[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1から図3は、それぞれ、第1実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。図1は、検出対象である移動体の軸方向から見たエンコーダ装置ECを示す図である。図2は、図1のA1-A1線における断面図である。図3は、図1のA2-A2線における断面図である。以下の説明で参照する断面図において、図を見やすくする等の観点で、ハッチングが省略されている場合がある。
実施形態に係るエンコーダ装置ECは、移動体(移動部材)の位置情報(移動情報)を検出する。エンコーダ装置ECは、ロータリーエンコーダまたはリニアエンコーダを含む。本実施形態において、エンコーダ装置ECがロータリーエンコーダであるものとして説明する。エンコーダ装置ECがロータリーエンコーダである場合に、上記の移動体は回転体SF(回転部材、回転軸)を含み、上記の位置情報は、回転位置(回転位置情報)を含む。
上記の回転位置は、多回転(多回転情報)と角度位置(角度位置情報)との一方または双方を含む。多回転は、回転の数(例、1回転、2回転、多回転)を表す情報を含む。角度位置は、1回転未満の角度位置(回転角)を表す情報を含む。エンコーダ装置ECは、例えば多回転アブソリュートエンコーダである。この場合に、上記の回転位置は、多回転および角度位置を含む。なお、エンコーダ装置ECは、多回転と角度位置との一方のみを検出してもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、インクリメンタルエンコーダを含んでもよい。
回転体SFは、例えば、駆動装置MTR(図2参照)の一部である。例えば、駆動装置MTRは電動モータを含み、回転体SFは、駆動装置MTRにおける出力軸を含む。駆動装置MTRは、回転体SFを回転させる駆動部MDを備える。駆動部MD(本体部、モータ本体部)は、移動子と固定子とがボディ(筐体、収容部)に設けられた構成である。移動子は、例えば電動モータの電機子を含み、ボディに対して回転可能に支持される。固定子は、例えば電動モータの磁石(例、永久磁石)を含み、ボディに固定される。移動子と固定子とは、互いに相対移動する。回転体SFは、移動子と同じ部材、又は移動子と接続される部材である。回転体SFは、移動子の回転によって、ボディ(固定子)と相対的に回転する。
以下の説明において、適宜、図1等に示すXYZ直交座標系を参照する。このXYZ直交座標系において、Z方向は、回転体SFの回転軸AX(回転中心軸)に平行な方向である。X方向およびY方向は、互いに垂直な方向であり、それぞれがZ方向に垂直な方向である。また、X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれについて、適宜、矢印が指す側を+側(例、+Z側)と称し、その反対側を-側(例、-Z側)と称する。また、回転軸AXと同軸の方向(回転軸方向)を、適宜、アキシャル方向と称する。また、回転軸AXを通り、かつ回転軸AXに垂直な方向を、適宜、ラジアル方向と称する。
図2のエンコーダ装置ECは、位置検出部1と、放熱部2とを備える。位置検出部1は、回転体SFの回転位置(移動位置)を検出する。位置検出部1は、例えば、外部(例、駆動装置MTR)から伝わる熱と、自身の動作によって発生する熱(自己発熱)との少なくとも一部によって昇温する場合がある。放熱部2は、位置検出部1の熱をエンコーダ装置ECの外部へ伝達する伝熱経路(例、流路)を構成する。
放熱部2は、例えば、高温部(蒸発領域)から低温部(凝縮領域)への熱の移動を自動的に行うことができる。放熱部2は、例えば、高温部(蒸発領域)から低温部(凝縮領域)への熱の移動を連続的または断続的(間欠的に)に行うことができる。放熱部2は、例えば、メンテナンスフリーである。
放熱部2は、例えばヒートパイプ(例、厚さ方向に薄い薄型のヒートパイプ)を含み、位置検出部1に接続される部材のうち相対的に熱伝導率が高い。放熱部2は、例えば、流体が液相と気相とで相変化する際の熱を利用した閉ループ型の伝熱部材を含む。放熱部2は、例えば、位置検出部1が所定の温度(例、位置検出部1の動作温度範囲の上限)を超えて昇温することを抑制する。放熱部2の各部、他の部材との接続関係等については後述する。
位置検出部1は、例えば光学式エンコーダを含み、回転体SFの回転位置を光学的に検出する。位置検出部1は、スケールSと、検出部3と、処理部4とを備える。スケールSは、回転体SFに固定され、回転体SFの回転に基づいて回転する。スケールSは、回転体SFの回転によって、検出部3に対して相対移動する。検出部3は、回転体SFの回転によって、スケールSに対して相対移動する。スケールSは、例えば円板状の部材である。スケールSは、その中心を回転軸AXが通るように配置される。スケールSの周方向は、回転体SFの回転方向に相当する。スケールSはパターンPを有し、パターンPは、回転体SFの回転方向において特性が変化する。
検出部3(検出ヘッド)は、スケールSのパターンPを光学的に検出する。パターンPは、光学パターン(例、インクリメンタルパターン、アブソリュートパターン)を含む。検出部3は、照射部5およびセンサ6を備える。照射部5(発光部、光源部)は、スケールSのパターンPに光を照射する。照射部5は、例えば、LED(発光ダイオード)などの発光素子(例、固体光源)を含む。センサ6(センサ部、受光部)は、照射部5から照射されてパターンPを経由した光を検出する。センサ6は、例えば、フォトダイオードや撮像素子などの受光素子(例、光電変換素子)を含む。
センサ6は、パターンPの検出結果を示す信号(検出信号)を処理部4へ供給する。そして、処理部4は、センサ6の検出結果を使って、回転体SFの角度位置を検出する。例えば、処理部4は、アブソリュートパターンからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置を検出する。また、処理部は、インクリメンタルパターンからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置を検出する。
位置検出部1は、例えば、スケールSのパターンニング情報をセンサ6で読み取ることにより、回転体SFの回転位置を検出する。位置検出部1が検出するスケールSのパターンニング情報は、例えば、スケールS上の透過パターン(例、スリット)又は反射パターン(例、反射膜)等による明暗のパターンである。本実施形態において、検出部3は反射型検出部である。この場合、センサ6(図3参照)は、反射型のスケールSで反射した光を検出する。なお、検出部3は透過型検出部であってもよい。この場合、センサ6は、スケールSを透過した光を検出する。
