以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
まず、図1を用いてトラクタ1の全体構成について説明する。
トラクタ1は、主として機体フレーム2、前輪3、後輪4、エンジン5、ボンネット6、変速装置7、油圧昇降装置8、キャビン9、ステアリングホイール10、座席11、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を具備する。
機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けて配置される。機体フレーム2の前部はフロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪3に支持される。機体フレーム2の後部にはミッションケースに収容された変速装置7が設けられる。変速装置7の後部はリアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪4に支持される。
機体フレーム2の前部にはエンジン5が設けられる。エンジン5はボンネット6に覆われる。エンジン5の動力は、変速装置7で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪3に伝達可能とされると共に、リアアクスル機構を経て後輪4に伝達可能とされる。エンジン5の動力によって前輪3及び後輪4が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。
また、エンジン5の動力は、変速装置7で変速された後、PTO軸に伝達可能とされる。本実施形態において、当該PTO軸には、ロータリ耕耘装置20が連結されている。ロータリ耕耘装置20は、トラクタ1の後部に配置され、主として伝動ケース21、ロータリ軸22、複数の爪23及びマイコン24(図2参照)を具備する。伝動ケース21は、PTO軸からの動力をロータリ軸22に伝達することで、ロータリ軸22を回転させる。これにより、ロータリ耕耘装置20は、複数の爪23を回転させて圃場等を耕すことができる。また、ロータリ耕耘装置20は、油圧昇降装置8によって昇降可能に構成される。マイコン24は、ロータリ耕耘装置20の動作を制御するものである。マイコン24については後述する。
また、トラクタ1の前部には、フロントローダ30が装着される。フロントローダ30は、主として支持フレーム31、ブーム32、バケット33及びマイコン34(図2参照)を具備する。支持フレーム31は、機体フレーム2に固定される。ブーム32は、支持フレーム31に回動可能に連結され、前方に向かって延びるように配置される。バケット33は、ブーム32の前端部に回動可能に連結される。ブーム32はブームシリンダ32aを伸縮させることで、支持フレーム31に対して回動させることができる。バケット33はバケットシリンダ33aを伸縮させることで、ブーム32に対して回動させることができる。このように、フロントローダ30は、ブーム32及びバケット33を適宜回動させながら土砂の運搬作業等を行うことができる。マイコン34は、フロントローダ30の動作を制御するものである。マイコン34については後述する。
また、トラクタ1の前後中途部(エンジン5の後方)にはキャビン9が設けられる。キャビン9の内部には、作業者が搭乗する居住空間9aが形成される。居住空間9aには、前輪3の切れ角を調節するためのステアリングホイール10、作業者が着座するための座席11等が配置される。
また、居住空間9aには、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させるための作業機操作具50、及びトラクタ1に設けられる機器と適宜通信可能な通信端末70が配置される。作業機操作具50は、座席11の右方に設けられる。通信端末70は、座席11の前方に配置されるメーターパネル(不図示)とは別に、当該メータパネルの上方に配置される。
次に、図2から図5までを参照して、作業機操作具50の操作に応じてロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させるための作業機操作システム40の構成について説明する。
図2に示す作業機操作システム40は、作業機操作具50及び通信端末70を具備する。
図2及び図3に示す作業機操作具50は、作業者が操作するためのものである。作業機操作具50は、レバー51、ボックス52、第一スイッチ53、第二スイッチ54、第三スイッチ55、第四スイッチ56、ダイヤル57、切替スイッチ58、検出部59(図4参照)及び信号発信部60を具備する。
レバー51は、傾動操作によって所定の方向を入力するためのものである。本実施形態に係るレバー51は、前後方向、左右方向及び斜め方向(左前方向、左後方向、右前方向及び右後方向)を入力可能に構成される。レバー51は、本体部51a、グリップ51b及びブーツ51cを具備する。
本体部51aは、上下方向に延びた略直方体状に形成される。本体部51aは、所定の支持機構に支持されることにより、前後方向、左右方向及び斜め方向に揺動自在に設けられる。また、本体部51aは、バネ等で付勢されることにより、元の位置(どの方向にも揺動していない位置)に戻るように構成される。
グリップ51bは、作業者が握る部分であると共に、本体部51aの上部である。グリップ51bは、本体部51aの他の部分よりも前後方向幅が長くなるように形成されると共に、上面が上方へ膨らんだ曲面状に形成される。
ブーツ51cは、本体部51aの下部を覆うものである。ブーツ51cは、ゴム等の弾性体によって構成される。
ボックス52は、略箱状の部材である。ボックス52には、本体部51aを支持する前記支持機構や後述する信号発信部60等が収容される。
第一スイッチ53から第四スイッチ56までは、押下操作するための押しボタン式のスイッチである。第一スイッチ53から第四スイッチ56までは、レバー51に設けられる。より詳細には、第一スイッチ53及び第二スイッチ54は、グリップ51bの左側に前後に並ぶように設けられる。第三スイッチ55及び第四スイッチ56は、グリップ51bの前側に左右に並ぶように設けられる。
ダイヤル57は、回動操作するための操作具である。ダイヤル57は、自身を無段階に(アナログ的に)回動操作可能に構成される。ダイヤル57は、レバー51(第一スイッチ53及び第二スイッチ54の下方)に設けられる。
切替スイッチ58は、作業機操作具50を用いてフロントローダ30を動作可能な第一状態と、作業機操作具50を用いてロータリ耕耘装置20(フロントローダ30以外の作業機)を動作可能な第二状態と、を切り替えるためのものである。切替スイッチ58は、ボックス52の左側に設けられる。本実施形態に係る切替スイッチ58は、上方に倒された状態と、下方に倒された状態と、を切替可能なトグルスイッチによって構成される。なお、本実施形態に係る切替スイッチ58は、上方に倒されると(図3に示す状態となると)、第一状態に切り替えることができる。また、切替スイッチ58は、下方に倒されると、第二状態に切り替えることができる。
