を製造することができる。モールド35はフィルムモールドであってもよい。
図6を参照して、凹凸パターン34aを有するモールド35を第3の層23にインプリントすることにより、第3の層23に複数の第1凹部23aを形成する。特定的には、凹凸パターン34aを有するモールド35を第3の層23にインプリントする。モールド35を第3の層23にインプリントしながら、第3の層23に含まれる第2の樹脂材料を硬化させる。第2の樹脂材料が紫外線硬化性樹脂を含む光硬化性樹脂である場合には、紫外線を含む光36を第3の層23に照射して、第3の層23に含まれる第2の樹脂材料を硬化させる。モールド35を第3の層23にインプリントしながら、第3の層23に含まれる第2の樹脂材料を硬化させる代わりに、モールド35を第3の層23にインプリントした後、すなわちモールド35を第3の層23から剥離した後に、第3の層23に光36を照射するなどして、第3の層23に含まれる第2の樹脂材料を硬化させてもよい。
図7及び図8を参照して、モールド35を第3の層23から剥離する。こうして、第3の層23に複数の第1凹部23aを形成することができる。第1凹部23aは、h2の高さとd2の幅とを有する。第1凹部23aの高さh2は、基板11の第2の表面11bに垂直な方向における第1凹部23aの長さである。第1凹部23aの幅d2は、基板11の第2の表面11bに平行な方向における第1凹部23aの長さである。第1凹部23aのアスペクト比は、第1凹部23aの高さh2を第1凹部23aの幅d2で除算した値として定義される。複数の第1凹部23aを形成することは、複数の第1凹部23aの底面に第3の層の一部(残膜23b)を残存させることを含んでもよい。言い換えると、複数の第1凹部23aを形成する際、複数の第1凹部23aの底面に残膜23bが存在してもよい。
図9を参照して、複数の第1凹部23aが形成された第3の層23を用いて、第2の層22に複数の第2凹部22aを形成する。第2の層22に複数の第2凹部22aを形成することは、第3の層23をマスクとして用いて、複数の第1凹部23aに対応する第2の層22の一部をエッチングすることを含んでもよい。第2の層22の一部のエッチングは、ドライエッチングであってもよい。第2の層22の一部のエッチングは、フッ素系のエッチングガスのような第1のエッチングガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)エッチングであってもよい。例えば、200W以上600W以下の出力を有するアンテナ電極と、10W以上400W以下の出力を有するバイアス電極と、0.1Pa以上1.0Pa以下の圧力を有するチャンバーとを有するICPエッチング装置を用いて、1分以上5分以下の間、第2の層22の一部をエッチングすることによって、第2の層22に複数の第2凹部22aを形成してもよい。
複数の第2凹部22aを形成するために第2の層22の一部をエッチングすることは、複数の第1凹部23aの底面に残存した第3の層23の一部(残膜23b)を除去することをさらに含んでもよい。すなわち、複数の第2凹部22aを形成するために第2の層22の一部をエッチングする際、複数の第1凹部23aの底面に残存した第3の層23(残膜23b)がさらにエッチングされてもよい。複数の第2凹部22aを形成するための第2の層22の一部のエッチングにおいて、第1の層21は第2の層22よりも小さなエッチングレートを有してもよい。複数の第2凹部22aを形成するために第2の層22の一部をエッチングする際、第1の層21はエッチング停止層として機能してもよい。
図10を参照して、複数の第2凹部22aが形成された第2の層22をマスクとして用いて、第1の層21の一部を異方性エッチングすることにより、第1の層21に複数の第3凹部21aを形成する。第1の層21の一部を異方性エッチングする際、複数の第3凹部21aにおいて、基板11の第2の表面11bは露出する。第1の層21の一部の異方性エッチングにおいて、第1の層21のエッチングレートは、第2の層22のエッチングレートの10倍以上、好ましくは50倍以上、さらに好ましくは100倍以上であってもよい。この異方性エッチングでは、主に基板11の第2の表面11bに垂直な方向にエッチングされるが、基板11の第2の表面11bに平行な方向には第1の層21はほとんどエッチングされない。そのため、第1の層21が第2の層22及び第3の層23のそれぞれよりも大きな厚さを有していても、アスペクト比の大きな複数の第3凹部21aを形成することができる。第1凹部23aのアスペクト比及びモールド35の凸部のアスペクト比よりも大きなアスペクト比を有する第3凹部21aを形成することができる。第3凹部21aのアスペクト比は、第3凹部21aの高さh3を第3凹部21aの幅d3で除算した値として定義される。第3凹部21aの高さh3は、基板11の第2の表面11bに垂直な方向における第3凹部21aの長さである。第3凹部21aの幅d3は、基板11の第2の表面11bに平行な方向における第3凹部21aの長さである。第1の層21の一部を異方性エッチングする際、第2の層22上に残る第3の層23も除去されてもよい。
