しかしながら、非常用発電用エンジンに対して大きな負荷(例えば、非常用発電用エンジンの定格出力に対して100%の負荷)をかけるためには、大容量のロードバンクが必要となってしまう。このため、ロードバンクを設置するために広い設置スペースが必要になる他、ロードバンクの購入費やレンタル費などの費用負担が大きい等の問題がある。
また、ロードバンクを減らして非常用発電用エンジンに対する負荷を小さくすると(例えば、非常用発電用エンジンの定格出力に対して30%の負荷)、非常用発電用エンジンから排出される排気の温度が低くなる。このため、煤などの未燃分排出物が生成され、燃料噴射インジェクタ、バルブシート、シリンダの壁面、及び排気通路の壁面などに付着する場合がある。そして、この未燃分排出物の付着により、例えば燃料噴射インジェクタの噴射特性悪化、バルブのシート性不良、リング・ライナ磨耗、又は過給機の効率低下などの所謂ウェットスタッキング事象を引き起こしてしまう虞がある。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態は上述の問題や虞に鑑みなされたものであり、保守運転を実行する際に用いられるロードバンクの容量を低減することが可能であるとともに、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生を回避することが出来る非常用発電用エンジンの制御装置、非常用発電用エンジン、及び非常用発電用エンジンの保守運転方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る非常用発電用エンジンの制御装置は、定期的に保守運転が実行される非常用発電用エンジンの制御装置であって、前記非常用発電用エンジンを所定の運転モードに基づいて所定の負荷未満で運転させる通常運転モード、及び、前記非常用発電用エンジンを前記通常運転モードよりも高温の排気が排出されるように前記所定の負荷未満で運転させる高排温運転モード、の2つの運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを制御可能なエンジン制御部と、前記通常運転モードのみで前記保守運転を実行する通常保守運転パターン、又は、前記高排温運転モードを含むように前記保守運転を実行する高排温保守運転パターン、のいずれの保守運転パターンによって前記保守運転を実行するかを判断する保守運転パターン判断部と、を備える。
上記(1)の構成によれば、通常運転モードのみで保守運転を実行する通常保守運転パターン、又は、高排温運転モードを含むように保守運転を実行する高排温保守運転パターン、のいずれの保守運転パターンによって保守運転が実行される。そして、これら通常運転モード及び高排温運転モードは、非常用発電用エンジンを所定の負荷未満で運転させる。このため、非常用発電用エンジンに所定の負荷をかける場合と比較して、ロードバンクの容量を低減することができ、ロードバンクを設置するための設置スペースを縮小できる他、ロードバンクの購入費やレンタル費を低減することができる。
また、高排温運転モードでは、非常用発電用エンジンを通常運転モードよりも高温の排気が排出されるように所定の負荷未満で運転させる。このため、通常運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させて、煤などの未燃分排出物が生成されたとしても、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させることで、ロードバンクの容量を増やさずに非常用発電用エンジンから排出される排気の温度を高くし、未燃分排出物を消失することができる。よって、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生を回避することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、前記保守運転パターン判断部は、高排温運転開始スイッチがONされると、次回の保守運転を前記高排温保守運転パターンによって実行すると判断する。
上記(2)の構成によれば、例えば、保守作業員等が手動で高排温運転開始スイッチをONにすることで、次回の保守運転を高排温保守運転パターンによって実行するように保守運転パターン判断部に判断させることができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の構成において、前記保守運転パターン判断部は、最後に前記高排温保守運転パターンによって前記保守運転が実行されてからの経過時間を記憶する経過時間記憶部を含むとともに、前記経過時間が経過時間閾値を超えると、次回の保守運転を前記高排温保守運転パターンによって実行すると判断する。
上述した高排温運転モードで運転するときの燃費は、通常運転モードで運転するときの燃費と比べて高くなる。このため、高排温保守運転パターンによって保守運転を実行する際に消費される燃料消費量は、通常保守運転パターンによって保守運転を実行する際に消費される燃料消費量よりも多くなる。上記(3)の構成によれば、保守運転パターン判断部は、経過時間記憶部に記憶されている経過時間が経過時間閾値を超えると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンによって実行すると判断する。換言すれば、経過時間記憶部に記憶されている経過時間が経過時間閾値を超えるまでの間は、通常保守運転パターンによって保守運転が実行される。そのため、定期的な保守運転のうち高排温保守運転パターンによる保守運転が必要と推定される場合にだけ高排温保守運転パターンによる保守運転が実行される。これにより、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)の何れか一項に記載の構成において、前記保守運転パターン判断部は、最後に前記高排温保守運転パターンによって前記保守運転が実行されてからの累積通常運転時間であって、前記通常運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンが運転した累積通常運転時間を記憶する通常運転時間記憶部を含むとともに、前記累積通常運転時間が通常運転時間閾値を超えると、次回の保守運転を前記高排温保守運転パターンによって実行すると判断する。
上記(4)の構成によれば、保守運転パターン判断部は、通常運転時間記憶部に記憶されている累積通常運転時間が通常運転時間閾値を超えると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンによって実行すると判断する。換言すれば、通常運転時間記憶部に記憶されている累積通常運転時間が通常運転時間閾値を超えるまでの間は、通常保守運転パターンによって保守運転が実行される。そのため、定期的な保守運転のうち高排温保守運転パターンによる保守運転が必要と推定される場合にだけ高排温保守運転パターンによる保守運転が実行される。これにより、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
また、累積通常運転時間に基づいて高排温保守運転パターンによって次回の保守運転を実行するタイミングを判断する。このため、上記(3)の構成と比較して、次回の保守運転を高排温保守運転パターンによって実行するタイミングを、より適切に推定することができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)の何れか一項に記載の構成において、前記保守運転パターン判断部は、最後に前記高排温保守運転パターンによって前記保守運転が実行されてからの推定未燃分排出量の累積値であって、前記通常運転モードで前記非常用発電用エンジンを運転させることで生成される推定未燃分排出量の累積値を推定する累積値推定部を含むとともに、前記推定未燃分排出量の累積値が累積閾値を超えると、次回の保守運転を前記高排温保守運転パターンによって実行すると判断する。
上記(5)の構成によれば、保守運転パターン判断部は、累積値推定部によって推定された推定未燃分排出量の累積値が累積閾値を超えると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンによって実行すると判断する。換言すれば、推定未燃分排出量の累積値が累積閾値を超えるまでの間は、通常保守運転パターンによって保守運転が実行される。そのため、定期的な保守運転のうち高排温保守運転パターンによる保守運転が必要と推定される場合にだけ高排温保守運転パターンによる保守運転が実行される。これにより、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
また、推定未燃分排出量の累積値に基づいて高排温保守運転パターンによって次回の保守運転を実行するタイミングを判断する。このため、上記(3)又は(4)の構成と比較して、次回の保守運転を高排温保守運転パターンによって実行するタイミングを、より適切に推定することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の構成において、前記保守運転パターン判断部は、最後に前記高排温保守運転パターンによって前記保守運転が実行されてからの推定未燃分消失量の累積値であって、前記通常運転モードで前記非常用発電用エンジンを運転させることで消失される推定未燃分消失量の累積値を推定する消失値推定部を含むとともに、前記累積値推定部によって推定された前記推定未燃分排出量の累積値から前記消失値推定部によって推定された前記推定未燃分消失量の累積値を減算することで算出される正味未燃分累積量の累積値が正味累積閾値を超えると、次回の保守運転を前記高排温保守運転パターンによって実行すると判断する。
上記(6)の構成によれば、保守運転パターン判断部は、推定未燃分消失量の累積値が減算された正味未燃分累積量の累積値が正味累積閾値を超えると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンによって実行すると判断する。このため、上記(5)の構成と比較して、次回の保守運転を高排温保守運転パターンによって実行するタイミングを、より適切に推定することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)に記載の構成において、前記非常用発電用エンジンは、前記非常用発電用エンジンの排気通路の壁面の温度情報を取得する温度センサを備え、前記消失値推定部は、前記温度情報に基づいて前記推定未燃分消失量の累積値を補正する。
