JP7043727B2 - 光波長変換シートの劣化評価方法、光波長変換シート、バックライト装置、および画像表示装置 - Google Patents

光波長変換シートの劣化評価方法、光波長変換シート、バックライト装置、および画像表示装置 Download PDF

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本発明は、光波長変換シートの劣化評価方法、光波長変換シート、バックライト装置、および画像表示装置に関する。
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、液晶表示パネル等の透過型画像表示パネルの背面側に配置され、透過型画像表示パネルを照明するバックライト装置を備えている。
現在、色再現性を高めるために、量子ドットおよびバインダ樹脂を含む光波長変換層を備える光波長変換シートをバックライト装置に組み込むことが検討されている(例えば、特許文献1参照)。量子ドットは、光(一次光)を吸収して異なる波長の光(二次光)を放出することができる。量子ドットが放出する光の波長は、主として量子ドットの粒子径に依存する。したがって、光波長変換シートが組み込まれたバックライト装置では、単一の波長域の光を投射する光源を用いながら、種々の色を再現することができる。例えば、青色光を発する光源を用いる場合、光波長変換シートが青色光を吸収して緑色光および赤色光を放出することもできる。このような光波長変換シートが組み込まれたバックライト装置は色純度に優れることから、このバックライト装置を用いた画像表示装置は優れた色再現性を有することになる。
特開2015-111518号公報
光波長変換シートにおいては、量子ドットは水分や酸素によって劣化してしまい、発光効率が低下するおそれがあるので、光波長変換層の両面に、水分および酸素の透過を抑制するためのバリアフィルムを設けている。バリアフィルムは光波長変換層を挟むように設けられるので、通常、光波長変換シートは、バリアフィルム、光波長変換層、バリアフィルムの順で積層された構造となっている。
しかしながら、上記のような構造の光波長変換シートであっても、通常、光波長変換層の両面にバリアフィルムを設けた状態で光波長変換シートを所望の大きさに切断するので、切断された光波長変換シートの側面にはバリアフィルムが存在せず、光波長変換層が露出している。このため、光波長変換シートの端部の量子ドットが光波長変換シートの中央部に比べて劣化しやすい。光波長変換シートの端部の量子ドットが劣化した場合、発光時に端部は中央部の色味とは異なる色味となる。
現在、光波長変換シートの劣化評価は、目視で行われているが、光波長変換シートの劣化評価を一定の客観性をもって目視で行うためには熟練した技術を要する。このため、目視評価と相関の高く、かつ定量化できる光波長変換シートの劣化評価方法が求められている。なお、光波長変換シートの定量的な劣化評価方法は、未だ確立されていない。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。目視評価と相関の高い定量的な劣化評価が可能な光波長変換シートの劣化評価方法を提供することを目的とする。また、発光時に目視評価したときに量子ドットの劣化による色味変化が確認されにくい光波長変換シート、およびこのような光波長変換シートを備えるバックライト装置および画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、ホストマトリクスと、前記ホストマトリクス中に分散された量子ドットとを含む光波長変換層を備える光波長変換シートの劣化評価方法であって、前記光波長変換シートの一方の面に前記量子ドットによって波長変換可能な光を照射した状態で、前記光波長変換シートにおける前記一方の表面とは反対側の他方の面の少なくとも一部の輝度分布を測定する工程と、測定された前記輝度分布に基づいて輝度変化量分布を得る工程と、得られた前記輝度変化量分布から極大値と、前記極大値に隣接する極小値とを検出する工程と、前記極大値が得られる位置から前記極小値が得られる位置までの幅を求め、前記幅に基づいて前記光波長変換シートの劣化を評価する工程とを備える、光波長変換シートの劣化評価方法が提供される。
上記光波長変換シートの劣化評価方法において、前記輝度分布を測定する工程が、少なくとも前記光波長変換シートの端部の輝度を測定する工程であり、前記輝度変化量分布を得る工程が、前記光波長変換シートの前記端部の輝度変化量を得る工程であってもよい。
上記光波長変換シートの劣化評価方法において、前記輝度分布を測定する工程前に、直下型のバックライト装置の発光面に前記光波長変換シートを配置する工程をさらに備え、前記光波長変換シートの大きさが前記発光面の大きさよりも小さく、前記輝度分布を測定する工程において照射される前記光が前記バックライト装置から照射される光であってもよい。
上記光波長変換シートの劣化評価方法において、前記光波長変換層の少なくとも片面に水分や酸素の透過を抑制するバリアフィルムをさらに備えていてもよい。
上記光波長変換シートの劣化評価方法において、前記量子ドットによって波長変換可能な光が青色光であり、前記量子ドットが前記青色光を緑色光に変換する第1の量子ドットと、前記青色光を赤色光に変換する第2の量子ドットとを含んでいてもよい。
本発明の他の態様によれば、ホストマトリクスと、前記ホストマトリクス中に分散された量子ドットとを含む光波長変換層を備える光波長変換シートであって、前記光波長変換シートに対し60℃、相対湿度90%環境下に500時間放置する耐久性試験を行い、前記耐久性試験後において、上記劣化評価方法によって前記光波長変換シートの劣化を評価したときの上記幅が5mm以下である、光波長変換シートが提供される。
上記光波長変換シートにおいて、前記光波長変換層の少なくとも片面に水分や酸素の透過を抑制するバリアフィルムをさらに備えていてもよい。
上記光波長変換シートにおいて、前記量子ドットが前記青色光を緑色光に変換する第1の量子ドットと、前記青色光を赤色光に変換する第2の量子ドットとを含んでいてもよい。
本発明の他の態様によれば、光源と、前記光源からの光を受ける上記の光波長変換シートとを備える、バックライト装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記のバックライト装置と、前記バックライト装置の出光側に配置された表示パネルとを備える、画像表示装置が提供される。
本発明の一の態様の光波長変換シートの劣化評価方法によれば、目視評価と相関が高い定量的な劣化評価が可能となる。また、本発明の他の態様によれば、発光時に目視評価したときに量子ドットの劣化による色味変化が確認されにくい光波長変換シートならびにこのような光波長変換シートを備えるバックライト装置および画像表示装置を提供できる。
実施形態に係る光波長変換シートの劣化評価方法を説明するための図である。 実施形態に係る光波長変換シートの輝度分布を測定する際の図である。 実施形態に係る光波長変換シートの概略構成図である。 実施形態に係る光波長変換シートの作用を示す図である。 実施形態に係るバックライト装置を含む画像表示装置の概略構成図である。 図4に示されるレンズシートの斜視図である。 図5のレンズシートのI-I線に沿った断面図である。 実施形態に係る他のバックライト装置の概略構成図である。 サンプル2に係る光波長変換シートの輝度分布を示したグラフである。 サンプル2に係る光波長変換シートの輝度変化量分布を示したグラフである。 図10の輝度変化量分布の一部を拡大したグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る光波長変換シートの劣化評価方法、光波長変換シート、バックライト装置、および画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「シート」、「フィルム」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」は、フィルムとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられ、また「フィルム」はシートとも呼ばれ得るような部材も含む意味で用いられる。図1は実施形態に係る光波長変換シートの劣化評価方法を説明するための図であり、図2は実施形態に係る光波長変換シートの輝度分布を測定する際の図であり、図3は本実施形態に係る光波長変換シートの概略構成図であり、図4は本実施形態に係る光波長変換シートの作用を示す図である。
<<<光波長変換シートの劣化評価方法>>>
光波長変換シートの劣化を評価する際には、まず、図1に示されるように、劣化評価装置1および測定対象である光波長変換シート10を用意する。劣化評価装置1は、直下型のバックライト装置2、バックライト装置2の上方に配置され、かつ光波長変換シート10の輝度を測定する輝度計3と、輝度計3に電気的に接続された処理装置4とを備えている。
<<バックライト装置>>
バックライト装置2は、光源5と、光源5上に配置され、光源5からの光を拡散させる機能を有する光拡散板6とを備えている。バックライト装置2は、光源5および光拡散板6の他、光拡散板6上にレンズシートや反射型偏光分離シートを備えていてもよい。図1に示されるバックライト装置2の発光面2Aは、光拡散板の出光面で構成されている。
<光源>
光源5は、後述する量子ドット17によって波長変換される光を照射するものである。光源5としては、量子ドット17によって波長変換される光を照射するものであれば、特に限定されないが、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状の発光ダイオード(LED)や白熱電球等が挙げられる。量子ドット17が青色光を緑色光に変換する第1の量子ドットと、青色光を赤色光に変換する第2の量子ドットとを含む場合には、光源2としては、青色光を発する光源、特に青色発光ダイオードが好ましい。本明細書における「青色光」とは、380nm以上480nm未満の波長域を有する光であり、「緑色光」とは、480nm以上590nm未満の波長域を有する光であり、「赤色光」とは、590nm以上750nm以下の波長域を有する光である。
<光拡散板>
