[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。このエンコーダ装置ECは、移動体(移動部材)の位置情報(移動情報)を検出する。エンコーダ装置ECは、例えばロータリーエンコーダである。この場合に、上記の移動体は回転体SF(回転部材、回転軸)を含み、上記の位置情報は回転位置情報を含む。回転体SFは、例えば、電動モータなどの駆動装置MTRにおける出力軸(例、電気子と連動する物体、シャフト、回転子)を含む。
上記の回転位置情報は、多回転情報と角度位置情報との一方または双方を含む。多回転情報は、回転の数(例、1回転、2回転、多回転)を示す情報を含む。角度位置情報は、1回転未満の角度位置(回転角)を示す情報を含む。エンコーダ装置ECは、例えば多回転アブソリュートエンコーダである。この場合に、上記の回転位置情報は、多回転情報および角度位置情報を含む。
駆動装置MTRは、例えば、本体部BDおよび制御部MCを備える。本体部BD(モータ本体部)は、例えば、移動子、固定子、及びボディを含む。移動子は、例えば電動モータの電気子を含む。固定子は、例えば電動モータの磁石(例、永久磁石)を含む。移動子は、固定子に対して移動する。ボディは、回転子および固定子を収容する。固定子は、ボディ(固定部材)と固定され、移動子は、ボディに対して回転可能に支持される。
制御部MC(モータ制御部)は、エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報に基づいて、回転体SFの駆動を制御する。例えば、制御部MCは、回転位置情報に基づいて、回転子の回転に消費される電力を制御する。制御部MCは、例えば、回転子の角度位置、角速度、及び角加速度の少なくとも一つが目標値に近づくように、本体部BDに供給される電力(印加される電圧と供給される電流との一方または双方)を制御する。
以下の説明において、適宜、図1等に示すXYZ直交座標系を参照する。このXYZ直交座標系において、Z方向は、回転体SFの回転軸AX(回転中心軸)に平行な方向(アキシャル方向)である。回転軸AXに垂直な方向は、ラジアル方向である。X方向およびY方向は、それぞれZ方向に垂直な方向である。また、X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれについて、適宜、矢印と同じ側を+側(例、+Z側)と称し、矢印と反対側を-側(例、-Z側)と称する。
エンコーダ装置ECは、スケールSと、受光センサ12と、光学部材15とを備える。スケールSは、パターンP(光学パターン)を有する。スケールSは、受光センサ12に対して相対移動する(受光センサ12は、スケールSに対して相対移動する)。本実施形態において、スケールSは、駆動装置MTRの移動子側(例、回転体SF)に固定され、受光センサ12は、駆動装置MTRの固定子側(例、本体部BD)に後述のエンコーダ本体部31とともに固定される。受光センサ12は、スケールSが回転することによって、スケールSと相対的に回転する。受光センサ12は、パターンPからの光を検出する。エンコーダ装置ECは、受光センサ12の検出結果に基づいて、回転体SFの回転位置情報を検出(算出)する。
光学部材15は、受光センサ12の受光面12a(後に図4に示す)とスケールSとに対して非接触に配置され、後述のエンコーダ本体部31(本体部)などに直接的又は間接的に接触して配置(固定)されて、スケールSのパターンPから受光センサ12の受光面12aまでの光路に配置される。光学部材15は、パターンPからの光Lが透過する特性(光透過性)を有する。受光センサ12は、パターンPからの光Lを、光学部材15を介して検出する。例えば、受光センサ12は、光学部材15の所定領域(例、スケールSのパターンPから受光センサ12の受光面12aまでの光路の一部)を透過した光Lを検出する。このように、光学部材15は、後述のエンコーダ本体部31又はシールド部46などに接触している接触状態(支持状態)で固定され、受光センサ12の受光面12a及びスケールSのパターンPに接触していない非接触状態(非支持状態)で後述の空間SPに配置されている。
なお、エンコーダ装置ECは、後述の光学部材15に加えて、光学部材15と同等の機能を有し光学部材15とは異なる第2の光学部材(不図示)を備える構成でもよい。この場合、例えば、その第2の光学部材は、上述の受光センサ12の受光面12a及び/又はスケールSのパターンPに接触させて配置(固定)されてもよい。
また、光学部材15は、例えば駆動装置MTRから異物(例、油、水、オイルミストなどの流体)がエンコーダ装置EC内(例、後述の空間SPなど)に浸入した場合であっても、上記の異物が受光センサ12などに付着することを抑制する。光学部材15は、例えば、光が入射する面を含む部分に、上記の異物に対する撥液性を有する撥液部を備える(後に図4に示す)。この場合、光学部材15に上記の異物が付着することが抑制される。このように、本実施形態のエンコーダ装置ECは、光学部材15によって受光センサ12などに対する異物の付着が抑制されるため、パターンPからの光を受光センサ12によって高精度で検出することができ、回転位置情報を高精度で検出可能である。以下、エンコーダ装置ECの各部について説明する。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、角度検出部1、多回転検出部2、及び合成部3を備える。角度検出部1は回転体SFの角度位置情報を検出(算出)し、多回転検出部2は回転体SFの多回転情報を検出(算出)する。そして、合成部3は、角度検出部1が検出した角度位置情報と、多回転検出部2が検出した多回転情報とを合成して回転位置情報を生成する。例えば、角度検出部1の検出結果がθ[rad]であり、多回転検出部2の検出結果がn回転である場合に、合成部3は、回転位置情報として(2π×n+θ)[rad]を算出する。回転位置情報は、多回転情報と角度位置情報とを一組にした情報でもよい。エンコーダ装置ECは、合成部3が生成した回転位置情報を外部の装置(例、制御部MC)に出力する。
角度検出部1は、スケールS、検出ヘッド10(照射部11、受光センサ12)、及び処理部13を備える。スケールSは、回転体SFに固定され、回転体SFの回転に基づき回転方向に回転する。スケールSは、例えば円板状の部材である。この場合、上記のラジアル方向はスケールSの径方向であり、回転方向は円板状のスケールSの周方向である。スケールSは、例えば、ガラス製、金属製、あるいは樹脂製の部材である。