非常用発電用エンジンの排気通路の壁面の温度が所定温度に達すると、排気通路に付着している未燃分排出物が蒸発、酸化又は除去される。上記(7)の構成によれば、消失値推定部は、推定未燃分消失量の累積値を推定する際に、非常用発電用エンジンの排気通路の壁面の温度情報に基づいて推定未燃分消失量の累積値を補正する。このため、消失値推定部は、上記(6)の構成と比較して、推定未燃分消失量の累積値をより正確に推定することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)から(7)の何れか一項に記載の構成において、前記保守運転パターン判断部が判断した前記高排温保守運転パターンにおける高排温運転時間であって、前記高排温運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させる時間である高排温運転時間を決定する高排温運転時間決定部をさらに備える。
上述したように、高排温運転モードで運転するときの燃費は通常運転モードで運転するときの燃費と比べて高くなる。上記(8)の構成によれば、保守運転パターン判断部が高排温保守運転パターンによって保守運転を実行すると判断しても、高排温運転時間を越えて、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の構成において、前記高排温運転時間決定部は、予め設定された設定時間によって前記高排温運転時間を決定する。
上記(9)の構成によれば、予め設定された設定時間を越えて、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の構成において、前記高排温運転時間決定部は、前記非常用発電用エンジンを前記高排温運転モードで運転させる際に排出される排気の目標温度であって、前記非常用発電用エンジンを前記通常運転モードで運転させる際に排出される排気の温度よりも高温である目標温度に基づいて、前記高排温運転時間を決定する。
上記(10)の構成によれば、高排温運転時間部が決定した高排温運転時間を越えて、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
また、高排温運転時間決定部は、非常用発電用エンジンを高排温運転モードで運転させる際に排出される排気の目標温度に基づいて高排温運転時間を決定する。つまり、高排温運転時間決定部は、目標温度に到達した排気を排出し続ける時間を決定する。このため、上記(9)の構成と比較して、高排温運転時間をより適切に決定することができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の構成において、前記保守運転パターン判断部が判断した前記高排温保守運転パターンにおける高排温運転時間であって、前記高排温運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させる時間である高排温運転時間を決定する高排温運転時間決定部をさらに備え、前記高排温運転時間決定部は、
前記非常用発電用エンジンから排出される排気が、前記非常用発電用エンジンを前記高排温運転モードで運転させる際に排出される排気の目標温度であって、前記非常用発電用エンジンを前記通常運転モードで運転させる際に排出される排気の温度よりも高温である目標温度に到達したときにおける、前記累積値推定部が推定する前記推定未燃分排出量の累積値、及び前記目標温度によって推定される消失速度に基づいて、前記高排温運転時間を決定する。
上記(11)の構成によれば、高排温運転時間決定部が決定した高排温運転時間を越えて、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
また、高排温運転時間決定部は、非常用発電用エンジンから排出される排気の温度が目標温度に到達したときにおける、累積値推定部が推定する推定未燃分排出量の累積値、及び目標温度によって推定される消失速度に基づいて高排温運転時間を決定する。このため、上記(9)又は(10)の構成と比較して、高排温運転時間をより適切に決定することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の構成において、前記高排温運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させる間に、前記推定未燃分排出量の累積値が予め設定された高排温運転閾値より小さくなると、前記高排温運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させることを中止する高排温運転中止部をさらに備える。
推定未燃分排出量の累積値が高排温運転閾値より小さくなると、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生する可能性は非常に小さくなる。上記(12)の構成によれば、高排温運転中止部は、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させる間に、推定未燃分排出量の累積値が高排温運転閾値より小さくなると、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させることを中止する。このため、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを必要以上に運転させてしまうことを防止し、保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(6)又は(7)に記載の構成において、前記高排温運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させる間に、前記正味未燃分累積量の累積値が予め設定された高排温運転閾値より小さくなると、前記高排温運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させることを中止する高排温運転中止部をさらに備える。
正味未燃分累積量の累積値が高排温運転閾値より小さくなると、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生する可能性は非常に小さくなる。上記(13)の構成によれば、高排温運転中止部は、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させる間に、正味未燃分累積量の累積値が高排温運転閾値より小さくなると、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させることを中止する。このため、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを必要以上に運転させてしまうことを防止し、保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
また、上述したように、正味未燃分累積量の累積値は、推定未燃分排出量の累積値から推定未燃分消失量の累積値を減算した値である。このため、上記(12)の構成と比較して、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させることをより適切なタイミングで中止する。
(14)幾つかの実施形態では、上記(1)から(13)の何れか一項に記載の構成において、前記エンジン制御部は、前記高排温運転モードにおいて、前記非常用発電用エンジンの吸気通路に設けられた吸気スロットル弁の開度を、前記通常運転モードにおける前記吸気スロットル弁の開度よりも小さくなるように制御する吸気絞り制御を実行可能な吸気スロットル弁制御部、前記高排温運転モードにおいて、前記非常用発電用エンジンの排気通路に設けられた排気スロットル弁の開度を、前記通常運転モードにおける前記排気スロットル弁の開度よりも小さくなるように制御する排気絞り制御を実行可能な排気スロットル弁制御部、前記高排温運転モードにおいて、前記排気通路を流れる前記排気の一部を前記吸気通路に再循環させるためのEGR通路に設けられたEGR弁の開度を、前記通常運転モードにおける前記EGR弁の開度よりも大きくなるように制御するEGR量増加制御を実行可能なEGR弁制御部、前記高排温運転モードにおいて、前記非常用発電用エンジンの燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射タイミングを、前記通常運転モードにおける燃料噴射タイミングよりも遅くするように制御する燃料噴射タイミング遅角制御を実行可能な燃料噴射タイミング制御部、又は、前記高排温運転モードにおいて、前記非常用発電用エンジンにおけるターボチャージャのタービンのノズルベーンの開度を、前記通常運転モードにおける前記ノズルベーンの開度よりも大きくなるように制御する、ノズルベーン開度制御を実行可能なノズルベーン制御部、の少なくとも一つを有する。
上記(14)の構成によれば、エンジン制御部は、吸気絞り制御、排気絞り制御、EGR量増加制御、燃料噴射タイミング遅角制御、及びノズルベーン開度制御の少なくとも1つを実行可能に構成されている。そのため、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させることで排出される排気の温度を高くすることができる。
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係る非常用発電用エンジンは、定期的に保守運転が実行される既設の非常用発電用エンジンにおいて、前記非常用発電用エンジンの吸気通路に吸気スロットル弁を追設し、前記吸気スロットル弁の開度を制御する吸気スロットル弁制御部を追設し、前記吸気スロットル弁制御部は、前記保守運転を実行する際に、前記吸気スロットル弁の開度を、前記非常用発電用エンジンを所定の運転モードに基づいて運転させる通常運転モードより絞るように構成される。
上記(15)の構成によれば、非常用発電用エンジンは、吸気通路に吸気スロットル弁が追設されている。そして、保守運転を実行するときには、追設された吸気スロットル弁の開度が通常運転モードより絞られるように構成されている。そのため、保守運転を実行するときには、吸気スロットル弁の開度を通常運転モードより絞ることで非常用発電用エンジンの燃焼室に供給される吸気量を減少させ、排気の温度を上昇させることができる。
(16)本発明の少なくとも一実施形態に係る非常用発電用エンジンは、定期的に保守運転が実行される既設の非常用発電用エンジンにおいて、前記非常用発電用エンジンの排気通路に排気スロットル弁を追設し、前記排気スロットル弁の開度を制御する排気スロットル弁制御部を追設し、前記排気スロットル弁制御部は、前記保守運転を実行する際に、前記排気スロットル弁の開度を、前記非常用発電用エンジンを所定の運転モードに基づいて運転させる通常運転モードより絞るように構成される。