光拡散板6は、光源5側の一方の面によって構成された入光面6Aと、光波長変換シート10側の他方の面によって構成された出光面6Bとを有している。入光面6Aから光拡散板6内に入射した光は、光拡散板6内で拡散され、出光面6Bから出射される。
光拡散板6としては、光源5からの光を拡散させることができれば、特に限定されないが、例えば、透明材料中に光拡散性粒子を分散させた板が挙げられる。透明材料としては、特に限定されないが、例えば透明樹脂、無機ガラス等が挙げられる。前記透明樹脂としては、成形が容易である点で、透明熱可塑性樹脂が好適に用いられる。この透明熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂、スチレン-メタクリル酸共重合体樹脂、スチレン-無水マレイン酸共重合体樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)などが挙げられる。これらのうちの1種を用いても良いし、或いはこれらの2種以上を混合して用いても良い。光拡散板6中の光拡散性粒子としては、光拡散板として一般的に用いられる光拡散性粒子が挙げられる。
<<輝度計>>
輝度計3は、光波長変換シート10のバックライト装置2側の一方の表面10Aとは反対側の他方の表面10Bの輝度分布を測定するものである。輝度計は、面全体の輝度分布を測定する面輝度計であってもよい。輝度計3としては、特に限定されず、市販品を用いていることができる。輝度計の市販品としては、例えば、UA-200(トプコンテクノハウス社製)が挙げられる。光波長変換シート10の表面10Bから輝度計3までの距離(焦点距離)は、適宜調節可能である。
<<処理装置>>
処理装置4は、輝度計3によって測定された輝度分布をデータとして取り込み、取り込んだ輝度分布に基づいて輝度変化量分布を求める機能を有するものである。また、処理装置4は、指定した部分(例えば、光波長変換シートの任意の一方の端縁から他方の端縁までの直線部分)における輝度分布を抽出する機能を有していてもよい。
<<光波長変換シート>>
測定対象の光波長変換シート10は、入射する光のうち一部の光の波長を他の波長に変換し、入射した光の他の一部および波長変換された光を出射させるためのシートである。光波長変換シート10の大きさは、バックライト装置2の発光面2Aの大きさよりも小さいことが好ましい。このような大きさの光波長変換シート10を用いることにより、光波長変換シート10の端部よりも中央部側の劣化のみならず、光波長変換シート10の端部の劣化を評価することができる。本明細書における「端部の劣化」とは、光波長変換シートの端部に存在する量子ドットが劣化することを意味する。
光波長変換シート10は、図3に示されるように、光波長変換層11と、光波長変換層11の両面に設けられたバリアフィルム12、13と、バリアフィルム12、13における光波長変換層11側の面とは反対側の面に設けられた光拡散層14、15とを備えている。光波長変換シート10においては、光拡散層14、15の表面が光波長変換シート10の表面を構成している。
光波長変換シート10は、光拡散層14/バリアフィルム12/光波長変換層11/バリアフィルム13/光拡散層15の構造となっているが、光波長変換シートが光波長変換層を有していれば、光波長変換シートの構造は特に限定されない。例えば、光波長変換シートは、光拡散層/バリアフィルム/光波長変換層/バリアフィルム、バリアフィルム/光波長変換層/バリアフィルム、光透過性基材/光波長変換層/光透過性基材、光拡散層/オーバーコート層/光波長変換層/オーバーコート層/光拡散層、またはオーバーコート層/光波長変換層/オーバーコート層の構成であってもよい。
光波長変換シート10においては、図4に示されるように、光波長変換シート10の表面10Aから光を入射させた場合には、光波長変換層11中の量子ドット17に入射した光L1は光L1とは異なる波長の光L2に変換されて、表面10Bから出射する。一方、表面10Aから光を入射させた場合であっても、光波長変換層11中の量子ドット17間を通過する光L1は波長変換されずに、表面10Bから出射する。
光波長変換シート10の厚みは、10μm以上500μm以下となっていることが好ましい。光波長変換シート10の平均厚みがこの範囲であれば、光波長変換シート10が組み込まれるバックライト装置の軽量化および薄膜化に適している。
光波長変換シート10の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換シート10の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換シート10の厚みを20箇所測定し、その20箇所の厚みの平均値とする。これらの中でも、光波長変換シート10の膜厚がμmオーダーであることを考慮すると、SEMを用いることが好ましい。SEMでの測定の際には、加速電圧を30kV、倍率を1000~7000倍とすることが好ましい。
光波長変換シート10においては、バリアフィルム12、13を備えているので、シート全体で、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)が0.1g/(m・24h)未満となっていることが好ましい。水蒸気透過率はJIS K7129:2008に準拠した手法で得られる数値である。水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN-W3/31」、MOCON社製)を用いて測定することができる。水蒸気透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。
光波長変換シート10においては、バリアフィルム12、13を備えているので、シート全体で、23℃、相対湿度90%での酸素透過率(OTR: Oxygen Transmission Rate)が0.1cm/(m・24h・atm)未満となっていることが好ましい。酸素透過率はJIS K7126:2006に準拠した手法で得られる数値である。酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX-TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて測定することができる。酸素透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。
光波長変換シート10における40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率は1.0×10-2g/(m・24h)以下となっていることが好ましく、また光波長変換シート10における23℃、相対湿度90%での酸素透過率が1.0×10-2cm/(m・24h・atm)以下となっていることが好ましい。
<光波長変換層>
光波長変換層11は、ホストマトリクス16と、ホストマトリクス16に分散された量子ドット17とを含んでいる。光波長変換層11は、波長効率を高めるために光散乱性粒子18を含んでいることが好ましい。また、光波長変換層11は、量子ドット17の劣化を抑制するための添加剤を含んでいることが好ましい。光波長変換層11の両面はバリアフルム12、13で覆われているが、光波長変換層11の側面は露出している。
光波長変換層11の膜厚は、10μm以上200μm以下となっていることが好ましい。この光波長変換層11の平均厚みがこの範囲であれば、バックライト装置の軽量化および薄膜化に適している。光波長変換層11の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換層11の断面を撮影し、その断面の画像において光波長変換層11の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。光波長変換層11の平均膜厚の上限は170μm未満であることがより好ましい。
(ホストマトリクス)
ホストマトリクス16としては、特に限定されないが、バインダ樹脂、シリカガラス等のガラス、およびシリカゲルの少なくともいずれかが挙げられる。バインダ樹脂としては、特に限定されないが、重合性化合物の重合体が挙げられる。重合性化合物(硬化性化合物)は、重合可能な化合物であり、例えば、電離放射線重合性化合物(電離放射線硬化性化合物)や熱重合性化合物(熱硬化性化合物)が挙げられる。本明細書における電離放射線としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
電離放射線重合性化合物は、分子内に電離放射線重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。電離放射線重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。
電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマー、電離放射線重合性オリゴマー、または電離放射線重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマーと、電離放射線重合性オリゴマーまたは電離放射線重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましい。
電離放射線重合性モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
電離放射線重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましく、電離放射線重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーがより好ましい。上記多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル-ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線重合性プレポリマーは、重量平均分子量が1万を超えるものであり、重量平均分子量としては1万以上8万以下が好ましく、1万以上4万以下がより好ましい。重量平均分子量が8万を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光波長変換層の外観が悪化するおそれがある。このため、重量平均分子量が8万を超える電離放射線重合性プレポリマーを用いている場合には、上記重合性モノマーや上記重合性オリゴマーを混合して用いることが好ましい。多官能重合性プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル-ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱重合性化合物は、分子内に熱重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。熱重合性官能基としては、例えば、エポキシ基やオキセタニル基等の環状エーテル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