スケールSのパターンPは、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSを含む。インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSは、例えば、スケールSの面Saに設けられる。インクリメンタルパターンINCとアブソリュートパターンABSとの一方または双方は、スケールSにおける面Saの反対側の面Sbに設けられてもよい。
検出ヘッド10は、スケールSのパターンPを光学的に検出する。検出ヘッド10は、例えば、エンコーダヘッド、検出ユニット(検出モジュール)、あるいは光学ユニット(光学モジュール)などである。検出ヘッド10は、照射部11および受光センサ12を含む。
照射部11(発光部、光源部)は、スケールSのインクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSに光Lを照射する。照射部11は、例えば、LED(発光ダイオード)などの発光素子(例、固体光源)を含む。受光センサ12(センサ部、受光部)は、照射部11から照射されインクリメンタルパターンINCを経由した光L、及び照射部11から照射されアブソリュートパターンABSを経由した光Lをそれぞれ検出する。受光センサ12は、例えば、フォトダイオードや撮像素子などの受光素子(例、光電変換素子)を含む。
角度検出部1は、スケールSのパターンニング情報を受光センサ12で読み取ることにより、回転体SFの1回転以内の角度位置情報を検出する。角度検出部1が検出するスケールSのパターンニング情報は、例えば、スケールS上の透過パターン(例、スリット)又は反射パターン(例、反射膜)等による明暗のパターン(例、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABS)である。図1において、角度検出部1は反射型検出部である。この場合、受光センサ12は、反射型のスケールSで反射した光を検出する。なお、角度検出部1は透過型検出部であってもよい(後に図9で説明する)。
受光センサ12は、パターンの検出結果を示す信号(検出信号)を処理部13へ供給する。そして、処理部13は、受光センサ12の検出結果を使って、回転体SFの角度位置を検出する。例えば、処理部13は、アブソリュートパターンABSからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置情報を検出する。また、更に、処理部13は、インクリメンタルパターンINCからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置情報に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置情報を検出する。
多回転検出部2は、角度検出部1の検出対象と同じ回転体SFの角度位置情報を検出する。多回転検出部2は、磁気式エンコーダと光学式エンコーダとの一方または双方を含む。多回転検出部2は、本実施形態において磁気式エンコーダを含むが、光学式エンコーダを含んでもよい。本実施形態の多回転検出部2は、磁石21、磁気センサ22、及び処理部23を備える。
磁石21(磁気スケール、磁気パターン)は、磁気センサ(例、ホール素子、MRセンサなど)22に対して相対的に回転する。例えば、磁石21は、回転体SFの回転によって、磁気センサ22に対して相対的に回転する。本実施形態では、磁石21は、回転体SFに固定されたスケールS(第1の回転体)に設けられ、回転体SFの回転に基づき回転する。磁石21は、例えば、スケールSにおいてインクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSと同じ側の面Saに設けられる。
なお、磁石21は、スケールSにおいてインクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSが設けられる面(パターン面)Saと逆側の面Sbに設けられてもよい。また、磁石21は、パターンPが設けられる第1の回転体(スケールS)と異なる第2の回転体(第2のスケール)に設けられてもよい。上記の第2の回転体は、第1の回転体と連動して回転するように、第1の回転体と回転体SFとの一方または双方と固定される。
磁石21および磁気センサ22は、回転体SFの回転によって互いの相対位置(相対的な角度位置)が変化する。磁石21が形成する磁気センサ22上の磁界の強さおよび向きは、回転体SFの回転によって変化する。磁気センサ22は、回転体SFの回転に基づいて磁石21により形成される磁界を検出する。処理部23は、磁石21が形成する磁界を磁気センサ22が検出した結果に基づいて、回転体SFの多回転情報を検出(算出)する。
図2は、第1実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。図2(A)には、エンコーダ装置ECをアキシャル方向(Z方向)から見た図(アキシャル方向視の図)を示した。図2(B)には、エンコーダ装置ECをラジアル方向(例、Y方向)から見た図(ラジアル方向視の図)を示した。
本実施形態において、回転体SFは、固定部材BD1に対して回転する。固定部材BD1は、例えば、駆動装置MTRにおける固定子、又は固定子が固定されるボディを含む。固定部材BD1は、図1に示した本体部BDの一部である。エンコーダ装置ECは、図2(B)に示すようにエンコーダ本体部31(本体部)を備える。エンコーダ本体部31は、受光センサ12およびスケールSが収容される空間SPを有する。空間SPは、エンコーダ本体部31の内壁(内面)と駆動装置MTRの固定部材BD1とに囲まれる空間である。エンコーダ本体部31は、支持部材(第1の支持部材、支持部)32および支持部材(第2の支持部材、支持部)33を備える。
支持部材32は、例えば、プリント基板などの処理基板を含む。支持部材32には、例えば、処理回路(例、ASIC、FPGA)、配線、及び端子の少なくとも一部が形成される。支持部材32には、例えば、処理回路を含む電子部品(例、ICチップ)が実装される。上記の処理回路は、例えば、図1に示した処理部13、処理部23、及び合成部3の少なくとも一部を含む。支持部材32は、スケールSにおけるパターンP(インクリメンタルパターンINCおよびアブソリュートパターンABS)と、受光センサ12とのZ方向のギャップを規定する。また、支持部材32は、磁石21と磁気センサ22とのZ方向のギャップを規定する。また、支持部材32は、スケールSのパターン面Sa(又はパターン面と逆側の面Sb)に対向して配置されている。