図4に示す検出部59は、レバー51等が操作されたことを検出するためのものである。検出部59は、ポテンショメータ59a、第一スイッチ検出部59b、第二スイッチ検出部59c、第三スイッチ検出部59d、第四スイッチ検出部59e、ロータリエンコーダ59f及び切替スイッチ検出部59gを具備する。
ポテンショメータ59aは、レバー51の入力方向に応じて複数設けられ、当該レバー51の揺動操作を検出するものである。第一スイッチ検出部59bから第四スイッチ検出部59eまでは、第一スイッチ53から第四スイッチ56までの押下操作を検出するものである。ロータリエンコーダ59fは、ダイヤル57の回動操作量を検出するものである。切替スイッチ検出部59gは、切替スイッチ58の切替操作を検出するものである。
信号発信部60は、レバー51等の操作に応じた信号、すなわち、レバー51等がどのように操作されたのかを識別可能な信号を発信するためのものである。信号発信部60は、レバー51等の操作に対応付けられたメッセージIDの信号を発信する。信号発信部60は、マイコン等によって構成される。信号発信部60は、検出部59と接続され、検出部59から検出結果に関する信号を受信可能に構成される。これにより、信号発信部60は、検出部59の検出結果(ポテンショメータ59a等の検出結果)を取得可能に構成される。また、信号発信部60は、所定の電源Pと接続され、当該電源Pからの電力供給によって動作する。
また、図2に示すように、信号発信部60は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークNに接続される。本実施形態に係る車載ネットワークNには、信号発信部60の他に、後述する通信端末70、ロータリ耕耘装置20のマイコン24及びフロントローダ30のマイコン34が接続されている。信号発信部60は、レバー51等が操作されると(検出部59から検出結果を取得すると)、当該操作に応じた信号を車載ネットワークNを介して発信することができる。
また、ロータリ耕耘装置20のマイコン24は、所定の信号のメッセージIDと、ロータリ耕耘装置20の動作と、を互いに関連付けて記憶している。また、フロントローダ30のマイコン34は、所定の信号のメッセージIDと、フロントローダ30の動作と、を互いに関連付けて記憶している。これにより、マイコン24・34は、受信した信号のメッセージIDに応じて、決められた動作を実行することができる。具体的には、例えば、ロータリ耕耘装置20のマイコン24は、「1」というメッセージIDに複数の爪23を回転させるという動作を関連付けて記憶していた場合、「1」というメッセージIDの信号を受信すると、当該メッセージIDに応じて複数の爪23を回転させることができる。
図2及び図5に示す通信端末70は、信号発信部60と、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30のマイコン24・34と、の通信を管理するものである。通信端末70は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、並びにタッチパネル70a(図2参照)等の入出力装置等により構成される。通信端末70は、アプリケーションや種々の情報を前記記憶装置に格納しており、当該アプリケーションや種々の情報を演算処理装置で読み込んで処理することで、種々の処理を行うことができる。通信端末70は、翻訳部71、設定変更部72及びパターン発信部73を具備する。
翻訳部71は、通信端末70にインストールされたアプリケーションである。翻訳部71は、信号発信部60から受信した信号を適宜変換することで、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させるものである。翻訳部71の処理については後述する。
設定変更部72は、通信端末70にインストールされたアプリケーションである。設定変更部72は、信号発信部60から発信される信号のメッセージIDを変更するものである。設定変更部72の処理については後述する。
パターン発信部73は、所定のパターンの操作に応じてロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させるものである。パターン発信部73の処理については後述する。
次に、図3、図4及び図6を参照して、作業機操作具50を用いてロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させる手順について説明する。
図3に示す作業機操作具50は、切替スイッチ58を適宜切り替えることによって第一状態及び第二状態を切り替えることができる。
具体的には、切替スイッチ58が上方へ倒されると、図4に示す切替スイッチ検出部59gは、当該操作を検出し、当該検出結果を信号発信部60へ発信する。これにより、信号発信部60は、作業機操作具50を第一状態に切り替える。
第一状態において、信号発信部60は、レバー51や第一スイッチ53等の操作に応じて発信する信号のメッセージIDを、フロントローダ30に対応するように、すなわち、フロントローダ30のマイコン34が識別可能なメッセージIDとなるように切り替える。これにより、信号発信部60は、自身が発信する信号を、フロントローダ30に対応する信号S1に切り替える。
図6に示すように、信号発信部60は、こうして切り替えた第一状態においてレバー51や第一スイッチ53等が操作されると、当該操作に応じて信号S1を車載ネットワークNに接続された装置にブロードキャストする。すなわち、信号発信部60は、フロントローダ30のマイコン34、ロータリ耕耘装置20のマイコン24及び通信端末70に信号S1を発信する。
フロントローダ30のマイコン34は、当該信号S1を受信すると、当該信号S1のメッセージIDに応じてフロントローダ30を動作させる(例えば、ブーム32を回動させる)。これにより、作業機操作具50は、レバー51や第一スイッチ53等の操作に応じて、フロントローダ30を動作させることができる。
なお、信号S1はフロントローダ30に対応した信号であるため、ロータリ耕耘装置20のマイコン24及び通信端末70は、当該信号S1を受信しても動作することはない。こうして、作業機操作具50は、第一状態においてフロントローダ30のみを動作させることができる。
また、切替スイッチ58が下方へ倒されると、信号発信部60は、作業機操作具50を第二状態に切り替える。第二状態において、信号発信部60は、レバー51や第一スイッチ53等の操作に応じて発信する信号を、ロータリ耕耘装置20に対応する信号S2に切り替える。図7に示すように、信号発信部60は、こうして切り替えた第二状態においてレバー51や第一スイッチ53等が操作されると、当該操作に応じて信号S2を発信する。
