[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るエンコーダ装置ECおよび駆動装置MTRを示すブロック図である。図2は、第1実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す平面図である。図3は、第1実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す断面図である。エンコーダ装置ECは、例えばダブルエンコーダを含む。エンコーダ装置ECは、第1回転体SF1の回転位置、及び第2回転体SF2の回転位置を検出する。以下の説明において、第1回転体SF1の軸方向を、適宜、アキシャル方向と称する。第1回転体SF1の軸方向は、第1回転体SFの回転軸(回転中心軸)と同軸の方向である。
以下の説明において、適宜、図2等に示すXYZ直交座標系を参照する。このXYZ直交座標系において、Z方向は、第1回転体SF1の回転軸AXに平行な方向である。X方向およびY方向は、それぞれZ方向に垂直な方向である。また、X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれについて、適宜、矢印と同じ側を+側(例、+Z側)と称し、矢印と反対側を-側(例、-Z側)と称する。
図2は、エンコーダ装置ECをアキシャル方向から見た図に相当する。図3は、アキシャル方向に平行な面(例、図2のA1-A1線を含む面)における断面図に相当する。なお、以下の説明で参照する断面図において、ハッチングが省略される場合がある。
図1の第1回転体SF1は、例えば、電動モータなどの駆動装置MTRにおける出力軸(例、電気子と連動する物体、シャフト、回転子)を含む。第2回転体SF2は、第1回転体SF1と接続される。第2回転体SF2は、例えば、負荷LDと接続される作用軸を含む。第2回転体SF2は、例えば減速機などの変速部TRを介して第1回転体SF1と接続される。第2回転体SF2は、第1回転体SF1から伝達されるトルクによって回転し、トルクを負荷LDに伝える。第1回転体SF1、変速部TR、及び第2回転体SF2は、例えば駆動装置MTRの一部である。なお、第1回転体SF1、変速部TR、及び第2回転体SF2の少なくとも一部は、駆動装置MTRの外部の装置に含まれてもよい。
上記の回転位置(回転位置情報)は、多回転(多回転情報)と角度位置(角度位置情報)との一方または双方を含む。多回転は、回転の数(例、1回転、2回転、多回転)を示す情報を含む。角度位置は、回転方向の位置を1回転未満(例、360°未満、2π(rad)未満))の角度(回転角)で示す情報を含む。エンコーダ装置ECは、例えば多回転アブソリュートエンコーダである。この場合に、上記の回転位置は、多回転および角度位置を含む。
駆動装置MTRは、例えば、駆動部MDおよび制御部MCを備える。駆動部MDは、例えば、移動子、固定子、及び本体部を含む。移動子は、例えば電動モータの電気子を含む。固定子は、例えば電動モータの磁石(例、永久磁石)を含む。移動子は、固定子に対して移動(例、回転)する。駆動部MDの本体部は、回転子および固定子を収容するボディなどである。固定子は本体部に固定され、移動子は、本体部に対して回転可能に支持される。
制御部MC(モータ制御部)は、エンコーダ装置ECが検出した回転位置に基づいて、第1回転体SF1の駆動(例、回転)を制御する。例えば、制御部MCは、回転位置に基づいて、回転子の回転に消費される電力を制御する。制御部MCは、例えば、回転子の角度位置、角速度、及び角加速度の少なくとも一つが目標値に近づくように、駆動部MDに供給される電力(例、電流)を制御する。
図1および図2に示すように、エンコーダ装置ECは、第1スケールSC1と、第1検出部1と、第2スケールSC2と、第2検出部2と、処理部3と、第1支持部4と、第2支持部5とを備える。第1スケールSC1は、第1回転体SF1に固定される。第1検出部1は、第1回転体SF1の回転によって、第1スケールSC1と相対的に回転する。第1支持部4は、第1検出部1を支持する。第1支持部4は、第1回転体SF1の回転によって第1検出部1と第1スケールSC1とが相対的に回転するように、第1検出部1を支持する。第1検出部1は、第1スケールSC1を検出する。第1検出部1は、その検出結果として第1検出信号を処理部3に出力する。
第2スケールSC2は、第2回転体SF2に固定される。第2検出部2は、第2回転体SF2の回転によって、第2スケールSC2と相対的に回転する。第2支持部5は、第2検出部2を支持する。第2支持部5は、第1回転体SF1の軸方向又は軸方向に平行な方向において第1支持部4と異なる位置に配置される。第2支持部5は、第2回転体SF2の回転によって第2検出部2と第2スケールSC2とが相対的に回転するように、第2検出部2を支持する。第2検出部2は、第2スケールSC2を検出する。本実施形態に係る第2検出部2は、第2スケールSC2を光学的に検出する(後に図3などで説明する)。第2検出部2は、その検出結果として第2検出信号を処理部3に出力する。
処理部3は、第1検出部1の検出結果と、第2検出部2の検出結果とをそれぞれ処理する。処理部3は、算出部6と、変換部7と、算出部8と、比較部9とを備える。算出部6(第1算出部)は、第1検出部1の検出結果(第1検出信号)に基づいて、第1回転体SF1の回転位置を検出(算出)する(回転位置の算出処理を実行する)。以下の説明において、第1検出信号をもとに算出される回転位置を、適宜、第1回転位置と称する。算出部6は、算出した第1回転位置を比較部9に出力する。
算出部8(第2算出部)は、第2検出部2の検出結果(第2検出信号)に基づいて、第2回転体SF2の回転位置を検出(算出)する(回転位置の算出処理を実行する)。以下の説明において、第2検出信号をもとに算出される回転位置を、適宜、第2回転位置と称する。本実施形態において、算出部8は、変換部7が第2検出信号を変換して得られる信号に基づいて、第2回転位置を算出する。変換部7については、図2および図3について説明した後に、説明する。
比較部9は、第1検出部1から得られる第1回転位置と、第2検出部2から得られる第2回転位置とを比較する比較処理を実行する。比較部9は、例えば、第1回転位置と第2回転位置との比較によって、第1回転体SF1の多回転を検出(例、算出)する。ここでは、算出部6は、第1検出信号に基づいて、第1回転位置として第1回転体SF1の角度位置を算出するものとする。また、算出部8は、第2検出信号に基づいて、第2回転位置として第2回転体SF2の角度位置を算出するものとする。
比較部9は、第1回転体SF1の多回転を算出する場合、第1回転体SF1と第2回転体SF2との変速比、及び第2検出部2から得られる第2回転体SF2の角度位置に基づいて、第1回転体SF1の角度位置を推定する。以下の説明において、「第1回転体SF1と第2回転体SF2との変速比」を、適宜、「変速比」と称する。比較部9は、変速比と第2回転体SF2の角度位置とに基づいて算出される第1回転体SF1の角度位置と、第1検出部1から得られる第1回転体SF1との角度位置とを比較することによって、第1回転体の多回転を算出する。
