JP7032666B2 - α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールの製造方法 - Google Patents
α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールの製造方法 Download PDFInfo
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Description
この化合物は、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールと比べて安定な化学種であり、一旦生成してしまうと、このままではα,α-ジフルオロアセトアルデヒドとして目的の反応を進行させるには、二量体をα,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールに収束させる工程が増えることになる。そのため、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタール中に二量体は発生させない、もしくはできる限り低減させておくことが望ましいと言える。
第1工程:
一般式[5]で表されるα,α-ジフルオロ酢酸エステル類を、一般式[2]で表されるアルコールを溶媒とし、塩基及びルテニウム触媒の存在下、水素(H2)と反応させる、または、一般式[5]で表されるα,α-ジフルオロ酢酸エステル類を、ヒドリド還元剤と反応させる、ことにより、一般式[3]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む混合物を製造する工程。
第2工程:
第1工程で得られた前記混合物に対し、中和処理を行い、その後、該混合物を反応容器に充填し、遮光条件下、該反応容器内の酸素(O2)濃度を5000ppm以下となるように調整し、続いて蒸留操作を行うことで、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールと、一般式[4]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドの二量体を含む、pHが3.5~10.0の混合物を得る工程。
第3工程:
第2工程で得られた前記混合物を反応容器に充填させ、遮光条件下、該反応容器内の気相部の酸素濃度を5000ppm以下となるよう調整した後、該混合物に対し、一般式[2]で表されるアルコールを反応させることで、該混合物中に含まれる二量体の少なくとも1部が減少した、もしくは該混合物中に含まれる二量体を実質的に含まない、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む混合物を得る工程。
次の工程を含む、一般式[3]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールの製造方法。
第1工程:
一般式[5]で表されるα,α-ジフルオロ酢酸エステル類を、一般式[2]で表されるアルコールを溶媒とし、塩基及びルテニウム触媒の存在下、水素(H2)と反応させる、または、一般式[5]で表されるα,α-ジフルオロ酢酸エステル類を、ヒドリド還元剤と反応させる、ことにより、一般式[3]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む混合物を製造する工程。
第2工程:
第1工程で得られた前記混合物に対し、中和処理を行い、その後、該混合物を反応容器に充填し、遮光条件下、該反応容器内の気相部の酸素濃度を5000ppm以下となるように調整し、続いて蒸留操作を行うことで、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールと、一般式[4]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドの二量体とを含む、pHが3.5~10.0の混合物を得る工程。
第3工程:
第2工程で得られた前記混合物を反応容器に充填させ、遮光条件下、該反応容器内の気相部の酸素濃度を5000ppm以下となるよう調整した後、該混合物に対し一般式[2]で表されるアルコールを反応させることで、該混合物に含まれる二量体の少なくとも1部が減少した、もしくは該混合物に含まれる二量体を実質的に含まない、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む混合物を得る工程。
第1工程において、ルテニウム触媒が式[6]または式[7]で表される触媒である、発明1に記載の製造方法。
第1工程において、ルテニウム触媒が、ルテニウム化合物を担体に担持した触媒である、発明1に記載の製造方法。
担体が、金属酸化物もしくは活性炭に担持した触媒である、発明4に記載の製造方法。
ルテニウム化合物が、ルテニウムのフッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、及びオキシフッ化塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、発明4または5に記載の製造方法。
第1工程において、ヒドリド還元剤が金属水素化物である、発明1に記載の製造方法。
