以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[ガス化溶融プラントの構成]
図1は、ガス化溶融プラント1の概略構成を示す模式図である。本実施の形態に係るガス化溶融プラント1は、廃棄物処理プラントの一例であり、ガス化炉7及び溶融炉8を含むガス化溶融炉9を備えている。ガス化溶融プラント1は、廃棄物を貯留するごみピット3を備えており、ごみ収集車2から排出された廃棄物がごみピット3に収容される。ごみピット3にはごみクレーン4が設けられている。ごみクレーン4は、ごみピット3に貯留された廃棄物を把持して上昇することにより、ごみピット3から定量ずつ廃棄物を取り出す。
ごみピット3の隣には、給じんホッパ5が設けられている。ごみクレーン4は、ごみピット3から引き上げた廃棄物を給じんホッパ5に投入する。給じんホッパ5は、図示しない破砕機を備えており、投入された廃棄物を破砕する。給じんホッパ5の下方には、ベルトコンベアである給じんコンベア6が設けられており、破砕された廃棄物が定量ずつ給じんコンベア6に供給される。給じんコンベア6が廃棄物を搬送し、ガス化炉7に投入する。
ガス化炉7には、底部に流動粒子(例えば、砂)からなる流動床10が設けられている。流動床10の下部には風箱11が設けられており、風箱11内に図示されない送風機により押込空気を導入すると、上向きに流動化空気が噴射され、流動床10の流動粒子及び給じんコンベア6により供給された廃棄物が流動撹拌される。このガス化炉7は、鉄及びアルミニウム等の金属を未酸化状態で回収するため、流動床10の流動粒子の流動層温度(砂層温度)が、アルミニウムの融点(600℃)以下である約500~600℃となるように運転される。廃棄物は、流動床10内で空気比0.2~0.3程度の還元雰囲気の中で熱分解され、熱分解ガス(可燃性ガス)及び未燃固形分(チャー、灰分等)となる。ガス化炉7の炉頂部分には溶融炉8に連通する流路12が設けられており、熱分解ガス及び未燃固形分がこの流路12を通って溶融炉8に供給される。
溶融炉8は、ガス化炉7で生成された熱分解ガス及び未燃固形分を約1300~1400℃の高温で燃焼させる。流路12には燃焼用空気を供給するための一次空気供給口13が設けられており、また酸素富化装置14が接続されている。一次空気供給口13には一次空気供給装置15が設けられ、一次空気供給装置15から供給された燃焼用空気と酸素富化装置14から供給された酸素とが混合され、流路12を通じて溶融炉8に供給される。溶融炉8は、流路12に連通する部分が一次燃焼室16になっており、供給された燃焼用空気が図の矢印に示すように強旋回される。この一次燃焼室16では、ガス化炉7から流入する熱分解ガスの一部が燃焼される。一次燃焼室16の頂上部には、溶融炉補助バーナ20が設けられており、熱分解ガスの燃焼が補助される。また、溶融炉8は、一次燃焼室16の下端に、断面積が他の部分よりも小さい絞部21を有し、絞部21の後段に二次燃焼室17を有している。二次燃焼室17には、二次空気供給口18が設けられ、二次空気供給口18には二次空気供給装置19が接続されている。二次燃焼室17には、二次空気供給装置19から燃焼用空気が供給される。二次燃焼室17において、未燃の熱分解ガスが燃焼用空気によって高温燃焼する。灰分は溶融し、スラグが生成されるとともに、ダイオキシン類を分解する。溶融スラグは、溶融炉8の下部に設けられたスラグ下流口22より炉外へと回収されることにより有用な資源として利用される。
ボイラ23は、溶融炉8に付属して設置されており、ガス化溶融のプロセスで発生した熱を回収する。ボイラ23は、ガス化溶融のプロセスで発生した熱を利用して水を蒸発させ、図示されない蒸気タービン及び発電機を駆動して電力を生成する。また、溶融炉8には排気用の煙突24が接続されている。溶融炉8と煙突24の間には、図示されないガス冷却装置、排ガス処理装置(バグフィルタ等)、脱硝装置、誘引送風機が設置されており、溶融炉8によって生じた排ガスを冷却、除塵して煙突24へと送出する。尚、ここではボイラ23が設けられたガス化溶融炉プラント1について説明しているが、ボイラが設けられていないガス化溶融炉プラントであってもよい。
上記のようなガス化溶融プラント1には、各種センサが設けられている。給じんコンベア6には、この給じんコンベア6の搬送速度(以下、「給じん速度」という)を計測するための給じん速度計30が設けられている。風箱11には、風箱11内の圧力(以下、「風箱圧力」という)を計測するための風箱圧力計31と、風箱11内の温度(以下、「風箱温度」という)を計測するための風箱温度計32と、風箱11に導入される押込空気の流量(以下、「押込空気流量」という)を計測するための押込空気流量計33と、砂層温度を計測するための砂層温度計34とが設けられている。また、ガス化炉7の炉頂部分には、当該炉頂部分の圧力(以下、「ガス化炉炉頂圧力」という)を計測するためのガス化炉炉頂圧力計35が設けられており、ガス化炉7の出口部分には、この出口部分の温度(以下、「ガス化炉出口温度」という)を計測するためのガス化炉出口温度計36が設けられている。一次空気供給口13には、流路12を通流する空気(以下、「一次空気」という)の流量を計測するための一次空気流量計37が設けられており、酸素富化装置14には、酸素富化装置14から供給されるO2ガスの流量(以下、「供給O2流量」という)を計測するためのO2流量計38が設けられている。