JP7040022B2 - 給紙装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、給紙装置及び画像形成装置に関する。
従来、用紙上に画像を形成する画像形成装置において、用紙を積層状態でストックし、画像形成部に用紙を供給するエアー吸引方式の給紙装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このエアー吸引方式の給紙装置は、用紙積載部に積載された用紙に対して、用紙搬送方向に直交する方向に沿って両側(側端側)から上部の用紙に送風を行って浮上させる側端エアー送風部と、最上部の用紙の搬送方向の先端側から送風を行って、上部の用紙を浮上させるとともに最も上側に位置する用紙とそれ以外の用紙を分離させる先端エアー送風部と、積層された用紙の上方に配置された搬送ベルトにより用紙を吸着しながら搬送方向に送り出す吸着搬送部と、を備える。これらの機構によって最上部の用紙のみを吸着し、他の用紙から確実に分離することで、用紙を一枚ずつ用紙搬送経路上に送り出すことができる。
しかしこのような給紙装置では、長尺紙のように給紙方向に長い用紙の場合、下の用紙と確実に分離するためには、分離エアーを用紙の後端まで届かせる必要がある。分離エアーが弱いと用紙の分離が不十分となり、用紙同士の接触から重送が発生するリスクが高くなるが、逆に分離エアーが強すぎる場合には、用紙が後端側に移動したり用紙に座屈が発生したりする。
このような問題に対し、特許文献2には、用紙の後端位置を規制する後端規制板と吸着搬送部との間の上方に、用紙を加圧する加圧部を設け、分離エアーによって用紙が給紙方向と逆方向に用紙が移動する場合には、加圧部を駆動して給紙方向と逆方向への用紙の移動を規制する構成が開示されている。これにより、上記したような分離エアーが強すぎる場合の課題を解決することができる。
特開2016-117589号公報 特開2012-046278号公報
しかしながら、特許文献2の方法のように、用紙を上方から加圧すると最上部の用紙と下の用紙との間の摩擦力が増大し、連れ送り重送が悪化してしまう。したがって、従来の技術では、分離エアーによる用紙の後端までの分離性と、用紙同士の摩擦力の低減との両立が難しいものであった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、積載された用紙同士の摩擦力を低減し、用紙を確実に分離して重送の発生を抑制可能な給紙装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の給紙装置は、
積層状態で用紙を収容する用紙積載部と、
前記用紙積載部の最上部の用紙の給紙方向の後端側を吸着する後端吸着部と、
用紙を給紙方向に送り出す送出部と、を備え、
前記後端吸着部は、
前記用紙積載部に収容された用紙の用紙面に対して垂直な上下方向に移動可能な可動部と、
用紙を前記可動部に吸着させるための吸着力を発生させる吸着力発生部と、
を備え、
前記可動部は、
用紙を吸着していない場合に、下方に移動して前記用紙積載部の最上部の用紙に接触し、当該用紙を吸着した場合に、上方に移動して当該用紙の後端を他の用紙から離間させるように構成されており、
前記吸着力発生部は、前記可動部と用紙との間に負圧を発生させて前記用紙を吸着させる負圧発生部を備え、
前記負圧発生部による負圧の発生に伴って排気されるエアーを、積載された用紙の後端に吹き付ける吹き付け部を備え
ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給紙装置において、
前記可動部は、自重により下方に移動することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の給紙装置において、
記可動部は、前記負圧発生部により用紙との間に発生した負圧により上方に移動することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の給紙装置において、
前記可動部は、用紙との接触部に吸引孔を備え、
前記吸引孔の閉状態において前記負圧発生部が発生させる負圧による力は、前記可動部の自重による力よりも大きく、前記吸引孔の開状態において前記負圧発生部が発生させる負圧による力は、前記自重による力よりも小さい
ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項からのいずれか一項に記載の給紙装置において、
前記負圧発生部による負圧の発生を制御する負圧制御部を備え、
前記負圧制御部は、積載された用紙の紙種、給紙方向長さ、坪量、環境のうち少なくともいずれか一つに基づいて、前記負圧発生部による負圧の発生の有無及び負圧の大きさを制御する
ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の給紙装置において、
前記可動部の上下方向の移動距離は、積載された用紙の紙種、給紙方向長さ、坪量、環境のうち少なくともいずれか一つに基づいて、変更可能であることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の給紙装置において、
積載された用紙の給紙方向の後端位置を規制する後端位置規制部を備え、
前記後端吸着部は、前記後端位置規制部に設けられている
ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の給紙装置において、
前記後端位置規制部は、用紙の給紙方向に移動可能であり、
前記後端吸着部は、前記後端位置規制部とともに積載された用紙の給紙方向長さに応じて移動する
