本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられ得る。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「〜」という記号によって表現される数値範囲は、「〜」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34〜38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、本明細書の一実施形態において、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクやその製造方法に関した例をあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクに対し、本実施形態を適用することができる。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
本開示の第1の態様は、
円形状の外周縁から内側に延びる外側領域と、
前記外側領域よりも内側に位置する本体領域と、を備え、
前記本体領域に、2つ以上の貫通孔で構成される貫通孔群が設けられ、
前記外側領域の厚みが、前記本体領域のうち前記貫通孔群が設けられた部分の厚みよりも厚い、蒸着マスク、
である。
本開示の第2の態様として、上述した第1の態様による蒸着マスクにおいて、
前記外側領域は、前記外周縁の全周にわたって設けられている、
ようにしてもよい。
本開示の第3の態様として、上述した第1の態様または第2の態様による蒸着マスクにおいて、
前記本体領域は、第1本体面と、前記第1本体面とは反対側に設けられた第2本体面と、を有し、
前記外側領域は、第1外側面と、前記第1外側面とは反対側に設けられた第2外側面と、を有し、
前記外側領域の前記第2外側面は、前記本体領域の前記第2本体面よりも前記第1本体面とは反対側に位置し、
前記外側領域の前記第1外側面と前記本体領域の前記第1本体面は同一面をなしている、
ようにしてもよい。
本開示の第4の態様として、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、
前記本体領域に、2つ以上の前記貫通孔群が設けられ、
前記本体領域において互いに隣り合う前記貫通孔群の間の部分の厚みが、前記貫通孔群が設けられた部分の厚みと等しい、
ようにしてもよい。
本開示の第5の態様として、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、
前記本体領域に、2つ以上の前記貫通孔群が設けられ、
前記本体領域において互いに隣り合う前記貫通孔群の間の部分の厚みが、前記貫通孔群が設けられた部分の厚みよりも厚い、
ようにしてもよい。
本開示の第6の態様として、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、
前記外側領域と前記本体領域は、連続状に一体形成されている、
ようにしてもよい。
本開示の第7の態様として、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによる蒸着マスクにおいて、
前記外側領域は、前記本体領域を構成するとともに前記本体領域から外側に延びる第1金属層と、前記第1金属層上に設けられた第2金属層と、を有している、
ようにしてもよい。
本開示の第8の態様として、上述した第7の態様による蒸着マスクにおいて、
前記第1金属層は、第1本体金属層と、前記第1本体金属層上に設けられた第2本体金属層と、を含んでいる、
ようにしてもよい。
本開示の第9の態様として、上述した第7の態様による蒸着マスクにおいて、
前記第1金属層の前記第2金属層とは反対側に樹脂層が設けられている、
ようにしてもよい。
本開示の第10の態様は、
支持基板を準備する準備工程と、
前記支持基板上に、接合層介して、金属層を分離可能に貼り付ける貼付工程と、
前記金属層を、前記支持基板とは反対側からエッチングする領域形成工程であって、円形状の外周縁から内側に延びる外側領域と、前記外側領域よりも内側に位置する本体領域と、を形成する領域形成工程と、
前記金属層を、前記支持基板とは反対側からエッチングして、前記金属層の前記本体領域に貫通孔群を構成する2つ以上の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記支持基板から前記金属層を分離させる分離工程と、を備え、
前記外側領域の厚みが、前記本体領域のうち前記貫通孔群が設けられた部分の厚みよりも厚い、蒸着マスクの製造方法、
である。
本開示の第11の態様は、
支持基板を準備する準備工程と、
前記支持基板上に、めっき処理によって、円形状の外周縁から内側に延びる外側領域と、前記外側領域よりも内側に位置する本体領域と、有する第1金属層であって、前記本体領域に、2つ以上の貫通孔で構成される貫通孔群が設けられる第1金属層を形成する第1金属層形成工程と、
前記第1金属層の前記外側領域に、第2金属層を形成する第2金属層形成工程と、
前記支持基板から前記第1金属層を分離させる分離工程と、を備え、
前記外側領域の厚みが、前記本体領域のうち前記貫通孔群が設けられた部分の厚みよりも厚い、蒸着マスクの製造方法、
である。
本開示の第12の態様として、上述した第11の態様による蒸着マスクの製造方法において、
前記第2金属層形成工程において、前記第2金属層は、めっき処理によって形成される、
ようにしてもよい。
本開示の第13の態様として、上述した第11の態様による蒸着マスクの製造方法において、
前記第2金属層形成工程において、前記第2金属層は、前記第1金属層に接合される、
ようにしてもよい。
本開示の第14の態様は、
支持基板を準備する準備工程と、
前記支持基板上に、樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層上に、円形状の外周縁から内側に延びる外側領域と、前記外側領域よりも内側に位置する本体領域と、を有する第1金属層であって、前記本体領域に金属開口が形成される第1金属層を形成する第1金属層形成工程と、
前記第1金属層の前記外側領域に、第2金属層を形成する第2金属層形成工程と、
前記本体領域において、前記樹脂層に前記金属開口と連通する樹脂開口を形成し、前記金属開口と前記樹脂開口とでそれぞれ構成される2つ以上の貫通孔で構成される貫通孔群を形成する樹脂開口形成工程と、
前記支持基板から前記樹脂層を分離させる分離工程と、を備え、
前記外側領域の厚みが、前記本体領域のうち前記貫通孔群が設けられた部分の厚みよりも厚い、蒸着マスクの製造方法、
である。
なお、上述した第10の態様から上述した第14の態様はそれぞれ、第10の態様から第14の態様のそれぞれの蒸着マスクの製造方法により製造された蒸着マスクであってもよい。
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態による蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法について、図1〜図14を参照して説明する。
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置80について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、蒸着装置80は、蒸着源(例えばるつぼ81)と、ヒータ83と、蒸着マスク装置10と、を備えていてもよい。また、蒸着装置80は、蒸着装置80の内部を真空雰囲気にするための排気手段(図示せず)を更に備えていてもよい。るつぼ81は、蒸着装置80の内部に設けられており、有機発光材料などの蒸着材料82を収容するように構成されている。ヒータ83は、るつぼ81を加熱するように構成されている。真空雰囲気でるつぼ81を加熱することにより、蒸着材料82が蒸発する。
蒸着マスク装置10は、るつぼ81に対向するように蒸着装置80内に配置されている。蒸着マスク装置10は、るつぼ81の上方に配置されていてもよい。この蒸着マスク装置10の蒸着マスク20に対面するように被蒸着基板91が配置されている。被蒸着基板91は、蒸着材料82を付着させる対象物である。被蒸着基板91は、蒸着マスク20の上方に配置されていてもよい。るつぼ81から飛来した蒸着材料は、蒸着マスク20の後述する貫通孔40を通って、被蒸着基板91に付着する。
図1に示すように、蒸着装置80は、被蒸着基板91の、蒸着マスク20とは反対側の面に配置された磁石85を備えていてもよい。磁石85を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石85の側に引き寄せて、蒸着マスク20を被蒸着基板91に密着させることができる。これにより、蒸着工程においてシャドー(後述)が発生することを抑制することができ、被蒸着基板91に付着した蒸着材料82によって形成される蒸着層92(図17参照)の形状精度や位置精度を高めることができる。被蒸着基板91と磁石85との間には、蒸着時に被蒸着基板91を冷却する冷却板(図示せず)が介在されていてもよい。また、静電気力を利用する静電チャックを用いて蒸着マスク20を被蒸着基板91に密着させてもよい。
次に、本実施形態による蒸着マスク装置10について、図2および図3を参照して説明する。
図2に示すように、本実施形態による蒸着マスク装置10は、フレーム15と、1つの蒸着マスク20と、を備えていてもよい。本実施形態において、蒸着マスク20は、円形状の外周縁25を有していてもよい。ここで、円形状とは、完全な円形であることに限られることはなく、シリコンウエハの平面形状と同様に円形の一部が切り欠かれた形状を概念に含む用語として用いている。すなわち、本実施形態において蒸着マスク20の形状として規定する円形状という用語は、オリエンテーションフラット(orientation flat)と称される円形の一部が直線状に切り欠かれた平面形状(図2参照)を含む概念として用いており、また、ノッチと称される円形の一部が凹状に切り欠かれた平面形状を含む概念として用いている。
本実施形態による蒸着マスク20の直径は、150mm〜450mmであってもよい。例えば、150mm(6インチ)、200mm(8インチ)、300mm(12インチ)、または450mm(18インチ)であってもよい。このことにより、後述するMEMS用の製造装置で製造可能な大きさにすることができる。ここで直径とは、蒸着マスク20の外周縁25のうち円形状に形成された部分における直径を意味している。
フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、蒸着マスク20を平面方向に引っ張った状態で支持する。すなわち、蒸着マスク20はフレーム15に張設されている。
図3に示すように、フレーム15は、蒸着マスク20の側に位置する第1フレーム面15aと、第1フレーム面15aとは反対側に位置する第2フレーム面15bと、を有していてもよい。第1フレーム面15aに、蒸着マスク20が固定されている。なお、図3は、図2のA−A線断面を模式的に示した図であり、図面を明瞭にするために、後述する貫通孔群30の個数および貫通孔40の個数を少なくしている。
フレーム15は、平面視で矩形状の枠形状を有していてもよい。フレーム15の一部は、蒸着マスク20よりも外側にはみ出していてもよい。また、フレーム15は、蒸着マスク20の貫通孔40を露出するフレーム開口16を有していてもよい。フレーム開口16は、第1フレーム面15aから第2フレーム面15bに延びて、フレーム15を貫通している。ここで、「平面視」とは、蒸着マスク20の厚み方向で見ることを意味する用語であって、例えば、図2の紙面に垂直な方向で見ることを意味する用語とする。
蒸着マスク20は、蒸着マスク20の後述する外側領域21において、例えば溶接によってフレーム15に固定されていてもよい。例えば、スポット溶接によって、蒸着マスク20をフレーム15に固定するようにしてもよい。この場合、図2に示すように、外周縁25に沿う方向に並ぶ複数の点状の溶接痕19が、スポット溶接によって蒸着マスク20の外側領域21(後述)に形成されるようにしてもよい。図2においては、図面を明瞭にするために、一部の溶接痕19のみを示している。
次に、本開示の第1実施形態による蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法について、図4〜図14を参照して説明する。ここでは、圧延材をエッチングすることにより得られる蒸着マスク20を例にとって説明する。
まず、本実施形態による蒸着マスク20の構成について、図4〜図7Bを参照して説明する。
図4に示すように、蒸着マスク20は、円形状の外周縁25から内側に延びる外側領域21と、外側領域21よりも内側に位置する本体領域22と、を備えていてもよい。本体領域22に、2つ以上の貫通孔40で構成される貫通孔群30が設けられている。
図4に示すように、本体領域22は、第1本体面22aと、第1本体面22aとは反対側に位置する第2本体面22bと、第1本体面22aから第2本体面22bに延びる2つ以上の(または複数の)貫通孔40と、を有していてもよい。第1本体面22aは、蒸着時に被蒸着基板91が密着する面であってもよい。第2本体面22bは、上述したフレーム15の側の面であってもよい。
上述したように、本体領域22には、2つ以上の貫通孔40が設けられていてもよい。貫通孔40は、第1本体面22aから第2本体面22bに延びており、蒸着マスク20の本体領域22を貫通している。図5に示すように、貫通孔40のうち第2本体面22bにおける開口は、第1本体面22aにおける開口よりも大きくなっていてもよい。一実施形態では、第1本体面22aに沿った貫通孔40の断面開口は、第1本体面22aから第2本体面22bに向かって徐々に大きくなっていてもよい。言い換えると、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における第1本体面22aに沿った断面での各貫通孔40の断面積は、第1本体面22aから第2本体面22bに向かって徐々に大きくなっていてもよい。この場合、貫通孔40は、第1本体面22aから第2本体面22bに向かって、貫通孔40の中心軸線CLから遠ざかるように形成された壁面41を有していてもよい。図3においては、図面を簡略化するために、貫通孔40の壁面41が、第1本体面22aから第2本体面22bに向かって中心軸線CLから遠ざかるように中心軸線CLに対して直線状に傾斜している例が示されている。例えば、エッチング処理によって貫通孔40を形成する場合には、貫通孔40の壁面41は、図5に示すように湾曲状に形成されていてもよい。図5に示す貫通孔40は、貫通孔40の壁面41が外側に膨らむように湾曲している。この場合であっても、第1本体面22aに沿う方向における貫通孔40の断面開口は、第1本体面22aから第2本体面22bに向かって徐々に大きくなっていてもよい。
図6に示すように、貫通孔40は、2つ以上の貫通孔群30をなしていてもよい。各貫通孔群30は、上述したフレーム15のフレーム開口16に露出している。すなわち、フレーム開口16が、複数の貫通孔群30を露出させていてもよい。更には、一のフレーム開口16で、本体領域22に形成された全ての貫通孔群30が露出していてもよい。図4に示すように、各貫通孔群30は、2つ以上の貫通孔40が群をなすように構成されていてもよい。貫通孔群30とは、規則的に配列された複数の貫通孔40の集合体を意味する用語として用いている。一の貫通孔群30を構成する外縁の貫通孔40は、同様に規則的に配列されている複数の貫通孔40のうち最も外側に位置する貫通孔40である。外縁の貫通孔40の外側には、同様に規則的に配列されて蒸着材料82の通過を意図する貫通孔40は存在していなくてもよい。互いに隣り合う貫通孔群30同士の間には、蒸着材料82の通過を意図する貫通孔40は形成されていなくてもよい。しかしながら、互いに隣り合う貫通孔群30同士の間には、他の用途の貫通孔や凹部(いずれも図示せず)は形成されていてもよい。これらの他の用途の貫通孔や凹部は、貫通孔40の配列の規則性を持たずに形成されていてもよく、貫通孔群30には属していないと考えてもよい。
図6に示すように、複数の貫通孔群30は、所定の間隔を開けて(所定のピッチで)配列されていてもよい。貫通孔群30は、第1方向D11において所定の間隔(図6に示す符号C1)を開けて配列されるとともに、第2方向D12において所定の間隔(図6に示す符号C2)を開けて配列されていてもよい。貫通孔群30の配列ピッチC1、C2は、第1方向D11および第2方向D12で異なっていてもよいが、等しくてもよい。図6においては、第1方向D11の配列ピッチC1と第2方向D12の配列ピッチC2が等しい例を示している。図6に示すように、貫通孔群30は、並列配列されていてもよい。すなわち、第1方向D11に沿った一の列を構成する各貫通孔群30と、当該列と第2方向D12において隣り合う他の列を構成する各貫通孔群30とは、第2方向D12において整列されていてもよい。
貫通孔群30の配列ピッチC1、C2は、例えば、5mm以上であってもよく、15mm以上であってもよく、25mm以上であってもよく、35mm以上であってもよい。配列ピッチC1、C2を5mm以上とすることにより、VRグラスやデジタルカメラの電子ファインダなどの小型ディスプレイにも適用することができる。また、配列ピッチC1、C2は、例えば、70mm以下であってもよく、80mm以下であってもよく、90mm以下であってもよく、100mm以下であってもよい。配列ピッチC1、C2を100mm以下とすることにより、フレーム15への張設時の強度を高めることができる。配列ピッチC1、C2の範囲は、5mm、15mm、25mm及び35mmからなる第1グループ、及び/又は、70mm、80mm、90mm及び100mmからなる第2グループによって定められてもよい。配列ピッチC1、C2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。配列ピッチC1、C2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。配列ピッチC1、C2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5mm以上100mm以下であってもよく、5mm以上90mm以下であってもよく、5mm以上80mm以下であってもよく、5mm以上70mm以下であってもよく、5mm以上35mm以下であってもよく、5mm以上25mm以下であってもよく、5mm以上15mm以下であってもよく、15mm以上100mm以下であってもよく、15mm以上90mm以下であってもよく、15mm以上80mm以下であってもよく、15mm以上70mm以下であってもよく、15mm以上35mm以下であってもよく、15mm以上25mm以下であってもよく、25mm以上100mm以下であってもよく、25mm以上90mm以下であってもよく、25mm以上80mm以下であってもよく、25mm以上70mm以下であってもよく、25mm以上35mm以下であってもよく、35mm以上100mm以下であってもよく、35mm以上90mm以下であってもよく、35mm以上80mm以下であってもよく、35mm以上70mm以下であってもよく、70mm以上100mm以下であってもよく、70mm以上90mm以下であってもよく、70mm以上80mm以下であってもよく、80mm以上100mm以下であってもよく、80mm以上90mm以下であってもよく、90mm以上100mm以下であってもよい。
図7Aに示すように、一の貫通孔群30において、複数の貫通孔40は、所定の間隔を開けて(所定のピッチで)配列されていてもよい。貫通孔40は、第1方向D11において所定の間隔(図7Aに示す符号C3)を開けて配列されると共に、第2方向D12において所定の間隔(図7Aに示す符号C4)を開けて配列されていてもよい。貫通孔40の配列ピッチC3、C4は、第1方向D11および第2方向D12で異なっていてもよいが、等しくてもよい。図7Aにおいては、第1方向D11の配列ピッチC3と第2方向D12の配列ピッチC4が等しい例を示している。図7Aに示すように、貫通孔40は、並列配列されていてもよい。すなわち、第1方向D11に沿った一の列を構成する各貫通孔40と、当該列と第2方向D12において隣り合う他の列を構成する各貫通孔40とは、第2方向D12において整列されていてもよい。貫通孔40の配列ピッチC3、C4は、表示装置または投影装置の画素密度に応じて、例えば以下のように定められていてもよい。
・画素密度が600ppi以上の場合:ピッチは42.3μm以下
・画素密度が1200ppi以上の場合:ピッチは21.2μm以下
・画素密度が3000ppi以上の場合:ピッチは8.5μm以下
