[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。このエンコーダ装置ECは、移動部の位置情報(移動位置情報)を検出する。エンコーダ装置ECは、例えばロータリーエンコーダである。移動部は、例えばモータM(動力供給部)の回転軸SFであり、移動部の移動は、例えば所定の軸まわりの回転である。また、移動部の位置情報は、例えば、回転軸SFの回転位置情報である。
回転軸SFは、例えばモータMのシャフト(回転子)であるが、モータMのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続されるとともに負荷に接続される作用軸(出力軸)であってもよい。エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報は、モータ制御部MCに供給される。モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECから供給された回転位置情報を使って、モータMの回転を制御する。モータ制御部MCは、回転軸SFの回転を制御する。なお、エンコーダ装置ECは、例えばリニアエンコーダでもよく、リニアモータ、平面モータなどの動力駆動部の移動部(移動軸)の位置情報(移動位置情報)を検出してもよい。
エンコーダ装置ECは、位置検出部1(位置検出モジュール、位置検出ユニット)と、電力供給部2と、バッテリーモジュール3(バッテリーユニット)とを備える。位置検出部1は、検出部4(測定部、センサ部)および処理基板部5を備える。検出部4は、回転軸SFの回転位置情報を検出する。例えば、検出部4は、センサによって回転軸SFを検出する。処理基板部5は、検出部4の検出結果を処理する(例、演算する)。例えば、処理基板部5は、検出部4の検出結果を用いて、回転軸SFの回転位置情報を算出する。
電力供給部2は、位置検出部1の少なくとも一部(例、検出部4、処理基板部5の処理部13など)へ電力を供給する。電力供給部2は、例えば、信号発生部6、切替部7、及びバッテリー8を備える。信号発生部6は、回転軸SFの回転に伴う磁界の変化によって検出信号が発生する。バッテリー8は、検出信号の発生(出力)に基づいて、位置検出部1へ電力を供給する。
バッテリーモジュール3は、バッテリー8を含み、該バッテリー8やシールド部34などによって位置検出部1に対するノイズ(位置検出部1へのノイズ)を低減するように位置検出部1の近傍に配置される。位置検出部1へのノイズは、例えば、磁気ノイズと電磁ノイズとの少なくとも一部を含む。位置検出部1へのノイズは、例えば、エンコーダ装置ECの外部(例、モータM、モータMの外部の装置)からのノイズと、エンコーダ装置ECの内部(例、後述する磁石11)で発生するノイズとの少なくとも一部を含む。なお、信号発生部6は、上記の位置検出部1に備えられる構成としてもよい。
以下、エンコーダ装置ECの各部について説明する。位置検出部1は、回転軸SFの回転位置情報を検出する。本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、多回転アブソリュートエンコーダであり、回転軸SFの回転の数を示す多回転情報、および1回転未満の角度位置(回転角)を示す角度位置情報を含む回転位置情報を検出する。位置検出部1は、回転軸SFの多回転情報を検出する多回転情報検出部1A、及び回転軸SFの角度位置を検出する角度検出部1Bを備える。
位置検出部1の少なくとも一部(例、角度検出部1B)は、例えば、第1電源9から供給される通常状態において、第1電源9から供給される電力によって回転軸SFの回転位置情報を検出する。第1電源9は、例えば、エンコーダ装置ECが搭載される装置(例、駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の主電源であり、通常状態において回転軸SFの駆動に消費される電力を供給する。例えば、モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECの検出結果に基づいて、第1電源9からの電力を調整してモータMに供給することで、回転軸SFの回転を制御する。
位置検出部1は、第1電源9の電力が投入されている状態(第1電源9がオンになっている状態、通常状態)で、第1電源9から電力供給を受けて動作する。また、第1電源9の電力が位置検出部1に投入されている状態において、角度検出部1B(又はその回路)は動作できる。例えば、第1電源9の電力が位置検出部1に投入された通常状態になった場合に、角度検出部1Bは角度位置情報の検出(例、演算)を開始し、同様に多回転情報検出部1Aも多回転情報の検出(例、センサによる検出、検出結果の処理、演算)を開始する。
また、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部1A)は、例えば、第1電源9からの電力供給が遮断された状態(例、第1電源9の電力が投入されていない状態、第1電源9がオフになっている状態、バックアップ状態)において、第1電源9とは異なる第2電源(例、バッテリー8)から供給される電力によって動作する。例えば、位置検出部1に対して第1電源9からの電力供給が断たれた状態において、電力供給部2は、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部1A)に対して検出信号をもとに断続的(間欠的、選択的)に電力を供給し、位置検出部1は、電力供給部2から電力が供給された際に回転軸SFの回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を検出する。
また、第1電源9の電力が投入されていない状態において、多回転情報検出部1A(又はその回路)は動作できる。例えば、第1電源9の電力が投入されていなく第2電源(例、バッテリー8)から電力が供給されたバックアップ状態になった場合に、多回転情報検出部1Aは多回転情報の検出(算出)を継続するが、角度検出部1Bは角度位置情報の検出(算出)を停止する。このように、多回転情報検出部1Aは、検出信号に基づき、電源(第1電源9、バッテリー8等の第2電源など)のオンオフ状態(通常状態およびバックアップ状態)に関係なく、多回転情報の検出を行う。
多回転情報検出部1Aは、例えば、磁気式の検出部であり、磁気によって多回転情報を検出する。多回転情報検出部1Aは、例えば、磁石11、磁気センサ12、処理部13、及び記憶部14を備える。位置検出部1は、例えば、検出部4が磁気センサ12を含み、処理基板部5が処理部13を含むように構成される。処理基板部5は、記憶部14を含んでもよいし、記憶部14を含まなくてもよい。例えば、記憶部14は、処理基板部5以外の部分に設けられてもよい。
磁石11は、例えば、回転軸SFに固定されたスケールSに設けられる。スケール(この場合、円板)Sは回転軸SFとともに回転するため、磁石11は回転軸SFと連動して回転(移動)する。磁気センサ12は回転軸SFの外部に固定され、磁石11および磁気センサ12は、回転軸SFの回転によって互いの相対位置が変化する。磁石11が形成する磁気センサ12上の磁界の強さおよび向きは、回転軸SFの回転によって変化する。
磁気センサ12は、磁石11が形成する磁界を検出し、処理部13は、磁石が形成する磁界を磁気センサ12が検出した結果に基づいて、回転軸SFの位置情報(例、多回転情報)を検出(算出)する。処理部13は、例えば、多回転情報を処理する多回転処理部である。記憶部14は、処理部13からの位置情報(例、多回転情報)の記憶指示(データの書き込み指令)に基づいて、処理部13が検出して処理した位置情報を記憶する。なお、磁石11は磁気センサ12又は信号発生部6に対して相対的な移動が可能であればよく、例えば、磁気センサ12がスケールSに設けられ、磁石11がスケールSの外部に設けられてもよい。
角度検出部1Bは、光学式または磁気式のエンコーダであり、スケールSの一回転内の位置情報(角度位置情報、絶対又は相対位置情報)を検出する。例えば、角度検出部1Bは、光学式のエンコーダである場合、スケール(この場合、円板)Sのパターンニング情報を受光素子で読み取ることにより、回転軸SFの1回転以内の角度位置情報を検出する。スケールSのパターンニング情報は、例えばスケールS上のスリット(透過パターン)又は反射パターン等による明暗のパターンである。角度検出部1Bは、多回転情報検出部1Aの検出対象と同じ回転軸SFの角度位置情報を検出する。