例えば、変速比(例、減速比)が1000であるとし、第2回転体SF2の角度位置(例、回転角)が1°であるとする。この場合、変速比および第2回転体SF2の角度位置から算出される第1回転体SF1の角度位置は、1000°である。第1検出部1から得られる第1回転体SF1の角度位置が279°である場合、(1000-279)/360=721/360が約2である。第1回転体SF1の多回転は、721/360の値を丸めること等によって、2回転と算出される。比較部9は、算出した第1回転体SF1の多回転(例、2回転)と、第1検出部1から得られる第1回転体SF1の角度位置(例、279°)とを合成することによって、第1回転体SF1の回転位置(例、2回転と279°、999°)を検出(例、算出、生成)する。
なお、比較部9は、第1回転体SF1の多回転を算出しなくてもよい。例えば、比較部9は、第1回転位置と第2回転位置との比較によって、第1スケールSC1の検出または第2スケールSC2の検出におけるエラーを検出するエラー検出処理を実行してもよい。この場合、例えば、算出部6は、第1回転体SF1の角度位置および多回転を含む第1回転位置を算出する。また、算出部8は、例えば、第2回転体SF2の角度位置および多回転を含む第2回転位置を算出する。
上記のエラー検出処理において、比較部9は、第2回転位置と変速比とに基づいて、第1回転体SF1の回転位置(多回転および角度位置)を算出する。比較部9は、第2回転位置と変速比とに基づいて、第1回転体SF1の回転位置の推定値を算出する(回転位置を推定する)。比較部9は、算出した第1回転体SF1の回転位置(第2回転位置から得られる第1回転体SF1の回転位置)と、第1検出部1から得られる第1回転体SF1の回転位置(例、第1回転位置)とを比較する。
例えば、比較部9は、第1回転位置と、第2回転位置から算出される第1回転体SF1の回転位置との差が予め設定される閾値以上である場合、エラーが発生していると判定する。比較部9は、エラー検出処理の処理結果をエンコーダ装置ECの外部の装置(例、制御部MC)に出力してもよい。比較部9、エラーが検出していると判定した場合、エラーの発生を報知する報知情報(例、報知信号、エラー信号、アラーム信号)を出力してもよい。制御部MCは、比較部9から出力される報知情報に基づいて、駆動部MDを制御してもよい。
次に、図2および図3を参照して、エンコーダ装置ECの各部(例、第1支持部4、第2支持部5)について説明する。図2に示すように、本実施形態に係る第1支持部4(例、第1支持部材)と第2支持部5(例、第2支持部材)とは互いに別の部材(例、材質は同じだが互いに異なる基材、同じ種類かつ別体のパーツ)で構成される。第1支持部4は、例えば、処理基板(例、プリント基板)を含む。第1支持部4には、例えば、処理回路、配線、及び端子の少なくとも一部が形成される。第1支持部4には、例えば、処理回路を含む電子部品が実装される。この処理回路は、例えば、図1の処理部3(例、算出部6、算出部8、比較部9)の少なくとも一部を含む。
第2支持部5は、アキシャル方向(Z方向)から見た場合に、回転軸AXを含む面(例、YZ平面)に関して第1支持部4と対称的に配置される。例えば、第2支持部5(例、第2支持部5の中心や重心)は、第1回転体SF1の回転軸AXを中心とする回転方向において、第1支持部4(例、第1支持部4の中心や重心)と180°ずれた位置に配置される。本実施形態に係る第2支持部5は、第1支持部4と外形が同じ又は相似形である。例えば、第2支持部5は、第1支持部4と同じ構成の処理基板を含む。第2支持部5は、第1支持部4と異なる姿勢で配置される。
第1支持部4および第2支持部5は、それぞれ、部品(例、検出部、ICチップ、電子部品)が実装される実装面を有する。図3に示すように、第1支持部4の面4a(第1面、実装面)には、第1検出部1が実装される。面4a(第1支持部4の実装面)は、アキシャル方向の第1側(例、-Z側)を向いている。第2支持部5の面5a(第2面、実装面)には第2検出部2が実装される。面5a(第2支持部5の実装面)は、アキシャル方向における第1側(例、-Z側)と反対の第2側(例、+Z側)を向いている。このように、第1支持部4と第2支持部5は、それぞれの実装面が互いに反対側を向くように配置される。
図2の第2支持部5は、第1支持部4をアキシャル方向(Z方向)に垂直な軸Q1の周りに180°回転させた姿勢で配置される。第2支持部5は、第1支持部4の表面(例、実装面)と裏面とを反転させた姿勢で配置される。第1支持部4の+Z側の面には、インターフェース11(点線で示す)が設けられる。また、第2支持部5の-Z側の面にはインターフェース12(実線で示す)が設けられる。インターフェース11およびインターフェース12の各々は、例えば、信号入出力コネクタ(バス)などである。インターフェース11とインターフェース12とはケーブル13(配線)を介して通信可能に接続される。第2検出部2の検出結果(図1の第2出力信号)は、インターフェース12、ケーブル13、及びインターフェース11を介して、第1支持部4に設けられる処理回路(図1の処理部3)に出力される。
図3に示すように、第1支持部4の面4a(第1面、実装面)には、検出ヘッド15が設けられる。検出ヘッド15は、例えば第1支持部4の面4aに接して配置され、第1支持部4に固定される。本実施形態において、検出ヘッド15は第1スケールSC1を光学的に検出する。第1スケールSC1は、第1光学パターンP1(第1光学スケール)を有する。第1スケールSC1は、例えば円環状の部材である。第1スケールSC1は、第1回転体SF1とともに回転するように、ネジなどの固定部材16によって第1回転体SF1に固定されている。
第1光学パターンP1は、回転軸AXを中心とする円環状の領域に設けられる。第1光学パターンP1は、回転軸AXを中心とする回転方向で光学特性(例、透過率、反射率、吸収率)が変化する。第1光学パターンP1は、例えば、アブソリュートパターンとインクリメンタルパターンとの一方または双方を含む。第1光学パターンP1は、第1スケールSC1において+Z側の面に配置されている。
検出ヘッド15(光学ヘッド)は、照射部17および第1検出部1を備える。照射部17(発光部、光源部)は、第1スケールSC1の第1光学パターンP1に光を照射する。照射部17は、例えば、LED(発光ダイオード)などの発光素子(例、固体光源)を含む。第1検出部1(センサ部、受光部、受光センサ、光学センサ)は、照射部17から照射されて第1スケールSC1の第1光学パターンP1を経由した光を検出する。第1検出部1は、例えば、フォトダイオードなどの受光素子(例、光電変換素子)を含む。
検出ヘッド15および第1スケールSC1の第1光学パターンP1は、第1光学式エンコーダEC1を構成する。第1光学式エンコーダEC1は、例えば反射型エンコーダであり、第1検出部1は、第1光学パターンP1で反射した光を検出する。照射部17および第1検出部1は、回転軸AXの軸方向において、第1光学パターンP1に対向する位置に配置される。第1支持部4の面4aは、回転軸AXの軸方向において、第1光学パターンP1に対向しており、照射部17および第1検出部1は、面4aに配置される。なお、第1スケールSC1と第1支持部4とは、回転軸AXに直交する直交方向において、互いに対向する位置(例、回転軸AXの側面側の位置)に配置されてもよい。
