以下、本発明に係る制御装置及び制御方法の一例について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態で説明する構成及び動作はあくまでも一例である。本発明は、以下の実施の形態で説明する構成及び動作に限定されない。例えば、以下では、ブレーキシステムが、3つのホイールシリンダを有している場合を説明しているが、他の数のホイールシリンダを有していてもよい。
また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略するか、又は、同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。また、以下の図では、描画が省略されている構成要素を指し示す場合、破線の引き出し線を用いて指し示すこととする。
実施の形態.
以下に、実施の形態に係る制御装置、及び該制御装置が搭載されるモータサイクルの一例について説明する。
<制御装置、及び該制御装置が搭載されるモータサイクルの概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る制御装置が搭載されるモータサイクルの構成を示す図である。図2は、本発明の実施の形態に係る制御装置が搭載されるモータサイクルのブレーキシステムの構成を示す図である。図3は、本発明の実施の形態に係る制御装置が搭載されるモータサイクルの主要部のシステム構成を示す図である。なお、図2では、前輪3の両側面が並べて図示されている。
図1及び図2に示されるように、ブレーキシステム10は、モータサイクル(つまり、自動二輪車、又は、2つの前輪と1つの後輪を備えている自動三輪車)100に搭載される。モータサイクル100は、胴体1と、胴体1に旋回自在に保持されているハンドル2と、胴体1にハンドル2と共に旋回自在に保持されている前輪3と、胴体1に回動自在に保持されている後輪4と、を含む。
ブレーキシステム10は、フロントブレーキ操作部11と、少なくともフロントブレーキ操作部11に連動して前輪3を制動する前輪制動機構12と、リアブレーキ操作部13と、少なくともリアブレーキ操作部13に連動して後輪4を制動する後輪制動機構14と、を含む。
フロントブレーキ操作部11は、ハンドル2に設けられており、使用者の手によって操作される。フロントブレーキ操作部11は、例えば、ブレーキレバーである。リアブレーキ操作部13は、胴体1の下部に設けられており、使用者の足によって操作される。リアブレーキ操作部13は、例えば、ブレーキペダルである。
前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれは、ピストン(図示省略)を内蔵しているマスタシリンダ21と、マスタシリンダ21に付設されているリザーバ22と、胴体1に保持され、ブレーキパッド25が設けられているブレーキキャリパ23と、ブレーキキャリパ23に設けられているホイールシリンダ24と、マスタシリンダ21のブレーキ液をホイールシリンダ24に流通させる主流路26と、ホイールシリンダ24のブレーキ液を逃がす副流路27と、マスタシリンダ21のブレーキ液を副流路27に供給する供給流路28と、を含む。
主流路26には、込め弁(EV)31が設けられている。副流路27は、主流路26のうちの、込め弁31に対するホイールシリンダ24側とマスタシリンダ21側との間を、バイパスする。副流路27には、上流側から順に、弛め弁(AV)32と、アキュムレータ33と、ポンプ34とが、設けられている。主流路26のうちの、マスタシリンダ21側の端部と、副流路27の下流側端部が接続される箇所と、の間には、第1弁(USV)35が設けられている。供給流路28は、マスタシリンダ21と、副流路27のうちのポンプ34の吸込側と、の間を連通させる。供給流路28には、第2弁(HSV)36が設けられている。
込め弁31は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。弛め弁32は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。第1弁35は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。第2弁36は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。
込め弁31、弛め弁32、アキュムレータ33、ポンプ34、第1弁35、第2弁36等の部材と、それらの部材が設けられ、主流路26、副流路27及び供給流路28を構成するための流路が内部に形成されている基体51と、制御装置(ECU)60と、によって、液圧制御ユニット50が構成される。液圧制御ユニット50は、ブレーキシステム10において、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧、つまり、前輪制動機構12に生じさせる前輪3のブレーキ力、及び、後輪制動機構14に生じさせる後輪4のブレーキ力を制御する機能を担うユニットである。
各部材が、1つの基体51に纏めて設けられていてもよく、また、複数の基体51に分かれて設けられていてもよい。また、制御装置60は、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。また、制御装置60は、基体51に取り付けられていてもよく、また、基体51以外の他の部材に取り付けられていてもよい。また、制御装置60の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
制御装置60は、通常ブレーキ制御時、込め弁31、弛め弁32、第1弁35及び第2弁36を以下のように制御する。通常ブレーキ制御とは、前輪3に対するブレーキ力の発生を要求するフロントブレーキ操作部11が操作された際、前輪3のみにブレーキ力を発生させる制御である。また、通常ブレーキ制御とは、後輪4に対するブレーキ力の発生を要求するリアブレーキ操作部13が操作された際、後輪4のみにブレーキ力を発生させる制御である。
詳しくは、通常ブレーキ制御時、制御装置60によって、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖される。その状態で、フロントブレーキ操作部11が操作されると、前輪制動機構12において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23に設けられているブレーキパッド25が前輪3のロータ3aに押し付けられる。これにより、前輪3にブレーキ力が発生し、前輪3が制動される。また、リアブレーキ操作部13が操作されると、後輪制動機構14において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増加し、ブレーキキャリパ23に設けられているブレーキパッド25が後輪4のロータ4aに押し付けられる。これにより、後輪4にブレーキ力が発生し、後輪4が制動される。
すなわち、本実施の形態に係るブレーキシステム10において、車輪を制動するための摩擦力を発生する機構である摩擦制動機構29は、車輪に設けられたロータ、ロータに押し付けられるブレーキパッド25、及びブレーキパッド25が設けられたブレーキキャリパ23等で構成されている。換言すると、本実施の形態に係る摩擦制動機構29は、ロータ、ブレーキパッド25及びブレーキキャリパ23を備えている。詳しくは、前輪3を制動するための摩擦力を発生する摩擦制動機構29は、前輪3のロータ3a、前輪制動機構12のブレーキパッド25、及び前輪制動機構12のブレーキキャリパ23を備えている。また、後輪4を制動するための摩擦力を発生する摩擦制動機構29は、後輪4のロータ4a、後輪制動機構14のブレーキパッド25、及び後輪制動機構14のブレーキキャリパ23を備えている。以下では、前輪3を制動するための摩擦力を発生する摩擦制動機構29を、前輪3の摩擦制動機構29と称することとする。また、後輪4を制動するための摩擦力を発生する摩擦制動機構29を、後輪4の摩擦制動機構29と称することとする。
なお、本実施の形態に係るブレーキシステム10では、ディスクブレーキ式の摩擦制動機構29となっている。しかしながら、摩擦制動機構29は、ディスクブレーキ式に限定されない。例えば、摩擦制動機構29がドラムブレーキ式の場合、摩擦制動機構29は、車輪に設けられたブレーキドラム、及びブレーキドラムに押し付けられるブレーキシュー等で構成される。
