JP6519395B2 - 蒸着マスク製造方法 - Google Patents

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本発明は、蒸着マスクを製造する蒸着マスク製造方法に関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であること、例えば画素密度が400ppi以上であることが求められている。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラフルハイビジョンに対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが求められる。
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の有機EL基板(被蒸着基板)に対して蒸着マスクを密着させ、次に、密着させた蒸着マスクおよび有機EL基板を共に蒸着装置に投入し、有機材料を有機EL基板に蒸着させる蒸着工程を行う。この場合、高い画素密度を有する有機EL表示装置を精密に作製するためには、蒸着マスクの貫通孔の位置や形状を設計に沿って精密に再現することが求められる。
蒸着マスク製造方法として、エッチング処理による方法も知られているが、蒸着マスクの厚さを低減し得る方法として、例えば特許文献1に開示されているように、めっき処理を利用して蒸着マスクを製造する方法が知られている。例えば特許文献1に記載の方法においては、はじめに、導電性を有する基材を準備する。次に、基材の上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、蒸着マスクの貫通孔が形成されるべき位置に設けられている。その後、レジストパターンの隙間にめっき液を供給して、電解めっき処理によって基材の上に金属層を析出させる。その後、金属層を基材から分離させることにより、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを得ることができる。
特開2001−234385号公報
有機材料を有機EL基板に蒸着させる蒸着工程においては、蒸着マスクに向かって飛来した蒸着材料は、貫通孔を通過して有機EL基板に付着する。この場合、蒸着材料は、有機EL基板に向けて蒸着マスクの法線方向に沿って移動するだけでなく、蒸着マスクの法線方向に対して大きく傾斜した方向に移動することもある。このことにより、蒸着材料の一部が貫通孔の壁面に付着してしまい、蒸着材料の利用効率が低下し得る。
そこで、第1めっき処理において第1金属層を析出させ、第2めっき処理により第1金属層上に第2金属層を析出させる二層めっき構造を有する蒸着マスクが考えられている。このような蒸着マスク製造方法においては、貫通孔のうち第1金属層の部分の開口寸法よりも、第2金属層の部分の開口寸法を大きくすることができる。そして、蒸着工程の際には第1金属層が有機EL基板の側に配置される。このことにより、傾斜した方向に移動する蒸着材料が貫通孔の壁面に付着することを抑制し、蒸着材料の利用効率を高めることができる。
ところで、蒸着マスクは、ニッケル、ニッケル−コバルト、またはニッケル−鉄などのニッケル合金を用いて製造される。このニッケル合金を析出させるために用いられるめっき液は、一般的に、析出物の結晶を微細化することにより光沢を付与する一次光沢剤と、一次光沢剤よりも優れた平滑化機能(いわゆるレベリング効果)を付与する二次光沢剤とを含んでいる。このうち二次光沢剤は、一次光沢剤と併用することにより、一次光沢剤のみを使用した場合よりも平滑化機能を向上させることができる。このことにより、第2金属層を析出する初期段階では、第1金属層の表面に、二次光沢剤の成分が吸着される。このため、二次光沢剤の濃度によっては、吸着した二次光沢剤分子が介在することにより、第1金属層と第2金属層との密着性が低下し、第1金属層と第2金属層との間で層間剥離が起こる可能性がある。層間剥離が起こる可能性は第1金属層と第2金属層とが接触する幅が狭い場合に高くなり、10μm以下となった場合に特に高くなる。このことは、第1金属層と第2金属層との間に触媒層などの他の層が介在されている場合でも同様である。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、蒸着マスクをなす第1金属層と第2金属層との間で層間剥離が起ることを抑制できる蒸着マスク製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、蒸着マスク製造方法であって、所定の導電性パターンが形成された基材を準備する工程と、第1めっき液を用いて、前記導電性パターン上に、前記貫通孔を構成する第1開口部が設けられた第1金属層を形成する工程と、第2めっき液を用いて、前記第1金属層上に、前記貫通孔を構成する第2開口部が設けられた第2金属層を形成する工程と、を備え、前記第1めっき液は、第1の一次光沢剤と第1の二次光沢剤とを含み、前記第2めっき液は、第2の一次光沢剤と第2の二次光沢剤とを含み、前記第2めっき液の前記第2の二次光沢剤の濃度は、前記第1めっき液の前記第1の二次光沢剤の濃度より低い、蒸着マスク製造方法。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記第1金属層は、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に、前記被蒸着基板の側に配置され、前記第1金属層は、前記第2金属層よりも前記貫通孔の内側に向って突出する突出部を有していてもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記第2めっき液の前記第2の二次光沢剤の濃度は、0.001mol/L以下であってもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記第1金属層から前記基材を分離する工程を更に備えていてもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記第2金属層を形成する工程は、前記第1金属層上に位置する所定の隙間を空けてレジストパターンを前記基材上に形成する工程と、前記レジストパターンの前記隙間に前記第2めっき液を供給して前記第2金属層を析出する工程と、前記レジストパターンを除去する工程と、を有していてもよい。
