JP2016196675A - 蒸着マスク製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】正確に形成された貫通孔を備える蒸着マスクを製造する方法を提供する。
【解決手段】蒸着マスク製造方法は、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを準備する準備工程と、蒸着マスクのうち、貫通孔が形成されるべきであるが貫通孔が形成されていない不要部分を検出する検出工程と、不要部分にレーザー光を照射して不要部分を除去する除去工程と、を備えている。除去工程において不要部分に照射されるレーザー光のスポット径は、形成されるべき貫通孔の寸法よりも小さくなっている。
【選択図】図11

Description

本発明は、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを製造する蒸着マスク製造方法に関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であること、例えば画素密度が400ppi以上であることが求められている。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラフルハイビジョンに対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが求められる。
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の基板に対して蒸着マスクを密着させ、次に、密着させた蒸着マスクおよび基板を共に蒸着装置に投入し、有機材料を基板に蒸着させる蒸着工程を行う。この場合、高い画素密度を有する有機EL表示装置を精密に作製するためには、蒸着マスクの貫通孔の位置や形状を設計に沿って精密に再現することが求められる。
蒸着マスクの製造方法としては、例えば特許文献1に開示されているように、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングによって金属板に貫通孔を形成する方法が知られている。例えば、はじめに、金属板の第1面上に第1レジストパターンを形成し、また金属板の第2面上に第2レジストパターンを形成する。次に、金属板の第1面のうち第1レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第1面に第1開口部を形成する。その後、金属板の第2面のうち第2レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第2面に第2開口部を形成する。この際、第1開口部と第2開口部とが通じ合うようにエッチングを行うことにより、金属板を貫通する貫通孔を形成することができる。
その他にも、蒸着マスクの製造方法として、例えば特許文献2に開示されているように、めっき処理を利用して蒸着マスクを製造する方法が知られている。例えば特許文献2に記載の方法においては、はじめに、導電性を有する基材を準備する。次に、基材の上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、蒸着マスクの貫通孔が形成されるべき位置に設けられている。その後、レジストパターンの隙間にめっき液を供給して、電解めっき処理によって基材の上に金属層を析出させる。その後、金属層を基材から分離させることにより、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを得ることができる。
特許第5382259号公報 特開2001−234385号公報
上述のように、高い画素密度を有する有機EL表示装置を精密に作製するためには、蒸着マスクの貫通孔の位置や形状を設計に沿って精密に再現することが求められる。しかしながら、特許文献1のようにエッチングによって貫通孔を形成する場合、エッチング速度やエッチング時間のばらつき、エッチングの間に金属板に付着する異物や、金属板上に設けられているレジストパターンの位置の誤差などに起因して、蒸着マスクのうち貫通孔が形成されるべき部分に貫通孔が正確に形成されない、という事態が生じ得る。例えば、形成されるべき貫通孔の寸法よりも小さな貫通孔が金属板に形成されるという事態、すなわち、金属板のうちエッチングで除去されるべき部分が除去されずに不要部分として残る、という事態が生じ得る。このような不要部分が存在している蒸着マスクは、検査工程において不良品と判定されて廃棄される。従って、上述のような不要部分が残ることは、蒸着マスクの製造の歩留りを低下させてしまう。
金属板上に設けられているレジストパターンの位置に誤差が生じる原因としては、例えば、レジスト膜を露光する際に用いられる露光マスクの遮光部の形状の誤差が考えられる。露光マスクの遮光部の形状に誤差が生じる原因としては、露光マスクの遮光部が他の部材との接触などによって損傷することなどが考えられる。また、レジストパターンの位置に誤差が生じる原因としては、他にも、露光されたレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像処理の際の、現像時間の不足が考えられる。
また特許文献2のようにめっき処理によって蒸着マスクを作製する場合にも、以下に説明するように、蒸着マスクに上述の不要部分が存在することが考えられる。
めっき処理を利用する場合、上述のように、基材上に形成されるレジストパターンは、蒸着マスクの貫通孔が形成されるべき位置に配置される。一方、めっき処理工程においては、レジストパターンの隙間に供給されためっき液が、レジストパターンと基材との間に浸入してしまうことが生じ得る。浸入しためっき液がレジストパターンと基材との間で析出すると、貫通孔が形成されるべきであるが貫通孔が形成されていない部分、すなわち不要部分が形成されることになる。このようにめっき処理によって蒸着マスクを作製する場合にも、不要部分が形成されることによって蒸着マスクの製造の歩留りが低下することが考えられる。
不要部分が形成される原因としては、その他にも、めっき処理の際に基材に付着する異物が考えられる。また、後述するように基材上に設けられたレジストパターンの隙間にめっき液を供給して蒸着マスクを作製する場合、レジスト膜を露光するための露光マスクに異物が付着することによって、レジストパターンの位置に誤差が生じ、この結果、めっき処理の際に不要部分が形成されてしまうことが考えられる。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る蒸着マスク製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、蒸着マスク製造方法であって、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを準備する準備工程と、前記蒸着マスクのうち、前記貫通孔が形成されるべきであるが前記貫通孔が形成されていない不要部分を検出する検出工程と、前記不要部分にレーザー光を照射して前記不要部分を除去する除去工程と、を備え、除去工程において前記不要部分に照射される前記レーザー光のスポット径は、形成されるべき貫通孔の寸法よりも小さい、蒸着マスク製造方法である。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記不要部分は、ニッケルを含む鉄合金を有し、前記レーザー光は、YAGレーザー装置によって生成されるYAGレーザー光の第3高調波を含んでいてもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記蒸着マスクは、前記蒸着マスクを用いて蒸着材料を基板に蒸着させる際に前記基板と対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を含み、前記第2面における前記貫通孔の開口寸法は、前記第1面における前記貫通孔の開口寸法よりも大きく、前記レーザー光は、前記第2面側から前記不要部分に照射されてもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記除去工程においては、前記レーザー光のパルスが間欠的に前記不要部分に照射され、前記レーザー光の前記パルスの平均出力は、1.5〜2.0mJの範囲内であり、前記レーザー光の前記パルスの幅は、5〜7nsの範囲内であり、前記レーザー光の前記パルスの周期は、1〜60nsの範囲内であってもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記準備工程は、所定の基材上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成するレジスト形成工程と、前記レジストパターンの前記隙間において金属層を析出させるめっき処理工程と、前記金属層を前記基材から分離させる分離工程と、を有していてもよい。