ロータリ耕耘装置20のマイコン24は、当該信号S2を受信すると、当該信号S2のメッセージIDに応じてロータリ耕耘装置20を動作させる(例えば、複数の爪23を回転させる)。これにより、作業機操作具50は、レバー51や第一スイッチ53等の操作に応じて、ロータリ耕耘装置20を動作させることができる。
また、信号発信部60は、第二状態においてダイヤル57が回動操作されると、ダイヤル57の回動操作量に応じた信号S2を発信する。これにより、ロータリ耕耘装置20の動作量を調整することができる。具体的には、ダイヤル57を回動操作することで、ロータリ耕耘装置20による耕耘の深さを調整することができる。このように、ダイヤル57によれば、ロータリ耕耘装置20の動作のオンオフだけではなく、ロータリ耕耘装置20の動作量も調整可能となる。このため、ロータリ耕耘装置20の動作を細かく制御可能となって、作業機操作具50の操作性を向上させることができる。
なお、第二状態において信号発信部60から発信される信号S2はロータリ耕耘装置20に対応した信号であるため、フロントローダ30のマイコン34及び通信端末70は、当該信号S2を受信しても動作することはない。こうして、作業機操作具50は、第二状態においてロータリ耕耘装置20のみを動作させることができる。
以上のように、切替スイッチ58によれば、レバー51や第一スイッチ53等の操作に応じて信号発信部60から発信される信号S1・S2を、フロントローダ30又はロータリ耕耘装置20のいずれかに対応した信号S1・S2に切り替えることができる。これにより、必要に応じてロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させることができる。
次に、通信端末70のアプリケーション(翻訳部71、設定変更部72及びパターン発信部73)について説明する。
まず、図5に示す翻訳部71の処理について、図6及び図8を参照して説明する。
前述の如く、翻訳部71は、信号発信部60から受信した信号を適宜変換するものである。
ここで、例えば、トラクタ1に連結されるフロントローダ30が他の機種(別のフロントローダ30)に付け替えられた場合、当該フロントローダ30が信号発信部60から発信される信号に対応していない場合がある。より詳細には、他の機種に付け替えられたフロントローダ30のマイコン34が記憶しているメッセージIDと、信号発信部60から発信される信号のメッセージIDと、の対応関係がとれていない場合がある。この場合、信号発信部60から信号を発信したとしても、フロントローダ30を動作させることができなくなってしまう。翻訳部71は、信号発信部60から受信した信号を適宜変換することで、このような事態の発生を回避することができる。
具体的には、翻訳部71は、まず、所定の手段によってトラクタ1に連結されるフロントローダ30の機種を判別する。これにより、翻訳部71は、判別した機種に応じて、マイコン34が関連付けて記憶している信号のメッセージIDとフロントローダ30の動作との対応関係を判断することができる。なお、前記所定の手段としては、例えば、フロントローダ30が他の機種に付け替えられた際に発信されるマイコン34からの信号でフロントローダ30の機種を判別する手段や、タッチパネル70aによる操作でフロントローダ30の機種を手動で設定する手段等がある。
フロントローダ30の機種を判別した状態において、翻訳部71は、信号発信部60から信号S1を受信すると(図6参照)、当該信号S1に基づいて作業者が指示した(作業機操作具50の操作に対応付けられた)フロントローダ30の動作を判別する。
そして、図8に示すように、翻訳部71は、判別したフロントローダ30の機種に基づいて、当該フロントローダ30で作業者が指示した動作を実行可能なメッセージIDを判断する。その後、翻訳部71は、当該判断したメッセージIDの信号、すなわち付け替えられたフロントローダ30に対応する信号S3を発信する。
フロントローダ30のマイコン34は、当該信号S3を受信すると、当該信号S3のメッセージIDに応じてフロントローダ30を動作させる(例えば、ブーム32を回動させる)。
このように、翻訳部71によれば、信号発信部60から発信される信号S1がフロントローダ30に対応していなくても、当該信号発信部60から発信される信号S1とフロントローダ30とがあたかも対応しているように(擬似的に)作業機操作具50を操作することができる。これにより、信号発信部60から発信される信号S1に対応していないフロントローダ30を作業機操作具50で動作させることができる。
なお、翻訳部71から発信される信号S3は付け替えられたフロントローダ30に対応した信号であるため、ロータリ耕耘装置20のマイコン24は、当該信号S3を受信しても動作することはない。こうして、翻訳部71は、信号S3によりフロントローダ30のみを動作させることができる。
なお、翻訳部71は、ロータリ耕耘装置20が他の機種(別のロータリ耕耘装置20)に付け替えられた場合においても、フロントローダ30が他の機種に付け替えられた場合と同様の処理を行う。すなわち、翻訳部71は、ロータリ耕耘装置20の機種及び作業者が指示した動作を判別し、当該機種に基づいて作業者が指示した動作を実行可能なメッセージIDを判断し、付け替えられたロータリ耕耘装置20に対応する信号を発信する。
以上のように、翻訳部71によれば、信号発信部60からの信号を適宜変換し、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の機種に適した信号を発信することができる。これによれば、作業機操作具50の操作によって種々の作業機(複数種類の作業機、及び機種の異なる作業機)を動作させることができる。これによって、作業機操作具50の用途を広げて利便性を向上させることができる。
また、翻訳部71によれば、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の機種に適した信号を発信させることができるため、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を簡単に動作させることができる。
次に、図5に示す設定変更部72の処理について、図9を参照して説明する。
前述の如く、設定変更部72は、信号発信部60から発信される信号のメッセージIDを変更するものである。
ここで、前述の如く、フロントローダ30が他の機種に付け替えられた場合、当該フロントローダ30が信号発信部60から発信される信号に対応していない場合がある。このような場合において、設定変更部72によって、信号発信部60から発信される信号がフロントローダ30に対応するように、信号発信部60から発信される信号のメッセージIDを変更することで、フロントローダ30を動作させることもできる。