本発明によれば、蒸着マスクをなす第1金属層と第2金属層との間で層間剥離が起ることを抑制できる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す概略平面図である。 図2は、図1に示す蒸着マスク装置を用いて蒸着する方法を説明するための図である。 図3は、図1に示す蒸着マスクを示す部分平面図である。 図4は、図3に示す蒸着マスクのA−A線に沿った断面形状を示す図である。 図5Aは、図4に示す蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図5Bは、図4に示す蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図5Cは、図4に示す蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図5Dは、図4に示す蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図6Aは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図6Bは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図である。 図6Cは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図6Cは、本発明の一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスク製造方法を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスク製造方法に対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(蒸着マスク装置)
まず、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例について、図1〜図2を参照して説明する。ここで、図1は、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す平面図であり、図2は、図1に示す蒸着マスク装置の使用方法を説明するための図である。
図1及び図2に示された蒸着マスク装置10は、平面視において略矩形状の形状を有する複数の蒸着マスク20と、複数の蒸着マスク20の周縁部に取り付けられたフレーム15と、を備えている。蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部において、フレーム15に取り付けられている。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように蒸着マスク20を張った状態に保持する。蒸着マスク20とフレーム15とは、例えばスポット溶接により互いに対して固定されている。各蒸着マスク20には、蒸着マスク20を貫通する複数の貫通孔25が設けられている。この蒸着マスク装置10は、図2に示すように、蒸着マスク20が蒸着対象物である基板(被蒸着基板)、例えば有機EL基板92の下面に対面するようにして蒸着装置90内に支持され、有機EL基板92への蒸着材料の蒸着に使用される。
蒸着装置90内では、不図示の磁石からの磁力によって、蒸着マスク20と有機EL基板92とが密着するようになる。蒸着装置90内には、蒸着マスク装置10の下方に、蒸着材料(一例として、有機発光材料)98を収容するるつぼ94と、るつぼ94を加熱するヒータ96とが配置されている。るつぼ94内の蒸着材料98は、ヒータ96からの加熱により、気化または昇華して有機EL基板92の表面に付着するようになる。上述したように、蒸着マスク20には多数の貫通孔25が形成されており、蒸着材料98はこの貫通孔25を通過して有機EL基板92に付着する。この結果、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が有機EL基板92の表面に成膜される。図2において、蒸着マスク20の面のうち蒸着工程の際に有機EL基板92と対向する面(以下、第1面とも称する)が符号20aで表されている。また、蒸着マスク20の面のうち第1面20aの反対側に位置する面(以下、第2面とも称する)が符号20bで表されている。第2面20b側には、蒸着材料98の蒸着源(ここではるつぼ94)が配置される。
上述したように、本実施の形態では、貫通孔25が各有効領域22において所定のパターンで配置されている。なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20が搭載された蒸着機をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着機に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