支持部材33(図2(B)参照)は、アキシャル方向(Z方向)において、固定部材BD1と支持部材32との間に、及び/又はスケールSのパターン面Saに直交する側面に対向させて、配置される。支持部材33は、例えばモールド部、スペーサ部等である。支持部材33は、例えば樹脂製でもよいし、少なくとも表面が絶縁性の金属製(例、アルマイト加工されたアルミニウム製)でもよい。
支持部材33(図2(A)参照)は、例えば、スケールSを環状に囲む筒状(又は中空状)の部材である。支持部材33は、例えばアキシャル方向から見た場合にリング形状である。支持部材32(図2(B)参照)は、支持部材33において固定部材BD1と反対側の開口を塞ぐように設けられる。支持部材33は、支持部材32と固定部材BD1とに挟まれて、支持部材32および固定部材BD1のそれぞれと固定される。
図2(B)に示すように、スケールSおよび受光センサ12は、固定部材BD1と支持部材32と支持部材33とに囲まれる空間SPに収容される。例えば、少なくとも支持部材32と支持部材33とによって形成された空間SPには、駆動装置MTRから生じる異物OBが存在する場合がある。異物OBは、例えば、グリスなどの油(例、油滴、オイルミスト)と水(例、水滴、水蒸気)との一方または双方を含む。また、異物OBは、例えば、液体(例、液滴)と気体(例、液滴が蒸発した蒸気)との一方または双方を含み、空間SPを流動する流体(例、空間SPにおいて複数の所定方向(例、所定位置から受光センサ12へ向かって移動する方向など)へ移動する流体)である。
受光センサ12においてスケールSから光が入射する表面(例、受光面)に異物OBが付着すると、異物OBでの光の屈折、反射、散乱などによって受光センサ12の検出結果が設計値に対して誤差(検出誤差、測定誤差)を生じる場合がある。そこで、本実施形態の光学部材15は、例えば、異物OBが受光センサ12へ向かって移動して受光センサ12に付着することを抑制し、異物OBによる受光センサ12の誤差を低減することができる。
光学部材15は、例えば、スケールPにおいて受光センサ12による検出対象の領域と、受光センサ12とを結ぶ線に交差して設けられる。光学部材15は、例えば、スケールPにおいて照射部11から光が入射する領域と、受光センサ12とを結ぶ線に交差して設けられる。
本実施形態において、光学部材15は、支持部材32(この場合、処理基板)に支持される。図2(B)において、支持部材32は、受光センサ12および光学部材15を支持する。光学部材15は、支持部材(第3の支持部材、支持部)34に接触して固定されて支持部材32に支持される。支持部材34は、受光センサ12の周囲に配置され、支持部材32に固定される。支持部材34は、例えば中空の部材であり、受光センサ12を連続的(例、環状、枠状)又は不連続的(例、短冊状、縞状)に囲むように配置される。
支持部材34は、支持部材32において受光センサ12が配置される面32aから、スケールSに向かって延びている。光学部材15は、支持部材34において支持部材32と反対側の開口を塞ぐように、支持部材34に固定される。光学部材15は、支持部材34に接触して固定されることによって、支持部材34を介して間接的に支持部材32に固定されている。なお、支持部材34は、上述のエンコーダ本体部31を構成する部材としてもよく、支持部材32及び支持部材33と一体的に形成されてもよい。
本実施形態において、エンコーダ本体部31の空間SPは、少なくとも光学部材15によって空間(第1の空間)SP1と空間(第2の空間)SP2とに分けられている。エンコーダ本体部31の空間SPは、光学部材15を境界BZにして空間SP1と空間SP2とを有する。空間SP1は、回転体SFと面する空間である。スケールSは、空間SP1に配置される。
本実施形態において、空間SP2は、光学部材15と支持部材32と支持部材34とに囲まれる空間である。支持部材32に支持された受光センサ12は、空間SP2に配置される。また、光学部材15は、支持部材32に支持され、スケールSと受光センサ12との間の光路に配置される。空間SP2は、空間SP1から異物OBが入ることが光学部材15によって抑制された空間である。
空間SP2は、例えば、空間SP1との間で流体(例、気体や液体の異物など)の移動が抑制されるように、空間SP1と仕切られる(例、区画される、封止される)。空間SP2が光学部材15(BZ)によって封止されている場合、空間SP2への異物OBの流入が抑制され、受光センサ12に対する異物OBの付着が抑制される。
本実施形態の光学部材15は、空間SPにおいて受光センサ12とスケールSとに対する境界BZであり、空間SPの少なくとも一部を2以上の空間に区切っている(分けている)。これにより、光学部材15は、これら2つの空間のうち空間SP2に配置された部材(この場合、受光センサ12など)に対する異物OBの付着を低減する。例えば、光学部材15は、空間SPにおける仕切り板(例、衝立、間を区切る板など)として空間SPの境界BZを構成し、空間SPを空間SP1と空間SP2とに仕切る位置に配置されている。
なお、空間SP2は、光学部材15を境界BZにして空間SP1と空間的に通じていてもよい。例えば、光学部材15が固定された支持部材34は、受光センサ12の周囲の一部のみに設けられてもよい。また、支持部材34は、受光センサ12の周囲に離散的に設けられてもよい。空間SP2が空間SP1と連通している場合においても、例えば、異物OBが受光センサ12に到達する経路は、光学部材15を迂回するように長くなり、受光センサ12に対する異物OBの付着が抑制される。
空間SP2において、受光センサ12とスケールSとの間の光路は、例えば空隙である。受光センサ12とスケールSとの間の光路は、スケールSから受光センサ12へ向かう光の光路を含む。空間SPにおける光路が空隙である場合、空間SP2における光路に充填材(例、樹脂)が配置される場合と比べて、充填材での光の吸収、散乱、反射、屈折等が低減され、例えば迷光の発生を抑制可能である。また、受光センサ12の検出結果に及ぼす充填材の影響を低減可能である。なお、空間SP2は、その少なくとも一部が光透過性を有する充填材(例、樹脂)などで充填されてもよい。
また、本実施形態において、エンコーダ装置ECは、スケールSが取り付けられる移動体(例、回転体SF)の多回転情報を検出する多回転検出部2(図1参照)を備える。本実施形態の光学部材15は、多回転検出部2のセンサ(例、磁気センサ22)を覆う位置を避けて、例えば、受光センサ12に対向する位置、受光センサ12が受光する光の光路に選択的に配置される。例えば、図2(A)において、光学部材15は、アキシャル方向(Z方向)から見た場合に、磁気センサ22と重ならない位置に配置される。また、図2(B)において、光学部材15は、空間SPにおいて受光センサ12の周囲に選択的に配置され、空間SP2を形成する部材の一部を構成している。例えば、光学部材15は、磁石21と磁気センサ22との間の磁力線を遮らないように、配置される。この場合、光学部材15が磁気センサ22の検出結果に及ぼす影響が低減される。
