JP7049593B2 - 蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法 - Google Patents

蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法に関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であること、例えば画素密度が400ppi以上であることが求められている。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラハイディフィニション(UHD)に対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが求められる。
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔が形成された蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の基板に対向するよう蒸着マスクを配置し、次に、蒸着マスク及び基板を共に蒸着装置に投入し、有機材料を基板に蒸着させる蒸着工程を行う。
蒸着マスクの製造方法としては、例えば特許文献1に開示されているように、めっき処理を利用して蒸着マスクを製造する方法が知られている。例えば特許文献1に記載の方法においては、はじめに、導電性パターンが設けられた基材を準備する。次に、基材にめっき液を供給して、電解めっき処理によって導電性パターンの上に第1金属層を析出させる。次に、基材上及び導電性パターン上に所定の隙間を空けてレジスト層を設ける。レジスト層は、蒸着マスクの貫通孔が形成されるべき位置に設けられる。その後、レジスト層の隙間にめっき液を供給して、電解めっき処理によって第1金属層上に部分的に第2金属層を析出させる。その後、第1金属層及び第2金属層を有する積層体を基材から分離させることにより、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを得ることができる。
蒸着マスクの製造方法としては、その他にも、例えば特許文献2に開示されているように、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングによって金属板に貫通孔を形成する方法が知られている。例えば、はじめに、金属板の第1面上に第1レジスト層を形成し、また金属板の第2面上に第2レジスト層を形成する。次に、金属板の第2面のうち第2レジスト層によって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第2面に第2孔を形成する。その後、金属板の第1面のうち第1レジスト層によって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第1面に第1孔を形成する。この際、第1孔と第2孔とが通じ合うようにエッチングを行うことにより、金属板を貫通する貫通孔を形成することができる。
特開2016-148112号公報 特許第5382259号公報
蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制したり、有機EL基板に付着する蒸着材料の面積、形状や厚みを精密に制御したりするためには、蒸着マスクの貫通孔の形状や寸法を精密に制御することが求められる。しかしながら、上述の特許文献1に記載の方法においては、第1金属層を形成する工程とは別の工程でレジスト層及び第2金属層を形成するので、第1金属層に対する第2金属層の位置ずれが生じる。このため、第1金属層に対する第2金属層の位置が設計から逸脱し、貫通孔の形状や寸法が設計から逸脱してしまうことが考えられる。上述の特許文献2に記載の方法においても、第1レジスト層に対する第2レジスト層の位置ずれ起因して、第1孔に対する第2孔の位置が設計から逸脱し、貫通孔の形状や寸法が設計から逸脱してしまうことが考えられる。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る蒸着マスク及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、第1面から第2面に至る複数の貫通孔が形成された蒸着マスクであって、前記蒸着マスクの前記第1面側に位置する第1金属層であって、前記貫通孔に面する第1側面を有する第1金属層と、前記蒸着マスクの前記第2面側に位置し、前記第1金属層と一体の第2金属層であって、前記貫通孔に面する第2側面を有する第2金属層と、を備え、前記第1金属層の前記第1側面及び前記第2金属層の前記第2側面はいずれも、前記蒸着マスクの前記第1面側から前記第2面側に向かうにつれて、前記蒸着マスクの面方向において前記貫通孔の中心から遠ざかるよう、構成されており、前記第1金属層の前記第1側面は、前記蒸着マスクの面方向において前記貫通孔の中心に向かう側に突出した膨らみ部を有し、前記第2金属層の前記第2側面は、前記蒸着マスクの面方向において前記貫通孔の中心から遠ざかる側に窪んだ窪み部を有する、蒸着マスクである。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第1金属層の前記第1側面及び前記第2金属層の前記第2側面はいずれも、湾曲した形状を有し、前記第2金属層の前記第2側面の、前記蒸着マスクの前記第2面側の端部における曲率半径は、前記第1金属層の前記第1側面の、前記蒸着マスクの前記第1面側の端部における曲率半径よりも大きくなっていてもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第2金属層の前記第2側面の、前記蒸着マスクの前記第2面側の端部における曲率半径は、前記第1金属層の前記第1側面の、前記蒸着マスクの前記第1面側の端部における曲率半径の1.5倍以上であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第2金属層の厚みは、前記第1金属層の厚みよりも大きくなっていてもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第1金属層の前記第1側面の前記膨らみ部の高さが100nm以上であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第2金属層の前記第2側面の前記窪み部の深さが、120nm以上であってもよく、150nm以上であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記貫通孔は、前記第1金属層の前記第1側面によって画成される第1孔と、前記第2金属層の前記第2側面によって画成される第2孔と、を有し、前記第1孔の輪郭は、複数の辺及び角部を含み、前記第2孔の輪郭は、平面視において前記第1孔の複数の前記角部とそれぞれ対向する複数の第1辺と、平面視において前記第1孔の複数の前記辺とそれぞれ対向するとともに前記第1辺に接続された複数の第2辺と、を含み、前記第2孔の前記第1辺は、平面視において第1距離を空けて隣り合う2つの前記第2孔において対向する辺であり、前記第2孔の前記第2辺は、平面視において前記第1距離よりも大きい第2距離を空けて隣り合う2つの前記第2孔において対向する辺であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第1孔の輪郭は、4つの前記辺及び4つの前記角部を含み、前記第2孔の輪郭は、4つの前記第1辺及び4つの前記第2辺、並びに前記第1辺と前記第2辺との間の角部を含んでいてもよい。