エンコーダ装置ECは、駆動部MDに固定される本体部18(エンコーダ本体部)を備える。本体部18は、例えば、樹脂などの絶縁材料で形成されるモールド、スペーサなどである。本体部18は、ネジなどの固定部材19によって、駆動部MDの本体部BD(モータ本体部)に固定される。本体部BDは、駆動部MD(図1参照)において回転子(例、電気子)を収容し、固定子(例、磁石)が固定されるボディなどである。
第1支持部4は、本体部18に支持される。第1支持部4は、ネジなどの固定部材20によって本体部18に固定される。第1支持部4は、アキシャル方向における検出ヘッド15と第1光学パターンP1との間隔(ギャップ)が所定値となるように、本体部18に対して所定の位置に位置決めされる。例えば、アキシャル方向において第1支持部4と本体部18との間にはスペーサ21が設けられる。スペーサ21は、検出ヘッド15と第1光学パターンP1との間隔(例、光学的ギャップ)を規定する。第1支持部4は、本体部18との間にスペーサ21を挟みこむように固定部材20で共締めされることによって、本体部18と固定される。第1支持部4は、検出ヘッド15と第1スケールSC1(第1光学パターンP1)とが所定の相対位置になるように、第1スケールSC1が固定される第1回転体SF1に対して位置決めされる。スペーサ21の回転軸AXの軸方向(Z方向)の厚さを調整することによって、スペーサ21によって規定する検出ヘッド15と第1光学パターンP1との間隔は調整可能である。
本実施形態において、第1回転体SF1は中空の部材(例、円筒状の部材)であり、第2回転体SF2は、第1回転体SF1の内側の空間に挿入されている。第1回転体SF1および第2回転体SF2は、本体部BD(モータ本体部)に対して+Z側に突出している。第2回転体SF2の先端は、アキシャル方向の一方の側(+Z側)において、第1回転体SF1の先端よりも突出している。
第2スケールSC2は、第2回転体SF2に固定される。第2スケールSC2は、第2回転体SF2とともに回転するように、ネジなどの固定部材22によって第2回転体SF2に固定されている。第2スケールSC2は、第2回転体SF2のうち第1回転体SF1と比べて+Z側に突出する部分に、取り付けられる。第1支持部4(第1検出部1)は、アキシャル方向において第1スケールSC1と第2スケールSC2との間に配置される。また、第2支持部5は、アキシャル方向において第1スケールSC1と第2スケールSC2との間に配置される。
第2支持部5の面5a(第2面、実装面)には、検出ヘッド23が設けられる。検出ヘッド23は、例えば、第2支持部5の面5aに接して配置され、第2支持部5に固定される。面5aは、第1支持部4の面4a(第1面)と反対側(+Z側)を向いて配置される。面5aは、第1支持部4のうち面4a(第1面)とアキシャル方向の位置が異なる。また、面5aは、第1支持部4のうち面4a(第1面)の反対側の面4b(第3面)とアキシャル方向の位置が異なる。第2支持部5の面5aは、アキシャル方向において、第1支持部4の面4bとの間に段差Q2(距離、間隔、ギャップ、又はオフセット)を有する。例えば、第2支持部5の面5aは、第1支持部4の面4bを基準にして、アキシャル方向において所定の距離、間隔、ギャップ、又はオフセットを有する。
また、固定部材20が固定される第1支持部4の面4bは、第1支持部4が本体部18に取り付けられて配置される第1の取付基準面BP1(配置基準面、仮想面)に平行な面であり、第1支持部4の面4bは第1の取付基準面BP1に配置される。そして、固定部材26が固定される第2支持部5の面5aは、第2支持部5が本体部18に取り付けられて配置される第2の取付基準面BP2(配置基準面、仮想面)に平行な面であり、第2支持部5の面5aは第2の取付基準面BP2に配置される。
この場合、第1支持部4は、第1の取付基準面BP1と第1支持部4の面4bとがほぼ面一になるように配置され、第2支持部5は、第2の取付基準面BP2と第2支持部5の面5aとがほぼ面一になるように配置される。したがって、本実施形態における第1の取付基準面BP1と第2の取付基準面BP2とは、第1の取付基準面BP1と第2の取付基準面BP2との間に段差Q2を有し、回転軸AXの軸方向における位置が互いに異なる。
このように、例えば、第1支持部4と第2支持部5とは、互いにほぼ同じ外形や大きさで形成され、回転軸AXの軸方向における位置が互いに異なるように配置されて本体部18に固定されている。なお、第1支持部4(又は、面4b、第1の取付基準面BP1)と第2支持部5(又は、面5a、第2の取付基準面BP2)とは、回転軸AXの軸方向に直交する直交方向(例、図3のY方向)から見て(該軸方向視)、該軸方向における位置が互いに異なるように配置されている。また、例えば、エンコーダ装置ECは、回転軸AXの軸方向において、駆動装置MTR側から第2支持部5(又は、面5a、第2の取付基準面BP2)、第1支持部4(又は、面4b、第1の取付基準面BP1)の順番にそれぞれ配置され固定された構成である。
第1支持部4のうち面4aと反対側の面4bは、アキシャル方向において、面5aよりも第2スケールSC2に近い位置に配置される。第1支持部4の面4aは、例えば、アキシャル方向において面5aよりも第2スケールSC2に近い位置に配置される。なお、第1支持部4のうち面4aと反対側の面4bは、アキシャル方向において、第2支持部5のうち面5aと反対側の面5bと同じ位置に配置されてもよい。
本実施形態において、検出ヘッド23は第2スケールSC2を光学的に検出する。第2スケールSC2は、第2光学パターンP2(第2光学スケール)を有する。第2スケールSC2は、例えば円板状の部材である。第2光学パターンP2は、第2回転体SF2の回転軸を中心とする円環状の領域に設けられる。本実施形態において、第2回転体SF2の回転軸は、第1回転体SF1の回転軸AXとほぼ同軸である。第2光学パターンP2は、回転軸AXを中心とする回転方向で光学特性(例、透過率、反射率、吸収率)が変化する。第2光学パターンP2は、例えば、アブソリュートパターンとインクリメンタルパターンとの一方または双方を含む。第2光学パターンP2は、第2スケールSC2において-Z側の面に配置されている。
検出ヘッド23(第2検出ヘッド、第2光学ヘッド)は、照射部25および第2検出部2を備える。照射部25(発光部、光源部)は、第2スケールSC2の第2光学パターンP2に光を照射する。照射部25は、例えば、LED(発光ダイオード)などの発光素子(例、固体光源)を含む。第2検出部2(センサ部、受光部、受光センサ、光学センサ)は、照射部25から照射されて第2スケールSC2の第2光学パターンP2を経由した光を検出する。第2検出部2は、例えば、フォトダイオードなどの受光素子(例、光電変換素子)を含む。
