[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るエンコーダ装置ECを示す図である。このエンコーダ装置ECは、移動部(例、回転体、移動体)の位置情報(移動位置情報)を検出する。エンコーダ装置ECは、例えばロータリーエンコーダである。ロータリーエンコーダにおける移動部(回転体)は、例えばモータM(駆動装置、動力供給部)の回転軸SFであり、移動部の移動は、例えば所定の軸まわりの回転である。また、移動部の位置情報は、例えば、回転軸SFの回転位置情報である。回転位置情報は、多回転情報と角度位置情報との一方または双方を含む。多回転情報は、回転体(例、回転軸SF)の回転の数を示す情報である。角度位置情報は、回転体(例、回転軸SF)の1回転未満の角度位置(回転角)を示す情報である。
回転軸SFは、例えばモータMのシャフト(回転子)である。回転軸SFは、作用軸で(出力軸)もよい。作用軸は、モータMのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続され、かつ負荷に接続される。エンコーダ装置ECが検出した回転位置情報は、モータ制御部MCに供給される。モータ制御部MCは、エンコーダ装置ECから供給された回転位置情報を使って、モータMの回転を制御する。モータ制御部MCは、回転軸SFの回転を制御する。
エンコーダ装置ECは、位置検出部1と、電力供給部2とを備える。位置検出部1は、回転軸SFの回転位置情報を検出する。エンコーダ装置ECは、例えば、多回転アブソリュートエンコーダである。エンコーダ装置ECは、多回転情報および角度位置情報を含む回転位置情報を検出可能である。位置検出部1は、多回転情報検出部3、及び角度検出部4を備える。角度検出部4は、回転軸SFの角度位置情報を検出する。多回転情報検出部3は、回転軸SFの多回転情報を検出する。
エンコーダ装置ECは、例えば、エンコーダ装置ECで消費される電力の供給元が異なる通常状態とバックアップ状態とのそれぞれにおいて、回転軸SFの回転位置情報を検出する。例えば、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部3、角度検出部4)は、通常状態において、第1電源PW1から供給される電力によって回転軸SFの回転位置情報を検出する。第1電源PW1は、例えば、エンコーダ装置ECが搭載される装置(例、駆動装置、ステージ装置、ロボット装置)の主電源である。上記の通常状態は、第1電源PW1の電力が投入されている状態、第1電源PW1がオンになっている状態、エンコーダ装置ECが搭載される装置に対して第1電源PW1から電力が供給されている状態、及びエンコーダ装置ECに対して第1電源PW1から電力が供給されている状態の少なくとも1つを含む。
例えば、第1電源PW1は、通常状態において、回転軸SFの駆動に消費される電力、及び位置検出部1の検出動作(例、角度位置情報や多回転情報を算出して検出する動作など)に消費される電力を供給する。位置検出部1の少なくとも一部は、第1電源PW1から電力供給を受けて回転軸SFの回転位置情報を検出する。モータ制御部MCは、位置検出部1の検出結果に基づいて、第1電源PW1からの電力を調整してモータMに供給することで、回転軸SFの回転を制御する。
位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部3)は、通常状態とは異なるバックアップ状態において、第1電源PW1とは異なる第2電源(例、バッテリー6)から供給される電力によって動作可能である。上記のバックアップ状態は、例えば、第1電源PW1からの電力供給が遮断された状態、第1電源PW1の電力が投入されていない状態、第1電源PW1がオフになっている状態、エンコーダ装置ECが搭載される装置に対して第1電源PW1から電力が供給されていない状態、エンコーダ装置ECに対して第1電源PW1から電力が供給されていない状態の少なくとも1状態を含む。
電力供給部2は、例えば、バックアップ状態において、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部3)に対して断続的(選択的、間欠的)に電力を供給する。位置検出部1は、バックアップ状態において、電力供給部2から電力供給を受けて、回転軸SFの回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を検出する。例えば、多回転情報検出部3は、第2電源(例、電力供給部2)から断続的に電力供給を受けて、多回転情報を断続的に検出する。バックアップ状態において多回転情報検出部3が検出した多回転情報は、例えば、第1電源PW1からの電力供給が開始されてバックアップ状態から通常状態に切り替わった際(例、駆動装置の起動時)に、モータ制御部MCによる回転軸SFの回転を制御に利用される。
多回転情報検出部3は、第1電源PW1から電力供給を受ける通常状態と、第2電源から電力供給を受けるバックアップ状態との各状態において、回転軸SFの多回転情報を検出する。例えば、エンコーダ装置ECは、第1電源PW1の電力の投入が停止された際に、通常状態からバックアップ状態に切り替わる。エンコーダ装置ECは、第1電源PW1の電力の投入が開始された際に、バックアップ状態から通常状態に切り替わる。エンコーダ装置ECが通常状態とバックアップ状態とで切り替わる際に、多回転情報検出部3は、多回転情報の検出を継続する(算出を継続する)。角度検出部4は、例えば、第1電源PW1からの電力供給が断たれたバックアップ状態において、角度情報を検出しない(算出しない)。例えば、第2電源は、バックアップ状態において角度検出部4に電力供給を行わない。角度検出部4は、例えば、バックアップ状態において電力供給が断たれた状態であり、角度位置情報を検出しない。
また、本実施形態において、多回転情報検出部3は、回転軸SFの角度位置情報を検出可能である。例えば、多回転情報検出部3は、通常状態において多回転情報および角度位置情報を検出する。多回転情報検出部3が検出した角度位置情報は、例えば、角度検出部4が検出した角度位置情報との比較に利用される。例えば、多回転情報検出部3は、角度検出部4が検出する角度位置情報に対する比較情報(参照情報)として、角度位置情報を検出する。多回転情報検出部3は、例えば、角度検出部4が角度位置情報を検出しない状態(例、バックアップ状態)において、角度位置情報を検出しない。
位置検出部1は、例えば、角度検出部4が検出した角度位置情報と、多回転情報検出部3が検出した角度位置情報との比較結果に基づいて、報知信号(報知情報)を生成して外部へ出力する。例えば、位置検出部1は、角度検出部4が検出した角度位置情報と、多回転情報検出部3が検出した角度位置情報との差が所定の範囲にない場合、報知情報を生成する。報知情報は、例えば、エンコーダ装置ECの外部の装置(例、モータ制御部MC)に対して、警告あるいはエラーを外部の装置に報知する情報(信号)である。
以下、エンコーダ装置ECの各部について説明する。角度検出部4は、スケールS(例、符号板)の一回転内の位置情報(角度位置情報、絶対又は相対位置情報)を検出する。スケールSは、例えば円板状の部材(例、ガラス製、金属製、樹脂製などの部材)である。スケールSは、回転軸SFに固定され、回転軸SFと連動して回転する。角度検出部4は、光学式のエンコーダである。例えば、角度検出部4は、スケールSのパターンニング情報を受光素子で読み取ることにより、回転軸SFの角度位置情報を検出する。角度検出部4が検出するスケールSのパターンニング情報は、例えばスケールS上の透過パターン(例、スリット)と反射パターンとの一方または双方による明暗のパターンである。
角度検出部4は、第1パターン10、照射部11、第1検出部12、及び第1処理部13を備える。第1パターン10は、回転体(例、回転軸SF)の角度位置を示すパターンである。第1パターン10は、例えば、アブソリュートパターンABSとインクリメンタルパターンINCとの一方または双方を含む。アブソリュートパターンABSは、回転体(スケールS、回転軸SF)の角度位置(例、絶対位置)を示す。インクリメンタルパターンINCは、回転軸SFの回転方向における角度の変化量(例、相対位置)を示す。インクリメンタルパターンINCは、回転軸SFの回転方向において周期的に並ぶ構造(周期構造)を含む。
