[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。このエンコーダ装置ECは、移動部の位置情報(移動位置情報)を検出する。エンコーダ装置ECは、例えばロータリーエンコーダである。移動部は、例えばモータM(動力供給部)の回転軸SFであり、移動部の移動は、例えば所定の軸まわりの回転である。また、移動部の位置情報は、例えば、回転軸SFの回転位置情報である。
回転軸SFは、例えばモータMのシャフト(回転子)であるが、モータMのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続されるとともに負荷に接続される作用軸(出力軸)であってもよい。エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報は、モータ制御部MCに供給される。モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECから供給された回転位置情報を使って、モータMの回転を制御する。モータ制御部MCは、回転軸SFの回転を制御する。なお、エンコーダ装置ECは、例えばリニアエンコーダでもよく、リニアモータ、平面モータなどの動力供給部の移動部(移動軸)の位置情報(移動位置情報)を検出してもよい。
エンコーダ装置ECは、位置検出部1と、電力供給部2と、バッテリー監視部3とを備える。位置検出部1は、回転軸SFの回転位置情報を検出する。電力供給部2は、位置検出部1へ電力を供給する。電力供給部2は、信号発生部4、切替部5、及びバッテリー6を備える。信号発生部4は、回転軸SFの回転に伴う磁界の変化によって検出信号が発生する。バッテリー6は、信号発生部4における検出信号の発生(出力)に基づいて、位置検出部1へ電力を供給する。
バッテリー監視部3(例、後述のバッテリー検出部51)は、バッテリー6の状態を検出する。バッテリー監視部3は、例えば、バッテリー6の寿命に関する情報(以下、寿命情報という)を検出、あるいは算出する。寿命情報は、例えば、放電終止電圧に達する時間、バッテリー6の残量、バッテリー6から供給される電力によって位置検出部1が動作可能な時間、及びバッテリー6から供給される電力が位置検出部の消費電力に対して不足する時期の少なくとも1つを含む。バッテリー監視部3は、例えば、算出した寿命情報を外部へ出力(例、報知)する。例えば、バッテリー監視部3は、バッテリー6の交換の要否を示す情報を含めた寿命情報を出力する。また、例えば、バッテリー6の状態は、温度や湿度などの環境状態、電圧や電気などの電気的パラメータ、又は温度や電圧のようなバッテリーの自己放電に関係する状態などを含む。そして、本実施形態におけるバッテリー6の状態は、バッテリー寿命の指標となり、上記寿命情報の算出に用いられる。
以下、エンコーダ装置ECの各部について説明する。位置検出部1は、回転軸SFの回転位置情報を検出する。本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、多回転アブソリュートエンコーダであり、回転軸SFの回転の数を示す多回転情報、および1回転未満の角度位置(回転角)を示す角度位置情報を含む回転位置情報を検出する。位置検出部1は、回転軸SFの多回転情報を検出する多回転情報検出部1A、及び回転軸SFの角度位置を検出する角度検出部1Bを備える。
位置検出部1の少なくとも一部(例、角度検出部1B)は、例えば、第1電源8から電力が供給される通常状態において、第1電源8から供給される電力によって回転軸SFの回転位置情報を検出する。第1電源8は、例えば、エンコーダ装置ECが搭載される装置(例、駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の主電源であり、通常状態において回転軸SFの駆動に消費される電力を供給する。例えば、モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECの検出結果に基づいて、第1電源8からの電力を調整してモータMに供給することで、回転軸SFの回転を制御する。
位置検出部1は、第1電源8の電力が投入されている状態(第1電源8がオンになっている状態、通常状態)で、第1電源8から電力の供給を受けて動作する。また、第1電源8の電力が位置検出部1に投入されている状態において、角度検出部1B(又はその回路)は動作できる。例えば、第1電源8の電力が位置検出部1に投入された通常状態になった場合に、角度検出部1Bは角度位置情報の検出(例、演算)を開始し、同様に多回転情報検出部1Aも多回転情報の検出(例、センサによる検出、検出結果の処理、演算)を開始する。
また、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部1A)は、例えば、第1電源8からの電力の供給が遮断された状態(例、第1電源8の電力が投入されていない状態、第1電源8がオフになっている状態、バックアップ状態)において、第1電源8とは異なる第2電源(例、バッテリー6)から供給される電力によって動作する。例えば、位置検出部1に対して第1電源8からの電力の供給が断たれた状態において、電力供給部2は、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部1A)に対して検出信号をもとに断続的(間欠的、選択的)に電力を供給し、位置検出部1は、電力供給部2から電力が供給された際に回転軸SFの回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を検出する。
また、第1電源8の電力が投入されていない状態において、多回転情報検出部1A(又はその回路)は動作できる。例えば、第1電源8の電力が投入されていなく第2電源(例、バッテリー6)から電力が供給されたバックアップ状態になった場合に、多回転情報検出部1Aは多回転情報の検出を継続するが、角度検出部1Bは角度位置情報の検出を停止する。このように、多回転情報検出部1Aは、検出信号に基づき、電源(第1電源8、バッテリー6等の第2電源など)のオンオフ状態(通常状態およびバックアップ状態)に関係なく、多回転情報の検出を行う。
多回転情報検出部1Aは、例えば、磁気式の検出部であり、磁気によって多回転情報を検出する。多回転情報検出部1Aは、例えば、磁石11、磁気センサ12、処理部13、及び記憶部14を備える。
磁石11は、例えば、回転軸SFに固定されたスケールSに設けられる。スケール(この場合、円板)Sは回転軸SFとともに回転するため、磁石11は回転軸SFと連動して回転(移動)する。磁石11は回転軸SFの外部に固定され、磁石11および磁気センサ12は、回転軸SFの回転によって互いの相対位置が変化する。磁石11が形成する磁気センサ12上の磁界の強さおよび向きは、回転軸SFの回転によって変化する。
磁気センサ12は、磁石11が形成する磁界を検出し、処理部13は、磁石が形成する磁界を磁気センサ12が検出した結果に基づいて、回転軸SFの位置情報(例、多回転情報)を検出(算出)する。処理部13は、例えば、多回転情報を処理する多回転処理部である。記憶部14は、処理部13からの位置情報(例、多回転情報)の記憶指示(データの書き込み指令)に基づいて、処理部13が検出して処理した位置情報を記憶する。なお、磁石11は磁気センサ12又は信号発生部4に対して相対的な移動が可能であればよく、例えば、磁気センサ12がスケールSに設けられ、磁石11がスケールSの外部に設けられてもよい。
角度検出部1Bは、光学式または磁気式のエンコーダであり、スケールSの一回転内の位置情報(角度位置情報、絶対又は相対位置情報)を検出する。例えば、角度検出部1Bは、光学式のエンコーダである場合、スケール(この場合、円板)Sのパターンニング情報を受光素子で読み取ることにより、回転軸SFの1回転以内の角度位置情報を検出する。スケールSのパターンニング情報は、例えばスケールS上のスリット(透過パターン)又は反射パターン等による明暗のパターンである。角度検出部1Bは、多回転情報検出部1Aの検出対象と同じ回転軸SFの角度位置情報を検出する。
