JP2020056109A - 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法 - Google Patents

蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020056109A
JP2020056109A JP2019202570A JP2019202570A JP2020056109A JP 2020056109 A JP2020056109 A JP 2020056109A JP 2019202570 A JP2019202570 A JP 2019202570A JP 2019202570 A JP2019202570 A JP 2019202570A JP 2020056109 A JP2020056109 A JP 2020056109A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
intermediate portion
deposition mask
vapor deposition
mask
ear
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019202570A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7047828B2 (ja
Inventor
知加雄 池永
Chikao Ikenaga
知加雄 池永
英介 岡本
Eisuke Okamoto
英介 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2019202570A priority Critical patent/JP7047828B2/ja
Publication of JP2020056109A publication Critical patent/JP2020056109A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7047828B2 publication Critical patent/JP7047828B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】大型の基板に対応することができる蒸着マスクを提供する。【解決手段】蒸着マスク20の長手方向における一対の端部を構成する一対の耳部17と、一対の耳部17の間に位置する中間部18と、を備え、中間部18には、複数の貫通孔25が形成され、一対の耳部17は、接合部19を介して中間部18に接合されている、蒸着マスク20。【選択図】図3

Description

本発明は、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクに関する。また本発明は、蒸着マスクの製造方法に関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であること、例えば画素密度が400ppi以上であることが求められている。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラフルハイビジョンに対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが求められる。
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔が形成された蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の基板に対して蒸着マスクを密着させ、次に、密着させた蒸着マスクおよび基板を共に蒸着装置に投入し、有機材料を基板に蒸着させる蒸着工程を行う。この場合、高い画素密度を有する有機EL表示装置を精密に作製するためには、蒸着マスクの貫通孔の位置や形状を設計に沿って精密に再現することが求められる。
蒸着マスクの製造方法としては、例えば特許文献1に開示されているように、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングによって金属板に貫通孔を形成する方法が知られている。例えば、はじめに、金属板の第1面上に第1レジストパターンを形成し、また金属板の第2面上に第2レジストパターンを形成する。次に、金属板の第1面のうち第1レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第1面に第1開口部を形成する。その後、金属板の第2面のうち第2レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第2面に第2開口部を形成する。この際、第1開口部と第2開口部とが通じ合うようにエッチングを行うことにより、金属板を貫通する貫通孔を形成することができる。
その他にも、蒸着マスクの製造方法として、例えば特許文献2に開示されているように、めっき処理を利用して蒸着マスクを製造する方法が知られている。例えば特許文献2に記載の方法においては、はじめに、導電性を有する基材を準備する。次に、基材の上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、蒸着マスクの貫通孔が形成されるべき位置に設けられている。その後、レジストパターンの隙間にめっき液を供給して、電解めっき処理によって基材の上に金属層を析出させる。その後、金属層を基材から分離させることにより、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを得ることができる。
特許第5382259号公報 特開2001−234385号公報
有機EL表示装置などの表示装置の製造工程においては、製造コスト低減のため、マザーガラスなどの、表示装置を構成するベースとなる基板の大型化が進められている。この場合、スマートフォン用などの小型の有機EL表示装置を製造する際には、1枚の基板上に複数の有機EL表示装置が割り付けられる。この場合、蒸着マスクとしては、所望のパターンで配列された貫通孔が形成された有効領域が複数設けられたものが用いられる。なお蒸着マスクの1つの有効領域は、基板上に割り付けられる1つの有機EL表示装置に対応している。基板が大型化すると、蒸着マスクも同様に大型化し、このため、蒸着マスクを製造するための製造設備も大型化する。
しかしながら一般に、製造設備が大型になるほど、蒸着マスクの貫通孔の位置や形状に、ばらつきや設計からのずれが生じやすくなる。例えば、めっき処理を利用して蒸着マスクを製造する場合、製造設備が大型になるほど、蒸着マスクの全域にわたって金属層の厚みを均一にすることが困難になる。このため、複数の有効領域における貫通孔の形状に、有効領域が割り付けられている位置に依存するばらつきが生じ得る。この結果、蒸着マスクを利用して作製される有機EL表示装置の特性の個体差が大きくなってしまうことや、有機EL表示装置の製造歩留りが低くなってしまうことなどが考えられる。また、蒸着マスクの製造設備を大型化するためには、多大な投資が必要になる。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る蒸着マスクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
第1の本発明は、蒸着マスクであって、前記蒸着マスクの長手方向における一対の端部を構成する一対の耳部と、前記一対の耳部の間に位置する中間部と、を備え、前記中間部には、複数の貫通孔が形成されており、前記一対の耳部のうちの少なくとも一方は、接合部を介して前記中間部に接合されている、蒸着マスクである。
第1の本発明による蒸着マスクにおいて、前記接合部は、前記耳部の一部と前記中間部の一部とが融合した融合領域を含んでいてもよい。
第1の本発明による蒸着マスクにおいて、前記中間部のうち前記複数の貫通孔が形成されている有効領域の厚みは、3〜20μmの範囲内であってもよい。
第1の本発明による蒸着マスクにおいて、前記耳部の厚みと、前記中間部のうち前記複数の貫通孔が形成されている有効領域の厚みとの差は、30μm以下であってもよい。
第1の本発明による蒸着マスクにおいて、前記蒸着マスクの長手方向における前記中間部の長さおよび前記耳部の長さは、それぞれ800〜1100mmの範囲内および50〜250mmの範囲内であってもよい。
第1の本発明による蒸着マスクにおいて、前記耳部の幅と前記中間部の幅との差が、1mm以下であってもよい。
第2の本発明は、蒸着マスクであって、前記蒸着マスクの長手方向における一対の端部を構成する一対の耳部と、前記一対の耳部の間に位置する中間部と、を備え、前記中間部は、前記蒸着マスクの長手方向に沿って設けられた複数の有効領域と、前記有効領域を取り囲む周囲領域と、を含み、前記有効領域には、複数の貫通孔が形成されており、前記中間部は、前記蒸着マスクの長手方向において、少なくとも1つの前記有効領域を含む第1中間部と、少なくとも1つの前記有効領域を含む第2中間部とに少なくとも区画され、前記第1中間部と前記第2中間部とは、前記周囲領域において接合部を介して接合されている、蒸着マスクである。
第2の本発明による蒸着マスクにおいて、前記接合部は、前記第1中間部の一部と前記第2中間部の一部とが融合した融合領域を含んでいてもよい。
第2の本発明による蒸着マスクの前記接合部において、前記第1中間部の端部の端面と、前記第2中間部の端部の端面とが接触していてもよい。
第3の本発明は、蒸着マスクの製造方法であって、前記蒸着マスクの長手方向における端部を構成する耳部を準備する耳部準備工程と、複数の貫通孔が形成された中間部を準備する中間部準備工程と、接合部を介して前記耳部を前記中間部に接合する接合工程と、を備える、蒸着マスクの製造方法である。
第4の本発明は、長手方向における一対の端部を構成する一対の耳部と、前記一対の耳部の間に位置する中間部と、を備える蒸着マスクの製造方法であって、前記蒸着マスクの長手方向に沿って設けられた複数の有効領域と、前記有効領域を取り囲む周囲領域と、を含む前記中間部を準備する中間部準備工程を備え、前記有効領域には、複数の貫通孔が形成されており、前記中間部準備工程は、少なくとも1つの前記有効領域を含む第1中間部を準備する工程と、少なくとも1つの前記有効領域を含む第2中間部を準備する工程と、を含み、前記製造方法は、前記第1中間部と前記第2中間部とが前記蒸着マスクの長手方向に沿って並ぶよう、前記第1中間部と前記第2中間部とを接合する接合工程をさらに備える、蒸着マスクの製造方法である。
第3および第4の本発明による蒸着マスク製造方法において、前記中間部準備工程は、所定の基材上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成するレジスト形成工程と、前記レジストパターンの前記隙間において金属層を析出させるめっき処理工程と、前記金属層を前記基材から分離させる分離工程と、を有していてもよい。
第3および第4の本発明による蒸着マスク製造方法において、前記中間部準備工程は、金属板を準備する工程と、前記金属板上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成するレジスト形成工程と、前記金属板のうち前記レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、前記金属板に前記貫通孔を形成する工程と、を有していてもよい。
第3の本発明による蒸着マスク製造方法の前記耳部準備工程において、前記耳部は、耳部用基板をエッチングして前記耳部用基板を加工することにより作製されてもよい。
第1および第3の本発明においては、はじめに、蒸着マスクの長手方向における端部を構成する耳部と、複数の貫通孔が形成された中間部と、を準備する。次に、接合部を介して耳部を中間部に接合する。このように本発明において、蒸着マスクは、耳部と中間部とを接合することによって構成されている。従って、蒸着マスクの長手方向における中間部の長さは、蒸着マスク全体の長さよりも小さくなっている。
蒸着マスクのうち、複数の貫通孔が形成された中間部には、形状や位置の高い精度が要求される。一方、耳部は、蒸着工程の際にフレームに取り付けられる部分であり、形状や位置の高い精度は不要である。
ここで本発明においては、耳部および中間部はそれぞれ、別個の部材として準備される。このため、耳部および中間部をそれぞれ、異なる製造設備を用いて製造することができる。また上述のように、蒸着マスクの長手方向における中間部の長さは、蒸着マスク全体の長さよりも小さくなっている。このため、耳部および中間部が一体的に構成される蒸着マスクを製造する場合に比べて小型の製造設備を用いて、中間部を製造することができる。従って、中間部の貫通孔の位置や形状に、ばらつきや設計からのずれが生じてしまうことを抑制することができる。このため、大型の基板に対応することができ、かつ基板上に精密に蒸着材料を付着させることができる蒸着マスクを提供することができる。また、蒸着マスクの大型化に対応するために必要な設備投資を削減することができる。
