JP7049194B2 - 煙突及びその内張部材 - Google Patents
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四角形などの多角形断面の煙突も知られている。
これに対し、煙突を例えば四角形断面にすれば、デッドスペースを小さくできる。好ましくは、前記四角形断面の煙突本体の内周には四角形断面の内張部材を設けることで、特許文献1の円筒形煙突と同様に煙突本体の内周面からの剥離物の放散を防止できる。一方、四角形断面の内張部材が加熱されると円形断面の場合よりも不規則的に熱変形される。熱変形の仕方によっては、排ガスが、内張部材の内側を通るだけでなく煙突本体の内周面と内張部材との間をも通ることで、煙突本体の内周面からの剥離物が排ガスと一緒に大気中に放散されるおそれがある。また、排ガスが煙突本体に接触することで、煙突本体の損傷、劣化が進むおそれがある。
本発明は、かかる事情に鑑み、四角形などの多角形の煙突において、内張部材の熱変形態様の不規則性を緩和ないしは解消して、所望の方向に熱変形が起きるようにし、ひいては前記剥離物の放散や煙突本体の損傷、劣化を防止することを目的とする。
前記内張部材が、前記煙突本体より多い角数の多角形の筒形状に形成され、かつ前記煙突本体の1の煙突角部と対峙する前記内張部材の第1内張角部の内角が、前記煙突角部の内角より大きいことを特徴とする。
これによって、内張部材の熱変形態様の不規則性を緩和できる。
「煙突角部の内角<第1内張角部の内角」であることから、第1内張角部は煙突角部から煙突内側へ離れて配置される。
好ましくは、内張部材の角数は、煙突本体の角数の2倍である。例えば、四角形断面の煙突本体においては、内張部材は八角形断面であることが好ましい。
言い換えると、内張部材における、煙突本体の前記内壁面の中間部と対峙する部分が屈曲されて第2内張角部が形成されていることが好ましい。これによって、例えば、第1内張角部が煙突角部に対して接近離間したり、第2内張角部が煙突壁板に対して接近離間したりするような熱変形態様を起こさせることができる。
煙突本体は、該煙突本体の角数と同じ数の煙突壁板を有し、これら煙突壁板が環状に組まれ、隣接する煙突壁板どうしが交差して煙突角部が形成されることが好ましい。各煙突壁板は、平板状であることが好ましい。
これによって、排ガスが内張部材の継目(シーム部)を透過して煙突本体と内張部材との間に入り込むのを防止できる。したがって、排ガスとの接触による煙突本体の損傷、劣化を一層確実に防止できる。
当該煙突壁板からは珪酸カルシウムを含む粉状の剥離物が遊離され得る。これに対し、内張部材で煙突本体の内周を覆っておくことによって、前記粉状の剥離物が排ガスと一緒に大気中にまき散らされるのを防止できる。更に内張部材をシームレス構造又はセミシームレス構造とすれば、例えば高温かつ高湿度の排ガスが珪酸カルシウム製煙突壁板に接触するのを確実に防止でき、前記珪酸カルシウム製煙突壁板の損傷を確実に防止することができる。
前記煙突本体より多い角数の多角形の筒形状に形成され、かつ前記煙突本体の1の煙突角部と対峙する第1内張角部の内角が、前記煙突角部の内角より大きいことを特徴とする。
<第1実施形態>
図1~図4は、本発明の第1実施形態を示したものである。図1に示すように、例えば商業用ビル等の建物(図示省略)の内部又は外部に煙突1が鉛直に立設されている。煙突1は、例えばボイラー、発電機、冷温水発生器などからの排ガスgの放出用であるが、本発明が特にこれに限るものではない。
図2に示すように、煙突本体10の断面形状は四角形(多角形)になっている。詳しくは、煙突本体10は、4つの平板状の煙突壁板11を有している。これら煙突壁板11が互いに四角形の環状に組まれている。隣接する2つの煙突壁板11どうしが直角に交差することによって煙突角部13が形成されている。煙突本体10には4つの煙突角部13が形成されている。各煙突角部13の内角θ13は、θ13=90°である。
図2における煙突本体10の断面は正方形であるが、これに限らず長方形、平行四辺形、台形などであってもよい。
内張部材30の厚さは、1mm程度である。図において内張部材30の厚みは誇張されている。
なお、シームレス溶接部32は、図3においては内張部材30の後記4つの第1内張角部33のうちの1つに配置されているが、これに限らず、後記4つの第2内張角部34のうちの1つに配置されていてもよく、1の内張板部31の中間部に配置されていてもよい。