角度検出部1Bは、スケールS、発光素子21、受光センサ22、及び処理部23を備える。スケールSは、回転軸SFに固定されて設けられている。スケールSは、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSを含む。インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSは、例えば、スケールSにおいて磁石11と同じ側の面に設けられる。インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSは、例えば、回転軸SFに関する放射方向(例、径方向)において、磁石11の外側に配置される。アブソリュートパターンABSは、例えば、回転軸SFに関する放射方向(例、径方向)において、インクリメンタルパターンINCの外側に配置される。
なお、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSの一方または双方は、スケールSにおいて磁石11と同じ側の面又は反対側の面に設けられていてもよい。また、インクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSの一方または双方は、磁石11の位置に対して内側と外側との少なくとも一方に設けられていてもよい。また、磁石11は、スケールSと別の部材に設けられてもよい。例えば、スケールSは、移動体(例、回転軸SF)に固定された第1の移動体(例、第1の回転体)であって、磁石11は、移動体(例、回転軸SF)に固定された第2の移動体(例、第2の回転体)に設けられてもよい。上記の第1の移動体は、第2の移動体と一体化(ユニット化)されてもよい。
発光素子21(照射部、発光部)は、スケールSのインクリメンタルパターンINC及びアブソリュートパターンABSに光を照射する。受光センサ22(光検出部)は、発光素子21から照射されインクリメンタルパターンINCを経由した光、及び発光素子21から照射されアブソリュートパターンABSを経由した光を検出する。図1において、角度検出部1Bは反射型であり、受光センサ22は、スケールSで反射した光を検出する。角度検出部1Bは透過型であってもよく、この場合、受光センサ22は、スケールSを透過した光を検出する。
受光センサ22は、検出結果を示す信号を処理部23へ供給する。処理部23は、受光センサ22の検出結果を使って、回転軸SFの角度位置を検出する。例えば、処理部23は、アブソリュートパターンABSからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置情報を検出する。また、処理部23は、インクリメンタルパターンINCからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置情報に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置情報を検出する。
本実施形態において、エンコーダ装置ECは、信号処理部25を備える。信号処理部25は、処理部13から出力される信号、及び処理部23から出力される信号を処理する。信号処理部25は、合成部26および通信部27を備える。信号処理部25は、例えば、その少なくとも一部が処理基板部Kに設けられる。信号処理部25の少なくとも一部は、処理基板部Kと別の部分に設けられてもよい。
合成部26は、処理部23が検出した第2分解能の角度位置情報を取得する。また、合成部26は、多回転情報検出部1Aの記憶部14から回転軸SFの多回転情報を取得する。合成部26は、処理部23からの角度位置情報、及び多回転情報検出部1Aからの多回転情報を合成し、回転軸SFの回転位置情報を算出する。例えば、処理部23の検出結果がθ[rad]であり、多回転情報検出部1Aの検出結果がn回転である場合に、合成部26は、回転位置情報として(2π×n+θ)[rad]を算出する。回転位置情報は、多回転情報と、1回転未満の角度位置情報とを組にした情報でもよい。
そして、合成部26は、算出した回転位置情報を通信部27に送信する。通信部27(外部通信部、外部接続インターフェース)は、有線または無線によって、モータ制御部MCの通信部MC1と通信可能に接続されている。通信部27は、デジタル形式の回転位置情報を、モータ制御部MCの通信部MC1に供給する。モータ制御部MCは、角度検出部1Bの通信部27からの回転位置情報を適宜復号する。モータ制御部MCは、回転位置情報を使ってモータMへ供給される電力(駆動電力)を制御することにより、モータMの回転を制御する。
電力供給部2は、第1電源8からの電力の供給が遮断された状態(例、第1電源8の電力が投入されていない状態、第1電源8がオフになっている状態、バックアップ状態)において、電力を供給する。
信号発生部4は、移動部(例、回転軸SF)の移動(例、回転)に伴う磁界の変化によって電気信号(検出信号)が発生する。この電気信号は、例えば、電力(電流、電圧)が時間変化する波形を含む。信号発生部4には、例えば、回転軸SFの回転に伴って変化する磁界によって、電気信号として検出信号が発生する。例えば、信号発生部4には、多回転情報検出部1Aが回転軸SFの多回転情報の検出に用いる磁石11が形成する磁界の変化によって、検出信号が発生する。信号発生部4は、回転軸SFの回転によって、磁石11との相対的な角度位置が変化するように、配置される。信号発生部4には、例えば、信号発生部4と磁石11との相対位置が所定の位置になった際に、パルス状の電気信号が発生する。
バッテリー6は、バックアップ状態において、信号発生部4で発生する検出信号に応じて、位置検出部1で消費される電力の少なくとも一部を供給する。バッテリー6は、例えばボタン型電池、乾電池などの一次電池であるが、リチウムイオン二次電池などの二次電池でもよい。
切替部5は、信号発生部4で発生した検出信号を制御信号に用いてバッテリー6から位置検出部1への電力の供給の有無を切り替える。例えば、切替部5は、信号発生部4で発生する電気信号のレベルが閾値以上になることでバッテリー6から位置検出部1への電力の供給を開始させる。例えば、切替部5は、信号発生部4で閾値以上の検出信号が発生することでバッテリー6から位置検出部1への電力の供給を開始させる。
また、切替部5は、信号発生部4で発生する電気信号のレベルが閾値未満になることでバッテリー6から位置検出部1への電力の供給を停止させる。例えば、切替部5は、信号発生部4で発生する検出信号が閾値未満になることでバッテリー6から位置検出部1への電力の供給を停止させる。例えば、信号発生部4にパルス状の電気信号が発生する場合、切替部5は、この電気信号のレベル(電位)がローレベルからハイレベルに立ち上がった際に、バッテリー6から位置検出部1への電力の供給を開始させ、この電気信号のレベル(電位)がローレベルへ変化してから所定の時間経過後に、バッテリー6から位置検出部1への電力の供給を停止させる。
なお、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力を位置検出部1に供給してもよい。例えば、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力と、バッテリー6からの電力とを併用してあるいは切り替えて、位置検出部1に供給してもよい。
図2は、本実施形態に係る磁石11、磁気センサ12、及び信号発生部4を示す図である。図2(A)には磁石11、磁気センサ12、及び信号発生部4の斜視図を示し、図2(B)には回転軸SFの方向から見た磁石11、磁気センサ12、及び信号発生部4の平面図を示した。また、図2(C)には、第1磁気センサ12aの回路構成を示した。
磁石11は、回転によって回転軸SFに対する放射方向(径方向)における磁界の向きおよび強さが変化するように構成される。磁石11は、例えば回転軸SFと同軸の円環状の部材である。磁石11の主面(表面および裏面)は、それぞれ、回転軸SFとほぼ垂直である。図2(B)に示すように、磁石11は、4極に着磁した永久磁石である。磁石11は、その内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向にN極とS極が並んでおり、内周側と外周側とで位相が180°ずれている。磁石11において、内周側におけるN極とS極との境界は、外周側におけるN極とS極との境界と、周方向の位置(角度位置)がほぼ一致している。