照射部11(発光部)は、アブソリュートパターンABSおよびインクリメンタルパターンINCに光を照射する。照射部11は、例えば、LED(発光ダイオード)などの発光素子(例、固体光源)を含む。第1検出部12(光検出部)は、アブソリュートパターンABSからの光、及びインクリメンタルパターンINCからの光をそれぞれ検出する。第1検出部12は、例えばFD(フォトダイオード)などの受光素子(光電変換素子)を含む。
角度検出部4は、例えば反射型である。第1検出部12は、照射部11から照射されてアブソリュートパターンABSで反射した光と、照射部11から照射されてインクリメンタルパターンINCで反射した光とを個別に検出する。第1処理部13は、第1検出部12の検出結果に基づいて、回転軸SFの角度位置情報を検出(例、算出)する。例えば、第1処理部13は、アブソリュートパターンABSからの光を検出した結果を使って第1分解能の角度位置情報を検出する。また、第1処理部13は、インクリメンタルパターンINCからの光を検出した結果を使って、第1分解能の角度位置情報に内挿演算を行うことにより、第1分解能よりも高い第2分解能の角度位置情報を検出する。
なお、角度検出部4は透過型でもよい。この場合、第1検出部12は、照射部11から照射されてアブソリュートパターンABSを透過した光と、照射部11から照射されてインクリメンタルパターンINCを透過した光とを個別に検出する。
多回転情報検出部3は、角度検出部4の検出対象と同じ回転軸SFの多回転情報を光学的に検出する。多回転情報検出部3は、例えば光学式のエンコーダである。多回転情報検出部3は、例えばスケールSのパターンニング情報を受光素子で読み取ることにより、回転軸SFの多回転情報を検出する。
多回転情報検出部3は、第2パターン15、照射部16、第2検出部17、及び第2処理部18を備える。第2パターン15は、例えば濃淡パターンである。第2パターン15は、回転軸SFの移動方向(例、回転方向)において光学特性値が変化する(例、段階的、線形、又は非線形の変化など)。第2パターン15は、回転体(例、回転軸SF、スケールS)の移動方向(例、回転方向)において光学特性値が漸次的に変化するパターンを含む(例、グレースケールパターンなど)。上記の光学特性値は、例えば、反射率、透過率、及び光吸収率の少なくとも1つを含む。第2パターン15は、例えば、回転方向の少なくとも一部において、光学特性値が漸増または漸減するパターンを含む。第2パターン15は、例えば、照射部16からの光を受けて外部へ照射する光(例、反射光、透過光、散乱光)の光量と強度との一方または双方が回転方向において漸次的に変化する特性を有する。第2パターン15は、例えば、アブソリュートパターンABSおよびインクリメンタルパターンINCと同じ部材(例、スケールS、第1の回転体)に設けられる。
なお、第2パターン15は、第1パターン10(例、アブソリュートパターンABS、インクリメンタルパターンINC)と別の部材に設けられてもよい。例えば、第1パターン10の少なくとも一部(例、アブソリュートパターンABS)は、第1の回転体(例、第1のスケール)に設けられ、第2パターン15は、第1の回転体と異なる第2の回転体(例、第2のスケール)に設けられてもよい。なお、多回転情報検出部3が検出するスケールSのパターンニング情報は、例えばスケールS上の透過パターン(例、スリット)と反射パターンとの一方または双方による明暗のパターンであってもよい。
照射部16(発光部)は、第2パターン15に光を照射する。照射部16は、例えば、LED(発光ダイオード)などの発光素子(例、固体光源)を含む。第2検出部17(光検出部)は、第2パターン15からの光を検出する。第2検出部17は、例えばFD(フォトダイオード)などの受光素子(光電変換素子)を含む。多回転情報検出部3は、例えば反射型である。第2検出部17は、照射部11から照射されて第2パターン15で反射した光を検出する。第2処理部18は、第2検出部17の検出結果に基づいて、回転軸SFの多回転情報を検出(例、算出)する。多回転情報検出部3は、透過型でもよい。この場合、第2検出部17は、照射部16から照射されて第2パターン15を透過した光を検出する。なお、照明部16は、照明部11と独立させた構成ではなく、照明部11を共用(兼用)して構成してもよい。この場合、例えば、照明部11と照明部16は発光部(例、1個の発光部)を共用し、受光部12と受光部17とは同じチップ(例、1個の集積回路基板など)上に形成される。
図2は、本実施形態に係るエンコーダ装置のスケールを示す図である。図2(A)は、回転軸SFに垂直な面におけるスケールSの平面図である。アブソリュートパターンABS、インクリメンタルパターンINC、及び第2パターン15は、それぞれ、環状である。アブソリュートパターンABS、インクリメンタルパターンINC、及び第2パターン15は、回転軸SFを中心とした同心円状に配置される。アブソリュートパターンABSは、例えば、回転軸SFに対してインクリメンタルパターンINCの外側に配置される。第1検出部12は、アブソリュートパターンABSからの光を検出する受光部12a(受光領域)と、インクリメンタルパターンINCからの光を検出する受光部12b(受光領域)とを含む。
第2パターン15は、例えば、回転軸SFに対してインクリメンタルパターンINCの内側に配置される。図2(A)の第2パターン15において、反射率がグレースケールで表されている。図2(A)の第2パターン15において、白に近い部分は反射率が相対的に高い部分であり、黒に近い部分は反射率が相対的に低い部分である。
第2パターン15は、例えば、回転方向で位相が互いにずれた複数のパターン(例、第1位相のパターン15a、第2位相のパターン15b)を含む。パターン15aおよびパターン15bは、回転軸SFの回転方向において、光学特性値の分布の位相が互いに異なる。図2(B)は、回転軸SFの回転方向における第2パターン15の光学特性値の分布を示すグラフである。図2(B)において、縦軸の光学特性値は、例えば反射率である。
図2(B)において、パターン15aの光学特性値Vaおよびパターン15bの光学特性値Vbは、それぞれ、角度位置に対して連続的に変化する。パターン15aの光学特性値Vaおよびパターン15bの光学特性値Vbは、それぞれ、角度位置に対して正弦波状に変化する。なお、第2パターン15は、光学特性値Vaおよび光学特性値Vbが線形状に変化するように、構成されてもよい。パターン15aの光学特性値Vaおよびパターン15bの光学特性値Vbは、例えば、それぞれが1回転(360°)の範囲で1周期の分布である。
パターン15aの光学特性値Vaは、位置Pb(例、90°)において極大となり、位置Pd(例、270°)で極小となる。パターン15bの位相は、例えば、パターン15aの位相と約90°異なる。パターン15bの光学特性値Vbは、位置Pc(例、180°)において極大となり、位置Pa(例、0°、360°)で極小となる。なお、図2(B)に示す光学特性値の分布は、一例であり、適宜変更可能である。例えば、第2パターン15の光学特性値の分布は、角度位置に対して線形な分布(例、直線、三角波状)でもよいし、角度位置に対して非線形な分布でもよい。また、第2パターン15の光学特性値は、3以上の段階で不連続(例、3以上のステップ状)に変化してもよい。
第2検出部17(図2(A)参照)は、パターン15aからの光と、パターン15bからの光とを個別に検出する。第2検出部17は、受光部17a(受光領域)および受光部17b(受光領域)を含む。受光部17aは、照射部16から照射されてパターン15aを経由した光を検出する。受光部17aの検出結果は、例えば、A相信号として利用される。受光部17bは、照射部16から照射されてパターン15bを経由した光を検出する。受光部17bの検出結果は、例えば、B相信号として利用される。
図3は、本実施形態に係る第2処理部を示す図である。第2検出部17は、検出結果を示す信号(検出信号)を第2処理部18に供給する。第2処理部18は、第2検出部17の検出結果をもとに回転体(例、回転軸SF、スケールS)の位置情報を算出する。例えば、第2処理部18は、第2検出部17の検出結果をもとに、回転体(例、回転軸SF、スケールS)の位置情報として多回転情報を算出する。第2処理部18は、第2検出部17の検出結果をもとに、回転体(例、回転軸SF、スケールS)の位置情報として、角度位置情報を算出してもよいし、多回転情報および角度位置情報を算出してもよい。
