本技術のいくつかの実施形態の具体的詳細が、図1~107Bを参照して以下で説明される。実施形態の多くは、人工弁デバイスを使用した天然僧帽弁の経皮的置換のためのデバイス、システム、及び方法に関して以下で説明されるが、本明細書で説明されるものに加えて、他の用途及び他の実施形態も本技術の範囲内である。加えて、本技術のいくつかの他の実施形態は、本明細書で説明されるものとは異なる構成、構成要素、または手技を有することができる。したがって、当業者であれば、本技術が、付加的な要素を伴う他の実施形態を有することができ、または本技術が、図1~107Bを参照して以下で示され、説明される特徴のうちのいくつかを伴わない他の実施形態を有することができることを理解するであろう。
本説明内の「遠位」及び「近位」という用語に関して、特に指定されない限り、該用語は、オペレータ及び/または血管系または心臓内の場所を参照して、人工弁デバイス及び/または関連送達デバイスの部分の相対位置を指すことができる。例えば、本明細書で説明される種々の人工弁デバイスを送達して位置付けるために好適な送達カテーテルを指す際に、「近位」は、デバイスのオペレータまたは血管系の中への切開により近い位置を指すことができ、「遠位」は、デバイスのオペレータからより遠位にあるか、または血管系に沿った切開からさらに遠い位置(例えば、カテーテルの端部)を指すことができる。人工心臓弁デバイスに関して、「近位」及び「遠位」という用語は、血流の方向に対するデバイスの部分の場所を指すことができる。例えば、近位は、上流位置または血液流入の位置を指すことができ、遠位は、下流位置または血液流出の位置を指すことができる。参照しやすいように、本開示の全体を通して、同様または類似の構成要素または特徴を識別するために、同一の参照番号及び/または文字が使用されるが、同一参照番号の使用は、部品が同一であると解釈されるべきであることを暗示しない。実際に、本明細書で説明される多くの実施例では、同一の番号が付けられた部品は、構造及び/または機能が明確に異なる。本明細書で提供される見出しは、便宜のためにすぎない
概説
システム、デバイス、及び方法が、僧帽弁等の天然心臓弁の経皮的置換のために本明細書で提供される。以下に記載される詳細のうちのいくつかは、当業者がそれらを実践、作製、及び使用することを可能にするように十分な様式で、以下の実施例及び方法を説明するように提供される。しかしながら、以下で説明される詳細及び利点のうちのいくつかは、本技術のある実施例及び方法を実践するために必要ではなくてもよい。加えて、本技術は、請求項の範囲内であるが、詳細に説明されていない、他の実施例及び方法を含んでもよい。
本技術の実施形態は、僧帽弁を含む心臓弁等の身体の弁を治療するシステム、方法、及び装置を提供する。本装置及び方法は、静脈または動脈を通して心臓の中へ血管内送達されるカテーテルを使用する、経皮的アプローチを可能にする。加えて、本装置及び方法は、心臓内の標的場所への人工置換弁の経心尖、経心房、及び直接大動脈送達を含む、他の低侵襲アプローチを可能にする。本装置及び方法は、人工装具が、弁輪及び/または弁尖の弁輪下表面との係合によって天然弁の場所に固着されることを可能にする。加えて、本明細書で説明されるようなデバイス及び方法の実施形態は、順行性または逆行性アプローチ及びそれらの組み合わせで心臓の弁(例えば、僧帽弁または三尖弁)にアクセスする既知の方法等の、多くの既知の手術及び手技と組み合わせることができる。
本明細書で説明されるデバイス及び方法は、デバイスの固着部分から人工弁を機械的に隔離しながら、可変的形状の天然僧帽弁生体構造に適応及び一致する可撓性を有する、弁置換デバイスを提供する。デバイスのいくつかの実施形態は、天然生体構造によって適用される歪曲力を効果的に吸収する。本デバイスは、経時的に心臓の動的条件に耐えるために必要な構造強度及び完全性を有し、したがって、置換弁を永久的に固着し、患者が実質的に通常の生活を再開することを可能にする。本デバイス及び方法はさらに、低侵襲的な様式でそのようなデバイスを送達し、患者に新しい永久置換弁だけでなく、より低いリスクの手技及びより速い回復も提供する。
本技術の種々の実施形態に従って、心臓の天然弁の修復または置換のためのデバイスが開示される。天然弁は、弁輪及び弁尖を有し、本デバイスは、弁輪の上または下の組織に係合するように、かつ非円形の形状に変形して組織に一致するように構成される、第1の部分を有する、固着部材を含む。固着部材はまた、第2の部分も含み得る。本デバイスはまた、固着部材の第2の部分に連結され、人工弁を支持するように構成され、断面形状を有する、弁支持体も含む。種々の実施形態では、固着部材の第1の部分は、弁支持体の断面形状が十分安定したままであるように弁支持体から機械的に隔離され、それにより固着部材が非円形の形状に変形させられたときに人工弁は有能なままである。
本開示のいくつかの実施形態は、天然僧帽弁に埋め込むための人工心臓弁デバイスを対象とし、僧帽弁は、弁輪及び弁尖を有する。一実施形態では、本デバイスは、弁尖の間の場所に位置付け可能な固着部材を有することができ、固着部材の第1の部分は、弁輪の対応する寸法よりも大きい寸法まで拡大可能である。この実施形態では、固着部材の上流移動が、弁輪上または付近の組織との上流部分の係合によって遮断される。固着部材はまた、第2の部分を含むこともできる。本デバイスはまた、固着部材の第2の部分に連結される弁支持体を含むこともでき、弁支持体の上流領域は、少なくとも固着部材の第1の部分から半径方向内向きに離間される。弁支持体は、人工弁を支持するように構成することができる。
別の配列では、弁輪及び弁尖を有する天然弁に埋め込むためのデバイスは、弁輪の下流の弁尖の内向き表面に係合するように構成される上流端、及び下流端を有する双曲面固着部材を含むことができ、上流端は、下流端よりも大きい断面積を有する。本デバイスはまた、固着部材の中に位置付けられ、人工弁を支持するように構成される、弁支持体を含むこともできる。弁支持体は、上流端から実質的に下流に離間した場所で固着部材に連結され、上流端において固着部材に連結されていない。
本開示の他の態様は、患者の天然心臓弁の修復または置換のための人工心臓弁デバイスを対象とし、心臓弁は、弁輪及び弁尖を有する。一実施形態では、本デバイスは、第1の断面寸法を有する第1の部分、及び第1の断面寸法よりも小さい第2の断面寸法を有する第2の部分を有する、固着部材を含む。第1の部分は、心臓組織に係合して、弁輪に対して固定縦方向位置で固着部材を保持するように構成される。本デバイスはまた、固着部材の第2の部分に連結され、人工弁を支持するように構成される、弁支持体を含むこともできる。弁支持体は、弁支持体を実質的に変形させることなく、第1の部分が内向きに変形することができるように、固着部材の第1の部分から半径方向に分離することができる。
さらなる配列では、本開示はまた、天然心臓弁に埋め込むためのデバイスも対象とする。本デバイスは、心臓弁の天然弁輪の上または下流の組織に係合するように構成される上流端を有する、固着部材と、人工弁を支持するように構成される弁支持体とを含むことができる。弁支持体は、固着部材に連結することができる。いくつかの配列では、固着部材は、天然弁尖の後ろに延在するデバイスの要素を伴わずに、デバイスの上流移動に抵抗することができる。
別の実施形態では、本デバイスは、天然弁尖の間に位置付け可能な固着部材を含むことができる。固着部材は、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、弁輪上または付近の心臓組織に係合するように構成される、複数の組織係合要素を上流端上及び/または外面上に有することができる。本デバイスはまた、固着部材の内部内に位置付けられ、固着部材の下流部分に連結される弁支持体を含むこともでき、弁支持体は、少なくとも固着部材の上流部分から半径方向に分離される。
本開示のさらなる実施形態は、上部領域、下部領域、及び人工弁を保持する内部を有する、支持構造を含む、弁輪及び一対の弁尖を有する天然僧帽弁の修復または置換のためのデバイスを対象とする。本デバイスはまた、支持構造の少なくとも一部分を包囲する固着部材を含むこともでき、固着部材は、弁尖の間に位置付け可能であり、菱形パターンに配列された複数の可撓性要素(例えば、ワイヤ、レーザ切断金属要素等)、上部分、及び下部分を有する。固着部材の上部分は、弁輪上または付近の心臓組織に係合して、上流方向へのデバイスの移動を阻止するよう、可撓性要素の近位端が半径方向外向きを指すように、近位方向へ外向きに裾広であり得る。支持構造の下部領域は、固着部材の下部分に連結することができ、支持構造の下部領域は、少なくとも固着部材の裾広上部分の変形から機械的に隔離することができる。
本開示の他の実施形態は、円筒形支持体と、円筒形支持体とは別個の構造によって画定される固着体とを有する、人工心臓弁デバイスを対象とする。円筒形支持体は、縦軸と、それを通って血液が流れ得る縦軸に沿った内部とを有することができる。固着体は、僧帽弁の弁輪下組織に係合するように構成される外向きに裾広の上流端を伴って、非円形断面を有することができる。固着体はまた、円筒形支持体を包囲し、上流端と反対側の下流端において支持体に連結することもできる。
さらなる実施形態では、本デバイスは、2つの弁尖の間の配置のために構成される拡大可能な弁支持体を含むことができる。支持体は、第1の領域と、第2の領域と、弁が連結され得る内部とを有し得る。本デバイスはまた、第1の部分及び第2の部分を有する、固着部材を含むこともでき、第2の部分は、弁支持体の第2の領域に連結される。固着部材の第1の部分は、第2の部分から離れて外向きに延在することができる。固着部材は、弁輪上または付近の組織に係合するように構成される第1の周囲を第1の部分において有することができる。固着部材は、第1の周囲において、またはその付近で半径方向に及ぼされる力が、弁支持体の形状を実質的に変化させないように、弁支持体から機械的に隔離することができる。
付加的な実施形態は、内側フレームと、内側フレームに連結される外側フレームとを含む、患者の心臓弁を治療するデバイスを対象とする。内側フレームは、外面と、人工弁を支持するように構成される内面とを有することができる。外側フレームは、僧帽弁輪の対応する断面寸法よりも大きい断面寸法を伴う上部分を有することができ、上部分は、僧帽弁輪における、またはそれより下側の組織に係合するように構成される。上部分はまた、心室収縮期中に上向きまたは上流方向へのデバイスの移動を防止することもできる。さらに、外側フレームの上部分は、内側フレームから機械的に隔離することができる。
さらなる実施形態では、本デバイスは、円筒形の内側骨格と、内側骨格に連結され、弁輪の下流の弁尖の間に位置付け可能な外側骨格とを含むことができる。外側骨格が、非円形断面に変形可能であり得る一方で、内側骨格は、断面が実質的に円形のままである。内側骨格は、人工弁が連結され得る、内部を有することができる。外側骨格は、複数の可撓性要素(例えば、ワイヤ、レーザ切断金属要素等)を有することができ、可撓性要素の少なくとも一部分は、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、天然弁輪下組織に係合するように構成することができる。一実施形態では、複数の可撓性ワイヤは、菱形構成で配列される。
その上さらなる実施形態では、人工僧帽弁デバイスは、上流及び下流端と、弁が連結され得る内部と、周囲とを有する、弁支持体を含むことができる。本デバイスはまた、裾広上流部分と、弁支持体の周囲に連結される下流部分とを有する、固着部材を含むこともできる。上流部分は、弁支持体から機械的に隔離することができ、天然僧帽弁の弁輪下組織に係合するように構成することができる。加えて、本デバイスは、弁支持体及び固着部材が半径方向に収縮させられる、第1の構成を含む、複数の構成に移動可能であり得、弁支持体は、第1の断面形状を有する。本デバイスはまた、弁支持体及び固着部材が半径方向に拡大させられ、弁支持体が第2の断面形状を有する、第2の構成に移動することもできる。加えて、本デバイスは、固着部材が弁輪下組織と係合させられ、それによって変形させられる一方で、弁支持体は第2の断面形状で留まる、第3の構成に移動することができる。
いくつかの実施形態では、本デバイスは、固着部材または弁支持体から天然僧帽弁輪の少なくとも部分的に上流の位置まで延在する、心房保持体を備えてもよい。心房拡張部材は、デバイスをさらに安定化または固着するために、弁輪の上流表面(例えば、弁輪上表面)及び/または心房の内壁に係合するように適合される、心房係合構造を備えてもよい。例えば、心房保持体は、デバイスの下流移動を阻止することができる。
本デバイスのいくつかの実施形態はさらに、デバイスが傾転すること、または横方向に変位させられることを阻止するように、1つ以上の安定化部材を備えてもよい。安定化部材は、弁支持体及び/または固着部材から半径方向外向きに延在する複数のアームを備えてもよい。アームは、天然弁尖の後ろに延在するように、及び/または心室壁もしくは乳頭筋と係合するように構成されてもよい。
本開示の別の態様による、さらなる実施形態は、天然僧帽弁に埋め込むためのデバイスを対象とし、天然僧帽弁は、弁輪及び弁尖を有する。本デバイスは、上流及び下流端と、弁が連結され得る内部と、外面とを有する、弁支持体を含むことができ、かつ第1の裾広上流部分と、弁支持体の外面に連結される第1の下流部分とを有する、第1の固着部材を含むことができる。他の実施形態では、第1の下流部分は、弁支持体の内面に、またはいくつかの実施形態では、弁支持体の端部に連結することができる。本デバイスはまた、第1の固着部材を少なくとも部分的に包囲する、第2の固着部材を含むこともできる。第1の固着部材の第1の上流部分は、弁支持体から機械的に隔離し、天然僧帽弁の弁輪上組織に係合するように構成することができる。第2の固着部材は、第2の裾広上流部分と、弁支持体の外面に連結される第2の下流部分とを有することができ、第2の上流部分は、弁支持体から機械的に隔離することができ、天然僧帽弁の弁輪下組織に係合するように構成される。
その上さらなる実施形態では、埋込のためのデバイスは、弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成される、半径方向に拡大可能な固着部材を含むことができる。固着部材は、後尖に面した側に第1の縦方向長さ、及び前尖に面した側に第2の長さを有することができる。ある実施形態では、第1の長さは、左心室流出路(LVOT)の閉塞が制限されるように、第2の長さよりも大きくあり得る。本デバイスはまた、内部に、または固着部材の端部に連結される、弁支持体、または代替として人工弁を含むこともできる。
本技術の他の実施形態は、弁輪及び弁尖を有する天然僧帽弁に埋め込むためのデバイスを提供し、本デバイスは、上流及び下流端と、弁が連結され得る内部と、外面とを有する、弁支持体を含む。本デバイスはまた、裾広上流部分と、弁支持体の外面に連結される下流部分とを有する、固着部材を含むこともでき、上流部分は、上部リングと、上部リングに連結される下部リングとを有することができる。本デバイスはさらに、固着部材の円周の周囲に分布し、上部リングを下部リングに連結する、複数の可撓性弁輪係合要素を含むことができる。下部リングは、弁輪が上部及び下部リングの間、ならびに弁輪係合要素内で受容されるように、上部リングに向かって上流方向に移動するように構成される。
本開示はさらに、血管内または他の最小侵襲形態のアクセスを使用する、人工弁及び他のデバイスの送達のためのシステムを提供する。例えば、本技術の実施形態は、僧帽弁が弁輪を有する、患者の僧帽弁を治療するシステムを提供する。本システムは、本明細書で説明されるような僧帽弁を治療するデバイスと、カテーテル内でデバイスを保持するように構成される管腔を有する、カテーテルとを備える。
他の態様では、患者の天然弁を置換するためのシステムが提供される。本システムは、遠位端及び近位端を有する、細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に連結され、閉鎖端及び開放端を有する、筐体とを含むことができる。本システムはまた、筐体に対して軸方向に移動可能である筐体内のプランジャと、アクチュエータを移動させることによりプランジャに対して軸方向に筐体を移動させるように、カテーテル本体の近位端において、プランジャに連結されるアクチュエータとを含むこともできる。本システムはさらに、折り畳み構成及び拡大構成を有する、人工弁デバイスを含むことができる。人工弁デバイスは、折り畳み構成で筐体の中に位置付け可能であり得、アクチュエータを移動させることによって筐体から近位に解放可能であり得る。
さらに別の態様では、本技術の実施形態は、患者の心臓弁を治療する方法を提供する。僧帽弁は、弁輪及び弁輪に連結された弁尖を有する。本方法は、弁輪内で、または弁輪に隣接して、本明細書で説明されるようなデバイスを埋め込むことを含むことができる。本デバイスは、いくつかの実施形態では、固着部材に連結され、それによって少なくとも部分的に包囲される弁支持体を含むことができる。固着部材は、弁尖の間に配置することができ、固着部材の上流部分は、弁輪の上または下流の組織に係合して、上流方向へのデバイスの移動を防止するように構成することができる。さらに、弁支持体は、少なくとも上流部分において固着部材から機械的に隔離することができる。
その上さらなる態様では、本技術の実施形態は、弁輪及び弁尖を有する天然僧帽弁の置換のための方法を提供する。本方法は、デバイスが折り畳み構成である間に、弁尖の間に本明細書で説明されるようなデバイスを位置付けることを含み得る。本方法はまた、人工装具の固着部材が弁輪の上または下流の組織に係合する弁輪下位置にあるように、人工装具が拡大することを可能にすることを含み得る。固着部材は、弁輪下位置で、弁輪の対応する直径よりも大きい直径を有することができる。本方法はさらに、弁支持体の固着部材内での拡大を可能にすることを含み得、弁支持体は、固着部材に連結される。種々の実施形態では、弁支持体は、固着部材が組織に係合するときの固着部材の変形が、弁支持体を実質的に変形させないように、固着部材から機械的に隔離することができる。いくつかの配列では、弁支持体のある領域は、変形してもよいが、人工弁を保持するために好適な支持領域は、人工弁の弁尖接合が損なわれないように、実質的に変形しない。
本開示はさらに、入口端及び出口端を伴う管状固定フレームを有する固着部材を含むことができる人工心臓弁デバイスを提供する。本デバイスはまた、固着部材に連結される第1の部分と、固着部材から機械的に隔離される第2の部分とを有し、それにより固着部材の入口端が、第2の部分を実質的に変形することなく半径方向に変形可能である、管状弁支持体も含むことができる。本デバイスはさらに、弁支持体に連結される弁を含むことができる。弁は、弁支持体を通る血流が遮断される閉鎖位置と、弁支持体を通って下流方向に血流が許容される開放位置とから移動可能である少なくとも1つの弁尖を有することができる。本デバイスはまた、固定フレームに連結され、かつそこから半径方向外向きに延在する、拡張部材も含むことができる。拡張部材の変形可能な部分が固着部材を実質的に変形することなく半径方向に変形可能であるように、拡張部材の変形可能な部分は、固着部材から機械的に隔離することができる。
本開示の付加的な態様は、接続構造及び半径方向に拡大可能な固定フレームを有する固着部材を含むことができる、人工心臓弁デバイスを対象とする。接続構造は、固定フレームに連結される第1の端部と、弁支持体に連結される第2の端部と、固定フレームを弁支持体から離間する側部とを有することができる。本デバイスはまた、弁支持体に連結され、内部を通る血流が遮断される閉鎖位置と、入口端から出口端へ向かう流れの方向で内部を通る血流が許容される開放位置とから移動可能である少なくとも1つの弁尖を有する、弁を含むことができる。本デバイスはさらに、縁部及び縁部に連結される支持構造を有する、拡張部材を含むことができる。縁部は、固定フレームに連結され、かつそこから半径方向外向きに延在する、可撓性材料のシートを含むことができる。種々の実施形態では、支持構造は縁部よりも剛性であり得る。一実施形態では、縁部は、流れの方向に対して横断する軸の周囲の固定フレームに対して偏向可能であり得、固定フレームは、弁支持体から少なくとも部分的に独立して変形するように構成される。
付加的な人工心臓弁デバイスは、内部を伴い、上流端及び下流端を有する管状固定フレームを有する固着部材と、固着部材に連結される弁とを含むことができる。弁は、内部を通る血流が遮断される閉鎖位置と、上流端から下流端へ向かう流れの方向で内部を通る血流が許容される開放位置とから移動可能である少なくとも1つの弁尖を有することができる。本デバイスはまた、縁部及び縁部に連結される弾性支持構造を有する、拡張部材を含むこともできる。縁部は、固着部材にその上流端付近で連結され、かつそこから半径方向外向きに延在する、可撓性材料のシートを含むことができる。支持構造は、固定フレームから構造的に独立することができる。さらに、拡張部材は、固着部材を実質的に変形することなく半径方向に変形可能であり得る。
その上さらなる態様では、人工心臓弁デバイスは、内部を伴い、上流端及び下流端を有する半径方向に拡大可能なフレームを有する固着部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、上流端は、対象中の心臓弁の天然弁輪に、及び/またはその下流に位置する組織に係合するように構成され、かつ組織の形状に一致するように少なくとも部分的に変形可能であるように構成される組織固定部分を含む。本デバイスはまた、前記固着部材に関して位置付けられ、かつ内部を通る血流が遮断される閉鎖位置と、上流端から下流端へ向かう流れの方向で内部を通る血流が許容される開放位置とから移動可能である少なくとも1つの弁尖を有する、弁を含むことができる。弁は、組織固定部分が組織の形状に一致するように変形されるとき、弁が有能なままであるように、固着部材の組織固定部分から内向きに離間することができる。本デバイスはさらに、拡大可能なフレームの上流端に近接する固着部材に可撓的に連結される拡張部材を含むことができ、拡張部材は、薄型構成において流れの方向に沿って縦方向に延在し、展開構成において流れの方向に対して横方向に突出するように付勢される。拡張部材は、展開構成において拡大可能なフレームに対して変形するように構成することができる。
本技術の付加的な態様は、天然心臓弁を置換する方法を対象とする。一実施形態では、方法は、補綴存在が折り畳み構成であるときに、天然弁輪の上流の第1の心腔中に送達デバイスで補綴を位置付けることと、補綴の固着部材が少なくとも部分的に折り畳まれたままである間に、拡張部材が少なくとも部分的に拡大形状へと拡大するように、第1の心腔中の補綴の拡張部材を展開することとを含むことができる。本方法はまた、天然心臓弁を包囲する第1の心腔の壁との係合による、拡張部材のインジケータ部分の偏向を引き起こすように、補綴を移動することと、拡張部材のインジケータ部分を可視化して、インジケータ部分の偏向に基づいて、天然弁輪に対する補綴の位置を決定することとを含むことができる。本方法はさらに、補綴の固着部材を、補綴を定位置で固着するよう、それが天然弁輪の下流の心臓組織との係合へと拡大するように、展開することを含むことができる。
天然心臓弁を置換する別の方法は、補綴が折り畳み構成であるときに、天然弁輪の上流の第1の心腔中に送達デバイスで補綴を位置付けることと、補綴の固着部材が少なくとも部分的に折り畳まれたままである間に、拡張部材が少なくとも部分的に拡大形状へと拡大するように、第1の心腔中の補綴の拡張部材を展開することとを含むことができる。本方法はまた、補綴の固着部材を、補綴を定位置で固着するよう、それが天然弁輪の下流の心臓組織との係合へと拡大するように、展開することを含むことができる。本方法はさらに、拡張部材が、固着部材の任意の変形よりも、より大きな程度で半径方向に変形することを許容することを含むことができる。
天然心臓弁を置換する付加的な方法は、天然弁輪の上流の第1の心腔中に送達デバイスで折り畳まれた補綴を位置付けることと、補綴の固定部材が少なくとも部分的に折り畳まれたままである間に、拡張部材が少なくとも部分的に拡大形状へと拡大するように、第1の心腔中の補綴の拡張部材を展開することとを含むことができる。本方法はまた、拡大された拡張部材が、少なくとも部分的に内向きに折り重なり、固定部材を天然弁輪に対して所望の場所に位置付けるように、下流方向に補綴を移動することを含むことができる。本方法はさらに、補綴の固定部材を、補綴を定位置で固着するよう、それが天然弁輪の下流の心臓組織との係合へと拡大するように、展開することを含むことができる。
本明細書で開示されるデバイス及び方法は、僧帽弁等の非円形で非対称形状の弁及び二葉弁または二尖弁を治療するために構成することができる。それはまた、三尖弁等の心臓の他の弁を治療するために構成することもできる。本明細書で開示されるデバイス及び方法の多くはさらに、心臓または天然弁が漸進的拡大または歪曲を受け得る条件下でさえも、人工装具の長期的(例えば、永久的)で確実な固着を提供することができる。
心臓及び僧帽弁生理学
図1及び2は正常な心臓Hを示す。心臓は、肺静脈PVを介して肺から酸素を豊富に含む血液を受容し、僧帽弁MVを通して、この酸素を豊富に含む血液を左心室LVの中へ送出する、左心房を備える。収縮期の正常な心臓Hの左心室LVが、図2で図示される。左心室LVは、収縮しており、血液は、矢印の方向へ大動脈弁AVを通って外向きに流れる。僧帽弁は、左心室内の圧力が左心房LA内の圧力よりも高いときに逆流を防止する「逆止弁」として構成されるため、僧帽弁MVを通る血液の逆の流れまたは「逆流」が防止される。
僧帽弁MVは、図2で図示されるように、閉鎖するように均等に交わる、または「接合」する、遊離縁FEを有する一対の弁尖を備える。弁尖LFの反対端は、弁輪ANと呼ばれる組織の環状領域を介して、周辺心臓構造に付着している。図3は、僧帽弁の弁輪及び弁尖の概略断面側面図である。図示されるように、弁尖LFの反対端は、弁尖組織LFならびに心臓壁の隣接筋組織の両方と明確に異なる、弁輪ANと呼ばれる密性結合組織の線維輪を介して、周辺心臓構造に付着している。弁尖LF及び弁輪ANは、様々な強度、靱性、線維性、及び可撓性を有する、異なる種類の心臓組織から成る。さらに、僧帽弁MVはまた、本明細書では弁尖/弁輪接続組織LAC(重複平行線によって示される)と呼ばれる、各弁尖LFを弁輪ANに相互接続する組織の独特な領域を備えてもよい。一般に、弁輪組織ANは、弁尖組織LFよりも強靱、線維性、かつ強い。
図2を参照すると、僧帽弁尖LFの遊離縁FEは、弁尖LFのそれぞれの下面を覆って固定された複数の分岐腱を含む、腱索CT(本明細書では「腱索(chordae)」と呼ばれる)を通して、左心室LVの下部分に固定される。腱索CTは、ひいては、左心室LV及び心室中隔IVSの下壁から上向きに延在する、乳頭筋PMに付着している。
ここで図4A~4Bを参照すると、心臓内のいくつかの構造欠陥が、僧帽弁逆流を引き起こし得る。図4Aに示されるように、不十分な張力が腱索を介して弁尖に伝達されるため、断裂した腱索RCTは、弁尖LF2を逸脱させ得る。他の弁尖LF1が正常な外形を維持する一方で、2つの弁尖は適正に交わらず、左心室LVから左心房LAの中への漏出が、矢印によって示されるように起こるであろう。
逆流はまた、図4Bに示されるように、心臓が拡張され、増大したサイズが、弁尖LFが適正に交わることを妨げる、心筋症に罹患している患者でも起こる。心臓の拡大は、僧帽弁輪を拡大させ、遊離縁FEが収縮期中に交わることを不可能にする。前尖及び後尖の遊離縁は、通常、図5Aに示されるように接合線Cに沿って交わるが、図5Bに示されるように、有意な間隙Gが、心筋症に罹患している患者において残され得る。
僧帽弁逆流はまた、図4Aで図示されるように、乳頭筋PMの機能が損なわれている、虚血性心疾患に罹患した患者でも起こり得る。左心室LVが収縮期中に収縮すると、乳頭筋PMは、適正な閉鎖をもたらすほど十分には収縮しない。次いで、弁尖LF1及びLF2の一方または両方が逸脱する。再度、漏出が左心室LVから左心房LAへ起こる。
図5A~5Cはさらに、僧帽弁の弁尖Lの形状及び相対サイズを図示する。図5Cを参照すると、全体的な弁は、長軸MVA1及び短軸MVA2を伴う略「D」字形または腎臓のような形状を有することが分かり得る。健康なヒトでは、長軸MVA1は、典型的には、長さが約33.3mm~約42.5mm(37.9+/-4.6mm)の範囲内であり、短軸MVA2は、長さが約26.9~約38.1mm(32.5+/-5.6mm)の範囲内である。しかしながら、減少した心機能を有する患者では、これらの値は、より大きくあり得、例えば、MVA1は、約45mm~55mmの範囲内であり得、MVA2は、約35mm~約40mmの範囲内であり得る。接合線Cは、曲線状またはC字形であり、それにより、比較的大きい前尖AL及び実質的により小さい後尖PLを画定する(図5A)。両方の弁尖は、前尖ALが弁の中央で後尖よりも実質的に幅広い、上または心房側から略三日月形に見える。図5Aで図示されるように、接合線Cの対向端において、弁尖は、それぞれ、前外側交連AC及び後内側交連PCと呼ばれる角でともに接合する。
図5Cは、僧帽弁輪の形状及び寸法を示す。弁輪は、弁尖LFの線維組織よりも厚くて強靱であり、心室及び心房壁の筋組織とは明確に異なる線維組織から成る、弁の周囲の環状領域である。弁輪は、頂点間軸IPDに沿って位置する第1の頂点部分PP1及び第2の頂点部分PP2、ならびに谷間軸IVDに沿って位置する第1の谷部分VP1及び第2の谷部分VP2を伴う、鞍様形状を含んでもよい。第1及び第2の頂点部分PP1及びPP2は、2つの谷部分VP1、VP2の底を含有する面に対して高度がより高く、典型的には、ヒトでは、約8~19mm高く、したがって、弁に全体的な鞍様形状を与える。頂点間範囲IPDと呼ばれる、第1及び第2の頂点部分PP1、PP2の間の距離は、第1及び第2の谷部分VP1、VP2の間の距離である、谷間範囲IVDよりも実質的に短い。
当業者であれば、患者の寸法及び生理学が患者間で変化し得、一部の患者が異なる生理学を含み得るが、本明細書で説明されるような教示は、僧帽弁の種々の条件、寸法、及び形状を有する多くの患者によって使用するために適合できることを認識するであろう。例えば、実施形態に関する研究は、一部の患者が、境界明瞭な頂点及び谷部分を伴わずに、弁輪を横断する長い寸法及び弁輪を横断する短い寸法を有し得、それに従って、本明細書で説明されるような方法及びデバイスを構成できることを示唆する。
僧帽弁へのアクセス
僧帽弁または他の房室弁へのアクセスは、経皮的な様式で患者の血管系を通して達成することができる。経皮的とは、典型的には、例えば、Seldinger技法を通した針アクセスの使用等の外科的切開手技または最小侵襲手技を使用して、心臓から遠隔にある血管系の場所が皮膚を通してアクセスされることを意味する。遠隔血管系に経皮的にアクセスする能力は、周知であり、特許及び医学文献で説明されている。血管アクセスの点に応じて、僧帽弁へのアプローチは、順行性であり得、心房中隔を横断することによる左心房の中への進入に依存し得る。代替として、僧帽弁へのアプローチは、大動脈弁を通して左心室に進入する、逆行性であり得る。いったん経皮的アクセスが達成されると、介入ツール及び支持カテーテル(複数可)が、本明細書で説明されるように種々の様式で、血管内で心臓まで前進させられ、標的心臓弁に隣接して位置付けられてもよい。
経中隔アプローチを使用して、下大静脈IVCまたは上大静脈SVCを介して、右心房RAを通り、心房中隔IASを横断して、僧帽弁MVより上側の左心房LAの中へ、アクセスが得られる。
図6Aに示されるように、針2を有するカテーテル1が、下大静脈IVCから右心房RAの中へ前進させられてもよい。いったんカテーテル1が心房中隔IASの前側に到達すると、針2は、例えば、左心房LAの中への卵円窩FOまたは卵円孔において、中隔を貫通するように前進させられてもよい。この時点で、ガイドワイヤが針2と交換され、カテーテル1が引き出されてもよい。
図6Bに示されるように、心房中隔IASを通したアクセスは、通常、典型的には、上で説明されるように配置されたガイドワイヤ6上のガイドカテーテル4の配置によって、維持されてもよい。ガイドカテーテル4は、本明細書でさらに詳細に説明されるように、デバイスの導入を可能にして僧帽弁を置換するように、後続のアクセスを提供する。
代替的な順行性アプローチ(図示せず)では、好ましくは肋骨を除去することなく、肋間切開を通して、外科的アクセスが得られてもよく、小さい穿孔または切開が左心房壁に加えられてもよい。次いで、ガイドカテーテルが、この穿孔または切開を通して左心房の中へ直接配置され、巾着縫合によって密閉されてもよい。
上で説明されるような僧帽弁への順行性または経中隔アプローチは、多くの点で有利であり得る。例えば、順行性アプローチの使用は、通常、ガイドカテーテル及び/または人工弁デバイスのより正確かつ効果的なセンタリング及び安定化を可能にするであろう。正確な位置付けは、人工弁デバイスの配置の精度を促進する。順行性アプローチはまた、カテーテル及び介入ツールの導入及び操作中に腱索または他の弁下構造を損傷するリスクを低減させ得る。加えて、順行性アプローチは、逆行性アプローチの場合のような大動脈弁の横断と関連付けられるリスクを減少させ得る。これは、全くまたは実質的な損傷のリスクを伴わずには横断することができない、人工大動脈弁をもつ患者に特に関係があり得る。
僧帽弁への逆行性アプローチの実施例が、図7及び8で図示されている。僧帽弁MVは、大動脈弓AAから、大動脈弁AVを横断して、僧帽弁MVより下側の左心室LVの中へのアプローチによってアクセスされてもよい。大動脈弓AAは、従来の大腿動脈アクセス経路を通して、ならびに上腕動脈、腋窩動脈、橈骨動脈、または頸動脈を介したより直接的なアプローチを通してアクセスされてもよい。そのようなアクセスは、ガイドワイヤ6の使用により達成されてもよい。いったん定位置になると、ガイドカテーテル4は、ガイドワイヤ6上で追跡されてもよい。代替として、好ましくは、肋骨を除去することなく肋間で、大動脈自体の穿孔を通してガイドカテーテルを配置し、胸部の切開を通して、外科的アプローチがとられてもよい。ガイドカテーテル4は、本明細書でさらに詳細に説明されるように、人工弁デバイスの配置を可能にするように後続のアクセスを提供する。
いくつかの特定の場合において、僧帽弁への逆行性動脈アプローチが、ある利点により選択されてもよい。例えば、逆行性アプローチの使用は、経中隔穿孔の必要性を排除することができる。逆行性アプローチはまた、より一般的には、心臓専門医によって使用されており、したがって、精通しているという利点がある。
僧帽弁への付加的なアプローチは、図9に示されるように、経心尖穿孔を介する。このアプローチでは、心臓へのアクセスは、従来の開胸術または胸骨切開術、あるいはより小さい肋間または剣状突起下切開または穿孔であり得る、胸部切開を介して獲得される。次いで、アクセスカニューレが、心尖における、またはその付近の左心室の壁の中の、巾着縫合によって密閉される穿孔を通して配置される。次いで、本発明のカテーテル及び人工装具は、このアクセスカニューレを通して左心室に導入されてもよい。
経心尖アプローチは、僧帽または大動脈弁へのより短く真っ直ぐな直線経路を提供するという特徴を有する。さらに、それが血管内アクセスを伴わないため、経心尖手技は、他の経皮的アプローチで必要とされるカテーテル法を行うために介入心臓学の必要な訓練を受けていない場合がある外科医によっても行うことができる。
人工治療デバイスは、該アプローチのために特異的に設計されてもよく、またはアプローチ間で交換可能であり得る。当業者であれば、本明細書で説明される実施形態に従って、個別患者のための適切なアプローチを識別し、識別されたアプローチのための治療装置を設計することができる。
人工弁デバイスの配向及び操縦は、多くの既知のカテーテル、ツール、及びデバイスと組み合わせることができる。そのような配向は、所望の結果を達成するように、所望の場所へのデバイスの全体的な操縦、次いで、デバイス構成要素の精密な操縦によって達成されてもよい。
全体的な操縦は、いくつかの方法によって達成されてもよい。操縦可能なガイドワイヤが、ガイドカテーテル及び人工治療デバイスを適正な位置に導入するために使用されてもよい。ガイドカテーテルは、例えば、患者の鼠径部内の大腿動脈への外科的切開またはSeldingerアクセスを使用して導入されてもよい。ガイドワイヤを配置した後、ガイドカテーテルが、ガイドワイヤ上で所望の位置に導入されてもよい。代替として、上で説明される他の経路を通して、より短い異なる形状のガイドカテーテルを導入することができる。
ガイドカテーテルは、僧帽弁に対する所望の配向を提供するように事前成形されてもよい。経中隔アプローチを介したアクセスのために、ガイドカテーテルは、それを通ってガイドカテーテルが延在する中隔穿孔の場所から僧帽弁に向かって遠位端を配向するように、その先端で曲線状、傾斜、または他の好適な形状を有してもよい。図7及び8に示されるような逆行性アプローチについては、ガイドカテーテル4は、大動脈弓AAを越え、大動脈弁AVを通して配置された後に、僧帽弁MVに向かって旋回するように構成される、事前成形されたJ先端を有してもよい。図7に示されるように、ガイドカテーテル4は、介入ツールまたはカテーテルの配向が僧帽弁MVの軸とより密接に整合させられるように、左心室LVの中へ下方に延在し、J字形構成を成すように構成されてもよい。いずれにしても、事前成形されたガイドカテーテルは、ガイドカテーテルの管腔を通過させられるスタイレットまたは不撓性ガイドワイヤを用いて、血管内送達のために真っ直ぐにされるように構成されてもよい。ガイドカテーテルはまた、より微細な操縦調整のために、その形状を調整する引張ワイヤまたは他の手段を有する場合もある。
人工心臓弁デバイス及び方法の選択された実施形態
本明細書で説明されるような本技術の実施形態は、本明細書で説明されるように心臓の弁のうちの1つ以上を治療するために使用することができ、特定の実施形態では、僧帽弁の治療のために使用することができる。本技術の実施形態による、人工心臓弁デバイス、システム構成要素、及び関連方法の実施例が、図10A~56を参照してこの節で説明される。図10A~56を参照して説明される実施形態の特定の要素、下部構造、利点、用途、及び/または他の特徴は、本技術の付加的な実施形態によれば、相互と、及び/または図57A~71を参照して説明される実施形態と好適に入れ替え、置換し、または別様に構成できることが理解されるであろう。さらに、図10A~71を参照して説明される実施形態の好適な要素は、独立型及び/または内蔵型デバイスとして使用することができる。
システム、デバイス、及び方法が、患者の心臓内の人工心臓弁の経皮的埋込のために本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、方法及びデバイスが、人工置換心臓弁の最小侵襲埋込による、弁疾患の治療のために提示される。一実施形態では、人工置換弁は、患者の心臓内の左心房と左心室との間の僧帽弁の埋込及び置換に好適な人工弁デバイスであり得る。別の実施形態では、人工弁デバイスは、患者の心臓内の別の弁(例えば、二尖または三尖弁)の埋込または置換に好適であり得る。図10Aは、本技術の実施形態による、拡大構成102の人工心臓弁デバイス100の等角図を示し、図10Bは、心臓の左心房、左心室、及び天然僧帽弁を描写する心臓の断面図の概略図である。図10Bはまた、心臓の天然僧帽弁領域に埋め込まれた拡大可能な人工弁デバイス100の実施形態も示す。
図10Aに示されるように、デバイス100は、少なくとも部分的に内側弁支持体120を包囲し、それに連結される可撓性固着部材110を含むことができる。デバイス100はさらに、弁支持体120に連結され、その内側に載置され、または別様にそれによって担持される、人工弁130を含むことができる。図10C~10Fは、それぞれ、本技術による、人工心臓弁デバイス100の側面、斜視切断、上面、及び底面図である。デバイス100はまた、1つ以上の密閉部材140と、組織係合要素170とを含むこともできる。例えば、密閉部材140は、一実施形態では、デバイス100と天然組織との間、及び/または固着部材110と弁支持体120との間の弁傍(例えば、補綴近傍)漏出を防止するように、固着部材110の内壁141の周囲に、及び/または弁支持体120の外面127の周囲に延在することができる。別の具体的実施形態では、図10Aに示されるように、組織係合要素170は、固着部材110の上流周囲113の上に配置されたスパイクであり得、天然組織に係合し、いくつかの実施形態では天然組織を貫通して、保持を促進し、または所望の埋込場所でデバイスの位置を維持するように、上向き及び/または半径方向外向き方向に延在することができる。組織係合要素170はまた、固着部材110の外壁142の周囲に含まれてもよく、天然弁尖または他の隣接組織に係合し、いくつかの実施形態ではそれを貫通するように外向きに延在することができる。加えて、弁支持体120は、本明細書でさらに説明されるように、送達カテーテル(図示せず)内及びそこからのデバイス100の装填、保持、及び展開を促進するように、上流端121の周囲に小穴等の複数の連結特徴180を有することができる。
人工心臓弁デバイス100は、送達構成(図示せず)、拡大構成102(図10A)、及び展開構成104(図10B)の間で移動可能であり得る。送達構成では、人工心臓弁デバイス100は、本明細書で説明される経中隔、逆行性、または経心尖アプローチを介して心臓の中に位置付けられる小径ガイドカテーテルを通した送達に好適な薄型外形を有する。いくつかの実施形態では、人工心臓弁デバイス100の送達構成は、好ましくは、僧帽弁MVへの経中隔アプローチについては約8~10mm、逆行性アプローチについては約8~10mm、または経心尖アプローチについては約8~12mm以下の外径を有するであろう。本明細書で使用されるように、「拡大構成」は、拘束または歪曲力の存在がなく、非拘束サイズに自由に拡大させられたときのデバイスの構成を指す。本明細書で使用されるような「展開構成」は、いったん天然弁部位で拡大させられ、天然生体構造によって及ぼされる拘束または歪曲力を受けているデバイスを指す。
再び図3を参照すると、本明細書で使用されるような「弁輪下」は、天然口の面POの上または下流DNに位置する僧帽弁MVの一部分を指す。本明細書で使用されるように、天然弁口の面POは、長軸MVA1または短軸MVA2のいずれか一方または両方を含有する、弁を通る血流の方向と略垂直な面である(図5C)。したがって、僧帽弁MVの弁輪下表面は、面POの心室側に位置する組織表面であり、好ましくは、左心室LVに向かって略下流に面するものである。弁輪下表面は、弁輪AN自体、または天然弁尖LFの後ろの心室壁上に配置されてもよく、あるいは、面POより下側に位置する、内向きIFまたは外向きOFのいずれか一方の天然弁尖LFの表面を備えてもよい。したがって、弁輪下表面または弁輪下組織は、弁輪AN自体、天然弁尖LF、弁尖/弁輪結合組織、心室壁、またはそれらの組み合わせを備えてもよい。
手術中、人工心臓弁デバイス100は、送達カテーテル(図示せず)内で送達(例えば、折り畳み)構成である間に、僧帽弁MV付近の心臓内の場所等の心臓内の所望の場所に血管内送達することができる。図10Bを参照すると、デバイス100は、天然弁輪AN内、またはその下流の位置まで前進させることができ、そこでデバイス100は、拡大構成102(図10A)に向かって拡大するように送達カテーテルから放出することができる。デバイス100は、所望の場所で天然組織に係合し、デバイス100の形状を展開構成104(図10B)に変形または別様に変化させるであろう。いったんカテーテルから放出されると、デバイス100は、収縮期力に抵抗し、デバイス100の上流移動を防止するよう、可撓性固着部材110の少なくとも一部分が天然弁の弁輪下表面に係合するように、位置付けることができる(図10B)。図10Bで図示される実施形態では、固着部材110の上流周囲113は、外向きに押勢され、天然弁輪ANの下で折り畳まれる、天然弁尖LFの内向き表面IF(図3)に係合する。弁尖LFは、弁輪ANの心室側に係合し、上流方向にさらに押勢されることを妨げられ、したがって、天然弁輪の面より下側で固着部材110を維持する。組織係合要素170は、デバイス100を安定させてしっかりと固着するように、弁尖LF及び/または弁輪ANの組織を貫通することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、固着部材110のいくつかの部分は、弁輪ANより上側に延在してもよく、固着部材110の少なくともいくつかの部分が、左心房LAに向かうデバイス100の移動を防止するように弁輪下の場所で組織に係合する。図10Bに示されるように、弁尖LFは、固着部材110の外壁142に対して並列に位置し、密閉部材140との血液密閉シールを形成することができる。組織係合要素170は、デバイス100をさらに安定させて移動を防止するように、固着部材110の外壁142に沿って、弁輪ANまたは弁尖LFに対して圧力を適用するか、または別の実施形態ではそれらを貫通することができる。