角度検出部1Bは、スケールS、発光素子21、受光センサ22、及び処理部23を備える。位置検出部1において、例えば、検出部4は受光センサ22を含み、処理基板部5は処理部23を含む。処理部23は、例えば、スケールSの一回転内の位置情報を処理する角度位置処理部である。
スケールSは、回転軸SFに固定されて設けられている。スケールSは、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSを含む。なお、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSの一方または双方は、スケールSにおいて磁石11と同じ側の面又は反対側の面に設けられていてもよい。また、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSの一方または双方は、磁石11の位置に対して内側と外側との少なくとも一方に設けられていてもよい。また、磁石11は、スケールSと別の部材に設けられてもよい。例えば、スケールSは、移動体(例、回転軸SF)に固定された第1の移動体(例、第1の回転体)であって、磁石11は、移動体(例、回転軸SF)に固定された第2の移動体(例、第2の回転体)に設けられてもよい。上記の第1の移動体は、第2の移動体と一体化(ユニット化)されてもよい。
発光素子21(照射部、発光部)は、スケールSのインクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSに光を照射する。受光センサ22(光検出部)は、発光素子21から照射されインクリメンタルパターンINCを経由した光、及び発光素子21から照射されアブソリュートパターンABSを経由した光を検出する。図1において、角度検出部1Bは反射型であり、受光センサ22は、スケールSで反射した光を検出する。角度検出部1Bは透過型であってもよく、この場合、受光センサ22は、スケールSを透過した光を検出する。
受光センサ22は、検出結果を示す信号を処理部23へ供給する。処理部23は、受光センサ22の検出結果を使って、回転軸SFの角度位置を検出する。例えば、処理部23は、アブソリュートパターンABSからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置情報を検出する。また、処理部23は、インクリメンタルパターンINCからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置情報に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置情報を検出する。
本実施形態において、エンコーダ装置ECは、信号処理部25を備える。信号処理部25は、処理部13から出力される信号、及び処理部23から出力される信号を処理する。信号処理部25は、合成部26および通信部27を備える。信号処理部25は、例えば、その少なくとも一部が処理基板部5に設けられる。信号処理部25の少なくとも一部は、処理基板部5と別の部分に設けられてもよい。
合成部26は、処理部23が検出した第2分解能の角度位置情報を取得する。また、合成部26は、多回転情報検出部1Aの記憶部14から回転軸SFの多回転情報を取得する。合成部26は、処理部23からの角度位置情報、及び多回転情報検出部1Aからの多回転情報を合成し、回転軸SFの回転位置情報を算出する。例えば、処理部23の検出結果がθ[rad]であり、多回転情報検出部1Aの検出結果がn回転である場合に、合成部26は、回転位置情報として(2π×n+θ)[rad]を算出する。回転位置情報は、多回転情報と、1回転未満の角度位置情報とを組にした情報でもよい。
そして、合成部26は、算出した回転位置情報を通信部27に送信する。通信部27(外部通信部、外部接続インターフェース)は、有線または無線によって、モータ制御部MCの通信部MC1と通信可能に接続されている。通信部27は、デジタル形式の回転位置情報を、モータ制御部MCの通信部MC1に供給する。モータ制御部MCは、角度検出部1Bの通信部27からの回転位置情報を適宜復号する。モータ制御部MCは、回転位置情報を使ってモータMへ供給される電力(駆動電力)を制御することにより、モータMの回転を制御する。
電力供給部2は、少なくとも第1電源9からの電力供給が遮断された状態(例、第1電源9が投入されていない状態、第1電源9がオフになっている状態、バックアップ状態)において、電力を供給する。電力供給部2は、信号発生部6、切替部7、及びバッテリー8(電池)を備える。
信号発生部6は、移動部(例、回転軸SF)の移動(例、回転)に伴う磁界の変化によって電気信号(検出信号)が発生する。この電気信号は、例えば、電力(電流、電圧)が時間変化する波形を含む。信号発生部6には、例えば、回転軸SFの回転に伴って変化する磁界によって、電気信号として検出信号が発生する。例えば、信号発生部6には、多回転情報検出部1Aが回転軸SFの多回転情報の検出に用いる磁石11が形成する磁界の変化によって、検出信号が発生する。信号発生部6は、回転軸SFの回転によって、磁石11との相対的な角度位置が変化するように、配置される。信号発生部6には、例えば、信号発生部6と磁石11との相対位置が所定の位置になった際に、パルス状の電気信号が発生する。
バッテリー8は、バックアップ状態において、信号発生部6で発生する検出信号に応じて、位置検出部1で消費される電力の少なくとも一部を供給する。バッテリー8は、例えばボタン型電池、乾電池などの一次電池であるが、リチウムイオン二次電池などの二次電池でもよい。本実施形態のバッテリー8は、例えばボタン型電池であり、第2保持部33(後に図3に示す)に保持される。第2保持部33には、例えば、バッテリー8を収容可能な電池ケース、及びバッテリー8と接続される電極、配線などが設けられる。
切替部7は、信号発生部6で発生した検出信号を制御信号に用いてバッテリー8から位置検出部1への電力供給の有無を切り替える。例えば、切替部7は、信号発生部6で発生する電気信号のレベルが閾値以上になることでバッテリー8から位置検出部1への電力供給を開始させる。例えば、切替部7は、信号発生部6で閾値以上の検出信号が発生することでバッテリー8から位置検出部1への電力供給を開始させる。
また、切替部7は、信号発生部6で発生する電気信号のレベルが閾値未満になることでバッテリー8から位置検出部1への電力供給を停止させる。例えば、切替部7は、信号発生部6で発生する検出信号が閾値未満になることでバッテリー8から位置検出部1への電力供給を停止させる。例えば、第1電源9からの電力供給が遮断された状態(バックアップ状態)において、信号発生部6にパルス状の電気信号が発生する場合、切替部7は、この電気信号のレベル(電位)がローレベルからハイレベルに立ち上がった際に、バッテリー8から位置検出部1への電力供給を開始させ、この電気信号のレベル(電位)がローレベルへ変化してから所定の時間経過後に、バッテリー8から位置検出部1への電力供給を停止させる。
なお、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力を位置検出部1に供給してもよい。例えば、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力と、バッテリー8からの電力とを併用してあるいは切り替えて、位置検出部1に供給してもよい。
図2は、本実施形態に係る磁石11、磁気センサ12、及び信号発生部6を示す図である。図2(A)には磁石11、磁気センサ12、及び信号発生部6の斜視図を示し、図2(B)には回転軸SFの方向から見た磁石11、磁気センサ12、及び信号発生部6の平面図を示した。また、図2(C)には、第1磁気センサ12aの回路構成を示した。
磁石11は、回転によって回転軸SFに対する放射方向(径方向)における磁界の向きおよび強さが変化するように構成される。磁石11は、例えば回転軸SFと同軸の円環状の部材である。磁石11の主面(表面および裏面)は、それぞれ、回転軸SFとほぼ垂直である。図2(B)に示すように、磁石11は、4極に着磁した永久磁石である。磁石11は、その内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向にN極とS極が並んでおり、内周側と外周側とで位相が180°ずれている。磁石11において、内周側におけるN極とS極との境界は、外周側におけるN極とS極との境界と、周方向の位置(角度位置)がほぼ一致している。