第2の層22の一部の異方性エッチングは、ドライエッチングであってもよい。第2の層22の一部の異方性エッチングは、酸素とアルゴンとを含む第2のエッチングガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)エッチングであってもよい。第2のエッチングガスは第1のエッチングガスと異なってもよい。例えば、200W以上600W以下の出力を有するアンテナ電極と、10W以上100W以下の出力を有するバイアス電極と、0.1Pa以上1.0Pa以下の圧力を有するチャンバーとを有するICPエッチング装置を用いて、10分以上70分以下の間、第1の層21の一部を異方性エッチングすることによって、第1の層21に複数の第3凹部21aを形成してもよい。図9に示される、第2の層22に複数の第2凹部22aを形成する工程と、図10に示される、第1の層21に複数の第3凹部21aを形成する工程とを、1つのICPエッチング装置を用いて行ってもよい。図9及び図10に示される2つの工程を1つのICPエッチング装置を用いて行うことにより、凹凸構造17を含む基板11を高スループットで製造することができる。
図11を参照して、複数の第3凹部21aにおいて露出された基板11の第2の表面11b上と、第1の層21上とに、第4の層24を形成する。第4の層24は、複数の第3凹部21a内の第1の部分24aと、第1の層21上の第2の部分24bとからなってもよい。第4の層24の第1の部分24aは、後続する第1の層21をリフトオフする工程後の、複数の柱状構造体25に対応する。第4の層24は、基板11のエッチグレートの1.5倍以下、好ましくは1.0倍以下、さらに好ましくは0.8倍以下のエッチングレートを有する材料で構成されてもよい。第4の層24は、ニッケル層であってもよい。第4の層24を形成する方法は特に限定されないが、真空蒸着法を用いてもよい。
図12及び図13を参照して、複数の第3凹部21aが形成された第1の層21と第1の層21上の第4の層24(第2の部分24b)とをリフトオフすることにより、基板11の第2の表面11b上に複数の柱状構造体25を形成する。このリフトオフ工程は、複数の第3凹部21aを有する第1の層21と第4の層24とが形成された基板11を40℃以上の温度を有するアセトンに浸漬させながら、基板11に100kHzの周波数を有する超音波を施すことによって行われてもよい。複数の柱状構造体25のそれぞれは、円錐、多角錐、円柱または多角柱の形状を有してもよい。柱状構造体25を用いて形成される基板11の凹凸構造17の大きさ及び形状に合わせて、柱状構造体25の大きさ及び形状が適宜変更されてもよい。複数の柱状構造体25のそれぞれは、1.0より大きなアスペクト比、好ましくは1.3以上のアスペクト比、より好ましくは1.5以上のアスペクト比を有してもよい。柱状構造体25のアスペクト比の上限値は特に制限されるものではないが、凹凸構造17を含む基板11の生産性を考慮すると、10以下が好ましい。柱状構造体25のアスペクト比は、柱状構造体25の高さh4を柱状構造体25の幅d4で除算した値として定義される。柱状構造体25の高さh4は、基板11の第2の表面11bに垂直な方向における柱状構造体25の長さである。柱状構造体25の幅d4は、基板11の第2の表面11bに平行な方向における柱状構造体25の長さである。柱状構造体25の高さh4は、200nmより大きくてもよく、好ましくは350nm以上であってもよく、さらに好ましくは500nm以上であってもよい。互いに隣り合う柱状構造体25の間の距離は、1μmより小さくてもよく、好ましくは800nm以下であってもよく、さらに好ましくは600nm以下であってもよい。柱状構造体25は、ナノ柱状構造体であってもよい。複数の柱状構造体25は、1μmより小さな周期、好ましくは800nm以下の周期、さらに好ましくは600nm以下の周期を有してもよい。複数の柱状構造体25は、ナノサイズの周期構造を有してもよい。
それから、複数の柱状構造体25を用いて、基板11の第2の表面11bをエッチングすることにより、基板11の第2の表面11bに凹凸構造17(図1を参照)を形成する。基板11の第2の表面11bに凹凸構造17を形成することは、複数の柱状構造体25をマスクとして用いて、基板11の第2の表面11bをエッチングすることを含んでもよい。基板11の第2の表面11bをエッチングする際、基板11の第2の表面11bとともに複数の柱状構造体25の少なくとも一部もエッチングされてもよい。基板11の第2の表面11bのこのエッチングにより、複数の柱状構造体25のパターンが基板11の第2の表面11bに転写されて、基板11の第2の表面11bに凹凸構造17を形成することができる。複数の柱状構造体25は、基板11のエッチグレートの1.5倍以下、好ましくは1.0倍以下、さらに好ましくは0.8倍以下のエッチングレートを有する材料で構成されてもよい。そのため、高アスペクト比を有する複数の柱状構造体25を用いて、基板11の第2の表面11bに、高アスペクト比を有する凹凸構造17を形成することができる。複数の柱状構造体25は、ニッケルを含んでもよい。
