以下、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101について図面を参照して説明する。図1は、レンズ駆動装置101の分解斜視図である。図2(A)は、レンズ駆動装置101の上方斜視図であり、図2(B)は、Y2側から見たレンズ駆動装置101の正面図である。図3(A)は、レンズ駆動装置101の上面図であり、図3(B)は、レンズ駆動装置101の底面図である。図4(A)は、スペーサ1及びヨーク4を省略した状態のレンズ駆動装置101の上方斜視図であり、図2(A)に対応する。図4(B)は、スペーサ1及びヨーク4を省略した状態のレンズ駆動装置101の正面図であり、図2(B)に対応する。
レンズ駆動装置101は、図1に示すように、レンズ体LSを保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2をレンズ体LSに関する光軸方向JD(Z軸方向)に沿って移動させる駆動機構MKと、レンズ保持部材2を光軸方向JDに移動可能に支持する板ばね6と、板ばね6が固定される固定側部材RGと、外部との電気的な接続をもたらす端子7とを含む。レンズ体LSは、例えば、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸線が光軸方向JDに沿うように構成されている。光軸方向JDは、レンズ体LSに関する光軸の方向、及び、光軸に平行な方向を含む。
駆動機構MKは、図1に示すように、八角環状に巻かれたコイル3と、矩形箱状の外側ケースを兼ねたヨーク4と、コイル3の四辺と対向して配置された4つの磁石5とを含む。固定側部材RGは、スペーサ1と、ヨーク4と、端子7が埋め込まれたベース部材18とを含む。板ばね6は、レンズ保持部材2とヨーク4との間に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2とベース部材18との間に配置される下側板ばね26と、を含む。下側板ばね26は、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bを含む。
レンズ駆動装置101は、略直方体形状を有し、撮像素子(図示せず。)を実装した基板(図示せず。)の上に取り付けられる。基板と、レンズ駆動装置101と、レンズ保持部材2に装着されたレンズ体LSと、レンズ体LSに対向するように基板に実装された撮像素子とはカメラモジュールを構成する。コイル3は、下側板ばね26A、26B、端子7、及び基板を介して電源に接続される。コイル3に電流が流れると、駆動機構MKは、光軸方向JDに沿った電磁力を発生させる。
レンズ駆動装置101は、この電磁力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)で、光軸方向JDに沿ってレンズ保持部材2を移動させることで自動焦点調節機能を実現する。具体的には、レンズ駆動装置101は、撮像素子から離れる方向にレンズ保持部材2を移動させてマクロ撮影を可能にし、撮像素子に近づく方向にレンズ保持部材2を移動させて無限遠撮影を可能にしている。
次に、レンズ保持部材2と駆動機構MKについて説明する。図5(A)は、レンズ保持部材2の上方斜視図であり、図5(B)は、図5(A)のレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示すレンズ保持部材2の上方斜視図である。図6(A)は、レンズ保持部材2の下方斜視図であり、図6(B)は、図6(A)のレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示すレンズ保持部材2の下方斜視図である。図7(A)は、レンズ保持部材2の上面図であり、図7(B)は、X1側から見たレンズ保持部材2の側面図である。図8(A)は、レンズ保持部材2の下方斜視図であり、図8(B)は、図8(A)に示すレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示すレンズ保持部材2の下方斜視図である。図9(A)は、図8(B)に示す部分Sの拡大図であり、図9(B)は、図6(B)に示す部分Pの拡大図である。図10(A)は、端子7及びベース部材18の図示が省略された状態のレンズ駆動装置101の底面図であり、図10(B)は、更に下側板ばね26A、下側板ばね26B、及びレンズ保持部材2の図示が省略された状態のレンズ駆動装置101の底面図である。
本実施形態では、レンズ保持部材2は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで作製されている。具体的には、レンズ保持部材2は、図5(A)に示すように、光軸方向JDに沿って貫通されるように形成された筒状部12と、光軸方向JDにおける撮像素子側(Z2側)に形成されたフランジ部(鍔状部)52とを含む。筒状部12は、光軸方向JDにおける被写体側(Z1側)においては、円筒状に形成されている。
筒状部12には、レンズ体LSが装着されるように、円筒状の内周面にねじ溝が設けられている。また、筒状部12には、被写体側の端面に2つの窪み12dhを有した台座部12dが光軸を挟んで2箇所に設けられている。台座部12dには、図4(A)に示すように、上側板ばね16の内側部分16iが載置される。
筒状部12の外周面には、図5(A)に示すように、コイル3を内側から支持する外壁部としてのコイル支持部12jが設けられている。本実施形態では、コイル支持部12jは、八角環状のコイル3を支持できるよう、上面視で八角形状の外形を有する。コイル支持部12jの被写体側には、光軸方向JDにおいてフランジ部52と対向するように径方向外側に突出した庇部12h(図7(A)及び図7(B)参照。)が4つ形成されている。そして、図5(B)に示すように、コイル3は、コイル支持部12jに支持され且つ光軸方向JDにおいて庇部12hとフランジ部52との間に挟まれるようにしてレンズ保持部材2の外周面側に八角環状に巻かれている。
フランジ部52は、筒状部12の撮像素子側(Z2側)の端部における外周面から径方向外側に突出している。フランジ部52の被写体側にはコイル3が配置されている。フランジ部52には、図6(B)に示すように、レンズ体LSの光軸を挟んで切欠部52kが2つ形成されている。そして、切欠部52kにはコイル3を構成する線材である延在部33が通されている。具体的には、切欠部52kの一方にはコイル3の巻き始め側の線材である延在部33Aが通され、切欠部52kの他方にはコイル3の巻き終わり側の線材である延在部33Bが通されている。切欠部52kを形成するフランジ部52の縁部は、湾曲するように構成されている。縁部と接するコイル3の線材が断線するのを防止し或いは抑制するためである。
フランジ部52は、図6(A)に示すように、撮像素子側(Z2側)の面から下方(Z2方向)に突出した、角形凸状の突出部としての2つの保持部72と、丸形凸状の6つの突設部2tと、を含む。