図3は、第1実施形態に係る検出ヘッドを示す図である。検出ヘッド10は、基板10a、照射部11、及び受光センサ12を備える。基板10aは、例えば、照射部11や受光センサ12が形成される面を有するシリコン基板である。照射部11は、例えば、基板10aに実装されて形成された点光源などである。受光センサ12は、照射部11と所定の相対的な位置関係で、基板10aに実装されて形成された受光素子アレイ16および受光素子アレイ17を含む。このように、本実施形態における照射部11と受光センサ12とは、互いに基板10aに実装されて一体化されたユニットであり、受発光センサを構成している。また、照射部11は、エンコーダ装置ECのアキシャル方向視(回転軸AXの軸方向視)において、アキシャル方向(回転軸AXの軸方向)と直交する方向(例、X方向、Y方向、ラジアル方向)に対して受光素子アレイ16と受光素子アレイ17との間に配置されている。
受光素子アレイ16は、インクリメンタルパターンINC(図2(B)参照)を光学的に検出するセンサである。受光素子アレイ16は、複数の受光素子16aが配列された構造である。複数の受光素子16aは、それぞれ、インクリメンタルパターンINC(図2(B)参照)で反射した光を検出する。図2(B)に示した受光面12aは、複数の受光素子16aが配列される面である。
受光素子アレイ17は、アブソリュートパターンABS(図2(B)参照)を光学的に検出するセンサである。受光素子アレイ17は、複数の受光素子17aが配列された構造である。複数の受光素子17aは、それぞれ、アブソリュートパターンABS(図2(B)参照)で反射した光を検出する。図2(B)に示した受光面12aは、複数の受光素子17aが配列される面である。例えば、複数の受光素子16aが配列される面と複数の受光素子17aが配列される面とは、互いに平行な面(又は互いにほぼ面一)である。
図4は、第1実施形態に係る光学部材を示す図である。本実施形態において、受光センサ12は、スケールSに対して照射部11と同じ側に配置される。受光センサ12は、スケールSにおいてパターンPに光が入射する面Saと同じ側に配置される。受光センサ12は、パターンPで反射した光を検出する。光学部材15は、照射部11とパターンPとの間に配置される。光学部材15は、照射部11からパターンPへ向かう光Lの光路に配置される。
また、光学部材15は、パターンPから受光センサ12へ向かう光Lの光路に配置される。光学部材15は、パターンPにおける検出対象の位置(検出対象位置、検出対象領域領域)と、受光センサ12とを結ぶ線上の点を含む領域に配置される。光学部材15は、インクリメンタルパターンINCから光Lが入射し、かつアブソリュートパターンABSから光Lが入射する位置に配置される。光学部材15は、照射部11からの光Lが入射し、かつパターンPからの光Lが入射する位置に配置される。
光学部材15は、例えば、受光センサ12に対してパターンPと同じ側を覆うカバーガラスを含む。光学部材15は、例えば平板状の部材である。光学部材15は、受光センサ12に対向する面15aと、面15aの反対側の面15bとを有する。面15aは、照射部11から光Lが入射する面(第1の物体表面、第1の物体界面、入射端面)であり、パターンPから光Lが入射して該光が射出する面(第2の物体表面、第2の物体界面、射出面、射出端面)である。面15bは、パターンPから光Lが入射する面(例、入射端面)であり、照射部11から光Lが入射して該光が射出する面(例、射出端面)である。光学部材15は、受光センサ12の受光面12aと平行に配置される。例えば、光学部材15の面15aと面15bとの一方または双方は、受光センサ12の受光面12aと平行である。図4において、光学部材15の面15aおよび面15bは、それぞれ、受光面12aと平行である。
なお、図4では、光学部材15における光Lの屈折の図示が省略されている。受光面12aにおいて光Lが入射する位置は、例えば、光学部材15における光Lの屈折を加味して設定される。
光学部材15のうち少なくとも面15bは、異物OBに対して撥液性を有する。例えば、光学部材15の面15bは、受光センサ12においてパターンPからの光Lが入射する表面に比べて、異物OBに対する接触角が大きい。異物OBが気体である場合、異物OBの接触角は、異物OBが液化した状態での接触角で表される。
光学部材15は、母材41、撥液部42、及び反射低減部43を含む。母材41は、例えば、ガラス製あるいは樹脂製の板状の部材(例、基板、基材)である。母材41は、パターンPからの光が透過する特性を有する。また、母材41は、照射部11からの光が透過する特性を有する。反射低減部43は、例えば、反射防止膜あるいは反射防止コーティング(ARコーティング)などである。反射低減部43は、例えば、光学部材15の面15aあるいは面15bで光が反射することによる受光センサ12の検出結果への影響を低減することができる。
反射低減部43は、反射低減部43aおよび反射低減部43bを含む。反射低減部43aは、空間SP2(第2の空間)側に面している。反射低減部43aは、空間SP2(第2の空間)側に向いて、空間SP内に形成されている。反射低減部43aは、母材41に対して照射部11や受光センサ12と同じ側に設けられる。反射低減部43aは、照射部11から光学部材15へ入射する光の反射を低減する。反射低減部43aは、例えば、母材41において照射部11と同じ側(+Z側)の面に積層される。反射低減部43aは、光学部材15において照射部11と同じ側の表層に設けられる。反射低減部43aの表面は、光学部材15の面15aを含む。
反射低減部43bは、パターンPから光学部材15へ入射する光の反射を低減する。反射低減部43bは、例えば、母材41においてパターンPと同じ側(-Z側)の面に積層される。反射低減部43bは、光学部材15においてパターンPと同じ側の表層に設けられる。
なお、光学部材15は、反射低減部43aと反射低減部43bとの一方または双方を含まなくてもよい。また、反射低減部43aは、光学部材15の表層以外の層に設けられてもよい。例えば、光学部材15は、反射低減部43aに対して照射部11と同じ側に、他の層(例、コーティング、膜、光学層、フィルタ、補強材、平坦化層)を備えてもよい。また、光学部材15は、反射低減部43aと母材41との間と、反射低減部43bと母材41との間との一方または双方に、他の層(例、膜、光学層、フィルタ、補強材、平坦化層)を備えてもよい。