また、制御装置60は、連動ブレーキ制御も行う。連動ブレーキ制御とは、フロントブレーキ操作部11が操作された際、前輪3にブレーキ力を発生させると共に、リアブレーキ操作部13が操作されていなくとも、後輪4にブレーキ力を発生させる制御である。以下、当該連動ブレーキ制御を第1連動ブレーキ制御と称する。また、連動ブレーキ制御とは、リアブレーキ操作部13が操作された際、後輪4にブレーキ力を発生させると共に、フロントブレーキ操作部11が操作されていなくとも、前輪3にブレーキ力を発生させる制御である。以下、当該連動ブレーキ制御を第2連動ブレーキ制御と称する。
例えば、制御装置60は、連動ブレーキ制御時、込め弁31、弛め弁32、第1弁35、第2弁36及びポンプ34を以下のように制御する。第1連動ブレーキ制御時、前輪制動機構12において、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖される。そして、第1連動ブレーキ制御時、後輪制動機構14において、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が閉鎖され、第2弁36が開放された状態で、ポンプ34が駆動される。また、第2連動ブレーキ制御時、後輪制動機構14において、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖される。そして、第2連動ブレーキ制御時、前輪制動機構12において、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が閉鎖され、第2弁36が開放された状態で、ポンプ34が駆動される。
図2及び図3に示されるように、ブレーキシステム10は、マスタシリンダ圧センサ41と、ホイールシリンダ圧センサ42と、前輪回転速度センサ43と、後輪回転速度センサ44と、を含む。
マスタシリンダ圧センサ41は、マスタシリンダ21のブレーキ液の液圧を検出する。マスタシリンダ圧センサ41が、マスタシリンダ21のブレーキ液の液圧に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。マスタシリンダ圧センサ41は、前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれに設けられている。
ホイールシリンダ圧センサ42は、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧を検出する。ホイールシリンダ圧センサ42が、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。ホイールシリンダ圧センサ42は、前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれに設けられている。
前輪回転速度センサ43は、前輪3の回転速度を検出する。前輪回転速度センサ43が、前輪3の回転速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。後輪回転速度センサ44は、後輪4の回転速度を検出する。後輪回転速度センサ44が、後輪4の回転速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。
制御装置60は、温度取得部61と、モード選択部62と、制御部63と、を含む。制御装置60には、マスタシリンダ圧センサ41、ホイールシリンダ圧センサ42、前輪回転速度センサ43、後輪回転速度センサ44等の各種センサの検出結果が入力される。
温度取得部61は、前輪3の摩擦制動機構29の温度、及び後輪4の摩擦制動機構29の温度を取得する機能部である。本実施の形態においては、温度取得部61は、前輪3の摩擦制動機構29の温度として、前輪制動機構12のブレーキキャリパ23に設けられているブレーキパッド25の温度を取得している。また、本実施の形態においては、温度取得部61は、後輪4の摩擦制動機構29の温度として、後輪制動機構14のブレーキキャリパ23に設けられているブレーキパッド25の温度を取得している。なお、以下では、前輪制動機構12のブレーキキャリパ23に設けられているブレーキパッド25を、前輪3のブレーキパッド25と称することとする。また、後輪制動機構14のブレーキキャリパ23に設けられているブレーキパッド25を、後輪4のブレーキパッド25と称することとする。
詳しくは、温度取得部61は、前輪制動機構12のホイールシリンダ圧センサ42の検出値と、前輪回転速度センサ43の検出値とを用いて、前輪3のブレーキパッド25の温度を算出している。また、温度取得部61は、後輪制動機構14のホイールシリンダ圧センサ42の検出値と、後輪回転速度センサ44の検出値とを用いて、後輪4のブレーキパッド25の温度を算出している。ホイールシリンダのブレーキ液の液圧と車輪回転速度とに基づいて、該車輪のブレーキパッドの温度を算出する手法は、例えば自動四輪車の分野等でも用いられているように、公知の手法である。このため、本実施の形態では、前輪3のブレーキパッド25の温度の具体的な算出方法の説明、及び後輪4のブレーキパッド25の温度の具体的な算出方法の説明は、省略する。
なお、前輪3のブレーキパッド25の温度を取得する手法は任意である。例えば、前輪3のブレーキパッド25に温度センサを取り付け、前輪3のブレーキパッド25の温度を直接検出してもよい。また例えば、前輪3のブレーキパッド25の近傍に設けられて前輪3のブレーキパッド25の温度の影響を受ける部品に温度センサを取り付け、該温度センサの検出値から前輪3のブレーキパッド25の温度を算出してもよい。また例えば、前輪3の圧力に基づいて、前輪3のブレーキパッド25の温度を算出してもよい。詳しくは、前輪3にブレーキ力が発生し、前輪3が制動される場合、前輪3のブレーキパッド25の温度が上昇すると共に、前輪3と路面との摩擦により、前輪3の温度も上昇する。そして、前輪3の温度上昇に伴って、前輪3内の空気が膨張し、前輪3の圧力も上昇する。このため、前輪3の圧力に基づいて、前輪3のブレーキパッド25の温度を算出することも可能である。また例えば、単位時間当たりの前輪3のブレーキ使用回数に基づいて、前輪3のブレーキパッド25の温度を算出してもよい。単位時間当たりの前輪3のブレーキ使用回数と、前輪3のブレーキパッド25の温度とには、相対関係を見いだすことができる。このため、単位時間当たりの前輪3のブレーキ使用回数に基づいて、前輪3のブレーキパッド25の温度を算出することも可能である。
また、前輪3の摩擦制動機構29の温度は、前輪3のブレーキパッド25の温度に限定されない。例えば、前輪3の摩擦制動機構29を構成するブレーキパッド25以外の構成の温度を、前輪3の摩擦制動機構29の温度として取得してもよい。前輪3の摩擦制動機構29を構成するブレーキパッド25以外の構成とは、例えば、前輪制動機構12のブレーキキャリパ23等である。この際、これらの構成の温度を取得する手法は任意である。
同様に、後輪4のブレーキパッド25の温度を取得する手法も任意である。例えば、後輪4のブレーキパッド25に温度センサを取り付け、後輪4のブレーキパッド25の温度を直接検出してもよい。また例えば、後輪4のブレーキパッド25の近傍に設けられて後輪4のブレーキパッド25の温度の影響を受ける部品に温度センサを取り付け、該温度センサの検出値から後輪4のブレーキパッド25の温度を算出してもよい。また例えば、後輪4の圧力に基づいて、後輪4のブレーキパッド25の温度を算出してもよい。また例えば、単位時間当たりの後輪4のブレーキ使用回数に基づいて、後輪4のブレーキパッド25の温度を算出してもよい。また、後輪4の摩擦制動機構29の温度として、後輪4の摩擦制動機構29を構成するブレーキパッド25以外の構成の温度を取得してもよい。後輪4の摩擦制動機構29を構成するブレーキパッド25以外の構成とは、例えば、後輪制動機構14のブレーキキャリパ23等である。この際、これらの構成の温度を取得する手法は任意である。
モード選択部62は、ブレーキの制御モードを、通常ブレーキ制御モード及び連動ブレーキ制御モードから選択するものである。通常ブレーキ制御モードは、通常ブレーキ制御を行う制御モードである。連動ブレーキ制御モードは、連動ブレーキ制御を行う制御モードである。モード選択部62は、例えば、スイッチによって入力されたライダーの要求等に基づいて、ブレーキの制御モードを、通常ブレーキ制御モード及び連動ブレーキ制御モードから選択する。
制御部63は、フロントブレーキ操作部11及びリアブレーキ操作部13のうちの少なくとも一方が操作された際、モード選択部62で選択されている制御モードに応じて、込め弁31、弛め弁32、第1弁35、第2弁36及びポンプ34を制御する。