本技術の態様によれば、固着部材110の近位または上端は、展開構成104である間に、不規則な形状の僧帽弁輪ANに一致し、デバイスを固着するように、及び弁傍漏出を防止するように、天然弁輪ANに対してデバイス100を効果的に密閉する。本明細書でさらに説明されるように、固着部材110は、固着部材110が天然力に適応及び/または一致し得る一方で、弁支持体120がその構造完全性を維持するように、心臓に存在する歪曲力から弁支持体120を機械的に隔離する。したがって、固着部材110は、天然生体構造によって固着部材110に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離するような様式で、十分に可撓性及び弾性であり得、及び/または弁支持体120に連結することができる。代替として、または上記の特徴に加えて、弁支持体120は、その円筒形または他の所望の形状を維持するよう、及び弁支持体構造120内に収納された人工弁130の適正な開放及び閉鎖を確保するよう、より剛性であり得、及び/または固着部材110の半径方向強度よりも優れた半径方向強度を有し得る。いくつかの実施形態では、弁支持体120は、固着部材110の半径方向強度よりも少なくとも100%、または他の実施形態では少なくとも200%、及びさらなる実施形態では少なくとも300%大きい半径方向強度を有する。一実施形態では、弁支持体120は、およそ10N~約12Nの半径方向強度を有することができる。したがって、その円周に対して半径方向圧縮力を及ぼすことによって、その不偏形状から変形させられた場合、弁支持体120は、所与の程度の変形について、固着部材110によって示されるであろうよりも約2~約20倍大きいフープ力を示すことができる。
図10A~10Fで図示されるように、固着部材110は、下流部分111と、デバイス100の縦軸101に対して下流部分111と反対側の上流部分112とを有する。固着部材110の上流部分112は、図10Dに示されるように、デバイス100の略外向き配向部分であり得る。一実施形態では、固着部材110は、二層双曲面の形状等の略双曲面形状を有する。別の実施例では、下流部分111が、断面が実質的に円形であり得る一方で、上流部分112は、略非円形であり得る。いくつかの実施形態では、固着部材110は、いくつかの実施形態では、変形可能及び/または可撓性コネクタ116によって円周方向に接続される、一連の円周方向に位置付けられた、弾性的に変形可能な可撓性縦方向リブ114を含むことができる。いったん展開されると、縦方向リブ114の上流端の少なくとも一部分は、天然弁(例えば、僧帽弁)の弁輪下表面に係合する。以下でさらに詳細に説明されるように、縦方向リブ114のある実施形態は、弁輪下組織を貫通し、デバイス100を固着してさらに安定させるように構成される。
加えて、図10A~10Fはまた、縦方向リブ114及び/または円周方向コネクタ116が、種々の幾何学的パターンで配列されてもよいことも図示する。図10A~10Fに示される実施例では、コネクタ116は、山形構成で形成される。当業者であれば、菱形パターン、正弦波構成、閉鎖セル、開放セル、または他の円周方向に拡大可能な構成も可能であることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、縦方向リブ114は、それらの長さに沿って、例えば、コネクタ116が縦方向リブ114と相互接続する、複数の分離したセグメント(図示せず)に分割されてもよい。複数のコネクタ116及びリブ114は、変形可能な材料から、または弾性もしくは形状記憶材料(例えば、ニチノール)から形成することができる。他の実施形態では、固着部材110は、縦方向リブ114及び/または円周方向コネクタ116に加えて、またはそれらの代わりに、メッシュまたは織物構造を備えることができる。例えば、固着部材110は、菱形パターンまたは他の構成で配列された複数の可撓性ワイヤまたはフィラメントから形成された管または編組メッシュを含むことができる。別の実施例では、所望のリブまたは支柱幾何学形状を提供するように、金属管をレーザ切断することができる。菱形構成は、いくつかの実施形態では、弁支持体120の中に載置された弁130に対する収縮期血圧の力の下で、弁輪に対するデバイス100の移動を阻止するのに十分なカラム強度を提供することができる。特定の実施例では、固着部材120は、例えば、およそ0.010インチ~約0.030インチの壁厚を有する、事前成形されたニチノール管で形成することができる。
図11A~11Hは、図10A~10Fに示される人工心臓弁デバイス100の実施形態で使用することができる、弁支持体120のいくつかの実施形態を示す。図11A~11Gは、拡大構成102で示された弁支持体120の側面図及び等角図であり、図11Hは、本技術による、拡大構成102で配置された人工心臓弁デバイス100の別の実施形態の等角図である。図10A~10F及び11A~11Hをともに参照すると、弁支持体120のいくつかの実施形態は、三尖弁または他の人工弁130を支持するように構成される円形、卵形、楕円形、腎臓形、D字形、または他の好適な断面形状を伴って、縦軸101の周囲に形成された上流端121及び下流端123を有する、略円筒形であり得る。いくつかの実施形態では、弁支持体120は、複数の支柱124によって円周方向に接続された複数の柱122を含む。柱122及び支柱124は、拡大し、人工弁130の完全性を維持するために十分な弾性及びカラム強度を提供することができる、種々の幾何学的パターンで配列することができる。例えば、複数の柱122は、カラム強度を弁支持体120に提供するように、複数列の支柱124を横断して縦方向に延在することができる。しかしながら、他の実施形態では、弁支持体120は、金属、ポリマー、または繊維メッシュもしくは織物構造を含むことができる。
概して、複数の柱122は、縦軸101と略平行な軸方向に沿って延在することができ、支柱124は、縦軸101の周囲で円周方向に、かつ縦軸101に対して横断して延在することができる。柱122は、弁支持体120の縦高さH1全体に延在することができ(図11A)、または別の実施形態では、柱122は、弁支持体の高さH1に沿って複数の独立した別個の柱セグメント(図示せず)を含むことができる。一実施形態では、高さH1は、およそ14mm~約17mmであり得る。支柱124は、縦軸101の周囲に一連のリングを形成することができ、各リングは、円周方向に拡大可能な幾何学形状を有する。図11A、11D、及び11Hに示される実施例では、支柱124は、一連のジグザグに形成され、一連の菱形を形成するよう相互と180度フェーズがずれて対に配列される。代替的な拡大可能な幾何学形状は、正弦波パターン、山形構成(図11B)、閉鎖セル(図11C)、開放セル、または他の拡大可能な構成を含むことができる。複数の支柱124は、支柱及び柱が交差する複数の節点125を画定するよう、複数の柱122に付着することができる。複数の支柱124及び複数の柱122は、変形可能な材料から、または弾性もしくは形状記憶材料(例えば、ニチノール)から形成することができる。
固着部材110及び弁支持体120は、同一の材料、またはいくつかの実施形態では異なる材料で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、固着部材110及び弁支持体120の両方は、ステンレス鋼等の弾性生体適合性金属、MP35N等のニッケルコバルトもしくはコバルトクロム合金、またはニチノール等のニッケルチタン合金を含む。ニチノール等の超弾性形状記憶材料は、デバイスが、カテーテルを介した血管系を通る送達に好適な非常に薄型の送達構成に折り畳まれることを可能にし、標的弁を置換するように好適にサイズ決定される展開構成への自己拡大を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、固着部材110及び/または弁支持体120は、単一の金属管から所望の幾何学形状にレーザ切断し、相互接続された支柱の管状足場を作成することができる。次いで、固着部材110は、そのような材料のための既知の形状設定技法を使用して、所望の構成、例えば、裾広、漏斗様、または双曲面形状に成形されてもよい。
図11B~11Eに示されるように、弁支持体120は、内面126及び外面127を有し、弁支持体120は、弁支持体120の内部管腔内で人工弁130を受容または支持して、逆行性血流(例えば、左心室から左心房の中への血流)を阻止するように構成される。したがって、弁支持体120は、人工弁組織を固定することができる足場を提供し、固着部材110に対して人工弁130の縦方向位置を維持するように十分な軸方向剛性を有する足場を提供することができる。弁支持体120はさらに、デバイス100が外部半径方向圧力を受けているときに、人工弁130の弁尖132が接合または別様に密閉することを確実にするように、円形(または他の所望の断面形状)を維持する半径方向剛性を有する、そのような足場を提供することができる。一実施形態では、弁支持体120は、人工弁に付着するか、または他の実施形態では、弁尖132の接合部分と整合させられるように構成される、縦軸101に沿った支持領域145を有することができる(図11Bに示される)。
弁130は、上流方向への血流を遮断し、弁支持体120を通る下流方向への血流を可能にするように適合される、一時的または永久的な弁を備えてもよい。弁130はまた、デバイス100が天然僧帽弁に埋め込まれた後に弁支持体120の中に配置されるように構成される、置換弁であってもよい。弁130は、複数の弁尖132を有することができ、PTFE、Dacron(登録商標)、熱分解炭素を含む、種々の可撓性かつ不透過性の材料、あるいは心膜組織等の他の生体適合性材料もしくは生物組織、またはブタ心臓組織もしくはウシ心膜等の異種移植弁組織で形成されてもよい。弁130の他の態様が、以下でさらに説明される。弁支持体120の管腔内の内面126は、血液が弁支持体120の外部の周囲で漏出し得る、弁支持体120の内側から弁支持体120の外側への血流を防止するように、不透過性密閉部材140によって少なくとも部分的に覆うことができる。別の実施形態では、密閉部材140は、弁支持体120の外面127に添着することができ、いずれの実施形態でも、弁130と一体的に形成され、または弁130に直接取り付けられてもよい。付加的な実施形態では、密閉部材140は、弁支持体120の内面126及び外面127の両方の少なくとも一部分の上に適用することができる。
図11B~11Hに示されるように、人工弁130は、弁交連Cと整合するように構成される、柱122または交連取付構造128に縫合し、リベットで留め、接着し、結合し、機械的に相互係止し、または別様に締結することができる。柱122または交連取付構造128は、人工弁130の取付を促進する縫合糸または他の締結手段の取付を促進するように、その上に形成された小穴129、ループ、または他の特徴を含むことができる。一実施形態では、図11Bに示されるように、取付構造128は、取付構造128が弁支持体120の円周に分布し、柱122として機能するように、弁支持体120の構造フレームに統合することができる。図11Dに示される別の実施形態では、取付構造128は、(例えば、柱122の上端に沿って)柱122の部分上に形成された取付パッドであり得る。図11E~11Gに図示される実施形態では、弁支持体120は、取付構造128が組み込まれる支持体バンド119を含む。いくつかの実施形態では、取付構造128は、支持体バンド119と一体であり得る(例えば、単一の金属管から所望の幾何学形状にレーザ切断し、縦方向取付構造を伴う相互接続された支柱を有する1つ以上の管状支持体バンドを作成する)。他の実施形態では、支持体バンド119は、取付構造128に締結された別個の構成要素であり得る。図11Hに示されるさらなる実施形態では、取付構造128は、柱122、支柱124、または弁支持体120の内面126に沿った他の構成要素に連結することができる別個の構造であり得る。
図11Cで図示されるように、人工弁130はまた、上で説明されるように、弁支持体120の内面126に取り付けられる、密閉部材140またはスリーブに取り付けられてもよい。いったん取り付けられると、人工弁130は、送達カテーテル(図示せず)に装填するためにデバイス100とともに折り畳むか、または圧縮するのに好適であり得る。一実施形態では、人工弁130は、三葉構成を有するが、二葉構成等の種々の代替的な弁構成が使用されてもよい。三葉対二葉構成の選択等の人工弁130の設計は、弁支持体120の好適な形状を判定するために使用することができる。例えば、三葉弁については、弁支持体120が、円形断面を有することができる一方で、二葉弁については、卵形またはD字形断面等の代替的な断面形状が可能である。特定の実施例では、弁支持体は、27mm等のおよそ25mm~約32mmの円形断面直径を有することができる。
いくつかの配列では、弁支持体120は、その中に事前に載置された永久人工弁を有することができ、または弁支持体120は、天然僧帽弁でのデバイス100の埋込に続いて、別個のカテーテル送達された弁を受容するように構成されてもよい。永久または置換弁が望ましい配列では、弁支持体120はさらに、内部管腔内に事前に載置された一時弁を含むことができる。デバイス100の配置と永久人工弁のさらなる埋込との間に、一定の期間が望ましい場合、弁支持体120に縫い込まれた、または弁支持体120内に別様に固定された一時弁が、その間に血流の調節を確保することができる。例えば、一時弁は、約15分から数時間または最大数日までの期間にわたって使用されてもよい。永久または置換人工弁は、一時弁内に埋め込まれてもよく、または一時弁が除去された後に埋め込まれてもよい。事前に組み立てられた経皮的人工弁の実施例は、例えば、Medtronic/Corevalve Inc.(Irvine,CA,USA)からのCoreValve ReValving(登録商標)System、またはEdwards Lifesciences(Irvine,CA,USA)からのEdwards-Sapien(登録商標)valveを含む。別個のカテーテル送達された弁を受容するように適合された場合、弁支持体120は、カテーテル送達された弁に係合し、その中でそれを保持するように、その内部管腔内に、またはその上端あるいは下端の上に、内向きに延在する隆起、段差、突起、またはフラップ等の特徴を有してもよい。本明細書で開示される人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な人工弁、一時弁、及び置換弁の構造、送達、及び取付に関する付加的な詳細及び実施形態は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2012年6月21日出願の「PROSTHETIC HEART VALVE DEVICES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題された国際PCT特許出願第PCT/US2012/043636号で見出すことができる。
いくつかの配列では、固着部材110は、弁支持体120とは別個の構造によって画定される。例えば、固着部材110は、第1または外側フレームまたは骨格であり得、弁支持体120は、第2または内側フレームまたは骨格であり得る。したがって、固着部材110は、弁支持体120を少なくとも部分的に包囲することができる。いくつかの実施形態では、固着部材110の下流部分111を弁支持体120に連結することができる一方で、上流部分112は、弁支持体120の形状に過度に影響を及ぼす様式で弁支持体120に接続または連結されない。例えば、いくつかの実施形態では、固着部材110の上流部分112は、弁輪の上または下の天然組織の形状に係合し、それに合わせて変形するように構成することができる一方で、弁支持体120の断面形状は、十分安定したままとなる。例えば、固着部材110が内向きに変形させられた場合、少なくとも弁支持体120の上流端121が、実質的に未変形のままとなるように、弁支持体120は(例えば、少なくとも上流端121で)、固着部材110の上流部分112から半径方向内向きに離間することができる。本明細書で使用されるように、「実質的に未変形である」とは、弁支持体120が係合または変形させられていない状況を指すことができ、あるいは弁支持体120がわずかに変形することができるが、人工弁130が元の状態で有能なままである(例えば、弁尖132が逆行性血流を防止するように十分に接合する)シナリオを指すことができる。そのような配列では、デバイス100が収縮期圧力または心臓の送出作用からの力を受けているときでさえも、人工弁130の弁尖132は、十分に閉じることができる。
縦方向リブ114及び/または円周方向コネクタ116は、弁支持体120の柱122及び/または支柱124ほど剛性ではなく、固着部材110のより優れた可撓性、及び/または弁支持体120の形状及び位置に対するさらなる安定性を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、固着部材110の可撓性は、固着部材110が歪曲力を吸収することを可能にするとともに、(弁支持体120を実質的に影響を受けていない状態にしながら)デバイス100が天然弁輪の不規則な非円形の形状に一致することを可能にし、組織内方成長を促し、デバイス100と天然組織との間の漏出を防止するように密閉を作成することができる。加えて、所望の位置でデバイス100を固着するとともに、弁輪下の位置付けがデバイス100の上流移動を効果的に防止するように、天然弁輪よりも大きい上流展開円周150’を維持するよう、縦方向リブ114及び/またはコネクタ116は、天然弁、心室、及び/または大動脈構造に対して半径方向外向きに押勢するように構成することができる(図14Cにおいて以下でさらに説明される)。さらに、縦方向リブ114は、固着部材110及び/またはデバイス100の縦方向崩壊または外転を防止するように、及び上流方向へのデバイスの移動に抵抗するように、十分な弾性及びカラム強度(例えば、軸方向の不撓性)を有することができる。
弁支持体120から固着部材110を構造的に分離することによって、弁130及び弁支持体120は、天然組織によって固着部材110に及ぼされる歪曲力、例えば、天然弁輪及び/または弁尖によって及ぼされる半径方向圧縮力、縦方向の拡張期及び収縮期力、フープ応力等から、効果的に機械的に隔離される。例えば、天然組織による固着部材110の変形が、(例えば、非円形または非対称断面へ)固着部材110の断面を変化させることができる一方で、弁支持体120は、実質的に未変形であってもよい。一実施形態では、例えば、固着部材110が弁支持体120(例えば、下流端123)に連結される場合に、弁支持体120の少なくとも一部分を、半径方向圧縮力によって変形させることができる。しかしながら、弁支持体120の上流端121及び/または弁支持領域145(図11B)は、少なくとも弁支持領域145が実質的に未変形であり得るように、固着部材110及び圧縮力から機械的に隔離される。したがって、弁支持体120、及び少なくとも弁支持領域145は、弁が安定した、及び/または有能なままであるように、円形または他の望ましい断面を維持することができる。縦方向リブ114の可撓性は、歪曲力の吸収に寄与し、また、固着部材110から弁支持体120及び弁130を機械的に隔離するのに役立つこともできる。
左心房に向かって配向されたデバイス100の上流端において、弁支持体120は、固着部材110の上流部分112の最上末端より下側に、それと水平に、またはそれより上側に位置するように構成することができる。左心室に向かって配向され、その内側に存在するデバイス100の下流端において、固着部材110を弁支持体120に連結することができる。代替として、固着部材110は、弁支持体120の長さに沿ったいずれかの場所で弁支持体120に連結することができる。弁支持体120及び固着部材110は、当技術分野で公知である種々の方法、例えば、縫合、はんだ付け、溶接、ステープル、リベットまたは他の締結具、機械的連動、摩擦、締り嵌め、またはそれらの任意の組み合わせによって連結されてもよい。他の実施形態では、弁支持体120及び固着部材110は、相互と一体的に形成することができる。さらに別の実施形態では、スリーブまたは他の重層構造(図示せず)が、2つの構造を相互接続するように固着部材110及び弁支持体120の両方に取り付けられてもよい。
図12A~12Cは、本技術のさらなる実施形態による、歪曲力Fに応答して撓曲する種々の縦方向リブ114の側面図である。個々の縦方向リブ114(したがって固着部材110)の可撓性の程度は、固着部材110の全てのリブの間で一貫していてもよく、または代替として、いくつかのリブ114は、同一の固着部材110内の他のリブ114よりも可撓性であり得る。同様に、個々のリブ114の可撓性の程度は、リブ114の全長の全体を通して一貫していてもよく、または可撓性の程度は、各リブ114の長さに沿って変化することができる。
図12A~12Cに示されるように、縦方向リブ114(114A~114Cとして個別に示される)は、デバイス100の埋込中または後に周辺組織によって適用することができる歪曲力Fに応答して、それらのそれぞれの長さに沿って撓曲してもよい。図12Aでは、リブ114Aは、それぞれ、上向きまたは下向きの力F1に応答して、位置75’まで下向きに、または位置75’’まで上向きに撓曲してもよい。同様に、図12Bでは、複数の特異的セグメント85A、85B、85Cを伴うリブ114Bは、横方向に方向付けられた力F2に応答して、内向き/外向きに、または左右に撓曲及び/または回転してもよい。リブ114Bの端部における特異的セグメント85Aは、下方の特異的セグメント85B及び85Cとは別個に、横方向に方向付けられた力F2に応答して、内向き/外向きに、または左右に(例えば、位置85A’まで)撓曲及び/または回転してもよい。他の配列では、セグメント85Aは、特異的セグメント85Bとともに、または両方のセグメント85B及び85Cとともに一緒に(図示せず)、(例えば、位置85AB’まで)撓曲及び/または回転してもよい。図12Cに示されるように、弛緩状態であるときに略直線状形状を有するリブ114Cはまた、曲線状形状を作成するように屈曲することによって、または示されていない別の実施形態では、2つの実質的に直線状のセグメントを作成するよう屈曲することによって、横方向に方向付けられた力F3に応答して、内向き/外向きに、または左右に(例えば、位置95’または95’’まで)撓曲及び/または回転してもよい。
個々のリブ114はまた、種々の形状を有し、固着部材110の円周の周囲で種々の位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、デバイス100は、第1及び第2の複数のリブを含むことができ、第1の複数のリブは、第2の複数のリブとは異なる特性を有する。種々の特性は、リブのサイズ、リブ形状、リブの不撓性、拡張角度、及び固着部材の所与の領域内のリブの数を含むことができる。他の実施形態では、縦方向リブは、固着部材の外周の周囲で不均等または均等に離間することができる。
リブ114は、固着部材110の任意の数の全体的な断面幾何学形状、例えば、円形、D字形、卵形、腎臓形、不規則な形等を作成するように、固着部材110の縦軸101に沿って配向された円周の周囲に位置付けることができる。図13Aは、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイスの概略断面図であり、図13B~13Fは、本技術の付加的な実施形態による、種々の縦方向リブ構成を図示する、人工心臓弁デバイスの部分側面図である。図13Aを参照すると、個々のリブ114は、セグメント85A及び85B等の複数の直線状セグメントを備えることができる。図示した実施例では、リブセグメント85Bは、第1の角度A1によって半径方向外向きに角度を成す(例えば、縦軸101から離れて角度を成す)。リブセグメント85Bは、セグメント85Bの下流端における弁支持体120へのその付着点から上流方向に延在し、それにより、固着部材110の上流部分112においてより大きい直径D2、及び下流部分111においてより小さい直径D3を伴って、円錐または裾広形状を固着部材110に与える。一実施形態では、上部リブセグメント85Aは、縦軸101に対して下部リブセグメント85Bよりも急峻な第2の角度A2で角度を成し、固着部材110の上流部分112において、より広い裾広上流部分112Aをもたらすことができる。いくつかの配列では、より広い裾広上流部分112Aが、固着部材110と天然組織との間の密閉を増進してもよい一方で、下流部分111は、収縮期力がデバイス100に及ぼされたときにデバイス100の上流移動に抵抗するために、より剛性の幾何学形状を提供することができる。代替として、リブ114は、図13Bの部分側面図に示されるように、その長さの全体または一部分にわたって弓形であり得る。
さらに他の実施形態では、図13C~13Fによって図示されるように、リブ114は、複数の特異的セグメント85A、85B、85C等によって画定される、より複雑な形状を有することができる。例えば、図13Cに示されるように、リブ114は、その上流端において直線状で半径方向外向きに延在するリブセグメント85Bに接続される、縦軸101と略平行な直線状リブセグメント85Cを含み、リブセグメント85Bは、その上流端において、縦軸101と略平行である、より垂直なリブセグメント85Aに接続される。図13Dを参照すると、リブ114は、縦軸101と略平行であり、その上流端において、縦軸101と略垂直である直線状の半径方向外向きに延在するリブセグメント85Aに接続される、直線状リブセグメント85Bを含むことができる。図13Eを参照すると、リブ114は、縦軸101と略平行であり、その上流端において、縦軸101と略垂直である直線状の半径方向外向きに延在するリブセグメント85Bに接続される、直線状リブセグメント85Cを含むことができる。リブセグメント85Bはさらに、その最も半径方向外向きの端部において、縦軸101と略平行な垂直リブセグメント85Cに接続することができる。図13Fを参照して、リブ114は、縦軸101と略平行であり、その上流端において、縦軸101と略垂直である半径方向外向きに延在するリブセグメント85Cに接続される、直線状セグメント85Dを含む。リブセグメント85Cはさらに、その最も半径方向外向きの端部において、縦軸101と略平行である直線状の垂直セグメント85Bに接続することができ、85Bは、その最も半径方向外向きの端部において、直線状の半径方向内向きに延在するセグメント85Aに接続される。
図13C~13Fで図示される実施形態では、リブ114は、弁支持体120の機械的隔離を増進する様式で弁支持体120に連結(例えば、柱122に連結)することができる。例えば、付着点の上流の各リブ114の大部分が、弁支持体120に対して移動可能かつ変形可能であり、それにより、リブ120が弁支持体120に対して半径方向外向きまたは円周方向に前後に撓曲することを可能にするように、リブ114は、リブ114の下流端の付近で弁支持体120に取り付けられてもよい。加えて、当業者であれば、図13A~13Fで図示される実施形態のうちのいずれかでは、リブセグメントのうちのいずれかまたは全てが、曲率を有してもよく、代わりに、角度を成すように示されるセグメントの任意の相互接続が曲線状であり得ることを認識するであろう。したがって、これらの種々の幾何学形状のうちのいずれかは、固着部材110が天然生体構造に一致し、デバイス100の移動に抵抗し、天然組織によって固着部材110に及ぼされる力から、弁支持体120及び/またはその中に含有された人工弁130を機械的に隔離することを可能にするように構成されてもよい。
個々のリブ114の可撓性特性は、不均等で独特な形状の天然組織に対してデバイス100を係合及び密閉するように、固着部材110の可撓性及び適合性を可能にすることができる。加えて、可撓性は、デバイス100と周辺生体構造との間に密閉を作成することを支援することができる。図14Aは、短軸50及び長軸55を図示する天然僧帽弁MVの概略上面図であり、図14B~14Cは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁MVの概略図を覆う、それぞれ、拡大構成102及び展開構成104の固着部材110の概略上面図である。
図14Bを参照すると、固着部材110の上流部分112(図10A)は、固着部材110が拡大構成102(鎖線として示される)であるときに、天然弁輪の短軸50(図14A)よりも大きく、通常は、弁輪の長軸55よりも小さい、直径D1を伴う外周150を有することができる。他の実施形態では、固着部材110は、少なくとも天然交連Cの間の距離と同じくらいの大きさの直径D1を有してもよく、天然弁輪の長軸55と同じくらいの大きさか、またはそれよりもさらに大きくあり得る。いくつかの実施形態では、固着部材110の外周150は、弁支持体120(または人工弁130)の直径(図示せず)のおよそ1.2~1.5倍である直径D1を有し、弁支持体120(または人工弁130)の直径より2.5倍大きくあり得る。従来の弁は、種々のサイズの罹患弁を治療するように複数のサイズで製造されなければならないが、弁支持体120及び人工弁130は、本技術の態様によれば、多数の天然弁サイズに適合するように単一の直径のみで製造されてもよい。例えば、弁支持体120及び人工弁130は、正確に天然生体構造に係合して適合する必要はない。具体的実施例では、弁支持体120は、成人患者については約25mmから約32mmの範囲内の直径(図示せず)を有してもよい。また、本技術の態様によれば、固着部材110は、種々の天然弁サイズに適合するように、複数の直径で提供されてもよく、上流端において直径が約28mm~約80mmの範囲であり、または他の実施形態では80mmより大きくてもよい。
図14Cに示される固着部材110の上面図は、固着部材110が、鎖線によって示されるような拡大構成102に対して、太い線によって示されるような展開構成104に歪曲することを、1つ以上の縦方向リブ114及び/またはリブセグメントの可撓性及び/または変形がどのようにして可能にするかを図示する。図14Cに示されるように、固着部材110は、僧帽弁輪に、またはその下に展開された、または埋め込まれたとき、点線によって示されるように、高度に可変の天然僧帽弁組織形状MVに一致することができる一方で、リブ114は、固着部材110の全体的形状が、完全拡大構成102の代わりに、展開(例えば、概して、より卵形またはD字形、あるいは他の不規則な形状)構成104を有するように、屈曲、捻転、及び伸張する。図14B~14Cをともに参照すると、固着部材110が、展開構成104で僧帽弁交連Cを覆う一方で、交連Cは、より円形の拡大構成102で非密閉または露出状態にされ、潜在的に弁傍漏出を可能にするであろう。固着部材110はまた、不偏条件であるときに、略卵形またはD字形、あるいは他の形状に事前成形することもできる。
図15は、本技術の実施形態による、展開構成104で図示された人工心臓弁デバイス100の実施形態の等角図である。図15は、複数のリブ114を有するデバイス100を図示し、第1組のリブ160は、内向きに屈曲するか、またはデバイス100の中心縦軸101に向かって圧縮するように構成することができ、第2組のリブ162は、外向きに屈曲するか、または天然弁の弁輪下空間に存在する歪曲力に応答して撓曲するように構成することができる。結果として、固着部材110の外周150は、鎖線によって示されるような拡大構成102でより円形の形状から、実線によって示されるような拡大構成104で概してより卵形またはD字形へ歪曲し、したがって、天然生体構造の形状に一致してもよい。さらなる配列では、固着部材110の上流部分112は、固着部材110が、その展開構成104で、わずかにより小さい直径に圧縮されるように、それが展開される弁輪下空間よりもわずかに大きくサイズ決定されてもよい。これは、隣接するリブ114の間の密閉部材セクションが、図15に示されるように、内向きまたは外向きに膨らみ、または湾曲して、緩いセクションBiを形成するように十分緩んでいるように、密閉部材142のわずかな弛緩を引き起こし得る。そのような膨らみは、弛緩したスリーブセグメントBiの曲率が、僧帽弁尖組織に係合して一致し、それにより、デバイス100と天然組織との間に形成される密閉を増進することができるため、いくつかの配列で望ましくあり得る。
図15に示されるように、図示した実施形態では、断面が円形である、弁支持体120の不偏拡大構成が、実質的に影響を受けていないままである一方で、固着部材110は、天然僧帽弁輪MVの非円形の形状に一致する。したがって、弁支持体120は、これらの力から機械的に隔離され、その構造形状及び完全性を維持する。固着部材110からの弁支持体120の機械的隔離は、人工心臓弁デバイス100のいくつかの態様に起因し得る。例えば、弁支持体120のより低い可撓性と比較した固着部材110の比較的高い可撓性は、固着部材110が、展開されたとき、及び動作中であるときに、有意に変形する(例えば、心室収縮期力を受けている生体構造の形状及び運動に一致する)ことを可能にする一方で、弁支持体120は、これらの同一の条件で実質的に未変形の(例えば、略円形)ままである。加えて、特に固着部材110が天然弁輪及び/または弁輪下組織に係合する上流部分/上流端において、固着部材110と弁支持体120との間の半径方向間隔は、弁支持体110に係合することなく、固着部材110が相当量を内向きに変形させられることを可能にする。さらに、固着部材110は、固着部材110が天然弁輪に係合する場所(例えば、固着部材110の上流部分112)から縦方向に実質的距離で離間される場所(例えば、固着部材110の下流部分111)で、弁支持体120に連結することができ、固着部材110のリブ114が、歪曲力を弁支持体120に直接伝達するよりもむしろ、それに及ぼされたこれらの力の多くを吸収することを可能にする。また、固着部材110を弁支持体120に取り付けるために採用された連結機構は、固着部材110から弁支持体120への力の伝達を低減させるよう(例えば、可撓性または移動可能であるように)構成することができる(本明細書でさらに論議される)。
多くの実施形態では、固着部材110が展開構成104(図14C及び15)であるときに天然僧帽弁輪に一致するように、固着部材110は、十分な可撓性を有することができるが、展開構成104であるときに、固着部材110が、天然弁輪、弁尖、及び/または弁輪の直下の心室壁に対して半径方向外向きに押勢するように、固着部材110は、その拡大構成102(例えば、図10A及び14B)に向かって付勢されたままとなるように構成することができる。いくつかの配列では、付勢された固着部材形状によって生成される半径方向力は、天然弁の短軸50(図14A)がわずかに増加させられ、及び/または弁輪の形状が別様に変化させられるように、天然生体構造を変形させるのに十分であり得る。そのような半径方向力は、弁130が心室収縮期中に閉じられるときの心房に向かった移動、ならびに弁130が開いているときの心室に向かった移動に抵抗するように、デバイス100の固着を増進することができる。さらに、固着部材110と弁尖及び/または心室壁あるいは他の構造との間の結果として生じる圧縮嵌合は、組織内方成長及び封入を促すことによって、組織とデバイス100との間の長期結合を作成するのに役立つ。
図16A~17Cは、本開示の付加的な実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイス100を図示する。図16A~16Cは、図10A~15を参照して上で説明される人工心臓弁デバイス100の特徴に概して類似する特徴を含む、拡大構成102で図示された人工心臓弁デバイス100の上面図ならびに第1及び第2の側面図である。例えば、デバイス100は、弁支持体120と、弁支持体120の内部管腔内に収納された人工弁130とを含む。しかしながら、図16A~16Cに示される実施形態では、デバイス100は、固着部材210が僧帽弁の弁輪下領域中の組織に係合し、それと一致するために好適であるように、卵形またはD字形の上流周囲213を有する固着部材210と、固着部材210の円周250の周囲の複数の高度とを含む。
図16A~16Cをともに参照すると、デバイス100は、固着部材210の下流部分211において弁支持体120を少なくとも部分的に包囲し、それに連結される、可撓性固着部材210を含むことができる。デバイス100はまた、デバイス100と天然組織との間、及び/または固着部材210と弁支持体120との間の弁傍漏出を防止するように、固着部材210の内壁241の周囲に、及び/または弁支持体120の外面127または内面126の周囲に延在する、1つ以上の密閉部材140を含むこともできる。一実施形態では、密閉部材140は、固着部材210の上流周囲213を包み込む、及び/または覆うことができる。例えば、密閉部材140は、壁241、242に縫い付け、縫合し、または接着することができ、上流周囲213に折り重なる拡張部分(図示せず)を有することができる。一実施形態では、密閉部材140は、反対側の壁に接着することができる(例えば、上流周囲213を覆うように内壁241から延在し、外壁242の上部分に取り付けられる)。しかしながら、他の実施形態では、密閉部材140は、付着していない状態でより長い遊離縁(図示せず)を有することができる。密閉部材140の遊離縁は、いくつかの配列では、上部周囲213と天然組織との間の血流を阻止するのに好適であり得る。
図16B~16Cで図示されるように、固着部材210は、下流部分211と、デバイス100の縦軸201に沿った下流部分111と反対側の上流部分212とを有する。デバイス100の固着部材110(図10A)と同様に、固着部材210の上流部分212は、デバイス100の略外向き配向部分であり得る。いくつかの実施形態では、固着部材110は、菱形パターンを形成するように固着部材210の円周250の周囲に十字パターンであり得る、一連の円周方向に位置付けられた弾性的に変形可能な可撓性リブ214を含むことができる。一実施形態では、リブ214は、菱形パターンまたは構成で配列された可撓性ワイヤまたはフィラメントであり得る。菱形構成は、いくつかの実施形態では、弁支持体120の中に載置された弁130に対する収縮期血圧の力の下で、弁輪に対するデバイス100の移動を阻止するように、天然弁輪及び弁尖組織への摩擦取付を提供するのに十分なフープ強度を提供する。特定の実施例では、固着部材120は、例えば、およそ0.010インチ~約0.030インチの壁厚を有する、事前成形されたニチノール管で形成することができる。菱形パターンまたは構成は、例えば、固着部材210の円周250の周囲に、1行以上の菱形、及びいくつかの実施形態では、およそ12~およそ36列の間の菱形を含むことができる。
いくつかの実施形態では、固着部材210の上流周囲213は、単一の面内に位置しない。例えば、リブ214は、下流周囲215と上流周囲213との間の距離(例えば、高度)が円周250の周囲で変化することができるように、可変長を有することができ、及び/または可変角度で相互からオフセットすることができる。例えば、上流周囲213は、天然僧帽弁の形状に適合するために複数の頂点251及び谷252(図16B)を有する、周縁を形成することができる(図5C参照)。本明細書で使用されるように、「頂点」及び「谷」とは、複数のリブ214によって形成される菱形パターンの菱形頂点及び菱形谷を指さないが、下流周囲215に対する高度の変化によって形成される起伏形状を有する、上流周囲213の部分を指す。一実施形態では、下流周囲215と上流周囲との間の距離(例えば、高度)は、約6mm~約20mmで、及び別の実施形態では約9mm~約12mmの間で異なり得る。
一実施形態では、固着部材210の上流周囲213は、2つの谷252によって分離される2つの頂点251を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の頂点は、第2の頂点とは異なる形状または高度を有することができる。他の実施形態では、谷252の形状は、逆の頂点251の形状とは異なり得る。したがって、頂点251及び谷252は、固着部材210の円周250の周囲で非対称に位置付け、成形することができる。種々の配列では、谷252は、天然弁輪の交連領域に沿って位置付けるために構成することができ、頂点251は、天然弁輪の弁尖領域に沿って位置付けるために構成することができる。一実施形態では、頂点251は、弁尖の中間点領域付近に位置付けられるように構成される先端を有することができる。固着部材はまた、典型的には交連に対応するより半径方向に拡大された部分が、弁尖の中心付近でより少なく拡大された領域よりも低くあるように、非拘束の位置のとき円周方向に対称であるが、非円形弁輪で展開されるとき前述の「頂点及び谷」を形成し得る。そのような効果は、リブの特定の幾何学形状及び固着部材の菱形パターンによって促進され得る。
図17A~17Cを参照すると、固着部材210の1つの具体的実施例は、固着部材の第1及び第2の領域253、254においておよそ7mm~約8mmの第1の高度E1を下流周囲215と上流周囲213との間に有することができる。第1及び第2の領域253、254は、天然僧帽弁の第1及び第2の交連(例えば、前外側交連AC及び後内側交連PC、図5A)と整合するように構成される。固着部材210はまた、固着部材210の第3の領域255においておよそ9mm~約11mmの第2の高度E2を下流周囲215と上流周囲213との間に有することができ、第3の領域255は、天然僧帽弁の前尖AL(図5A)と整合するように構成される。固着部材210はさらに、第3の領域255と反対側の固着部材210の第4の領域256においておよそ12mm~約13mmの第3の高度E3を下流周囲215と上流周囲213との間に有することができ、第4の領域256は、天然僧帽弁の後尖PL(図5A)と整合するように構成される。当業者であれば、高度E1、E2、及びE3は、他の測定値を有することができ、いくつかの実施形態では、高度E1、E2、及びE3は、相互とは異なり得るか、または同一であり得ることを認識するであろう。
加えて、上流周囲213は、天然僧帽弁の形状に適合するために、略卵形またはD字形、あるいは他の不規則な形状を有する、周縁を形成することができる。例えば、図17Aを参照すると、固着部材210の上流周囲213は、周囲外径Dm1と、周囲外径Dm1と垂直な周囲内径Dm2とを有することができる。一実施形態では、周囲外径Dm1は、デバイス100が拡大構成102(図17A)であるときに、天然僧帽弁の長軸MVA1(図5Cに示される)よりも長い。別の実施形態では、周囲外径Dm1は、デバイス100が拡大構成102であるときに、長軸MVA1よりも小さい。そのような実施形態では、デバイス100は、デバイスが展開構成であるときに(例えば、天然弁輪の上または下の組織に係合するとき、図16E参照)、長軸MVA1よりも大きい周囲外径Dm1を有するように構成することができる。さらに、周囲内径Dm2は、デバイス100が拡大構成102(図17A)であるか、または代替として展開構成(図16E)であるときに、天然僧帽弁の短軸MVA2(図5Cに示される)よりも大きくあり得る。一実施形態では、周囲外径Dm1及び/または周囲内径Dm2は、それぞれ、天然僧帽弁の長軸MVA1及び/または短軸MVA2よりもおよそ2mm~およそ22mm、または別の実施形態ではおよそ8mm~およそ15mm大きくあり得る。いくつかの実施形態では、周囲外径は、およそ45mm~約60mmであり得、周囲内径は、およそ40mm~約55mmであり得る。
再度、図16Cを参照すると、固着部材210の上流部分212は、間隙257によって弁支持体120から半径方向に分離することができる。一実施形態では、間隙257は、(例えば、第4の領域256に沿った)デバイス100の後尖に面した側よりも(例えば、第3の領域255に沿った)デバイス100の前尖に面した側で大きい。
図16A及び16Cを再び参照すると、弁支持体120は、第1の縦軸101に沿って配向することができ、固着部材210は、第2の縦軸201に沿って配向することができる。第2の縦軸201は、第1の縦軸101からオフセットすることができる。「オフセット」とは、間隙257が円周250の周囲で変化することができるように、軸101、201が平行であるが分離されている、配列を指すことができる(図16C)。図16Dは、「オフセット」が、固着部材210が、概して、弁支持体120に対して傾斜するように、第2の軸201が第1の軸101から角度を成すことができる(例えば、第1及び第2の軸101、201が非共線的または非平行である)配列を指すことができる、別の実施形態を示す。一実施形態では、第2の縦軸201は、第1の縦軸101に対して15°~45°の間の傾斜角ATLで配置される。
付加的な実施形態では、図18でさらに詳細に示されるように、上流周囲213の第1及び第2の領域253及び254は、第3の領域255及び第4の領域256よりも縦軸201から遠く延在することができる。例えば、固着部材210は、略円錐体(点線で示される)を有し、第1及び第2の領域253及び254の中で上流周縁拡張部258を有することができる。いくつかの実施形態では、上流周囲213の第3の領域255は、第4の領域256よりも縦軸201からさらに延在することができる。いくつかの配列では、第3の領域255は、左心室流出路(LVOT)を実質的に閉塞することなく、固着部材210が前尖の内向き表面に係合することを可能にするサイズ及び形状を有することができる。
