JP6848618B2 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Description
多段点火焼結法は、配合原料を焼結機の層高方向に順次に積荷して多段の原料充填層を形成するとともに下方から空気を吸引することにより各原料層表面に点火し、各層の焼結反応を多発的に進行させて焼結する方法である。
最初に、焼結鉱製造用の配合原料を造粒するために、別系統で、含鉄原料に、副原料、炭材である粉コークス等のカーボン系凝結材を添加し、水分を加え、第1のドラムミキサー1A、第2のドラムミキサー2Aによりそれぞれ造粒する。
第1のドラムミキサー1Aにより造粒された第1の配合原料を第1のホッパ1Bにより、図示を省略しているが床敷鉱を敷きつめたパレット上に装入し、下段層10を形成する。
パレット上に形成された下段層10は、パレットを下流方向5へ移動させることにより、第1の点火器1C下まで移動し、上部から第1の点火器1Cにより燃料のカーボン系凝結材に点火し、図示を省略したパレット下の風箱を用いて、下方から空気を吸引する下方吸引6により、燃焼帯10Aが形成され、下段層10の焼結が開始する。
焼結が開始された下段層10は、燃焼帯10Aが下降しつつ焼結が進行し、さらに、第2の点火器2C下まで移動し、第2のドラムミキサー2Aにより造粒された第2の配合原料を、第2のホッパ2Bにより点火後の下段層10上に装入し、上段層20を形成する。
形成された上段層20の上部から第2の点火器2Cにより燃料のカーボン系凝結材に点火し、下方吸引6により、燃焼帯20Aが形成され、上段層20の焼結を開始する。
その後も下方吸引6を行うことにより下段層10、上段層20のそれぞれの燃焼帯10A、20Aが下降して焼結が進行し、燃焼帯10A、20Aがそれぞれの層の最下部まで到達すると、カーボン系凝結材の燃焼による焼結が終了し、焼結部3となる。焼結部3は、カーボン系凝結材の燃焼後も余熱により焼結が進行するが、最終的に焼結が完了した焼結部3は、パレット終端より排鉱される。
特許文献2には、多段点火焼結法のうち、二段で点火する二段点火焼結法において、下段層10における焼結強度が低下するとの問題点を指摘している。このため、下段層10の焼結鉱の焼結強度を向上させるべく、焼結しようとする製鉄原料中の固定炭素濃度を全層平均で3.3%以下とし、かつ上段層20の固定炭素濃度を低く、下段層10の固定炭素濃度を高くすることが記載されている。
特許文献3には、特許文献2とは逆に、二段点火焼結法において、上段層20の固定炭素濃度をそのままに、下段層10の固定炭素濃度を上段層20よりも低くする実施例が記載されている。
一方、特許文献3に記載されているように、特段の対策を施さずに下段層10の固定炭素濃度を上段層20よりも低くすると、二段点火焼結法においては、特許文献2にも指摘されているように、下段層10での焼結鉱の強度が極端に低下するため好ましくない。
含鉄原料、副原料、カーボン系凝結材を混合して造粒した第1の配合原料を供給して下段層を形成し、
前記下段層の上部から点火し、下方から空気を吸引することにより前記下段層の焼結を開始し、
点火後の前記下段層上に、含鉄原料、副原料、カーボン系凝結材を混合して造粒した第2の配合原料をさらに供給して上段層を形成し、
前記上段層に点火し、下方から空気を吸引することにより前記上段層の焼結を開始し、
その後も下方から空気を吸引することにより、前記上段層および前記下段層を焼結する二段点火焼結法による焼結鉱の製造方法であって、
前記第1の配合原料に含まれる前記カーボン系凝結材の粒度を平均粒径3.0mm以上とし、
前記第2の配合原料に含まれる前記カーボン系凝結材の配合比を、前記第1の配合原料と前記第2の配合原料の総量中、前記含鉄原料と前記副原料の合計に対し、5.5質量%以下とすることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