熱重合性化合物としては、エポキシ化合物やオキセタン化合物等の分子内に1個以上の環状エーテル基を有する環状エーテル化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。カチオン重合性化合物としては、トンネリングの発生をより抑制する観点から、環状エーテル化合物が好ましく、環状エーテル化合物の中でもエポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物は、分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、ノボラックフェノール型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、これらの変性物等の芳香族系、あるいは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル又は1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、及びアルキレンオキサイド等の脂肪族系が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等の脂肪族系エポキシ化合物、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等の分子内に1個以上のエポキシ基と1個以上のエステル基を含有する脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。これらの中では、接着強度および硬化性の点で、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等の脂環式エポキシ化合物が好ましい。
(量子ドット)
量子ドット17は、量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)を有するナノサイズの半導体粒子である。量子ドット17の粒子径および平均粒子径は、例えば、1nm以上20nm以下となっている。量子ドット17は、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに該当するエネルギーを放出する。よって、量子ドット17の粒子径又は物質の組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができ、様々なレベルの波長帯のエネルギーを得ることができる。とりわけ、量子ドット17は、狭い波長帯で強い蛍光を発生することができる。
具体的には、量子ドット17は粒子径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドット17の発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドット17の粒子径を変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。例えば、量子ドット17が後述するCdSe/ZnSから構成されている場合には、量子ドット17の粒子径が2.0nm以上4.0nm以下の場合は青色光を発し、量子ドット17の粒子径が3.0nm以上6.0nm以下の場合は緑色光を発し、量子ドット17の粒子径が4.5nm以上10.0nm以下の場合は赤色光を発する。なお、上記においては、青色光を発する量子ドットの粒子径と緑色光を発する量子ドットの粒子径の範囲は一部において重複しており、また緑色光を発する量子ドットの粒子径と赤色光を発する量子ドットの粒子径の範囲は一部において重複しているが、同じ粒子径を有する量子ドットであっても、量子ドットのコアの大きさによっても発光色が異なる場合があるので、何ら矛盾するものではない。
量子ドット17としては、1種類の量子ドットを用いてもよいが、粒子径または材料等が異なることにより、それぞれ単独の波長域の発光帯を有する2種類以上の量子ドットを用いることも可能である。具体的には、光波長変換組層11は、第1の量子ドット17Aと、第1の量子ドット17Aとは異なる波長域の発光帯を有する第2の量子ドット17Bとを含んでいてもよい。
量子ドット17は、所望の狭い波長域で強い蛍光を発生することができる。このため、光波長変換シートを用いたバックライト装置は、色純度の優れた三原色の光で、表示パネルを照明することができる。この場合、表示パネルは、優れた色再現性を有することになる。
量子ドット17は、例えば、第1の半導体化合物からなるコアと、およびこのコアを覆い、かつ第1の半導体化合物と異なる第2の半導体化合物からなるシェルと、シェルの表面に結合したリガンドとから構成されている。
コアを構成する第1の半導体化合物としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII-VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII-V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶が挙げられる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。これらの中でも、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒子径の制御性等の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
シェルを構成する第2の半導体化合物としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを構成する第1の半導体化合物よりもバンドギャップの高い半導体化合物を用いることが好ましい。これにより、量子ドットの発光効率を高めることができる。シェルを構成する第2の半導体化合物としては、例えば、ZnS、ZnSe、CdS、GaN、CdSSe、ZnSeTe、AlP、ZnSTe、ZnSSe等が挙げられる。
コアとシェルからなるコアシェル構造(コア/シェル)の具体的な組み合わせとしては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InP/ZnSSe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
リガンドは、不安定な量子ドットを安定化させるためのものである。リガンドとしては、チオール等の硫黄系化合物、ホスフィン系化合物またはホスフィン酸化物等のリン系化合物、アミン等の窒素系化合物、カルボン酸等が挙げられる。
量子ドット17の形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。半導体ナノ粒子の粒子径は、半導体ナノ粒子の形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドット17の粒子径、平均粒子径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡により得ることができる。量子ドットの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡または走査透過型電子顕微鏡による観察により測定された20個の量子ドットの直径の平均値として求めることができる。また、量子ドット17は粒子径によって発光色が変化するので、量子ドット17の発光色の確認から量子ドットの粒子径を求めることも可能である。また、量子ドット17の結晶構造、結晶子サイズについては、X線結晶回折(XRD)により知ることができる。さらには、紫外-可視(UV-Vis)吸収スペクトルによって、量子ドットの粒子径等に関する情報を得ることもできる。
光波長変換層11中の量子ドット17の含有量は、0.01質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。光波長変換粒子の含有量が0.01質量%未満であると、充分な発光強度が得られないおそれがあり、また、光波長変換粒子の含有量が2質量%を超えると、充分な励起光の透過光強度が得られないおそれがある。なお、硬化物である光波長変換層中の量子ドットの質量%や後述する光散乱性粒子の質量%は、以下の方法によって概略算出することができる。まず、光波長変換シートから光波長変換層の少なくとも一部をサンプリングし、その質量を測定する。次いでサンプリングした部分に含まれるホストマトリクスを溶剤に溶解または燃焼により灰化させて、ホストマトリクスの成分を除去する。ホストマトリクスの成分の除去の際、量子ドットおよび光散乱性粒子は除去されず、また量子ドットと光散乱性粒子の成分は粒子径が大きく異なるので、粒子径の相違から量子ドットの成分と光散乱性粒子の成分を分離する。次いで、分離した量子ドットの成分の質量および光散乱性粒子の成分をそれぞれ測定する。そして、サンプリングした光波長変換層の少なくとも一部の質量と量子ドットの質量に基づいてサンプリングした光波長変換層の少なくとも一部に含まれる量子ドットの質量の割合を算出する。また、サンプリングした光波長変換層の少なくとも一部の質量と光散乱性粒子の質量に基づいてサンプリングした光波長変換層の少なくとも一部に含まれる光散乱性粒子の質量の割合を算出する。
(光散乱性粒子)
光散乱性粒子18は、光波長変換層11に進入した光を散乱させることによって光の進行方向を変化させる作用を有する粒子である。