また、第2および第4の本発明においては、第1中間部および第2中間部を準備する。
次に、接合部を介して第1中間部と第2中間部とを接合する。従って、蒸着マスクの長手方向における第1中間部および第2中間部の長さは、蒸着マスク全体の長さや、中間部全体の長さよりも小さくなっている。このため、第1中間部および第2中間部が一体的に構成される蒸着マスクを製造する場合に比べて小型の製造設備を用いて、中間部を製造することができる。従って、中間部の貫通孔の位置や形状に、ばらつきや設計からのずれが生じてしまうことを抑制することができる。このため、大型の基板に対応することができ、かつ基板上に精密に蒸着材料を付着させることができる蒸着マスクを提供することができる。また、蒸着マスクの大型化に対応するために必要な設備投資を削減することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す概略平面図。 図2は、図1に示す蒸着マスク装置を用いて蒸着する方法を説明するための図。 図3は、耳部と中間部とが接合される接合部を拡大して示す平面図。 図4は、耳部と中間部とが接合される接合部を拡大して示す断面図。 図5は、蒸着マスクの中間部を拡大して示す平面図。 図6は、蒸着マスクの中間部の断面形状の一例を示す図。 図7Aは、めっき処理によって蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を示す図。 図7Bは、パターン基板上に複数の中間部を形成する工程を示す図。 図7Cは、中間部に一対の耳部を接合する工程を示す図。 図8Aは、めっき処理によって蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図。 図8Bは、めっき処理によって蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図。 図8Cは、めっき処理によって蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図。 図8Dは、めっき処理によって蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を製造する方法の一例の一工程を示す図。 図9Aは、図6に示す蒸着マスクの中間部をめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図9Bは、図6に示す蒸着マスクの中間部をめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図9Cは、図6に示す蒸着マスクの中間部をめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図10Aは、めっき処理によって蒸着マスクの中間部を製造する方法のその他の例の一工程を示す図。 図10Bは、めっき処理によって蒸着マスクの中間部を製造する方法のその他の例の一工程を示す図。 図11は、図10Aおよび図10Bに示す方法によって得られた蒸着マスクの中間部を示す断面図。 図12Aは、エッチング処理によって蒸着マスクを製造するために用いられる金属板を示す図。 図12Bは、金属板と重なるように露光マスクが配置される様子を示す図。 図12Cは、金属板をエッチングして、複数の貫通孔が形成された有効領域を含む中間部を作製する工程を示す図。 図13は、蒸着マスクの断面形状の一例を示す図。 図14Aは、図13に示す蒸着マスクをエッチングによって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図14Bは、図13に示す蒸着マスクをエッチングによって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図14Cは、図13に示す蒸着マスクをエッチングによって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図14Dは、図13に示す蒸着マスクをエッチングによって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図15は、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の変形例を示す図。 図16は、耳部と中間部とを接合する接合部の一変形例を示す平面図。 図17は、耳部と中間部とを接合する接合部の一変形例を示す断面図。 図18は、耳部と中間部とを接合する接合部の一変形例を示す断面図。 図19は、耳部と中間部とを接合する接合部の一変形例を示す断面図。 図20は、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一変形例を示す概略平面図。 図21は、第1中間部と第2中間部とが接合される接合部を拡大して示す平面図。 図22は、第1中間部と第2中間部とが接合される接合部を拡大して示す断面図。 図23Aは、めっき処理によって蒸着マスクを製造するために用いられるパターン基板を示す図。 図23Bは、パターン基板上に第1中間部および第2中間部を形成する工程を示す図。 図23Cは、第1中間部と第2中間部とを接合する工程を示す図。 図24Aは、エッチング処理によって蒸着マスクを製造するために用いられる金属板を示す図。 図24Bは、金属板と重なるように露光マスクが配置される様子を示す図。 図24Cは、金属板をエッチングして、複数の貫通孔が形成された有効領域を含む第1中間部および第2中間部を作製する工程を示す図。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図9Cは、本発明の一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクの製造方法を例にあげて説明する。
ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクの製造方法に対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(蒸着マスク装置)
まず、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例について、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す平面図であり、図2は、図1に示す蒸着マスク装置の使用方法を説明するための図である。
図1及び図2に示された蒸着マスク装置10は、平面視において略矩形状の形状を有する複数の蒸着マスク20と、複数の蒸着マスク20を保持するフレーム15と、を備えている。蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eにおいて、フレーム15に取り付けられている。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように蒸着マスク20を張った状態に保持する。各蒸着マスク20には、後述するように、蒸着マスク20を貫通する複数の貫通孔25が設けられている。この蒸着マスク装置10は、図2に示すように、蒸着マスク20が蒸着対象物である基板、例えば有機EL基板92の下面に対面するようにして蒸着装置90内に支持され、有機EL基板92への蒸着材料の蒸着に使用される。
蒸着装置90内では、不図示の磁石からの磁力によって、蒸着マスク20と有機EL基板92とが密着するようになる。蒸着装置90内には、蒸着マスク装置10の下方に、蒸着材料(一例として、有機発光材料)98を収容するるつぼ94と、るつぼ94を加熱するヒータ96とが配置されている。るつぼ94内の蒸着材料98は、ヒータ96からの加熱により、気化または昇華して有機EL基板92の表面に付着するようになる。上述したように、蒸着マスク20には多数の貫通孔25が形成されており、蒸着材料98はこの貫通孔25を介して有機EL基板92に付着する。この結果、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が有機EL基板92の表面に成膜される。図2において、蒸着マスク20の面のうち蒸着工程の際に有機EL基板92と対向する面(以下、第1面とも称する)が符号20aで表されている。また、蒸着マスク20の面のうち第1面20aの反対側に位置する面(以下、第2面とも称する)が符号20bで表されている。第2面20b側には、蒸着材料98の蒸着源(ここではるつぼ94)が配置される。以下の説明において、蒸着マスク20のうち蒸着材料98が通る貫通孔25が形成されている領域のことを、有効領域22とも称する。
本実施の形態では、貫通孔25が各有効領域22において所定のパターンで配置されている。なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20が搭載された蒸着機をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着機に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
ところで蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。
この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、蒸着マスク20やフレーム15と有機EL基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度が低下してしまう。このような課題を解決するため、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、蒸着マスク20およびフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。具体的には、34〜38質量%のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を、蒸着マスク20を構成する後述する第1金属層32および第2金属層37や金属板21の材料として用いることができる。なお本明細書において、「〜」という記号によって表現される数値範囲は、「〜」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34〜38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上かつ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
なお蒸着処理の際に、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92の温度が高温には達しない場合は、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数を有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値にする必要は特にない。この場合、蒸着マスク20を構成する後述する第1金属層32および第2金属層37や金属板21の材料として、ニッケルやニッケル−コバルト合金など、上述の鉄合金以外の様々な材料を用いることができる。
(蒸着マスク)
次に、蒸着マスク20について詳細に説明する。図1に示すように、蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eを構成する一対の耳部17と、一対の耳部17の間に位置する中間部18と、を備えている。一対の耳部17は、後述する接合部19を介して中間部18に接合されている。図1において、蒸着マスク20の長手方向における、蒸着マスク20全体の長さ、耳部17の長さ、および中間部18の長さが、それぞれ符号A、A1およびA2で表されている。図1から明らかなように、中間部18の長さA2は、一対の耳部17の長さA1の分だけ、蒸着マスク20全体の長さAよりも小さくなっている。耳部17の長さA1および中間部18の長さA2は例えば、それぞれ50〜250mmの範囲内および800〜1100mmの範囲内になっている。また蒸着マスク20全体の長さAは例えば、850〜1350mmの範囲内になっている。
なお耳部17とは、蒸着マスク20のうちフレーム15に取り付けられる部分のことである。フレーム15によって蒸着マスク20に加えられる張力の方向が、蒸着マスク20の長手方向である場合、耳部17は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eにそれぞれ存在していればよい。