基板11の第2の表面11bのこのエッチングは、誘導結合プラズマ(ICP)エッチングのようなドライエッチングであってもよい。エッチングガスは、三フッ化メタン(CHF3)ガスのようなフッ素系ガスを用いてもよい。例えば、200W以上600W以下の出力を有するアンテナ電極と、100W以上400W以下の出力を有するバイアス電極と、0.1Pa以上1.0Pa以下の圧力を有するチャンバーとを有するICPエッチング装置を用いて、基板11の第2の表面11bをエッチングすることによって、基板11の第2の表面11bに凹凸構造17を形成してもよい。続いて、複数の柱状構造体25の残渣を除去してもよい。複数の柱状構造体25の残渣を除去する工程は、例えば、凹凸構造17が形成された基板11を、30℃〜100℃の温度を有する濃塩酸に1〜40分間浸漬することによって行ってもよい。このようにして、図1に示される凹凸構造17を含む基板11を製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法の作用及び効果を以下説明する。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法は、第1の表面11aと第1の表面11aと反対側の第2の表面11bとを有する基板11の第2の表面11b上に、第1の層21と、第2の層22と、第3の層23とをこの順に積層することを備える。第1の層21、第2の層22及び第3の層23は互いに異なる材料からなる。第1の層21は、第2の層22及び第3の層23のそれぞれよりも大きな厚さを有する。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法は、さらに、凹凸パターン34aを有するモールド35を第3の層23にインプリントすることにより、第3の層23に複数の第1凹部23aを形成することと、複数の第1凹部23aが形成された第3の層23を用いて、第2の層22に複数の第2凹部22aを形成することと、複数の第2凹部22aが形成された第2の層22をマスクとして用いて、第1の層21の一部を異方性エッチングすることにより、第1の層21に複数の第3凹部21aを形成することとを備える。複数の第3凹部21aにおいて基板11の第2の表面11bは露出する。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法は、さらに、複数の第3凹部21aにおいて露出された基板11の第2の表面11b上に、第4の層24を形成することと、複数の第3凹部21aが形成された第1の層21をリフトオフすることにより、基板11の第2の表面11b上に複数の柱状構造体25を形成することと、複数の柱状構造体25を用いて、基板11の第2の表面11bをエッチングすることにより、基板11の第2の表面11bに凹凸構造17を形成することとを備える。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法では、凹凸パターン34aを有するモールド35を第3の層23にインプリントすることにより、第3の層23に複数の第1凹部23aを形成している。そのため、基板11の第2の表面11b全体にわたって凹凸構造17を、高スループット、高精度かつ安価に形成することができる。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法では、複数の第2凹部22aが形成された第2の層22をマスクとして用いて、第1の層21の一部を異方性エッチングすることにより、第1の層21に複数の第3凹部21aを形成している。第1の層21は、第2の層22及び第3の層23のそれぞれよりも大きな厚さを有する。そのため、第3凹部21aのアスペクト比と、第3凹部21a内に形成される柱状構造体25のアスペクト比とを大きくすることができる。複数の柱状構造体25を用いて、基板11の第2の表面11bをエッチングすることにより、基板11の第2の表面11bに高アスペクト比を有する凹凸構造17を形成することができる。また、第1の層21と第3の層23とは互いに異なる材料からなる。第1の層21を構成する第1の材料として、第3の層23を構成する第3の材料よりも容易にリフトオフすることができる材料を選択することができる。そのため、複数の第3凹部21aが形成された第1の層21をリフトオフすることにより、基板11の第2の表面11b上に、高アスペクト比を有する凹凸構造17を容易に形成することができる。以上より、本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