金属水素化物が、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化シアノホウ素ナトリウムである、発明7に記載の製造方法。
第2工程において、混合物のpHの調整を、酸を加えることにより行う、発明1乃至8の何れかに記載の製造方法。
酸が、酢酸、安息香酸またはパラ-トルエンスルホン酸である、発明9に記載の製造方法。
第3工程において、アルコールがメタノール又はエタノールである、発明1乃至10の何れかに記載の製造方法。
第2工程または第3工程において、酸素濃度の調整を、容器内に不活性ガスをバブリングさせることにより行う、発明1乃至11の何れかに記載の製造方法。
まず、第1工程について説明する。第1工程は、一般式[5]で表されるα,α-ジフルオロ酢酸エステル類を、一般式[2]で表されるアルコールを溶媒とし、塩基及びルテニウム触媒の存在下、水素(H2)と反応させる、または、一般式[5]で表されるα,α-ジフルオロ酢酸エステル類を、ヒドリド還元剤と反応させる、ことにより、一般式[3]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む混合物を製造する工程である。
次に、第2工程について説明する。第2工程は、第1工程で得られた前記混合物に対し、中和処理を行い、その後、該混合物を反応容器に充填し、遮光条件下、該反応容器内の気相部の酸素濃度を5000ppm以下となるように調整し、遮光条件下で蒸留操作を行うことで、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールと一般式[4]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドの二量体を含む、pHが3.5~10.0の混合物を得る工程である。
容器に第1工程で得られたα,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む混合物を容器内に供給した後、不活性ガスを容器内の液相部にバブリングを行った後、容器内を密閉する、または、
前記混合物を容器内に供給した後、容器内を密閉し、混合物が容器外に排出されない程度に減圧操作を行った後、不活性ガスを容器内の液相部に吹き付ける、もしくは液相部に不活性ガスをバブリングさせる、
等が挙げられる。何れの場合も、液相部の溶存酸素濃度を低下すると共に、同時に容器内の気相部が不活性ガスに徐々に置換されることになる。
(1)不活性ガスを容器へ導入することで前記の酸素濃度範囲になるように調整する、または、
(2)酸素と、窒素、アルゴン等の不活性ガスとの混合ガスを吹き込み、容器内の酸素濃度を適切な範囲まで低下させる、または、
(3)α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む容器内を密閉し、容器内を減圧する、
等の方法が挙げられる。
次に、第3工程について説明する。第3工程については、第2工程で得られたα,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールと二量体とを含む混合物を反応容器に充填させ、遮光条件下、該反応容器内の気相部の酸素濃度を5000ppm以下となるよう調整した後、該混合物に対し、一般式[2]で表されるアルコールを加えることで、該混合物に含まれる二量体の少なくとも1部が減少した、もしくは該混合物に含まれる二量体を実質的に含まない、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む混合物を得る工程である。
第1工程:
ステンレス鋼製耐圧反応容器にα,α-ジフルオロ酢酸エチル109g(0.88モル)、下記式で表されるルテニウム触媒0.107g(0.18ミリモル)、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液42g(ナトリウムメトキシドとして0.22モル)、メタノール290mLを加え、反応器内を水素ガスで5回置換し、水素圧を1.0MPaに設定し、15℃で8時間攪拌し反応した。
第2工程:
反応終了液に酢酸13.2g(0.22モル)を加えたところ、pHは8となったため、添加を終了した。反応液に対して窒素ガスでバブリング操作を行った。バブリング操作により、容器内の酸素濃度が3000ppmとなったことを確認した。この液体を遮光条件下で直接、蒸留(ボトム温度;室温(25℃)~66℃、減圧度;常圧(0.1MPa)~2.0kPa)に付すことにより、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、ジフルオロエタノール、及びメタノールを含む溶液を得た(α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールとしての収率は90%であった)。
次に、得られた該溶液に対し、再び窒素ガスでバブリング操作を行い、気相部の酸素濃度が2000ppmであることを確認した後、この液体を遮光条件下、精密蒸留(理論段数35段、留出温度;室温(25℃)~92℃、減圧度;常圧(0.1MPa)~35kPa)することによりジフルオロエタノール、及び大部分のメタノールを分離した。