ことを特徴とする。
請求項に記載の画像形成装置は、
請求項1からのいずれか一項に記載の給紙装置と、
前記給紙装置により給紙された用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える
ことを特徴とする。
本発明によれば、積載された用紙同士の摩擦力を低減し、用紙を確実に分離して重送の発生を抑制可能な給紙装置及び画像形成装置を提供することができる。
本発明に係る画像形成装置を示す全体構成図である。 本発明に係る画像形成装置の制御系を示すブロック図である。 画像形成装置の給紙部の斜視図である。 給紙部の一部を切り欠いた側面図である。 給紙部の送出部と先端吸着部とを示す平面図である。 給紙部の後端吸着部の一部を切り欠いた斜視図である。 後端吸着部を有しない給紙部における用紙の浮上状態を説明する図である。 後端吸着部による用紙の吸着及びグリップ動作を説明する図である。 連続給紙の動作制御のフローチャートである。 連続給紙の動作制御のタイミングチャートである。 連続給紙の動作制御のタイミングチャートである。 本発明に係る後端吸着部の変形例を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
[画像形成装置の概要]
図1は、本発明に係る画像形成装置100の全体構成図、図2は、画像形成装置100の機能構成を示すブロック図である。
図1及び図2に示すように、画像形成装置100は、主に画像形成装置本体100a、画像読取装置SC、自動原稿送り装置DF、画像処理部30、給紙部500及び制御部400から構成されている。なお、制御部400及び給紙部500により給紙装置が構成される。
画像形成装置本体100aは、感光体1、帯電部2、像露光部3、現像部4、転写部5、クリーニング部6等からなる画像形成部110と、定着部7と、用紙搬送系120から構成されている。
用紙搬送系120は、用紙を収容する上下2段の給紙カセット10、10、各々の給紙カセット10から用紙を1枚ずつ給紙する給紙搬送部11、11、給紙搬送部11,11から搬送された用紙を画像形成部110の手前まで搬送する第1搬送部12、第1搬送部12から用紙を定着部7の下流まで搬送する第2搬送部13、排紙トレイ(図示略)へ用紙搬送する排紙部14、第2搬送部13から分岐し再び第1搬送部12に合流する循環再給紙部15、排紙部14と循環再給紙部15との間で用紙搬送を切換える搬送路切換部16、循環再給紙部15から分岐し用紙の表裏を反転する反転排紙部17から構成されている。
また、給紙部500は、上下に並んで配設された三つの第1給紙部50a、第2給紙部50b、第3給紙部50cから構成されている。
[自動原稿送り装置及び画像読取装置]
自動原稿送り装置DFは、原稿台上に載置された原稿dを画像読取装置SCに搬送する。画像読取装置SCは、搬送された原稿dの片面又は両面の画像をイメージセンサーCCDにより読み取る。画像処理部30は、イメージセンサーCCDにより光電変換されたアナログ信号に対して、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、像露光部3に画像信号として送信する。
また、制御部400は、通信部(不図示)から通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で通信可能であり、当該外部の装置から受信した画像信号を、画像処理部30を介して像露光部3に送る場合もある。
[画像形成部]
画像形成部110においては、帯電部2は、感光体1に電荷を付加し、像露光部3は、感光体レーザ光照射により静電潜像を形成し、現像部4は、静電潜像を顕像化させてトナー像を形成する。
そして、給紙カセット10に収容され、給紙搬送部11から搬送された用紙Pは、第1搬送部12のレジストローラー12aでトナー像との同期がとられて搬送される。その後、用紙Pは、転写部5でトナー像が転写されてから定着部7により定着される。
また、給紙カセット10に収容された用紙Pではなく、給紙部500に収容された用紙Pも画像形成装置本体100aに給紙されて、その用紙Pにトナー像が転写されて定着される。
定着後の用紙Pは、第2搬送部13により装置外に排出される。一方、クリーニング部6により感光体1上の転写残のトナーが除去される。なお、両面印刷の場合は、第1面に画像形成された用紙Pは、搬送路切換部16により循環再給紙部15に送り込まれて反転され、再び画像形成部110において第2面に画像形成後、第2搬送部13により装置外に排出される。反転排紙の場合は、通常の排紙通路から分岐した用紙Pは、反転排紙部17においてスイッチバックして表裏反転された後、第2搬送部13により装置外に排出される。
[給紙装置の概要]
図3は、給紙部500の第1給紙部50aの概略を示す斜視図である。第1給紙部50a、第2給紙部50b、第3給紙部50cは、前述したように上下に三つ並んで給紙部500に設けられているが、例えば、これらはいずれも同一の構成からなり、ここでは第1給紙部50aについて説明を行うものとする。
第1給紙部50aは、用紙収容部51、先端エアー送風部52、側端エアー送風部53,54、送出部55、先端吸着部56、後端吸着部57、搬送部58等を備えて構成される。
[用紙収容部とその周囲の構成]
用紙収容部51は、複数の用紙Pを積層状態で載置する水平に向けられた用紙積載部としての用紙積載台511と、用紙積載台511の後方、即ち、給紙方向aの上流側に設けられた後端規制部材512と、用紙積載台511の前方、即ち、給紙方向aの下流側に設けられた先端規制部材513を備えている。
