JP2004136871A - 多機能光学検知を備えた自動車 - Google Patents

Abstract

【課題】構造が簡単で安価かつ設置容易な光学検知装置を備えた自動車を提供する。
【解決手段】少なくとも一つの光学センサー９と、窓ガラス２と駆動用電動機を備える窓ガラス昇降機、および開閉部材を操作する取っ手４のうち少なくとも一方の要素と、自動車後方領域の映像を光学センサー９に向けて送ると共に、少なくとも取っ手４の映像、または窓ガラス捕捉領域の映像を光学センサー９に向けて送るように形成されているレンズ５と、光学センサー９に接続されて自動車後方領域の映像を表示するディスプレーを含む自動車が提供される。
【選択図】図１

Description

　本発明は、物体を検知する装置、具体的に言うと自動車のための物体を検知する光学装置に関するものである。

　窓ガラス昇降機を電動機で駆動する例がますます多くなっている。物体、または人の手が誤って窓ガラスの上昇経路に配置され、窓ガラスの上端と窓枠上部との間に捕捉されて何らかの損傷を蒙ることが起こり得る。窓ガラスの移動を停止する、または窓ガラスを逆行して下降させる種々の装置が知られている。

　それゆえ、文献ＵＳ−Ａ−５５０６５６７には捕捉防止装置を備えた窓ガラス昇降装置が示されている。この捕捉防止装置は、赤外光学センサーと、赤外光学センサーに向けて捕捉領域の映像を送るレンズとを有する。

　日産自動車がプリメーラのモデル名で販売している自動車には、後方撮像カメラと、車室内に後方確認用の画面とが備えられている。文献ＦＲ２６７２８５７も後方確認装置を示している。この装置は、自動車の側面に配置されたカメラと、カメラに接続されて車室内に配置されたディスプレーとを有し、カメラで捉えた映像を写し出す。

　ルノーがラグナのモデル名で販売している自動車のキーレス装置は、キーレス錠用の検知装置を備えている。そのため、この装置は赤外線で作動し、かつ開閉部材の取っ手に配置された送受信ダイオードを含む。

　前記のような種々の装置を備えた自動車は、複雑で、高価で、嵩だかで、また重い。それゆえ、そのような装置は大変手ごろな装置とは言えず、搭載は最上位の自動車に限定されている。

　それゆえ、先行技術による装置が持つ難点の１つ以上を解決する検知装置が求められている。

　そのため、本発明の対象は、少なくとも一つの光学センサーと、窓ガラスと窓ガラスを駆動する電動機とを備える窓ガラス昇降機、および開閉部材を操作する取っ手のうち少なくとも一方の要素と、自動車後方領域の映像を光学センサーに向けて送るとともに、少なくとも取っ手の映像、または窓ガラス部捕捉領域の映像を光学センサーに向けて送るように形成されているレンズと、光学センサーに接続されて自動車後方領域の映像を表示するディスプレーとを含む自動車である。

　一実施例によると、レンズが映像を全く同一の光学センサーに向けて送る。

　センサーは電荷結合タイプのセンサーであることが好ましい。

　別の実施例によると、自動車は光学センサーを有し、レンズが映像のうち少なくとも二映像を異なるセンサーに送る。

　さらに別の実施例によると、自動車は、窓ガラス昇降機と、
　捕捉領域の映像が送られるセンサーに接続されて窓ガラス部捕捉領域に異質物体が存在することを示す信号を発信する映像処理装置とを含む。

　自動車は、映像処理装置が異質物体の存在が確実であると判断した場合に電動機への給電を遮断するスイッチをさらに含むことが好ましい。

　一実施例によると、自動車は、開閉部材取っ手と、取っ手の映像が向けられるセンサーに接続されて取っ手の近傍における物体の存在を示す信号を発信する映像処理装置とを含む。

　別の実施例によると、自動車後方領域の映像が送られるセンサーは可視光に対する感度を有する。

　さらに別の実施例によると、レンズによって送られる映像が別個の立体角で包囲されている。

　開閉部材がドアであり、レンズはドアのウェストの位置に設置されていることが好ましい。

　本発明はさらに、少なくとも一つの光学センサーと、光学センサーに向けて映像を集束させることができるレンズとを備えた自動車を供給する段階と、レンズを用いて自動車後方の映像をセンサーに向けて送る段階と、レンズを用いて自動車の開閉部材を操作するための取っ手、または窓ガラス部捕捉領域の少なくとも一方の映像をセンサーに送る段階とを含む検知方法に関するものである。