以上述べた本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法の作用及び効果をより分かりやすく説明するため、2つの比較例1−1及び1−2の問題点を以下説明する。
比較例1−1の製造方法では、基板11の第2の表面11b上に、第1の層21及び第2の層22を設けず、第3の層23のみを設けて、第3の層23をマスクとして用いて基板11の第2の表面11b上に凹凸構造17を形成する。インプリントに適した材料からなる第3の層23は基板11よりも非常に速くエッチングされてしまうため、第3の層23は、基板11の第2の表面11b上に凹凸構造17を形成するためのエッチングマスクとして機能しない。また、第3の層23をインプリントすることのみによって、高アスペクト比を有する微細な凹凸構造を第3の層23に形成すること、及び、凹凸構造が形成された第3の層23を用いて基板11の第2の表面11b上に高アスペクト比を有する凹凸構造17を形成することは、一般的に困難である。さらに、安価かつ高均一なインプリントに適したソフトフィルムモールドを用いて第3の層23をインプリントすることのみによって、高アスペクト比を有する凹凸構造を第3の層23に形成すること、及び、凹凸構造が形成された第3の層23を用いて基板11の第2の表面11b上に高アスペクト比を有する凹凸構造17を形成することはさらに困難である。そのため、比較例1−1の製造方法は、高アスペクト比を有する凹凸構造17を形成することが困難であるという問題を有する。
比較例1−2の製造方法では、基板11の第2の表面11b上に、第1の層21及び第2の層22を設けず、第3の層23のみを設け、第3の層23の第3凹部21a及び第3の層23上に第4の層24を形成し、第3の層23をリフトオフして複数の柱状構造体25を形成し、複数の柱状構造体25を用いて基板11の第2の表面11b上に凹凸構造17を形成する。インプリントに適した材料からなる第3の層23は、リフトオフの際に用いられる溶剤に溶け難いため、第3の層23をリフトオフして複数の柱状構造体25を形成することが難しい。そのため、比較例1−2の製造方法は、基板11の第2の表面11b上に、高アスペクト比を有する凹凸構造17を高スループット、安価かつ容易に形成することが難しいという問題を有する。
これに対し、本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法は、比較例1−1及び比較例1−2の問題を有しない。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法を比較例1−1の製造方法及び比較例1−2の製造方法と比べることにより、本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法の利点がより一層明らかになる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、凹凸構造17の凸部17bは、0.8より大きなアスペクト比を有してもよい。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、凹凸構造17の凸部17bは、円錐、多角錐、円柱または多角柱の形状を有してもよい。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比及び様々な形状を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、第1の層21は、400nmより大きな厚さを有してもよい。第1の層21は400nmより大きな厚さを有するため、高アスペクト比を有する複数の第3凹部21aを形成することができる。複数の第3凹部21aが高アスペクト比を有するため、高アスペクト比を有する複数の柱状構造体25を形成することができる。高アスペクト比を有する複数の柱状構造体25を用いて、基板11の第2の表面11bをエッチングすることにより、基板11の第2の表面11bに高アスペクト比を有する凹凸構造17を形成することができる。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、第1の層21の一部の異方性エッチングにおいて、第1の層21のエッチングレートは第2の層22のエッチングレートの10倍以上であってもよい。そのため、高アスペクト比を有する複数の第3凹部21aを形成することができる。複数の第3凹部21aが高アスペクト比を有するため、高アスペクト比を有する複数の柱状構造体25を形成することができる。高アスペクト比を有する複数の柱状構造体25を用いて、基板11の第2の表面11bをエッチングすることにより、基板11の第2の表面11bに高アスペクト比を有する凹凸構造17を形成することができる。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、複数の第1凹部23aを形成することは、複数の第1凹部23aの底面に第3の層23の一部(残膜23b)を残存させることを含んでもよい。