図3は、耳部17と中間部18とが接合される接合部19を拡大して示す平面図である。図1および図3に示すように、蒸着マスク20の中間部18は、規則的な配列で貫通孔25が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいる。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。例えば、有機EL表示装置用の有機発光材料の蒸着に用いられる蒸着マスク20においては、有効領域22は、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる有機EL基板92の表示領域となる区域に対面する、蒸着マスク20内の領域のことである。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や凹部が形成されていてもよい。図1に示された例において、各有効領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。なお図示はしないが、各有効領域22は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域22は、円形状の輪郭を有していてもよい。
図示された例において、蒸着マスク20の複数の有効領域22は、蒸着マスク20の長手方向と平行な一方向に沿って所定の間隔を空けて一列に配列されている。図示された例では、一つの有効領域22が一つの有機EL表示装置に対応するようになっている。すなわち、図1に示された蒸着マスク装置10(蒸着マスク20)によれば、多面付蒸着が可能となっている。
耳部17は、蒸着マスク20を利用した蒸着工程の際にフレーム15に取り付けられる部分である。蒸着マスク20の一対の耳部17とフレーム15とは、例えばスポット溶接により互いに対して固定されている。
一対の耳部17は、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。しかしながら図3に示すように、耳部17に1つまたは複数の貫通孔26が形成されていてもよい。耳部17に形成された貫通孔26は、例えば、フレーム15に取り付けられている蒸着マスク20に、熱収縮や熱膨張などの変形が生じているかどうかを検査するために利用され得る。例えば、一方の耳部17に形成された貫通孔26と、他方の耳部17に形成された貫通孔26との間の距離を測定することによって、蒸着マスク20に変形が生じているかどうかを検査することができる。
次に図3,4を参照して、耳部17と中間部18とを接合する接合部19について説明する。図4は、接合部を拡大して示す断面図である。本実施の形態において、一対の耳部17は、溶接によって中間部18に接合されている。この場合、図4に示すように接合部19は、耳部17の一部と中間部18の一部とがそれぞれ融解することによって融合し、その後に固化することによって形成される融合領域19bを含んでいる。図4に示す例において、耳部17の端部17eと中間部18の端部18eとは、耳部17の第1面20aと中間部18の第2面20bとが接するよう、蒸着マスク20の長手方向における所定の長さA3にわたって重ねられている。上述の融合領域19bは、耳部17および中間部18に跨るよう、耳部17の第1面20aと中間部18の第2面20bとの間に形成されている。
融合領域19bを形成するための方法が特に限られることはなく、様々な方法が採用され得る。例えば、耳部17の一部または中間部18の一部にレーザー光を照射して耳部17の一部および中間部18の一部を融解させるレーザー溶接を採用することができる。レーザー光としては、例えば、YAGレーザー装置によって生成されるYAGレーザー光を用いることができる。YAGレーザー装置としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)にNd(ネオジム)を添加した結晶を発振用媒質として備えたものを用いることができる。また、耳部17の一部および中間部18の一部に電流を流して耳部17の一部および中間部18の一部を融解させる方法を採用することもできる。電流を流す方法としては、アーク放電などの電気の放電現象を利用する方法や、耳部17の一部および中間部18の一部を電極で挟持した状態で電極間に電圧を印加する方法、いわゆる電気溶接法などが考えられる。
なお、耳部17の一部および中間部18の一部に跨る融合領域19bを形成する場合、採用した融解方法に依らず、耳部17の一部の一部または中間部18の一部の表面の少なくとも一方に、溶接に起因する何らかの痕が残ると考えられる。例えば、レーザー光を中間部18の第1面20aの一部に照射して融合領域19bを形成する場合、中間部18の第1面20aには、図4に示すように、中間部18の融解に起因する凹部などの溶接痕19aが形成される。レーザー光が、中間部18の第1面20aの一部に、蒸着マスク20の幅方向に沿う各位置において間欠的に点状に照射される場合、図3に示すように、中間部18の第1面20aに、蒸着マスク20の幅方向に沿って並ぶ複数の点状の溶接痕19aが形成される。この場合、耳部17の一部および中間部18の一部に跨る融合領域19bも、蒸着マスク20の幅方向に沿って点状に複数形成され得る。
耳部17の端部17eと中間部18の端部18eとが重ねられる長さA3は、耳部17に対する中間部18の接合を十分に確保することができるよう設定される。例えば長さA3は、1mm以上に設定される。一方、長さA3が大きくなることは、中間部18における周囲領域23の比率、すなわち貫通孔25が形成されていない領域の比率が大きくなることを意味している。蒸着材料98の利用効率を高めたり、有機EL表示装置の生産性を高めたりするためには、中間部18における有効領域22の比率が高いことが好ましい。
この観点からは、長さA3が30mm以下に設定されることが好ましい。
図3において、蒸着マスク20の長手方向に直交する幅方向における耳部17および中間部18の寸法(以下、幅とも称する)が、それぞれ符号W1およびW2で表されている。中間部18の幅W2は、有効領域22の幅、すなわち製造される有機EL表示装置の幅に応じて設定される。例えば幅W2は、50〜300mmの範囲内になっている。
以下、耳部17の幅W1について説明する。上述のように、一対の耳部17は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように蒸着マスク20を張った状態に保持するための部分である。蒸着マスク20に均一に張力を加えるためには、耳部17の幅W1が大きいことが好ましい。一方、耳部17の幅W1が中間部18の幅W2よりも大きくなると、図1に示すようにフレーム15上に複数の蒸着マスク20が蒸着マスク20の幅方向に並ぶ場合に、隣接する2つの蒸着マスク20の中間部18の間の間隔が大きくなってしまう。
この結果、1つのフレーム15によって保持される蒸着マスク20の中間部18の有効領域22の数が減少し、有機EL表示装置の生産性が低下してしまうことが考えられる。この観点からは、耳部17の幅W1が小さいことが好ましい。これらの点を考慮すると、耳部17の幅W1は、中間部18の幅W2と略同一であることが好ましいと言える。なお略同一とは、耳部17の幅W1と中間部18の幅W2との差が、1mm以下であることを意味している。
図3において、耳部17の厚みが符号T1で表されている。また、中間部18のうち貫通孔25が形成されている有効領域22の厚みが、符号T2で表されている。耳部17の厚みT1は、好ましくは15μm以上になっている。また、中間部18のうち貫通孔25が形成されている有効領域22の厚みT2は、好ましくは3〜20μmの範囲内になっている。また、耳部17の厚みT1と、中間部18のうち貫通孔25が形成されている有効領域22の厚みT2との差は、好ましくは30μm以下になっている。
次に図5を参照して、中間部18について詳細に説明する。図5は、中間部18を拡大して示す平面図である。
図5に示すように、各有効領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されていてもよい。この貫通孔25の形状などについて、以下に詳細に説明する。ここでは、蒸着マスク20がめっき処理によって形成される場合の、貫通孔25の形状などについて説明する。
図6は、めっき処理によって作製された蒸着マスク20を、図5のY−Y線に沿って切断した場合を示す断面図である。
図6に示すように、蒸着マスク20は、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32と、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37と、を備えている。第2金属層37は、第1金属層32よりも蒸着マスク20の第2面20b側に配置されている。図6に示す例においては、第1金属層32が蒸着マスク20の第1面20aを構成し、第2金属層37が蒸着マスク20の第2面20bを構成している。
本実施の形態においては、第1開口部30と第2開口部35とが互いに連通することにより、蒸着マスク20を貫通する貫通孔25が構成されている。この場合、蒸着マスク20の第1面20a側における貫通孔25の開口寸法や開口形状は、第1金属層32の第1開口部30によって画定される。一方、蒸着マスク20の第2面20b側における貫通孔25の開口寸法や開口形状は、第2金属層37の第2開口部35によって画定される。言い換えると、貫通孔25には、第1金属層32の第1開口部30によって画定される形状、および、第2金属層37の第2開口部35によって画定される形状の両方が付与されている。
図5に示すように、貫通孔25を構成する第1開口部30や第2開口部35は、平面視において略多角形状になっていてもよい。ここでは第1開口部30および第2開口部35が、略四角形状、より具体的には略正方形状になっている例が示されている。また図示はしないが、第1開口部30や第2開口部35は、略六角形状や略八角形状など、その他の略多角形状になっていてもよい。なお「略多角形状」とは、多角形の角部が丸められている形状を含む概念である。また図示はしないが、第1開口部30や第2開口部35は、円形状になっていてもよい。また、平面視において第2開口部35が第1開口部30を囲う輪郭を有する限りにおいて、第1開口部30の形状と第2開口部35の形状が相似形になっている必要はない。
図6において、符号41は、第1金属層32と第2金属層37とが接続される接続部を表している。また符号S0は、第1金属層32と第2金属層37との接続部41における貫通孔25の寸法を表している。なお図6においては、第1金属層32と第2金属層37とが接している例を示したが、これに限られることはなく、第1金属層32と第2金属層37との間にその他の層が介在されていてもよい。例えば、第1金属層32と第2金属層37との間に、第1金属層32上における第2金属層37の析出を促進させるための触媒層が設けられていてもよい。
図6に示すように、第2面20bにおける貫通孔25(第2開口部35)の開口寸法S2は、第1面20aにおける貫通孔25(第1開口部30)の開口寸法S1よりも大きくなっている。以下、このように第1金属層32および第2金属層37を構成することの利点について説明する。
蒸着マスク20の第2面20b側から蒸着マスク20に向かって飛来する蒸着材料98は、貫通孔25の第2開口部35および第1開口部30を順に通って有機EL基板92に付着する。有機EL基板92のうち蒸着材料98が付着する領域は、第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1や開口形状によって主に定められる。ところで、図6において第2面20b側から第1面20aへ向かう矢印で示すように、蒸着材料98は、るつぼ94から有機EL基板92に向けて蒸着マスク20の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。
ここで、仮に第2面20bにおける貫通孔25の開口寸法S2が第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1と同一であるとすると、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動する蒸着材料98の多くは、貫通孔25を通って有機EL基板92に到達するよりも前に、貫通孔25の第2開口部35の壁面36に到達して付着してしまう。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、第2開口部35の開口寸法S2を大きくすることが好ましいと言える。
図6において、蒸着マスク20の第2面20b側における貫通孔25(第2開口部35)の端部38を通る蒸着材料98の経路であって、有機EL基板92に到達することができる経路のうち、蒸着マスク20の法線方向Nに対してなす角度が最小となる経路が、符号L1で表されている。また、経路L1と蒸着マスク20の法線方向Nとがなす角度が、符号θ1で表されている。斜めに移動する蒸着材料98を、第2開口部35の壁面36に到達させることなく可能な限り有機EL基板92に到達させるためには、角度θ1を大きくすることが有利となる。例えば角度θ1を45°以上にすることが好ましい。