保持部72は、図6(B)に示すように、コイル3(巻回部13)の巻き始め側に対応する保持部72Aと、コイル3の巻き終わり側に対応する保持部72Bを含む。コイル3の両端は、保持部72に巻き付けられて保持されている。
突設部2tは、図6(A)及び図10(A)に示すように、下側板ばね26Aに対応する3つの突設部2tと、下側板ばね26Bに対応する3つ突設部2tとを含む。突設部2tには、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの可動側支持部としての内側部分26iが装着されて固定されている。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iの固定は、内側部分26iに形成された貫通孔に挿通された突設部2tを熱かしめすることによって実現される。図6~図10では、突設部2tは、熱かしめされた後の先端が変形した状態で図示されている。
次に、レンズ駆動装置101の駆動機構MKについて説明する。駆動機構MKは、図10(B)に示すように、コイル3と、ヨーク4と、ヨーク4の四辺のそれぞれと対向するように配置された4つの磁石5とを含む。そして、駆動機構MKは、コイル3に流れる電流と磁石5が発生する磁界とで駆動力(推力)を発生させ、レンズ保持部材2を光軸方向JDに沿って上下に移動させる。
コイル3は、図6(B)に示すように、レンズ保持部材2の外周に導電性の線材を巻回して形成されている。コイル3は、八角環状に巻かれて形成されたコイル本体部としての巻回部13と、巻回部13から延びて保持部72に巻き付けられる延在部33とを含む。図6(B)は、明瞭化のため、巻回部13に関しては、絶縁部材で表面を被覆された導電性の線材の詳細な巻回状態の図示を省略している。巻回部13を図示する他の図についても同様である。
延在部33は、コイル3の巻き始め側で巻回部13の内周側に位置する巻回部13の端部(巻き始め部分)に繋がっている延在部33Aと、コイル3の巻き終わり側で巻回部13の外周側に位置する巻回部13の端部(巻き終わり部分)に繋がっている延在部33Bとを含む。
具体的には、延在部33Aは、図9(A)に示すように、保持部72Aに巻き付けられる巻き付け部33mと、フランジ部52の底面(Z2側の面)と対向して延びる対向部33cと、切欠部52kに挿通されてフランジ部52の撮像素子側(Z2側)から被写体側(Z1側)に延びる挿通部33kとを含む。延在部33Bは、図9(B)に示すように、保持部72Bに巻き付けられる巻き付け部33mと、フランジ部52の底面(Z2側の面)と対向して延びる対向部33cと、切欠部52kに挿通されてフランジ部52の撮像素子側(Z2側)から被写体側(Z1側)に延びる挿通部33kとを含む。
本実施形態では、延在部33Aは、コイル3の線材がレンズ保持部材2の外周に巻き付けられる前に、レンズ保持部材2の保持部72Aに巻き付けられる。図9(A)に示す例では、コイル3の線材の一部が保持部72Aに3ターン巻き付けられている。これにより、巻き付け部33mが保持部72Aに形成され、延在部33Aの一部が保持部72Aに保持される。但し、延在部33Aは、コイル3の線材がレンズ保持部材2の外周に巻き付けられた後で、保持部72Aに巻き付けられてもよい。
次に、レンズ保持部材2の外周に線材が巻き付けられる。その際には、図9(A)に示すように、巻き付け部33mから延びる線材は、フランジ部52の底面と対向するように延び、且つ、フランジ部52の下側から切欠部52kを通ってフランジ部52の上側に延びる。このとき、フランジ部52の底面と対向する部分が延在部33Aの対向部33cを構成し、切欠部52kを通る部分が延在部33Aの挿通部33kを構成する。
延在部33Aの挿通部33kは、フランジ部52の下側から上側に延びる際、図9(A)に示すように、フランジ部52の縁部に接するように構成されている。そのため、落下等により強い衝撃がレンズ駆動装置101に加えられた際には、コイル3の延在部33Aはフランジ部52の縁部に押し付けられる。本実施形態では、フランジ部52の縁部は湾曲するように構成されている。そのため、延在部33Aは、フランジ部52の縁部で切断され難い。延在部33Bと接するフランジ部52の縁部も湾曲するように構成されていてもよい。
レンズ保持部材2の外周に巻回されたコイル3の巻回部13は、図5(B)に示すように、レンズ保持部材2の周囲を囲む位置に配置されている。また、巻回部13は、コイル支持部12j(図5(A)参照。)により内側から支持された状態で、庇部12hとフランジ部52に挟まれるようにして、フランジ部52の被写体側に固定されている。また、巻回部13の内周面がコイル支持部12jにより等方的にバランス良く支持されるため、巻回部13は、コイル3の中心軸とレンズ保持部材2の中心軸とが一致した状態で、レンズ保持部材2に保持される。したがって、レンズ保持部材2に保持されたレンズ体LSの光軸は、レンズ保持部材2及びコイル3のそれぞれの中心軸と容易に一致するように構成されている。
レンズ保持部材2の外周への線材の巻き付けが終了すると、巻回部13の巻き終わり側の端部に繋がる延在部33Bは、図9(B)に示すように、フランジ部52の被写体側から切欠部52kを介してフランジ部52の撮像素子側に引き出される。具体的には、挿通部33kが切欠部52kを通過し、対向部33cがフランジ部52の底面と対向して延び、巻き付け部33mがレンズ保持部材2の保持部72Bに巻き付けられる。図9(B)に示す例では、延在部33Bは、保持部72Bに3ターン巻き付けられている。
次に、駆動機構MKを構成するヨーク4について説明する。本実施形態では、ヨーク4は、鉄等の軟磁性体材料で形成された板材に抜き加工及び絞り加工を施して作製されている。具体的には、図1に示すように、収納部4sを定める箱状の外形を有する。そして、ヨーク4は、矩形筒状の外壁部4Aと、外壁部4Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた平板状且つ矩形環状の上面部4Bとを有する。このように構成されたヨーク4は、図10(B)に示すように、コイル3及び磁石5を収納部4sに収容し、且つ、図2に示すように、ベース部材18に結合されてベース部材18とともに筐体を構成する。但し、ヨーク4は、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性体で形成されたカバーで置き換えられてもよい。
次に、駆動機構MKを構成する磁石5について説明する。磁石5は、図1に示すように略直方体形状を有する。そして、4つの磁石5は、図10(B)に示すように、コイル3の外側に位置するとともに、ヨーク4を構成する矩形筒状の外壁部4Aの四辺のそれぞれに沿うように配置されている。そして、磁石5は、接着剤により、ヨーク4に固定されている。また、磁石5は、例えば、内側がN極、外側がS極となるように配置されている。