一次燃焼室16の頂上部には、この頂上部の温度(以下、「溶融炉炉頂温度」という)を計測するための溶融炉炉頂温度計39と、溶融炉補助バーナ20から供給される空気の流量(以下、「補助バーナ空気流量」という)を計測するための補助バーナ空気流量計40とが設けられている。また、溶融炉8の絞部21には絞部21における温度(以下、「絞部温度」という)を計測するための絞部温度計41が設けられている。二次空気供給口18には、二次空気供給装置19から供給される燃焼用空気(以下、「二次空気」という)の流量を計測するための二次空気流量計42が設けられており、二次燃焼室17には、二次燃焼室17の排ガス温度(以下、「二次燃焼室排ガス温度」という)を計測するための二次燃焼室排ガス温度計43と、二次燃焼室17の水平煙道を通る排ガスの温度(以下、「水平煙道排ガス温度」という)を計測するための水平煙道排ガス温度計44とが設けられている。また、ボイラ23には、主蒸気の流量を計測するための主蒸気流量計45が設けられている。溶融炉8とボイラ23との接続部分には、この接続部分の酸素濃度(以下、「二次燃焼室出口O2濃度」という)を計測するためのO2濃度計46が設けられている。尚、上記のようにボイラ23がない設備においては、二次燃焼室17の下流側に設けられた垂直煙道に温度計を設け、この温度計によって計測されたこの垂直煙道を通る排ガスの温度を、垂直煙道排ガス温度として使用できる。また、ボイラ23がない設備において、溶融炉8の出口にO2濃度計を設け、このO2濃度計によって計測されたO2濃度を、二次燃焼室出口O2濃度として使用できる。また、溶融炉8から煙突24に繋がる流路には、排ガスの流量を計測するための排ガス流量計47が設けられ、煙突24には、排ガスの濃度を計測するための排ガス濃度計48が設けられている。
かかるガス化溶融プラント1は、制御装置に接続されている。制御装置は、上記の各種センサ30~48から計測信号を受信するようになっている。各種センサ30~48とは、具体的には、給じん速度計30、風箱圧力計31、風箱温度計32、押込空気流量計33、砂層温度計34、ガス化炉炉頂圧力計35、ガス化炉出口温度計36、一次空気流量計37、O2流量計38、溶融炉炉頂温度計39、補助バーナ空気流量計40、絞部温度計41、二次空気流量計42、二次燃焼室排ガス温度計43、水平煙道排ガス温度計44、主蒸気流量計45、O2濃度計46、排ガス流量計47、及び排ガス濃度計48である。また、制御装置は、一次空気供給装置15及び二次空気供給装置19に接続されている。かかる制御装置は、各種センサからの計測信号の受信に応じて一次空気供給装置15及び二次空気供給装置19に制御信号を送信し、ガス化溶融プラント1の排ガスの状態(燃焼状態)をフィードバック制御する。
[本実施の形態の背景及び概要]
ところで、ガス化溶融プラント1で計測された計測値を示す計測信号は、レジスタと呼ばれる記憶領域を介して制御装置へ送られる。即ち、ガス化溶融プラント1は一定の周期でレジスタに計測信号を書き込み、制御装置は一定の周期でレジスタから計測信号を読み出す。但し、ガス化溶融プラント1がレジスタに計測信号を書き込むタイミングと、制御装置がレジスタから計測信号を読み出すタイミングとは、必ずしも同期していない。従って、制御装置は、ガス化溶融プラント1がレジスタに1つ前の周期で書き込んだ計測信号を、ガス化溶融プラント1が今回の周期で書き換える前に再び読み出してしまうこともある。そうすると、制御装置が読み込んだ計測信号において、同じ計測値が連続してしまうことになる。
このように、計測値の時系列データが、同じ計測値が連続するデータ(以下、「同値連続データ」という)を含んでいると、特に時系列データの変化率(今回の計測値と前回の計測値との差分)が大きくずれる。制御装置では、例えばO2濃度の変化率を複数のロジックへの入力情報として利用しているので、この変化率がずれると、モデル学習時の入力パターンとは異なる入力パターンが生成されてしまい、モデルの推定精度に悪影響を及ぼす虞がある。即ち、ロジックへの入力情報に乗る外乱成分が大きくなり、制御性能低下を引き起こす可能性がある。
図2(a)は、ガス化溶融プラント1から取得したO2濃度の時系列データを示したグラフである。グラフ中、実線は、同値連続データを含まない時系列データを示している。つまり、この時系列データは、実際のプロセス特性を表す時系列データである。一方、破線は、同値連続データを含む時系列データを示している。このグラフでは、同値連続データを含まない時系列データと、同値連続データを含む時系列データとに、それほど違いはない。
一方、図2(b)は、ガス化溶融プラント1から取得したO2濃度の変化率の時系列データを示したグラフである。図2(a)と同様、グラフ中、実線は、同値連続データを含まない時系列データを示しており、破線は、同値連続データを含む時系列データを示している。このグラフでは、破線丸印で囲んだ箇所において、不自然な変化率ゼロのデータが出現している。このように、変化率の時系列データを想定した場合、実際のプロセス特性との乖離が大きくなることがある。
そこで、本実施の形態では、制御装置が、時系列データに含まれる同値連続データを、可能な限り実際のプロセス特性へ近い値へ補正する前処理を行うこととした。具体的には、第一に、制御装置のロジックをオフラインでモデル学習する際には、一括補正処理(一括補正アルゴリズム)により補正を行う。ここで、一括補正処理とは、学習対象データから同値連続データを抽出し、前後のデータとの関係性から滑らかに補正する処理である。また、第二に、制御装置のロジックをオンラインで実行する際には、逐次補正処理(逐次補正アルゴリズム)により補正を行う。ここで、逐次補正処理とは、周期ごとに更新されるデータが1周期前と同値の場合に補正する処理である。