本発明による蒸着マスク製造方法において、前記準備工程は、金属板を準備する工程と、前記金属板上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成するレジスト形成工程と、前記金属板のうち前記レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、前記金属板に前記貫通孔を形成する工程と、を有していてもよい。
本発明によれば、貫通孔が形成されるべきであるが貫通孔が形成されていない不要部分が蒸着マスクに存在している場合であっても、不要部分にレーザー光を照射することにより、不要部分を除去することができる。このため、蒸着マスクが不良品と判定されてしまうことを抑制することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す概略平面図。 図2は、図1に示す蒸着マスク装置を用いて蒸着する方法を説明するための図。 図3は、図1に示された蒸着マスクを示す部分平面図。 図4は、蒸着マスクの断面形状の一例を示す図。 図5Aは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図5Bは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図5Cは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図5Dは、図4に示す蒸着マスクをめっき処理によって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図6Aは、めっき処理によって蒸着マスクを製造する方法のその他の例の一工程を示す図。 図6Bは、めっき処理によって蒸着マスクを製造する方法のその他の例の一工程を示す図。 図7は、図6Aおよび図6Bに示す方法によって得られた蒸着マスクを示す断面図。 図8は、蒸着マスクの断面形状の一例を示す図。 図9Aは、図8に示す蒸着マスクをエッチングによって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図9Bは、図8に示す蒸着マスクをエッチングによって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図9Cは、図8に示す蒸着マスクをエッチングによって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図9Dは、図8に示す蒸着マスクをエッチングによって製造する方法の一例の一工程を示す図。 図10は、蒸着マスクの一部に不要部分が存在する例を示す部分平面図。 図11(a)(b)は、不要部分にレーザー光を照射して不要部分を除去する除去工程を説明するための図。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図11は、本発明による一実施の形態およびその変形例を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクの製造方法を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクの製造方法に対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(蒸着マスク装置)
まず、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例について、図1〜図3を参照して説明する。ここで、図1は、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す平面図であり、図2は、図1に示す蒸着マスク装置の使用方法を説明するための図である。図3は、蒸着マスクを第1面の側から示す平面図である。
図1及び図2に示された蒸着マスク装置10は、平面視において略矩形状の形状を有する複数の蒸着マスク20と、複数の蒸着マスク20の周縁部に取り付けられたフレーム15と、を備えている。各蒸着マスク20には、蒸着マスク20を貫通する複数の貫通孔25が設けられている。この蒸着マスク装置10は、図2に示すように、蒸着マスク20が蒸着対象物である基板、例えば有機EL基板92の下面に対面するようにして蒸着装置90内に支持され、有機EL基板92への蒸着材料の蒸着に使用される。
蒸着装置90内では、不図示の磁石からの磁力によって、蒸着マスク20と有機EL基板92とが密着するようになる。蒸着装置90内には、蒸着マスク装置10の下方に、蒸着材料(一例として、有機発光材料)98を収容するるつぼ94と、るつぼ94を加熱するヒータ96とが配置されている。るつぼ94内の蒸着材料98は、ヒータ96からの加熱により、気化または昇華して有機EL基板92の表面に付着するようになる。上述したように、蒸着マスク20には多数の貫通孔25が形成されており、蒸着材料98はこの貫通孔25を介して有機EL基板92に付着する。この結果、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が有機EL基板92の表面に成膜される。図2において、蒸着マスク20の面のうち蒸着工程の際に有機EL基板92と対向する面(以下、第1面とも称する)が符号20aで表されている。また、蒸着マスク20の面のうち第1面20aの反対側に位置する面(以下、第2面とも称する)が符号20bで表されている。第2面20b側には、蒸着材料98の蒸着源(ここではるつぼ94)が配置される。
上述したように、本実施の形態では、貫通孔25が各有効領域22において所定のパターンで配置されている。なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20が搭載された蒸着機をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着機に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
なお、蒸着マスク装置10のフレーム15は、矩形状の蒸着マスク20の周縁部に取り付けられている。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように蒸着マスク20を張った状態に保持する。蒸着マスク20とフレーム15とは、例えばスポット溶接により互いに対して固定されている。
ところで蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、蒸着マスク20やフレーム15と有機EL基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度が低下してしまう。このような課題を解決するため、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、蒸着マスク20およびフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。具体的には、34〜38質量%のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を、蒸着マスク20を構成する後述する第1金属層32および第2金属層37や金属板21の材料として用いることができる。なお本明細書において、「〜」という記号によって表現される数値範囲は、「〜」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34〜38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上かつ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