次に、板ばね6及び固定側部材RGについて説明する。図11は、板ばね6の上面図である。具体的には、図11(A)は、上側板ばね16の上面図であり、図11(B)は、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bの上面図である。図12は、下側板ばね26Aとコイル3との接続構造の一例を説明する図である。具体的には、図12(A)は、図10(A)に示す部分Tの拡大図であり、図12(B)は、図10(A)に示す部分TをX2側から見たときの下側板ばね26A、コイル3、及びレンズ保持部材2の拡大図である。なお、図12(A)及び図12(B)では、説明を分かり易くするため、半田SDがクロスハッチングで示されている。図13は、固定側部材RGとしてのベース部材18を説明する図である。具体的には、図13(A)は、ベース部材18の上方斜視図であり、図13(B)は、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bが組み付けられた状態のベース部材18の上方斜視図である。
板ばね6は、銅合金を主な材料とした金属板から作製されている。板ばね6は、図1に示すように、レンズ保持部材2とヨーク4との間に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2とベース部材18との間に配置される下側板ばね26A及び下側板ばね26Bとを含む。レンズ保持部材2と板ばね6(上側板ばね16、下側板ばね26A、及び下側板ばね26B)のそれぞれとが係合された状態で、板ばね6は、レンズ保持部材2が光軸方向JD(Z軸方向)へ移動可能となるように、レンズ保持部材2を空中で支持している。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、コイル3に電流を供給するための給電部材として機能する。そのため、下側板ばね26Aはコイル3の一端に電気的に接続され、下側板ばね26Bはコイル3の他端に電気的に接続されている。上側板ばね16とヨーク4との間にはスペーサ1が配置されている。スペーサ1は、レンズ保持部材2がZ1方向に移動したときにレンズ保持部材2とヨーク4とが衝突するのを防止できるように配置されている。但し、スペーサ1は省略されてもよい。
上側板ばね16は、図11(A)に示すように、略矩形状を有し、レンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての内側部分16iと、固定側部材RGに固定される固定側支持部としての外側部分16eと、内側部分16iと外側部分16eとの間に位置する4つの弾性腕部16gとを含む。具体的には、上側板ばね16は、2つの内側部分16iを含み、2つの内側部分16iは、中心を挟んで対向するように設けられている。外側部分16eは、4つの角部分16bと、4つの角部分16bのそれぞれを繋ぐ桟部16rとを有している。桟部16rは、スペーサ1と磁石5とで挟持されて接着剤で固定される。スペーサ1、ヨーク4、及び磁石5は、固定側部材RGとして機能する。
上側板ばね16がレンズ駆動装置101に組み込まれた際には、図4(A)に示すように、内側部分16iは、レンズ保持部材2の台座部12d(図5(A)参照。)に載置される。そして、内側部分16iと台座部12dとを接着剤AD(図4(A)参照。)で固定することにより、内側部分16iはレンズ保持部材2に固定される。外側部分16eは、図4(B)に示すように、磁石5の上面(Z1側の面)に接し、スペーサ1(図示せず。)と磁石5との間に挟持されて固定される。
上側板ばね16は、図11(A)に示すように、略左右対称に形成されている。そして、上側板ばね16は、内側部分16iでレンズ保持部材2に固定され、外側部分16eでスペーサ1を介してヨーク4に固定されている。そのため、上側板ばね16は、レンズ保持部材2をバランス良く空中で支持できる。
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、図11(B)に示すように、それぞれの内側形状が略半円形状となるように構成されている。そして、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、レンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての内側部分26iと、固定側部材RGとしてのベース部材18に固定される固定側支持部としての外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する弾性腕部26gとを含む。
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iは、図11(B)に示すように、レンズ保持部材2と係合される3つの内側接合部分26cと、3つの内側接合部分26cの間を繋ぐ2つの第1連結部26pと、コイル3の延在部33と対向する接続板部26hとを含む。
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bがレンズ駆動装置101に組み込まれた際には、図6(A)に示すレンズ保持部材2の6つの突設部2tのそれぞれは、図11(B)に示す下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側接合部分26cに設けられた円形の貫通孔に挿通されて嵌合される。これにより、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iは、レンズ保持部材2に位置決めされ且つ固定される。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、例えば、レンズ保持部材2の突設部2tに熱かしめ又は冷間かしめを施すことで、レンズ保持部材2に固定される。
以下では、主に下側板ばね26Aとレンズ保持部材2及びコイル3との関係を説明する。但し、下側板ばね26Aに関する説明は、下側板ばね26Bにも同様に適用される。
下側板ばね26Aの内側部分26iの接続板部26hは、図12(A)及び図12(B)に示すように、レンズ駆動装置101が組み立てられた際には、レンズ保持部材2の底面(Z2側の面)と対向する。そして、コイル3の延在部33Aの対向部33cは、図12(B)に示すように、下側板ばね26Aの内側部分26iの被写体側(Z1側)の面とレンズ保持部材2のフランジ部52の撮像素子側(Z2側)の面との間を通って延びる。
下側板ばね26Aがレンズ保持部材2に組み付けられた際には、図12(B)に示すように、保持部72Aは、その先端が下側板ばね26Aの内側部分26iの撮像素子側(Z2側)に位置するように、内側部分26iよりも下方(Z2方向)に突出している。また、巻き付け部33mの一部も内側部分26iの撮像素子側(Z2側)に位置するように保持部72Aに巻き付けられている。