本発明は、蒸着マスクの製造方法であって、基材上にレジスト層を形成する工程と、第1強度を有する露光光を所定のパターンで前記レジスト層に照射して、前記レジスト層の表面に複数の上側感光部分を形成する第1露光工程と、前記レジスト層を加熱して、前記基材に向かう側へ前記上側感光部分を拡大させる第1加熱工程と、前記第1加熱工程の後、前記上側感光部分と前記基材との間に位置する前記レジスト層の側面が前記上側感光部分の側面よりも内側に位置するようになるまで前記レジスト層を現像する現像工程と、前記第1強度よりも大きい第2強度を有する露光光を前記レジスト層に照射して、複数の前記上側感光部分と前記基材との間に複数の下側感光部分を形成する第2露光工程と、複数の前記上側感光部分の前記側面及び複数の前記下側感光部分の前記側面の間の隙間にめっき層を形成する工程と、を備える、蒸着マスクの製造方法である。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記上側感光部分の前記側面及び前記下側感光部分の前記側面はいずれも、前記基材の厚み方向において前記基材から遠ざかるにつれて、前記基材の面方向において前記隙間の側に変位するよう、構成されており、前記上側感光部分の前記側面は、前記基材の面方向において前記隙間に向かう側に突出した膨らみ部を有し、前記下側感光部分の前記側面は、前記基材の面方向において前記隙間から遠ざかる側に窪んだ窪み部を有していてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記レジスト層は、化学増幅型レジストを含んでいてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記上側感光部分の輪郭は、平面視において第1距離を空けて隣り合う2つの前記上側感光部分において対向する複数の第1辺と、平面視において前記第1距離よりも大きい第2距離を空けて隣り合う2つの前記上側感光部分において対向するとともに前記第1辺に接続された複数の第2辺と、を含み、前記下側感光部分の輪郭は、平面視において前記上側感光部分の複数の前記第1辺とそれぞれ対向する複数の角部と、平面視において前記上側感光部分の複数の前記第2辺とそれぞれ対向する複数の辺と、を含んでいてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記上側感光部分の輪郭は、4つの前記第1辺及び4つの前記第2辺、並びに前記第1辺と前記第2辺との間の角部を含み、前記下側感光部分の輪郭は、4つの前記辺及び4つの前記角部を含んでいてもよい。
本発明によれば、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができる。
本発明の一実施形態による蒸着マスク装置を備えた蒸着装置を示す図である。 図1に示す蒸着マスク装置を用いて製造した有機EL表示装置を示す断面図である。 本発明の一実施形態による蒸着マスク装置を示す平面図である。 蒸着マスクの一部を拡大して示す平面図である。 図4の蒸着マスクをV-V方向から見た断面図である。 図4の蒸着マスクの貫通孔を拡大して示す平面図である。 図5の蒸着マスクの第1金属層及び第2金属層を拡大して示す断面図である。 蒸着マスクの製造方法の一例を説明する図である。 蒸着マスクの製造方法の一例を説明する図である。 蒸着マスクの製造方法の一例を説明する図である。 蒸着マスクの製造方法の一例を説明する図である。 蒸着マスクの製造方法の一例を説明する図である。 図12Aの上側感光部分を基材の法線方向に沿って見た場合を示す平面図である。 蒸着マスクの製造方法の一例を説明する図である。 蒸着マスクの製造方法の一例を説明する図である。 第1の比較例に係る蒸着マスクの製造方法を説明する図である。 第1の比較例に係る蒸着マスクの製造方法を説明する図である。 第1の比較例に係る蒸着マスクを示す断面図である。 第2の比較例に係る蒸着マスクの製造方法を説明する図である。 第2の比較例に係る蒸着マスクの製造方法を説明する図である。 第2の比較例に係る蒸着マスクの製造方法を説明する図である。 第2の比較例に係る蒸着マスクの製造方法を説明する図である。 第2の比較例に係る蒸着マスクを示す断面図である。 第3の比較例に係る蒸着マスクの製造方法を説明する図である。 第3の比較例に係る蒸着マスクの製造方法を説明する図である。 第3の比較例に係る蒸着マスクの製造方法を説明する図である。 第3の比較例に係る蒸着マスクを示す断面図である。 蒸着マスクの一変形例を示す平面図である。 蒸着マスクの一変形例を示す平面図である。 蒸着マスクの一変形例を示す平面図である。 蒸着マスクの一変形例を示す平面図である。 蒸着マスクの一変形例を示す平面図である。 蒸着マスクの一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 図33の蒸着マスク装置をXXXIV-XXXIV方向から見た断面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 図35の蒸着マスク装置をXXXVI-XXXVI方向から見た断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1~図14は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクの製造方法を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクの製造方法に対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(蒸着装置)
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置90について、図1を参照して説明する。図1に示すように、蒸着装置90は、蒸着源(例えばるつぼ94)、ヒータ96、及び蒸着マスク装置10を備える。るつぼ94は、有機発光材料などの蒸着材料98を収容する。ヒータ96は、るつぼ94を加熱して蒸着材料98を蒸発させる。蒸着マスク装置10は、るつぼ94と対向するよう配置されている。
(蒸着マスク装置)
以下、蒸着マスク装置10について説明する。図1に示すように、蒸着マスク装置10は、蒸着マスク20と、蒸着マスク20を支持するフレーム15と、を備える。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、蒸着マスク20をその面方向に引っ張った状態で支持する。蒸着マスク装置10は、図1に示すように、蒸着マスク20が、蒸着材料98を付着させる対象物である基板、例えば有機EL基板92に対面するよう、蒸着装置90内に配置される。以下の説明において、蒸着マスク20の面のうち、有機EL基板92側の面を第1面20aと称し、第1面20aの反対側に位置する面を第2面20bと称する。
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、有機EL基板92の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石93を更に備える。磁石93を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石93側に引き寄せて、蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させることができる。
図3は、蒸着マスク装置10を蒸着マスク20の第1面20a側から見た場合を示す平面図である。図3に示すように、蒸着マスク装置10は、平面視において略矩形状の形状を有する複数の蒸着マスク20を備え、各蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20e又はその近傍において、フレーム15に固定されている。
蒸着マスク20は、蒸着マスク20を貫通する複数の貫通孔を含む。るつぼ94から蒸発して蒸着マスク装置10に到達した蒸着材料98は、蒸着マスク20の貫通孔を通って有機EL基板92に付着する。これによって、蒸着マスク20の貫通孔の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98を有機EL基板92の表面に成膜することができる。
図2は、図1の蒸着装置90を用いて製造した有機EL表示装置100を示す断面図である。有機EL表示装置100は、有機EL基板92と、パターン状に設けられた蒸着材料98を含む画素と、を備える。
なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20が搭載された蒸着装置90をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着装置90に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
ところで、蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、蒸着マスク20やフレーム15と有機EL基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度が低下してしまう。
このような課題を解決するため、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、蒸着マスク20およびフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。例えば、蒸着マスク20を構成する金属材料として、38質量%以上且つ62質量%以下のニッケルと、残部の鉄及び不可避の不純物と、を含む鉄合金を用いることができる。蒸着マスク20およびフレーム15を構成する鉄合金におけるニッケルの含有率は、34質量%以上且つ50質量%以下であってもよい。
また、蒸着マスク20を構成する材料として、上述のニッケルを含む鉄合金以外の様々な材料を用いてもよい。例えば、クロムを含む鉄合金、ニッケル、ニッケル-コバルト合金などを用いることができる。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いることができる。
(蒸着マスク)
次に、蒸着マスク20について詳細に説明する。図3に示すように、蒸着マスク20は、フレーム15に固定された一対の耳部17と、一対の耳部17の間に位置する中間部18と、を備える。中間部18は、有効部21と、有効部21を囲う外枠部24と、を含む。有効部21は、蒸着マスク20の第1面20aから第2面20bに至る複数の貫通孔が形成された部分である。図3に示す例において、中間部18は、蒸着マスク20が延びる第1方向D1に沿って並ぶ複数の有効部21を備える。一つの有効部21は、一つの有機EL表示装置100の表示領域に対応する。このため、図3に示す蒸着マスク装置10によれば、有機EL表示装置100の多面付蒸着が可能である。
図3に示すように、有効部21は、例えば、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有する。例えば、有効部21は、第1方向D1に延びる一対の辺と、第1方向D1に直交する第2方向D2に延びる一対の辺とを含む、矩形状の輪郭を有する。なお図示はしないが、有効部21は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、四角形形状以外の形状を有していてもよい。例えば、有効部21は、円形状の輪郭を有していてもよい。
外枠部24は、有効部21を支持するための領域であり、有効部21よりも高い剛性を有する。例えば、外枠部24には貫通孔が設けられていない。若しくは、外枠部24における貫通孔の分布密度は、有効部21における貫通孔25の分布密度よりも低い。
以下、蒸着マスク20の有効部21について詳細に説明する。図4は、有効部21を第2面20b側から見た場合を示す平面図である。図4に示す例において、有効部21の複数の貫通孔25は、第3方向D3及び第4方向D4に沿って規則的に並んでいる。第3方向D3及び第4方向D4はいずれも、最も近接する2つの貫通孔25が並ぶ方向である。図4に示す例において、第3方向D3と第4方向D4とは互いに直交している。
図5は、図4の蒸着マスク20をV-V方向から見た断面図である。図5に示すように、蒸着マスク20の有効部21は、第1面20a側において貫通孔25の壁面25aを画成する第1金属層33と、第2面20b側において貫通孔25の壁面25aを画成する第2金属層38と、を有する。第1面20a側に位置する第1金属層33と、第2面20b側に位置する第2金属層38とは、互いに一体に構成されている。なお、一体とは、第1金属層33と第2金属層38との間に界面が存在しないことを意味する。第1金属層33及び第2金属層38は、後述するように、例えばめっき処理によって一体的に作製される。第1金属層33及び第2金属層38は、同一の組成を有する。例えば、第1金属層33を構成する鉄合金に含まれるニッケルの質量%は、第2金属層38を構成する鉄合金に含まれるニッケルの質量%に等しい。
図5に示すように、第1金属層33は、蒸着マスク20の第1面20aを構成しており、また、第1金属層33は、貫通孔25に面する第1側面33aを有している。第2金属層38は、蒸着マスク20の第2面20bを構成しており、また、第2金属層38は、貫通孔25に面する第2側面38aを有している。以下の説明において、貫通孔25のうち、第1金属層33の第1側面33aによって画成される部分を第1孔30と称し、第2金属層38の第2側面38aによって画成される部分を第2孔35と称する。
図5に示すように、貫通孔25は、第1面20a側から第2面20b側に向かうにつれて、蒸着マスク20の面方向における寸法が拡大するよう、構成されている。言い換えると、第1金属層33の第1側面33a及び第2金属層38の第2側面38aはいずれも、蒸着マスク20の第1面20a側から第2面20b側に向かうにつれて、蒸着マスク20の面方向において貫通孔25の中心から遠ざかるよう、構成されている。このため、第2面20bにおける貫通孔25(第2孔35)の開口寸法S2は、第1面20aにおける貫通孔25(第1孔30)の開口寸法S1よりも大きくなっている。例えば、図4に示すように、蒸着マスク20の第1面20aの法線方向に沿って見た場合、第2孔35の輪郭が第1孔30の輪郭を囲んでいる。以下、このように第1金属層33および第2金属層38を構成することの利点について説明する。
蒸着マスク20の第2面20b側から飛来する蒸着材料は、貫通孔25の第2孔35および第1孔30を順に通って有機EL基板に付着する。有機EL基板のうち蒸着材料が付着する領域は、第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1や開口形状によって主に定められる。図5において第2面20b側から第1面20aへ向かう矢印M1で示すように、蒸着材料は、るつぼから有機EL基板に向けて蒸着マスク20の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。ここで、仮に第2面20bにおける貫通孔25の開口寸法S2が第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1と同一であると、斜めに移動する蒸着材料が、第2金属層38の第2側面38aや第1金属層33の第1側面33aに引っ掛かり易くなり、この結果、貫通孔25を通過できない蒸着材料の比率が多くなる。従って、蒸着材料の利用効率を高めるためには、第2孔35の開口寸法S2を大きくすることが好ましい。
図5において、第2金属層38の第2側面38a及び第1金属層33の第1側面33aに接する直線M1が、蒸着マスク20の法線方向Nに対してなす最小角度が、符号φで表されている。斜めに移動する蒸着材料を、可能な限り有機EL基板に到達させるためには、角度φを大きくすることが有利となる。例えば、角度φを45°以上にすることが好ましい。
次に、図4及び図6を参照して、平面視における第1孔30の輪郭及び第2孔35の輪郭について詳細に説明する。図6は、図4の蒸着マスク20の貫通孔25を拡大して示す平面図である。なお、平面視における第1孔30の輪郭とは、第1孔30のうち第1面20aに接続されている部分の輪郭である。また、平面視における第2孔35の輪郭とは、第2孔35のうち第2面20bに接続されている部分の輪郭である。
図4及び図6に示すように、第1孔30の輪郭は、複数の辺31及び角部32を含む。図4及び図6に示す例において、第1孔30の輪郭は、4つの辺31及び4つの角部32を含む四角形である。
図4及び図6に示すように、第2孔35の輪郭も、第1孔30と同様に複数の辺36及び角部37を含む。図4及び図6に示す例において、第2孔35の輪郭は、8つの辺36及び8つの角部37を含む八角形である。