上記(16)の構成によれば、非常用発電用エンジンは、排気通路に排気スロットル弁が追設されている。そして、保守運転を実行するときには、追設された排気スロットル弁の開度が通常運転モードより絞られるように構成されている。そのため、保守運転を実行するときには、排気スロットル弁の開度を通常運転モードより絞ることで排気通路内の圧力を高め、排気の温度を上昇させることができる。
(17)本発明の少なくとも一実施形態に係る非常用発電用エンジンは、定期的に保守運転が実行される既設の非常用発電用エンジンにおいて、前記非常用発電用エンジンの排気通路を流れる排気の一部を、前記非常用発電用エンジンの吸気通路に再循環させるためのEGR通路を追設し、前記EGR通路にEGR弁を追設し、前記EGR弁の開度を制御するEGR弁制御部を追設し、前記EGR弁制御部は、前記保守運転を実行する際に、前記EGR弁の開度を、前記非常用発電用エンジンを所定の運転モードに基づいて運転させる通常運転モードより開くように構成される。
上記(17)の構成によれば、非常用発電用エンジンは、EGR通路にEGR弁が追設されている。そして、保守運転を実行するときには、追設されたEGR弁の開度が通常運転モードより開かれるように構成されている。そのため、保守運転を実行するときには、EGR弁の開度を通常運転モードより開くことで燃料を燃焼する燃焼期間を長くし、排気の温度を上昇させることができる。
(18)本発明の少なくとも一実施形態に係る非常用発電用エンジンの保守運転方法は、定期的に保守運転が実行される非常用発電用エンジンの保守運転方法であって、前記非常用発電用エンジンを所定の運転モードに基づいて所定の負荷未満で運転させる通常運転モードのみで前記保守運転を実行する通常保守運転パターン、又は、前記通常運転モードよりも前記非常用発電用エンジンから排出される排気の温度が高くなるように前記非常用発電用エンジンを所定の負荷未満で運転させる高排温運転モードを含むように前記保守運転を実行する高排温保守運転パターン、のいずれの保守運転パターンによって前記保守運転を実行するかを判断する保守運転パターン判断ステップと、前記保守運転パターン判断ステップにおいて判断された前記保守運転パターンによって前記非常用発電用エンジンを運転させる保守運転実行ステップと、を備える。
上記(18)の方法によれば、保守運転パターン判断ステップは、通常運転モードのみで保守運転を実行する通常保守運転パターン、又は高排温運転モードを含むように保守運転を実行する高排温保守運転パターンのいずれの保守運転パターンによって保守運転を実行するかを判断する。そして、保守運転実行ステップは、保守運転パターン判断ステップが判断した保守運転パターンによって非常用発電用エンジンを運転させる。通常運転モード、及び高排温運転モードは、非常用発電用エンジンを所定の負荷未満で運転させる。このため、非常用発電用エンジンに所定の負荷をかける場合と比較して、ロードバンクの容量を低減することができ、ロードバンクを設置するための設置スペースを縮小できる他、ロードバンクの購入費やレンタル費を低減することができる。
また、高排温保守運転パターンに含まれる高排温運転モードでは、非常用発電用エンジンを通常運転モードよりも高温の排気が排出されるように所定の負荷未満で運転させる。このため、通常運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させて、煤などの未燃分排出物が生成されたとしても、保守運転パターン判断ステップが高排温保守運転パターンで保守運転を実行すると判断することで、ロードバンクの容量を増やさずに非常用発電用エンジンから排出される排気の温度を高くし、未燃分排出物を消失することができる。よって、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生を回避することができる。
(19)幾つかの実施形態では、上記(18)に記載の方法において、前記保守運転パターン判断ステップが判断した前記高排温保守運転パターンにおける高排温運転時間であって、前記高排温運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させる時間である高排温運転時間を決定する高排温運転時間決定ステップをさらに備える。
上記(19)の方法によれば、保守運転パターン判断ステップが高排温保守運転パターンによって保守運転を実行すると判断しても、高排温運転時間を越えて、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
(20)幾つかの実施形態では、上記(18)に記載の方法において、最後に前記高排温保守運転パターンによって前記保守運転が実行されてからの推定未燃分排出量の累積値であって、前記通常運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させることで生成される推定未燃分排出量の累積値が、前記高排温運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させる間に、予め設定された高排温運転閾値より小さくなると、前記高排温運転モードに基づいて前記非常用発電用エンジンを運転させることを中止する高排温運転中止ステップをさらに備える。
上述したように、推定未燃分排出量の累積値が高排温運転閾値より小さくなると、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生する可能性は非常に小さくなる。上記(20)の方法によれば、高排温運転中止ステップは、推定未燃分排出量の累積値が、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させる間に、予め設定された高排温運転閾値より小さくなると、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを運転させることを中止する。このため、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジンを必要以上に運転させてしまうことを防止し、保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、保守運転を実行する際に用いられるロードバンクの容量を低減することが可能であるとともに、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生を回避することが出来る非常用発電用エンジンの制御装置、非常用発電用エンジン、及び非常用発電用エンジンの保守運転方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る非常用発電セットの概略構成図である。
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る非常用発電セット1は、非常用発電用エンジン2と、非常用発電用エンジン2の制御装置100と、を備える。非常用発電セット1は、停電のような非常時に、非常用発電用エンジン2を運転させることによって図示しない非常用発電機を駆動させて非常用電力を発電させるための装置である。
そして、このような非常用発電セット1に対しては、後述する図3で示すように、定期的に非常用発電用エンジン2によって図示されない非常用発電機を駆動させる保守運転が行われる。
非常用発電用エンジン2は、例えば6つの気筒(燃焼室4)を有するディーゼルエンジンである。6つの気筒の各々には燃料噴射装置5が備えられている。これら燃料噴射装置5から噴射される燃料を燃焼することで各燃焼室4から排出される排気は、排気マニホールド6で合流した後、排気通路8に設けられたタービン10を駆動させる。そして、タービン10の駆動によって、吸気通路9に設けられたコンプレッサ11を駆動させる。これらタービン10及びコンプレッサ11によってターボチャージャ13が構成されている。そして、吸気通路9に取りこまれた吸気は、エアフィルタ12を通過した後、コンプレッサ11によって圧縮、昇圧及び昇温される。そして、昇温された吸気はコンプレッサ11の下流側に配置されたインタークーラ14によって冷却され、吸気マニホールド7を介して各燃焼室4に供給される。
尚、非常用発電用エンジン2は、ガスエンジンであってもよい。また、ターボチャージャ13は、タービン10の羽根車(不図示)に流れこむ排気の流量をノズルベーン15によって調整可能に構成される可変容量型のターボチャージャ13であってもよい。
ここで、本開示における「吸気通路9」とは、吸気が燃焼室4に供給されるまでに流れる通路を指し、「吸気通路9」には吸気マニホールド7が含まれる。同様に、本開示における「排気通路8」とは、燃焼室4から排出された排気が非常用発電用エンジン2の外部に排出されるまでに流れる通路を指し、「排気通路8」には排気マニホールド6が含まれる。
また、非常用発電用エンジン2は、排気マニホールド6から分岐し吸気通路9に合流するEGR通路16が設置されており、排気の一部が還流するように構成されている。そして、EGR通路16には、EGR通路16を流れる排気を冷却するためのEGRクーラ17と、還流させる排気量(EGR量)を調整するためのEGR弁18と、が設けられている。尚、EGR通路16は、排気マニホールド6以外の排気通路8から分岐するように設置されてもよく、この場合、タービン10の上流側から分岐されるように設置されるとよい。
また、非常用発電用エンジン2には、燃焼室4に供給される吸気量を調整するための吸気スロットル弁19が、インタークーラ14より下流側の吸気通路9に設置されている。
また、非常用発電用エンジン2の外部に排出する排気量を調整するための排気スロットル弁20が、タービン10より下流側の排気通路8に設置されている。
また、非常用発電用エンジン2には、排気通路8の壁面の温度情報を取得するための温度センサ24が、排気スロットル弁20より下流側の排気通路8に設置されている。尚、温度センサ24は、排気スロットル弁20より上流側の排気通路8に設置されてもよい。また、温度センサ24は複数設置されてもよく、この場合、タービン10の上下流にそれぞれ設置されているとよい。
ここで、本開示における「温度情報」とは、温度センサ24によって計測される計測温度であってもよいし、温度センサ24以外のセンサによって取得された情報に基づいて推定される推定温度であってもよい。
図2は、本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジンの制御装置の構成を示すブロック図である。図3は、本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジンの保守運転を実行するタイミングを示す図である。図4は、本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジンの保守運転を実行する際に非常用発電用エンジンにかかる負荷及び排気の温度を示す。