次に、本実施形態に係るエンコーダ装置ECの各部の接続関係について説明する。なお、実施形態において、第1部材が第2部材と接続されている状態は、第1部材が第2部材と接触して連続している状態と、第1部材と第2部材とが気体以外の物体を介して連続している状態とを含む。実施形態において、2つの部材が互いに接触して連続することを、適宜、直接的に接触という。また、実施形態において、2つの部材が気体以外の物体を介して連続することを、適宜、間接的に接触という。間接的に接触する状態は、例えば、第1部材と第2部材とが充填材を介して隣接する状態を含む。
実施形態において、第1部材と第2部材とが接触する状態は、第1部材と第2部材とが直接的に接触する状態でもよいし、第1部材と第2部材とが間接的に接触する状態でもよい。また、複数の部材の間で熱が伝わることが可能な接続を、適宜、熱的に接続と称する。熱的な接続は、例えば、エンコーダ装置ECにおいて相対的に熱伝導率が高い伝熱経路を介した接続(例、断熱材を介さない接続)を含む。
第1部材と第2部材とが間接的に接触する場合、第1部材と第2部材との間に配置される物体は、第1部材と第2部材とのいずれとも異なる部材でもよい。また、第1部材と第2部材との間に配置される物体は、充填材でもよい。充填材は、第1部材と第2部材との間の空隙を減少させる。充填材は、第1部材と第2部材との実質的な接触面積を増加させる。充填材は、例えば、接触先の面の凹凸に沿って変形するゲル状の物体(例、放熱ゲル、樹脂材料)を含む。また、充填材は、ゲル状の物体が硬化あるいは固体化した物体(例、硬化した接着材)を含んでもよい。充填材は、例えば、可撓性と流動性との一方または双方を有する物体、又はこの物体を硬化させた物体を含む。
図2のエンコーダ装置ECは、固定部材11と、シール部12と、支持部材13と、基板14と、カバー部15とを備える。固定部材11(ベース部材、ベースプレート)は、駆動装置MTRの駆動部MDに固定される。固定部材11は、駆動部MDと熱的に接続される。固定部材11は、駆動部MDと直接的に接触している。固定部材11は、例えばネジなどで駆動部MDと固定される。固定部材11は、例えば接着材あるいはグリス等の物体を介して、間接的に駆動部MDと接触してもよい。固定部材11は、支持部材13を支持する。
支持部材13は、固定部材11と熱的に接続される。支持部材13は、固定部材11と直接的または間接的に接触する。支持部材13は、固定部材11に固定されている。支持部材13は、スケールSを囲ように設けられる。支持部材13は、基板14を支持する。支持部材13は、基板14と熱的に接続される。支持部材13は、例えばモールド部、スペーサ部等である。支持部材13は、例えば樹脂製でもよいし、少なくとも表面が絶縁性の金属製(例、アルマイト加工されたアルミニウム製)でもよい。
図2の支持部材13は、スケールSに対してラジアル方向に配置される側部13aと、スケールSに対向する天板部13bとを含む。側部13aは、例えば、Z方向に垂直な断面が枠形状(例、環状、矩形枠形状)である。天板部13bは、側部13aの+Z側の開口を塞ぐように設けられる。天板部13bは、開口13cを有し、検出部3は開口13cを介してスケールSを検出する。天板部13bは、開口13cが空隙でもよいし、開口13cに透明な部材が配置されていてもよい。
天板部13bが設けられる場合、回転体SFの周囲の空間と、検出部3の周囲の空間とが天板部13bによって仕切られる。この場合、例えば、回転体SFの周囲から異物が流入した場合に、異物が検出部3に到達することが抑制され、異物が検出部3に付着することが抑制される。なお、支持部材13は、図2の形状でなくてもよく、例えば天板部13bを備えなくてもよい。
基板14は、例えば、プリント基板などの処理基板を含む。基板14には処理部4が配置される。基板14には、例えば、処理回路(例、ASIC、FPGA)、配線、及び端子の少なくとも一部が形成される。支持部材13と基板14との一方または双方には、処理回路を含む電子部品(例、ICチップ)が実装されてもよい。上記の処理回路は、処理部4の少なくとも一部を含む。
カバー部15は、固定部材11と固定される。カバー部15は、エンコーダ装置ECの外部と仕切られた空間SP(内部空間、収容空間)を形成する。図2のカバー部15は、回転体SFに対してラジアル方向に配置される側部15aと、回転体SFに対してアキシャル方向に配置される天板部15bとを含む。側部15aは、例えば枠形状であり、Z方向から見た場合に回転体SFを囲むように配置される。天板部15bは、側部15aの+Z側の開口を塞ぐように配置される。なお、カバー部15は、図2と異なる形状でもよい。また、エンコーダ装置ECは、カバー部15を備えなくてもよい。
空間SPは、カバー部15と固定部材11とに囲まれる空間である。空間SPには、位置検出部1の少なくとも一部が配置(例、収容)される。図2において、位置検出部1(照射部5、センサ6、処理部4)は、空間SPに配置される。空間SPには、支持部材13および基板14が配置される。
シール部12は、例えば、リップシール、Vリングなどの接触シールを含む。シール部12は、固定部材11と回転体SFとに接触する。シール部12は、例えば、駆動部MDから空間SPへの異物の流入を抑制する。異物は、例えば、グリスなどの油(例、油滴、オイルミスト)と水(例、水滴、水蒸気)との一方または双方を含む。また、異物は、例えば、液体(例、液滴)と気体(例、液滴が蒸発した蒸気)との一方または双方を含む。
シール部12(図1参照)は、回転体SFを環状に囲むように設けられる。シール部12は、固定部材11に固定されて支持される。シール部12は、回転体SFと接触しつつ、回転体SFがシール部12に対して滑って回転可能なように設けられる。シール部12は、固定部材11と回転体SFとのそれぞれに対して熱的に接続される。
放熱部2は、例えばヒートパイプを含む。放熱部2は、内部に流路F(図3参照)を有する管状の部材に流体F1を封入した構造である。流体F1は、沸点がエンコーダ装置ECの動作温度範囲内にある物質を含む。流体F1は、放熱部2の流路Fの内部で液相と気相とで相変化する。以下の説明において、適宜、液相の流体F1を符号F1aで表し、気相の流体F1を符号F1bで表す。
図2に示すように、放熱部2は、流路Fに液相の流体F1a(例、作動液、水)を収容する。放熱部2は、蒸発領域10aと凝縮領域10bとを含む。蒸発領域10aは、その外部から受けた熱によって液相の流体F1aを気相の流体F1bへ変化させる。凝縮領域10bは、気相の流体F1bの熱を外部に放出して、気相の流体F1bを液相の流体F1aへ変化させる。放熱部2は、蒸発領域10a(吸熱領域)において外部から吸熱し、凝縮領域10b(放熱領域)において外部へ放熱する。