第2孔35の輪郭の複数の辺36は、複数の第1辺36aと、第1辺36aに接続された複数の第2辺36bと、を含む。図4及び図6に示す例において、複数の辺36は、4つの第1辺36a及び4つの第2辺36bを含む。角部37は、第1辺36aと第2辺36bとの間に位置している。
図4及び図6に示すように、第2孔35の複数の第1辺36aは、平面視において第1孔30の角部32とそれぞれ対向している。例えば、第2孔35の第1辺36aは、平面視において第1孔30の中心と角部32とを通る図示しない直線と交わるよう配置されている。一方、第2孔35の複数の第2辺36bは、平面視において第1孔30の辺31とそれぞれ対向している。例えば、第2孔35の第2辺36bは、平面視において第1孔30の中心と辺31の中点とを通る図示しない直線と交わるよう配置されている。
図4に示すように、第2孔35の第1辺36aは、平面視において第1距離W1を空けて隣り合う2つの第2孔35において対向する辺である。第1距離W1は、2つの第2孔35が最も近接する第3方向D3又は第4方向D4における、2つの第2孔35の間の距離である。また、図4に示すように、第2孔35の第2辺36bは、平面視において第1距離W1よりも大きい第2距離W2を空けて隣り合う2つの第2孔35において対向する辺である。第2距離W2は、2つの第2孔35が二番目に近接する第5方向D5又は第6方向D6における、2つの第2孔35の間の距離である。図4に示す例において、第5方向D5及び第6方向D6はいずれも、第3方向D3及び第4方向D4に対して45°の角度を成している。なお、第5方向D5及び第6方向D6に基づいて図4に示す貫通孔25の配列を表現する場合、複数の貫通孔25が千鳥配列されていると言える。
以下、図4及び図6に示すように貫通孔25の第1孔30及び第2孔35を構成することの利点について説明する。
上述のように、蒸着マスク20は、面方向に引っ張られた状態でフレーム15によって保持されている。蒸着マスク20が引っ張られることによって蒸着マスク20に生じる応力は、第1孔30の角部32及び第2孔35の角部37に集中的に生じ易い。また、角部32、37の内角が小さいほど、応力の集中の程度が高くなる。ここで本実施の形態においては、第2孔35の角部37の数は第1孔30の角部32の数よりも多いので、第2孔35の角部37の内角は、第1孔30の角部32に比べて小さい。このため、第2孔35の角部37に応力が集中することを抑制することができ、第2孔35の角部37に亀裂などが生じることを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、第1孔30の角部32が第2孔35の第1辺36aに対向している。このため、第1孔30の角部32が第2孔35の角部37に対向している場合に比べて、第1孔30の角部32から第2孔35の輪郭までの距離を小さくし易い。図5に示すように、蒸着マスク20のうち第2孔35の輪郭よりも貫通孔25から離れた位置においては、第1金属層33と第2金属層38とが重なっており、蒸着マスク20の強度が高くなっている。このため、第1孔30の角部32から第2孔35の輪郭までの距離を小さくすることにより、第1孔30の角部32に応力が集中する場合であっても、第1孔30の角部32に亀裂などが生じることを抑制することができる。
なお、第1孔30や第2孔35の一部に応力が集中することを抑制する上では、第1孔30の輪郭及び第2孔35の輪郭が角部を有さないこと、例えば円形などであることが好ましい。しかしながら、第1孔30の輪郭及び第2孔35の輪郭が円形である場合は、第1孔30の輪郭及び第2孔35の輪郭が多角形である場合に比べて、貫通孔25の開口率(有効部21全体の面積に対する複数の貫通孔25の面積の合計の比率)が小さくなる。この結果、有機EL基板92の単位面積あたりに形成される発光層などの有機材料層の面積が小さくなり、有機EL表示装置100の輝度が低下することなどが懸念される。
これに対して、本実施の形態によれば、第1孔30の輪郭及び第2孔35の輪郭を多角形とすることにより、貫通孔25の開口率を十分に大きくすることができる。また、図4及び図6に示す配置を採用することにより、第1孔30の角部32及び第2孔35の角部37に亀裂などが生じることを抑制することができる。このため、高い開口率で貫通孔25が設けられるとともに高い信頼性を備えた蒸着マスク20を提供することができる。
なお、本実施の形態において、第1孔30の角部32は、第1孔30の輪郭に沿ってα×V1の距離だけ進んだ場合の、進行方向の角度変化がβ以上となる部分として定義される。V1は、第1孔30の輪郭の全長であり、αは、例えば0.03である。また、βは、例えば30°である。
具体例として、図6に示す点P1からα×V1の距離だけ第1孔30の輪郭に沿って進んで点P2まで到達した場合について考える。この場合、進行方向の角度変化はθ1になる。θ1は、点P1における第1孔30の輪郭の接線L1と、点P2における第1孔30の輪郭の接線L2とが成す角度である。図6に示すように、θ1は30°以上である。従って、点P1と点P2との間の部分が角部32として認定される。
その他の具体例として、図6に示す点P3からα×V1の距離だけ第1孔30の輪郭に沿って進んで点P4まで到達した場合について考える。この場合、進行方向の角度変化はθ2になる。θ2は、点P3における第1孔30の輪郭の接線L3と、点P4における第1孔30の輪郭の接線L4とが成す角度である。図6に示すように、θ2は30°未満である。従って、点P3と点P4との間の部分は、角部32ではなく辺31として認定される。
角部32の場合と同様に、第2孔35の角部37は、第2孔35の輪郭に沿ってα×V2の距離だけ進んだ場合の、進行方向の角度変化がβ以上となる部分として定義される。V2は、第2孔35の輪郭の全長である。
次に、図7を参照して、第1金属層33及び第2金属層38の断面形状について詳細に説明する。図7は、図5の蒸着マスク20の第1金属層33及び第2金属層38を拡大して示す断面図である。好ましくは、第1金属層33の第1側面33a及び第2金属層38の第2側面38aはいずれも、図7に示すように、滑らかに湾曲した形状を有する。
図7に示すように、第1金属層33の第1側面33aは、蒸着マスク20の面方向において貫通孔25の中心に向かう側に突出した膨らみ部33bを有する。一方、第2金属層38の第2側面38aは、蒸着マスク20の面方向において貫通孔25の中心から遠ざかる側に窪んだ窪み部38bを有する。ここで、膨らみ部33bとは、図7に示すように、第1金属層33のうち、第1側面33aの第1面20a側の端部33eと第2側面38aの第2面20b側の端部38eとを結ぶ直線M3よりも貫通孔25の中心に近い側に位置する部分である。また、窪み部38bとは、第2金属層38のうち、直線M3よりも貫通孔25の中心から遠い側に位置する部分である。
第1金属層33の端部33e及び第2金属層38の端部38eは、直線M3と蒸着マスク20の法線方向とが成す角度が例えば45°以上になるよう構成されている。これにより、蒸着工程において蒸着材料が第1金属層33の第1側面33aに付着することを抑制することができ、従って、シャドーが発生することを抑制することができる。
以下、図7に示すように第1金属層33及び第2金属層38の断面形状を構成することの利点について説明する。まず、第2金属層38の窪み部38bによってもたらされる利点について説明する。
上述のように、蒸着マスク20は、面方向に引っ張られた状態でフレーム15によって保持されている。有機EL基板92に対する蒸着マスク20の各貫通孔25の位置精度を高める上では、蒸着マスク20が自重によって撓むことを抑制するよう、蒸着マスク20を強く引っ張ることが好ましい。しかしながら、蒸着マスク20に加える張力が過剰に大きくなると、蒸着マスク20の一部に、例えば第1孔30の角部32や第2孔35の角部37などに亀裂などが生じてしまうことが考えられる。
ここで本実施の形態においては、図7に示すように、第2金属層38の第2側面38aに窪み部38bが設けられている。このため、シャドー抑制効果を発揮しながら、窪み部38bが存在しない場合に比べて蒸着マスク20を軽くすることができる。これにより、蒸着マスク20に加える張力を過剰に大きくすること無く、蒸着マスク20が自重によって撓むことを抑制することができる。