以下の説明において、回転軸SFの先端側(図1のモータMと反対側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転という。また、順回転の角度を正の値で表し、逆回転の角度を負の値で表す。なお、回転軸SFの基端側(図1のモータM側)から見た場合の、反時計回りの回転を順回転、時計回りの回転を逆回転と定義してもよい。
ここで、磁石11に固定した座標系において、周方向におけるN極とS極との1つの境界の角度位置を位置11aで表し、位置11aから90°回転した角度位置を位置11bで表す。また、位置11bから90°回転した角度位置を位置11cで表し、位置11cから90°回転した位置を位置11dで表す。位置11cは、周方向におけるN極とS極とのもう一つの境界の角度位置である。
位置11aから反時計回りに180°の第1区間において、磁石11の外周側にN極が配置されており、磁石11の内周側にS極が配置されている。この第1区間において、磁界の径方向の向きは、概ね磁石11の外周側から内周側へ向かう向きである。第1区間において、磁界の強さは、位置11bにおいて最大となり、位置11aの近傍および位置11cの近傍で最小となる。
位置11cから反時計回りに180°の第2区間において、磁石11の内周側にN極が配置されており、磁石11の外周側にS極が配置されている。この第2区間において、磁界の径方向の向きは、磁石11の内周側から外周側へ向かう向きである。第2区間において、磁界の強さは、位置11dにおいて最大となり、位置11aの近傍および位置11cの近傍で最小となる。
このように、磁石11が形成する磁界の径方向の向きは、位置11aにおいて反転し、位置11cにおいて反転する。磁石11は、磁石11の外部に固定された座標系に対し、磁石11の回転に伴って径方向の磁界の向きが反転する交流磁界を形成する。信号発生部4は、磁石11の主面の法線方向から見て磁石11と重なる位置に配置されている。
本実施形態において、信号発生部4は、第1信号発生部4aおよび第2信号発生部4bを備える。第1信号発生部4aおよび第2信号発生部4bは、それぞれ、電気信号を発生するユニットであり、磁石11と非接触に設けられる。第1信号発生部4aは、第1感磁性部41および第1発電部42を備える。第1感磁性部41および第1発電部42は、磁石11の外部に固定されており、磁石11の回転に伴って磁石11上の各位置との相対位置が変化する。例えば、図2(B)では、第1信号発生部4aから反時計回りに45°の位置に、磁石11の位置11bが配置されており、この状態から磁石11が順方向(反時計回り)に1回転すると、信号発生部4の近傍を位置11b、位置11c、位置11d、位置11aが、この順に通過する。
第1感磁性部41は、ウィーガントワイヤなどの感磁性ワイヤ(磁性体)である。第1感磁性部41には、磁石11の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)が生じる。第1感磁性部41は、円柱状の部材であり、その軸方向が磁石11の径方向に設定されている。第1感磁性部41は、その軸方向に交流磁界が印加され磁界が反転する際に、軸方向の一端から他端に向かう磁壁が発生する。
第1発電部42は、第1感磁性部41に巻き付けられて配置される高密度コイルなどである。第1発電部42には、第1感磁性部41における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる。信号発生部4は、磁石11が所定の位置に配置された際に、検出信号が発生する。例えば、図2(B)に示した磁石11の位置11aまたは位置11cが信号発生部4の近傍を通過する際に、第1発電部42にパルス状の電流(電気信号)が発生する。また、第1発電部42は、大バルクハウゼンジャンプを利用して正パルスや負パルス等の検出パルスを含む検出信号を出力可能であり、外部(例、図1の第1電源8)からの電力供給がなくても動作可能である。
第1発電部42に発生する電流の向きは、磁界の反転前後の向きに応じて変化する。例えば、磁石11の外側を向く磁界から内側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きは、磁石11の内側を向く磁界から外側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きの反対になる。第1発電部42に発生する電力(誘導電流)は、例えば高密度コイルの巻き数により設定できる。
図2(A)に示すように、第1感磁性部41および第1発電部42は、ケース43に収納されている。ケース43には端子43aおよび端子43bが設けられている。第1発電部42の高密度コイルは、その一端が端子43aと接続され、その他端が端子43bと接続されている。第1発電部42で発生した電力は、端子43aおよび端子43bを介して、第1信号発生部4aの外部へ取り出し可能である。
第2信号発生部4bは、第1信号発生部4aが配置される角度位置から0°より大きく180°よりも小さい角度をなす角度位置に、配置される。第1信号発生部4aの角度位置と第2信号発生部4bの角度位置との角度は、45°以上135°以下の範囲から選択され、図2(B)では約90°である。第2信号発生部4bは、第1信号発生部4aと同様の構成である。第2信号発生部4bは、第2感磁性部45および第2発電部46を備える。第2感磁性部45および第2発電部46は、それぞれ、第1感磁性部41および第1発電部42と同様であり、その説明を省略する。第2感磁性部45および第2発電部46は、ケース47に収納されている。ケース47には端子47aおよび端子47bが設けられている。第2発電部46で発生した電力は、端子47aおよび端子47bを介して、第2信号発生部4bの外部へ取り出し可能である。
なお、上述の信号発生部4の構成は一例であり、その構成は適宜変更可能である。例えば、信号発生部4は、大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)を利用しない電磁誘導によって電力を発生してもよい。また、信号発生部4が備える発電ユニットの数は、適宜変更可能であり、例えば、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、信号発生部4の配置についても適宜変更可能である。
磁気センサ12は、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bを含む。第1磁気センサ12aは、回転軸SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部4a)に対して0°より大きく90°未満の角度位置で配置される。第2磁気センサ12bは、回転軸SFの回転方向において、第1感磁性部41(第1信号発生部4a)に対して90°より大きく180°未満の角度位置で配置される。
図2(C)に示すように、第1磁気センサ12aは、磁気抵抗素子48と、磁気抵抗素子48に一定の強さの磁界を与えるバイアス磁石(図示せず)と、磁気抵抗素子48からの波形を整形する波形整形回路(図示せず)とを備える。磁気抵抗素子48は、エレメント49a、エレメント49b、エレメント49c、及びエレメント49dを直列に結線したフルブリッジ形状である。エレメント49aとエレメント49cとの間の信号線は、電源端子48pに接続されている。エレメント49bとエレメント49dとの間の信号線は、接地端子48gに接続されている。エレメント49aとエレメント49bとの間の信号線は、第1出力端子48aに接続されている。エレメント49cとエレメント49dとの間の信号線は、第2出力端子48bに接続されている。第2磁気センサ12bは、第1磁気センサ12aと同様の構成である。
図1の説明に戻り、バッテリー監視部3は、バッテリー6の状態を監視する。バッテリー監視部3は、バッテリー検出部51、及び寿命算出部52を備える。バッテリー検出部51は、バッテリー6の状態を検出する。例えば、バッテリー検出部51は温度センサ53を含み、温度センサ53は、バッテリー6の状態として、バッテリー6の温度を検出する。バッテリー検出部51がバッテリー6の状態を検出するタイミングは、任意に設定される。例えば、バッテリー検出部51は、第1電源8から電力供給を受けている状態で、任意のタイミングで検出動作を行ってもよく、検出動作を行う回数は1回でもよいし、2回以上でもよい。例えば、バッテリー検出部51は、第1電源8から電力供給を受けている状態において、信号発生部4から出力される検出信号に関わらず検出動作を実施してもよいし、該検出信号に応じて検出動作を実施してもよい。また、例えば、バッテリー6の温度は、バッテリー6自体の温度、バッテリー6の周囲や近傍の温度、バッテリー6を備えるエンコーダ装置ECの内部の温度を含む。