下側板ばね26Aとコイル3の延在部33Aは、半田SDで電気的且つ機械的に接続されている。具体的には、レンズ保持部材2の突設部2tが熱かしめされた後、接続板部26hの撮像素子側(Z2側)の面に、延在部33Aの巻き付け部33mと接触するように半田ペーストが塗布される。そして、レーザビームで接続板部26h及び延在部33Aが予熱される。その後、レーザビームで半田ペーストが加熱溶融され、下側板ばね26Aと延在部33Aとが半田SDで接合される。半田ペーストの塗布から半田SDによる接合までは、保持部72Aが鉛直上方に突出するようにレンズ保持部材2が逆さまにされた状態で行われる。そのため、レーザビームによって溶融された半田ペーストは、流動性を有する場合であっても、所望の位置(接続板部26hの上)に適切に保持され得る。
下側板ばね26Aの外側部分26eは、図11(B)に示すように、ベース部材18と係合される2つの外側接合部分26dと、2つの外側接合部分26dを繋ぐ第2連結部26qとを含む。下側板ばね26Aの外側接合部分26dに設けられた貫通孔は、ベース部材18の上面に設けられた突設部18t(図13(A)参照。)と嵌合する。これにより、下側板ばね26Aの外側部分26eは、ベース部材18に位置決めされ且つ固定される。
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、図11(B)に示すように、略左右対称に形成されている。そして、下側板ばね26Aは、3つの内側接合部分26cでレンズ保持部材2に接続され、2つの外側接合部分26dでベース部材18に接続されている。下側板ばね26Bについても同様である。この構成により、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、レンズ保持部材2を光軸方向JDへ移動可能な状態でバランス良く空中で支持できる。
次に、固定側部材RGについて説明する。固定側部材RGは、上側板ばね16を固定するスペーサ1、ヨーク4、及び磁石5と、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれを固定するベース部材18とを含む。
ベース部材18は、液晶ポリマー等の合成樹脂を用いた射出成形によって作製される。本実施形態では、ベース部材18は、図13(A)に示すように、矩形板状の外形を有する。そして、ベース部材18の中央には、円形の開口18kが形成されている。また、ベース部材18の被写体側(Z1側)の面(上面)には、上方に向けて突出する6つの突設部18tが設けられている。突設部18tは、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれにおける外側接合部分26dに設けられた貫通孔に挿通され且つ嵌合される。この際、突設部18tは熱かしめが施されて外側接合部分26dに固定される。図13では、突設部18tは、熱かしめされた後の先端が変形した状態で図示されている。突設部18tは冷間かしめが施されて外側接合部分26dに固定されてもよい。
ベース部材18には、図13(A)に示すように、銅若しくは鉄又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された端子7がインサート成形されて埋め込まれている。端子7は、端子7A及び端子7Bを含み、端子7A及び端子7Bのそれぞれは、一部がベース部材18の上面(Z1側の面)に露出している。そして、互いに電気的に絶縁されている端子7A及び端子7Bのそれぞれは、撮像素子を実装した基板(図示せず。)上の導電性パターンに電気的に接続されている。また、端子7Aは下側板ばね26Aに電気的に接続され、端子7Bは下側板ばね26Bに電気的に接続されている。更に、下側板ばね26Aはコイル3の一端に電気的に接続され、下側板ばね26Bはコイル3の他端に電気的に接続されている。そのため、コイル3は、端子7と下側板ばね26A及び下側板ばね26Bとを介して電流の供給を受けることができる。
ベース部材18には、端子7と同様に、銅若しくは鉄又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属板から形成された接続部材57もインサート成形されて埋め込まれている。接続部材57は、図2に示すように、ヨーク4の四隅の下端部のところで、一部を露出させている。ベース部材18は、ヨーク4の外壁部4Aの内面とベース部材18の外周側面とが組み合わさって位置決めされた後で、接続部材57とヨーク4の四隅の下端部とが溶接されてヨーク4に固定される。ヨーク4とベース部材18とは少なくとも部分的に接着剤で固定されてもよい。
次に、図14を参照し、下側板ばね26とコイル3との接続構造の一例について説明する。図14は、図14(A)及び図14(B)を含む。図14(A)は、図10(A)に示す部分Uの拡大図であり、図14(B)は、図10(A)に示す部分Uの拡大斜視図である。以下では、主に下側板ばね26Bと保持部72Bと延在部33Bとの関係を説明する。但し、以下の説明は、下側板ばね26Aと保持部72Aと延在部33Aとの関係にも同様に適用される。
本実施形態では、下側板ばね26Bは、接続板部26h、予熱部26m、可撓部26s、第1くびれ部26n1、及び第2くびれ部26n2を含む。
接続板部26hは、半田ペーストSDPが塗布される部分である。本実施形態では、接続板部26hは、保持部72BのY2側で、保持部72Bに巻き付けられた延在部33Bの巻き付け部33mと隣り合うように配置されている。接続板部26hは、望ましくは、巻き付け部33mと接触しないように配置されるが、接続板部26hが巻き付け部33mと重ならない限りにおいて、すなわち、内側部分26iが浮き上がらない限りにおいて、巻き付け部33mに接触していてもよい。接続板部26hに塗布された半田ペーストSDPは、半田粉末(半田SD)とフラックスの混合物であり、レーザビームが照射されるとフラックスが蒸発し且つ半田SDが溶融する。図14は、レーザビームが照射される前の半田ペーストSDPを示す。溶融した半田SDは、図12(A)に示すように、その後固化して接続板部26hと巻き付け部33mとを接合する。
第1くびれ部26n1は、下側板ばね26Bの中央の内側接合部分26c(図11(B)参照。)と接続板部26hとを繋ぐ部分である。本実施形態では、第1くびれ部26n1は、接続板部26hのY2側に配置され、半田ペーストSDPが加熱されたときに溶融した半田SDが下側板ばね26BのZ2側の表面を伝って内側接合部分26c側に広がるのを抑制或いは防止している。
予熱部26mは、下側板ばね26Bを予熱するために利用される部分(加熱部)である。本実施形態では、加熱部としての予熱部26mは、下側板ばね26Bを予熱するためのレーザビームが照射されるように構成されている。予熱部26mは、ミリ波加熱又は高周波加熱等、レーザ加熱以外の他の非接触加熱方法によって加熱されてもよく、ヒータ等を用いた接触的加熱方法によって加熱されてもよい。予熱部26mは、保持部72BのX2側で、保持部72Bに巻き付けられた延在部33B(巻き付け部33m)から間隔を空けて配置されるように構成されている。また、予熱部26mは、接続板部26hと可撓部26sとの間に配置され、且つ、予熱部26mに向けて照射されるレーザビームのスポットよりも広い部分(面積)を含むように構成されている。図14の例では、予熱部26mには、可撓部26sの付け根の近傍に、レーザビームの照射痕TR1が形成されている。