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジン2の制御装置100は、エンジン制御部101と、保守運転パターン判断部102と、を備える。エンジン制御部101は、非常用発電用エンジン2を所定の運転モードに基づいて所定の負荷未満で運転させる通常運転モードM1、及び、非常用発電用エンジン2を通常運転モードM1よりも高温の排気が排出されるように所定の負荷未満で運転させる高排温運転モードM2、の2つの運転モードに基づいて非常用発電用エンジン2を制御可能に構成されている。保守運転パターン判断部102は、通常運転モードM1のみで保守運転を実行する通常保守運転パターンP1、又は、高排温運転モードM2を含むように保守運転を実行する高排温保守運転パターンP2、のいずれの保守運転パターンによって保守運転を実行するかを判断するように構成されている。
ここで、本開示における「所定の負荷未満」とは、非常用発電用エンジン2の定格出力に対して、例えば100%未満の負荷であり、好ましくは定格出力に対して60%の負荷であり、より好ましくは定格出力に対して30%の負荷である。
また、本開示における「通常運転モードM1」とは、非常用発電用エンジン2にかかる負荷に応じて、例えば燃費効率などが最適となるように、非常用発電用エンジン2を運転させる運転モードである。非常用発電用エンジン2にかかる負荷が低いとき(例えば、上述した定格出力に対して30%の負荷)に、通常運転モードM1に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させると、非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度は低い。
また、制御装置100は、吸気スロットル弁19、排気スロットル弁20、EGR弁18、燃料噴射装置5、及びノズルベーン15等の非常用発電用エンジン2の各部を制御する。そして、制御装置100がこれら非常用発電用エンジン2の各部を制御することで、通常運転モードM1、又は高排温運転モードM2のいずれかの運転モードに基づいて非常用発電用エンジン2を運転させるように構成されている。
また、制御装置100は、非常用発電用エンジン2の状態を知るために、上述した温度情報以外にも幾つかの計測結果を取得可能に構成されている。例えば、非常用発電用エンジン2のエンジン回転数、燃料噴射装置5の燃料噴射量、非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度を取得可能に構成されている。
図2に示した実施形態では、制御装置100は、保守運転制御部103をさらに備える。そして、保守運転制御部103は、保守運転パターン判断部102において判断された保守運転パターンに基づいて保守運転が実行されるように、エンジン制御部101に対して指示を行うように構成されている。また、エンジン制御部101は、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させるための高排温制御部105を含む。
図3に示したように、非常用発電用エンジン2は、一定期間t(n)(n=1~5)ごとに保守運転が実行されている。そして、保守運転は、高排温保守運転パターンP2による保守運転と、通常保守運転パターンP1による保守運転と、を含む。尚、t(1)やt(2)のようなそれぞれの一定期間t(n)は、互いに必ずしも同じ期間である必要はなく、t(1)≠t(2)であってもよい。
図4に示すように、通常保守運転パターンP1によって保守運転を実行した際に非常用発電用エンジン2にかかる負荷Pr1(通常保守運転パターンP1の負荷波形)は、高排温保守運転パターンP2によって保守運転を実行した際に非常用発電用エンジン2にかかる負荷Pr2(高排温保守運転パターンP2の負荷波形)と略同一である。
一方で、図4に示すように、通常保守運転パターンP1によって保守運転を実行した際に非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度(通常保守運転パターンP1の排気の温度波形)は、高排温保守運転パターンP2によって保守運転を実行した際に非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度(高排温保守運転パターンP2の排気の温度波形)とは異なる。具体的には、高排温運転モードM2の開始時間tsから完了時間teまでの間において、高排温保守運転パターンP2によって排出される排気の温度は、通常保守運転パターンP1によって排出される排気の温度より高くなる。尚、図示した実施形態では、保守運転を実行(起動)してから高排温運転モードM2の開始時間tsまでの間においては、高排温保守運転パターンP2によって排出される排気の温度と通常保守運転パターンP1によって排出される排気の温度とは等しくなっている。
このような本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジン2の制御装置100によれば、通常運転モードM1のみで保守運転を実行する通常保守運転パターンP1、又は、高排温運転モードM2を含むように保守運転を実行する高排温保守運転パターンP2、のいずれの保守運転パターンによって保守運転が実行される。そして、これら通常運転モードM1及び高排温運転モードM2は、非常用発電用エンジン2を所定の負荷未満で運転させる。このため、非常用発電用エンジン2に所定の負荷をかける場合と比較して、ロードバンクの容量を低減することができ、ロードバンクを設置するための設置スペースを縮小できる他、ロードバンクの購入費やレンタル費を低減することができる。
また、高排温運転モードM2では、非常用発電用エンジン2を通常運転モードM1よりも高温の排気が排出されるように所定の負荷未満で運転させる。このため、非常用発電用エンジン2を通常運転モードM1で運転させて、煤などの未燃分排出物が生成されたとしても、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることで、ロードバンクの容量を増やさずに非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度を高くし、未燃分排出物を消失することができる。よって、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生を回避することができる。
幾つかの実施形態では、図1に示すように、非常用発電セット1は、高排温保守運転パターンP2によって保守運転を実行するように制御装置100に対して指示するための高排温運転開始スイッチ3をさらに備える。
保守運転パターン判断部102は、高排温運転開始スイッチ3がONにされると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。具体的には、高排温運転開始スイッチ3がONにされたという情報(電気的情報)が制御装置100に与えられると、保守運転パターン判断部102は、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。そして、保守運転制御部103は、高排温保守運転パターンP2に基づいて保守運転が実行されるようにエンジン制御部101に対して指示をする。そして、エンジン制御部101の高排温制御部105が、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる。
このような構成によれば、例えば、保守作業員等が手動で高排温運転開始スイッチ3をONにすることで、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行するように保守運転パターン判断部102に判断させることができる。
図5、図6、図8及び図10は、本発明の一実施形態に係る保守運転パターン判断部が高排温保守運転パターンによって保守運転を実行すると判断するタイミングを説明するための図である。図7は、未燃分排出量マップの一例を示す図である。図9は、未燃分消失量マップの一例を示す図である。図11は、本発明の一実施形態に係る保守運転パターン判断部の累積値推定部及び消失値推定部の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置100は、予め設定された幾つかの設定値、マップ及びテーブルなどを記憶するための記憶部107をさらに備える。そして、幾つかの実施形態では、保守運転パターン判断部102は、最後に高排温保守運転パターンP2によって保守運転が実行されてからの経過時間t1をカウントして記憶する経過時間記憶部108を含む。また、図示した実施形態では、記憶部107は予め設定された設定値である経過時間閾値t11を記憶している。
図5に示すように、保守運転パターン判断部102は、経過時間t1が経過時間閾値t11を超えると(経過時間a1)、次回の保守運転(すなわち経過時間a1以降の最初の保守運転)を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。
図5に示した実施形態では、保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行して(t1s)から、経過時間t1<経過時間閾値t11である間において、通常保守運転パターンP1による保守運転が4回実行されている。そして、経過時間t1>経過時間閾値t11になると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行している。尚、記憶部107は、例えばタイマーを用いることで、保守作業員等によって任意な経過時間閾値t11を設定可能であるように構成されている。
ところで、高排温運転モードM2で運転するときの燃費は、通常運転モードM1で運転するときの燃費と比べて高くなる。このため、高排温保守運転パターンP2によって保守運転を実行する際に消費される燃料消費量は、通常保守運転パターンP1によって保守運転を実行する際に消費される燃料消費量よりも多くなる。
このような構成によれば、保守運転パターン判断部102は、経過時間記憶部108に記憶されている経過時間t1が経過時間閾値t11を超えると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。換言すれば、経過時間記憶部108に記憶されている経過時間t1が経過時間閾値t11を超えるまでの間は、通常保守運転パターンP1によって保守運転が実行される。そのため、定期的な保守運転のうち高排温保守運転パターンP2による保守運転が必要と推定される場合にだけ高排温保守運転パターンP2による保守運転が実行される。これにより、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