寿命算出部52は、例えば、エンコーダ装置EC又はバッテリー6の使用環境に応じたバッテリー6の寿命情報を算出(例、推定)する。寿命算出部52は、バッテリー検出部51の検出結果に基づいて、バッテリー6の寿命情報を算出する。例えば、寿命算出部52は、バッテリー検出部51の検出結果に基づいて、バッテリー6における消費電力の少なくとも一部の推定値を算出する。バッテリー6の消費電力は、例えば、バッテリー6が位置検出部1へ供給する供給電力と、供給電力以外で消費される待機電力とを含む。待機電力は、例えば供給電力よりも大きい。寿命算出部52は、例えば、上記の消費電力のうち待機電力の推定値を算出する。所定の期間における待機電力は、例えば、所定の期間におけるバッテリー6の自己放電率、及び所定の期間の長さに依存する。
所定の期間におけるバッテリー6の自己放電率は、例えば、所定の期間におけるバッテリー6の温度などの環境状態に依存する。寿命算出部52は、例えば、温度センサ53の検出結果を用いて、所定の期間におけるバッテリー6の自己放電率を取得する。例えば、バッテリー6の温度と自己放電率との関係を示す温度特性情報(例、テーブルデータ、数式)は、エンコーダ装置ECの図示しない記憶部に予め記憶され、寿命算出部52は、この記憶部から温度特性情報を取得する。寿命算出部52は、例えば、温度特性情報と、温度センサ53の検出結果とを用いて、所定の期間におけるバッテリー6の自己放電率を取得する。例えば、寿命算出部52は、温度センサ53が今回検出したバッテリー6の温度を温度特性情報に照合して、所定の期間におけるバッテリー6の自己放電率を取得する。
なお、寿命算出部52は、温度センサ53の検出結果から算出される値を用いて、所定の期間における自己放電率を取得してもよい。例えば、寿命算出部52は、温度センサ53の前回の検出結果と今回の検出結果から値(例、平均値、最大値、最小値)を算出し、この算出値を温度特性情報に照合して、所定の期間における自己放電率を取得してもよい。また、寿命算出部52は、例えば補間などの演算を行って、所定の期間におけるバッテリー6の自己放電率を取得(例、算出)してもよい。このように、寿命算出部52は、取得した自己放電率に基づいて寿命情報を算出する。
また、寿命算出部52は、例えば、温度センサ53がバッテリー6の検出を行うタイミングに基づいて、所定の期間の長さを算出する。この所定の期間は、例えば、寿命算出部52が今回算出する待機電力が消費される期間の開始時から終了時までの期間である。所定の期間の開始時は、例えば、温度センサ53が前回の検出結果を出力した時である。また、所定の期間の終了時は、例えば、温度センサ53が今回の検出結果を出力した時である。
寿命算出部52は、例えば、温度センサ53から検出結果が出力された際に、時刻情報(例、実時刻、リアルタイムクロック)を取得し、時刻情報を用いて上記の所定の期間の長さを算出する。例えば、寿命算出部52は、例えば、温度センサ53から前回の検出結果が出力された際に取得した実時刻と、温度センサ53から今回の検出結果が出力された際に取得した実時刻との差分を算出することで、上記の所定の期間の長さを算出する。
例えば、寿命算出部52は、上記の時刻情報を、通信部27を介してモータ制御部MC1から取得する。寿命算出部52は、モータ制御部MC1以外のデバイスから時刻情報を取得してもよい。例えば、バッテリー監視部3は、時間を測定する計時デバイス(例、タイムカウンタ)を備え、寿命算出部52は、この計時デバイスから時刻情報を取得してもよい。また、寿命算出部52は、時刻情報の代わりに上記の計時デバイスから経過時間(例、所定の期間の長さ)を取得してもよい。例えば、上記の計時デバイスは、寿命算出部52に経過時間を出力した際に、カウンタをリセットして次の経過時間の測定を開始してもよい。上記の計時デバイスは、バッテリー監視部3の外部に設けられてもよい。
また、寿命算出部52は、バッテリー6の寿命情報として、例えばバッテリー6の残量の推定値を算出する(バッテリー6の残量を推定する)。例えば、寿命算出部52は、所定の期間における自己放電率、及び所定の期間の長さを用いて、所定の期間における待機電力を算出し、算出した待機電力を用いてバッテリー6の残量の推定値を算出する(バッテリー6の残量を推定する)。所定の期間における待機電力は、例えば、所定の期間における位置検出部1への供給電力以外の要因によるバッテリー6の残量の減少分に相当する。寿命算出部52は、例えば、前回の所定の期間の終了時におけるバッテリー6の残量から今回の所定の期間における待機電力を差し引くことで、今回の所定の期間の終了時におけるバッテリー6の残量の推定値を算出する。
また、寿命算出部52は、バッテリーの寿命情報として、例えばバッテリーから供給される電力によって位置検出部が動作可能な時間(以下、動作可能時間という)の推定値を算出する。例えば、寿命算出部52は、算出したバッテリー6の残量の推定値を、今回の所定の期間における待機電力の推定値で除算し、この除算値に今回の所定の期間の長さを乗算することで、上記の動作可能時間の推定値を算出する。なお、寿命算出部52は、他の算出方法で動作可能時間の推定値を算出してもよく、例えば位置検出部1への供給電力を加味して動作可能時間の推定値を算出してもよい。
また、寿命算出部52は、バッテリーの寿命情報として、例えばバッテリー6から供給される電力が位置検出部1の消費電力に対して不足する時期(以下、電力不足時点という)の推定値を算出する。例えば、寿命算出部52は、算出した動作可能時間の推定値を、今回取得した時刻情報に加算することで、上記の電力不足時点を算出する。なお、寿命算出部52は、他の算出方法で電力不足時点の推定値を算出してもよい。
なお、寿命算出部52は、上記のバッテリーの残量の推定値、放電終止電圧に達する時間、動作可能時間の推定値、及び電力不足時期の推定値の少なくとも1つを算出しなくてもよい。また、寿命算出部52は、バッテリー6の寿命情報として、上記のバッテリーの残量の推定値、動作可能時間の推定値、及び電力不足時期の推定値以外の値を算出してもよい。例えば、寿命算出部52は、バッテリーの残量、放電終止電圧に達する時間、動作可能時間、あるいは電力不足時期のレベル(程度)を2または3以上の段階で表す情報を算出してもよい。
バッテリー監視部3は、例えば、第1電源8から位置検出部1へ電力が供給される状態で動作する。バッテリー監視部3は、例えば、第1電源8から電力供給を受けて、この電力を用いて動作する。例えば、バッテリー監視部3は、通常状態において第1電源8から電力供給を受けて動作し、バックアップ状態において動作(例、バッテリー検出部51の検出、寿命算出部52の算出などの動作)を停止する。なお、バッテリー監視部3の少なくとも一部は、第1電源8から位置検出部1へ電力供給が遮断される状態で動作してもよい。バッテリー監視部3の少なくとも一部は、第1電源8と異なる第2電源(例、バッテリー6)から電力供給を受けて、この電力を用いて動作してもよい。
そして、バッテリー監視部3は、例えば、寿命算出部52が算出したバッテリー6の寿命情報を、バッテリー監視部3の外部に報知(例、送信、出力)する。例えば、通信部27は、寿命算出部52が算出したバッテリー6の寿命情報をモータ制御部MC1に送信する。例えば、通信部27は、バッテリー6の寿命情報を複数のレベルで表した報知情報を送信する。例えば、バッテリー監視部3(例、寿命算出部52)は、例えば、寿命情報を所定値と比較し、その比較結果に基づいて報知情報を出力し、通信部27は、この報知情報をモータ制御部MC1へ送信する。例えば、バッテリー監視部3(例、寿命算出部52)は、寿命算出部52が算出したバッテリー6の残量の推定値が所定値未満である場合、バッテリー6の残量の推定値が所定値未満であることを示す報知情報を出力する。また、バッテリー監視部3は、算出された寿命情報をもとにバッテリー6の交換又はその交換時期を知らせる報知情報を外部へ出力する。