ところで蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。
この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、蒸着マスク20やフレーム15と有機EL基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度が低下してしまう。このような課題を解決するため、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、蒸着マスク20およびフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。具体的には、34〜38質量%のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を、蒸着マスク20を構成する後述する第1金属層32および第2金属層37の材料として用いることができる。なお本明細書において、「〜」という記号によって表現される数値範囲は、「〜」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34〜38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上かつ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
なお蒸着処理の際に、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92の温度が高温には達しない場合は、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数を有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値にする必要は特にない。この場合、蒸着マスク20を構成する後述する第1金属層32および第2金属層37の材料として、ニッケルやニッケル−コバルト合金など、上述の鉄合金以外の様々な材料を用いることができる。
(蒸着マスク)
次に、蒸着マスク20について、図1、図3および図4を参照して詳細に説明する。ここで、図3は、蒸着マスク20を第1面20aの側から示す平面図であり、図4は、めっき処理によって作製された蒸着マスク20を、図3のA−A線に沿って切断した場合を示す断面図である。
図1に示すように、本実施の形態において、蒸着マスク20は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。蒸着マスク20は、規則的な配列で貫通孔25が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいる。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。例えば、有機EL表示装置用の有機発光材料の蒸着に用いられる蒸着マスク20においては、有効領域22は、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる有機EL基板92の表示領域となる区域に対面する、蒸着マスク20内の領域のことである。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や凹部が形成されていてもよい。図1に示された例において、各有効領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。なお図示はしないが、各有効領域22は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域22は、円形状の輪郭を有していてもよい。
図示された例において、蒸着マスク20の複数の有効領域22は、蒸着マスク20の長手方向と平行な一方向に沿って所定の間隔を空けて一列に配列されている。図示された例では、一つの有効領域22が一つの有機EL表示装置に対応するようになっている。すなわち、図1に示された蒸着マスク装置10(蒸着マスク20)によれば、多面付蒸着が可能となっている。
図3に示すように、図示された例において、各有効領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されている。この貫通孔25の形状などについて、以下に詳細に説明する。ここでは、蒸着マスク20がめっき処理によって形成される場合の、貫通孔25の形状などについて説明する。
図4に示すように、蒸着マスク20は、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32と、第1金属層32上に設けられ、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37と、を備えている。第1金属層32は、第2金属層37よりも蒸着マスク20の第1面20a側に配置され、第2金属層37は、第1金属層32よりも蒸着マスク20の第2面20b側に配置されている。図4に示す例においては、第1金属層32が蒸着マスク20の第1面20aを構成し、第2金属層37が蒸着マスク20の第2面20bを構成している。上述したように第1面20aは、蒸着工程の際に有機EL基板92と対向する面となっている(図2参照)。このようにして、第1金属層32は、蒸着材料を有機EL基板92に蒸着させる際(蒸着工程の際)に、有機EL基板92の側に配置される。