ここで、従来の連動ブレーキ制御では、常に、前輪及び後輪の双方にブレーキ力が発生する。このため、従来の連動ブレーキ制御は、摩擦制動機構が温度上昇しやすい。そして、摩擦制動機構の過度な温度上昇は、摩擦制動機構の故障の要因の一つとなる。特に、一般的に、モータサイクルは、前輪の摩擦制動機構に比べ、後輪の摩擦制動機構の方が温度上昇しやすい。後輪の摩擦制動機構は、前輪の摩擦制動機構に比べ、走行中に風に当たりづらいからである。このため、従来の連動ブレーキ制御は、特に、後輪の摩擦制動機構が温度上昇しやすい。したがって、従来の連動ブレーキ制御では、後輪の摩擦制動機構を保護する観点から、後輪の摩擦制動機構の温度上昇の抑制が要望されている。
そこで、本実施の形態に係るモータサイクル100の制御装置60のモード選択部62は、第1連動ブレーキ制御時、後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇を従来よりも抑制するため、第1モードA又は第2モードBを選択する構成となっている。
図4は、本発明の実施の形態に係る制御装置のモード選択部が第1連動ブレーキ制御時に選択する第1モード及び第2モードにおける、後輪に発生するブレーキ力の一例を示す説明図である。なお、図4の横軸に示すFMPは、Front Master Pressureの略であり、前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41が検出するマスタシリンダ21のブレーキ液の液圧である。すなわち、図4の横軸は、ライダーのフロントブレーキ操作部11への入力量を示している。また、図4の縦軸に示すRWPは、Rear Wheel Pressureの略であり、後輪制動機構14のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧である。すなわち、図4の縦軸は、後輪4に発生するブレーキ力を示している。また、図4に示す破線が第1モードAを示しており、図4に示す実線が第2モードBを示している。
詳しくは、モード選択部62は、第1連動ブレーキ制御時、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第1規定温度よりも低い状態においては、第1モードAを選択する。また、モード選択部62は、第1連動ブレーキ制御時、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第1規定温度よりも高い状態においては、第2モードBを選択する。そして、フロントブレーキ操作部11への入力量が同じ条件において、第1モードAで後輪4に発生するブレーキ力と、第2モードBで後輪4に発生するブレーキ力とを比較した場合、第2モードBで後輪4に発生するブレーキ力は、第1モードAで後輪4に発生するブレーキ力よりも小さい。なお、第1連動ブレーキ制御時に後輪4に発生させるブレーキ力の大きさは、例えば、後輪制動機構14のポンプ34の駆動源(モータ等)の回転数、後輪制動機構14の込め弁31の開度、及び後輪制動機構14の込め弁31の開放時間のうちの少なくとも1つを制御することにより、調整することができる。
第1連動ブレーキ制御時、モード選択部62が上述のように第1モードA又は第2モードBを選択することにより、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第1規定温度よりも高い状態になった際に、後輪4に発生するブレーキ力を低減させることができる。すなわち、第2モードBを選択することにより、後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇を抑制することができる。このため、第1連動ブレーキ制御時、モード選択部62が上述のように第1モードA又は第2モードBを選択することにより、後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇を従来よりも抑制することができる。したがって、第1連動ブレーキ制御時、モード選択部62が上述のように第1モードA又は第2モードBを選択することにより、後輪4の摩擦制動機構29を従来よりも保護できる連動ブレーキ制御を行うことができる。
なお、図4では、第2モードB時、後輪4にブレーキ力が発生しない構成となっている。しかしながら、図4に示す第2モードBは、あくまでも一例である。例えば、第2モードB時、後輪4にブレーキ力が発生していてもよい。すなわち、フロントブレーキ操作部11への入力量が同じ条件において、第1モードAで後輪4に発生するブレーキ力と、第2モードBで後輪4に発生するブレーキ力とを比較した場合、第2モードBで後輪4に発生するブレーキ力が、第1モードAで後輪4に発生するブレーキ力よりも小さければよい。また例えば、第2モードBを以下のように構成してもよい。
図5は、本発明の実施の形態に係る制御装置のモード選択部が第1連動ブレーキ制御時に選択する第1モード及び第2モードにおける、後輪に発生するブレーキ力の別の一例を示す説明図である。なお、図5の横軸及び縦軸は、図4と同様である。また、フロントブレーキ操作部11への入力量を示す前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力P1が、本発明の第1規定量に相当する。
フロントブレーキ操作部11への入力量が同じ条件における、第2モードBで後輪4に発生するブレーキ力に対する第1モードAで後輪4に発生するブレーキ力の比を、第1比率と定義する。例えば、フロントブレーキ操作部11へのある入力量を、前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力Pとする。そして、第2モードBにおいてフロントブレーキ操作部11への入力量がPのとき、後輪制動機構14のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧がPBであるとする。また、第1モードAにおいてフロントブレーキ操作部11への入力量がPのとき、後輪制動機構14のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧がPAであるとする。この場合、フロントブレーキ操作部11への入力量がPのときの第1比率は、PAをPBで除した値となる。すなわち、フロントブレーキ操作部11への入力量がPのときの第1比率は、PA/PBとなる。つまり、第1比率が小さいほど、第2モードBにおいて、後輪4に発生するブレーキ力の第1モードAに対する低減量が小さくなる。
上述のように第1比率を定義した場合、前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP1よりも大きい状態における第1比率は、前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP1よりも小さい状態における第1比率よりも小さくなっている。すなわち、図5に示す第2モードBにおいては、前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP1よりも大きい状態になると、前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP1よりも小さい状態と比べ、後輪4に大きなブレーキ力が発生することとなる。
モータサイクル100を急停止させたい場合、ライダーのフロントブレーキ操作部11への入力量が大きくなる。第2モードBを図5のように構成することにより、モータサイクル100を急停止させたい場合、後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇を抑制する第2モードBにおいても、後輪4に十分なブレーキ力を発生させることができ、モータサイクル100の安全性が向上する。また、第2モードBを図5のように構成することにより、少なくとも前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP1よりも小さい状態においては、後輪4の摩擦制動機構29を従来よりも保護できる連動ブレーキ制御を行うことができる。
なお、図5に示す第2モードBでは、前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP1よりも大きい状態になっている際、後輪4に発生するブレーキ力が、第1モードAにおいて後輪4に発生するブレーキ力と同じになっている。しかしながら、これはあくまでも一例である。前輪制動機構12のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP1よりも大きい状態になっている際、第2モードBにおいて後輪4に発生するブレーキ力が、第1モードAにおいて後輪4に発生するブレーキ力よりも小さくなっていてもよい。