具体的には、設定変更部72は、まず、所定の手段によってトラクタ1に連結されるフロントローダ30の機種を判別する。そして、設定変更部72は、フロントローダ30の機種に対応したメッセージIDの信号が信号発信部60から発信されるように、信号発信部60に記憶されたメッセージIDに関する情報を書き換える。これにより、図9に示すように、設定変更部72は、信号S1ではなく、付け替えられたフロントローダ30に対応する信号S3を発信するように、信号発信部60の設定を変更する。
例えば、第一状態においてレバー51が前方へ倒されると「10」というメッセージIDの信号S1を発信していたところを、付け替えられたフロントローダ30が識別可能な「11」というメッセージIDの信号S3を発信するようにする。
こうして、設定変更部72は、レバー51等の操作と信号発信部60から発信される信号のメッセージIDとの対応関係を変更する。これによれば、信号発信部60から発信される信号のメッセージIDを、フロントローダ30のマイコン34が記憶しているメッセージIDに対応させることができる。これにより、付け替えられたフロントローダ30を作業機操作具50で動作させることができる。また、設定変更部72で信号発信部60の設定の変更を行った後は、通信端末70を用いることなく付け替えられたフロントローダ30を動作させることができる。
なお、設定変更部72は、ロータリ耕耘装置20が他の機種に付け替えられた場合においても、フロントローダ30の場合と同様の処理を行う。すなわち、設定変更部72は、ロータリ耕耘装置20の機種を判別し、信号発信部60からロータリ耕耘装置20の機種に対応したメッセージIDの信号が発信されるように、信号発信部60の設定を変更する。
上記説明においては、設定変更部72による作業機操作具50の操作と信号のメッセージIDとの対応付けについて説明したが、さらに、作業者が任意の操作に任意のメッセージIDを対応付けることもできる。以下では、作業者が任意に行う対応付けについて、図10を参照して説明する。
図10に示す設定変更画面80は、作業機操作具50の操作にロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の動作を任意に割り当てる、すなわち信号発信部60から発信される信号のメッセージIDを任意に対応付ける画面である。設定変更画面80は、通信端末70のタッチパネル70aが適宜操作されることで表示される。本実施形態に係る設定変更画面80は、作業機毎に動作を割り当て可能に構成されており、図10においては、作業機操作具50の操作にロータリ耕耘装置20の動作を割り当てるための画面を記載している。設定変更画面80には、作業機操作具50の画像81、作業機操作具50の操作名82、作業機の動作名83、決定ボタン84及びキャンセルボタン85等が表示される。なお、図10においては、便宜上、一部の操作(レバー51の斜め方向の操作)の記載を省略している。
作業機操作具50の操作名82及び作業機の動作名83は、互いに左右に並んで配置される。作業機の動作名83は、左方に表示された作業機操作具50の操作名82に割り当てられる作業機の動作を示すものである。タッチパネル70aは、適宜操作されることで作業機の動作名83を設定可能に構成される。
決定ボタン84は、設定変更画面80で割り当てた内容を信号発信部60に反映させるためのボタンである。決定ボタン84がタッチされると、設定変更部72は、信号発信部60の設定を変更する(信号発信部60に記憶されたメッセージIDに関する情報を書き換える)信号を発信する。これにより、設定変更部72は、信号発信部60から発信される信号を、設定変更画面80で割り当てた内容に応じた信号に変更する。これによって、設定変更部72は、作業機操作具50の操作に、信号発信部60から発信される信号のメッセージIDを対応付ける。
具体的には、例えば、「第一スイッチ」の動作に「耕耘ON/OFF」が割り当てられたとすると、第二状態で第一スイッチ53が押下された場合に、ロータリ耕耘装置20が耕耘の運転開始及び停止を実行可能なメッセージIDの信号を発信するように、信号発信部60の設定を変更する。
キャンセルボタン85は、設定変更画面80で割り当てた内容を破棄するためのボタンである。キャンセルボタン85がタッチされると、設定変更部72は、信号発信部60の設定の変更を行わず、設定変更画面80の前に表示されていた画面を表示する。
設定変更部72によれば、作業者が使い易くなるように作業機操作具50の操作にロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の動作を割り当てることができる。このため、作業機操作具50の操作性を向上させることができる。
上記説明においては、設定変更画面80を用いて設定変更部72の設定を変更し、信号発信部60から発信される信号のメッセージIDを作業機操作具50の操作に任意に対応付けたが、当該対応付けと同じような対応付けを、翻訳部71にも適用することができる。この場合、通信端末70は、翻訳部71から発信される信号のメッセージIDを信号発信部60から受信する信号のメッセージIDに任意に対応付ける(対応関係を変更する)ことになる。
当該通信端末70は、例えば、設定変更画面80で割り当てた内容を翻訳部71に反映させる(前記記憶装置に記憶されたメッセージIDに関する情報を書き換える)。具体的には、例えば、図10に示す設定変更画面80で「第一スイッチ」の動作に「耕耘ON/OFF」が割り当てられたとすると、第二状態で第一スイッチ53が押下された場合(厳密には信号発信部60から信号を受信した場合)に、ロータリ耕耘装置20が耕耘の運転開始及び停止を実行可能なメッセージIDの信号を発信するように、翻訳部71の設定を変更する。これによって、通信端末70は、翻訳部71から発信される信号のメッセージIDを作業機操作具50の操作に任意に対応付ける。
これにより、通信端末70は、翻訳部71から発信される信号(翻訳部71が変換する信号)のメッセージIDを、作業機操作具50の操作に応じて信号発信部60から受信する信号のメッセージIDに任意に対応付けることができる。これによれば、作業者が使い易くなるように作業機操作具50の操作にロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の動作を割り当てることができるため、作業機操作具50の操作性を向上させることができる。
次に、図5に示すパターン発信部73の処理について説明する。
前述の如く、パターン発信部73は、所定のパターンの操作に応じてロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させるものである。ここで、所定のパターンの操作は、レバー51等に対する単純な操作(例えば、レバー51を1回前方へ倒す操作)とは異なる操作(特殊な操作)である。所定のパターンの操作には、コマンド操作、継続操作、並びにコマンド操作及び継続操作を組み合わせた操作等が含まれる。コマンド操作は、レバー51等に対する操作を組み合わせたもの(信号発信部60から複数の信号を発信させる操作)である。具体的には、コマンド操作は、決められた順番にレバー51を倒したり複数のスイッチ(例えば、第一スイッチ53及び第二スイッチ54)を同時押しする操作等である。また、継続操作は、1つのスイッチ(例えば、第一スイッチ53)を決められた時間操作し続けるもの(信号発信部60から同一信号を継続して発信させる操作)である。また、コマンド操作及び継続操作を組み合わせた操作は、例えば、所定時間レバー51を右方へ倒した後で左方へ倒す操作等である。