上述の開口寸法S0,S1,S2は、有機EL表示装置の画素密度や上述の角度θ1の所望値などを考慮して、適切に設定される。例えば、400ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合、接続部41における貫通孔25の開口寸法S0は、20〜60μmの範囲内に設定され得る。また、第1面20aにおける第1開口部30の開口寸法S1は、10〜50μmの範囲内に設定され、第2面20bにおける第2開口部35の開口寸法S2は、15〜80μmの範囲内に設定され得る。
次に、図6に示す蒸着マスク20を製造する方法の概略について、図7A乃至図7Cを参照して説明する。
(中間部準備工程)
まず、複数の貫通孔25が形成された中間部18を準備する中間部準備工程を実施する。ここでは、めっき処理を利用して中間部18を製造する例について説明する。はじめに図7Aに示すように、パターン基板50を準備する。パターン基板50は、後述するように、基材51と、基材51上に形成された所定の導電性パターン52と、を有している。
次に、パターン基板50にめっき液を供給して、導電性パターン52上に上述の第1金属層32や第2金属層37などの金属層を析出させる。これによって図7Bに示すように、パターン基板50上に、複数の有効領域22を含む複数の中間部18を形成することができる。その後、中間部18をパターン基板50から分離させる。例えば、中間部18の一部を保持しながら中間部18をパターン基板50から引き剥がす。このようにして、めっき処理を利用して中間部18を準備することができる。
図7Aにおいて、パターン基板50上に形成される中間部18の長手方向における、パターン基板50の寸法(以下、パターン基板50の長さとも称する)が、符号B1で表されている。また、パターン基板50上に形成される中間部18の長手方向に直交する方向における、パターン基板50の寸法(以下、パターン基板50の幅とも称する)が、符号B2で表されている。パターン基板50の長さB1は、中間部18の長さA2以上に設定され、かつ蒸着マスク20全体の長さAよりも小さく設定される。例えば長さB1は、850〜1200mmの範囲内になっている。パターン基板50の幅B2は、パターン基板50上に形成される中間部18の本数に応じて設定される。例えば幅B2は、300〜850mmの範囲内になっている。
(耳部準備工程)
また、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eを構成する一対の耳部17を準備する耳部準備工程を実施する。例えば、図示はしないが、はじめに、耳部17を構成するための耳部用基板を準備する。例えば、耳部用基板の材料として上述のインバー材などの鉄合金が用いられる場合、鉄合金からなる金属板を準備する。次に、耳部用基板を加工することにより、一対の耳部17を製造する。なお上述の貫通孔26などを耳部17に形成する場合、耳部用基板を加工する方法として、エッチングが採用されてもよい。エッチングによる加工方法としては、変形例として後述する、エッチングによって中間部18を製造する方法と同様の方法が採用され得る。また、貫通孔26を形成する方法としてたけでなく、耳部用基板から所望の形状の耳部17を切り出す方法としても、エッチングが採用され得る。なお、耳部用基板は、長尺状の耳部用基板が巻き取られたロール状の形態で準備されてもよく、若しくは、シートなどの枚葉の形態で準備されてもよい。その他にも、めっき処理を利用して耳部17を製造してもよい。
(接合工程)
その後、一対の耳部17の間に中間部18が位置するよう、接合部19を介して一対の耳部17を中間部18に接合する接合工程を実施する。これによって図7Cに示すように、蒸着マスク20を得ることができる。接合方法としては、上述のレーザー溶接などの様々な方法が採用され得る。
以下、図8A乃至図9Cを参照して、めっき処理を利用して中間部18を製造する方法について詳細に説明する。
〔パターン基板準備工程〕
はじめに、パターン基板50を作製する方法の一例について説明する。はじめに、基材51を準備する。次に図8Aに示すように、導電性材料からなる導電層52aを形成する。導電層52aは、パターニングされることによって導電性パターン52となる層である。
絶縁性および適切な強度を有する限りにおいて、基材51を構成する材料や基材51の厚みが特に限られることはない。例えば基材51を構成する材料として、ガラスや合成樹脂などを用いることができる。
導電層52aを構成する材料としては、金属材料や酸化物導電性材料等の導電性を有する材料が適宜用いられる。金属材料の例としては、例えばクロムや銅などを挙げることができる。好ましくは、後述するレジストパターン53に対する高い密着性を有する材料が、導電性パターン52を構成する材料として用いられる。例えばレジストパターン53が、アクリル系光硬化性樹脂を含むレジスト膜など、いわゆるドライフィルムと称されるものをパターニングすることによって作製される場合、導電性パターン52を構成する材料として、ドライフィルムに対する高い密着性を有する銅が用いられることが好ましい。
後述するように、導電層52aをパターニングすることによって形成される導電性パターン52の上には、導電性パターン52を覆うように第1金属層32が形成され、この第1金属層32はその後の工程で導電性パターン52から分離される。このため、第1金属層32のうち導電性パターン52と接する側の面の上には、通常、導電性パターン52の厚みに対応する窪みが形成される。この点を考慮すると、電解めっき処理に必要な導電性を導電性パターン52が有する限りにおいて、導電性パターン52の厚み、すなわち導電層52aの厚みは小さい方が好ましい。一方、導電層52aの厚みが小さすぎると、導電層52aの電気抵抗が大きくなり、このため、電解めっき処理の際に導電性パターン52上に第1金属層32が形成され難くなってしまう。これらの点を考慮すると、導電層52aの厚みは、50〜500nmの範囲内になっていることが好ましい。
次に図8Bに示すように、導電層52a上に、所定のパターンを有するレジストパターン53を形成する。レジストパターン53を形成する方法としては、後述するレジストパターン55の場合と同様に、フォトリソグラフィー法などが採用され得る。レジストパターン53用の材料に所定のパターンで光を照射する方法としては、所定のパターンで露光光を透過させる露光マスクを用いる方法や、所定のパターンで露光光をレジストパターン53用の材料に対して相対的に走査する方法などが採用され得る。その後、図8Cに示すように、導電層52aのうちレジストパターン53によって覆われていない部分を、エッチングによって除去する。次に図8Dに示すように、レジストパターン53を除去する。
これによって、第1金属層32に対応するパターンを有する導電性パターン52が形成されたパターン基板50を得ることができる。
〔第1成膜工程〕
次に、パターン基板50を利用して上述の第1金属層32を作製する第1成膜工程について説明する。ここでは、導電性パターン52が形成された基材51上に第1めっき液を供給して、導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる第1めっき処理工程を実施する。例えば、導電性パターン52が形成された基材51を、第1めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図9Aに示すように、基材51上に、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32を得ることができる。第1金属層32の厚みは、例えば5μm以下になっている。
なおめっき処理の特性上、図9Aに示すように、第1金属層32は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重なる部分だけでなく、導電性パターン52と重ならない部分にも形成され得る。これは、導電性パターン52の端部54と重なる部分に析出した第1金属層32の表面にさらに第1金属層32が析出するためである。この結果、図9Aに示すように、第1開口部30の端部33は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重ならない部分に位置するようになり得る。
導電性パターン52上に第1金属層32を析出させることができる限りにおいて、第1めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることはない。例えば第1めっき処理工程は、導電性パターン52に電流を流すことによって導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第1めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお第1めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、導電性パターン52上には適切な触媒層が設けられていてもよい。若しくは、導電性パターン52が、触媒層として機能するよう構成されていてもよい。電解めっき処理工程が実施される場合にも、導電性パターン52上に触媒層が設けられていてもよい。
用いられる第1めっき液の成分は、第1金属層32に求められる特性に応じて適宜定められる。例えば第1金属層32が、ニッケルを含む鉄合金によって構成される場合、第1めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いることができる。例えば、スルファミン酸ニッケルや臭化ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸第一鉄を含む溶液との混合溶液を用いることができる。めっき液には、様々な添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、ホウ酸などのpH緩衝剤、サッカリンナトリウなどの一次光沢剤、ブチンジオール、プロパギルアルコール、クマリン、ホルマリン、チオ尿素などの二次光沢剤や、酸化防止剤などが用いられ得る。
〔第2成膜工程〕
次に、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37を第1金属層32上に形成する第2成膜工程を実施する。まず、基材51上および第1金属層32上に、所定の隙間56を空けてレジストパターン55を形成するレジスト形成工程を実施する。図9Bは、基材51上に形成されたレジストパターン55を示す断面図である。図9Bに示すように、レジスト形成工程は、第1金属層32の第1開口部30がレジストパターン55によって覆われるとともに、レジストパターン55の隙間56が第1金属層32上に位置するように実施される。
以下、レジスト形成工程の一例について説明する。はじめに、基材51上および第1金属層32上にドライフィルムを貼り付けることによって、ネガ型のレジスト膜を形成する。ドライフィルムの例としては、例えば日立化成製のRY3310など、アクリル系光硬化性樹脂を含むものを挙げることができる。また、レジストパターン55用の材料を基材51上に塗布し、その後に必要に応じて焼成を実施することにより、レジスト膜を形成してもよい。次に、レジスト膜のうち隙間56となるべき領域に光を透過させないようにした露光マスクを準備し、露光マスクをレジスト膜上に配置する。その後、真空密着によって露光マスクをレジスト膜に十分に密着させる。なおレジスト膜として、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合、露光マスクとして、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させるようにした露光マスクが用いられる。
その後、レジスト膜を露光マスク越しに露光する。さらに、露光されたレジスト膜に像を形成するためにレジスト膜を現像する。以上のようにして、図9Bに示すように、第1金属層32上に位置する隙間56が設けられるとともに第1金属層32の第1開口部30を覆うレジストパターン55を形成することができる。なお、レジストパターン55を基材51および第1金属層32に対してより強固に密着させるため、現像工程の後にレジストパターン55を加熱する熱処理工程を実施してもよい。
次に、レジストパターン55の隙間56に第2めっき液を供給して、第1金属層32上に第2金属層37を析出させる第2めっき処理工程を実施する。例えば、第1金属層32が形成された基材51を、第2めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図9Cに示すように、第1金属層32上に第2金属層37を形成することができる。第2金属層37の厚みは、中間部18の厚みT2が3〜20μmの範囲内になるように設定される。