幾つかの実施形態では、図2に示すように、保守運転パターン判断部102は、通常運転時間記憶部110を含む。そして、通常運転時間記憶部110は、最後に高排温保守運転パターンP2によって保守運転が実行されてからの累積通常運転時間t2であって、通常運転モードM1に基づいて非常用発電用エンジン2が運転した累積通常運転時間t2をカウントして記憶する。また、図示した実施形態では、記憶部107は予め設定された設定値である通常運転時間閾値t21を記憶している。
図6に示すように、保守運転パターン判断部102は、累積通常運転時間t2が通常運転時間閾値t21を超えると(累積通常運転時間a2)、次回の保守運転(すなわち累積通常運転時間a2以降の最初の保守運転)を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。
図6に示した実施形態では、保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行して(t2s)から、累積通常運転時間t2<通常運転時間閾値t21である間において、通常保守運転パターンP1による保守運転が4回実行されており、通常保守運転パターンP1による保守運転が実行されるたびに累積通常運転時間t2が累積されている。そして、累積通常運転時間t2>通常運転時間閾値t21になると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行している。
このような構成によれば、保守運転パターン判断部102は、通常運転時間記憶部110に記憶されている累積通常運転時間t2が通常運転時間閾値t21を超えると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。換言すれば、通常運転時間記憶部110に記憶されている累積通常運転時間t2が通常運転時間閾値t21を超えるまでの間は、通常保守運転パターンP1によって保守運転が実行される。そのため、定期的な保守運転のうち高排温保守運転パターンP2による保守運転が必要と推定される場合にだけ高排温保守運転パターンP2による保守運転が実行される。これにより、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
また、このような構成によれば、累積通常運転時間t2に基づいて高排温保守運転パターンP2によって次回の保守運転を実行するタイミングを判断する。このため、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行するタイミングを、経過時間t1に基づいて推定する場合と比較してより適切に推定することができる。
幾つかの実施形態では、図2に示すように、保守運転パターン判断部102は、累積値推定部112を含む。そして、累積値推定部112は、最後に高排温保守運転パターンP2によって保守運転が実行されてからの推定未燃分排出量の累積値v1であって、通常運転モードM1で非常用発電用エンジン2を運転させることで生成される推定未燃分排出量の累積値v1を推定する。
図示した実施形態では、記憶部107は、予め設定されたマップである未燃分排出量マップMap1、及び予め設定された設定値である累積閾値v11を記憶している。未燃分排出量マップMap1は、図7に示すように、非常用発電用エンジン2のエンジン回転数及び燃料噴射装置5の燃料噴射量に未燃分排出量が関連付けられたマップである。そして、累積値推定部112が、記憶部107に記憶された未燃分排出量マップMap1を参照し、推定未燃分排出量の累積値v1を推定する。
図8に示すように、保守運転パターン判断部102は、推定未燃分排出量の累積値v1が累積閾値v11を超えると(超過時間a3)、次回の保守運転(すなわち超過時間a3以降の最初の保守運転)を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。
図8に示した実施形態では、保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行して(t3s)から、推定未燃分排出量の累積値v1<累積閾値v11である間において、通常保守運転パターンP1による保守運転が4回実行されており、通常保守運転パターンP1による保守運転が実行されるたびに推定未燃分排出量の累積値v1が累積されている。そして、推定未燃分排出量の累積値v1>累積閾値v11になると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行している。
このような構成によれば、保守運転パターン判断部102は、累積値推定部112によって推定された推定未燃分排出量の累積値v1が累積閾値v11を超えると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。換言すれば、推定未燃分排出量の累積値v1が累積閾値v11を超えるまでの間は、通常保守運転パターンP1によって保守運転が実行される。そのため、定期的な保守運転のうち高排温保守運転パターンP2による保守運転が必要と推定される場合にだけ高排温保守運転パターンP2による保守運転が実行される。これにより、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
また、推定未燃分排出量の累積値v1に基づいて高排温保守運転パターンP2によって次回の保守運転を実行するタイミングを判断する。このため、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行するタイミングを、経過時間t1又は累積通常運転時間t2に基づいて推定する場合と比較してより適切に推定することができる。
幾つかの実施形態では、図2に示すように、保守運転パターン判断部102は、消失値推定部114を含む。そして、消失値推定部114は、最後に高排温保守運転パターンP2によって保守運転が実行されてからの推定未燃分消失量の累積値v5であって、通常運転モードM1で非常用発電用エンジン2を運転させることで消失される推定未燃分消失量の累積値v5を推定する。
図示した実施形態では、記憶部107は、予め設定されたマップである未燃分消失量マップMap2、及び予め設定された設定値である正味累積閾値v21を記憶している。未燃分消失量マップMap2は、図9に示すように、非常用発電用エンジン2のエンジン回転数及び燃料噴射装置5の燃料噴射量に未燃分消失量が関連付けられたマップである。そして、消失値推定部114は、記憶部107に記憶されている未燃分消失量マップMap2を参照し、推定未燃分消失量の累積値v5を推定する。
図10に示すように、保守運転パターン判断部102は、累積値推定部112によって推定された推定未燃分排出量の累積値v1から消失値推定部114によって推定された推定未燃分消失量の累積値v5を減算することで算出される正味未燃分累積量の累積値v2が正味累積閾値v21を超えると(正味超過時間a4)、次回の保守運転(すなわち正味超過時間a4以降の最初の保守運転)を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。
図10に示した実施形態では、保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行して(t4s)から、正味未燃分累積量の累積値v2<正味累積閾値v21である間において、通常保守運転パターンP1による保守運転が4回実行されており、通常保守運転パターンP1による保守運転が実行されるたびに正味未燃分累積量の累積値v2が累積されている。そして、正味未燃分累積量の累積値v2>正味累積閾値v21になると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行している。
このような構成によれば、保守運転パターン判断部102は、推定未燃分消失量の累積値v5が減算された正味未燃分累積量の累積値v2が正味累積閾値v21を超えると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。このため、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行するタイミングを、推定未燃分排出量の累積値v1に基づいて推定する場合と比較してより適切に推定することができる。
幾つかの実施形態では、図1に示すように、非常用発電用エンジン2は、非常用発電用エンジン2の排気通路8の壁面の温度情報を取得する温度センサ24を備える。そして、図11に示すように、消失値推定部114は、取得した温度情報に基づいて推定未燃分消失量の累積値v5を補正する。
図2に示したように、記憶部107は、予め設定されたマップである標準壁温マップMap3及び予め設定されたテーブルである消失量補正テーブルTab1を記憶している。標準壁温マップMap3は、非常用発電用エンジン2のエンジン回転数及び燃料噴射装置5の燃料噴射量に排気通路8の壁面の標準温度が関連付けられたマップである。
図11に示した実施形態では、消失値推定部114は、温度センサ24によって取得された排気通路8の壁面の温度情報(例えば壁面の計測温度)から、記憶部107に記憶されている標準壁温マップMap3を参照することで取得される標準温度を減算して温度差K1を算出している。そして、算出された温度差K1に対して、消失量補正テーブルTab1を参照して、消失量補正値K2を算出している。そして、算出された消失量補正値K2に、記憶部107に記憶されている未燃分消失量マップMap2を参照することによって取得される推定未燃分消失量の累積値v5を乗算し、推定未燃分消失量の累積値v5を補正している(補正された推定未燃分消失量の累積値v5’を算出している)。そして、累積値推定部112は、記憶部107に記憶されている未燃分排出量マップMap1を参照することによって取得される推定未燃分排出量の累積値v1から補正された推定未燃分消失量の累積値v5’を減算することで、正味未燃分累積量の累積値v2を推定している。
ところで、非常用発電用エンジン2の排気通路8の壁面の温度が所定温度に達すると、排気通路8に付着している未燃分排出物が蒸発、酸化又は除去される。
このような構成によれば、消失値推定部114は、推定未燃分消失量の累積値v5を推定する際に、非常用発電用エンジン2の排気通路8の壁面の温度情報に基づいて推定未燃分消失量の累積値v5を補正する。このため、消失値推定部114は、推定未燃分消失量の累積値v5をより正確に推定することができる。
また、幾つかの実施形態では、上述したように、温度センサ24はタービン10の上下流にそれぞれ設置されている。排気通路8を流れる排気は、タービン10の上流と下流とで、その温度が大きく異なる。したがって、このような実施形態によれば、タービン10の上流および下流の排気の温度をそれぞれ計測することで、消失値推定部114は、推定未燃分消失量の累積値v5をより正確に推定することができる。