また、制御装置60のモード選択部62は、第2連動ブレーキ制御時においても後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇を従来よりも抑制するため、第2連動ブレーキ制御時に第3モードC又は第4モードDを選択する構成となっている。
図6は、本発明の実施の形態に係る制御装置のモード選択部が第2連動ブレーキ制御時に選択する第3モード及び第4モードにおける、後輪に発生するブレーキ力の一例を示す説明図である。なお、図6の横軸に示すRMPは、Rear Master Pressureの略であり、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41が検出するマスタシリンダ21のブレーキ液の液圧である。すなわち、図6の横軸は、ライダーのリアブレーキ操作部13への入力量を示している。また、図6の縦軸に示すRWPは、図4と同様に、後輪制動機構14のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧である。すなわち、図6の縦軸は、後輪4に発生するブレーキ力を示している。また、図6に示す破線が第3モードCを示しており、図6に示す実線が第4モードDを示している。
詳しくは、モード選択部62は、第2連動ブレーキ制御時、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第2規定温度よりも低い状態においては、第3モードCを選択する。また、モード選択部62は、第2連動ブレーキ制御時、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第2規定温度よりも高い状態においては、第4モードDを選択する。そして、リアブレーキ操作部13への入力量が同じ条件において、第3モードCで後輪4に発生するブレーキ力と、第4モードDで後輪4に発生するブレーキ力とを比較した場合、第4モードDで後輪4に発生するブレーキ力は、第3モードCで後輪4に発生するブレーキ力よりも小さい。なお、第2連動ブレーキ制御時に後輪4に発生させるブレーキ力の大きさは、例えば、後輪制動機構14の込め弁31の開度、及び後輪制動機構14の込め弁31の開放時間のうちの少なくとも1つを制御することにより、調整することができる。
第2連動ブレーキ制御時、モード選択部62が上述のように第3モードC又は第4モードDを選択することにより、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第2規定温度よりも高い状態になった際に、後輪4に発生するブレーキ力を低減させることができる。すなわち、第4モードDを選択することにより、後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇を抑制することができる。このため、第2連動ブレーキ制御時、モード選択部62が上述のように第3モードC又は第4モードDを選択することにより、後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇を従来よりも抑制することができる。したがって、第2連動ブレーキ制御時、モード選択部62が上述のように第3モードC又は第4モードDを選択することにより、後輪4の摩擦制動機構29を従来よりも保護できる連動ブレーキ制御を行うことができる。
なお、モータサイクル100を急停止させたい条件において、後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇の抑制よりも後輪4の制動力を優先させる場合、第4モードDを以下のように構成してもよい。
図7は、本発明の実施の形態に係る制御装置のモード選択部が第2連動ブレーキ制御時に選択する第3モード及び第4モードにおける、後輪に発生するブレーキ力の別の一例を示す説明図である。なお、図7の横軸及び縦軸は、図6と同様である。また、リアブレーキ操作部13への入力量を示す後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力P2が、本発明の第2規定量に相当する。
リアブレーキ操作部13への入力量が同じ条件における、第4モードDで後輪4に発生するブレーキ力に対する第3モードCで後輪4に発生するブレーキ力の比を、第2比率と定義する。例えば、リアブレーキ操作部13へのある入力量を、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力Pとする。そして、第4モードDにおいてリアブレーキ操作部13への入力量がPのとき、後輪制動機構14のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧がPDであるとする。また、第3モードCにおいてリアブレーキ操作部13への入力量がPのとき、後輪制動機構14のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧がPCであるとする。この場合、リアブレーキ操作部13への入力量がPのときの第2比率は、PCをPDで除した値となる。すなわち、リアブレーキ操作部13への入力量がPのときの第2比率は、PC/PDとなる。つまり、第2比率が小さいほど、第4モードDにおいて、後輪4に発生するブレーキ力の第3モードCに対する低減量が小さくなる。
上述のように第2比率を定義した場合、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも大きい状態における第2比率は、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも小さい状態における第2比率よりも小さくなっている。すなわち、図7に示す第4モードDにおいては、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも大きい状態になると、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも小さい状態と比べ、後輪4に大きなブレーキ力が発生することとなる。
モータサイクル100を急停止させたい場合、ライダーのリアブレーキ操作部13への入力量が大きくなる。第4モードDを図7のように構成することにより、モータサイクル100を急停止させたい場合、後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇を抑制する第4モードDにおいても、後輪4に十分なブレーキ力を発生させることができ、モータサイクル100の安全性が向上する。また、第4モードDを図7のように構成することにより、少なくとも後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも小さい状態においては、後輪4の摩擦制動機構29を従来よりも保護できる連動ブレーキ制御を行うことができる。
なお、図7に示す第4モードDでは、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも大きい状態になっている際、後輪4に発生するブレーキ力が、第3モードCにおいて後輪4に発生するブレーキ力と同じになっている。しかしながら、これはあくまでも一例である。後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも大きい状態になっている際、第4モードDにおいて後輪4に発生するブレーキ力が、第3モードCにおいて後輪4に発生するブレーキ力よりも小さくなっていてもよい。
ここで、第4モードDでは、第3モードCに比べて、後輪4の制動力が低下する。このため、第2連動ブレーキ制御時に第3モードC又は第4モードDを選択する場合、前輪3に発生するブレーキ力を以下のように制御してもよい。
図8は、本発明の実施の形態に係る制御装置のモード選択部が第2連動ブレーキ制御時に選択する第3モード及び第4モードにおける、前輪に発生するブレーキ力の一例を示す説明図である。なお、図8の横軸に示すRMPは、図6と同様であり、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41が検出するマスタシリンダ21のブレーキ液の液圧である。すなわち、図8の横軸は、ライダーのリアブレーキ操作部13への入力量を示している。また、図8の縦軸に示すFWPは、Front Wheel Pressureの略であり、前輪制動機構12のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧である。すなわち、図8の縦軸は、前輪3に発生するブレーキ力を示している。また、図8に示す破線が第3モードCを示しており、図8に示す実線が第4モードDを示している。
