JP7040931B2 - 乗員保護装置 - Google Patents

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本発明は、走行中に車室のウィンドウからはみ出した手足などの物体の保護を図る乗員保護装置に関する。
車両にパワーウィンドウ装置が搭載されていると、車両の走行中に、乗員、特に子供がパワーウィンドウ装置を操作して、ウィンドウを開け、故意に手足を車外に出すことがある。また、ウィンドウを閉め忘れたまま走行する場合もあり、この場合も同様に故意にウィンドウから手足を出すおそれがある。そして、ウィンドウを閉める操作がされると、手足を挟み込むおそれがある。
特許文献1では、ウィンドウに異物が挟み込まれることを防止するために、ドアの内側面に、窓枠周辺を撮影可能なカメラが取り付けられ、カメラの画像データを用いて挟み込みの有無が判定される。ウィンドウに挟み込まれる位置に異物の侵入があると認識されると、ウィンドウの昇降が規制され、ウィンドウによる挟み込みが防止される。
特開2007-186915号公報
上記のような車室内に設置されたカメラでは、乗員がウィンドウに近づいたとき、カメラが乗員の体で塞がれるおそれがある。この場合、ウィンドウの周辺を撮影することができない。また、カメラは直接ウィンドウの外側を撮影していないので、ウィンドウの周辺に手などの物体が存在しても、その物体が実際にウィンドウから車外にはみ出しているのかを判別することができない。したがって、物体が車外にはみ出しているのか否かを確実に検出できない。また、しかも、ウィンドウでの挟み込みを防止するために新たにカメラを設置しなければならず、コスト、重量などが増大するといった問題がある。
本発明は、上記に鑑み、ウィンドウから車外への物体のはみ出しを確実に検出して、挟み込み防止などの乗員の保護を安価に実現できる乗員保護装置の提供を目的とする。
本発明の乗員保護装置は、車室のウィンドウから車外への物体のはみ出しを検出するための検出装置と、車外への物体のはみ出しが検出されたとき、乗員の保護に関連する車載機器の作動を制御する制御装置を備え、検出装置は、車両の側方を監視するために設置され、ウィンドウから車外にはみ出た物体の有無を直接検出する。
検出装置がウィンドウの外側を監視することにより、ウィンドウから車外にはみ出した物体が直接検出される。ウィンドウから車外に物体がはみ出していることが検出されると、制御装置は、パワーウィンドウ装置などの車載機器の作動を規制する。ウィンドウが開閉できなくなり、手などの物体が挟み込まれることを防止できる。このような検出装置として、車両の側方や後方を監視するための既設の監視装置を利用することができる。
本発明によると、車外にはみ出した物体を直接検出することにより、ウィンドウからの物体のはみ出しの有無を確実に認識でき、乗員に対する安全性を高めることができる。また、検出装置として既設の監視装置を利用することにより、新たに検出装置を設ける必要がなくなる。
本発明の実施形態の乗員保護装置のブロック図 車両のウィンドウからはみ出した物体を検出する様子を示す図 カメラの撮影範囲を示す図 ウィンドウから車外への物体のはみ出しに対する乗員保護のフローチャート
本発明の実施形態に係る車両に搭載された乗員保護装置を図1に示す。乗員保護装置は、車室のウィンドウ1から車外への物体のはみ出しを検出するための検出装置2と、車外への物体のはみ出しが検出されたとき、乗員の保護に関連する車載機器の作動を制御する制御装置3を備えている。ここでの車載機器は、パワーウィンドウ装置4、メータ装置5、エアバッグ6、プリテンショナー7である。
図2に示すように、ドアミラー10の下部に、車両の側方および後方を撮影するカメラ11が装着されている。このカメラ11は、車両の側方および後方にある障害物や車両を検出する後側方監視装置として既設のものである。なお、後側方監視装置としてのカメラ11は、左右のドアミラー10に装着されている。ここで、検出装置2は、車両の少なくとも側方にある物体を検出することができるものであればよく、検出装置2として、この車外に設置されたカメラ11を利用する。
図3に示すように、カメラ11の撮影範囲Xには、車両の後席のウィンドウ1rが含まれる。なお、前席のウィンドウ1fは撮影範囲には直接含まれないが、前席のウィンドウ1fから少し離れた側方エリアは撮影範囲に含まれる。したがって、前席のウィンドウ1fからはみ出した物体Aを検出可能である。また、ドアミラー10には、ドアミラー10の下方から前方にかけて撮影する下方用カメラも装着されている。
マイクロコンピュータからなる制御装置3には、各車載機器およびカメラ11が通信可能に接続されている。制御装置3は、カメラ11からの画像データからウィンドウ1近辺の画像を抽出する画像処理部15と、抽出された画像よりウィンドウ1からはみ出している手足などの物体の有無を判定する判定部16と、ウィンドウ1から物体がはみ出していることが検出されたとき、走行の状況やウィンドウ1の開閉状況といった車両の状況に基づいて各車載機器の作動を制御する制御部17とを有している。
画像処理部15は、カメラ11から取得した画像データを階調変更処理、2値化処理、エッジ検出処理などの公知の画像処理によって、ウィンドウ1近辺の画像を抽出する。判定部16は、抽出された画像を解析して、検出された物体の位置と形状に基づいてウィンドウ1からはみ出しているか否かを判定する。制御部17は、走行中に判定部16によりウィンドウ1から物体がはみ出していると判定されたとき、車載機器の作動を規制する、あるいは警告を発するように車載機器を作動させる。