　一実施例によると、映像は同一の光学センサーの異なる各々の領域に向けて送られる。

　別の実施例によると、映像の少なくとも二映像が異なるセンサーに向けて送られる。

　さらに別の実施例によると、検知方法は、センサーに向けて送られる自動車の後方領域の映像を表示する段階をさらに含む。

　検知方法は、捕捉領域の映像をセンサーに向けて送る段階と、捕捉領域における異質物体の存在を示す信号を発信する段階とを含むことが好ましい。

　別の実施例によると、検知方法は、信号が捕捉領域における異質物体の存在を示すときに、窓ガラスを駆動する電動機への給電を遮断する段階をさらに含む。

　検知方法は、取っ手の映像をセンサーに向けて送る段階と、取っ手の映像を処理し、取っ手の近傍に存在する物体を示す信号を発信する段階と、を含むことが好ましい。

　一実施例によると、送られた映像は別個の立体角内に挟まれる。

　本発明のその他の特徴と利点は、例示のために示され、かつ添付図面を参照して示される以下に続く本発明の幾つかの実施例に関する記述を読むことにより明白になるであろう。

　本発明は、同一のレンズを用いてバックミラー映像と、他の少なくとも一映像とを、一個または数個の光学センサーに送ることを提案する。

　図１は、窓ガラス２、窓枠３、ドアを開けるように設計された作動用取っ手４、およびレンズ５を備えたドア１を模式的に示している。この例におけるレンズは三つの光学的部分を有する。各々の光学的部分は、自動車が占める空間または自動車周辺の一領域の撮像に専ら用いられている。それゆえ、レンズ５は、三つの円錐台６，７，８で示される空間における三領域の映像を撮像する。このように、レンズは少なくとも一つの立体角部からの映像を送ることができる。これらの領域の映像は一個または数個の光学センサー（図示せず）に送られる。

　本発明によれば、レンズ５は、円錐台７で示される自動車後方領域の映像と、他の少なくとも一映像を光学受信装置に送る。レンズは、また、円錐台８で示される取っ手４の映像、または円錐台６で示される捕捉領域の映像を光学受信装置に送ることができる。勿論、レンズが前述した三つの領域すべての映像を光学受信装置に送るようにすることもできる。

　円錐台７はバックミラー映像に相当する。これはバックミラー機構の鏡によって車室内に通常表示される映像である。この映像は、実質的には自動車の後方に位置している。

　円錐台６は、観察される窓ガラス部捕捉領域の映像に相当する。よって、円錐台６は、窓ガラス２の上端がその行程の終了時に通る領域に相当することになる。この映像は、電動窓ガラス昇降機によって駆動される窓ガラスにおいて、物体の捕捉を検知するために用いられる。それゆえ、この例においては、物体が窓ガラス２と窓枠３との間に捕捉されていることを判定することが可能である。

　円錐台８は、取っ手と周辺領域の映像に相当する。特に、取っ手から１００ミリメートル未満の位置に存在するいかなる物体をも含む領域の映像をレンズが受信装置に送るようにし得る。この映像を続けて処理することにより、取っ手４近傍の物体の存在を検知することが可能となる。取っ手近傍の物体の存在の検知は、とりわけドアを開ける試みが為される前に開錠機能を作動させることが可能になる。近接検出は、特に磁気キーの検知、またはドアを開ける準備などの定型作業を開始するのに役立ち、開放の要請と実際の開放との間の応答時間を短縮することができる。

　レンズ５は、図１に示すようにドアのウェストの位置に配置することが好ましい。それにより、レンズは上述した種々の領域を容易に含めることができる。レンズを窓開口部の前部に配置することも好ましい。この配置は、捕捉領域、バックミラー映像、および取っ手の映像をレンズの一側面だけを用いて撮像するのに適している。

　映像を光学受信装置に送信するのに適した構造のレンズにはあらゆるものが使用されうる。とりわけ、メレスグリオ製の「平面円筒形ガラスレンズ０１ＬＣＰ」のようなレンズが適している。

　光学撮像装置はドアに装着することが好ましい。これによりレンズと光学撮像装置との間の光学距離を短縮することができる。この際、受信装置保護のために、受信装置をドア内部に配置することが好ましい。

　図２は、レンズと前記レンズと組合された光学センサーを模式的に図示したものである。レンズ５により撮像された映像は、破線で模式的に図示した光路に沿ってセンサー９へ送られる。映像を光路に沿って受信装置に送る技術自体は公知である。この例では、映像６，７，８は全く同一の光学センサー９へ送られる。このように、数種の光学的検知機能を単一のセンサー９に担わせることが可能である。それゆえ、センサー９のピクセル（電荷結合検波素子）は、光学センサーへ送られる映像領域に配置された物体の位置と輝度とに従属した情報を保有する。