画素密度が600ppiの表示装置又は投影装置は、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置として用いられてもよい。画素密度が1200ppiの表示装置又は投影装置は、例えば、仮想現実(いわゆるVR)を表現するための画像や映像を表示又は投影するために用いられてもよい。画素密度が3000ppiの表示装置又は投影装置は、例えば、拡張現実(いわゆるAR)を表現するための画像や映像を表示又は投影するために用いられてもよい。
なお、一の貫通孔群30における貫通孔40は、並列配列ではなく、図7Bに示すように、千鳥配列されていてもよい。すなわち、第1方向D11に沿った一の列を構成する各貫通孔40と、当該列と第2方向D12において隣り合う他の列を構成する各貫通孔40とは、第2方向D12において整列されていなくてもよい。図7Bに示す例では、一の列を構成する各貫通孔40と、隣り合う他の列を構成する貫通孔40とは、第1方向D11においてずれて配列されており、そのずれ量が、第1方向における配列ピッチC3の半分になっている。
図7Aに示すように、貫通孔40は、平面視において、略矩形形状の輪郭を有していてもよい。この場合、貫通孔40の輪郭のうちの四隅は湾曲していてもよい。なお、輪郭の形状は、画素の形状に応じて任意に定められ得る。例えば、六角形、八角形などのその他の多角形の形状を有していてもよく、円形状を有していてもよい。また、輪郭の形状は、複数の形状の組み合わせであってもよい。また、貫通孔40はそれぞれ、互いに異なる輪郭の形状を有していてもよい。貫通孔40が多角形形状の輪郭を有する場合、貫通孔40の開口寸法は、図7Aに示すように、多角形において対向する一対の辺の間の間隔としてもよい。
図4および図7Aにおいて、蒸着マスク20の第1本体面22aにおける貫通孔40の開口寸法が、符号S1で示されている。また、蒸着マスク20の第2本体面22bにおける貫通孔40の開口寸法が、符号S2で示されている。また、符号S3は、第1本体面22aにおける互いに隣り合う貫通孔40同士の間の距離を示している。図7Aにおいては、貫通孔40の平面形状は正方形としているため、第1方向D11における貫通孔40の開口寸法と第2方向D12における貫通孔40の開口寸法は等しくなっている。代表的にD12における貫通孔40の寸法を、符号S1、S2で示している。
寸法S1、寸法S2および寸法S3は、表示装置又は投影装置の画素密度に応じて例えば以下の表1のように定められる。
上述した貫通孔40の壁面41は、本体領域22の第1本体面22aに対して角度θ1で傾斜していてもよい。以下、角度θ1の技術的意味について説明する。蒸着マスク20を用いて蒸着材料82を被蒸着基板91に蒸着させる蒸着工程において、図1に示するつぼ81の構成次第では、蒸着材料82は、蒸着源(るつぼ81)から被蒸着基板91に向かって蒸着マスク20の厚み方向D2に沿って飛来する成分に加えて、蒸着マスク20の厚み方向D2に対して傾斜した方向に沿って飛来する成分を含むことがある。この場合、傾斜した方向に沿って飛来する蒸着材料82の一部は、被蒸着基板91に到達する前に蒸着マスク20の第2本体面22bや貫通孔40の壁面41に到達して付着する。このため、被蒸着基板91に形成される蒸着層92の厚みは、貫通孔40の壁面41に近いほど薄くなり易い。このような、被蒸着基板91への蒸着材料82の付着が貫通孔40の壁面41によって阻害される現象のことを、シャドーとも称する。シャドーの発生を抑制するための対策としては、上述の角度θ1を小さくすることと、蒸着マスク20の本体領域22の厚みH1を小さくすることが考えられる。
角度θ1を小さくすることは、本体領域22の第2本体面22bにおける貫通孔40の開口が大きくなることを意味する。この場合、第2本体面22bにおいて互いに隣り合う貫通孔40の壁面41が接続されて、これらの貫通孔40の間に第2本体面22bが存在しなくなってしまう。すなわち、第2本体面22bにおいて互いに隣り合う貫通孔40同士の間の部分が、後述するエッチング処理によって削られてしまう。このため、蒸着マスク20の機械的強度を確保するために、角度θ1は小さくし過ぎないことが好ましい。この場合、貫通孔40の配列ピッチC3、C4を小さくすることが可能になる。
角度θ1を小さくし過ぎないようにする場合、シャドーの発生を抑制するためには、蒸着マスク20の本体領域22の厚みH1を小さくすることが好ましい。このため、蒸着マスク20の機械的強度が確保可能な程度に、厚みH1を小さくしてもよい。すなわち、本体領域22の厚みH1を小さくすることにより、角度θ1を大きくすることができる。この場合、貫通孔40の配列ピッチC3、C4を小さくすることができる。
ところで、一の貫通孔群30は、一の有効領域23と称することがある。有効領域23の周囲に位置する領域は周囲領域24と称することがある。この場合、周囲領域24は、複数の有効領域23を囲んでいる。
蒸着マスク20を用いて有機EL表示装置などの表示装置を作製する場合、1つの有効領域23は、1つの有機EL表示装置の表示領域に対応する。このため、図2に示す蒸着マスク20によれば、有機EL表示装置の多面付蒸着が可能である。なお、1つの有効領域23が複数の表示領域に対応する場合もある。
有効領域23は、例えば、図6に示すように、平面視において略矩形状の輪郭を有していてもよい。有効領域23の輪郭は、対応する貫通孔群30のうち最も外側に位置する貫通孔40に外側から接する線によって画定されてもよい。より詳細には、有効領域23の輪郭は、貫通孔40の開口に接する線によって画定されていてもよい。図6に示す例では、貫通孔40が並列配列されていることから、有効領域23の輪郭は、略矩形状の輪郭となっている。なお、図示はしないが、各有効領域23は、有機EL表示装置の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域23は、円形状の輪郭を有していてもよい。
本実施形態においては、本体領域22において互いに隣り合う2つの貫通孔群30の間の部分の厚みH1は、貫通孔群30が設けられた部分の厚みと等しくなっていてもよい。言い換えると、互いに隣り合う2つの有効領域23の間の部分の周囲領域24の厚みが、有効領域23の厚みH1と等しくなっていてもよい。すなわち、本体領域22の厚みH1は、全体的に等しくなっていてもよい。
この場合、本体領域22の厚み(有効領域23の厚み)厚みH1は、例えば、3μm以上であってもよく、4μm以上であってもよく、6μm以上であってもよく、7μm以上であってもよい。厚みH1を3μm以上とすることにより、蒸着マスク20の機械的強度を確保することができる。また、厚みH1は、例えば、9μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、12μm以下であってもよく、13μm以下であってもよい。厚みH1を13μm以下とすることにより、シャドーの発生を抑制することができる。厚みH1の範囲は、3μm、4μm、6μm及び7μmからなる第1グループ、及び/又は、9μm、10μm、12μm及び13μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、3μm以上13μm以下であってもよく、3μm以上12μm以下であってもよく、3μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上9μm以下であってもよく、3μm以上7μm以下であってもよく、3μm以上6μm以下であってもよく、3μm以上4μm以下であってもよく、4μm以上13μm以下であってもよく、4μm以上12μm以下であってもよく、4μm以上10μm以下であってもよく、4μm以上9μm以下であってもよく、4μm以上7μm以下であってもよく、4μm以上6μm以下であってもよく、6μm以上13μm以下であってもよく、6μm以上12μm以下であってもよく、6μm以上10μm以下であってもよく、6μm以上9μm以下であってもよく、6μm以上7μm以下であってもよく、7μm以上13μm以下であってもよく、7μm以上12μm以下であってもよく、7μm以上10μm以下であってもよく、7μm以上9μm以下であってもよく、9μm以上13μm以下であってもよく、9μm以上12μm以下であってもよく、9μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上13μm以下であってもよく、10μm以上12μm以下であってもよく、12μm以上13μm以下であってもよい。
蒸着マスク20の外側領域21は、本体領域22よりも厚く形成されていてもよい。本実施形態においては、外側領域21の厚みH2が、本体領域22のうち上述した貫通孔群30が設けられた部分の厚みH1よりも厚くなっていてもよい。
また、外側領域21は、蒸着マスク20の外周縁25の全周にわたって設けられていてもよい。この場合、外側領域21は、リング状または枠状に形成されてもよい。外側領域21の内周縁26は、少なくとも一部が円弧状に形成されていてもよい。すなわち、外側領域21の内周縁26のうちの一部が、円弧状に形成されていてもよく、この場合には、この円弧状部分が、外周側から蒸着マスク20の中心に向かって見たときに一の貫通孔群30を超える円弧長さを有していてもよい。また、外側領域21の内周縁26の全部が、円弧状に形成されていてもよい。この場合には、当該内周縁26は、全体として円形状に形成される。
外側領域21は、第1外側面21aと、第1外側面21aとは反対側に位置する第2外側面21bと、を有していてもよい。このうち第1外側面21aと本体領域22の第1本体面22aは同一面をなしていてもよい。すなわち、蒸着マスク20の被蒸着基板91の側の面は、同一面で平坦状に形成されていてもよい。一方、第2外側面21bは、本体領域22の第2本体面22bよりも、第1本体面22aとは反対側に位置していてもよい。すなわち、外側領域21は、蒸着マスク20の第2本体面22bから、第1本体面22aとは反対側(フレーム15の側)に突出していてもよい。この場合、外側領域21の内周縁26と蒸着マスク20の第2本体面22bとによって、マスク凹部27が画定されている。このマスク凹部27の底面が第2本体面22bに相当し、複数の貫通孔群30がマスク凹部27内に露出されている。
