JP7049121B2 - 立毛調人工皮革及び手袋 - Google Patents

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本発明は、滑り性に優れた立毛調人工皮革、及び、装着時の滑り性に優れた手袋に関する。
立毛調人工皮革は、滑り性、または、グリップ性が求められる用途に使用されることがある。
例えば、従来、立毛調人工皮革は、ゴルフ用の手袋の素材として用いられている。下記特許文献1は立毛調人工皮革からなるゴルフ用手袋において、手の甲側を覆う手甲部と、掌側を覆う掌部とを同質の素材で構成し、かつ、手甲部の少なくとも一部を掌部よりも伸び率の高い伸長部としたゴルフ用手袋を開示する。
また、立毛調人工皮革には、表面に種々の風合いや感性が求められることもある。具体的には、用途に応じて、例えば、ドライタッチなタッチ感、ウェットタッチなタッチ感、ヌメリ感のある滑らかなタッチ感等が求められる。
例えば、下記特許文献2は、極細繊維よりなる絡合不織布およびその内部に含有された弾性重合体からなり且つ片面または両面に極細繊維よりなる立毛を形成してなる立毛皮革様シートであって、シルクプロテインおよびシルクプロテイン部分加水分解物から選ばれる少なくとも1種のシルクプロテイン系物質と柔軟剤を、立毛皮革様シートの立毛部および弾性重合体を含有する絡合不織布の厚み全体にわたって含浸付与してなる立毛皮革様シートを開示する。このような立毛皮革様シートは、天然皮革のスエードまたはヌバック調の高級感のある風合い、すなわちヌメリ感のある滑らかな表面タッチと、腰が取れていて柔軟性を有し、風合に優れることを開示する。
特開平11-188130号公報 特開2002-161483号公報
本発明の目的は、滑り性に優れた立毛調人工皮革、及び、装着時の滑り性に優れた手袋を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、不織布と、不織布の内部に付与された高分子弾性体とを含み、少なくとも一面が立毛面である立毛調人工皮革であって、立毛調人工皮革に浸透した、0.1~15質量%のグリセリンを含む立毛調人工皮革である。このような構成によれば、高い滑り性を備えた立毛調人工皮革が得られる。
また、立毛調人工皮革は、シルクプロテイン系物質をさらに含むことが、さらに滑り性を向上させるとともに、ウェットタッチなタッチ感を付与することができる点から好ましい。
また、シルクプロテイン系物質は、立毛調人工皮革に対して0.1~5質量%含まれることが、引裂強力を低下させない点から好ましい。さらに、グリセリン0.5~12質量%、シルクプロテイン系物質0.1~2質量%含有する場合には、滑り性とウェットタッチなタッチ感と表面の引裂強力とのバランスにとくに優れる点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、手甲側に配される第1素材と、掌側に配される第2素材とを含む手袋であって、第1素材及び第2素材は何れも、不織布と、不織布の内部に付与された高分子弾性体とを含む、少なくとも一面が立毛面である立毛調人工皮革であり、第1素材が立毛調人工皮革に浸透した、0.1~15質量%のグリセリンを含む手袋である。例えば、ゴルフ用手袋には、ゴルフクラブのグリップをしっかりと握るためのグリップ性が求められている。一方、ゴルフ用手袋には、スムーズに滑るように装着できる装着性も求められている。装着時に手の甲に接触する甲側に配される第1素材にはグリセリンを含有させることにより、手袋の滑り性を良好にすることにより装着性を向上させることができる。また、第1素材がシルクプロテイン系物質をさらに含む場合には、手袋の装着性がさらに向上する点から好ましい。
本発明によれば、滑り性に優れた立毛調人工皮革を得ることができる。また、装着時の滑り性に優れた手袋を提供することができる。
図1は、第2実施形態のゴルフ用手袋の斜視模式図である。 図2は、実施例の滑り性の評価方法を説明するための図面代用写真である。
[第1実施形態]