第2検出部17の検出信号は、例えば、図2(A)に示した受光部12aの検出結果(以下、第1検出信号という)および受光部12bの検出結果(以下、第2検出信号という)を含む。第2処理部18は、算出部21、二値化部22、及び計数部23を備える。第2検出部17の検出結果(第1検出信号、第2検出信号)は、算出部21および二値化部22のそれぞれに供給される。
算出部21は、第2検出部17からの検出信号に基づいて、回転軸SFの角度位置情報を算出する。算出部21は、例えば、回転軸SFの角度位置情報を第1処理部13(図1参照)よりも低い分解能で検出(算出)する。また、第2処理部18(例、二値化部22、計数部23)は、例えば、第2検出部17の検出結果を階調値に変換して、回転軸SFの多回転情報を算出する。例えば、二値化部22は、第2検出部17の検出信号のレベルを閾値と比較し、この検出信号を二値化する。
図3(B)は、検出信号および閾値の例を示す図である。角度位置に対する第1検出信号Saのレベルの分布は、パターン15aの光学特性値に応じた分布(例、正弦波状の分布)になる。また、角度位置に対する第2検出信号Sbのレベルの分布は、パターン15bの光学特性値に応じた分布(例、正弦波状の分布)になる。閾値Vthは、例えば、検出信号のレベルの平均値(振幅)に設定される。
図3(C)は、二値化された第1検出信号Saのレベルを示す図である。二値化された第1検出信号Saのレベルは、位置Paから位置Pbを経由して位置Pcに至る範囲(例、0°から180°の範囲)でハイレベル(H)である。また、二値化された第1検出信号Saのレベルは、位置Pcから位置Pdを経由して位置Paに至る範囲(例、180°から360°の範囲)でローレベル(L)である。
図3(D)は、二値化された第2検出信号Sbのレベルを示す図である。二値化された第2検出信号Sbのレベルは、位置Paから位置Pbの範囲(例、0°から90°の範囲)、及び位置Pdから位置Paの範囲(例、270°から360°の範囲)においてローレベル(L)である。また、二値化された第2検出信号Sbのレベルは、位置Pbから位置Pcを経由して位置Pdに至る範囲(例、90°から270°の範囲)においてハイレベル(H)である。
計数部23は、二値化された第1検出信号Saおよび二値化された第2検出信号Sbを用いて、多回転情報を算出する(回転の数を計数する)。例えば、計数部23は、第2検出部17(受光部17a)がパターン15aを検出した検出結果(第1検出信号Sa)と、第2検出部17(受光部17b)が検出したパターン15bを検出した検出結果(第2検出信号Sb)とを用いて、回転軸SFの向き(移動方向、回転方向)を判別して多回転情報を検出する。以下、各角度位置における二値化された第1検出信号Saのレベルと二値化された第2検出信号Sbのレベルとの組を信号レベルの組と称し、信号レベルの組を(H,L)のように表す。
例えば、信号レベルの組は、位置Paから位置Pbの範囲(例、0°から90°の範囲)において(H,L)である。また、信号レベルの組は、位置Pbから位置Pcの範囲(例、90°から180°の範囲)において(H,H)である。また、信号レベルの組は、位置Pcから位置Pdの範囲(例、180°から270°の範囲)において(L,H)である。また、信号レベルの組は、位置Pdから位置Paの範囲(例、270°から360°の範囲)において(L,L)である。
計数部23は、例えば、前回の検出結果による信号レベルの組が(H,H)であり、今回の検出結果による信号レベルの組が(L,H)である場合、前回の検出から今回の検出までの間に回転軸SFが第1の向き(例、図2(A)で時計回り)に回転したと判別する。また、計数部23は、例えば、前回の検出結果による信号レベルの組が(H,H)であり、今回の検出結果による信号レベルの組が(H,L)である場合、前回の検出から今回の検出までの間に回転軸SFが第1の向きと反対の第2の向き(例、図2(A)で反時計回り)に回転したと判別する。計数部23は、例えば、信号レベルの組が(H,H)である場合に、回転の向きに応じてカウンタ値をインクリメント(+1)あるいはデクリメント(−1)し、カウンタ値を多回転情報として出力する。
なお、第2処理部18は、例えば、第2検出部17の検出結果を3段階以上の階調値に変換して、回転軸SFの回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を算出してもよい。また、第2処理部18は、例えば、第2検出部17の検出結果を階調値に変換しないで、回転軸SFの回転位置情報の少なくとも一部(例、角度位置情報)を算出してもよい。また、第2処理部18は、上記したように、第2パターン15(例、移動方向において光学特性値が漸次的に変化するパターンなど)を検出して得られる検出結果(例、検出信号)を演算などによって処理する処理回路を含む。
図1の説明に戻り、本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、記憶部24、比較部25、合成部26、及び通信部27を備える。記憶部24は、例えば不揮発性メモリである。第2処理部18から出力される情報(例、多回転情報)を記憶する。合成部26は、第1処理部13が検出した第2分解能の角度位置情報を取得する。また、合成部26は、記憶部24から回転軸SFの多回転情報を取得する。合成部26は、第1処理部13からの角度位置情報、及び多回転情報検出部3からの多回転情報を合成し、回転軸SFの回転位置情報を算出する。例えば、第1処理部13の検出結果がθ[rad]であり、多回転情報検出部3の検出結果がn回転である場合に、合成部26は、回転位置情報として(2π×n+θ)[rad]を算出する。回転位置情報は、多回転情報と、1回転未満の角度位置情報とを組にした情報でもよい。
合成部26は、算出した回転位置情報を通信部27に送信する。通信部27(外部通信部、外部接続インターフェース)は、有線または無線によって、モータ制御部MCの通信部MC1と通信可能に接続されている。通信部27は、デジタル形式の回転位置情報を、モータ制御部MCの通信部MC1に供給する。モータ制御部MCは、角度検出部4の通信部27からの回転位置情報を適宜復号する。モータ制御部MCは、回転位置情報を使ってモータMへ供給される電力(駆動電力)を制御することにより、モータMの回転を制御する。
比較部25は、第1検出部12の検出結果に基づく情報と第2検出部17の検出結果に基づく情報とを比較する(比較処理を実行する)。例えば、比較部25は、第1検出部12の検出結果に基づいて第1処理部13が算出した角度位置情報と、第2検出部17の検出結果に基づいて第2処理部18が算出した角度位置情報とを比較し、比較結果を示す報知情報(報知信号)を生成する。
比較部25は、例えば、第1処理部13が算出した回転体(例、回転軸SF)の位置情報(例、角度位置情報)と第2処理部18が算出した回転体(例、回転軸SF)の位置情報(例、角度位置情報)とが所定の条件を満たすか否かを判定する。上記の所定の条件は、例えば、第1処理部13が算出した回転軸SFの角度位置情報と、第2処理部18が算出した回転軸SFの角度位置情報との比較値(例、差、比率)が所定の範囲(例、許容範囲、許容誤差範囲)に収まる条件である。
比較部25は、例えば、第1処理部13の処理結果と第2処理部18の処理結果とを比較することによって、エンコーダ装置ECの動作が正常であるか否かを判定する。例えば、比較部25は、第1処理部13の処理結果と第2処理部18の処理結果とが上記の所定の条件を満たす場合に、エンコーダ装置ECの動作が正常であると判定し、判定結果(例、動作が正常又は異常である結果など)を出力する。
エンコーダ装置ECは、比較部25の判定結果に基づいて、第1処理部13が算出した回転体の位置情報(例、角度位置情報)を含む情報(例、回転位置情報)を出力する。例えば、合成部26は、エンコーダ装置ECの動作が正常であると比較部25が判定した場合に、第2処理部18が算出した角度位置情報を用いないで回転位置情報を生成する。例えば、第2処理部18は、第1処理部13の処理結果と比較する参照情報として角度位置情報を算出する。合成部26は、エンコーダ装置ECの動作が正常であると比較部25が判定した場合に、上記の参照情報を含まない回転位置情報を生成する。