放熱部2は、放熱部2のうち相対的に温度が高くなる領域(例、蒸発領域10a)において、外部から受けた熱によって液体の流体F1aが気相の流体F1bへ変化する(蒸発する)。放熱部2は、液相の流体F1aが気相の流体F1bへ相変化する際の潜熱(蒸発熱、気化熱)によって、外部から熱を吸収する。気相へ変化した流体F1bは、流路F内を流動(流通)し、放熱部2のうち相対的に温度が低くなる領域(例、凝縮領域10b)において、熱を放熱部2の外部へ放出して(拡散して)液相の流体F1aへ変化する(凝縮する)。
図2において、カバー部15は、放熱部2を覆うように設けられる。放熱部2は、空間SPに収容される。放熱部2は、+Y側から見た場合にU字型である。図2の放熱部2は、第1の端(-Z側の端)と第2の端(+Z側の端)とを含む。
放熱部2における第1の端側(-Z側)の部分は、蒸発領域10aを含む。放熱部2は、固定部材11と接触してX方向に延びており、その-X側の端部で曲がってZ方向に延びている。固定部材11は、放熱部2と直接的または間接的に接触して、蒸発領域10aに接続される。蒸発領域10aは、放熱部2のうち固定部材11と接触する領域を含む。固定部材11は、蒸発領域10aと熱的に接続される。
また、固定部材11は駆動部MDと接続されており、蒸発領域10aは、固定部材11を介して駆動部MDに接続されている。蒸発領域10aは、駆動部MDと熱的に接続される。また、固定部材11はシール部12と接続されており、蒸発領域10aは、固定部材11を介してシール部12と熱的に接続される。また、固定部材11は支持部材13を介して基板14と接続されており、蒸発領域10aは、固定部材11および支持部材13を介して、基板14と熱的に接続される。
放熱部2における第2の端側(+Z側)の部分は、凝縮領域10bを含む。放熱部2は、Z方向に延びる部分の+Z側の端部で曲がってX方向に延びている。カバー部15は、放熱部2と直接的または間接的に接触して、凝縮領域10bに接続される。凝縮領域10bは、放熱部2のうちカバー部15と接触する領域を含む。カバー部15は、蒸発領域10aと熱的に接続される。
図3において、放熱部2は、流路Fの断面形状がトラック状(長円状)であり、その扁平な部分がカバー部15と接触している。流路Fの断面形状は、円形状、楕円形状、多角形状、多角形の角を丸めた形状、リング形状(例、円環形状)、枠形状(例、額縁形状)、及びこれらの形状の2以上を組み合わせた形状のいずれでもよい。放熱部2は、流路Fの断面形状が円形状のパイプ型、流路Fの断面形状が一方向に長尺のシート型(扁平型)、流路Fの断面形状がリング形状のリング型、流路Fの断面形状が多角形状の多角形型のいずれでもよい。
なお、放熱部2は、図1から図3に示す形状でなくてもよく、例えばL字状でもよいし、その他の形状でもよい。また、放熱部2の数は、図1および図3において2つであるが、1つでもよいし、3以上でもよい。
図2のカバー部15は、放熱部2から受けた熱を外部へ放出するヒートシンク16(放熱ブロック)を含む。ヒートシンク16は、その表面において凹凸を形成する複数のフィン17を含む。カバー部15は、その全体がヒートシンク16でもよいし、その一部がヒートシンクでもよい。例えば、ヒートシンク16は、カバー部15のうち側部15aと天板部15bとの一方または双方を含んでもよい。
図2の複数のフィン17は、それぞれ、側部15aから+Z側に突出している。複数のフィン17は、XY面に沿って並んでいる(図1参照)。複数のフィン17は、それぞれ、図2において板状であるが、棒状あるいは他の形状でもよい。ヒートシンク16の表面積は、例えば放熱部2の表面積よりも広い。上記の表面積は、例えば、外気(例、雰囲気ガス)に接する面(放熱面)の面積である。複数のフィン17は、例えば、Z方向から見た回転軸視(図1参照)において、駆動部MDの外形の内側に収まるように配置される。放熱部2の凝縮領域10bは、ヒートシンク16のうち複数のフィン17が配置される側部15aに接触する。
図1および図3に示すように、放熱部2は、回転体SFと干渉しないように、回転体SFに垂直な方向(例、Y方向)において回転体SFから離れた位置に配置される。図1および図3において、放熱部2は複数設けられ、回転体SFの回転軸AXを含む面(例、XZ面)に関して、第1側(例、+Y側)とその反対側の第2側(例、-Y側)とに配置される。複数の放熱部2は、例えば、XY面に関して対称的に配置される。
次に、図2を参照しつつ、エンコーダ装置ECにおける熱が伝わる伝熱経路について説明する。駆動部MDは、例えば回転体SFを駆動する際に消費される電力によって、熱を発する。駆動部MDの温度が固定部材11の温度よりも高い場合、駆動部MDの熱は固定部材11に伝わる。また、シール部12は、回転体SFとの摩擦によって熱を発する。シール部12の温度が固定部材11の温度よりも高い場合、シール部12の熱は固定部材11に伝わる。
また、位置検出部1(例、検出部3、処理部4)は、例えば回転位置を検出する際に消費される電力によって、熱を発する。位置検出部1の温度が基板14の温度よりも高い場合、位置検出部1の熱は基板14に伝わる。また、基板14の温度が支持部材13の温度よりも高い場合、基板14の熱は、支持部材13に伝わる。また、支持部材13の温度が固定部材11の温度よりも高い場合、支持部材13の熱は固定部材11に伝わる。このように、位置検出部1の熱は、基板14および支持部材13を介して、固定部材11に伝わる。
また、固定部材11の温度が放熱部2の蒸発領域10aの温度よりも高い場合、固定部材11の熱は蒸発領域10aに伝わる。放熱部2の蒸発領域10aにおいて、液相の流体F1aは、固定部材11から伝わった熱によって気相の流体F1bへ相変化する。放熱部2は、蒸発領域10aにおける流体の相変化によって、蒸発領域10aにおいて固定部材11から吸熱する。気相の流体F1bは、放熱部2の流路Fを流動して、その少なくとも一部が凝縮領域10bに到達する。気相の流体F1bは、凝縮領域10bにおいて液相の流体F1aへ相変化する。放熱部2は、凝縮領域10bにおける流体の相変化によって、凝縮領域10bからカバー部15に放熱する。カバー部15(例、ヒートシンク16)は、例えば、その周囲の雰囲気ガスへ熱を放出する。
エンコーダ装置は、例えば、外部(例、駆動装置)から伝わる熱、あるいは自装置(例、位置検出部)で発生する熱によって温度が上昇することがある。エンコーダ装置は、例えば、処理回路などの電子部品を含み、所定の動作温度範囲を超えて温度が上昇すると、動作が不安定になることがある。
実施形態に係るエンコーダ装置ECは、蒸発領域10aと凝縮領域10bとを含む放熱部2を備えるので、放熱部2を介して放熱することができる。エンコーダ装置ECは、例えば、放熱部2によって所定の動作温度範囲の上限以下に冷却されることで、安定して動作可能である。また、エンコーダ装置ECは、例えば放熱部2が動力(例、電力)がなくても動作可能であり、シンプルな構成で冷却可能である。