詳しくは、リアブレーキ操作部13への入力量が同じ条件において、第3モードCで前輪3に発生するブレーキ力と、第4モードDで前輪3に発生するブレーキ力とを比較した場合、第4モードDで前輪3に発生するブレーキ力を、第3モードCで前輪3に発生するブレーキ力よりも大きくしてもよい。
このように前輪3に発生するブレーキ力を制御することにより、前輪3の制動力と後輪4の制動力の和であるモータサイクル100全体の制動力を、第3モードCと第4モードDとで例えば略同様にすることができる。このため、このように前輪3に発生するブレーキ力を制御することにより、第4モードDにおいて、モータサイクル100の制動距離が第3モードCよりも長くなってしまうことを抑制できる。なお、第2連動ブレーキ制御時に前輪3に発生させるブレーキ力の大きさは、例えば、前輪制動機構12のポンプ34の駆動源(モータ等)の回転数、前輪制動機構12の込め弁31の開度、及び前輪制動機構12の込め弁31の開放時間のうちの少なくとも1つを制御することにより、調整することができる。
なお、第3モードC及び第4モードDにおいて前輪3に発生するブレーキ力を次のように制御してもよい。
図9は、本発明の実施の形態に係る制御装置のモード選択部が第2連動ブレーキ制御時に選択する第3モード及び第4モードにおける、前輪に発生するブレーキ力の別の一例を示す説明図である。なお、図9の横軸及び縦軸は、図8と同様である。
リアブレーキ操作部13への入力量が同じ条件における、第3モードCで前輪3に発生するブレーキ力に対する第4モードDで前輪3に発生するブレーキ力の比を、前輪比率と定義する。例えば、リアブレーキ操作部13へのある入力量を、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力Pとする。そして、第4モードDにおいてリアブレーキ操作部13への入力量がPのとき、前輪制動機構12のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧がPDであるとする。また、第3モードCにおいてリアブレーキ操作部13への入力量がPのとき、前輪制動機構12のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧がPCであるとする。この場合、リアブレーキ操作部13への入力量がPのときの前輪比率は、PDをPCで除した値となる。すなわち、リアブレーキ操作部13への入力量がPのときの前輪比率は、PD/PCとなる。つまり、前輪比率が小さいほど、第3モードCにおいて、前輪3に発生するブレーキ力の第4モードDに対する低減量が小さくなる。
上述のように前輪比率を定義した場合、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも大きい状態における前輪比率は、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも小さい状態における前輪比率よりも小さくなっている。すなわち、図9に示す第3モードCにおいては、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも大きい状態になると、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも小さい状態と比べ、前輪3に大きなブレーキ力が発生することとなる。
第3モードCを図9のように構成することにより、モータサイクル100を急停止させたい状態においてモータサイクル100の制動力を向上させることができ、モータサイクル100の安全性が向上する。
なお、図9に示す第3モードCでは、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも大きい状態になっている際、前輪3に発生するブレーキ力が、第4モードDにおいて前輪3に発生するブレーキ力と同じになっている。しかしながら、これはあくまでも一例である。後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP2よりも大きい状態になっている際、第3モードCにおいて前輪3に発生するブレーキ力が、第4モードDにおいて前輪3に発生するブレーキ力よりも小さくなっていてもよい。
ところで、上述のように、従来の連動ブレーキ制御では、常に、前輪及び後輪の双方にブレーキ力が発生する。このため、従来の連動ブレーキ制御では、前輪の摩擦制動機構29も温度上昇しやすい。そこで、本実施の形態に係るモータサイクル100の制御装置60のモード選択部62は、第2連動ブレーキ制御時、前輪3の摩擦制動機構29の温度上昇を従来よりも抑制するため、第5モードE又は第6モードFを選択する構成となっている。
図10は、本発明の実施の形態に係る制御装置のモード選択部が第2連動ブレーキ制御時に選択する第5モード及び第6モードにおける、前輪に発生するブレーキ力の一例を示す説明図である。なお、図10の横軸に示すRMPは、図6と同様に、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41が検出するマスタシリンダ21のブレーキ液の液圧である。すなわち、図10の横軸は、ライダーのリアブレーキ操作部13への入力量を示している。また、図10の縦軸に示すFWPは、図8と同様に、前輪制動機構12のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧である。すなわち、図10の縦軸は、前輪3に発生するブレーキ力を示している。また、図10に示す破線が第5モードEを示しており、図10に示す実線が第6モードFを示している。
詳しくは、モード選択部62は、第2連動ブレーキ制御時、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度よりも低い状態においては、第5モードEを選択する。また、モード選択部62は、第2連動ブレーキ制御時、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度よりも高い状態においては、第6モードFを選択する。そして、リアブレーキ操作部13への入力量が同じ条件において、第5モードEで前輪3に発生するブレーキ力と、第6モードFで前輪3に発生するブレーキ力とを比較した場合、第6モードFで前輪3に発生するブレーキ力は、第5モードEで前輪3に発生するブレーキ力よりも小さい。
第2連動ブレーキ制御時、モード選択部62が上述のように第5モードE又は第6モードFを選択することにより、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度よりも高い状態になった際に、前輪3に発生するブレーキ力を低減させることができる。すなわち、第6モードFを選択することにより、前輪3の摩擦制動機構29の温度上昇を抑制することができる。このため、第2連動ブレーキ制御時、モード選択部62が上述のように第5モードE又は第6モードFを選択することにより、前輪3の摩擦制動機構29の温度上昇を従来よりも抑制することができる。したがって、第2連動ブレーキ制御時、モード選択部62が上述のように第5モードE又は第6モードFを選択することにより、前輪3の摩擦制動機構29を従来よりも保護できる連動ブレーキ制御を行うことができる。
なお、図10では、第6モードF時、前輪3にブレーキ力が発生しない構成となっている。しかしながら、図10に示す第6モードFは、あくまでも一例である。例えば、第6モードF時、前輪3にブレーキ力が発生していてもよい。すなわち、リアブレーキ操作部13への入力量が同じ条件において、第5モードEで前輪3に発生するブレーキ力と、第6モードFで前輪3に発生するブレーキ力とを比較した場合、第6モードFで前輪3に発生するブレーキ力が、第5モードEで前輪3に発生するブレーキ力よりも小さければよい。また例えば、第6モードFを以下のように構成してもよい。