本実施の形態においては、第1開口部30と第2開口部35とが互いに連通することにより、蒸着マスク20を貫通する貫通孔25が構成されている。この場合、蒸着マスク20の第1面20a側における貫通孔25の開口寸法や開口形状は、第1金属層32の第1開口部30によって画定される。一方、蒸着マスク20の第2面20b側における貫通孔25の開口寸法や開口形状は、第2金属層37の第2開口部35によって画定される。言い換えると、貫通孔25には、第1金属層32の第1開口部30によって画定される形状、および、第2金属層37の第2開口部35によって画定される形状の両方が付与されている。
図3に示すように、貫通孔25を構成する第1開口部30や第2開口部35は、平面視において略多角形状になっていてもよい。ここでは第1開口部30および第2開口部35が、略四角形状、より具体的には略正方形状になっている例が示されている。また図示はしないが、第1開口部30や第2開口部35は、略六角形状や略八角形状など、その他の略多角形状になっていてもよい。なお「略多角形状」とは、多角形の角部が丸められている形状を含む概念である。また図示はしないが、第1開口部30や第2開口部35は、円形状になっていてもよい。また、平面視において第2開口部35が第1開口部30を囲う輪郭を有する限りにおいて、第1開口部30の形状と第2開口部35の形状が相似形になっている必要はない。
図4において、符号41は、第1金属層32と第2金属層37とが接続される接続部を表している。また符号S0は、第1金属層32と第2金属層37との接続部41における貫通孔25の寸法を表している。なお図4においては、第1金属層32と第2金属層37とが接している例を示したが、これに限られることはなく、第1金属層32と第2金属層37との間にその他の層が介在されていてもよい。例えば、第1金属層32と第2金属層37との間に、第1金属層32上における第2金属層37の析出を促進させるための触媒層が設けられていてもよい。
図4に示すように、本実施の形態による第1金属層32は、第2金属層37よりも貫通孔25の内側に向って突出する突出部34を有している。このことにより、突出部34を有する第1金属層32の幅(第1面20aでの互いに隣り合う貫通孔25の間における貫通孔25の配列方向に沿った寸法)が、第2金属層37の幅(第2面20bでの互いに隣り合う貫通孔25の間における貫通孔25の配列方向に沿った寸法)より大きくなっている。
このように構成されていることにより、図4に示すように、第2面20bにおける貫通孔25(第2開口部35)の開口寸法S2が、第1面20aにおける貫通孔25(第1開口部30)の開口寸法S1よりも大きくなっている。また、接続部41における貫通孔25の寸法S0は、第1面20aにおける貫通孔25(第1開口部30)の開口寸法S1よりも大きくなっている。上述した突出部34は、第1金属層32のうち第1開口部30の端部33と接続部41との間の部分(S0とS1の差の部分)に相当する。すなわち、突出部34によって第1開口部30が画定されている。以下、このように第1金属層32および第2金属層37を構成することの利点について説明する。
蒸着マスク20の第2面20b側から蒸着マスク20に向かって飛来する蒸着材料98は、貫通孔25の第2開口部35および第1開口部30を順に通過して有機EL基板92に付着する。有機EL基板92のうち蒸着材料98が付着する領域は、第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1や開口形状によって主に定められる。ところで、図4において第2面20b側から第1面20aへ向かう矢印で示すように、蒸着材料98は、るつぼ94から有機EL基板92に向けて蒸着マスク20の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。ここで、仮に第2面20bにおける貫通孔25の開口寸法S2が第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1と同一であるとすると、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動する蒸着材料98の多くは、貫通孔25を通過して有機EL基板92に到達するよりも前に、貫通孔25の第2開口部35の壁面36に到達して付着してしまう。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、第2開口部35の開口寸法S2を大きくすることが好ましいと言える。
図4において、蒸着マスク20の第2面20b側における貫通孔25(第2開口部35)の端部38を通る蒸着材料98の経路であって、有機EL基板92に到達することができる経路のうち、蒸着マスク20の法線方向Nに対してなす角度が最小となる経路が、符号L1で表されている。また、経路L1と蒸着マスク20の法線方向Nとがなす角度が、符号θ1で表されている。斜めに移動する蒸着材料98を、第2開口部35の壁面36に到達させることなく可能な限り有機EL基板92に到達させるためには、角度θ1を大きくすることが有利となる。例えば角度θ1を45°以上にすることが好ましい。このため、第1金属層32が突出部34を有することにより、角度θ1を大きくすることができる。