図5に示すように、パターン発信部73は、コマンド発信部73a及び継続発信部73bを具備する。
まず、コマンド発信部73aの処理について説明する。
コマンド発信部73aは、コマンド操作(例えば、第一スイッチ53を押しながらレバー51を右方、後方、右後方の順に倒す操作)が行われると、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させるものである。信号発信部60は、作業機操作具50でコマンド操作が行われると、当該コマンド操作に応じて複数の信号を順番に発信する。コマンド発信部73aは、信号発信部60から信号を受信することで処理を開始する。
コマンド発信部73aは、例えば、信号発信部60からフロントローダ30に対応した信号S1を受信すると、所定時間内に受信した信号S1(例えば、2秒以内に受信した信号S1)の組み合わせを確認する。そして、コマンド発信部73aは、通信端末70の前記記憶装置等から適宜情報を取得することで、当該信号S1の組み合わせが予め登録されたものであるか(予め決められたコマンド操作であるか)否かを判断する。
コマンド発信部73aは、信号S1の組み合わせが予め登録されたものである場合に、当該信号S1の組み合わせに関連付けられた動作を判別する。そして、コマンド発信部73aは、フロントローダ30で判別した動作を実行可能なメッセージIDを判断し、当該判断したメッセージIDの信号S1を発信する。また、コマンド発信部73aは、ロータリ耕耘装置20に対応した信号S2を受信すると、信号S1を受信した場合と同様に、信号S2の組み合わせを確認し、ロータリ耕耘装置20で動作を実行可能なメッセージIDの信号S2を発信する。
これにより、コマンド発信部73aは、作業機操作具50でコマンド操作が行われると、当該コマンド操作に応じた信号を発信してロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させることができる。具体的には、例えば、第一スイッチ53を押しながらレバー51が右方、後方、右後方の順に倒された場合に、10秒後にロータリ耕耘装置20の耕耘を停止して非作業位置(最も上昇させた位置)へ移動させるような動作を行うことができる。
コマンド発信部73aによれば、レバー51を1回前方へ倒すといった単純な操作だけではなく、レバー51を決まった順番に倒すといった連続した操作(コマンド操作)によってもロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させることができるようになる。これにより、作業機操作具50の操作にロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の動作をより多く割り当てて作業機操作具50で多彩な操作を行うことができるため、作業機操作具50の操作性を向上させることができる。
上記説明においては、コマンド発信部73aによるコマンド操作時の信号の発信処理について説明したが、さらに、作業者が任意のコマンド操作に任意のメッセージIDを対応付けることもできる。以下では、作業者が任意に行うコマンド操作と信号のメッセージIDとの対応付けについて、図11を参照して説明する。
図11に示すコマンド設定画面90は、コマンド操作にロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の動作を任意に割り当てる(信号のメッセージIDを任意に対応付ける)ための画面である。コマンド設定画面90は、通信端末70のタッチパネル70aが適宜操作されることで表示される。本実施形態に係るコマンド設定画面90は、作業機毎に動作を割り当て可能に構成されており、図11においては、作業機操作具50の操作にロータリ耕耘装置20の動作を割り当てるための画面を記載している。コマンド設定画面90には、操作内容91、作業機の動作名92、入力開始ボタン93、入力終了ボタン94、決定ボタン95及びキャンセルボタン96等が表示される。
操作内容91は、作業機操作具50でのコマンド操作(信号の組み合わせ)を示すものである。操作内容91及び作業機の動作名92は、互いに左右に並んで配置される。作業機の動作名92は、左方に表示された操作内容91に割り当てられる作業機の動作を示すものである。タッチパネル70aは、適宜操作されることで作業機の動作名92を設定可能に構成される。なお、図11及び後述する図12においては、操作内容91に記載された操作を行うと、所定の動作(「モーション1」及び「モーション2」)を行うように設定された状態を示している。
入力開始ボタン93及び入力終了ボタン94は、操作内容91を設定するためのものである。入力開始ボタン93がタッチされると、通信端末70は、作業機操作具50の操作を受け付ける。すなわち、通信端末70は、信号発信部60からの信号を順番に記憶し、当該信号に応じた操作を操作内容91に適宜表示させる。図12に示すように、通信端末70は、例えば、レバー51が左方、右方の順に操作されると、当該操作を操作内容91に表示させる。また、入力終了ボタン94がタッチされると、通信端末70は、作業機操作具50の操作の受付を終了する。コマンド設定画面90においては、こうして設定された操作内容91(「←→」)に割り当てたい動作(「モーション2」)を動作名92に設定することで、コマンド操作に任意の動作を割り当てることができる。
決定ボタン95は、コマンド設定画面90で割り当てた内容をコマンド発信部73aに反映させるためのボタンである。決定ボタン95がタッチされると、通信端末70は、操作内容91と作業機の動作名92とを関連付けて前記記憶装置に記憶する。これによって、通信端末70は、作業者が任意に設定したコマンド操作(信号の組み合わせ)にロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の動作を割り当てることができる。
キャンセルボタン96は、コマンド設定画面90で割り当てた内容を破棄するためのボタンである。キャンセルボタン96がタッチされると、通信端末70は、前記記憶装置への記憶を行わず、コマンド設定画面90の前に表示されていた画面を表示する。
コマンド設定画面90によれば、作業者が使い易くなるように作業機操作具50のコマンド操作(信号の組み合わせ)にロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の動作を割り当てることができるため、作業機操作具50の操作性を向上させることができる。