光散乱性粒子18の平均粒子径は、量子ドット17の平均粒子径の20倍以上2000倍以下であることが好ましく、50倍以上1000倍以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の20倍未満であると、光波長変換層において充分な光散乱性能が得られないことがあり、光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の2000倍を超えると、添加量が同じであっても光散乱性粒子の数が少なくなるため、散乱点の数が減り充分な光散乱効果が得られないおそれがある。なお、光散乱性粒子18の平均粒子径は、上述した量子ドット17の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
また、光散乱性粒子18の平均粒子径は、後述する光波長変換層11の平均膜厚の1/300以上1/20以下であることが好ましく、1/200以上1/30以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の平均膜厚の1/300未満であると、光波長変換層において充分な光散乱性能が得られないことがあり、光散乱性粒子の平均粒子径が光波長変換層の平均膜厚の1/20を超えると、添加量が同じであっても光波長変換層に対する光散乱性粒子の割合が低下するため、散乱点の数が減り充分な光散乱効果が得られない。
具体的には、光散乱性粒子18の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.3μm以上5μm以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、光波長変換シートの光波長変換効率が不充分となることがあり、充分な光散乱性を出すためには光散乱性粒子の添加量を多くする必要がある。一方、光散乱性粒子の平均粒子径が10μmを超えると、添加量(質量%)が同じであっても光散乱粒子の数が少なくなるため、散乱点の数が減り充分な光散乱効果が得られない。
光散乱性粒子18の形状は特に限定されず、例えば、球状(真球状、略真球状、楕円球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状等が挙げられる。なお、光散乱性粒子の粒子径は、光散乱性粒子の形状が球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
光散乱性粒子18は、光散乱性粒子18をホストマトリクス16中に強固に固定する観点から、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。シランカップリング剤で表面処理されることによって、ホストマトリクス16と化学結合させることができる。
光散乱性粒子18は、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、およびウレタン樹脂粒子等の有機粒子であってもよいが、耐湿熱性試験等の前後における輝度変化率を小さくことができ、また光波長変換シートへの入射光を好適に散乱させることが可能となり、この入射光に対する光波長変換効率の向上を好適に図ることできることから、無機粒子が好ましい。
無機粒子は、Al等のアルミニウム含有化合物、ZrO等のジルコニウム含有化合物、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)や酸化インジウムスズ(ITO)等のスズ含有化合物、MgOやMgF等のマグネシウム含有化合物、TiOやBaTiO等のチタン含有化合物、Sb等のアンチモン含有化合物、SiO等のケイ素含有化合物、およびZnO等の亜鉛含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、バインダ樹脂との屈折率差を大きくすることができるので、大きなミー散乱強度を得ることができる観点からも好ましい。光波長変換シート10による入射光に対する光波長変換効率の向上をより好適に図ることができることから、光散乱性粒子18は、2種以上の材料からなるものであってもよい。
光波長変換層11中の光散乱性粒子18の含有量は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の含有量が1質量%未満であると、光散乱効果が充分に得られないおそれがあり、また、光散乱性粒子の含有量が50質量%を超えると、ミー散乱が起こり難くなるので、光散乱効果を充分に得られないおそれがあり、さらに光散乱性粒子が多すぎるために加工性が低下するおそれがある。
光散乱性粒子18とホストマトリクス16との屈折率差の絶対値は、充分な光散乱を得る観点から、0.05以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましい。なお、光散乱性粒子18の屈折率とホストマトリクス16の屈折率とは、いずれの方が大きくてもよい。ここで、光波長変換層に含有させる前の光散乱性粒子の屈折率の測定方法としては、例えば、ベッケ法、最小偏角法、偏角解析、モード・ライン法、エリプソメトリ法等によって測定することができる。また、光波長変換層11中のホストマトリクス16の屈折率は、例えば、光波長変換層11中からホストマトリクス16の欠片を切り出し等により10個取り出し、取り出した10個の欠片において、ベッケ法によりホストマトリクス16の屈折率をそれぞれ測定し、測定したホストマトリクス16の屈折率の10個の平均値として求めることができる。また、光散乱性粒子18の屈折率は、例えば、ホストマトリクス16から光散乱性粒子18の表面の一部が露出した欠片を光波長変換層11中から切り出し等により取り出し、取り出した欠片において、ベッケ法により表面が露出した10個の光散乱性粒子18の屈折率をそれぞれ測定し、測定した光散乱性粒子18の屈折率の10個の平均値として求めることができる。ベッケ法とは、屈折率が既知の屈折率標準液を用い、上記欠片をスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に屈折率標準液を滴下し、屈折率標準液で欠片を浸漬し、その様子を顕微鏡観察によって観察し、バインダ樹脂や光散乱性粒子の表面と屈折率標準液の屈折率が異なることによってバインダ樹脂や光散乱性粒子の表面に生じる輝線(ベッケ線)が目視で観察できなくなる屈折率標準液の屈折率を、ホストマトリクスや光散乱性粒子の屈折率とする方法である。なお、取り出した欠片において、光散乱性粒子の表面が露出していない場合には、光散乱性粒子の表面はホストマトリクスによって覆われているので、光散乱性粒子の周囲に存在するホストマトリクスと屈折率差が生じない。このため、光散乱性粒子の周囲に存在するホストマトリクスとの屈折率差をベッケ法等で測定することによって、光散乱性粒子の表面の一部が露出しているか否か判断することができる。このほか、位相シフトレーザー干渉顕微鏡(エフケー光学研究所製の位相シフトレーザー干渉顕微鏡や溝尻光学工業所製の二光束干渉顕微鏡等)を用いてバインダ樹脂と光散乱性粒子との屈折率差を測定することができる。
(添加剤)
添加剤としては、特に限定されないが、量子ドットの酸化や劣化を抑制する化合物が好ましい。量子ドットの酸化や劣化を抑制する化合物としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物、リン系化合物、ヒドラジン系化合物、アミド系化合物、およびヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。添加剤は、ホストマトリクスと結合していてもよい。
<バリアフィルム>
バリアフィルム12、13は、水分や酸素の透過を抑制して、量子ドット17を水分や酸素から保護するためのフィルムである。ここで、本明細書における「バリアフィルム」とは、部材単体で、40℃、相対湿度90%での水蒸気透過率が0.1g/(m・24h)未満となり、かつ23℃、相対湿度90%での酸素透過率が0.1cm/(m・24h・atm)未満となるフィルムを意味するものとする。バリアフィルムには、単層構造のフィルムのみならず、多層構造のフィルムも含まれる。光波長変換層11を挟持する状態でバリアフィルム12、13を設置することで、より量子ドット17の耐久性を向上させることができる。図3に示されるバリアフィルム12、13は、光透過性基材19、20と、光透過性基材19、20における光波長変換層11側に設けられ、かつ水分や酸素の透過を抑制する機能を有するバリア層21、22とを備えている。
バリアフィルム12、13の水蒸気透過率(WVTR:Water Vapor Transmission Rate)は、40℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10-2g/(m・24h)以下であることが更に好ましい。なお、上記水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(製品名「PERMATRAN-W3/31」、MOCON社製)を用いて測定することができる。水蒸気透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。
バリアフィルム12、13の酸素透過率(OTR: Oxygen Transmission Rate)は、23℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10-2cm/(m・24h・atm)以下であることが更に好ましい。なお、上記酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(製品名「OX-TRAN 2/21」、MOCON社製)を用いて測定することができる。酸素透過率は、3回測定して得られた値の平均値とする。
(光透過性基材)
光透過性基材19、20の厚みは、特に限定されないが、10μm以上300μm以下であることが好ましい。光透過性基材19、20の厚みが、10μm未満であると、光波長変換シートのアッセンブリ、取扱い時における皺や折れが発生するおそれがあり、また300μmを超えると、ディスプレイの軽量化および薄膜化に適さないおそれがある。光透過性基材19、20の厚みのより好ましい下限は50μm以上、より好ましい上限は200μm以下である。