次に、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる時間を決定するための構成について説明する。幾つかの実施形態では、図2に示すように、非常用発電用エンジン2の制御装置100は高排温運転時間決定部104をさらに備える。この高排温運転時間決定部104は、保守運転パターン判断部102が判断した高排温保守運転パターンP2における高排温運転時間であって、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させる時間である高排温運転時間を決定する。
図4に示したように、高排温保守運転パターンP2で保守運転を実行すると、非常用発電用エンジン2を通常運転モードM1で運転させる時間(起動~開始時間ts)、及び高排温運転モードM2で運転させる時間(開始時間tsから完了時間te)がある。高排温運転時間決定部104は、この高排温運転モードM2で運転させる時間(高排温運転時間)を、後述するような設定時間t31、非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度、並びに推定未燃分排出量の累積値v1、及び消失速度に基づいて決定する。
上述したように、高排温運転モードM2で運転するときの燃費は、通常運転モードM1で運転するときの燃費と比べて高くなる。このような構成によれば、保守運転パターン判断部102が高排温保守運転パターンP2によって保守運転を実行すると判断しても、高排温運転時間を越えて、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
幾つかの実施形態では、高排温運転時間決定部104は、予め設定された設定時間t31によって高排温運転時間を決定する。図2に示した実施形態では、記憶部107は予め設定された一定の設定値(例えば、30分)である設定時間t31を記憶している。そして、高排温運転時間決定部104は、設定時間t31によって高排温運転時間を決定するように構成されている。
このような構成によれば、予め設定された設定時間t31を越えて、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
図12は、排気の温度と高排温運転時間との関係を示す図(高排温運転時間マップMap4)である。図13は、排気の温度と未燃分排出物の消失速度との関係を示す図(消失速度マップMap5)である。
幾つかの実施形態では、高排温運転時間決定部104は、目標温度Tに基づいて高排温運転時間を決定する。この目標温度Tは、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させる際に排出される排気の温度である。また、この目標温度Tは、非常用発電用エンジン2を通常運転モードM1で運転させる際に排出される排気の温度よりも高温である。
図2に示した実施形態では、記憶部107は予め設定された目標温度Tを記憶している。そして、高排温運転時間決定部104は、この記憶部107に記憶されている目標温度Tに基づいて高排温運転時間を決定するように構成されている。この目標温度Tは、例えば、非常用発電用エンジン2に付着している未燃分排出物を消失可能な温度である。
図2に示した実施形態では、記憶部107は高排温運転時間マップMap4を記憶している。この高排温運転時間マップMap4(図12)は、例えば、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生を回避する程度に、非常用発電用エンジン2に付着している未燃分排出物を非常用発電用エンジン2から排出される排気によって消失させるまでにおける、排気の温度と高排温運転時間との関係を示す。このような高排温運転時間マップMap4では、排気の温度が高くなるにつれて高排温運転時間は短い。
高排温運転時間決定部104は、図2に示すように、記憶部107に記憶された高排温運転時間マップMap4を参照し、非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度に基づいて高排温運転時間を決定するように構成されている。
このような構成によれば、高排温運転時間決定部104が決定した高排温運転時間を越えて、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。また、この高排温運転時間決定部104は、高排温運転モードM2における非常用発電用エンジン2から排出される排気の目標温度Tに基づいて、高排温運転時間を決定する。このため、設定時間t31によって高排温運転時間を決定する場合と比較して、高排温運転時間をより適切に決定することができる。
幾つかの実施形態では、高排温運転時間決定部104は、非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度が目標温度Tに到達したときにおける、累積値推定部112が推定する推定未燃分排出量の累積値v1a(v1)、及び目標温度Tによって推定される消失速度に基づいて、高排温運転時間を決定する。
図2に示した実施形態では、記憶部107は消失速度マップMap5を記憶している。この消失速度マップMap5(図13)は、非常用発電用エンジン2から排出される排気が目標温度に到達したときにおける、排気の温度と非常用発電用エンジン2に付着している未燃分排出物を消失させる速度である消失速度との関係を示す。このような消失速度マップMap5では、排気の温度が高くなるにつれて消失速度は大きい。
高排温運転時間決定部104は、非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度が目標温度Tに到達したときにおける、累積値推定部112が推定する推定未燃分排出量の累積値v1aを取得する。また、高排温運転時間決定部104は、記憶部107に記憶された消失速度マップMap5を参照し、目標温度Tにおける消失速度を推定する。そして、高排温運転時間決定部104は、この推定未燃分排出量の累積値v1aをこの消失速度で除算することで、高排温運転時間を決定する。
このような構成によれば、高排温運転時間決定部104が決定した高排温運転時間を越えて、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。また、高排温運転時間決定部104は、非常用発電用エンジンから排出される排気の温度が目標温度Tに到達したときにおける、累積値推定部112が推定する推定未燃分排出量の累積値v1a、及び目標温度Tによって推定される消失速度に基づいて、高排温運転時間を決定する。このため、目標温度Tに基づいて高排温運転時間を決定する場合と比較して、高排温運転時間をより適切に決定することができる。
図14Aは、高排温保守運転パターンで保守運転を実行する際に非常用発電用エンジンにかかる負荷、排気の温度、及び推定未燃分排出量の累積値を示す。図14Bは、高排温保守運転パターンで保守運転を実行する際に非常用発電用エンジンにかかる負荷、排気の温度、及び正味未燃分累積量の累積値を示す。
幾つかの実施形態では、図2に示すように、非常用発電用エンジン2の制御装置100は高排温運転中止部106をさらに備える。この高排温運転中止部106は、図2及び図14Aに示すように、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる間に、推定未燃分排出量の累積値v1が予め設定された高排温運転閾値v31より小さくなると、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることを中止するように構成される。
具体的には、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転している間に、推定未燃分排出量の累積値v1が高排温運転閾値v31より小さくなると、高排温運転中止部106は保守運転制御部103に対して、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることを中止するように指示する。そして、その指示を受け取った保守運転制御部103がエンジン制御部101に対して、保守運転を中止するように指示することで、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることを中止する。
推定未燃分排出量の累積値v1が高排温運転閾値v31より小さくなると、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生する可能性は非常に小さくなる。このような構成によれば、高排温運転中止部106は、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる間に、推定未燃分排出量の累積値v1が高排温運転閾値v31より小さくなると、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることを中止する。このため、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を必要以上に運転させてしまうことを防止し、保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
幾つかの実施形態では、高排温運転中止部106は、図2及び図14Bに示すように、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる間に、正味未燃分累積量の累積値v2が高排温運転閾値v31より小さくなると、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることを中止するように構成される。
具体的には、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転している間に、正味未燃分累積量の累積値v2が高排温運転閾値v31より小さくなると、高排温運転中止部106は保守運転制御部103に対して、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることを中止するように指示する。そして、その指示を受け取った保守運転制御部103がエンジン制御部101に対して、保守運転を中止するように指示することで、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることを中止する。