次に、図5に示す継続発信部73bの処理について説明する。
継続発信部73bは、継続操作が行われると(例えば、第一スイッチ53が3秒長押しされると)、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を継続して動作させるものである。継続発信部73bは、信号発信部60から信号を受信することで処理を開始する。
継続発信部73bは、例えば、信号発信部60からフロントローダ30に対応した信号S1を受信すると、当該信号S1を受信している時間を計測する。そして、継続発信部73bは、計測した時間が所定時間(例えば3秒)を越えた場合に、作業機操作具50で継続操作が行われた(例えば、第一スイッチ53が3秒長押しされた)と判断する。この場合、継続発信部73bは、受信した信号S1と同一の信号S1(作業機操作具50の操作に対応付けられたメッセージIDの信号)の発信を開始する。その後、継続発信部73bは、信号発信部60から信号S1を受信しているか否かに関わらず、信号S1の発信を継続して行う。
また、継続発信部73bは、信号発信部60からロータリ耕耘装置20に対応した信号S2を受信した場合にも、フロントローダ30に対応した信号S1を受信した場合と同様に、継続操作が行われたか否かを判断する。そして、継続発信部73bは、継続操作が行われたと判断すると、受信した信号S2と同一の信号S2の発信を開始し、信号発信部60から信号S2を受信しているか否かに関わらず、信号S2の発信を継続して行う。
これによれば、作業機操作具50を一時的に操作すれば、作業機操作具50から手を離しても、当該操作に割り当てられたロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の動作を継続して行うことができる。これにより、作業者が作業機操作具50の操作を継続しなくても、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30の動作を継続させることができる。このため、利便性を向上させることができる。
なお、継続発信部73bは、所定の条件をトリガーに(例えば、もう一度第一スイッチ53が3秒長押しされると)、信号の発信を停止する。
以上の如く、本実施形態に係る作業機操作具50は、所定方向を入力可能に構成され、入力された方向に応じて、フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20(前記フロントローダ30とは異なる他の作業機)のうち、少なくとも前記フロントローダ30を動作可能なレバー51と、前記レバー51に設けられ、前記フロントローダ30及び前記ロータリ耕耘装置20のうち、少なくとも前記ロータリ耕耘装置20を動作可能な第一スイッチ53から第四スイッチ56まで(第一操作部)と、を具備するものである。
このように構成することにより、フロントローダ30に加えてロータリ耕耘装置20も動作可能となるため、利便性を向上させることができる。
また、前記フロントローダ30を動作可能な状態と、前記ロータリ耕耘装置20を動作可能な状態と、を切り替え可能な切替スイッチ58(切替部)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、必要に応じてフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を動作させることができる。
また、操作量に応じて前記フロントローダ30及び前記ロータリ耕耘装置20を動作可能なダイヤル57(第二操作部)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、ダイヤル57の操作量に応じてフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作量を調整可能となるため、フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作を細かく制御可能となって操作性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る作業機操作システム40は、作業機操作具50と、前記作業機操作具50の操作に応じた信号を発信する信号発信部60と、前記信号発信部60と前記フロントローダ30及び/又は前記ロータリ耕耘装置20との通信を管理する通信端末70(管理部)と、を具備するものである。
このように構成することにより、通信端末70を用いて作業機操作具50(信号発信部60)とフロントローダ30等との通信を管理することができる。
また、前記通信端末70は、前記信号発信部60から受信した信号を、前記フロントローダ30及び/又は前記ロータリ耕耘装置20に対応した信号に変換して発信する翻訳部71を具備するものである。
このように構成することにより、信号発信部60から発信される信号がフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20に対応していない場合でも、当該フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を動作させることができる。
また、通信端末70は、前記信号発信部60から受信する信号と、前記翻訳部71が変換する信号と、を任意な対応関係に変更可能である。
このように構成することにより、作業者が使い易くなるように、作業機操作具50の操作とフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作との対応関係を変更できるため、操作性を向上させることができる。
また、前記通信端末70は、前記信号発信部60の設定を変更することにより、前記作業機操作具50の操作と当該操作に応じて前記信号発信部60から発信される信号との対応関係を変更する設定変更部72を具備するものである。
このように構成することにより、信号発信部60から発信される信号を適宜変更することができる。これにより、当該信号発信部60からフロントローダ30等に対応した信号を発信させることができるため、フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を動作させることができる。
また、前記通信端末70は、当該設定変更部72が設定する前記作業機操作具50の操作と当該操作に応じて前記信号発信部60から発信される信号とを任意な対応関係に変更可能である。
このように構成することにより、作業者が使い易くなるように、作業機操作具50の操作とフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作との対応関係を変更できるため、操作性を向上させることができる。
また、前記通信端末70は、前記信号発信部60から所定のパターンの信号を受信した場合、当該所定のパターンに応じて定められた信号を発信するパターン発信部73を具備するものである。