可撓部26sは、可動側支持部としての内側部分26iから延在する弾性変形可能な腕状(片持ち梁状)の部分である。本実施形態では、可撓部26sは、予熱部26mから延び、保持部72BのY1側で、保持部72Bに巻き付けられた延在部33Bの巻き付け部33mと接触するように構成されている。
本実施形態では、可撓部26sは、予熱部26mからL字状に延びる細腕部26s1と、細腕部26s1の端部に形成された接触片としての突出片26s2と、を含む。細腕部26s1は、予熱部26mから片持ち梁状に延びている。
細腕部26s1は、突出片26s2が巻き付け部33mと接触したときに、下側板ばね26Bの他の部分よりも容易に撓むように、長さ、幅、及び厚みが決定されている。細腕部26s1が撓み難いほど、可撓部26sが巻き付け部33mに及ぼす力が大きくなり、巻き付け部33mをほつれさせ易いためである。また、細腕部26s1よりも撓み易い部分があると、細腕部26s1が撓む前にその部分が撓んでしまい、下側板ばね26Bをレンズ保持部材2に適切に組み付けることができなくなってしまうためである。
細腕部26s1は、その幅が小さいほど撓み易く、その長さが長いほど撓み易い。また、細腕部26s1は、その厚みが小さいほど撓みやすい。本実施形態では、可撓部26sは、下側板ばね26Bの一部であるため、細腕部26s1の厚みは、下側板ばね26Bの他の部分の厚みと同じである。但し、細腕部26s1の厚みは、下側板ばね26Bの他の部分の厚みと異なっていてもよい。
図14の例では、細腕部26s1の最小幅W1は、その厚みより大きく、予熱部26mに向けて照射されるレーザビームのスポット径D1よりも小さい。スポット径D1は、延在部33Bの巻き付け部33mを形成する線材の直径D2よりも大きい。細腕部26s1の最小幅W1は、線材の直径D2以上であってもよく、線材の直径D2より小さくてもよい。図14の例では、細腕部26s1の長さは、保持部72Bに巻き付けられた延在部33Bの巻き付け部33mの1辺の長さよりも長い。但し、細腕部26s1の長さは、巻き付け部33mの1辺の長さより短くてもよい。
突出片26s2は、保持部72Bに巻き付けられた延在部33Bの巻き付け部33mと接触するように構成されている。本実施形態では、接触片としての突出片26s2は、細腕部26s1から巻き付け部33mに向かって突出する部分であり、半円形の接触面を有する。但し、突出片26s2は、三角形又は四角形等の他の任意の形状の接触面を有していてもよい。図14の例では、可撓部26sは、巻き付け部33mを構成する線材に向けて突出片26s2の一面を付勢している。具体的には、可撓部26sは、突出片26s2のZ1側の面を巻き付け部33mに押し付けている。そのため、細腕部26s1は、僅かに捩れた状態で、突出片26s2を巻き付け部33mに面接触させている。
本実施形態では、突出片26s2は、巻き付け部33mを構成する3ターンの線材のうちの最も撮像素子側(Z2側)に位置する線材(3ターン目の線材)の撮像素子側(Z2側)の部分と接触するように配置されている。但し、突出片26s2は、巻き付け部33mを構成する3ターンの線材のうちの2ターン目の線材と接触するように配置されていてもよく、最も被写体側(Z1側)に位置する1ターン目の線材と接触するように配置されていてもよい。また、突出片26s2は、3ターンのうちの2ターンの線材と接触するように配置されていてもよく、或いは、3ターンの全ての線材と接触するように配置されてもよい。突出片26s2は、2つの線材の間に入り込むように配置されてもいてもよい。
図14の例では、巻き付け部33mは、4つの角部CNと4つの辺部EGとを形成するように保持部72Bに巻き付けられている。角部CNは、第1角部CN1~第4角部CN4を含む。辺部EGは、第1辺部EG1~第4辺部EG4を含む。
巻き付け部33mは、望ましくは、その端部33mEが第2角部CN2の近傍に位置するように巻き付けられている。そして、突出片26s2は、巻き付け部33mの端部33mEと接触しないよう、第3角部CN3と接触するように配置されている。突出片26s2が端部33mEと接触すると、端部33mEは、突出片26s2によって保持部72Bから引き離されてしまうおそれがあるためである。
端部33mEが第2角部CN2の近傍に位置する場合、可撓部26sは、突出片26s2が第2辺部EG2、第3辺部EG3又は第4角部CN4と接触するように構成されていてもよい。或いは、端部33mEが第3角部CN3又は第4角部CN4の近傍に位置する場合には、可撓部26sは、突出片26s2が第2角部CN2と接触するように構成されていてもよい。
本実施形態では、可撓部26sは、1つの突出片26s2を有するように構成されているが、2つ以上の突出片26s2を有するように構成されていてもよい。また、本実施形態では、可撓部26sは、保持部72Bの4つの側面のうちの1つであるY1側の側面のところで突出片26s2と巻き付け部33mとを接触させるように構成されている。但し、可撓部26sは、保持部72Bの4つの側面のうちの2つ以上の側面のところで突出片26s2と巻き付け部33mとを接触させるように構成されていてもよい。
図14の例では、巻き付け部33mは、反時計回りで保持部72Bに巻き付けられている。そして、可撓部26sは、保持部72BのX2側からY1側に反時計回りに回り込むように配置されている。すなわち、巻き付け部33m及び可撓部26sは、保持部72Bを中心として同じ方向に回り込むように配置されている。但し、巻き付け部33m及び可撓部26sは、保持部72Bを中心として互いに反対方向に回り込むように配置されていてもよい。例えば、可撓部26sが保持部72BのX2側からY1側に反時計回りに回り込むように配置されている場合に、巻き付け部33mは、時計回りで保持部72Bに巻き付けられていてもよい。或いは、可撓部26sが保持部72BのX1側からY1側に時計回りに回り込むように配置されている場合に、巻き付け部33mは、反時計回りで保持部72Bに巻き付けられていてもよい。
第2くびれ部26n2は、予熱部26mと接続板部26hとを繋ぐ部分である。本実施形態では、第2くびれ部26n2は、保持部72Bに巻き付けられた延在部33Bの巻き付け部33mの第1角部CN1の近傍で、第1角部CN1から間隔を空けて配置されている。
第2くびれ部26n2は、接続板部26hの幅よりも顕著に狭い最小幅W2を有することで、半田ペーストSDPが加熱されたときに溶融した半田SDが内側部分26iの表面を伝って予熱部26mに広がるのを抑制或いは防止している。
また、最小幅W2を有する第2くびれ部26n2は、レーザビームの照射を受けた予熱部26mで発生した熱が必要以上に接続板部26hに伝わってしまうのを抑制することで、所望の熱が可撓部26sに伝わるようにしている。最小幅W2が小さいほど、接続板部26hに伝わる熱量が小さくなり、可撓部26sに伝わる熱量が大きくなるためである。