光透過性基材19、20の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、光透過性基材19、20の断面を撮影し、その断面の画像において光透過性基材19、20の厚みを20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。
光透過性基材19、20の構成原料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。光透過性基材12、13の構成材料としては、好ましくは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が挙げられる。
光透過性基材19、20は、単一の基材から構成されていてもよいが、複数の基材から構成される積層基材であってもよい。このような積層基材は、用途に応じて、同種の構成原料の層からなる複数の層から構成されていてもよく、異なる種類の構成原料の層からなる複数の層から構成されていてもよい。
(バリア層)
バリア層21、22は、水分や酸素の透過を抑制する機能を有する蒸着層から構成されている。蒸着層は、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長(PVD)法や化学気相成長(CVD)法等の蒸着法で形成された層である。蒸着層は、バリア性を高めることができるという利点を有する。
蒸着層の形成材料としては、蒸着法によって蒸着でき、かつバリア性が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機酸化物や金属等が挙げられる。
蒸着層の膜厚は、特に限定されないが、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。蒸着層の膜厚が0.01μm未満であると、蒸着層のバリア性能が不充分となることがあり、また1μmを超えると、蒸着層のクラック等によりバリア性能の劣化が起こりやすくなることがある。蒸着層の厚みのより好ましい下限は0.03μm以上であり、より好ましい上限は0.5μm以下である。
蒸着層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、光波長変換シート60の断面を撮影し、その断面の画像において蒸着膜の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の平均値とする。また、蒸着層は、単一の層であってもよく、複数の層が積層されたものであってもよい。蒸着層が複数層積層されたものである場合、蒸着層を構成する各層は、直接積層形成されていてもよく、貼り合わされていてもよい。
<光拡散層>
光拡散層14、15は、表面に凹凸形状を有しており、この凹凸形状によって光波長変換シート10に入射する光および出射する光を拡散させることができる。光拡散層14、15を設けることにより、光波長変換シート10における光波長変換効率をより高めることができる。光拡散層14、15は、光散乱性粒子とバインダ樹脂とを含んでいる。
(光散乱性粒子)
光拡散層14、15中の光散乱性粒子は、主に、光拡散層14、15の表面に凹凸形状を形成するとともに光散乱性機能を発揮するためのものである。
光拡散層14、15中の光散乱性粒子の平均粒子径は、上述した量子ドット17の平均粒子径の10倍以上2万倍以下であることが好ましく、10~5000倍であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の10倍未満であると、光拡散層に充分な光拡散性が得られないことがあり、また光散乱性粒子の平均粒子径が量子ドットの平均粒子径の2万倍を超えると、光拡散層の光拡散性能は優れたものとなるが、光拡散層の光の透過率が大幅にダウンしやすくなる。なお、光散乱性粒子の平均粒子径は、上述した量子ドット17の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
具体的には、光拡散層14、15中の光散乱性粒子の平均粒子径は、例えば、1μm以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましい。光散乱性粒子の平均粒子径が1μm未満であると、光波長変換シートの光波長変換効率が不充分となることがあり、充分な光拡散性を出すためには光散乱性粒子の添加量を多くする必要がある。一方、光散乱性粒子の平均粒子径が30μmを超えると、光拡散性能は優れたものとなるが、光拡散層の光の透過率が大幅にダウンしやすくなる。
光拡散層14、15中の光散乱性粒子とバインダ樹脂との屈折率差の絶対値は、0.02以上0.15以下であることが好ましい。0.02未満であると、光学的に光散乱性粒子の持つ屈折率による光拡散性が得られず、光波長変換シートの光波長変換効率の向上が不充分となることがあり、0.15を超えると、光拡散層の透過率が低下してしまうことがある。光散乱性粒子とバインダ樹脂との屈折率差のより好ましい下限は0.03以上、より好ましい上限は0.12以下である。なお、光散乱性粒子の屈折率とバインダ樹脂の屈折率とは、いずれの方が大きくてもよい。光散乱性粒子およびバインダ樹脂の屈折率は、光散乱性粒子18およびバインダ樹脂の屈折率と同様の手法によって測定することができる。
光拡散層14、15中の光散乱性粒子の形状は光波長変換層11中の光散乱性粒子18の形状と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。光拡散層14、15中の光散乱性粒子は、光散乱性粒子をバインダ樹脂中に強固に固定する観点から、バインダ樹脂と化学結合していることが好ましい。この化学結合は、シランカップリング剤で表面修飾された光散乱性粒子を用いることによって実現できる。
光散乱性粒子は、有機材料からなる粒子または無機材料からなる粒子であってもよい。光散乱性粒子を構成する有機材料としては特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、メラミン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリル-スチレン共重合体樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。なかでも、架橋アクリル樹脂が好適に用いられる。また、上記光拡散粒子を構成する無機材料としては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛微粒子等の無機酸化物等が挙げられる。なかでも、シリカ及び/又はアルミナが好適に用いられる。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、重合性化合物の重合体を用いることができる。重合性化合物としては、光波長変換層の欄で説明した重合性化合物と同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
劣化評価装置1および光波長変換シート10を用意した後、バックライト装置2の発光面2A(光拡散板6の出光面3B)上に光波長変換シート10を載せる。次いで、バックライト装置2の光源5から光波長変換シート10の表面10Aに量子ドット17によって波長変換可能な光を照射する。そして、この状態で、光波長変換シート10の表面10Bの少なくとも一部の輝度分布を輝度計3によって測定する。輝度計3として面輝度計を用いた場合には、光波長変換シート10の表面10B全体の輝度が測定される。
輝度計3によって測定された輝度分布は、データとして処理装置4に取り込まれる。処理装置4においては、データとして取り込んだ輝度分布に基づいて輝度変化量分布を求める。具体的には、例えば、輝度分布において、最大輝度が100%となるように輝度分布を規格化して、単位を%に変換した上で、輝度分布から輝度変化量分布を得る。輝度変化量は、輝度を測定する際の測定間隔毎の輝度の差である。測定間隔は0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましい。輝度計3として面輝度計を用いた場合には、光波長変換シート10の大きさが、発光面2Aの大きさよりも小さい場合には、光波長変換シート10の表面10B全体の輝度のみならず、光波長変換シート10よりも外側の発光面2Aの輝度も測定できるので、処理装置4において、図2に示されるように光波長変換シート10よりも外側の発光面2Aにある任意の点Aから光波長変換シート10の一辺に沿って光波長変換シート10を横切り、光波長変換シート10よりも外側の発光面2Aにある別の任意の点Bまでの直線部分を指定すれば、この指定した部分における輝度分布が抽出され、指定した部分の輝度変化量分布が得られる。このように、光波長変換シート10よりも外側の発光面2Aにある任意の点Aから光波長変換シート10の一辺に沿って光波長変換シート10を横切り、光波長変換シート10よりも外側の発光面2Aにある別の任意の点Bまでの輝度変化量分布を得ることにより、光波長変換シート10の端部10C、10Dも正確に評価できるので、光波長変換シート10の端部10C、10Dよりも内側の部分の劣化のみならず、光波長変換シート10の端部10C、10Dの劣化を評価できる。
そして、得られた輝度変化量分布から極大値と、極大値に隣接した極小値とを検出する。本明細書における「極大値」とは、輝度変化量が増加から減少に転じる点であって、かつ輝度変化量が1.5%以上となる点を意味する。また、本明細書における「極小値」とは、輝度変化量が減少から増加に転じる点であって、かつ輝度変化量が-1.5%以下となる点を意味する。なお、極大値や極小値が検出されない場合には、この部分においては光波長変換シートの劣化はないと判断する。
極大値および極小値が検出された場合、極大値が得られる位置から極小値が得られる位置までの幅(以下、この幅を「劣化幅」と称する。)を求めて、この劣化幅に基づいて光波長変換シートの劣化を評価する。具体的には、例えば、この劣化幅が所定の範囲内か否かで、光波長変換シートの劣化を評価することができる。例えば、この劣化幅が5mm以下の場合には、光波長変換シートの色味変化を目視で評価しても、色味変化に気付かないので、光波長変換シートをこの劣化幅が5mm以下である場合には、光波長変換シートの劣化を評価した部分においては劣化していないと判断できる。このため、この劣化幅が5mm以下であるか否かによって、光波長変換シートの劣化を評価することができる。