　円錐台６から８までに相当する映像は、センサー９の各々の領域１０から１２までへ送られる。それぞれの映像のタイプがセンサー９の特定の領域に投影されることが好ましい。数個ではなく、単一の光学センサーを用いることにより、接続と管理手段の急増を避けることができる。また、バックミラーによる捕捉領域と取っ手周辺検知領域との間に幾分かの撮像領域を重複させることも可能である。

　数種類の機能を、全く同一の光学センサーによって実行させることができるように電荷結合素子（ＣＣＤ）タイプの単一センサーを用いることが好ましい。それは、このタイプのセンサーは、可視スペクトルおよび赤外スペクトルの両方に感度を有しているからである。このタイプの光学センサーは、とりわけ赤外スペクトルに高い感度を有している。バックミラー機能は可視スペクトルを利用するのがよく、捕捉検知または取っ手近接検知機能には良好な性能を引出すために可視および赤外波長域を利用するのがよい。これは、夜間は、捕捉検知機能および取っ手近接検知機能がスペクトルの赤外領域で良好に機能するからである。

　別個の二映像をレンズ５によって受信装置のそれぞれの光学センサーに送ることも考えられる。それにより、実行される機能に対応したスペクトルに感度を有するセンサーを用いることが可能となる。また、バックミラー映像を可視スペクトルにより高い感度を有する光学センサーに送り、取っ手、または捕捉領域の映像を赤外スペクトルにより高い感度を有するセンサーに送ることも考えられる。

　光学センサー９は、映像処理装置１４に接続されている。種々の映像を、映像処理装置１４に配置した単一の、または数個の適切な処理装置を用いて処理するようにすることもできる。

　センサー９の領域１１に相当するバックミラー映像の処理は、とりわけ、レンズから送られるバックミラー映像に存在し得るゆがみを全て除去するように作用する。また、周囲の明るさに応じて表示されている映像の輝度を修正することも考えられる。

　また、異なるセンサーから送られてきたバックミラー映像を一つのディスプレーに表示することも可能である。特に、自動車の二つの側面のバックミラー映像と中央のバックミラー映像とを車室内に配置された単一のディスプレー上で結合させることも可能である。

　取っ手の映像の処理は、特に、この領域における物体の存在を判定し、前記物体と取っ手の距離を判定し、そしてドアの開放、すなわち開錠、を前もって処理することを可能にすることからなる。

　捕捉領域の映像の処理は、この領域における物体の存在を判定し、前記物体が捕捉される可能性があるか否かを判定し、あるいは前記物体とレンズとの距離を判定することからなる。映像処理の際には、窓ガラスが閉められたときに誤って物体として検知されないよう窓ガラスを探知される物体から除外することもできる。この処理は、とりわけ捕捉領域の映像の色、または輝度の経時変化を計測することからなる。

　図３は、起こり得る捕捉検知の例を示している。この例では、たとえば閉められた窓ガラスを受止める窓枠の上部溝により画成される捕捉曲線の映像の概略を見ることができる。図の上部には、捕捉領域に配置された物体が図示してある。図の下部には、センサーで捉えた、たとえば輝度が示されている。これは、センサーで捉えた映像の輝度が、総じてレンズ５と物体との距離の二乗に反比例すると判断されるからである。このようにして、映像処理装置１４は、捕捉領域における所定のしきい値より大きな輝度を判定することができる。図は、捕捉領域に存在する物体１６に対応する突出輝度部１５を示している。それゆえ、それが捕捉を判断できる。この判定は、電動機を停止させることや、窓ガラスを再度下降させることなどに適切に利用される。図示した例において、二個のレンズ５を用い、捕捉領域全域を撮像することもできる。レンズからの映像は、各々のレンズに対応するセンサーに送られることもできる。レンズとセンサーの組合せで捉えられた単一の映像に再構築されるように処理が行なわれることができる。

　本発明は、以上の例示、ならびにこれまでの記述や、図示された実施例に制限されるものではなく、当事者にはさまざまな方法で変更が可能であることは勿論である。それゆえ、本発明をこれまでドアに関連付けて記述してきたが、トランクやサンルーフなど他の開閉部材へ適用することを考慮することも可能である。また、全く同一のレンズを用いて、後方視界の供給とトランクの取っ手への物体接近の検知を実行するようにすることも可能である。さらに、前記レンズを用いて、自動車が後進しているときに、障害物距離検知信号を受信するようにすることも可能である。