検出ヘッド23および第2スケールSC2の第2光学パターンP2は、第2光学式エンコーダEC2を構成する。第2光学式エンコーダEC2は、例えば反射型エンコーダであり、第2検出部2は、第2光学パターンP2で反射した光を検出する。照射部17および第2検出部2は、回転軸AXの軸方向において、第2光学パターンP2に対向する位置に配置される。第2支持部5の面5aは、回転軸AXの軸方向において、第2光学パターンP2に対向しており、照射部25および第2検出部2は、面5aに配置される。第2支持部5(第2検出部2)は、アキシャル方向において第1スケールSC1と第2スケールSC2との間に配置される。なお、第2スケールSC2と第2支持部5とは、回転軸AXに直交する直交方向において、互いに対向する位置(例、回転軸AXの側面側の位置)に配置されてもよい。
第2支持部5は、第1支持部4と独立して本体部18に支持される。第2支持部5は、ネジなどの固定部材26によって本体部18に固定される。第2支持部5は、アキシャル方向における検出ヘッド23と第2光学パターンP2との間隔が所定値となるように、本体部18に対して位置決めされる。第2支持部5は、検出ヘッド23と第2スケールSC2(第2光学パターンP2)とが所定の相対位置になるように、第2スケールSC2が固定される第2回転体SF2に対して、位置決めされる。
第2支持部5は、例えば、アキシャル方向(Z方向)の寸法(例、処理基板の厚み)が第1支持部4とほぼ同じである。アキシャル方向における第1支持部4と第2支持部5との相対位置は、例えば、それぞれの支持部と本体部18との間のスペーサの有無またはス寸法(例、厚み)によって設定される。例えば、図3において、第1支持部4と本体部18との間にスペーサ21が設けられ、第2支持部5は、本体部18との間にスペーサが設けられないことによって、アキシャル方向における位置が第1支持部4と異なる。
なお、第2支持部5と本体部18との回転軸AXの軸方向における間に第2スペーサが設けられてもよい。第2スペーサは、スペーサ21(第1スペーサ)に対して、アキシャル方向の寸法(例、厚み)が異なってもよい。なお、本体部18は、上記の第1スペーサに相当する部分(第1位置調整部)と第2スペーサに相当する部分(第2位置調整部)との一方または双方を備えてもよい。上記の第1位置調整部と第2位置調整部との一方または双方は、本体部18の一部として形成されてもよい。また、第1支持部4は、上記の第1位置調整部を備えてもよい。また、第2支持部5は、上記の第2位置調整部を備えてもよい。
次に、図1に示した変換部7について説明する。本実施形態において、算出部6および算出部8は、同一の論理で動作する処理回路(例、ASIC)を含む。このように、算出部6と算出部8とが同様の構成である場合、例えば、装置を構築することが容易になる。図3に示したように、第1検出部1は、第1スケールSC1に対して第1検出方向(+Z側)から検出を実行する。また、第2検出部2は、第2スケールに対して、上記第1検出方向と反対向きの第2検出方向(例、-Z側)から検出を実行する。
ここで、説明の便宜上、第1回転体SF1および第2回転体SF2が、それぞれ、+Z側から見た場合の時計回りに回転したとする。第1検出部1は、+Z側から検出を実行するので、第1スケールSC1が時計回りに回転した場合に相当する第1出力信号を出力する。第2検出部2は、-Z側から検出を実行するので、第2スケールSC2が反時計回りに回転した場合に相当する第2出力信号を出力する。算出部8が算出部6と同じ論理で第2出力信号を処理する場合、算出される回転位置は、回転の向きが反対である場合の値になる。そこで、変換部7は、第2検出部2の検出方向に基づいて、第2検出信号を、信号レベルの正負が反転した信号へ変換する。変換部7は、例えば、信号の基準電位を切り替えることで信号レベルを変換するジャンパスイッチ等を含んでもよい。また、信号が正弦波などで表される場合、変換部7は、信号の位相をシフトさせることで、信号レベルを変換するものでもよい。
なお、算出部8は、算出部6と異なる論理(処理)で回転位置を算出してもよい。算出部6および算出部8は、第1回転位置と第2回転位置とが有意に比較可能になるように、異なる処理によって回転位置を算出してもよい。例えば、算出部6および算出部8は、第1回転位置と第2回転位置とで回転の向きが整合するように、回転位置を算出してもよい。この場合、変換部7が設けられなくてもよい。
なお、算出部8は、第2検出信号から第2回転位置を算出し、変換部7は、第2検出部2から得られる信号として、第2回転位置を変換してもよい。この場合、変換部7は、算出部8が算出した第2回転位置を、第1回転位置と回転の向きが整合するように変換してもよい(変換処理を実行してもよい)。
なお、比較部9は、算出部6が算出した第1回転位置と、変換部7による変換後の第2回転位置とを比較してもよい。比較部9は、第2検出部2から得られる信号として変換後の第2回転位置を用いて、比較処理を実行してもよい。また、比較部9は、変換部7を含んでもよく、第1回転位置と第2回転位置とで回転の向きを整合させる変換処理を実行し、この変換処理後に上記の比較処理を実行してもよい。処理部3は、コンピュータ(例、FPGA)を含み、上記のコンピュータがプログラムに従って回転位置の算出処理と変換処理と比較処理との少なくとも一部を実行する形態でもよい。
上述のような本実施形態において、第2検出部2を支持する第2支持部は、アキシャル方向において第1支持部と異なる位置に配置される。このようなエンコーダ装置ECは、例えば、アキシャル方向において第1支持部4と第2支持部5とが同じ位置に配置される場合と比較して、アキシャル方向のサイズを図2に示した段差Q2の分だけ小型化(低背化)することができる。
また、本実施形態において、第1支持部4は、第1回転体SF1(第1スケールSC1)に対して位置決めされ、第2支持部5は、第1支持部4と独立して第2回転体SF2(第2スケールSC2)に対して位置決めされる。このようなエンコーダ装置ECは、例えば、第1支持部4に支持される第1検出部1と第1スケールSC1との相対位置(第1相対位置)と、第2支持部5に支持される第2検出部2と第2スケールSC2との相対位置(第2相対位置)とを、独立して設定可能である。この場合、例えば、上記の第1相対位置および第2相対位置の双方を高精度に設定可能であり、第1スケールSC1および第2スケールSC2をそれぞれ高精度に検出可能である。
また、本実施形態において、第2支持部5が第1支持部4と別体の部材で構成される。この場合、例えば、上記の第1相対位置および第2相対位置を互いに独立して設定することが容易である。また、第2支持部5と第1支持部4とで外形が同じである場合、例えば、部品の種類を減らすことができ、製造コストを低減すること等が可能である。変換部7が第2検出部2から得られる信号(例、第2出力信号)を、信号レベルが反転した信号に変換する場合、例えば、算出部8は、算出部6と同様の処理によって回転位置を算出可能であり、処理の複雑化を避けることができる。
また、本実施形態において、比較部9は、第1検出部1から得られる第1回転位置と、第2検出部2から得られる第2回転位置とを比較する比較処理を実行する。比較部9が比較処理によって多回転を検出する場合、例えば算出部6および算出部8で多回転を検出しなくてもよく、多回転を容易に検出することができる。また、比較部9が比較処理によってエラーを検出する場合、例えば、エンコーダ装置ECの信頼性を向上させることができる。また、エンコーダ装置ECは、例えば、第1回転位置の検出におけるエラーが検出された場合に、第2回転位置を第1回転位置の代わりに用いてもよい(バックアップに用いてもよい)。