上記劣化幅は、量子ドットの劣化がどの程度広がっているかを表しており、この劣化幅が大きいほど、量子ドットが劣化している領域が広い。ここで、人間の目は、局所的に輝度変化が大きい場合には光波長変換シートの劣化を検知しやすい一方で、光波長変換シートの劣化している領域が狭い場合には検知できない傾向がある。このため、人間の目では、局所的に輝度変化が大きく、かつ光波長変換シートの劣化している領域が広い場合には、光波長変換シートの劣化を検知できるが、局所的に輝度変化が大きくても、光波長変換シートの劣化している領域が狭い場合には、光波長変換シートの劣化を検知できない。これに対し、本実施形態においては、上記劣化幅によって光波長変換シートの劣化を評価しているので、目視評価と相関が高い定量的な劣化の評価を行うことができる。
本実施形態の劣化評価方法は、光波長変換シート10のような光波長変換層の両面にバリアフィルムを備えている光波長変換シートにおいて特に有効である。すなわち、光波長変換層の両面にバリアフィルムを備えている場合には、光波長変換層の両面はバリアフィルムで覆われているが、光波長変換層の端縁(エッジ)は露出しているので、光波長変換層の端部(端縁を含む部分)が劣化しやすい。ここで、光波長変換シートにおいて、光波長変換シートの端部が劣化している場合、バックライト装置の光源からの光(例えば、青色光)を吸収し損失するので、光波長変換シートの端部においては急激に輝度が低下する。このため、光波長変換シートの大きさがバックライト装置の発光面よりも小さい場合において、光波長変換シートよりも外側のバックライト装置の発光面にある任意の点から光波長変換シートの一辺に沿って光波長変換シートを横切り、光波長変換シートよりも外側の発光面にある別の任意の点までの輝度変化量分布を測定した場合には、上記任意の点から光波長変換シートのこの点側の光波長変換シートの端縁まではバックライト装置の光源からの光を吸収しない光拡散板が存在するので、輝度変化量がほぼ一定であるが、光波長変換シートの端部に入ると輝度が急激に低下するので、輝度変化量分布において極小値が現れる。そして、劣化している端部を通り過ぎると、光波長変換シートの劣化していない部分に入るので、輝度が急激に高くなり、輝度変化量分布において極大値が現れる。さらに、光波長変換シートの劣化していない部分においては、輝度変化量がほぼ一定となるが、劣化している逆側の端部に入ると、輝度が急激に低下するので、輝度変化量分布において再度極小値が現れる。そして、光波長変換シートの前記端縁とは反対側の端縁を通り過ぎると、光拡散板に入るので、輝度変化量分布において再度極大値が現れる。したがって、光波長変換シートの端部においては、上記劣化幅を測定することによって、光波長変換シートの端縁から中央部に向けてどの程度劣化しているか容易に把握することができる。
上記においては、バックライト装置の発光面よりも小さい光波長変換シートを用いているが、例えば、光波長変換シートの端部以外の部分において量子ドットがスポット状に劣化することもあり、量子ドットが劣化しているスポットがどの程度の大きさか等を把握する場合には、必ずしも、光波長変換シートの大きさは、バックライト装置の発光面よりも小さくなくともよい。
本実施形態の劣化評価方法によって光波長変換シート10の劣化を評価したとき、光波長変換シート10の劣化幅が5mm以下となっている場合には、上記した理由から、発光時における目視評価で量子ドット17の劣化による色味変化が確認されにくい。特に、光波長変換シート10に対し60℃、相対湿度90%環境下に500時間放置する耐久性試験を行い、耐久性試験後の光波長変換シート10の劣化幅が5mm以下となっていることにより、耐久性試験後においても、発光時における目視評価で量子ドット17の劣化による色味変化が確認されにくい。これにより、発光時に量子ドット17の劣化による色味変化が確認されにくい光波長変換シート10を提供することができる。劣化幅が5mm以下となる光波長変換シートは、例えば、光波長変換層に量子ドットの劣化を抑制するための上記添加剤等を添加することによって達成することができる。
光波長変換シート10は、バックライト装置および画像表示装置に組み込んで使用することができる。以下、光波長変換シート10をバックライト装置および画像表示装置に組み込んだ例について説明する。図5は本実施形態に係るバックライト装置を含む画像表示装置の概略構成図であり、図6は図5に示されるレンズシートの斜視図であり、図7は図6のレンズシートのI-I線に沿った断面図であり、図8は本実施形態に係る他のバックライト装置の概略構成図である。
<<<画像表示装置>>>
図4に示される画像表示装置30は、バックライト装置40と、バックライト装置40の出光側に配置された表示パネル80とを備えている。画像表示装置30は、画像を表示する表示面30Aを有している。図5に示される画像表示装置30においては、表示パネル80の表面が表示面30Aとなっている。
バックライト装置40は、表示パネル80を背面側から面状に照らすものである。表示パネル80は、バックライト装置40からの光の透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、表示面70Aに像を表示するように構成されている。
<<表示パネル>>
図5に示される表示パネル80は、液晶表示パネルであり、入光側に配置された偏光板81と、出光側に配置された偏光板82と、偏光板81と偏光板82との間に配置された液晶セル83とを備えている。偏光板81、82は、入射した光を直交する二つの直線偏光成分(S偏光およびP偏光)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、P偏光)を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収する機能を有している。
液晶セル83には、一つの画素を形成する領域毎に、電圧の印加がなされ得るように構成されている。そして、電圧印加の有無によって液晶セル83中の液晶分子の配向方向が変化するようになる。一例として、入光側に配置された偏光板81を透過した特定方向の直線偏光成分は、電圧印加がなされた液晶セル83を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、その一方で、電圧印加がなされていない液晶セル83を通過する際にその偏光方向を維持する。この場合、液晶セル83への電圧印加の有無によって、偏光板81を透過した特定方向に振動する直線偏光成分を偏光板82に対して透過させ、または偏光板82で吸収して遮断することができる。このようにして、表示パネル80では、バックライト装置40からの光の透過または遮断を画素毎に制御し得るように構成されている。なお、液晶表示パネルの詳細については、種々の公知文献(例えば、「フラットパネルディスプレイ大辞典(内田龍男、内池平樹監修)」2001年工業調査会発行)に記載されており、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
<<バックライト装置>>
図5に示されるバックライト装置40は、エッジライト型のバックライト装置として構成され、光源50と、光源50の側方に配置された導光板としての光学板55と、光学板55の出光側に配置された光波長変換シート10と、光波長変換シート10の出光側に配置されたレンズシート60と、レンズシート60の出光側に配置されたレンズシート65と、レンズシート65の出光側に配置された反射型偏光分離シート70と、光学板55の出光側とは反対側に配置された反射シート75とを備えている。バックライト装置40は、光学板55、レンズシート60、65、反射型偏光分離シート70、反射シート75を備えているが、これらのシート等は備えられていなくともよい。本明細書において、「出光側」とは、各部材においてバックライト装置から出射する方向に向かう光が出射される側を意味する。
バックライト置40は、面状に光を発光する発光面40Aを有している。図5に示されるバックライト装置40においては、反射型偏光分離シート70の出光面がバックライト装置40の発光面40Aとなっている。
光波長変換シート10における光学板95側の面が表面10A(入光面)となっており、光波長変換シート10におけるレンズシート60側の面が表面10B(出光面)となっている。
<光源>
光源50は、上記光源と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
<光学板>
導光板としての光学板65は、平面視形状が四角形形状に形成されている。光学板65は、表示パネル80側の一方の主面によって構成された出光面65Aと、出光面65Aに対向するもう一方の主面からなる裏面65Bと、出光面65Aおよび裏面65Bの間を延びる側面とを有している。側面のうちの光源50側の側面が、光源50からの光を受ける入光面55Cとなっている。入光面55Cから光学板55内に入射した光は、入光面55Cと、入光面55Cと対向する反対面とを結ぶ方向(導光方向)に光学板内を導光され、出光面55Aから出射される。
光学板55を構成する材料としては、画像表示装置に組み込まれる光学シート用の材料として広く使用され、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有するとともに安価に入手可能な材料、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)が好適に使用され得る。なお、必要に応じて、光学板55中に光を拡散させる機能を有する光拡散材を添加することもできる。光拡散材としては、例えば、平均粒子径が0.5μm以上100μm以下のシリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等の透明物質からなる粒子を用いることができる。
<<レンズシート>>
レンズシート60、65は、入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させる機能を有する。本実施形態においては、図7に示されるように、入射角度が大きい光L3の進行方向を変化させて出光側から出射させて、正面方向の輝度を集中的に向上させる機能(集光機能)とともに、入射角度が小さい光L4を反射させて、光波長変換シート10側に戻す機能(再帰反射機能)を有している。レンズシート60、65は、光透過性基材61と、光透過性基材61の一方の面に設けられたレンズ層62とを備えている。