[制御装置の機能構成]
図3は、本実施の形態における制御装置100の機能構成例を示した図である。尚、制御装置100は、情報処理装置の一例である。
図示するように、制御装置100は、データ入力I/F(データ入力インターフェース)101と、運転DB(運転データベース)102と、オフライン前処理部103と、モデル学習部104と、モデルDB(モデルデータベース)105とを備える。また、重みパラメータ同定部106と、オンライン前処理部107と、モデル実行部108とを備える。更に、動作条件DB(動作条件データベース)109と、操作量決定部110と、出力ログDB(出力ログデータベース)111と、データ出力I/F(データ出力インターフェース)112とを備える。
データ入力I/F101は、各種センサ30~48で計測された計測値を示す計測信号50を図示しないレジスタから周期ごとに取得し、この計測信号50を運転データ51に変換する。運転データ51とは、具体的には、計測信号50を取得した時刻と、計測信号50が示す項目及び計測値とを含むデータのことである。本実施の形態では、時系列データの一例として、運転データ51を用いており、時系列データを取得する取得手段の一例として、データ入力I/F101を設けている。
ここで、項目は、例えば、燃焼室出口O2濃度、ガス化炉炉頂圧力、溶融炉空気比、溶融炉一次空気量、溶融炉二次空気量、溶融炉酸素流量のうちの少なくとも1つとする。
燃焼室出口O2濃度は、O2濃度計46により計測される項目である。
ガス化炉炉頂圧力は、ガス化炉炉頂圧力計35により計測される項目である。
溶融炉一次空気量は、一次空気流量計37により計測される項目である。
溶融炉二次空気量は、二次空気流量計42により計測される項目である。
溶融炉空気比は、「(一次側空気流量/全空気流量)×総空気比」により算出される項目である。全空気流量は、一次空気流量、二次空気流量、押込空気流量、及び補助バーナ空気流量の総和である。一次側空気流量は、全空気流量から二次空気流量を差し引いた値、即ち、溶融炉8の入口より上流側の空気量の合計である。総空気比は、「21/(21-O2濃度)」により算出される。ここで、一次空気流量は、上記溶融炉一次空気量のことであり、二次空気流量は、上記溶融炉二次空気量のことであり、押込空気流量は、押込空気流量計33により計測される項目であり、補助バーナ空気流量は、補助バーナ空気流量計40により計測される項目である。また、O2濃度は、上記燃焼室出口O2濃度のことである。従って、溶融炉空気比は、図1に示した何れかのセンサで計測された計測値から値が得られる項目である。
溶融炉酸素流量は、O2流量計38により計測される項目である。
データ入力I/F101は、最新時刻の運転データ51を運転DB102に出力する。また、データ入力I/F101は、最新時刻の運転データ51をオンライン前処理部107にも出力する。その際、データ入力I/F101は、過去の数周期分の計測信号50を変換して得られた運転データ51を保持しておき、これもオンライン前処理部107に出力するとよい。これは、オンライン前処理部107が後述するように自己回帰モデルを用いて最新時刻データ57を計算するためであり、過去の周期の数はこの自己回帰モデルで用いる周期の数に応じて決めるとよい。
運転DB102は、データ入力I/F101が出力した最新時刻の運転データ51を保存する。運転DB102には、データ入力I/F101が過去に出力した運転データ51も蓄積されているので、最新時刻の運転データ51は、最新時刻から過去の所定の時刻までの一定期間の運転データ52に含めて保存される。
オフライン前処理部103は、運転DB102に保存された一定期間の運転データ52に含まれる同値連続データに対して、一定期間の運転データ52が表す特性が実際のプロセス特性に近付くように、一括補正処理を行う。本実施の形態では、同値連続データを補正する補正手段の一例として、オフライン前処理部103 を設けている。また、時系列データの複数のデータ群のそれぞれが同値連続データである場合に複数のデータ群を一括的に補正することにより同値連続データを補正する第1の補正手段の一例として、オフライン前処理部103を設けている。また、オフライン前処理部103は、これとは別に、運転DB102に保存された一定期間の運転データ52から、時刻ごとの排ガスの排出の有無を示す排ガス排出フラグを生成する。この排ガス排出フラグは、例えば、排ガス流量計47により計測された排ガスの流量を一定期間の運転データ52から取得し、排ガスの流量が基準値を超えていれば1に設定し、排ガスの流量が基準値以下であれば0に設定することにより、生成すればよい。これにより、オフライン前処理部103は、時刻ごとに、一括補正処理が行われた後の一定期間の運転データ52に含まれる項目及び計測値と、排ガス排出フラグとを組み合わせた学習データ53を作成し、モデル学習部104に出力する。尚、オフライン前処理部103の構成の詳細については後述する。