以下の説明において、回転軸SFの先端側(図1のモータMと反対側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転という。また、順回転の角度を正の値で表し、逆回転の角度を負の値で表す。なお、回転軸SFの基端側(図1のモータM側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転と定義してもよい。
ここで、磁石11に固定した座標系において、周方向におけるN極とS極との1つの境界の角度位置を位置11aで表し、位置11aから90°回転した角度位置を位置11bで表す。また、位置11bから90°回転した角度位置を位置11cで表し、位置11cから90°回転した位置を位置11dで表す。位置11cは、周方向におけるN極とS極とのもう一つの境界の角度位置である。
位置11aから反時計回りに180°の第1区間において、磁石11の外周側にN極が配置されており、磁石11の内周側にS極が配置されている。この第1区間において、磁界の径方向の向きは、概ね磁石11の外周側から内周側へ向かう向きである。第1区間において、磁界の強さは、位置11bにおいて最大となり、位置11aの近傍および位置11cの近傍で最小となる。
位置11cから反時計回りに180°の第2区間において、磁石11の内周側にN極が配置されており、磁石11の外周側にS極が配置されている。この第2区間において、磁界の径方向の向きは、磁石11の内周側から外周側へ向かう向きである。第2区間において、磁界の強さは、位置11dにおいて最大となり、位置11aの近傍および位置11cの近傍で最小となる。
このように、磁石11が形成する磁界の径方向の向きは、位置11aにおいて反転し、位置11cにおいて反転する。磁石11は、磁石11の外部に固定された座標系に対し、磁石11の回転に伴って径方向の磁界の向きが反転する交流磁界を形成する。信号発生部6は、磁石11の主面の法線方向から見て磁石11と重なる位置に配置されている。
本実施形態において、信号発生部6は、第1信号発生部6aおよび第2信号発生部6bを備える。第1信号発生部6aおよび第2信号発生部6bは、それぞれ、電気信号を発生するユニットであり、磁石11と非接触に設けられる。第1信号発生部6aは、第1感磁性部41および第1発電部42を備える。第1感磁性部41および第1発電部42は、磁石11の外部に固定されており、磁石11の回転に伴って磁石11上の各位置との相対位置が変化する。例えば、図2(B)では、第1信号発生部6aから反時計回りに45°の位置に、磁石11の位置11bが配置されており、この状態から磁石11が順方向(反時計回り)に1回転すると、信号発生部6の近傍を位置11b、位置11c、位置11d、位置11aが、この順に通過する。
第1感磁性部41は、ウィーガントワイヤなどの感磁性ワイヤ(磁性体)である。第1感磁性部41には、磁石11の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)が生じる。第1感磁性部41は、円柱状の部材であり、その軸方向が磁石11の径方向に設定されている。第1感磁性部41は、その軸方向に交流磁界が印加され磁界が反転する際に、軸方向の一端から他端に向かう磁壁が発生する。
第1発電部42は、第1感磁性部41に巻き付けられて配置される高密度コイルなどである。第1発電部42には、第1感磁性部41における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる。図2(B)に示した磁石11の位置11aまたは位置11cが信号発生部6の近傍を通過する際に、第1発電部42にパルス状の電流(電気信号)が発生する。また、第1発電部42は、大バルクハウゼンジャンプを利用して正パルスや負パルス等の検出パルスを含む検出信号を出力可能であり、外部(例、図1の第1電源9)からの電力供給がなくても動作可能である。
第1発電部42に発生する電流の向きは、磁界の反転前後の向きに応じて変化する。例えば、磁石11の外側を向く磁界から内側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きは、磁石11の内側を向く磁界から外側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きの反対になる。第1発電部42に発生する電力(誘導電流)は、例えば高密度コイルの巻き数により設定できる。
図2(A)に示すように、第1感磁性部41および第1発電部42は、ケース43に収納されている。ケース43には端子43aおよび端子43bが設けられている。第1発電部42の高密度コイルは、その一端が端子43aと接続され、その他端が端子43bと接続されている。第1発電部42で発生した電力は、端子43aおよび端子43bを介して、第1信号発生部6aの外部へ取り出し可能である。
第2信号発生部6bは、第1信号発生部6aが配置される角度位置から0°より大きく180°よりも小さい角度をなす角度位置に、配置される。第1信号発生部6aの角度位置と第2信号発生部6bの角度位置との角度は、45°以上135°以下の範囲から選択され、図2(B)では約90°である。第2信号発生部6bは、第1信号発生部6aと同様の構成である。第2信号発生部6bは、第2感磁性部45および第2発電部46を備える。第2感磁性部45および第2発電部46は、それぞれ、第1感磁性部41および第1発電部42と同様であり、その説明を省略する。第2感磁性部45および第2発電部46は、ケース47に収納されている。ケース47には端子47aおよび端子47bが設けられている。第2発電部46で発生した電力は、端子47aおよび端子47bを介して、第2信号発生部6bの外部へ取り出し可能である。
なお、上述の信号発生部6の構成は一例であり、その構成は適宜変更可能である。例えば、信号発生部6は、大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)を利用しない電磁誘導によって電力を発生してもよい。また、信号発生部6が備える発電ユニットの数は、適宜変更可能であり、例えば、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、信号発生部6の配置についても適宜変更可能である。
磁気センサ12は、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bを含む。第1磁気センサ12aは、回転軸SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部6a)に対して0°より大きく90°未満の角度位置で配置される。第2磁気センサ12bは、回転軸SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部6a)に対して90°より大きく180°未満の角度位置で配置される。
図2(C)に示すように、第1磁気センサ12aは、磁気抵抗素子48と、磁気抵抗素子48に一定の強さの磁界を与えるバイアス磁石(図示せず)と、磁気抵抗素子48からの波形を整形する波形整形回路(図示せず)とを備える。磁気抵抗素子48は、エレメント49a、エレメント49b、エレメント49c、及びエレメント49dを直列に結線したフルブリッジ形状である。エレメント49aとエレメント49cとの間の信号線は、電源端子48pに接続されている。エレメント49bとエレメント49dとの間の信号線は、接地端子48gに接続されている。エレメント49aとエレメント49bとの間の信号線は、第1出力端子48aに接続されている。エレメント49cとエレメント49dとの間の信号線は、第2出力端子48bに接続されている。第2磁気センサ12bは、第1磁気センサ12aと同様の構成である。
図3および図4は、本実施形態に係る位置検出部およびバッテリーモジュールを示す図である。図3において、X方向およびY方向は、回転軸SFに垂直な方向であり、Z方向は、回転軸SFに平行な方向である。回転軸SFの回転方向(移動方向)は、XY平面に平行であり、Z方向は、回転軸SFの回転方向に対する交差方向である。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれについて、適宜、矢印の先と同じ側を+側(例、+Z側)と称し、矢印の先と反対側を−側(例、−Z側)と称する。+Z側は、例えば回転軸SFの先端側(図1のモータMと反対側)であり、−Z側は、例えば回転軸SFの基端側(モータMと同じ側)である。