エンコーダ装置ECは、例えば、放熱部2が駆動部MDと熱的に接続される場合、駆動部MDからエンコーダ装置ECへ伝わる熱を、放熱部2を介して外部へ放熱することができる。駆動部MDは、例えば、回転体SFの角速度の上昇などの負荷の増加によって発熱が増加することがある。エンコーダ装置ECは、例えば、駆動部MDから伝わる熱を放熱部2によって放熱することによって、駆動部MDの動作状態によるエンコーダ装置ECの動作への影響を低減することができる。そのため、エンコーダ装置ECは、例えば高出力な駆動装置に適用可能である。なお、エンコーダ装置ECは、放熱部2と駆動部MDとが熱的に接続されなくてもよく、この場合においても、例えば自装置の動作による温度上昇を抑制可能である。
エンコーダ装置ECは、シール部12を備える場合、外部駆動部MDから位置検出部1が配置される空間SPへ異物が流入することを抑制可能である。この場合、エンコーダ装置ECは、異物が位置検出部1に付着することが抑制され、回転位置を高精度で検出可能である。シール部12は、回転体SFと接触する場合、回転体SFの周囲の空隙を低減可能である。
シール部12は、接触シールである場合に、空間SPへの異物の流入を効果的に抑制可能であるが、回転体SFとの摩擦によって熱を発生する。シール部12が放熱部2と熱的に接続される場合、シール部12の熱は、エンコーダ装置ECの外部へ効果的に放熱される。なお、エンコーダ装置ECは、シール部12を備えなくてもよく、この場合においても、例えばシール部12以外の部分に起因する温度上昇を抑制可能である。
本実施形態において、エンコーダ装置ECは、例えば、熱源になる複数の部分(例、駆動部MD、位置検出部1、シール部12)が固定部材11と熱的に接続され、固定部材11が放熱部2と熱的に接続される。この場合、エンコーダ装置ECは、例えば複数の部分からの熱を固定部材11に集めて放熱部2へ伝えることができ、シンプルな構成で冷却可能である。なお、エンコーダ装置ECは、固定部材11を備えなくてもよく、例えば、固定部材11を含まない伝熱経路を介して冷却されてもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図4から図6は、それぞれ、第2実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。図4は、軸方向から見たエンコーダ装置ECを示す図である。図5は、図4のA1-A1線における断面図である。図6は、図4のA2-A2線における断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、カバー部15および放熱部2の形態が図2と異なる。放熱部2は、Y方向から見た場合にU字状である。放熱部2は、第1の端(-X側の端)と、第2の端(+X側の端)と、第1の端と第2の端との間の中央部とを含む。放熱部2の中央部は、X方向に延びており、固定部材11と接触している。放熱部2の中央部は、蒸発領域10aを含む。
放熱部2は、放熱部2の第1の端側(-X側)の部分は、放熱部2の中央部から湾曲してZ方向に延びている。放熱部2の第1の端側(-X側)の部分は、カバー部15の側部15aと接触しており、蒸発領域10aを含む。放熱部2の第2の端側(+X側)の部分は、放熱部2の中央部から湾曲してZ方向に延びている。放熱部2の第2の端側(+X側)の部分は、カバー部15の側部15aと接触しており、凝縮領域10bを含む。放熱部2(図4、図6参照)は、例えば、回転体SFに対して+Y側と-Y側とのそれぞれに設けられる。
本実施形態において、カバー部15(ヒートシンク16)は複数のフィン17を有し、複数のフィン17は、回転体SFに対してラジアル方向に配置されている。複数のフィン17は、ヒートシンク16の側部15aに配置されている。複数のフィン17は、Z方向に配列されており、それぞれ回転体SFに対してラジアル方向に突出している。例えば、複数のフィン17は、カバー部15の側面側において回転体SFのアキシャル方向に直交するラジアル方向に突出して形成されている。
放熱部2の蒸発領域10aおよび凝縮領域10bは、例えば、カバー部15(ヒートシンク16)において複数のフィン17が設けられる側部13aに熱的に接続される。複数のフィン17は、例えば、駆動装置MTRの駆動部MDよりもラジアル方向の外側に張り出さないように設けられる。複数のフィン17(図4参照)は、例えば、回転体SFに対して+X側、-X側、+Y側、及び-Y側のそれぞれに設けられる。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、断熱材21を備える。カバー部15は、断熱材21を介して駆動装置MTRの駆動部MDに支持される。断熱材21は、例えば、固定部材11よりも熱伝導率が低い。断熱材21は、放熱部2からカバー部15(ヒートシンク16)へ伝わった熱が駆動部MDへ伝わることを抑制する。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図7から図9は、それぞれ、第3実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。図7は、軸方向から見たエンコーダ装置ECを示す図である。図8は、図7のA1-A1線における断面図である。図9は、図7のA2-A2線における断面図である。
本実施形態において、エンコーダ装置ECは、充填材22を備える。図8に示すように、放熱部2は、充填材22を介して基板14と隣接して、配置されている。例えば、充填材22は、その-Z側において基板14および処理部4と直接的に接触する。また、充填材22は、その+Z側において放熱部2と直接的に接触する。放熱部2の蒸発領域10aは、充填材22と接触する領域を含む。基板14および処理部4は、それぞれ、充填材22を介して放熱部2の蒸発領域10aと熱的に接続される。検出部3は、基板14および充填材22を介して、放熱部2の蒸発領域10aと熱的に接続される。
また、支持部材13は、基板14および充填材22を介して、放熱部2の蒸発領域10aと熱的に接続される。また、固定部材11は、支持部材13と基板14と充填材22とを介して、放熱部2と熱的に接続される。シール部12は、固定部材11と支持部材13と基板14と充填材22とを介して、放熱部2と熱的に接続される。駆動装置MTRの駆動部MDは、固定部材11と支持部材13と基板14と充填材22とを介して、放熱部2と熱的に接続される。
図8の放熱部2は、U字型である。放熱部2は、そのX方向における中央部(蒸発領域10a)が-Z側において充填材22と接触している。また、放熱部2の+X側の端部と-X側の端部は、それぞれ、中央部から-Z側へ曲がって伸びている。放熱部2の+X側の端部と-X側の端部は、それぞれ、ヒートシンク16において複数のフィン17が設けられる側部15aに接触している。放熱部2の+X側の端部と-X側の端部は、それぞれ、凝縮領域10bを含む。