このように構成することにより、単なるレバー51等の入力だけではなく、作業機操作具50で所定の操作を行った場合にもフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を動作させることができるため、操作性を向上させることができる。
また、前記パターン発信部73は、前記信号発信部60から複数の信号からなる所定の組み合わせの信号を受信した場合、当該組み合わせに応じて定められた前記フロントローダ30及び/又は前記ロータリ耕耘装置20の所定の動作に対応した信号を発信するコマンド発信部73aを具備するものである。
このように構成することにより、ある1つの信号だけではなく、複数の信号に応じてフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を動作できるようになる。これによって、1つの信号に加えて複数の信号にもフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作を割り当てられるため、操作性を向上させることができる。
また、前記パターン発信部73は、前記信号発信部60から所定時間継続して同一の信号を受信した場合、当該信号を受信しなくなっても当該信号に応じた信号の発信を継続する継続発信部73bを具備するものである。
このように構成することにより、継続発信部73bによって信号の発信を継続させることで、フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を自動的に継続して動作させることができるため、利便性を向上させることができる。
また、作業機操作具50は、所定方向を入力可能なレバー51と、前記レバー51に設けられ、ロータリ耕耘装置20(フロントローダ30とは異なる他の作業機)を動作可能な第一スイッチ53から第四スイッチ56まで(スイッチ)と、を具備するものである。
このように構成することにより、レバー51に設けられたスイッチで他の作業機を動作可能となるため、利便性を向上させることができる。
なお、本実施形態に係るロータリ耕耘装置20は、本発明に係る他の作業機の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一スイッチ53から第四スイッチ56までは、本発明に係る第一操作部及びスイッチの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る切替スイッチ58は、本発明に係る切替部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るダイヤル57は、本発明に係る第二操作部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る通信端末70は、本発明に係る管理部の実施の一形態である。
また、以上の如く、本実施形態に係る作業機操作具50は、所定方向を入力可能に構成され、入力された方向に応じてフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20(少なくともフロントローダ30を含む作業機)を動作可能なレバー51、及び前記レバー51に設けられる第一スイッチ53から第四スイッチ56まで(第一操作部)を具備する作業機操作具50と、前記作業機操作具50の操作に応じた信号を発信する信号発信部60と、前記信号発信部60から所定のパターンの信号を受信した場合、当該所定のパターンに応じて定められた信号を前記フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20へ発信するパターン発信部73と、を具備するものである。
このように構成することにより、単なるレバー51等の入力だけではなく、作業機操作具50で所定の操作を行った場合にもフロントローダ30を動作させることができるため、操作性を向上させることができる。
また、前記信号発信部60から受信した信号を、前記フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20に対応した信号に変換して発信する翻訳部71をさらに具備するものである。
このように構成することにより、信号発信部60から発信される信号がフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20に対応していない場合でも、翻訳部71によって信号を適宜変換することで、当該フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を動作させることができる。
また、前記翻訳部71が実装され、前記信号発信部60から受信する信号と、前記翻訳部71が変換する信号と、を任意な対応関係に変更可能な通信端末70(第一操作端末)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、作業者が使い易くなるように、作業機操作具50の操作とフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作との対応関係を変更できるため、操作性をより向上させることができる。
また、前記信号発信部60の設定を変更することにより、前記作業機操作具50の操作と当該操作に応じて前記信号発信部60から発信される信号との対応関係を変更する設定変更部72をさらに具備するものである。
このように構成することにより、信号発信部60から発信される信号を適宜変更することができる。これにより、当該信号発信部60からフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20に対応した信号を発信させることができる。
また、前記設定変更部72が実装され、当該設定変更部72が設定する前記作業機操作具50の操作と当該操作に応じて前記信号発信部60から発信される信号とを任意な対応関係に変更可能な通信端末70(第二操作端末)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、作業者が使い易くなるように、作業機操作具50の操作とフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作との対応関係を変更できるため、操作性をより向上させることができる。
また、前記作業機操作具50は、操作量に応じて前記フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を動作可能なダイヤル57(第二操作部)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、ダイヤル57の操作量に応じてフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作量を調整可能となるため、フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作を細かく制御可能となって操作性をより向上させることができる。