図17A~17Cをともに参照すると、弁支持体120は、縦軸101に沿って配向することができ、固着部材210の上流部分212は、漸減角度ATによって縦軸101から外向きに広がることができる。リブ214が、概して、(直線状よりもむしろ)下流部分211から上流部分212まで外向きに曲線状である、実施形態では、漸減角度ATは、下流部分と上流部分との間で連続的に変化することができる。いくつかの実施形態では、漸減角度ATは、固着部材210の上流部分212の円周250の周囲で同一であり得るが、他の実施形態では、漸減角度ATは、円周250の周囲で変化することができる。例えば、固着部材210は、それぞれ、前外側交連AC及び後内側交連PC(図5C参照)と整合するように構成することができる、第1及び第2の領域253及び254(図17B)において、第1の漸減角度AT1を有することができる。固着部材210はさらに、前尖と整合するように構成することができる第3の領域255において第2の漸減角度AT2と、後尖と整合するように構成することができる第4の領域256において第3の漸減角度AT3とを有することができる(図17C)。一実施形態では、漸減角度は、およそ30°~約75°、別の実施形態では、およそ40°~約60°の間であり得る。
固着部材について非対称のリブの長さを有することの1つの重要な態様は、固着部材の1つの側面またはセグメントが他の前に送達システムから露出され、医師が完全な展開の前にデバイスの配向を最適化するようにデバイスを展開するのを可能にすることを、異なる長さが意味し得ることである。
固着部材の形状のこれらの変形は、いくつかの機能を提供することができる。1つは、天然弁輪とのより良好な嵌合を確保するためである。別に、展開位置における固着部材の各リブ及びセクション上の曲げ負荷を最適にして、部分的にリブ上の長期疲労応力を最小限にするためである。第3の理由は、僧帽弁輪で展開されるとき、固着部材が弁支持部材上で非対称力を付与しないことを確保するためである。第5は、弁尖が大動脈弁に向かって過度に変位されないように、前尖に対する展開したデバイスの力を低減するためである。前尖の中央がより小さく半径方向に拡大することを確実にすることによって、固着部材の円周の曲率の半径がその領域においてより高くなり、ラプラスの法則により、その領域の半径方向力はより低くなるであろう。
図16Eは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁MVに埋め込まれた図16A~16Cの人工治療デバイス100を示す、左心房から見た心臓内の天然僧帽弁の概略上面図である。いったん展開されると、図16Eで図示されるように、(図16B-16Cに示される)リブ214の上流端の少なくとも一部分が、天然弁(例えば、僧帽弁)の弁輪下表面に係合する。以下でさらに詳細に説明されるように、リブ114または214のある実施形態は、弁輪下組織を貫通し、デバイス100を固着してさらに安定させるように構成される。
固着部材210は、天然生体構造によって及ぼされる歪曲力に応答して変形可能であるが、弁支持体120は、円形または他の元の断面形状を維持するように十分な剛性を有し、したがって、開放及び閉鎖するときに人工弁尖132の適正な機能を確保することができる。固着部材210からのそのような機械的隔離は、固着部材210が変形させられている間に変形に抵抗するように十分な剛性を有する弁支持体120によって、及び弁支持体120またはその中に含有された人工弁130への固着部材210を通した力の伝達を軽減するよう、弁支持体120を固着部材210に連結するための場所及び手段を選択することによって、達成されてもよい。例えば、弁支持体120は、固着部材210が弁輪に係合する上流端121から分離される、弁支持体120の下流端123のみで固着部材210に連結されてもよい。上流端121の上で、弁支持体120は、弁支持体120の形状に影響を及ぼすことなく固着部材210の変形を可能にするように、固着部材210に完全に接続されず、間隙257によって固着部材210から半径方向に離間されてもよい(人工弁130が位置する図16A~16Cを参照)。したがって、弁輪によって固着部材210に及ぼされる力は、弁支持体120の下流端123へのそのような力の伝達を軽減するように、固着部材210の可撓性リブ214によって吸収することができる。
いくつかの実施形態では、デバイス100が弁輪の下流で左心室の中へ延在する距離を制限すること(例えば、左心室流出路(LVOT)の閉塞を制限すること)が望ましくあり得る。したがって、デバイス100のいくつかの実施形態は、固着部材210がLVOTの中へ延在しない、またはLVOTを閉塞しないように、比較的低い全体的高さ(例えば、高度E1、E2、及びE3、図17B~17C)を有する固着部材210を含むことができる。図16Bの側面図で示されるように、例えば、固着部材110は、弁支持体120の高さHVに対して低い全体的高度EL(例えば、固着部材210の上流周囲213と下流周囲215との間の距離)を有することができる。そのような実施形態では、固着部材110の上流周囲213が、天然僧帽弁輪の直下にあり、天然僧帽弁輪に隣接し、または天然僧帽弁輪内に位置付けられ得る一方で、固着部材210の下流周囲215は、デバイス100が埋め込まれたときに天然僧帽弁輪より下側の左心室の中へ最小限に延在するように構成される。いくつかの配列では、弁支持体120は、左心室の中への突出も最小限化するよう、固着部材210に連結することができ、いくつかの実施形態では、天然弁輪の面を通って左心房の中へ上向きに延在してもよい。
人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な付加的な構成要素及び特徴
人工心臓弁デバイス(例えば、上で説明されるデバイス100)とともに使用するために好適である、付加的な構成要素及び特徴が本明細書で説明される。ある構成要素及び特徴が特定のデバイス(例えば、デバイス100)に関して説明されるが、該構成要素及び特徴はまた、本明細書でさらに説明されるような他のデバイスとともに使用するために好適であり得るか、または他のデバイスとともに組み込まれることができることが、当業者によって認識されるであろう。
図10Aに関して上で論議されるように、人工心臓弁デバイス100のいくつかの実施形態は、固着部材110及び/または弁支持体120の部分の周囲に延在する、密閉部材140を含むことができる。例えば、図10Aで図示される実施形態は、デバイス100と生体構造との間だけでなく、デバイス100の構成要素も通る弁傍漏出を防止するように、固着部材110の内壁141の周囲及び弁支持体120の外面127の周囲に密閉部材140を有する。
図19A~図19Cは、それぞれ、本技術のさらなる実施形態による、密閉部材140を有する人工心臓弁デバイス100の等角図、側面図、及び上面図である。図19A~19Cをともに参照すると、デバイス100は、スカート144等の密閉部材140を含む。スカート144は、外壁142の上に配置するか、または内壁141の上で固着部材110の上流周囲113を少なくとも部分的に覆って配置することができる。したがって、スカート144は、固着部材110の任意の表面に固定及び/または連結することができる。スカート144はまた、弁支持体120の内面126(図19Aに示される)及び/または外面127に重なることもできる。スカート144及び/または他の密閉部材140の変形例は、(1)固着部材110と天然組織との間に血流阻止密閉を作成し、(2)固着部材110の壁141、142を通る、及び/または弁支持体120の表面126、127を通る血流を阻止し、(3)弁支持体120と固着部材110との間の空間を通る血流を阻止するように構成することができる。いくつかの実施形態では、密閉部材140は、隣接組織の内方成長を推進するように構成することができる。密閉部材140は、血流が人工弁130を通って左心房から左心室へ流れることに制限されるように、固着部材110と弁支持体120との間、ならびにデバイス100と周辺生体構造との間を密閉するのに役立つことができる。加えて、密閉部材140は、拡大構成102(図10A、16A、及び19A)または展開構成104(図10B及び16B)であるときに、固着部材110のための円周方向支持を提供することができる。いくつかの実施形態では、密閉部材140はさらに、固着部材110を弁支持体120に取り付ける働きをしてもよい。例えば、スカート144は、固着部材110の内壁141に連結し、弁支持体120に連結される密閉部材140と一体的に形成するか、または別様にそれに取り付けることができる。他の実施形態では、密閉部材140は、弁支持体120を、弁支持体120の内部に収納された人工弁130に連結するために使用することができる。スカート144等の密閉部材140は、縫合糸、リベット、または他の既知の機械的締結具で固着部材110及び/または弁支持体120に連結することができる。他の実施形態では、密閉部材をデバイス100の構成要素に連結するために、接着剤、糊、及び他の結合材料を使用することができる。
図20Aは、密閉部材140がない人工心臓弁デバイス100の等角図であり、図20B~20Eは、本技術の付加的な実施形態による、密閉部材140を有する人工心臓弁デバイス100の等角図である。例えば、図20B~20Cは、密閉部材140がスリーブ146である、デバイス100の実施形態を示す。スリーブ146は、円筒形であり、以下でさらに説明されるようにデバイス100の種々のフレームまたは骨格構造内または上で適合するように構成される、不透過性密閉材料を含むことができる。図20Bでは、スリーブ146は、弁支持体120の外面127の上にあるが、図20Cでは、スリーブ146はまた、固着部材110の内壁141上及び弁支持体120の外面127上にも配置される。図20Dは、スリーブ146が固着部材110の外壁142上、及び弁支持体120の外面127上に配置される、デバイス100の実施形態を図示する。図20Eを参照すると、デバイス100はまた、固着部材110の外壁142及び内壁141の両方の上、ならびに弁支持体120の外面127の上にスリーブ146を組み込むこともできる。
当業者であれば、図19A~20Eに示されるスカート144及びスリーブ146等の密閉部材140が、壁141、142、または表面126、127を完全に覆うことができ、または他の実施形態では、それぞれ、固着部材110及び弁支持体120の壁141、142及び/または表面126、127を少なくとも部分的に覆うことができることを認識するであろう。密閉部材140の任意の組み合わせが企図される。加えて、密閉部材140は、固着部材110と弁支持体120との間に密閉を作成することができる、(例えば、固着部材110の内面141及び弁支持体120の外面127を覆うための)流体不浸透性材料の単一の連続シートを含むことができる。種々の実施形態では、スカート144またはスリーブ146等の密閉部材140は、組織と一体化して弁傍漏出を最小限化するように、Dacron(登録商標)、ePTFE、ウシ心膜、または他の好適な可撓性材料等の繊維または他の可撓性及び生体適合性材料を含むことができる。他の実施形態では、密閉部材140は、ポリマー、熱可塑性ポリマー、ポリエステル、Gore-tex(登録商標)、合成繊維、天然繊維、またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことができる。弁130はまた、密閉部材140に取り付けられるか、または密閉部材140と一体的に形成されてもよい。
図21A~21Fに示される、さらなる実施形態では、弁支持体120は、金属または他の構造支持をほとんどまたは全く伴わない、繊維、ポリマー、または心膜の管状部材148を備えてもよい。図21A~21Bを参照すると、管状部材148は、その形状を保持することが可能であり、収縮期中の半径方向及び軸方向張力、ならびに拡張期中の軸方向圧縮力に抵抗するのに十分な強度を有する、スリーブ146のより厚く剛性の部分であってもよい。人工弁130の弁尖132は、管状部材148と一体的に形成され、それに縫い付けられ、または別様に取り付けられてもよい。一実施形態では、管状部材148は、(図21Aに示される)固着部材110の周囲に延在するスリーブ146の外側部分146Aと一体的に形成することができ、または別の実施形態では、管状部材148は、血液密閉様式でスリーブ146に縫い付けられ、結合され、または別様に締結される、別個の及び/またはより厚い部材であり得る。管状部材148は、随意に、それにさらに優れた強度を与えるように、及び弁130を操作するために好適な望ましい形状を保持するのに役立つように、補強部材を含むことができる。例えば、金属またはポリマーの一連の比較的不撓性の縦支柱190を、管状部材148の壁に連結するか、またはその内側に埋め込むことができ(図21C)、及び/またはワイヤコイル192は、管状部材148の壁の周囲に延在するか、またはその内側に埋め込まれてもよい(図21D)。さらなる実施形態では、一連のテザー194を、スリーブ146の外側部分146Aと管状部材148との間に連結することができる(図21E)。1つの配列では、テザー194は、心房収縮期中に管状部材148の崩壊または構造的減弱を阻止するよう、固着部材110の上流部分112から下流角度で延在することができる。さらに別の実施形態では、複数の垂直中隔196が、固着部材110(及び/または固着部材110の内壁141に連結された密閉部材140)と管状部材148との間に相互接続されてもよい(図21F)。固着部材110と弁支持体120との間の連結される複数の垂直中隔196は、可撓性繊維またはポリマーであり得、いくつかの実施形態では、スリーブ146に使用される同一の材料であり得る。薄型送達構成(図示せず)に固着部材110とともに折り畳むことができる中隔196はまた、デバイス100が拡大構成102であるときにリブ114の外向き偏向を制約することもできる。
本明細書で説明されるように、固着部材110は、弁支持体120とは別個の構造または構成要素であり得る。一実施形態では、固着部材110を、例えば、弁支持体120の下流端123において弁支持体120に連結することができる一方で、固着部材110の上流部分は、弁支持体120に連結されないままとなり、及び/または別様に弁支持体120から機械的に隔離することができる。固着部材110は、可撓性または非剛性の連結機構を含む、種々の機構を使用して、弁支持体120に連結することができる。図22A~22G及び22I~22Kは、本技術の付加的な実施形態による、下流部分または固着部材110と弁支持体120との間の相対運動を可能にするか、または固着部材110からの弁支持体120の機械的隔離を別様に提供する、弁支持体120を固着部材110に連結する種々の機構の拡大側面図である。
図22A~22Bは、弁支持体120の柱122に連結された固着部材110のリブ114の下流端326を図示する。第1の実施形態では、リブ114は、隣接要素に巻き付けられて結ばれる、縫合糸、ワイヤ、または他の好適なフィラメント310によって、柱122に連結することができる(図22B)。いくつかの実施形態では、リブ114及び柱122のいずれか一方または両方は、その中でフィラメント310を保持し、リブ114または柱122に沿った摺動を阻止するように構成される、貫通穴312(図22C)、ループまたは小穴314(図22D)、あるいは溝316等の、フィラメント310が固定され得る特徴を有してもよい。
図22Fに示される別の実施形態では、リブ114は、リブ114及び柱122の中の整合穴319を通過する、リベット、ネジ、ピン、または他の締結具318によって、柱122に連結することができる。代替として、図22G~22Hに示されるように、柱122は、リブ144の下流端326を受容するように構成される空洞320を、その外壁の中に有してもよく、2つの要素114、122は、フィラメントまたは締結具322によってともに締結することができる。この配列では、リブ114の下流端が空洞320の底に係合し、それにより、弁支持体110に及ぼされる収縮期力に抵抗しなければならないことから縫合糸または締結具322を解放するため、そのような力の大部分をリブ114に直接伝えることができる。
図22I~22Jに示される、さらなる実施形態では、リブ114の下流端326は、柱122を通して形成された通路324を通過する。次いで、下流端326は、上で説明されるもののような締結具328またはフィラメントによって柱122に固定される。加えて、リブ114が通路324内で保持されるため、弁支持体120に及ぼされる収縮期負荷を、締結具328よりもむしろリブ114に直接伝えることができる。図22Kに示される、さらに別の実施形態では、柱122の下流端330は、フックまたはJ字形で半径方向外向きに形成され、リブ114の下流端326を受容することができるチャネル332を形成する。2つの要素の端部330、326は、リブ114及び柱122の中の穴319を通過する締結具334によって固定されてもよい。柱122に適用される収縮期負荷は、チャネル332を介してリブ114に直接伝えることができ、負荷の大部分を負うことから締結具334を解放する。
図23A~23Bは、固着部材110を弁支持体120に連結するために好適な機構のさらなる実施形態を図示する。図23A~23Bに示される実施形態では、固着部材110の円周方向コネクタ116は、弁支持体120の支柱124に連結される。例えば、図23Aでは、コネクタ116は、腰部338を形成する砂時計形部分336と、コネクタセル341を形成する拡大コネクタヘッド340とを有するよう形成される。支柱124は、同様に、支柱セル347を形成する拡大支柱ヘッド346を有する。コネクタ116の砂時計部分336は、支柱ヘッド346がコネクタ116の腰部338の周囲に延在するように、支柱セル347を通過するように構成することができる。コネクタヘッド340は、支柱セル347から解放されることを妨げられるように十分大きくあり得る。さらに、コネクタセグメント116A、116Bの発散角度により、支柱ヘッド346が、コネクタヘッド340に対して上向きに摺動することを妨げることができる。そのような配列では、上向き方向へ弁支持体120に及ぼされる収縮期負荷は、支柱124を通してコネクタ116に伝えることができ、ひいては、デバイス100を定位置で固着するように、これらの力を、天然生体構造の中へ駆動されるリブ114に伝える。
図23Bでは、コネクタ116は、支柱124の中に形成された凹状部分350の中で入れ子になった、下向きに延在するループ部分348を有するよう、形成することができる。ループ部分348は、例えば、各部材348、350に巻き付けられた縫合糸352によって、種々の方法で凹状部分350に締結することができる。この配列では、上流方向へ弁支持体120に適用される収縮期負荷は、凹状部分350を通して固着部材110のループ部分348に伝えることができる。
他の実施形態では、固着部材110またはその選択された構成要素は、弁支持体120と一体的に形成することができる。図24Aに示されるように、固着部材110のリブ114は、各リブ114をそれぞれ整合した柱122に相互接続するU字形ブリッジ部材356を伴って、弁支持体120の柱122と一体的に形成することができる。リブ114は、それと一体的に形成された拡大可能なコネクタ116によって、円周方向に相互接続されてもよい。代替として、図24Aに示される実施形態では、複数の別個のバンドまたはワイヤ358は、固着部材110の円周150の周囲に延在し、それぞれ、例えば、各個別リブ114に形成された穴360を通って延在することによって、リブ114に摺動可能に連結される。可撓性バンドまたはワイヤ358は、拡大構成102であるときにリブ114の外向き偏向を制限しながら、リブ114が薄型送達構成(図示せず)に内向きに折り畳まれることを可能にする。代替として、ワイヤまたは縫合糸のテザー361が、拡大構成102であるときにリブ114の外向き偏向を制限するように、個々のリブ114と柱122(図24Bに示される)との間で連結されてもよい。
さらなる実施形態では、デバイス100が拡大構成であるときにリブ114の外向き偏向を制限する様式で、スリーブ146がリブ114に固定されてもよい(図24Cに示される)。スリーブ146は、例えば、所定の限界を越えて外向きに拡大することを制約するように、図24Cに示されるように各リブ114の外側の周囲に延在してもよい。随意に、スリーブ146はさらに、弁支持体120の周囲に延在するスリーブ146の内側部分146Bと、固着部材110の周囲に延在するスリーブ146の外側部分146Aとの間に延在する、水平中隔359を含んでもよい。水平中隔359は、リブ114の外向き撓曲をより強固に制約することができる。いくつかの実施形態では、中隔359はまた、この空洞163の中への血流を制限し、その中の血塊形成を最小限化するように、内側部分146Bと外側部分146Aとの間の中隔359によって形成される環状空洞163を密閉することもできる。代替として、血塊の領域を形成するように、封入された空洞163の中へ血液が流れることを可能にし、それにより、リブ114の偏向を制限し、デバイスをより剛性にしてしっかりと固着させることができる、開口部(図示せず)が、中隔359の下流のスリーブ146に形成されてもよい。可撓性繊維、ポリマー、または心膜材料であり得る、中隔359は、示されるようにデバイス100の上流端に、または弁支持体120の上流端121からさらに下流に離間した場所に位置してもよい。図24Dに示される、さらなる実施形態では、各個別リブ114は、スリーブ繊維の2つの層をともに縫合または結合することによって、スリーブ146に形成された通路364内に拘束することができる。拡大構成102では、スリーブ146に対してリブ114の移動を制限することができる。
図25Aは、固着部材110及び弁支持体120を有する、人工心臓弁デバイス100の部分断面図であり、図25Bは、本技術の実施形態による、図25Aに示された指定ボックスの拡大図である。図25A及び25Bに示されるように、弁支持体120と固着部材110の下部分111との間に間隙108があり得る。間隙108が存在する場合、間隙108は、血液が上流または下流方向のいずれか一方へ固着部材110と弁支持体120との間で漏出することを防止するように、スリーブ146によって保護することができる。
図26A~26Dは、本技術の種々の実施形態による、心房保持体410を有し、天然僧帽弁MVに埋め込まれた人工心臓弁デバイス100の概略断面図である。図26A~26Cは、デバイス100が、弁輪ANの弁輪上表面または左心房内の他の組織に係合して、左心室の中へのデバイス100の下流移動を防止するのに天然弁尖を支援するように構成される、心房保持体410を含む、デバイス100のいくつかの実施形態を示す。これらの配列では、弁輪ANは、固着部材110の最上円周150と心房保持体410の底面との間に挟持することができる。
図26Aに示されるように、デバイス100の一実施形態は、内側弁支持体120に連結された、またはそれと一体的に形成された心房保持体410を含むことができる。心房保持体410は、弁輪ANを通って心房内の弁輪上空間の中へ上流に延在し、弁輪上表面または他の心房組織を外向きに延在するフランジ420と係合させることができる。図26Bに示される別の実施形態では、心房保持体410は、(例えば、柱122の上向き拡張部または固着部材110の上向き拡張部を備える)弁支持体120と一体的に形成され、またはそれに別様に連結され得る、複数の指部412を備えることができる。指部212は、概して、図26Bで図示されるように、左心房内で覆われない、または露出することができるが、別の実施形態では、指部412は、円錐形を形成して、弁輪ANの心房側の天然組織でデバイス100を密閉するのに役立つように、かつ人工弁130(図10A)の中へ血液を注ぎ込むのに役立つように、指部412の外面または内面の周囲に延在する、密閉部材(図示せず)、あるいは繊維、ポリマーシート、または心膜組織の他の被覆で覆うことができる。指部412はまた、横偏向を制限して指部の不撓性を増進するように指部412を相互接続する、円周方向支柱(図示せず)を含んでもよい。指部412は、送達のために指部を真っ直ぐにして内向きに偏向させ、示されるように拡大構成102で不偏の半径方向に突出する外向き位置に解放することができるように、弾性形状記憶材料(例えば、ニチノール)を含むことができる。例えば、指部412は、拡大構成102で、外向きに、及びいくつかの配列では下流方向に付勢された、指先端414を有することができる。天然僧帽弁MV内の所望の位置への送達中に、指部412が弁輪ANの心房側に係合するよう最初に解放されるように、デバイス100を遠位または下流方向に抜き出すことができる(以下でさらに詳細に論議される)。これは、固着部材110が天然弁輪ANの心室側に位置付けられるが、抜き出されて拡大されたときに心室の中へ過度に拡張されないことを確実にするように、天然弁に対してデバイス100の位置にインデックスを付ける。
心房保持体410は、代替として、固着部材110の拡張部であってもよい。図26Cに示される一実施形態では、心房保持体410は、より垂直な面で描写されるが、代替として、天然弁輪ANの面とより平行な面に位置し得、弁輪ANを通って上流に延在し、次いで、弁輪上表面に係合するように半径方向外向きに延在する、複数の心房ループ416を含むことができる。固着部材110の1つ以上のリブ114の拡張部を備え得る、ループ416は、送達のために薄型形状に圧縮され、次いで、図26Cに示される半径方向に拡張した構成まで拡大するように解放され得る、弾性形状記憶金属(例えば、ニチノール)または他の材料を含むことができる。図26Cのデバイス100と同様に、図26Dはまた、固着部材110の拡張部によって形成される心房保持体410を含む、人工心臓弁デバイス100の断面図でもある。図26Dに示されるように、心房保持体410は、弁輪上表面に係合するように天然弁輪ANの心房側を覆って延在するフランジ420を近位領域に伴って、固着部材110から天然弁輪ANを通って上向きに延在する円筒形部分418を含むことができる。フランジ420は、送達のために折り畳み、天然僧帽弁MVで展開されたときに拡大することができる、弾性形状記憶材料(例えば、ニチノール)を含むことができる。円筒形部分418及びフランジ420は、固着部材110と一体的に形成され、例えば、リブ114の拡張部から成ってもよく、または別の実施形態では、固着部材110及び/または弁支持体120の1つ以上の部分に連結することができる。
他の実施形態では、人工心臓弁デバイス100は、天然僧帽弁内の所望の場所でデバイス100を保持することを支援するが、心房または弁輪上組織に実質的に係合しない、心房拡張特徴を含むことができる。例えば、図27は、本技術の別の実施形態による、弁輪ANに係合するための垂直部分422を上流端424において有する、固着部材110の側面図である。固着部材110は、下部分111と、弁尖LFと弁輪ANの下流との間の弁輪下の場所に位置付け可能である、上部裾広部分112とを含むことができる。上流部分112は、弁輪下組織及び/または内向きに面した弁尖LFの対応する寸法よりも大きい寸法まで拡大可能であり得る。垂直部分422は、固着部材110の上流円周150全体の周囲で弁輪ANに係合するよう、弁輪口内で適合することができる。垂直部分422は、垂直部分422の半径方向拡大が天然組織を外向きに圧迫して、天然僧帽弁を伴う所望の場所でデバイスを保持することを支援するように、弁輪ANの対応する寸法よりも大きい寸法まで拡大可能であり得る。随意に、固着部材110はまた、スパイク等の複数の組織係合要素170を含むこともできる。一実施形態では、スパイク(ここでは組織係合要素170として示される)は、固着部材110の上部分112の円周150の周囲に分布し、スパイクが弁輪下の場所で組織を貫通することができるように配向することができ、固着部材110が上流または下流方向のいずれか一方での移動に抵抗するのに役立つように構成することができる。
安定化部材を有する人工心臓弁デバイス
図28は、天然弁部位においてデバイス100を安定させ、いくつかの実施形態では、傾転または横方向移動を防止するのに役立つように、またはデバイス100の上流あるいは下流移動を阻止するように、1つ以上の安定化部材501をさらに備える、拡大構成102の人工心臓弁デバイス100の一実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、安定化部材501は、固着部材110の下または下流部分111から延在する、1つ以上のアーム510を備えてもよい。アーム510は、構成に応じて、天然弁尖の内側または外側のいずれか一方で、天然組織、例えば、弁尖、弁輪下組織、または心室壁に係合するように構成される。
図29は、本技術の実施形態による、拡張したアームを有する、人工心臓弁デバイスの拡大概略側面図である。図29に示されるように、個別のアーム510は、アーム本体512と、アーム拡張部514と、アーム先端516とを備えてもよい。アーム本体512は、アーム本体長L1を有し、第1の接合部508で柱511に接続してもよい。柱511は、弁支持柱122、固着部材リブ114、及び/またはデバイス100の別の特徴(例えば、支柱124またはコネクタ116)であり得る。第1のアーム角度AA1が、柱511及びアーム本体512の軸の交差によって形成され、第1のアーム角度AA1は、先端516が、所望の場所、例えば、弁輪下組織または天然弁尖の後ろの心室壁で天然組織に係合することができるように、アーム512が位置付け可能であるように選択される。図30A~30Cは、本技術のさらなる実施形態による、デバイスの縦軸101に対する種々の角度でデバイスに連結されたアーム510を有する、人工心臓弁デバイス100の拡大部分側面図である。一実施形態では、第1のアーム角度AA1は、約10°~約45°であり得る。他の実施形態では、第1のアーム角度AA1は、鈍角(図30A)、略垂直またはおよそ90°の角度(図30B)、あるいは鋭角(図30C)であり得る。
再び図29を参照すると、アーム本体512は、アーム本体512の遠位端でアーム拡張部514に接続することができる。アーム拡張部514は、約0.5~2mm等の、天然組織の中へ所望の距離で貫通するために選択または最適化することができる、アーム拡張部長L2を有することができる。アーム拡張部514は、第2のアーム角度AA2でアーム本体212から延在することができる。第2のアーム角度AA2は、アーム拡張部514とアーム本体512との間の交差によって形成し、約100°~約135°等の天然組織との係合の所望の角度を提供するように選択することができる。他の実施形態では、アーム拡張部514は、アーム本体512と平行または同一線上にあり得る(図示せず)か、あるいは完全に排除されてもよい。アーム拡張部514は、アーム先端516で終端する。アーム拡張部514がない実施形態では、アーム先端516は、アーム本体512の最遠位部分であり得る(図示せず)。
アーム510は、デバイス100の縦軸101と平行な軸に沿ったアーム先端516(図29に示される)であり得る、第1の接合点508からアームの最遠位到達点まで延在する、アーム高さHA1を有してもよい。アーム高さHA1は、デバイス100が天然僧帽弁に対して所望の縦方向位置にあるときに(例えば、固着部材110が弁輪下組織と係合しているときに)、アーム先端516が弁輪下生体構造内の所望の場所に係合するように、選択または最適化することができる。アーム高さHA1は、固着部材110及び/または弁支持体120の全体的な高さ、ならびに接合点508の場所に依存するであろう。図31A~31Cは、種々の長さ(L1+L2)のアーム510を有し、したがって、可変高さHA1を有する、人工心臓弁デバイスの拡大部分側面図である。示されるように、アーム高さHA1は、(リブ114によって表される)固着部材110または弁支持体の全体的な高さHD1よりも大きく(図31A)、(リブ114によって表される)固着部材110及び(柱122によって表される)弁支持体120のそれぞれの高さHD1、HV1の中間(図31B)、または(リブ114によって表される)固着部材110及び弁支持体120の両方の全体的な高さHD1よりも小さくあり得る(図31C)。
デバイス100とともに使用するために好適なアームまたは他の安定化部材の構造及び取付に関する付加的な詳細及び実施形態は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2012年6月21日出願の「PROSTHETIC HEART VALVE
DEVICES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題された国際PCT特許出願第PCT/US2012/043636号で見出すことができる。
図32A、32B、32C、及び32Dは、弁尖LFの内向き表面上に配置されたアーム510aを有する、埋め込まれた人工心臓弁デバイス100を伴う、心臓の断面図であり、図32A-1、32B-1、32C-1、及び32D-1は、それぞれ、図32A、32B、32C、及び32Dで示されるように弁尖の内向き表面に係合する、アーム510aの拡大図である。図32A~32D-1で図示される人工心臓弁デバイス100の実施形態は、弁尖LFの半径方向に内側の位置、弁尖LFの半径方向に外側の位置、または弁尖LFの内側及び外側の組み合わせまで拡大するように構成されるアーム510aを有する。例えば、図32A及び32A-1は、拡大して弁尖LFの内向き表面に係合するアーム510aを示し、かつ弁尖LFを部分的に穿刺するアーム510aを示す。図32B及び32B-1で図示される別の実施例では、アーム510aは、弁尖LFを完全に貫通してもよい。さらなる実施例では、デバイス100は、1)弁尖LFを完全に貫通する、及び2)弁輪下組織を部分的に穿刺するアーム510aを組み込むことができる(図32C及び32C-1)。図32D及び32D-1を参照すると、デバイス100は、弁尖LF及び僧帽弁MVの弁輪組織の両方を完全に貫通する、アーム510aを組み込むように構成することができる。
図33A~33Cは、本技術による、人工心臓弁デバイス100とともに使用するための組織係合要素170の種々の実施形態を図示する概略図である。組織係合要素170は、鈍的要素等の非外傷性の様式で組織に係合する、あるいは鉤またはスパイク等の心臓組織を部分的に穿刺するか、または完全に貫通する、任意の特徴を含むことができる。本明細書で使用されるように、「組織係合」とは、図33Aに示されるように、組織Tに力を及ぼすが、組織Tにとって非外傷性である等、組織Tを必ずしも穿刺しない、要素170を指す。本明細書で使用されるように、「部分的に穿刺する」とは、図33Bに示されるように、組織Tを少なくとも部分的に貫通するが、反対表面Sを突破しない、組織係合特徴170を指す。本明細書で使用されるように、「完全に穿刺する」とは、図33Cに示されるように、組織Tに進入するとともに退出することができる、組織係合特徴170を指す。「穿刺」のみは、部分的または完全穿刺のいずれか一方を指してもよい。組織係合要素170は、スパイク、鉤、または心臓組織を穿刺することが可能な当技術分野で公知である任意の構造、あるいは代替として、組織を穿刺することなく心臓組織に圧力を適用するように構成される任意の鈍的または非外傷性特徴の形態を成してもよい。そのような要素の位置付けに関するさらなる詳細が、本明細書に説明される。
図34A、34B、及び34Cは、弁尖LFの内向き表面上に配置された組織係合要素170を伴うアーム510aを有する、埋め込まれた人工心臓弁デバイス100を伴う、心臓の断面図であり、図34A-1、34B-1、及び34C-1は、それぞれ、図34A、34B、及び34Cに示されるような弁尖LFの内向き表面に係合するアーム510aの拡大図である。図34A~34C-1で図示されるように、組織係合要素170は、下流方向(図34A及び34A-1)、上流方向(図34B及び34B-1)、または下流及び上流方向(図34C及び34C-1)の両方のいずれかで、アーム510aの上に組み込み、そこから延在することができる。他の実施形態では、組織係合要素170は、上流及び下流方向のいずれか一方または両方で、固着部材110及び/または弁支持体120の構成要素上に組み込み、そこから延在することができる。
図35A~35Cは、本技術の種々の実施形態による、デバイスが天然弁尖LFの外向き表面に係合するためのアーム510bを有する、展開構成104で僧帽弁MV(断面で図示される)に埋め込まれた人工心臓弁デバイス100を示す、側面図である。図35Aは、弁尖LFがアーム510bと固着部材110の外壁142との間で効果的に挟持されるように、デバイス100の下流端(例えば、弁尖の下流の天然僧帽弁に埋め込まれたデバイスの心室端部)から延在して弁尖LFの後ろに到達するように構成されるアーム510bを含む、デバイス100の実施形態を示す。別の実施形態では、図35Bに示されるように、アーム510bは、アーム510bと固着部材110の外壁142との間の空間内で、弁尖LFを折り畳ませてもよい。図35Cで図示されるさらなる実施形態では、アーム510bはまた、組織係合要素170を含むこともできる。図35C-1は、図35Cに示されるように弁尖LFの外向き表面に係合するための組織係合要素170を有する、アーム510bの拡大図である。図35C-1に示されるように、天然弁尖LFの外向き表面に係合するように構成されるアーム510bは、弁尖組織に向かって配向されるように、アーム510bの内面上に組織係合要素170を含んでもよい。
本技術の別の実施形態によれば、図36Aは、僧帽弁MV(断面で図示される)に埋め込まれた人工心臓弁デバイス100を示す側面図である。図36Aに示されるデバイスは、天然弁尖LFの外向き表面に係合するためのアーム510b、及び天然弁尖LFの内向き表面に係合するためのアーム510aを有する。内側/外側アーム510a、510bはさらに、それぞれ、弁尖組織に係合または穿刺するためのアーム510a、510bの半径方向に内側の表面または半径方向に外側の表面上に組織係合要素170を備えてもよい。デバイス100の円周の周囲での内側/外側アーム510a、510bの配列は、事前設計されたパターンで交互に入れ替わることができる。例えば、内側アーム510aは、図36Bに示されるように、外側アーム510bと交互に入れ替わることができ、または代替として、アーム510a、510bは、デバイス100の配置に応じて、かつ天然後尖及び前尖との整合に対して、ランダムに、または不規則な間隔で、半径方向外向き及び/または半径方向内向きに延在してもよい。
図37A~図37Dは、本技術による、人工心臓弁デバイス100とともに使用するために好適なアーム510の付加的な実施形態の拡大側面図である。例えば、図37A~37Dでは、アーム510は、固着部材110の外形と類似の全体的外形を有することができる。固着部材110は、全体的な固着部材の外形を形成するために、様々な形状、サイズ、及び/または外向きもしくは内向きに配向したリブセグメント85を有する、リブを含むことができる。したがって、アーム510はまた、固着部材110の外形を模倣する、様々な形状、サイズ、及び/または外向きもしくは内向きに配向したアームセグメントを有することもできる。いくつかの配列では、図37A~37Dに示される実施形態は、デバイスの増進した密閉及び固着のために弁尖組織を固着デバイス110の形状に一致させるよう、アーム510とリブ114との間で弁尖LF及び/または弁輪AN組織を締め付けるように構成される。例えば、図37Aは、アーム拡張部514及び/またはアーム本体512が、リブ114及び/またはリブセグメント85の形状を部分的に模倣し得る、一実施形態を図示し、図37Bは、アーム拡張部514及び/またはアーム本体512が、リブ114の形状により密接に従う、別の実施形態を図示する。図37A~37Bによって包含される実施形態は、外向き表面係合アーム510b及び/または内向き表面係合アーム510aに適用することができる。加えて、図37A~37Bに示されるように、アーム拡張部514は、リブ114の上流セグメント85Aと略平行であるよう、半径方向外向きに延在することができる。アーム拡張部514は、リブ114及び/またはリブセグメント85の長さに部分的に沿って(図37A及び37C)、あるいはリブ114及び/またはリブセグメント85の長さに完全に沿って延在するように構成することができる。図37Dでは、アーム510は、第1のアーム拡張部514の上流部分に接続され、かつ第2のリブセグメント85B及び第3のリブセグメント85Aに略平行であるよう、外向きに延在する第2のアーム拡張部518を有する。
いくつかの実施形態では、人工心臓弁デバイス100は、デバイス100の円周の周囲に複数のアーム510を組み込んでもよいが、他の実施形態では、デバイスは、グループ(例えば、それぞれ、後尖及び前尖に係合するよう第1及び第2のグループ)で複数のアームを含んでもよい。加えて、アーム510は、図38Aに示されるように、他のアーム510を含む他の構成要素から独立して、固着部材110及び/または弁支持体120から延在してもよい。他の実施形態では、図38Bに示されるように、デバイス100はさらに、アーム支柱520を相互接続することによって、少なくとも1つの第2のアーム510yと相互接続された少なくとも1つの第1のアーム510xを含んでもよい。アーム支柱520は、円周方向に拡大可能であるように構成することができ、全てのアーム510(例えば、アーム510x及び510y)またはアーム510の1つ以上のグループを接続してもよい。いくつかの実施形態では、アーム支柱520は、デバイス100から離してアーム510x、510yの外向き拡張部を制限することができる。
本技術の態様によれば、アーム510は、デバイス100の円周150の周囲で対称及び/または非対称に、デバイス100の構成要素に連結する、及び/またはデバイス100の構成要素から延在することができる。図39A~39Dは、(例えば、図38Aに示されるような)固着部材110のリブ114に対するアーム位置パターンの概略上面図である。アーム510は、リブ114を組み入れることができ(図39A及び39C)、固着部材110のリブ114と同一の半径方向面内にあり得(図39B)、またはリブ114を組み入れることができるとともに、それと同一平面内にあり得る(図39D)。さらに、アーム510は、固着部材110の拡大外周150の外側に延在し(図39B)、固着部材110の拡大外周150の内側に延在し(図39A)、固着部材110の同一の外周150まで延在し(図39C)、またはこれらの構成の組み合わせ(図39D)に構成されてもよい。
上記の実施形態では、アーム510は、固着部材110の展開から独立して組織に係合するように構成されてもよい。例えば、人工心臓弁デバイス100の送達に好適な送達カテーテルは、個別に、または別様に相互から独立して、アーム510及び固着部材110を展開するように動作可能である別個の機構を装備してもよい。このようにして、固着部材110は、最初に、所望の最終位置が獲得されるまで、デバイス100の位置がオペレータによって査定及び調整され得るように、天然組織と係合するよう解放されてもよい。固着部材110の展開及び位置付けに続いて、アーム510は、組織に係合するように解放することができる。そのような展開システム及び方法は、アーム510が、いったん展開されるとデバイス100の任意の再配置を禁止し得る、組織係合要素170を装備するときに有用である。いくつかの実施形態では、固着部材110は、いったん固着部材110が展開されると、組織を貫通しない、またはデバイス移転を阻止する、非外傷性組織係合要素170を装備するであろう。したがって、デバイス100のいくつかの実施形態は、アーム510が非展開構成で拘束される限り、固着部材110が拡大された状態でさえも再配置可能であり得、デバイス100は、アーム510が解放されたときのみ永久的に固着される。
代替として、または上で説明されるようにアーム510の上に存在する組織係合要素170に加えて、組織係合要素170が、デバイス100の他の構成要素の上に存在してもよい。図40A~40Eは、本技術の付加的な実施形態による、デバイス100の様々な構造上に組織係合要素170を有する、人工心臓弁デバイス100の側面図である。例えば、組織係合要素170を、固着部材110のリブ114の上に組み込むことができる。図40Aは、上部リブセグメント85A上に組み込まれた組織係合要素170を示し、図40Bは、下部リブセグメント85B上に組み込まれた組織係合要素170を示す。図40Cは、リブ114全体に沿って組織係合要素170を有する、デバイスの実施形態を図示する。組織係合要素170が、図40A~40Cで概略的に示されているが、当業者であれば、要素が本明細書で説明される種々の組織係合要素170(例えば、非外傷性、部分的に穿刺する、完全に貫通する等)のうちのいずれか、または他の実施形態では異なる種類の組織係合要素170の組み合わせであり得ることを認識するであろう。加えて、組織係合要素170は、(例えば、デバイス100の上流移動を阻止するように)上流方向に配向されて示されるが、他の実施形態では、組織係合要素170は、(例えば、デバイス100の下流移動を阻止するように)下流方向に、または下流及び上流配向方向の組み合わせで配向することができる。組織係合要素170は、デバイス100の円周の周囲で対称に組み込むことができ、または他の実施形態では、組織係合要素170は、非対称に組み込むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、組織係合要素170は、後尖と整合させられたデバイス100の側面上に存在することができるが、左心室から大動脈弁を分離する壁が組織係合要素170による影響を受けないように、存在しないか、または前尖と整合させられたデバイス100の側面上で異なる配列を有することができる。
