JP7043994B2 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Description
多段装入多段点火焼結法は、配合原料を焼結機の層高方向に順次に積荷して多段の原料充填層を形成するとともに下方から空気を吸引することにより各原料層表面に点火し、各層の焼結反応を多発的に進行させて焼結する方法である。
最初に、焼結鉱製造用の配合原料を造粒するために、別系統で、含鉄原料に、副原料、炭材である粉コークス等のカーボン系凝結材を添加し、水分を加え、第1のドラムミキサー1A、第2のドラムミキサー2Aによりそれぞれ造粒する。
第1のドラムミキサー1Aにより造粒された第1の配合原料を第1のホッパ1Bにより、図示を省略しているが床敷鉱を敷きつめたパレット上に装入し、下段層10を形成する。
パレット上に形成された下段層10は、パレットを下流方向5へ移動させることにより、第1の点火器1C下まで移動し、上部から第1の点火器1Cにより燃料のカーボン系凝結材に点火し、図示を省略したパレット下の風箱を用いて、下方から空気を吸引する下方吸引6により、下段層燃焼帯10Aが形成され、下段層10の焼結が開始される。
焼結が開始された下段層10は、下段層燃焼帯10Aが下降しつつ焼結が進行し、さらに、第2のホッパ2B下まで移動する。そして、第2のドラムミキサー2Aにより造粒された第2の配合原料を、第2のホッパ2Bにより点火後の下段層10上に装入し、上段層20を形成する。
形成された上段層20の上部から第2の点火器2Cにより燃料のカーボン系凝結材に点火し、下方吸引6により、上段層燃焼帯20Aが形成され、上段層20の焼結が開始される。焼結が進行するに従い下降していく下段層燃焼帯10A、上段層燃焼帯20Aの最下部を、それぞれの燃焼帯の燃焼前線と呼ぶ。
その後も下方吸引6を行うことにより下段層10、上段層20のそれぞれの下段層燃焼帯10A、上段層燃焼帯20Aが下降して焼結が進行し、下段層燃焼帯10A、上段層燃焼帯20Aがそれぞれの層の最下部まで到達すると、カーボン系凝結材の燃焼による焼結が終了し、焼結部3となる。焼結部3は、カーボン系凝結材の燃焼後も余熱により焼結が進行するが、最終的に焼結が完了した焼結部3は、パレット終端より排鉱される。
しかし、特許文献2には、NOxの生成、あるいは低減について、なんら記載も示唆もされていない。
1.下段層10の焼結は、低酸素濃度における炭材燃焼のため、NOx転換率(炭材に含有されている窒素が燃焼時にNOxとして放出される比率)が低下する。
2.上段層20の焼結時に生成したNOxが、下段層燃焼帯10Aで分解される。
含鉄原料、副原料、カーボン系凝結材を混合して造粒した第1の配合原料を供給して下段層を形成し、
前記下段層の上部から点火し、下方から空気を吸引することにより前記下段層の焼結を開始し、
点火後の前記下段層上に、含鉄原料、副原料、カーボン系凝結材を混合して造粒した第2の配合原料をさらに供給して上段層を形成し、
前記上段層に点火し、下方から空気を吸引することにより前記上段層の焼結を開始し、
その後も下方から空気を吸引することにより、前記上段層および前記下段層を焼結する二段装入二段点火焼結法による焼結鉱の製造方法であって、
前記下段層および前記上段層は、前記含鉄原料、前記副原料、前記カーボン系凝結材を混合し一括して造粒し、配合原料とした後に、前記配合原料を、前記第1の配合原料と前記第2の配合原料に分配し、下段層厚h1/上段層厚h2=0.7~0.9とされていることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
下段層10と上段層20を形成する配合原料として、一括造粒された均一で同じ原料をそれぞれに分配することにより、図1のように、第1のドラムミキサー1Aおよび第2のドラムミキサー2Aの二系統で造粒を行う必要がなくなる。すなわち、図2に示したように、ドラムミキサー1等の造粒機を一系統あるいは一つの造粒機にすることができる。また、詳細には後述するが、下段層厚h1と上段層厚h2の比を所定のものとし、下段層燃焼帯10A、上段層燃焼帯20Aを、同時に存在させるためにも、下段層10と上段層20を形成する配合原料は同一であることが必要である。
従って、DL式焼結機の機長方向において、層高方向に下段層燃焼帯10A、上段層燃焼帯20Aが重複して存在する機長方向の領域を拡大する重要性に着目した。
従って、層高方向に2ヶ所燃焼帯が存在することが重要であることが判る。
図5に風速一定(1.3Nm3/min)条件下の鍋試験における燃焼前線の経時変化を示す。各層の層厚等の焼結条件は、図3、4と同様である。Case1は、一段装入一段点火、Case2、3は、二段装入二段点火焼結法を示している。図5において、Case1では、点火時刻を経過時間0とし、Case2、3では、下段層10に点火した時刻を経過時間0としている。また、Case2、3について、それぞれの破線(補助線)で示されているのは、上段層燃焼帯20Aの点火タイミングである。図5中のそれぞれの直線の傾きが、それぞれの原料充填層のFFSに相当する。