次に、本実施形態に係る伝熱経路について説明する。駆動装置MTRの駆動部MDの熱、及びシール部12の熱は、それぞれ、固定部材11に伝わる。固定部材11の熱は、支持部材13に伝わり、支持部材13を介して基板14に伝わる。処理部4の熱、及び検出部3の熱は、それぞれ、基板14に伝わる。基板14の熱は、充填材22を介して放熱部2の蒸発領域10aに伝わる。蒸発領域10aの熱は、放熱部2の流路Fにおける流体の相変化および流動によって、放熱部2の凝縮領域10bに伝わる。凝縮領域10bの熱は、ヒートシンク16に伝わり、複数のフィン17から外部へ放出される。
なお、処理部4の熱は、その少なくとも一部が充填材22を介して、放熱部2の蒸発領域10aに伝わってもよい。基板14の熱は、その少なくとも一部が処理部4および充填材22を介して、放熱部2の蒸発領域10aに伝わってもよい。検出部3の熱は、その少なくとも一部が基板14と処理部4と充填材22とを介して、放熱部2の蒸発領域10aに伝わってもよい。放熱部2の熱は、その少なくとも一部がX方向の中央部からカバー部15に伝わってもよい。この場合、放熱部2の中央部は、その+Z側の部分(カバー部15と接触する領域)が凝縮領域を含んでもよい。
本実施形態において、位置検出部1(例、処理部4、検出部3)は、エンコーダ装置ECにおける伝熱経路において固定部材11に比べて放熱部2の近くに配置される。このエンコーダ装置ECは、例えば、位置検出部1を固定部材11よりも優先的に放熱可能であり、位置検出部1の昇温による動作不良(例、熱暴走)の発生を抑制可能である。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図10から図12は、それぞれ、第4実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。図10は、軸方向から見たエンコーダ装置ECを示す図である。図11は、図10のA1-A1線における断面図である。図12は、図10のA2-A2線における断面図である。
本実施形態に係る放熱部2は、らせん状である。エンコーダ装置ECに設けられる放熱部2の数は、例えば1つである。図11に示すように、放熱部2は、蒸発領域10a、凝縮領域10b、及び接続領域10cを含む。接続領域10c(図12参照)は、蒸発領域10aから+Z側に曲がって凝縮領域10bと連続する。
蒸発領域10aは、固定部材11と接触している。蒸発領域10a(図10参照)は、Z方向から見た場合にリングの周方向の一部に相当する形状である。このような放熱部2は、例えば、放熱部2の数が少ない(例、1つ)場合であっても、蒸発領域10a(例、固定部材11と接触する領域)の表面積(例、固定部材11との接触面積)を大きく設定することが容易である。
凝縮領域10bは、固定部材11と接触している。凝縮領域10b(図10参照)は、Z方向から見た場合にリングの周方向の一部に相当する形状である。このような放熱部2は、例えば、放熱部2の数が少ない(例、1つ)場合であっても、凝縮領域10b(例、カバー部15と接触する領域)の表面積(例、カバー部15との接触面積)を大きく設定することが容易である。接続領域10cは、蒸発領域10aと凝縮領域10bとを接続する。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えば、蒸発領域10aの表面積を大きく設定することが容易であり、放熱部2の外部(例、固定部材11)から放熱部2へ熱を効率よく伝えることができる。また、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えば、凝縮領域10bの表面積を大きく設定することが容易であり、放熱部2からその外部(例、カバー部材)へ熱を効率よく伝えることができる。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えば、放熱部2による吸熱および放熱を効率的に行うことができ、放熱部2の数を少なく設定することができる。エンコーダ装置ECは、例えば、放熱部2の数を少なく設定可能であり、部品点数を減らすことが容易である。なお、エンコーダ装置ECが備える放熱部2の数は、2以上でもよい。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図13から図15は、それぞれ、第5実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。図13は、軸方向から見たエンコーダ装置ECを示す図である。図14は、図13のA1-A1線における断面図である。図15は、図13のA2-A2線における断面図である。
図14に示すように、本実施形態に係るヒートシンク16は、固定部材11と接触して配置される。ヒートシンク16は、複数のフィン17aと、複数のフィン17bと、側部17cとを含む。側部17cは、固定部材11と接触し、固定部材11と熱的に接続される。複数のフィン17aは、側部17cに関して固定部材11と反対側(-X側)に配置される。複数のフィン17bは、側部17cに関して固定部材11と反対側(+X側)に配置される。ヒートシンク16は、例えば、カバー部15と別の部材であるが、カバー部15と同じ部材でもよい。
図13に示すように、本実施形態に係る放熱部2は、放熱部2aおよび放熱部2bを含む。放熱部2aおよび放熱部2bのそれぞれは、例えば、L字状である。放熱部2aは、フィン17aと熱的に接続される。放熱部2bは、フィン17bと熱的に接続される。図14に示すように、放熱部2aおよび放熱部2bは、それぞれ、固定部材11と接触している。
次に、本実施形態に係る伝熱経路について説明する。駆動装置MTRの駆動部MDの熱、及びシール部12の熱は、それぞれ、固定部材11に伝わる。処理部4の熱、及び検出部3の熱は、それぞれ、基板14に伝わる。基板14の熱は、支持部材13を介して固定部材11に伝わる。そして、固定部材11の熱は、放熱部2又はヒートシンク16に伝わり、ヒートシンク16から外部へ放出される。
本実施形態に係る固定部材11は、エンコーダ装置ECにおける伝熱経路において、位置検出部1(例、処理部4、検出部3)に比べて放熱部2又はヒートシンク16の近くに配置される。このエンコーダ装置ECは、例えば、固定部材11の熱が位置検出部1へ伝わることが抑制され、位置検出部1の昇温による動作不良(例、熱暴走)の発生を抑制可能である。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図16は、第6実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えばダブルエンコーダを含む。エンコーダ装置ECは、第1の回転体SF1の回転位置、及び第2の回転体SF2の回転位置を検出する。