上記の報知情報は、例えば、位置検出部1で消費される電力に対してバッテリー6から供給される電力が不足する可能性があることを示すワーニング信号を含んでもよい。また、上記の報知信号は、例えば、位置検出部1で消費される電力に対してバッテリー6から供給される電力が不足していることを示すアラーム信号を含んでもよい。また、上記の報知情報は、バッテリー6の交換が推奨されることを音あるいは光などで報知する際の制御信号(例、報知信号)を含んでもよい。
なお、バッテリー監視部3は、上記の報知情報を出力しなくてもよい。例えば、モータ制御部MC1は、エンコーダ装置ECからバッテリー6の状態(例、温度、電圧)の情報を取得し、バッテリー6の状態の情報を用いて上記の報知情報(例、報知信号)を生成してもよい。モータ制御部MC1は、上記の報知情報(例、報知信号)を、モータ制御部MC1の外部の装置へ出力してもよい。
また、モータ制御部MC1は、寿命情報を、報知情報の生成以外の用途で利用してもよい。例えば、モータ制御部MC1は、寿命算出部52が算出したバッテリー6の寿命情報を用いて、エンコーダ装置ECが備えられた装置(例、駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の異常を検出してもよい。例えば、バッテリー監視部3からのバッテリー6の寿命情報が所定値未満である場合、エンコーダ装置ECが備えられた装置においてエンコーダ装置ECが取り付けられた部分に異常があると判定してもよい。また、モータ制御部MC1は、寿命算出部52が算出したバッテリー6の寿命情報を用いた異常の検出結果を外部へ報知してもよい。また、モータ制御部MC1は、寿命算出部52が算出したバッテリー6の寿命情報を制御などに利用してもよい。
なお、エンコーダ装置ECは、寿命算出部52を備えなくてもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、バッテリー検出部51がバッテリー6の状態(例、温度)を検出した検出結果を、エンコーダ装置ECの外部装置(例、モータ制御部MC1)に出力し、この外部装置が、バッテリー検出部51の検出結果を処理してもよい。この場合、例えば、寿命算出部52は、上記の外部装置(例、モータ制御部MC1)に設けられてもよい。例えば、寿命算出部52は、モータ制御部MC1に設けられ、エンコーダ装置ECから出力されるバッテリー6の状態(例、温度)の情報を用いて、バッテリー6の寿命情報を算出してもよい。なお、バッテリー6の状態は、上記の温度だけでなく、湿度や気圧などの環境状態を含めてもよい。この場合、例えば、エンコーダ装置ECは、バッテリー検出部51として湿度センサや気圧計などを備える構成であってもよく、上記の温度センサと同様な機能を担う構成でよい。
次に、実施形態に係るエンコーダ装置ECの回路構成について説明する。図5は、本実施形態に係る位置検出部1(例、多回転情報検出部1A)および電力供給部2の回路構成を示す図である。電力供給部2は、第1信号発生部4a、整流スタック61、第2信号発生部4b、整流スタック62、及びバッテリー6を備える。また、電力供給部2は、図1の切替部5としてレギュレータ63を備える。
整流スタック61は、第1信号発生部4aから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック61の第1入力端子61aは、第1信号発生部4aの端子43aと接続されている。整流スタック61の第2入力端子61bは、第1信号発生部4aの端子43bと接続されている。整流スタック61の接地端子61gは、シグナルグランドSGと同電位が供給される接地線GLに接続されている。多回転情報検出部1Aの動作時に、接地線GLの電位は、回路60の基準電位になる。整流スタック61の出力端子61cは、レギュレータ63の制御端子63cに接続されている。
整流スタック62は、第2信号発生部4bから流れる電流を整流する整流器である。整流スタック62の第1入力端子62aは、第2信号発生部4bの端子47aと接続されている。整流スタック62の第2入力端子62bは、第2信号発生部4bの端子47bと接続されている。整流スタック62の接地端子62gは、接地線GLに接続されている。整流スタック62の出力端子62cは、レギュレータ63の制御端子63cに接続されている。
レギュレータ63は、バックアップ状態において、このレギュレータ63のオン状態及びオフ状態に応じて、バッテリー6から位置検出部1へ供給される電力を調整する。レギュレータ63は、バッテリー6と位置検出部1との間の電力の供給経路に設けられるスイッチ(例、スイッチング素子64)を含む。レギュレータ63は、信号発生部4で発生する電気信号(検出信号)を制御信号(例、イネーブル信号)に用いてスイッチング素子64の動作を制御する。
レギュレータ63の入力端子63aは、バッテリー6に接続されている。レギュレータ63の出力端子63bは、電源線PLに接続されている。レギュレータ63の接地端子63gは、接地線GLに接続されている。レギュレータ63の制御端子63cはイネーブル端子であり、レギュレータ63は、制御端子63cに閾値以上の電圧が印加された状態で、出力端子63bの電位を所定電圧に維持する。レギュレータ63の出力電圧(上記の所定電圧)は、計数部67がCMOSなどで構成される場合に例えば3Vである。記憶部14の動作電圧は、例えば、所定電圧と同じ電圧に設定される。なお、所定電圧は、電力供給に必要な電圧であり、一定の電圧値でもよいし、段階的に変化する電圧でもよい。
スイッチング素子64(スイッチ)は、位置検出部1に電力を供給する回路60の導通と遮断とを切替える。回路60は、例えば、第2電源(例、バッテリー6)の第1電極(正極)と第2電極(負極)とを結ぶ電力の供給経路を構成し、電源線PLおよび接地線GLを含む。接地線GLは、例えば、バッテリー6の負極と接続され、その電位が回路60の基準電位となる。スイッチング素子64は、例えば、バッテリー6から回路60を介した位置検出部1への電力の供給の有無を切替える。
レギュレータ63は、信号発生部4から制御端子63cに供給される電気信号を制御信号(イネーブル信号)に用いて、スイッチング素子64の第1端子64aと第2端子64bとの間の導通状態(オン状態)と絶縁状態(オフ状態)とを切り替える。例えば、スイッチング素子64は、MOS、TFTなどを含み、第1端子64aと第2端子64bとはソース電極とドレイン電極であり、制御端子64cがゲート電極である。
制御端子64cは、信号発生部4で発生する電気信号(検出信号)によって充電される。スイッチング素子64は、制御端子64cの電圧に応じて回路60を導通へ切替える。例えば、スイッチング素子64は、制御端子64cの電位が回路60の基準電位である状態で回路60を遮断している。また、スイッチング素子64は、制御端子64cの電圧が所定値以上になることで、第1端子64aと第2端子64bとの間が導通状態(オン状態)になる。回路60を導通へ切替える。第1端子64aと第2端子64bとの間がオン状態になると、バッテリー6から、電源線PLおよび接地線GLを介して回路60に電力が供給される。なお、電力供給部2は、レギュレータ63のオン状態及びオフ状態を取得する手段を備えてもよい。
また、多回転情報検出部1Aは、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bを含む。例えば、多回転情報検出部1Aは、図1に示した処理部13として、アナログコンパレータ65、アナログコンパレータ66、及び計数部67を含む。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、それぞれ、回転軸SFを検出するセンサである。第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、回転軸SFに取り付けられた磁石11が形成する磁界を検出することで、回転軸SFを検出する。バックアップ状態において、第1磁気センサ12aおよび第2磁気センサ12bは、それぞれ、バッテリー6から供給される電力を用いて、磁石11が形成する磁界を検出する。
第1磁気センサ12aの電源端子55pは、電源線PLに接続されている。第1磁気センサ12aの接地端子55gは、接地線GLに接続されている。第1磁気センサ12aの出力端子55cは、アナログコンパレータ65の入力端子65aに接続されている。出力端子55cは、例えば、図2(C)に示した第2出力端子48bの電位と基準電位との差に相当する電圧を出力する。