光学部材15は、その表面に、異物に対する撥液性を有する撥液部42を含む。撥液部42は、光学部材15の面15b(光透過面)側の表層に設けられる。撥液部42は、光学部材15において最も外側の面15bを含む。撥液部42は、例えば、空間(第1の空間)SP1側に面している。撥液部42は、空間SP1(第1の空間)側に向いて、空間SP内に形成されている。撥液部42は、反射低減部43bにおいてパターンPと同じ側の面(パターンPと対向する面)に積層される。撥液部42は、例えば、フッ素系樹脂を含み、反射低減部43b上に形成された膜(保護膜)あるいはコーティングである。撥液部42は、表面改質処理、表面処理等によって撥液性が付与された部分でもよい。母材41の片面のみに撥液部42が設けられる場合、母材の両面に撥液部42が設けられる場合と比較して、撥液部42における光の散乱、屈折、反射、吸収などの影響(例、光学部材15における透過率の低下)を低減することができる。
撥液部42の材料は、異物OBの種類(例、油、水)に基づいて選択される。例えば、異物OBが油を含む場合、撥液部42は、油に対してロータス効果を発現するように、その材料が選択されてもよい。また、異物OBが水を含む場合、撥液部42は、水に対してロータス効果を発現するように、その材料が選択されてもよい。
なお、撥液部42は、面15bにおいて撥液性の分布を有してもよい。例えば、面15bのうち第1領域は、油に対して撥液性を有し、面15bのうち第1領域と異なる第2領域は、水に対して撥液性を有してもよい。上記の第1領域と第2領域とは、例えば、水あるいは油の付着が顕著になる領域を予め試験などで求めておき、その試験結果に基づいて設定されてもよい。
なお、光学部材15は、撥液部42と反射低減部43bとの間に、他の層(例、膜、光学層、フィルタ、補強材、平坦化層)を備えてもよい。また、撥液部42は、光学部材15において受光センサ12と同じ側の表層にも設けられてもよい。また、スケールSは、その表面に撥液部42と同様の撥液部を備えてもよい。例えば、スケールSの撥液部は、パターンPを覆うように設けられてもよい。
なお、光学部材15は、空間SP1と面する部分(例、空間SP1に対向する面15b)が異物OBに対して撥液性を有し、空間SP1に面しない部分(例、空間SP1に対向しない面15a)が異物OBに対して撥液性を有していなくてもよい。光学部材15は、空間SP1に面しない部分が異物OBに対して親液性を有してもよい。
実施形態に係るエンコーダ装置EC(図1参照)は、パターンPからの光が透過する光学部材15を備えるので、例えば受光センサ12へ異物OB(図4参照)が付着することが抑制される。エンコーダ装置ECは、例えば、異物OB(図4参照)が受光センサ12に付着することによる検出結果への影響が低減され、回転位置情報を高精度で検出可能である。
また、光学部材15が撥液部42を備える場合、例えば、光学部材15に対する異物OBの付着が抑制される。例えば、撥液部42が油に対して撥液性を有する場合、異物OBとして油が光学部材15に付着することが抑制される。また、例えば、撥液部42が水に対して撥液性を有する場合、異物OBとして水が光学部材15に付着することが抑制される。エンコーダ装置ECは、例えば、異物OB(図4参照)が光学部材15に付着することによる検出結果への影響が低減され、回転位置情報を高精度で検出可能である。
なお、光学部材15は、受光センサ12の受光面12aに対して非平行に配置されてもよい。光学部材15は、受光面12aと非直交な面方向に配置されてもよい。光学部材15は、受光面12aに対する斜め方向(交差方向)と平行な面方向に配置されてもよい。例えば、光学部材15は、面15bが受光面12aに対して傾斜するように、配置されてもよい。例えば、光学部材15は、面15bに付着した異物の液滴(水、油)が光L(図4参照)の光路の外側に移動するように、面15bが傾斜していてもよい。光学部材15が受光面12aと非平行である場合、受光センサ12の位置(受光面12aにおける光Lの検出位置)は、光学部材15における光Lの屈折(例、光路のシフト)に基づいて、設定されてもよい。
なお、光学部材15の面15aと面15bとの一方または双方は、湾曲していてもよい。例えば、光学部材15は、パワーを有するレンズなどでもよい。例えば、光学部材15は、レンズアレイを含み、パターンPからの光を受光センサ12に集光してもよい。また、光学部材15は、照射部11からの光をパターンP上に集光してもよい。
なお、光学部材15は、撥液部42を備えなくてもよい。例えば、光学部材15は、気体の異物OBが光学部材15の表面で液化することを抑制するように、光学部材15の温度が調整されてもよい。また、光学部材15は、液体の異物OBが光学部材15の表面で気化することを促進するように、光学部材15の温度が調整されてもよい。また、光学部材15は、交換可能に設けられてもよい。例えば、異物が付着した光学部材15は、メンテナンス時などに取り外され、異物が付着していない光学部材15へ交換されてもよい。光学部材15は、例えば撥液部42を備えず、異物が所定量を超えて付着した場合に好感されてもよい。
なお、エンコーダ装置EC(図1参照)は、角度検出部1が磁気式エンコーダを含み、多回転検出部2が光学式エンコーダを含んでもよい。例えば、多回転検出部2は、受光センサ12およびパターンPを備え、光学部材15は多回転検出部2の受光センサ12に対して設けられてもよい。
なお、エンコーダ装置ECは、角度検出部1が第1の光学式エンコーダを含み、多回転検出部2が第2の光学式エンコーダを含んでもよい。この場合、第1の光学式エンコーダは第1受光センサを備え、第2の光学式エンコーダは、第1受光センサと異なる第2受光センサを備えてもよい。光学部材15は、上記の第1受光センサと第2受光センサとのそれぞれに設けられてもよい。
また、光学部材15は、上記の第1受光センサ12と第2受光センサとの一方のみに設けられてもよい。例えば、異物OB(図4参照)は、スケールSのラジアル方向の外側において内側よりも顕著(空間分布が密)である場合がある。この場合、第1受光センサと第2受光センサとのうちラジアル方向の外側の受光センサに光学部材15が設けられてもよい。