第2くびれ部26n2の最小幅W2は、望ましくは、細腕部26s1の最小幅W1よりも大きい。細腕部26s1が撓む前に第2くびれ部26n2が撓んでしまうのを防止するためである。
上述のような構成を有するレンズ駆動装置101では、レンズ保持部材2に下側板ばね26Bが組み付けられた後で、巻き付け部33mと隣り合うように配置された下側板ばね26Bの接続板部26hに半田ペーストSDPが塗布される。
そして、予熱部26mにレーザビームが照射され、予熱部26mから延びる弾性変形可能な可撓部26sを介して延在部33の巻き付け部33mが加熱される。具体的には、レーザビームの照射を受けた予熱部26mで発生した熱により、突出片26s2と接触している巻き付け部33mが予熱される。また、予熱部26mの熱により、接続板部26hも予熱される。
その後、半田ペーストSDPがレーザビームによって加熱されて接続板部26hと巻き付け部33mとが半田付けされる。図14の破線円SPは、半田ペーストSDPに照射されるレーザビームのスポットを表している。
予熱部26mに照射されるレーザビーム(以下、「第1レーザビーム」とする。)を発生させる第1レーザ発生装置、及び、半田ペーストSDPに照射されるレーザビーム(以下、「第2レーザビーム」とする。)を発生させる第2レーザ発生装置は、例えば、PWM方式によって制御される。第1レーザビームのパワーは、第2レーザビームのパワーより小さくてもよく、大きくてもよく、或いは、同じであってもよい。第1レーザ発生装置に関するPWM信号のデューティ比は、第2レーザ発生装置に関するPWM信号のデューティ比より小さくてもよく、大きくてもよく、或いは、同じであってもよい。また、第1レーザ発生装置と第2レーザ発生装置は同じ1つの装置であってもよい。
上述のような構成により、レンズ駆動装置101では、半田ペーストSDPが塗布されている接続板部26hと巻き付け部33mとが同時に予熱される。そのため、可撓部26sがない構成、すなわち、接続板部26hのみが予熱され巻き付け部33mが予熱されない構成に比べ、フラックスの突沸による散逸、及び、接続板部26hでの半田SDの不要な拡散が効果的に防止される。その結果、レンズ駆動装置101は、半田SDの巻き付け部33mへの付着性を高めることができ、半田付けによる巻き付け部33mと下側板ばね26Bとの間の接合の信頼性を高めることができる。
また、レンズ駆動装置101では、予熱部26mは、第2くびれ部26n2を介して接続板部26hと熱的に繋がり、且つ、可撓部26sを介して巻き付け部33mと熱的に繋がっている。そのため、接続板部26hにおける半田ペーストSDPの塗布位置及び塗布量のばらつきの影響を受けることなく、巻き付け部33mを構成する線材を確実且つ適切に予熱できる。そのため、この点においても、レンズ駆動装置101は、半田SDの巻き付け部33mへの付着性を高めることができ、半田付けによる巻き付け部33mと下側板ばね26Bとの間の接合の信頼性を高めることができる。
また、レンズ駆動装置101では、可撓部26sは、巻き付け部33mと接触したときに、下側板ばね26Bの他の部分よりも容易に撓むように構成されている。そのため、レンズ駆動装置101は、保持部72Bに巻き付けられた巻き付け部33mを構成する線材が可撓部26sによって保持部72Bから引き剥がされてしまうのを防止できる。そのため、レンズ駆動装置101では、巻き付け部33mのほつれが防止される。また、レンズ駆動装置101では、可撓部26sが巻き付け部33mの上に配置されたときに下側板ばね26Bの全体がレンズ保持部材2から浮き上がってしまうこともない。
次に、図15を参照し、下側板ばね26とコイル3との接続構造の別の一例について説明する。図15は、下側板ばね26B、延在部33B、及び保持部72Bの拡大図であり、図14(A)に対応する。
図15の下側板ばね26Bは、可撓部26sの両端部が可動側支持部としての内側部分26iに繋がっている点で、片持ち梁状の可撓部26sを有する図14の下側板ばね26Bと異なる。図15の下側板ばね26Bは、その他の点では、図14の下側板ばね26Bと同じである。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
図15の例では、可撓部26sは、予熱部26mから延びる第1細腕部26s1aと、接続板部26hから延びる第2細腕部26s1bと、接触片としての突出片26s2と、を含む。第1細腕部26s1aと第2細腕部26s1bは、巻き付け部33mの第3角部CN3に対向する部分で互いに連結されている。すなわち、可撓部26sは、保持部72Bに巻き付けられた巻き付け部33mを取り囲むように構成されている。具体的には、可撓部26sは、巻き付け部33mの第2辺部EG2及び第3辺部EG3に沿って延びるように構成されている。また、図15の例では、第2辺部EG2と第1細腕部26s1aとの間の第1の隙間は、第3辺部EG3と第2細腕部26s1bとの間の第2の隙間よりも小さい。但し、第1の隙間は、第2の隙間と同じ大きさであってもよく、第2の隙間より大きくてもよい。また、図15の例では、第1細腕部26s1aの最小幅W3は、第2細腕部26s1bの最小幅W4と同じである。但し、最小幅W3は、最小幅W4より小さくてもよく、最小幅W4より大きくてもよい。また、図15の例では、突出片26s2と予熱部26mとの間の第1細腕部26s1aの長さは、突出片26s2と接続板部26hとの間の第2細腕部26s1bの長さとほぼ同じになるように構成されている。但し、第1細腕部26s1aの長さは、第2細腕部26s1bの長さより長くてもよく、第2細腕部26s1bの長さより短くてもよい。
突出片26s2は、第1細腕部26s1aと第2細腕部26s1bとの連結部分から巻き付け部33mに向かって突出している。具体的には、突出片26s2は、図14の例と同様に、巻き付け部33mの第3角部CN3と面接触するように配置されている。但し、突出片26s2は、巻き付け部33mの第3角部CN3、第2辺部EG2、及び第3辺部EG3の少なくとも1つにおける1又は複数の部分で面接触するように構成されていてもよい。
この構成により、図15の下側板ばね26Bは、図14の下側板ばね26Bに比べ、突出片26s2をより確実に巻き付け部33mに接触させることができる。可撓部26sが巻き付け部33mから離れる方向に撓むことがないためである。そのため、巻き付け部33mをより確実に予熱できる。
次に、図16を参照し、下側板ばね26の更に別の構成例について説明する。図16は、下側板ばね26Bの一部(接続板部26h及び可撓部26sを含む部分)の底面図である。
図16の下側板ばね26Bは、片持ち梁状の可撓部26sの端部に予熱部26mAが形成されている点で、図14の下側板ばね26Bと異なるが、その他の点で図14の下側板ばね26Bと同じである。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