図40Dは、デバイス100が僧帽弁の弁輪の上または下で展開されたときに、弁輪下組織を完全または部分的に貫通するようにスパイクを構成することができる、リブ114の上流端175上のスパイク等の組織係合要素170を有する、デバイス100の実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、組織係合要素170(例えば、スパイク)は、組織の中で組織係合要素170(例えば、スパイク)を保持するための鉤176または他の特徴を含むことができる。他の実施形態では、組織係合要素170(例えば、スパイク)は、弁輪下組織に係合するが貫通しないよう、鈍的であり得る。図40E~40Gは、リブ114の上流先端175の上で使用するために好適な組織係合要素170(例えば、スパイク)の拡大側面図である。上流先端175の上に組織係合要素170を有するデバイス100はまた、組織の中への貫通の距離を制限するための特徴を組み込むこともできる。例えば、上流先端175は、組織係合要素170が弁輪下組織を貫通することができる距離を制限するように、各組織係合要素170の先端の近位に、例えば、1~5mmの短い距離で形成された柄177を有することができる(図40E)。代替として、図40Fに示されるように、組織の中への組織係合要素170の貫通深度は、組織係合要素170の先端からの所望の距離にコネクタ116を位置付けることによって制限することができる。図40Gに示される、さらなる実施形態では、密閉部材140の上流縁178が組織係合要素170の貫通深度を制限することができるように、密閉部材140がリブ114に取り付けられてもよい。密閉部材140の下向きの滑動を防止するために、縫合糸を受容するように構成される穴173等の取付特徴が、密閉部材140をしっかりと固定することができる、その上流先端175からの所望の距離でリブ114の中に形成されてもよい。
代替として、心臓組織に摩擦力を及ぼすように構成される、段差、隆起、または他の突起等の組織係合要素170もまた、1つ以上の弁支持体支柱124、弁支持柱122、及び/または他の構成要素(例えば、密閉部材140)の上に存在してもよい。これらの組織係合要素170は、これらの特徴の外側部分の上に配置することができ、外向きに延在して天然弁尖に係合するように、及び所望の場所でデバイス100を安定かつしっかりと固着するように構成することができる。代替として、隆起、塊片、棘毛、または指向性を有する他の特徴が、反対方向への移動を制限しながら、1つの方向への天然組織に対する移動を可能にするように、リブ114、コネクタ116、または密閉部材140の表面上に形成されてもよい。
固着部材110上の組織係合要素170は、これらの要素が完全に展開されるまで、ある期間にわたって、デバイスが再配置または除去されることを可能にするよう、遅延した展開を有するように構成される、鉤、スパイク、または他の保持特徴であり得る。例えば、組織係合要素170は、展開構成で事前成形され、天然組織の中で組織係合要素170を保持するように適合される、形状記憶材料(例えば、ニチノール)で構築されてもよい。組織係合要素170は、組織からの除去を可能にする収縮構成に変形させられ、生体内分解性材料または接着剤によって、この形状で保持されてもよい。いったん組織に浸漬されると、この材料は、ある期間(例えば、10分~2時間)にわたって腐食することができ、組織係合要素170がその不偏展開形状に戻ることを可能にし、組織の中で組織係合要素170を保持することを支援するであろう。
そのような遅延した展開可能な組織係合要素170のいくつかの実施例が、図40I~40Tに示されている。図40Iの実施形態では、組織係合要素170は、組織を貫通するほど十分に鋭くあり得る、その遠位先端452の付近に、菱形の窓451を有するよう、レーザ切断された形状記憶合金シャフト450を備える。形状は、窓451が図40Iに示されるような拡大構成での開放に向かって付勢されるように設定される。デバイスの送達前に、窓451が、挟まれた状態で閉じられてもよく、生体内分解性糊455が、図40Jに示されるような閉鎖構成で保つように窓451に注入されてもよい。デバイスの展開時に、遠位先端452は、図40Kに示されるように、天然組織、例えば、弁尖または弁輪を貫通することができる。窓451内の糊455は、必要であれば、オペレータがデバイスを再配置または除去することを可能にするように、ある期間にわたって閉鎖構成でそれを維持する。定位置に残された場合、糊455は腐食し、窓451が拡大構成に再び開くことを可能にし、図40Lに示されるように、組織の中で組織係合要素170を保持するであろう。
図40M~40Pに示される実施形態では、組織係合要素170は、図40Mに示されるように、半径方向外向きに角度を成すように付勢され、近位方向を指す、2つ以上の翼454を有する、矢じり形の先端453を備える。生体内分解性糊または被覆455が、図40Nに示されるように、半径方向に収縮した構成で翼454を保つように矢じり先端453を覆って適用される。収縮構成では、デバイス100は、図40Oに示されるように、組織係合要素170が天然組織を穿刺するように展開される。次いで、生体内分解性被覆455は、翼454が図40Pに示される横方向に拡大した構成に戻ることを可能にするまで、徐々に腐食し、したがって、組織の中で組織係合要素170を保持する。
さらなる実施形態が、図40Q~40Tに示される。この実施形態では、組織係合要素170は、不偏状態でらせん先端456を備える。生体内分解性被覆455は、図40Rに示されるように、直線構成でらせん先端456を保持するために使用されてもよい。組織係合要素170は、収縮構成で組織を貫通し、らせん先端456がその展開構成に戻ることを可能にするように、生体内分解性被覆455が十分に腐食するときに、組織係合要素170を組織の中で保持することができる。
人工心臓弁デバイス100はまた、弁輪に係合するための付加的な組織係合要素170を有するように構成することもできる。例えば、図41は、本技術のさらなる実施形態による、複数の弁輪係合要素179を有する人工心臓弁デバイス100の等角図である。弁輪係合要素179は、要素179が、弁輪上の組織、ならびに弁輪上組織及び弁輪下組織の一部分に係合することを可能にする、C字形のフック特徴または他の形状であり得る。示されるように、弁輪係合要素179は、固着部材110の上流周囲の周囲で対称(図41に示される)または非対称に散在し、リブ114、コネクタ116(図示せず)、または密閉部材140に連結することができる。弁輪係合要素179はまた、上流周囲113の下流の他の場所で固着部材110に、または他の実施形態では、少なくとも弁輪面PO(図3)を通って延在する弁支持体120の一部分に、連結されてもよい。加えて、弁輪係合要素179は、(例えば、弁輪組織を押勢するが貫通しないために)鈍的であり得るか、あるいは弁輪上または弁輪下表面のいずれか一方または両方の上の弁輪組織を貫通するために鋭くあり得る。弁輪係合要素179は、(例えば、弁輪より下側に固着部材110を伴って)所望の場所でデバイス100を位置付けるため、ならびに上流または下流方向のいずれかへのデバイスの移動を阻止するための両方に好適であり得る。
図42A~42Bに示される別の実施形態では、人工心臓弁デバイス100は、複数の管状リブ314から展開可能な組織係合要素372を有することができる。図42Aを参照すると、人工心臓弁デバイス100は、複数の展開可能な組織係合要素372を保持するように構成される複数の管状リブ314を有する、固着部材110を有することができる。図42Bは、リブ314の管腔316内で保持され、要素372の展開前に示された、管状リブ314及び展開可能な組織係合要素372の拡大図である。組織係合要素372は、リブ314の内側管腔316からの組織係合要素372の解放時に事前形成された形状に展開するように構成される、形状記憶材料(例えば、ニチノール)を含むことができる。組織係合要素372の解放は、組織係合要素372の近位端374に係合することによって達成することができる。例えば、近位端374は、固着部材110が弁輪ANより下側の所望の場所に位置付けられた後に組織係合要素372を解放するように、デバイス100の展開中に係合させることができる。管状リブ314は、U字形の偏向器318と、リブ314の遠位開口部315を通して遠位に組織係合要素372を誘導するように構成される枢動点320とを含むことができる。図42Bにおいて点線で図示されるように、要素372の近位端374の係合は、隣接弁輪下組織を貫通するように、管状リブ314の遠位開口部315からの組織係合要素372の遠位端376を促すであろう。いったん展開され、弁輪上表面等の反対面Sから退出した後、組織係合要素372は、組織からの遠位端376の後退に抵抗することができる、渦巻状形状378等のその事前形成された形状に移行することができる。
人工治療デバイス100の別の実施形態によれば、組織係合要素170を密閉部材140(例えば、スリーブ146)に組み込むことができる。図43A~43Bは、組織係合要素170を伴って構成された密閉部材140を有する、人工心臓弁デバイス100の等角図及び拡大詳細図である。図43A~43Bをともに参照すると、組織係合要素170は、密閉部材140材料に織り込まれるか、または別様にそれに連結される、組織を貫通するほど十分に剛性かつ鋭い、金属またはポリマーワイヤ178または繊維を備えることができる。次いで、密閉部材140は、組織係合要素170が密閉部材140から半径方向外向きに延在して、隣接する弁尖または他の組織に係合するように、固着部材110の外壁及び/もしくは内壁141、142、ならびに/または弁支持体120の内面及び/もしくは外面126、127に取り付けることができる。
組織係合要素170は、代替として、組織に摩擦して係合するように構成された比較的短い鉤、尖端、棒、尖叉、もしくは類似の突起の配列を備えてもよく、または天然弁尖もしくは弁輪に対する固着部材110の運動を阻止するように組織の表面を窪ませるか、もしくはわずかに貫通してもよい。これらの組織係合要素は、例示的な実施形態では、ポリマー性または金属性であってよく、長さが約0.2~5mmであってよく、直径が約0.1~0.5mmであってよく、組織との係合でわずかに偏向するほど十分に可撓性であってよく、平方センチメートル当たり4~100個の密度で密閉部材140の表面にわたって分布してもよい。組織係合要素170は、密閉部材140の材料とともに一体的に形成されてよく、そのような材料に織り込まれてよく、または密閉部材140に結合され、リベットで留められ、もしくは別様に締結される可撓性シート中に形成され、もしくは可撓性シートへ載置されてもよい。組織係合要素170は、下流方向により容易に移動を可能にしながら上流方向への移動に対してより高い保持力を付与するように、優先的に非垂直方向を、好ましくは上流方向を指すよう、角度を成し、曲線状であり、または屈曲されてもよい。いくつかの実施形態では、組織係合要素は、定位置にデバイス100を保持するように組織内方成長または封入を可能にするのに十分な時間、埋込の後持続する、生体内分解性材料から構成されてもよい。組織係合要素170及び/または密閉部材140の材料はまた、少なくともデバイスが組織中に十分に封入されて運動を防止するまで保持を増進する、永久的または一時的な摩擦増進被覆または接着剤で被覆されてもよい。
図44A~44Fは、固着部材110または弁支持体120等のデバイス特徴に組み込まれ得る、支柱、コネクタ、柱、アーム、及び/またはリブ等の種々のデバイス構造(集合的に「ST」と呼ばれる)の上に組み込むことができる、付加的な組織係合要素の実施形態の拡大側面図である。例えば、付加的な組織係合要素は、組織係合要素170の代わりに、またはそれに加えて、1つ以上の切り欠き突起350(図44A及び44B)を備えてもよい。図44Cの側面図によって示されるような折り畳みまたは直線構成では、切り欠き突起350は、送達中に薄型外形を維持するように、構造STの表面に対して低い起伏を維持する。デバイス100が拡大し、構造STがその展開構成(例えば、図44Dに示されるような曲率)に変化すると、突起がより高い起伏までSTから分離する。突起350はまた、弁輪下組織を把持し、構造STからさらに遠く切り欠き突起を引き離すように構成されてもよい。デバイス構造STはまた、図44Eで図示されるように、その縁または面のうちの1つ以上に沿って鋭い突起352を含むように成形されてもよく、または図44Fに示されるように、尖ったスケール様突起354も含んでもよい。
上で説明される安定化部材501に加えて、本明細書で説明される人工心臓弁デバイス(例えば、デバイス100)はまた、固着部材110及び/もしくは弁支持体120を安定させるため、ならびに/または(例えば、心室収縮期中に)デバイス100のより広い領域にわたって圧力勾配負荷を均等に拡散するために、テザー360及び密閉部材中隔370等の支持特徴を含んでもよい。図45Aを参照すると、デバイス100の一実施例は、固着部材110の上部分112を弁支持体120の上流端121に少なくとも緩く連結する、複数のテザー360を組み込むことができる。一実施形態では、テザー360は、固着部材110の円周150の周囲に沿って連続的に進む、単一の縫合糸を含むことができる。別の実施形態では、デバイス100は、固着部材110と弁支持体120との間で結ばれる、離散的な長さの数本の縫合糸を含むことができる。一実施形態では、テザーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、縫合糸であり得る。概して、テザー360は、弁支持体120を変形させること、または人工弁130の閉鎖を損なうことなく、固着部材110に沿って均等に力を分配することを支援する。いくつかの配列では、テザー360は、上流部分の半径方向拡大を制限することを支援することができる。したがって、テザー360を組み込んでも、弁支持体120は、少なくとも固着部材110の上流部分から機械的に隔離されたままである。
図45Bは、固着部材110及び/もしくは弁支持体120を安定させるため、ならびに/または(例えば、心室収縮期中に)デバイス100のより広い領域にわたって圧力勾配負荷を均等に拡散するために好適な安定化部材501の別の実施例を示す。図45Bに示されるように、デバイス100は、固着部材110と弁支持体120との間に延在する複数の密閉部材中隔370を含むことができる。図示した実施形態では、中隔370は、固着部材110の内壁141に連結されるスカート144等の密閉部材140と、弁支持体120の内面または外面126、127に連結されるスリーブ146等の密閉部材140との間に及ぶように構成される、密閉部材材料の拡張部であり得る。したがって、中隔370は、Dacron(登録商標)、ePTFE、ウシ心膜、または他の好適な材料等の繊維または他の可撓性及び生体適合性材料で形成することができる。図45Aで図示される実施形態と同様に、中隔370は、弁支持体120を変形させること、または人工弁130の閉鎖を別様に損なうことなく、固着部材110に沿って均等に力を分配することを支援することができる。いくつかの配列では、中隔370は、心室収縮期中にデバイス100が裏返るのを防止することを支援することができる。したがって、中隔370を組み込んでも、弁支持体120は、少なくとも固着部材110の上流部分から機械的に隔離される。
デバイス100の要素及び部材のそれぞれは、所望の結果に応じて、任意の数の好適な生体適合性材料、例えば、ステンレス鋼、Nitinol(商標)等のニッケルチタン合金、MP35N等のコバルトクロム合金、ELGILOY(登録商標)(Elgin,IL)等の他の合金、種々のポリマー、熱分解炭素、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または任意の数の他の材料もしくは材料の組み合わせから作製されてもよい。アーム部材510、密閉部材140、スリーブ146、固着部材110、及び/もしくは弁支持体120、またはデバイス100の他の要素はまた、組織内方成長を推進する材料(例えば、Dacron(登録商標)、PTFE等)で被覆され、または覆われてもよい。
送達システム
図46A~46Dは、本明細書で開示される人工心臓弁デバイスの送達に好適な送達システム10の一実施形態を図示する。送達システムを参照して使用されるように、「遠位」とは、システム10の縦軸に沿って送達システム10のハンドルからさらに遠い距離を有する位置を指し、「近位」とは、システム10の縦軸に沿って送達システム10のハンドルにより近い距離を有する位置を指す。
図46Aは、血管系を通して患者の心臓まで、本明細書で開示される人工心臓弁デバイス100の実施形態を送達して展開するために使用され得る、送達システム10の一実施形態を図示する。送達システム10は、随意に、一実施形態では直径が34F以下であり、別の実施形態では28F以下である、送達シャフト16に連結されたハンドル12を有する、誘導カテーテルGCを含んでもよい。誘導カテーテルGCは、標的弁への特定のアプローチに好適な構成で操縦可能であり得るか、または事前成形されてもよい。送達カテーテル18は、止血弁HVを通して誘導カテーテルGCの近位端上に配置され、デバイス100が折り畳みまたは送達構成106で位置付けられる送達シース20まで延在する、可撓性の管状外側シャフト19を含む。可撓性内側シャフト28は、外側シャフト19内で摺動可能に位置付けられ、デバイス100を通って遠位端におけるノーズコーン21まで延在する。内側シャフト28は、それを通してガイドワイヤ24が摺動可能に位置付けられ得る、ガイドワイヤ管腔を有する。デバイス100は、以下でさらに完全に説明されるように、内側シャフト28に連結され、解放ワイヤ30によって内側シャフト28から解放可能である。送達シース20は、送達中にその折り畳み構成106でデバイス100を防御及び保護することができる。外側シャフト20は、送達カテーテル18のハンドル14上の後退機構23に連結される。軸方向に摺動可能なレバー、回転可能なラック及びピニオンギア、または他の既知の機構等の種々の後退機構23が使用されてもよい。このようにして、外側シャフト20は、シース20からデバイス100を解放(例えば、展開)するように、内側シャフト28に対して後退させられてもよい。
図46Bは、内側シャフト28へのデバイス100の連結を図示するようにシース20が切り取られた、送達カテーテル18の遠位端を示す。複数の係止指部32が、ノーズコーン21に連結され、デバイス100の弁支持体120の内部を通して近位に延在する。図46Cに示されるように、弁支持体120の選択された数の柱122が、その近位端において各柱122から切り取られたタブ34を備える、連結要素61を有する。タブ34は、図46Bに示されるように柱122から内向きに偏向されてもよく、図46Dに示されるように係止指部32の中の窓42を通って延在するように構成される。解放ワイヤ30は、タブ34の中の穴40を通過し、デバイス100を内側シャフト28に固定するように、タブ34が窓42から引き出されることを防止する。引張ワイヤ30が近位または遠位方向に滑動することを摩擦が一時的に防止するように、引張ワイヤ30をタブ34と係止指部32との間で緊密に挟持することができる。このようにして、シース20は、内側シャフト28が生体構造に対してデバイス100の縦方向位置を維持している間に、デバイス100の拡大を可能にするように、デバイス100に対して後退させられてもよい。引張ワイヤ30は、例えば、内側シャフト28と外側シャフト19との間で、または1つ以上の指定管腔内で、ハンドル14まで近位に延在してもよい。ハンドル14の上の好適な機構(図示せず)は、オペレータが、タブ34から係脱されるまで解放ワイヤ30を近位方向に後退させることを可能にすることができる。したがって、デバイス100は、係止指部32から解放し、標的部位での展開のために拡大することができる。
図47A~47Dは、人工心臓弁デバイス100を送達及び展開するための経中隔または順行性アプローチを示す、心臓Hの概略断面側面図である。図47Aに示されるように、ガイドワイヤ24が、任意の数の技法を使用して血管内で、例えば、下大静脈IVCまたは上大静脈SVCを通して、心房中隔IASを通して、右心房RAの中へ前進させられてもよい。誘導カテーテルGCは、図47Bに示されるように、心房中隔ASの前側に到達するまで、ガイドワイヤ24に沿って右心房RAの中へ前進させられてもよい。この点で、ガイドワイヤ24は、心房中隔IASを貫通するために使用される針25と交換されてもよい(図47C)。次いで、誘導カテーテルGCは、図47Dに示されるように、針25上で左心房LAの中へ前進させられてもよい。誘導カテーテルGCは、僧帽弁に向かって送達カテーテル18(図46A)を方向付けるように、誘導カテーテルGCを成形または操縦するよう事前成形された、または操縦可能な遠位端を有してもよい。
経中隔アプローチの代替案として、僧帽弁は、左心房内の切開を通して直接アクセスされてもよい。心臓へのアクセスが、肋骨を除去することなく、胸部内の肋間切開を通して得られてもよく、誘導カテーテルが、巾着縫合で密閉される心房切開を通して左心房の中へ配置されてもよい。次いで、送達カテーテルが、誘導カテーテルを通して僧帽弁まで前進させられてもよい。代替として、送達カテーテルは、誘導カテーテルを使用することなく、心房切開を通して直接配置されてもよい。
図48A~48Cは、経中隔アプローチを使用して人工心臓弁デバイス100を埋め込む方法を図示する、心臓の断面図である。図48A~48Cをともに参照すると、送達カテーテル18の遠位端21が、僧帽弁MVに近接して前進させられてもよい。随意に、図48Aに示されるように、カテーテル18がガイドワイヤGW上で摺動可能に前進させられ得る、ガイドワイヤGWが使用されてもよい。折り畳み構成106でデバイス100を含有する送達カテーテル18のシース20は、図48Aに示されるように、天然弁尖LFの間の僧帽弁輪ANを通して前進させられる。次いで、図48Bを参照すると、シース20が遠位ノーズコーン27に対して近位に引き戻され、固着部材110が弁尖LFを外向きに押勢して僧帽弁輪ANの下に折り畳むように、デバイス100が拡大することを可能にする。リブ114の先端は、弁尖組織に係合し、弁輪ANの組織にさらに係合するように、弁尖組織の中へ、またはそれを通って貫通してもよい。シース20が除去され、デバイス100が拡大させられた後に、オペレータが拡大構成102のデバイス100の配置をさらに制御することができるように、送達システムを依然としてデバイス100に接続することができる(例えば、示されていないシステム小穴が、図10Aに示されるデバイス小穴180に接続される)。例えば、デバイス100は、標的場所の上流または下流で拡大され、次いで、送達システム10からデバイス100を解放する前に、それぞれ、所望の標的場所内へ下流または上流に押勢されてもよい。いったんデバイス100が標的部位に位置付けられると、引張ワイヤ30(図46A~46B)は、送達カテーテル18から展開構成104のデバイス100を切り離すように、近位方向に後退させられてもよい。次いで、送達カテーテル18は、図48Cに示されるように除去することができる。代替として、デバイス100が展開し、送達システム10から完全に解放されるように、デバイス100は、送達システム10に接続されなくてもよい。
図49A及び49Bは、大動脈及び左心室を介した僧帽弁への逆行性アプローチを使用して、1つ以上の人工心臓弁デバイス100を送達及び展開するための別の変形例を図示する。この実施例では、ガイドワイヤGWは、大腿または橈骨動脈から、または大動脈AO及び大動脈弁AVを通した直接大動脈穿刺を通して、心臓Hの左心室LVの中へ血管内で前進させられてもよい(図49A)。誘導カテーテルGC、または代替として、送達カテーテル18は、図49A及び49Bに示されるように、遠位端が僧帽弁MVに近接して左心室内に位置付けられるまで、ガイドワイヤGWに沿って前進させられてもよい。多くの配列では、誘導カテーテルGC及び/または送達カテーテル18は、大動脈弁AVから僧帽弁MVへ180°旋回で操縦されることを可能にする、操縦機構または事前成形された遠位先端を有するであろう。送達カテーテル18の遠位端は、随意に、少なくとも部分的に僧帽弁MVを通して左心房LAの中へ前進させられてもよい。
図50A~50Bは、経心尖アプローチでの僧帽弁MVへの折り畳み構成106のデバイス100の送達を図示する。図50Aを参照すると、送達カテーテル18は、心尖における、またはその付近の左心室壁内の穿孔を通して、心臓の左心室に挿入された、誘導カテーテルGCを通して前進させられる。カテーテルは、巾着縫合によって密閉することができる。代替として、送達カテーテル18は、誘導カテーテルを伴わずに巾着縫合で密閉した経心尖切開を通して直接配置されてもよい。シース20及びシース20内の(例えば、折り畳み構成106の)デバイス100は、図50Aに示されるように、天然弁尖LFの間の僧帽弁輪ANを通して前進させられる。図50Bを参照すると、シース20は、デバイス100が拡大及び/または展開構成102、104まで拡大するように、近位に引っ張られる。送達システム10は、拡大構成102である間に、オペレータがデバイス100の配置を制御することができるように、シース20を除去した後にデバイス100に接続されたままとなることができる(例えば、示されていないシステム小穴がデバイス小穴180に接続される、図10A)。引張ワイヤ30は、送達システム10からデバイス100を解放するように近位方向に後退させられてもよく、送達システム10が除去され、デバイスが展開構成104で僧帽弁MVに完全に埋め込まれることを可能にする。一実施形態では、デバイス100は、所望の標的場所の上流または下流で拡大され、次いで、送達システム10からデバイス100を解放する前に、それぞれ、下流または上流で、標的場所に引き込まれ、または押し込まれてもよい。代替として、デバイス100が展開し、送達システム10から完全に解放されるように、デバイス100は、送達システム10に接続されなくてもよい。
図51A~51Bは、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイス100が送達カテーテル18の拡大可能なバルーン300の上に載置される、送達システム10の部分側面図である。図51A及び51Bをともに参照すると、デバイス100は、折り畳み構成106である間に送達カテーテルの拡大可能なバルーン300の上に載置し、天然僧帽弁における、またはその付近の所望の場所へ送達することができる(図51A)。デバイス100がシース20から解放されたとき(図46A~46B)、デバイス100は、バルーン300の膨張によって、その拡大構成102まで拡大させることができる(図51B)。送達システム10とともにバルーン300を使用するとき、デバイス100は、最初に標的場所にデバイス100を位置付けるように、送達シャフト16から前進させることができる。バルーン300は、デバイス100を完全に拡大するように膨張させることができる。次いで、僧帽弁に対するデバイス100の位置は、デバイスを所望の埋込部位に(例えば、天然僧帽弁輪の直下に)位置付けるように、デバイス係止ハブを使用して調整されてもよい。別の実施形態では、バルーン300は、最初に、左心房の中でデバイス100を部分的に拡大するように、部分的に膨張させることができる。次いで、送達システム10は、部分的に拡大した心臓弁デバイス100を(アプローチに応じて)埋込部位に押し込む、または引き込むように調整することができ、その後、デバイス100を、その機能的サイズまで完全に拡大することができる。他の代替的な方法では、固着部材110が、最初に、天然生体構造に係合するように標的部位でシース20から解放される(図46A~46B)、自己拡大式構築物である一方で、弁支持体120は、固着部材110が解放された後に、次いで、弁支持体120を完全に展開するように拡大させられる、バルーン300の上に載置されたバルーンで拡大可能な要素である。
なおもさらなる実施形態では、デバイス100の弁支持体120は、固着部材110から軸方向に移動可能または着脱可能であるように構成されてもよい。そのような配列では、2つの構成要素110、120は、送達システム10内で軸方向に分離した構成で装填されてもよく、それにより、システム10の全体的な外形を縮小させる。標的弁部位への送達後に、構成要素110、120をともに組み立てることができる。図52A~52Dは、心臓の中で弁支持体120及び固着部材110を組み立てる実施形態を示す。図52Aに示されるように、送達カテーテル380は、心房中隔または心房壁を通して配置された誘導カテーテルGCを介して、左心房の中へ前進させられる。送達カテーテル380は、遠位ノーズコーン382と、近位カプセル384とを備える、分割シース382、384を有する。送達カテーテル380は、ノーズコーン382が天然弁輪ANの遠位に位置付けられるまで、天然弁MVを通して前進させられる(図52A)。次いで、ノーズコーン382は、送達カテーテル380の残りの部分の位置を維持しながら、さらに遠位に前進させられ、それにより、ノーズコーン382から固着部材110を解放する(図52B)。固着部材110は、外向きに自己拡大し、天然弁尖LFに係合して、図52Bに示されるように、天然弁輪ANの下でそれらを外向きに折り畳む。リブ114の上流先端(図52B)は、デバイス100を定位置で固着するように弁輪下組織に係合する。密閉部材140は、固着部材110の周囲113に固定され、近位カプセル384の中へ延在する接続部分386を有し、そこで、依然として近位カプセル384内で拘束されている弁支持体120に固定される。次いで、送達カテーテル380は、図52Cに示されるように、固着部材110内に近位カプセル384を位置付けるよう前進させられる。密閉部材140が緊張した状態になるまでカテーテル380を前進させることによって、適正な位置付けが獲得されてもよい。次いで、近位カプセル384から弁支持体120を解放するように、近位カプセル384がノーズコーン382に対して後退させられる。弁支持体120は、固着部材110の下流端と係合するように自己拡大し、2つの構成要素をともに連結することができる。次いで、送達カテーテル380は、患者から引き出されてもよい。
図53A~53Hは、図52A~52Dに示される方法で弁支持体120を固着部材110に連結するために使用され得る、種々の機構を示す。例えば、図53Aに示されるように、弁支持体120は、2つの構成要素の着脱を阻止するように固着部材110内の溝390の中に係合する、円周方向隆起または戻り止め388を、その下流端の付近に含んでもよい。代替として、弁支持体120は、固着部材110の下流端の周囲に、例えば、図53B~53Cに示されるように、リブ114またはコネクタ116の下流先端のいずれか一方の周囲に延在するように構成される、各柱122の下流端に形成されたフック392を有してもよい。例えば、フック392は、図53Cに示されるように、弁支持体120が前進させられるにつれて、リブ114の内面に係合するときに、内向きに撓曲するように構成され、及びリブ114の下流端を越えて拡張されたときに、その外向き構成へ弾性的に反動するように構成されてもよい。随意に、固着部材110上の段差または隆起396等の相補的特徴に係合して、所定の深度を越えた弁支持体120の挿入を防止するように構成される、スタブ394等の深度制限特徴が、弁支持体120から外向きに延在してもよい。
図53D~53Fに示される、さらなる実施形態では、弁支持体120は、固着部材110に摺動可能に連結するように構成される連結要素398を、その外面上に有してもよい。第1の構成では、連結要素398は、それを通して固着部材110上の垂直ガイド部材402が摺動し得る、図53Eに示されるループ400を備える。固着部材110は、その円周の周囲に離間した場所で、その下流端から上向きに延在する、複数のそのようなガイド部材402を有してもよい。弁支持体120が上流方向へ後方に摺動することを阻止するように、その上でループ400が摺動し得る、各ガイド部材402の下流端の付近に、段差404が形成されてもよい(図53D)。図53Fに示される代替的な構成では、ガイド部材402は、弁支持体120上の半径方向に延在するピン408がその中へ延在することができる、垂直スロット406を有する。ピン408は、それが腰部411を通して押動され得る、スロット406の下流端へ摺動してもよく、ピン408が上流方向へ後方に摺動することを防止する。
図53G~53Hに示される、さらなる実施形態では、弁支持体120上の連結要素398は、それら自体が(図53D~53Fに関して説明される)ガイド部材402と類似の機能を果たす、リブ114を摺動可能に受容するように構成される。図53Gに示されるように、弁支持体120へのリブ114の連結は、弁支持体120が固着部材110に対して軸方向に上向きに摺動するときに、半径方向に小型の構成でリブ114を拘束するのに役立つ。図53GG~53Hに示される配列では、デバイス100の送達は、送達中にリブ114を拘束するために別個のシースの必要性を要求しなくてもよい。図53Hに示されるように、弁支持体120は、リブ114がそれらの半径方向外向き構成を成すまで、固着部材110に対して下流方向に摺動してもよい。ガイド部材402と同様に、各リブ114は、それを通り過ぎて連結要素398が押動され得るが、次いで、弁支持体120が上流方向に摺動することを阻止する、その下流端の付近に形成された段差412を有してもよい(図53H)。
図54A~55Cは、本技術の付加的な側面による、送達システム40の送達カテーテル400を図示する。図54Aは、人工心臓弁デバイス100のための送達システム40の断面側面図であり、図54Bは、図54Aに示される送達システム40の遠位部分の部分断面側面図である。図54A及び54Bに示されるように、送達カテーテル400は、外壁403と、ブラインド環状空洞408を画定する閉鎖遠位突出部406とを有する、シース402を備える。内壁405は、カテーテル(図示せず)の近位端まで近位に延在し、したがって、ガイドワイヤGWが摺動可能に位置付けられ得る、それを通って軸方向に延在する内側管腔を画定する、管状カテーテルシャフト407を形成する。ピストン412は、空洞408の中に摺動可能に配置され、空洞408の壁と流体密閉を作成するように、その円周の周囲にOリング413を有する。管状ピストンシャフト414は、ピストン412から近位に延在し、カテーテルシャフト407を覆って摺動可能に載置される。ピストンシャフト414は、空洞408と連通している流体管腔416を画定するよう、カテーテルシャフト407に対して大きくサイズ決定される。デバイス26は、ピストンシャフト414及びカテーテルシャフト407が弁支持体120の内部を通って延在する状態で、空洞408内で、その半径方向に折り畳んだ送達構成において保持される(図55A~55Cに示される)。好ましくは、デバイス100は、例えば、ピストンシャフト414から半径方向外向きに延在するピン(図示せず)によって、ピストン412に解放可能に連結される。
シース402は、その進行を制限する特徴を有してもよい。例えば、ワイヤ(図示せず)が、保護シースをカテーテル400の近位端上のハンドルに繋留してもよい。ワイヤは、ハンドル上の調整可能な停止部に取り付けられてもよく、ピストン進行の長さが調整されることを可能にする。流体が空洞408に注入されたとき、ピストン412は、この停止部に到達するまで進行するであろう。このようにして、展開の進捗を制御することができる。
展開後にデバイス100の弁を通したシース402の後退を容易にするために、先細特徴が、シース402の近位端に隣接するように前進してもよい(図56参照)。代替として、ピストン412は、近位方向に面するピストン412の後部に直接添着された先細または軟質緩衝材料を有してもよい。このようにして、ピストンの近位側は、それ自体が、弁支持体120を通したシース402の後退を容易にするように、非外傷性先頭面を提供するであろう。
デバイス100の展開を制御して円滑にすることを目的としている特徴を組み込むことができる。例えば、自己拡大式ステントの展開中の一般的な問題は、最終要素が展開デバイスから退出する際に、展開されたデバイスが前方または後方に「飛び出す」または跳ね上がる傾向である。デバイス100の拡大骨格によってシース402が前方に突き出ることを防止する特徴が、心室または他の組織への偶発的な損傷を防止するために重要であり得る。そのような特徴は、展開されたデバイス100に対してシース402の位置を保持するように設計されている停止部またはテザーを展開システム内に組み込んでもよい。例えば、シース402の近位縁は、ピストンがシースから退出することを防止するように、及び上で説明される先細または緩衝特徴を正確に設置して、展開された弁を通したシステムの引き出しを容易にするように、わずかに内向きにスエージ加工することができる。代替として、または加えて、デバイス100の最後の特徴がシース402から撤退するときに、シースが、新たに展開されたデバイス100の下流端の中へ能動的にわずかに後退するように、バネ機構(図示せず)を送達システム40に組み込むことができる。
送達カテーテル400の動作が図55A~55Cで図示されている。送達カテーテル400は、本明細書の他の場所で説明されるアプローチのうちの1つを使用して、標的弁部位に位置付けられる。送達カテーテル400は、上流方向から天然弁を通した配置に特によく適している。カテーテル400は、シース402が天然弁輪の下流に位置付けられるまで前進させられる(図55A)。次いで、流体管腔416を通して、ピストン412より遠位の空洞408に流体を注入することができる(図55B)。これは、シース402を遠位に駆動し、空洞408からデバイス100を解放する(図55C)。送達カテーテル400及びデバイス100は、デバイス100が展開されている間に、天然弁に対して静止縦方向位置に留まり、それにより、展開の精度を増加させてもよい。加えて、デバイス100は、ゆっくりと制御された様式で展開されてもよく、デバイス100の突然の制御されていない跳ね上がりを回避する。さらに、そのような油圧作動は、デバイス100を部分的にのみ展開するように、シース402が増分段階で移動させられることを可能にし、完全展開前に、オペレータが天然弁に対するその位置を査定し、必要に応じて、再配置することを可能にする。
一実施形態では、ピストン412は、油圧で作動させることができるが、別の実施形態では、ピストン412は、ピストンシャフト414の手動後退またはシース402の前進によって操作することができる。送達カテーテル400は、ピストンシャフト414及び/またはカテーテルシャフト407に連結された後退機構を有するハンドルを、その近位端上に装備してもよい。そのような機構は、ピストンを後退させるか、またはシースを前進させるために必要とされる力を低減させる機械効率を提供するために、歯車または滑車を使用してもよい。
本技術の態様による送達カテーテルはさらに、完全または部分展開後にデバイス100がカテーテル400の中へ戻って後退させられることを可能にするよう、可逆的であるように構成されてもよい。そのようなカテーテルの一実施形態が、図56で図示され、図54A~55Cの送達カテーテル400は、そこから完全または部分的に展開された後に、デバイス100をシース402の中へ戻して後退させるように適合される。ピストン412が、少なくともそれに連結された第1の滑車420を有する一方で、遠位突出部406は、少なくともそれに連結された第2の滑車422を有する。複数の付加的な滑車423もまた、付加的な機械的支援のために、ピストン412の円周の周囲の場所に提供されてもよい。1本のワイヤまたは縫合糸を備え得る、ケーブル424が、流体管腔416及び空洞408を通って延在し、第1及び第2の滑車420、422ならびに任意の付加的な滑車423の周囲を通過し、ピストン412に固定される。デバイス100は、好ましくは、その下流端428の付近で、デバイス100と係合するようにピストンシャフト414から半径方向に延在する複数のピン426によって、ピストンシャフト414に解放可能に連結することができる。
デバイス100を展開するために、図56の送達カテーテル400は、図55A~55Cと関連して上で説明されるように、同様に動作するが、付加的な実施形態では、下流端428がシース402から完全に解放される前に、オペレータがデバイス100の場所をチェックすることができる。展開時に、デバイス100の上流端430は、その拡大構成に向かって拡大するであろう。オペレータは、超音波、X線透視法、MRI、または他の手段を使用して、天然組織の中の展開されたデバイス100の位置及び形状を視認することができる。位置付け後に、シース402は、シース402からデバイス100を完全に展開するように、ピストン412に対してさらに前進させられてもよく、そうすることによって、下流端428が完全に拡大し、ピン426がデバイス100から係脱される。オペレータが再配置または他の理由のためにシース402の中へ戻してデバイス100を回収することを所望する状況で、ケーブル424は、シース402に対して遠位方向にピストン412を移動させるよう引っ張られる。ピン426は、シース402の中へピストン412とともにデバイス100を引き戻し、デバイス100は、シース402に引き込まれるにつれて折り畳まれる。次いで、送達カテーテル400が再配置され、デバイスが再展開されてもよい。
一実施形態では、人工心臓弁デバイス100は、僧帽弁に到達する特定のアプローチまたは送達方法のために特異的に設計されてもよく、または別の実施形態では、デバイス100は、アプローチまたは送達方法間で交換可能であるように設計されてもよい。
人工心臓弁デバイス、送達システム、及び方法の付加的な実施形態
図57A~57Eは、拡大構成602で示され、本技術の付加的な実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイス600の等角図である。人工心臓弁デバイス600は、図10A~56を参照して上で説明される人工心臓弁デバイス100の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、人工心臓弁デバイス600は、人工弁130を支持するように構成される弁支持体120と、天然僧帽弁に埋め込まれたときに固着部材610に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される固着部材610とを含む。しかしながら、図57A~57Eに示される実施形態では、上流方向へのデバイス600の移動を防止するよう、固着部材610の下流領域611が、弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成されるように、固着部材610の上流領域612は、弁支持体120に連結される。
図57A及び57Bは、固着部材610が、弁支持体120の上流端121に連結され、下流から遠位の方向に延在する、複数の縦方向リブ614を含む、デバイス600の実施形態を図示する。図57Aに示されるように、リブ614は、下流領域611が、僧帽弁輪より下側の弁輪下組織に係合するために外向きに裾広であるように、固着部材610の下流領域611において、縦軸101から半径方向外向きに突出することができる。図57Bは、下流領域において上向きの穴縁617を伴う固着部材610を有する、デバイス600の実施形態を図示する。この実施形態では、リブ614は、下流領域が縦軸101から外向きに略裾広であるが、リブ614の先端615が再配向して穴縁617において上流方向を指すように、形成することができる。穴縁617は、固着部材610が弁輪下組織に係合することを支援してもよく、デバイス100に関して上に説明されるように組織係合要素(図示せず)を含むように構成することができる。固着部材610はまた、天然弁内に弁支持体120及び人工弁130を位置付けるために望ましい位置で弁支持体120に連結することもできる。例えば、図57Cは、上流端121から下流の場所で固着部材610を弁支持体120に連結することができる、デバイス600の実施形態を図示する。
図57A~57Cをともに参照すると、固着部材610は、下流領域611における第2の断面寸法DC2よりも小さい第1の断面寸法DC1を上流領域612において有することができる。加えて、弁支持体120は、デバイス600が展開されたときに、弁支持体120の上流部分を変形させることなく下流領域611が内向きに変形することができるように、固着部材610の下流領域611から半径方向に分離される。加えて、固着部材610が、略卵形またはD字形、あるいは図16A~17Cに関して上で説明されるもの等の他の不規則な形状を有することができる一方で、弁支持体120は、形状が略円筒形であり得る。そのような実施形態では、第2の断面寸法DC2は、天然僧帽弁の弁輪の対応する断面寸法(例えば、MVA1またはMVA2)(図5C)よりも大きくあり得る。