第1金属層32上に第2金属層37を析出させることができる限りにおいて、第2めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることとはない。例えば、第2めっき処理工程は、第1金属層32に電流を流すことによって第1金属層32上に第2金属層37を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第2めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお第2めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、第1金属層32上には適切な触媒層が設けられていてもよい。電解めっき処理工程が実施される場合にも、第1金属層32上に触媒層が設けられていてもよい。
第2めっき液としては、上述の第1めっき液と同一のめっき液が用いられてもよい。若しくは、第1めっき液とは異なるめっき液が第2めっき液として用いられてもよい。第1めっき液の組成と第2めっき液の組成とが同一である場合、第1金属層32を構成する金属の組成と、第2金属層37を構成する金属の組成も同一になる。
なお図9Cにおいては、レジストパターン55の上面と第2金属層37の上面とが一致するようになるまで第2めっき処理工程が継続される例を示したが、これに限られることはない。第2金属層37の上面がレジストパターン55の上面よりも下方に位置する状態で、第2めっき処理工程が停止されてもよい。
〔除去工程〕
その後、レジストパターン55を除去する除去工程を実施する。例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、レジストパターン55を基材51、第1金属層32や第2金属層37から剥離させることができる。
〔分離工程〕
次に、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体を基材51から分離させる分離工程を実施する。これによって、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32と、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37と、を備えた、蒸着マスク20の中間部18を得ることができる。
その後、上述のように、中間部18とは別個に準備された一対の耳部17を中間部18に接合することにより、蒸着マスク20を得ることができる。
上述のようにして蒸着マスク20を製造することの利点について、以下に説明する。
本実施の形態において、蒸着マスク20は、一対の耳部17と中間部18とを接合することによって構成されている。従って、蒸着マスク20の長手方向における中間部18の長さA2は、蒸着マスク20全体の長さAよりも小さくなっている。このため、中間部18を製造するために用いられるパターン基板50の長さB1を、蒸着マスク20全体の長さAよりも小さくすることができる。従って、一対の耳部17および中間部18が一体的に構成される蒸着マスク20を製造する場合に比べて小型の製造設備を用いて、パターン基板50を利用して中間部18を製造することができる。例えば、露光マスクを用いたフォトリソグラフィー法によってパターン基板50上にレジストパターン55を形成するための設備として、小型のものを用いることができる。また、レジストパターン55の隙間56にめっき液(第2めっき液)を供給して金属層(第2金属層37)を形成するための設備としても、小型のものを用いることができる。従って、大型の設備を用いる場合に比べて、中間部18の貫通孔25の位置や形状に、ばらつきや設計からのずれが生じてしまうことを抑制することができる。このため、大型の有機EL基板92に対応することができ、かつ有機EL基板92上に精密に蒸着材料98を付着させることができる蒸着マスク20を提供することができる。また、蒸着マスク20の大型化に対応するために必要な設備投資を削減することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1の変形例)
上述の図6および図9A乃至図9Cに示す例においては、蒸着マスク20の中間部18が、第1金属層32および第2金属層37という、少なくとも2つの金属層を積層させることによって構成される場合について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、蒸着マスク20の中間部18は、所定のパターンで複数の貫通孔25が形成された1つの金属層27によって構成されていてもよい。以下、図10A〜図11を参照して、蒸着マスク20の中間部18が1つの金属層27を備える例について説明する。なお本変形例においては、蒸着マスク20の中間部18の第1面20aから第2面20bに至る貫通孔25のうち第1面20a上に位置する部分を第1開口部30と称し、貫通孔25のうち第2面20b上に位置する部分を第2開口部35と称する。
はじめに、本変形例による蒸着マスク20の中間部18を製造する方法について説明する。
まず、所定の導電性パターン52が形成された基材51を準備する。次に図10Aに示すように、基材51上に、所定の隙間56を空けてレジストパターン55を形成するレジスト形成工程を実施する。好ましくは、レジストパターン55の隙間56を画成するレジストパターン55の側面57の間の間隔は、基材51から遠ざかるにつれて狭くなっている。すなわち、レジストパターン55が、基材51から遠ざかるにつれてレジストパターン55の幅が広くなる形状、いわゆる逆テーパ形状を有している。
このようなレジストパターン55を形成する方法の一例について説明する。例えば、はじめに、基材51の面のうち導電性パターン52が形成された側の面上に、光硬化性樹脂を含むレジスト膜を設ける。次に、基材51のうちレジスト膜が設けられている側とは反対の側から基材51に入射させた露光光をレジスト膜に照射して、レジスト膜を露光する。その後、レジスト膜を現像する。この場合、露光光の回り込み(回折)に基づいて、図10Aに示すような逆テーパ形状を有するレジストパターン55を得ることができる。
次に図10Bに示すように、レジストパターン55の隙間56にめっき液を供給して、導電性パターン52上に金属層27を析出させるめっき処理工程を実施する。その後、上述の除去工程および分離工程を実施することにより、図11に示すように、所定のパターンで貫通孔25が設けられた金属層27を備えた蒸着マスク20の中間部18を得ることができる。金属層27の厚みは、例えば5〜50μmの範囲内になっている。
なお、図11に示す蒸着マスク20の中間部18を作製するために用いられ得るレジストパターン55が、図10Aおよび図10Bに示すレジストパターン55に限られることはない。例えば、レジストパターン55が、基材51から遠ざかるにつれてレジストパターン55の幅が狭くなる形状、いわゆる順テーパ形状を有している場合であっても、図11に示す貫通孔25が設けられた蒸着マスク20の中間部18を得ることができる。この場合、めっき処理工程によって形成される金属層27の面のうち基材51に接する側の面が、蒸着マスク20の中間部18の第2面20bとなる。
(第2の変形例)
上述の本実施の形態および第1の変形例においては、めっき処理によって蒸着マスク20の中間部18を作製する例について説明した。しかしながら、蒸着マスク20の中間部18を作製するために採用される方法が、めっき処理に限られることはない。以下、エッチングによって金属板21に貫通孔25を形成することによって蒸着マスク20の中間部18を作製し、蒸着マスク20を得る方法の概略について、図12A乃至図12Cを参照して説明する。
(中間部準備工程)
はじめに、図12Aに示すように、所定の厚みを有する金属板21を準備する。金属板21を構成する材料としては、ニッケルを含む鉄合金などが用いられ得る。なお図12Aにおいては、シートなどの枚葉の形態で金属板21が準備される例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、長尺状の金属板21が準備されてもよい。次に、エッチングを利用して金属板21に貫通孔25を形成することにより、金属板21に、複数の貫通孔25が形成された複数の有効領域22を設ける。例えば、はじめに、金属板21の第1面21a上および第2面21b上にそれぞれレジスト膜を設ける。次に、金属板21のうち貫通孔25が形成されるべき領域の上に位置するレジスト膜が除去されるように、露光マスクを介してレジスト膜に露光光を照射し、その後、レジスト膜を現像する。図12Bには、金属板21と重なるように露光マスク70が配置される様子が示されている。次に、金属板21のうちレジスト膜によって覆われていない領域をエッチングする。これによって、図13に示すように、金属板21に、複数の貫通孔25が形成された複数の有効領域22を設けることができる。このとき、図12Cに示すように、エッチングを利用して、蒸着マスク20の長手方向に対応する方向に沿って金属板21を複数に切断してもよい。これによって、長手方向に沿って複数の有効領域22が設けられた中間部18を得ることができる。
図12Bにおいて、金属板21に割り付けられる中間部18の長手方向における、露光マスク70の寸法(以下、露光マスク70の長さとも称する)が、符号B3で表されている。また、金属板21に割り付けられる中間部18の長手方向に直交する方向における、露光マスク70の寸法(以下、露光マスク70の幅とも称する)が、符号B4で表されている。露光マスク70の長さB3は、中間部18の長さA2以上に設定され、かつ蒸着マスク20全体の長さAよりも小さく設定される。例えば長さB3は、850〜1200mmの範囲内になっている。露光マスク70の幅B4は、金属板21に割り付けられる中間部18の本数に応じて設定される。例えば幅B4は、300〜750mmの範囲内になっている。
(耳部準備工程)
また、上述の本実施の形態の場合と同様にして、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eを構成する一対の耳部17を準備する耳部準備工程を実施する。
(接合工程)
その後、上述の本実施の形態の場合と同様にして、一対の耳部17の間に中間部18が位置するよう、接合部19を介して一対の耳部17を中間部18に接合する接合工程を実施する。これによって、蒸着マスク20を得ることができる。
以下、図13乃至図14Dを参照して、エッチングを利用して中間部18を製造する方法について詳細に説明する。
図13は、エッチングを利用することによって作製された蒸着マスク20の中間部18を、図5のY−Y線に沿って切断した場合を示す断面図である。図13に示す例では、後に詳述するように、蒸着マスクの法線方向における一方の側となる金属板21の第1面21aに第1開口部30がエッチングによって形成され、金属板21の法線方向における他方の側となる第2面21bに第2開口部35がエッチングによって形成される。第1開口部30は、第2開口部35に接続され、これによって第2開口部35と第1開口部30とが互いに通じ合うように形成される。貫通孔25は、第2開口部35と、第2開口部35に接続された第1開口部30とによって構成されている。
図13に示すように、蒸着マスク20の中間部18の第1面20aの側から第2面20bの側へ向けて、中間部18の法線方向に沿った各位置における中間部18の板面に沿った断面での各第1開口部30の断面積は、しだいに小さくなっていく。同様に、中間部18の法線方向に沿った各位置における中間部18の板面に沿った断面での各第2開口部35の断面積は、中間部18の第2面20bの側から第1面20aの側へ向けて、しだいに小さくなっていく。
図13に示すように、第1開口部30の壁面31と、第2開口部35の壁面36とは、周状の接続部41を介して接続されている。接続部41は、中間部18の法線方向に対して傾斜した第1開口部30の壁面31と、中間部18の法線方向に対して傾斜した第2開口部35の壁面36とが合流する張り出し部の稜線によって、画成されている。そして、接続部41は、中間部18の平面視において貫通孔25の面積が最小になる貫通部42を画成する。
図13に示すように、中間部18の法線方向に沿った一方の側の面、すなわち、中間部18の第1面20a上において、隣り合う二つの貫通孔25は、中間部18の板面に沿って互いから離間している。すなわち、後述する製造方法のように、中間部18の第1面20aに対応するようになる金属板21の第1面21a側から当該金属板21をエッチングして第1開口部30を作製する場合、隣り合う二つの第1開口部30の間に金属板21の第1面21aが残存するようになる。