なお、給紙部50における以下の説明では、給紙方向aに直交する水平な方向であって給紙方向aを向いた状態で左手の方向を「左」、給紙方向aに直交する水平な方向であって給紙方向aを向いた状態で右手の方向を「右」とする。
用紙積載台511は、給紙部50において上下動可能に支持されている。
先端規制部材513の上端部は、後端規制部材512の上端部よりもその高さが幾分低くなっている。一方、用紙積載台511は図示しないアクチュエーターにより昇降動作が付与され、当該用紙積載台511に積層された用紙Pの最上部が先端規制部材513の上端部よりも僅かに低い規定高さを維持するように制御部400によりアクチュエーターが制御されている。なお、このアクチュエーターによる高さ制御は、後端規制部材512側に設けられた最上部の用紙Pの高さを検出する図示しないセンサーのセンシングに基づいて行われる。
また、用紙Pの補給等の非給紙時には、用紙積載台511を下降させることが可能となっている。
後端規制部材512は、図示しないアクチュエーターによって昇降動作が付与され、後述するように後端吸着部57と一体となって高さ方向に移動する。なお、用紙Pの補給等の非給紙時に、用紙積載台511を下降させるとともに後端規制部材512を上昇させることが可能である。
また、後端規制部材512は、用紙Pの給紙方向長さに応じて、図示しないアクチュエーターによって給紙方向aに沿っても移動可能に設けられている。
[先端エアー送風部及び側端エアー送風部]
先端規制部材513に隣接し、当該先端規制部材513の給紙方向aの下流側には先端エアー送風部52が設けられている。また、用紙積載台511の左右両側には、それぞれ、側端エアー送風部53、54が設けられており、この側端エアー送風部53、54の内側側面は、平滑且つ垂直方向に沿っており、用紙の左右方向の位置を規制する規制部材として機能する。
先端エアー送風部52及び側端エアー送風部53、54の内部には、それぞれ送風ファン521、531、541が設けられており、送風口522(図4参照)、532、542からエアーを送風するよう構成されている。先端エアー送風部52及び側端エアー送風部53,54は、エアー送風部として機能する。
図4は用紙積載台511において最上部の用紙Pの給紙方向aの先端部の周囲の構成を示した断面図である。
先端エアー送風部52は、給紙方向aの下流側の方向よりも幾分上側に傾斜した方向に向かって送風口522から送風するためのノズル523を備えている。先端エアー送風部52は、ノズル523の内部に図示しない切換え弁を有し、エアーの送風方向を上方送風又は下方送風の2段階に切り換え可能である。下方に向かって送風する場合には、積載された用紙Pの端面にエアーを吹き付けることとなり、浮上効果が高い。上方に向かって送風する場合には、浮上した用紙Pの先端にエアーを吹き付けることとなり、最上部の用紙Pと、当該用紙Pとともに浮上したその下の用紙とを分離させる、所謂さばき効果が高い。
側端エアー送風部53、54は、図3に示すように、規制高さに位置する最上部の用紙Pの左側と右側とから当該用紙Pに向かって水平方向又は水平方向よりも幾分上側に傾斜下方向に送風するためのノズル533,543を備えている。各ノズル533,543の送風口532,542は、規制高さに位置する最上部の用紙Pに対してその上縁部が高く、その下縁部が低くなるように形成されている。
これにより、側端エアー送風部53、54の各送風口532,542から送風を行うことによって、積層状態にある上部の用紙Pにエアーを当てて、上部の用紙Pを上昇させることを可能としている。
先端エアー送風部52による下方送風及び側端エアー送風部53,54による送風は、積載された用紙Pを浮上させるための浮上エアーとして機能する。なお、浮上エアーは先端エアー送風部52による下方送風又は側端エアー送風部53,54による送風のどちらか一方であってもよい。
先端エアー送風部52による上方送風は、浮上した用紙Pを最上部の用紙Pとその下の用紙とに分離するための分離エアーとして機能する。
[送出部及び吸着部]
図5は送出部55及び先端吸着部56の平面図である。図3~図5に示すように、用紙積載台511の上方には、送出部55が設けられている。なお、図3ではこの送出部55は周囲の構成が隠れないように矢印に示す位置にずらして図示しているが、実際には、図4に示すように用紙積載台511の給紙方向aの下流側端部の上方に配置されている。
送出部55は、給紙方向aに直交する水平方向に並んだ四組のベルト機構と、これらのベルト機構を駆動する給紙駆動源となるモーター551と、各ベルト機構とモーター551との間に介在する伝達ギア列552とを備えている。
各ベルト機構は、給紙方向aの上流側に設けられた大径のローラー553と、給紙方向aの下流側に設けられた二つの小径のローラー554,555と、これらのローラー553,554,555に掛け渡されたベルト556とを備えている。そして、各ベルト機構の大径のローラー553に対して、各ベルト556の下部が給紙方向aに向かって進む方向にモーター551からトルクが付与される。なお、各ローラー553,554,555に替えてスプロケットを使用しても良い。
また、各ベルト556は、その全面に渡って表裏を貫通する複数の小孔が形成されており、後述する先端吸着部56の吸引により、各小孔を介して各ベルト556の下部に用紙Pを吸着することが可能となっている。
ベルト機構の給紙方向aの上流側には、各ベルト556に対する用紙の吸着を検出する吸着検出部557が装備されている。この吸着検出部557は、揺動可能に支持された略棒状の検出体557aと、光感受式のセンサー557bとを備えている。