外側領域21の厚みH2は、例えば、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよい。厚みH2を10μm以上とすることにより、後述するクランプPで外側領域21を把持することができる。また、厚みH2は、例えば、35μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、45μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。厚みH2を50μm以下とすることにより、外側領域21をフレーム15に容易に溶接して固定することができる。厚みH2の範囲は、10μm、15μm、20μm及び25μmからなる第1グループ、及び/又は、35μm、40μm、45μm及び50μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、10μm以上50μm以下であってもよく、10μm以上45μm以下であってもよく、10μm以上40μm以下であってもよく、10μm以上35μm以下であってもよく、10μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上50μm以下であってもよく、15μm以上45μm以下であってもよく、15μm以上40μm以下であってもよく、15μm以上35μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、20μm以上45μm以下であってもよく、20μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上35μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上50μm以下であってもよく、25μm以上45μm以下であってもよく、25μm以上40μm以下であってもよく、25μm以上35μm以下であってもよく、35μm以上50μm以下であってもよく、35μm以上45μm以下であってもよく、35μm以上40μm以下であってもよく、40μm以上50μm以下であってもよく、40μm以上45μm以下であってもよく、45μm以上50μm以下であってもよい。
外側領域21の半径方向寸法Wは、例えば、5mm以上であってもよく、7mm以上であってもよく、10mm以上であってもよく、15mm以上であってもよい。半径方向寸法Wを5mm以上とすることにより、後述するクランプPで外側領域21を把持することができる。また、半径方向寸法Wは、例えば、20mm以下であってもよく、25mm以下であってもよく、28mm以下であってもよく、30mm以下であってもよい。半径方向寸法Wを30mm以下とすることにより、本体領域22の面積を確保することができる。半径方向寸法Wの範囲は、5mm、7mm、10mm及び15mmからなる第1グループ、及び/又は、20mm、25mm、28mm及び30mmからなる第2グループによって定められてもよい。半径方向寸法Wの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。半径方向寸法Wの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。半径方向寸法Wの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5mm以上30mm以下であってもよく、5mm以上28mm以下であってもよく、5mm以上25mm以下であってもよく、5mm以上20mm以下であってもよく、5mm以上15mm以下であってもよく、5mm以上10mm以下であってもよく、5mm以上7mm以下であってもよく、7mm以上30mm以下であってもよく、7mm以上28mm以下であってもよく、7mm以上25mm以下であってもよく、7mm以上20mm以下であってもよく、7mm以上15mm以下であってもよく、7mm以上10mm以下であってもよく、10mm以上30mm以下であってもよく、10mm以上28mm以下であってもよく、10mm以上25mm以下であってもよく、10mm以上20mm以下であってもよく、10mm以上15mm以下であってもよく、15mm以上30mm以下であってもよく、15mm以上28mm以下であってもよく、15mm以上25mm以下であってもよく、15mm以上20mm以下であってもよく、20mm以上30mm以下であってもよく、20mm以上28mm以下であってもよく、20mm以上25mm以下であってもよく、25mm以上30mm以下であってもよく、25mm以上28mm以下であってもよく、28mm以上30mm以下であってもよい。
外側領域21と本体領域22は、連続状に一体形成されていてもよい。本実施形態においては、後述する金属層52をエッチング処理することにより、外側領域21および本体領域22を含む蒸着マスク20が作製される。このため、外側領域21および本体領域22は、一体の金属材料から作製されており、外側領域21と本体領域22は連続状に形成されている。
本体領域22および外側領域21を含む蒸着マスク20を構成する材料としては、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、蒸着マスク20の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いることができる。ニッケルを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe−Ni系めっき合金などを挙げることができる。ニッケル及びコバルトを含む鉄合金の具体例としては、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などを挙げることができる。このような鉄合金を用いることにより、蒸着マスク20の熱膨張係数を低くすることができる。例えば、被蒸着基板91としてガラス基板が用いられる場合に、蒸着マスク20の熱膨張係数を、ガラス基板と同等の低い値にすることができる。これにより、蒸着工程の際、被蒸着基板91に形成される蒸着層92の形状精度や位置精度が、蒸着マスク20と被蒸着基板91との間の熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制することができる。
また、蒸着マスク20に、被蒸着基板91と位置合わせを行うためのアライメントマーク45が設けられていてもよい。アライメントマーク45は、蒸着マスク20と被蒸着基板91とを位置合わせすることができれば、任意の位置に配置することができる。例えば、図2に示すように、蒸着マスク20の本体領域22の第1本体面22aに、アライメントマーク45が形成されていてもよい。被蒸着基板91がある程度の透過性を有している場合には、被蒸着基板91を介して蒸着マスク20に設けられたアライメントマーク45を視認することができ、被蒸着基板91と蒸着マスク20とを容易に位置合わせすることができる。アライメントマーク45の平面形状は、図2では、円形形状である例を示しているが、これに限られることはなく、矩形形状や十字形状など、任意の形状とすることができる。また、アライメントマーク45は、蒸着マスク20の第1本体面22aをエッチングすることで凹状に形成されていてもよく、あるいは、蒸着マスク20を貫通するように形成されていてもよい。
次に、このような構成からなる蒸着マスク20の製造方法について、図8〜図12を参照して説明する。本実施形態による蒸着マスク20の製造方法は、支持基板50を準備する準備工程と、支持基板50に金属層52を分離可能に貼り付ける貼付工程と、外側領域21および本体領域22を形成する領域形成工程と、貫通孔40を形成する貫通孔形成工程と、支持基板50から蒸着マスク20を分離させる分離工程と、を備えていてもよい。なお、図11および図12においては、図面を明瞭にするために、図4よりも貫通孔40の個数を少なくしている。
まず、図8に示すように、準備工程として、支持基板50を準備してもよい。支持基板50を構成する材料としては、ガラスやシリコン等を用いることができる。ここでは、支持基板50に、図10Bに示すような矩形状の平面形状を有するガラス基板を用いる例について説明する。
また、準備工程として、金属層52を準備してもよい。本実施形態では、金属層52には、圧延材として作製された金属板を用いてもよい。金属板は、枚葉状の金属板であってもよい。金属板は、矩形状の平面形状を有していてもよい。
準備工程の後、貼付工程として、図9に示すように、支持基板50上に、接合層51を介して、金属層52が分離可能に貼り付けられてもよい。例えば、支持基板50の一方の面に、シート状の接合層51が貼り付けられて、その後に、接合層51に金属層52が貼り付けられてもよい。
接合層51を構成する材料としては、加熱されることによって粘着性を喪失可能な材料を用いてもよい。例えば、このような接合層51を構成する材料としては、加熱されることにより発泡して剥離可能になる材料を用いてもよい。例えば、日東電工株式会社製の剥離シート「リバアルファ(登録商標)」を用いてもよい。あるいは、接合層51を構成する材料としては、紫外線(UV光)を照射されることによって粘着性を喪失可能な材料を用いてもよい。例えば、このような接合層51を構成する材料としては、アクリル系硬化性樹脂等を用いてもよい。接合層51の厚みは、例えば、1μm〜10μmであってもよい。
貼付工程の後、領域形成工程として、図10Aに示すように、金属層52が、支持基板50とは反対側からエッチングされてもよい。本実施形態による領域形成工程では、第1レジスト膜形成工程と、第1エッチング工程と、第1レジスト膜除去工程とが、この順番で行われてもよい。
第1レジスト膜形成工程においては、まず、金属層52の支持基板50とは反対側の面(図10Aにおける上面)にドライフィルム(図示せず)が貼り付けられて、レジスト膜(図示せず)が形成される。続いて、フォトリソグラフィー処理により、外側領域21に対応するようにレジスト膜がパターニングされ、形成されるレジスト膜は、本体領域22に対応するようにパターニングされたレジスト開口を有する。なお、レジスト膜は、ネガ型レジストであってもよく、ポジ型レジストであってもよい。また、レジスト膜として液状レジストを金属層52に塗布して硬化した膜を用いてもよい。