正味未燃分累積量の累積値v2が高排温運転閾値v31より小さくなると、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生する可能性は非常に小さくなる。このような構成によれば、高排温運転中止部106は、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる間に、正味未燃分累積量の累積値v2が高排温運転閾値v31より小さくなると、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることを中止する。このため、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を必要以上に運転させてしまうことを防止し、保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
また、上述したように、正味未燃分累積量の累積値v2は、推定未燃分排出量の累積値v1から推定未燃分消失量の累積値v5を減算した値である。このため、推定未燃分排出量の累積値v1に基づいて、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることを中止する場合と比較して、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることをより適切なタイミングで中止する。
図14A及び図14Bに示した実施形態では、正味未燃分累積量の累積値v2に基づいて高排温運転モードM2で運転させることを中止すると、推定未燃分排出量の累積値v1に基づいて高排温運転モードM2で運転させることを中止する場合と比較して、高排温運転モードM2で非常用発電用エンジン2を運転させる時間が短い。
幾つかの実施形態では、図2に示すように、エンジン制御部101は、吸気スロットル弁制御部120、排気スロットル弁制御部122、EGR弁制御部124、燃料噴射タイミング制御部126、及びノズルベーン制御部128の少なくとも1つを有する。
吸気スロットル弁制御部120は、高排温運転モードM2において、非常用発電用エンジン2の吸気通路9に設けられた吸気スロットル弁19の開度を、通常運転モードM1における吸気スロットル弁19の開度よりも小さくなるように制御する吸気絞り制御を実行可能に構成されている。
排気スロットル弁制御部122は、高排温運転モードM2において、非常用発電用エンジン2の排気通路8に設けられた排気スロットル弁20の開度を、通常運転モードM1における排気スロットル弁20の開度よりも小さくなるように制御する排気絞り制御を実行可能に構成されている。
EGR弁制御部124は、高排温運転モードM2において、排気通路8を流れる排気の一部を吸気通路9に再循環させるためのEGR通路16に設けられたEGR弁18の開度を、通常運転モードM1におけるEGR弁18の開度よりも大きくなるように(燃料を燃焼する燃焼期間を長くするように)制御するEGR量増加制御を実行可能に構成されている。
燃料噴射タイミング制御部126は、高排温運転モードM2において、非常用発電用エンジン2の燃焼室4に燃料を噴射する燃料噴射タイミングを、通常運転モードM1における燃料噴射タイミングよりも遅くするように制御する燃料噴射タイミング遅角制御を実行可能に構成されている。
ノズルベーン制御部128は、高排温運転モードM2において、非常用発電用エンジン2におけるターボチャージャ13のタービン10のノズルベーン15の開度を、通常運転モードM1におけるノズルベーン15の開度よりも大きくなるように制御する、ノズルベーン開度制御を実行可能に構成されている。
図示した実施形態では、高排温制御部105が、吸気スロットル弁制御部120、排気スロットル弁制御部122、EGR弁制御部124、燃料噴射タイミング制御部126、及びノズルベーン制御部128を含んでいる。そして、保守運転制御部103が高排温保守運転パターンP2に基づいて保守運転が実行されるようにエンジン制御部101に対して指示をすると、高排温制御部105は高排温運転モードM2で非常用発電用エンジン2を運転させるために、これら各制御部の少なくとも1つを制御するように構成されている。
このような構成によれば、エンジン制御部101は、吸気絞り制御、排気絞り制御、EGR量増加制御、燃料噴射タイミング遅角制御、及びノズルベーン開度制御の少なくとも1つを実行可能に構成されている。そのため、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることで排出される排気の温度を高くすることができる。
また、本発明の少なくとも一実施形態に係る非常用発電用エンジン2は、図1及び図2に示すように、定期的に保守運転が実行される既設の非常用発電用エンジン(不図示)に対して、この既存の非常用発電用エンジンの吸気通路9に吸気スロットル弁19を追設し、吸気スロットル弁19の開度を制御する吸気スロットル弁制御部120を追設したエンジンである。そして、吸気スロットル弁制御部120は、保守運転を実行する際に、吸気スロットル弁19の開度を通常運転モードM1より絞るように構成される。
このような構成によれば、非常用発電用エンジン2には、吸気通路9に吸気スロットル弁19が追設されている。そして、保守運転を実行するときには、追設された吸気スロットル弁19の開度が通常運転モードM1より絞られるように構成されている。そのため、保守運転を実行するときには、吸気スロットル弁19の開度を通常運転モードM1より絞ることで非常用発電用エンジン2の燃焼室4に供給される吸気量を減少させ、排気の温度を上昇させることができる。
図15~図17は、本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジンの保守運転方法のフローチャートである。
幾つかの実施形態では、図15に示すように、非常用発電用エンジン2の保守運転方法は、既存の非常用発電用エンジンの吸気通路9に吸気スロットル弁19を追設する吸気スロットル弁追設ステップS20と、保守運転を実行する際に吸気スロットル弁19の開度を絞る吸気スロットル弁開度絞りステップS24と、を備える。
このような非常用発電用エンジン2の保守運転方法によれば、既存の非常用発電用エンジンの吸気通路9に吸気スロットル弁19を追設し、保守運転を実行する際にこの追設した吸気スロットル弁19の開度を絞ることで、上述した非常用発電用エンジン2の制御装置100と同様の効果を、既存の非常用発電用エンジンに対して簡単な方法で実現させることが出来る。
本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジン2は、図1及び図2に示すように、定期的に保守運転が実行される既設の非常用発電用エンジン(不図示)に対して、この既存の非常用発電用エンジンの排気通路8に排気スロットル弁20を追設し、排気スロットル弁20の開度を制御する排気スロットル弁制御部122を追設したエンジンである。そして、排気スロットル弁制御部122は、保守運転を実行する際に、排気スロットル弁20の開度を通常運転モードM1より絞るように構成される。
このような構成によれば、非常用発電用エンジン2には、排気通路8に排気スロットル弁20が追設されている。そして、保守運転を実行するときには、追設された排気スロットル弁20の開度が通常運転モードM1より絞られるように構成されている。そのため、保守運転を実行するときには、排気スロットル弁20の開度を通常運転モードM1より絞ることで排気通路8内の圧力を高め、排気の温度を上昇させることができる。
幾つかの実施形態では、図16に示すように、非常用発電用エンジン2の保守運転方法は、既存の非常用発電用エンジンの排気通路8に排気スロットル弁20を追設する排気スロットル弁追設ステップS26と、保守運転を実行する際に排気スロットル弁20の開度を絞る排気スロットル弁開度絞りステップS30と、を備える。
このような非常用発電用エンジン2の保守運転方法によれば、既存の非常用発電用エンジンの排気通路8に排気スロットル弁20を追設し、保守運転を実行する際にこの追設した排気スロットル弁20の開度を絞ることで、上述した非常用発電用エンジン2の制御装置100と同様の効果を、既存の非常用発電用エンジンに対して簡単な方法で実現させることが出来る。
本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジン2は、図1及び図2に示すように、定期的に保守運転が実行される既設の非常用発電用エンジン(不図示)に対して、この既存の非常用発電用エンジンのEGR通路16を追設し、EGR通路16にEGR弁18を追設し、EGR弁18の開度を制御するEGR弁制御部124を追設したエンジンである。そして、EGR弁制御部124は、保守運転を実行する際に、EGR弁18の開度を通常運転モードM1より開くように構成される。
このような構成によれば、非常用発電用エンジン2は、EGR通路16にEGR弁18が追設されている。そして、保守運転を実行するときには、追設されたEGR弁の開度が通常運転モードM1より開かれるように構成されている。そのため、保守運転を実行するときには、EGR弁18の開度を通常運転モードM1より開くことで燃料を燃焼する燃焼期間を長くし、排気の温度を上昇させることができる。
幾つかの実施形態では、図17に示すように、非常用発電用エンジン2の保守運転方法は、既存の非常用発電用エンジンにEGR通路16を追設するEGR通路追設ステップS32と、EGR通路16にEGR弁18を追設するEGR弁追設ステップS34と、保守運転を実行する際にEGR弁18の開度を通常運転モードM1より開くEGR弁開度拡大ステップS36と、を備える。
このような非常用発電用エンジン2の保守運転方法によれば、既存の非常用発電用エンジンにEGR通路16を追設し、このEGR通路16にEGR弁18を追設し、保守運転を実行する際にこの追設したEGR弁18の開度を通常運転モードM1より開くことで、上述した非常用発電用エンジン2の制御装置100と同様の効果を、既存の非常用発電用エンジンに対して簡単な方法で実現させることが出来る。
図18A及び図18Bは、本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジンの保守運転方法のフローチャートである。
本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジン2の保守運転方法は、図18A及び図18Bに示すように、保守運転パターン判断ステップS1及び保守運転実行ステップS2を備える。
保守運転パターン判断ステップS1では、非常用発電用エンジン2を所定の運転モードに基づいて所定の負荷未満で運転させる通常運転モードM1のみで保守運転を実行する通常保守運転パターンP1、又は、通常運転モードM1よりも非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度が高くなるように非常用発電用エンジン2を所定の負荷未満で運転させる高排温運転モードM2を含むように保守運転を実行する高排温保守運転パターンP2、のいずれの保守運転パターンによって保守運転を実行するかを判断する。