図16の例では、可撓部26sは、第2くびれ部26n2から片持ち梁状に延びる細腕部26s1と、細腕部26s1の端部に形成された突出片26s2と、を含む。予熱部26mAは、細腕部26s1の端部に繋がるように、且つ、予熱部26mAに向けて照射されるレーザビームのスポットよりも広い部分(面積)を含むように構成されている。図16の例では、予熱部26mAには、レーザビームの照射痕TR2が形成されている。
予熱部26mAにレーザビームが照射されると、レーザビームの照射を受けた予熱部26mAで発生した熱の一部は、突出片26s2を介して巻き付け部33mに伝わり、巻き付け部33mが予熱される。また、予熱部26mAで発生した熱の別の一部は、細腕部26s1及び第2くびれ部26n2を介して接続板部26hに伝わり、接続板部26hが予熱される。このようにして、巻き付け部33mと接続板部26hとが同時に予熱される。
この構成により、図16の下側板ばね26Bは、図14の下側板ばね26Bに比べ、巻き付け部33mをより確実に予熱できる。予熱部26mAが巻き付け部33mの近くに配置されているためである。
図16の下側板ばね26Bは、予熱部26mAとは別に、図14の下側板ばね26Bと同様の予熱部26mを備えていてもよい。この場合、予熱部26mAと予熱部26mは、別々のレーザビームによって同時に予熱されてもよく、同じレーザビームによって所定の順番で別々に予熱されてもよい。
次に、図17を参照し、下側板ばね26の更に別の構成例について説明する。図17は、下側板ばね26Bの一部(接続板部26h及び可撓部26sを含む部分)の底面図である。
図17の可撓部26sは、X軸に対して斜めに延びる部分を含む細腕部26s1を有する点で、X軸に平行に延びる部分を含む細腕部26s1を有する図14の可撓部26sと異なる。また、図17の可撓部26sは、細腕部26s1の先端部の幅が増大しない点で、図14の可撓部26sと異なる。但し、図17の可撓部26sは、その他の点で図14の可撓部26sと同じである。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
図17の例では、片持ち梁状に延びる可撓部26sは、巻き付け部33mと離間した状態で、予熱部26mからY1方向に延び、その後、巻き付け部33mに近づくように、X1方向に延びる。X1方向に延びる部分は、細腕部26s1の先端部に向かうにしたがって巻き付け部33mに近づくように、X軸に対して斜めに延びる。このように、図17の例では、可撓部26sは、細腕部26s1の先端部に向かうにしたがって巻き付け部33mに近づいていき、細腕部26s1の先端部が接触片としての突出片26s2の役割を果たすように構成されている。
この構成により、図17の可撓部26sは、図14の可撓部26sに比べ、細腕部26s1を長くできる。そのため、図17の可撓部26sは、図14の可撓部26sに比べ、細腕部26s1を撓み易くすることができ、巻き付け部33mのほつれを抑制或いは防止できる。
上述の通り、本実施形態に係るレンズ駆動装置101は、支持部材としてのベース部材18と、レンズ体LSを保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2に保持されたコイル3と、コイル3に対向する磁石5と、ベース部材18とレンズ保持部材2とを繋ぐように配置され、レンズ保持部材2を光軸方向JDへ移動可能に支持する板ばね6としての下側板ばね26と、を備えている。そして、コイル3は、レンズ保持部材2の外側に配置されるコイル本体部としての巻回部13と、巻回部13に繋がる線材である延在部33と、を有している。下側板ばね26は、レンズ保持部材2の光軸方向JDにおける一端部(Z2側の端部)に配置されてレンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての内側部分26iと、ベース部材18に固定される固定側支持部としての外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に設けられた弾性腕部26gと、を有している。レンズ保持部材2には突出部としての保持部72が設けられ、コイル3の延在部33の一部は、保持部72に巻かれて巻き付け部33mを構成し、巻き付け部33mと下側板ばね26とが半田付けされている。そして、下側板ばね26は、巻き付け部33mと隣り合うと共に巻き付け部33mに半田付けされる接続板部26hと、内側部分26iから延在する弾性変形可能な可撓部26sと、を有し、可撓部26sの一部が延在部33に接触するように構成されている。可撓部26sは、例えば図14に示すように、延在部33を構成する巻き付け部33mに接触するように構成されている。但し、可撓部26sは、延在部33を構成する対向部33c又は挿通部33kに接触するように構成されていてもよい。
この構成では、レーザビームが内側部分26iに照射されると、接続板部26hと延在部33とが同時に予熱される。例えば図14の例では、レーザビームが予熱部26mに照射されると、予熱部26mで発生した熱により、第2くびれ部26n2を介して接続板部26hが予熱され、且つ、可撓部26sを介して巻き付け部33mが予熱される。そして、その後にレーザビームが接続板部26hに塗布された半田ペーストSDPに照射されると、半田ペーストSDPに含まれる半田SDが溶融し、且つ、予熱された接続板部26hと延在部33との間に行き渡り、その後固化して接続板部26hと巻き付け部33mとを接合する。
そのため、レンズ駆動装置101は、接続板部26hのみが予熱される場合に比べ、半田付けによるコイル3と下側板ばね26との間の接合の信頼性を高めることができる。可撓部26sを介して巻き付け部33mが加熱されて半田が付き易くなっているためである。
可撓部26sは、巻き付け部33mに向かうように形成され、巻き付け部33mと接触する接触片を含んでいてもよい。
可撓部26sは、望ましくは、突出部としての保持部72に向かって突出する突出片26s2を含む。この場合、接触片としての突出片26s2は、延在部33と接触するように構成される。図14の例では、突出片26s2は、光軸方向JDに垂直な方向に突出し、且つ、巻き付け部33mと面接触するように構成されている。この構成により、可撓部26sの細腕部26s1は、巻き付け部33mから離れて配置される。そのため、この構成は、細腕部26s1が巻き付け部33mと接触して巻き付け部33mをほつれさせてしまうのを抑制或いは防止できる。
可撓部26sは、望ましくは、巻き付け部33mを構成する線材に向けて接触片としての突出片26s2の一面を付勢するように構成される。図14の例では、可撓部26sは、突出片26s2のZ1側の面をZ1方向に付勢し、巻き付け部33mを構成する線材に突出片26s2のZ1側の面を押し付けている。この構成により、可撓部26sは、可撓部26sと巻き付け部33mとが点接触する場合に比べ、予熱部26mで発生した熱を巻き付け部33mにより効率的に伝えることができる。