第1エッチング工程においては、金属層52が、支持基板50とは反対側からエッチングされて、外側領域21と本体領域22とが形成される。より具体的には、上述したレジスト膜のレジスト開口を介して金属層52がエッチングされて、図10Aに示すように、金属層52にマスク凹部27が形成される。また、第1エッチング工程においては、図10Aおよび図10Bに示すように、金属層52の外周縁が円形状(ここではオリエンテーションフラット形状)に形成される。このようにして、金属層52に、外周縁25と外側領域21と本体領域22とが形成される。金属層52のエッチング処理は、ウェットエッチング処理であってもよい。この場合、例えば、塩化第2鉄溶液と塩酸とを含むエッチング液を用いてもよい。
第1レジスト膜除去工程においては、レジスト膜が除去される。例えば、アルカリ系剥離液を用いることによって、レジスト膜を金属層52から剥離させてもよい。
このようにして、外側領域21と本体領域22とが得られる。
領域形成工程の後、貫通孔形成工程として、図11に示すように、金属層52が、支持基板50とは反対側からエッチングされてもよい。本実施形態による貫通孔形成工程では、第2レジスト膜形成工程と、第2エッチング工程と、第2レジスト膜除去工程とが、この順番で行われてもよい。
第2レジスト膜形成工程においては、第1レジスト膜形成工程と同様に、ドライフィルムを用いて、金属層52上に、所望のパターンでレジスト膜が形成されるようにしてもよい。形成されるレジスト膜は、貫通孔40に対応するようにパターニングされたレジスト開口を有する。
第2エッチング工程においては、第1エッチング工程と同様に、金属層52が、支持基板50とは反対側からエッチングされて、本体領域22に貫通孔群30を構成する貫通孔40が形成される。より具体的には、上述したレジスト開口を介して金属層52がエッチングされて、図11に示すように、貫通孔40が形成される。
第2レジスト膜除去工程においては、第1レジスト膜除去工程と同様に、レジスト膜が除去される。
このようにして、貫通孔40が形成された蒸着マスク20が得られる。
貫通孔形成工程の後、分離工程として、図12に示すように、支持基板50から蒸着マスク20(または金属層52)が分離されてもよい。例えば、接合層51が、加熱されることによって粘着性を喪失可能な材料で構成されている場合には、蒸着マスク20または支持基板50を介して接合層51を加熱する。このことにより、蒸着マスク20を支持基板50および接合層51から剥がしやすくすることができる。また、接合層51が、紫外線を照射されることによって粘着性を喪失可能な材料で構成されている場合には、支持基板50を介して接合層51に紫外線を照射する。このことにより、蒸着マスク20を支持基板50および接合層51から剥がしやすくすることができる。この場合、支持基板50は、紫外線を透過可能な材料で構成されていてもよい。
このようにして、図4に示すような、本実施形態による蒸着マスク20が得られる。
次に、上述のようにして得られた蒸着マスク20を用いて蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。
この場合、図3に示すように、蒸着マスク20がフレーム15に張設される。より具体的には、蒸着マスク20に張力が付与され、張力が付与された状態で蒸着マスク20の外側領域21がフレーム15に固定される。外側領域21は、例えばスポット溶接でフレーム15に固定されて、図2に示すような溶接痕19が形成されてもよい。
蒸着マスク20をフレーム15に張設する際、蒸着マスク20には放射状に張力が付与されてもよい。例えば、図13に示すように、蒸着マスク20の第1方向D11および第2方向D12に張力が付与されるとともに、第1方向D11および第2方向D12に対して45°傾いた方向にも張力が付与されるようにしてもよい。
より具体的には、図13に示すように、蒸着マスク20の外側領域21のうち、第1方向D11に沿った部分がクランプPによって把持される。この場合、蒸着マスク20の中心点に対する両側で外側領域21がクランプPによって把持される。また、蒸着マスク20の外側領域21のうち、第2方向D12に沿った部分が、同様にクランプPによって把持される。また、蒸着マスク20の外側領域21のうち、第1方向D11および第2方向D12に対して45°傾いた方向に沿った部分もそれぞれ、クランプPによって把持される。このように、図13に示す例では、蒸着マスク20の外側領域21が、45°ピッチでクランプPに把持されて、放射状に張力が付与される。
張設時には、各貫通孔40が、所望の位置(蒸着目標位置)に対して許容範囲内に位置付けられるように、各クランプPが蒸着マスク20に付与する張力が調整される。このことにより、蒸着マスク20に放射状に張力が付与されて本体領域22が撓むことを抑制することができる。また、各クランプPから蒸着マスク20に付与される張力を個別に調整することにより、各貫通孔40の位置を局所的に調整することができ、各貫通孔40を許容範囲内に位置付けることができる。
次に、本実施形態による蒸着マスク装置10を用いた蒸着基板の製造方法について、図1および図14を参照して説明する。蒸着基板の製造方法は、蒸着マスク装置10を用いて被蒸着基板91に蒸着材料82を付着させて蒸着層92を形成し、図14に示すような蒸着基板90を得る方法である。蒸着基板90は、主として、被蒸着基板91と、被蒸着基板91に形成された蒸着層92とによって構成されており、有機EL表示装置などで用いられる。本実施形態による蒸着基板の製造方法は、蒸着マスク装置準備工程と、密着工程と、蒸着工程と、を備えていてもよい。
まず、蒸着マスク装置準備工程として、上述した蒸着マスク装置10を準備してもよい。
蒸着マスク準備工程の後、密着工程として、蒸着マスク装置10の蒸着マスク20のうち第1外側面21aおよび第1本体面22aを、被蒸着基板91に密着させてもよい。より具体的には、まず、蒸着マスク20が、被蒸着基板91に対向するように、被蒸着基板91とともに蒸着装置80内に配置される。この際、被蒸着基板91を、蒸着マスク20と磁石85との間に介在させて、磁石85の磁力で蒸着マスク20を被蒸着基板91に引き寄せてもよい。このことにより、蒸着マスク20の第1外側面21aおよび第1本体面22aに、被蒸着基板91が密着することができる。
密着工程の後、蒸着工程として、蒸着マスク20の貫通孔40を通して蒸着材料82を被蒸着基板91に蒸着させて蒸着層92が形成されてもよい。このことにより、蒸着基板90が得られる。より具体的には、蒸着装置80の内部空間を真空雰囲気にし、蒸着材料82を蒸発させて被蒸着基板91に飛来させる。飛来した蒸着材料82は、蒸着マスク20の各貫通孔40を通って被蒸着基板91に到達し、付着する。このようにして、被蒸着基板91に、貫通孔40のパターンに対応したパターンで形成された蒸着層92を備えた蒸着基板90が得られる。
上述したように、本実施形態では、貫通孔40が各有効領域23において所定のパターンで配置されている。複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20を準備し、各蒸着マスク20で被蒸着基板91に各色の蒸着材料82を順次付着させる。これにより、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を一の被蒸着基板91にそれぞれ蒸着させることができる。
このようにして、被蒸着基板91に、各色の蒸着層92が形成された蒸着基板90が得られる。
このように本実施形態によれば、円形状の外周縁25から内側に延びる外側領域21の厚みが、外側領域21よりも内側に位置する本体領域22のうち貫通孔群30が設けられた部分の厚みよりも厚くなっている。このことにより、本体領域22のうち貫通孔群30が設けられた部分の厚みを、外側領域21の厚みより薄くすることができ、上述したシャドーの発生を抑制することができる。このため、被蒸着基板91に形成される蒸着層92の厚みを均等化することができ、蒸着層92の形状精度および位置精度を向上させることができる。この結果、蒸着層92の精細度を高めることができる。この場合、蒸着層92の高精細化を図ることもできる。
また、本実施形態によれば、円形状の外周縁25から内側に延びる外側領域21の厚みが、外側領域21よりも内側に位置する本体領域22のうち貫通孔群30が設けられた部分の厚みよりも厚くなっている。このことにより、蒸着マスク20に張力を付与するためのクランプPで、蒸着マスク20のうち外側領域21を把持することができ、円形状の蒸着マスク20に張力を付与することができる。このため、蒸着マスク20をフレーム15に張設することができ、各貫通孔40の位置精度を向上させることができる。この結果、蒸着マスク装置10における貫通孔40の精細度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、蒸着マスク20の外周縁25が円形状に形成されている。このことにより、蒸着マスク20を、上述した支持基板50にシリコンウエハを用いる場合には、後述するようにMEMS用の製造装置で製造することができる。この場合、蒸着マスク20の貫通孔40の形状精度および位置精度を向上させることができる。このため、貫通孔40の精細度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、蒸着マスク20の外側領域21は、外周縁25の全周にわたって設けられている。このことにより、外側領域21における任意の箇所から蒸着マスク20に張力を付与することができる。例えば、外側領域21を一定の角度ピッチでクランプして蒸着マスク20に等方的に張力を付与することができる。このため、張設時の貫通孔40の位置を容易に調整することができ、貫通孔40の位置精度を向上させることができる。この結果、貫通孔40の精細度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、外側領域21の第1外側面21aと本体領域22の第1本体面22aが同一面をなしている。このことにより、外側領域21の第1外側面21aと本体領域22の第1本体面22aとで構成される蒸着マスク20の面を、蒸着時に被蒸着基板91に密着させる面とすることができる。このため、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができ、被蒸着基板91に形成される蒸着層92の形状精度や位置精度を高めることができる。この結果、蒸着層92の精細度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、本体領域22において互いに隣り合う貫通孔群30の間の部分の厚みが、貫通孔群30が設けられた部分の厚みと等しくなっている。このことにより、張設時の貫通孔40の位置の調整を容易化させることができ、貫通孔40の位置精度を向上させることができる。この結果、貫通孔40の精細度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、外側領域21と本体領域22が、連続状に一体形成されている。このことにより、外側領域21の厚みが、貫通孔群30が設けられた部分の厚みよりも厚い蒸着マスク20を、効率良く製造することができる。