なお蒸着処理の際に、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92の温度が高温には達しない場合は、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数を有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値にする必要は特にない。この場合、蒸着マスク20を構成する後述する第1金属層32および第2金属層37や金属板21の材料として、ニッケルやニッケル−コバルト合金など、上述の鉄合金以外の様々な材料を用いることができる。
(蒸着マスク)
次に、蒸着マスク20について詳細に説明する。図1に示すように、本実施の形態において、蒸着マスク20は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。蒸着マスク20は、規則的な配列で貫通孔25が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいる。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。例えば、有機EL表示装置用の有機発光材料の蒸着に用いられる蒸着マスク20においては、有効領域22は、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる有機EL基板92の表示領域となる区域に対面する、蒸着マスク20内の領域のことである。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や凹部が形成されていてもよい。図1に示された例において、各有効領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。なお図示はしないが、各有効領域22は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域22は、円形状の輪郭を有していてもよい。
図示された例において、蒸着マスク20の複数の有効領域22は、蒸着マスク20の長手方向と平行な一方向に沿って所定の間隔を空けて一列に配列されている。図示された例では、一つの有効領域22が一つの有機EL表示装置に対応するようになっている。すなわち、図1に示された蒸着マスク装置10(蒸着マスク20)によれば、多面付蒸着が可能となっている。
図3に示すように、図示された例において、各有効領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されている。この貫通孔25の形状などについて、以下に詳細に説明する。ここでは、蒸着マスク20がめっき処理またはエッチングによって形成される場合の、貫通孔25の形状などについて、それぞれ説明する。
〔形態1 めっき処理によって作製された蒸着マスク〕
はじめに、蒸着マスク20がめっき処理によって作製されたものである場合について説明する。図4は、めっき処理によって作製された蒸着マスク20を、図3のA−A線に沿って切断した場合を示す断面図である。
図4に示すように、蒸着マスク20は、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32と、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37と、を備えている。第2金属層37は、第1金属層32よりも蒸着マスク20の第2面20b側に配置されている。図4に示す例においては、第1金属層32が蒸着マスク20の第1面20aを構成し、第2金属層37が蒸着マスク20の第2面20bを構成している。
本実施の形態においては、第1開口部30と第2開口部35とが互いに連通することにより、蒸着マスク20を貫通する貫通孔25が構成されている。この場合、蒸着マスク20の第1面20a側における貫通孔25の開口寸法や開口形状は、第1金属層32の第1開口部30によって画定される。一方、蒸着マスク20の第2面20b側における貫通孔25の開口寸法や開口形状は、第2金属層37の第2開口部35によって画定される。言い換えると、貫通孔25には、第1金属層32の第1開口部30によって画定される形状、および、第2金属層37の第2開口部35によって画定される形状の両方が付与されている。
図3に示すように、貫通孔25を構成する第1開口部30や第2開口部35は、平面視において略多角形状になっていてもよい。ここでは第1開口部30および第2開口部35が、略四角形状、より具体的には略正方形状になっている例が示されている。また図示はしないが、第1開口部30や第2開口部35は、略六角形状や略八角形状など、その他の略多角形状になっていてもよい。なお「略多角形状」とは、多角形の角部が丸められている形状を含む概念である。また図示はしないが、第1開口部30や第2開口部35は、円形状になっていてもよい。また、平面視において第2開口部35が第1開口部30を囲う輪郭を有する限りにおいて、第1開口部30の形状と第2開口部35の形状が相似形になっている必要はない。
図4において、符号41は、第1金属層32と第2金属層37とが接続される接続部を表している。また符号S0は、第1金属層32と第2金属層37との接続部41における貫通孔25の寸法を表している。なお図4においては、第1金属層32と第2金属層37とが接している例を示したが、これに限られることはなく、第1金属層32と第2金属層37との間にその他の層が介在されていてもよい。例えば、第1金属層32と第2金属層37との間に、第1金属層32上における第2金属層37の析出を促進させるための触媒層が設けられていてもよい。
図4に示すように、第2面20bにおける貫通孔25(第2開口部35)の開口寸法S2は、第1面20aにおける貫通孔25(第1開口部30)の開口寸法S1よりも大きくなっている。以下、このように第1金属層32および第2金属層37を構成することの利点について説明する。
蒸着マスク20の第2面20b側から蒸着マスク20に向かって飛来する蒸着材料98は、貫通孔25の第2開口部35および第1開口部30を順に通って有機EL基板92に付着する。有機EL基板92のうち蒸着材料98が付着する領域は、第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1や開口形状によって主に定められる。ところで、図4において第2面20b側から第1面20aへ向かう矢印で示すように、蒸着材料98は、るつぼ94から有機EL基板92に向けて蒸着マスク20の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。ここで、仮に第2面20bにおける貫通孔25の開口寸法S2が第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1と同一であるとすると、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動する蒸着材料98の多くは、貫通孔25を通って有機EL基板92に到達するよりも前に、貫通孔25の第2開口部35の壁面36に到達して付着してしまう。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、第2開口部35の開口寸法S2を大きくすることが好ましいと言える。