本実施形態において、位置検出部1は、図1の検出部4及び処理基板部5を保持する第1保持部(モールド部)30を備える。第1保持部30は、例えば、外形が円柱状(円板状)であり、内部に空間を有する部材である。第1保持部30は、例えば、図1のモータMにおける固定子側の部材(例、本体部、筐体)と固定される。回転軸SFは、その先端側(+Z側)が第1保持部30の内部に挿入される。回転軸SFは、第1保持部30に対して回転可能である。なお、第1保持部30は、円柱状以外の形状でもよく、例えば、XY平面での形状が矩形の柱状あるいは板状でもよいし、その他の形状でもよい。
第1保持部30は、例えば、その内部に、図1のスケールSを収容する。スケールSは、第1保持部30と接触しないように回転軸SFに取り付けられ、第1保持部30は、スケールSを囲む(例、覆う)ように配置される。例えば、スケールSは、フランジ状の部材であり、その軸AXがベアリング等を介して第1保持部30に支持される(後に図4等にも示す)。スケールSの軸AXは、図1の回転軸SFと固定される。
処理基板部5は、第1保持部30に固定され、第1保持部30に保持される。処理基板部5は、例えば円板状であり、第1面5aおよび第2面5bを有する。第1面5aおよび第2面5bは、例えば、回転軸SFに交差(例、直交)する面である。処理基板部5は、その回転軸SFの基端側(−Z側)の第2面5bが第1保持部30と固定される。処理基板部5は、例えばプリント基板であり、その表面(所定面)に配線が形成されている。また、処理基板部5の所定面(例、一面、実装面、配線面、第1面5aおよび第2面5bなど)には、例えば、図1の切替部7、処理部13、記憶部14、処理部23、及び信号処理部25の少なくとも一部を構成する電子部品が実装される。上記の配線および電子部品は、処理基板部5の−Z側の第2面5bに配置されてもよいし、+Z側の第1面5aに配置されてもよく、第1面5aと第2面5bとに配置されてもよい。
図4に示すように、磁気センサ12、発光素子21、及び受光センサ22は、例えば、処理基板部5および第1保持部30に囲まれる空間に収容される。磁気センサ12、発光素子21、及び受光センサ22は、例えば、処理基板部5に保持(例、固定、支持、実装)される。磁気センサ12、発光素子21、及び受光センサ22は、例えば、処理基板部5の第2面5b側に設けられる。なお、磁気センサ12、発光素子21、及び受光センサ22の少なくとも一部は、処理基板部5の第1面5a側に設けられてもよいし、処理基板部5以外の部材(例、第1保持部30)に保持されてもよい。
信号発生部6は、例えば、処理基板部5の近傍に配置される。信号発生部6は、例えば、処理基板部5に隣接して配置される。例えば、信号発生部6は、処理基板部5の+Z側の第1面5aに配置される。信号発生部6は、例えば、第1面5aに実装(支持、マウント)され、第1面5aに形成された配線と電気的に接続される。なお、信号発生部6は、処理基板部5の−Z側の第2面5bに配置(例、実装)されてもよい。また、信号発生部6は、処理基板部5から離れて配置されてもよく、例えば、第1保持部30に支持、保持、あるいは固定されてもよい。
処理基板部5(図3参照)の+Z側の第1面5aには、外部接続用のコネクタ31が設けられる。コネクタ31は、図1の通信部27と電気的に接続される。通信部27は、例えば、コネクタ31に接続されるケーブル等を介して、処理基板部5の処理結果(例、回転位置情報)を外部の装置(例、図1のモータ制御部MC1)へ送信する。
処理基板部5は、例えば、第1端子P1aおよび第1端子P1bを備える。処理基板部5は、第1端子P1aおよび第1端子P1bを介して、その外部から電力供給を受ける。第1端子P1aおよび第1端子P1bは、例えば、処理基板部5の+Z側の第2面5bに配置される。第1端子P1aは、例えば、処理基板部5において基準電位になる接地線GL(後に図5に示す)と導通する負極端子である。第1端子P1aは、例えば、バッテリー8の負極8aと導通する。第1端子P1bは、例えば、基準電位に対する所定電位が印加される正極端子である。第1端子P1bは、例えば、バッテリー8の正極8bと導通する。
位置検出部1とバッテリーモジュール3(例、バッテリー8、シールド部34)とは、回転軸SFの回転方向に対する交差方向(Z方向)に積層されて配置される。例えば、信号発生部6は、処理基板部5の第1面5a側に配置され、バッテリーモジュール3は、例えば、処理基板部5の第1面5a側(例、+Z側)と対向する位置に配置される。バッテリーモジュール3は、例えば、位置検出部1に対して、処理基板部5において第1端子P1aおよび第1端子P1bが形成される第1面5aと同じ側(例、+Z側)に配置される。また、例えば、位置検出部1とバッテリーモジュール3とは、回転軸SF(移動軸)の軸方向(移動軸方向)に沿って順番(例、モータMに近い側から第1保持部30、位置検出部1(例、処理基板部5)およびバッテリーモジュール3の順)に配置される。
なお、回転軸SF又はモータMに近い方(回転軸SF側又はモータM側)に位置検出部1が配置されてもよいし、バッテリーモジュール3が配置されてもよい。また、例えば、位置検出部1とバッテリーモジュール3とは、回転軸SFの軸方向と交差する交差方向(X方向、Y方向)に並んで配置されてもよい。
バッテリーモジュール3は、バッテリー8、第2保持部33、及びシールド部34を備える。第2保持部33は、バッテリー8を保持する。第2保持部33は、例えば、回転軸SFの回転方向に対する交差方向(回転軸SFの方向、Z方向)において、位置検出部1の第1保持部30から離れて配置される。例えば、第2保持部33は、第1保持部30との間にギャップを有しており、外部接続用のコネクタ31および信号発生部6は、第1保持部30と第2保持部33との間のギャップに配置される。
第2保持部33は、例えば、円柱状(円板状)の部材である。第2保持部33は、例えば、Z方向から見た場合に位置検出部1の第1保持部30から張り出さないように設けられる。例えば、第2保持部33は、XY平面上の形状および寸法が第1保持部30とほぼ同じであり、第1保持部30と中心を揃えて配置される。なお、第2保持部33は、円柱状以外の形状でもよく、例えば、XY平面での形状が矩形の柱状あるいは板状でもよいし、その他の形状でもよい。また、第2保持部33は、XY平面での形状と寸法との一方または双方が第1保持部30と異なってもよい。
第2保持部33は、バッテリー8が配置される凹部を有する。この凹部は、第2保持部33において処理基板部5と反対側に配置される。第2保持部33には、バッテリー8の負極8aと接触する端子33aおよび正極8bと接触する端子33bが設けられる。また、バッテリーモジュール3は、第2端子P2aおよび第2端子P2bを備える。第2端子P2aは、例えばリードなどの配線を介してバッテリー8の負極8aと導通する。第2端子P2bは、例えばリードなどの配線を介してバッテリー8の正極8bと導通する。第2端子P2aおよび第2端子P2bは、例えば、ネジあるいはボルトなどの締結部材が挿入される貫通孔を有する丸形端子である。
第1端子P1aおよび第2端子P2aは、それぞれ、導電部材35aに接続される。導電部材35aは、第1端子P1aと導通し、かつ第2端子P2aと導通することで、第1端子P1aと第2端子P2aとを導通させる。導電部材35aは、例えば、第1端子P1aと接触することで第1端子P1aと導通し、第2端子P2aと接触することで第2端子P2aと導通する。例えば、導電部材35aは、−Z側の端面が第1端子P1aと接触し、+Z側の端面が第2端子P2aと接触する。
例えば、導電部材35aは、−Z側の端面が第1端子P1aと接触した状態で、位置検出部1(例、処理基板部5)に固定(接合、保持、支持)されている。導電部材35aは、例えば、ハンダなどを用いたリフローによって処理基板部5と固定されている。導電部材35aは、例えば、処理基板部5から取り外しできないように、処理基板部5と一体化(ユニット化)されている。
なお、導電部材35aは、リフロー以外の手法で処理基板部5と固定(接合)されてもよく、例えば、ネジなどで固定されてもよい。また、導電部材35aは、上記のモジュールの非固定状態において処理基板部5と固定されていなくてもよく、例えば、位置検出部1とバッテリーモジュール3とが互いに固定される際に、処理基板部5と固定されてもよい。また、導電部材35aは、処理基板部5から取り外し可能でもよい。