第2の層22の一部をエッチングすることは、複数の第1凹部23aの底面に残存した第3の層23の一部(残膜23b)を除去することをさらに含んでもよい。そのため、第2の層22の一部と第3の層23の一部(残膜23b)とを一つの工程で除去することができる。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法では、基板11の第2の表面11bの一部のエッチングにおいて、複数の柱状構造体25のエッチングレートは、基板11のエッチグレートの1.5倍以下であってもよい。そのため、高アスペクト比を有する複数の柱状構造体25の形状を基板11の第2の表面11bに転写して、高アスペクト比を有する凹凸構造17を基板11の第2の表面11bに形成することができる。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、複数の柱状構造体25は、1.0より大きなアスペクト比を有してもよい。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、複数の柱状構造体25は、ニッケルを含んでもよい。そのため、基板11の第2の表面11bに凹凸構造17を形成するための基板11の第2の表面11bのエッチングにおいて、基板11が高い硬度を有していても、複数の柱状構造体25は、第3の層23のエッチングマスクとして機能し得る。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高い硬度を有する基板11であっても、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、基板11は、窒化アルミニウム基板であってもよい。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、窒化アルミニウム基板のように高い硬度を有する基板11であっても、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、基板11は、サファイア基板または酸化ガリウム基板であってもよい。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、サファイア基板及び酸化ガリウム基板のように高い硬度を有する基板11であっても、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、第1の層21は、第1の樹脂材料を含んでもよい。そのため、スピンコーティング及び塗布のような安価かつ簡単な方法で、第1の層21が形成され得る。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、第2の層22は、無機材料を含んでもよい。第2の層22の材料を第1の層21の材料と大きく異ならせることができるため、第1の層の一部を異方性エッチングする際、第2の層22はエッチングマスクとして機能し得る。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、第2の層22は、酸化シリコンを含んでもよい。第2の層22の材料を第1の層21の材料と大きく異ならせることができるため、第1の層の一部を異方性エッチングする際、第2の層22はエッチングマスクとして機能し得る。また、スピンコーティング及び塗布のような安価かつ簡単な方法で、第2の層22が形成され得る。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、第3の層23は、第2の樹脂材料を含んでもよい。そのため、スピンコーティング及び塗布のような安価かつ簡単な方法で、第3の層23が形成され得る。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、第2の樹脂材料は、光硬化性樹脂を含んでもよい。第3の層23に複数の第1凹部23aを形成することは、モールド35を第3の層23にインプリントしながら、または、モールド35を第3の層23にインプリントした後に、第3の層23に光36を照射して、第2の樹脂材料を硬化させることをさらに含んでもよい。モールド35は、ソフトフィルムモールドであってもよい。第2の樹脂材料は光硬化性樹脂を含むため、第2の樹脂材料に光36を数十秒照射するだけで、第2の樹脂材料を硬化させることができる。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。モールド35としてソフトフィルムモールドを用いることによって、安価に、高均一な凹凸構造17を形成することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、凹凸構造17は、1μmより小さな周期を有してもよい。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比及びナノ構造を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法において、凹凸構造17は、フォトニック結晶構造を含んでもよい。本実施の形態に係る凹凸構造17を含む基板11の製造方法によれば、高アスペクト比を有する凹凸構造17を含む基板11を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。そのため、光を含む電磁波に対して大きな作用を及ぼすことができるフォトニック結晶デバイスを高スループットかつ安価に製造することができる。