図4において、蒸着マスク20の第2面20b側における貫通孔25(第2開口部35)の端部38を通る蒸着材料98の経路であって、有機EL基板92に到達することができる経路のうち、蒸着マスク20の法線方向Nに対してなす角度が最小となる経路が、符号L1で表されている。また、経路L1と蒸着マスク20の法線方向Nとがなす角度が、符号θ1で表されている。斜めに移動する蒸着材料98を、第2開口部35の壁面36に到達させることなく可能な限り有機EL基板92に到達させるためには、角度θ1を大きくすることが有利となる。例えば角度θ1を45°以上にすることが好ましい。
上述の開口寸法S0,S1,S2は、有機EL表示装置の画素密度や上述の角度θ1の所望値などを考慮して、適切に設定される。例えば、400ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合、接続部41における貫通孔25の開口寸法S0は、20〜60μmの範囲内に設定され得る。また、第1面20aにおける第1開口部30の開口寸法S1は、10〜50μmの範囲内に設定され、第2面20bにおける第2開口部35の開口寸法S2は、15〜80μmの範囲内に設定され得る。
次に、図4に示す蒸着マスク20を、めっき処理を利用して製造する方法について説明する。
(第1成膜工程)
まず図5Aに示すように、所定の導電性パターン52が形成された基材51を準備する。導電性パターン52は、第1金属層32に対応するパターンを有している。絶縁性および適切な強度を有する限りにおいて、基材51を構成する材料や基材51の厚みが特に限られることはない。例えば基材51を構成する材料として、ガラスや合成樹脂などを用いることができる。
導電性パターン52を構成する材料としては、金属材料や酸化物導電性材料等の導電性を有する材料が適宜用いられる。金属材料の例としては、例えばクロムや銅などを挙げることができる。好ましくは、後述するレジストパターン55に対する高い密着性を有する材料が、導電性パターン52を構成する材料として用いられる。例えばレジストパターン55が、アクリル系光硬化性樹脂を含むレジスト膜など、いわゆるドライフィルムと称されるものをパターニングすることによって作製される場合、導電性パターン52を構成する材料として、ドライフィルムに対する高い密着性を有する銅が用いられることが好ましい。
後述するように、導電性パターン52の上には、導電性パターン52を覆うように第1金属層32が形成され、この第1金属層32はその後の工程で導電性パターン52から分離される。このため、第1金属層32のうち導電性パターン52と接する側の面の上には、通常、導電性パターン52の厚みに対応する窪みが形成される。この点を考慮すると、電解めっき処理に必要な導電性を導電性パターン52が有する限りにおいて、導電性パターン52の厚みは小さい方が好ましい。例えば導電性パターン52の厚みは、50〜500nmの範囲内になっている。
次に、導電性パターン52が形成された基材51上に第1めっき液を供給して、導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる第1めっき処理工程を実施する。例えば、導電性パターン52が形成された基材51を、第1めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図5Bに示すように、基材51上に、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32を得ることができる。第1金属層32の厚みは、例えば5μm以下になっている。
なおめっき処理の特性上、図5Bに示すように、第1金属層32は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重なる部分だけでなく、導電性パターン52と重ならない部分にも形成され得る。これは、導電性パターン52の端部53と重なる部分に析出した第1金属層32の表面にさらに第1金属層32が析出するためである。この結果、図5Bに示すように、第1開口部30の端部33は、基材51の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン52と重ならない部分に位置するようになり得る。また端部33の位置は、導電性パターン52の端部53に重なる部分に析出する第1金属層32の析出速度や、第1めっき処理工程が実施される時間(第1めっき処理時間)に応じて変化する。このため、第1金属層32の析出速度や第1めっき処理時間がばらつく場合、端部33の位置にもばらつきが生じ得る。この結果、第1開口部30が形成されるべきであるが第1開口部30が形成されずに第1金属層32が存在している部分(以下、不要部分とも称する)が形成されてしまうことが考えられる。このような課題を解決する方法については、後述する。
導電性パターン52上に第1金属層32を析出させることができる限りにおいて、第1めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることはない。例えば第1めっき処理工程は、導電性パターン52に電流を流すことによって導電性パターン52上に第1金属層32を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第1めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお第1めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、導電性パターン52上には適切な触媒層が設けられる。電解めっき処理工程が実施される場合にも、導電性パターン52上に触媒層が設けられていてもよい。
用いられる第1めっき液の成分は、第1金属層32に求められる特性に応じて適宜定められる。例えば第1金属層32が、ニッケルを含む鉄合金によって構成される場合、第1めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いることができる。例えば、スルファミン酸ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸鉄を含む溶液との混合溶液を用いることができる。めっき液には、マロン酸やサッカリンなどの添加剤が含まれていてもよい。
(第2成膜工程)
次に、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37を第1金属層32上に形成する第2成膜工程を実施する。まず、基材51上および第1金属層32上に、所定の隙間56を空けてレジストパターン55を形成するレジスト形成工程を実施する。図5Cは、基材51上に形成されたレジストパターン55を示す断面図である。図5Cに示すように、レジスト形成工程は、第1金属層32の第1開口部30がレジストパターン55によって覆われるとともに、レジストパターン55の隙間56が第1金属層32上に位置するように実施される。
以下、レジスト形成工程の一例について説明する。はじめに、基材51上および第1金属層32上にドライフィルムを貼り付けることによって、ネガ型のレジスト膜を形成する。ドライフィルムの例としては、例えば日立化成製のRY3310など、アクリル系光硬化性樹脂を含むものを挙げることができる。次に、レジスト膜のうち隙間56となるべき領域に光を透過させないようにした露光マスクを準備し、露光マスクをレジスト膜上に配置する。その後、真空密着によって露光マスクをレジスト膜に十分に密着させる。なおレジスト膜として、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合、露光マスクとして、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させるようにした露光マスクが用いられる。
その後、レジスト膜を露光マスク越しに露光する。さらに、露光されたレジスト膜に像を形成するためにレジスト膜を現像する。以上のようにして、図5Cに示すように、第1金属層32上に位置する隙間56が設けられるとともに第1金属層32の第1開口部30を覆うレジストパターン55を形成することができる。なお、レジストパターン55を基材51および第1金属層32に対してより強固に密着させるため、現像工程の後にレジストパターン55を加熱する熱処理工程を実施してもよい。