(2)さらに、前記第1の配合原料と前記第2の配合原料の総量中、前記含鉄原料と前記副原料の合計に対し、前記第1の配合原料に配合される前記カーボン系凝結材の配合比は3.0質量%以下とすることを特徴とする(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
(3)さらに、第1の配合原料は高速撹拌ミキサーおよび/または皿型造粒機で造粒されたことを特徴とする(1)または(2)に記載の焼結鉱の製造方法。
1)焼結条件
下段層および上段層はどちらも層高300mmで装入した。すなわち、300mmの厚さの層を2層、合計600mmの厚さで装入した。
二段点火では直径300mm層高300mmの円柱形鍋を2本準備し、それぞれ第1の配合原料(下段層)および第2の配合原料(上段層)を装入しておく。まず第1の配合原料を装入した鍋を下段にセットして、1100℃1分間点火した。点火終了後、直ちに第2の配合原料を装入した鍋を下段にセットした鍋の上段にセットして、1100℃1分間点火した。吸引圧は、点火開始から1000mmAq(9.8kPa)一定とした。
原料の配合条件を表1に示す。
ケース1から3は、すべて下段層用の第1の配合原料と、上段層用の第2の配合原料を別系統で造粒した二系統造粒ケースである。カーボン系凝結材としては、粉コークスを使用した。
下段層を形成する第1の配合原料中の粉コークスの粒度は、ケース1において平均粒径(メジアン径)1.1mm、ケース2、3において平均粒径3.0mmとした。第1の配合原料中(下段層)の粉コークスの配合比はケース1、2において5.0%、ケース3において2.7%とした。ヘマタイトA、Dの銘柄の違い、ゲーサイトB、Cの銘柄の違いは産地の違いによる。
3)配合条件
比較例1は、配合を表1に示したケース1とした。すなわち、上段層、および下段層のコークス粒度は、共に通常の粒度である平均粒径1.1mmとした。
発明例1は、配合を表1に示したケース2とした。すなわち、上段層のコークス粒度は通常通り平均粒径1.1mmとし、下段層のコークス粒度は、粗粒とした平均粒径3.0mmとした。
発明例2から4は、配合を表1に示したケース3とした。すなわち、上段層のコークス粒度は通常通り平均粒径1.1mmとし、下段層のコークス粒度は、粗粒とした平均粒径3.0mmとした。
第1の配合原料と第2の配合原料を別々に造粒する二系統造粒を行った。
I)上段層を形成する第2の配合原料は、すべての発明例、比較例で、ドラムミキサーで4分間混合後水分を添加してさらにドラムミキサーで処理することにより造粒した。水分は7.0%とした。
II)下段層を形成する第1の配合原料は以下の3通りの方法により造粒した。
比較例1、発明例1、2では、ドラムミキサーで4分間混合後水分を添加してさらにドラムミキサーで処理することにより造粒した。水分は7.8%とした。
発明例3では、図3に示したように、アイリッヒミキサー(商品名)で30秒間混合後水分を添加してさらにアイリッヒミキサー(商品名)で30秒間処理した。さらにパンペレタイザーを使用し、5分間処理することにより造粒した。水分は7.8%とした。
発明例4では、図2に示した場合のうち、アイリッヒミキサー(商品名)のみで造粒した。アイリッヒミキサー(商品名)で30秒間混合後水分を添加してさらにアイリッヒミキサー(商品名)で30秒間処理することにより造粒した。水分は7.8%とした。
ここで、各々の造粒機の仕様は以下のとおりである。ドラムミキサーの設備仕様は、直径600mm回転数25rpmである。アイリッヒミキサー(商品名)の設備仕様は、パン直径800mmに撹拌羽根が1本内臓されており、回転速度は、パンは20rpm撹拌羽根は300rpmである。パンペレタイザーの設備仕様は、パン直径800mm深さ150mm傾斜角45°、回転速度20rpmである。
各実施例について、生産性、被還元性、焼結強度の指標として、生産率、被還元性RI、還元粉化指数RDIを評価した。