検出体557aは、一端部がベルト556の下部よりも下側に突出しており、当該ベルト556に用紙Pが吸着すると検出体557aが揺動してその一端部が上方に押し戻されるようになっている。そして、検出体557aの他端部は一端部が上方に押し戻されたときに下降して、丁度、センサー557bを遮蔽する配置となっており、センサー557bは遮蔽による受光量の変化を制御部400に入力し、制御部400に対して用紙Pの吸着を認識させる。
先端吸着部56は、図3~図5に示すように、一端部が送出部55の各ベルト556の内側に挿入された状態で配置された第1ダクト561と、第1ダクト561の他端部において当該第1ダクト561内を負圧とする第1ファン562とを備えている。
第1ダクト561は、各ベルト556に挿入される一端部側が略直方体形状に形成されており、その下部に第1開口部561aが形成されている。そして、第1ファン562により第1ダクト561内を負圧とすることにより、第1開口部561aから外気の吸引を行うことが可能となっている。
第1ダクト561は、その第1開口部561aが四つのベルト556の下部を跨がるように配置されており、各ベルト556の第1開口部561aに対応する範囲が用紙に対する第1吸着領域Bとなっている。
図6は、後端吸着部57の一部を切り欠いた斜視図である。後端吸着部57は、図6に示すように、後端規制部材512の上端部分に固定されており、最上部の用紙Pの後端に接触するように配置され負圧による上昇及び自重による下降が可能に設けられた可動部571と、一端部が可動部571と連結された第2ダクト572と、第2ダクト572の他端部において当該第2ダクト572内を負圧とする第2ファン573とを備えている。
可動部571は、有底の四角筒状体であり、最上部の用紙Pに接触する一端部側の底部571aの中央に円形の第2開口部571bが形成されており、第2開口部571bは用紙に対する第2吸着領域Cを形成する。第2ファン573が回転すると、第2開口部571bから図中Dの方向に外気が吸引され、図中Eの方向に排気される。即ち、第2ファン573の回転により、第2開口部571bが用紙Pに吸着することで、第2ダクト572内が負圧となる。
また、可動部571の壁面には一又は複数のピン571cが設けられている。ピン571cは、第2ダクト572に設けられた窓孔572aに挿通され、窓孔572aによって高さ方向の移動範囲が規制される。即ち、可動部571は、図6(A)に示すように第2開口部571bが用紙積載台511上の最上部の用紙Pに接する位置と、図6(B)に示すように第2開口部571bが用紙積載台511に積載された用紙から最も遠ざかった位置と、の間を移動可能に設けられている。
ここで、給紙時における送出部55、先端吸着部56、後端吸着部57の動作について説明する。
先端エアー送風部52及び側端エアー送風部53,54によって浮上エアーが吹き付けられ、用紙積載台511上の上部の一又は複数枚の用紙Pが浮上すると、送出部55と先端吸着部56は、第1吸着領域Bに生じる吸引力によって浮上した最上部の用紙Pの先端部分を各ベルト556の下部に吸着する。
一方で、後端吸着部57は、可動部571の第2開口部571bが最上部の用紙Pに接触した状態において、第2吸着領域Cに生じる吸引力によって用紙Pの後端部分を可動部571に吸着させる。第2ダクト572内の負圧による力が可動部571の重量及び最上部の用紙Pの後端部分の重量よりも大きくなることで、可動部571が上昇して用紙の後端側を持ち上げる。
この状態で、送出部55における各ベルト556の回転駆動により、給紙方向aに向かって用紙Pを送り出すことを可能としている。
[搬送部]
図4に示すように、送出部55に近接して、その給紙方向aの下流側には、搬送部58が配設されている。この搬送部58は、ベルト556の下部から送り出される用紙Pを挿入可能な挿入ガイド部581と、当該挿入ガイド部581の途中に設けられ、用紙Pを挟んで給紙方向aの下流側に搬送する大小の搬送ローラー582,583と、当該搬送ローラー582,583の回転駆動させる駆動源としてのモーター(図示略)と、挿入ガイド部581への用紙Pの先端部の到達及び用紙Pの後端部の通過を検出する光学式又は接触式のセンサーである用紙検出部584とを備えている。
挿入ガイド部581は、給紙方向aの上流側の端部が上下に広く開口し、給紙方向aに向かうに連れてその上下幅が狭くなる形状に形成されており、給紙方向aの上流側の端部は画像形成装置本体100aに向かう用紙Pの搬送路につながっている。
大径の搬送ローラー582と小径の搬送ローラー583は互いに接触するように配置され、挿入ガイド部581を通過する用紙Pが搬送ローラー582と小径の搬送ローラー583との間を通過するように挿入ガイド部581に設けられている。
大径の搬送ローラー582は図示しないモーターを駆動源とし、当該モーターは制御部400により駆動を制御される。小径の搬送ローラー583は大径の搬送ローラー582に接触しているので、当該大径の搬送ローラー582とは逆回転のトルクが伝達され、供回りを行うようになっている。
用紙検出部584は、各搬送ローラー582、583に近接してその給紙方向aの上流側に配置されており、当該用紙検出部584の位置において、用紙Pの有無を検出し、その検出結果を随時、制御部400に入力する。即ち、制御部400は、用紙Pが無い状態からある状態に検出状態が変化した場合には、用紙Pの先端部が用紙検出部584の位置に到達したことを認識し、用紙Pがある状態から無い状態に検出状態が変化した場合には、用紙Pの後端部が用紙検出部584の位置を通過したことを認識する。
なお、用紙Pの先端部とは用紙Pにおける給紙方向aの下流側の端部を示し、用紙Pの後端部とは用紙Pにおける給紙方向aの上流側の端部を示す。
[制御部]