なお、導電部材35aは、第1端子P1aと第2端子P2aとの一方または双方と接触しなくてもよい。例えば、導電部材35aは、第1端子P1aと第2端子P2aとの一方または双方と、座金などの導電性の部材を介して導通してもよい。また、導電部材35aは、位置検出部1において処理基板部5と別の部分に固定されてもよい。例えば、処理基板部5に貫通孔が設けられ、導電部材35aは、この貫通孔を通して第1保持部30に固定(支持、保持)されてもよい。この場合、第1端子P1aは、例えば導電部材35aの側面に接触して、導電部材35aと電気的に接続されてもよい。
なお、エンコーダ装置ECは、導電部材35aを備えなくてもよい。例えば、第1端子P1aと第2端子P2aとは、配線(例、ケーブル)、コネクタなどで電気的に接続されてもよい。また、第1端子P1aと第2端子P2aとは、互いに接触することで電気的に接続されてもよい。また、第1端子P1bおよび第2端子P2bは、それぞれ、導電部材35bに接続される。第1端子P1bと導電部材35bとの接続は、第1端子P1aと導電部材35aとの接続と同様である。また、第2端子P2bと導電部材35bとの接続は、第2端子P2aと導電部材35aとの接続と同様である。
シールド部34は、例えば、バッテリー8を構成する一部(例、バッテリー8の内部部品を保護する部分、バッテリー8の表面(例、一面))又はバッテリー8と一体化された構造(例、シールド部34にバッテリー8が貼りついて固定された構造など)であり、位置検出部1に対するノイズを遮る位置(例、低減する位置)に配置される。この場合、シールド部34は磁性体、金属又は導電体(例、アルミニウム等)などで構成されている。また、シールド部34の形状は、例えば、回転軸SFの軸方向視(上面視、図3のZ方向視)において、バッテリー8と同等又はバッテリー8の表面を覆いつつ該表面より大きい。シールド部34は、位置検出部1の回路において基準電位(例、GND)となる接地線GL(後に図5に示す)と導通する。
シールド部34は、例えば、バッテリー8(例、負極8a)および後述のシールド部材36を含むように構成し、バッテリー8がシールド部34(又はシールド部材36)に内蔵された構造としてもよい。バッテリー8がシールド部34に内蔵された構造の場合、バッテリー8の容量を最大限に確保するために、例えば、バッテリー8はシールド部34と類似する相似形状であってもよい。そして、バッテリー8は、例えば、処理基板部5の少なくとも一部を覆うように配置され、位置検出部1(例、処理基板部5、検出部4、信号発生部6)に対するノイズを低減する。例えば、バッテリー8は、円板状又は処理基板部5に配置される電子部品に応じた形状であり、処理基板部5の第1面5a側の少なくとも一部を覆うように配置される。これにより、バッテリー8は、例えば、バッテリー8に対して処理基板部5と反対側(+Z側)からのノイズを低減するように配置される。
バッテリー8は、例えば、バッテリー8に対して処理基板部5と反対側(+Z側)からのノイズの少なくとも一部をシールド部34によって遮るように配置される。なお、例えば、バッテリー8(又はシールド部34)は、検出部4、処理基板部5又は信号発生部6の近傍、周囲又は周辺に配置されてもよいし、検出部4、処理基板部5又は信号発生部6に隣接して配置(例、検出部4、処理基板部5又は信号発生部6に接して配置、近接配置又は覆うように配置)されてもよい。また、例えば、バッテリー8(又はシールド部34)は、処理基板部5において配線および電子部品の少なくとも一部が配置される部分(例、所定面、一面、実装面、配線面、第1面5aおよび第2面5bなど)又は検出部4に対向する位置(例、回転軸SFの軸方向に沿って処理基板部5をバッテリー8(シールド部34)と第1保持部30とで挟む位置)或いは対向する位置とは反対側の位置(例、回転軸SFの軸方向に沿ってバッテリー8(シールド部34)を処理基板部5と第1保持部30とで挟む位置)に配置される。
バッテリー8の負極8aは、接地線GL(後に図5に示す)と電気的に接続され、バッテリー8へ到達した電磁ノイズの少なくとも一部は、例えば接地線GLへ散逸される。この場合、バッテリー8の負極8aが形成される面はグランド面(GND面、接地面)を構成し、このグランド面がシールド部34として外部のノイズを低減する。また、バッテリー8は、例えば、磁性体を含み、磁気ノイズの少なくとも一部を低減する。例えば、バッテリー8は、処理基板部5と反対側(+Z側)からの磁気ノイズの少なくとも一部を遮断する。
また、更に、シールド部材36(例、シールド板)は、例えば、導電部材を含み、この導電部材がバッテリー8の負極8aと導通する。例えば、シールド部材36は、バッテリー8の負極8aと接触するように設けられることで、バッテリー8の負極8aと導通する。シールド部材36への電磁ノイズの少なくとも一部は、例えば、バッテリー8の負極8aを介して接地線GLへ散逸される。なお、シールド部材36は、バッテリー8の負極8aを経由しないで、接地線GLと導通してもよい。また、シールド部材36は、例えば磁性体を含み、磁気ノイズの少なくとも一部を遮断(例、遮蔽)してもよい。
シールド部材36は、例えば、第2保持部33に保持される。シールド部材36は、例えば、処理基板部5の少なくとも一部を覆うように設けられる。例えば、Z方向から見た場合に、処理基板部5は、バッテリー8の負極8aの外側に配置される張り出し部分を含み、シールド部材36は、この張り出し部分を覆うように設けられる。例えば、シールド部材36は、Z方向(例、上面)から見た場合に、処理基板部5において配線および電子部品の少なくとも一部が配置される部分(例、所定面、一面、実装面、配線面、第1面5aおよび第2面5bなど)を覆うように設けられる。例えば、シールド部材36は、Z方向から見た場合に処理基板部5の全域と重なるように設けられる。なお、シールド部材36は、Z方向から見た場合に処理基板部5の一部を覆わなくてもよい。また、例えば、回転軸SFの軸方向視(Z方向視)において、シールド部材36は、上述のシールド部34(バッテリー8)が処理基板部5を覆っていない領域をカバーする部分を覆うように配置されてもよい。
また、シールド部材36は、例えば、その一部がバッテリー8の側方に配置される。例えば、シールド部材36は、処理基板部5に平行な方向(例、X方向、Y方向)において、バッテリー8の少なくとも一部を覆うように設けられる。シールド部材36は、例えば筒状であり、バッテリー8を囲むように設けられる。シールド部材36は、例えば、処理基板部5と平行な方向において、バッテリー8と処理基板部5との間の電力の供給経路(例、配線、端子)の少なくとも一部を覆うように、設けられる。シールド部材36は、例えば、XY平面における第2保持部33の外周の少なくとも一部を覆うように設けられる。
なお、シールド部材36は、その少なくとも一部が第2保持部33の内側に配置されてもよいし、その少なくとも一部が第2保持部33の外側に配置されてもよい。また、シールド部材36は、処理基板部5に平行な方向(例、X方向、Y方向)において、処理基板部5の少なくとも一部を覆うように設けられてもよい。例えば、シールド部材36は、第1保持部30と第2保持部33との間の少なくとも一部に設けられてもよい。例えば、シールド部材36は、第2保持部33から処理基板部5にわたって設けられてもよいし、第2保持部33から第1保持部30にわたって設けられてもよい。なお、シールド部は、導電部材35aを含んでもよい。
次に、実施形態に係るエンコーダ装置ECの回路構成について説明する。図5は、本実施形態に係る電力供給部2および多回転情報検出部1Aの回路構成を示す図である。電力供給部2は、第1信号発生部6a、整流スタック61、第2信号発生部6b、整流スタック62、及びバッテリー8を備える。また、電力供給部2は、図1の切替部7としてレギュレータ63を備える。
整流スタック61は、第1信号発生部6aから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック61の第1入力端子61aは、第1信号発生部6aの端子43aと接続されている。整流スタック61の第2入力端子61bは、第1信号発生部6aの端子43bと接続されている。整流スタック61の接地端子61gは、シグナルグランドSGと同電位が供給される接地線GLに接続されている。多回転情報検出部1Aの動作時に、接地線GLの電位は、回路60の基準電位になる。整流スタック61の出力端子61cは、レギュレータ63の制御端子63cに接続されている。
整流スタック62は、第2信号発生部6bから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック62の第1入力端子62aは、第2信号発生部6bの端子47aと接続されている。整流スタック62の第2入力端子62bは、第2信号発生部6bの端子47bと接続されている。整流スタック62の接地端子62gは、接地線GLに接続されている。整流スタック62の出力端子62cは、レギュレータ63の制御端子63cに接続されている。