例えば、比較部25は、第1処理部13が算出した角度位置情報と、第2処理部18が算出した角度位置情報との差が所定値を超える場合に、エンコーダ装置ECの検出状態のエラーの発生を示す報知情報(例、エラー情報、エラー信号)、あるいは警告を示す報知情報(警告情報、警告信号)を生成する。報知情報は、例えば、照射部11、第1検出部12、第1処理部13、照射部16、第2検出部17、及び第2処理部18の少なくとも1つの動作不良の発生を報知する情報でもよい。例えば、照射部11または照射部16において経年劣化などによる動作不良(例、光量の減少、不測の消灯)が発生した場合、第1処理部13による角度位置情報と、第2処理部18による角度位置情報との差あるいは比率が許容範囲外となり、比較部25は異常(例、動作不良)の発生を知らせる報知情報を生成する。第1検出部12もしくは第2検出部17に動作不良が発生した場合、第1処理部13もしくは第2処理部18に動作不良が発生した場合についても同様に、比較部25は異常(例、動作不良)の発生を知らせる報知情報を生成する。比較部25は、例えば、生成した報知情報を通信部27に出力する。比較部25は、例えば、通信部27を介して、報知情報をエンコーダ装置ECの外部(例、モータ制御部MC)に出力する。
なお、多回転情報検出部3は、上記した第1の多回転検出部(例、第2パターン15、検出部17)と別に、第2の多回転検出部を備えてもよい。第2の多回転検出部は、光学式のエンコーダでもよいし、その他の検出方式(例、磁気式)のエンコーダでもよい。磁気式のエンコーダは、磁石31の磁界を検出し、その検出結果に基づいて多回転情報を検出してもよい。比較部25は、例えば、第1の多回転検出部の検出結果(例、多回転情報)と、第2の多回転検出部の検出結果(例、多回転情報)とを比較してもよい。また、比較部25は、異なるセンサの検出結果から得られる複数の角度位置情報を比較し、かつ異なるセンサの検出結果から得られる複数の多回転情報を比較してもよい。また、第2処理部18は、第2検出部17の検出結果をもとに、回転体(例、回転軸SF)の位置情報として角度位置情報を算出し、多回転情報を算出しなくてもよい。
なお、エンコーダ装置ECは、比較部25が生成した報知情報をエンコーダ装置ECの外部に出力しなくてもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、比較部25が生成した報知情報に基づいて、例えば警告ライトを点灯させてもよいし、警告音(例、アラーム音)を発してもよい。
比較部25は、例えば、第1処理部13が角度位置情報を算出し、かつ第2処理部18が角度位置情報を算出する状態において、上記の比較処理を実行する。例えば、比較部25は、第1電源PW1から位置検出部1に電力が供給される通常状態において、上記の比較処理を実行する。
また、比較部25は、例えば、第1処理部13と第2処理部18との一方または双方が角度位置情報を算出しない状態において、上記の比較処理を実行しない。例えば、第1電源PW1からの電力供給が断たれたバックアップ状態において、第1検出部12が検出を行わず、第1処理部13は、角度位置情報を算出しない。バックアップ状態において、例えば、第1処理部13が角度位置情報を算出せず、比較部25は、上記の比較処理を実行しない。バックアップ状態において、第2検出部17は、例えば、第2電源(例、バッテリー6)からの電力供給を受けて検出を実行する。バックアップ状態において、第2検出部17は検出を実行する。バックアップ状態において、第2処理部18は、例えば、上記した第2検出部17の検出結果に基づいて多回転情報を算出し、角度位置情報を算出しない。なお、エンコーダ装置ECは、バックアップ状態において、例えば、第2処理部18が角度位置情報を算出せず、比較部25は、上記の比較処理を実行しないように構成されてもよい。
比較部25は、例えば、通常状態において第1電源PW1から電力供給を受けて、上記の比較処理を実行する。比較部25は、例えば、通常状態において第1電源PW1から供給される電力を用いて、上記の比較処理を実行する。電力供給部2は、例えば、バックアップ状態において比較部25に電力を供給しない。比較部25は、例えば、バックアップ状態において電力供給が断たれることによって、上記の比較処理を実行しない。
次に、電力供給部2について説明する。電力供給部2は、通常状態とバックアップ状態とのうち少なくともバックアップ状態において、位置検出部1の少なくとも一部(例、多回転情報検出部3)へ電力を供給する。電力供給部2は、磁石31、信号発生部32、切替部33、及びバッテリー6を備える。図4は、本実施形態に係る信号発生部32を示す図である。図4(A)には磁石31、及び信号発生部32の斜視図を示し、図4(B)には回転軸SFの方向から見た磁石31、及び信号発生部32の平面図を示した。
信号発生部32は、移動部(例、回転軸SF)の移動(例、回転)によって電気信号(検出信号)が発生する。この電気信号は、例えば、電力(電流、電圧)が時間変化する波形を含む。信号発生部32は、例えば、回転軸SFの回転に伴って変化する磁界によって、電気信号として検出信号が発生する。例えば、回転軸SFの回転によって磁石31と信号発生部32とが相対的に移動し、磁石31が信号発生部32の位置に形成する磁界が変化することによって、信号発生部32に電気信号が発生する。
磁石31は、例えば、回転軸SFに対して固定される。磁石31は、例えば、スケールSに固定される。信号発生部32は、回転軸SFの回転によって、磁石31との相対的な角度位置が変化するように、配置される。信号発生部32には、例えば、信号発生部32と磁石31との相対位置が所定の位置になった際に、パルス状の電気信号が発生する。
なお、信号発生部32は、磁界の変化以外によって検出信号(例、パルス状の電気信号)が発生するものでもよい。また、磁石31は、スケールSと別の部材に設けられてもよい。例えば、磁石31は、第3の回転体に設けられ、第3の回転体が回転軸SFに固定されてもよい。上記の第3の回転体には、アブソリュートパターンABS、インクリメンタルパターンINC、及び第2パターン15の一部が設けられてもよい。
磁石31は、回転によって回転軸SFに対する放射方向(スケールSの径方向)における磁界の向きおよび強さが変化するように構成される。磁石31は、例えば回転軸SFと同軸の円環状の部材である。磁石31の主面(表面および裏面)は、それぞれ、回転軸SFとほぼ垂直である。図4(B)に示すように、磁石31は、8極に着磁した永久磁石である。磁石31は、その内周側と外周側のそれぞれにおいて周方向にN極とS極が並んでおり、内周側と外周側とで位相が90°ずれている。磁石31において、内周側におけるN極とS極との境界は、外周側におけるN極とS極との境界と、周方向の位置(角度位置)がほぼ一致している。
図4(B)において、符号Qaは、磁石31に固定した座標系において、周方向におけるN極とS極との1つの境界の位置である。符号Qbは、位置Qaから時計回りに90°回転した位置である。符号Qcは、位置Qbから時計周りに90°回転した位置である。符号Qdは、位置Qcから時計回りに90°回転した位置である。例えば、上記の位置Qaから位置Qdは、それぞれ、図2などに示した位置Paから位置Pdに対応する。
磁石31が形成する磁界の、スケールSの径方向における向きは、位置Qa、位置Qb、位置Qc、及び位置Qdのそれぞれにおいて反転する。磁石31は、磁石31の外部に固定された座標系に対し、磁石31の回転に伴ってスケールSの径方向における磁界の向きが反転する交流磁界を形成する。信号発生部32は、磁石31の主面の法線方向から見て磁石31と重なる位置に配置されている。
本実施形態において、信号発生部32は、磁石31と非接触に設けられる。信号発生部32は、感磁性部41および発電部42を備える。感磁性部41および発電部42は、磁石31の外部に固定されており、磁石31の回転に伴って磁石31上の各位置との相対位置が変化する。
感磁性部41は、ウィーガントワイヤなどの感磁性ワイヤ(磁性体)である。感磁性部41には、磁石31の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)が生じる。感磁性部41は、円柱状の部材であり、その軸方向が磁石31の径方向に設定されている。感磁性部41は、その軸方向に交流磁界が印加され磁界が反転する際に、軸方向の一端から他端に向かう磁壁が発生する。
