JP6071409B2 - 焼結原料の事前造粒方法 - Google Patents
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しかし、スケール粉を多量に使用するとその濡れ性が悪いためその他の焼結用原料との混合・造粒時の造粒性の低下を招き、焼結機パレット上の焼結原料層の通気性を悪くする。その結果、不均一焼成により歩留りが悪化し、さらに焼結時間が長くなり、焼結鉱の生産性を低下させるといった問題があった。そのため、スケール粉を多量に使用することは積極的には行われていなかった。
また、スケール粉と微粉ダストを混合したものの配合率は、特許文献1に記載された表1から8%であることがわかるが、それ以上に多量に配合する点については記載されていない。
さらに、スケール粉は微粉ダストと混合されるが鉄鉱石と混合されるものではない。
前記予備造粒工程(X)で得られた造粒物と予備造粒工程(X)に供されなかった残りの鉄鉱石、石灰石,マグドロ,珪石粉といった副原料と炭材とをミキサーに装入し、水を添加しながらミキサーを転動させて混合・造粒を行う本造粒工程(Y)と、
前記本造粒工程(Y)で得られた造粒物を焼結処理する焼結工程(Z)を備え、
前記予備造粒工程(X)におけるスケール粉と鉄鉱石との混合比率を2:3から3:2の範囲にしたことを特徴とする。
前記予備造粒工程(X)で得られた造粒物と予備造粒工程(X)に供されなかった残りの鉄鉱石、石灰石,マグドロ,珪石粉といった副原料と炭材とをミキサーに装入し、水を添加しながらミキサーを転動させて混合・造粒を行う本造粒工程(Y)と、
前記本造粒工程(Y)で得られた造粒物を焼結処理する焼結工程(Z)を備え、
前記予備造粒工程(X)におけるスケール粉と鉄鉱石との混合比率を2:3から3:2の範囲にしたことを特徴とする。
すなわち、スケール粉は難造粒性で粒化させることは容易ではなく通常処理において多量に使用すると造粒性の低下を招き焼結の際には焼結用原料層の通気性を悪化させるものであったが、本発明では予備造粒工程を設けて、スケール粉に基本的に鉄鉱石だけ(造粒促進材を除く)を混合して撹拌しつつ混練・造粒することにより鉄鉱石を核としてその周辺にスケール粉を付着させることで結果的にスケール粉を容易に粒化させることができたので、特に焼結用原料層の通気性を悪化させることなく焼結鉱の生産性を高めることができる。
これによれば、予備造粒工程においてスケール粉と鉄鉱石を混合したものよりは生産性は低下するものの、スケール粉をリサイクル使用しつつ焼結鉱を生産することができる。この場合、焼結用原料に対するスケール粉の配合比率を、例えば8%程度にしても、従来法による通常処理(本発明のように予備造粒工程を設けないもの)においてスケール粉の配合比率を3%にしたものよりも焼結鉱の生産性を高くすることができた。
また、加えられる水分は、予備造粒工程Xで得られる造粒物の粒度分布で10mm超又は1mm未満の割合が10%以下になるように調整されている。
このうち焼結用原料としては、例えば各種鉄鉱石や、石灰石,マグドロ,珪石粉といった副原料があげられ、また、凝結用原料の炭材としては、例えば粉コークスがあげられる。なお、焼結用原料として使用される各種鉄鉱石の一つとして、予備造粒工程X時に供されなかった残りの鉄鉱石を使用することもできるし、予備造粒工程X時にスケール粉に対して混合される鉄鉱石を使用することもできる。また焼結用原料として使用される鉄鉱石を各種としたが一種類の鉄鉱石を使用してもよい。
ここでは、本造粒工程Yで得られた造粒物を、図1に示すように、焼結機のパレット上に装入して形成された焼結原料層内に存在する炭材に点火して、下向きに空気を吸引することで上層から下層に順次焼結原料を凝結させ塊成化する。
なお、本実施形態では、予備造粒工程Xにおいてスケール粉と鉄鉱石を混合させたが、スケール粉単体のものを高速撹拌ミキサー10で混練して造粒させることができる。これによれば、予備造粒工程Xにおいてスケール粉と鉄鉱石を混合したものよりは生産性は低下するものの、スケール粉をリサイクル使用しつつ焼結鉱を生産することができる。
この焼結試験での配合条件と原料の主な化学成分を以下の表1に示す。
銘柄(4),(5)は、予備造粒工程X(表1に記載の「事前処理」)におけるスケール粉と鉄鉱石Aとの混合比率を、2:3から3:2の範囲にし、焼結原料に対するスケール粉と鉄鉱石Aの配合比率を、銘柄(4)では8%と17%とし、銘柄(5)では15%と10%とした。
銘柄(6),(7)は、予備造粒工程X(事前処理)でスケール粉単体のものを処理し、焼結原料に対するスケール粉の配合比率を、銘柄(6)では8%とし、銘柄(7)では15%とした。