モデル学習部104は、オフライン前処理部103から学習データ53を取得し、この学習データ53を用いて排ガス特性モデルの学習を行う。ここで、排ガス特性モデルは、IF(条件)THEN(結果)という形式で記述したIF-THENルールに基づくものとする。即ち、IF-THENルールに記述された条件が満たされる場合に、IF-THENルールに記述された結果を得る動作を行うものである。条件とは、一定期間の運転データ52に含まれる項目の計測値に関する条件である。例えば、燃焼室出口O2濃度、ガス化炉炉頂圧力、溶融炉空気比、溶融炉一次空気量、溶融炉二次空気量、溶融炉酸素流量等の項目の計測値が閾値以上であるといった条件や、閾値以下であるといった条件等がある。結論とは、排ガスの排出の有無である。例えば、排ガス特性モデルの学習により、ある項目の計測値がある閾値以上になると排ガスが排出される傾向にあることが分かれば、その閾値を示す閾値データ54をモデルDB105に出力する。本実施の形態では、時系列データを用いて所定の情報処理を行う処理手段の一例として、モデル学習部104を設けている。また、廃棄物処理プラントの状態の一例として、排ガスの排出の有無を用いており、その状態の判定のための情報の一例として、閾値データ54を用いている。更に、補正後の複数のデータ群を含む時系列データを用いてその情報を生成する生成手段の一例として、モデル学習部104を設けている。
モデルDB105は、モデル学習部104が学習した閾値データ54を保存する。
重みパラメータ同定部106は、運転DB102に保存された一定期間の運転データ52に基づいて、オンライン前処理部107で用いられる重みパラメータ56を同定する。具体的には、一定期間の運転データ52に対して一括補正処理を行った結果と、一定期間の運転データ52の各データに対して逐次補正処理を行った結果との平均二乗誤差に基づいて、重みパラメータ56を同定する。そして、同定された重みパラメータ56をオンライン前処理部107に出力する。本実施の形態では、重みの一例として、重みパラメータ56を用いており、比較結果の一例として、平均二乗誤差を用いている。また、重みを決定する決定手段の一例として、重みパラメータ同定部106を設けている。
オンライン前処理部107は、データ入力I/F101から最新時刻及び過去の数周期分の運転データ51を取得する。また、重みパラメータ同定部106から重みパラメータを取得することもある。そして、最新時刻の運転データ51における計測値(以下、「最新計測値」という)が、前回時刻の運転データ51における計測値(以下、「前回計測値」という)と同じであるかどうかを判定する。これらの計測値が同じでなければ、最新計測値をそのまま用いて得られた最新時刻データ57をモデル実行部108に出力する。これらの計測値が同じであれば、最新計測値に対し過去の数周期分の運転データ51における計測値と重みパラメータとを用いて逐次補正処理を行って得られた最新時刻データ57をモデル実行部108に出力する。本実施の形態では、同値連続データを補正する補正手段の一例として、オンライン前処理部107を設けている。また、時系列データの最新のデータが同値連続データを構成する場合に最新のデータを逐次的に補正することにより同値連続データを補正する第2の補正手段の一例として、オンライン前処理部107を設けている。
モデル実行部108は、オンライン前処理部107から最新時刻データ57を取得すると共に、モデルDB105に保存された閾値データ54をモデルパラメータ55として取得する。そして、IF-THENルールに基づく排ガス特性モデルを実行して排ガスの排出の有無を判定する。その際、動作条件DB109に格納された第1動作条件データ58(後述)を取得し、例えば、最新時刻データ57に含まれる項目を、排ガスの排出の有無の判定に必要な項目に絞り込む処理も行う。これにより、モデル実行部108は、排ガスの排出の有無の判定結果を示す判定結果データ59を、操作量決定部110及び出力ログDB111に出力する。本実施の形態では、時系列データを用いて所定の情報処理を行う処理手段の一例として、モデル実行部108を設けている。また、廃棄物処理プラントの状態を判定する判定手段の一例として、モデル実行部108を設けている。
動作条件DB109は、モデル実行部108が動作する際に用いる動作条件を示す第1動作条件データ58と、操作量決定部110が動作する際に用いる動作条件を示す第2動作条件データ60とを格納する。第1動作条件データ58は、例えば、モデル実行部108が排ガスの排出の有無を判定する際に必要となる項目を規定する。第2動作条件データ60は、例えば、操作量決定部110が決定するガス化溶融プラント1の機器(例えば、一次空気供給装置15及び二次空気供給装置19)の操作量を規定する。
操作量決定部110は、判定結果データ59及び第2動作条件データ60に基づいて、ガス化溶融プラント1を構成する機器に対する操作量を決定する。具体的には、排ガスが排出されていることを判定結果データ59が示している場合に、ガス化溶融プラント1を構成する機器の操作量を、第2動作条件データ60が規定する操作量に決定する。そして、決定した操作量を示す操作量データ61を、出力ログDB111及びデータ出力I/F112に出力する。
出力ログDB111は、モデル実行部108及び操作量決定部110の動作結果、即ち、判定結果データ59及び操作量データ61を格納する。
データ出力I/F112は、操作量決定部110から操作量データ61を取得する。そして、ガス化溶融プラント1の機器に対して、操作量データ61が示す操作量だけ操作する制御信号62を出力する。