上述の開口寸法S0、S1、S2、第1金属層32の幅、第2金属層37の幅は、有機EL表示装置の画素密度や上述の角度θ1の所望値などを考慮して、適切に設定される。例えば、400ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合、接続部41における貫通孔25の開口寸法S0は、20〜60μmの範囲内に設定され得る。また、第1面20aにおける第1開口部30の開口寸法S1は、10〜50μmの範囲内に設定され、第2面20bにおける第2開口部35の開口寸法S2は、15〜80μmの範囲内に設定され得る。一例として、5インチの有機EL表示装置において、第1開口部30の開口寸法S1は40μmに、第1金属層32の幅は20μmに、第2金属層37の幅は8μmに設定され得る。また、600ppiの画素密度の有機EL表示装置を作製する場合には、第1開口部30の開口寸法S1は30μmに、第1金属層32の幅は15μmに、第2金属層37の幅は5μmに設定され得る。さらに、800ppiの画素密度の有機EL表示装置を作製する場合には、第1開口部30の開口寸法S1は20μmに、第1金属層32の幅は10μmに、第2金属層37の幅は4μmに設定され得る。
次に、図5A乃至図6Cを参照して、図4に示す蒸着マスク20を、めっき処理を利用して製造する方法について説明する。
(パターン基板準備工程)
はじめに、パターン基板50を準備する。ここでパターン基板50は、後述するように、基材51と、基材51上に形成された所定の導電性パターン52と、を有するように構成されものである。このようなパターン基板50を作製する方法の一例について以下に説明する。
はじめに、基材51を準備する。次に図5Aに示すように、導電性材料からなる導電層52aを形成する。導電層52aは、パターニングされることによって導電性パターン52となる層である。
絶縁性および適切な強度を有する限りにおいて、基材51を構成する材料や基材51の厚みが特に限られることはない。例えば基材51を構成する材料として、ガラスや合成樹脂などを用いることができる。
導電層52aを構成する材料としては、金属材料や酸化物導電性材料等の導電性を有する材料が適宜用いられる。金属材料の例としては、例えばクロムや銅などを挙げることができる。好ましくは、後述するレジストパターン55に対する高い密着性を有する材料が、導電性パターン52を構成する材料として用いられる。例えばレジストパターン55が、アクリル系光硬化性樹脂を含むレジスト膜など、いわゆるドライフィルムと称されるものをパターニングすることによって作製される場合、導電性パターン52を構成する材料として、ドライフィルムに対する高い密着性を有する銅が用いられることが好ましい。
後述するように、導電層52aをパターニングすることによって形成される導電性パターン52の上には、導電性パターン52を覆うように第1金属層32が形成され、この第1金属層32はその後の工程で導電性パターン52から分離される。このため、第1金属層32のうち導電性パターン52と接する側の面の上には、通常、導電性パターン52の厚みに対応する窪みが形成される。この点を考慮すると、電解めっき処理に必要な導電性を導電性パターン52が有する限りにおいて、導電性パターン52の厚み、すなわち導電層52aの厚みは小さい方が好ましい。例えば導電層52aの厚みは、50〜500nmの範囲内になっている。
次に図5Bに示すように、導電層52a上に、所定のパターンを有するレジストパターン53を形成する。レジストパターン53を形成する方法としては、後述するレジストパターン55の場合と同様に、フォトリソグラフィー法などが採用され得る。その後、図5Cに示すように、導電層52aのうちレジストパターン53によって覆われていない部分を、エッチングによって除去する。次に図5Dに示すように、レジストパターン53を除去する。これによって、第1金属層32に対応するパターンを有する導電性パターン52が形成されたパターン基板50を得ることができる。
(第1成膜工程)
次に、パターン基板50を利用して上述の第1金属層32を形成する第1成膜工程について説明する。まず図5Dに示すように、所定の導電性パターン52が形成された基材51を有するパターン基板50を準備する。導電性パターン52は、第1金属層32に対応するパターンを有している。
次に、導電性パターン52が形成された基材51上に第1めっき液を供給して、導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる第1めっき処理工程を実施する。例えば、導電性パターン52が形成された基材51を、第1めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図6Aに示すように、基材51上に、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32を得ることができる。第1金属層32の厚みは、例えば5μm以下になっている。
なおめっき処理の特性上、図6Aに示すように、第1金属層32は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重なる部分だけでなく、導電性パターン52と重ならない部分にも形成され得る。これは、導電性パターン52の端部54と重なる部分に析出した第1金属層32の表面にさらに第1金属層32が析出するためである。この結果、図6Aに示すように、第1開口部30の端部33は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重ならない部分に位置するようになり得る。
導電性パターン52上に第1金属層32を析出させることができる限りにおいて、第1めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることはない。例えば第1めっき処理工程は、導電性パターン52に電流を流すことによって導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。この場合、導電性パターン52上に触媒層が設けられていてもよい。