レギュレータ63は、バックアップ状態において、該レギュレータのオン状態及びオフ状態に応じて、バッテリー8から位置検出部1へ供給される電力を調整する。レギュレータ63は、バッテリー8と位置検出部1との間の電力供給経路に設けられる第1スイッチング素子64を含む。レギュレータ63は、信号発生部6で発生する電気信号(検出信号)を制御信号(例、イネーブル信号)に用いて第1スイッチング素子64の動作を制御する。
バッテリー8の正極8bは、レギュレータ63の入力端子63aに接続されている。バッテリー8の負極8aは、接地線GLに接続されている。また、シールド部材36は、接地線GLに接続されている。レギュレータ63の出力端子63bは、電源線PLに接続されている。レギュレータ63の接地端子63gは、接地線GLに接続されている。レギュレータ63の制御端子63cはイネーブル端子であり、レギュレータ63は、制御端子63cに閾値以上の電圧が印加された状態で、出力端子63bの電位を所定電圧に維持する。レギュレータ63の出力電圧(上記の所定電圧)は、計数部67がCMOSなどで構成される場合に例えば3Vである。記憶部14の動作電圧は、例えば、所定電圧と同じ電圧に設定される。なお、所定電圧は、電力供給に必要な電圧であり、一定の電圧値でもよいし、段階的に変化する電圧でもよい。
第1スイッチング素子(第1スイッチ)64は、位置検出部1に電力を供給する回路60の導通と遮断とを切替える。回路60は、例えば、第2電源(例、バッテリー8)の第1電極(正極)と第2電極(負極)とを結ぶ電力供給経路を構成し、電源線PLおよび接地線GLを含む。接地線GLは、例えば、バッテリー8の負極と接続され、その電位が回路60の基準電位となる。第1スイッチング素子64は、例えば、バッテリー8から回路60を介した位置検出部1への電力供給の有無を切替える。
レギュレータ63は、信号発生部6から制御端子63cに供給される電気信号を制御信号(イネーブル信号)に用いて、第1スイッチング素子64の第1端子64aと第2端子64bとの間の導通状態(オン状態)と絶縁状態(オフ状態)とを切り替える。例えば、第1スイッチング素子64は、MOS、TFTなどを含み、第1端子64aと第2端子64bとはソース電極とドレイン電極であり、第1制御端子64cがゲート電極である。
第1制御端子64cは、信号発生部6で発生する電気信号(検出信号)によって充電される。第1スイッチング素子64は、第1制御端子64cの電圧に応じて回路60を導通へ切替える。例えば、第1スイッチング素子64は、第1制御端子64cの電位が回路60の基準電位である状態で回路60を遮断している。また、第1スイッチング素子64は、第1制御端子64cの電圧が所定値以上になることで、第1端子64aと第2端子64bとの間が導通状態(オン状態)になる。回路60を導通へ切替える。第1端子64aと第2端子64bとの間がオン状態になると、バッテリー8から、電源線PLおよび接地線GLを介して回路60に電力が供給される。なお、電力供給部2は、レギュレータ63のオン状態及びオフ状態を取得する手段を備えてもよい。
また、多回転情報検出部1Aは、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bを含む。例えば、多回転情報検出部1Aは、図1に示した処理部13として、アナログコンパレータ65、アナログコンパレータ66、及び計数部67を含む。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、それぞれ、回転軸SFを検出するセンサである。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、回転軸SFに取り付けられた磁石11が形成する磁界を検出することで、回転軸SFを検出する。バックアップ状態において、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、それぞれ、バッテリー8から供給される電力を用いて、磁石11が形成する磁界を検出する。
第1磁気センサ12aの電源端子55pは、電源線PLに接続されている。第1磁気センサ12aの接地端子55gは、接地線GLに接続されている。第1磁気センサ12aの出力端子55cは、アナログコンパレータ65の入力端子65aに接続されている。出力端子55cは、例えば、図2(C)に示した第2出力端子48bの電位と基準電位との差に相当する電圧を出力する。
アナログコンパレータ65は、第1磁気センサ12aから出力される電圧を二値化する二値化部である。アナログコンパレータ65は、例えば比較器であり、第1磁気センサ12aから出力される電圧を所定電圧と比較する。アナログコンパレータ65の電源端子65pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ65の接地端子65gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ65の出力端子65bは、計数部67の第1入力端子67aに接続されている。アナログコンパレータ65は、第1磁気センサ12aの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子からLレベルの信号を出力する。
第2磁気センサ12bおよびアナログコンパレータ66は、第1磁気センサ12aおよびアナログコンパレータ65と同様の構成である。第2磁気センサ12bの電源端子56pは、電源線PLに接続されている。第2磁気センサ12bの接地端子56gは、接地線GLに接続されている。第2磁気センサ12bの出力端子56cは、アナログコンパレータ66の入力端子66aに接続されている。アナログコンパレータ66の電源端子66pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ66の接地端子66gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ66の出力端子66bは、計数部67の第2入力端子67bに接続されている。アナログコンパレータ66は、第2磁気センサ12bの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子66bからLレベルの信号を出力する。
計数部67は、回転軸SFの多回転情報を、バッテリー8から供給される電力を用いて計数する。計数部67は、例えばCMOS論理回路などを含む。計数部67は、電源端子67pおよび接地端子67gを介して供給される電力を用いて動作する。計数部67の電源端子67pは、電源線PLに接続されている。計数部67の接地端子67gは、接地線GLに接続されている。計数部67は、第1入力端子67aを介して供給される電圧、及び第2入力端子67bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。
記憶部14は、処理部13が検出した回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を、バッテリー8から供給される電力を用いて記憶する(書き込み動作を行う)。記憶部14は、処理部13が検出した回転位置情報として、計数部67による計数の結果(多回転情報)を記憶する。記憶部14の電源端子14pは、電源線PLに接続されている。記憶部14の接地端子14gは、接地線GLに接続されている。記憶部14は、例えば不揮発性メモリを含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持可能である。
本実施形態において、整流スタック61、整流スタック62とレギュレータ63との間には、キャパシタ69が設けられている。キャパシタ69の第1電極69aは、整流スタック61、整流スタック62とレギュレータ63の制御端子63aとを接続する信号線に接続されている。キャパシタ69の第2電極69bは、接地線GLに接続されている。このキャパシタ69は、例えば平滑キャパシタであり、脈動を低減してレギュレータの負荷を低減する。キャパシタ69の定数は、例えば、処理部13により回転位置情報を検出して記憶部14に回転位置情報を書き込むまでの期間に、バッテリー8から処理部13および記憶部14への電力供給が維持されるように設定される。