図57Dは、拡大構成602のデバイス600のさらに別の実施形態を図示する。示されるように、弁支持体120は、弁支持体120の下流端123にフランジ620を含むことができる。フランジ620は、弁輪下組織に半径方向に係合するように、下流端123において縦軸101から半径方向外向きに延在することができる。固着部材610は、フランジ620の外側周縁622に付着するように、弁支持体120の上流端121に連結され、下流方向へ半径方向外向きに延在する、複数のリブ614を含むことができる。固着部材610は、弁尖の内向き表面等の弁輪下組織に係合するように構成することができる。この実施形態では、リブ614は、上流領域612における連結部と下部領域611におけるフランジ620への連結部との間の固着部材610の変形が、人工弁が接続される弁支持体120を実質的に変形させないように、可撓性であり得る。
図57Eは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁MVに埋め込まれた図57Aの人工心臓弁デバイス600の概略断面図である。示されるように、固着部材610の裾広下流領域611は、弁輪下組織、例えば、弁尖LFの内向き表面、弁輪下表面等に係合することができる。リブ614は、組織を貫通する、及び/または部分的に貫通するために、リブ先端615の上に組織係合要素170を組み込むことができる。さらに、固着部材610は、組織に対して半径方向外向きに密閉して(図示せず)、上流または下流方向へのデバイス600の移動を防止するように、及び/または組織とデバイス600との間の弁傍漏出を防止するように拡大することができる。したがって、デバイス600は、デバイス100に関して上で説明されるように、1つ以上の密閉部材140を組み込むことができる。加えて、デバイス600はまた、デバイス100に関して上で説明されるように、心房拡張部材または心房保持体410(点線で示される)を含むこともできる。心房保持体は、存在する場合、弁輪上表面または左心房LA内の何らかの他の組織等の弁輪ANより上側の組織に係合して、(例えば、心房収縮期中に)デバイスの下流移動を阻止するように構成することができる。
図58A~58Dは、本技術の別の実施形態による、経心尖アプローチを使用して人工心臓弁デバイス600を心臓内の天然僧帽弁MVに送達する方法を示す、心臓の断面図である。図58Aを参照すると、送達カテーテル18は、心尖における、またはその付近の左心室壁内の穿刺を通して、心臓の左心室LVに進入する、誘導カテーテル(図示せず)を通して前進させられ、巾着縫合によって密閉される。代替として、送達カテーテル18は、誘導カテーテルを伴わずに巾着縫合で密閉した経心尖切開を通して直接配置されてもよい。折り畳んだデバイス600、606(図58Bに示される)を含有するシース20は、図58Aに示されるように、天然弁尖LFの間の僧帽弁輪ANを通して前進させられる。図58B~58Dをともに参照すると、シース20は、デバイス600が拡大及び/または展開構成602、604(図58C及び58D)まで拡大することを可能にするように、近位に引っ張られる。
シース20を後退させ、デバイス600を拡大させることができるが、送達システムは、拡大構成602(図58C及び58D)である間に、オペレータがデバイス600の配置を制御することができるように、デバイス600に接続されたままとなることができる(例えば、示されていないシステム小穴が、示されていないデバイス小穴に接続される)。例えば、シース20がデバイス600から係脱されると、固着部材610の上流領域612は、シース内で折り畳まれたままとなり、固着部材610が完全に拡大することを防止することができる(図58C)。送達のこの段階中に、僧帽弁領域内のデバイス600の位置を調整または変更することができる。デバイス600が標的部位に位置した後、シース20をデバイス600から完全に除去することができ、デバイス600の固着部材610は、弁尖LF等の弁輪下組織に係合するように、及び所望の標的場所でデバイス600を保持するように、下流領域611において外向きに拡大することができる。引張ワイヤ(図示せず)は、送達システムからデバイス600を解放するように近位方向に後退させられてもよく、送達システムが除去され、デバイスが展開構成104で僧帽弁MVに完全に埋め込まれることを可能にする。代替として、デバイス600は、所望の標的場所の上流または下流で拡大させられ、次いで、送達システムからデバイス600を解放する前に、それぞれ、下流または上流で、標的場所に引き込まれ、または押し込まれてもよい。
図59A~59Cは、拡大構成702で示された人工心臓弁デバイス700の等角図であり、図59Dは、本技術のさらなる実施形態に従って構成された、天然僧帽弁に埋め込まれた人工心臓弁デバイス700の概略断面図である。人工心臓弁デバイス700は、図10A~58Dを参照して上で説明される人工心臓弁デバイス100及び600の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、人工心臓弁デバイス700は、人工弁130を支持するように構成される弁支持体120と、天然僧帽弁に埋め込まれたときに第1の固着部材610に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される第1の固着部材610とを含む。特に、第1の固着部材610の上流領域612は、弁支持体120に連結され、第1の固着部材610の下流領域611は、上流方向へのデバイス600の移動を防止するよう、外向きに広がって弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成される。しかしながら、図59A~59Dに示される実施形態では、デバイス700はまた、弁支持体120に連結される下流領域711と、上流方向へ半径方向外向きに延在する上流領域712とを有する、第2の固着部材710も含む。したがって、デバイス700は、僧帽弁の弁輪の上または下の組織に係合するための第1及び第2の固着部材610及び710の両方を含む。
図59A~59Dをともに参照すると、第1の固着部材610は、下流領域611における第2の断面寸法DC2よりも小さい第1の断面寸法DC1を上流領域612において有することができる。第2の固着部材710は、下流領域711における第4の断面寸法DC4よりも大きい第3の断面寸法DC3を上流領域712において有することができる。いくつかの実施形態では、第3の断面寸法DC3は、第2の固着部材710を第1の固着部材610によって部分的に包囲することができるように、第2の断面寸法DC2よりも小さい(図59A)。そのような実施形態では、上流領域712は、第1の固着部材610の内壁(図示せず)に対して半径方向外向きの圧力を適用し、弁輪の上または下の組織への第1の固着部材610の固定をさらに支持することができる。図59Bに示される別の実施形態では、第3の断面寸法DC3は、第1及び第2の固着部材610、710が裾広接合部740において交わるように、第2の断面寸法DC2と略同一であり得る。一実施形態では、第1及び第2の固着部材610及び710は、裾広接合部740において連結することができるが、他の実施形態では、第1及び第2の固着部材610及び710は連結されない。図59Cは、第1の固着部材610の下流領域615が、間隙750によって第2の固着部材710の上流領域713から分離される、デバイス700の別の実施形態を示す。一実施形態では、弁輪が間隙750内で保持または捕捉されるように、図59Cに示されるデバイス700は、第1の固着部材610が弁輪上組織または弁輪の上流の他の心臓組織に係合することができ、第2の固着部材710が弁輪下組織または弁輪の下流の他の心臓組織に係合することができるように、天然心臓弁に埋め込むことができる。
図59Dで図示される、さらなる実施形態では、第3の断面寸法DC3は、第2の固着部材710が第1の固着部材610を部分的に包囲することができるように、第2の断面寸法DC2よりも大きい。そのような実施形態では、第1の固着部材610の下流領域611は、第2の固着部材710の内壁741に対して半径方向外向きの圧力を適用し、弁輪ANの上または下の組織への第2の固着部材710の固定をさらに支持することができる。
加えて、弁支持体120は、デバイス700が展開されたときに、下流領域611及び/または上流領域712が、弁支持体120を実質的に変形させることなく、または人工弁130を支持する弁支持体120の支持領域734を変形させることなく、内向きに変形させることができるように、第1の固着部材610の下流領域611ならびに第2の固着部材710の上流領域712から半径方向に分離することができる。加えて、第1及び第2の固着部材610、710が、略卵形またはD字形、あるいは図16A~17Cに関して上で説明されるもの等の他の不規則な形状を有することができる一方で、弁支持体120は、形状が略円筒形であり得る。また、デバイス100に関して上で説明されるような密閉膜140及び組織係合要素170等の付加的な特徴が、デバイス700の上に組み込まれてもよい。
図60A~図60Bは、本技術の別の実施形態による、図59Cの人工心臓弁デバイス700を心臓内の天然僧帽弁に送達するための送達カテーテル18の遠位端の断面側面図である。図60A~60Bに示されるように、人工心臓弁デバイス700は、送達構成706に折り畳まれ、カテーテル18の遠位端において2部分送達シース70内で保持される(図60A)。天然僧帽弁における、またはその付近の所望の場所へのカテーテル18の遠位端の送達時に、遠位方向に上部分72を後退させ、及び/または近位方向に下部分74を後退させ(図60Aにおいて矢印で示される)、それにより、シースを分離し、シース70内から折り畳んだデバイス700を露出することによって、デバイス700を2部分シース70から解放することができる。一実施形態では、デバイス700は、シース70の後退後に、その拡大構成702まで自己拡大することができる(図60B)。図60Bで図示されるように、シース70が近位及び遠位方向の両方に後退させられるときに、第1及び第2の固着部材610、710は、天然組織に係合するように外向きに自己拡大することができる。支持弁120を拡大するためにバルーン300を使用するとき、バルーン300は、デバイス700を完全に拡大するために膨張させることができる。
図61は、本技術の別の実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイス800を図示する。図61は、図10A~60Bを参照して上で説明される人工心臓弁デバイス100、600、700の特徴に概して類似する特徴を含む、デバイス800の側面図である。例えば、デバイス800は、上流及び下流端121、123と、弁(図示せず)が連結され得る内部とを有する、支持弁120を含む。デバイスはまた、第1及び第2の固着部材810及び850も含む。第1の固着部材810は、第1の裾広上流部分812と、弁支持体120の外側または外面127に連結される第1の下流部分811とを有する。第1の裾広上流部分812は、弁支持体120から機械的に隔離することができる。加えて、第1の裾広上流部分812は、天然僧帽弁の弁輪上組織に係合するように構成することができる。第2の固着部材850は、第1の固着部材810を少なくとも部分的に包囲するように、及び天然僧帽弁の弁輪下組織に係合するための第2の裾広上流部分852を有するように構成することができる。第2の固着部材850はまた、少なくとも第2の上流部分852から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120の外面127に連結される、第2の下流部分851を有することもできる。
図61に示されるように、第1の固着部材810は、複数の第1の縦方向リブ814を有することができ、第2の固着部材850は、複数の第2の縦方向リブ854を有することができる。一実施形態では、個々の第1のリブ814のそれぞれは、第1の固着部材810が第2の固着部材850の高さHAM2よりも大きい高さHAM1を有するように、個々の第2のリブ854のそれぞれよりも長い。したがって、第2の固着部材850を配向して弁輪下組織に係合するように、高さHAM2を選択することができる一方で、左心室から僧帽弁を通って延在するように第1の固着部材810を配向して、左心房内の弁輪上組織に係合するように、高さHAM1を選択することができる。
図61は、その上でリブ814、854を相互接続することができる、下部リング808を含むことができる、デバイス800の一実施形態を図示する。下部リング808は、リブ814、854が上流部分812、852において弁支持体120から離れて半径方向外向きに拡大することを可能にすることができる。デバイス800はまた、複数の第1の縦方向リブ814に連結される第1の上部リング部材816を含むこともできる。第1の上部リング部材816は、弁輪上組織に係合するための下向きに配向した周縁818を有するように、成形及び/またはパターン化することができる。本デバイスはさらに、複数の第2の縦方向リブ854に連結される第2の上部リング部材856を含むことができる。第2の上部リング部材856は、弁輪下組織に係合するための上向きに配向した周縁858を有するように、成形及び/またはパターン化することができる。
図62A~62Cは、本技術の別の実施形態による、僧帽弁MVにおける図61の人工心臓弁デバイス800の送達を示す、送達システム10の遠位端の部分断面側面図である。デバイス800は、送達システムのシース20内で折り畳み構成806において保持することができる(図62A)。送達システムの遠位端が標的場所に係合するとき、シース20をデバイス800から近位に後退させることができ、それにより、拡大構成102に拡大するようにデバイス800の特徴を解放する(図62B~62C)。図62Bに示されるように、第2の固着部材850を、後退するシース20から最初に解放することができ、第2の上部リング部材856の上向きに配向した周縁858を、弁輪下組織に係合するように位置付けることができる。第2の固着部材850の周縁858が弁輪下組織に係合するように定位置に移動させられるまで、シース20は、第1の固着部材810が送達システム10から係脱すること、及び/またはシース20の外側に移動することを防止することができる。図62Cを参照すると、プランジャ11は、(図62Bにおいて下向きの矢印によって示されるように)第1の固着部材810に係合することができ、及び/またはシース20は、第1の固着部材810から(図62Cにおいて上向きの矢印によって示されるように)係脱/後退させることができ、それにより、第2の固着部材850が拡大構成802まで半径方向外向きに移動することを可能にする。第1の上部リング部材816の下向きに配向した周縁818は、弁輪上組織に係合するように位置付けることができる(図62C)。いったん展開されると、リング816、856は、僧帽弁の弁輪ANを挟持し、上流及び下流方向の両方へのデバイス800の移動を阻止することができる。
図63は、本技術のさらなる実施形態による、人工心臓弁デバイス900の等角側面図である。デバイス900は、図10A~62Cを参照して上で説明される人工心臓弁デバイス100、600、700、及び800の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、デバイス900は、上流及び下流端121、123と、弁(図示せず)が連結され得る内部とを有する、支持弁120を含む。デバイス900は、裾広上流部分912、及び弁支持体120に連結される下流部分911を有する、固着部材910を含む。しかしながら、デバイス900はまた、上部及び下部リング950、952と、固着部材910の円周980の周囲に分布し、上部リング950を下部リング952に連結するように構成される、複数の可撓性弁輪係合要素970とを含む。可撓性弁輪係合要素970は、天然弁輪ANを弁輪係合要素970の陥凹971の中に係合させることができるように、デバイス900から外向きに開放部分を有するように配向されるC字形またはU字形等の形状を有することができる。弁輪係合要素970はまた、それぞれ、弁輪上または弁輪下組織に係合し、潜在的にそれを穿刺するための尖端972、973を含むこともできる。弁輪係合要素970は、デバイス900が展開されたときにデバイス900を弁輪ANに固定するために尖端972、973をともに近づける様式で屈曲するように、好適に可撓性であり得る。
図64A~64Bは、天然僧帽弁輪においてデバイス900を展開するための方法を図示する。図63及び64A~64Bをともに参照すると、弁輪係合要素970は、開放状態903で、略弛緩するか、または広い陥凹971を有することができる。したがって、上部リング950は、要素970が開放状態903であるときに第1の距離DR1で下部リング952より上側に静置することができる。デバイス900はまた、(例えば、穴975を通して)上部リング950と摺動可能に係合させられ、下部リング952に固定される、複数の引張ワイヤ974を含むこともできる。ワイヤ974が上向きまたは上流方向に引っ張られたときに、下部リング952は、上部リング950に向かって上向き/上流方向に移動する。下部リング952が上部リング950に接近すると、弁輪係合要素970は、尖端972、973がともに近づけられ、及び/または弁輪組織に係合もしくは穿刺するように、屈曲することができる(図64B)。したがって、デバイス900が展開状態904であるときに、上部リング950は、下部リング952より上側で第2の距離DR2において引張ワイヤ974によって保持することができ、第2の距離DR2は、第1の距離DR1よりも小さい。
図64C~64Dは、ワイヤ974が上部リング950に固定され、(例えば、穴976を通して)下部リング952と摺動可能に係合させられる、引張ワイヤ974の代替的な配列を示す。引張ワイヤ974はまた、展開状態904でリング950、952をともに近づけるよう、引張ワイヤを上向き方向に引っ張ることができるように、(例えば、穴975を通して)上部リング950と摺動可能に係合させることもできる。
図65Aは、本技術のさらなる実施形態による、人工心臓弁デバイス1000の等角側面図である。デバイス1000は、図10A~64Dを参照して上で説明される人工心臓弁デバイス100、600、700、800、及び900の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、デバイス1000は、上流及び下流端121、123と、弁130が連結され得る内部134とを有する、支持弁120を含む。しかしながら、デバイス1000は、弁支持体120に連結され、それを少なくとも部分的に包囲する、膨張式固着部材1010を含む。膨張式固着部材1010は、展開時に膨張/拡大し、所望の標的場所で天然組織に係合するように構成することができる。図65Aに示されるように、膨張式固着部材1010は、デバイス1000の埋込後に、溶液(例えば、生理食塩水または他の液体)またはガス(例えば、ヘリウム、CO2、または他のガス)等の充填物質を受容するための1つ以上の充填可能なチャンバ1014を有することができる。他の実施形態では、充填可能なチャンバ1014は、硬化物質(例えば、エポキシ、セメント、または他の樹脂)で充填することができる。
一実施形態では、充填可能なチャンバ1014及び/または固着部材1010は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ウレタン、または他の発泡性ポリマーあるいは生体適合性材料で形成することができる。充填可能なチャンバ1014は、充填可能なチャンバ1014が、膨張させられたときに、天然生体構造に係合するための固定要素1015を形成するように、所定の形状を有することができる。例えば、固定要素1015は、左心房LA内の弁輪ANの表面に係合するための弁輪上フランジ1016を含むことができる。要素1015はまた、弁輪下組織に係合するための弁輪下フランジ1018及び/または(例えば、弁尖の後ろで)弁尖LFに係合するためのアーム1020を含んでもよい。したがって、心臓内で生成される拡張期及び収縮期歪曲力、特に、天然僧帽弁において、またはその付近でデバイス1000に及ぼされる半径方向力から弁支持体120を機械的に隔離しながら、固着部材1010が弁輪上組織、弁輪下組織、弁尖、または僧帽弁MVにおける、もしくはその付近の他の組織に係合するように、チャンバ1014を組み込むか、または成形することができる。例えば、展開後に、膨張式固着部材1010は、固着部材1010の変形が弁支持体120を実質的に変形させないように、デバイス1000に対して生成される拍動負荷及び他の力を吸収することができる。
図65Bは、本技術の別の実施形態による、図65Aの人工心臓弁デバイス1000の送達に好適な送達システム10の遠位端の部分断面側面図である。図65Bに示されるように、送達システム10は、折り畳み構成1006でデバイス1000を保持するように構成される送達カテーテル18を含むことができる。折り畳み構成1006では、膨張式固着部材1010が収縮させられる。送達システム10はまた、デバイス1000が定位置にあり、展開の準備ができているときに、充填物質を送達するのに好適な充填管90を含むこともできる。図65A~65Bをともに参照すると、一実施形態では、標的場所で定位置にデバイス1000を保つように固着部材1010を完全に拡大及び/または膨張させる前に、固定要素1015を天然組織特徴と整合させるよう埋込部位におけるデバイス1000の位置を調整することができるように、膨張式固着部材1010は、充填物質で部分的に充填することができる。
図66A~図66Dは、本技術の付加的な実施形態による、充填可能なチャンバ1114を有する人工心臓弁デバイス1100の断面図である。図65A~65Bに関して論議されるデバイス1000と同様に、デバイス1100は、弁130が連結される内部134を有する、弁支持体120等の特徴を含み、かつ天然僧帽弁に埋め込まれたときに固着部材1110に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される、拡大可能な固着部材1110を含む。上流方向へのデバイス1100の移動を防止するよう、固着部材1110の上流領域1112が弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成されるように、固着部材1110は、弁支持体120に連結することができる。図66A~66Dに示される実施形態では、デバイス1100はまた、外向き方向に拡大及び/または膨張して、固着部材1100の外向き拡張を支持する(図66A、66C~66D)ように、または天然組織に係合する(図66B)ように構成される、1つ以上の充填可能なチャンバ1114を含むこともできる。一実施形態では、充填可能なチャンバ1114及び/または固着部材1010は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ウレタン、または他の発泡性ポリマーあるいは生体適合性材料で形成することができる。充填可能なチャンバ1114が、膨張させられたときに、(図66Bに示されるように)天然生体構造に係合するため、または(図66A、66C、及び66Dに示されるように)固着部材1110に係合するための固定要素を形成するように、充填可能なチャンバ1114は、所定の形状を有することができる。
図66Aを参照すると、充填可能なチャンバ1114は、弁支持体120と固着部材1110との間に空間を伴って作成されるチャンバ1114であり得る。デバイス1100の拡大後に、充填可能なチャンバ1114は、溶液(例えば、生理食塩水または他の液体)またはガス(例えば、ヘリウム、CO2、または他のガス)等の充填物質で充填することができる。他の実施形態では、充填可能なチャンバ1114は、硬化物質(例えば、エポキシ、セメント、または他の樹脂)で充填することができる。他の実施形態では、充填可能なチャンバ1114は、固着部材1110の外面1142(図66B)に、または固着部材1110の内面1141に、または支持弁120の外面127に連結されるリング状のチャンバ1150等のデバイス1100の別個の構成要素であり得る。図66C~66Dでは、例えば、リング状のチャンバ1150は、内向き変形がリング状のチャンバ1150の存在によって対抗されるように、付加的な支持を固着部材1110に提供することができる。加えて、図66Dに示されるように、充填可能なチャンバ114は、天然組織に対して外向き方向に固着部材1110を変形させる、リング状のチャンバ1150であり得る。
本技術の別の態様によれば、図67A~67Bは、人工心臓弁デバイス1200の他の実施形態を図示する。図67A~67Bをともに参照すると、デバイス1200は、弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成される、半径方向に拡大可能な固着部材1210と、固着部材1210の内部1234に連結される支持弁120及び/または人工弁130とを含むことができる。固着部材1210は、固着部材1210の後尖に面した側1222に第1の縦方向長さLL1を有し、固着部材1210の前尖に面した側1224に第2の縦方向長さLL2を有することができる。図67Aに示されるように、第1の長さLL1は、左心室流出路(LVOT)の閉塞が制限されるように、第2の長さLL2よりも大きい。したがって、一実施形態では、後尖に面した側1222は、僧帽弁の後尖側のより厚い心室壁及び組織に係合することによって、固着部材1210の好適な固定及び支持を提供することができる。同時に、固着部材1210のより短い前尖に面した側1224は、前尖及び/または天然弁の前尖と整合させられた弁輪下組織に係合するのに十分な密閉及び適合性を有することができる。
随意に、デバイス1200はまた、弁尖及び/または弁輪下表面に係合するために固着部材1210に連結される、アーム1250等の1つ以上の安定化要素を含むこともできる。図67Aでは、アーム1250は、固着部材1210の後尖に面した側1222で固着部材1210の下流端1223に連結することができ、後尖の後ろに延在するように構成することができる。一実施形態では、アーム1250は、アーム1250と固着部材1210との間に後尖を挟持するように構成することができる。
図67Bでは、デバイス1200は、弁尖及び/または弁輪下表面に係合するために、固着部材1210に連結される第1及び第2のアーム(1250a及び1250bとして個別に識別される)を含むことができる。例えば、第1のアーム1250aは、拡張部1251aで固着部材1210の前尖に面した側1224において下流端1223に連結することができ、かつ前尖の後ろにさらに延在するように構成することができる。第2のアーム1250bは、拡張部1251bで固着部材1210の後尖に面した側1222の下流端1223に連結し、後尖の後ろに延在するように構成することができる。図示した実施形態では、拡張部1251a及び1251bは、相互に対して変化し、標的組織の生体構造に基づいて選択することができる。示されていない他の実施形態では、アーム1250及び/または固着部材1210は、所望の標的場所でのデバイス1200のさらなる位置付け及び安定化のために、デバイス100に関して上で説明されるような組織係合要素を含むことができる。当業者であれば、弁支持体が左心室流出路(LVOT)を実質的に閉塞しないように、弁支持体120はまた、不均等であり得るか、または異なる長さを有する側面を有することができると認識するであろう。
図68A~68Bは、拡大構成1302で示され、本技術の付加的な実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイス1300の側面図である。人工心臓弁デバイス1300は、図10A~56を参照して上で説明される人工心臓弁デバイス100の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、人工心臓弁デバイス1300は、人工弁130を支持するように構成される弁支持体120と、天然僧帽弁に埋め込まれたときに固着部材110に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される固着部材110とを含む。しかしながら、図68A~68Bに示される実施形態では、デバイス1300はまた、(例えば、LVOTから離れて)天然僧帽弁内または付近のデバイス1300の所望の位置を調整または維持するように構成される、位置付け要素1350も含む。位置付け要素1350は、要素接続点1352において、(図68A~68Bに示されるように)固着部材110の下流部分111、固着部材110の上流部分112、または弁支持体120に連結し、所望の場所で心室組織に係合するように要素接続点1352から外向きに延在することができる。一実施形態では、位置付け要素1350は、縦軸101に対して略横断方向にデバイス1300から外向きに延在することができる。示されていない他の実施形態では、位置付け要素1350は、所望の場所で心室組織に係合するために、縦軸101に対して鈍角または鋭角でデバイス1300から外向きに延在することができる。
図68Aに示される実施形態では、位置付け要素1350は、位置付けアーム1354と、位置付けアーム1354の遠位アーム端1358に連結される組織係合部分1356とを含むことができる。位置付けアーム1354及び組織係合部分1356はともに、位置付け要素1350の遠位端1360が心室壁等の心室組織に係合することができるように、デバイス1300上の要素接続点1352から離れて(例えば、固着部材110から)所望の位置付け距離DP1に延在することができる。いくつかの実施形態では、位置付け距離DP1は、位置付け要素1350が、心室組織に係合した後に、インプラントデバイス1300と心室組織との間の距離に延在するように、埋め込まれたデバイス1300と心室組織との間の距離よりも大きくなるように選択することができる。このようにして、デバイス1300は、僧帽弁内または付近の代替的な位置に位置付け、整合させ、維持することができる。
組織係合部分1356は、組織係合部分1356が組織を貫通または穿刺しないように、非外傷性の様式で、心室組織または他の組織(例えば、弁輪組織、弁尖組織等)に接触するように構成することができる。一実施形態では、組織係合部分1356は、弾性であり得、及び/または組織に係合するときに部分的に変形させることができる形状記憶材料(例えば、ニチノール)で形成することができる。例えば、組織係合部分1356は、移動を伝えること、または天然僧帽弁に対するデバイス1300の所望の位置を変更することなく、例えば、収縮期中に、心室組織(例えば、心室壁)によって生成される力を吸収するように構成することができる。他の実施形態では、位置付け要素1350の遠位端1360は、心室組織に貫通する他の形状または構成を有することができる。デバイス1300は、天然生体構造に対するデバイス1300の所望の位置に位置付け、及び/または維持するためにデバイス1300の周囲に配置される、1つ以上の位置付け要素1350を含むことができる。例えば、デバイス1300と左心室流出路(LVOT)との間の距離を増加させることが望ましくあり得、位置付け要素1350は、心室組織に係合して、LVOTから離れた選択された距離へデバイス1300を押勢するか、または促すように構成することができる。
図68Bに示される実施形態では、位置付け要素1350は、接続点1352においてデバイス1300に連結される、ループ状組織係合部分1358を含むことができる。ループ状組織係合部分1358は、ループ状組織係合部分1358の遠位端1360が心室壁等の心室組織に係合することができるように、デバイス1300上の要素接続点1352から離れた(例えば、固着部材110からの)所望の位置付け距離DP1に延在することができる。ループ状組織係合部分1358は、天然心臓弁に対するデバイス1300の位置へ伝達されないように、または位置を変更することができるように、半径方向に収縮する力または(例えば、左心室内の)心室組織によって生成及び伝達される他の力を吸収するように構成することができる。したがって、デバイス1300は、僧帽弁内または付近の代替的な位置に位置付け、整合させ、維持することができる。
示されていない別の実施形態では、人工心臓弁デバイス100とは別個の位置付け構造を、左心室の中(例えば、LVOTにおいて、またはその付近で)に埋め込むか、または別様に位置付けることができ、固着部材110等のデバイス100の部分に係合するように構成することができる。したがって、そのような位置付け構造は、デバイス100がLVOTを閉塞すること、または部分的に閉塞することを防止するように提供することができる。示されていない一実施形態では、位置付け構造は、心室壁と係合するように拡大し、血液が左心室から大動脈弁を通して自由に流れることを可能にするようにLVOTを障害物がない状態に保つ、ステント様円筒またはケージであり得る。一実施例では、位置付け構造は、デバイス100を送達して埋め込むために使用される同一の送達カテーテルを介して、大動脈及び大動脈弁を通して左心室の中へ、または心尖もしくは左心房を通して挿入される、カテーテルによって送達することができる。
図69A~69Eは、拡大構成1402で示され、本技術の付加的な実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイス1400の断面及び側面図である。人工心臓弁デバイス1400は、図10A~57Eを参照して上で説明される人工心臓弁デバイス100、600の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、人工心臓弁デバイス1400は、人工弁130を支持するように構成される弁支持体120と、天然僧帽弁に埋め込まれたときに固着部材110に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される固着部材110または610とを含む。しかしながら、図69A~69Eに示される実施形態では、デバイス1400はまた、固着部材110の組織係合部分に連結され、心臓弁の弁輪における、またはその付近の天然組織に係合するための付加的な接触面を提供するように構成される、拡大可能な組織係合リング1450も含む。
図69A~69Bに示される一実施形態では、拡大可能な組織係合リング1450は、固着部材110の上流周囲113に連結し、デバイス1400に対して外向き方向に面する組織係合表面1452を有することができる。いくつかの実施形態では、組織係合表面1452は、組織に係合及び/または穿刺するための組織係合要素170を有することができる。図69Cに示される別の実施形態では、拡大可能な組織係合リング1450は、固着部材1410の下流周囲115に連結することができ、デバイス1400に対して外向き方向に面する組織係合表面1452を有することができる。図69Dに示される別の実施形態では、拡大可能な組織係合リング1450は、組織内方成長、血栓を促すように構成し、及び/または固着部材110と組織との間に密閉を提供するように構成することができる、複数の繊維状要素1454(例えば、繊維要素)を含んでもよい。種々の配列では、拡大可能な組織係合リング1450は、種々の展開及び送達構成の間で拡大及び収縮することができる。
図69Eは、拡大可能な組織係合リング1450を有する人工心臓弁デバイス1400の別の実施形態を示す。この実施形態では、デバイス1400は、第1の固着部材110及び第2の固着部材に連結される、弁支持体120を有することができる。一実施形態では、第1の固着部材110は、下流端123において弁支持体120に連結し、外向き及び上流方向に拡張することができる。第2の固着部材1410は、上流端121において弁支持体120に連結し、外向き及び下流方向に拡張することができる。拡大可能な組織係合リング1450は、第1及び第2の固着部材110、1410の遠位部分に連結し、弁輪ANまたは弁尖LFにおける、またはその付近の組織に係合するために、デバイス1500に対して外向き方向に面する組織係合表面1452を有することができる。特定の実施例では、拡大可能な組織係合リング1450は、第1の固着部材110の上流端1461に連結される第1の端部1460を有することができる。拡大可能な組織係合リング1450はまた、第2の固着部材1410の下流端1471に連結される第2の端部1470を有することもできる。組織係合表面1452はまた、標的場所で組織に係合及び/または穿刺するための組織係合要素170を含んでもよい。
図69A~69Eをともに参照すると、固着部材110及び/または1410によって支持される、組織に対する拡大可能な組織係合リング1450の外向き半径方向力は、デバイス1400が上流方向に移動することを防止することができる。加えて、拡大可能な組織係合リング1450は、少なくとも、弁支持体120から分断される固着部材110及び/または1410の部分とともに、心臓弁組織からデバイス1400に及ぼされる、減弱する半径方向圧縮力から、弁支持体120及び弁130を効果的に機械的に隔離することができる。
図70は、本技術の実施形態に従って構成された別の人工心臓弁デバイス1500の断面側面図である。デバイス1500はまた、弁支持体120と、弁支持体120内で保持された人工弁130とを含む、上で説明されるような特徴を含むこともできる。デバイス1500はまた、複数の固着部材(110a~cとして個別に識別される)を含むこともできる。固着部材110a~cは、それぞれの下流周囲115a~cにおいて弁支持体120に連結し、それぞれの上流周囲113a~cが天然弁における可変標的場所で心臓組織に係合することができるように、間隙1515によって分離することができる。随意に、デバイス1500はまた、天然弁における組織にさらに係合するための組織係合特徴170を有するもの等の拡大可能な組織係合リング1450(図69A~D)を含むこともできる。一実施形態では、拡大可能な組織係合リング1450は、1つよりも多くの固着部材の上流周囲(例えば、固着部材110b及び110cの上流周囲113b及び113c)に連結することができる。しかしながら、他の配列では、デバイス1500は、拡大可能な組織係合リング1450を有さないであろう。
図71は、本技術の実施形態に従って構成された、さらに別の人工心臓弁デバイス1600の断面側面図である。デバイス1600はまた、弁支持体120と、弁支持体120内で保持された人工弁130とを含む、上で説明されるような特徴を含むこともできる。デバイス1500はまた、固着部材110を含むこともできる。しかしながら、デバイス1600はまた、天然弁輪におけるまたはその付近の組織にさらに係合するための拡大可能な保持体1610を含むこともできる。一実施形態では、保持体1610は、弁支持体120の上流端121の拡張部であり得るが、別の実施形態では、保持体1610は、弁支持体の上流端121に連結される別個の拡大可能な特徴を含むことができる。いくつかの配列では、保持体1610は、天然弁において生成される力が、保持体1610によって吸収されるか、または別様に伝えられるように、弁支持体120から機械的に隔離することができる。このようにして、保持体1610が、保持体1610に及ぼされる半径方向力によって変形されてもよい一方で、弁支持体は、実質的に未変形のままである。
一実施形態では、示されるように、固着部材110は、保持体1610に係合するように構成することができるが、他の実施形態では、固着部材110は、固着部材110が保持体1610のものとは異なる組織に接触するように、異なって位置付けることができる。例えば、固着部材110は、弁輪下組織に接触するように保持体の半径(図示せず)の外側に延在してもよい。本明細書で開示される人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な保持体1610の構造、送達、及び取付に関する付加的な詳細及び実施形態は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2012年10月19日に出願の「DEVICES,SYSTEMS AND METHODS FOR HEART VALVE REPLACEMENT」と題された国際PCT特許出願第PCT/US2012/61215号(代理人整理番号82829-8005WO00)で見出すことができる。
図72は、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイス1700の等角図である。デバイス1700は、固着部材110と、固着部材110の少なくとも一部分内で半径方向に位置付けられた弁支持体120と、弁支持体120内で保持された人工弁130とを含むことができる。デバイス1700はさらに、固着部材110の内壁に連結される第1の密閉部材部分140aと、弁支持体120の内壁に連結される第2の密閉部材部分140bとを含むことができる。他の実施形態では、第1の密閉部材部分140aは、固着部材110の外壁に連結することができ、及び/または第2の密閉部材部分140bは、弁支持体120の外壁に連結することができる。第1及び第2の密閉部材部分140a及び140bは、単一の密閉部材の一体部分であることができ、または第1及び第2の密閉部材部分140a及び140bは、固着部材110及び弁支持体120に独立して取り付けられる別個の密閉部材であることができる。第1及び第2の密閉部材部分140a及び140bはともに、血液が心房から心室へ流れる際、または逆もまた同様に、血液が弁支持体120の外側に流れることを阻止または防止するように、弁支持体120と固着部材110との間に密閉障壁をいずれにせよ形成するであろう。上で説明されたいくつかの実施形態と同様に、弁支持体120の上流部分121は、固着部材110から半径方向内向きに離間され、弁支持体120の下流部分123は、固着部材110に連結される。
図73は、人工心臓弁デバイス1700の側面図であり、図74は、人工心臓弁デバイス1700の等角図である。固着部材110は、天然心臓弁において固着部材110を組織にしっかりと固定するように構成された固定部分1710と、固着部材110を弁支持体120と一体化させるように構成された一体化領域1720と、固定部分1710と一体化領域1720との間の側部1730とを含むことができる。固定部分1710、一体化領域1720、及び側部1730は、固定部分1710から一体化領域1720まで延在することができる複数の構造要素1711によって形成することができる。一体化領域1720及び側部領域1730は、弁支持体120に対して固定部分1710を位置付け、制御する接続構造を、集合的にまたは個別に画定できる。構造要素1711は、所望の強度及び撓曲を提供する菱形または他の構造構成を形成するように、成形及び接続することができる。構造要素1711は、自己拡大できる、またはバルーンもしくは他の機械的拡大器によって拡大できる、金属、ポリマー、または他の好適な材料から形成される支柱または他の構造特徴であり得る。
固定部分1710のいくつかの実施形態は、天然弁の弁輪における、またはその付近の組織に係合するための大きく略円筒形の表面であり得る、外向き係合表面1712を有する略円筒形固定リングであり得る。例えば、固定部分1710の外面は、縦軸L-Lに少なくとも実質的に平行である方向P-Pに延在できるか、または固定部分1710は、固定リングの全てもしくは一部分が上流方向で漸減するように、傾斜して側部1730から縦軸L-Lに向かって集束することができる。例えば、固定部分1710は、縦軸L-Lに対して0~-30°の角度で、上流方向に縦軸L-Lに向かって内向き(矢印I)に傾斜することができる。他の実施形態では、固定部分1710は、外向き半径方向力を増加させるように0~45°の角度によって縦軸L-Lから外向き(矢印O)に傾斜することができる。いくつかの実施形態では、固定部分1710は、弁支持体120の外向き表面に対して平行であり得る。
固定部分1710の配向が、縦軸L-Lに対して少なくとも略平行であるか、あるいは上流方向で内向きに漸減するとき、固着部材110のいくつかの実施形態は、天然心臓弁の天然弁輪における、またはその下側の埋込部位の組織に対して係合表面1712を押勢するように構成される。固定部分1710は、埋込前の不偏状態でそのような構成を有してもよく、またはそれが、埋め込み部位の組織との係合によって課される変形を通してこの内向きに漸減した構成を成してもよい。例えば、組織との係合時に、固定部分1710が、不偏状態からそれが縦軸L-Lに対して少なくとも実質的に平行に配向されるか、あるいはそれに向かって上流方向で漸減する埋め込まれた配向へ移動するように、固定部分1710は、縦軸L-Lに対して様々な角度にわたって偏向可能であり得る。以下でさらに詳細に説明されるように、固定部分1710の外面の大きく略円筒形の領域、及び方向P-Pの固定部分1710の配向は、天然僧帽弁または他の心臓弁の弁輪及び弁輪下組織への良好な固定を提供する。いくつかの実施形態では、固定部分1710は、10mm~20mmの高さ(Hf)を有し得る。