そして、銘柄(4),(5),(6),(7)では、本造粒工程Y(表1に記載の「通常処理」)においてはスケール粉を含まないようにし、通常処理では、焼結用原料として、鉄鉱石A,鉄鉱石B,鉄鉱石C,鉄鉱石D,石灰石,マグドロ,珪石粉を配合し、熱源用原料として、粉コークス(粉コークスの配合比率については外数とした)を配合した。
これに対して、事前処理を行わない、比較例(1),(2),(3)では、焼結用原料として、鉄鉱石A,鉄鉱石B,鉄鉱石C,鉄鉱石D,石灰石,マグドロ,珪石粉に加えて、スケール粉を配合し、凝結材として、粉コークス(粉コークスの配合比率については外数とした)を配合した。比較例(1),(2),(3)では、スケール粉の配合比率をそれぞれ3%,8%,15%とした。
なお、スケール粉はその化学成分からも明らかなように、高鉄分かつ低SiO2,Al2O3の原料である。
このとき、スケール粉と鉄鉱石Aに加えられる水分(造粒水分)量を、銘柄(4)では9%,銘柄(5)では8%,銘柄(6),(7)では7%とした。
この水分量は、予備造粒工程Xで得られる造粒物の粒度分布で10mm超の割合が多いとヘドロ状態となり逆に1mm未満の割合が多いとパサパサ状態となるので、10mm超又は1mm未満の割合が10%以下になるように調整したものである。銘柄(4)では図3より適正造粒水分の範囲は8〜9%であったので焼結試験では9%とし、銘柄(5)では図4より適正造粒水分の範囲は7〜8%であったので焼結試験では8%とし、銘柄(6),(7)では図5より適正造粒水分の範囲は5〜8%であったので焼結試験では7%とした。
なお、焼結工程Zは従来から行われている処理を行った。
なお、図6には、焼結原料に対するスケール粉の配合比率に対する本造粒工程後の造粒物の平均粒径の関係を示した。
しかし、銘柄(4),(5)のようにスケール粉と鉄鉱石Aを組合わせて事前処理したものはスケール粉を8%,そして15%と多量に配合したものであっても、比較例(1),(2),(3)より高い生産性を確保することができるものであった。
また、銘柄(6)のように8%配合したスケール粉単体を高速撹拌ミキサー10で混練・造粒して事前処理したものは、銘柄(4),(5)よりは生産性は低下するものの、比較例(1),(2),(3)より高い生産性を確保するものであった。また、銘柄(7)のように15%配合したスケール粉単体を高速撹拌ミキサー10で混練・造粒して事前処理したものは、比較例(2)と同程度の生産性を示すものとなった。なお、焼結鉱の品質指標を示すSI(冷間強度),RDI(低温還元粉化指数),RI(JIS還元率)については、銘柄(4),(5)も銘柄(6),(7)も比較例(1),(2),(3)と同等か同等以上のものであり、品質を特に悪化するものではなかった。
これによれば、銘柄(4),(5)及び銘柄(6),(7)よりは生産性は若干低下するものの比較例(1),(2),(3)よりは生産性は同等か同等以上となる。
11 パン
12 アジテータ
20 ドラムミキサー
X 予備造粒工程
Y 本造粒工程(造粒工程)
Z 焼結工程
Claims (4)
- 鉄鋼業で発生するスケール粉に鉄鉱石を混合したものに対して、水分を加えて撹拌しつつ混練・造粒する予備造粒工程と、
前記予備造粒工程で得られた造粒物と予備造粒工程に供されなかった残りの鉄鉱石、石灰石,マグドロ,珪石粉といった副原料と炭材とをミキサーに装入し、水を添加しながらミキサーを転動させて混合・造粒を行う本造粒工程と、
前記本造粒工程で得られた造粒物を焼結処理する焼結工程を備え、
前記予備造粒工程におけるスケール粉と鉄鉱石との混合比率を2:3から3:2の範囲にしたことを特徴とする焼結原料の事前造粒方法。 - 鉄鋼業で発生するスケール粉単体に対して、水分を加えて撹拌しつつ混合・造粒する予備造粒工程と、
前記予備造粒工程で得られた造粒物と予備造粒工程に供されなかった残りの鉄鉱石、石灰石,マグドロ,珪石粉といった副原料と炭材とをミキサーに装入し、水を添加しながらミキサーを転動させて混合・造粒を行う本造粒工程と、
前記本造粒工程で得られた造粒物を焼結処理する焼結工程を備えることを特徴とする焼結原料の事前造粒方法。 - 前記予備造粒工程に供されなかった残りの鉄鉱石、副原料と炭材には、前記スケール粉を含まないようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結原料の事前造粒方法。
- 前記予備造粒工程で加えられる水分の量を、前記予備造粒工程で得られる造粒物の粒度分布で10mm超又は1mm未満の割合が10%以下になるように調整することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の焼結原料の事前造粒方法。
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