なお、上述した本実施形態においては、外側領域21が、蒸着マスク20の外周縁25の全周にわたって設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、外側領域21は、外周縁25の一部から内側に延びるように形成されていてもよい。この場合、外側領域21は、周方向に部分的に形成されてもよい。この場合においても、外側領域21の厚みを、本体領域22のうち貫通孔群30が設けられた部分の厚みよりも厚くすることができ、外側領域21をクランプPで把持することができる。このため、蒸着マスク20に張力を付与することができる。
また、上述した本実施形態においては、本体領域22において互いに隣り合う貫通孔群30の間の部分の厚みが、貫通孔群30が設けられた部分の厚みと等しい例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、互いに隣り合う貫通孔群30の間の部分の厚みが、貫通孔群30が設けられた部分の厚みよりも厚くなっていてもよい。このことにより、本体領域22の機械的強度を向上させることができ、フレーム15に張設した際に、本体領域22が撓むことを抑制することができる。この場合、互いに隣り合う貫通孔群30の間の部分の厚みは、外側領域21の厚みと等しくてもよく、これにより、蒸着マスク20の製造工程が複雑化することを抑制できる。あるいは、互いに隣り合う貫通孔群30の間の部分の厚みは、外側領域21の厚みよりも薄くてもよい。この場合、本体領域22の機械的強度を向上させつつ、張設時の貫通孔40の位置の調整を容易化させることができる。
また、上述した本実施形態においては、支持基板50に矩形状の平面形状を有するガラス基板が用いられる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、支持基板50にシリコンウエハが用いられてもよい。このことにより、蒸着マスク20を、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用の製造装置で製造することができる。この場合、支持基板50の直径は、特に限られることはないが、例えば、150mm(6インチ)、200mm(8インチ)、300mm(12インチ)、または450mm(18インチ)であってもよい。支持基板50の厚みH2は、直径が150mmの場合には0.625mmであってもよく、直径が200mmの場合には、0.725mmであってもよく、直径が300mmの場合には、0.775mmであってもよい。
また、上述した本実施形態においては、蒸着マスク20の外側領域21が、45°ピッチでクランプPに把持されて、放射状に張力が付与される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、クランプPの配置ピッチは、各貫通孔40を許容範囲内に位置づけることができれば任意であり、例えば、90°ピッチにしてもよい。
また、上述した本実施形態においては、枚葉状の金属層52から蒸着マスク20を製造する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、金属層52は、ロールから巻き出された連続状の金属層であってもよい。この場合、ロールから巻き出された連続状の支持基板50に金属層52を連続的に貼り付けて各工程による処理を行い、本実施形態による蒸着マスク20を製造することができる。
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態による蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法について、図15〜図20を参照して説明する。
図15〜図20に示す第2実施形態においては、外側領域が、本体領域を構成するとともに本体領域から外側に延びる第1金属層と、第1金属層上に設けられた第2金属層と、を有している点が主に異なり、他の構成は、図1〜図14に示す第1実施形態と略同一である。なお、図15〜図20において、図1〜図14に示す第1実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態では、めっき処理により得られる蒸着マスク20を例にとって説明する。
本実施形態による蒸着マスク20は、図15に示すように、第1金属層61と第2金属層62とを有しており、2層構造となっていてもよい。例えば、外側領域21が、本体領域22を構成するとともに本体領域22から外側に延びる第1金属層61と、第1金属層61上に設けられた第2金属層62と、を有していてもよい。言い換えると、外側領域21は、第1金属層61と第2金属層62とで構成されている。本体領域22は、第1金属層61で構成されており、第2金属層62が存在していない領域となっている。第1金属層61に、第1実施形態と同様な貫通孔群30が形成されている。
本実施形態では、本体領域22は、第1金属層61で構成されており、単層構造となっている。この場合、めっき処理で形成された蒸着マスク20においては、貫通孔40の断面形状は、図15に示すような台形形状であってもよい。図15に示す貫通孔40は、貫通孔40の壁面41が、中心軸線CLに対して直線状に傾斜している。
第1金属層61の厚みは、本体領域22の厚みH1に相当する。第2金属層62の厚みH3は、3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。厚みH3を3μm以上とすることにより、後述するクランプPで外側領域21を把持することができる。また、厚みH3は、例えば、25μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、35μm以下であってもよく、37μm以下であってもよい。厚みH3を37μm以下とすることにより、外側領域21をフレーム15に容易に溶接して固定することができる。厚みH3の範囲は、3μm、5μm、10μm及び15μmからなる第1グループ、及び/又は、25μm、30μm、35μm及び37μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH3の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH3の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH3の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、3μm以上37μm以下であってもよく、3μm以上35μm以下であってもよく、3μm以上30μm以下であってもよく、3μm以上25μm以下であってもよく、3μm以上15μm以下であってもよく、3μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上5μm以下であってもよく、5μm以上37μm以下であってもよく、5μm以上35μm以下であってもよく、5μm以上30μm以下であってもよく、5μm以上25μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上37μm以下であってもよく、10μm以上35μm以下であってもよく、10μm以上30μm以下であってもよく、10μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上37μm以下であってもよく、15μm以上35μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上37μm以下であってもよく、25μm以上35μm以下であってもよく、25μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上37μm以下であってもよく、30μm以上35μm以下であってもよく、35μm以上37μm以下であってもよい。
本実施形態による蒸着マスク20の製造方法は、支持基板50を準備する準備工程と、外側領域21と本体領域22と貫通孔とを有する第1金属層61を形成する第1金属層形成工程と、第1金属層61の外側領域21に第2金属層62を形成する第2金属層形成工程と、支持基板50から蒸着マスク20を分離させる分離工程と、を備えていてもよい。
まず、準備工程として、図8に示す準備工程と同様に支持基板50を準備してもよい。
準備工程の後、第1金属層形成工程として、支持基板50上に、めっき処理によって第1金属層61が形成される。本実施形態による第1金属層形成工程では、導電膜形成工程と、第1レジスト膜形成工程と、第1めっき処理工程と、第1レジスト膜除去工程とが、この順番で行われてもよい。
導電膜形成工程においては、図16に示すように、まず、支持基板50の一方の面に、パターン状の導電膜63が形成される。導電膜63は、第1金属層61に対応するようにパターニングされてもよい。導電膜63を構成する材料としては、金属材料や導電性酸化物材料等の導電性を有する材料を用いてもよい。このうち金属材料の例としては、クロムや銅等を挙げることができる。導電膜63の厚みは、例えば、50nm以上500nm以下であってもよい。導電膜63は、例えば、スパッタリング処理や蒸着処理で形成されてもよい。なお、蒸着マスク20を支持基板50および導電膜63から分離させる分離工程(後述)を容易化するために、支持基板50および導電膜63に離型処理が施されていてもよい。
第1レジスト膜形成工程においては、支持基板50の導電膜63の側の面(図16における上面)に、ドライフィルム(図示せず)が貼り付けられて、レジスト膜(図示せず)が形成される。続いて、フォトリソグラフィー処理により、貫通孔40に対応するようにレジスト膜がパターニングされる。フォトリソグラフィー処理においては、支持基板50のうちレジスト膜とは反対側の面に露光光が照射されて、レジスト膜が、支持基板50を介して露光されてもよい。このことにより、露光光の回り込み(回折)によって、直線状に傾斜した壁面41に対応する形状を有するレジスト膜が得られる。