図4は、オフライン前処理部103のより詳細な機能構成例を示した図である。図示するように、オフライン前処理部103は、一括補正部1031と、平滑化パラメータDB(平滑化パラメータデータベース)1032と、平滑化部1033と、学習データ作成部1034とを備える。
一括補正部1031は、運転DB102に保存された一定期間の運転データ52に対し、一括補正処理を行う。具体的には、一括補正部1031は、まず、一定期間の運転データ52から同値連続データを抽出して除外し、これを除外後運転データとする。次に、除外後運転データに対して補間処理を実行する。ここで、補間処理は、一定期間の運転データ52のデータ値の変化が滑らかになるように同値連続データを補正するものであればよい。このような補間処理としては、例えば、一定期間の運転データ52の同値連続データ以外のデータに少なくとも基づくスプライン補間や線形補間がある。次いで、一括補正部1031は、この補間処理により同値連続データの時刻に対して求められた補間データでその同値連続データを置き換えることにより、一定期間の運転データ52を補正し、これを補正後運転データ521とする。そして、一括補正部1031は、補正後運転データ521を平滑化部1033に出力する。
平滑化パラメータDB1032は、平滑化部1033で用いられる平滑化パラメータ522を格納する。
平滑化部1033は、一括補正部1031から取得した補正後運転データ521に対して、平滑化パラメータDB1032に格納された平滑化パラメータ522を用いて指数平滑化を行う。そして、その結果を平滑化運転データ523として学習データ作成部1034に出力する。
学習データ作成部1034は、時刻ごとに、平滑化運転データ523に含まれる項目及び計測値と、一定期間の運転データ52から別途取得した排ガス排出フラグとを組み合わせて、学習データ53を作成する。
ここで、図4の一括補正部1031の機能について具体的に説明する。
図5(a)は、一括補正部1031が同値連続データを抽出して除外する様子について示した図である。図示するように、一括補正部1031は、一定期間の運転データ52から、同値連続データを抽出して除外する。図では、同値連続データ525a~525dが抽出されている。ここで、同値連続データ525a~525dは、何れも、複数の点(複数の時刻に対する計測値)を含むものとする。尚、同値連続データ525a~525dは、時系列データの複数のデータ群の一例である。
図5(b)は、同値連続データのそれぞれの複数の点から先頭の点以外の点が除外された除外後運転データに対して、一括補正部1031が補間処理を実行した後の状態について示した図である。図示するように、一括補正部1031は、同値連続データから先頭の点以外の点が除外された部分526a~526dが滑らかになるように、補間処理を実行して、補間後運転データ520とする。
図5(c)は、この補間処理で得られた補間データ527a~527dで一定期間の運転データ52を補正した後の状態について示した図である。図示するように、一括補正部1031は、補間処理で得られた補間データ527a~527dで、対応する同値連続データの除外された点を置き換えることにより、補正後運転データ521を生成する。
図6は、オンライン前処理部107のより詳細な機能構成例を示した図である。図示するように、オンライン前処理部107は、逐次補正部1071と、平滑化パラメータDB(平滑化パラメータデータベース)1072と、平滑化部1073とを備える。
逐次補正部1071は、データ入力I/F101から取得した最新時刻及び過去の数周期分の運転データ51に対し、逐次補正処理を行う。具体的には、逐次補正部1071は、最新時刻の運転データ51における最新計測値が前回時刻の運転データ51における前回計測値と同じであるかどうかを判定する。最新計測値が前回計測値と同じであれば、まず、過去の数周期分の運転データ51における計測値に自己回帰モデルを適用することにより、仮補正値を算出する。次に、重みパラメータ56を重みとして仮補正値と最新計測値との加重和を算出し、この加重和を補正値とする。ここで、重みパラメータ56は、その都度重みパラメータ同定部106から取得してもよいし、重みパラメータ同定部106から取得して一定期間逐次補正部1071内に保持しておいてもよい。次いで、逐次補正部1071は、最新計測値を補正値で補正し、これを最新データ値511とする。最新計測値が前回計測値と同じでなければ、最新計測値をそのまま最新データ値511とする。本実施の形態では、最新のデータの一例として、最新計測値を用いている。また、時系列データの最新のデータの直前の一定期間のデータから予測された予測データの一例として、仮補正値を用いている。更に、予測データと最新のデータとの間の補正データの一例として、補正値を用いている。そして、逐次補正部1071は、最新データ値511を平滑化部1073に出力する。
平滑化パラメータDB1072は、平滑化部1073で用いられる平滑化パラメータ512を格納する。
平滑化部1073は、逐次補正部1071から取得した最新データ値511に対して、平滑化パラメータDB1072に格納された平滑化パラメータ512を用いて指数平滑化を行う。そして、その結果を最新時刻データ57としてモデル実行部108に出力する。
ここで、図6の逐次補正部1071の機能について具体的に説明する。