被還元性RIは、粒径19−21mmの焼結鉱500gを、900℃において、還元ガス(CO[30体積%]/N2[70体積%])15l(15リットル)にて3時間処理した後の重量変化から算出される脱酸素量を酸化鉄中の酸素量で除して求めた。
還元粉化指数RDIは、JIS M8720(2009年)に準じて測定した。具体的には、16.0mm超過20mm以下に篩分けられた500gの成品を、550℃のもとで還元ガス(CO:30体積%、N2:70体積%)により30分間還元した。そして、還元後の成品を回転ドラムに充填し、900回転させた後、2.83mm以下の粒度を有する焼結鉱と他の焼結鉱とに篩分けた。そして、2.83mm以下の粒度を有する焼結鉱の総質量(500g)に対する割合を耐還元粉化指数とした。
生産率は、点火開始から排ガス温度がピークに到達するまでに要した時間を焼結時間として、成品量を焼結時間と鍋底面積で割って算出した。
試験結果を表2の下段に示す。以下に結果を詳述する。
(1)被還元性
比較例1と発明例1を対比すると、二段点火焼結法において、下段層に平均粒径3.0mm以上の粗粒炭材を使用することによって、還元粉化性をさほど悪化させずに、被還元性が2%以上向上したことがわかる。
また、発明例1と発明例2を対比すると、下段層の粉コークス配合比を3.0質量%以下に低下させるとさらに被還元性が向上したことがわかる。
これは、粉コークスの粗粒化や減配によって、下段層のO2濃度低下を抑制されたためである。
発明例2から4は、造粒方法の比較であるが、被還元性に及ぼす影響は極めて小さかった。
(2)焼結強度
発明例1と発明例2を対比すると、下段層の粉コークス配合比を3.0質量%以下に低下させると還元粉化指数RDIの低下はさらに抑制されることがわかる。
発明例2から4は、造粒方法の比較であるが、還元粉化指数RDIに及ぼす影響は極めて小さかった。
(3)焼結生産性
比較例1と発明例1を対比すると、下段層に平均粒径3.0mm以上の粗粒炭材を使用することによって、生産率が向上したことがわかる。また、発明例1と発明例2を対比すると、下段層の粉コークス配合比を3.0質量%以下に低下させると生産率はさらに向上することがわかる。さらに、発明例1、2と発明例3、4を対比すると、アイリッヒミキサー(商品名)の採用、アイリッヒミキサーおよびパンペレタイザーを併用して造粒すると、造粒が強化され、生産率が10%程度顕著に向上することがわかる。
Claims (3)
- ドワイトロイド(DL)式焼結機を構成するパレットに、
含鉄原料、副原料、カーボン系凝結材を混合して造粒した第1の配合原料を供給して下段層を形成し、
前記下段層の上部から点火し、下方から空気を吸引することにより前記下段層の焼結を開始し、
点火後の前記下段層上に、含鉄原料、副原料、カーボン系凝結材を混合して造粒した第2の配合原料をさらに供給して上段層を形成し、
前記上段層に点火し、下方から空気を吸引することにより前記上段層の焼結を開始し、
その後も下方から空気を吸引することにより、前記上段層および前記下段層を焼結する二段点火焼結法による焼結鉱の製造方法であって、
前記第1の配合原料に含まれる前記カーボン系凝結材の粒度を平均粒径3.0mm以上とし、
前記第2の配合原料に含まれる前記カーボン系凝結材の配合比を、前記第1の配合原料と前記第2の配合原料の総量中、前記含鉄原料と前記副原料の合計に対し、5.5質量%以下とすることを特徴とする焼結鉱の製造方法。 - さらに、前記第1の配合原料と前記第2の配合原料の総量中、前記含鉄原料と前記副原料の合計に対し、前記第1の配合原料に配合される前記カーボン系凝結材の配合比は3.0質量%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
- さらに、前記第1の配合原料は高速撹拌ミキサーおよび/または皿型造粒機で造粒されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼結鉱の製造方法。
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