用いられる第1めっき液の成分は、第1金属層32に求められる特性に応じて適宜定められる。例えば第1金属層32が、ニッケルを含む鉄合金によって構成される場合、第1めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いることができる。例えば、スルファミン酸ニッケルや臭化ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸第一鉄を含む溶液との混合溶液を用いることができる。
本実施の形態では、第1めっき液は、添加剤として第1の一次光沢剤と第1の二次光沢剤とを含んでいる。このうち、第1の一次光沢剤は、析出物の結晶を微細化することにより光沢を付与する。一方、第1の二次光沢剤は、第1の一次光沢剤と併用することにより、第1の一次光沢剤のみを使用した場合よりも優れたレベリング効果を付与する。第1の一次光沢剤の例としては、サッカリンナトリウムなどがあげられ、第1の二次光沢剤の例としては、ブチンジオール(例えば、2−ブチン−1、4−ジオール)、プロパギルアルコール、クマリン、ホルマリン、チオ尿素などがあげられる。第1の二次光沢剤の濃度の例としては、2−ブチン−1、4−ジオールの場合、0.001mol/L〜0.002mol/L、プロパギルアルコールの場合、0.0018mol/L〜0.0036mol/L、クマリンの場合、0.001mol/L〜0.005mol/L、ホルマリンの場合、0.01mol/L〜0.02mol/L、チオ尿酸の場合、0.001mol/L〜0.003mol/Lなどがあげられる。
本実施の形態では、第1めっき液の第1の二次光沢剤の濃度が、後述する第2めっき液の第2の二次光沢剤の濃度よりも高くなっている。例えば、上述したように、第1めっき液の第1の二次光沢剤の濃度は、2−ブチン−1、4−ジオールの場合、0.001mol/L〜0.002mol/Lとすることが好適である。この場合、第1金属層の表面は良好な光沢面となり得る。なお、析出された第1金属層32は、第1めっき液中の第1の二次光沢剤の成分を含み、第1金属層32中の第1の二次光沢剤の成分は、第1めっき液中の第1の二次光沢剤の濃度の増加に伴って増加する。
上述したように、第1めっき液には、第1の一次光沢剤と第1の二次光沢剤とが添加剤として含まれているが、これ以外の添加剤が含まれていてもよい。例えば、第1めっき液にホウ酸などのpH緩衝剤、酸化防止剤が含まれていてもよい。
(第2成膜工程)
次に、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37を第1金属層32上に形成する第2成膜工程を実施する。まず、基材51上および第1金属層32上に、所定の隙間56を空けてレジストパターン55を形成するレジスト形成工程を実施する。図6Bは、基材51上に形成されたレジストパターン55を示す断面図である。図6Bに示すように、レジスト形成工程は、第1金属層32の第1開口部30がレジストパターン55によって覆われるとともに、レジストパターン55の隙間56が第1金属層32上に位置するように実施される。
以下、レジスト形成工程の一例について説明する。はじめに、基材51上および第1金属層32上にドライフィルムを貼り付けることによって、ネガ型のレジスト膜を形成する。ドライフィルムの例としては、例えば日立化成製のRY3310など、アクリル系光硬化性樹脂を含むものを挙げることができる。また、レジストパターン55用の材料を基材51上に塗布し、その後に必要に応じて焼成を実施することにより、レジスト膜を形成してもよい。次に、レジスト膜のうち隙間56となるべき領域に光を透過させないようにした露光マスクを準備し、露光マスクをレジスト膜上に配置する。その後、真空密着によって露光マスクをレジスト膜に十分に密着させる。なおレジスト膜として、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合、露光マスクとして、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させるようにした露光マスクが用いられる。
その後、レジスト膜を露光マスク越しに露光する。さらに、露光されたレジスト膜に像を形成するためにレジスト膜を現像する。以上のようにして、図6Bに示すように、第1金属層32上に位置する隙間56が設けられるとともに第1金属層32の第1開口部30を覆うレジストパターン55を形成することができる。なお、レジストパターン55を基材51および第1金属層32に対してより強固に密着させるため、現像工程の後にレジストパターン55を加熱する熱処理工程を実施してもよい。
次に、レジストパターン55の隙間56に第2めっき液を供給して、第1金属層32上に第2金属層37を析出させる第2めっき処理工程を実施する。例えば、第1金属層32が形成された基材51を、第2めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図6Cに示すように、第1金属層32上に第2金属層37を形成することができる。第2金属層37の厚みは、蒸着マスク20全体の厚みが5〜50μmの範囲内になるように設定される。例えば第2金属層37の厚みは、2〜50μm、より好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは3〜25μmの範囲内になっている。
第1金属層32上に第2金属層37を析出させることができる限りにおいて、第2めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることとはない。例えば、第2めっき処理工程は、第1金属層32に電流を流すことによって第1金属層32上に第2金属層37を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。この場合、第1金属層32上に触媒層が設けられていてもよい。