はじめに、本発明に係る立毛調人工皮革の実施形態について説明する。
第1実施形態の立毛調人工皮革は、不織布と、不織布の内部に付与された高分子弾性体とを含み、少なくとも一面が立毛処理された立毛面である立毛調人工皮革であって、立毛調人工皮革に浸透した、グリセリンを含む。
立毛調人工皮革に含まれる不織布の繊度は特に限定されないが、しなやかさのある風合いを発現できる点から、繊度3.0dtex以下、さらには0.001~2.0dtex、とくには、0.002~0.03dtexのような極細繊維が好ましい。繊度が高すぎる場合には風合いが硬くなるとともに、立毛面の表面積が小さくなるために、手袋として用いる場合にはグリップ性が低下する傾向がある。以下では、代表例として、極細繊維を絡合させた不織布を製造する方法について詳しく説明する。
極細繊維を絡合させた不織布の製造方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。極細繊維発生型繊維をカードで解繊し、ウェーバーを通してランダムウェブ又はクロスラップウェブ等のウェブを形成し、ウェブを絡合処理することにより極細繊維発生型繊維の絡合不織布を得る。そして、極細繊維発生型繊維を極細繊維化処理することにより、極細繊維を絡合させた不織布が得られる。また、別の方法としては、極細繊維発生型繊維を溶融紡糸してスパンボンド法により長繊維のウェブを製造し、長繊維のウェブを絡合処理して極細繊維発生型繊維の絡合不織布を得る。そして、極細繊維発生型繊維を極細繊維化処理することにより、長繊維の極細繊維を絡合させた不織布が得られる。また、極細繊維発生型繊維を経ずに、極細繊維を直接紡糸してウェブを形成し、絡合処理することによっても、極細繊維を絡合させた不織布が得られる。形成されたウェブには、その形態安定性を付与するために融着処理が施されてもよい。なお、何れの方法においても、水蒸気あるいは熱水あるいは乾熱による熱収縮処理等の繊維収縮処理を施して繊維を緻密化させてもよい。以下では、極細繊維発生型繊維の絡合不織布を経て極細繊維を絡合させた不織布を製造する方法について詳しく説明する。
極細繊維発生型繊維としては、海島型混合繊維や、海島型複合繊維や、剥離分割型複合繊維が挙げられる。極細繊維は、海島型混合繊維や海島型複合繊維の海成分を抽出除去または分解除去したり、剥離分割型複合繊維の異なる樹脂成分からなる繊維を剥離処理したりすることにより形成される。
極細繊維を形成する樹脂は、特に限定されないが、その具体例としては、例えば、6ナイロン,66ナイロン等のナイロン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等の芳香族環を含むポリエステル、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン等が挙げられる。立毛調人工皮革を手袋の素材として用いる場合には、ナイロン、とくには6ナイロンが柔軟な風合いが得られる点から好ましい。
また、海島型混合紡糸や海島型複合紡糸に含まれる、後に抽出除去又は分解除去される樹脂としては、上述した極細繊維を形成する樹脂とは溶解性または分解性を異にし、且つ、相溶性の低い樹脂が用いられる。このような樹脂は、極細繊維を形成する樹脂に応じて適宜選択される。具体的には、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレンプロピレン共重合体,エチレン酢ビ共重合体等のオレフィン系樹脂や、水溶性ポリビニルアルコール,ポリスチレン,スチレンアクリル共重合体,スチレンエチレン共重合体,各種ポリエステル等が挙げられる。
ウェブを絡合処理する方法としては、例えば、クロスラッパー等を用いて厚さ方向に複数層重ね合わせられたウェブを、その両面から同時または交互に少なくとも1つ以上のバーブが貫通する条件でニードルパンチや高圧水流絡合処理するような方法が挙げられる。なお、極細繊維発生型繊維の紡糸から絡合処理までのいずれかの段階において、ウェブに油剤や帯電防止剤を付与してもよい。このようにして、極細繊維発生型繊維の絡合不織布が得られる。極細繊維発生型繊維の絡合不織布は、必要に応じて熱収縮させたり、熱プレス処理を施されたりして繊維密度および絡合度合を高められてもよい。