(実施の形態2)
図14及び図15を参照して、実施の形態2に係る半導体発光素子2及びその製造方法を説明する。本実施の形態に係る半導体発光素子2及びその製造方法は、実施の形態1に係る凹凸構造17を含む基板11及びその製造方法を、半導体発光素子2の基板11及び半導体発光素子2の製造方法に適用したものである。
図14を参照して、実施の形態2に係る半導体発光素子2は、主に、凹凸構造17を含む基板11と、活性層13を含む半導体層18と、n型電極15と、p型電極16とを含む。
本実施の形態の凹凸構造17を含む基板11は、実施の形態1の凹凸構造17を含む基板11と同様の構成を備えている。基板11の第2の表面11bは、出射面であってもよい。凹凸構造17はフォトニック結晶構造を含んでもよい。基板11は、活性層13から放射される光に対して高い透過率を有する材料から構成されることが好ましい。活性層13から深紫外光が放射される場合には、基板11は深紫外光に対して高い透過率を有する窒化アルミニウム(AlN)基板、サファイア基板または酸化ガリウム基板が好ましい。活性層13を含む半導体層18において生ずる熱を半導体発光素子2の外部に放散させるために、基板11は高い熱伝導性を有することが好ましい。高い熱伝導性を有する基板11として、窒化アルミニウム(AlN)基板、炭化珪素(SiC)基板が好ましい。
基板11の第1の表面11a上に、活性層13を含む半導体層18が設けられている。半導体層18は、n型半導体層12と、活性層13と、p型半導体層14とを含んでもよい。
n型半導体層12は、基板11の第1の表面11a上に設けられてもよい。n型半導体層12は、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、n型半導体層12は、Alx1Iny1Gaz1N(x1、y1、z1は、0≦x1≦1.0、0≦y1≦0.1、0≦z1≦1.0を満たす有理数とし、x1+y1+z1=1.0である)から構成されてもよい。n型半導体層12は、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、酸素(O)、炭素(C)のようなn型不純物を含むことが好ましい。n型半導体層12におけるn型不純物の濃度は、1.0×1017cm-3以上1.0×1020cm-3以下、好ましくは、1.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下であってもよい。n型半導体層12は、100〜10000nm、好ましくは500〜3000nmの膜厚を有してもよい。
n型半導体層12によって活性層13に電子及び正孔を閉じ込めるとともに、活性層13から放射される光がn型半導体層12によって吸収されることを抑制するために、n型半導体層12は、活性層13から放射される光のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有することが好ましい。n型半導体層12は、活性層13よりも低い屈折率を有し、クラッド層として機能してもよい。n型半導体層12は、単層から構成されてもよいし、Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層から構成されてもよい。Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層は、超格子構造、または、その組成が徐々に変化する傾斜組成構造を有してもよい。
n型半導体層12の上に、活性層13が設けられる。活性層13は、190nm以上350nm以下、好ましくは200nm以上320nm以下、より好ましくは220nm以上300nm以下の波長を有する深紫外光を放射するように構成されてもよい。活性層13は、350nmより大きく410nm以下の紫外光を放射するように構成されてもよい。活性層13は、410nmより大きく500nm以下の青色光を放射するように構成されてもよい。