乗員保護装置は、スタートスイッチがオンされると、乗員保護の動作を開始する。カメラ11は撮影を行い、制御装置3は車両の状況を監視する。図4に示すように、制御装置11は、走行中であるかをチェックする。車両が停止中のとき、制御装置3は、乗員保護の動作を中断する。ウィンドウ1から手などの物体がはみ出していることが検出されても、制御装置3は、車載機器の作動の規制や警告などを行わない。
車両が走行中のとき、制御装置3は、ウィンドウ1の状況をチェックする。ウィンドウ1が閉じているとき、手などの物体が車外にはみ出すことはないので、制御装置3は、車両の状況を監視し続ける。また、パワーウィンドウ装置4のロックスイッチ18がオンされているとき、パワーウィンドウ装置の操作キー19が操作されてもウィンドウ1は開かない。この場合、制御装置3は、乗員保護の動作を中断する。ロックスイッチ18がオフされると、制御装置3は、乗員保護の動作を再開する。
ウィンドウ1が開いているとき、制御装置3は、ウィンドウ1からはみ出している物体があるかチェックする。画像処理部15は、カメラ11から取得した画像データに基づいて、ウィンドウ1近辺の画像を抽出する。判定部16は、ウィンドウ1からはみ出している物体の有無をチェックする。
ウィンドウ1から物体が車外にはみ出しているとき、判定部16は、ウィンドウ1から車外にはみ出した物体があると判定し、制御部17は、判定に基づいてワーニングを行う、すなわちメータ装置5のディスプレイに警告を表示させたり、警告音は発するようにメータ装置5を作動させる。運転者は、警告によって物体が車外にはみ出していることに気づき、すぐにパワーウィンドウ装置のロックスイッチ18をオンする。これにより、ウィンドウ1が開閉できなくなり、手などの物体の挟み込みを防ぐことができる。また、運転者がウィンドウ1から手などを出さないように注意を促すことにより、手が引っ込められ、乗員の保護を図れる。
あるいは、制御部17は、ウィンドウ1が開閉しないように、パワーウィンドウ装置の作動を規制する。パワーウィンドウ装置の作動が一時的に強制停止され、操作キー19が操作されても、ウィンドウ1は開閉しない。これにより、手などの物体の挟み込みを防ぐことができ、乗員の保護を図れる。ここで、パワーウィンドウ装置は複数、例えば4つのウィンドウ1の開閉を行うが、制御装置3は、物体のはみ出しが検出されたウィンドウ1を規制の対象とする。他のウィンドウ1は、操作キー19の操作により開閉可能とされる。なお、警告とパワーウィンドウ装置の作動の規制を同時に行ってもよい。
パワーウィンドウ装置の作動の規制中あるいは警告中でも、制御装置3は、物体のはみ出しの状況を監視する。物体の車外へのはみ出しが検出されなくなると、制御装置3は、ウィンドウ1から車外に出ていた物体が車内に戻されたのかを確認するために、所定時間待機する。所定時間経過する前に、再び物体のはみ出しが検出されると、制御装置3は、パワーウィンドウ装置の規制や警告を続けながら、物体のはみ出しの状況を監視する。
所定時間経過しても物体の車外へのはみ出しが検出されないとき、制御装置3は、警告を停止するようにメータ装置5を作動させる。あるいは、制御装置3は、パワーウィンドウ装置の作動の規制を解除する。この後も、制御装置3は、物体の車外へのはみ出しを含む車両の状況を監視し続ける。なお、パワーウィンドウ装置の作動の規制中あるいは警告中に、車両が停止したとき、制御装置3は、警告を停止する、あるいはパワーウィンドウ装置の作動の規制を解除する。
このように、車外に設置された既存のカメラ11を利用した検出装置2によって、実際に車外にはみ出した物体を検出できるので、物体の車外へのはみ出しの有無を確実に認識することができる。しかも、検出用のカメラを新たに設ける必要がないので、コスト、重量、製造工程などの増大を防げる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。検出装置2として、ドアミラー10に設置されるカメラ11以外に、車両の周囲の他の車両や障害物を検出するための監視装置として用いられる赤外線センサ、レーダー、超音波センサを利用してもよい。また、ミラーレス車用のカメラを利用してもよい。検出装置2として使用する監視装置は、ドアミラー10に限らず、ルーフサイドやフロントピラー、センターピラー、リアピラーなどの車内側に設置してもよい。
本実施形態の検出装置2と車内の乗員の位置を検出する車内カメラや着座センサを組み合わせて、車両衝突時の乗員の保護を図ってもよい。制御装置3は、検出装置2による手などの車外へのはみ出しの有無と乗員の位置から乗員姿勢の詳細な情報を取得し、車両衝突時に乗員の姿勢に応じてエアバッグ6やプリテンショナー7の作動を制御する。
1 ウィンドウ
2 検出装置
3 制御装置
4 パワーウィンドウ装置
5 メータ装置
6 エアバッグ
7 プリテンショナー
10 ドアミラー
11 カメラ
15 画像処理部
16 判定部
17 制御部
18 ロックスイッチ
19 操作スイッチ

Claims (1)

  1. 車室のウィンドウから車外への物体のはみ出しを検出するための検出装置と、車外への物体のはみ出しが検出されたとき、乗員の保護に関連する車載機器の作動を制御する制御装置を備えた乗員保護装置であって、検出装置は、車両の側方を監視するために設置され、ウィンドウから車外にはみ出た物体の有無を直接検出し、
    車内の乗員の位置を検出するための車内の検出装置が設けられ、制御装置は、車両衝突時に、物体の車外へのはみ出しの有無と乗員の位置から取得した乗員姿勢の情報に基づいて、車載機器の作動を制御することを特徴とする乗員保護装置。
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