アナログコンパレータ65は、第1磁気センサ12aから出力される電圧を二値化する二値化部である。アナログコンパレータ65は、例えば比較器であり、第1磁気センサ12aから出力される電圧を所定電圧と比較する。アナログコンパレータ65の電源端子65pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ65の接地端子65gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ65の出力端子65bは、計数部67の第1入力端子67aに接続されている。アナログコンパレータ65は、第1磁気センサ12aの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子からLレベルの信号を出力する。
第2磁気センサ12bおよびアナログコンパレータ66は、第1磁気センサ12aおよびアナログコンパレータ65と同様の構成である。第2磁気センサ12bの電源端子56pは、電源線PLに接続されている。第2磁気センサ12bの接地端子56gは、接地線GLに接続されている。第2磁気センサ12bの出力端子56cは、アナログコンパレータ66の入力端子66aに接続されている。アナログコンパレータ66の電源端子66pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ66の接地端子66gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ66の出力端子66bは、計数部67の第2入力端子67bに接続されている。アナログコンパレータ66は、第2磁気センサ12bの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子からHレベルの信号を出力し、閾値未満である場合に出力端子66bからLレベルの信号を出力する。
計数部67は、回転軸SFの多回転情報を、バッテリー6から供給される電力を用いて計数する。計数部67は、例えばCMOS論理回路などを含む。計数部67は、電源端子67pおよび接地端子67gを介して供給される電力を用いて動作する。計数部67の電源端子67pは、電源線PLに接続されている。計数部67の接地端子67gは、接地線GLに接続されている。計数部67は、第1入力端子67aを介して供給される電圧、及び第2入力端子67bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。
記憶部14は、処理部13が検出した回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を、バッテリー6から供給される電力を用いて記憶する(書き込み動作を行う)。記憶部14は、処理部13が検出した回転位置情報として、計数部67による計数の結果(多回転情報)を記憶する。記憶部14の電源端子14pは、電源線PLに接続されている。記憶部14の接地端子14gは、接地線GLに接続されている。記憶部14は、例えば不揮発性メモリを含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持可能である。なお、多回転情報検出部1Aは、レギュレータ63のオン状態及びオフ状態を取得する手段を備えてもよい。
本実施形態において、整流スタック61、整流スタック62とレギュレータ63との間には、キャパシタ69が設けられている。キャパシタ69の第1電極69aは、整流スタック61、整流スタック62とレギュレータ63の制御端子63cとを接続する信号線に接続されている。キャパシタ69の第2電極69bは、接地線GLに接続されている。このキャパシタ69は、例えば平滑キャパシタであり、脈動を低減してレギュレータの負荷を低減する。キャパシタ69の定数は、例えば、処理部13により回転位置情報を検出して記憶部14に回転位置情報を書き込むまでの期間に、バッテリー6から処理部13および記憶部14への電力供給が維持されるように設定される。
次に、少なくともバックアップ状態における電力供給部2および多回転情報検出部1Aの動作について、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの多回転情報検出部1Aの動作を代表的に説明する。図6は、回転軸SFが反時計回りに回転(順回転)するときの多回転情報検出部1Aの動作を示すタイミングチャートである。
図6の「磁界」において、実線は第1信号発生部4aの位置での磁界を示し、破線は第2信号発生部4bの位置での磁界を示す。「第1信号発生部」、「第2信号発生部」は、ぞれぞれ、第1信号発生部4aの出力、第2信号発生部4bの出力を示し、1方向に流れる電流の出力を正(+)とし、その逆方向に流れる電流の出力を負(−)とした。「イネーブル信号」は、信号発生部4で発生する電気信号によりレギュレータ63の制御端子63aに印加される電位を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。「レギュレータ」は、レギュレータ63の出力を示し、ハイレベルを「H」で表し、ローレベルを「L」で表した。
図6の「第1磁気センサ」、「第2磁気センサ」は、それぞれ、第1磁気センサ12a、第2磁気センサ12bの出力を実線で示す。「第1磁気センサ」、「第2磁気センサ」において点線は、常時駆動された場合の出力である。「第1アナログコンパレータ」、「第2アナログコンパレータ」は、それぞれ、アナログコンパレータ65、アナログコンパレータ66からの出力を示す。
第1信号発生部4aは、角度位置135°において、逆方向に流れる電流パルス(「第1信号発生部」の負)を出力する。また、第1信号発生部4aは、角度位置315°において、順方向に流れる電流パルス(「第1信号発生部」の正)を出力する。第2信号発生部4bは、角度位置45°において、順方向に流れる電流パルス(「第2信号発生部」の正)を出力する。また、第2信号発生部4bは、角度位置225°において、逆方向に流れる電流パルス(「第2信号発生部」の負)を出力する。そのため、イネーブル信号は、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、ハイレベルに切り替わる。また、レギュレータ63は、イネーブル信号がハイレベルに維持された状態に対応して、角度位置45°、角度位置135°、角度位置225°、角度位置315°のそれぞれにおいて、電源線PLに所定電圧を供給する。
本実施形態において、第1磁気センサ12aの出力と第2磁気センサ12bの出力は、90°の位相差を有しており、処理部13は、この位相差を利用して回転位置情報を検出する。第1磁気センサ12aの出力は、角度位置0°から角度位置180°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は角度位置45°、角度位置135°において電力を出力する。第1磁気センサ12aおよびアナログコンパレータ65は、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ65から出力される信号(以下、A相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置45°と角度位置135°のそれぞれにおいてHレベルになる。
また、第2磁気センサ12bの出力は、角度位置270°(−90°)から角度位置90°の範囲において、正のサイン波状である。この角度範囲において、レギュレータ63は、角度位置315°(−45°)、角度位置45°において電力を出力する。第2磁気センサ12bおよびアナログコンパレータ66は、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいて供給される電力により駆動される。アナログコンパレータ66から出力される信号(以下、B相信号という)は、電力供給を受けていない状態でLレベルに維持されており、角度位置315°と角度位置45°のそれぞれにおいてHレベルになる。
ここで、計数部67に供給されるA相信号がHレベル(H)であり、計数部67に供給されるB相信号がLレベルである場合に、これら信号レベルの組を(H,L)のように表す。図6では、角度位置315°において信号レベルの組が(L,H)であり、角度位置45°において信号レベルの組が(H,H)、角度位置135°において信号レベルの組が(H,L)である。