可撓部26sは、望ましくは、可動側支持部としての内側部分26iから片持ち梁状に延びている。すなわち、可撓部26sは、可動側支持部に繋がる付け根を1つ有する。図14の例では、可撓部26sは、下側板ばね26Bの内側部分26iの一部である予熱部26mから片持ち梁状に延びている。この構成により、可撓部26sは、比較的長い細腕部26s1を備えることができる。そのため、突出片26s2が巻き付け部33mと接触したときに、可撓部26sが巻き付け部33mを保持部72から引き離そうとする力を弱めることができ、細腕部26s1が巻き付け部33mと接触して巻き付け部33mをほつれさせてしまうのを抑制或いは防止できる。
可撓部26sは、両端部が可動側支持部に繋がっていてもよい。すなわち、可撓部26sは、両持ち梁状に形成されていてもよい。例えば図15に示すように、可撓部26sは、予熱部26mから延びる第1細腕部26s1aと、接続板部26hから延びる第2細腕部26s1bとが、巻き付け部33mの外側で互いに連結されるように形成されていてもよい。この構成により、可撓部26sは、落下等による衝撃が加わった場合に、第1細腕部26s1a及び第2細腕部26s1bが過度に変形或いは変位してしまうのを抑制或いは防止できる。
可撓部26sのうちの延在部33に接触する部分と接続板部26hとは、望ましくは、突出部としての保持部72を挟んで対向するように配置されている。例えば図14の例では、可撓部26sの突出片26s2と接続板部26hとは、保持部72Bを挟んで対向するように配置されている。具体的には、突出片26s2は、保持部72BのY1側に配置され、接続板部26hは、保持部72BのY2側に配置されている。この構成により、可撓部26sは、細腕部26s1を長くできる。また、内側部分26iは、レーザビームが照射される部分である予熱部26mの面積を比較的容易に確保できる。更に、下側板ばね26は、接続板部26hと可撓部26sとの間に予熱部26mを配置できる。
可動側支持部は、望ましくは、可撓部26sの付け根に繋がる部分(付け根の近傍)に加熱部としての予熱部26mを有し、予熱部26mにはレーザビームの照射痕が形成されている。例えば図14の例では、可動側支持部としての内側部分26iの一部である予熱部26mには、可撓部26sの付け根の近傍に、レーザビームの照射痕TR1が形成されている。これは、下側板ばね26が、可撓部26sの付け根の近傍に、レーザビームを当てるのに十分な面積を有する部分を備えていることを意味する。この構成により、可撓部26sと接触する巻き付け部33mは、予熱部26mで発生した熱によって容易に予熱され得る。
本発明の実施形態に係るカメラモジュールは、上述のようなレンズ駆動装置101と、レンズ体LSと、レンズ体LSに対向する撮像素子と、を有するように構成されている。
本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101の製造方法は、巻き付け部33mと隣り合うように配置された下側板ばね26の接続板部26hに半田ペーストSDPを塗布する塗布工程と、下側板ばね26の可動側支持部としての内側部分26iから延在する弾性変形可能な可撓部26sを介して延在部33を加熱する第1加熱工程と、半田ペーストSDPを加熱して接続板部26hと巻き付け部33mとを半田付けする第2加熱工程と、を有する。第1加熱工程では、レーザビームが内側部分26iに照射されると、接続板部26hと延在部33とが同時に加熱(予熱)される。例えば図14の例では、レーザビームが予熱部26mに照射されると、予熱部26mで発生した熱により、第2くびれ部26n2を介して接続板部26hが加熱(予熱)され、且つ、可撓部26sを介して巻き付け部33mが加熱(予熱)される。そして、第2加熱工程では、レーザビームが接続板部26hに塗布された半田ペーストSDPに照射されると、半田ペーストSDPに含まれる半田SDが溶融し、加熱(予熱)された接続板部26hと延在部33との間に行き渡り、その後固化して接続板部26hと巻き付け部33mとを接合する。
そのため、この製造方法によって製造されるレンズ駆動装置101は、接続板部26hのみが加熱(予熱)される場合に比べ、半田付けによるコイル3と下側板ばね26との間の接合の信頼性を高めることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、上記実施形態では、保持部72がレンズ保持部材2(フランジ部52)の一端部から光軸方向JDに突出する突出部から構成されているが、本発明は、この構成に限定されない。突出部としての保持部72は、例えば、光軸方向JDに垂直な方向、又は、光軸方向JDに対して傾斜した方向等、光軸方向JDとは異なる方向に突出していてもよい。
また、上記実施形態では、フランジ部52には、コイル3の延在部33を通す切欠部52kが2つ設けられているが、コイル3の巻回部13を保持可能であれば、3つ以上の切欠部が設けられていてもよい。
また、自動焦点調節機能を実現する上記実施形態では、下側板ばね26Aと延在部33Aとが電気的に接続され、且つ、下側板ばね26Bと延在部33Bとが電気的に接続される構成としたが、本発明は、この構成に限定されない。本発明は、例えば、手振れ補正機能付きのレンズ駆動装置においては、上側板ばね16が2つに分割され、その一方が延在部33Aに電気的に接続され、且つ、他方が延在部33Bに電気的に接続される構成を含んでいてもよい。この構成では、上側板ばね16は、支持部材としての磁石ホルダとレンズ保持部材2とを繋ぐように配置され、且つ、レンズ保持部材2を光軸方向JDへ移動可能に支持するように構成される。磁石ホルダは、レンズ保持部材2に保持されたコイル3に対向する磁石5を保持する部材であり、典型的には、サスペンションワイヤを介してベース部材18に接続され、サスペンションワイヤにより、光軸方向JDに垂直な方向に移動可能に支持されている。具体的には、磁石ホルダは、磁石5と、磁石5に対向するようにベース部材18上に設置された、コイル3とは別のコイルとによって構成される駆動機構によって光軸方向JDに垂直な方向に移動できるように構成されている。この構成では、レンズ保持部材2の上端部側(Z1側)に切欠部を有するフランジ部が設けられていてもよい。また、突出部としての保持部72は、上側板ばね16が配置される側であるレンズ保持部材2の上端部に設けられる。
上記実施形態では、コイル3は、レンズ保持部材2の外周面側に八角環状に巻かれている。しかしながら、本発明はこの構成に限定されない。コイル3は、レンズ保持部材2の側面に保持される小判形(オーバル形状)のコイルであってもよい。具体的には、コイル3は、レンズ保持部材2の4つの側面のそれぞれに保持される4つの小判形のコイルであってもよく、レンズ保持部材2の4つの側面のうちの対向する2つのそれぞれに保持される2つの小判形のコイルであってもよい。
また、上記実施形態では、ヨーク4とベース部材18とで構成される筐体は、レンズ保持部材2の全体を収容している。但し、レンズ保持部材2の一部(例えば上部)は、筐体(ヨーク4)から外部に露出していてもよい。
本願は、2018年8月9日に出願した日本国特許出願2018-150663号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。