駆動装置MTRは、例えば減速機などの変速部30を備える。第2の回転体SF2は、変速部30(変速機)を介して、第1の回転体SF1と接続される。例えば、第1の回転体SF1は変速部30にトルクを入力する入力軸を含み、第2の回転体SF2は変速部30からトルクが出力される出力軸を含む。第2の回転体SF2は、第1の回転体SF1の回転に基づいて、回転する。第2の回転体SF2の回転軸は、例えば、第1の回転体SF1の回転軸AXと同軸である。第1の回転体SF1は、例えば、中空の部材(例、円筒状の部材)を含み、第2の回転体SF2は、第1の回転体SF1の内側に挿入される。なお、駆動装置MTRは、変速部30を備えなくてもよい。また、第1の回転体SF1と第2の回転体SF2とは、変速比が1:1で接続されてもよい。
エンコーダ装置ECは、第1エンコーダ31、第1の基板32、第1の支持部材33、第2エンコーダ34、第2の基板35、第2の支持部材36、第3の基板43、及び第3の支持部材44を備える。第1エンコーダ31(第1の位置検出部)は、第1の回転体SF1の回転位置を検出する。第2エンコーダ34(第2の位置検出部)は、第2の回転体SF2の回転位置を検出する。本実施形態において、第1エンコーダ31および第2エンコーダ34は、それぞれ、光学式エンコーダを含む。第1エンコーダ31と第2エンコーダ34との一方または双方は、磁気式エンコーダまたは他の測定方式のエンコーダ(例、静電容量式エンコーダ)を含んでもよい。
第1エンコーダ31は、第1のスケールS1および第1の検出部41を備える。第1の検出部41(第1の検出ヘッド)は、第1の回転体SF1の回転によって、第1のスケールS1と相対的に回転する。例えば、第1のスケールS1は第1の回転体SF1に固定され、第1の検出部41は、第1の基板32を介して固定部材11に固定される。第1の基板32(例、エンコーダ基板)は、第1の検出部41と接触し、第1の検出部41を支持する。第1の支持部材33は、駆動装置MTRの駆動部MDに固定される。第1の検出部41は、第1のスケールS1に設けられる第1パターンP1を検出する。第1の検出部41は、その検出結果として第1検出信号を処理部4に出力する。
第1エンコーダ31が光学式エンコーダである場合、第1パターンP1は光学パターンを含み、第1の検出部41は第1パターンP1からの光を検出する受光センサを含む。第1エンコーダ31が磁気式エンコーダの場合、第1パターンP1は磁気パターン(例、複数の磁極を有する磁石)を含み、第1の検出部41は第1パターンP1が形成する磁界を検出する磁気センサを含む。
第2エンコーダ34は、第2のスケールS2および第2の検出部42を備える。第2の検出部42(第2の検出ヘッド)は、第2の回転体SF2の回転によって、第2のスケールS2と相対的に回転する。例えば、第2のスケールS2は第2の回転体SF2に固定され、第2の検出部42は、第2の基板35を介して固定部材11に固定される。第2の基板35(例、エンコーダ基板)は、第2の検出部42と接触し、第2の検出部42を支持する。第2の支持部材36は、駆動装置MTRの駆動部MDに固定される。第2の検出部42は、第2のスケールS2に設けられる第2パターンP2を検出する。第2の検出部42は、その検出結果として第2検出信号を処理部4に出力する。
第2エンコーダ34が光学式エンコーダである場合、第2パターンP2は光学パターンを含み、第2の検出部42は第2パターンP2からの光を検出する受光センサを含む。第2エンコーダ34が磁気式エンコーダの場合、第2パターンP2は磁気パターン(例、複数の磁極を有する磁石)を含み、第2の検出部42は第2パターンP2が形成する磁界を検出する磁気センサを含む。
処理部4は、第1の検出部41の検出結果と、第2の検出部42の検出結果とをそれぞれ処理する。処理部4は、第1の処理部4aと、第2の処理部4bと、第3の処理部4cとを含む。第1の処理部4aは、第1の検出部41の検出結果(第1検出信号)に基づいて、第1の回転体SF1の回転位置を検出(算出)する(回転位置の算出処理を実行する)。第1の処理部4aは、例えば、第1の基板32に設けられる。以下の説明において、第1検出信号をもとに算出される回転位置を、適宜、第1回転位置と称する。
第2の処理部4bは、第2の検出部42の検出結果(第2検出信号)に基づいて、第2の回転体SF2の回転位置を検出(算出)する(回転位置の算出処理を実行する)。第2の処理部4bは、例えば、第2の基板35に設けられる。以下の説明において、第2検出信号をもとに算出される回転位置を、適宜、第2回転位置と称する。
第3の処理部4c(比較部、合成部)は、第1の検出部41の検出結果から得られる情報と、第2の検出部42の検出結果から得られる情報とを比較する比較処理を実行する。第3の処理部4cは、例えば、第3の基板43(例、ドライバ基板)に設けられる。例えば、第2の基板35には、第3の支持部材44が固定される。第3の支持部材44は、第3の基板43を支持する。なお、第3の基板43は、第2の支持部材36に支持されてもよい(後に図17で説明する)。
第3の処理部4cは、上記の比較処理によって、例えば第1の回転体SF1の多回転を検出(例、算出)する。ここでは、第1の処理部4aは、第1検出信号に基づいて、第1回転位置として第1の回転体SF1の角度位置を算出するものとする。また、第2の処理部4bは、第2検出信号に基づいて、第2回転位置として第2の回転体SF2の角度位置を算出するものとする。
第3の処理部4cは、第1の回転体SF1の多回転を算出する場合、第1の回転体SF1と第2の回転体SF2との変速比、及び第2の検出部42から得られる第2の回転体SF2の角度位置に基づいて、第1の回転体SF1の角度位置を推定する。以下の説明において、「第1の回転体SF1と第2の回転体SF2との変速比」を、適宜、「変速比」と称する。第3の処理部4cは、変速比と第2の回転体SF2の角度位置とに基づいて算出される第1の回転体SF1の角度位置(例、推定値)と、第1の検出部41から得られる第1の回転体SF1の角度位置(例、測定値)とを比較することによって、第1の回転体SF1の多回転を算出する。
例えば、変速比(例、減速比)が1000であるとし、第2の回転体SF2の角度位置(例、回転角)が1°であるとする。この場合、変速比および第2の回転体SF2の角度位置から算出される第1の回転体SF1の角度位置は、1000°である。第1の検出部41から得られる第1の回転体SF1の角度位置が279°である場合、(1000-279)/360=721/360が約2である。第1の回転体SF1の多回転は、721/360の値を丸めること等によって、2回転と算出される。第3の処理部4cは、算出した第1の回転体SF1の多回転(例、2回転)と、第1の検出部41から得られる第1の回転体SF1の角度位置(例、279°)とを合成することによって、第1の回転体SF1の回転位置(例、2回転と279°、999°)を検出(例、算出、生成)する。