発電部42は、感磁性部41に巻き付けられて配置される高密度コイルなどである。発電部42には、感磁性部41における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる。図4(B)に示した磁石31の位置Qa、位置Qb、位置Qc、又は位置Qdが感磁性部41の近傍を通過する際に、発電部42にパルス状の電流(電気信号)が発生する。また、発電部42は、大バルクハウゼンジャンプを利用して正パルスや負パルス等の検出パルスを含む検出信号を出力可能であり、外部(例、図1の第1電源PW1)からの電力供給がなくても動作可能である。
発電部42に発生する電流の向きは、磁界の反転前後の向きに応じて変化する。例えば、磁石31の外側を向く磁界から内側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きは、磁石31の内側を向く磁界から外側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きの反対になる。発電部42に発生する電力(誘導電流)は、例えば高密度コイルの巻き数により設定できる。
図4(A)に示すように、感磁性部41および発電部42は、ケース43に収納されている。ケース43には端子43aおよび端子43bが設けられている。発電部42の高密度コイルは、その一端が端子43aと接続され、その他端が端子43bと接続されている。発電部42で発生した電力は、端子43aおよび端子43bを介して、信号発生部32の外部へ取り出し可能である。
なお、上述の信号発生部32の構成は一例であり、その構成は適宜変更可能である。例えば、信号発生部32は、大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)を利用しない電磁誘導によって電力を発生してもよい。また、エンコーダ装置ECが備える信号発生部32の数は、適宜変更可能であり、例えば、2つ以上でもよい。また、信号発生部32の配置についても適宜変更可能である。
図1の説明に戻り、本実施形態におけるバッテリー6は、バックアップ状態において、信号発生部32で発生する検出信号に基づいて、位置検出部1で消費される電力の少なくとも一部を供給するように構成されてもよい。バッテリー6(電池)は、例えばボタン型電池、乾電池などの一次電池であるが、リチウムイオン二次電池などの二次電池でもよい。本実施形態のバッテリー6は、例えばボタン型電池である。
上記構成の場合、切替部33は、信号発生部32で発生した検出信号を制御信号に用いてバッテリー6から位置検出部1への電力供給の有無を切り替える。例えば、切替部33は、信号発生部32で発生する電気信号のレベルが閾値以上になることでバッテリー6から位置検出部1への電力供給を開始させる。例えば、切替部33は、信号発生部32で閾値以上の検出信号が発生することでバッテリー6から位置検出部1への電力供給を開始させる。
また、切替部33は、信号発生部32で発生する電気信号のレベルが閾値未満になることでバッテリー6から位置検出部1への電力供給を停止させる。例えば、切替部33は、信号発生部32で発生する検出信号が閾値未満になることでバッテリー6から位置検出部1への電力供給を停止させる。例えば、第1電源PW1からの電力供給が遮断された状態(バックアップ状態)において、信号発生部32にパルス状の電気信号が発生する場合、切替部33は、この電気信号のレベル(電位)がローレベルからハイレベルに立ち上がった際に、バッテリー6から位置検出部1への電力供給を開始させ、この電気信号のレベル(電位)がローレベルへ変化してから所定の時間経過後に、バッテリー6から位置検出部1への電力供給を停止させる。
なお、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力を位置検出部1に供給してもよい。例えば、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで調整した電力と、バッテリー6からの電力とを併用してあるいは切り替えて、位置検出部1に供給してもよい。
図5は、本実施形態に係る電力供給部および多回転情報検出部の回路構成を示す図である。電力供給部2は、整流スタック51、及び図1の切替部33としてレギュレータ52を備える。整流スタック51は、信号発生部32から流れる電流を整流する整流器である。整流スタック51の第1入力端子51aは、信号発生部32の端子43aと接続されている。整流スタック51の第2入力端子51bは、信号発生部32の端子43bと接続されている。整流スタック51の接地端子51gは、シグナルグランドSGと同電位が供給される接地線GLに接続されている。多回転情報検出部3の動作時に、接地線GLの電位は、回路の基準電位になる。整流スタック51の出力端子51cは、レギュレータ52の制御端子52cに接続されている。
レギュレータ52は、バックアップ状態において、該レギュレータのオン状態及びオフ状態に応じて、バッテリー6から位置検出部1へ供給される電力を調整する。レギュレータ52は、バッテリー6と位置検出部1との間の電力供給経路に設けられるスイッチング素子53(スイッチ)を含む。レギュレータ52は、信号発生部32で発生する電気信号(検出信号)を制御信号(例、イネーブル信号)に用いてスイッチング素子53の動作を制御する。
バッテリー6の正極は、レギュレータ52の入力端子52aに接続されている。バッテリー6の負極は、接地線GLに接続されている。レギュレータ52の出力端子52bは、電源線PLに接続されている。レギュレータ52の接地端子52gは、接地線GLに接続されている。レギュレータ52の制御端子52cはイネーブル端子である。レギュレータ52は、制御端子52cに閾値以上の電圧が印加された状態で、出力端子52bの電位を所定電圧に維持する。レギュレータ52の出力電圧(上記の所定電圧)は、計数部23がCMOSなどで構成される場合に例えば3Vである。記憶部24の動作電圧は、例えば、所定電圧と同じ電圧に設定される。なお、所定電圧は、電力供給に必要な電圧であり、一定の電圧値でもよいし、段階的に変化する電圧でもよい。
スイッチング素子53は、位置検出部1に電力を供給する回路54の導通と遮断とを切替える。回路54は、例えば、第2電源(例、バッテリー6)の第1電極(正極)と第2電極(負極)とを結ぶ電力供給経路を構成する。回路54は、電源線PLおよび接地線GLを含む。接地線GLは、例えば、バッテリー6の負極と接続され、その電位が回路54の基準電位となる。スイッチング素子53は、例えば、バッテリー6から回路54を介した位置検出部1への電力供給の有無を切替える。
レギュレータ52は、信号発生部32から制御端子52cに供給される電気信号を制御信号(イネーブル信号)に用いて、スイッチング素子53の端子間(例、ソース電極、ドレイン電極)の導通状態(オン状態)と絶縁状態(オフ状態)とを切り替える。例えば、スイッチング素子53は、MOS、TFTなどを含む。制御端子52cは、例えば、スイッチング素子53のゲート電極と接続される。
スイッチング素子53のゲート電極(制御端子)は、信号発生部32で発生する電気信号(検出信号)によって充電される。スイッチング素子53は、ゲート電極の電圧に応じて回路54を導通へ切替える。例えば、スイッチング素子53は、ゲート電極の電位が回路54の基準電位である状態で、回路54を遮断している。また、スイッチング素子53は、ゲート電極の電圧が所定値以上になることで、ソース電極とドレイン電極との間が導通状態(オン状態)になる。スイッチング素子53のソース電極とドレイン電極との間がオン状態になると、バッテリー6から、電源線PLおよび接地線GLを介して回路54に電力が供給される。なお、電力供給部2は、レギュレータ52のオン状態及びオフ状態を取得する取得部を備えてもよい。