精密蒸留後、得られた留分には、エタノール、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、及び下記式で示される該ヘミアセタール由来の「二量体」が含まれ、それぞれの組成比はエタノールが6.3wt%、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールが72.1wt%、二量体が21.6wt%であった。
第3工程:
100mlの遮光したガラス製容器内に攪拌子を入れ、第2工程で得られた精密蒸留後の溶液50gを窒素雰囲気下で充填した後、該溶液に対し、第2工程と同様、窒素ガスでバブリング操作を行った。容器内の酸素濃度が3000ppmとなったところで、エタノールを二量体に対して1.8当量添加して25℃の室温下で1時間攪拌した。
1時間経過後、溶液を19F-NMRによって測定した。溶液の組成はエタノール7.5wt%、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールが84.2wt%、二量体が8.3wt%であり、ジフルオロ酢酸は19F-NMRで検出されなかった。
第1工程:
ステンレス鋼製耐圧反応容器にα,α-ジフルオロ酢酸エチル109g(0.88モル)、下記式で表されるルテニウム触媒0.107g(0.18ミリモル)、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液42g(ナトリウムメトキシドとして0.22モル)、メタノール290mLを加え、反応器内を水素ガスで5回置換し、水素圧を1.0MPaに設定し、15℃で8時間攪拌し反応した。
第2工程:
反応終了液に酢酸7.5g(0.13モル)を加えたところ、pHは12となったため、添加を終了した。中和した液に対して窒素ガスでバブリング操作を行い、容器内の酸素濃度が3000ppmとなったことを確認した。この液体を直接、遮光条件下で蒸留(ボトム温度;室温(25℃)~66℃、減圧度;常圧(0.1MPa)~2.1kPa)に付すことにより、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、ジフルオロエタノール及びメタノールを含む溶液を得た(α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールとしての収率は5%、原料のジフルオロ酢酸エチルとしての収率は40%、ジフルオロエタノールとしての収率は38%であった)。
このように、比較例1では、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールの収率が実施例1と比較しても大幅に低下している。これは、第2工程におけるpHが高すぎた為、副反応(カニッツァロ反応)が進行したことに起因している。このことにより、第2工程の精製操作に供する反応液は中性から弱塩基性を維持するのが必要であると言える。
第1工程:
ステンレス鋼製耐圧反応容器にα,α-ジフルオロ酢酸エチル109g(0.88モル)、下記式で表されるルテニウム触媒0.107g(0.18ミリモル)、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液42g(ナトリウムメトキシドとして0.22モル)、メタノール290mLを加え、反応器内を水素ガスで5回置換し、水素圧を1.0MPaに設定し、15℃で8時間攪拌し反応した。
第2工程:
反応終了液に酢酸13.2g(0.22モル)を加えたところ、pHは8となったため、添加を終了した。中和した液に対して窒素ガスでバブリング操作を行い、容器内の酸素濃度が3000ppmとなったことを確認した。この液体を蛍光灯照射条件下で直接、蒸留(ボトム温度;室温(25℃)~67℃、減圧度;常圧(0.1MPa)~1.9kPa)に付すことにより、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールを含むメタノール溶液をジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールの収率90%で得た。
次に、得られた該溶液に対し、再び窒素ガスでバブリング操作を行い、気相部の酸素濃度が2000ppmであることを確認した後、この液体を蛍光灯照射条件下で精密蒸留(理論段数35段、留出温度;室温(25℃)~92℃、減圧度;常圧(0.1MPa)~36kPa)することにより大部分のメタノールを分離した。
留分には、エタノール、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、及び下記式で示される該ヘミアセタール由来の「二量体」が含まれており、それぞれの組成比はエタノール6.6wt%、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドアルキルヘミアセタールが71.9wt%、二量体が21.5wt%であった。
第3工程:
100mlの遮光したガラス製容器内に、攪拌子を入れ、第2工程で得られた溶液50gを窒素雰囲気下で充填した後、混合液に対し、第2工程と同様、窒素ガスでバブリング操作を行った。容器内の酸素濃度が3000ppmとなったところで、エタノールを二量体に対して1.8当量添加して25℃の室温下で24時間攪拌した。