極細繊維発生型繊維の絡合不織布を極細繊維化処理することにより、極細繊維の絡合不織布が形成される。具体的には、不織布を形成する海島型混合繊維や海島型複合繊維の海成分を抽出除去または分解除去したり、剥離分割型複合繊維の異なる樹脂からなる繊維を剥離分割処理したりすることにより、極細繊維の絡合不織布が得られる。
海島型混合繊維や海島型複合繊維から海成分ポリマーを除去する方法としては、海島型混合繊維や海島型複合繊維の不織布を海成分ポリマーのみを選択的に除去しうる溶剤または分解剤に浸漬してディップニップ処理を繰り返すような、従来から知られた極細繊維の不織布の形成方法が特に限定なく用いられる。
立毛調人工皮革の製造においては、形態安定性や充実感を付与するために、極細繊維発生型繊維の絡合不織布、または、極細繊維の絡合不織布に、高分子弾性体が含浸付与される。高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン,アクリロニトリルエラストマー,オレフィンエラストマー,ポリエステルエラストマー,ポリアミドエラストマー,アクリルエラストマー等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタンが好ましい。
極細繊維発生型繊維の絡合不織布、または、極細繊維の絡合不織布に、高分子弾性体を含浸付与する方法としては、極細繊維発生型繊維の絡合不織布、または、極細繊維の絡合不織布に、高分子弾性体の樹脂液を含浸させた後、高分子弾性体を凝固または固化させる方法が挙げられる。高分子弾性体の樹脂液としては、例えばポリウレタンの場合、ポリウレタンをジメチルホルムアミド等の溶媒に溶解させた溶液であっても、ポリウレタンを水に分散させたエマルジョンであってもよい。極細繊維発生型繊維の絡合不織布、または、極細繊維の絡合不織布に、高分子弾性体の樹脂液を含浸させた後、凝固させる方法は、湿式凝固法であっても乾式凝固法であってもよい。
立毛調人工皮革に付与される高分子弾性体の含有割合は特に限定されないが、5~70質量%、さらには、1~45質量%であることが好ましい。高分子弾性体の含有割合が高すぎる場合には、しなやかな風合いが低下する傾向がある。また、高分子弾性体の含有割合が低すぎる場合には、形態安定性や充実感が低下する傾向がある。
以上のようにして、不織布と、不織布の内部に付与された高分子弾性体とを含む人工皮革生機が得られる。得られた人工皮革生機は所定の厚みにスライスされて分割され、その表面をバフィング処理することにより、表層の繊維が立毛された立毛面を有する立毛調人工皮革生機に仕上げられる。バフィング処理は、例えば、120~600番手程度のサンドペーパーやエメリーペーパーを用いてバフィングすることによりスエード調またはヌバック調の立面を形成する工程である。このようにして、片面又は両面に立毛された繊維が存在する立毛面を有する立毛調人工皮革生機が得られる。
立毛調人工皮革生機は、必要に応じて染色される。染料は繊維の種類により適切なものが適宜選択される。例えば、ナイロン繊維の場合には、酸性染料を用いて、サーキュラー染色機中で、水温90℃以上で1~2時間染色処理を行うような方法が挙げられる。また、ポリエステル繊維の場合には分散染料やカチオン染料で染色することが好ましい。さらに、立毛調人工皮革生機には、揉み,柔軟化処理,ブラッシングなどの仕上げ処理が施されてもよい。
本実施形態の立毛調人工皮革は、立毛調人工皮革生機に浸透するようにグリセリンを付与することにより得られる。立毛調人工皮革生機にグリセリンを付与することにより、表面の滑り性が大幅に向上するとともに、ウェットタッチなタッチ感にも優れた立毛調人工皮革が得られる。
立毛調人工皮革生機にグリセリンを付与する方法は、特に限定されないが、グリセリンを水等の溶媒に溶解させたグリセリン溶液に立毛調人工皮革生機を浸漬し、ディップニップ処理により目的とする量のグリセリン溶液を立毛調人工皮革生機に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