制御部400は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403等を備えて構成されている。CPU401は、ROM402から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM403に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置100の各ブロック(画像読取装置SC、自動原稿送り装置DF、画像処理部30、画像形成装置本体100a、給紙部500等)の動作を集中制御する。このとき、記憶部410に格納されている各種データが参照される。記憶部410は、例えば不揮発性の半導体メモリー(いわゆるフラッシュメモリー)や、ハードディスクドライブで構成される。
なお、制御部400はエアー制御部及び吸着制御部として機能する。
また、制御部400は、不図示のLANカード等の通信制御カードからなる通信部を備えており、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行うことができる。
[給紙装置の給紙制御:後端吸着部によるさばき制御]
上記制御部400による給紙部500の第1給紙部50aに対する給紙制御について説明する。なお、第2給紙部50b及び第3給紙部50cに対しても同様の給紙制御が実行される。
まず、給紙動作における浮上エアーの送風量と用紙Pの分離精度との関係について、図7に基づいて説明する。
給紙部50は、給紙動作を開始すると、先端エアー送風部52及び側端エアー送風部53,54によって浮上エアーを吹き付けて上部の用紙Pを浮上させ、各ベルト556の下部に吸着させて搬送部58側に送り出す。
このとき、浮上エアーの送風量が不十分な場合には、図7(A)に示すように、最上部の用紙Pの後端まで届かず浮上させることができないため、下の用紙との接触から連れ送り重送が発生しやすくなる。
また、浮上エアーの送風が強すぎる場合には、図7(B)に示すように、最上部の用紙Pは浮上してベルト556の下部に吸着しても、2枚目以降の用紙Pに座屈が生じる場合がある。
このように用紙の後端の浮上を、先端エアー送風部52及び側端エアー送風部53,54によるエアーの吹き付けのみによって制御することは困難であるため、用紙Pの後端を後端吸着部57によって持ち上げることによって、後端の分離を補助する。
これについて、図8を用いて詳細に説明する。以下の説明では、最上部の用紙をP0,その下の次紙をP1と表記する。
図8(A)に示すように、給紙動作の開始時には、後端吸着部57の可動部571は下降した位置で、最上部の用紙P0に接触している。給紙動作を開始すると、制御部400の制御下で第2ファン573を稼働させて第2ダクト572内を負圧にすると、第2開口部571bから外気が吸引されることにより可動部571に用紙P0が吸着される。
用紙P0を吸着すると、図8(B)に示すように、第2ダクト572内の負圧が高くなり可動部571の重量及び最上部の用紙P0の後端部分の重量を上回ると、可動部571は用紙P0を吸着したまま上昇し、最上部の用紙P0の後端が持ち上げられた状態となる。これにより、最上部の用紙P0の後端と次紙P1の後端とが分離される。
図8(C)に示すように、最上部の用紙P0が搬送され後端側が可動部571を抜けると、第2開口部571bが開状態となる。吸着が解除されると、第2ダクト572内の負圧が低くなって可動部571は自重により下降し、次紙P1の後端上面に接触する。
図8(D)に示すように、可動部571が下降して次紙P1の上面に接触すると、第2開口部571bから外気が吸引されることによって、可動部571に次紙P1が吸着される。可動部571が吸着するとグリップ力が働くため、次紙P1が最上部の用紙P0につられて重送することを防止できる。
次紙P1に可動部571が吸着した後、最上部の用紙P0の搬送中に、第2ダクト572内の負圧が高くなることで、図8(E)に示すように可動部571が上昇し、次紙P1の後端を持ち上げて保持する。最上部の用紙P0が搬送部58を抜けるのを待たずに次紙P1のさばき動作を開始するため、待機時間を減らし生産効率を上げることができる。
また、本実施形態においては、制御部400はエアー制御部として機能し、後端吸着部57が用紙Pを吸着した後、先端エアー送風部52及び側端エアー送風部53,54によって浮上エアーを送風するタイミングを、積載された用紙Pの紙種、給紙方向長さ、坪量、環境のうち少なくともいずれか一つに基づいて切り替える。例えば再生紙などの表面の粗い用紙は分離しやすく、コート紙などの密着性の高い用紙は分離しにくいなど、用紙Pの分離のしやすさは紙種によって異なる。また、給紙方向長さは長い程、坪量は小さい程分離しにくい。さらに、高湿環境下など用紙Pが水分を含み個々の用紙Pの密着性が上がる状況下では、分離しにくくなる。したがって、分離しにくい用紙程送風タイミングを遅くすることで、後端吸着部57によって用紙Pを持ち上げて保持する時間が長くなるため、分離性が向上する。このような条件に応じて浮上エアーの送風タイミングを変動させることで、より分離性を高めることができる。
さらに、制御部400は、エアー制御部として積載された用紙の紙種、給紙方向長さ、坪量、環境のうち少なくともいずれか一つに基づいて、先端エアー送風部52及び側端エアー送風部53,54による浮上エアーの吹き付けの有無及び送風量を決定する。これにより、分離性の高い用紙Pに対しては浮上エアーを吹き付けないようにするなど、用紙に与えるダメージを軽減するとともに、不要な電力の消費を抑えることが可能である。