第1めっき処理工程においては、図17Aに示すように、めっき処理により、導電膜63上に第1金属層61が形成される。ここでは、導電膜63を給電電極として電解めっき処理により第1金属層61が形成される。より具体的には、導電膜63の支持基板50とは反対側の面にめっき液が供給される。例えば、導電膜63が形成された支持基板50が、めっき液が充填されためっき槽に浸されてもよい。このことにより、導電膜63の支持基板50とは反対側の面に、めっき液の成分が析出されて第1金属層61が形成される。第1めっき処理工程においては、図17Aおよび図17Bに示すように、第1金属層61の外周縁が円形状に形成される。なお、図17Bにおいては、図面を簡略化するために、貫通孔40は省略している。
用いられるめっき液の成分は、第1金属層61に求められる特性に応じて適宜定められる。例えば第1金属層61が、ニッケルを含む鉄合金によって構成される場合、めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いることができる。例えば、スルファミン酸ニッケルや臭化ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸第一鉄を含む溶液との混合溶液を用いることができる。めっき液には、様々な添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、ホウ酸などのpH緩衝材や、マロン酸やサッカリンなどの添加剤が含まれていてもよい。
第1レジスト膜除去工程においては、レジスト膜が除去される。例えば、アルカリ系剥離液を用いることによって、レジスト膜を支持基板50から剥離させてもよい。
このようにして、支持基板50上に、貫通孔40を有する第1金属層61が得られる。
第1金属層形成工程の後、第2金属層形成工程として、図18に示すように、第1金属層61の外側領域21に、第2金属層62が形成されてもよい。本実施形態による第2金属層形成工程では、第2レジスト膜形成工程と、第2めっき処理工程と、第2レジスト膜除去工程とが、この順番で行われてもよい。
第2レジスト膜形成工程においては、第1レジスト膜形成工程と同様に、ドライフィルムを用いて、第1金属層61上に、所望のパターンでレジスト膜が形成されるようにしてもよい。レジスト膜は、本体領域22に対応するようにパターニングされ、形成されるレジスト膜は、外側領域21に対応するようにパターニングされたレジスト開口を有する。
第2めっき処理工程においては、図18に示すように、第1めっき処理工程と同様に、第1金属層61の外側領域21に、第2金属層62が形成される。ここでは、第1金属層61を給電電極として電解めっき処理により第2金属層62が形成される。より具体的には、第1金属層61のうち上述したレジスト開口で露出された部分にめっき液が供給されて、第2金属層62が形成される。
第2レジスト膜除去工程においては、第1レジスト膜除去工程と同様に、レジスト膜が除去される。
このようにして、第1金属層61の外側領域21に第2金属層62が形成された蒸着マスク20が得られる。
第2金属層形成工程の後、分離工程として、図19に示すように、支持基板50および導電膜63から蒸着マスク20(または第1金属層61)が分離される。上述したように支持基板50および導電膜63に離型処理が施されている場合には、支持基板50および導電膜63からの蒸着マスク20の分離を容易化させることができる。
このようにして、図15に示すような、本実施形態による蒸着マスク20が得られる。
このように本実施形態によれば、外側領域21が、本体領域22を構成するとともに本体領域22から外側に延びる第1金属層61と、第1金属層61上に設けられた第2金属層62と、を有している。このことにより、外側領域21の厚みを、本体領域22の厚みよりも厚くすることができる。すなわち、本体領域22の厚みよりも厚い外側領域21を有する蒸着マスク20を容易に得ることができる。
なお、上述した本実施形態においては、2層構造を有する蒸着マスク20がめっき処理により作製される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、2層構造を有する蒸着マスク20を、圧延材をエッチング処理することにより作製してもよい。例えば、第1金属層61を、圧延材を支持基板50に貼り付けてエッチング処理することで形成し、第2金属層62を、第1金属層61上に接合してもよい。例えば、第2金属層62は、ワニスで第1金属層61に接合されてもよい。この場合、第2金属層62は、第1金属層61と同様に圧延材をエッチング処理することで形成してもよい。また、第2金属層62は、エッチングで形成された第1金属層61に、めっき処理で形成してもよい。更には、第1金属層61をめっき処理で形成し、この第1金属層61上に、第2金属層62をワニスで接合してもよい。
また、上述した本実施形態においては、本体領域22が、第1金属層61で構成された単層構造となっている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、本体領域22は、図20に示すように、2層構造となっていてもよい。図20に示す例では、本体領域22を構成する第1金属層61は、第1本体金属層64と、第1本体金属層64上に設けられた第2本体金属層65と、を含んでいてもよい。第1本体金属層64は、第1本体面22aの側に配置され、第2本体金属層65は、第2本体面22bの側に配置される。貫通孔40は、第1本体金属層64に設けられた第1開口66と、第2本体金属層65に設けられた第2開口67と、を含んでいる。第1開口66と第2開口67とが互いに連通して、貫通孔40が構成されている。第2開口67の開口寸法が、第1開口66の開口寸法よりも大きくなっている。図20に示す蒸着マスク20では、角度θ1を大きくすることができ、本体領域22の厚みを厚くした場合であっても、シャドーが発生することを抑制できる。すなわち、シャドーの発生を抑制しつつ蒸着マスク20の機械的強度を確保することができる。
図20に示す蒸着マスク20を製造する場合には、上述した第1金属層形成工程では、導電膜形成工程と、第1本体金属層64を形成するための第1本体めっき処理工程と、第1レジスト膜形成工程と、第2本体金属層65を形成するための第2本体めっき処理工程と、第1レジスト膜除去工程とが、この順番で行われてもよい。導電膜形成工程においては、第1本体金属層64に対応する位置に導電膜63が形成される。第1本体めっき処理工程では、導電膜63を給電電極として電解めっき処理により第1本体金属層64が形成される。第1レジスト膜形成工程では、貫通孔40に対応する位置にレジスト膜が形成され、第2本体めっき処理工程では、第1本体金属層64を給電電極として電解めっき処理により第2本体金属層65が形成される。
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態による蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法について、図21〜図28を参照して説明する。
図21〜図28に示す第3実施形態においては、第1金属層の第2金属層とは反対側に樹脂層が設けられている点が主に異なり、他の構成は、図15〜図20に示す第2実施形態と略同一である。なお、図21〜図28において、図15〜図20に示す第2実施形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態では、樹脂層と金属層とを有する蒸着マスク20を例にとって説明する。
図21に示すように、本実施形態による蒸着マスク20の本体領域22は、2層構造となっていてもよい。例えば、第1金属層61の第2金属層62とは反対側に樹脂層71が設けられている。言い換えると、本体領域22が、樹脂層71と、樹脂層71上に設けられた第1金属層61と、を有していてもよい。樹脂層71は、第1本体面22aの側に配置され、第1金属層61は、樹脂層71よりも第2本体面22bの側に配置される。外側領域21は、樹脂層71と、第1金属層61と、第2金属層62で構成されている。本体領域22は、樹脂層71と第1金属層61とで構成されており、第2金属層62が存在していない領域となっている。樹脂層71および第1金属層61に、第1実施形態および第2実施形態と同様な貫通孔群30が形成されている。
本実施形態では、本体領域22は、樹脂層71と第1金属層61とで構成されており、互いに異なる材料で形成された2つの層を含む層構成となっている。樹脂層71と第1金属層61との間には、導電膜72(図28参照)が介在されている。なお、図21においては、図面を明瞭にするために、導電膜72は省略している。
本実施形態においては、貫通孔40は、樹脂層71に設けられた樹脂開口73と、第1金属層61に設けられた金属開口74と、を含んでいる。樹脂開口73と金属開口74とが互いに連通して、貫通孔40が構成されている。金属開口74の開口寸法が、樹脂開口73の開口寸法よりも大きくなっている。一の金属開口74には、対応する一の樹脂開口73が露出している。しかしながら、このことに限られることはなく、一の金属開口74に2つ以上の樹脂開口73が露出するように、金属開口74を大きく形成してもよい。