次に、第1金属層33の膨らみ部33bによってもたらされる利点について説明する。有機EL表示装置100の製造工程においては、蒸着工程を実施した後、蒸着マスク20に付着した蒸着材料を除去する洗浄工程を実施することがある。洗浄された蒸着マスク20は、再び蒸着工程において使用される。
ところで、第1金属層33のうち第2金属層38と重なっていない部分は、第1金属層33のうち第2金属層38と重なっている部分に比べて変形し易く、洗浄工程の際に破損し易い。ここで本実施の形態においては、第1金属層33の第1側面33aに膨らみ部33bが設けられている。このため、端部33eの近傍における第1金属層33の厚みを増加させることができ、これにより、洗浄工程の際に第1金属層33が破損することを抑制することができる。
なお、貫通孔25の壁面25aに膨らみ部33b及び窪み部38bの両方が存在することは、壁面25aのどこかに、図7に示すように変曲点P5が存在することを意味する。この場合、蒸着マスク20のうち変曲点P5よりも第1面20a側の部分を第1金属層33と定義し、蒸着マスク20のうち変曲点P5よりも第2面20b側の部分を第2金属層38と定義してもよい。
図7において、符号H1は、第1金属層33の厚みを表し、符号H2は、第2金属層38の厚みを表す。また、符号Hは、蒸着マスク20全体の厚みを表す。第2金属層38の厚みH2は、好ましくは、第1金属層33の厚みH1よりも大きい。これにより、シャドーが発生することを抑制しながら、蒸着マスク20の剛性などの強度を確保することができる。
第1金属層33の厚みH1は、例えば300nm以上であり、より好ましくは500nm以上であってもよい。また、第1金属層33の厚みH1は、例えば7.5μm以下であり、より好ましくは5.0μm以下であってもよい。第2金属層38の厚みH2は、例えば1.7μm以上であり、より好ましくは2.5μm以上であってもよい。また、第2金属層38の厚みH2は、例えば7.5μm以下であり、より好ましくは5.0μm以下であってもよい。第2金属層38の厚みH2は、第1金属層33の厚みH1に対する比率に基づいて定められてもよい。第2金属層38の厚みH2は、例えば1.0×H1以上であり、より好ましくは1.2×H1以上であってもよい。また、第2金属層38の厚みH2は、例えば2.0×H1以下であり、より好ましくは1.7×H1以下であってもよい。蒸着マスク20全体の厚みHは、例えば2μm以上であり、より好ましくは3μm以上であってもよい。また、蒸着マスク20全体の厚みHは、例えば15μm以下であり、より好ましくは10μm以下であってもよい。
図7において、符号R1は、第1金属層33の第1側面33aの、第1面20a側の端部33eにおける曲率半径を表す。また、符号R2は、第2金属層38の第2側面38aの、第2面20b側の端部38eにおける曲率半径を表す。第2側面38aの曲率半径R2は、第1側面33aの曲率半径R1よりも大きいことが好ましく、例えば、1.2×R1以上であることが好ましく、1.5×R1以上であることがより好ましい。これにより、第1側面33aの膨らみ部33bに比べて第2側面38aの窪み部38bを大きくすることができる。このことにより、蒸着マスク20の重量を低減しながら、シャドーが発生することを抑制することができる。
また、図7において、符号K1は、第1側面33aの膨らみ部33bの高さを表し、符号K2は、第2側面38aの窪み部38bの深さを表す。窪み部38bの深さK2は、膨らみ部33bの高さK1よりも大きいことが好ましく、例えば、1.2×K1以上であることが好ましい。この場合も、蒸着マスク20の重量を低減しながら、シャドーが発生することを抑制することができる。膨らみ部33bの高さK1は、例えば100nm以上であり、より好ましくは200nm以上であってもよい。また、膨らみ部33bの高さK1は、例えば3.5μm以下であり、より好ましくは1.8μm以下であってもよい。窪み部38bの深さK2は、例えば120nm以上であり、より好ましくは240nm以上であってもよい。また、窪み部38bの深さK2は、例えば4.2μm以下であり、より好ましくは3.3μm以下であってもよい。
(蒸着マスクの製造方法)
次に、蒸着マスク20を製造する方法について説明する。図8乃至図14は、蒸着マスク20の製造方法を説明する図である。
〔準備工程〕
まず、図8に示すように、導電層52が設けられた基材51を準備する。図8に示す例において、導電層52は、基材51の表面の広域にわたって連続的に広がっている。図示はしないが、導電層52は、所定のパターンで基材51に設けられていてもよい。
絶縁性および適切な強度を有する限りにおいて基材51を構成する材料や基材51の厚みが特に限られることはない。例えば基材51を構成する材料として、ガラス、合成石英、Siウェハー、ステンレス等の金属板や合成樹脂などを用いることができる。
導電層52を構成する材料としては、金属材料や酸化物導電性材料等の、導電性を有する材料が適宜用いられる。金属材料の例としては、例えば、クロム、銅、銀、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブ、コバルト、インジウム、タンタル、バナジウムなどを挙げることができる。導電層52の厚みは、例えば50nm以上且つ500nm以下である。
なお、蒸着マスク20を導電層52から分離させる後述する分離工程を容易化するため、導電層52に離型処理を施しておいてもよい。
例えば、まず、導電層52の表面の油分を除去する脱脂処理を実施する。例えば、酸性の脱脂液を用いて、導電層52の表面の油分を除去する。
次に、導電層52の表面を活性化する活性化処理を実施する。例えば、後述するめっき処理工程において用いられるめっき液に含まれる酸性溶液と同一の酸性溶液を、導電層52の表面に接触させる。例えば、めっき液がスルファミン酸ニッケルを含む場合、スルファミン酸を導電層52の表面に接触させる。
次に、導電層52の表面に有機物の膜を形成する有機膜形成処理を実施する。例えば、有機物を含む離型剤を導電層52の表面に接触させる。この際、有機膜の厚みを、電解めっきによる金属層33,38の析出が有機膜によって阻害されない程度に薄く設定する。離型剤は、硫黄、フッ素成分を含んでいてもよい。
なお、脱脂処理、活性化処理および有機膜形成処理の後には、基材51を水で洗浄する水洗処理をそれぞれ実施する。
〔レジスト層形成工程〕
次に、図9に示すように、導電層52上にレジスト層55を形成する。例えば、ネガ型の化学増幅型レジストを用いてレジスト層55を形成する。ネガ型の化学増幅型レジストは、露光に起因する光酸発生剤の分解により酸を発生させる。
〔第1露光工程〕
続いて、第1強度を有する露光光E1を所定のパターンでレジスト層55に照射する。第1強度は、露光光E1がレジスト層55の表面近傍よりも深いところまでは到達しないよう設定されている。これにより、図10に示すように、レジスト層55の表面に部分的に酸を発生させ、レジスト層55の表面に所定のパターンで複数の上側感光部分56を形成する。各上側感光部分56は、蒸着マスク20の貫通孔25の第2孔35に対応する位置に形成される。
〔第1加熱工程〕
続いて、レジスト層55を加熱する、いわゆる露光後ベーク(PEB, post-exposure bake)を実施する。これにより、酸が発生する部分がレジスト層55の厚み方向において拡大するので、図11に示すように、基材51に向かう側へ上側感光部分56を拡大させることができる。
なお、第1加熱工程においては、図11に示すように、基材51側へ拡大するにつれて上側感光部分56が先細になることがある。言い換えると、上側感光部分56の側面56aが、基材51側に向かうにつれて内側に変位することがある。この場合、上側感光部分56の側面56aは、例えば、外側に凸となるよう膨らんだ形状を有する。このような側面56aの形状により、上述の第2金属層38の第2側面38aの窪み部38bを実現することが可能になる。なお、内側とは、上側感光部分56の中心に向かう側を意味する。
〔現像工程〕