次に、レジストパターン55の隙間56に第2めっき液を供給して、第1金属層32上に第2金属層37を析出させる第2めっき処理工程を実施する。例えば、第1金属層32が形成された基材51を、第2めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図5Dに示すように、第1金属層32上に第2金属層37を形成することができる。第2金属層37の厚みは、蒸着マスク20全体の厚みが5〜50μmの範囲内になるように設定される。例えば第2金属層37の厚みは、2〜50μm、より好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは3〜25μmの範囲内になっている。
第1金属層32上に第2金属層37を析出させることができる限りにおいて、第2めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることとはない。例えば、第2めっき処理工程は、第1金属層32に電流を流すことによって第1金属層32上に第2金属層37を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第2めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお第2めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、第1金属層32上には適切な触媒層が設けられる。電解めっき処理工程が実施される場合にも、第1金属層32上に触媒層が設けられていてもよい。
第2めっき液としては、上述の第1めっき液と同一のめっき液が用いられてもよい。若しくは、第1めっき液とは異なるめっき液が第2めっき液として用いられてもよい。第1めっき液の組成と第2めっき液の組成とが同一である場合、第1金属層32を構成する金属の組成と、第2金属層37を構成する金属の組成も同一になる。
なお図5Dにおいては、レジストパターン55の上面と第2金属層37の上面とが一致するようになるまで第2めっき処理工程が継続される例を示したが、これに限られることはない。第2金属層37の上面がレジストパターン55の上面よりも下方に位置する状態で、第2めっき処理工程が停止されてもよい。
(除去工程)
その後、レジストパターン55を除去する除去工程を実施する。例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、レジストパターン55を基材51、第1金属層32や第2金属層37から剥離させることができる。
(分離工程)
次に、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体を基材51から分離させる分離工程を実施する。これによって、所定のパターンで第1開口部30が設けられた第1金属層32と、第1開口部30に連通する第2開口部35が設けられた第2金属層37と、を備えた蒸着マスク20を得ることができる。
変形例
上述の図4〜図5Dに示す例においては、蒸着マスク20が、第1金属層32および第2金属層37という、少なくとも2つの金属層を積層させることによって構成される場合について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、蒸着マスク20は、所定のパターンで複数の貫通孔25が形成された1つの金属層27によって構成されていてもよい。以下、図6A〜図7を参照して、蒸着マスク20が1つの金属層27を備える例について説明する。なお本変形例においては、蒸着マスク20の第1面20aから第2面20bに至る貫通孔25のうち第1面20a上に位置する部分を第1開口部30と称し、貫通孔25のうち第2面20b上に位置する部分を第2開口部35と称する。
はじめに、本変形例による蒸着マスク20を製造する方法について説明する。
まず、所定の導電性パターン52が形成された基材51を準備する。次に図6Aに示すように、基材51上に、所定の隙間56を空けてレジストパターン55を形成するレジスト形成工程を実施する。好ましくは、レジストパターン55の隙間56を画成するレジストパターン55の側面57の間の間隔は、基材51から遠ざかるにつれて狭くなっている。すなわち、レジストパターン55が、基材51から遠ざかるにつれてレジストパターン55の幅が広くなる形状、いわゆる逆テーパ形状を有している。
このようなレジストパターン55を形成する方法の一例について説明する。例えば、はじめに、基材51の面のうち導電性パターン52が形成された側の面上に、光硬化性樹脂を含むレジスト膜を設ける。次に、基材51のうちレジスト膜が設けられている側とは反対の側から基材51に入射させた露光光をレジスト膜に照射して、レジスト膜を露光する。その後、レジスト膜を現像する。この場合、露光光の回り込み(回折)に基づいて、図6Aに示すような逆テーパ形状を有するレジストパターン55を得ることができる。
次に図6Bに示すように、レジストパターン55の隙間56にめっき液を供給して、導電性パターン52上に金属層27を析出させるめっき処理工程を実施する。その後、上述の除去工程および分離工程を実施することにより、図7に示すように、所定のパターンで貫通孔25が設けられた金属層27を備えた蒸着マスク20を得ることができる。金属層27の厚みは、例えば5〜50μmの範囲内になっている。
ところで上述のように、めっき処理工程においては、レジストパターン55の隙間56に供給されためっき液が、レジストパターン55と基材51との間に浸入してしまうことが生じ得る。浸入しためっき液がレジストパターン55と基材51との間で析出すると、貫通孔25の第1開口部30が形成されるべきであるが第1開口部30が形成されていない部分、すなわち不要部分が形成されることになる。このように本変形例においては、蒸着マスク20の第1面20a側に、レジストパターン55と基材51との間に浸入しためっき液に起因する不要部分が生じ得る。
なお、図7に示す蒸着マスク20を作製するために用いられ得るレジストパターン55が、図6Aおよび図6Bに示すレジストパターン55に限られることはない。例えば、レジストパターン55が、基材51から遠ざかるにつれてレジストパターン55の幅が狭くなる形状、いわゆる順テーパ形状を有している場合であっても、図7に示す貫通孔25が設けられた蒸着マスク20を得ることができる。この場合、めっき処理工程によって形成される金属層27の面のうち基材51に接する側の面が、蒸着マスク20の第2面20bとなる。また、レジストパターン55の隙間56に供給されためっき液が、レジストパターン55と基材51との間に浸入する場合、不要部分が第2面20b側に形成されることになる。
〔形態2 エッチングによって作製された蒸着マスク〕
上述の図4〜図7に示す例においては、めっき処理によって蒸着マスク20を作製する場合、および、この場合に生じ得る不要部分について説明した。しかしながら、蒸着マスク20を作製するために採用される方法が、めっき処理に限られることはない。以下、エッチングによって金属板21に貫通孔25を形成することによって蒸着マスク20を作製する例について説明する。
図8は、エッチングを利用することによって作製された蒸着マスク20を、図3のA−A線に沿って切断した場合を示す断面図である。図8に示す例では、後に詳述するように、蒸着マスクの法線方向における一方の側となる金属板21の第1面21aに第1開口部30がエッチングによって形成され、金属板21の法線方向における他方の側となる第2面21bに第2開口部35がエッチングによって形成される。第1開口部30は、第2開口部35に接続され、これによって第2開口部35と第1開口部30とが互いに通じ合うように形成される。貫通孔25は、第2開口部35と、第2開口部35に接続された第1開口部30とによって構成されている。