固着部材110の固定部分1710は、P-P軸に沿って半径方向の不撓性が異なる領域を有してもよい。これらの領域は、固定及び密閉を提供するように、周辺生体構造に一致することができ、またはそれに外向き半径方向力を及ぼすことができる。一実施形態では、半径方向の不撓性は、弁輪の下流である固定部分の領域においてより大きく、弁輪と接触し、その下流である領域においてより小さくてもよい。この組み合わせは、圧縮に抵抗し、デバイスが収縮期圧力勾配を受けるときに生体構造に対するその固定を維持することを確保する、弁輪の下流の領域と、いくらかの圧縮は許容するが(弁輪の拡張を防止する)、デバイスと生体構造との間の密閉を提供するために生体構造と接触する固定部分を保持するのに十分な半径方向外向きの力を維持する、弁輪における領域とを提供するであろう。
半径方向の不撓性は、取付部分1720及び/もしくは側部1730の構造要素の設計、これらの領域と固定部分1710との間の漸減角度もしくは湾曲、またはこれらの特性の組み合わせによって制御されてもよい。固定部分1710の構造要素1711の設計は、異なる半径方向の不撓性の領域を提供するために、P-P軸とともに、異なる特性(壁厚、幅、長さ、角度等)を有してもよい。加えて、固定部分1710は、第1の可撓性及び一体化領域1720を有することができ、及び/または側部1730は、第1の可撓性とは異なる第2の可撓性を有することができる。固定部分1710は、それ自体が、第1の可撓性をもつ下流領域と、第1の可撓性とは異なる第2の可撓性をもつ上流領域とを有することができる。
固定部分1710はさらに、弁輪及び/または弁輪下組織の中へ貫通するように構成される、複数の組織係合要素170を備えることができる。人工心臓弁デバイスは、好ましくは、固定部分1710の天然組織との係合のみによって固着され、心室収縮期中のデバイスに対する血液の大きな力に抵抗する。天然組織に連結される組織係合アームまたはテザー等の固着の他の手段は必要とされない。したがって、組織係合要素170は、弁尖もしくは心臓壁組織を完全に貫通もしくは穿孔すること、または心臓が脈を打つ際に別様に不適当な外傷をもたらすことなく、デバイスの移動に確かに抵抗するように、天然組織に係合するように構成される。心室収縮期中の上流の力は非常に大きいため、組織係合要素170は、好ましくは、天然組織に対して上流方向への固着部材110の移動を阻止するように、少なくとも上流方向に突出するであろう。拡張期中は、下流方向により小さな力がデバイスに及ぼされるため、いくつかの場合、下流突出組織係合要素もまた望ましい場合がある(例えば、僧帽弁の場合上に突出する)。一実施形態では、固定部分1710は、上及び下に突出する組織係合要素の上部列171aと、これもまた上及び下に突出する組織係合要素の第2列171bと、上に突出する組織係合要素の第3列171cとを含むことができる。組織係合要素170は、天然弁輪の組織及び/または天然弁輪下組織の中を貫通する、または別様に掴む、鉤、尖叉、ピン、または他の要素であり得る。いくつかの実施形態では、組織係合要素170は、およそ0.5~5mmの距離で、固定部分1710の構造要素1711から半径方向外向きに突出する。
固着部材110の一体化領域1720は、構造要素1711の下部分から形成することができる。図73及び74に図示される実施形態では、一体化領域1720は、複数の菱形構造1722及び垂直部材1724を有する。図示した実施形態では、垂直部材1724のそれぞれは、構造要素1711のうちの2つの一部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、固着部材110及び弁支持体120は、別個の支柱から作製され、一体化領域1720は、弁支持体120に取り付けられた固着部材110の取付部分または締結部分である。例えば、固着部材110及び弁支持体120が別個の構成要素であるとき、一体化領域1720は、複数の接続点1726を含む取付部分であることができ、ここで一体化領域1720は弁支持体120に連結される。一実施形態では、固着部材110の一体化領域1720は、ニチノールのリベットを使用して、複数(例えば12)の接続点1726において弁支持体120と接続できる。他の実施形態では、支持体120を一体化領域1720に固定するために、繊条、接着剤、ハンダ、レーザ溶接、金属ボルト、もしくは他の機械的特徴、または他の種類の締結具を使用できる。したがって、一体化領域1720は、締結部分であり得る。
他の実施形態では、固着部材110及び弁支持体120は、共通の支柱から一体的にともに形成されるか、またはいくつかの支柱を、固着部材110及び弁支持体120の両方を伴って一体的に形成することができる。これらの実施形態では、一体化領域1720は、別様にともに締結されることなく、固着部材110から弁支持体120に移行する構造である。例えば、一体化領域1720は、円筒形の弁支持体120と、弁支持体120から離れて突出する固着部材110の部分との間のそのような支柱の、湾曲した、または別様に屈曲した部分であり得る。
図72~74に示される実施形態では、側部1730は、一体化領域1720の上部領域と、固定部分1710の下部領域との間に延在する。側部1730は、例えば、一体化領域1720から固定部分1710まで横方向外向きに延在する。一実施形態では、側部1720は、構造要素1711の一部分から形成された横方向セクション1733(図74)を有する複数のコネクタ1732を含む。コネクタ1732の横方向セクション1733は、横方向に延在し、これはいくつかの実施形態では、外向きに真っ直ぐ、円錐、湾曲、または外向きに傾斜(例えば裾広)な構成で、縦軸L-Lに対して横断方向である。加えて、「横断方向」は、縦軸L-Lに対して任意の非平行な方向を含む。コネクタ1732は、縦軸L-Lに対して略平行な、またはそれに向かって内向きに傾く、固定部分1710の配向から縦軸L-Lに対して横断的なコネクタ1732の横方向セクション1733まで湾曲する第1の移行区域1734を有し得る。多くの実施形態では、コネクタ1732の横方向セクション1733は、縦軸L-Lに対してほぼ垂直または垂直である。コネクタ1732はまた、コネクタ1732の横方向セクション1733から、縦軸L-Lに対して少なくとも略平行に延在する一体化領域1720の配向まで湾曲する、第2の移行区域1736も有することができる(図73)。図73に示される実施形態では、第1の移行区域1734は、横方向セクション1733から固定部分1710の係合表面1712の配向までの、およそ60°~160°(例えば、およそ90°)の角度の、内向き及び/または上への屈曲である。第2の移行区域1736は、コネクタ1732の横方向セクション1733から一体化領域1720までの、75°~160°(例えば、およそ90°)の範囲の角度の、下流及び/または下への屈曲であり得る。より小さい角度はS字形をもたらし、より大きな角度は、図75に示されるような漸減する移行をもたらす。したがって、第1の移行区域1734は、縦軸L-Lに対して凹状の湾曲であることができ、同様に第2の移行区域1736は、縦軸L-Lに対して凸状の湾曲であることができる。第1の移行区域1734及び第2の移行区域1736の湾曲は、固定部分1710が、天然心臓弁の弁輪及び弁尖に大きな係合表面1712が接触することを提示して、デバイス1700の良好な固定を提供することを可能にする。コネクタ1732はまた、固定部分1710が天然弁輪の形状に基づいて撓曲することと、固定部分1710のそのような撓みの全ての力が、人工弁130が取り付けられる弁支持体120の上流部分121に伝達されない、左心室の収縮とを可能にする。したがって、デバイス1700は、人工弁130の人工葉が、固着部材110が天然僧帽弁において埋め込まれた後、及び左心室収縮中の逆流を阻止するために十分な相互の接触を維持するように、天然組織への増進された固定と、固定部分1710と弁支持体120の上流部分121との間の十分な機械的な隔離とを提供する。
いくつかの実施形態では、上で説明されたように、一体化領域1720及び側部1730は、固着部材110及び弁支持体120を相互接続する接続構造を、個別にまたは集合的に画定できる。接続構造は、それぞれが弁支持体120に接続される、またはそれと一体である内端と、固着部材110に接続される、またはそれと一体である外端とを有する、複数の支柱を備えることができる。例えば、接続構造は、弁支持体120から上流方向に外向きに広がる裾広部分であることができ、選択された実施形態では、固着部材が埋込部位にあるとき、接続構造は、天然弁輪の下流に全体的に配置されるように構成することができる。接続構造は、固着部材に接続される上流端を有することができ、それにより固着部材が埋込部位にあるとき、上流端が天然弁輪の下側に位置付けられる。
したがって、固着部材110は固定部分1710及び接続構造1720/1730を含むことができ、接続構造1720/1730は、弁支持体120に接続される内端と、固定部分1710に接続される外端と、弁支持体120から外向きに広がる、内端と外端との間の中間部分とを有することができる。中間部分は、例えば、上流方向に外向きに広がることができる。
固定部分1710は、固定部分1710の内向き表面を覆うスカートを有することができ、付加的な実施形態では、スカートはさらに、接続構造の内向き側面を覆うことができる。加えて、デバイス1700はさらに、弁支持体の周囲に延在する管状弁カバーを含むことができ、スカートは管状弁カバーに取り付けることができる。付加的な実施形態では、弁カバーは、弁支持体の内向き表面上に配置される。
図75は、人工心臓弁デバイス1700の別の実施形態の側面図であり、図76は、図75に示される人工心臓弁デバイス1700の底面図である。この実施形態では、側部1730のコネクタ1732は、固定部分1710と一体化領域1720との間に延在する、個別構造要素1711の横方向に延在する部分によって画定される。図76を参照すると、各コネクタ1732は、図72~74に示されるような2つの構造要素1711とは対照的に、構造要素1711のうちの単一の1つを含む。加えて、コネクタ1732は、デバイス1700の縦軸L-Lに対して非垂直な角度で傾斜する。それでもなお、コネクタ1732は、コネクタ1732から固定部分1710まで屈曲する第1の移行1734と、コネクタ1732から一体化領域1720まで屈曲する第2の移行区域1736とをそれぞれ含む。
図77は、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイス1700の側面図である。この実施形態では、デバイス1700は、固着部材110の固定部分1710の周縁1714の周囲の第1の密閉部材部分140aの一部分を包み込む。周縁1714上に巻かれる第1の密閉部分140aのセクションは、埋込及び使用中に左心房の蓋部を保護するように非外傷性の縁を提供する。
図78は、本技術のさらに別の実施形態による、人工心臓弁デバイス1700の等角図である。この実施形態では、弁ステント120の内部上の第2の密閉部分140bの材料は、弁支持体120の周囲で相互から離間する開口部142a~142cを有する。開口部142a~142cは、人工弁130が第2の密閉部分140bに取り付けられる交連間で離間される。動作中、開口領域142a~142cが、デバイス1700の心房側の静的血液量を減少させて、フィブリン及び血栓の堆積を低減し、より良好な流れ動態を提供することが予期される。
図79A及び79Bは、本技術による人工心臓弁デバイス1700を埋め込むための方法の実施形態を示す、人工心臓弁デバイス1700の実施形態の、心臓(H)の部分断面図及び側面図である。図79Aを参照すると、デバイス1700は、送達デバイス1800に取り付けられ(概略的に示される)、薄型構成で経心尖アプローチを介して心臓(H)の中に挿入される(図示せず)。デバイス1700は、天然僧帽弁(MV)を通って、上に挿入される(矢印S)。デバイス1700の固定部分1710は、手技のこの段階において左心房(LA)中に位置づけることができ、次いで、送達デバイス1800の外側部材1810と内側部材1820との間の相対運動が、送達デバイス1800から固定部分1710を解放し得る。次いで、固定部分1710は、一体化領域1720が送達デバイス1800に取り付けられたままである部分的展開状態まで、自己拡大、またはバルーンもしくは他の機械的拡大器を使用して拡大できる。図79Aに示される部分的展開状態では、固定部分は、僧帽弁(MV)の弁輪(AN)によって画定される開口部よりも大きい直径を有することができる。選択された実施形態では、デバイス1700の固定部分1710の外経は、僧帽弁(MV)の天然弁輪(AN)のサイズ及び形状に応じて、およそ38mm~56mmの間であり得る。他のサイズが患者の特定の生体構造に応じて使用され得ることが理解されるであろう。
図79Bは、天然僧帽弁(MV)の弁輪(AN)に対して所望の場所に位置付けられた後の人工心臓弁デバイス1700を図示する。デバイス1700は、固定部分1710が弁輪(AN)に接触し、それにしっかりと係合するまで、送達デバイス1800(図79A)を下に(矢印W)移動させることによって、図79Bに示される位置に到達する。いくつかの実施形態では、固定部分1710の周縁1714は、弁輪(AN)の上にわずかに突出することができる。したがって、周縁1714は、そのような実施形態では、心房(LA)の前尖(AL)側において、天然弁輪(AN)の上側およそ1~5mmに位置付けることができる。他の実施形態では、固定部分1710の周縁1714は、固定部分1710が少なくとも弁輪(AN)に、ならびに潜在的には僧帽弁(ML)の前尖(AL)及び/または後尖(PL)の一部分に接触するように、弁輪(AN)の上部周縁において、またはその下側に位置付けることができる。さらなる他の実施形態では、固定部分1710の周縁1714は、弁輪(AN)の下側の弁輪下(SA)の場所において位置付けることができる(図79Bには示されない)。デバイス1700が僧帽弁(MV)の弁輪(AN)に対して所望の場所に位置付けられた後に、送達デバイス1800(図79A)は、下に引き出され(図79Aの矢印W)、患者から除去される。
図79Bに示される実施形態では、デバイス1700は、周縁1714が天然弁輪(AN)のおよそ1~5mm上側にあるように埋め込まれる。拡大構成における固定部分1710の直径は天然弁輪(AN)の直径よりも大きいため、固定部分1710の外面及び組織係合部材170は、僧帽弁(MV)に対して固着部材110をしっかりと保つ。
図79Cは、固定部分1710の周縁1714が天然弁輪(AN)の一部分(AN1)の下で外向きに押勢するように、図79Bに示される位置よりもわずかに低い場所に埋め込まれたデバイス1700を示す、心臓(H)の解剖学的断面図である。デバイス1700はまた、図79Cに示される高度よりも低く埋め込むこともできる。例えば、固定部分1710の周縁1714は、弁輪(AN)の底部、または弁輪下空間(SA)における高度E-Eに位置付けることができる。これらの実施形態の全てでは、周縁1714上の天然弁輪(AN)の部分がさらに、デバイス1700が心室収縮期中に左心房(LA)の中に上向きに移動することを制限する。
図79Dは、図79Bもしくは79Cで上に示されるような、または多くの他の用途でも示されるような、デバイス1700を埋め込む態様を示す、概略図である。図79Dを参照すると、図79Dにおいては横方向に湾曲する接続構造1730aであり得る、弁支持体120から固定部分1710まで延在する固着部材110の外向き突出部分は、図79B及び79Cに示されるように、好ましくは、天然弁輪(AN)の下流に全体的に位置する。例えば、接続構造1730aと固定部分1710との間の移行区域1734は、固定部分1710の下流端を弁輪(AN)の下側で外向きに押動または駆動するように、僧帽弁輪(AN)の下側部分(LMV)の下に配置することができる。これは、人工装具1700に対する心室収縮期中の上流の力が、結果として生じる弁輪(AN)に対する上向きの力と、弁輪(AN)に対する固定部分1710の、固定部分1710と弁輪(AN)との間の摩擦の、及び天然組織との組織係合要素170の係合の外向き応力との両方によって抵抗されるように、固着部材110が天然弁輪の下流表面上の組織に係合することを可能にする。
固着部材110及び弁支持体120は、弁支持体120の下流端が天然弁輪(AN)の下流26mm以下に配置されるように構成することができる。加えて、固定部分1710は、係合表面が少なくとも約10~20mmの幅(例えば、高さ)を有するように構成することができる。加えて、接続構造は、弁支持体120の端部から固定部分1710の外端まで下流に約0~15mm以下の高さ(図73のHi)を有することができる。デバイス1700の総高(Ht、図73)はおよそ16~26mmであり得る。
弁輪(AN)において、またはその付近に位置する組織に面する、係合表面1712(図73)の大きな接触領域は、デバイス1700を所望の場所に保つために非常に良好な固定を提供し、固定部分1710の周囲の組織係合要素170はさらに、デバイス1700の弁輪(AN)の領域への固定を増進する。コネクタ1732の横断配向はさらに、弁輪(AN)に対する十分な外向きの力を及ぼすような固定部分1710の有意な外向き支持を提供し、さらにコネクタ1732の配向及び構成は、弁支持体(図79Bには示されない)を一体化領域1720の終端に取り付けることとともに、弁支持体の上流部分を固定部分1710によって及ぼされる力から隔離して、埋込後の僧帽弁(MV)の不規則な形状及び運動に適合する。また、上に述べたように、固着部材はさらに、図79B~79Dを参照して上で説明されるような固定部分1710及び組織係合要素によって及ぼされる摩擦及び半径方向フープ力とともに、天然弁輪(AN)の底部または下側部分に対して上向きに圧縮することによって、デバイス1700を生体構造に固定する。デバイス1700の試験はさらに、組織が固定部分1710中及びその周囲で成長し、さらにデバイス1700を弁輪(AN)に対して所望の場所に固定することを示す。
図80A~80Pは、本技術による、人工心臓弁デバイス1700のいくつかの付加的な実施形態の概略断面図であり、図80Qはその等角図である。参照のように、番号は、図72~80Qの類似または同一の構成要素を指す。図80Aに図示されたデバイス1700の実施形態は、図72~79Dを参照して上で説明された実施形態のうちのいくつかを表す。この実施形態では、コネクタ1732は、デバイス1700の縦方向寸法L-Lに対して30°~90°の角度αで延在する。角度αが90度に近付くにつれ、固定部分1710から弁支持体120への負荷は、90度未満の角度に対して増加する。したがって、より大きな漸減(例えば、より小さな角度α)は、弁支持体120及び人工弁130に伝達される負荷を低減する。
図80Bは、コネクタ1732がS字形を有するデバイス1700の実施形態を図示する。S字形コネクタ1732を有する1つの利点は、デバイス1700が左心室中に突き出し、LVOTを通る流れを妨げる程度を軽減するように、弁支持体120を短くできることである。上に述べたように、デバイス1700の下端は、心室収縮中にLVOTを通る流れに干渉し得る。
図80Cは、固定部分1710が弁支持体120の下流部分123の周囲に配置され、一体化領域1720が弁支持体120の上流部分121に取り付けられるように、固着部材110が反転する、デバイス1700の実施形態を図示する。デバイス1700のこの実施形態は、弁支持体120を左心室ではなく、左心房のさらに中に位置付ける。
図80Dは、固定部分1710が下向きに配向されて、弁支持体1720の下流部分の高度において位置付けられる、デバイス1700の実施形態を図示する。この実施形態は、固定部分1710から弁支持体120への負荷の伝達を阻止することが予期され、それはまた、弁支持体120が左心室中に突き出ることを低減するように弁支持体120を位置付ける。
図80Eは、固定部分1710の異なる領域に対して弁支持体120がオフセットする、デバイス1700の実施形態を図示する。このデバイスでは、固着部材110は、デバイス1700の1つの側において固定部分1710と弁支持体120との間に第1のコネクタ1732aと、デバイス1700の別の側において弁支持体120と固定部分1710との間に第2のコネクタ1732bとを含むことができる。デバイスの別の側に比べてデバイスの1つの側において弁支持体120が固定部分1710により近くなるように、第1のコネクタ1732aは、第2のコネクタ1732bよりも短くあり得る。図80Eに図示されるデバイス1700の実施形態は、有利なことに、心室収縮中の血流への干渉を軽減するように、弁支持体120及び人工弁130をLVOTからさらに離れて位置付け得る。加えて、図80Eに示されるデバイス1700の実施形態は、僧帽弁輪の非円形形状及び鞍の外形に適合するように、より均一な負荷分布を提供することが予期される。
図80Fは、固着部材110の一体化領域1720が、弁支持体120の端部ではなく、弁支持体120の中間部分に取り付けられる、デバイス1700の実施形態を図示する。図80Fに図示されたデバイス1700の実施形態は、固定部分1710と弁機能との間の相互作用を低減し得る。
図80Gは、弁支持体120が、交連取付構造の下流端から半径方向内向きに突出する拡張部1728を有する交連取付構造128を有する、デバイス1700の別の実施形態を図示する。拡張部1728は、デバイス1700の中心軸に向かって所望の角度で内向きに集束することができる。一実施形態では、拡張部1728の角度は、拡張部1728が配置中弁の直径を最小限化するように直線化できるように、適切な最小限必要な曲げ半径を維持する。固着部材110の一体化領域1720は、拡張部1728に取り付けることができる。図80Gに図示されたデバイス1700の実施形態は、コネクタ1732にとって最小限必要な曲げ半径を増加させ、所与の漸減角度に関する固定部分1710の高さを低減させることが予期される。内向き拡張部1728はまた、弁組織の交連にとって有利な付着点も提供し得る。この付着点をさらに心室の中へ、及び弁の中心線に向かってさらに移動することによって、弁組織への全体的な応力は低減されるであろう。弁尖の遊離縁が交連よりもわずかに短い場合、遊離縁は開放位置においてこれらの拡張部1728に触れないであろう。それ故に、血流は阻害されず、弁尖は繰り返し拡張部に触れることによって損傷を受けることはないであろう。
図80Hは、本技術による、人工心臓弁1700の別の実施形態の断面図である。この実施形態では、側部1730は、弁支持体120の下流端123から連続的に外向きに裾広な形状を有し、一体化領域1720は、固着部材110が弁支持体120に取り付けられる側部1730の終端にある。側部1730の第1の移行区域1732は、固定部分1710が天然僧帽弁の組織に面するように構成されるように、側部1730から固定部分1710の配向まで上に屈曲する。したがって、この実施形態は、裾広で横方向に延在する側部1730を示す。
図80Iは、本技術による、人工心臓弁1700の別の実施形態の断面図である。この実施形態では、側部1730は、弁支持体120の下流端123から外向きに突出する円錐形を有し、一体化領域1720は、固着部材110が弁支持体120に取り付けられる側部1730の終端にある。側部1730の第1の移行区域1732は、固定部分1710が天然僧帽弁の組織に面するように構成されるように、側部1730から固定部分1710の配向まで上に屈曲する。したがって、この実施形態は、円錐状の横方向に延在する側部1730を示す。
図80Jは、本技術による、人工心臓弁1700の別の実施形態の断面図である。この実施形態では、側部1730は、下流端から見た場合わずかに凸状であるか、または上流端から見た場合凹状であるアームを有する。この実施形態では、弁及び弁支持体に対する収縮期血圧は、アームのそれぞれに圧縮カラム負荷を付与する。アームのわずかに曲がった形状によって、これはアームに下流方向へのわずかな曲げ負荷を付与する。同時に、アーム自体、及び取り付けられた密閉部分に対する収縮期血圧は、アームに上流方向へのわずかな曲げ負荷を付与する。アームの曲率を最適化することにより、血圧によるアームへの正味の曲げ負荷を最小限化または排除することができる。
図80Kは、本技術による、人工心臓弁1700の別の実施形態の断面図である。この実施形態では、側部1730は、弁支持体120の上流端121における、またはその付近の場所から連続的に外向きに裾広な形状を有し、一体化領域1720は、固着部材110が弁支持体120に取り付けられる側部1730の頂点にある。側部1730の第1の移行区域1732は、固定部分1710が天然僧帽弁の組織に面するように構成されるように、側部1730から固定部分1710の配向まで屈曲する。したがって、この実施形態は、反転した、裾広で横方向に延在する側部1730を示す。側部1730は、固定部分1710を伴って一体的に形成されるか、または溶接もしくは他の好適な手段によって固定部分1710に取り付けられる別個の構造であってもよい。後者の場合、移行区域1732は、側部1730の先端が上流方向を指すように上向きに屈曲するか、側部1730の先端が下流方向を指すように下向きに屈曲するかのいずれでもよい。
図80L及び80Mは、本技術による、人工心臓弁1700の付加的な実施形態の断面図である。これらの実施形態では、側部1730は、弁支持体120の中央セクション118から(図80L)、または弁支持体120の上流端121から(図80M)、半径方向に延在する。他の実施形態では、側部1730は、弁支持体120の下流端における、またはその付近の尖端から半径方向に延在してもよい。図80L及び80Mを参照すると、側部1730は、蛇状もしくはジグザグ断面、ならびに/または弁支持体120に向かう、及びそれから離れる固定部分1710の半径方向移動を許容するように半径方向に圧縮可能もしくは偏向可能であり、固定部分1710を弁支持体120から半径方向に離れて付勢するよう弾性である、他の構成を有することができる。
図80Nは、固定部分1710が弁支持体120の下流部分123の周囲に配置され、一体化領域1720が弁支持体120の上流部分121に取り付けられるように、固着部材110が反転する、人工心臓弁1700の別の実施形態の断面図である。この実施形態では、側部1730は、弁支持体120の上流端121における、またはその付近の尖端から連続的に外向きに裾広な形状を有する。デバイス1700のこの実施形態は、弁支持体120を左心室ではなく、左心房のさらに中に位置付ける。
図80Oは、固着部材110の固定部分1710が、弁支持体120の中央セクション118の周囲に配置される、心臓弁1700の別の実施形態の断面図である。この実施形態では、固着部材110は、弁支持体120の上流端121における、またはその付近の尖端から連続的に外向きに裾広な形状を有する第1の側部1730aと、弁支持体120の下流端123における、またはその付近の尖端から連続的に外向きに裾広な形状を有する第2の側部1730bとによって、弁支持体に取り付けられる。
図80Pは、固着部材110の固定部分1710が、軸方向または縦方向に弁支持体120と実質的に同一の広がりをもつようにサイズ調整される、心臓弁1700の別の実施形態の断面図である。この実施形態では、固着部材110は、弁支持体118の中央セクション118に位置する一体化領域1720から延在する第1の側部1730aによって、ならびに中央セクション118における一体化領域1720から延在する第2の側部1730bによって、弁支持体120に取り付けられる。第1及び第2の側部、1730a、1730bは、相互に、及び/または固定部分1710とともに、一体的に形成されてもよい。
図80Qは、本技術による、人工心臓弁デバイス1700の別の実施形態の等角図である。この実施形態では、固定部分1710は、第1の移行区域1734から下流に延在する拡張部1713を含む。拡張部1713は、移行区域1734が固定部分1710に入る領域を越えて下流に突出する、選択された構造要素1711の拡張部によって形成することができる。拡張部1713は固定部分1710の高さを増加させ、さらに固定部分1710の下流部分における密閉及び内方成長を増進する。例えば、拡張部1713は、僧帽弁デバイスの固定部分1710の心室部分において内方成長を増進することができる。
図81Aは、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイス1900を概略的に示す断面図である。デバイス1900は、固着部材110と、弁支持体120と、人工弁130とを含むことができる。デバイス1900はさらに、固着部材110及び弁支持体120のうちの1つまたは両方に取り付けられた区画1910を含むことができる。区画1910は、固着部材110と弁支持体120との間に適合するように構成することができる。区画1920は、固着部材110の円周の一部分のみの周囲で延在することができ、または区画1910は、固着部材110の全体的な内周の周囲で延在することができる。区画1910はさらに、左心房に向かって突出して、薄型構成に納まるためのより大きな空間を提供する、第2の部分1910aを含むことができる。
一実施形態では、区画1910は、繊維、メッシュ、編組、多孔質材料、または材料1920を含有できる他の好適な材料から作製される。繊維、メッシュ、または他の材料は、埋込後の最初の期間中それを通る血流を最小限化するように1つの端部上で最適化され得る一方で、もう一方の端部は、より積極的な組織内方成長及び区画1910の血管新生までも可能にするように、より開放的であり得る。材料1920は、例えば、凝固を阻止または防止する徐放性の薬剤(例えば、クロピドグレルまたはアスピリン)、治癒剤(アスコルビン酸)、または組織及び成長を推進する他の薬剤であり得る。材料1920は代替として、小球、不規則なかみ合った繊維、発泡体、膨潤性ヒドロゲル等の構造的充填要素を、抗凝固剤及び治癒剤の代わりに、またはそれらに加えてのいずれかで、含むことができる。これらの小球、繊維、発泡体等は、それらの圧縮性に関して最適化され得る。このようにして、構造的充填要素は、固着部材110と弁支持体120との間に、固着部材110から弁支持体120への力を完全に伝達することなく、構造支持を提供することができる。区画1910は、例えば留め金、繊条結合、または他の好適な締結具等の締結具1930によって、固着部材110または弁支持体120に取り付けることができる。材料1920は、デバイスが、例えば区画1910から送達システムの近位端まで延在する管を介して患者の中に展開された後、デバイスの中に導入されてもよい。いったん区画1910が材料1920で充填されると、管は、区画からの材料1920の漏出を防止する自己密閉弁を伴って、区画1910から引き出すことができる。
図81Bは、区画1910が複数の別個のセル1912(セル1912a~1912gとして個別に識別される)を有する実施形態を図示する、人工心臓弁デバイス1900の上面図である。セル1912のそれぞれは、同一の材料1920(図81A)を含むことができ、またはいくつかのセルは、異なる材料1920を含むことができる。例えば、セル1912a、1912c、1912e、及び1912gは、抗凝固剤を含むことができ、セル1912b、1912d、及び1912fは、結合組織の治癒を推進するような治癒剤を含むことができる。
図82Aは、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイス2000の等角図であり、図82Bは、図20Aの20B-20B線によるデバイス2000の断面図である。デバイス2000は、上に説明されたデバイス1700の固定部分1710に類似する、フレーム及び複数の組織係合要素170を有する固着部材110を含むことができる。デバイス2000はさらに、固着部材110を弁支持体120に可撓的に連結する1つ以上の繊維またはウェブ2010を含むことができる。ウェブ2010は、例えば、織物、ポリマー、金属、天然繊維、または他の好適な材料から形成される、繊維、メッシュ、編組、シート、または他の材料であり得る。これらのウェブは、種々の配向を有してもよい。
図82Bを参照すると、ウェブ2010は、弁支持体120の上流端に第1の部分2012と、弁支持体120の下流端に第2の部分2014と、締結具2020によって固着部材110及び弁支持体120に取り付けられた側部2016とを含むことができる。図82Bに図示されたウェブ2010は、徐放性の薬剤及び/または上に説明されるような充填要素等の材料で充填することができる、封入された区画2018を形成することができる。締結具2020は、縫合糸、他の繊条結合、留め金、リベット、または他の好適な締結手段であり得る。付加的な繊維またはウェブは、固着部材の下流端から弁支持体の上流端まで、固着部材の上流端から弁支持体の下流端まで、または他の方向に延在してもよい。代替として、垂直な半径方向に配向された平面ウェブは、固着部材から弁支持体まで延在してもよい。
図82A及び82Bに図示されたデバイス2000は、金属間接点が存在せず、縫合形式締結具2020がさらなる安定性及び潜在的に良好な疲労寿命を付加するため、固着部材110と弁支持体120との間に非常に良好な力の隔離を提供し得る。デバイス2000は、ウェブ2010に使用することができる強固な材料(例えば、Kevlar(登録商標)、E.I.du Pont de Nemours and Companyの商標)と、ウェブ2010の可撓性とによって、疲労寿命をさらに改善する潜在性を有する。
図83は、本技術の別の実施形態による、デバイス2000の概略断面図である。この実施形態では、ウェブ2010は、固着部材110及び弁支持体120の上流端の間に上部分を有し、側部は、締結具2020によって固着部材110及び弁支持体120に連結される。この実施形態では、デバイス2000はさらに、固着部材110の下流端、及び弁支持体120の中間領域に取り付けられたテザー2040を含む。
図84A~84Cは、本技術による、人工心臓弁デバイス1700、1900、及び2000のいくつかの実施形態の態様を図示する概略断面図である。図84Aを参照すると、デバイス1700は、固定部分1710が、デバイス1700の縦軸から外向きに離れた45°の角度で側部1730(例えば、接続構造)から、デバイスの縦軸に向かって内向きに-30°の角度まで延在する、完全に拡大した状態を有し得る。固定部分1710は、図84Aに示される実施形態では、デバイスの縦軸に対して略平行に延在する。デバイス1700は、身体の外で、またはデバイス1700が天然弁に埋め込まれた後に、そのような完全に拡大した状態を有し得る。しかしながら、固定部分1710は、天然弁の場所の組織の角度を成す配向にも少なくとも部分的に適合するように、固定部分1710が天然弁の場所の形状に少なくとも部分的に適合し、内向きまたは外向きに偏向する(矢印D)ように、埋込時に撓曲または別様に変形することができる。例えば、図84Bは、天然弁輪(AN)の下側の組織の角度に適合するような固定部分1710の内向きな偏向を示し、図84Cは、天然弁輪(AN)のもう1つの側の組織の角度に適合するような固定部分1710の外向きな偏向を示す。そのような二重の適合性は、デバイスの天然組織への固定を増進する。加えて、固定部分1710は、図84Aにおいて実線で示されるように、固定部分1710の中央セクションにおいて側部1730に対して偏向する必要はないが、むしろ固定部分1710は、図84Aにおいて破線で示される横方向セクションの移行領域1730’及び1730’’によって示されるような、固定部分の端部の、またはその付近の領域の周辺で偏向することができる。
図85A~85Cは、側部1730に対する固定部分1710の偏向の選択された実施形態を図示する側面図である。図85Aを参照すると、固定部分1710は、丁番1737によって側部1730の外端に接続することができる。図85Bに示される実施形態では、固定部分1710は、側部1730が固定部分1710に対して屈曲する第1の移行区域1734の周辺で偏向する。図85Cは、固定部分1710が、例えばピン、ボルト、リベット、または他の締結具等の機械的締結具1738によって側部1730に取り付けられる実施形態を示す。これらの実施形態のいずれにおいても、固定部材は、埋込部位の組織に応じて、枢動、回転、撓曲、または別様に内向き配向1710’に、もしくは外向き配向1710’’に偏向することができる。
図86A~図107Bは、本技術の付加的な実施形態による、拡張部材2110を有する人工心臓弁デバイス2100を図示する。図10A~85Cに関して上で論議されるデバイスと同様に、デバイス2100は、人工弁130(例えば図86B)が連結される内部134を有する、弁支持体120(例えば図86B)等の特徴と、埋め込まれたときに固着部材110に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される、拡大可能な固着部材110(例えば、管状固定フレームを有する固定部材)とを含む。図86Aは、図72~85Cを参照して上で説明される人工心臓弁デバイス1700の特徴に概して類似する特徴を含む、デバイス2100の側面図であり、図86Bはその等角図である。デバイス1700と同様に、上流方向へのデバイス2100の移動を防止するよう、固着部材110の固定部分1710が弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成されるように、固着部材110は、弁支持体120に連結することができる。
図86A及び86Bに図示される実施形態では、デバイス2100はまた、固着部材110から(例えば、固着部材110の固定部分1710から)延在する拡張部材2110も含む。拡張部材2110は、縁部、フランジ、ショルダ、または固着部材の固定部分1710から突出する、もしくはそれに繋留される拡大リングであり得る。一実施形態では、拡張部材2110は、天然弁輪の上流に位置付けられ、天然弁輪の上流の組織に係合するように構成される一方で、固着部材110は、弁輪または弁尖における、またはその付近の組織に係合するように構成される。いくつかの配列では、拡張部材2110は、(a)デバイス2100が、天然弁内に正確に据え付けられて、周辺組織による適正な係合及び保持を確保するように、天然弁領域内にデバイス2100を整合及び位置付け、ならびに/または(b)X線透視法、心エコー法、もしくは他の可視化方法を使用して可視化することができる様式で、天然組織との係合に応答して偏向、変形、もしくは別様に移動することによる埋込中、生体構造に対するデバイスの位置の可視化及び検出を支援し、ならびに/または(c)患者の心臓中の人工弁としての運転使用中に、デバイス2100が下流方向に移動することを阻止するように、上流心腔(例えば、左心房)の組織に係合するように構成される自己拡大保持体である。
図86Aを参照すると、拡張部材2110は、デバイス2100が拡大構成2102であるとき、固着部材110の上流部分112(例えば、固定部分1710)の外周150の断面横断寸法D1よりも大きい、断面横断寸法D4を伴う外周2112を有することができる。他の実施形態では、拡張部材2110は、少なくとも天然弁輪の長軸55と同じくらいの大きさか、またはそれよりもさらに大きい、断面横断寸法D4を有してもよい。いくつかの実施形態では、拡張部材2110の外周2112は、拡張部材2110が弁輪の上側で展開されるときに、心房の壁によって拡張部材2110が上流方向に偏向されるように、弁輪上表面よりも大きい断面横断寸法D4を有する。いくつかの実施形態では、完全に拡大した、未変形条件のときに、拡張部材2110の断面横断寸法D4は、固着部材110の固定部分1710の断面寸法D1のおよそ1.2~3倍であり得る。具体的実施例では、完全に拡大した、不偏の、未変形条件の拡張部材2110は、成人患者については約40mm~約150mmの、または約40mm~約80mmの範囲内の横断寸法D4を有してもよい。いくつかの実施形態では、拡張部材2110は、横断/水平平面において非円形(例えば、卵形またはD字形)であり得、そのような実施形態では、約40~約150mmの、好ましくは約40~約80mmの範囲内の外経を有してもよく、外経はその内径の約1.2~2倍である。また、本技術の態様によれば、拡張部材2110は、種々の天然弁サイズに適合するように、複数の横断寸法及び/または形状で提供されてもよく、各患者にとって適切なサイズ及び形状を外科医が選択することを可能にする。
いくつかの実施形態では、拡張部材2110は、天然弁輪の上流の組織に係合することによって、天然弁輪に対してデバイス2100を整合するように構成することができる。デバイスが送達カテーテル(図示せず)を介して標的部位に送達されると、以下でさらに詳細に説明されるように、拡張部材2110は、固着110部材及び弁支持体が弁輪において、またはその付近で送達カテーテルから解放される前に、心房腔内で拡大する。これらの実施形態では、拡張部材2110は、デバイス2100の残部(例えば、固着部材110及び弁支持体120)が送達デバイスから解放される前に、弁輪上表面上に静置、または弁輪上表面に対して引き下ろされる。拡張部材2110が弁輪上表面に係合しているときに、固定部分1710が天然弁に対して縦方向に適正に整合し、それにより固定部分1710が所望の弁輪及び/または弁尖組織に係合するように、デバイス2100の総高(Ht、図86A)及び/または固定部分1710の固定高さ(Hf、図86A)を構成することができる。他の実施形態では、拡張部材2110は、それが心房壁または弁輪上表面に係合するときに偏向または変形するように構成される一方で、デバイス2100の残部は、下流方向に前進させられる。偏向または変形の程度は、天然弁輪に対する固定部分1710の縦方向位置と相互に関連があり、それによりX線透視法、心エコー法、または他の手段を使用する拡張部材2110の可視化によって、デバイス2100の位置を完全な展開の前に正確に決定し得る。
いくつかの実施例では、拡張部材2110は、固着部材110の上流部分112(例えば、上部周縁または上流周囲113)に直接的または間接的のいずれかで連結され、デバイス2100が拡大構成2102のときに固着部材110に対して非同軸(または横断)方向に突出する、材料の拡張部であり得る。天然僧帽弁における展開構成2104(例えば、図89Bを参照)では、拡張部材2110は、弁輪ANを通って心房内の弁輪上空間の中へ上流に延在し、弁輪上表面または他の心房組織を外向きに延在するフランジまたは縁部2120と係合させることができる。
拡張部材2110は、可撓性繊維、リング、円盤、またはウェブ(例えば、繊維の織物、編組、もしくは格子、形状記憶ポリマー材料、及び/または形状記憶金属)等の材料の被覆またはシートを備える、縁部2120を含んでもよい。一実施形態では、図86A及び86Bに示されるように、縁部2120は、上流端または部分112付近で固着部材110に連結される可撓性材料のシートを含むことができ、固着部材110から半径方向外向きに延在する。一実施形態では、デバイス2100は、固着部材110の壁(例えば、内壁)に連結される第1の密閉部材部分140a(図86B)と、弁支持体120の壁(例えば、内壁、外壁)に連結される第2の密閉部材部分140bとを含むことができる。図72に図示されるデバイス1700に関して上で論議されるように、第1及び第2の密閉部材部分140a及び140bは、単一の密閉部材の一体部分であることができ、または固着部材120及び弁支持体120に独立して取り付けられる別個の密閉部材であることができる。同様に、一実施形態では、縁部2120は、第1の密閉部材部分140aに連結される内端2122を有し得る。例えば、縁部2120及び第1の密閉部材部分140aは、材料の連続シートであり得る。別の実施例では、縁部2120及び第1の密閉部材部分140aは、ステッチング、縫合糸、リベット、接着剤、または他の機械的連結締結具もしくは当分野で公知の特徴等の取付手段を使用して連結することができる。そのような実施形態では、縁部2120及び第1の密閉部材部分140aは、同一の材料または異なる材料で形成されてもよい。特定の実施例では、第1の密閉部材部分140a及び縁部2120は、デバイス2100と隣接組織との間の血管周囲漏出を防止するために、及び/または隣接組織の組織内方成長を推進するために、不透過性材料(例えば、Dacron(登録商標)または心膜等の組織)で形成することができる。別の実施例では、縁部2120は、所望の撓曲もしくは形状記憶特徴を有する異なる材料(例えば、形状記憶金属)、または金属、繊維、組織、及び/もしくは他の材料の組み合わせで形成することができる。
拡張部材2110はさらに、図43A~43Bと関連して上で説明されるような、密閉部材140上に随意に含まれるものに類似する、拡張部材2110と統合された、またはそれに結合もしくは別様に取り付けられた、鉤、段差、尖叉、棒、もしくは類似の構造等の組織係合要素170aを含んでもよい。これらの組織係合要素170aは、心房壁または弁輪上組織に係合して、デバイス2100の下流方向への(心室に向かう)移動を阻止するように構成されてもよい。組織係合要素170aは、非貫通性、または移動を阻止するために組織の表面をわずかに貫通してもよい。例示的な実施形態では、組織係合要素は、優先的に下流方向を指して、上流方向よりも下流方向への移動に対してより高い保持力を有するように、配向することができる。代替として、または加えて、拡張部材2110の外側の組織に面する表面は、少なくとも組織内方成長がデバイスの移動を阻止するほど十分に起こるまで、摩擦力を増進するように、及び/または天然組織に接着するように、永久的または一時的な接着剤または他の材料で被覆されてもよい。