第1加熱工程の後、レジスト層55に現像液を供給する現像工程を実施する。レジスト層55は、図12Aに示すように、上側感光部分56と基材51との間に位置するレジスト層55の側面55aが上側感光部分56の側面56aよりも内側に位置するようになるまで現像される。この場合、レジスト層55の側面55aも、上側感光部分56の側面56aと同様に、基材51側に向かうにつれて内側に変位する形状を有する。また、レジスト層55の側面55aは、内側に凸となるよう窪んだ形状を有する。このような側面55aの形状により、上述の第1金属層33の第1側面33aの膨らみ部33bを実現することが可能になる。
図12Bは、図12Aの上側感光部分56を基材51の法線方向に沿って見た場合を示す平面図である。上側感光部分56の輪郭は、上述の第2孔35の輪郭の場合と同様に、複数の第1辺56bと、第1辺56bに接続された複数の第2辺56cと、を含む。上側感光部分56の第1辺56bは、第2孔35の第1辺36aと同様に、平面視において第1距離W1を空けて隣り合う2つの上側感光部分56において対向する辺である。また、上側感光部分56の第2辺56cは、第2孔35の第2辺36bと同様に、平面視において第1距離W1よりも大きい第2距離W2を空けて隣り合う2つの上側感光部分56において対向する辺である。
現像工程の際、現像液は、第1距離W1を有する隙間58に比べて、第1距離W1よりも大きい第2距離W2を有する隙間58において流動し易い。このため、感光されていないレジスト層55の除去は、第2距離W2を有する隙間58においてより速く進行する。この結果、図12Bに示すように、第2距離W2に対応する上側感光部分56の第2辺56cと、上側感光部分56の下に残るレジスト層55との間の、平面視における間隔W4が、第1距離W1に対応する上側感光部分56の第1辺56bと、上側感光部分56の下に残るレジスト層55との間の、平面視における間隔W3よりも大きくなる。この場合、上側感光部分56の下に残るレジスト層55の輪郭のうち第2辺56cに対応する部分は、図12Bに示すように辺55cになる。一方、上側感光部分56の下に残るレジスト層55の輪郭のうち第1辺56bに対応する部分は、2つの辺55cが合流することにより形成される角部55dとなることがある。この結果、上側感光部分56の下に残るレジスト層55の輪郭に存在する辺55c及び角部55dの数が、上側感光部分56の輪郭に存在する辺56b,56c及び角部56dの数よりも少なくなる。例えば、上側感光部分56の輪郭が八角形である場合、上側感光部分56の下に残るレジスト層55の輪郭は四角形になる。
〔第2露光工程〕
続いて、第1露光工程における第1強度よりも大きい第2強度を有する露光光E2をレジスト層55に照射する。第2強度は、上側感光部分56を透過して上側感光部分56と基材51との間のレジスト層55に到達するよう設定されている。このため、図13に示すように、複数の上側感光部分56の下に残るレジスト層55に酸を発生させて複数の下側感光部分57を形成することができる。下側感光部分57の側面57aは、上側感光部分56の下に残っていたレジスト層55の側面55aと同一の形状や輪郭を有する。例えば、下側感光部分57の輪郭は、平面視において上側感光部分56の複数の第1辺56bとそれぞれ対向する複数の角部と、平面視において上側感光部分56の複数の第2辺56cとそれぞれ対向する複数の辺と、を含む
〔第2加熱工程〕
その後、下側感光部分57を加熱する第2加熱工程を実施してもよい。
〔第1めっき処理工程〕
続いて、基材51にめっき液を供給して、図14に示すように、複数の上側感光部分56及び複数の下側感光部分57の間の隙間58にめっき層28を析出させる。例えば、上側感光部分56及び下側感光部分57が形成された基材51を、めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、上側感光部分56及び下側感光部分57の隙間58の形状に対応した形状を有するめっき層28を得ることができる。
〔除去工程〕
その後、上側感光部分56及び下側感光部分57を除去する除去工程を実施する。例えば有機系溶剤や、水系アルカリ剥離液を用いて、浸漬、あるいはスプレー処理することによって、上側感光部分56及び下側感光部分57を基材51、導電層52及びめっき層28から剥離させることができる。
〔分離工程〕
次に、めっき層28を基材51及び導電層52から分離させる分離工程を実施する。例えばアルカリ系選択エッチング液を用いて、浸漬、あるいはスプレー処理にすることによって、導電層52を溶解して剥離する。これによって、上側感光部分56の側面56aに対応した形状及び輪郭を有する第2側面38aを含む第2金属層38と、下側感光部分57の側面57aに対応した形状及び輪郭を有する第1側面33aを含む第1金属層33と、を備える上述の蒸着マスク20を得ることができる。
次に、本実施の形態の効果を、比較例との対比に基づいて更に説明する。
(第1の比較例)
まず、第1の比較例として、平坦な側面を有するレジスト層の隙間にめっき液を供給して蒸着マスク20を製造する場合について説明する。
まず、導電層52が形成された基材51を準備する。次に、図15に示すように、導電層52上に、所定の隙間61を空けてレジスト層60を形成する。例えば、導電層52の近傍に位置するレジスト層60にまで到達するよう設定された強度を有する露光光を、所定のパターンでレジスト層60に照射する。これにより、基材51から遠ざかるにつれて幅が広くなる形状、いわゆる逆テーパ形状を有するレジスト層60を得ることができる。
次に、図16に示すように、レジスト層60の隙間61にめっき液を供給して、導電層52上にめっき層62を析出させる。その後、上述の除去工程および分離工程を実施する。これにより、図17に示すように、第1面20a側から第2面20b側に向かうにつれて蒸着マスク20の面方向において貫通孔25の寸法が拡大するよう構成された蒸着マスク20を得ることができる。貫通孔25の壁面25aは、レジスト層60の側面60aに対応する平坦な形状を有している。
第1の比較例に係る蒸着マスク20においても、第1面20a側から第2面20b側に向かうにつれて貫通孔25の寸法が拡大しているので、上述の実施の形態の場合と同様に、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができる。一方、上述の実施の形態に係る蒸着マスク20においては、貫通孔25の第2孔35を画成する第2金属層38の第2側面38aに窪み部38bが形成されている。このため、第1の比較例の場合と同等のシャドー抑制効果を発揮しながら、蒸着マスク20を軽くすることができる。これにより、蒸着マスク20が自重によって撓むことを抑制することができる。
(第2の比較例)
次に、第2の比較例として、第1のめっき処理工程によって第1金属層を形成した後、第2のめっき処理工程によって第1金属層上に第2金属層を形成することにより、蒸着マスク20を製造する場合について説明する。
まず、図18に示すように、蒸着マスク20の第1金属層に対応するパターンを有する導電層52が設けられた基材51を準備する。続いて、図19に示すように、導電層52上に第1金属層71を析出させる第1のめっき処理工程を実施する。
その後、図20に示すように、基材51上および第1金属層71上に、所定の隙間73を空けてレジスト層72を形成する。レジスト層72は、第1金属層71の間の隙間を覆うともに、レジスト層72の隙間73が第1金属層71上に位置するよう、形成される。
続いて、図21に示すように、レジスト層72の隙間73にめっき液を供給して第1金属層71上に第2金属層74を析出させる第2のめっき処理工程を実施する。その後、上述の除去工程および分離工程を実施する。これにより、図22に示すように、第1金属層71と、第1金属層71上に積層され、第1金属層71よりも狭い幅を有する第2金属層74と、を備えた蒸着マスク20を得ることができる。
