JP7032776B2 - 太陽電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
工程1は、SOI基板の表面を酸化(熱酸化)させる工程である(図1)。これは、後述の工程3における異方性エッチングのときにマスクとして機能するSiO2層を、基板最表面のSi層に形成することを目的として、行われるものである。本実施形態では、基板としてSOI基板10を用いる。SOI基板10は、例えば基板の下からSi層11、SiO2層12、Si層13という3層の構造となっている。この最上面のSi層11を800℃~1100℃の熱処理により酸化させることで、SiO2層14を形成する。SiO2層14の膜厚は約700nmとするのが望ましい。熱酸化には酸化に用いるガスの種類によりドライ酸化、ウェット酸化、スチーム酸化の3つの方法がある。ドライ酸化は酸素ガスを使い、ウェット酸化は酸素ガスに脱イオン水蒸気を加えて使い、スチーム酸化は脱イオン水蒸気のみ使う。水素燃焼スチーム酸化方式では炉内に酸素ガスと水素ガスを流して自然燃焼して発生するH2Oを使う。
工程2は、フォトリソグラフィー(ポジ型)を行う工程である(図2(a)(b))。まず、工程1で熱酸化によりSiO2層14が形成されたウェハー上に、レジスト15を、スピンコーターや吹きつけ等によって塗布する。そして、酸化膜パターンのマスク16を用いて、パターニングを行う(図2(a))。パターニング後、レジストを除去する。図2(b)は、レジスト除去後のパターニングされたSiO2層14を示す。このように、工程2によって、工程3においてマスクとして機能するパターニングされたSiO214が形成される。本明細書では、2セル直列の場合を例に取りパターニングした例で説明を行う。もちろん、本開示の技術的事項は、2セル直列となる場合に限定されるものではなく、Nセル(Nは2以上の整数。)が直列された太陽電池の製造に適用可能である。
工程3は、異方性エッチング工程である(図3及び図4)。水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等の異方性エッチング剤を用いて、異方性エッチングを行い、図3に示すとおり、セル部分(凸部)20と、セル部分20の周囲に配置されるSi壁部分30とを形成する。図4(a)は、図3の一部の拡大図である。図4(a)に詳細に示すように、Si層13を異方性エッチングすることにより、SiO2層12を露出させ(図4(a)における符号117)、Si層の斜面(図4における符号119)を作ることが目的である。したがって、TMAH以外であっても、Si/SiO2のエッチング選択比が高く、かつ、Si(100)面/Si(111)面のエッチング選択比が高い他のエッチャントを使用してもよい。
工程4は、工程3で露出した(111)面の表面を追加的に酸化する追加酸化工程である。図4(b)は工程3を経ることで形成されたセル部分20及びセル部分20の周囲に配置されるSi壁部分30を平面から観察した図面である。図4(b)の符号Lはセルの長手方向を示し、符号Wuは短手方向を示す。図5(b)は、図5(a)のa-a’断面から見た工程3で露出されたセル部分20のSi層13の長手方向の斜面((111)面)を追加的に酸化することでその表面に酸化膜(SiO2膜)が形成された状態を示す図である。図5(b)は、図5(a)のb-b’断面から見た工程3で露出されたセル部分20のSi層13の短手方向の斜面((111)面)を追加的に酸化することでその表面に酸化膜(SiO2膜)が約200nm程度形成された状態を示す図である。SiO2層14の厚さは、この追加的な酸化工程によって、膜厚は約720nm程度とするのが望ましい。
工程5は、フォトリソグラフィー(ネガ型)工程である。図6はネガレジスト27を塗布し、その上に、Si層13の短手方向の斜面((111)面)及びSi壁部分30を覆うマスク26を配置した状態を示す図である。この工程5によって、Si層13の短手方向の斜面((111)面)及びSi壁部分30の表面にみを酸化膜で保護することが可能となる。
工程6は、工程4によって形成された表面の酸化膜を選択的にエッチングすることで、Si層13の長手方向の斜面((111)面)の酸化膜を完全に除去し、長手方向の斜面((111)面)のSi層13を露出させる工程である。図7は、長手方向の斜面((111)面)のSi層13が露出した状態を示す図である。工程5において、Si層13の短手方向の斜面((111)面)及びSi壁部分30の上に形成されている酸化膜は、マスク26によって保護されているため、エッチングされていない。したがって、Si層13の短手方向の斜面((111)面)の酸化膜の膜厚は工程5の時点と変わらない。また、工程6は、工程4によって形成された長手方向の斜面((111)面)の酸化膜を除去するエッチングである。工程4によって厚さが増加しているSiO2層14は、完全に除去されることなく残されている。
工程7は、図8に示すように、斜めイオン(P+イオン)注入の工程である。工程6におけるSOI基板10の状態から、図9に示すように、SOI基板10を時計の針の回転方向に略60度(たとえば、55度~65度程度)回転させて、P+イオンをSi層13の長手方向の(111)面の斜面に注入する。エッチングによって生じた斜面の角よりも大きい略60度という角度を傾けてP+イオンを注入することによって、Si層13の長手方向の(111)面の斜面であって、所定の斜面(第1の斜面)にのみ、P+イオンを注入し、N型半導体層を形成することが可能となる。なお、図9は基板の回転方向を示すためのものであって、一例に過ぎない。