多回転情報検出部3は、図4(A)に示した第2処理部18として、アナログコンパレータ55、アナログコンパレータ56、及び計数部23を含む。照射部16の電源端子16pは、電源線PLに接続されている。照射部16の接地端子16gは、接地線GLに接続されている。第2検出部17(受光素子)の出力端子17cは、アナログコンパレータ55の入力端子55aに接続されている。出力端子17cは、図2(A)に示した受光部17aの検出結果に相当する電圧を出力する。第2検出部17の出力端子17dは、アナログコンパレータ56の入力端子56aに接続されている。出力端子17dは、図2(A)に示した受光部17bの検出結果に相当する電圧を出力する。
アナログコンパレータ55およびアナログコンパレータ56は、図4(A)に示した二値化部22である。アナログコンパレータ55は、第2検出部17の出力端子17cから出力される電圧を二値化する。アナログコンパレータ55は、例えば比較器であり、出力端子17cから出力される電圧を所定電圧と比較する。アナログコンパレータ55の電源端子55pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ55の接地端子55gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ55の出力端子55bは、計数部23の第1入力端子23aに接続されている。アナログコンパレータ55は、第2検出部17の出力端子17cの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子55bからHレベルの信号を出力する。アナログコンパレータ55は、第2検出部17の出力端子17cの出力電圧が閾値未満である場合に出力端子55bからLレベルの信号を出力する。
アナログコンパレータ56は、第2検出部17の出力端子17dから出力される電圧を二値化する。アナログコンパレータ56は、例えば比較器であり、出力端子17dから出力される電圧を所定電圧と比較する。アナログコンパレータ56の電源端子56pは、電源線PLに接続されている。アナログコンパレータ56の接地端子56gは、接地線GLに接続されている。アナログコンパレータ56の出力端子56bは、計数部23の第2入力端子23bに接続されている。アナログコンパレータ56は、第2検出部17の出力端子17dの出力電圧が閾値以上である場合に出力端子56bからHレベルの信号を出力する。アナログコンパレータ56は、第2検出部17の出力端子17dの出力電圧が閾値未満である場合に出力端子56bからLレベルの信号を出力する。
計数部23は、回転軸SFの多回転情報を、バッテリー6から供給される電力を用いて計数する。計数部23は、例えばCMOS論理回路などを含む。計数部23は、電源端子23pおよび接地端子23gを介して供給される電力を用いて動作する。計数部23の電源端子23pは、電源線PLに接続されている。計数部23の接地端子23gは、接地線GLに接続されている。計数部23は、第1入力端子23aを介して供給される電圧、及び第2入力端子23bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。
記憶部24は、第2処理部18(例、計数部23)が検出した回転位置情報の少なくとも一部(例、多回転情報)を、バッテリー6から供給される電力を用いて記憶する(書き込み動作を行う)。記憶部24は、第2処理部18が検出した回転位置情報として、計数部23による計数の結果(多回転情報)を記憶する。記憶部24の電源端子24pは、電源線PLに接続されている。記憶部24の接地端子24gは、接地線GLに接続されている。記憶部24は、例えば不揮発性メモリを含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持可能である。
本実施形態において、整流スタック51とレギュレータ52との間には、キャパシタ59が設けられている。キャパシタ59の第1電極59aは、整流スタック51とレギュレータ52の制御端子52aとを接続する信号線に接続されている。キャパシタ59の第2電極59bは、接地線GLに接続されている。このキャパシタ59は、例えば平滑キャパシタであり、脈動を低減してレギュレータの負荷を低減する。キャパシタ59の定数は、例えば、第2処理部18により回転位置情報を検出して記憶部24に回転位置情報を書き込むまでの期間に、バッテリー6から第2処理部18および記憶部24への電力供給が維持されるように設定される。
次に、実施形態に係るエンコーダ装置ECの動作について説明する。図6は、本実施形態において第1電源から電力供給時のエンコーダ装置の動作を示す図である。図7は、本実施形態において第2電源から電力供給時のエンコーダ装置の動作を示す図である。
図6に示すように、第1電源PW1は、通常状態において位置検出部1に電力を供給する。照射部11は、第1電源PW1から供給される電力を用いて、第1パターン10(例、アブソリュートパターンABS、インクリメンタルパターンINC)に光を照射する。第1検出部12は、第1電源PW1から供給される電力を用いて、第1パターン10からの光を検出する。第1検出部12は、検出結果を示す検出信号を第1処理部13に出力する。第1処理部13は、第1電源PW1から供給される電力を用いて、第1検出部12からの検出信号を処理し、角度位置情報を算出する。第1処理部13は、算出した角度位置情報を、比較部25および合成部26のそれぞれに出力する。
また、照射部16は、第1電源PW1から供給される電力を用いて、第2パターン15に光を照射する。第2検出部17は、第1電源PW1から供給される電力を用いて、第2パターン15からの光を検出する。第2検出部17は、検出結果を示す検出信号を第2処理部18に出力する。第2処理部18は、第1電源PW1から供給される電力を用いて、第2検出部17からの検出信号を処理し、角度位置情報および多回転情報を算出する。第2処理部18が算出した多回転情報は、例えば記憶部24に記憶され(出力され)、記憶部24から合成部26に出力される(読み出される)。また、第2処理部18が算出した角度位置情報は、例えば記憶部24に記憶され(出力され)、記憶部24から比較部25に出力される(読み出される)。
合成部26は、第1処理部13から出力された角度位置情報と、第2処理部18から出力された多回転情報とを含む回転位置情報を出力する。また、比較部25は、第1処理部13から出力された角度位置情報と、第2処理部18から出力された角度位置情報とを比較する。実施形態に係るエンコーダ装置ECは、第1処理部13から出力された角度位置情報と、第2処理部18から出力された角度位置情報とを比較するので、例えばエラーなどの不具合を検出することができ、信頼性が高い。例えば、比較部25は、第1処理部13と第2処理部18とで角度位置情報の差が所定値(例、許容範囲)を超える場合に、報知情報を生成する。この報知情報は、例えば、エラーの発生をユーザ等に報知することに利用され、装置の信頼性の向上に寄与する。
なお、エンコーダ装置ECは、第1の角度検出部(例、照射部11、第1検出部12、第1処理部13)と、第2の角度検出部(例、照射部16、第2検出部17、第2処理部18)とのうち、一方の角度検出部に動作不良が発生した場合に、他方の角度検出部の検出結果を用いて回転位置情報を出力してもよい。このようなエンコーダ装置ECは、上記の第1の角度検出部または第2角度検出部に動作不良を発生した場合でも回転位置情報を出力するので、装置の信頼性の向上に寄与する。
図7に示すように、第1電源PW1は、バックアップ状態において位置検出部1に電力を供給しない。また、第2電源PW2(例、バッテリー6、電力供給部2)は、例えば、第1電源PW1が位置検出部1に電力を供給しない期間の少なくとも一部において、位置検出部1に電力を供給する。第2電源PW2は、例えば、上記の期間において電力を断続的に供給する。例えば、第2電源PW2は、回転軸SFが所定の角度位置になった際に電力を供給する。例えば、第2電源PW2は、回転軸SFが上記の所定の角度位置以外の位置にある場合に、電力を供給しない。この場合、例えばエンコーダ装置ECの少なくとも一部(例、図1のバッテリー6)について、動作が制限されることで消耗が低減される。
また、第2電源PW2は、例えば、位置検出部1の一部(以下、供給対象という)に対して電力を供給する。例えば、第2電源PW2は、多回転情報検出部3に対して電力を供給する。また、第2電源PW2は、例えば、位置検出部1のうち上記供給対象を除く部分に対して電力を供給しない。例えば、第2電源PW2は、角度検出部4に対して電力を供給しない。この場合、例えばエンコーダ装置ECの少なくとも一部(例、図1のバッテリー6、角度検出部4)について、動作が制限されることで消耗が低減される。