図11は、本発明の実施の形態に係る制御装置のモード選択部が第2連動ブレーキ制御時に選択する第5モード及び第6モードにおける、前輪に発生するブレーキ力の別の一例を示す説明図である。なお、図11の横軸及び縦軸は、図10と同様である。また、リアブレーキ操作部13への入力量を示す後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力P3が、本発明の第3規定量に相当する。
リアブレーキ操作部13への入力量が同じ条件における、第6モードFで前輪3に発生するブレーキ力に対する第5モードEで前輪3に発生するブレーキ力の比を、第3比率と定義する。例えば、リアブレーキ操作部13へのある入力量を、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力Pとする。そして、第6モードFにおいてリアブレーキ操作部13への入力量がPのとき、前輪制動機構12のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧がPFであるとする。また、第5モードEにおいてリアブレーキ操作部13への入力量がPのとき、前輪制動機構12のホイールシリンダ圧センサ42が検出するホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧がPEであるとする。この場合、リアブレーキ操作部13への入力量がPのときの第3比率は、PEをPFで除した値となる。すなわち、リアブレーキ操作部13への入力量がPのときの第3比率は、PE/PFとなる。つまり、第3比率が小さいほど、第6モードFにおいて、前輪3に発生するブレーキ力の第5モードEに対する低減量が小さくなる。
上述のように第3比率を定義した場合、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP3よりも大きい状態における第3比率は、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP3よりも小さい状態における第3比率よりも小さくなっている。すなわち、図11に示す第6モードFにおいては、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP3よりも大きい状態になると、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP3よりも小さい状態と比べ、前輪3に大きなブレーキ力が発生することとなる。
モータサイクル100を急停止させたい場合、ライダーのリアブレーキ操作部13への入力量が大きくなる。第6モードFを図11のように構成することにより、モータサイクル100を急停止させたい場合、前輪3の摩擦制動機構29の温度上昇を抑制する第6モードFにおいても、前輪3に十分なブレーキ力を発生させることができ、モータサイクル100の安全性が向上する。また、第6モードFを図11のように構成することにより、少なくとも後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP3よりも小さい状態においては、前輪3の摩擦制動機構29を従来よりも保護できる連動ブレーキ制御を行うことができる。
なお、図11に示す第6モードFでは、後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP3よりも大きい状態になっている際、前輪3に発生するブレーキ力が、第5モードEにおいて前輪3に発生するブレーキ力と同じになっている。しかしながら、これはあくまでも一例である。後輪制動機構14のマスタシリンダ圧センサ41の検出圧力がP3よりも大きい状態になっている際、第6モードFにおいて前輪3に発生するブレーキ力が、第5モードEにおいて前輪3に発生するブレーキ力よりも小さくなっていてもよい。
<制御装置の動作>
続いて、連動ブレーキ制御時の制御装置60の動作について説明する。なお、以下では、まず、第1連動ブレーキ制御時の制御装置60の動作について説明する。そして、その後に、第2連動ブレーキ制御時の制御装置60の動作について説明する。
図12は、本発明の実施の形態に係る制御装置の第1連動ブレーキ制御時の動作を示すフローチャートである。
モード選択部62で連動ブレーキ制御モードが選択されている状態において、ステップS1でフロントブレーキ操作部11が操作されると、制御装置60は、ステップS2に進む。
ステップS2、ステップS3及びステップS4は、第1モードA又は第2モードBを選択するモード選択ステップである。モード選択ステップでは、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第1規定温度よりも低い状態においては第1モードAを選択し、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第1規定温度よりも高い状態においては第2モードBを選択する。具体的には、ステップS2においてモード選択部62は、温度取得部61が取得した後輪4の摩擦制動機構29の温度と、第1規定温度とを比較する。そして、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第1規定温度よりも低い場合、モード選択部62は、ステップS3に進んで第1モードAを選択する。また、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第1規定温度よりも高い場合、モード選択部62は、ステップS4に進んで第2モードBを選択する。なお、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第1規定温度と同じ場合、ステップS3に進んでもよいし、ステップS4に進んでもよい。
ステップS2からステップS3に進んで第1モードAが選択された場合、ステップS5へ進む。ステップS5において、モード選択部62は、フロントブレーキ操作部11への入力量から、第1モードAにおいて当該入力量で発生する後輪4のブレーキ力を求める。また、モード選択部62は、リアブレーキ操作部13への入力量から、通常ブレーキ制御モードにおいて当該入力量で発生する後輪4のブレーキ力を求める。そして、モード選択部62は、第1モードAで発生する後輪4のブレーキ力と、通常ブレーキ制御モードで発生する後輪4のブレーキ力とを比較する。第1モードAで発生する後輪4のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する後輪4のブレーキ力以上の場合、モード選択部62は、第1モードAを選択したまま、ステップS7へ進む。これに対して、第1モードAで発生する後輪4のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する後輪4のブレーキ力よりも小さい場合、モード選択部62は、ブレーキの制御モードを通常ブレーキ制御モードに変更し、ステップS9に進む。
ステップS7は、モード選択ステップで選択されたモードに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。すなわち、ステップS7は、第1モードAに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。詳しくは、ステップS7では、制御部63は、前輪3に発生するブレーキ力がフロントブレーキ操作部11の入力量に応じたブレーキ力となるように、前輪制動機構12の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、及び第2弁36を制御する。また、制御部63は、フロントブレーキ操作部11の入力量に応じて、第1モードAにおいて該入力量の際に後輪4に発生するブレーキ力となるように、後輪制動機構14の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、第2弁36及びポンプ34を制御する。
ステップS7に対し、ステップS9では、通常ブレーキ制御モードで前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する。詳しくは、制御部63は、前輪3に発生するブレーキ力がフロントブレーキ操作部11の入力量に応じたブレーキ力となるように、前輪制動機構12の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、及び第2弁36を制御する。また、制御部63は、後輪4に発生するブレーキ力がリアブレーキ操作部13の入力量に応じたブレーキ力となるように、後輪制動機構14の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、及び第2弁36を制御する。