工程8は、斜めイオン(B+イオン)注入工程である。工程6後のSIO基板10の状態を基準に、基板を時計方向に略60度(たとえば、55度~65度程度)回転させてSi層13の長手方向の(111)面の斜面であって所定の斜面(第2の斜面)にB+イオンを注入する。すなわち、工程7におけるSOI基板10の位置から基板を反時計回りに略120度(110度~130度程度)回転させた状態(図11参照)でイオン注入を行う。なお、図11は基板の回転方向を示すためのものであって、一例に過ぎない。
工程9は、アニーリングを行う工程である(図12)。アニーリングを行うことで、B+イオンを注入した領域はP型半導体層となり、P+イオンを注入した領域はN型半導体層とすることができる。
工程10は、具体的には、図13に示すとおり、Si壁部分30の上に配置された酸化膜を保護するための、フォトリソグラフィー(ネガ型)工程である。
工程11は、酸化膜のエッチングを行うことで、図14に示すとおり、セル部分20の上面のSiO2膜14の膜厚を一部取り除く工程である。この工程では、セル部分20の上面のSiO2膜14の膜厚を約100nmの膜厚とするのが望ましい。セル部分20の上面のSiO2膜14を約100nmにすると、500nm程度までの波長の光の反射を減らし、効率よく光を吸収することが可能となる。
工程12は、上記工程11のSIO基板10に対して、電極となるアルミニウムを形成するために、全面にアルミニウムをスパッタリングする工程である。図15(a)は、全面にアルミニウム31が形成された状態を示す図である。アルミニウムの膜厚は1μm程度が望ましい。
工程13は、フォトリソグラフィー工程(ポジ型)である。これにより、全面に塗布されたアルミニウム31を電極パターン化することができる。具体的には、図15(b)に示すとおり、工程12によってアルミニウム31が全面的に形成されたウェハー上にレジスト32を、スピンコーターや吹きつけ等によって塗布する。そして、酸化膜パターンのマスク33を用いて、パターニングを行う。パターニング後、レジストを除去することで、アルミニウムを電極パターン化した(図16(a))。
Claims (3)
- 太陽電池であって、
前記太陽電池は、SiO 2 層と該SiO 2 層の表面上に形成されたSi層とからなるSOI基板と、前記Si層で形成され互いに離隔して配置される複数のテーパ状の凸部と、前記複数のテーパ状の凸部の周囲に前記複数のテーパ状の凸部と離隔して配置される前記Si層で形成された隔壁とを有し、
前記複数のテーパ状の凸部の各々は前記SiO 2 層の前記表面に対し0度よりも大きく90度よりも小さい範囲の角度を有する第1の斜面と前記第1の斜面とは反対側に形成され前記SiO 2 層の表面に対して0度よりも大きく90度よりも小さい範囲の角度を有する第2の斜面とから構成され、
前記第1の斜面及び前記第2の斜面はいずれも、(111)面であり、
前記複数のテーパ状の凸部の各々においては、前記第1の斜面のみにイオン注入N型半導体層が形成されるとともに、前記第2の斜面のみにイオン注入P型半導体層が形成され、
前記隔壁の表面には酸化膜が形成され、
前記イオン注入P型半導体層の各々とこれに対向する前記イオン注入N型半導体層の各々とをそれぞれ電気的に接続する第1の電極が形成され、
前記隔壁の一部と対向する前記イオン注入N型半導体層には前記隔壁の前記一部の表面に形成された前記酸化膜上に延在する第2の電極が形成され,
前記隔壁の他の一部と対向する前記イオン注入P型半導体層には前記隔壁の他の一部の表面に形成された前記酸化膜上に延在する第3の電極が形成され、
ている、ことを特徴とする太陽電池。 - 前記第1の斜面及び前記第2の斜面は、前記太陽電池におけるテーパ形状の凹部を構成することを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池。
- 太陽電池の製造方法であって、前記太陽電池の製造方法は、
SiO 2 層と該SiO 2 層の表面上に形成されたSi層とからなるSOI基板の表面を酸化することで前記SOI基板の最表面に酸化膜を形成し、
前記SOI基板に対して異方性エッチングを行うことによりSi層で形成され互いに離隔して配置される複数のテーパ状の凸部と、前記複数のテーパ状の凸部の周囲に前記複数のテーパ状の凸部と離隔して配置される前記Si層で形成された隔壁とを形成し、
前記複数のテーパ状の凸部の各々は前記SiO 2 層の前記表面に対し0度よりも大きく90度よりも小さい範囲の角度を有するSi(111)面からなる第1の斜面と前記第1の斜面とは反対側に形成され前記SiO 2 層の前記表面に対して0度よりも大きく90度よりも小さい範囲の角度を有するSi(111)面からなる第2の斜面とを有し、
前記SiO 2 層の前記表面に対して斜め方向から前記第1の斜面に対してイオン注入行うことによりN型半導体層を形成し、
前記SiO 2 層の前記表面に対して斜め方向から前記第2の斜面に対してイオン注入行うことによりP型半導体層とを形成し、
前記隔壁の表面に、前記異方性エッチングを行った後に実施する追加的な酸化工程によって酸化膜を形成し、
前記P型半導体層の各々とこれに対向する前記N型半導体層の各々とをそれぞれ電気的に接続する第1の電極と、
前記隔壁の一部と対向する前記N型半導体層には前記隔壁の前記一部の表面に形成された前記酸化膜上に延在する第2の電極と、
前記隔壁の他の一部と対向する前記P型半導体層には前記隔壁の他の一部の表面に形成された前記酸化膜上に延在する第3の電極とを形成する、ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
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