また、側端エアー送風部53,54は、給紙動作開始から吸着検出部557による用紙Pの先端部分の吸着が検出されるまでは浮上エアーの送風を行い、検出後には送風を停止することで、先端エアー送風部52による分離エアーの気流を安定させることができる。
[給紙装置の連続給紙の動作制御の流れ]
給紙装置の連続給紙の動作制御の流れについて図9のフローチャートと図10のタイミングチャートとに基づいて説明する。図10(A)は浮上エアーの送風中に後端吸着部57による吸着を行わない場合のタイミングチャートであり、図10(B)は浮上エアーの送風中に後端吸着部57による吸着を行う場合のタイミングチャートである。
連続給紙の一枚目の最上部の用紙P0については、先行する用紙がベルト556に吸着した状態にないため、給紙の起動要求を受けると、制御部400は、即座に印刷条件に応じて浮上エアーの送風タイミング及び送風量を決定する(ステップS1)。ここで、印刷条件とは上記したように用紙Pの紙種、給紙方向長さ、坪量、環境を指し、制御部400はこれらのうち少なくともいずれか一つに基づいて決定する。なお、印刷条件と浮上エアーの送風タイミング及び送風量とは、予めテーブル化され記憶部410によって記憶されている。また、印刷条件はユーザーが自ら入力してもよく、あるいは湿度検知センサーによって検知された環境情報や、ジョブ情報を参照して制御部400が決定するものとしてもよい。
続いて、先端エアー送風部52の送風方向を下方送風に設定し、先端エアー送風部52及び側端エアー送風部53,54により浮上エアーの送風を開始する。これにより、用紙積載台511の最上部の用紙P0が浮上し、ベルト556の第1吸着領域Bに吸着される。一方で、制御部400は、後端吸着部57の第2ファン573の駆動を開始し、最上部の用紙P0の後端が第2吸着領域Cに吸着され、可動部571は第2ダクト572の内部の負圧が可動部571の重量及び最上部の用紙P0の後端部分の重量を上回ると上昇を開始する(ステップS2,図10(A),(B)の(t1))。
制御部400は、吸着検出部557が用紙検出を示す「ON」状態となったか否かを判定し(ステップS3)、「ON」状態ではないと判定すると(ステップS3:NO)、ステップS3の判定を繰り返し実行する。
続いて制御部400は、吸着検出部557により用紙Pが検出されると(ステップS3:YES)、先端エアー送風部52の送風方向を上方送風に切り換えて分離エアーの送風を開始し、側端エアー送風部53,54による送風を停止させる(ステップS4,図10(A)、(B)の(t2))。これにより、浮上した用紙Pの端部に分離エアーが吹き付けられ、さばき効果が高まり、用紙Pが完全に次紙P1から分離される。
そして、制御部400は、送出部55を起動し最上部の用紙Pを給紙方向aに送出する(ステップS5,図10(A),(B)の(t3))。
送出部55による送出に伴って、最上部の用紙Pの後端が後端吸着部57を抜けると、第2開口部571bが開状態となることで、第2ダクト572内の負圧が低下して可動部571が自重により下降を開始する(ステップS6,図10(B)の(t4))。
可動部571が下降することによって次紙P1の後端が第2吸着領域Cに吸着されると、第2ダクト572の内部の負圧が高くなることで可動部571が再び上昇を開始する(ステップS7,図10(B)の(t5))。これにより、次紙P1の後端が持ち上げられた状態となり、その下の用紙と分離される。
続いて、制御部400は、先端エアー送風部52の送風方向を下方送風に切り換え、先端エアー送風部52及び側端エアー送風部53,54により浮上エアーの送風を開始する(ステップS8,図10(A),(B)の(t6))。これにより、次紙P1の先端が用紙積載台511の最上部の用紙Pが浮上し、ベルト556の第1吸着領域Bに吸着される。
制御部400は、吸着検出部557が用紙Pの後端が送出部を抜けたことを示す「OFF」状態となったか否かを判定し(ステップS9)、「OFF」状態ではないと判定すると(ステップS9:NO)、ステップS9の判定を繰り返し実行する。
続いて、制御部400は、吸着検出部557が「OFF」状態であると判定すると(ステップS9:YES)、送出部55の駆動を停止する(ステップS10,図10(A),(B)の(t7))。
続いて、制御部400は、最上部の用紙Pが当該給紙動作における最終ページであるか否かを判定する(ステップS11)。制御部400は、最終ページではないと判定すると(ステップS11:NO)、ステップS2へと戻り次紙P1の給紙動作を続行するが、最終ページであると判定すると(ステップS11:YES)、給紙制御を終了する。
[本実施形態の技術的効果]
本実施形態に係る画像形成装置100に搭載した給紙部500においては、用紙Pのさばき効果を増大させることができる。
これについて、図10のタイミングチャートを用いて説明する。最上部の用紙P0の後端が後端吸着部57による吸着を抜けると、後端吸着部57はその次紙P1の後端に吸着しグリップする。したがって、最上部の用紙P0の搬送開始時点(図10(A)、(B)の(t3))から、次紙P1を浮上させる時点(図10(A),(B)の(t6))までの時間(図10(A),(B)の(T1))を短縮することができる。
また、後端吸着部57による後端吸着が次紙P1のグリップを兼ねているため、次紙P1に対して浮上エアーの吹き付けを開始させる時点(図10(A),(B)の(t6))を最上部の用紙P0を送出部55によって送出している最中まで早めることができ、最上部の用紙P0が送出部55を抜けた時点(図10(A),(B)の(t7))から分離エアーの吹き付けを開始することができる。以降の用紙Pに対しても同様の効果が得られる。