なお、第1検出部1は、磁気あるいはその他の手法(例、静電容量)を利用して第1スケールSC1を検出してもよい。例えば、第1スケールSC1に磁気パターンを設けておき、第1検出部1として磁気センサを用いて上記の磁気パターンを検出してもよい。また、第2検出部2は、磁気あるいはその他の手法(例、静電容量)を利用して第2スケールSC2を検出してもよい。また、第1光学式エンコーダEC1と第2光学式エンコーダEC2との一方または双方は、透過型エンコーダでもよい。
なお、駆動装置MTRは、変速部TRを備えなくてもよい。例えば、第1回転体SF1と第2回転体SF2との変速比は1:1でもよい。この場合、エンコーダ装置EC(例、比較部9)は、第1回転体SF1の回転位置と第2回転体SF2の回転位置との比較によって、回転位置の検出におけるエラーの発生を検出してもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図4および図5は、それぞれ、第2実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。図4は、アキシャル方向から見た平面図である。図5は、図4のA2-A2線における断面図である。
図4および図5等に示すXa方向は、+Z側から見た反時計回りを正として、X方向と45°の角度をなす方向である。また、Ya方向は、+Z側から見た反時計回りを正として、Y方向と45°の角度をなす方向である。図4のA2-A2線は、回転軸AXを通り、Xa方向(例、X方向とY方向との間の方向、X方向とY方向とのなす角度90°内の角度をなす方向)と平行な線である。なお、図4のA1-A1線における断面図は、図2と同様である。
図5に示すように、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、第1磁気式エンコーダEC3を備える。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、図2および図3に示したエンコーダ装置ECに対して、第1磁気式エンコーダEC3を追加した構成である。第1磁気式エンコーダEC3は、第1磁気パターンP3と、第1磁気センサ31とを含む。第1磁気パターンP3(第1磁気スケール)は、回転軸AXの回転時又は停止時において、第2スケールSC2において第1支持部4と対向する位置に設けられる。例、第1磁気パターンP3は、第1磁気センサ31に対向する位置、又は回転軸AXの軸方向視において第1磁気パターンP3の少なくとも一部が第1磁気センサ31と重なる位置に配置される。第1磁気パターンP3は、例えば、回転軸AXの回転方向における複数の角度位置に着磁された磁石を含む。
第1磁気センサ31は、第1支持部4のうち面4aと反対側の面4bに配置される。第1磁気センサ31は、例えば第1支持部4の面4bに接して配置され、第1支持部4に固定される。第1磁気パターンP3が第1磁気センサ31の位置に形成する磁界の向きは、回転軸AXの回転方向における第1磁気パターンP3と第1磁気センサ31との相対的な角度位置によって変化する。第1磁気センサ31は、その位置における磁界の向きを検出することによって、第1磁気パターンP3を検出する。
図4に示すように、第1磁気センサ31は、回転軸AXの回転方向において複数の位置に設けられる。図4では、2つの第1磁気センサ31が設けられている。2つの第1磁気センサ31は、例えば、回転軸AXを中心とする回転方向において90°の角度間隔で配置される。第1磁気センサ31は、例えば、回転軸AXを中心とする回転方向において、X方向から時計回りに45°の角度位置と、X方向から反時計回りに45°の角度位置とに配置される。
2つの第1磁気センサ31は、それぞれ、検出結果を図1に示した処理部3に出力する。2つの第1磁気センサ31のうち一方のセンサの検出結果は、A相信号に利用される。2つの第1磁気センサ31のうち他方のセンサの検出結果は、B相信号に利用される。図1に示した処理部3は、上記のA相信号およびB相信号に基づいて、第2スケールの多回転を算出する。第1磁気式エンコーダEC3によって検出された多回転は、例えば、第1実施形態で説明した比較部9(図1参照)の比較処理によって検出される多回転と比較され、信頼性の向上などに寄与する。
図5において、第1支持部4のうち面4aと反対側の面4bは、第2支持部5の面5aよりも第2スケールSC2に近い位置に配置される。第1磁気センサ31が第1支持部4の面4bに配置される場合、例えば、第1磁気センサ31が第2支持部5の面5aに配置される場合と比較して、第1磁気パターンP3が第1磁気センサ31の位置に形成する磁界が強くなり、第1磁気センサ31は、この磁界を高精度に検出可能である。
なお、本実施形態において、図1の処理部3は、第1磁気式エンコーダEC3(第1磁気センサ31)の検出結果に基づいて、第2スケールSC2の角度位置を含む回転位置を検出(算出)してもよい。比較部9は、第1磁気式エンコーダEC3から得られる第2回転体SF2の回転位置と、第2検出部2から得られる第2回転体SF2の回転位置とを比較してもよい。また、比較部9は、第1磁気式エンコーダEC3から得られる第2回転体SF2の回転位置と、第1検出部1から得られる第1回転体SF1の回転位置および変速比から算出される第2回転体SF2の回転位置とを比較してもよい。また、比較部9は、第1磁気式エンコーダEC3から得られる第2回転体SF2の回転位置および変速比から算出される第1回転体SF1の回転位置と、第1検出部1から得られる第1回転体SF1の回転位置とを比較してもよい。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図6および図7は、それぞれ、第3実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。図6は、アキシャル方向から見た平面図である。図7は、図6のA2-A2線における断面図である。なお、図6のA1-A1線における断面図は、図2と同様である。
図7に示すように、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、第2磁気式エンコーダEC4を備える。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、図4および図5に示したエンコーダ装置ECに対して、第2磁気式エンコーダEC4を追加した構成である。第2磁気式エンコーダEC4は、第1磁気パターンP3および第2磁気センサ32を含む。第1磁気パターンP3は、第1磁気式エンコーダEC3と第2磁気式エンコーダEC4とで共用である。
第2磁気センサ32は、第2支持部5の面5aに配置される。第2磁気センサ32は、例えば、第2支持部5の面5aに接して配置され、第2支持部5に固定される。第1磁気パターンP3が第2磁気センサ32の位置に形成する磁界の向きは、回転軸AXの回転方向における第1磁気パターンP3と第2磁気センサ32との相対的な角度位置によって変化する。第2磁気センサ32は、その位置における磁界の向きを検出することによって、第1磁気パターンP3を検出する。