用いられる第2めっき液の成分は、第1めっき液の場合と同様に、第2金属層37に求められる特性に応じて適宜定められる。例えば第2金属層37が、ニッケルを含む鉄合金によって構成される場合、第2めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いることができる。例えば、スルファミン酸ニッケルや臭化ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸第一鉄を含む溶液との混合溶液を用いることができる。
本実施の形態では、第2めっき液は、添加剤として第2の一次光沢剤と第2の二次光沢剤とを含んでいる。このうち、第2の一次光沢剤は、上述した第1の一次光沢剤と同様に析出物の結晶を微細化することにより光沢を付与する。一方、第2の二次光沢剤は、上述した第1の二次光沢剤と同様に、第2の一次光沢剤と併用することにより、第2の一次光沢剤のみを使用した場合よりも優れたレベリング効果を付与する。第2の一次光沢剤の例としては、サッカリンナトリウムなどがあげられ、第2の二次光沢剤の例としては、ブチンジオール(例えば、2−ブチン−1、4−ジオール)、プロパギルアルコール、クマリン、ホルマリン、チオ尿素などがあげられる。
本実施の形態における第2めっき液の第2の二次光沢剤の濃度は、上述の第1めっき液の第1の二次光沢剤の濃度とは異なっている。すなわち、二次光沢剤の濃度によっては、第1金属層32の表面に吸着した二次光沢剤分子が介在することにより、第1金属層32と第2金属層37との密着性が低下し得る場合がある。そこで、本実施の形態では、第2めっき液の第2の二次光沢剤の濃度が、第1めっき液の第1の二次光沢剤の濃度よりも低くなっている。このことにより、第2金属層37を析出する初期段階で、第1金属層32の表面に吸着される第2の二次光沢剤の二次光沢剤分子の吸着量を低減することができる。このため、第1金属層32と第2金属層37との密着性の低下を抑制することができる。例えば、第2めっき液の第2の二次光沢剤の濃度は、0.0005mol/L〜0.001mol/Lの範囲内で、第1めっき液の第1の二次光沢剤の濃度よりも低くなっていることが好適である。なお、析出された第2金属層37は、第2めっき液中の第2の二次光沢剤の成分を含み、第2金属層37中の第2の二次光沢剤の成分は、第2めっき液中の第2の二次光沢剤の濃度の増加に伴って増加する。
上述したように、第2めっき液には、第2の一次光沢剤と第2の二次光沢剤とが添加剤として含まれているが、これ以外の添加剤が含まれていてもよい。例えば、第2めっき液にホウ酸などのpH緩衝剤、酸化防止剤が含まれていてもよい。
なお図6Cにおいては、レジストパターン55の上面と第2金属層37の上面とが一致するようになるまで第2めっき処理工程が継続される例を示したが、これに限られることはない。第2金属層37の上面がレジストパターン55の上面よりも下方に位置する状態で、第2めっき処理工程が停止されてもよい。
その後、レジストパターン55を除去する除去工程を実施する。例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、レジストパターン55を基材51、第1金属層32や第2金属層37から剥離させることができる。
(分離工程)
次に、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体を、基材51を有するパターン基板50から分離させる分離工程を実施する。これによって、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32と、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37と、を備えた蒸着マスク20を得ることができる。
上述のようにして蒸着マスク20を製造することの利点について、以下に説明する。
本実施の形態において、第2金属層37を形成するための第2めっき液の第2の二次光沢剤の濃度が、第1金属層32を形成するための第1めっき液の第1の二次光沢剤の濃度よりも低くなっている。このことにより、第2金属層37を析出する初期段階で、第1金属層32の表面に、第2の二次光沢剤の二次光沢剤分子が吸着されることを抑制することができる。このため、第1金属層32と第2金属層37との境界面において、第2めっき液の第2の二次光沢剤の二次光沢剤分子が介在することを抑制することができる。この結果、第1金属層32と第2金属層37との密着性が低下することを抑制し、第1金属層32と第2金属層37との間で層間剥離が起こることを抑制できる。
また、本実施の形態において、第1金属層32を形成するための第1めっき液の第1の二次光沢剤の濃度が、第2金属層37を形成するための第2めっき液の第2の二次光沢剤の濃度よりも高くなっている。このことにより、第1金属層32の突出部34の表面を第2金属層37の表面よりも滑らかにすることができる。
ここで、蒸着工程の際には、蒸着材料98(図2参照)は、蒸着マスク20の第2面20b側から飛来し、貫通孔25の第2開口部35および第1開口部30を順に通過する。このため、突出部34のうち第2面20b側の面に蒸着材料98が付着する可能性がある。このようにして蒸着材料98が付着した蒸着マスク20を用いて有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着させる際には、この付着した蒸着材料98がシャドーになって、蒸着材料98の利用効率が低下するおそれがある。そこで、付着した蒸着材料98を除去するために、蒸着マスク20を洗浄することが好適である。しかしながら、この洗浄の際、突出部34の蒸着材料98が付着した面が粗いと当該面から蒸着材料98を完全に(または完全に近い状態に)除去することが困難になり得る。