図7は、逐次補正部1071が最新時刻の補正値を求める様子について示した図である。図示するように、逐次補正部1071は、まず、最新時刻tにおける最新計測値515と、過去の数周期分の時刻における計測値とを含む運転データ51を取得しておく。次に、逐次補正部1071は、一定の範囲の時刻(ここではt-1からt-5)における計測値群516に基づき、矢印517で示すように自己回帰モデルを用いて、仮補正値518を求める。次いで、逐次補正部1071は、最新計測値515と仮補正値518と重みパラメータβとを用いて加重和を算出し、これを補正値519とする。
[制御装置の動作]
図8は、本実施の形態における制御装置100の動作例を示したフローチャートである。
図示するように、制御装置100では、まず、データ入力I/F101が、レジスタから計測信号50を取得する(ステップ1000)。尚、計測信号50は、運転データ51に変換され、運転データ51は、運転DB102及びオンライン前処理部107に出力される。これにより、運転DB102には、一定期間の運転データ52が保存される。
次に、制御装置100は、モデルDB105を生成するかどうかを判定する(ステップ1100)。例えば、モデルDB105の中にデータが存在しない場合、モデルDB105の中に前回データを保存してから所定時間が経過した場合、操作者が明示的にモデルDB105にデータを保存することを指示した場合等に、モデルDB105を生成すると判定するとよい。
ステップ1100でモデルDB105を生成すると制御装置100が判定した場合、まず、オフライン前処理部103が、運転DB102に保存された一定期間の運転データ52に対して、オフライン前処理を実行する(ステップ1200)。このオフライン前処理については後述する。
その後、モデル学習部104が、ステップ1200のオフライン前処理により作成された学習データ53を用いて、モデル学習を実行する(ステップ1300)。尚、モデル学習により生成された閾値データ54は、モデルDB105に保存される。そして、制御装置100は、処理をステップ1400へ進める。
一方、ステップ1100でモデルDB105を生成すると判定しなかった場合、制御装置100は、オフライン前処理部103及びモデル学習部104を動作させることなく、処理をステップ1400へ進める。
次に、制御装置100は、重みパラメータ56を同定するかどうかを判定する(ステップ1400)。例えば、オンライン前処理部107が重みパラメータ56を保持していない場合、前回重みパラメータ56を同定してから所定時間が経過した場合、操作者が明示的に重みパラメータ56を同定することを指示した場合等に、重みパラメータ56を同定すると判定するとよい。
ステップ1400で重みパラメータ56を同定すると制御装置100が判定した場合、重みパラメータ同定部106が、重みパラメータ同定処理を実行する(ステップ1500)。この重みパラメータ同定処理については後述する。そして、制御装置100は、処理をステップ1600へ進める。
一方、ステップ1400で重みパラメータ56を同定すると判定しなかった場合、制御装置100は、重みパラメータ同定部106を動作させることなく、処理をステップ1600へ進める。
次いで、制御装置100は、前回の制御処理(つまり、制御信号62の送信)を実行した後、所定の制御周期が経過したかどうかを判定する(ステップ1600)。尚、この判定は、図示しないタイマを用いて行えばよい。
ステップ1600で制御周期が経過したと判定しなかった場合、制御装置100は、処理をステップ1000へ戻す。
一方、ステップ1600で制御周期が経過したと制御装置100が判定した場合、まず、オンライン前処理部107が、データ入力I/F101から取得した最新の運転データ51に対して、オンライン前処理を実行する(ステップ1700)。このオンライン前処理については後述する。
その後、モデル実行部108が、排ガス特性モデルを実行することにより、排ガスの排出の有無を判定する(ステップ1800)。具体的には、モデル実行部108は、ステップ1700のオンライン前処理で出力された最新時刻データ57を取得する。また、ステップ1300でモデルDB105に保存された閾値データ54をモデルパラメータ55として取り出す。そして、最新時刻データ57が示す計測値と、モデルパラメータ55が示す閾値とを比較し、IF-THENルールに従って、排ガスの排出の有無を判定する。
続けて、操作量決定部110が、ステップ1800の排ガスの排出の有無の判定結果を示す判定結果データ59を受け、ガス化溶融プラント1の機器に対する操作量を決定する(ステップ1900)。具体的には、排ガスが排出されていることを判定結果データ59が示している場合に、動作条件DB109に格納された第2動作条件データ60に基づいて、ガス化溶融プラント1の機器に対する操作量を決定する。
次いで、制御装置100は、ガス化溶融プラント1の機器に対する操作を実行するかどうかを判定する(ステップ2000)。尚、この判定は、操作者の明示的な指示によって行えばよい。
ステップ2000でガス化溶融プラント1の機器に対する操作を実行すると判定しなかった場合、制御装置100は、処理をステップ1000へ戻す。
一方、ステップ2000でガス化溶融プラント1の機器に対する操作を実行すると制御装置100が判定した場合、データ出力I/F112が、ステップ1900で決定された操作量を示す操作量データ61に基づく制御信号62を、ガス化溶融プラント1の機器に出力する(ステップ2100)。