また、前記パターン発信部73は、前記信号発信部60から複数の信号からなる所定の組み合わせの信号を受信した場合、当該組み合わせに応じて定められた前記フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の所定の動作に対応した信号を発信するコマンド発信部73aを具備するものである。
このように構成することにより、ある1つの信号だけではなく、複数の信号に応じてフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を動作できるようになる。これによって、1つの信号に加えて複数の信号にもフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20の動作を割り当てられるため、操作性をより向上させることができる。
また、前記パターン発信部73は、前記信号発信部60から所定時間継続して同一の信号を受信した場合、当該信号を受信しなくなっても当該信号に応じた信号の発信を継続する継続発信部73bを具備するものである。
このように構成することにより、継続発信部73bによって信号の発信を継続させることで、フロントローダ30及びロータリ耕耘装置20を自動的に継続して動作させることができるため、利便性を向上させることができる。
なお、本実施形態に係るフロントローダ30及びロータリ耕耘装置20は、本発明に係る少なくともフロントローダを含む作業機の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一スイッチ53から第四スイッチ56までは、本発明に係る第一操作部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る通信端末70は、本発明に係る第一操作端末及び第二操作端末の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るダイヤル57は、本発明に係る第二操作部の実施の一形態である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、フロントローダ30以外の作業機として、ロータリ耕耘装置20を例に挙げて説明したが、作業機操作具50は、ロータリ耕耘装置20以外の作業機を動作させることも可能である。具体的には、作業機操作具50は、ブームスプレーヤ、スプレッダ、フロントローダ30のグラブ、ハロー、あぜ塗り機、プラウ及びシーダ等を動作させることも可能である。
作業機操作具50は、ブームスプレーヤを動作させる場合において、例えば、農薬散布の開始及び終了、腕の折り畳み開閉、並びに散布高さの調整等を行うことができる。また、作業機操作具50は、スプレッダを動作させる場合において、例えば、肥料散布の開始及び終了、並びに散布量の増減等を行うことができる。また、作業機操作具50は、フロントローダ30のグラブを動作させる場合において、例えば、グラブの開閉等を行うことができる。また、作業機操作具50は、ハローを動作させる場合において、例えば、整地板の折り畳み及び展開、並びに土寄せの上げ下げ等を行うことができる。また、作業機操作具50は、あぜ塗り機を動作させる場合において、例えば、移動位置及び作業位置の調整(オフセット)等を行うことができる。また、作業機操作具50は、プラウを動作させる場合において、例えば、右寄せ及び左寄せの切替等を行うことができる。また、作業機操作具50は、シーダを動作させる場合において、例えば、種や肥料の散布の開始及び終了等を行うことができる。
また、レバー51は、前後方向、左右方向及び斜め方向に傾動自在であるものとしたが、レバー51の傾動方向はこれに限定されるものではなく、少なくとも一方向に傾動可能であればよい。
また、作業機操作具50は、ダイヤル57によって作業機の操作量を調整するものとしたが、操作量を調整する手段はダイヤル57に限定されるものではなく、例えば、所定方向へのスライド量に応じて操作量を調整可能なスライドスイッチ等であってもよい。
また、ダイヤル57は、レバー51に設けられるものとしたが、ダイヤル57の配置はこれに限定されるものではなく、例えば、ボックス52等に設けられていてもよい。また、ダイヤル57は、ロータリ耕耘装置20の動作において用いられたが、これに限定されるものではなく、フロントローダ30の動作において用いられるものであってもよい。
また、切替スイッチ58は、トグルスイッチによって構成されるものとしたが、切替スイッチ58の種類は、これに限定されるものではなく、例えば、押しボタン式のスイッチ等であってもよい。
また、切替スイッチ58は、ボックス52に設けられるものとしたが、切替スイッチ58の配置はこれに限定されるものではなく、例えば、レバー51等に設けられていてもよい。
また、翻訳部71、設定変更部72、コマンド発信部73a及び継続発信部73bは、通信端末70に実装されるものとしたが、翻訳部71、設定変更部72、コマンド発信部73a及び継続発信部73bが実装される機器は通信端末70に限定されるものではなく、種々の機器(例えば、スマートフォン等)に実装することができる。
また、設定変更部72は、信号発信部60の設定(信号)を変更するものとしたが、信号発信部60からの信号でロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作可能であれば、設定を変更する対象は信号発信部60に限定されるものではない。設定変更部72は、例えば、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30のマイコン24・34の設定を変更することで、信号発信部60からの信号でロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30を動作させるようにしてもよい。
また、通信端末70の各種機能(翻訳部71、設定変更部72及びパターン発信部73)は、同時に実行することができる。通信端末70は、例えば、以下のようにして翻訳部71及びパターン発信部73のコマンド発信部73aの処理を同時に実行することができる。すなわち、コマンド発信部73aは、信号発信部60から信号を受信すると、当該信号の組み合わせによりコマンド操作されたか否かを判断する。そして、コマンド発信部73aは、コマンド操作されたと判断した場合に、信号発信部60から受信した信号を、コマンド操作に割り当てられた動作のメッセージIDの信号に変換し、翻訳部71へ発信する。翻訳部71は、コマンド発信部73aから受信した信号(コマンド発信部73aが変換した信号)を、ロータリ耕耘装置20及びフロントローダ30に対応する信号にさらに変換して発信する。