第2の比較例に係る蒸着マスク20においても、第2金属層74が第1金属層71よりも狭い幅を有するので、上述の実施の形態の場合と同様に、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができる。一方、第2の比較例においては、第1金属層71を形成した後にレジスト層72を形成するので、第1金属層71に対するレジスト層72の位置ずれが生じる。この結果、第1金属層71に対する第2金属層74の位置が設計から逸脱し、貫通孔25の形状や寸法が設計から逸脱してしまうことが考えられる。
これに対して、上述の実施の形態においては、第1金属層33及び第2金属層38を、1回のめっき処理工程において同時に一体的に形成する。このため、第1金属層33に対する第2金属層38の位置が設計から逸脱することを抑制することができ、所望の形状や寸法を有する貫通孔25を得ることができる。
(第3の比較例)
次に、第3の比較例として、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングによって金属板に貫通孔を形成することにより、蒸着マスク20を製造する場合について説明する。
まず、金属板80を準備する。続いて、図23に示すように、金属板80の第1面80a上に所定のパターンで第1レジスト層81を形成し、金属板80の第2面80b上に所定のパターンで第2レジスト層82を形成する。
続いて、レジスト層81,82をマスクとして金属板80をエッチングする。具体的には、まず、図24に示すように、金属板80の第1面80aのうち第1レジスト層81によって覆われていない領域をエッチングする。これにより、金属板80の第1面80aに多数の第1孔30を形成することができる。
次に、図25に示すように、金属板80の第2面80bのうち第2レジスト層82によって覆われていない領域をエッチングし、第2面80bに第2孔35を形成する。第2面80bのエッチングは、第1孔30と第2孔35とが互いに通じ合い、これによって貫通孔25が形成されるようになるまで実施される。なお、第2面80bのエッチングの際、図25に示すように、エッチング液に対する耐性を有した樹脂83によって第1孔30が被覆されていてもよい。
その後、金属板80から樹脂83を除去する。これによって、図26に示すように、第1孔30及び第2孔35によって構成された貫通孔25を備える蒸着マスク20を得ることができる。
第3の比較例に係る蒸着マスク20においても、第2孔35の寸法が第1孔30の寸法よりも大きくなるようレジスト層81,82を構成することにより、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができる。一方、第3の比較例においては、第1レジスト層81に対する第2レジスト層82の位置ずれに起因して、第1孔30に対する第2孔35の位置が設計から逸脱し、貫通孔25の形状や寸法が設計から逸脱してしまうことが考えられる。
これに対して、上述の実施の形態においては、第1金属層33及び第2金属層38を、1回のめっき処理工程において同時に一体的に形成する。このため、第1金属層33によって画成される第1孔30に対する、第2金属層38によって画成される第2孔35の位置が、設計から逸脱することを抑制することができる。これにより、所望の形状や寸法を有する貫通孔25を得ることができる。
また、第3の比較例においては、図26に示すように、第1孔30と第2孔35とが合流する接続部84が、貫通孔25の中心に向かう側に鋭く突出している。このため、洗浄工程の際に接続部84が破損することが懸念される。
これに対して、上述の実施の形態に係る蒸着マスク20において、第1金属層33の第1側面33aに位置する膨らみ部33bは、湾曲した形状を有している。このため、第3の比較例のように貫通孔25の壁面の一部が鋭く突出している場合に比べて、洗浄工程の際に蒸着マスク20が破損することを抑制することができる。
(蒸着方法)
次に、本実施の形態に係る蒸着マスク20を用いて有機EL基板92上に蒸着材料98を蒸着させる蒸着方法について説明する。まず、蒸着マスク20をフレーム15に張設する。より具体的には、蒸着マスク20に張力を付与した状態で、蒸着マスク20をフレーム15に固定する。例えば、蒸着マスク20をフレーム15に溶接する。これにより、蒸着マスク20及びフレーム15を備える蒸着マスク装置10を得ることができる。ここで本実施の形態においては、上述のように、蒸着マスク20の貫通孔25の第2孔35を画成する第2金属層38の第2側面38aに窪み部38bが形成されている。このため、蒸着マスク20を軽くすることができるので、フレーム15に固定された蒸着マスク20が自重によって撓むことを抑制することができる。
また、蒸着マスク20が有機EL基板92に対向するよう蒸着マスク装置10を配置する。また、磁石93を用いて蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させる。この状態で、蒸着材料98を蒸発させて蒸着マスク20を介して有機EL基板92へ飛来させることにより、蒸着マスク20の貫通孔25に対応したパターンで蒸着材料98を有機EL基板92に付着させることができる。ここで本実施の形態においては、上述のように、蒸着マスク20が自重によって撓むことが抑制されている。また、蒸着マスク20の貫通孔25の形状及び寸法の精度が高められている。このため、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することを抑制することができ、有機EL基板92に付着する蒸着材料98の面積、形状や厚みなどを精密に制御することができる。なお「シャドー」とは、有機EL基板92などの基板に到達すべき蒸着材料98が蒸着マスク20の一部分によって遮られ、この結果、基板に付着した蒸着材料98からなる蒸着層の一部分が欠落する、という現象である。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(貫通孔の輪郭の第1の変形例)
上述の実施の形態においては、第2孔35の輪郭が八角形であり、第1孔30の輪郭が四角形である例を示したが、これに限られることはない。例えば図27に示すように、第2孔35の輪郭が七角形であり、第1孔30の輪郭が三角形であってもよい。
(貫通孔の輪郭の第2の変形例)
上述の実施の形態及び第1の変形例においては、第2孔35の輪郭に含まれる辺及び角部の数が、第1孔30の輪郭に含まれる辺及び角部の数よりも多い例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第2孔35の輪郭に含まれる辺及び角部の数が、第1孔30の輪郭に含まれる辺及び角部の数と同一であってもよい。例えば、図28に示すように、第1孔30の輪郭及び第2孔35の輪郭がいずれも四角形であってもよい。
(貫通孔の輪郭の第3の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、第1孔30の輪郭が多角形である例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1孔30の輪郭が、直線の辺及び湾曲した辺の両方を含んでいてもよい。例えば、図29に示すように、第1孔30の輪郭が、平行に延びる一対の直線の辺と、一対の直線の辺に接続された一対の湾曲した辺とを含んでいてもよい。また、図30に示すように、第1孔30の輪郭が、所定の角度を成す一対の直線の辺と、一対の直線の辺に接続された1本の湾曲した辺と、を含んでいてもよい。図29に示す例において、第2孔35の輪郭は六角形である。また、図30に示す例において、第2孔35の輪郭は七角形である。
(貫通孔の輪郭の第4の変形例)
第1孔30の輪郭は、図31及び図32に示すように円形であってもよい。図31及び図32に示す例において、第2孔35の輪郭は十角形である。図示はしないが、第2孔35の輪郭は、11以上の角部を含んでいてもよい。図31に示す例において、複数の貫通孔25は正方配列されている。一方、図32に示す例において、複数の貫通孔25は千鳥配列されている。
(蒸着マスク装置の第1変形例)
上述の実施の形態においては、蒸着マスク20が、第1方向D1に沿って並ぶ複数の有効部21を備えるスティック状のものである例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図33に示すように、蒸着マスク20は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に沿って格子状に配置された複数の有効部21を有していてもよい。図34は、図33の蒸着マスク装置10をXXXIV-XXXIV方向から見た断面図である。