なお、第3の処理部4cは、第1の回転体SF1の多回転を算出しなくてもよい。例えば、第3の処理部4cは、上記の比較処理によって、第1エンコーダ31による検出処理または第2エンコーダ34による検出処理におけるエラーを検出するエラー検出処理を実行してもよい。この場合、例えば、第1の処理部4aは、第1の回転体SF1の角度位置および多回転を含む第1回転位置を算出する。また、第2の処理部4bは、第2の回転体SF2の角度位置および多回転を含む第2回転位置を算出する。
上記のエラー検出処理において、第3の処理部4cは、第2回転位置と変速比とに基づいて、第1の回転体SF1の回転位置(多回転および角度位置)を算出する。第3の処理部4cは、第2回転位置と変速比とに基づいて、第1の回転体SF1の回転位置の推定値を算出する(回転位置を推定する)。第3の処理部4cは、算出した第1の回転体SF1の回転位置(第2回転位置から得られる第1の回転体SF1の回転位置)と、第1の検出部41から得られる第1の回転体SF1の回転位置(例、第1回転位置)とを比較する。
例えば、第3の処理部4cは、第1回転位置と、第2回転位置から算出される第1の回転体SF1の回転位置との差が予め設定される閾値以上である場合、エラーが発生していると判定する。第3の処理部4cは、エラー検出処理の処理結果をエンコーダ装置ECの外部の装置(例、後の駆動装置MTRの制御部)に出力してもよい。第3の処理部4cは、エラーが検出していると判定した場合、エラーの発生を報知する報知情報(例、報知信号、エラー信号、アラーム信号)を出力してもよい。駆動装置MTR(図1参照)の制御部は、第3の処理部4cから出力される報知情報に基づいて、駆動部(モータ本体部)を制御してもよい。
なお、第1の処理部4aは、第2の基板35または第3の基板43に設けられてもよい。例えば、第1の処理部4aは、第2の処理部4bと同じ電子部品(例、ICチップ)に設けられ、この電子部品が第2の基板35に実装されてもよい。また、第1の処理部4aは、第3の処理部4cと同じ電子部品(例、ICチップ)に設けられ、この電子部品が第3の基板43に実装されてもよい。
なお、第2の処理部4bは、第1の基板32または第3の基板43に設けられてもよい。例えば、第2の処理部4bは、第1の処理部4aと同じ電子部品(例、ICチップ)に設けられ、この電子部品が第1の基板32に実装されてもよい。また、第2の処理部4aは、第3の処理部4cと同じ電子部品(例、ICチップ)に設けられ、この電子部品が第3の基板43に実装されてもよい。
なお、第3の処理部4cは、第1の基板32または第2の基板35に設けられてもよい。例えば、第3の処理部4cは、第1の処理部4aと同じ電子部品(例、ICチップ)に設けられ、この電子部品が第1の基板32に実装されてもよい。また、第3の処理部4cは、第2の処理部4bと同じ電子部品(例、ICチップ)に設けられ、この電子部品が第2の基板35に実装されてもよい。第3の処理部4cが第1の基板32または第2の基板35に設けられる場合、第3の基板43および第3の支持部44は設けられなくてもよい。また、第1の処理部4a、第2の処理部4b、及び第3の処理部4cは、同じ電子部品(例、ICチップ)に設けられ、この電子部品は、第1の基板32、第2の基板35、又は第3の基板43に配置されてもよい。
本実施形態に係る放熱部2は、放熱部2aおよび放熱部2bを含む。放熱部2aは、第1の基板32と接触しており、かつカバー部15(ヒートシンク16)と接触している。放熱部2aは、第1の基板32とヒートシンク16とを熱的に接続する。第1の検出部41は、第1の基板32および放熱部2aを介して、ヒートシンク16と熱的に接続される。駆動装置MTRの駆動部MDは、第1の支持部材33および第1の基板32を介して、ヒートシンク16と熱的に接続される。
また、放熱部2bは、第2の基板35と接触しており、かつカバー部15(ヒートシンク16)と接触している。放熱部2bは、第2の基板35とヒートシンク16とを熱的に接続する。第2の検出部42および処理部4は、それぞれ、第2の基板35および放熱部2bを介して、ヒートシンク16と熱的に接続される。駆動装置MTRの駆動部MDは、第2の支持部材36および第2の基板35を介して、ヒートシンク16と熱的に接続される。
次に、本実施形態に係る伝熱経路について説明する。第1の検出部41の熱は、第1の基板32および放熱部2aを介してヒートシンク16に伝わり、ヒートシンク16から外部へ放出される。第2の検出部42の熱および処理部4の熱は、それぞれ、第2の基板35および放熱部2bを介してヒートシンク16に伝わり、ヒートシンク16から外部へ放出される。駆動部MDの熱は、第1の支持部材33と第1の基板32と放熱部2aを介してヒートシンク16に伝わり、ヒートシンク16から外部へ放出される。また、駆動部MDの熱は、第2の支持部材36と第2の基板35と放熱部2bを介してヒートシンク16に伝わり、ヒートシンク16から外部へ放出される。
なお、第1の基板32と第2の基板35との間に、図8に示した充填材22が設けられてもよい。例えば、第1の基板32の熱は、その少なくとも一部が充填材22を介して第2の基板35に伝わり、第2の基板35から放熱部2bおよびヒートシンク16を介して外部へ放出されてもよい。この場合、放熱部2aが設けられなくてもよい。また、第1の基板32は、第2の支持部材36に接触して、第2の支持部材36に支持されてもよい。例えば、第1の基板32の熱は、その少なくとも一部が第2の支持部材36を介して第2の基板35に伝わり、第2の基板35から放熱部2bおよびヒートシンク16を介して外部へ放出されてもよい。この場合、第1の支持部材33が設けられなくてもよい。
また、第2の基板35とヒートシンク16との間に、図8に示した充填材22が設けられてもよい。例えば、第2の基板35の熱は、その少なくとも一部が充填材22を介してヒートシンク16に伝わり、ヒートシンク16を介して外部へ放出されてもよい。この場合、放熱部2bが設けられなくてもよい。また、第1の支持部材33と第2の支持部材36との一方または双方は、図2に示した固定部材11を介して駆動部MDに固定されてもよい。この固定部材11には、図2に示したシール部12が設けられてもよい。また、処理部4は、第1の基板32に配置されてもよい。また、処理部4の一部が第1の基板32に配置され、処理部4の一部が第2の基板35に配置されてもよい。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図17は、第7実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。本実施形態において、固定部材11は、ヒートシンク16を含む。ヒートシンク16は、固定部材11の一部でもよいし、固定部材11の全部でもよい。ヒートシンク16は、駆動装置MTRの駆動部MDに接触し、駆動部MDに固定される。