これに対して本実施の形態によれば、上述したように突出部34の蒸着材料98が付着し得る面が滑らかに形成されている。このことにより、突出部34の当該面から、付着した蒸着材料98を容易に除去することができる。このため、シャドーの発生を抑制できる蒸着マスク20を得ることができる。
上述した本発明の実施の形態による蒸着マスク製造方法に従って蒸着マスク20を作製し、第1金属層32と第2金属層37と間で層間剥離が起るか否かを調べた。
まず、スルファミン酸ニッケル156g/L、臭化ニッケル7g/L、スルファミン酸第一鉄45g/L、ホウ酸30g/Lおよび鉄の酸化防止剤適量を混合させ、pH3.8に調整した水溶液を作成した。この水溶液に、第1の一次光沢剤としてのサッカリンナトリウム0.01mol/Lと、第1の二次光沢剤としての所定の濃度の2ブチン1,4ジオールとを添加して、第1めっき液としての鉄ニッケル合金めっき液を準備した。
同様にして、スルファミン酸ニッケル156g/L、臭化ニッケル7g/L、スルファミン酸第一鉄45g/L、ホウ酸30g/Lおよび鉄の酸化防止剤適量を混合させ、pH3.8に調整した水溶液を作成した。この水溶液に、第2の一次光沢剤としてのサッカリンナトリウム0.01mol/Lと、第2の二次光沢剤としての所定の濃度の2ブチン1,4ジオールとを添加して、第2めっき液としての鉄ニッケル合金めっき液を準備した。
続いて、上述のようにして準備した第1めっき液を用いて第1金属層32を形成した(第1めっき処理)。この際、第1めっき液の温度を45℃とし、電流密度を1.5A/dmとして、8μm幅に形成された導電性パターン52上に鉄ニッケル合金を析出させて、10μm幅に形成された第1金属層32を得た。得られた第1金属層32は、ニッケル比率45%の良好な光沢のある合金皮膜であった。
次に、上述のようにして準備した第2めっき液を用いて第2金属層37を第1金属層32上に形成した(第2めっき処理)。この際、第1金属層32上に隙間56が設けられるようにレジストパターン55を形成し、この隙間56に、第2めっき液の温度を45℃、電流密度を1.5A/dmとして鉄ニッケル合金を析出させて4μm幅に形成された第2金属層37を得た。得られた第2金属層37は、ニッケル比率45%の光沢のある合金被膜であった。
その後、導電性パターン52を有するパターン基板50を分離し、蒸着マスク20を得た。
このようにして得られる蒸着マスク20を、第2めっき液中の第2の二次光沢剤の濃度を種々変えて複数の蒸着マスク20を準備した。その後、JIS H8504の条件に準拠したテープ剥離試験により、各々の蒸着マスク20において第1金属層32と第2金属層37との間で層間剥離が起きているか否かを調べた。その結果を表1に示す。
Figure 0006519395
表1中、○印は、層間剥離が起きなかったことを示し、×印は、層間剥離が起きたことを示している。表1に示されているように、第2めっき液中の第2の二次光沢剤の濃度を第1めっき液中の第1の二次光沢剤の濃度より低くすることにより、層間剥離が発生していないことが確認できた。
20 蒸着マスク
25 貫通孔
30 第1開口部
32 第1金属層
34 突出部
35 第2開口部
37 第2金属層
51 基材
52 導電性パターン
55 レジストパターン
56 隙間
92 有機EL基板
98 蒸着材料

Claims (5)

  1. 蒸着材料を被蒸着基板に蒸着させる際に、前記蒸着材料が通過する貫通孔が形成された蒸着マスクを製造する蒸着マスク製造方法であって、
    所定の導電性パターンが形成された基材を準備する工程と、
    第1めっき液を用いて、前記導電性パターン上に、前記貫通孔を構成する第1開口部が設けられた第1金属層を形成する工程と、
    第2めっき液を用いて、前記第1金属層上に、前記貫通孔を構成する第2開口部が設けられた第2金属層を形成する工程と、を備え、
    前記第1めっき液は、第1の一次光沢剤と第1の二次光沢剤とを含み、
    前記第2めっき液は、第2の一次光沢剤と第2の二次光沢剤とを含み、
    前記第2めっき液の前記第2の二次光沢剤の濃度は、前記第1めっき液の前記第1の二次光沢剤の濃度より低い、蒸着マスク製造方法。
  2. 前記第1金属層は、前記蒸着材料を前記被蒸着基板に蒸着させる際に、前記被蒸着基板の側に配置され、
    前記第1金属層は、前記第2金属層よりも前記貫通孔の内側に向って突出する突出部を有する、請求項1に記載の蒸着マスク製造方法。
  3. 前記第2めっき液の前記第2の二次光沢剤の濃度は、0.001mol/L以下である、請求項1または2に記載の蒸着マスク製造方法。
  4. 前記第1金属層から前記基材を分離する工程を更に備えた、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸着マスク製造方法。
  5. 前記第2金属層を形成する工程は、
    前記第1金属層上に位置する所定の隙間を空けてレジストパターンを前記基材上に形成する工程と、
    前記レジストパターンの前記隙間に前記第2めっき液を供給して前記第2金属層を析出する工程と、
    前記レジストパターンを除去する工程と、を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着マスク製造方法。
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