いくつかの実施形態では、拡張部材2110はまた、縁部2120に連結された、または他の実施形態では縁部2120と一体である(図86B)、支持構造2130も含むことができる。支持構造2130は、デバイス2100が拡大構成2102のときに、拡張部材2110が固着部材110から半径方向に外に延在するにつれ、拡張部材2110に付加的な剛性を提供することができる。いくつかの配列では、支持構造2130は、縁部2120に縫い付けられ、縫合され、または接着された、金属及び/またはポリマー材料から形成された不撓性部材であり得る。いくつかの実施形態では、支持構造2130は、縁部2120の一部分に連結された、または別様に統合された、弾性金属、またはポリマーメッシュ、リング、もしくは一連のリングを含むことができる。ある実施形態では、支持構造2130は、変形可能な材料から、または弾性もしくは形状記憶材料(例えば、ニチノール)から形成することができる。他の実施形態では、支持構造2130は、外側表面に固定された、または縁部2120の材料内に位置付けられた、ワイヤ2132または支柱等の1つ以上の不撓性部材を含むことができる。
一実施形態では、支持構造2130は、フレーム2109及び/または固着部材110とは別個であり得る。例えば、図86Bは、支持構造2130が十字の蛇状構成で形成され、拡張部材2110の周囲に連続リングを形成するワイヤ2132(例えば、複数の支柱)を含み、ならびにワイヤ2132がフレーム2109と直接接触しない、実施形態を図示する。この実施形態では、拡張部材2110は、縁部2120の材料(例えば、繊維または組織)によって、固着部材110(例えば、固定部分1710において)に接続される。いくつかの実施形態では、拡張部材2110(縁部2120及び任意の支持構造2130を含む)は、繊維、縫合糸、または他の高度に可撓性の非金属要素のみによって、固着部材110に接続される。したがって、この実施形態では、支持構造2130が縁部2120(例えば、繊維、材料等)によってフレーム2109に間接的に連結されるように、ワイヤ2132は固着部材110から構造的に独立する。したがって、未変形または不偏条件では、支持構造2130は、固着部材110のフレーム2109から離間され、フレーム2109から機械的に隔離される。図86Bに図示される実施形態が、十字の蛇状パターン(例えば、ジグザグパターン、菱形パターン)を形成する、ワイヤの略同軸配列を図示する一方で、他の配列及びパターン(例えば、蛇状、波状、半径方向アーム、正方形等)もまた、図87A~107Bに関して下で説明されるように、拡張部材2110に所望の剛性を提供するように形成することができる。
さらなる実施形態では、図87A及び87Bに図示されるように、支持構造2130は、固着部材110のフレーム2109(例えば、ニチノールフレーム)と一体であり得る。図87A及び図87Bは、それぞれ、フレーム2109の拡張部から形成される支持構造2130を含む拡張部材2110を有するデバイス2100の側面図及び上面図である。例えば、支持構造2130は、フレーム2109の構造要素2111から縁部2120の中へ延在する一体式ワイヤ2134(例えば、支柱)(図87A、点線)を含む。図87Bに図示されるように、一体式ワイヤ2134は、縁部2120の周辺で剛性及び可撓性の所望の組み合わせを提供するために、パターン(例えば、真っ直ぐで外向きに突出する支柱2134a及び三角に配向される支柱2134bの組み合わせ)で配列することができる。いくつかの実施形態では、支持構造2130をフレーム2109に接続する一体式ワイヤ2134は、それらの数、寸法、幾何学的配列、または他の態様により、フレーム2109の構造要素よりも個別にまたは集合的に実質的に可撓性であり、それにより拡張部材2109は、それが天然組織に係合するときに比較的容易に偏向または変形される。例えば、デバイス2100の円周の周囲で拡張部材2110をフレーム2109に相互接続する一体式ワイヤ2134の数は、円周の周囲の構造要素2111の数よりも著しく少なくてもよい。
別の実施形態では、支持構造2130は、リベット(例えば、ニチノールリベット)、繊条、接着剤、ハンダ、レーザ溶接、金属ボルト、もしくは他の機械的特徴を使用して1つ以上の接続点においてフレーム2109に接続することができ、または他の種類の締結具が、支持構造2130を固着部材110のフレーム2109に固定するために使用できる。いくつかの配列では、支持構造2130は、フレーム2109よりも実質的に剛性が低い複数の可撓性接続部材(図示せず)で、フレーム2109に連結することができる。この実施形態では、拡張部材2110の可撓性が、固着部材110及び/または弁支持体110を歪曲することなく、拡張部材2110が歪曲することを可能にすることができる。この配列の種々の態様は、拡張部材2110が形状整合可能であることを可能にすることができ、いくつかの実施形態では、弁輪上組織及び心房壁に対してより非外傷性であることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ワイヤ2132または支柱は、フレーム2109の構造要素2111の不撓性の剛性よりも少ない剛性または不撓性を有し得る。これらの実施形態では、拡張部材2110は、固着部材110のより剛性なフレーム構造に力を伝達することなく、周辺弁輪上組織及び/または心房壁によって変形され得る。
図88A~88Cは、本技術の別の実施形態による、経心尖アプローチを使用して人工心臓弁デバイス2100を心臓内の天然僧帽弁MVに送達する方法を示す、心臓の断面図である。図88Aを参照すると、送達カテーテル18は、心尖における、またはその付近の左心室壁内の穿刺を通して、心臓の左心室LVに進入する、誘導カテーテル(図示せず)を通して前進させられ、巾着縫合によって密閉される。代替として、送達カテーテル18は、誘導カテーテルを伴わずに巾着縫合で密閉した経心尖切開を通して直接配置されてもよい。半径方向に収縮した送達構成2106の、折り畳んだデバイス2100を含有するシース20は、図88Aに示されるように、天然弁尖LFの間の僧帽弁輪ANを通して前進させられる。弁支持体120、固着部材110、及び拡張部材2110(例えば、縁部、フランジ、ショルダ、拡大リング等)は、送達構成2106のときに、天然僧帽弁に、またはその付近に位置付けられた送達カテーテル18を通した送達のために構成される、薄型外形を有する。図88B~88Cをともに参照すると、拡張部材2110が心房中に位置するようにいったんデバイスが位置付けられると、シース20は、デバイス2100が半径方向拡大及び/または展開構成2102、2104(図88B及び88C)まで拡大することを可能にするように、近位に引っ張られる。
本明細書で開示された他のデバイスと同様に、シース20の後退は、送達システムがデバイス2100に接続されたままである間に(例えば、示されていないシステム小穴が、示されていないデバイス小穴に接続される)、デバイス2100が拡大することを可能にする。このようにして、オペレータは、少なくともデバイス2100の一部分(例えば、拡張部材2110、固着部材110の上流部分112)が、拡大構成2102である間(図88B及び図88C)、デバイス2100の配置を制御することができる。例えば、シース20がデバイス2100から係脱されると、固着部材110の上流領域112はシース20内で保持される一方、拡張部材2110は左心房内で拡大できる(図88B)。送達のこの段階中に、僧帽弁領域内のデバイス2100の位置を調整または変更することができる。
一実施形態では、拡張部材2110は、デバイス埋込中に可視化されて、天然弁輪に対するデバイス2100の位置を決定できる、インジケータ部分2116(図88C及び89B)を有し得る。一実施形態では、左心房の壁との拡張部材2110の係合によって引き起こされるインジケータ部分2116の偏向は(例えば、僧帽弁を治療するとき)、天然弁輪に対するデバイス2100の位置を正確に決定するように可視化できる。いくつかの配列では、インジケータ部分2116は、天然弁輪を含有する面に対して略平行な軸の周囲で好ましくは偏向する。別の配列では、インジケータ部分2116は、天然弁輪を含有する面と角度を形成し、該角度は、インジケータ部分2116が偏向されるに従って増加する。特定の位置付け及び展開ステップでは、インジケータ部分2116が可視化ステップ中に面と第1の角度を形成するように、拡張部材2100を配置することができ、次いでインジケータ部分2116が、固着部材110が展開される前に第1の角度未満の第2の角度を面と形成するように、デバイス2100を移動する。拡張部材2110に対する固定部分1710(図86A)の位置は、所与の程度の偏向について公知であるため、天然弁輪に対する固定部分1710の位置は、拡張部材2110の偏向の程度(すなわち、第2の角度)に基づいて決定できる。例えば、インジケータ部分2116は、縁部2120及び/または支持構造2130に連結された、またはそれと統合されたX線不透過性材料を含むことができ、X線不透過性材料は、X線透視法を使用して可視化できる。
別の実施例では、インジケータ部分2116は、超音波を使用して可視化される、エコー源性材料を含むことができる。さらなる実施形態では、インジケータ部分は、1つ以上の金属性部材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、デバイス2100はまた、拡張部材2110内の、またはそれと関連付けられる、心エコーの可視性を増進するガス(例えば、CO2)ポケット、またはチャンバも含むことができる。例えば、拡張部材2110は、独立気泡フォーム、またはガスポケットを伴う他の材料で作製できる。別の実施形態では、拡張部材2110(例えば、支持構造2130)は、蛍光透視的可視性を増進するために白金芯線を含むことができる。白金芯線は、いったんデバイス2100が適正に位置付けられ、埋め込まれた後、NiTiワイヤとのガルバニック反応を回避するために白金芯線を除去できるように、除去可能であり得る。
デバイス2100が標的部位に位置した後、シース20をデバイス2100から完全に除去することができ、デバイス2100の固着部材110は、弁尖LF等の弁輪下組織に係合するように、及び所望の標的場所でデバイス2100を保持するように、外向きに拡大することができる。拡張部材2110が位置付けられ、弁輪より上側の組織に一致され、かつ固着部材110が弁輪及び/または弁輪下組織に係合している、デバイス2100の位置付け及び展開に続いて、引張ワイヤ(図示せず)が、送達システムからデバイス2100を解放するように、近位方向に後退させられてもよい。次いで、送達システムを除去することができ、それによりデバイス2100が展開構成2104で僧帽弁MVに完全に埋め込まれる。代替として、デバイス2100は、所望の標的場所の上流または下流で拡大させられ、次いで、送達システムからデバイス2100を解放する前に、それぞれ、下流または上流で、標的場所に引き込まれ、または押し込まれてもよい。
図89A及び89Bは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁に埋め込まれた図86A及び86Bの人工治療デバイスを示す、左心房から見た心臓内の天然僧帽弁の概略上面図である。展開中、デバイス2100は、半径方向に収縮した送達構成(図88A)から、拡張部材2110が、固着部材110(例えば、上流周囲113及び/または固定部分1710)から、天然弁の弁輪上表面及び/または天然弁を包囲する心房壁を覆って半径方向外向きに拡大する、不偏/拡大構成2102(図89A)まで移行するように構成される。送達カテーテルからデバイス2100を完全に解放する前に、固定部分を天然弁輪に対して所望の場所に位置付けるように、カテーテルを下流方向に(心室に向かって)移動してもよい(図88B~88C)。そのようにする際、拡張部材2110の外側部分は、心房組織との接触により、上向き及び半径方向内向きに偏向されてもよい(図88C及び89B)。この偏向は、X線透視法及び/または心エコー法を使用して可視化することができ、それによりデバイス2100の縦方向の位置を施術者に示す。図89Bに図示されるように、デバイス2100は、拡張部材2110の少なくとも一部分が、弁輪上表面または天然弁の上側の組織(例えば、心房壁)に係合し、かつ少なくとも部分的にそれにより変形される、最終的な展開構成2104を成すことができる。
多くの実施形態では、拡張部材2110は、拡張部材2110が、展開構成2104であるときに(図89B)弁輪上及び心房壁生体構造に一致するように、十分な可撓性を有することができる。したがって、天然弁(例えば、天然僧帽弁)における埋込中、拡張部材2110は、拡大構成2102に向けられる、それが上流方向にさらに延在する展開構成2104(図89B)へのその付勢から、天然組織によって変形または偏向され得る。拡張部材2110は上流方向に偏向可能であるものの(図89B)、拡張部材2110は、それが半径方向に延在し、弁輪上表面に対して下向きに押勢する、不偏構成(図86A~87B及び89A)に戻るように弾性的に付勢される。この付勢は、心房中の拡張部材2110の保持(例えば、拡張期及び/または心房収縮中の軸方向圧縮力下における左心室に向かう移動に抵抗する)と、天然弁輪に対するデバイス2100の位置付けの維持とに寄与する。さらに、拡張部材2110と弁輪上表面及び/または心房壁あるいは他の構造との間の結果として生じる圧縮嵌合は、(例えば、縁部2120の中への)組織内方成長及び封入を促すことによって、組織とデバイス2100との間の長期結合を作成するのに役立つ。
第1の密閉部材部分140a、ならびに支持構造2130及び縁部2120を有する、フレーム2109(図86A)の構造要素2111の可撓性特性は、天然僧帽弁における不均等で独特な形状の天然組織に対してデバイス2100を係合及び密閉するように、それぞれ、固着部材110及び拡張部材2110の可撓性及び適合性を可能にすることができる。拡張部材2110及び固着部材110は、天然生体構造によって及ぼされる力に応答して変形可能であるが、弁支持体120は、そのような変形から実質的に隔離することができ、かつ/または円形もしくは他の元の断面形状を維持するように十分な剛性を有し、したがって、埋め込まれるときに人工弁130の弁尖の適正な接合を確保することができる。天然組織によって及ぼされる力からの人工弁130の機械的隔離は、弁支持体102から離間される固着部材110の部分の独立した変形可能性、ならびに拡張部材2110の独立した変形可能性及び心房の位置付けによって、達成されてもよい。
上に説明されるように、固着部材110からの弁支持体120の機械的隔離は、本明細書で開示される人工心臓弁デバイスのいくつかの態様に起因し得る。これらの態様のうちのいくつかは、限定されるものではないが、(a)弁支持体120のより低い可撓性と比べて比較的高い、固着部材110の可撓性、または固着部材110の固定部分1710を弁支持体120に接続する横断要素の可撓性と、(b)固着部材110と弁支持体120との間の、特にいくつかの実施形態では、固着部材110が天然弁輪及び/または弁輪下組織に係合する、上流部分/上流端における、半径方向間隔と、(c)固着部材110を弁支持体120に取り付けるために採用された連結機構(例えば接続構造1720/1730、図73)は、固着部材110から弁支持体120への力の伝達を低減するよう、(例えば、可撓性、圧縮可能、または移動可能であるように)構成することができることとを含み得る。
デバイス2100では、固着部材110はまた、拡張部材2110からも機械的に隔離することができる。天然僧帽弁において展開されるとき、拡張部材2110は、心房の解剖学的組織力によって、及び心房拡張期力によってより実質的に影響を受ける一方で、固着部材110は、弁輪における、もしくはその付近(例えば、下側)の解剖学的組織力によって、及び/または心室収縮期力によってより実質的に影響を受ける。デバイス2100は、固着部材110を拡張部材2110から、ならびに弁支持体120から機械的に隔離することによって、これらの力の下で、生体構造の形状及び運動に一致するように構成される。一実施形態では、拡張部材2110が展開されるとき、及び動作中に固着部材110の変形に実質的に影響を及ぼすことなく有意に変形できるように、拡張部材2110は、固着部材110及び/または弁支持体120の可撓性と比べて比較的高い可撓性を有することができる。別の実施形態では、拡張部材2110は、固着部材110から機械的に隔離される変形可能な部分2114(図89A)を有することができ、それにより変形可能な部分2114は、固着部材110を実質的に変形することなく半径方向及び/または縦方向に変形可能である。拡張部材2110はまた、固着部材110または弁支持体120の形状に実質的に影響を及ぼすことのない拡張部材2110の変形可能性を可能にする様式、及び場所(例えば上部周縁または上流周囲113)で、固着部材110に連結することもできる。また、拡張部材2110を固着部材110に取り付けるために採用された連結機構は、拡張部材2110から固着部材110への力の伝達を、または逆も同様に、低減させるよう、(例えば、可撓性または移動可能であるように)構成することができる。
図90A~90Fは、本技術の付加的な実施形態による、人工心臓弁デバイスがどのようにして弁支持体120を天然組織によって及ぼされる力から機械的に隔離するかを示す概略図である。天然組織によって及ぼされる力への言及は、いくつかの実施形態では、拍動する心臓において生成される拡張期及び収縮期力を含むことができ、または他の実施形態では、患者によって異なり得る天然弁における解剖学的差異によって及ぼされる力を含むことができる。図90Aに示される一実施形態では、デバイス2100に及ぼされる横方向の力FH1は、弁支持体120が力FH1によって変形されることがないように、固着部材110及び/または拡張部材2110によって吸収される。この実施形態では、デバイス2100は中心縦軸L-Lを有することができ、横方向の力FH1は、軸L-Lに対して異なる横方向にオフセットした位置に固着部材110及び拡張部材2110を変形または別様に移動することができる一方で、弁支持体120は軸L-Lに対して実質的に移動しない。拡張部材2110はまた、固着部材110が縦軸L-Lに対して横断方向に第1の距離DIS1移動でき、拡張部材2110が横断方向に距離DIS1より大きい、それと等しい、または別の実施形態ではそれより小さい第2の距離DIS2移動できるように、固着部材110からも機械的に隔離される。いくつかの場合、全ての3つの要素(固着部材110、拡張部材2110、及び弁支持体120)は、軸L-Lに対して横断方向で3つの異なるオフセットした位置であり得る。
別の実施形態では、天然組織からデバイス2100に及ぼされる複数のモーメント力FA1及びFA2もまた、固着部材110及び/または拡張部材2110によって吸収することができる(図90B)。例えば、天然組織によって及ぼされるモーメント力FA1、FA2は、各要素が縦軸L-Lに対して異なる角度であるように、固着部材110、拡張部材2110、及び弁支持体120の中心縦軸に対して、位置付け(例えば、X-Y位置付け、回転位置づけ等)を独立して変更し得る。図90Bに図示されるように、拡張部材2110は、固着部材110の変形または角度から独立して、変形、傾転、または角度を成して移動することができ、逆もまた同様である。
さらなる実施形態では、固着部材110及び拡張部材2110は、周辺組織から伝達された力が固着部材110及び拡張部材2110によって吸収されるときに、拡大構成2102(例えば、図86A及び86B)に対して、相対形状の変化を経ることができる。図90C~90Eに図示される実施例では、横断圧縮力は、デバイス2100が天然弁部位に位置付けられ保持されるように、ならびに弁支持体120が同一の条件下で実質的に未変形のままであるように、固着部材110及び/または拡張部材2110の部分によって吸収され得る。一実施形態では、固着部材110による横断圧縮力FH2及びFH3の吸収は、同一の、及び/または異なる適用される力の下で拡張部材2110の変形なしに、またはより少ない変形を伴って、固着部材110の上流部分112が内向きに変形することを引き起こし得る(図90C)。代替として、拡張部材2110の下流端は、固着部材110の上流端の変形なしに、またはより少ない変形を伴って、横断方向に変形してもよい。
他の実施形態では、図90D及び90Eに図示されるように、力は、拡張部材2110の形状を水平平面において、同一または異なる力から結果として生じた固着部材110の形状とは異なる形状へと変化させ得る。例えば、拡張部材2110は、固着部材110に及ぼされる力FH2及びFH3(例えば、弁輪において、または弁輪の下流で)とは異なる水平力FH4及びFH5(例えば、心房内で)を受けることができる(図90D)。結果として、拡張部材2110は、第1の方向においてその長軸で卵形化され得、一方で固着部材110は、第1の方向に対して横断する第2の方向においてその長軸で卵形化する。図90Eは、横方向の力FH2、FH3、FH4、及びFH5が、拡張部材2110及び固着部材110によって吸収され、それにより拡張部材2110がD字形に変形され、一方で固着部材110が水平平面において、例えば円形、卵形、または非整合のD字形等の異なる形状を有する、別の実施形態を図示する。
図90Fは、固着部材110及び拡張部材2110が、周辺組織から伝達された縦方向の力FL1及びFL2が固着部材110及び拡張部材2110によって吸収されるときに、拡大構成2102において、相対形状の変化を経る、実施形態を図示する。この実施形態では、縦方向の機械的力FL1及びFL2は、拡張部材2110及び固着部材110の歪曲を引き起こし得、それによりこれらの要素はデバイス2100の横断軸T-Tに沿って異なる形状を伴う側面外形を有する。例えば、拡張部材2110は、天然弁の弁輪上表面の形状に対応する鞍形状を有してもよい一方で、固着部材110は、実質的に円筒形のままであるか、または例えば弓状の側面外形を伴う異なる形状に変形される。
図91Aは、本技術による、拡張部材2110を有する別のデバイス2100の等角図である。図91Aに示される拡張部材2110は、繊維または別の好適な材料で形成される縁部2120を含み、縁部材料2124は、拡張部材2110の支持構造2130を提供するように少なくとも部分的に構成される、繊維中の襞2125等の構造特徴を有する。襞2125は、縫い付けるか、縫合するか、接着剤で固定するか、または綴じ金等の他の機械的特徴を使用して形成することができる。縁部材料2124中の襞2125は、所望の強度、剛性、及び/または可撓性のために、パターン化するか、または位置付けることができる。例えば、襞2125は、縁部2120中に、同軸、半径方向、ジグザグ、蛇状、菱形、正方形、または他のパターンを有することができる。随意に、1つ以上の構造要素(例えば、金属ワイヤ、プラスチック要素等)が、付加構造を提供するために、縁部2120に縫い付けられるか、もしくは取り付けられ、かつ/または襞(複数可)2125内に配置され得る。
図91Bは、図91Aに示された拡張部材2110中の襞2125の断面図である。襞2125は、円周方向に離間された様式で、半径方向に、または縁部2120の周囲で別のパターンで配列された、縁部材料2124の縫い付けられた、または固定された部分であり得る。いくつかの襞2125aは付加的な組み込まれる要素を有しない一方で、他の襞2125bは、襞2125b内に位置付けられたワイヤ2132等の構造要素を有してもよい(図91B)。いくつかの実施形態では、構造要素または他の要素は、天然弁における埋込中及び埋込後のデバイスの可視化を支援するように、X線不透過性であることができる。図91A及び91Bに図示されるデバイス2100は、固着部材110または弁支持体120に変形力を適用または伝達しない、順応性で、容易に圧縮可能であり、かつ非外傷性の拡張部材2110を提供する。
図92~95Bは、本技術による、人工心臓弁デバイス2100のいくつかの付加的な実施形態の概略上面図である。参照のように、番号は、図86A~95Bの類似または同一の構成要素を指す。図92に図示されたデバイス2100の実施形態は、図86A~91Bを参照して上で説明された実施形態のうちのいくつかを表す。この実施形態では、拡張部材2110は、縁部2120の周囲に円周方向に位置付けられる一連のループ2135を形成するワイヤ2132を含む支持構造2130を含む。ループ2135は、拡張部材2110が上流方向に偏向するために十分な可撓性を依然として提供しながら、縁部2120中で増加した弾性を提供してもよい。また、ループ2135は、組織に非外傷的に係合する支持構造2130を提供してもよい。
図93は、支持構造2130が縁部2120の周囲に円周方向に位置付けられる複数の波状の同軸ワイヤ2132を含む、デバイス2100の実施形態を図示する。図94は、支持構造2130が縁部2120の周囲に円周方向に位置付けられる渦状/螺旋状に形成されたワイヤ2132、2136を含む、デバイス2100の実施形態を図示する。図94の図示された実施形態が、同軸の渦状/螺旋状パターンで形成された単一のワイヤ2132を含む一方で、他のワイヤ(図示せず)が、渦状/螺旋状パターン、または別のパターン(例えば、二重螺旋、二重渦巻き等)を形成するために含まれ得る。図93及び94に図示された支持構造2130は、人工弁130を通る血流の方向に対して横断する軸の周囲を、固着部材110に対して一致及び偏向するために十分な可撓性を依然として維持しながら、軸強度を提供することができる。
図95A及び95Bは、固着部材110のフレーム2109に連結されるか、または別様にそれと一体であり、かつ拡張部材2110の外周2112に向かって半径方向に延在する、複数の渦状に突出する輻2136を支持構造2130が含む、デバイス2100の付加的な実施形態を図示する。輻2136は、弁輪上組織及び/または心房壁が拡張部材2110による展開または係合中に損傷を受けないように、非外傷性先端2137及び/または組織係合部分を有し得る。いくつかの実施形態では、非外傷性先端2137は、輻2136の端部のループ上部分2137aであり得る(図95A)。他の実施形態では、非外傷性先端2137は、曲折部分2137bであり得る。
図96A~96Cは、非外傷性特徴を伴う支持構造2130を有する、デバイス2100の別の実施形態を図示する。図96A及び96Bに示されるように、デバイス2100は、縁部2120に連結される複数の弾性コイル2138を有する、丸みを帯びた、または曲線式の拡張部材2110を含む。一実施形態では、図96Aに示される拡張部材2110は、外傷を誘発することなく天然生体構造に一致するように構成される。拡張部材2110はまた、デバイス2100の自己整合を増進することもできる(例えば、弁輪に対する傾転を軽減する)。例えば、拡張部材2110は、デバイス2100の収縮期中の傾転を引き起こすであろう力に対して対抗することができる。さらに、拡張部材2110の1つ以上の構成要素は、拡張部材2110の形状を可視化し、それにより展開中にデバイス2100を検出または配置するために使用することができる。
コイル2138は、固着部材110のフレーム2109から拡張部材2110の外周2112に向かって延在することができ(図96B)、または別の実施形態では、コイル2138はフレーム2109から離間することができる。一実施形態では、コイル2138は少なくとも上向き方向に偏向可能であるが、丸みを帯びた、下向きに配向された端部2139で、半径方向外向きの配向に向かって付勢される。一実施形態では、コイル2138は、ニチノール(NiTi)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマー、ステンレス鋼、または他の好適な材料から傷つけることができる。種々の実施形態では、コイル2138は形状記憶金属を含む。さらなる実施形態では、拡張部材2110は、繊維、織物材料、編物材料、ポリエステルから作製されたメッシュもしくはウェブ、または他の可撓性材料から形成された縁部2120を含むことができる(図96C)。その上さらなる実施形態では、縁部2120は、NiTi、ステンレス鋼、(PEEK)ポリマー、縁部2120を単独で、もしくは縁部2120を形成するために使用される別の材料(例えば、織物に統合される)とともに形成するために使用することができる他の好適な材料から作製される、ウェブ、メッシュ、編物材料、または他の織物材料から形成することができる。図96A~96Cに示されるように、拡張部材2110は、心室収縮期中に弁が閉鎖され、圧力下にあるときに、天然組織とデバイス2100との間に密閉を提供するように成形することができる。図96A~96Cの拡張部材はまた、縁部2120の材料への組織のバイオインテグレーションを推進することもでき、次いで天然組織へのデバイス2100の長期密閉を推進することができる。
図97A及び97Bは、本技術による、拡張部材2110が固着部材110の上流周囲113の周囲の不連続な縁部2120を含む、デバイス2100のさらなる実施形態を図示する。図97A及び図97Bは、複数の、離散的な、延在するペタル2140、または固着部材110のフレーム2109から延在する突起を含む拡張部材2110を有するデバイス2100の上面図及び等角図である。ペタル2140は、固着部材110の上流周囲113の周囲に複数の離間された三角形状のペタル2140を形成するように、フレーム2109から半径方向に延在するワイヤ2132または支柱を含むことができる。ワイヤ2132は、縁部2120を画定するように、連続的、または不連続的(図97A及び97B)な様式で、繊維または他の縁部材料2124で覆うことができる。ペタル2140は、相互のペタル2140から機械的に隔離され、各ペタル2140は、天然組織への増進された一致性を提供するように、相互のペタル2140から独立して偏向及び/または変形されるように構成される。
図98A~図98Cは、拡張部材2110が固着部材110のフレーム2109から半径方向に延在する複数のペタル2140を含む、デバイス2100の付加的な実施形態を図示する。例えば、図98Aは、個別のペタル2140を形成する複数の円形ワイヤ2141を有するデバイス2100を図示する。円形ワイヤ2141は、複数のコネクタ2142を介して、固着部材110の上流周囲113の周囲のフレーム2109に可撓的に接続できる。加えて、円形ワイヤ2141は、縁部2120を形成するために、覆われるか、または別様に縁部材料2124に取り付けられ得る(図98B及び98Cを参照)。一実施形態では、拡張部材2110は、円形ワイヤ2141の上及び/または下を覆い、円形ワイヤ2141を越えて延在して連続的縁部2120を形成する、繊維または他の材料を含む(図98B)。図98Cは、円形ワイヤが縁部材料2124の離散的な部分に接着されて、固着部材110の上流周囲113の周囲に離間された円形のペタル2140を形成する、別の実施形態を図示する。この実施例では、各ペタル2140は、各隣接するペタル2140から機械的に隔離することができ、それによりペタル2140は、拡張部材2110に周辺天然組織への増進された一致性を提供するように、相互のペタル2140から独立して偏向及び/または変形され得る。さらなる実施形態では、拡張部材2110によって係合される独特の組織生体構造の一致性のためのより大きな自由度を依然として可能にしながら、縁部2120内のいくらかの密着する移動を提供するように、ペタル2140は、隣接するペタル2140に連接2143または他の締結具で接続または丁番で取り付けることができる。
図99は、ポリマーシート2188または他のパネルで形成される拡張部材2110を有する、デバイス2100の付加的な実施形態を図示する。種々の配列では、ポリマーシート2118は、拡張部材2110が支持ワイヤを必要としないように、及び/または支持構造(図示せず)を形成するためのより少ないワイヤもしくはより小さいワイヤの使用を可能にできるように、十分な強度、または/または剛性を提供することができる。拡張部材2110に可撓性を提供するために、ポリマーシート2118のある実施形態は、ポリマーシート材料を通る複数の穴2119を含む。穴2119は、ポリマーシート2118上で、密度、サイズ、及び/または位置に関して選択することができ、拡張部材2110の選択された領域の可撓性を増加及び/または低下するように変化させることができる。例えば、図99は、穴2119が、ポリマーシート2118の内側部分2113における密度と比べた場合、外周2112に向かってより大きな密度でポリマーシート2118中に配置される、デバイス2100の実施形態を図示する。この実施例では、拡張部材2110の可撓性は、内側部分2113よりも外周2112に向かってより大きくなり、外周2112における、またはその付近の領域がより容易に変形し、天然組織に一致することを可能にする。図示されないいくつかの実施形態では、穴2119の密度及び/またはサイズは、不均一な拡張部材2110を形成するように、ポリマーシート2118にわたって不均等に分布できる。例えば、デバイス2100が実質的にLVOTを閉塞しないように、後尖に係合する側よりも、前尖に係合する側に、より大きな可撓性(例えば、穴2118のより大きな密度)を提供することが望ましい。
図100A及び100Bは、本技術による、埋込中及び埋込後の可変の可撓性をもつ拡張部材2110を有するデバイス2100の別の実施形態を図示する。図100Aは、送達カテーテル18からの解放後の拡大したデバイス2100、2102を図示し、図100Bは、デバイス2100の概略上面図である。図100A及び100Bをともに参照すると、支持構造2130は、可変の不撓性(例えば、可撓性)を有するワイヤの組み合わせを含むことができる。例えば、支持構造2130は、可撓性ワイヤ2144(例えば、薄い、柔らかい)を含むことができ、可撓性ワイヤ2144よりも可撓性の低い、比較的不撓性のワイヤ2145を含むことができる。より不撓性のワイヤ2145はまた、デバイス配置中の増進された可視化を促進するよう、可撓性ワイヤ2144よりも高いX線不透過性を有してもよい。いくつかの実施形態では、デバイス2100の埋込中または埋込後に、より不撓性のワイヤ2145が除去可能であり得るように、より不撓性のワイヤ2145は、縁部2120内の、またはそれに取り付けられた、ポケットまたはスリーブ2146内に位置付けることができる。スリーブ2146は、より不撓性のワイヤ2145が展開及び埋込中に拡張部材2110に半径方向支持を提供するように配向されてもよいが(図100B)、他の配向及び配列もまた可能である。図100Aに示されるように、より不撓性のワイヤ2145は、送達カテーテル18に接続されたままであることができる。天然弁の上流に拡張部材2110を配置した後、より不撓性のワイヤ2145は、スリーブ2146から除去し、送達カテーテル18を通して後退させることができる。いくつかの実施形態では、全てのより不撓性のワイヤ2145を除去することができるが、他の配列では、より不撓性のワイヤ2145の一部分、または選ばれたより不撓性のワイヤが、埋込後に拡張部材2110内に留まることができる。可撓性ワイヤ2144は、いったん埋め込まれると増加した可撓性を有する非外傷性支持構造2130を提供するように、縁部2120に連結されたままであり得る。
図101は、支持構造2130が、拡張部材2110に半径方向の不撓性を提供するように、流体で膨張させることができる、縁部2120内の1つ以上の膨張式チャンバ2147を含む、デバイス2100の実施形態を図示する。縁部材料2124は、例えば、膨張式チャンバ2147(例えば、内部チャネル)を提供する、繊維、ポリマー、または他の材料であり得る。1つ以上の独立式または相互接続された膨張式チャンバ2147は、拡張部材2110の周囲の連続リングにおいて、または他の配列において(例えば半径方向に延在するアーム、ジグザグ等)配列することができる。一実施形態では、チャンバ2147は、デバイス2100の展開前、展開中、または展開後のいずれかにおいて、縁部2120上に提供されたポート2148を介して、流体(例えば、生理食塩水、CO2、空気、ゲル、造影剤等)で充填可能である。一実施形態では、チャンバ2147は、展開中に少なくとも部分的に充填することができ、所望の可撓性の程度を提供するように、拡張部材2110及び/またはデバイス2100の展開後に、内部の流体の量を調整することができる。種々の実施形態では、チャンバ2147は、一時的に、永久的に膨張させることができ、または送達カテーテルからのデバイス2100の解放前に収縮させることができる(図示せず)。一実施形態では、拡張部材2110は、膨張したときにのみ半径方向の不撓性を有する。拡張部材2110は、例えば、縁部材料2124を介して、または可撓性コネクタ(図示せず)を介して取り付けられる固着部材110から、構造的に独立することができる。いくつかの実施形態では、心エコー図によってより可視的であるガス(例えば、CO2)または他の材料でチャンバ2147が充填される場合、膨張チャンバ2147は、コントラスト心エコー法によって改善された可視性を提供し得る。
図102は、拡張部材2110が縁部材料2124及び/または支持構造2130の複数の層2150を含むことができる、デバイス2100の実施形態を図示する。明確性の目的のために、層2150は図102において分離されて示されているが、層2150は好ましくは介在空間なしで相互に接触して積層される。特定の実施例では、ワイヤ2132の1つ以上の層を伴うポリマーシートの織物繊維の複数の層2150は、拡張部材2110に、天然組織への選択可能な程度の順応性または一致性を提供することができる。縁部材料2124の個別の層2150は、同一の材料または材料の組み合わせで形成することができる。同様に、支持構造2130は、縁部材料2124の層2150上に同一のまたは異なる配列を有するワイヤ2132の層を含むことができる。ワイヤ2132はまた、可撓性ワイヤ(例えば、より小さい、不撓性がより低い)及びより不撓性のワイヤの組み合わせも含むことができる。したがって、複数の層2150は、異なるワイヤ径、幾何学形状、全体的なサイズ、及び不撓性を有するワイヤ2132を含んでもよい。別の実施形態では、層2150は、拡張部材2110に、非対称な程度の可撓性を提供することができる。一実施例では、下部層2151(例えば、心室により近い)は、心房腔組織に接触する上部層2152よりも、不撓性(例えば、可撓性がより低い)であり得る。別の実施例では、拡張部材2110は、デバイス2100が実質的にLVOTを閉塞しないように、前尖に係合する側(例えばより大きい可撓性)と、後尖または交連に係合する側(例えば、より低い可撓性)との間に、非対称な程度の可撓性を有し得る。さらなる実施形態では、拡張部材2110はまた、埋込中及び埋込後のデバイス2100の可視化を支援するように、層2150上、またはその間に配置されるX線不透過性マーカー160(例えば、金属性ストリップ、リング)を含むことができる。
図103は、上流方向に外向きに発散する形状で固着部材110から延在する漏斗形の拡張部材2110を有するデバイス2100の実施形態を図示する。一実施形態では、拡張部材2110は、固着部材110に連結され、及び/または第1の密閉部材部分140aと一体である、縁部材料2124(例えば、繊維)を含む、反転した漏斗形の縁部2126または管を含むことができる。別の実施形態では、拡張部材2110は、支柱またはワイヤ(図示せず)を備える支持構造によってさらに支持される反転した漏斗形の縁部2126を含むことができる。
図104A及び104Bは、固着部材110が、複数の上流に延在する出張り部2170と、出張り部2170の下(例えば、下流)に位置付けられる拡張部材2110とを含む、デバイス2100の実施形態を図示する。一実施形態では、出張り部2170は、半径方向支柱2171から離間することができ(図104A)、または別の実施形態では、出張り部2170は、ループ2172から離間することができる(図104B)。出張り部2170は、事前成形することができ、固着部材110のフレーム2109に連結することができるか、またはそれと一体であり得る。一実施形態では、出張り部2170は、デバイス2100の配置を可視化するために、X線透視法または心エコー図画像化システムにより可視化される金属または他の材料(図示せず)を含むことができる。
図104A及び104Bをともに参照すると、出張り部2170は、拡張部材2110の予期される最終的な拡張位置を画定することができる。したがって、出張り部2170は、デバイス2100が位置に引き込まれる(例えば、下流に移動される)に伴い、拡張部材の偏向を制限してもよい。代替として、または加えて、出張り部2170は、X線透視法を使用して可視化される基準マーカーを提供してもよく、拡張部材2110の偏向の程度が、基準マーカーに対して査定されてもよい。図104A及び104Bに図示されるように、角度αは、半径方向に拡張した拡張部材2110と、出張り部2170との間の角度である。角度αが小さいとき、拡張部材2110はより縦方向に延在し(例えば、薄型外形)、拡張部材2110が外向きに延在するにつれ、角度αは増加する。デバイス2100の展開及び埋込中に角度αを可視化することは、固着部材110及び人工弁を伴う弁支持体(図示せず)が送達カテーテル(図示せず)から展開される前に、施術者が、天然弁生体構造に対するデバイス2100の位置をより良好に可視化することを可能にすることができる。例えば、手術中、拡張部材2110は、角度αが大きくなるように(例えば、完全拡張)、送達カテーテル(図示せず)から少なくとも部分的に展開することができる。次いで、デバイス2100は、天然弁輪を通して下流に引き込まれ/押し込まれ得る。デバイス2100が下流に引き込まれ/押し込まれるにつれ、拡張部材2110は、天然組織によって内向きに偏向され、それにより角度αを減少させる。減少する角度αの可視化は、デバイス2100の埋込に伴う内向き偏向の程度を施術者が確認することを可能にし、したがって天然弁におけるデバイスの正しい位置付けを確保することができる。
図105は、本技術による、拡張部材2110が固着部材110とは別個の拡大リング2153を含む、デバイス2100の実施形態を図示する。拡大リング2153は、拡大リング2153と固着部材110の上流周囲113との間の所望の距離に及ぶ、1つ以上のテザー2154または他の糸(例えば、縫合糸、繊維材料等)によって固着部材110に可撓的に連結することができる。一実施形態では、拡大リング2153は、ワイヤフレームまたは金属メッシュで形成されてもよい。別の実施形態では、拡大リング2153は、テザー2154によって固着部材110の上流周囲113及び/またはフレーム2109に連結される円筒形ステントであってもよい。ある実施形態では、カバーまたは他の材料を拡大リング2153に連結することができる。種々の配列では、拡大リング2153は、固着部材110から構造的に独立し(例えば、機械的に隔離され)、展開前に固着部材110の適正な位置を確保するように、デバイス送達位置付けの補助を提供することもできる。
図106A及び106Bは、拡張部材2110が、(例えば、固着部材110の上流部分112から下流の場所において)弁支持体120の一部分に取り付けられるか、または別様にそこから延在する、デバイス2100の実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、これは、天然弁輪(図示せず)内における、デバイス2100のより高い配置を可能にし得る。図106A及び106Bに示される実施形態では、拡張部材2110は、(例えば、ステッチング、縫合糸、リベット、接着剤、または当分野において公知の他の機械的連結締結具もしくは特徴を介して)上流端121において(図106B)、または中間部分2155において、弁支持体フレーム136、及び/または弁支持体フレーム136に連結される第2の密閉部材部分140bに接続する、及び/または取り付けることができる。図106A及び106Bに図示されるように、ならびにある実施形態では、拡張部材2110はまた、または代替として、固着部材110と弁支持体120との間の間隙を覆うカバー(例えば、内側骨格)を提供するように、上流部分112において固着部材110に取り付けられ、及び/または密閉されてもよい。拡張部材2110は、血液を通さないか、または代替として、間隙2108の中に容易に通過することを可能にするような穴を含有してもよい、縁部材料2124を含んでもよい。あるいは、拡張部材2110は、血液または流体が間隙2108の中にのみ流れ込むようなフラップ弁(図示せず)または他の好適な一方向弁を伴う穴(図示せず)を有することができ、間隙2108では、流体が固着部材110と弁支持体120との間の空間で捕獲され、したがって空間を「膨張させ」て付加的な半径方向剛性を加える。