図8に示すように、蒸着マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側へ向けて、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った断面での各第1開口部30の断面積は、しだいに小さくなっていく。同様に、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った断面での各第2開口部35の断面積は、蒸着マスク20の第2面20bの側から第1面20aの側へ向けて、しだいに小さくなっていく。
図8に示すように、第1開口部30の壁面31と、第2開口部35の壁面36とは、周状の接続部41を介して接続されている。接続部41は、蒸着マスクの法線方向に対して傾斜した第1開口部30の壁面31と、蒸着マスクの法線方向に対して傾斜した第2開口部35の壁面36とが合流する張り出し部の稜線によって、画成されている。そして、接続部41は、蒸着マスク20の平面視において貫通孔25の面積が最小になる貫通部42を画成する。
図8に示すように、蒸着マスクの法線方向に沿った一方の側の面、すなわち、蒸着マスク20の第1面20a上において、隣り合う二つの貫通孔25は、蒸着マスクの板面に沿って互いから離間している。すなわち、後述する製造方法のように、蒸着マスク20の第1面20aに対応するようになる金属板21の第1面21a側から当該金属板21をエッチングして第1開口部30を作製する場合、隣り合う二つの第1開口部30の間に金属板21の第1面21aが残存するようになる。
同様に、図8に示すように、蒸着マスクの法線方向に沿った他方の側、すなわち、蒸着マスク20の第2面20bの側においても、隣り合う二つの第2開口部35が、蒸着マスクの板面に沿って互いから離間していてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2開口部35の間に金属板21の第2面21bが残存していてもよい。以下の説明において、金属板21の第2面21bの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分のことを、トップ部43とも称する。このようなトップ部43が残るように蒸着マスク20を作製することにより、蒸着マスク20に十分な強度を持たせることができる。このことにより、例えば搬送中などに蒸着マスク20が破損してしまうことを抑制することができる。なおトップ部43の幅βが大きすぎると、蒸着工程においてシャドーが発生し、これによって蒸着材料98の利用効率が低下することがある。従って、トップ部43の幅βが過剰に大きくならないように蒸着マスク20が作製されることが好ましい。例えば、トップ部43の幅βが2μm以下であることが好ましい。なおトップ部43の幅βは一般に、蒸着マスク20を切断する方向に応じて変化する。例えば、図8に示すトップ部43の幅βは互いに異なることがある。この場合、いずれの方向で蒸着マスク20を切断した場合にもトップ部43の幅βが2μm以下になるよう、蒸着マスク20が構成されていてもよい。
図8においても、上述の図4および図7に示す場合と同様に、蒸着マスク20の第2面20b側における貫通孔25(第2開口部35)の端部38を通る蒸着材料98の経路であって、有機EL基板92に到達することができる経路のうち、蒸着マスク20の法線方向Nに対してなす角度が最小となる経路が、符号L1で表されている。また、経路L1と蒸着マスク20の法線方向Nとがなす角度が、符号θ1で表されている。本形態においても、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、角度θ1を大きくすることが好ましい。例えば、蒸着マスク20の強度を確保できる範囲内で可能な限り蒸着マスク20の厚みを小さくし、これによって角度θ1を大きくすることが好ましい。例えば蒸着マスク20の厚みは、80μm以下に、例えば10〜80μmの範囲内や20〜80μmの範囲内に設定される。蒸着の精度をさらに向上させるため、蒸着マスク20の厚みを、40μm以下に、例えば10〜40μmの範囲内や20〜40μmの範囲内に設定してもよい。なお蒸着マスク20の厚みは、周囲領域23の厚み、すなわち蒸着マスク20のうち第1開口部30および第2開口部35が形成されていない部分の厚みである。従って蒸着マスク20の厚みは、金属板21の厚みであると言うこともできる。
次に、図8に示す蒸着マスク20を、エッチングを利用して製造する方法について説明する。
はじめに、所定の厚みを有する金属板21を準備する。金属板21を構成する材料としては、ニッケルを含む鉄合金などが用いられ得る。次に図9Aに示すように、金属板21の第1面21a上に、所定の隙間66aを空けて第1レジストパターン65aを形成する。また、金属板21の第2面21b上に、所定の隙間66bを空けて第2レジストパターン65bを形成する。
その後、図9Bに示すように、金属板21の第1面21aのうち第1レジストパターン65aによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングする第1面エッチング工程を実施する。例えば、第1エッチング液が、金属板21の第1面21aに対面する側に配置されたノズルから、第1レジストパターン65a越しに金属板21の第1面21aに向けて噴射される。この結果、図9Bに示すように、金属板21の第1面21aのうち第1レジストパターン65aによって覆われていない領域で、第1エッチング液による浸食が進む。これによって、金属板21の第1面21aに多数の第1開口部30が形成される。第1エッチング液としては、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものが用いられる。
その後、図9Cに示すように、後の第2面エッチング工程において用いられる第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、第1開口部30が被覆される。すなわち、第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、第1開口部30が封止される。図9Cに示す例においては、樹脂69の膜が、形成された第1開口部30だけでなく、金属板21の第1面21a(第1レジストパターン65a)も覆うように形成されている。
次に、図9Dに示すように、金属板21の第2面21bのうち第2レジストパターン65bによって覆われていない領域をエッチングし、第2面21bに第2開口部35を形成する第2面エッチング工程を実施する。第2面エッチング工程は、第1開口部30と第2開口部35とが互いに通じ合い、これによって貫通孔25が形成されるようになるまで実施される。第2エッチング液としては、上述の第1エッチング液と同様に、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものが用いられる。
なお第2エッチング液による浸食は、金属板21のうち第2エッチング液に触れている部分において行われていく。従って、浸食は、金属板21の法線方向(厚み方向)のみに進むのではなく、金属板21の板面に沿った方向にも進んでいく。ここで好ましくは、第2面エッチング工程は、第2レジストパターン65bの隣り合う二つの隙間66bに対面する位置にそれぞれ形成された二つの第2開口部35が、二つの隙間66bの間に位置するブリッジ部67bの裏側において合流するよりも前に終了される。これによって、図9Dに示すように、金属板21の第2面21bに上述のトップ部43を残すことができる。
その後、金属板21から樹脂69を除去する。これによって、金属板21に形成された複数の貫通孔25を備える蒸着マスク20を得ることができる。樹脂69は、例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、除去することができる。アルカリ系剥離液が用いられる場合、樹脂69と同時にレジストパターン65a,65bも除去され得る。なお、樹脂69を除去した後、樹脂69を剥離させるための剥離液とは異なる剥離液を用いて、樹脂69とは別途にレジストパターン65a,65bを除去してもよい。