立毛調人工皮革に含有されるグリセリンの割合は目的とする特性に応じて適宜調整されるが、立毛調人工皮革の質量に対して、0.1~15質量%、さらには、0.5~15質量%、とくには1~10質量%であることが好ましい。グリセリンの含有割合が低すぎる場合には表面の滑り性が充分に向上しない傾向があり、グリセリンの含有割合が高すぎる場合にはタック性が顕著になり表面の滑り性が低下する傾向がある。
また、本実施形態の立毛調人工皮革は、グリセリンに加えて、シルクプロテイン系物質を含むことが、さらに滑り性を向上させるとともに、ウェットタッチなタッチ感を付与することができる点から好ましい。なお、ウェットタッチなタッチ感は、立毛調人工皮革の表面を手で触ったときに、潤いを感じさせるようなタッチ感であり、ピタードのような感性である。
立毛調人工皮革にグリセリンを含有させた場合、グリセリンの含有割合を高くすればある程度まで表面の滑り性が向上するが、さらにグリセリンの含有割合を高くした場合には、表面の滑り性が低下する傾向がある。すなわち、グリセリンを含有させることによる立毛調人工皮革への表面の滑り性の向上効果には限度があった。このような場合において、グリセリンに加えて、シルクプロテイン系物質をさらに付与することにより、グリセリンを付与することのみでは得られなかったレベルの表面の滑り性の向上効果を実現することができる。
シルクプロテイン系物質は、水溶化した絹フィブロインおよび/または絹フィブロインの水溶性部分加水分解物を含有する物質である。このようなシルクプロテイン系物質は、洛東化成工業(株)製の「ラクセット」の品番K-500、K-500SE等として市販されている。
立毛調人工皮革にグリセリンとともに付与されるシルクプロテイン系物質の含有割合も目的とする特性に応じて適宜調整されるが、立毛調人工皮革の質量に対して、0.1~10質量%、さらには、0.1~5質量%であることが好ましい。シルクプロテイン系物質の含有割合が少なすぎる場合には表面の滑り性やウェットタッチなタッチ感の向上効果が充分に発現せず、シルクプロテイン系物質の含有割合が多すぎる場合には、不織布を形成する繊維同士が滑りやすくなることにより、引裂強力が低下する等機械的特性が低下する傾向がある。なお、シルクプロテイン系物質は、グリセリンの溶液に混合して立毛調人工皮革に含浸させて付与したり、また、グリセリンの付与とは別の工程で付与したりしてもよい。
立毛調人工皮革にグリセリンとシルクプロテイン系物質とを配合する場合には、グリセリン0.5~12質量%、シルクプロテイン系物質0.1~6質量%、さらには、グリセリン0.5~10質量%、シルクプロテイン系物質0.1~2質量%であることが、表面の滑り性とウェットタッチなタッチ感と引裂強力のバランスにとくに優れる点から好ましい。
立毛調人工皮革の見かけ密度は特に限定されないが、0.3~0.7g/cm3程度であることが充実感と柔軟な風合いとのバランスに優れた立毛調人工皮革が得られる点から好ましい。また、立毛調人工皮革の厚さも特に限定されないが0.2~4mm程度であることが好ましい。また、立毛調人工皮革の目付けも特に限定されないが、50~1000g/m2程度であることが好ましい。
このようにして得られる、本実施形態の立毛調人工皮革は、表面の滑り性とウェットタッチなタッチ感とを兼ね備え、好ましくは、表面の滑り性とウェットタッチなタッチ感と引裂強力とのバランスに優れている。このような立毛調人工皮革はその特性を活かした、肌に接触する、ゴルフ用手袋のような手袋の素材や、衣料、車両用内装材等の用途に好ましく用いられる。
[第2実施形態]
第1実施形態の立毛調人工皮革はゴルフ用手袋のような手袋の素材として好ましく用いられる。第2実施形態では、第1実施形態の立毛調人工皮革を用いたゴルフ用手袋について図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の立毛調人工皮革を用いた手袋の一例であるゴルフ用手袋100の斜視模式図である。図1中、10は手の甲側である手甲部、20は掌側である掌部、30は親指を収容する親指部である。