その後、モデル実行部108及び操作量決定部110が、処理結果を出力ログDB111に保存する(ステップ2200)。具体的には、モデル実行部108は、ステップ1800の排ガスの排出の有無の判定結果を示す判定結果データ59を出力ログDB111に保存する。また、操作量決定部110は、ステップ1900で決定された操作量を示す操作量データ61を出力ログDB111に保存する。
そして、最後に、制御装置100は、処理を終了するかどうかを判定する(ステップ2300)。尚、この判定は、操作者の明示的な指示によって行えばよい。
ステップ2300で処理を終了すると判定しなかった場合、制御装置100は、処理をステップ1000へ戻す。一方、ステップ2300で処理を終了すると判定した場合、制御装置100は、処理を終了する。
図9は、図8のステップ1200でオフライン前処理部103が実行するオフライン前処理のフローを示したフローチャートである。
図示するように、オフライン前処理部103では、まず、一括補正部1031が、運転DB102から一定期間の運転データ52を読み込む(ステップ1201)。
次に、一括補正部1031は、ステップ1201で読み込んだ一定期間の運転データ52から同値連続データを抽出して除外する(ステップ1202)。
次に、一括補正部1031は、ステップ1202で同値連続データが除外された除外後運転データに対して補間処理を実行する(ステップ1203)。
次に、一括補正部1031は、ステップ1203で補間処理を実行することにより得られた補間データを用いて、一定期間の運転データ52を補正する(ステップ1204)。具体的には、一定期間の運転データ52のうちステップ1202で除外した同値連続データを補間データで置き換えることにより一定期間の運転データ52を補正し、補正後運転データ521とする。
次いで、平滑化部1033が、ステップ1204で出力された補正後運転データ521に対して、指数平滑化を行う(ステップ1205)。その際、指数平滑化には、平滑化パラメータDB1032に格納された平滑化パラメータ522が用いられる。また、補正後運転データ521は、指数平滑化が行われて、平滑化運転データ523となる。
具体的には、平滑化部1033は、次の式により、指数平滑化を行う。時刻tにおける項目iの計測値が一括補正部1031により補正されていない場合は、1つ目の式が用いられる。時刻tにおける項目iの計測値が一括補正部1031により補正されて一括補正値となっている場合は、2つ目の式が用いられる。
ここで、xi
~(t)は、時刻tにおける項目iの移動平均値を表し、xi(t)は、時刻tにおける項目iの計測値を表し、xi
bat(t)は、時刻tにおける項目iの一括補正値を表す。尚、本明細書において、記号「~」は、式中では、文字の真上に付して示すが、テキスト中では、文字の右上に付して示す。また、αは、平滑化パラメータ522を表す。
そして、最後に、学習データ作成部1034が、学習データ53を作成する(ステップ1206)。具体的には、時刻ごとに、平滑化運転データ523に含まれる項目及び計測値と、一定期間の運転データ52から別途取得した排ガス排出フラグとを組み合わせて、学習データ53とする。
図10は、図8のステップ1500で重みパラメータ同定部106が実行する重みパラメータ同定処理のフローを示したフローチャートである。
図示するように、重みパラメータ同定部106は、まず、運転DB102から一定期間の運転データ52を読み込む(ステップ1501)。
次に、重みパラメータ同定部106は、重みパラメータβの候補集合を生成する(ステップ1502)。重みパラメータβは0以上1以下であるので、例えば、0から1までを予めの定められた個数の区間に分けて、それらの区間の境界の値からなる集合を、候補集合とすればよい。ここでは、重みパラメータβの候補集合には、N個の要素が含まれ、これらを重みパラメータβ(0),β(1),β(2),…,β(N)と表記するものとする。
次いで、重みパラメータ同定部106は、重みパラメータβのインデックスjを0に設定する(ステップ1503)。つまり、重みパラメータβのインデックスjを初期化する。
この状態で、重みパラメータ同定部106は、まず、一括補正処理により同値連続データを補正する(ステップ1504)。この一括補正処理については、図9のステップ1202~1204で述べたので、ここでの詳細な説明は省略する。
また、重みパラメータ同定部106は、重みパラメータβ(j)を用いて、逐次補正処理により同値連続データを補正する(ステップ1505)。この逐次補正処理については、図11のステップ1702~1705で述べる処理を、各時刻について行うものであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
これにより、重みパラメータ同定部106は、一括補正後の運転データ52と逐次補正後の運転データ52との間の平均二乗誤差を計算してメモリに格納する(ステップ1506)。
具体的には、重みパラメータ同定部106は、次の式により、平均二乗誤差を計算する。
ここで、RMSEiは、項目iに関する一括補正値と逐次補正値との間の平均二乗誤差を表し、xi
bat(m)は、一定期間の運転データにおける項目iのm番目の一括補正値を表し、xi
seq(m)は、一定期間の運転データにおける項目iのm番目の逐次補正値を表す。
その後、重みパラメータ同定部106は、インデックスjが重みパラメータβの候補集合の要素数N以上であるかどうかを判定する(ステップ1507)。