ここで、最上部の用紙P0の搬送開始時点(図10(A),(B)の(t3))から次紙P1の搬送開始時点(図10(A),(B)の(t8))までの時間(図10(A),(B)の(T1)、(T2)、(T3)の合計時間)を従来技術と同一とすると、次紙P1に対する浮上効果を付与している時間(図10(A),(B)の(T2))に対して、用紙Pに対してさばき効果を付与している時間(図10(A),(B)の(T3))を長くすることができる。したがって、本発明によれば、積載された用紙同士の摩擦力を低減し、用紙を確実に分離して重送の発生を抑制することができる。
なお、上記実施形態においては、上述したようにさばき効果を増大させることができるが、さばき効果を付与する時間を従来技術と同等とすることにより、生産性を向上させることが可能となる。
これについて、図11のタイミングチャートを用いて説明する。図10のタイミングチャートと同様に、本実施形態においては、T1及びT2を短縮することができる。ここで、T3を従来技術における時間と同じとすることで、次紙P1の搬送開始時点(図10(A)、(B)の(t8))を従来技術よりも早めることができる。即ち、用紙Pの搬送開始のタイミングを早めることで、待機時間を削減し生産性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る給紙部500においては、可動部571は用紙Pが後端吸着部57を抜けると自重により下降する。したがって、可動部571を下降させるための個別の機構を要しないため、簡易な構成で本発明の効果を得られる。
また、本実施形態に係る給紙部500においては、可動部571は用紙Pを吸着した場合に第2ファン573によって発生した負圧により上昇する。したがって、可動部571を上昇させるための個別の機構を要しないため、簡易な構成で本発明の効果を得られる。
また、本実施形態に係る給紙部500においては、制御部400により、可動部571は用紙Pとの接触部に第2開口部571bを備え、用紙Pの吸着状態における負圧による力が可動部571の自重よりも大きく、また用紙Pを吸着していない状態における負圧による力が可動部571の自重よりも小さくなるように制御される。したがって、可動部571の上昇及び下降を適正に制御することができる。
また、本実施形態に係る給紙部500においては、積載された用紙の給紙方向の後端位置を規制する後端規制部材512を備え、後端吸着部57は、前記後端規制部材512と一体的に設けられている。したがって、後端吸着部57はあまり場所を取らず省スペースである。
また、本実施形態に係る給紙部500においては、後端規制部材512は用紙Pの給紙方向aに移動可能であり、後端吸着部57は、後端規制部材512とともに積載された用紙Pの給紙方向aの長さに応じて移動する。したがって、用紙Pのサイズによらず確実に後端を吸着することができる。
[変形例]
以下、後端吸着部57の変形例について説明する。
図12に示すように、変形例に係る後端吸着部57は、第2ダクト572に、積載された用紙Pの後端側に対向するように設けられた吹き付け部としての排気口572bを有し、第2ファン573により発生したエアー図中Fの方向に排気し、積載された用紙の後端に吹き付ける。即ち、可動部571による用紙Pの後端側の浮上と、排気口573bからのエアーの吹き付けとを同時に実施することにより、さばき効果を強化することができる。
[その他]
上記実施形態に加えて、分離エアー及び浮上エアーの送風量を、用紙の紙種、坪量、用紙サイズ等に応じて切り替えてもよい。即ち、厚紙等の浮上しにくい用紙の給紙時には、分離エアー及び浮上エアーの送風量を大きくすることで浮上効果を高め、浮上しやすいが撓みやすい薄紙の給紙時には、分離エアー及び浮上エアーの送風量を小さくすることで用紙に与えるダメージを軽減することができる。
また、上記実施形態では、給紙状況に応じて分離エアーを上方送風又は下方送風に切り換えるものとしたが、紙種等に応じて常時上方送風又は下方送風としてもよい。例えば、用紙が下側に凸となるカールを有する場合、分離エアーを上方送風とすると最上部の用紙に下の用紙を押し付けてしまう場合があり、さばきに対して逆効果となってしまう。したがって、このような場合には分離エアーを常時下方送風として、さばきは後端吸着部57による後端側の持ち上げのみによって行うことが有効である。
また、上記実施形態において、用紙の紙種、坪量、用紙サイズ、環境等に応じて第2ファン573の風量及び負圧を変更するものとしてもよい。即ち、例えば、浮上しにくい厚紙の給紙時には負圧を大きくして後端の浮上アシストを強化し、浮上しやすいが撓みやすい薄紙の給紙時には負圧を小さくすることで後端の吸着による用紙へのダメージを軽減することができる。
また、上記実施形態においては、可動部571が上昇して停止する位置を、ピン571cが窓孔572aに突き当たった位置として一律に設定するものとしたが、これに限定されない。窓孔572aによってピン571cの高さを多段階に切り換え可能とし、可動部571の高さ方向の移動が多段階に制御可能としてもよい。これにより、例えば用紙が給紙方向に長く、用紙同士の摩擦が大きい場合には、短い用紙の給紙時よりも上限位置を高くして最上部の用紙とその下の用紙とができるだけ離れるようにするなど、用紙条件に応じて上限位置を設定することが可能となる。
あるいは、後端規制部材512の高さ方向の移動を多段階に制御によって、用紙条件に応じて可動部571の上限位置を設定するものとしてもよい。
また、上記実施形態においては、可動部571は負圧によって上昇するものとしたが、これに限定されず、ソレノイド等のアクチュエーターによって駆動されて上昇するものとしてもよい。
また、上記実施形態においては、可動部571は自重によって下降するものとしたが、これに限定されず、バネ等の付勢部材によって下降するものとしてもよい。