図17において、第1の支持部材33および第2の支持部材36は、それぞれ、ヒートシンク16に固定される。第2の支持部材36は、第2の基板35を貫通している。第2の支持部材36は、第2の基板35よりも+Z側に延びている。第3の基板43は、第2の基板35よりも+Z側において第2の支持部材36に固定される。なお、第3の基板43は、図16に示したように、第2の支持部材36と異なる部材(例、第3の支持部材44)に支持されてもよい。
放熱部2aは、第1の基板32の-Z側の面に接触している。放熱部2aは、第1の基板32から-Z側に延びて、ヒートシンク16に接触する。第1の支持部材33は、ヒートシンク16に接触し、ヒートシンク16に固定される。放熱部2bは、第2の基板35の-Z側の面に接触している。放熱部2bは、第2の基板35から-Z側に延びて、ヒートシンク16に接触する。第2の支持部材36は、ヒートシンク16に接触し、ヒートシンク16に固定される。
なお、ヒートシンク16は、固定部材11と別に設けられてもよい。例えば、固定部材11は、ヒートシンク16と駆動部MDとの間に設けられてもよい。また、固定部材11は、ヒートシンク16に対して駆動部MDと反対側に、ヒートシンク16と接触して設けられてもよい。この場合、第1の支持部材33と第2の支持部材36との一方または双方は、固定部材11に固定されてもよい。また、図17のエンコーダ装置ECは、カバー部15(図2参照)を備えていないが、上述の実施形態で説明したカバー部15を備えてもよい。
[駆動装置]
次に、実施形態に係る駆動装置について説明する。図18は、実施形態に係る駆動装置MTRを示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、移動体(例、回転体SF)と、移動体を駆動(例、回転駆動)する駆動部MDと、駆動部MDを制御する制御部MCと、移動体の移動情報(例、位置情報、回転位置)を検出するエンコーダ装置ECとを備える。
回転体SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有する。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、スケールSが固定される。エンコーダ装置ECは、回転体SFの回転位置を検出し、その検出結果を制御部MCに出力する。制御部MCは、エンコーダ装置ECから出力された回転位置に基づいて、駆動部MDを制御する。例えば、制御部MCは、回転体SFの回転位置が目標値に近づくように、駆動部MDを制御する。実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えば安定的に動作するように冷却可能であり、エンコーダ装置ECを備える駆動装置MTRは、例えば安定的に動作可能である。
なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。また、駆動装置MTRは、リニアモータを含んでもよい。エンコーダ装置ECは、リニアエンコーダを含んでもよい。
[ステージ装置]
次に、実施形態に係るステージ装置について説明する。図19は、実施形態に係るステージ装置を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
このステージ装置STGは、図18に示した駆動装置MTRの回転体SFのうち負荷側端部SFaに、ステージST(移動体、回転体、回転テーブル)を取り付けた構成である。ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転体SFを回転させる。この回転は、ステージSTに伝達され、その際にエンコーダ装置ECは、回転体SFの角度位置等を検出する。エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、ステージSTの角度位置を検出することができる。
実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えば安定的に動作するように冷却可能であり、エンコーダ装置EC(駆動装置MTR)を備えるステージ装置STGは、例えば安定的に動作可能である。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaとステージSTとの間に減速機等が配置されてもよい。
ステージ装置STGは、例えば、Xステージ、XYステージ、あるいはXYZステージに適用できる。例えば、駆動装置MTRがリニアモータであって、ステージ装置STGは、ステージを直線的に移動させる装置でもよい。ステージ装置STGは、1次元のリニアモータによって、ステージを1方向に直線的に移動させる装置でもよい。また、ステージ装置STGは、複数の1次元のリニアモータあるいは2次元のリニアモータ(例、平面モータ)によって、ステージを2方向に移動させる装置でもよい。また、駆動装置MTRが回転モータであって、ステージ装置STGは、駆動装置MTRにおける回転運動を直線運動に変換してステージを直線的に移動させる装置でもよい。また、ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
[ロボット装置]
次に、実施形態に係るロボット装置について説明する。図20は、実施形態に係るロボット装置を示す図である。なお、図20には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転体SFと一体的に設けられている。回転体SFは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転体SFのうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転体SFに伝達する。駆動装置MTRの回転体SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続される。また、駆動装置MTRの回転体SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのスケールSが取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転体SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転体SFに伝達される。回転体SFの回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転体SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えば安定的に動作するように冷却可能であり、エンコーダ装置EC(駆動装置MTR)を備えるロボット装置RBTは、安定的に動作可能である。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。