ステップ1507でインデックスjが重みパラメータβの候補集合の要素数N以上でない、つまり、重みパラメータβの候補集合の要素数Nよりも小さいと判定した場合、重みパラメータ同定部106は、インデックスjに1を加算し(ステップ1508)、処理をステップ1504へ進める。
一方、ステップ1507でインデックスjが重みパラメータβの候補集合の要素数N以上であると判定した場合、重みパラメータ同定部106は、重みパラメータβ(0),β(1),β(2),…,β(N)のうち、平均二乗誤差を最小とする重みパラメータβ(j)を選択する(ステップ1509)。これにより、選択された重みパラメータβ(j)は、重みパラメータβとして、オンライン前処理部107に出力される。
図11は、図8のステップ1700でオンライン前処理部107が実行するオンライン前処理のフローを示したフローチャートである。
図示するように、オンライン前処理部107では、まず、逐次補正部1071が、データ入力I/F101から最新時刻及び過去の数周期分の運転データ51を読み込む(ステップ1701)。
次に、逐次補正部1071は、最新時刻の運転データ51における最新計測値が、前回時刻の運転データ51における前回計測値と同じであるかどうかを判定する(ステップ1702)。
ステップ1702で最新計測値が前回計測値と同じであると判定した場合、逐次補正部1071は、まず、自己回帰モデルを用いて、過去の数周期分の計測値から、最新時刻における仮補正値を算出する(ステップ1703)。
具体的には、逐次補正部1071は、次の式により、仮補正値を算出する。
ここで、xi^(t)は、時刻tにおける項目iの仮補正値を表し、xi(t)は、時刻tにおける項目iの計測値を表す。尚、本明細書において、記号「^」は、式中では、文字の真上に付して示すが、テキスト中では、文字の右上に付して示す。また、anは、自己回帰パラメータを表す。
次に、逐次補正部1071は、ステップ1701で読み込んだ最新計測値と、ステップ1703で算出した仮補正値との加重和をとることにより、最新時刻における補正値を算出する(ステップ1704)。ここで、加重和をとる際には、図10の重みパラメータ同定処理で同定された重みパラメータβが用いられる。
具体的には、逐次補正部1071は、次の式により、補正値を算出する。
ここで、xi
seq(t)は、時刻tにおける項目iの逐次補正値を表す。また、βは、上述の通り、重みパラメータを表す。
次に、逐次補正部1071は、ステップ1701で読み込んだ最新計測値を、ステップ1704で算出した補正値で補正して、これを最新データ値511とし(ステップ1705)、処理をステップ1706へ進める。
一方、ステップ1702で最新計測値が前回計測値と同じであると判定しなかった場合、逐次補正部1071は、最新計測値をそのまま最新データ値511とし、処理をステップ1706へ進める。
次いで、平滑化部1073が、最新データ値511に対して、指数平滑化を行う(ステップ1706)。その際、指数平滑化には、平滑化パラメータDB1072に格納された平滑化パラメータ512が用いられる。また、最新データ値511は、指数平滑化が行われて、最新時刻データ57となる。
具体的には、平滑化部1073は、次の式により、指数平滑化を行う。時刻tにおける項目iの計測値が逐次補正部1071により補正されていない場合は、1つ目の式が用いられる。時刻tにおける項目iの計測値が逐次補正部1071により補正されて逐次補正値となっている場合は、2つ目の式が用いられる。
ここで、xi
~(t)は、時刻tにおける項目iの移動平均値を表し、xi(t)は、時刻tにおける項目iの計測値を表し、xi
SEQ(t)は、時刻tにおける項目iの逐次補正値を表す。また、αは、平滑化パラメータ512を表す。
[制御装置のハードウェア構成]
図12は、制御装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図示するように、制御装置100は、例えば汎用のPC(Personal Computer)等により実現され、演算手段であるCPU91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行し、制御装置100の各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD93は、記憶媒体の一例であって、各種プログラムに対する入力データや各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
また、制御装置100は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96と、記憶媒体に対してデータの読み書きを行うためのドライバ97とを備える。尚、図12は、制御装置100をコンピュータシステムにて実現した場合のハードウェア構成を例示するに過ぎず、制御装置100は図示の構成に限定されない。
[本実施の形態の効果]
以上述べたように、本実施の形態では、廃棄物処理プラントで計測された計測値を示す運転データ51,52に含まれる同値連続データを、運転データ51,52が表す特性が実際の特性に近付くように補正するようにした。これにより、廃棄物処理プラントで計測された計測値を示す運転データ51,52に同値連続データが含まれていても、この運転データ51,52を用いてロバストに所定の情報処理を行うことが可能となった。