計数部67は、磁気センサ12が検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、記憶部14に信号レベルの組を記憶させる。計数部67は、次に検出したA相信号とB相信号の一方または双方がHレベルである場合に、前回のレベルの組を記憶部14から読み出し、前回のレベルの組と今回のレベルの組と比較して回転方向を判定する。
例えば、前回の信号レベルの組が(H,H)であって、今回の信号レベルが(H,L)である場合には、前回の検出において角度位置45°であり、今回の検出において角度位置135°であるので、反時計回り(順回転)であることがわかる。計数部67は、今回のレベルの組が(H,L)であって、かつ前回のレベルの組が(H,H)である場合、カウンタをアップすることを示すアップ信号を記憶部14に供給する。記憶部14は、計数部67からのアップ信号を検出した場合に、記憶している多回転情報を1増加した値に更新する。本実施形態に係る多回転情報検出部1Aは、回転軸SFの回転方向を判定しながら、多回転情報を検出できる。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、信号発生部4に電気信号が発生してから短時間のうちに、バッテリー6から多回転情報検出部1Aに電力が供給され、多回転情報検出部1Aがダイナミック駆動(間欠駆動)する。多回転情報の検出および書き込みの終了後は、多回転情報検出部1Aへの電源供給は絶たれるが、計数値は、記憶部14に格納されているので保持される。このようなシーケンスは、外部からの電力供給が絶たれた状態においても、磁石11上の所定位置が信号発生部4の近傍を通過するたびに繰り返される。
記憶部14に記憶されている多回転情報は、例えば、次にモータMが起動される際にモータ制御部MCなどに読み出され、回転軸SFの初期位置などの算出に利用される。このようなエンコーダ装置ECは、信号発生部4で発生する電気信号に応じて、位置検出部1(例、多回転情報検出部1A)で消費される電力の少なくとも一部をバッテリー6が供給するので、バッテリー6を長寿命にすることができる。バッテリー6のメンテナンス(例、交換)をなくしたり、メンテナンスの頻度を減らしたりすることができる。例えば、バッテリー6の寿命がエンコーダ装置ECの他の部分の寿命よりも長い場合、バッテリー6の交換を不要にすることもできる。
また、ウィーガントワイヤ等の感磁性ワイヤを利用すると、磁石11の回転が極めて低速であっても、信号発生部4からパルス電流の出力が得られる。そのため、例えばモータMへ電力供給がなされていない状態などにおいて、回転軸SF(磁石11)の回転が極めて低速な場合にも、信号発生部4の出力を電気信号として利用できる。
なお、多回転情報検出部1Aは、上記の実施形態において磁気式の検出部であるが、透過型又は反射型の光学式の検出部(例、スケールを介した反射光又は透過光を受光する光学センサ)であってもよい。なお、この場合、多回転情報検出部1Aの一部は、角度検出部1Bと共用であってもよい。また、電力供給部2は、信号発生部4で発生する検出信号の電力を電源に用いてもよい。例えば、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで所定電圧に調整し、検出信号の電力を位置検出部1に供給してもよい。また、上述の実施形態において、信号発生部4は、磁石11に対して所定の位置関係になった際に検出信号が発生する。エンコーダ装置EC(多回転情報検出部1A)は、信号発生部4を、回転軸SF(磁石11)の位置情報を検出するセンサとして備えてもよい。
上述のようなエンコーダ装置ECは、バッテリー検出部51がバッテリー6の状態を検出するので、例えば装置の信頼性が高い。例えば、エンコーダ装置ECは、バッテリー検出部51が検出したバッテリー6の状態(例、温度)に基づいて、寿命算出部52がバッテリー6の寿命情報を算出するので、装置の信頼性が高い。例えば、寿命算出部52が算出したバッテリー6の寿命の情報に基づいて、バッテリー6から電力供給が不能になる前に、メンテナンスを行うことができる。本実施形態のエンコーダ装置ECは、バッテリー6の寿命情報を算出できるので、バッテリー6の性能劣化を防ぎ、バッテリー6の充電又は交換を効率的に実施できる。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図5は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。本実施形態において、バッテリー検出部51は、電力検出部54を備える。
電力検出部54は、バッテリー6から出力される電力(以下、出力電圧という)を検出する。バッテリー6の出力電圧は、例えば、バッテリー6の負極と正極との間の電圧(電位差)である。電力検出部54は、例えば、バッテリー6の負極と正極との間の電圧を検出(例、測定)する。例えば、電力検出部54は、第1電源8の電力が投入される状態で、バッテリー6の出力電圧を検出する。例えば、電力検出部54は、第1電源8から位置検出部1へ電力が供給される状態で、バッテリー6の出力電圧を検出する。なお、電力検出部54は、バッテリー6から位置検出部1へ供給される電力(例、電圧、電流)を検出してもよい。
上記のようなバッテリー6の出力電圧は、バッテリー6の残量に応じて変化する。例えば、バッテリー6の残量が減少した場合、バッテリー6の出力電圧も減少する。寿命算出部52は、バッテリー検出部51が検出したバッテリー6の状態(例、出力電圧)を用いて、バッテリー6の寿命情報(例、バッテリー6の残量の推定値)を算出する。例えば、バッテリー6の出力電圧と残量との関係を示す出力特性情報(例、数式、テーブルデータ)がエンコーダ装置ECの記憶部(図示せず)に予め記憶されており、寿命算出部52は、この記憶部から出力特性情報を取得して、バッテリー6の寿命情報を算出する。例えば、寿命算出部52は、電力検出部54が検出したバッテリー6の出力電圧を上記の出力特性情報に照合して、バッテリー6の残量の推定値を算出する。寿命算出部52は、バッテリー6の残量の推定値を用いて、第1実施形態で説明した動作可能時間の推定値と電力不足時時点の推定値との一方または双方を算出してもよい。
寿命算出部52は、例えば、電力検出部54が検出した電力が閾値以下である場合に、バッテリー6の寿命情報を算出する。例えば、寿命算出部52は、電力検出部54が検出した電力が閾値を超える場合に、バッテリー6の寿命情報を算出しない。なお、寿命算出部52は、バッテリー検出部51(例、電力検出部54)がバッテリー6の状態を1回あるいは複数回検出するたびに、バッテリー6の寿命情報を算出してもよい。
なお、バッテリー検出部51は、第1実施形態で説明した温度センサ53、及び本実施形態の電力検出部54の双方を備えてもよい。寿命算出部52は、温度センサ53の検出結果および電力検出部54の検出結果の双方を用いて、バッテリー6の寿命情報を算出してもよい。また、寿命算出部52を備えなくてもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、バッテリー検出部51がバッテリー6の状態(例、出力電圧)を検出した検出結果を、エンコーダ装置ECの外部装置(例、モータ制御部MC1)に出力し、この外部装置が、バッテリー検出部51の検出結果を処理してもよい。例えば、寿命算出部52は、上記の外部装置(例、モータ制御部MC1)に設けられてもよい。例えば、寿命算出部52は、モータ制御部MC1に設けられ、エンコーダ装置ECから出力されるバッテリー6の状態(例、出力電圧)の情報を用いて、バッテリー6の寿命情報を算出してもよい。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図6は、本実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。本実施形態において、バッテリー6は、一次電池6aおよび二次電池6bを含む。二次電池6bは、例えば、第1電源8から供給される電力により充電される。二次電池6bは、第1電源8がモータMに対して電力を供給可能な状態(例、主電源がオンの状態)において、第1電源8から電力の供給を受けて充電される。二次電池6bへの充電の少なくとも一部は、信号発生部4で発生する検出信号の電力を用いて行われてもよい。