活性層13は、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、活性層13は、Alx2Iny2Gaz2N(x2、y2、z2は、0≦x2≦1.0、0≦y2≦0.1、0≦z2≦1.0を満たす有理数とし、x2+y2+z2=1.0である)から構成される井戸層と、井戸層よりもバンドギャップエネルギーが大きいAlx3Iny3Gaz3N(x3、y3、z3は、0≦x3≦1.0、0≦y3≦0.1、0≦z3≦1.0を満たす有理数とし、x3+y3+z3=1.0である)から構成される障壁層とを含む多重量子井戸(MQW)構造を有してもよい。n型半導体層12及びp型半導体層14によって活性層13に電子及び正孔を閉じ込めるために、活性層13は、n型半導体層12及びp型半導体層14よりも小さなバンドギャップエネルギーを有することが好ましい。活性層13は、n型半導体層12及びp型半導体層14よりも高い屈折率を有してもよい。
活性層13の上に、p型半導体層14が設けられる。p型半導体層は、活性層13側に位置する第1のp型半導体層14aと、活性層13と反対側に位置する第2のp型半導体層14bとから構成されてもよい。
第1のp型半導体層14aは、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、第1のp型半導体層14aは、Alx4Iny4Gaz4N(x4、y4、z4は、0≦x4≦1.0、0≦y4≦0.1、0≦z4≦1.0を満たす有理数とし、x4+y4+z4=1.0である)から構成されてもよい。第1のp型半導体層14aは、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)のようなp型不純物を含むことが好ましい。第1のp型半導体層14aにおけるp型不純物の濃度は、1.0×1017cm-3以上、好ましくは、1.0×1018cm-3以上であってもよい。第1のp型半導体層14aは、5〜1000nm、好ましくは10〜500nm以下の膜厚を有してもよい。
第1のp型半導体層14aによって活性層13に電子及び正孔を閉じ込めるとともに、活性層13から放射される光が第1のp型半導体層14aによって吸収されることを抑制するために、第1のp型半導体層14aは、活性層13から放射される光のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有してもよい。第1のp型半導体層14aは、活性層13よりも低い屈折率を有し、クラッド層として機能してもよい。第1のp型半導体層14aは、単層から構成されてもよいし、Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層から構成されてもよい。Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層は、超格子構造、または、その組成が徐々に変化する傾斜組成構造を有してもよい。
第2のp型半導体層14bは、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、第2のp型半導体層14bは、Alx5Iny5Gaz5N(x5、y5、z5は、0≦x5≦1.0、0≦y5≦0.1、0≦z5≦1.0を満たす有理数とし、x5+y5+z5=1.0である)から構成されてもよい。第2のp型半導体層14bは、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)のようなp型不純物を含むことが好ましい。第2のp型半導体層14bは、第1のp型半導体層14aよりも高いp型伝導度を有し、p型コンタクト層として機能してもよい。第2のp型半導体層14bにおけるp型不純物の濃度は、1.0×1017cm-3以上、好ましくは、1.0×1018cm-3以上であってもよい。活性層13から放射される光が第2のp型半導体層14bによって吸収されることを抑制するためと、第2のp型半導体層14bにおいて良好なp型コンタクトを得るために、第2のp型半導体層14bは、1〜500nmの膜厚を有してもよい。
第2のp型半導体層14bが窒化物半導体から構成される場合には、第2のp型半導体層14bのAl組成が小さいほど、第2のp型半導体層14bから活性層13により均一に正孔を注入することができ、良好なp型コンタクト特性を得ることができる。そのため、第2のp型半導体層14bは、第1のp型半導体層14aよりも小さなAl組成比を有してもよい。活性層13から放射される光が第2のp型半導体層14bによって吸収されることを抑制するために、第2のp型半導体層14bは、活性層13から放射される光のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有してもよい。
n型電極15は、n型半導体層12の表面に設けられる。特定的には、n型電極15は、n型半導体層12の露出面に設けられる。n型半導体層12の露出面は、基板11の上に、n型半導体層12、活性層13、及びp型半導体層14を積層した後、メサ構造を形成するために、n型半導体層12の一部と、活性層13の一部と、p型半導体層14の一部とを除去することによって露出されたn型半導体層12の表面を意味する。p型電極16は、p型半導体層14の表面、より特定的には、p型コンタクト層として機能してもよい第2のp型半導体層14bの表面に設けられる。