照射部16は、第2電源PW2から供給される電力を用いて、第2パターン15に光を照射する。第2検出部17は、第2電源PW2から供給される電力を用いて、第2パターン15からの光を検出する。第2検出部17は、検出結果を示す検出信号を第2処理部18に出力する。第2処理部18は、第2電源PW2から供給される電力を用いて、第2検出部17からの検出信号を処理し、回転位置情報のうち少なくとも多回転情報を算出する。例えば、第2処理部18は、多回転情報を算出し、角度位置情報を算出しない。この場合、多回転情報検出部の処理が低減され、消費電力が低減される。記憶部24は、第2処理部18から出力される多回転情報を、第2電源PW2から供給される電力を用いて記憶する。記憶部24は、第1電源PW1からの電力供給および第2電源PW2からの電力供給が断たれた状態においても、多回転情報を保持する。
また、本実施形態において、例えば、上記の第2パターン15の光学特性値が1回転(360°)の範囲で1周期の分布(例、1周期で変化する分布パターン)である場合、多回転情報検出部3は、多回転情報の検出に用いる部分(例、第2パターン15)を、角度位置情報の生成にも用いることも可能である。この角度位置情報は、例えば、回転軸SFの角度位置を示す角度位置情報と、角度検出部4が算出する角度位置情報に対する比較情報(参照情報)との一方または双方として利用される。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、例えば、多回転情報の検出に用いる部分と、上記比較情報の生成に用いる部分とを個別に設ける場合と比較して、装置構成がシンプルにすることができる。
本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、信号発生部32に電気信号が発生してから短時間(例、検出信号が発生された時)又は上位コントローラにて予め設定された周期(又は不定期)で上位コントローラやエンコーダ装置ECから出力せるトリガー信号が発生してから短時間のうちに、バッテリー6から多回転情報検出部3に電力が供給され、多回転情報検出部3がダイナミック駆動(間欠駆動)する。多回転情報の検出および書き込みの終了後は、多回転情報検出部3への電力供給は絶たれるが、計数値は、記憶部24に格納されているので保持される。このようなシーケンスは、外部からの電力供給が絶たれた状態においても、磁石31上の所定位置が信号発生部32の近傍を通過するたびに繰り返される。
記憶部24に記憶されている多回転情報は、例えば、次にモータMが起動される際にモータ制御部MCなどに読み出され、回転軸SFの初期位置などの算出に利用される。このようなエンコーダ装置ECは、信号発生部32で発生する電気信号に応じて、位置検出部1(例、多回転情報検出部3)で消費される電力の少なくとも一部をバッテリー6が供給するので、バッテリー6を長寿命にすることができる。バッテリー6のメンテナンス(例、交換)をなくしたり、メンテナンスの頻度を減らしたりすることができる。例えば、バッテリー6の寿命がエンコーダ装置ECの他の部分の寿命よりも長い場合、バッテリー6の交換を不要にすることもできる。
また、ウィーガントワイヤ等の感磁性ワイヤを利用すると、磁石31の回転が極めて低速であっても、信号発生部32からパルス電流の出力が得られる。そのため、例えばモータMへ電力供給がなされていない状態などにおいて、回転軸SF(磁石31)の回転が極めて低速な場合にも、信号発生部32の出力を電気信号として利用できる。
なお、第2処理部18は、第2パターン15を第2検出部17が検出した検出結果を用いて多回転情報を検出し、角度位置情報を検出しなくてもよい。この場合、比較部25は、第2検出部17の検出結果に基づく多回転情報を、上記の第2の多回転検出部による多回転情報と比較してもよい。また、第2処理部18は、第2パターン15を第2検出部17が検出した検出結果を用いて角度位置情報を検出し、多回転情報を検出しなくてもよい。また、エンコーダ装置ECは、比較部25を備えなくてもよい。
なお、多回転情報検出部3の一部は、角度検出部4と共用であってもよい。また、電力供給部2は、信号発生部32で発生する検出信号の電力を電源に用いてもよい。例えば、電力供給部2は、検出信号の電圧をレギュレータなどで所定電圧に調整し、検出信号の電力を位置検出部1に供給してもよい。また、上述の実施形態において、信号発生部32は、磁石31に対して所定の位置関係になった際に検出信号が発生する。エンコーダ装置EC(多回転情報検出部3)は、信号発生部32を、回転軸SF(磁石31)の位置情報を検出するセンサとして備えてもよい。
なお、電力供給部2は、バックアップ状態において、連続的に電力を供給してもよい。また、電力供給部2は、バックアップ状態において、多回転情報検出部3と別の部分(例、角度検出部4の少なくとも一部)に電力を供給してもよい。多回転情報検出部3は、バックアップ状態において、通常状態と同様に角度位置情報を算出してもよい。例えば、バックアップ状態において、多回転情報検出部3および角度検出部4は、それぞれ角度位置情報を算出してもよい。この場合、比較部25は、バックアップ状態において多回転情報検出部3が算出した角度位置情報と、バックアップ状態において角度検出部4が算出した角度位置情報とを比較してもよい。
なお、合成部26は、多回転情報検出部3が算出した角度位置情報を含む回転位置情報を生成してもよい。例えば、合成部26は、角度検出部4の動作不良が検出された場合に、角度検出部4により算出される角度位置情報の代わりに、多回転情報検出部3によって算出される角度位置情報を用いて、回転位置情報を生成してもよい。例えば、上記した第2パターン15を検出する多回転情報検出部3が回転体の角度位置情報の検出に用いられる場合、本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、光学式の多回転情報検出部3と光学式の角度検出部4とによって角度位置情報を検出する検出部(例、角度検出部4)の多重化(この場合、二重化)を構成することができ、装置の信頼性を向上することが可能である。また、例えば、本実施形態における角度検出部4はホール素子やMR素子などを用いた磁気式の角度検出部であってもよい。このような磁気式の角度検出部が用いられ、かつ上記した第2パターン15を検出する多回転情報検出部3が回転体の角度位置情報の検出に用いられる場合であっても、本実施形態におけるエンコーダ装置ECは、光学式の多回転情報検出部3と磁気式の角度検出部とによって角度位置情報を検出する検出部(例、角度検出部4)の多重化(この場合、二重化)を構成することができ、装置の信頼性を向上することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、図8などを用いて、第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図8(A)は、本実施形態に係る比較部を示す図である。比較部25は、第2検出部17(例、第1受光部17a)が第2パターン15のうち第1位相のパターン15a(例、濃淡を有するパターン)を検出した検出結果(以下、第1検出信号という)と、第2検出部17(例、第2受光部17b)が第2パターン15のうち第2位相のパターン15b(例、濃淡を有するパターン)を検出した検出結果(以下、第2検出信号という)との関係に基づいて、エンコーダ装置ECの動作に関する報知情報を生成して出力する。
第1検出信号Sa(図3(B)参照)は、例えば正弦波状である。第2検出信号Sb(図3(B)参照)は、第1検出信号Saと位相がずれた正弦波状である。例えば、第1検出信号Saと第2検出信号Sbとで位相が90°ずれている場合、第2検出信号Sbは、余弦波に相当する。
図8(B)は、第1検出信号のレベルと第2検出信号のレベルとの関係を示す図である。上記のように、第1検出信号と第2検出信号とで位相が90°ずれている場合、第1検出信号と第2検出信号とのリサージュLF(リサージュ図形)は、円周になる。例えば、第1検出信号のレベルをSL1とし、第2検出信号のレベルをSL2としたときに、これらレベルを組みにした座標(SL1,SL2)の点は、リサージュLFの線上に配置されることが想定される。