図107A及び107Bは、本技術による、別個に展開可能な構成要素である分離拡張部材2180を有するデバイス2100の実施形態を図示する。分離拡張部材2180は、縁部2120と、上に説明された拡張部材2110に類似する支持構造(図示せず)とを有することができる。他の配列(図示せず)では、分離拡張部材2180は、弁輪(図示せず)の上側に送達される支持構造(例えば、渦形ワイヤ)を含むことができる。加えて、分離拡張部材2180はまた、(例えば、対応するフックにおいて、フレーム2109上で、等)固着部材110に係合するように構成された、1つ以上の合体特徴2182(例えば、フック、掛け金、鉤、ピン等)を含むこともできる。一実施形態では、分離拡張部材2180は、人工弁(107A)を標的部位に運搬する固着部材110を送達する前に、送達カテーテル18によって天然弁NVに送達することができる。いくつかの実施形態では、分離拡張部材2180は、展開されるときに、弁輪Aの上側の弁輪上表面に係合することができる。分離拡張部材2180の展開に続いて、固着部材110及び弁支持体120は、送達カテーテル18から解放されて、天然弁NV内の適正な位置において分離拡張部材2180に係合し、それによって保持され得る(図107B)。一実施形態では、分離拡張部材2180は、天然弁NVにおいて埋め込まれたままであることができるが、他の実施形態では、分離拡張部材2180は、人工弁デバイス2100が埋め込まれた後に除去することができる。他の配列では、分離拡張部材2180及び固着部材110は、単一の構成要素として送達することができ、人工弁を運搬する弁支持体120は別個に送達することができる。
再び図86A~107Bを参照すると、ならびに僧帽弁置換の場合において、デバイス2100は、拡張部材2110が左心房中に位置付けられ、固着部材110(例えば、固定部分1710)が天然弁輪において位置付けられるように、薄型送達構成2106で送達される。デバイス2100は、拡張部材2110が送達カテーテル18から解放され、半径方向に拡大することを許容される一方で、固着部材110は送達カテーテル18中に保持されるように、部分的に展開される。前述の実施形態の多くでは、拡張部材2110は、固着部材110に対して容易に折り重なる。したがって、デバイス2100は次いで左心室に向かって引かれ、拡張部材2110を内向きに折り畳ませる。拡張部材2110は、固着部材110を天然弁輪と適正に整合させる力を及ぼし、拡張部材2110と固着部材110との間の相対位置は、公知の画像化技術を通じて容易に可視化されて、施術者が天然弁構造に対してデバイス2100を正確に位置付けることを可能にすることができる。
加えて、上に論議されるように、拡張部材2110は、固着部材110から延在する縁部2120もしくはショルダ、または少なくとも1本の糸(例えば、テザー2154)によって固着部材110に連結される拡大リング2153を含む、多くの異なる実施形態を有することができる。縁部2120、ショルダ、及び/またはリングは、拡大して固着部材110よりも大きな直径を有するように、ならびに固着部材110に対して撓曲、フラップ、及び/または折り重なるように構成される。したがって、拡張部材2110は、天然弁生体構造に対するデバイス2100の位置付け、配向/整合、及び可視化を増進するように構成される。必ずしも全てではないがいくつかの実施形態では、拡張部材2110は、デバイス2100の付加的な固定及び密閉を提供することができる。
付加的な実施形態
上で説明され、図10A~107Bで図示される人工心臓弁デバイス構成要素の特徴は、本技術に従って構成される付加的な実施形態を形成するように修正することができる。例えば、裾広固着部材がない図65A~65Bで図示される人工心臓弁デバイス1100は、弁支持体または他の特徴に連結され、半径方向外向きに拡張して弁輪下組織に係合するように構成される、固着部材を含むことができる。同様に、上記で説明され、図57A~71で図示される人工心臓弁デバイスは、密閉部材ならびにアーム及び組織係合要素等の安定化特徴等の特徴を含むことができる。
上で説明される人工心臓弁デバイス構成要素の特徴はまた、本技術の付加的な実施形態を形成するように入れ替えることもできる。例えば、図67Aで図示される人工心臓弁デバイス1200の固着部材1210は、図57A~57Cに示される人工心臓弁デバイス600に組み込むことができる。加えて、図72~107Bを参照して上で説明される人工心臓弁デバイス1700、1900、2000、及び2100の多くの特徴は、図10~71Aを参照して上で説明される人工心臓弁デバイスとともに使用することができ、逆もまた同様である。特定の実施形態では、図86A~107Bに示される拡張部材2110は、例えばデバイス100(図10A)中に組み込むことができる。
以下の実施例は、本技術のいくつかの実施形態を例証する。
1.人工心臓弁デバイスであって、
ヒトの心臓の天然心臓弁を通る血流に対する上流領域及び下流領域を有する弁支持体であって、前記上流領域が人工弁を支持するように構成され、前記人工弁が複数の弁尖を有し、かつ前記弁尖が前記人工弁を通る逆流を防止するように十分に接合する、未変形の形状を有する、弁支持体と、
縦方向寸法を有し、かつ組織固定部分と、前記弁支持体に連結される一体化領域と、前記組織固定部分と前記一体化領域との間の複数の横方向コネクタとを含む固着部材であって、前記組織固定部分が、(a)前記天然心臓弁の天然弁輪に、及び/またはその下流に位置する埋込部位において組織に係合するように、かつ(b)展開状態で前記埋込部位の前記組織の形状に適合するように、非円形形状へと少なくとも部分的に変形可能であるように構成され、前記組織固定部分が前記展開状態において前記埋込部位の前記組織に面するように、前記横方向コネクタが前記固着部材の前記縦方向寸法に対して横断方向に延在する横方向セクションと、前記横断方向とは異なる方向に屈曲する少なくとも第1の移行区域とを有する、固着部材と、を備え、
前記固着部材が前記非円形形状に変形した場合に、前記弁支持体の前記上流領域が前記未変形の形状を維持するように、前記固着部材の前記組織固定部分が、前記弁支持体の前記上流領域から機械的に隔離される、前記人工心臓弁デバイス。
2.人工心臓弁デバイスであって、
縦方向寸法を有し、かつ展開状態で第1の断面寸法を有する組織固定部分と、前記第1の断面寸法よりも少ない、前記展開状態での第2の断面寸法を有する一体化領域と、前記組織固定部分と前記一体化領域との間の側部とを含む、固着部材であって、
前記組織固定部分が、(a)ヒト中の心臓弁の天然弁輪に、及び/またはその下流に位置する組織に係合するように、かつ(b)展開状態で前記組織固定部分によって係合される前記組織の形状に適合するように、非円形形状へと少なくとも部分的に変形可能であるように構成され、
前記組織固定部分が前記展開状態において前記天然弁輪に面するように構成されるように、前記側部が、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して横断方向に延在し、かつ前記横断方向から前記組織固定部分まで屈曲する少なくとも第1の移行区域を有する、固着部材と、
第1の領域及び第2の領域を有する弁支持体であって、前記第1の領域が前記展開状態で人工弁を支持するように構成される断面形状を有し、それにより前記人工弁の人工弁尖が前記展開状態において相互に接触し、前記弁支持体の前記第2の領域が前記固着部材の前記固定部分に連結される、弁支持体と、を備える、前記人工心臓弁デバイス。
3.前記コネクタまたは側部が、前記横方向セクションまたは側部から前記一体化領域まで屈曲する第2の移行区域をさらに含む、実施例1~2のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
4.前記固着部材が、前記組織固定部分において第1の端部と、前記一体化領域において第2の端部とを有し、前記第1の移行区域が前記横方向セクションまたは側部から前記固着部材の前記第1の端部に向かって屈曲し、第2の移行区域が前記横方向セクションまたは側部から前記固着部材の前記第2の端部に向かって屈曲する、実施例1~3のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
5.前記コネクタまたは側部が、第2の移行区域をさらに含み、前記第1の移行区域が前記心臓に対して上に屈曲し、前記第2の移行区域が前記心臓に対して下に屈曲する、実施例1~4のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
6.前記第1の移行区域が、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して、凹状曲率を有する、実施例1~5のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
7.前記コネクタが、前記横方向セクションまたは側部から前記一体化領域まで屈曲する第2の移行区域をさらに備え、前記第2の移行区域が、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して、凸状曲率を有する、実施例6に記載の前記人工心臓弁デバイス。
8.前記組織固定部分が、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して、少なくとも実質的に平行に延在する、実施例1~7のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
9.前記縦方向寸法が、前記固着部材の中心縦軸であり、前記組織固定部分が、前記中心縦軸に向かって内向きに傾斜した角度で延在する、実施例1~8のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
10.前記組織固定部分が、正円筒形状を有するリングと、前記リングから突出する複数の鉤とを備える、実施例1~9のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
11.前記組織固定部分が、10~20mmの高さと、前記高さに沿う略平坦な外面とを有する、実施例1~10のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
12.前記固着部材が、前記組織固定部分において第1の端部と、前記一体化領域において第2の端部とを有し、前記固着部材の前記第2の端部が、前記弁支持体の前記下流領域に接続される、実施例1~11のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
13.前記固着部材が、前記組織固定部分において第1の端部と、前記一体化領域において第2の端部とを有し、前記固着部材の前記第2の端部が、前記弁支持体の前記上流領域に接続される、実施例1~11のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
14.前記固着部材と前記弁支持体との間の区画、及び前記区画中の材料をさらに備える、実施例1~13のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
15.前記区画が、前記固着部材及び/または前記弁支持体に取り付けられた繊維容器を備え、前記材料が、抗凝固剤及び/または治癒剤のうちの少なくとも1つを含む、実施例14に記載の前記人工心臓弁デバイス。
16.前記側部が、外向き裾広セクションを備え、前記固定部分が、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して、少なくとも実質的に平行に延在する、実施例1~15のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
17.前記側部が、外向きに延在する円錐状セクションを備え、前記固定部分が、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して、少なくとも実質的に平行に延在する、実施例1~15のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
18.天然僧帽弁における埋込のためのデバイスであって、前記天然僧帽弁が非円形の弁輪及び弁尖を有し、
複数の人工弁尖を伴う人工弁に取り付けられるように構成された第1の領域と、第2の領域とを有する、弁支持体と、
縦方向寸法を有し、かつ前記非円形弁輪の組織に接触するように構成された第1の部分と、前記第1の部分と前記弁支持体との間の側部を有する第2の部分とを含む、固着部材と、を備え、
前記固着部材及び前記弁支持体が、ヒトの血管系を通過するように構成される、薄型構成である間、前記固着部材の前記第2の部分が、前記弁支持体の前記第2の領域に取り付けられ、
前記側部が前記縦方向寸法に対して横断し、
前記弁支持体の前記第1の領域の形状が、前記固着部材の前記第1の部分の形状から少なくとも部分的に独立するように、前記固着部材及び前記弁支持体が、前記薄型構成から、前記固着部材の前記第1の部分が前記天然僧帽弁の前記非円形弁輪に少なくとも部分的に適合し、前記弁支持体の前記第1の領域が前記固着部材の前記縦方向寸法に対して前記固着部材の前記第1の部分から内向きに離間される、拡大構成に移動するように構成される、前記デバイス。
19.前記固着部材の前記第1の部分が、組織固定部分を備え、前記固着部材の前記第2の部分が、一体化領域を備える、実施例18に記載の前記デバイス。
20.前記側部が複数の横方向コネクタを備え、前記固着部材の前記第1の部分または前記組織固定部分が、前記展開状態において前記埋込部位の組織に面するように、個別のコネクタが、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して横断方向に延在する横方向セクションと、前記横断方向とは異なる方向に屈曲する少なくとも第1の移行区域とを含む、実施例18~19のいずれかに記載の前記デバイス。
21.前記コネクタまたは側部が、前記横方向セクションまたは側部から前記弁支持体まで屈曲する第2の移行区域をさらに含む、実施例18~20のいずれかに記載の前記デバイス。
22.前記固着部材の前記第1の部分または前記組織固定部分が、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して、少なくとも実質的に平行に延在する、実施例18~21のいずれかに記載の前記デバイス。
23.前記縦方向寸法が、前記固着部材の中心縦軸であり、前記固着部材の前記第1の部分または前記組織固定部分が、前記中心縦軸に向かって内向きに傾斜した角度で延在する、実施例18~21のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
24.前記固着部材の前記第1の部分または前記組織固定部分が、正円筒形状を有するリングと、前記リングから突出する複数の鉤とを備える、実施例18~23のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
25.前記固着部材が、前記第1の部分または前記組織固定部分において第1の端部と、前記第2の部分または前記一体化領域において第2の端部とを有し、前記固着部材の前記第2の端部が、前記弁支持体の下流領域に接続される、実施例18~24のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
26.前記固着部材が、前記第1の部分または前記組織固定部分において第1の端部と、前記第2の部分または前記一体化領域において第2の端部とを有し、前記固着部材の前記第2の端部が、前記弁支持体の上流領域に接続される、実施例18~24のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
27.前記固着部材と前記弁支持体との間の区画、及び前記区画中の材料をさらに備える、実施例18~26のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
28.前記区画が、前記固着部材及び/または前記弁支持体に取り付けられた繊維容器を備え、前記材料が、抗凝固剤及び/または治癒剤のうちの少なくとも1つを含む、実施例27のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
29.前記側部が、外向き裾広セクションを備え、前記固着部材の前記第1の部分または前記固定部分が、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して、少なくとも実質的に平行に延在する、実施例18~28のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
30.前記側部が、外向きに延在する円錐状セクションを備え、前記固着部材の前記第1の部分または前記固定部分が、前記固着部材の前記縦方向寸法に対して、少なくとも実質的に平行に延在する、実施例18~28のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
31.人工心臓弁の運転のための方法であって、前記人工心臓弁デバイスがヒトの心臓中において固着部材と、前記固着部材に連結される弁支持体とを含み、前記固着部材が、組織固定部分と、前記弁支持体に取り付けられる一体化領域と、前記組織固定部分と前記一体化領域との間の側部とを有し、前記方法が、
組織固定部分が前記弁支持体から離間されたサイズ及び形状を有するように、前記固着部材及び前記弁支持体を拡大することと、
前記組織固定部分が非円形形状に変形するように、前記固着部材及び前記弁支持体を移動することと、を含み、
前記弁支持体の支持領域が、前記固着部材の前記組織固定部分から機械的に隔離され、それにより前記弁支持体の前記支持領域が、人工弁を支持する所定の断面形状を有し、それにより前記人工弁の人工弁尖が、前記人工弁を通る逆流を阻止するように十分に相互に接触する、前記方法。
32.前記固着部材の前記組織固定部分が、前記固着部材の縦軸に対して少なくとも実質的に平行に延在する外面を有する正円筒を備える、実施例31に記載の前記方法。
33.前記側部が、前記弁支持体または前記固着部材の前記縦軸に対して横断的に延在する横方向セクションと、前記横方向セクションから前記組織固定部分までの第1の屈曲を有する少なくとも第1の移行区域とを有する、実施例31~32のいずれかに記載の前記方法。
34.前記側部が、前記横方向セクションから前記一体化領域までの第2の屈曲を有する第2の移行区域をさらに含む、実施例32に記載の前記方法。
35.前記側部が、前記一体化領域から外向きに突出し、前記第1の屈曲が、前記側部から上に角度を成す、実施例33及び34のいずれかに記載の前記方法。
36.前記側部が、前記一体化領域から外向きに突出し、前記第1の屈曲が、前記側部から下に角度を成す、実施例33及び34のいずれかに記載の前記方法。
37.弁輪と前記弁輪に連結される弁尖とを有する天然心臓弁を置換する方法であって、前記方法が、
患者の心臓中の天然僧帽弁の場所に、固着部材及び弁支持体を含む人工心臓弁を位置付けることであって、前記固着部材が、第1の部分及び第2の部分を有し、前記弁支持体が第1の領域及び第2の領域を有する、位置付けることと、
前記固着部材の前記第1の部分が前記弁輪の上またはその下流の組織に係合し、かつ前記天然僧帽弁の場所の前記弁輪の形状に少なくとも部分的に適合するように、前記固着部材の前記第2の部分を前記弁支持体の前記第2の領域に連結する一方で、前記固着部材及び前記弁支持体を拡大することと、を含み、
拡大時、前記弁支持体の前記第1の領域が、前記固着部材の前記第1の部分から内向きに離間され、前記弁支持体の前記第1の領域が、人工弁尖を有する人工弁を保ち、それにより前記人工弁尖が、前記固着部材の前記第1の部分が前記天然僧帽弁の前記弁輪の前記形状に適合した後に、前記人工弁を通る逆流を阻止するように十分に相互に接触する、前記方法。
38.人工心臓弁デバイスであって、
ヒトの心臓の天然心臓弁を通る血流に対する上流領域及び下流領域を有する弁支持体であって、前記上流領域が人工弁を支持するように構成され、前記人工弁が複数の弁尖を有し、かつ前記弁尖が前記人工弁を通る逆流を防止するように十分に接合する、未変形の形状を有する、弁支持体と、
前記天然心臓弁の天然弁輪の上または下側の埋込部位で組織に係合するように、かつ前記固着部材の縦軸に略平行な角度、または上流方向において内向きに漸減する角度で、上流方向に延在するように構成される外向き係合表面を含む固着部材であって、固定部分が展開状態において前記埋込部位の前記組織の形状に適合するように非円形形状に変形可能である、固着部材と、
前記固着部材を前記弁支持体に相互接続する接続構造と、を備え、
前記固着部材が前記非円形形状へと変形した場合に、前記弁支持体の前記上流領域が前記未変形の形状を維持するように、前記固着部材の前記組織固定部分が、前記弁支持体の前記上流領域から機械的に隔離される、前記人工心臓弁デバイス。
39.前記接続構造が、複数の支柱を備え、各支柱が、前記弁支持体に接続される内端と、前記固着部材に接続される外端とを備える、実施例38に記載の前記人工心臓弁デバイス。
40.前記接続構造が、前記上流方向に外向きに広がる裾広部分を有する、実施例38~39のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
41.前記固着部材が前記埋込部位にあるとき、前記裾広部分が前記天然弁輪の下流に全体的に配置されるように前記接続構造が構成される、実施例40に記載の前記人工心臓弁。
42.前記接続構造が、前記固着部材に接続される上流端を有し、前記上流端が、前記固着部材が前記埋込部位にあるとき、前記天然弁輪の下側に位置付けるために構成される、実施例38~41のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
43.前記固定表面上に複数の鉤をさらに備え、前記鉤が、上流方向を指し、かつ前記組織に係合して、前記天然弁輪に対する前記固着部材の上流移動に抵抗するように構成される、実施例38~42のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
44.前記組織との係合時、前記固定表面が不偏配向から埋込配向まで移動可能であるように、前記固定表面が、前記縦軸に対して様々な角度にわたって偏向可能である、実施例38~43のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
45.前記固定表面が、前記接続構造に対して様々な角度にわたって偏向可能である、実施例44に記載の前記人工心臓弁デバイス。
46.前記固定部分が、第1の可撓性を有し、前記接続構造が、前記第1の可撓性とは異なる第2の可撓性を有する、実施例38~45のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
47.前記固定部分が、第1の可撓性をもつ下流領域と、前記第1の可撓性とは異なる第2の可撓性をもつ上流領域とを有する、実施例38~45のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
48.前記固定部分が、その内向き表面を覆うスカートを備える、実施例38~47のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
49.前記スカートが、前記接続構造の内向き側面をさらに覆う、実施例48に記載の前記人工心臓弁デバイス。
50.前記弁支持体の周囲で延在する、管状弁カバーをさらに備え、前記スカートと前記弁カバーとの間の血流を阻止するよう、前記スカートが前記弁カバーに取り付けられる、実施例48に記載の前記人工心臓弁デバイス。
51.前記弁カバーが、前記弁支持体の内向き表面上に配置される、実施例50に記載の前記人工心臓弁デバイス。
52.前記固定表面が、不偏条件において、前記弁支持体の外向き表面に対して略平行な角度で配置される、実施例38~51のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
53.前記弁支持体が下流端を有し、前記固着部材が、前記係合表面が前記埋込部位にあるとき、前記天然弁輪の下流16mm未満に前記下流端が配置されるように構成される、実施例38~52のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
54.前記固定表面が、前記縦軸に対して平行な方向において、少なくとも約10~20mmの幅を有する、実施例38~53のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
55.前記接続構造が、前記縦軸に対して平行に、前記内端から前記外端までで約15mm未満の距離延在する、38~54に記載の前記人工心臓弁デバイス。
56.人工心臓弁デバイスであって、
ヒトの心臓の天然心臓弁を通る血流に対する上流領域及び下流領域を有する弁支持体であって、前記上流領域が人工弁を支持するように構成され、前記人工弁が複数の弁尖を有し、かつ前記弁尖が前記人工弁を通る逆流を防止するように十分に接合する、未変形の形状を有する、弁支持体と、
接続構造及び固定部分を含む固着部材であって、前記接続構造が、前記弁支持体に接続される内端、前記固定部分に接続される外端、及び前記内端と前記外端との間の上流方向に外向きに広がる中間部分を有し、前記固定部分が、前記天然心臓弁の天然弁輪の上または下側の埋込部位の組織を、前記天然弁輪の下流に全体的に配置される前記接続構造の前記裾広部分と係合するように構成される外向き係合表面を有し、前記係合表面が、前記固着部材の縦軸に略平行な角度、または上流方向において内向きに漸減する角度で上流方向に延在し、前記固定部分が、展開状態において前記埋込部位で前記組織の形状に適合するように非円形形状へと変形可能である、固着部材と、を備え、
前記固着部材が前記非円形形状へと変形した場合に、前記弁支持体の前記上流領域が前記未変形の形状を維持するように、前記固着部材の前記固定部分が、前記弁支持体の前記上流領域から機械的に隔離される、前記人工心臓弁デバイス。
57.人工心臓弁デバイスであって、
ヒトの心臓の天然心臓弁を通る血流に対する上流領域及び下流領域を有する弁支持体であって、前記上流領域が人工弁を支持するように構成され、前記人工弁が複数の弁尖を有し、かつ前記弁尖が前記人工弁を通る逆流を防止するように十分に接合する、未変形の形状を有する、弁支持体と、
接続構造及び固定部分を含む固着部材であって、前記接続構造が、前記弁支持体に接続される内端、及び前記固定部分に接続される外端を有し、前記固定部分が、前記天然心臓弁の天然弁輪の上または下側の埋込部位の組織に係合するように構成される外向き係合表面を有し、前記固着部材が、第1の可撓性をもつ下流領域、及び前記第1の可撓性とは異なる第2の可撓性をもつ上流領域を有し、前記固定部分が、展開状態において前記埋込部位で前記組織の形状に適合するように非円形形状へと変形可能である、固着部材と、を備え、
前記固着部材が前記非円形形状へと変形した場合に、前記弁支持体の前記上流領域が前記未変形の形状を維持するように、前記固着部材の前記固定部分が、前記弁支持体の前記上流領域から機械的に隔離される、前記人工心臓弁デバイス。
58.前記上流領域が、前記固定部分の中にあり、前記下流領域が、前記接続構造の中にある、実施例57に記載の前記人工心臓弁デバイス。
59.前記上流領域が、前記固定部分の上流部分の中にあり、前記下流領域が、前記固定部分の下流部分の中にある、実施例57に記載の前記人工心臓弁デバイス。
60.人工心臓弁デバイスであって、
入口端及び出口端を伴う管状固定フレームを有する固着部材と、
前記固着部材に連結される第1の部分と、前記固着部材から機械的に隔離される第2の部分とを有し、それにより前記固着部材の前記入口端が、前記第2の部分を実質的に変形することなく、半径方向に変形可能である、管状弁支持体と、
前記弁支持体に連結され、かつ前記弁支持体を通る血流が遮断される閉鎖位置と、前記弁支持体を通って下流方向に血流が許容される開放位置とから移動可能である少なくとも1つの弁尖を有する、弁と、
前記固定フレームに連結され、かつそこから半径方向外向きに延在する拡張部材であって、前記拡張部材の少なくとも変形可能な部分が前記固着部材から機械的に隔離され、それにより前記拡張部材の前記変形可能な部分が前記固着部材を実質的に変形することなく半径方向に変形可能である、拡張部材と、を備える、前記人工心臓弁デバイス。
61.前記拡張部材が、前記固定フレームに連結され、かつそこから半径方向外向きに延在する、可撓性材料のシートから成る縁部と、前記縁部に連結される支持構造とを含み、前記支持構造が前記縁部よりも剛性である、実施例60に記載の前記人工心臓弁デバイス。
62.人工心臓弁デバイスであって、
接続構造及び半径方向に拡大可能な固定フレームを有する固着部材であって、前記接続構造が、前記固定フレームに連結される第1の端部と、弁支持体に連結される第2の端部と、前記固定フレームを前記弁支持体から離間する側部とを有する、固着部材と、
前記弁支持体に連結され、かつ内部を通る血流が遮断される閉鎖位置と、入口端から出口端へ向かう流れの方向で内部を通る血流が許容される開放位置とから移動可能である少なくとも1つの弁尖を有する、弁と、
拡張部材であって、
前記固定フレームに連結され、かつそこから半径方向外向きに延在する、可撓性材料のシートから成る縁部、及び
前記縁部に連結される支持構造を備え、前記支持構造が前記縁部よりも剛性である、拡張部材と、を備え、
前記拡張部材が、前記流れの方向に対して横断する軸の周囲の前記固定フレームに対して偏向可能であり、前記固定フレームが、前記弁支持体から少なくとも部分的に独立して変形するように構成される、前記人工心臓弁デバイス。
63.前記支持構造が、弾性であり、前記固定フレームよりも可撓性である、実施例61及び62のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
64.前記弁支持体が、前記入口端と出口端との間に延在する縦軸の周囲に形成される、略円筒形弁フレームを備える、実施例60~63のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
65.前記弁フレームが、上肢及び下肢を有し、前記固着部材が、前記弁フレームの前記下肢に連結される、実施例64に記載の前記人工心臓弁デバイス。
66.前記弁フレームの前記下肢と、前記固着部材とを相互接続する複数の接続部材をさらに備える、実施例65に記載の前記人工心臓弁デバイス。
67.前記固着部材の上流端が、前記弁フレームの前記上肢を実質的に変形することなく前記固着部材の前記上流端が半径方向に変形可能であるように、前記弁フレームの前記上肢から半径方向に離間される、実施例65に記載の前記人工心臓弁デバイス。
68.前記固着部材が、前記固定フレームに連結され、かつその内部を包囲する可撓性材料のカバーを備える、実施例61~63のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
69.前記縁部が、前記カバーの円周に取り付けられる内縁を有する、実施例68に記載の前記人工心臓弁デバイス。
70.前記縁部及び前記カバーが、材料の連続シートを備える、実施例68に記載の前記人工心臓弁デバイス。
71.前記支持構造が、複数の支柱を備える、実施例61及び62のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
72.前記支柱が、前記固定フレームに直接的には接続されない、実施例71に記載の前記人工心臓弁デバイス。
73.前記支柱が、前記固定フレームから離間される、実施例71に記載の前記人工心臓弁デバイス。
74.前記支柱が、前記固定フレームに直接的に連結される、実施例71に記載の前記人工心臓弁デバイス。
75.前記拡張部材が、それが前記固着部材から半径方向外向きに延在する不偏構成を有し、かつそれが上流方向にさらに延在する偏向構成に偏向可能であり、前記拡張部材が、前記不偏構成に戻るように弾性的に付勢される、実施例60~62のいずれかに記載の前記人工心臓弁。
76.前記支柱が、前記固定フレームから離れて半径方向に延在する、実施例71に記載の前記人工心臓弁デバイス。
77.前記支柱が、拡張部材の周囲に連続リングを形成する、実施例71に記載の前記人工心臓弁デバイス。
78.前記支柱が、前記拡張部材の周囲に波状、ジグザグ、または菱形パターンを形成する、実施例77に記載の前記人工心臓弁デバイス。
79.前記支柱が、前記縁部に縫い付けられる、実施例71に記載の前記人工心臓弁デバイス。
80.前記拡張部材が、前記固着部材の上流端から延在する複数の離散的なペタルを備える、実施例60~63のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
81.展開状態において、前記固定フレームが、心臓弁の天然弁輪の下流の組織に係合するように構成され、前記拡張部材が、前記天然弁輪の上流の組織に係合するように構成される、実施例60~63のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
82.前記拡張部材が、前記天然弁輪の上流の前記組織に係合することによって、前記天然弁輪に対して前記心臓弁デバイスを整合するように構成される、実施例81に記載の前記人工心臓弁デバイス。
83.前記支持構造が、弾性金属またはポリマーメッシュを備える、実施例61~63のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
84.前記支持構造が、複数の可撓性接続部材によって前記固定フレームに連結され、前記接続部材が、前記固定フレームよりも実質的に剛性が低い、実施例61~63のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
85.前記拡張部材が、前記縁部のみによって前記固着部材に連結される、実施例61~63のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
86.人工心臓弁デバイスであって、
内部を伴い、上流端及び下流端を有する管状固定フレームを有する固着部材と、
前記固着部材に連結され、かつ前記内部を通る血流が遮断される閉鎖位置と、前記上流端から前記下流端へ向かう流れの方向で前記内部を通る血流が許容される開放位置とから移動可能である少なくとも1つの弁尖を有する、弁と、
拡張部材であって、
前記固着部材にその前記上流端付近で連結され、かつそこから半径方向外向きに延在する、可撓性材料のシートから成る縁部、及び
前記縁部に連結され、かつ前記固定フレームから構造的に独立する、弾性支持構造を備える、拡張部材と、を備え、
前記拡張部材が、前記固着部材を実質的に変形することなく、半径方向に変形可能である、前記人工心臓弁デバイス。
87.天然心臓弁を置換する方法であって、
天然弁輪の上流の第1の心腔中に送達デバイスで補綴を位置付けることであって、前記補綴が折り畳み構成である、位置付けることと、
前記第1の心腔中の前記補綴の拡張部材を、前記補綴の固着部材が少なくとも部分的に折り畳まれたままである間に、前記拡張部材が少なくとも部分的に拡大形状へと拡大するように、展開することと、
前記天然心臓弁を包囲する前記第1の心腔の壁との係合による、前記拡張部材のインジケータ部分の偏向を引き起こすように、前記補綴を移動することと、
前記拡張部材の前記インジケータ部分を可視化して、前記インジケータ部分の偏向に基づいて、天然弁輪に対する前記補綴の位置を決定することと、
前記補綴の前記固着部材を、前記補綴を定位置で固着するよう、それが前記天然弁輪の下流の心臓組織との係合へと拡大するように、展開することと、を含む、前記方法。
88.前記インジケータ部分が、X線不透過性材料を備え、前記インジケータ部分がX線透視法を使用して可視化される、実施例87に記載の前記方法。
89.前記インジケータ部分が、エコー源性材料を備え、前記インジケータ部分が超音波を使用して可視化される、実施例87に記載の前記方法。
90.前記インジケータ部分が、1つ以上の金属性部材を備える、実施例87に記載の前記方法。
91.前記インジケータ部分が、前記天然弁輪を含有する面に対して略平行な軸の周囲で偏向する、実施例87に記載の前記方法。
92.前記インジケータ部分が、前記天然弁輪を含有する面と角度を形成し、前記角度が、前記インジケータ部分が偏向されるに従って増加する、実施例87に記載の前記方法。
93.前記インジケータ部分が、前記可視化ステップ中に前記面と第1の角度を形成し、前記インジケータ部分が、前記固着部材が展開される前に前記第1の角度未満の第2の角度を前記面と形成するように、前記可視化ステップ後に前記補綴を移動することをさらに含む、実施例92に記載の前記方法。
94.天然心臓弁を置換する方法であって、
天然弁輪の上流の第1の心腔中に送達デバイスで補綴を位置付けることであって、前記補綴が折り畳み構成である、位置付けることと、
前記第1の心腔中の前記補綴の拡張部材を、前記補綴の固着部材が少なくとも部分的に折り畳まれたままである間に、前記拡張部材が少なくとも部分的に拡大形状へと拡大するように、展開することと、
前記補綴の前記固着部材を、前記補綴を定位置で固着するよう、それが前記天然弁輪の下流の心臓組織との係合へと拡大するように、展開することと、
前記拡張部材が、前記固着部材の任意の変形よりも、より大きな程度で半径方向に変形することを許容することと、を含む、前記方法。
95.前記固着部材に連結される管状弁支持体を拡大することをさらに含み、前記弁支持体が、それに連結される弁を有する、実施例94に記載の前記方法。
96.前記弁支持体が、前記固着部材の下流端に連結される下肢と、前記固着部材の上流端から機械的に隔離される上肢とを有する、実施例95に記載の前記方法。
97.前記弁支持体の前記第2の端部を実質的に変形することなく、前記固着部材が半径方向に変形することを許容することをさらに含む、実施例96に記載の前記方法。
98.前記拡張部材が、可撓性連結部材によって前記固着部材に連結され、前記連結部材が、前記固着部材よりも実質的に剛性が低い、実施例94に記載の前記方法。
99.前記連結部材が、繊維である、実施例98に記載の前記方法。
100.人工心臓弁デバイスであって、
内部を伴い、上流端及び下流端を有する半径方向に拡大可能なフレームを有する固着部材であって、前記上流端が、対象中の心臓弁の天然弁輪に、及び/またはその下流に位置する組織に係合するように構成され、かつ前記組織の形状に一致するように少なくとも部分的に変形可能であるように構成される組織固定部分を含む、固着部材と、
前記固着部材に対して位置付けられ、かつ前記内部を通る血流が遮断される閉鎖位置と、前記上流端から前記下流端へ向かう流れの方向で前記内部を通る血流が許容される開放位置とから移動可能である少なくとも1つの弁尖を有する、弁であって、前記弁が、前記組織固定部分が前記組織の前記形状に一致するように変形されるとき、前記弁が有能なままであるように、前記固着部材の前記組織固定部分から内向きに離間される、弁と、
前記拡大可能なフレームの前記上流端に近接する前記固着部材に可撓的に連結される拡張部材であって、前記拡張部材が、薄型構成において前記流れの方向に沿って縦方向に延在し、かつ展開構成において前記流れの方向に対して横方向に突出するように付勢され、前記拡張部材が、前記展開構成において前記拡大可能なフレームに対して変形するように構成される、拡張部材と、を備える、前記人工心臓弁デバイス。
101.前記拡張部材が、前記フレームの前記上流端から突出する縁部を備える、実施例100に記載の前記人工心臓弁デバイス。
102.前記拡張部材が、ショルダを備える、実施例100に記載の前記人工心臓弁デバイス。
103.前記拡張部材が、前記固着部材とは別個の拡大リングを備え、前記デバイスが、前記拡大リング及び前記固着部材に取り付けられるテザーをさらに含む、実施例100に記載の前記人工心臓弁デバイス。
104.前記縁部が、カバーを備える、実施例101、102、及び103のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
105.前記カバーが、ウェブ材料を備える、実施例104に記載の前記人工心臓弁デバイス。
106.前記ウェブが、可撓性材料の織物、編組、及び/または格子を備える、実施例105に記載の前記人工心臓弁デバイス。
107.前記ウェブが、形状記憶ポリマー材料、形状記憶金属、及び/または繊維を備える、実施例105及び106のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
108.前記拡張部材が、前記縁部に取り付けられる支持構造をさらに備える、実施例101~107のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
109.前記支持構造が、前記縁部よりも剛性である不撓性部材を備える、実施例108に記載の前記人工心臓弁デバイス。
110.前記不撓性部材が、ポリマー材料及び/または金属から形成される足場を備える、実施例109に記載の前記人工心臓弁デバイス。
111.前記足場が、蛇状、ジグザグ、菱形パターン、及び/または正方形パターンを有する、実施例110に記載の前記人工心臓弁デバイス。
112.前記足場が、連続支柱を備える、実施例111に記載の前記人工心臓弁デバイス。
113.前記足場が、ともに接続される複数の支柱を備える、実施例111に記載の前記人工心臓弁デバイス。
114.前記支持部材が、支持部材が前記縁部によって前記固着部材に間接的にのみ連結されるように、前記拡大可能なフレームから離間される、実施例108~113のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
115.前記支持部材が、前記拡大可能なフレームから機械的に隔離される、実施例108~113に記載の前記人工心臓弁デバイス。
116.前記支持部材が、前記固着部材の前記フレームから離間され、かつ前記縁部によって前記固着部材に間接的に連結される、実施例115に記載の前記人工心臓弁デバイス。
117.前記支持部材が、前記拡大可能なフレームに直接的に接続される、実施例108~113のいずれかに記載の前記人工心臓弁デバイス。
118.天然心臓弁を置換する方法であって、
天然弁輪の上流の第1の心腔中に送達デバイスで補綴を位置付けることであって、前記補綴が折り畳み構成である、位置付けることと、
前記第1の心腔中の前記補綴の拡張部材を、前記補綴の固定部材が少なくとも部分的に折り畳まれたままである間に、前記拡張部材が少なくとも部分的に拡大形状へと拡大するように、展開することと、
前記拡大された拡張部材が、少なくとも部分的に内向きに折り重なり、前記固定部材を前記天然弁輪に対して所望の場所に位置付けるように、下流方向に前記補綴を移動することと、
前記補綴の前記固定部材を、前記補綴を定位置で固着するよう、それが前記天然弁輪の下流の心臓組織との係合へと拡大するように、展開することと、を含む、前記方法。
119.撮像モダリティを介して、前記補綴を下流に移動させる間に内向きに折り重なる前記拡張部材を可視化することをさらに含む、実施例118に記載の前記方法。
120.前記拡張部材が、前記固定部材を前記天然弁輪と整合させる、実施例118及び119のいずれかに記載の前記方法。
121.前記拡張部材が、経時的に付加的な固定及び密閉を提供するように、前記拡張部材が、組織内方成長のために構成される、実施例118~120のいずれかに記載の前記方法。
結語
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的となること、または本技術を上で開示される正確な形態に限定することを目的としていない。本技術の具体的実施形態及び実施例は、例証目的で上に説明されるが、当業者によって認識されるように、種々の同等な修正が本技術の範囲内で可能である。例えば、ステップは所与の順序で提示されるが、代替的な実施形態は、異なる順序でステップを行ってもよい。本明細書で説明される種々の実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するように組み合わされてもよい。
先述の内容から、本技術の具体的実施形態は、例証の目的で本明細書において説明されているが、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、周知の構造及び機能は詳細に示されず、または説明されていないことが理解されるであろう。文脈が許可する場合、単数形または複数形の用語はまた、それぞれ、複数形または単数形の用語を含んでもよい。
また、「または」という言葉が、2つ以上の項目のリストを参照して、他の項目から排他的な単一の項目のみを意味するように明示的に限定されない限り、次いで、そのようなリストの中の「または」の使用は、(a)リストの中の任意の単一の項目、(b)リストの中の項目の全て、または(c)リストの中の項目の任意の組み合わせを含むものとして解釈されるものである。加えて、「備える」という用語は、任意のより多くの数の同一の特徴及び/または付加的な種類の他の特徴が除外されないように、少なくとも記載された特徴(複数可)を含むことを意味するために、全体を通して使用される。また、具体的実施形態が、例証の目的で本明細書において説明されているが、本技術から逸脱することなく、種々の修正が行われてもよいことも理解されるであろう。さらに、本技術のある実施形態と関連付けられる利点が、これらの実施形態との関連で説明されているが、他の実施形態もまた、そのような利点を示してもよく、全ての実施形態が、本技術の範囲内に入るために、そのような利点を必ずしも必要とするわけではない。したがって、本開示及び関連技術は、本明細書で明示的に示されていない、または説明されていない、他の実施形態を包含することができる。