次に、少なくともバックアップ状態における電力供給部2および多回転情報検出部1Aの動作について、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの多回転情報検出部1Aの動作を代表的に説明する。図6は、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの多回転情報検出部1Aの動作を示すタイミングチャートである。
図6の「磁界」において、実線は第1信号発生部6aの位置での磁界を示し、破線は第2信号発生部6bの位置での磁界を示す。「第1信号発生部」、「第2信号発生部」は、ぞれぞれ、第1信号発生部6aの出力、第2信号発生部6bの出力を示し、1方向に流れる電流の出力を正(+)とし、その逆方向に流れる電流の出力を負(−)とした。「イネーブル信号」は、信号発生部6で発生する電気信号によりレギュレータ63の制御端子63aに印加される電位を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。「レギュレータ」は、レギュレータ63の出力を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。
図6の「第1磁気センサ」、「第2磁気センサ」は、それぞれ、第1磁気センサ12a、第2磁気センサ12bの出力を実線で示す。「第1磁気センサ」、「第2磁気センサ」において点線は、常時駆動された場合の出力である。「第1アナログコンパレータ」、「第2アナログコンパレータ」は、それぞれ、アナログコンパレータ65、アナログコンパレータ66からの出力を示す。
第1信号発生部6aは、角度位置135°において、逆方向に流れる電流パルス(「第1信号発生部」の負)を出力する。また、第1信号発生部6aは、角度位置315°において、順方向に流れる電流パルス(「第1信号発生部」の正)を出力する。第2信号発生部6bは、角度位置45°において、順方向に流れる電流パルス(「第2信号発生部」の正)を出力する。また、第2信号発生部6bは、角度位置225°において、逆方向に流れる電流パルス(「第2信号発生部」の負)を出力する。そのため、イネーブル信号は、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、ハイレベルに切り替わる。また、レギュレータ63は、イネーブル信号がハイレベルに維持された状態に対応して、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、電源線PLに所定電圧を供給する。
本実施形態において、第1磁気センサ12aの出力と第2磁気センサ12bの出力は、90°の位相差を有しており、処理部13は、この位相差を利用して回転位置情報を検出する。第1磁気センサ12aの出力は、角度位置0°から角度位置180°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は角度位置45°、角度位置135°において電力を出力する。第1磁気センサ12aおよびアナログコンパレータ65は、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ65から出力される信号(以下、A相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいてHレベルになる。
また、第2磁気センサ12bの出力は、角度位置270°(−90°)から角度位置90°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は、角度位置315°(−45°)、角度位置45°において電力を出力する。第2磁気センサ12bおよびアナログコンパレータ66は、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ66から出力される信号(以下、B相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいてHレベルになる。
ここで、計数部67に供給されるA相信号がHレベル(H)であり、計数部67に供給されるB相信号がLレベルである場合に、これら信号レベルの組を(H,L)のように表す。図6では、角度位置315°において信号レベルの組が(L,H)であり、角度位置45°において信号レベルの組が(H,H)、角度位置135°において信号レベルの組が(H,L)である。
計数部67は、磁気センサ12が検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、記憶部14に信号レベルの組を記憶させる。計数部67は、次に検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、前回のレベルの組を記憶部14から読み出し、前回のレベルの組と今回のレベルの組と比較して回転方向を判定する。
例えば、前回の信号レベルの組が(H,H)であって、今回の信号レベルが(H,L)である場合には、前回の検出において角度位置45°であり、今回の検出において角度位置135°であるので、反時計回り(順回転)であることがわかる。計数部67は、今回のレベルの組が(H,L)であって、かつ前回のレベルの組が(H,H)である場合、カウンタをアップすることを示すアップ信号を記憶部14に供給する。記憶部14は、計数部67からのアップ信号を検出した場合に、記憶している多回転情報を1増加した値に更新する。本実施形態に係る多回転情報検出部1Aは、回転軸SFの回転方向を判定しながら、多回転情報を検出できる。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、信号発生部6に電気信号が発生してから短時間のうちに、バッテリー8から多回転情報検出部1Aに電力が供給され、多回転情報検出部1Aがダイナミック駆動(間欠駆動)する。多回転情報の検出および書き込みの終了後は、多回転情報検出部1Aへの電源供給は絶たれるが、計数値は、記憶部14に格納されているので保持される。このようなシーケンスは、外部からの電力供給が絶たれた状態においても、磁石11上の所定位置が信号発生部6の近傍を通過するたびに繰り返される。
記憶部14に記憶されている多回転情報は、例えば、次にモータMが起動される際にモータ制御部MCなどに読み出され、回転軸SFの初期位置などの算出に利用される。このようなエンコーダ装置ECは、信号発生部6で発生する電気信号に応じて、位置検出部1(例、多回転情報検出部1A)で消費される電力の少なくとも一部をバッテリー8が供給するので、バッテリー8を長寿命にすることができる。バッテリー8のメンテナンス(例、交換)をなくしたり、メンテナンスの頻度を減らしたりすることができる。例えば、バッテリー8の寿命がエンコーダ装置ECの他の部分の寿命よりも長い場合、バッテリー8の交換を不要にすることもできる。
また、バッテリーモジュール3(例、バッテリー8、シールド部34)は、位置検出部1に対するノイズを低減するように配置されてエンコーダ装置ECが外部からのノイズを受けにくい構造を構成しているため、例えば、そのノイズによる位置検出部1の誤作動の発生を抑制することができる。例えば、エンコーダ装置ECは、位置検出部1の誤作動の発生が抑制されるので、信頼性が高く、安定的に動作可能である。また、ウィーガントワイヤ等の感磁性ワイヤを利用すると、磁石11の回転が極めて低速であっても、信号発生部6からパルス電流の出力が得られる。そのため、例えばモータMへ電力供給がなされていない状態などにおいて、回転軸SF(磁石11)の回転が極めて低速な場合にも、信号発生部6の出力を電気信号として利用できる。
なお、多回転情報検出部1Aは、上記の実施形態において磁気式の検出部であるが、透過型又は反射型の光学式の検出部(例、スケールを介した透過光又は反射光を受光する光学センサ)であってもよい。なお、この場合、多回転情報検出部1Aの一部は、角度検出部1Bと共用であってもよい。また、電力供給部2は、信号発生部6で発生する検出信号の電力を電源に用いてもよい。例えば、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで所定電圧に調整し、検出信号の電力を位置検出部1に供給してもよい。また、上述の実施形態において、信号発生部6は、磁石11に対して所定の位置関係になった際に検出信号が発生する。エンコーダ装置EC(多回転情報検出部1A)は、信号発生部6を、回転軸SF(磁石11)の位置情報を検出するセンサとして備えてもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図7は、本実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態において、バッテリーモジュール3(例、バッテリー8、シールド部34)は、信号発生部6が配置される処理基板部5の第1面5a側とは反対側(第2面5b側)に配置される。バッテリーモジュール3は、例えば、処理基板部5に対して信号発生部6と反対側に配置される。例えば、バッテリーモジュール3(例、バッテリー8、シールド部34)は、回転軸SF(移動軸)の軸方向に沿って、金属又は樹脂のモールド部である第1保持部30と処理基板部5との間に配置される。