ゴルフ用手袋には、スムーズに装着できる装着性が求められる。第2実施形態のゴルフ用手袋100は、少なくとも手甲部10を形成する第1素材として、第1実施形態で説明したグリセリンを含み、好ましくはさらにシルクプロテイン系物質を含む立毛調人工皮革を用いたゴルフ用手袋である。
手袋を装着するときには、通常、他方の手の親指等で装着する手袋の開口を開き、その開口から装着される手の甲を滑らしながら奥へ向かって侵入させて手袋の各指に対応する部分に各指を滑らせて装着する。ゴルフ用手袋100においては、少なくとも手甲部10を形成する第1素材として、第1実施形態で説明したグリセリンを含み、好ましくはさらにシルクプロテイン系物質を含む立毛調人工皮革させることにより、手袋の装着性を向上させることができる。このようなゴルフ用手袋100は、手甲部10が表面の滑り性及びウェットタッチなタッチ感に優れるために、装着者に心地の良いウェットタッチなタッチ感を与えるとともに手袋の装着性にも優れる。
一方、ゴルフ用手袋には、ゴルフクラブのグリップをしっかりと握るためのグリップ性も求められる。そのために、ゴルフ用手袋は、スムーズに装着できる装着性とともに、グリップ性を兼ね備えていることが好ましい。従って、ゴルフ用手袋100としては、手甲部10を形成する第1素材として、第1実施形態で説明したグリセリンを含み、好ましくはさらにシルクプロテイン系物質を含む立毛調人工皮革を用い、掌部20を形成する第2素材としては、グリップ性に優れた立毛調人工皮革を用いることが好ましい。
掌部を形成する第2素材となる、グリップ性に優れた立毛調人工皮革としては、グリップ性付与剤が付与された立毛調人工皮革が挙げられる。以下、グリップ性付与剤が付与された立毛調人工皮革について説明する。
グリップ性付与剤が付与された立毛調人工皮革は、第1実施形態の立毛調人工皮革の製造方法の説明において説明した、不織布と、不織布の内部に付与された高分子弾性体とを含む、少なくとも一面が立毛面である立毛調人工皮革生機に対して、グリセリンを付与せずに、またはグリセリンと組み合わせて、グリップ性付与剤を含有させた立毛調人工皮革である。立毛調人工皮革生機にグリップ性付与剤を付与することにより、グリップ性に優れた立毛調人工皮革が得られる。
ここで、グリップ性付与剤とは、付与することにより立毛調人工皮革にグリップ性を与える物質であり、具体的には、タック感を有するタック剤と称される物質が挙げられる。グリップ性付与剤の具体例としては、例えば、ポリアルキルエーテル系タック剤、アクリル系タック剤、等が挙げられる。これらの中ではポリアルキルエーテル系タック剤がヌメリ感に優れる点から特に好ましい。
グリップ性付与剤を、立毛調人工皮革に付与する方法は、特に限定されないが、立毛調人工皮革生機をグリップ性付与剤を溶媒に溶解させた溶液に浸漬し、ディップニップ処理により目的とする量のグリップ性付与剤の溶液を含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
立毛調人工皮革に含有されるグリップ性付与剤の割合は目的とするグリップ性能に応じて適宜調整されるが、立毛調人工皮革の質量に対して、4~18質量%、さらには、8~12質量%であることが好ましい。グリップ性付与剤の含有割合が低すぎる場合には、グリップ性が充分に向上せず、グリップ性付与剤の含有割合が高すぎる場合には手袋を装着するときに滑りにくくなって装着性が低下する傾向がある。
上述したように、手甲部を形成する第1素材として、第1実施形態で説明したグリセリンを含み、好ましくはさらにシルクプロテイン系物質を含む立毛調人工皮革を用い、掌部を形成する第2素材として、グリップ性付与剤を含む立毛調人工皮革を用いることにより、ゴルフクラブのグリップをしっかりと握るためのグリップ性と、スムーズに装着できる装着時の滑り性とを両立させることができる。なお、親指を収容する親指部30を形成する立毛調人工皮革は適宜好ましいものが選択できる。