同様に、図13に示すように、中間部18の法線方向に沿った他方の側、すなわち、中間部18の第2面20bの側においても、隣り合う二つの第2開口部35が、蒸着マスクの板面に沿って互いから離間していてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2開口部35の間に金属板21の第2面21bが残存していてもよい。以下の説明において、金属板21の第2面21bの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分のことを、トップ部43とも称する。このようなトップ部43が残るように中間部18を作製することにより、中間部18に十分な強度を持たせることができる。このことにより、例えば搬送中などに蒸着マスク20が破損してしまうことを抑制することができる。なおトップ部43の幅βが大きすぎると、蒸着工程においてシャドーが発生し、これによって蒸着材料98の利用効率が低下することがある。従って、トップ部43の幅βが過剰に大きくならないように蒸着マスク20が作製されることが好ましい。例えば、トップ部43の幅βが2μm以下であることが好ましい。なおトップ部43の幅βは一般に、幅βを測定する方向に応じて変化する。例えば、図13に示す、図5のY−Y線に沿って蒸着マスクを仮想的に切断した場合の断面図におけるトップ部43の幅βと、図5のY−Y線に交差する方向に沿って蒸着マスクを仮想的に切断した場合の断面図におけるトップ部43の幅βとは、互いに異なることがある。この場合、いずれの方向で中間部18を切断した場合にもトップ部43の幅βが2μm以下になるよう、中間部18が構成されていてもよい。
図13においても、上述の図6および図11に示す場合と同様に、中間部18の第2面20b側における貫通孔25(第2開口部35)の端部38を通る蒸着材料98の経路であって、有機EL基板92に到達することができる経路のうち、中間部18の法線方向Nに対してなす角度が最小となる経路が、符号L1で表されている。また、経路L1と中間部18の法線方向Nとがなす角度が、符号θ1で表されている。本形態においても、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、角度θ1を大きくすることが好ましい。例えば、中間部18の強度を確保できる範囲内で可能な限り中間部18の厚みを小さくし、これによって角度θ1を大きくすることが好ましい。例えば中間部18の厚みは、80μm以下に、例えば10〜80μmの範囲内や20〜80μmの範囲内に設定される。蒸着の精度をさらに向上させるため、中間部18の厚みを、40μm以下に、例えば10〜40μmの範囲内や20〜40μmの範囲内に設定してもよい。なお中間部18の厚みは、周囲領域23の厚み、すなわち中間部18のうち第1開口部30および第2開口部35が形成されていない部分の厚みである。従って中間部18の厚みは、金属板21の厚みであると言うこともできる。
次に、図13に示す蒸着マスク20を、エッチングを利用して製造する方法について説明する。
はじめに、所定の厚みを有する金属板21を準備する。金属板21を構成する材料としては、ニッケルを含む鉄合金などが用いられ得る。次に図14Aに示すように、金属板21の第1面21a上に、所定の隙間66aを空けて第1レジストパターン65aを形成する。また、金属板21の第2面21b上に、所定の隙間66bを空けて第2レジストパターン65bを形成する。これら第1レジストパターン65aおよび第2レジストパターン65bは、上述のように、金属板21の第1面21a上および第2面21b上に設けられたレジスト膜を、露光マスクを用いて所定のパターンで露光し、その後に現像することによって得られる。
その後、図14Bに示すように、金属板21の第1面21aのうち第1レジストパターン65aによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングする第1面エッチング工程を実施する。例えば、第1エッチング液が、金属板21の第1面21aに対面する側に配置されたノズルから、第1レジストパターン65a越しに金属板21の第1面21aに向けて噴射される。この結果、図14Bに示すように、金属板21の第1面21aのうち第1レジストパターン65aによって覆われていない領域で、第1エッチング液による浸食が進む。これによって、金属板21の第1面21aに多数の第1開口部30が形成される。第1エッチング液としては、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものが用いられる。
その後、図14Cに示すように、後の第2面エッチング工程において用いられる第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、第1開口部30が被覆される。すなわち、第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、第1開口部30が封止される。図14Cに示す例においては、樹脂69の膜が、形成された第1開口部30だけでなく、金属板21の第1面21a(第1レジストパターン65a)も覆うように形成されている。
次に、図14Dに示すように、金属板21の第2面21bのうち第2レジストパターン65bによって覆われていない領域をエッチングし、第2面21bに第2開口部35を形成する第2面エッチング工程を実施する。第2面エッチング工程は、第1開口部30と第2開口部35とが互いに通じ合い、これによって貫通孔25が形成されるようになるまで実施される。第2エッチング液としては、上述の第1エッチング液と同様に、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものが用いられる。
なお第2エッチング液による浸食は、金属板21のうち第2エッチング液に触れている部分において行われていく。従って、浸食は、金属板21の法線方向(厚み方向)のみに進むのではなく、金属板21の板面に沿った方向にも進んでいく。ここで好ましくは、第2面エッチング工程は、第2レジストパターン65bの隣り合う二つの隙間66bに対面する位置にそれぞれ形成された二つの第2開口部35が、二つの隙間66bの間に位置するブリッジ部67bの裏側において合流するよりも前に終了される。これによって、図14Dに示すように、金属板21の第2面21bに上述のトップ部43を残すことができる。
その後、金属板21から樹脂69を除去する。これによって、金属板21に形成された複数の貫通孔25を備える中間部18を得ることができる。樹脂69は、例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、除去することができる。アルカリ系剥離液が用いられる場合、樹脂69と同時にレジストパターン65a,65bも除去され得る。なお、樹脂69を除去した後、樹脂69を剥離させるための剥離液とは異なる剥離液を用いて、樹脂69とは別途にレジストパターン65a,65bを除去してもよい。その後、中間部18とは別個に準備された一対の耳部17を中間部18に接合することにより、蒸着マスク20を得ることができる。
上述の本実施の形態の場合と同様に、本変形例においても、蒸着マスク20は、一対の耳部17と中間部18とを接合することによって構成されている。従って、蒸着マスク20の長手方向における中間部18の長さA2は、蒸着マスク20全体の長さAよりも小さくなっている。このため、中間部18を製造するために用いられる露光マスク70の長さB3を、蒸着マスク20全体の長さAよりも小さくすることができる。従って、一対の耳部17および中間部18が一体的に構成される蒸着マスク20を製造する場合に比べて小型の製造設備を用いて、金属板21を加工して中間部18を製造することができる。例えば、露光マスク70を用いたフォトリソグラフィー法によって金属板21上にレジストパターン65a,65bを形成するための設備として、小型のものを用いることができる。
また、金属板21の面21a,21bのうちレジストパターン65a,65bによって覆われていない領域をエッチングするための設備として、小型のものを用いることができる。従って、大型の設備を用いる場合に比べて、中間部18の貫通孔25の位置や形状に、ばらつきや設計からのずれが生じてしまうことを抑制することができる。このため、大型の有機EL基板92に対応することができ、かつ有機EL基板92上に精密に蒸着材料98を付着させることができる蒸着マスク20を提供することができる。また、蒸着マスク20の大型化に対応するために必要な設備投資を削減することができる。
なお上述の図13〜図14Dに示す例においては、金属板21を第1面21a側および第2面21b側の両方からエッチングすることによって蒸着マスク20の中間部18が作製される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図示はしないが、金属板21を第2面21b側からエッチングして、第2面21bから第1面21aへ至る貫通孔25を形成することにより、蒸着マスク20の中間部18を作製してもよい。
(第3の変形例)
上述の本実施の形態および各変形例においては、蒸着マスク20の中間部18が、蒸着マスク20の長手方向に沿って一列に並べられた複数の有効領域22を含む例を示したが、これに限られることはない。例えば図15に示すように、蒸着マスク20の長手方向および幅方向の両方に沿って、複数の有効領域22が格子状に配置されていてもよい。本変形例においても、図15に示すように、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eを、接合部19を介して中間部18に接合された一対の耳部17によって構成してもよい。
(第4の変形例)
上述の本実施の形態においては、接合工程において、レーザー光が、中間部18の第1面20aの一部に、蒸着マスク20の幅方向に沿う各位置において間欠的に点状に照射される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、接合工程において、レーザー光は、中間部18の第1面20aの一部に、蒸着マスク20の幅方向に沿う各位置へ連続的に線状に照射されてもよい。この場合、耳部17の一部および中間部18の一部に跨る融合領域19bは、蒸着マスク20の幅方向に沿って線状に形成される。また図16に示すように、中間部18の第1面20aに、蒸着マスク20の幅方向に沿って延びる線状の溶接痕19cが形成される。線状の溶接痕19cは、上述の点状の溶接痕19aと同様に、断面図において凹形状などを有している。
(第5の変形例)
上述の本実施の形態においては、接合工程において、レーザー光が中間部18の第1面20aに照射される例を示した。しかしながら、耳部17の一部と中間部18の一部とを融解させ、これによって耳部17と中間部18とを接合することができる限りにおいて、レーザー光が照射される面が特に限られることはない。例えば、レーザー光を、中間部18の一部と重ねられた耳部17の一部の第2面20bに照射してもよい。この場合、図17に示すように、中間部18の融解に起因する凹部などの溶接痕19aが、耳部17の第2面20bに形成される。
なお図示はしないが、中間部18の融解に起因する凹部などの溶接痕19aが、中間部18の面および耳部17の面の両方に形成されることもある。例えば、耳部17の一部および中間部18の一部を電極で挟持した状態で電極間に電圧を印加する電気溶接法が実施される場合、凹部などの溶接痕19aが、中間部18の面および耳部17の面の両方に形成され得る。
なお図4および図17においては、耳部17の第1面20aと中間部18の第2面20bとが接するよう、耳部17の端部17eと中間部18の端部18eとが重ねられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図示はしないが、耳部17の第2面20bと中間部18の第1面20aとが接するよう、耳部17の端部17eと中間部18の端部18eとを重ねてもよい。
(第6の変形例)
上述の本実施の形態においては、接合工程において、耳部17の端部17eと中間部18の端部18eとが重ねられた状態で、耳部17と中間部18とが接合される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図18に示すように、耳部17の端部17eの端面と中間部18の端部18eの端面とを接触させた状態で耳部17の端部17eの端面と中間部18の端部18eの端面とを融解させ、これによって耳部17の端部17eと中間部18の端部18eとの間に融合領域19bを形成し、耳部17と中間部18とを接合してもよい。
(第7の変形例)
上述の本実施の形態においては、接合部19が、耳部17の一部と中間部18の一部とが融合した融合領域19bを含む例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、耳部17および中間部18とは別個の部材を利用して耳部17と中間部18とを接合してもよい。例えば図19に示すように、耳部17の端部17eの端面と中間部18の端部18eの端面とを接触させた状態で、端部17e,18eに重なるように接合用部材19dを配置し、この接合用部材19dを融解させることにより、耳部17と中間部18とを接合してもよい。接合用部材19dとしては、耳部17や中間部18を構成する材料と同一の材料を用いることができ、例えば、34〜38質量%のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を用いることができる。
(第8の変形例)