バッテリー6は、位置検出部1で消費される電力の少なくとも一部を、一次電池6aから供給することもできるし、二次電池6bから供給することもできる。バッテリー6は、一次電池6aと二次電池6bとのいずれから電力を供給するかを切替可能(選択可能)である。バッテリー6は、一次電池6aと二次電池6bとのいずれから電力を供給するかを、バッテリー検出部51の検出結果に基づいて制御される。
ここで、バッテリー6は、二次電池6bから電力を供給しているとする。バッテリー監視部3(例、寿命算出部52)は、バッテリー検出部51の検出結果に基づいて、バッテリー6において電力を供給している電池(例、二次電池)の残量の推定値を算出する。バッテリー監視部3(例、寿命算出部52)は、バッテリー6において電力を供給している電池(例、二次電池)の残量の推定値が設定値未満である場合、上記した報知情報を外部へ出力しつつ、電力を供給する電池の切替を指令する制御信号を、バッテリー6、電力供給部2又はバッテリー監視部3に送信する。バッテリー6、電力供給部2又はバッテリー監視部3は、この制御信号を受けた場合に、電力を供給する電池を切替える。例えば、バッテリー6は、二次電池6bから電力を供給している状態で上記の制御信号を受けた場合、電力を供給する電池を一次電池6aに切替える。
なお、バッテリーは自己放電によって時間とともに電気が減るため、バッテリー監視部3は、バッテリー6において電力を供給していない電池(例、二次電池6b)の状態を監視してもよい。例えば、電力検出部54は、二次電池6bの充電中に二次電池6bの出力電圧(例、電極間の電圧)を検出し、寿命算出部52は、充電中の二次電池6bの残量の推定値を算出してもよい。バッテリー監視部3は、充電中の二次電池6bの残量の推定値が所定値以上である場合、電力を供給する電池の切替を指令する制御信号を、バッテリー6、電力供給部2又はバッテリー監視部3に送信してもよい。例えば、バッテリー6、電力供給部2又はバッテリー監視部3は、一次電池から電力を供給している状態で上記の制御信号を受けた場合、電力を供給する電池を二次電池6bに切替えてもよい。
なお、バッテリー監視部3は、一次電池6aと二次電池6bとのいずれから電力を供給するかを制御しなくてもよい。例えば、バッテリー6は、バッテリー監視部3と別の装置(例、モータ制御部MC1)から、一次電池6aと二次電池6bとのいずれから電力を供給するかを指令する制御信号を受けて、電力を供給する電池を切替てもよい。例えば、寿命算出部52は、バッテリー6において電力を供給している電池の寿命の情報をモータ制御部MC1に送信し、モータ制御部MC1は、電池の寿命の情報に基づいて、一次電池6aと二次電池6bとのいずれから電力を供給するかを制御してもよい。
[駆動装置]
次に、実施形態に係る駆動装置について説明する。図7は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸SFと、回転軸SFを回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸SFの回転位置情報を検出するエンコーダ装置ECとを有している。
図7において、信号発生部4は、スケールSに対して、発光素子21および受光センサ22と同じ側に配置されている。なお、信号発生部4、スケールS、磁石11、発光素子21、及び受光センサ22の配置は、図7に示す配置に限定されず、例えば図1に示した配置でもよいし、その他の配置でもよい。例えば、信号発生部4は、スケールSに対して、発光素子21および受光センサ22と逆側の面に配置されてもよい。
回転軸SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介してスケールSが固定される。このスケールSの固定とともに、エンコーダ装置ECが取り付けられている。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態に係るエンコーダ装置である。
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、図1などに示したモータ制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。また、駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの信頼性が高いので、安定して動作可能である。なお、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
[ステージ装置]
次に、実施形態に係るステージ装置について説明する。図8は、ステージ装置STGを示す図である。このステージ装置STGは、図7に示した駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaに、ステージ(回転テーブルTB、移動物体)を取り付けた構成である。ステージ装置STGは、例えば、1次元のリニアモータによって、ステージを1方向に直線的に移動させる構成でもよい。また、ステージ装置STGは、複数の1次元のリニアモータあるいは2次元のリニアモータ(例、平面モータ)によって、ステージを2方向に移動させる構成でもよい。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させる。この回転は、回転テーブルTBに伝達され、その際にエンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が低い又は無いので、メンテナンスコストを減らすことができる。また、ステージ装置STGは、エンコーダ装置ECの信頼性が高いので、安定して動作可能である。なお、ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。
[ロボット装置]
次に、実施形態に係るロボット装置について説明する。図9は、ロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、図9には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略装置または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備えている。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転軸SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。図9に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのスケールSが取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SF2に伝達される。回転軸SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。ロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECのバッテリー交換の必要性が無いもしくは低いので、メンテナンスコストを減らすことができる。また、ロボット装置RBTは、エンコーダ装置ECの信頼性が高いので、安定して動作可能である。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、複数の関節を備える各種ロボット装置(例、双腕多軸型ロボット)に適用できる。複数の関節を備えるロボット装置の場合、そのロボット装置は各関節(各軸)又は一部の関節に本実施形態のエンコーダ装置ECが配置される。本実施形態のエンコーダ装置ECはバッテリー6の寿命情報を上位のコントローラ等に出力できるので、例えばロボット装置の上位コントローラは各軸におけるバッテリーの寿命情報(例、電池容量、交換時期など)を受信してメンテナンス時期や何らかの異常情報(例、各軸における寿命情報の違い(例、自己放電率の違いや交換時期の違い等)に基づいた複数の軸のうちある1軸の異常)をユーザに報知することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。