図8(B)の符号ARは、リサージュLFに対して誤差を加味した許容範囲である。比較部25は、例えば、上記の座標(SL1,SL2)の点が許容範囲AR内であるか否かを判定する。比較部25は、例えば、座標(SL1,SL2)の点が許容範囲AR内に無いと判定した場合に、報知情報(報知信号)としてエラーあるいは警報を示す情報(信号)を生成する。比較部25は、例えば、照射部16の不具合などを報知情報によって外部へ報知することができ、装置の信頼性を向上させることに寄与する。
[駆動装置]
次に、実施形態に係る駆動装置について説明する。図9は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については、適宜、同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸SFと、回転軸SFを回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸SFの回転位置情報を検出するエンコーダ装置ECとを有している。
回転軸SFは、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有している。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、固定部を介してスケールSが固定される。このスケールSの固定とともに、エンコーダ装置ECが取り付けられている。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態に係るエンコーダ装置である。
エンコーダ装置ECは、例えば、回転軸SFの回転によって相対的に回転する磁石31および検出部MDを備える。検出部MDは、例えば、ホール素子あるいはMR素子などの磁気検出部である。検出部MDは、磁石31が形成する磁界を検出する。磁石31(図2参照)は、検出部MDに形成する磁界の向き、及び強さが回転軸SFの回転角によって変化する。エンコーダ装置ECは、検出部MDの検出結果に基づいて、回転軸SFの多回転情報を検出する。エンコーダ装置ECは、例えば、図1などに示した比較部25によって、第2処理部18による多回転情報と、検出部MDによる多回転情報とを上述のように比較してもよい。なお、検出部MDが検出する磁界を形成する磁石は、磁石31と別に設けられてもよい。
なお、エンコーダ装置ECは、第1の角度検出部(例、図1の照射部11、第1検出部12、第1処理部13)と、第2の角度検出部(例、図1の照射部16、第2検出部17、第2処理部18)との一方または双方を備えてもよい。エンコーダ装置ECは、第1の多回転検出部(例、図1の照射部16、第2検出部17、第2処理部18)と、第2の多回転検出部(例、図9の検出部MD)との一方または双方を備えてもよい。上記の第1の角度検出部、第2の角度検出部、第1の多回転検出部、及び第2の多回転検出部は、それぞれ、光学式のエンコーダでもよいし、磁気式のエンコーダでもよく、その他の検出方式(例、静電容量式)のエンコーダでもよい。上記の第1の角度検出部、第2の角度検出部、第1の多回転検出部、及び第2の多回転検出部の検出方式の組み合わせは任意である。
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、図1などに示したモータ制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、例えば、エンコーダ装置ECの信頼性が高いので、安定に動作可能である。なお、実施形態に係る駆動装置MTRは、リニアモータあるいは平面モータでもよく、実施形態に係るエンコーダ装置ECは、リニアエンコーダでもよい。また、駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
[ステージ装置]
次に、ステージ装置について説明する。図10は、ステージ装置STGを示す図である。このステージ装置STGは、図9に示した駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaに、ステージ(回転テーブルTB、移動物体)を取り付けた構成である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については、適宜、同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
ステージ装置STGは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させる。この回転は、回転テーブルTBに伝達され、その際にエンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、回転テーブルTBの角度位置を検出することができる。なお、駆動装置MTRの負荷側端部SFaと回転テーブルTBとの間に減速機等が配置されてもよい。
ステージ装置STGは、例えば、エンコーダ装置ECの信頼性が高いので、安定的に動作可能である。ステージ装置STGは、例えば、旋盤等の工作機械に備える回転テーブル等に適用できる。なお、ステージ装置STGは、例えば、1次元のリニアモータによって、ステージを1方向に直線的に移動させる構成でもよい。また、ステージ装置STGは、複数の1次元のリニアモータあるいは2次元のリニアモータ(例、平面モータ)によって、ステージを2方向に移動させる構成でもよい。
[ロボット装置]
次に、ロボット装置について説明する。図11は、ロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、図11には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを備える。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
第1アームAR1は、腕部101、軸受101a、及び軸受101bを備える。第2アームAR2は、腕部102および接続部102aを有する。接続部102aは、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの間に配置されている。接続部102aは、回転軸SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて、軸受101aと軸受101bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受101bに挿入される側の端部は、軸受101bを貫通して減速機RGに接続されている。
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。図11に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸SFのうち負荷側端部SFaは、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸SFのうち反負荷側端部SFbには、エンコーダ装置ECのスケールSが取り付けられている。
ロボット装置RBTは、駆動装置MTRを駆動して回転軸SFを回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SF2に伝達される。回転軸SF2の回転により接続部102aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸SFの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。
ロボット装置RBTは、例えば、エンコーダ装置ECの信頼性が高いので、安定的に動作可能である。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、複数の関節を備える各種ロボット装置(例、双腕多軸型ロボット)に適用できる。複数の関節を備えるロボット装置の場合、そのロボット装置は各関節(各軸)又は一部の関節に本実施形態のエンコーダ装置ECが配置される。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。