上述の本実施の形態においては、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eを構成する一対の耳部17のいずれもが、接合部19を介して中間部18に接合されたものである例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、一対の耳部17のうちの少なくとも一方が、接合部19を介して中間部18に接合されたものであればよい。例えば、一対の耳部17のうちの一方の耳部は、接合部19を介して中間部18に接合されたものであるが、一対の耳部17のうちの他方の耳部は、中間部18と一体的に構成されたものであってもよい。例えば、めっき処理によって中間部18が作製される場合、他方の耳部も、めっき処理によって中間部18とともに作製される。また、金属板21をエッチングすることによって中間部18が作製される場合、他方の耳部も、中間部18とともに金属板21から作製される。この場合であっても、一対の耳部17の長さA1の分だけ、中間部18の長さA2を、蒸着マスク20全体の長さAよりも小さくすることができる。このあめ、小型の製造設備を用いて、中間部18および他方の耳部17を製造することができる。
(第9の変形例)
上述の本実施の形態および各変形例においては、蒸着マスク20が、耳部17と中間部18とを接合することによって構成される例を示した。しかしながら、小型の製造設備を用いて蒸着マスク20を製造することができる限りにおいて、蒸着マスク20の分割形態が、蒸着マスク20を耳部17と中間部18とに分割する形態に限られることはない。本変形例においては、蒸着マスク20の中間部18が第1中間部18Aと第2中間部18Bとに分割されている例について説明する。
図20は、本変形例による蒸着マスク20を含む蒸着マスク装置10を示す平面図である。図20に示すように、蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eを構成する一対の耳部17と、一対の耳部17の間に位置する中間部18と、を備えている。中間部18は、蒸着マスク20の長手方向に沿って設けられた複数の有効領域22と、22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいる。また有効領域22には、規則的な配列で複数の貫通孔25が形成されている。
本変形例において、中間部18は、蒸着マスク20の長手方向において、少なくとも1つの有効領域22を含む第1中間部18Aと、少なくとも1つの有効領域22を含む第2中間部18Bとに少なくとも区画される。図20においては、第1中間部18Aおよび第2中間部18Bがそれぞれ3つの有効領域22を含む例が示されている。なお図示はしないが、第1中間部18Aに含まれる有効領域22の数と、第2中間部18Bに含まれる有効領域22の数とが異なっていてもよい。
図20に示す例においては、蒸着マスク20の一方の端部20eを含む一方の耳部17が、第1中間部18Aと一体的に構成されている。また、蒸着マスク20の他方の端部20eを含む他方の耳部17が、第2中間部18Bと一体的に構成されている。図20において、蒸着マスク20の長手方向における、一方の耳部17と一体的に構成された第1中間部18Aの長さが、符号C1で表されている。また、蒸着マスク20の長手方向における、他方の耳部17と一体的に構成された第2中間部18Bの長さが、符号C2で表されている。
本変形例において、第1中間部18Aと第2中間部18Bとは、周囲領域23において接合部19を介して接合されている。図21は、第1中間部18Aと第2中間部18Bとが接合される接合部19を拡大して示す平面図である。また図22は、接合部19を拡大して示す断面図である。図22に示すように、接合部19は、第1中間部18Aの周囲領域23の一部と第2中間部18Bの周囲領域23の一部とがそれぞれ融解することによって融合し、その後に固化することによって形成される融合領域19bを含んでいる。レーザー光を第1中間部18Aおよび第2中間部18Bに照射して融合領域19bを形成する場合、第1中間部18Aおよび第2中間部18Bの面には、図21に示すように、第1中間部18Aおよび第2中間部18Bの融解に起因する凹部などの溶接痕19aが形成される。
好ましくは、図22に示すように、接合部19において、第1中間部18Aの周囲領域23に位置する端部18Aeの端面と、第2中間部18Bの周囲領域23に位置する端部18Beの端面とが接触している。この場合、図22に示すように、第1中間部18Aの第1面20aと第2中間部18Bの第1面20aとを同一平面上に位置させたり、第1中間部18Aの第2面20bと第2中間部18Bの第2面20bとを同一平面上に位置させたりすることができる。このことにより、第1中間部18Aと第2中間部18Bとの間に段差が生じてしまうことを抑制することができる。なお図示はしないが、図19に示す上述の第7の変形例の場合と同様に、第1中間部18Aの端部18Aeの端面と第2中間部18Bの端部18Beの端面とを接触させた状態で、端部18Aeの端面および端部18Beの端面に重なるように接合用部材19dを配置し、この接合用部材19dを融解させることにより、第1中間部18Aと第2中間部18Bとを接合してもよい。
次に、図20に示す蒸着マスク20を製造する方法の一例について、図23A乃至図23Cを参照して説明する。
(中間部準備工程)
まず、複数の貫通孔25が形成された第1中間部18Aおよび第2中間部18Bを含む中間部18を準備する中間部準備工程を実施する。ここでは、上述の本実施の形態の場合と同様に、めっき処理を利用して第1中間部18Aおよび第2中間部18Bを製造する例について説明する。はじめに図23Aに示すように、パターン基板50を準備する。次に、パターン基板50にめっき液を供給して、パターン基板50の導電性パターン52上に上述の第1金属層32や第2金属層37などの金属層を析出させる。これによって図23Bに示すように、パターン基板50上に、複数の有効領域22を含む第1中間部18Aおよび第2中間部18Bをそれぞれ形成することができる。その後、第1中間部18Aおよび第2中間部18Bをそれぞれパターン基板50から分離させる。例えば、第1中間部18Aの一部を保持しながら第1中間部18Aをパターン基板50から引き剥がす。このようにして、めっき処理を利用して第1中間部18Aおよび第2中間部18Bを準備することができる。なお図23Bに示すように、一方の耳部17が第1中間部18Aと一体的にめっき処理によって形成され、また他方の耳部17が第2中間部18Bと一体的にめっき処理によって形成されてもよい。
図23Aにおいて、パターン基板50上に形成される第1中間部18Aおよび第2中間部18Bの長手方向における、パターン基板50の寸法(以下、パターン基板50の長さとも称する)が、符号B1で表されている。また、パターン基板50上に形成される第1中間部18Aおよび第2中間部18Bの長手方向に直交する方向における、パターン基板50の寸法(以下、パターン基板50の幅とも称する)が、符号B2で表されている。パターン基板50の長さB1は、第1中間部18Aの長さC1以上に設定され、第2中間部18Bの長さC2以上に設定され、かつ蒸着マスク20全体の長さAよりも小さく設定される。
(接合工程)
その後、第1中間部18Aと第2中間部18Bとが蒸着マスク20の長手方向に沿って並ぶよう、接合部19を介して第1中間部18Aと第2中間部18Bとを接合する接合工程を実施する。これによって図23Cに示すように、蒸着マスク20を得ることができる。接合方法としては、上述のレーザー溶接などの様々な方法が採用され得る。
本変形においても、上述の本実施の形態の場合と同様に、第1中間部18Aや第2中間部18Bなどを製造するために用いられるパターン基板50の長さB1を、蒸着マスク20全体の長さAよりも小さくすることができる。従って、第1中間部18Aおよび第2中間部18Bが一体的に構成される蒸着マスク20を製造する場合に比べて小型の製造設備を用いて、パターン基板50を利用して中間部18を製造することができる。このため、大型の設備を用いる場合に比べて、中間部18の貫通孔25の位置や形状に、ばらつきや設計からのずれが生じてしまうことを抑制することができる。従って、大型の有機EL基板92に対応することができ、かつ有機EL基板92上に精密に蒸着材料98を付着させることができる蒸着マスク20を提供することができる。また、蒸着マスク20の大型化に対応するために必要な設備投資を削減することができる。
なお本変形例においても、上述の第2の変形例の場合と同様に、エッチングによって金属板21に貫通孔25を形成することによって蒸着マスク20の第1中間部18Aおよび第2中間部18Bを作製し、蒸着マスク20を得てもよい。この場合、はじめに、図24Aに示すように、所定の厚みを有する金属板21を準備する。次に、エッチングを利用して金属板21に貫通孔25を形成することにより、金属板21に、複数の貫通孔25が形成された複数の有効領域22を設ける。例えば、はじめに、金属板21の第1面21a上および第2面21b上にそれぞれレジスト膜を設ける。次に、金属板21のうち貫通孔25が形成されるべき領域の上に位置するレジスト膜が除去されるように、露光マスクを介してレジスト膜に露光光を照射し、その後、レジスト膜を現像する。図24Bには、金属板21と重なるように露光マスク70が配置される様子が示されている。次に、金属板21のうちレジスト膜によって覆われていない領域をエッチングする。これによって、図24Cに示すように、金属板21に、複数の貫通孔25が形成された複数の有効領域22を設けることができる。このとき、図24Cに示すように、エッチングを利用して、蒸着マスク20の長手方向に対応する方向に沿って金属板21を複数に切断してもよい。これによって、少なくとも1つの有効領域22を含む第1中間部18Aと、少なくとも1つの有効領域22を含む第2中間部18Bと、を得ることができる。なお図24Cに示すように、一方の耳部17が第1中間部18Aと一体的にエッチングによって形成され、また他方の耳部17が第2中間部18Bと一体的にエッチングによって形成されてもよい。
図24Bにおいて、金属板21に割り付けられる第1中間部18Aおよび第2中間部18Bの長手方向における、露光マスク70の寸法(以下、露光マスク70の長さとも称する)が、符号B3で表されている。また、金属板21に割り付けられる第1中間部18Aおよび第2中間部18Bの長手方向に直交する方向における、露光マスク70の寸法(以下、露光マスク70の幅とも称する)が、符号B4で表されている。露光マスク70の長さB3は、第1中間部18Aの長さC1以上に設定され、第2中間部18Bの長さC2以上に設定され、かつ蒸着マスク20全体の長さAよりも小さく設定される。
(接合工程)
その後、図23Cに示す上述の接合工程の場合と同様にして、第1中間部18Aと第2中間部18Bとが蒸着マスク20の長手方向に沿って並ぶよう、接合部19を介して第1中間部18Aと第2中間部18Bとを接合する接合工程を実施する。これによって、蒸着マスク20を得ることができる。
本変形例においても、第1中間部18Aや第2中間部18Bなどを製造するために用いられる露光マスク70の長さB3を、蒸着マスク20全体の長さAよりも小さくすることができる。従って、第1中間部18Aおよび第2中間部18Bが一体的に構成される蒸着マスク20を製造する場合に比べて小型の製造設備を用いて、金属板21を加工して中間部18を製造することができる。このため、大型の設備を用いる場合に比べて、中間部18の貫通孔25の位置や形状に、ばらつきや設計からのずれが生じてしまうことを抑制することができる。従って、大型の有機EL基板92に対応することができ、かつ有機EL基板92上に精密に蒸着材料98を付着させることができる蒸着マスク20を提供することができる。また、蒸着マスク20の大型化に対応するために必要な設備投資を削減することができる。
なお図20乃至図24Cに示す上述の第9の変形例においても、上述の本実施の形態の場合と同様に、耳部17が、中間部18とは別個の部材として構成され、中間部18の第1中間部18Aまたは第2中間部18Bに接合されていてもよい。この場合、耳部17と第1中間部18Aや第2中間部18Bとが一体的に構成される場合に比べて、第1中間部18Aの長さや第2中間部18Bの長さをより小さくすることができる。このため、中間部18を製造するための製造設備として、より小型のものを用いることができる。若しくは、従来の製造設備を用いて、より大型の蒸着マスク20を製造することができる。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
17 耳部
18 中間部
19 接合部
19a 点状の溶接痕
19b 融合領域
19c 線状の溶接痕
19d 接合用部材
20 蒸着マスク
21 金属板
22 有効領域
23 周囲領域
25 貫通孔
26 貫通孔
30 第1開口部
31 壁面
32 第1金属層
35 第2開口部
36 壁面
37 第2金属層
41 接続部
43 トップ部
50 パターン基板
51 基材
52 導電性パターン
53 レジストパターン
54 端部
55 レジストパターン
56 隙間
65a 第1レジストパターン
65b 第2レジストパターン
70 露光マスク
92 有機EL基板
98 蒸着材料