一方、ステップS2からステップS4に進んで第2モードBが選択された場合、モード選択部62は、ステップS6へ進む。ステップS6において、モード選択部62は、フロントブレーキ操作部11への入力量から、第2モードBにおいて当該入力量で発生する後輪4のブレーキ力を求める。また、モード選択部62は、リアブレーキ操作部13への入力量から、通常ブレーキ制御モードにおいて当該入力量で発生する後輪4のブレーキ力を求める。そして、モード選択部62は、第2モードBで発生する後輪4のブレーキ力と、通常ブレーキ制御モードで発生する後輪4のブレーキ力とを比較する。第2モードBで発生する後輪4のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する後輪4のブレーキ力以上の場合、モード選択部62は、第2モードBを選択したまま、ステップS8へ進む。一方、第2モードBで発生する後輪4のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する後輪4のブレーキ力よりも小さい場合、モード選択部62は、ブレーキの制御モードを通常ブレーキ制御モードに変更し、ステップS9に進む。
ステップS8は、モード選択ステップで選択されたモードに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。すなわち、ステップS8は、第2モードBに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。詳しくは、ステップS8では、制御部63は、前輪3に発生するブレーキ力がフロントブレーキ操作部11の入力量に応じたブレーキ力となるように、前輪制動機構12の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、及び第2弁36を制御する。また、制御部63は、フロントブレーキ操作部11の入力量に応じて、第2モードBにおいて該入力量の際に後輪4に発生するブレーキ力となるように、後輪制動機構14の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、第2弁36及びポンプ34を制御する。
ステップS7、ステップS8又はステップS9の後、制御装置60は、ステップS10に進む。そして、ステップS10において制御装置60は、フロントブレーキ操作部11の操作が解除されているか否かを判定する。フロントブレーキ操作部11の操作が解除されていない場合、つまりフロントブレーキ操作部11が操作されたままの状態となっている場合、制御装置60は、ステップS2に戻る。また、フロントブレーキ操作部11の操作が解除されている場合、制御装置60は、ステップS11に進んで、前輪3及び後輪4にブレーキ力を発生させる制御を終了する。
図13は、本発明の実施の形態に係る制御装置の第2連動ブレーキ制御時の動作を示すフローチャートである。
モード選択部62で連動ブレーキ制御モードが選択されている状態において、ステップS21でリアブレーキ操作部13が操作されると、制御装置60は、ステップS22に進む。
ステップS22、ステップS31及びステップS41は、第3モードC又は第4モードDを選択するモード選択ステップである。これらのモード選択ステップでは、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第2規定温度よりも低い状態においては第3モードCを選択し、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第2規定温度よりも高い状態においては第4モードDを選択する。具体的には、ステップS22においてモード選択部62は、温度取得部61が取得した後輪4の摩擦制動機構29の温度と、第2規定温度とを比較する。そして、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第2規定温度よりも低い場合、モード選択部62は、ステップS31に進んで第3モードCを選択する。また、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第2規定温度よりも高い場合、モード選択部62は、ステップS41に進んで第4モードDを選択する。なお、後輪4の摩擦制動機構29の温度が第2規定温度と同じ場合、ステップS31に進んでもよいし、ステップS41に進んでもよい。
ステップS31で第3モードCが選択された後のステップS32、ステップS33及びステップS34は、第5モードE又は第6モードFを選択するモード選択ステップである。これらのモード選択ステップでは、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度よりも低い状態においては第5モードEを選択し、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度よりも高い状態においては第6モードFを選択する。具体的には、ステップS32においてモード選択部62は、温度取得部61が取得した前輪3の摩擦制動機構29の温度と、第3規定温度とを比較する。そして、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度よりも低い場合、モード選択部62は、ステップS33に進んで第5モードEを選択する。また、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度よりも高い場合、モード選択部62は、ステップS34に進んで第6モードFを選択する。なお、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度と同じ場合、ステップS33に進んでもよいし、ステップS34に進んでもよい。
ステップS32からステップS33に進んで第5モードEが選択された場合、モード選択部62は、ステップS35へ進む。ステップS35において、モード選択部62は、リアブレーキ操作部13への入力量から、第5モードEにおいて当該入力量で発生する前輪3のブレーキ力を求める。また、モード選択部62は、フロントブレーキ操作部11への入力量から、通常ブレーキ制御モードにおいて当該入力量で発生する前輪3のブレーキ力を求める。そして、モード選択部62は、第5モードEで発生する前輪3のブレーキ力と、通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力とを比較する。第5モードEで発生する前輪3のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力以上の場合、モード選択部62は、第5モードEを選択したまま、ステップS37へ進む。これに対して、第5モードEで発生する前輪3のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力よりも小さい場合、モード選択部62は、ブレーキの制御モードを通常ブレーキ制御モードに変更し、ステップS39に進む。
ステップS37は、モード選択ステップで選択されたモードに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。すなわち、ステップS37は、第3モードC及び第5モードEに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。詳しくは、ステップS37では、制御部63は、リアブレーキ操作部13の入力量に応じて、第5モードEにおいて該入力量の際に前輪3に発生するブレーキ力となるように、前輪制動機構12の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、第2弁36及びポンプ34を制御する。また、制御部63は、リアブレーキ操作部13の入力量に応じて、第3モードCにおいて該入力量の際に後輪4に発生するブレーキ力となるように、後輪制動機構14の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、及び第2弁36を制御する。ステップS37に対し、ステップS39では、通常ブレーキ制御モードで前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する。この制御は、図12のステップS9と同じであるので、説明を省略する。