また、上記実施形態においては、吸着力発生部として負圧を利用したものを開示したが、これに限定されず、例えば静電気を利用してもよく、可動部571に用紙を吸着できるものであればどのようなものであってもよい。
[他の実施形態]
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、上記の実施形態は本発明の好適な例であり、これに限定されない。
例えば、上記実施形態では、感光体ドラムに形成された画像を中間転写ローラーに一次転写し、中間転写ローラーから二次転写ローラーにより用紙に画像を転写するカラーの画像形成装置を例にとり説明したが、本発明は、感光体ドラムから転写ローラーにより直接用紙に画像を転写するモノクロの画像形成装置においても適用可能である。
また、上記実施形態においては、電子写真方式の画像形成装置を例に用いて説明したが、インクジェット式の画像形成装置にも本発明に係る給紙装置を適用することが可能である。
また、上記実施形態においては、エアーによって吸着搬送する給紙装置を例に用いて説明したが、給紙ローラーによる摩擦分離方式の給紙装置にも本発明を適用することが可能である。
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の主旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
100 画像形成装置
100a 画像形成装置本体
400 制御部(負圧制御部)
410 記憶部
500 給紙部
50a 第1給紙部
50b 第2給紙部
50c 第3給紙部
51 用紙収容部
511 用紙積載台(用紙積載部)
512 後端規制部材(後端位置規制部)
513 先端規制部材
52 先端エアー送風部
53,54 側端エアー送風部
55 送出部
56 先端吸着部
57 後端吸着部
571 可動部
571a 底部
571b 第2開口部(吸引孔)
571c ピン
572 第2ダクト
572a 窓孔
572b 排気口(吹き付け部)
573 第2ファン(吸着力発生部、負圧発生部)
58 搬送部
P 用紙

Claims (9)

  1. 積層状態で用紙を収容する用紙積載部と、
    前記用紙積載部の最上部の用紙の給紙方向の後端側を吸着する後端吸着部と、
    用紙を給紙方向に送り出す送出部と、を備え、
    前記後端吸着部は、
    前記用紙積載部に収容された用紙の用紙面に対して垂直な上下方向に移動可能な可動部と、
    用紙を前記可動部に吸着させるための吸着力を発生させる吸着力発生部と、
    を備え、
    前記可動部は、
    用紙を吸着していない場合に、下方に移動して前記用紙積載部の最上部の用紙に接触し、当該用紙を吸着した場合に、上方に移動して当該用紙の後端を他の用紙から離間させるように構成されており、
    前記吸着力発生部は、前記可動部と用紙との間に負圧を発生させて前記用紙を吸着させる負圧発生部を備え、
    前記負圧発生部による負圧の発生に伴って排気されるエアーを、積載された用紙の後端に吹き付ける吹き付け部を備え
    ことを特徴とする給紙装置。
  2. 前記可動部は、自重により下方に移動することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
  3. 記可動部は、前記負圧発生部により用紙との間に発生した負圧により上方に移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の給紙装置。
  4. 前記可動部は、用紙との接触部に吸引孔を備え、
    前記吸引孔の閉状態において前記負圧発生部が発生させる負圧による力は、前記可動部の自重による力よりも大きく、前記吸引孔の開状態において前記負圧発生部が発生させる負圧による力は、前記自重による力よりも小さい
    ことを特徴とする請求項3に記載の給紙装置。
  5. 前記負圧発生部による負圧の発生を制御する負圧制御部を備え、
    前記負圧制御部は、積載された用紙の紙種、給紙方向長さ、坪量、環境のうち少なくともいずれか一つに基づいて、前記負圧発生部による負圧の発生の有無及び負圧の大きさを制御する
    ことを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の給紙装置。
  6. 前記可動部の上下方向の移動距離は、積載された用紙の紙種、給紙方向長さ、坪量、環境のうち少なくともいずれか一つに基づいて、変更可能であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の給紙装置。
  7. 積載された用紙の給紙方向の後端位置を規制する後端位置規制部を備え、
    前記後端吸着部は、前記後端位置規制部に設けられている
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の給紙装置。
  8. 前記後端位置規制部は、用紙の給紙方向に移動可能であり、
    前記後端吸着部は、前記後端位置規制部とともに積載された用紙の給紙方向長さに応じて移動する
    ことを特徴とする請求項に記載の給紙装置。
  9. 請求項1からのいずれか一項に記載の給紙装置と、
    前記給紙装置により給紙された用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える
    ことを特徴とする画像形成装置。
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