図15を参照して、本実施の形態1に係る半導体発光素子の製造方法は、以下の工程を備えてもよい。基板11の第1の表面11a上に活性層13を含む半導体層18を形成する(S1)。基板11の第1の表面11a上に活性層13を含む半導体層18を形成する工程(S1)は、基板11の第1の表面11a上に、n型半導体層12、活性層13、及びp型半導体層14をこの順に堆積させる工程を含んでもよい。半導体層18を堆積する方法は、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)、有機金属気相成長法(MOVPE法)、分子線エピタキシー法(MBE法)、ハイドライド気相成長法(HVPE法)であってもよい。基板11の第1の表面11a上に活性層13を含む半導体層18を形成する工程(S1)は、活性層13を含む半導体層18の一部をエッチングして、半導体層18にメサ構造を形成する工程をさらに含んでもよい。このエッチングにより、n型半導体層12の一部の表面が露出する。続いて、n型半導体層12上に、真空蒸着法などの方法によって、n型電極15を形成する(S2)。特定的には、半導体層18にメサ構造を形成するためのエッチングにより露出されたn型半導体層12上に、n型電極15が形成されてもよい。n型半導体層12とn型電極15との間の電気的コンタクトを向上させるため、300℃以上1100℃以下の温度で、30秒以上3分間以下の時間、アニールすることが好ましい。p型半導体層14の上に、真空蒸着法などの方法によって、p型電極16を形成する(S3)。p型半導体層14とp型電極16との間の電気的コンタクトを向上させるため、200℃以上800℃以下の温度で、30秒以上3分間以下の時間、アニールすることが好ましい。基板11の第2の表面11bに凹凸構造17を形成する(S4)。基板11の第2の表面11bに凹凸構造17を形成する工程(S4)は、実施の形態1と同様の工程である。それから、基板11をダイシングしてもよい(S5)。以上の工程により、第2の表面11bに凹凸構造17を含む基板11を備える半導体発光素子2を製造することができる。なお、基板11の第1の表面11a上に活性層13を含む半導体層18を形成する工程(S1)の前に、基板11の第2の表面11bに凹凸構造17を形成する工程(S4)を行ってもよい。
本実施の形態に係る半導体発光素子2の製造方法の作用及び効果を以下説明する。
本実施の形態に係る半導体発光素子2の製造方法は、実施の形態1と同様の方法によって、基板11の第2の表面11bに凹凸構造17を形成することと、基板11の第1の表面11a上に、活性層13を含む半導体層18を形成することとを備える。本実施の形態に係る半導体発光素子2の製造方法によれば、向上された光取り出し効率を有する半導体発光素子を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。以上述べたことは、以下の実験結果によっても裏付けられる。
図16(A)を参照して、実線及び黒丸は、発光波長に対する、本実施の形態の半導体発光素子2のエレクトロルミネッセンス(EL)強度の変化を示す。点線及び白丸は、発光波長に対する、凹凸構造17を備えない比較例2の半導体発光素子のエレクトロルミネッセンス(EL)強度を示す。凹凸構造17を形成することによって、半導体発光素子2のエレクトロルミネッセンス(EL)強度は60%以上増加している。図16(B)を参照して、実線及び黒丸は、駆動電流に対する、本実施の形態の半導体発光素子2の光出力強度の変化を示す。点線及び白丸は、駆動電流に対する、凹凸構造17を備えない比較例2の半導体発光素子の光出力強度の変化を示す。凹凸構造17を形成することによって、半導体発光素子2からの光出力強度は70%以上増加している。本実施の形態の半導体発光素子2の製造方法により形成された凹凸構造17による半導体発光素子2のEL強度及び光出力強度の増加率は、電子線リソグラフィを用いて形成された凹凸構造による半導体発光素子のEL強度及び光出力強度の増加率と同等以上である。そのため、本実施の形態の半導体発光素子2の製造方法により形成された凹凸構造17は、電子線リソグラフィを用いて形成された凹凸構造と同等以上のアスペクト比を有していると考えられる。したがって、本実施の形態に係る半導体発光素子2の製造方法によれば、向上された光取り出し効率を有する半導体発光素子を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
本実施の形態に係る半導体発光素子2の製造方法において、半導体発光素子2は深紫外光を放射してもよい。本実施の形態に係る半導体発光素子2の製造方法によれば、向上された深紫外光の取り出し効率を有する半導体発光素子を、高スループット、安価かつ容易に製造することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。