なお、エンコーダ装置ECは、角度検出部1または多回転検出部2を備えなくてもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、角度検出部1を備え、角度検出部1が検出する角度位置情報の変化によって、多回転情報を検出してもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図5は、第2実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。エンコーダ装置ECは、受光センサ12(第1センサ、第1検出部)と異なるセンサ45(第2センサ、第2検出部)を備える。センサ45は、スケールSが取り付けられる移動体(例、回転体SF)の移動情報(例、多回転情報)を検出する。センサ45は、例えば、図1に示した磁気センサ22を含む。センサ45は、磁気センサ22でなくてもよく、受光センサ12(第1受光センサ)と異なる受光センサ(第2受光センサ)でもよい。
図5において、光学部材15(BZ)は、センサ45を覆う位置に配置される。光学部材15は、回転体SFの回転軸AXの方向(例、アキシャル方向、Z方向)から見た場合にセンサ45と重なる位置に配置される。光学部材15は、受光センサ12を覆う位置と、センサ45を覆う位置とに連続して配置される。受光センサ12およびセンサ45は、それぞれ、光学部材15によって仕切られた空間SP2に収容される。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、センサ45に異物OBが付着することを光学部材15によって抑制することができる。このエンコーダ装置ECは、例えば、センサ45に異物OBが付着することによるセンサ45の検出結果への影響を低減することができる。また、エンコーダ装置ECは、受光センサ12を覆う位置と、センサ45を覆う位置とに個別に光学部材15が設けられる構成と比較して、例えば部品数を減らすことができる。なお、光学部材15は、受光センサ12を覆う位置と、センサ45を覆う位置とに、個別に(独立して)配置されてもよい。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図6は、第3実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態において、エンコーダ装置ECは、エンコーダ本体部31に接触して固定されたシールド部46(シールド部材、電磁シールド)を備える。
シールド部46は、図1に示した処理部13に対する電磁ノイズ、及び処理部23に対する電磁ノイズのそれぞれを低減する。シールド部46は、シールド部46に対してスケールSと同じ側から支持部材32へ向かう電磁ノイズの少なくとも一部を遮断する。シールド部46は、例えば導電性を有する部材(導電部材)である。シールド部46は、エンコーダ装置ECに含まれる処理回路の基準電位になる導電部材(グラウンド)でもよい。また、シールド部46は、基準電位になる導電部材と電気的に接続される導電部材でもよい。
シールド部46は、図1に示した処理部13とスケールSとの間に配置される。例えば、シールド部46は、支持部材32(処理基板)とスケールSとの間に配置される。シールド部46は、エンコーダ本体部31に支持される。図6において、シールド部46は、支持部材32と支持部材33とに挟みこまれて、エンコーダ本体部31に固定される。
シールド部46は、外縁部46aおよび中央部46bを含む。外縁部46aは、支持部材32と支持部材33とに挟まれた部分である。中央部46bは、支持部材33の内側の部分である。外縁部46aと中央部46bとは、アキシャル方向(Z方向)の段差を有する。中央部46bは、アキシャル方向において、外縁部46aよりもスケールSに接近している。中央部46bは、例えば、アキシャル方向と垂直な平板状である。
シールド部46は、パターンPから受光センサ12へ向かう光Lの光路を遮らないように、配置される。図6において、シールド部46の中央部46bは、光Lが通る開口46cを有する。シールド部46の中央部46bは、XY平面に平行な面において、支持部材33の内側で開口46cを除く領域の全域に亘って連続的に設けられる。なお、シールド部46は、上述の構成に限定されず、その形状、寸法、及び固定方法の少なくとも1つが任意に設定される。例えば、シールド部46は、メッシュ状でもよいし、梁状(棒状)でもよい。
光学部材15(BZ)は、シールド部46に接触して支持される。光学部材15は、例えば、開口46cを塞ぐように配置される。光学部材15は、例えば、シールド部46においてスケールSと反対側の面に配置される。光学部材15は、シールド部46に接触して固定されることによって、シールド部46を介して間接的にエンコーダ本体部31に固定されている。光学部材15は、固定部47によってシールド部46に固定される。固定部47は、例えば、ボルトおよびナット、ネジ、ピンなどの固定冶具、あるいは接着材などである。固定部47は、ボルトおよびナットなどの取り外し可能な部材でもよいし、リベットなどのかしめによって固定する部材でもよく、接着材などでもよい。固定部47については、後の図7などでも説明する。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、シールド部46に光学部材15が支持されるので、例えば、シールド部46と別に光学部材15の支持部材を設ける場合と比較して、部品数を減らすことができる。また、エンコーダ装置ECは、固定部47として、ボルトおよびナットなどの取り外し可能な部材が用いられる場合、例えば、メンテナンス(例、光学部材15の交換)が容易である。
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図7は、第4実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態において、光学部材15(BZ)は、エンコーダ本体部31の支持部材33に支持される。支持部材33は、外周部33a(第1部分)および内周部33b(第2部分)を含む。
外周部33aは、例えば中空の柱状(例、環状、枠状)の部材である。外周部33aは、駆動装置MTRの固定部材BD1に固定される。内周部33bは、回転軸AXのラジアル方向において、外周部33aの内側に配置される。内周部33bは、例えば、アキシャル方向に垂直な板状である。内周部33bは、スケールSと受光センサ12との間を仕切るように配置される。また、本実施形態の支持部材33は、光学部材15とともに、空間SPの少なくとも一部を少なくとも2つの空間に区切って分けていることによって、該2つの空間のうち空間SP2に配置された部材(この場合、受光センサ12など)に対する異物OBの付着を低減するように機能する。
内周部33bは、パターンPから受光センサ12へ向かう光Lの光路を遮らないように、配置される。図7において、内周部33bは、光Lが通る開口33cを有する。内周部33bは、XY平面に平行な面において、支外周部33aの内側で開口33cを除く領域の全域に亘って連続的に設けられる。光学部材15は、支持部材33の内周部33bに支持される。光学部材15は、例えば、開口33cを塞ぐように配置される。光学部材15は、固定部47によって内周部33bに固定される。