もちろん、下段層10の点火後直ちに上段層20を形成する第2の配合原料を装入・点火することが望ましい。ただ、下段層10と上段層20の点火時間のタイムラグ(下段層10の点火完了から上段層20の点火開始までの時間間隔)を0とすることは、現実的に不可能であるので、このタイムラグは2min以内であれば、本発明の効果を損なわない。より好ましくは、タイムラグは1min以内である。また、各々の層について点火開始から点火完了までの時間は、通常どおり、0.4~1minとすることが好ましい。
本発明は、かかる知見に基づいて完成した。
原料配合条件を表2に示す。
試験ケースは、一括造粒で二段装入二段点火を行うケースであり、造粒後に層厚に比して分割し、それぞれ第1の配合原料(下段層10用)と第2の配合原料(上段層20用)とした。なお、表2の赤鉄鉱A、Dの銘柄の違い、褐鉄鉱B、Cの銘柄の違いは産地の違いによる。また、橄欖岩はフラックスを形成する。赤鉄鉱精鉱は、粒度0.125mm以下の微粉鉱である。
ドラムミキサー(直径600mm、回転数25rpm)で4分間(min)混合後水分を添加してさらにドラムミキサーで4分間(min)処理した。水分は7.0%とした。
二段装入二段点火用に、直径300mm、高さ300mmの円柱形の下段用鍋と上段用鍋の2本を準備した。それぞれ所定の層厚に第1の配合原料(下段層10用)および第2の配合原料(上段層20用)を装入しておく。まず下段に下段用鍋をセットして、1100℃1分間(min)点火した。点火終了後、直ちに上段用鍋を下段用鍋の上にセットして、1100℃1分間(min)点火した。ここで、下段層10の点火終了から上段層20の点火開始までに30秒要した。
まず、第1の配合原料(下段層10用)は、下段用鍋の上面より所定量分だけ低い位置が、原料充填層の上面となるように調整して下段層10の点火を行った、そして、下段層10の点火後、直ちに下段用鍋の上面まで原料を追加してから、予め、第2の配合原料(上段層20用)を装入していた上段用鍋を載せて上段層20に点火した。すなわち、下段層厚h1は、下段層10の点火前までに下段用鍋に装入した層厚であり、上段層厚h2は、下段層10の点火後に下段用鍋に追加した分と、上段用鍋に装入した分の和である。
吸引風量は、点火開始から1.3Nm3/min一定とした。
下段層10からの排ガス温度がピークとなった時刻から3分(min)後に送風を停止し、焼結終了とした。焼結時間は、下段層10に点火した時刻から下段層10からの排ガス温度がピークとなった時刻までの所要時間とした。
排ガスNOx濃度は、焼結排ガスを分取し分析計へ供して測定した。
排ガスNOx排出量の評価指標として(1)式で計算されるNOx転換率(ηNO:100×[排ガス中のNOx生成量/(排ガス中のCOおよびCO2生成量)]/[窒素入量/(カーボン入量)])を用いた。
ここで、排ガス中に含まれるCOおよびCO2は点火ガス、粉コークスおよび石灰石由来とみなし、NOxは全て粉コークスに由来すると仮定して計算を行った。
ηNO :NOx転換率(%)
NOx :排ガスNOx(%)
CO :排ガスCO(%)
CO2 :排ガスCO2(%)
NCOKE :単位時間あたりの粉コークス由来の窒素入量(mol)
CLPG :単位時間あたりの点火ガス由来のカーボン入量(mol)
CCOKE :単位時間あたりの粉コークス由来のカーボン入量(mol)
CCLS :単位時間あたりの石灰石由来のカーボン入量(mol)
試験ケースを表3の上段に示す。すべてのケースで、一括造粒した後分割、各層を形成するように分配して二段装入二段点火した(図2)。
ケースの差異は、下段層厚h1/上段層厚h2の比率であり、
比較例1 下段層厚h1/上段層厚h2=1.0
発明例1~3 下段層厚h1/上段層厚h2=0.9、0.8、0.7
比較例2 下段層厚h1/上段層厚h2=0.6
焼結時の吸引風量は、点火開始から1.3Nm3/min一定とした。
下段層10からの排ガス温度がピークとなった時刻から3min後に送風を停止し、焼結終了とした。
試験結果を表3の下段に示す。
以上より、上段下段の層厚比の適正化によって、上下段共に燃焼前線が降下している時間長さ(a)(min)を長く取ることで、NOx転換率を下げることが可能である。
Claims (1)
- ドワイトロイド(DL)式焼結機を構成するパレットに、
含鉄原料、副原料、カーボン系凝結材を混合して造粒した第1の配合原料を供給して下段層を形成し、
前記下段層の上部から点火し、下方から空気を吸引することにより前記下段層の焼結を開始し、
点火後の前記下段層上に、含鉄原料、副原料、カーボン系凝結材を混合して造粒した第2の配合原料をさらに供給して上段層を形成し、
前記上段層に点火し、下方から空気を吸引することにより前記上段層の焼結を開始し、
その後も下方から空気を吸引することにより、前記上段層および前記下段層を焼結する二段装入二段点火焼結法による焼結鉱の製造方法であって、
前記下段層および前記上段層は、前記含鉄原料、前記副原料、前記カーボン系凝結材を混合し一括して造粒し、配合原料とした後に、前記配合原料を、前記第1の配合原料と前記第2の配合原料に分配し、下段層厚h1/上段層厚h2=0.7~0.9とされていることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
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