ステップS32からステップS34に進んで第6モードFが選択された場合、モード選択部62は、ステップS36へ進む。ステップS36において、モード選択部62は、リアブレーキ操作部13への入力量から、第6モードFにおいて当該入力量で発生する前輪3のブレーキ力を求める。また、モード選択部62は、フロントブレーキ操作部11への入力量から、通常ブレーキ制御モードにおいて当該入力量で発生する前輪3のブレーキ力を求める。そして、モード選択部62は、第6モードFで発生する前輪3のブレーキ力と、通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力とを比較する。第6モードFで発生する前輪3のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力以上の場合、モード選択部62は、第6モードFを選択したまま、ステップS38へ進む。一方、第6モードFで発生する前輪3のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力よりも小さい場合、モード選択部62は、ブレーキの制御モードを通常ブレーキ制御モードに変更し、ステップS39に進む。
ステップS38は、モード選択ステップで選択されたモードに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。すなわち、ステップS38は、第3モードC及び第6モードFに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。詳しくは、ステップS38では、制御部63は、リアブレーキ操作部13の入力量に応じて、第6モードFにおいて該入力量の際に前輪3に発生するブレーキ力となるように、前輪制動機構12の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、第2弁36及びポンプ34を制御する。また、制御部63は、リアブレーキ操作部13の入力量に応じて、第3モードCにおいて該入力量の際に後輪4に発生するブレーキ力となるように、後輪制動機構14の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、及び第2弁36を制御する。
一方、ステップS41で第4モードDが選択された後のステップS42、ステップS43及びステップS44もまた、前述したステップS32、ステップS33及びステップS34と同様に、第5モードE又は第6モードFを選択するモード選択ステップである。これらのモード選択ステップでは、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度よりも低い場合、モード選択部62は、ステップS43に進んで第5モードEを選択する。また、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度よりも高い場合、モード選択部62は、ステップS44に進んで第6モードFを選択する。なお、前輪3の摩擦制動機構29の温度が第3規定温度と同じ場合、ステップS43に進んでもよいし、ステップS44に進んでもよい。
ステップS42からステップS43に進んで第5モードEが選択された場合、モード選択部62は、ステップS45へ進む。ステップS45において、モード選択部62は、ステップS35と同様に、第5モードEで発生する前輪3のブレーキ力と、通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力とを比較する。第5モードEで発生する前輪3のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力以上の場合、モード選択部62は、第5モードEを選択したまま、ステップS47へ進む。これに対して、第5モードEで発生する前輪3のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力よりも小さい場合、モード選択部62は、ブレーキの制御モードを通常ブレーキ制御モードに変更し、ステップS49に進む。
ステップS47は、モード選択ステップで選択されたモードに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。すなわち、ステップS47は、第4モードD及び第5モードEに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。詳しくは、ステップS47では、制御部63は、リアブレーキ操作部13の入力量に応じて、第5モードEにおいて該入力量の際に前輪3に発生するブレーキ力となるように、前輪制動機構12の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、第2弁36及びポンプ34を制御する。また、制御部63は、リアブレーキ操作部13の入力量に応じて、第4モードDにおいて該入力量の際に後輪4に発生するブレーキ力となるように、後輪制動機構14の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、及び第2弁36を制御する。ステップS47に対し、ステップS49では、通常ブレーキ制御モードで前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する。
ステップS42からステップS44に進んで第6モードFが選択された場合、モード選択部62は、ステップS46へ進む。ステップS46において、モード選択部62は、ステップS36と同様に、第6モードFで発生する前輪3のブレーキ力と、通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力とを比較する。第6モードFで発生する前輪3のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力以上の場合、モード選択部62は、第6モードFを選択したまま、ステップS48へ進む。一方、第6モードFで発生する前輪3のブレーキ力が通常ブレーキ制御モードで発生する前輪3のブレーキ力よりも小さい場合、モード選択部62は、ブレーキの制御モードを通常ブレーキ制御モードに変更し、ステップS49に進む。
ステップS48は、モード選択ステップで選択されたモードに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。すなわち、ステップS48は、第4モードD及び第6モードFに基づいて、前輪3に発生するブレーキ力及び後輪4に発生するブレーキ力を制御する制御ステップである。詳しくは、ステップS48では、制御部63は、リアブレーキ操作部13の入力量に応じて、第6モードFにおいて該入力量の際に前輪3に発生するブレーキ力となるように、前輪制動機構12の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、第2弁36及びポンプ34を制御する。また、制御部63は、リアブレーキ操作部13の入力量に応じて、第4モードDにおいて該入力量の際に後輪4に発生するブレーキ力となるように、後輪制動機構14の込め弁31、弛め弁32、第1弁35、及び第2弁36を制御する。
ステップS37、ステップS38、ステップS39、ステップS47、ステップS48又はステップS49の後、制御装置60は、ステップS50に進む。そして、ステップS50において制御装置60は、リアブレーキ操作部13の操作が解除されているか否かを判定する。リアブレーキ操作部13の操作が解除されていない場合、つまりリアブレーキ操作部13が操作されたままの状態となっている場合、制御装置60は、ステップS22に戻る。また、リアブレーキ操作部13の操作が解除されている場合、制御装置60は、ステップS51に進んで、前輪3及び後輪4にブレーキ力を発生させる制御を終了する。
なお、図13では、第2連動ブレーキ制御時、モード選択部62は、第3モードC又は第4モードDの選択を行い、第5モードE又は第6モードFの選択も行っている。しかしながら、これはあくまでも一例である。例えば、後輪4の摩擦制動機構29の温度上昇の抑制のみを図ればよい場合、第2連動ブレーキ制御時、モード選択部62は、第3モードC又は第4モードDの選択を行い、第5モードE又は第6モードFの選択を行わなくてもよい。また例えば、前輪3の摩擦制動機構29の温度上昇の抑制のみを図ればよい場合、第2連動ブレーキ制御時、モード選択部62は、第5モードE又は第6モードFの選択を行い、第3モードC又は第4モードDの選択を行わなくてもよい。
以上、実施の形態について説明したが、本発明は実施の形態の説明に限定されない。例えば、実施の形態の一部のみが実施されてもよく、また、各ステップの順序が入れ替えられてもよい。