保守運転実行ステップS2では、保守運転パターン判断ステップS1において判断された保守運転パターンによって非常用発電用エンジン2を運転させる。図18A及び図18Bに示した実施形態では、保守運転パターン判断ステップS1が高排温保守運転パターンP2で保守運転を実行すると判断すると(ステップS6:Yes)、保守運転実行ステップS2は高排温保守運転パターンP2によって非常用発電用エンジン2を運転させる。保守運転パターン判断ステップS1が通常保守運転パターンP1で保守運転を実行すると判断すると(ステップS6:No)、保守運転実行ステップS2は通常保守運転パターンP1によって非常用発電用エンジン2を運転させる。
このような本発明の一実施形態に係る非常用発電用エンジン2の保守運転方法によれば、保守運転パターン判断ステップS1は、通常運転モードM1のみで保守運転を実行する通常保守運転パターンP1、又は高排温運転モードM2を含むように保守運転を実行する高排温保守運転パターンP2のいずれの保守運転パターンによって保守運転を実行するかを判断する。そして、保守運転実行ステップS2は、保守運転パターン判断ステップS1が判断した保守運転パターンによって非常用発電用エンジン2を運転させる。通常運転モードM1、及び高排温運転モードM2は、非常用発電用エンジン2を所定の負荷未満で運転させる。このため、非常用発電用エンジン2に所定の負荷をかける場合と比較して、ロードバンクの容量を低減することができ、ロードバンクを設置するための設置スペースを縮小できる他、ロードバンクの購入費やレンタル費を低減することができる。
また、高排温保守運転パターンP2に含まれる高排温運転モードM2では、非常用発電用エンジン2を通常運転モードM1よりも高温の排気が排出されるように所定の負荷未満で運転させる。このため、通常運転モードM1に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させて、煤などの未燃分排出物が生成されたとしても、保守運転パターン判断ステップS1が高排温保守運転パターンP2で保守運転を実行すると判断することで、ロードバンクの容量を増やさずに非常用発電用エンジン2から排出される排気の温度を高くし、未燃分排出物を消失することができる。よって、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生を回避することができる。
幾つかの実施形態では、図18Aに示すように、非常用発電用エンジン2の保守運転方法は高排温運転時間決定ステップS4をさらに備える。この高排温運転時間決定ステップS4は、保守運転パターン判断ステップS1が判断した高排温保守運転パターンにおける高排温運転時間であって、高排温運転モードに基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる時間である高排温運転時間を決定する。
図18Aに示した実施形態では、保守運転パターン判断ステップS1が高排温保守運転パターンP2で保守運転を実行すると判断すると(ステップS6:Yes)、高排温運転時間決定ステップS4は高排温運転時間を決定する。そして、高排温運転時間が決定されると、保守運転実行ステップS2が高排温保守運転パターンP2によって非常用発電用エンジン2を運転させる。そして、高排温運転モードM2で非常用発電用エンジン2を運転させる時間が高排温運転時間を越えたら(ステップS8:Yes)、今回の保守運転が終了する。
このような方法によれば、保守運転パターン判断ステップS1が高排温保守運転パターンP2によって保守運転を実行すると判断しても、高排温運転時間を越えて、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させてしまうことを防止できる。このため、定期的な保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
幾つかの実施形態では、図18Bに示すように、非常用発電用エンジン2の保守運転方法は高排温運転中止ステップS5をさらに備える。この高排温運転中止ステップS5は、最後に高排温保守運転パターンP2によって保守運転が実行されてからの推定未燃分排出量の累積値v1であって、通常運転モードM1に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることで生成される推定未燃分排出量の累積値v1が、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる間に、予め設定された高排温運転閾値v31より小さくなると、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることを中止する。
図18Bに示した実施形態では、保守運転実行ステップS2が高排温保守運転パターンP2によって非常用発電用エンジン2を運転させた後に、推定未燃分排出量の累積値v1が高排温運転閾値v31より小さくなると(ステップS9:Yes)、高排温運転中止ステップS5は、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることを中止する。
上述したように、推定未燃分排出量の累積値v1が高排温運転閾値v31より小さくなると、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生する可能性は非常に小さくなる。このような方法によれば、高排温運転中止ステップS5は、推定未燃分排出量の累積値v1が、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる間に、予め設定された高排温運転閾値v31より小さくなると、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることを中止する。このため、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を必要以上に運転させてしまうことを防止し、保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
幾つかの実施形態では、高排温運転中止ステップS5は、正味未燃分累積量の累積値v2が、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる間に、高排温運転閾値v31より小さくなると、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることを中止する。
上述したように、正味未燃分累積量の累積値v2が高排温運転閾値v31より小さくなると、未燃分排出物に起因するウェットスタッキング事象の発生する可能性は非常に小さくなる。このような方法によれば、高排温運転中止ステップS5は、正味未燃分累積量の累積値v2が、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させる間に、予め設定された高排温運転閾値v31より小さくなると、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を運転させることを中止する。このため、高排温運転モードM2に基づいて非常用発電用エンジン2を必要以上に運転させてしまうことを防止し、保守運転に要する燃料消費量を低減することができる。
また、上述したように、正味未燃分累積量の累積値v2は、推定未燃分排出量の累積値v1から推定未燃分消失量の累積値v5を減算した値である。このため、推定未燃分排出量の累積値v1に基づいて、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることを中止する場合と比較して、非常用発電用エンジン2を高排温運転モードM2で運転させることをより適切なタイミングで中止する。
図19~図22は、本発明の一実施形態に係る保守運転パターン判断ステップのサブルーチンを示すフローチャートである。
幾つかの実施形態では、図19に示すように、保守運転パターン判断ステップS1は、経過時間t1をカウントして記憶する経過時間記憶ステップS10と、経過時間t1と経過時間閾値t11とを比較する経過時間比較ステップS11と、を含む。そして、保守運転パターン判断ステップS1は、経過時間t1>経過時間閾値t11になると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。
また、幾つかの実施形態では、図20に示すように、保守運転パターン判断ステップS1は、累積通常運転時間t2を記憶する通常運転時間記憶ステップS12と、累積通常運転時間t2と通常運転時間閾値t21とを比較する累積通常運転時間比較ステップS13と、を含む。そして、保守運転パターン判断ステップS1は、累積通常運転時間t2>通常運転時間閾値t21になると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。
また、幾つかの実施形態では、図21に示すように、保守運転パターン判断ステップS1は、推定未燃分排出量の累積値v1を推定する累積値推定ステップS14と、推定未燃分排出量の累積値v1と累積閾値v11とを比較する累積値比較ステップS15と、を含む。そして、保守運転パターン判断ステップS1は、推定未燃分排出量の累積値v1>累積閾値v11になると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。
また、幾つかの実施形態では、図22に示すように、保守運転パターン判断ステップS1は、推定未燃分消失量の累積値v5を推定する消失値推定ステップS16と、推定未燃分排出量の累積値v1から推定未燃分消失量の累積値v5を減算することで正味未燃分累積量の累積値v2を算出する算出ステップS17と、正味未燃分累積量の累積値v2と正味累積閾値v21とを比較する正味累積値比較ステップS18と、を含む。そして、保守運転パターン判断ステップS1は、正味未燃分累積量の累積値v2>正味累積閾値v21になると、次回の保守運転を高排温保守運転パターンP2によって実行すると判断する。
また、幾つかの実施形態では、図22に示すように、保守運転パターン判断ステップS1は、非常用発電用エンジン2の排気通路8の壁面の温度情報に基づいて推定未燃分消失量の累積値v5を補正する補正ステップS19を備える。
以上、本発明の一実施形態にかかる非常用発電用エンジンの制御装置、非常用発電用エンジン、及び非常用発電用エンジンの保守運転方法について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。