第1内張角部33は、煙突角部13から解放されている。したがって、図4に示すように、第1内張角部33は、煙突角部13に対して接近離間するような熱変形及び第1内角θ33が拡縮するような熱変形を許容されている。
拘束部材41は、例えばアンカーボルトによって構成されている。
煙突壁板11からは珪酸カルシウムを含む粉状の剥離物が遊離され得る。これに対し、内張部材30で煙突本体10の内周を覆っておくことによって、粉状の剥離物が排ガスgと一緒に大気中にまき散らされるのを防止できる。
なお、図4において二点鎖線は、熱変形していない状態の内張部材30を示す。
換言すると、内張部材30が一定の熱変形を起こすようにでき、熱変形の不規則性を緩和ないしは解消できる。好ましくは、煙道1aが外周側へ広がる方向に熱変形を起こすようにできる。したがって、内張部材30が熱変形を来しても、煙突本体10の内周面と内張部材30の外周面との間の隙間1cに排ガスgが入り込むのを防止できる。この結果、前記粉状剥離物が排ガスgと一緒に大気中に放散されるのを確実に防止できる。更には、高温高湿度の排ガスgが煙突本体10と接触して珪酸カルシウムに吸収されるのを防止でき、煙突本体10が破損するのを防止できる。
加えて、内張部材30はセミシームレス構造であるから、前記高温高湿度の排ガスgが隙間1cに入り込むのを確実に防止できる。したがって、前記粉状剥離物の大気中への放散や煙突本体10の破損を一層確実に防止できる。
<第2実施形態>
図5~図6は、本発明の第2実施形態を示したものである。
図5に示すように、第2実施形態の煙突1Bにおいては、第1内張角部33が、斜めのブラケットからなる拘束部材42によって煙突角部13に拘束されている。第1内張角部33は煙突角部13に対して接近離間するような熱変形を阻止されている。第1内角θ33が拡縮するような第1内張角部33の熱変形は許容されている。
なお、図6において、二点鎖線は、熱変形していない状態の内張部材30を示す。
例えば、煙突本体の断面形状は、四角形に限られず、三角形や五角形以上の多角形であってもよい。
内張部材の断面形状は、煙突本体の断面形状に合わせた多角形状とする。
内張部材30が、周方向に完全なシームレスの多角形筒形状であってもよい。
1a 煙道
1c 隙間
10 煙突本体
11 煙突壁板
11a 内壁面
13 煙突角部
30 内張部材
31 内張板部
32 シームレス溶接部
33 第1内張角部
34 第2内張角部
θ13 煙突角部の内角
θ33 第1内角θ33
θ34 第2内角θ34
g 排ガス
Claims (8)
- 多角形断面の煙突本体と、前記煙突本体の内周に設けられた内張部材とを備え、
前記内張部材が、前記煙突本体より多い角数の多角形の筒形状に形成され、かつ前記煙突本体の1の煙突角部と対峙する前記内張部材の第1内張角部の内角が、前記煙突角部の内角より大きいことを特徴とする煙突。 - 前記内張部材における前記第1内張角部と周方向に隣接する第2内張角部が、前記煙突本体の煙突壁板の内壁面の中間部と対峙していることを特徴とする請求項1に記載の煙突。
- 前記第1内張角部の内角が、前記第2内張角部の内角より小さいことを特徴とする請求項2に記載の煙突。
- 前記第1内張角部が前記煙突角部から解放され、かつ前記第2内張角部が前記煙突壁板に拘束されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の煙突。
- 前記第1内張角部が前記煙突角部に拘束され、かつ前記第2内張角部が前記煙突壁板から解放されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の煙突。
- 前記内張部材が、シームレスの多角形筒形状又はシームレス溶接部を有するセミシームレスの多角形筒形状であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の煙突。
- 前記煙突本体の煙突壁板が、珪酸カルシウムを成分として含むことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の煙突。
- 多角形断面の煙突本体の内周に設けられる内張部材であって、
前記煙突本体より多い角数の多角形の筒形状に形成され、かつ前記煙突本体の1の煙突角部と対峙する第1内張角部の内角が、前記煙突角部の内角より大きいことを特徴とする煙突の内張部材。
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