図7(A)において、固定部47は接着材を含む。図7(B)において、固定部47は、押さえ部材47aと、固定部材47bとを含む。押さえ部材47aは、光学部材15の外縁上と内周部33b上とに亘って配置される。固定部材47bは、押さえ部材47aを内周部33bに固定する。なお、エンコーダ装置ECは、固定部47(例、固定用の部材)を備えなくてもよい。例えば、図7(C)に示すように、光学部材15は、内周部33bの開口33cにはめ込まれて固定されてもよい。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、支持部材33に光学部材15が支持されるので、例えば、支持部材33と別に光学部材15の支持部材を設ける場合と比較して、部品数を減らすことができる。なお、内周部33bは、外周部33aから延びる片持ちあるいは両持ちの梁状でもよい。また、支持部材33は、内周部33bと外周部33aとが一体的に成形されてもよい。また、支持部材33は、内周部33bと外周部33aとがそれぞれ部材であって、内周部33bと外周部33aとが互いに固定(例、接合)されてもよい。
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図8は、第5実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。光学部材15(BZ)は、本体部31に支持される。光学部材15は、支持部材33に接触して支持部材33に固定される。光学部材15は、支持部材33の支持部33dに支持される。
図8(A)の光学部材15は、アキシャル方向(Z方向)と垂直なラジアル方向(例、X方向)において、支持部材33の内壁33eよりも外側まで設けられる。ラジアル方向において、光学部材15の外縁は、支持部材33の内壁33eよりも外側に配置される。支持部33dは、光学部材15の端部がはめ込まれる凹部を含む。支持部33dは、内壁33eに比べて、ラジアル方向の外側に窪んでいる。支持部材15は、支持部33dにはめ込まれることで、支持部材33に固定される。
図8(B)の光学部材15は、アキシャル方向(Z方向)と垂直なラジアル方向(例、X方向)において、支持部材33の内壁33eよりも内側に設けられる。ラジアル方向において、光学部材15の外縁は、支持部材33の内壁33eよりも内側に配置される。支持部33dは、光学部材15の外縁が係止される凸部(突起部)を含む。支持部33dは、内壁33eに比べて、ラジアル方向の内側へ向かって凸になっている。支持部材15は、その外縁が支持部33dにねじ止めあるいは接着等によって固定される。
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図9は、第6実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態において、エンコーダ装置ECは、透過型のエンコーダを含む。
受光センサ12は、パターンPを透過した光(透過光)を検出する。受光センサ12は、回転体SFの回転軸方向(回転軸AXの方向、アキシャル方向)において、スケールSに対して、照射部11と反対側に配置される。例えば、受光センサ12は、スケールSにおいてパターンPに光が入射する面Sbと反対側に配置される。光学部材15(BZ)は、光学部材16および光学部材17を含む。光学部材16は、第1実施形態などで説明した光学部材15と同様である。光学部材16は、パターンPから受光センサ12へ向かう光(パターンPを透過した光)の光路に配置される。このように、上記の光学部材(例、光学部材16及び光学部材17)が、照射部11からパターンPへ向かう光の間の光路と、パターンPから受光センサ12に向かう光の間の光路とにそれぞれ配置される。
光学部材17は、照射部11からパターンPへ向かう光の光路に配置される。光学部材17は、照射部11に取り付けられている。光学部材17は、例えば、光学的なパワー(例、正のパワー、負のパワー)を有するレンズ(例、コンデンサ、コリメータ)などである。光学部材17は、照射部11からの光を集光あるいは平行化する。光学部材17は、その表面に撥液性のコーティングが施されている。なお、光学部材17は、例えば光学部材16と同様に、平板状でもよい。また、光学部材17は、照射部11と非接触に設けられてもよい。
[第7実施形態]
第7実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図10は、第7実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。エンコーダ装置ECは、状態検出部48を備える。状態検出部48は、パターンPからの光の検出結果に基づいて、光学部材15(BZ)の状態を検出する。
状態検出部48は、受光センサ12から出力される検出結果(検出信号)に基づいて、光学部材15の状態を判定する。状態検出部48は、例えば、光学部材15が所定の状態で配置されているか否かを検出する。状態検出部48は、光学部材15が配置されていない場合、あるいは光学部材15にひび割れ等の異常がある場合、光学部材15に所定のレベルを超える量の異物OBが付着している場合等において、異常を知らせる報知信号(報知情報、アラーム信号、警告信号)を出力する。
図10(A)には、光学部材15が正常に配置された状態(正常状態)を示した。図7(B)には、光学部材15が配置されていない状態(異常状態)を示した。図7(B)において、符号L1は正常状態の光路を示し、符号L2は異常状態の光路を示す。
図10(B)に示すように、光学部材15が配置されていない場合、照射部11から照射された光Lは、光学部材15での屈折がないことによって、パターンPに入射する位置が変化する。また、パターンPを経由した光Lは、光学部材15での屈折がないことによって、受光センサ12に入射する位置が変化する。受光センサ12は、例えば複数の検出領域(例、画素)を有し、受光面12aにおける光の強度分布を示す検出信号を出力する。
状態検出部48は、例えば、受光センサ12の所定の領域(例、1画素、複数の画素)から出力される検出信号のレベルが所定の範囲内であるか否かを判定する。状態検出部48は、受光センサ12から出力される検出信号のレベルが所定の範囲内でないと判定した場合、報知信号を出力する。状態検出部48は、受光センサ12の検出信号から得られる光強度分布(例、光強度のピーク位置)に基づいて、光学部材15の状態を検出(例、判定)してもよい。エンコーダ装置ECは、状態検出部48から出力された報知信号に基づいて、例えば光学部材15の異常を外部へ報知する。例えば、エンコーダ装置ECは、ランプの点灯あるいは消灯、アラーム音の発生などによって、光学部材15の異常を外部へ報知する。