<光透過性基材>
光透過性基材61は、光透過性基材12、13と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
<レンズ層>
レンズ層62は、図6および図7に示されるように、シート状の本体部63、および本体部63の出光側に並べて配置された複数の単位レンズ64を備えている。
本体部63は、単位レンズ64を支持するシート状部材として機能する。図6および図7に示されるように、本体部63の出光側面63A上には、単位レンズ64が隙間をあけることなく並べられている。したがって、レンズシート60、65の出光面60B、65Bは、レンズ面によって形成されている。その一方で、図7に示すように、本体部63は、出光側面63Aに対向する入光側面63Bとして、レンズ層62の入光側面をなす平滑な面を有している。
単位レンズ64は、本体部63の出光側面63A上に並べて配列されている。図6に示されるように単位レンズ64は、単位レンズ64の配列方向ADと交差する方向に線状、とりわけ本実施の形態においては直線状に、延びている。また本実施の形態において、一つのレンズシート60、65に含まれる多数の単位レンズ64は、互いに平行に延びている。また、レンズシート60、65の単位レンズ64の長手方向LDは、レンズシート60、65における単位レンズ64の配列方向ADと直交している。
単位レンズ64は、三角柱状であってもよいし、波状や例えば半球状のような椀状であってもよい。具体的には、単位レンズとしては、単位プリズム、単位シリンドリカルレンズ、単位マイクロレンズ等が挙げられる。なお、そのような単位レンズ形状を有するレンズシートとしては、プリズムシート、レンチキュラーレンズシート、マイクロレンズシート等が挙げられる。本実施形態では、単位レンズとして、出光側に向けて幅が狭くなる三角柱状の単位プリズムについて説明する。レンズシート60、65のシート面の法線方向NDおよび単位レンズ64の配列方向ADの両方に平行な断面(レンズシートの主切断面とも呼ぶ)の形状は、出光側に突出する三角形形状となっている。とりわけ、正面方向輝度を集中的に向上させるという観点から、主切断面における単位レンズ64の断面形状は二等辺三角形形状であるとともに、等辺の間に位置する頂角が本体部63の出光側面63Aから出光側に突出するように、各単位レンズ64が構成されている。
単位レンズ64は、光の利用効率を向上させる観点から、80°以上100°以下の頂角を有することが好ましく、約90°の頂角を有することがより好ましい。ただし、光波長変換シートの巻き取りの際における単位レンズの先端の破損を考慮すると、単位レンズ64の先端は曲面であってもよい。
レンズシート60、65の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、単位レンズ64の具体例として、単位レンズ64の配列ピッチ(図示された例では、単位レンズ64の幅に相当)を10μm以上200μm以下とすることができる。ただし、昨今においては、単位レンズ64の配列の高精細化が急速に進んでおり、単位レンズ64の配列ピッチを10μm以上50μm以下とすることが好ましい。また、レンズシート60、65のシート面への法線方向NDに沿った本体部63からの単位レンズ64の突出高さを5μm以上100μm以下とすることができる。さらに、単位レンズ64の頂角θを60°以上120°以下とすることができる。
図5から理解され得るように、レンズシート60の単位レンズ64の配列方向とレンズシート65の単位レンズ64の配列方向とは交差、さらに限定的には直交している。
<反射型偏光分離シート>
反射型偏光分離シート70は、レンズシート65から出射される光のうち、第1の直線偏光成分(例えば、P偏光)のみを透過し、かつ第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収せずに反射する機能を有する。反射型偏光分離シート70で反射された第2の直線偏光成分は再度反射され、偏光が解消された状態(第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とを両方含んだ状態)で、再度、反射型偏光分離シート70に入射する。よって、反射型偏光分離シート70は再度入射する光のうち第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分は再度反射される。以下、同上の過程を繰り返す事により、レンズシート65から出光した光の70~80%程度が第1の直線偏光成分となった光源光として出光される。したがって、反射型偏光分離シート70の第1の直線偏光成分(透過軸成分)の偏光方向と表示パネル80の偏光板121の透過軸方向とを一致させることにより、バックライト装置40からの出射光は全て表示パネル80で画像形成に利用可能となる。したがって、光源50から投入される光エネルギーが同じであっても、反射型偏光分離シート70を未配置の場合に比べて、より高輝度の画像形成が可能となり、又光源50のエネルギー利用効率も向上する。とりわけ、反射型偏光分離シート70で反射された光は、光波長変換シート10で波長変換が行われ得る。したがって、反射型偏光分離シート70を配置することによって、光波長変換シート10の波長変換効率がさらに上昇させることができる。したがって、更なる光の利用効率の改善を期待することができる。
反射型偏光分離シート70としては、3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」やワイヤーグリッド偏光子等を、反射型偏光分離シート90として用いることができる。
<反射シート>
反射シート75は、光学板55の裏面55Bから漏れ出した光を反射して、再び光学板90内に入射させる機能を有する。反射シート75は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等から、構成され得る。反射シート75での反射は、正反射(鏡面反射)でもよく、拡散反射でもよい。反射シート75での反射が拡散反射の場合には、当該拡散反射は、等方性拡散反射であってもよいし、異方性拡散反射であってもよい。
<<他のバックライト装置>>
光波長変換シート10を組み込むバックライト装置は、図8に示されるような直下型のバックライト装置であってもよい。図8に示されるバックライト装置90は、光源50と、光源50の光を受け、かつ光拡散板として機能する光学板100と、光学板100の出光側に配置された光波長変換シート10、光波長変換シート10の出光側に配置されたレンズシート60と、レンズシート60の出光側に配置されたレンズシート65と、レンズシート65の出光側に配置された反射型偏光分離シート70とを備えている。本実施形態においては、光源50は、光学板100の側方ではなく、光学板100の直下に配置されている。図8において、図5と同じ符号が付されている部材は、図5で示した部材と同じものであるので、説明を省略するものとする。なお、バックライト装置90においては、反射シート75は備えられていない。
<光学板>
光拡散板としての光学板100は、光拡散板3と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<光波長変換層用組成物の調製>
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、光波長変換層用組成物を得た。
(光波長変換層用組成物1)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV-5500」、DIC社製):92.5質量部
・トリフェニルホスフィン(ホスフィン系化合物、製品名「JC-263」、城北化学工業社製):7.5質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):0.2質量部
(光波長変換層用組成物2)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV-5500」、DIC社製):95質量部
・トリフェニルホスフィン(ホスフィン系化合物、製品名「JC-263」、城北化学工業社製):5.0質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):0.2質量部
(光波長変換層用組成物3)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV-5500」、DIC社製):50質量部
・トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)(製品名「TPMB」、昭和電工社製):50質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):0.2質量部
(光波長変換層用組成物4)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV-5500」、DIC社製):70質量部
・トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)(製品名「TPMB」、昭和電工社製):30質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):0.2質量部
(光波長変換層用組成物5)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV-5500」、DIC社製):100質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):0.2質量部
(光波長変換層用組成物6)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV-5500」、DIC社製):99.8質量部
・トリフェニルホスフィン(ホスフィン系化合物、製品名「JC-263」、城北化学工業社製):0.2質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):0.2質量部
(光波長変換層用組成物7)
・エポキシアクリレート(製品名「ユニディックV-5500」、DIC社製):97質量部
・トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)(製品名「TPMB」、昭和電工社製):3質量部
・緑色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 530」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径3.3nm):0.2質量部
・赤色発光量子ドット(製品名「CdSe/ZnS 610」、SIGMA-ALDRICH社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、平均粒径5.2nm):0.2質量部
・ラジカル重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184」、BASFジャパン社製):0.2質量部
<光拡散層用組成物の調製>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光拡散層用組成物1を得た。
(光拡散層用組成物1)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート:99質量部
・光散乱性粒子(架橋ポリスチレン樹脂ビーズ、製品名「SBX-4」、積水化成品工業株式会社製、平均粒子径4μm):158質量部
・光重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Irgacure(登録商標)184、BASFジャパン社製):1質量部
・溶剤(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1(質量比)):170質量部
<サンプル1>
まず、2枚のバリアフィルムを次のような方法で作製した。高周波スパッタリング装置において、電極に周波数13.56MHz、電力5kWの高周波電力を印加することにより、チャンバー内で放電を生じさせて、大きさ7インチおよび厚みが50μmの光透過性基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「ルミラーT60」、東レ社製)の片面にターゲット物質(シリカ)からなる、厚みが50nmであり、かつ屈折率が1.46であるバリア層としてのシリカ蒸着層を形成し、これにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面にシリカ蒸着層が形成されたバリアフィルムを2枚形成した。
次いで、両方のバリアフィルムにおけるシリカ蒸着層側の面とは反対側の面に上記光拡散層用組成物を、塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、80℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させた。その後、紫外線を積算光量が500mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより膜厚が10μmの光拡散層を形成し、光拡散層付きバリアフィルムを形成した。
次いで、一方の光拡散層付きバリアフィルムのシリカ蒸着層側に光波長変換層用組成物1を塗布し、80℃で乾燥させて、塗膜を形成した。そして、塗膜における光拡散層付きバリアフィルムのシリカ蒸着層の面に、シリカ蒸着層が接するように他方の光拡散層付きバリアフィルムを積層した。この状態で、紫外線を積算光量が500mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、両方の光拡散層付きバリアフィルムに密着した膜厚が100μmの光波長変換層を形成した。これにより、縦10cm×横10cmのサンプル1に係る光波長変換シートを得た。
<サンプル2~7>
サンプル2~7においては、光波長変換組成物1の代わりに表1に示される各光波長変換組成物を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして、光波長変換シートを作製した。
<劣化幅による光波長変換シートの劣化評価>
上記サンプル1~7に係る光波長変換シートにおいて、光波長変換シートを60℃、相対湿度90%環境下に500時間放置する耐久性試験を行い、耐久性試験後の光波長変換シートにおいて、劣化している部分があるか否か評価した。
具体的には、まず、発光ピーク波長が450nmの21個の青色発光ダイオードと、青色発光ダイオード上に配置された光拡散板とを備えるバックライト装置を用意した。青色発光ダイオードは、平面状に等間隔に縦7×横3個配置されており、光拡散板の大きさは、縦25cm×横15cmであった。なお、バックライト装置の発光面は、光拡散板の出光面から構成されていた。
一方で、上記サンプル1~7に係る光波長変換シートにおいて、光波長変換シートを40℃、相対湿度90%環境下に300時間放置する耐久性試験を行った。そして、バックライト装置の発光面(光拡散板の出光面)上に、耐久性試験後の光波長変換シートを載せた。そして、バックライト装置の青色発光ダイオードを点灯させた状態で、光波長変換シートの上方から2D色彩輝度計(製品名「UA-200」、トプコンテクノハウス社製)を用いて、光波長変換シートにおける2D色彩輝度計側の表面全体および光波長変換シートよりも外側の発光面の輝度分布を測定した。
輝度分布を測定した後、測定された輝度分布をデータとしてパーソナルコンピュータに取り込み、パーソナルコンピュータにおいて、取り込んだ輝度分布のデータから光波長変換シートよりも外側の発光面にある任意の点から光波長変換シートの一辺に沿って光波長変換シートを横切り、光波長変換シートよりも外側の発光面にある別の任意の点まで直線部分の輝度分布を抽出した(図9参照)。次いで、この抽出した輝度分布において、最大輝度が100%となるように輝度分布を規格化して、単位を%に換算した上で、輝度分布から輝度変化量分布を求め、輝度変化量分布から極大値と、極大値に隣接した極小値とを検出した(図10および図11参照)。なお、輝度の測定間隔は、0.12mmとした。そして、検出した極大値から極小値までの幅である劣化幅を求めた。なお、光波長変換シートの2つの端部を通るので、輝度変化量分布においては、一方の端部で極大値および極小値が現れ、他方の端部で極大値および極小値が現れることもあるが、その場合にはそれぞれ劣化幅を求めて、大きい方の劣化幅を劣化幅とした。図10および図11においては、横軸がピクセル数であるので、極大値が表れるピクセルと極小値が表れるピクセルとの差の絶対値に1ピクセルの大きさである0.12mmを乗じることによって劣化幅dwを求めた。
<目視による光波長変換シートの劣化評価>
上記耐久性試験後のサンプル1~7に係る光波長変換シートにおいて、劣化している部分があるか否か目視により評価した。具体的には、発光ピーク波長が450nmの青色発光ダイオード上にある光拡散板上に、耐久性試験後の光波長変換シートを載せた。そして、青色発光ダイオードを点灯させた状態で、光波長変換シートの表面を目視により評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:端部の色味が中央部の色味と同等であったので、端部の劣化が確認されなかった。
×:端部の色味が中央部の色味と異なっていたので、端部の劣化が確認された。
以下、結果を表1に示す。
Figure 0007043727000001
以下、結果について述べる。表1に示されるように、サンプル4~7に係る光波長変換シートは、劣化幅が5mmを超えていたので、目視評価でも端部の劣化が確認された。これに対し、サンプル1~4に係る光波長変換シートにおいては、劣化幅が5mm以下であったので、目視評価でも端部の劣化が確認されなかった。
1…劣化評価装置
2…バックライト装置
2A…発光面
3…輝度計
4…処理装置
5…光源
6…光拡散板
10…光波長変換シート
11…光波長変換層
16…バインダ樹脂
17…量子ドット
30…画像表示装置
40、90…バックライト装置
80…表示パネル

Claims (5)

  1. ホストマトリクスと、前記ホストマトリクス中に分散された量子ドットとを含む光波長変換層を備える光波長変換シートの劣化評価方法であって、
    前記光波長変換シートの一方の表面に前記量子ドットによって波長変換可能な光を照射した状態で、前記光波長変換シートにおける前記一方の表面とは反対側の他方の表面の少なくとも一部の輝度分布を測定する工程と、
    測定された前記輝度分布に基づいて前記輝度分布を測定する際の測定間隔毎の輝度の差の分布である輝度変化量分布を得る工程と、
    得られた前記輝度変化量分布から極大値と、前記極大値に隣接する極小値とを検出する工程と、
    前記極大値が得られる位置から前記極小値が得られる位置までの幅を求め、前記幅が5mm以下であるか否かによって前記光波長変換シートの劣化を評価する工程と、
    を備える、光波長変換シートの劣化評価方法。
  2. 前記輝度分布を測定する工程が、少なくとも前記光波長変換シートの端部の輝度を測定する工程であり、前記輝度変化量分布を得る工程が、前記光波長変換シートの前記端部の輝度変化量を得る工程である、請求項1に記載の光波長変換シートの劣化評価方法。
  3. 前記輝度分布を測定する工程前に、直下型のバックライト装置の発光面に前記光波長変換シートを配置する工程をさらに備え、前記光波長変換シートの大きさが前記発光面の大きさよりも小さく、前記輝度分布を測定する工程において照射される前記光が前記バックライト装置から照射される光である、請求項1または2に記載の光波長変換シートの劣化評価方法。
  4. 前記光波長変換層の少なくとも片面に水分や酸素の透過を抑制するバリアフィルムをさらに備える、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の光波長変換シートの劣化評価方法。
  5. 前記量子ドットによって波長変換可能な光が青色光であり、前記量子ドットが前記青色光を緑色光に変換する第1の量子ドットと、前記青色光を赤色光に変換する第2の量子ドットとを含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の光波長変換シートの劣化評価方法。
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