（レンズの円錐形状視界が示された）撮像用のレンズが設置されているドアの斜視図。 レンズと対応する光学センサーの概念図。 窓ガラス昇降装置の捕捉防止装置のために処理された映像の概念図。

符号の説明

　１　ドア
　２　窓ガラス
　３　窓枠
　４　取っ手
　５　レンズ
　６　円錐台
　７　円錐台
　８　円錐台
　９　光学センサー
　１０　領域
　１１　領域
　１２　領域
　１４　映像処理装置
　１５　突出輝度部
　１６　物体

Claims (18)

1. 　少なくとも一つの光学センサー（９）と、
   　窓ガラス（２）と前記窓ガラスを駆動する電動機とを備える窓ガラス昇降機、および開閉部材を操作する取っ手（４）のうち少なくとも一方の要素と、
   　自動車後方領域の映像を前記光学センサー（９）に向けて送るとともに、少なくとも前記取っ手（４）の映像、または窓ガラス部捕捉領域の映像を光学センサーに向かって送るように形成されているレンズ（５）と、
   　前記光学センサーに接続されて自動車後方の前記領域の映像を表示するディスプレーと、
   　を含む自動車。
2. 　前記レンズ（５）が、映像を全く同一の光学センサー（９）に送ることを特徴とする請求項１に記載された自動車。
3. 　前記センサー（９）が、電荷結合素子センサーであることを特徴とする請求項２に記載された自動車。
4. 　請求項１に記載された自動車において、光学センサーを有し、また前記レンズ（５）が前記映像の少なくとも二映像を異なる光学センサーに向けて送ることを特徴とする自動車。
5. 　請求項１から４までのいずれかの１項に記載された自動車において、
   　前記窓ガラス昇降機と、
   　前記捕捉領域の映像が送られる前記センサーに接続されて、前記窓ガラス昇降機捕捉領域に異質物体が存在することを示す信号を発信する映像処理装置と、を含むことを特徴とする自動車。
6. 　請求項５に記載された自動車において、前記映像処理装置が異質物体の存在が確実であると判断した場合に、前記電動機への給電を遮断するスイッチをさらに含むことを特徴とする自動車。
7. 　請求項１から６までのいずれか１項に記載された自動車において、前記開閉部材取っ手と、前記取っ手の映像が向けられるセンサーに接続されて前記取っ手の近傍における物体の存在を示す信号を発信する映像処理装置と、を含むことを特徴とする自動車。
8. 　自動車後方の映像が送られる前記センサーが、可視光に対する感度を有することを特徴とする請求項１、２、および４から７までのいずれか１項に記載された自動車。
9. 　前記レンズによって送られる映像が、別個の立体角内に挟まれることを特徴とする請求項１から８までのいずれか１項に記載された自動車。
10. 　前記開閉部材がドアであり、前記レンズが前記ドアのウェストの位置に設置されていることを特徴とする請求項１から９までのいずれか１項に記載された自動車。
11. 　少なくとも一つの光学センサーと、前記光学センサーに向けて映像を集束させることができるレンズとを備えた自動車を供給する段階と、
    　前記レンズを用いて前記自動車の後方の映像を前記センサーに向けて送る段階と、
    　前記レンズを用いて前記自動車の開閉部材を操作するための取っ手、または窓ガラス部捕捉領域の少なくとも一方の映像をセンサーに送る段階と、
    　を含む検知方法。
12. 　前記映像が、同一の光学センサーの異なる各々の領域に向けて送られることを特徴とする請求項１１に記載された方法。
13. 　前記映像の少なくとも二映像が、異なるセンサーに向けて送られることを特徴とする請求項１１に記載された方法。
14. 　請求項１１から１３までのいずれか１項に記載された方法において、前記センサーに送られる前記自動車の後方領域の前記映像を表示する段階をさらに含むことを特徴とする方法。
15. 　請求項１１から１４までのいずれか１項に記載された方法において、前記捕捉領域の前記映像を前記センサーに送る段階と、前記捕捉領域における異質物体の存在を示す信号を発信する段階と、を含むことを特徴とする方法。
16. 　請求項１５に記載された検知方法において、前記信号が前記捕捉領域における異質物体の存在を示すときに、前記窓ガラスを駆動する電動機への給電を遮断する段階をさらに含むことを特徴とする方法。
17. 　請求項１１から１６までのいずれか１項に記載された方法において、前記取っ手の前記映像を前記光学センサーに送る段階と、前記取っ手の前記映像を処理し、前記取っ手の近傍に存在する物体を示す信号を発信する段階と、を含むことを特徴とする方法。
18. 　前記送られた映像が別個の立体角により包囲されていることを特徴とする請求項１１から１７までのいずれか１項に記載された方法。