図6に示すように、第2磁気センサ32は、例えば、回転軸AXの回転方向において複数の位置に設けられる。図6では、2つの第2磁気センサ32が設けられている。2つの第2磁気センサ32は、例えば、回転軸AXを中心とする回転方向において90°の角度間隔で配置される。例えば、第2磁気センサ32は、回転軸AXを中心とする回転方向において、X方向から時計回りに135°の角度位置および225°の角度位置のそれぞれに配置される。
2つの第2磁気センサ32は、それぞれ、検出結果を図1に示した処理部3に出力する。2つの第2磁気センサ32の検出結果は、A相信号とB相信号とに利用される。図1に示した処理部3は、上記のA相信号およびB相信号に基づいて、第2スケールの多回転を算出する。処理部3は、第2磁気式エンコーダEC4(第2磁気センサ32)の検出結果に基づいて、第2スケールSC2の角度位置を含む回転位置を検出(算出)してもよい。
図1に示した比較部9は、例えば、第1磁気式エンコーダEC3の検出結果と、第2磁気式エンコーダEC4の検出結果とを比較する。アキシャル方向において、第1磁気パターンP3と第1磁気センサ31との間隔は、第1磁気パターンP3と第2磁気センサ32との間隔よりも狭い。この場合、第1磁気センサ31は、例えば、第2磁気式エンコーダEC4に比べて第1磁気パターンP3を高精度に検出可能である。例えば、第2磁気式エンコーダEC4から検出結果が得られるが第1磁気式エンコーダEC3から検出結果が得られない場合、第1磁気式エンコーダEC3にエラーが発生している可能性がある。このような場合、比較部9は、第1磁気式エンコーダEC3にエラーが発生していることを知らせる報知情報を外部へ出力してもよい。
比較部9は、第1磁気式エンコーダEC3から検出結果が得られる場合、第1磁気式エンコーダEC3の検出結果に基づいた多回転の算出処理と比較処理との一方または双方を実行してもよい。また、比較部9は、第2磁気式エンコーダEC4から検出結果が得られるが第1磁気式エンコーダEC3から検出結果が得られない場合、第2磁気式エンコーダEC4の検出結果に基づいた多回転の算出処理と比較処理との一方または双方を実行してもよい。比較部9は、第1磁気式エンコーダEC3の検出結果および第2磁気式エンコーダEC4の検出結果の双方に基づいて、多回転の算出処理と比較処理との一方または双方を実行してもよい。
なお、比較部9(図1参照)は、第2磁気式エンコーダEC4から得られる第2回転体SF2の回転位置と、第1磁気式エンコーダEC3から得られる第2回転体SF2の回転位置とを比較してもよい。また、比較部9は、第2磁気式エンコーダEC4から得られる第2回転体SF2の回転位置と、第1検出部1から得られる第1回転体SF1の回転位置および変速比から算出される第2回転体SF2の回転位置と比較してもよい。また、比較部9は、第2磁気式エンコーダEC4から得られる第2回転体SF2の回転位置および変速比から算出される第1回転体SF1の回転位置と、第1検出部1から得られる第1回転体SF1の回転位置とを比較してもよい。
なお、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、第1磁気式エンコーダEC3の代わりに第2磁気式エンコーダEC4を備えてもよい。エンコーダ装置ECは、第2磁気式エンコーダEC4を備え、第1磁気式エンコーダEC3を備えなくてもよい。
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図8および図9は、それぞれ、第4実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。図8は、アキシャル方向から見た平面図である。図9は、図8のA2-A2線における断面図である。なお、図8のA1-A1線における断面図は、図2と同様である。
図9に示すように、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、第3磁気式エンコーダEC5を備える。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、図4および図5に示したエンコーダ装置ECに対して、第3磁気式エンコーダEC5を追加した構成である。第3磁気式エンコーダEC5は、第2磁気パターンP4および第3磁気センサ35を含む。
第2磁気パターンP4は、第1スケールSC1において第2支持部5と対向する位置に設けられる。第3磁気センサ35は、第2支持部5のうち面5aと反対側の面5bに配置される。第3磁気センサ35は、第2支持部5の面5bに固定される。第2磁気パターンP4が第3磁気センサ35の位置に形成する磁界の向きは、回転軸AXの回転方向における第2磁気パターンP4と第3磁気センサ35との相対的な角度位置によって変化する。第3磁気センサ35は、その位置における磁界の向きを検出することによって、第2磁気パターンP4を検出する。
図8に示すように、第3磁気センサ35は、例えば、回転軸AXの回転方向において複数の位置に設けられる。図8では、2つの第2磁気センサ32が設けられている。2つの第3磁気センサ35は、例えば、回転軸AXを中心とする回転方向において90°の角度間隔で配置される。例えば、第3磁気センサ35は、回転軸AXを中心とする回転方向において、X方向から反時計回りに135°の角度位置および225°の角度位置のそれぞれに配置される。
第2磁気パターンP4は、回転軸AXの回転時又は停止時において、第1スケールSC1において第1支持部4と対向する位置に設けられる。例えば、第2磁気パターンP4は、第3磁気センサ35に対向する位置、又は回転軸AXの軸方向視において第2磁気パターンP4の少なくとも一部が第3磁気センサ35と重なる位置に配置される。
2つの第3磁気センサ35は、それぞれ、検出結果を図1に示した処理部3に出力する。2つの第3磁気センサ35の検出結果は、A相信号とB相信号とに利用される。図1に示した処理部3は、上記のA相信号およびB相信号に基づいて、第1スケールSC1の多回転を算出する。第3磁気式エンコーダEC5の検出結果から得られる第1スケールSC1の多回転は、例えば、比較部9(図1参照)の比較処理によって検出される第1スケールSC1の多回転と比較され、信頼性の向上などに寄与する。
なお、処理部3(図1参照)は、第3磁気式エンコーダEC5(第3磁気センサ35)の検出結果に基づいて、第1スケールSC1の角度位置を含む回転位置を検出(算出)してもよい。また、比較部9(図1参照)は、第3磁気式エンコーダEC5から得られる第1回転体SF1の回転位置と、第1光学式エンコーダEC1から得られる第1回転体SF1の回転位置とを比較してもよい。
また、比較部9は、第3磁気式エンコーダEC5から得られる第1回転体SF1の回転位置と、第2検出部2から得られる第2回転体SF2の回転位置および変速比から算出される第1回転体SF1の回転位置とを比較してもよい。また、比較部9は、第3磁気式エンコーダEC5から得られる第1回転体SF1の回転位置および変速比から算出される第2回転体SF2の回転位置と、第2検出部2から得られる第2回転体SF2の回転位置とを比較してもよい。