本発明について実施例を参照してさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
海成分としてポリエチレン50質量部、島成分として6ナイロン50質量部を溶融混合紡糸することにより、海島型混合繊維を製造した。この海島型混合繊維を3倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊し、クロスラッパーウェバーでウェブとし、ニードルパンチすることにより海島型混合繊維を3次元に絡合させた不織布を得た。そして、海島型混合繊維の不織布にポリエーテル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン組成物14質量部とジメチルホルムアミド86質量部よりなる溶液を含浸し、凝固、水洗した。そして、海島型混合繊維中のポリエチレンを抽出除去することにより、0.006dtexの6ナイロンの極細繊維とポリウレタンとを含む厚さ1.3mmの人工皮革生機を得た。
そして、人工皮革生機を厚さ方向に2分割した後、分割面をバフィングすることにより厚さ0.52mmとし、反対側面をサンドペーパーで起毛し、酸性染料を用いて紺色に染色し、機械揉み及び整毛をすることにより、スエード調の人工皮革生機である、厚さ0.55mmの立毛調人工皮革生機を得た。
そして、得られた立毛調人工皮革生機をグリセリンとシルクプロテイン系物質(洛東化成工業(株)製「ラクセットK-500」)を溶解した水溶液(グリセリン濃度10.0質量%、シルクプロテイン系物質4.0質量%、何れも乾燥後有効成分として)に浸漬することにより、立毛調人工皮革生機にグリセリン及びシルクプロテイン系物質を浸透させ、マングルで絞ることにより、立毛調人工皮革生機100質量部に対して55質量部の処理液を含浸付与した。そして、60℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させることにより、5.0質量%のグリセリンと2.0質量%のシルクプロテイン系物質を含有するスエード調人工皮革である立毛調人工皮革を得た。得られた立毛調人工皮革は目付け180g/m2の、厚さ0.45mm、見掛け密度0.40g/cm3であった。
そして、得られた立毛調人工皮革の滑り荷重、タッチ感、引裂強力を下記のようにして測定した。
(滑り荷重)
得られた立毛調人工皮革から幅10mm×長さ200mmの帯状のサンプルを切り出した。そして、幅20mm×長さ600mmの帯状の織物の端部の表面に重ねるようにして両面粘着テープでサンプルを貼りあわせた。そして、図2に示すように3本の棒を壁面に固定し、そのうち1本の棒をゴルフクラブのラバーグリップとし、3本の棒に帯状の織物を掛け渡して、ラバーグリップにサンプルの立毛面を接触させた。そして、帯状の織物の一端に荷重をかける重りを徐々に重くするようにし、帯状のサンプルが動き始めたときの一端に掛けた重りの重さを判定した。
(タッチ感)
人工皮革の開発に従事する10人のモニターに立毛調人工皮革の表面に手で触れさせ、各人による下記基準に基づく判定結果の多数決を採った。
A:ピタード調なウエットなタッチ感であった。
B:シープ調なややウエットなタッチ感であった。
C:一般的な天皮調のドライなタッチ感であった。
(引裂強力)
JIS L-1096の8.17引裂強さのB法に準拠して測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0007049121000001
[実施例2~24、比較例2~3]
グリセリンとシルクプロテイン系物質の含有量を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして立毛調人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
グリセリンとシルクプロテイン系物質を付与する工程を省略した以外は、実施例1と同様にして立毛調人工皮革を得、評価した。結果を表1に示す。