樹脂層71の厚みH4は、例えば、1μm以上であってもよく、2μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、4μm以上であってもよい。厚みH4を1μm以上とすることにより、蒸着マスク20の機械的強度を確保することができる。また、厚みH4は、例えば、7μm以下であってもよく、8μm以下であってもよく、9μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。厚みH4を10μm以下とすることにより、シャドーの発生を抑制することができる。厚みH4の範囲は、1μm、2μm、3μm及び4μmからなる第1グループ、及び/又は、7μm、8μm、9μm及び10μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH4の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH4の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH4の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、1μm以上10μm以下であってもよく、1μm以上9μm以下であってもよく、1μm以上8μm以下であってもよく、1μm以上7μm以下であってもよく、1μm以上4μm以下であってもよく、1μm以上3μm以下であってもよく、1μm以上2μm以下であってもよく、2μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上9μm以下であってもよく、2μm以上8μm以下であってもよく、2μm以上7μm以下であってもよく、2μm以上4μm以下であってもよく、2μm以上3μm以下であってもよく、3μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上9μm以下であってもよく、3μm以上8μm以下であってもよく、3μm以上7μm以下であってもよく、3μm以上4μm以下であってもよく、4μm以上10μm以下であってもよく、4μm以上9μm以下であってもよく、4μm以上8μm以下であってもよく、4μm以上7μm以下であってもよく、7μm以上10μm以下であってもよく、7μm以上9μm以下であってもよく、7μm以上8μm以下であってもよく、8μm以上10μm以下であってもよく、8μm以上9μm以下であってもよく、9μm以上10μm以下であってもよい。
第1金属層61の厚みH5は、厚みH5は、例えば、2μm以上であってもよく、4μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、6μm以上であってもよい。厚みH5を2μm以上とすることにより、蒸着マスク20の機械的強度を確保することができる。また、厚みH5は、例えば、8μm以下であってもよく、9μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、12μm以下であってもよい。厚みH5を12μm以下とすることにより、シャドーの発生を抑制することができる。厚みH5の範囲は、2μm、4μm、5μm及び6μmからなる第1グループ、及び/又は、8μm、9μm、10μm及び12μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みH5の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みH5の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みH5の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、2μm以上12μm以下であってもよく、2μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上9μm以下であってもよく、2μm以上8μm以下であってもよく、2μm以上6μm以下であってもよく、2μm以上5μm以下であってもよく、2μm以上4μm以下であってもよく、4μm以上12μm以下であってもよく、4μm以上10μm以下であってもよく、4μm以上9μm以下であってもよく、4μm以上8μm以下であってもよく、4μm以上6μm以下であってもよく、4μm以上5μm以下であってもよく、5μm以上12μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよく、5μm以上9μm以下であってもよく、5μm以上8μm以下であってもよく、5μm以上6μm以下であってもよく、6μm以上12μm以下であってもよく、6μm以上10μm以下であってもよく、6μm以上9μm以下であってもよく、6μm以上8μm以下であってもよく、8μm以上12μm以下であってもよく、8μm以上10μm以下であってもよく、8μm以上9μm以下であってもよく、9μm以上12μm以下であってもよく、9μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上12μm以下であってもよい。
本実施形態による蒸着マスク20の製造方法は、支持基板50を準備する準備工程と、樹脂層71を形成する樹脂層形成工程と、樹脂層71上に第1金属層61を形成する第1金属層形成工程と、外側領域に第2金属層62を形成する第2金属層形成工程と、樹脂層71に樹脂開口73を形成する樹脂開口形成工程と、支持基板50から蒸着マスク20を分離させる分離工程と、を備えていてもよい。
まず、準備工程として、図8に示す準備工程と同様に支持基板50を準備してもよい。
準備工程の後、樹脂層形成工程として、図22に示すように、支持基板50上に、樹脂層71が形成される。例えば、支持基板50の一方の面のうち、蒸着マスク20の外周縁25で画定される領域に、ポリイミドワニス等の樹脂溶液が塗布されてもよい。塗布された樹脂溶液を乾燥することにより、樹脂層71が形成される。樹脂層形成工程においては、樹脂層71は円形状(ここでは、オリエンテーションフラット形状)に形成される。
樹脂層形成工程の後、第1金属層形成工程として、樹脂層71上に、第1金属層61が形成される。本実施形態による第1金属層形成工程では、導電膜形成工程と、第1レジスト膜形成工程と、第1めっき処理工程と、第1レジスト膜除去工程と、導電膜除去工程とが、この順番で行われてもよい。
導電膜形成工程においては、図23に示すように、樹脂層71の支持基板50とは反対側の面に、導電膜72が形成される。導電膜72は、樹脂層71の全面に形成されてもよい。導電膜72を構成する材料としては、金属材料や導電性酸化物材料等の導電性を有する材料を用いてもよい。このうち金属材料の例としては、クロムや銅等を挙げることができる。導電膜72の厚みは、例えば、50nm以上500nm以下であってもよい。導電膜72は、例えば、スパッタリング処理や蒸着処理で形成されてもよい。導電膜72形成工程においては、導電膜72は、円形状に形成される。
第1レジスト膜形成工程においては、第2実施形態による第1レジスト膜形成工程と同様にしてパターン状のレジスト膜(図示せず)が形成される。ここでは、樹脂層71上に、貫通孔40に対応する位置にレジスト膜が形成される。フォトリソグラフィー処理においては、露光光は、レジスト膜の支持基板50とは反対側の面(図23における上面)に照射されてレジスト膜が露光されてもよい。
第1めっき処理工程においては、図24に示すように、めっき処理により、導電膜72上に第1金属層61が形成される。ここでは、導電膜72を給電電極として電解めっき処理により第1金属層61が形成される。より具体的には、導電膜72の支持基板50とは反対側の面にめっき液が供給され、導電膜72のうちレジスト膜から露出されている部分にめっき液の成分が析出されて第1金属層61が形成される。第1めっき処理工程においては、第1金属層61は円形状(ここでは、オリエンテーションフラット形状)に形成される。
第1レジスト膜除去工程においては、第2実施形態による第1レジスト膜除去工程と同様にレジスト膜が除去される。このことにより、本体領域22において、第1金属層61に金属開口74が形成される。
導電膜除去工程においては、図25に示すように、導電膜72のうち第1金属層61から露出された部分が除去される。このことにより、導電膜72に、導電膜開口75が形成される。例えば、導電膜72の除去には、選択性のウェットエッチング液を用いてもよい。例えば、導電膜72に銅が用いられている場合には、銅を選択的にエッチングするエッチング液(メック株式会社製:SF−5420B)を用いることによって、導電膜72を除去することができる。
このようにして、樹脂層71と、金属開口74が設けられた第1金属層61とが得られる。
第1金属層形成工程の後、第2金属層形成工程として、図26に示すように、第1金属層61の外側領域21に、第2金属層62が形成される。本実施形態による第2金属層形成工程では、第2レジスト膜形成工程と、第2めっき処理工程と、第2レジスト膜除去工程とが、この順番で行われてもよい。
第2レジスト膜形成工程においては、第1レジスト膜形成工程と同様に、第1金属層61上に、所望のパターンでレジスト膜が形成されるようにしてもよい。レジスト膜は、本体領域22に対応するようにパターニングされ、形成されるレジスト膜は、外側領域21に対応するようにパターニングされたレジスト開口を有する。
第2めっき処理工程においては、図26に示すように、第1めっき処理工程と同様に、第1金属層61の外側領域21に、第2金属層62が形成される。ここでは、第1金属層61を給電電極として電解めっき処理により第2金属層62が形成される。より具体的には、第1金属層61のうち上述したレジスト開口で露出された部分にめっき液が供給されて、第2金属層62が形成される。
第2レジスト膜除去工程においては、第1レジスト膜除去工程と同様に、レジスト膜が除去される。
このようにして、第1金属層61の外側領域21に第2金属層62が形成された蒸着マスク20が得られる。
第2金属層形成工程の後、樹脂開口形成工程として、図27に示すように、本体領域22において、樹脂層71に、金属開口74と連通する樹脂開口73が形成される。例えば、樹脂層71のうち金属開口74から露出された部分に、第2本体面22bの側からレーザ光Lを照射し、樹脂開口73を形成してもよい。レーザ光Lとしては、例えば、波長248nmのKrFのエキシマレーザ光や波長355nmのYAGレーザ光を用いてもよい。
このようにして、金属開口74と導電膜開口75と樹脂開口73とで構成された貫通孔40を有する蒸着マスク20が得られる。
樹脂開口形成工程の後、分離工程として、図28に示すように、支持基板50から蒸着マスク20(または樹脂層71)が分離される。
このようにして、本実施形態による蒸着マスク20が得られる。
このように本実施形態によれば、第1金属層61の第2金属層62とは反対側に樹脂層71が設けられている。このことにより、貫通孔40のうち樹脂層71に設けられた部分(樹脂開口73)を、レーザ光Lを照射することにより精度良く形成することができる。そして、樹脂開口73を、第1本体面22aに開口させることができる。このため、蒸着層92の形状精度や位置精度を向上させることができる。この結果、蒸着層92の精細度を高めることができる。
なお、上述した本実施形態において説明した蒸着マスク20の製造方法は、上述した手順に限られることはなく、本実施形態による蒸着マスク20を得ることができれば、上述した各工程の順番は任意である。