なお、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、図6および図7に示した第2磁気式エンコーダEC4を備えてもよい。また、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、第1支持部4の-Z側に、図7に示した第2磁気式エンコーダEC4と同様の第4磁気式エンコーダを備えてもよい。
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図10および図11は、それぞれ、第5実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。図10は、アキシャル方向から見た平面図である。図11は、図10のA1-A1線における断面図である。
図11に示すように、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、更に第3光学式エンコーダEC6、及び第4光学式エンコーダEC7を備える。第3光学式エンコーダEC6は、第1光学パターンP1および第3検出部36を含む。第3光学式エンコーダEC6は、第1光学式エンコーダEC1と同様の構成である。第1光学パターンP1は、第1光学式エンコーダEC1と第3光学式エンコーダEC6とで共用である。第3検出部36は、第2支持部5の面5bに配置される。例えば、第3検出部36は、第2支持部5の面5bに接して配置され、第2支持部5に固定される。このように、第2支持部5は、第2回転体SF2の回転位置を検出する第2光学式エンコーダEC2(例、第2検出部2)が配置される面5aと、第1回転体SF1の回転位置を検出する第3光学式エンコーダEC6(例、第3検出部36)が配置される面5bとを備える。
また、第4光学式エンコーダEC7は、第2光学パターンP2および第4検出部37を含む。第4光学式エンコーダEC7は、第2光学式エンコーダEC2と同様の構成である。第2光学パターンP2は、第2光学式エンコーダEC2と第4光学式エンコーダEC7とで共用である。第4検出部37は、第1支持部4の面4bに配置される。例えば、第4検出部37は、第1支持部4の面4bに接して配置され、第1支持部4に固定される。このように、第1支持部4は、第2回転体SF2の回転位置を検出する第4光学式エンコーダEC7(例、第4検出部37)が配置される面4bと、第1回転体SF1の回転位置を検出する第1光学式エンコーダEC1(例、第1検出部1)が配置される面4aとを備える。
本実施形態において、第2支持部5は、第1支持部4と別体の部材で構成される。第2支持部5は、第1支持部4と独立して本体部18(エンコーダ本体部)に固定される。第2支持部5は、第1支持部4と別体の部材で構成される場合、アキシャル方向における位置が第1支持部4と同じでもよいし異なってもよい。第1支持部4と第1支持部4とが別体の部材で構成される場合、アキシャル方向において、第1検出部1と第1スケールSC1との相対位置と、第2検出部2と第2スケールSC2との相対位置とを互いに独立して調整可能である。また、第1支持部4と第2支持部5とが別体の部材で構成される場合、アキシャル方向において、第3検出部36と第1スケールSC1との相対位置と、第4検出部37と第2スケールSC2との相対位置とを互いに独立して調整可能である。なお、第1支持部4と第2支持部5とのアキシャル方向における位置が互いに異なる場合、エンコーダ装置ECは上述の段差Q2を有する構成である。
図10、図11に示すように、回転軸AXを中心とする回転方向において、第3光学式エンコーダEC6(例、第1光学パターンP1、第3検出部36)の位置は、第2光学式エンコーダEC2(例、第2光学パターンP2、第2検出部2)の位置と同じである。なお、回転軸AXを中心とする回転方向において、第3光学式エンコーダEC6の位置は、第2光学式エンコーダEC2の位置と異なってもよい。
また、回転軸AXを中心とする回転方向において、第4光学式エンコーダEC7(例、第2光学パターンP2、第4検出部37)の位置は、第1光学式エンコーダEC1(例、第1光学パターンP1、第1検出部1)の位置と同じである。なお、回転軸AXを中心とする回転方向において、第4光学式エンコーダEC7の位置は、第1光学式エンコーダEC1の位置と異なってもよい。また、エンコーダ装置ECは、第3光学式エンコーダEC6または第4光学式エンコーダEC7を備えなくてもよい。
なお、図11に示すように、第3光学式エンコーダEC6(例、第3検出部36)は、第2支持部5において第2光学式エンコーダEC2(例、第2検出部2)が設けられる配置面(面5a)とは反対側の配置面(面5b)に設けられる。そして、第4光学式エンコーダEC7(例、第4検出37)は、第1支持部4において第1光学式エンコーダEC1(例、第1検出部1)が設けられる配置面(面4a)とは反対側の配置面(面4b)に設けられる。また、本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、第1回転体SF1の回転位置を検出する少なくとも2つの光学式エンコーダ(第1光学式エンコーダEC1、第3光学式エンコーダEC6)と、第2回転体SF2の回転位置を検出する少なくとも2つの光学式エンコーダ(第2光学式エンコーダEC2、第4光学式エンコーダEC7)とを備える。例えば、第1回転体SF1の回転位置を検出する場合、第1光学式エンコーダEC1がメイン検出系であり、第3光学式エンコーダEC6がサブ検出系であるため、エンコーダ装置ECは第1回転体SF1の回転位置の検出を二重化することができる。また、例えば、第2回転体SF2の回転位置を検出する場合、第2光学式エンコーダEC2がメイン検出系であり、第4光学式エンコーダEC7がサブ検出系であるため、エンコーダ装置ECは第2回転体SF2の回転位置の検出を二重化することができる。
なお、第1支持部4と第2支持部5とは、上述の実施形態において別体の部材であるが、一体化された部材(例、1つの部材)でもよい。図12は、実施形態に係る第1支持部4および第2支持部5を示す図である。図12(A)において、第1支持部4および第2支持部5は、それぞれ、支持部材38の一部である。支持部材38は、例えば、樹脂などで一体成型された部材である。支持部材38は、第1支持部4、第2支持部5、及び接続部39を含む。第1支持部4および第2支持部5は、それぞれ、平板状である。接続部39は、例えば、第1支持部4の端部からZ方向に延びて、第2支持部5の端部と接続部39を介して連続する。
なお、支持部材38の一部分(第1部分)は、支持部材38の他の部分(第2部分)と別体で形成されてもよい。支持部材38は、上記の第1部分と第2部分とを一体化(例、接合、固定)することで形成されてもよい。例えば、図12(B)において、第1支持部4、第2支持部5、及び接続部39は、互いに独立して形成され、接着あるいはネジ止めなどで互いに固定されることで、支持部材38になる。