ところで、上述の第2面エッチング工程においては、エッチングを過剰に進行させてしまうと、金属板21の第2面21bに上述のトップ部43を残すことができなくなる。このため、トップ部43を確実に残すためには、エッチング時間を短めに設定することが好ましい。一方、トップ部43の幅βが大きすぎると、蒸着工程においてシャドーが発生し、これによって蒸着材料98の利用効率が低下してしまう。この場合、トップ部43のうちその幅βが設計値よりも大きくなっている部分は、第2開口部35が形成されるべきであるが第2開口部35が形成されずに金属板21の第2面21bが存在している部分、すなわち不要部分であると言える。また、エッチング速度やエッチング時間のばらつきなどによっても、蒸着マスク20のうち貫通孔25が形成されるべき部分に貫通孔25が正確に形成されずに、金属板21の第1面21a側や第2面21b側に不要部分が生じることも考えられる。このような課題を解決する方法については、後述する。
変形例
上述の図8〜図9Dに示す例においては、金属板21を第1面21a側および第2面21b側の両方からエッチングすることによって蒸着マスク20が作製される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図示はしないが、金属板21を第2面21b側からエッチングして、第2面21bから第1面21aへ至る貫通孔25を形成することにより、蒸着マスク20を作製してもよい。
〔蒸着マスクの貫通孔の修正方法〕
以下、蒸着マスク20を作製する際に生じ得る上述の不要部分への対処方法について説明する。ここでは、上述のようにして蒸着マスク20を作製した後、不要部分にレーザー光を照射することによって貫通孔25の位置および形状を修正する例について、図10および図11(a)(b)を参照して説明する。
図10は、貫通孔25の第2開口部35が形成されるべきであるが第2開口部35が形成されていない不要部分35rが存在している蒸着マスク20を、第2面20b側から見た場合を示す平面図である。図10においては、蒸着マスク20の第2面20b上に形成されるべき、理想的な位置および形状を有する第2開口部(以下、理想第2開口部とも称する)が、符号35iが付された二点鎖線で表されている。また、理想第2開口部35iに比べて小さく形成された第2開口部(以下、不良第2開口部とも称する)に、符号35fが付されている。不要部分35rは、理想第2開口部35iと不良第2開口部35fとの間の部分として定義される。なお図10において、理想第2開口部35iとほぼ同一の形状を有しており、このためレーザー光による修正を施す必要がない第2開口部には符号35が付されている。なお図10や後述する図11(a)(b)においては、図が煩雑になることを防ぐため、蒸着マスク20を第2面20b側から見た場合に視認され得る第1開口部30の壁面31や接続部41の輪郭が省略されている。
なお図示はしないが、貫通孔25が形成されるべき部分に貫通孔25が全く形成されていないという事態も生じ得る。この場合、1つの貫通孔25に対応する部分全域が不要部分となる。
(検出工程)
レーザー光を利用して貫通孔25を修正する方法においては、はじめに、蒸着マスク20のうち、貫通孔25の第2開口部35が形成されるべきであるが第2開口部35が形成されていない不要部分35rを検出する検出工程を実施する。例えば、はじめに、蒸着マスク20を第2面20b側から撮影装置で撮影して第2面画像を得る。次に、第2面画像に現れている第2開口部35の位置および形状と、理想第2開口部35iの位置および形状とを比較する。そして、理想第2開口部35iと不良第2開口部35fとの間に位置する部分であって、一定の幅または面積を超えている部分を、不要部分35rとして認定する。
なお第2面画像を利用した検査においては、蒸着マスク20や撮影装置に付着したゴミや、第2面画像における明暗のゆらぎなどに起因して、正常に第2開口部35が形成されている部分が誤って不要部分35rとして認定されてしまうことが生じ得る。このような検出ミスを防ぐため、第2面画像を利用した検査によって不要部分35rとして認定された部分を、拡大して撮影して確認したり、目視で確認したりしてもよい。
(除去工程)
次に、不要部分35rにレーザー光を照射して不要部分35rを除去する除去工程を実施する。これによって、所望の位置に所望の形状で形成された複数の貫通孔25を備える蒸着マスク20を得ることができる。
図11(a)および図11(b)は、除去工程の一例を示す図である。図11(a)および図11(b)においては、金属板21の第2面21bに照射されたレーザー光のスポットが符号81で表されている。図11(a)および図11(b)に示すように、レーザー光は、スポット81のスポット径が、形成されるべき貫通孔25の寸法(ここでは理想第2開口部35iの寸法)よりも小さくなるよう、蒸着マスク20に照射される。例えば、第2面20bにおける理想第2開口部35iの開口寸法S2が15〜80μmの範囲内の場合、レーザー光のスポット81のスポット径は2〜70μmの範囲内に設定される。若しくは、レーザー光のスポット81が、理想第2開口部35iの輪郭に包含され得るよう、レーザー光が調整されてもよい。このようにレーザー光を設定することにより、レーザー光を照射することによって修正された後の第2開口部35の位置および形状を、理想第2開口部35iの位置および形状により精密に近づけることができる。また、蒸着マスク20の面のうちレーザー光が照射される側とは反対側の面(ここでは第1面20a)に、ばりが生じてしまうことを抑制することができる。特に、レーザー光が後述の平均出力を有し、かつ上述のスポット径を有する場合、高い出力のレーザー光が、細いスポット径に絞られた状態で蒸着マスク20に照射されるので、蒸着マスク20を切れ味良く打ち抜くことができ、第1面20aにばりが生じてしまうことを抑制することができる。
除去工程においては、まず図11(a)に示すように、所定の第1方向に沿ってレーザー光を蒸着マスク20の第2面20b上で走査させる。その後、第1方向に交差する方向においてスポット81を移動させた後、所定の第1方向に沿ってレーザー光を蒸着マスク20の第2面20b上で走査させる。このような作業を繰り返すことにより、図11(b)に示すように、不要部分35rのほぼ全域にレーザー光を照射し、これによって不要部分35rを除去することができる。なお、レーザー光を走査させる方向が第1方向に限られることはなく、任意の方向において走査され得る。
不要部分35rを除去することができる限りにおいて、用いられるレーザー光のタイプ、波長や出力が特に限られることはない。一方、不要部分35rを効率的に除去するためには、蒸着マスク20を構成する材料によって吸収され易いレーザー光が用いられることが好ましい。例えば、蒸着マスク20を構成する材料のうち不要部分35rとなり得る部分が、ニッケルを含む鉄合金を有する場合、レーザー光が、YAGレーザー装置によって生成されるYAGレーザー光の第3高調波を含むことが好ましい。
YAGレーザー装置としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)にNd(ネオジム)を添加した結晶を発振用媒質として備えたものを用いることができる。この場合、基本波として、波長が約1064nmのレーザー光が生成される。また、基本波を非線形光学結晶に通すことによって、波長が約532nmの第2高調波が生成される。また、基本波および第2高調波を非線形光学結晶に通すことによって、波長が約355nmの第3高調波が生成される。
ところで、レーザー光が連続的に不要部分35rに照射される場合、レーザー光の照射に起因する熱が、不要部分35r以外の部分にまで伝わり、この結果、不要部分35rだけでなく不要部分35r以外の部分も除去されてしまうことが考えられる。また、吸収した熱に起因して不要部分35rが飛散する際のエネルギーが大きくなり、この結果、不要部分35rが広域にわたって飛散し、これによって、蒸着マスク20の表面が汚染されてしまうことも考えられる。このような課題を考慮すると、好ましくは、除去工程においては、レーザー光のパルスが間欠的に不要部分35rに照射される。言い換えると、不要部分35rに照射されるレーザー光として、連続光ではなく、パルス発振によって得られるパルスを含むレーザー光が用いられることが好ましい。これによって、レーザー光の照射に起因する熱が不要部分35r以外の部分にまで伝わることを抑制することができる。また、不要部分35rが広域にわたって飛散することを抑制することができる。