なお、図10(B)においては、異常状態として、光学部材15が配置されていない状態を示したが、異常状態は、その他の状態でもよい。例えば、光学部材15に割れ、キズなどの欠陥がある場合、光学部材15に所定のレベルを超える量の異物が付着している場合などにおいても、検出信号のレベルあるいは、受光センサ12の検出信号から得られる光強度分布が変化する。状態検出部48は、受光センサ12の検出信号に基づいて、上記の欠陥、あるは異物の付着状態を検出してもよい。例えば、状態検出部48は、異物の付着状態を示す報知信号(報知情報)を出力してもよい。例えば、光学部材15は、異物の付着状態を示す報知信号に基づいて、交換されてもよい。
[駆動装置]
次に、実施形態に係る駆動装置について説明する。図11は、実施形態に係る駆動装置を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、移動体(例、回転体SF)と、移動体を駆動(例、回転駆動)する本体部BD(駆動部)と、移動体の移動情報(例、位置情報、回転位置情報)を検出するエンコーダ装置ECとを備える。
回転体SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有する。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、スケールSが固定される。エンコーダ装置ECは、上述の実施形態に係るエンコーダ装置である。本実施形態において、スケールSは、ベアリング49を介して、エンコーダ本体部31(例、支持部材33)に支持される。スケールSは、ベアリング49によって回転可能に支持され、かつラジアル方向においてエンコーダ本体部31に対して位置決めされる。なお、ベアリング49は、駆動装置MTRの回転体SF(SFa)に接触して配置される構成でもよい。この場合、スケールSは、回転体SF(SFa)に接着剤などによって固定される。
駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、図1などに示した制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、例えばエンコーダ装置ECが回転位置情報を高精度で検出可能であり、回転位置情報に基づいて回転体SFの位置を高精度に制御可能である。
なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。また、駆動装置MTRは、リニアモータを含んでもよく、この場合、エンコーダ装置ECは、リニアエンコーダを含んでもよい。
[ステージ装置]
次に、実施形態に係るステージ装置について説明する。図12は、実施形態に係るステージ装置を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
このステージ装置STGは、図11に示した駆動装置MTRの回転体SFのうち負荷側端部SFaに、ステージ(回転テーブルTB、移動体、回転体)を取り付けた構成である。ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転体SFを回転させる。この回転は、回転テーブルTBに伝達され、その際にエンコーダ装置ECは、回転体SFの角度位置等を検出する。エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
ステージ装置STGは、例えばエンコーダ装置ECが回転位置情報を高精度で検出可能であり、ステージ(例、回転テーブルTB)の位置を高精度に制御可能である。ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
なお、ステージ装置STGは、例えば、Xステージ、XYステージ、あるいはXYZステージに適用できる。例えば、駆動装置MTRがリニアモータであって、ステージ装置STGは、ステージを直線的に移動させてもよい。ステージ装置STGは、1次元のリニアモータによって、ステージを1方向に直線的に移動させてもよい。また、ステージ装置STGは、複数の1次元のリニアモータあるいは2次元のリニアモータ(例、平面モータ)によって、ステージを2方向に移動させてもよい。また、駆動装置MTRが回転モータであって、ステージ装置STGは、駆動装置MTRにおける回転運動を直線運動に変換してステージを直線的に移動させてもよい。
[ロボット装置]
次に、実施形態に係るロボット装置について説明する。図13は、実施形態に係るロボット装置を示す図である。なお、図12には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略装置または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転体SFRと一体的に設けられている。回転体SFRは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転体SFRのうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転体SFRに伝達する。駆動装置MTRの回転体SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続される。また、駆動装置MTRの回転体SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのスケールSが取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転体SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転体SFRに伝達される。回転体SFRの回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転体SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。
ロボット装置RBTは、例えばエンコーダ装置ECが回転位置情報を高精度で検出可能であり、第2アームAR2の位置を高精度で制御可能である。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。