なお、上述の実施形態において、第2支持部5は、例えば第1支持部4と別体の部材である場合に、第1支持部4と独立して固定される。第2支持部5は、例えば図12の支持部材38のように第1支持部4と一体化される場合、第1支持部4とともに固定されてもよい。
[駆動装置]
次に、実施形態に係る駆動装置について説明する。図13は、実施形態に係る駆動装置を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、第1回転体SF1と、第1回転体SF1を回転駆動する駆動部MDと、第1回転体SF1と接続される第2回転体SF2と、エンコーダ装置ECとを備える。
第1回転体SF1は、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、図1に示した変速部TR(動力伝達部)に接続される。反負荷側端部SFbには、第1スケールSC1が固定される。また、負荷側端部SFaに接続された動力伝達機構は、ロボット装置などのアームなどの負荷に接続される。また、動力伝達機構は、第2回転体SF2に接続される。
駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、図1などに示した制御部MCが駆動部MDを制御する。エンコーダ装置ECは、第1支持部4と第2支持部5とでアキシャル方向の位置が異なる場合、例えば、アキシャル方向の装置サイズを小型にすることができる。このようなエンコーダ装置ECを備える駆動装置MTRは、アキシャル方向の装置サイズを小型にすることができる。
また、エンコーダ装置ECは、第1支持部4と第2支持部5とが互いに独立した部材である場合、第1検出部1と第1スケールSC1との第1相対位置と、第2検出部2と第2スケールSC2との第2相対位置とを独立して調整可能である。エンコーダ装置ECは、上記の第1相対位置および第2相対位置の双方を高精度に設定することができ、回転位置を高精度に検出可能である。このようなエンコーダ装置ECを備える駆動装置MTRは、例えば、第1回転体SF1の回転位置を高精度に制御可能である。実施形態に係る駆動装置MTRは、モータ装置(電動モータ)でなくてもよく、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する駆動装置でもよい。
[ステージ装置]
次に、実施形態に係るステージ装置について説明する。図14は、実施形態に係るステージ装置を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
このステージ装置STGは、図13に示した駆動装置MTRの第2回転体SF2に、ステージST(回転テーブル、移動体、回転体)を取り付けた構成である。ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して第1回転体SF1(図13参照)を回転させる。この回転は、第2回転体SF2を介してステージSTに伝達される。ステージSTが回転する際に、エンコーダ装置ECは、第1回転体SF1の回転位置を検出する。ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECの検出結果を用いることにより、ステージSTの回転位置を検出することができる。
ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECの第1支持部4と第2支持部5とでアキシャル方向の位置が異なる場合、例えば、アキシャル方向における駆動装置MTRのサイズを小型にすることができる。また、ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECの第1支持部4と第2支持部5とが互いに独立した部材である場合、例えば、第1回転体SF1(図13参照)の回転位置を高精度に検出可能であり、ステージSTの回転位置を高精度に制御可能である。
実施形態に係るステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等でもよい。また、実施形態に係るステージ装置STGは、第2回転体SF2の回転運動を直線運動に変換してステージを駆動する1次元ステージ装置(例、Xステージ装置)でもよい。また、実施形態に係るステージ装置STGは、例えば、上記の1次元ステージ装置を複数組み合わせた二次元ステージ装置(例、XYステージ装置)、あるいは3次元元ステージ装置(例、XYZステージ装置)でもよい。
[ロボット装置]
次に、実施形態に係るロボット装置について説明する。図15は、実施形態に係るロボット装置を示す図である。図15には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略装置または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを備える。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、第2回転体SF2と一体的に設けられている。第2回転体SF2は、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。第2回転体SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの第1回転体SF1(図13参照)の回転を例えば100分の1等に減速して第2回転体SF2に伝達する。駆動装置MTRの第1回転体SF1のうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続される。駆動装置MTRの第1回転体SF1のうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECの第1スケールSC1が取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して第1回転体SF(図13参照)を回転させると、この回転が減速機RGを介して第2回転体SF2に伝達される。第2回転体SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、第1回転体SF1の回転位置を検出する。ロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECの検出結果を用いることにより、第2アームAR2の回転位置を検出、制御することができる。
実施形態に係るロボット装置RBTは、図13に示したエンコーダ装置ECの第1支持部4と第2支持部5とでアキシャル方向の位置が異なる場合、例えば、アキシャル方向における駆動装置MTRのサイズを小型にすることができる。また、実施形態に係るロボット装置RBTは、図13に示したエンコーダ装置ECの第1支持部4と第2支持部5とが互いに独立した部材である場合、例えば、第1回転体SF1の回転位置を高精度に検出可能であり、第2アームAR2の回転位置を高精度に検出、制御することができる。ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。