レーザー光のパルスの平均出力およびパルスの幅は、レーザー光の照射に起因する熱が不要部分35r以外の部分にまで伝わることを抑制し、かつ、不要部分35rが広域にわたって飛散することを抑制するように設定されることが好ましい。例えば、レーザー光のパルスの平均出力は、1.5〜2.0mJの範囲内に設定され、レーザー光のパルスの幅は、5〜7nsの範囲内に設定される。一方、レーザー光のパルスの平均出力や幅が小さくなり過ぎると、不要部分35rを除去することに要する時間が長くなってしまう。この点を考慮すると、レーザー光のパルスの繰り返し周期は短い方が好ましい。例えばレーザー光のパルスの繰り返し周期は、1〜60nsの範囲内に設定される。
本実施の形態によれば、第2開口部35が形成されるべきであるが第2開口部35が形成されていない不要部分35rが蒸着マスク20の第2面20b上に存在している場合であっても、不要部分35rにレーザー光を照射することにより、不要部分35rを除去することができる。このようにして蒸着マスク20の貫通孔25の位置や形状を修正することにより、その後の検査工程において蒸着マスク20が不良品と判定されてしまうことを抑制することができる。このことにより、蒸着マスク20の製造の歩留りを向上させることができる。
なお上述の本実施の形態においては、蒸着マスク20の貫通孔25のうち第2面20b上における貫通孔25(すなわち第2開口部35)の位置や形状を、レーザーを利用して修正する例を示したが、これに限られることはない。例えば、蒸着マスク20の第1面20a上における貫通孔25(すなわち第1開口部30)の位置や形状も、理想的な位置および形状を有する第1開口部からずれることがあり、このため第1面20a上に不要部分が存在することがあると考えられる。また、蒸着マスク20の第1面20aと第2面20bとの間において、第1開口部30の壁面31や第2開口部35の壁面36にも、貫通孔25が形成されるべきであるが貫通孔25が形成されていない部分、すなわち不要部分が存在することがあると考えられる。上述の除去工程においては、このような不要部分にレーザー光を照射して不要部分を除去してもよい。例えば、蒸着マスク20に対するレーザー光の入射角度を調整することにより、蒸着マスク20の第2面20b側から、第1面20a上の不要部分や第1面20aと第2面20bとの間の不要部分にレーザー光を照射することが可能である。
また上述の本実施の形態の除去工程においては、蒸着マスク20の第2面20b側から不要部分にレーザー光を照射する例を示したが、これに限られることはなく、蒸着マスク20の第1面20a側から不要部分にレーザー光を照射してもよい。例えば、蒸着マスク20の第1面20a側から、第1面20a上の不要部分、第2面20b上の不要部分35rや第1面20aと第2面20bとの間の不要部分にレーザー光を照射してもよい。
なお、蒸着マスク20の第1面20a側から蒸着マスク20に向けてレーザー光を照射した場合、レーザー光によって除去された不要部分は、主に蒸着マスク20の第1面20a側で飛散すると考えられる。このため、蒸着マスク20の第1面20a側から蒸着マスク20に向けてレーザー光を照射する場合は、蒸着マスク20の第2面20b側から蒸着マスク20に向けてレーザー光を照射する場合に比べて、飛散した除去部分が蒸着マスク20の第1面20aに付着し易くなる。一方、蒸着マスク20の第1面20aは、蒸着マスク20を利用して蒸着材料を有機EL基板92に蒸着させる蒸着工程の際に、有機EL基板92に密着する面である。従って、蒸着マスク20の第1面20aに不要部分が多く付着していると、蒸着工程の間にそのような不要部分が蒸着マスク20の第1面20aから有機EL基板92に転移して、有機EL基板92が汚染されてしまうことが考えられる。このような課題を考慮すると、除去工程の際に蒸着マスク20の第1面20aが汚染されてしまうことを抑制するために、蒸着マスク20の第2面20b側から蒸着マスク20に向けてレーザー光を照射することが好ましいと言える。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
20 蒸着マスク
20a 第1面
20b 第2面
21 金属板
22 有効領域
23 周囲領域
25 貫通孔
30 第1開口部
31 壁面
32 第1金属層
35 第2開口部
35f 不良第2開口部
35i 理想第2開口部
35r 不要部分
36 壁面
37 第2金属層
41 接続部
43 トップ部
51 基材
52 導電性パターン
55 レジストパターン
56 隙間
65a 第1レジストパターン
65b 第2レジストパターン
81 スポット
92 有機EL基板
98 蒸着材料

Claims (6)

  1. 蒸着マスク製造方法であって、
    複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを準備する準備工程と、
    前記蒸着マスクのうち、前記貫通孔が形成されるべきであるが前記貫通孔が形成されていない不要部分を検出する検出工程と、
    前記不要部分にレーザー光を照射して前記不要部分を除去する除去工程と、を備え、
    除去工程において前記不要部分に照射される前記レーザー光のスポット径は、形成されるべき貫通孔の寸法よりも小さい、蒸着マスク製造方法。
  2. 前記不要部分は、ニッケルを含む鉄合金を有し、
    前記レーザー光は、YAGレーザー装置によって生成されるYAGレーザー光の第3高調波を含む、請求項1に記載の蒸着マスク製造方法。
  3. 前記蒸着マスクは、前記蒸着マスクを用いて蒸着材料を基板に蒸着させる際に前記基板と対向する第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を含み、
    前記第2面における前記貫通孔の開口寸法は、前記第1面における前記貫通孔の開口寸法よりも大きく、
    前記レーザー光は、前記第2面側から前記不要部分に照射される、請求項1または2に記載の蒸着マスク製造方法。
  4. 前記除去工程においては、前記レーザー光のパルスが間欠的に前記不要部分に照射され、
    前記レーザー光の前記パルスの平均出力は、1.5〜2.0mJの範囲内であり、
    前記レーザー光の前記パルスの幅は、5〜7nsの範囲内であり、
    前記レーザー光の前記パルスの周期は、1〜60nsの範囲内である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸着マスク製造方法。
  5. 前記準備工程は、
    所定の基材上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成するレジスト形成工程と、
    前記レジストパターンの前記隙間において金属層を析出させるめっき処理工程と、
    前記金属層を前記基材から分離させる分離工程と、を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着マスク製造方法。
  6. 前記準備工程は、
    金属板を準備する工程と、
    前記金属板上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成するレジスト形成工程と、
    前記金属板のうち前記レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、前記金属板に前記貫通孔を形成する工程と、を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着マスク製造方法。
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