表1を参照すれば、グリセリンを含有する実施例1~24で得られた立毛調人工皮革は、何れもグリセリンを含有しない比較例1で得られた立毛調人工皮革に比べて、滑り荷重が低いことが分かる。また、グリセリンを10質量%含有する実施例6で得られた立毛調人工皮革は、滑り荷重が380gであるが、グリセリンを15質量%含有する実施例19で得られた立毛調人工皮革は、滑り荷重が700gとなり、グリセリンが多すぎる場合には滑り性が低下する傾向が見られた。一方、グリセリンを10質量%含有し、さらにシルクプロテイン系物質を配合した実施例3及び実施例4で得られた立毛調人工皮革は、さらに滑り性が向上した。なお、実施例10~13で得られた立毛調人工皮革のように、シルクプロテイン系物質を多く配合した場合には、引裂強度が低下する傾向が見られた。
[実施例25]
実施例1で製造したものと同様の立毛調人工皮革生機をグリップ性付与剤としてポリアルキルエーテル系タック剤(京浜化成製「ウエーバーNB50C」)を溶解した水溶液(ポリアルキルエーテル濃度20.0質量%)に浸漬することにより、立毛調人工皮革生機にポリアルキルエーテル系タック剤を浸透させ、マングルで絞ることにより、立毛調人工皮革生機100質量部に対して50質量部の処理液を含浸付与した。そして、60℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させることにより、10質量%のポリアルキルエーテル系タック剤を含有するスエード調人工皮革である立毛調人工皮革を得た。得られた立毛調人工皮革は目付け180g/m2の、厚さ0.45mm、見掛け密度0.40g/cm3であった。
そして、実施例1で得られた立毛調人工皮革を手甲部及び親指部を形成する素材として用い、本実施例で得られたポリアルキルエーテル系タック剤を付与した立毛調人工皮革を掌部を形成する素材として用い、図1に示したようなゴルフ用手袋を製造した。
得られたゴルフ用手袋のグリップ性と装着時の滑り性とを、アマチュアのゴルフプレイヤー10人のモニターに装着させ、各人による下記基準に基づく判定結果の多数決を採った。
(グリップ性)
A:強力なグリップ性であった。
B:やや強力なグリップ性であった。
C:一般的なグリップ性であった。
(装着時の滑り性)
A:特に滑りにくい感触であった。
B:やや滑りにくい感触であった。
C:滑りにくい感触であった。
結果を表2に示す。
Figure 0007049121000002
[実施例26~28、比較例4~5]
手甲部と掌部とに用いた立毛調人工皮革の組み合わせを表2に示したように変更した以外は、実施例25と同様にしてゴルフ用手袋を得、評価した。結果を表2に示す。
10 手甲部
20 掌部
30 親指部

Claims (6)

  1. 不織布と、前記不織布の内部に付与された高分子弾性体とを含み、少なくとも一面が立毛面である立毛調人工皮革であって、
    前記立毛調人工皮革に浸透した、0.1~15質量%のグリセリンを含むことを特徴とする立毛調人工皮革。
  2. シルクプロテイン系物質をさらに含む請求項1に記載の立毛調人工皮革。
  3. 0.1~5質量%の前記シルクプロテイン系物質を含む請求項2に記載の立毛調人工皮革。
  4. 前記グリセリン0.5~12質量%、前記シルクプロテイン系物質0.1~2質量%含有する請求項3に記載の立毛調人工皮革。
  5. 手甲側に配される第1素材と、掌側に配される第2素材とを含む手袋であって、
    前記第1素材及び前記第2素材は何れも、不織布と、前記不織布の内部に付与された高分子弾性体とを含む、少なくとも一面が立毛面である立毛調人工皮革であり、
    前記第1素材が、前記立毛調人工皮革に浸透した、0.1~15質量%のグリセリンを含むことを特徴とする手袋。
  6. 前記第1素材が、シルクプロテイン系物質をさらに含む請求項5に記載の手袋。
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