(蒸着マスク装置の第2変形例)
図35は、蒸着マスク装置10の一変形例を示す平面図であり、図36は、図35の蒸着マスク装置10をXXXVI-XXXVI方向から見た断面図である。図35及び図36に示すように、蒸着マスク装置10は、蒸着マスク20に積層されたオープンマスク16を更に備えていてもよい。オープンマスク16は、複数の開口16aを含んでいる。また、蒸着マスク装置10は、オープンマスク16の開口16aに重なるよう配置された複数の蒸着マスク20を備えている。この場合、蒸着マスク20の図示しない貫通孔25及びオープンマスク16の開口16aを通過した蒸着材料が、有機EL基板に付着する。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
10 蒸着マスク装置
15 フレーム
20 蒸着マスク
21 有効部
24 外枠部
25 貫通孔
25a 壁面
28 めっき層
30 第1孔
31 辺
32 角部
33 第1金属層
33a 第1側面
33e 端部
35 第2孔
36a 第1辺
36b 第2辺
37 角部
38 第2金属層
38a 第2側面
38e 端部
51 基材
52 導電層
55 レジスト層
56 上側感光部分
56a 側面
57 下側感光部分
57a 側面
58 隙間
60 レジスト層
60a 側面
61 隙間
62 めっき層
71 第1金属層
72 レジスト層
73 隙間
74 第2金属層
80 金属板
80a 第1面
80b 第2面
81 第1レジスト層
82 第2レジスト層
83 樹脂
84 接続部

Claims (12)

  1. 第1面から第2面に至る複数の貫通孔が形成された蒸着マスクであって、
    前記蒸着マスクの前記第1面側に位置する第1金属層であって、前記貫通孔に面する第1側面を有する第1金属層と、
    前記蒸着マスクの前記第2面側に位置し、前記第1金属層と一体の第2金属層であって、前記貫通孔に面する第2側面を有する第2金属層と、を備え、
    前記第1金属層の前記第1側面及び前記第2金属層の前記第2側面はいずれも、前記蒸着マスクの前記第1面側から前記第2面側に向かうにつれて、前記蒸着マスクの面方向において前記貫通孔の中心から遠ざかるよう、構成されており、
    前記第1金属層の前記第1側面は、前記蒸着マスクの面方向において前記貫通孔の中心に向かう側に突出した膨らみ部を有し、
    前記第2金属層の前記第2側面は、前記蒸着マスクの面方向において前記貫通孔の中心から遠ざかる側に窪んだ窪み部を有し、
    前記第1金属層の前記第1側面及び前記第2金属層の前記第2側面はいずれも、湾曲した形状を有し、
    前記第2金属層の前記第2側面の、前記蒸着マスクの前記第2面側の端部における曲率半径は、前記第1金属層の前記第1側面の、前記蒸着マスクの前記第1面側の端部における曲率半径の1.5倍以上である、蒸着マスク。
  2. 前記第2金属層の厚みは、前記第1金属層の厚みよりも大きい、請求項1に記載の蒸着マスク。
  3. 前記第1金属層の前記第1側面の前記膨らみ部の高さ100nm以上である、請求項1又は2に記載の蒸着マスク。
  4. 前記第2金属層の前記第2側面の前記窪み部の深さが120nm以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
  5. 前記貫通孔は、前記第1金属層の前記第1側面によって画成される第1孔と、前記第2金属層の前記第2側面によって画成される第2孔と、を有し、
    前記第1孔の輪郭は、複数の辺及び角部を含み、
    前記第2孔の輪郭は、平面視において前記第1孔の複数の前記角部とそれぞれ対向する複数の第1辺と、平面視において前記第1孔の複数の前記辺とそれぞれ対向するとともに前記第1辺に接続された複数の第2辺と、を含み、
    前記第2孔の前記第1辺は、平面視において第1距離を空けて隣り合う2つの前記第2孔において対向する辺であり、
    前記第2孔の前記第2辺は、平面視において前記第1距離よりも大きい第2距離を空けて隣り合う2つの前記第2孔において対向する辺である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
  6. 前記第1孔の輪郭は、4つの前記辺及び4つの前記角部を含み、
    前記第2孔の輪郭は、4つの前記第1辺及び4つの前記第2辺、並びに前記第1辺と前記第2辺との間の角部を含む、請求項5に記載の蒸着マスク。
  7. 蒸着マスクの製造方法であって、
    基材上にレジスト層を形成する工程と、
    第1強度を有する露光光を所定のパターンで前記レジスト層に照射して、前記レジスト層の表面に複数の上側感光部分を形成する第1露光工程と、
    前記レジスト層を加熱して、前記基材に向かう側へ前記上側感光部分を拡大させる第1加熱工程と、
    前記第1加熱工程の後、前記上側感光部分と前記基材との間に位置する前記レジスト層の側面が前記上側感光部分の側面よりも内側に位置するようになるまで前記レジスト層を現像する現像工程と、
    前記第1強度よりも大きい第2強度を有する露光光を前記レジスト層に照射して、複数の前記上側感光部分と前記基材との間に複数の下側感光部分を形成する第2露光工程と、
    複数の前記上側感光部分の前記側面及び複数の前記下側感光部分の前記側面の間の隙間に、前記基材の側に位置する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を含むめっき層を形成する工程と、を備える、蒸着マスクの製造方法。
  8. 前記めっき層は、前記上側感光部分の前記側面に対応して形成される第2側面を含む第2金属層と、前記下側感光部分の前記側面に対応して形成される第1側面を含む第1金属層と、を備え、
    前記第1金属層の前記第1側面及び前記第2金属層の前記第2側面はいずれも、湾曲した形状を有し、
    前記第2金属層の前記第2側面の、前記蒸着マスクの前記第2面側の端部における曲率半径は、前記第1金属層の前記第1側面の、前記蒸着マスクの前記第1面側の端部における曲率半径の1.5倍以上である、請求項7に記載の蒸着マスクの製造方法。
  9. 前記上側感光部分の前記側面及び前記下側感光部分の前記側面はいずれも、前記基材の厚み方向において前記基材から遠ざかるにつれて、前記基材の面方向において前記隙間の側に変位するよう、構成されており、
    前記上側感光部分の前記側面は、前記基材の面方向において前記隙間に向かう側に突出した膨らみ部を有し、
    前記下側感光部分の前記側面は、前記基材の面方向において前記隙間から遠ざかる側に窪んだ窪み部を有する、請求項7又は8に記載の蒸着マスクの製造方法。
  10. 前記レジスト層は、化学増幅型レジストを含む、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  11. 前記上側感光部分の輪郭は、平面視において第1距離を空けて隣り合う2つの前記上側感光部分において対向する複数の第1辺と、平面視において前記第1距離よりも大きい第2距離を空けて隣り合う2つの前記上側感光部分において対向するとともに前記第1辺に接続された複数の第2辺と、を含み、
    前記下側感光部分の輪郭は、平面視において前記上側感光部分の複数の前記第1辺とそれぞれ対向する複数の角部と、平面視において前記上側感光部分の複数の前記第2辺とそれぞれ対向する複数の辺と、を含む、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  12. 前記上側感光部分の輪郭は、4つの前記第1辺及び4つの前記第2辺、並びに前記第1辺と前記第2辺との間の角部を含み、
    前記下側感光部分の輪郭は、4つの前記辺及び4つの前記角部を含む、請求項11に記載の蒸着マスクの製造方法。
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