Claims (1)

  1. 蒸着マスクであって、
    前記蒸着マスクの長手方向における一対の端部を構成する一対の耳部と、
    前記一対の耳部の間に位置する中間部と、を備え、
    前記中間部には、複数の貫通孔が形成されており、
    前記一対の耳部のうちの少なくとも一方は、接合部を介して前記中間部に接合されている、蒸着マスク。
JP2019202570A 2019-11-07 2019-11-07 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法 Active JP7047828B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019202570A JP7047828B2 (ja) 2019-11-07 2019-11-07 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019202570A JP7047828B2 (ja) 2019-11-07 2019-11-07 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015138981A Division JP6701543B2 (ja) 2015-07-10 2015-07-10 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020056109A true JP2020056109A (ja) 2020-04-09
JP7047828B2 JP7047828B2 (ja) 2022-04-05

Family

ID=70106637

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019202570A Active JP7047828B2 (ja) 2019-11-07 2019-11-07 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7047828B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023204295A1 (ja) * 2022-04-21 2023-10-26 凸版印刷株式会社 露光方法、蒸着マスクの製造方法、露光装置、および、蒸着マスク

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004006257A (ja) * 2002-04-26 2004-01-08 Tohoku Pioneer Corp 真空蒸着用マスク及びこれを用いて製造された有機elディスプレイパネル
JP2006037203A (ja) * 2004-07-30 2006-02-09 Sony Corp メタルマスクの製造方法およびメタルマスク
JP2006092752A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 Sony Corp コンビネーションマスクの製造方法
JP2010251320A (ja) * 2009-04-16 2010-11-04 Samsung Mobile Display Co Ltd 薄膜蒸着用マスクフレーム組立体、その製造方法及び有機発光表示装置の製造方法
JP2014125671A (ja) * 2012-12-27 2014-07-07 V Technology Co Ltd 蒸着マスク及びその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004006257A (ja) * 2002-04-26 2004-01-08 Tohoku Pioneer Corp 真空蒸着用マスク及びこれを用いて製造された有機elディスプレイパネル
JP2006037203A (ja) * 2004-07-30 2006-02-09 Sony Corp メタルマスクの製造方法およびメタルマスク
JP2006092752A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 Sony Corp コンビネーションマスクの製造方法
JP2010251320A (ja) * 2009-04-16 2010-11-04 Samsung Mobile Display Co Ltd 薄膜蒸着用マスクフレーム組立体、その製造方法及び有機発光表示装置の製造方法
JP2014125671A (ja) * 2012-12-27 2014-07-07 V Technology Co Ltd 蒸着マスク及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023204295A1 (ja) * 2022-04-21 2023-10-26 凸版印刷株式会社 露光方法、蒸着マスクの製造方法、露光装置、および、蒸着マスク

Also Published As

Publication number Publication date
JP7047828B2 (ja) 2022-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7121918B2 (ja) 蒸着マスク装置及び蒸着マスク装置の製造方法
US11211558B2 (en) Deposition mask device and method of manufacturing deposition mask device
JP7008288B2 (ja) 蒸着マスク、蒸着マスク装置、蒸着マスクの製造方法及び蒸着マスク装置の製造方法
JP6688478B2 (ja) 蒸着マスクの製造方法および蒸着マスク
US11773477B2 (en) Deposition mask
JP7406719B2 (ja) 蒸着マスク及びその製造方法、蒸着マスク装置及びその製造方法、中間体、蒸着方法、並びに有機el表示装置の製造方法
JP6728733B2 (ja) 蒸着マスクの製造方法および蒸着マスク
JP6701543B2 (ja) 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法
JP6221585B2 (ja) 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法
JP2020056109A (ja) 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法
JP6709534B2 (ja) 蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法
JP6720564B2 (ja) 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法
JP2016196675A (ja) 蒸着マスク製造方法
JP6624504B2 (ja) 蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法
JP6747054B2 (ja) 蒸着マスク溶接方法
JP2019081962A (ja) 蒸着マスク
JP2017057494A (ja) 蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法及び有機半導体素子の製造方法
JP6686549B2 (ja) 蒸着マスク装置の製造方法及び蒸着マスク装置
JP2021066949A (ja) 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法
JP7406717B2 (ja) 蒸着マスク
JP6997973B2 (ja) 蒸着マスク
JP2017057495A (ja) 蒸着マスク、蒸着マスク製造方法および有機半導体素子製造方法
TWI833876B (zh) 蒸鍍罩及其製造方法、蒸鍍罩裝置及其製造方法、中間體、蒸鍍方法、以及有機el顯示裝置之製造方法
JP2019199645A (ja) 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法
JP2017206741A (ja) 蒸着マスク

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210323

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210910

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220307

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7047828

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150