また、バッテリーモジュール3は、例えば、回転軸SF(移動部)の軸方向(移動軸方向)に沿って処理基板部5とともに配置される。バッテリーモジュール3は、例えば、処理基板部5とで層状に構成される。例えば、バッテリーモジュール3と処理基板部5とは、例えば、互いに積層された構造体である。バッテリーモジュール3は、例えば、回転軸SF(移動軸)の軸方向(移動軸方向)において、処理基板部5よりも回転軸SF(移動部、モータM)側に配置される。例えば、位置検出部1とバッテリーモジュール3とは、回転軸SF(移動軸)の軸方向(移動軸方向)に沿って順番(例、モータMに近い側から第1保持部30、バッテリーモジュール3および位置検出部1(例、処理基板部5)の順)に配置される。バッテリーモジュール3は、例えば、処理基板部5に対してモータM(図1参照)と同じ側(−Z側)から輻射されて伝搬するノイズ(例、PWMノイズなどの電磁ノイズ)を低減する。例えば、バッテリーモジュール3は、モータMの電機子あるいは磁石からのノイズを低減する。
なお、処理基板部5は、回転軸SF(移動軸)の軸方向(移動軸方向)において、バッテリーモジュール3よりも回転軸SF(移動部、モータM)側に配置されてもよい。この場合、バッテリーモジュール3は、例えば、処理基板部5に対してモータM(図1参照)と反対側(+Z側)から伝搬するノイズを低減する。
バッテリーモジュール3が処理基板部5に対して信号発生部6と反対側に配置される場合、例えば、信号発生部6との干渉を避ける上でのバッテリー8の制約が緩和される。例えば、バッテリー8の大きさ(例、寸法、形状)に関する制約が緩和され、バッテリー8の大容量化が可能である。例えば、エンコーダ装置ECは、バッテリー8の大容量化によって、電力供給部2から安定して電力を供給することができるので、長寿命で信頼性が高い。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図8は、本実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態において、エンコーダ装置ECは、処理基板部5に対してバッテリーモジュール3と反対側に配置されるシールド部材36を備える。例えば、バッテリーモジュール3は、処理基板部5に対して一方の側(例、−Z側)に配置され、シールド部材36は、処理基板部5に対して他方の側(例、+Z側)に配置されている。例えば、処理基板部5は、バッテリーモジュール3とシールド部材36との間に配置される。
例えば、エンコーダ装置ECは、処理基板部5に対してバッテリーモジュール3の反対側(+Z側)に保持部37を備え、シールド部材36は、保持部37に設けられる。保持部37は、例えば、処理基板部5と信号発生部6との少なくとも一部を覆うカバー部材である。シールド部材36は、例えば配線等を介して、位置検出部1(図5参照)の回路において基準電位となる接地線GLと導通してもよい。
[駆動装置]
次に、実施形態に係る駆動装置について説明する。図9は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸SFと、回転軸SFを回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸SFの回転位置情報を検出するエンコーダ装置ECとを有している。
図9において、信号発生部6は、スケールSに対して、発光素子21および受光センサ22と同じ側に配置されている。なお、磁石11、信号発生部6、スケールS、発光素子21、及び受光センサ22の配置は、図9に示す配置に限定されず、例えば図1に示した配置でもよいし、その他の配置でもよい。バッテリーモジュール3は、例えば、処理基板部5に対して、信号発生部6と反対側に配置される。
回転軸SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介してスケールSが固定される。このスケールSの固定とともに、エンコーダ装置ECが取り付けられている。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態、変形例、あるいはその組み合わせに係るエンコーダ装置である。
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、図1などに示したモータ制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。また、駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの信頼性が高いので、安定的に動作可能である。なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
[ステージ装置]
次に、ステージ装置について説明する。図10は、ステージ装置STGを示す図である。このステージ装置STGは、図9に示した駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaに、ステージ(回転テーブルTB、移動物体)を取り付けた構成である。ステージ装置STGは、例えば、1次元のリニアモータによって、ステージを1方向に直線的に移動させる構成でもよい。また、ステージ装置STGは、複数の1次元のリニアモータあるいは2次元のリニアモータ(例、平面モータ)によって、ステージを2方向に移動させる構成でもよい。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させる。この回転は、回転テーブルTBに伝達され、その際にエンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が低い又は無いので、メンテナンスコストを減らすことができる。また、ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECの信頼性が高いので、安定的に動作可能である。なお、ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
[ロボット装置]
次に、ロボット装置について説明する。図11は、ロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、図11には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転軸SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。図11に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのスケールSが取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SF2に伝達される。回転軸SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。ロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。また、ロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECの信頼性が高いので、安定的に動作可能である。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、複数の関節を備える各種ロボット装置(例、双腕多軸型ロボット)に適用できる。複数の関節を備えるロボット装置の場合、そのロボット装置は各関節(各軸)又は一部の関節に本実施形態のエンコーダ装置ECが配置される。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。