24時間経過後、溶液を19F-NMRによって測定した。溶液の組成はエタノール6.4wt%、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールが73.0wt%、二量体が20.6wt%であり、ジフルオロ酢酸エチルが710ppm含有されていた。
このように、第2工程において非遮光条件で実施したことでpHが低くなり、第3工程での二量体の分解が抑制され、同時に副生成物であるジフルオロ酢酸が精留後のα,α-ジフルオロアセトアルデヒドアルキルヘミアセタール中に残存した。
第1工程:
ステンレス鋼製耐圧反応容器にα,α-ジフルオロ酢酸エチル109g(0.88モル)、下記式で表されるルテニウム触媒0.107g(0.18ミリモル)、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液42g(ナトリウムメトキシドとして0.22モル)、メタノール290mLを加え、反応器内を水素ガスで5回置換し、水素圧を1.0MPaに設定し、15℃で8時間攪拌し反応した。
第2工程:
反応終了液に酢酸13.2g(0.22モル)を加えたところ、pHは8となった。中和した液に対して窒素ガスでバブリング操作を行い、容器内の酸素濃度が7000ppmとなったことを確認した。この液体を直接、遮光条件下で蒸留(ボトム温度;室温(25℃)~66℃、減圧度;常圧(0.1MPa)~2.1kPa)に付すことにより、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールを含むメタノール溶液を得た。この溶液を遮光条件下で精密蒸留(理論段数35段、留出温度;室温(25℃)~92℃、減圧度;常圧(0.1MPa)~35kPa)することにより大部分のメタノールを分離した。
留分には、エタノール、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、及び下記式で示される該ヘミアセタール由来の「二量体」が含まれ、それぞれの組成比はエタノール6.3wt%、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールが72.1wt%、二量体が21.6wt%であった。
第3工程:
100mlの遮光したガラス製容器内に攪拌子を入れ、第2工程で得られた精密蒸留後の溶液50gを窒素雰囲気下で充填した後、混合液に対し、第2工程と同様、窒素ガスでバブリング操作を行った。容器内の酸素濃度が2000ppmとなったところで、エタノールを二量体に対して1.8当量添加して25℃の室温下で24時間攪拌した。24時間経過後、溶液を19F-NMRによって測定した。溶液の組成はエタノール7.8wt%、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールが76.9wt%、前記二量体が15.3wt%であり、ジフルオロ酢酸エチルが530ppm含有されていた。
このように、第2工程において気相の酸素濃度を5000ppmを越える条件で実施したためにpHが低くなり、続く第3工程での二量体の分解が抑制される結果となった。また、精留後のα,α-ジフルオロアセトアルデヒドアルキルヘミアセタール中に副生成物であるジフルオロ酢酸も残存した。
第1工程:
ステンレス鋼製耐圧反応容器にα,α-ジフルオロ酢酸エチル218g(1.76モル)、下記式で表されるルテニウム触媒0.214g(0.36ミリモル)、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液84g(ナトリウムメトキシドとして0.44モル)、メタノール580mLを加え、反応器内を水素ガスで5回置換し、水素圧を1.0MPaに設定し、15℃で8時間攪拌し反応した。
第2工程:
反応終了液に酢酸26.4g(0.44モル)を加えたところ、pHは8となったので、中性から弱塩基性になったと判断し、添加を終了した。中和した液に対して窒素ガスでバブリング操作を行い、容器内の酸素濃度が3000ppmとなったことを確認した。この液体を遮光条件下で直接、蒸留(ボトム温度;室温(25℃)~67℃、減圧度;常圧(0.1MPa)~2.0kPa)に付すことにより、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、ジフルオロエタノール、及びメタノールを含む溶液を得た(α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールとしての収率は90%であった)。
次に、得られた該溶液に対し、再び窒素ガスでバブリング操作を行い、気相部の酸素濃度が2000ppmであることを確認した後、この液体を遮光条件下で精密蒸留(理論段数35段、留出温度;室温(25℃)~91℃、減圧度;常圧(0.1MPa)~38kPa)することによりジフルオロエタノール、及び大部分のメタノールを分離した。
留分には、エタノール、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドアルキルヘミアセタール、及び下記式で表される二量体が含まれており、それぞれの組成比はエタノールが4.5wt%、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールが78.4wt%、二量体が15.3wt%であった。
第3工程:
30mlの遮光したガラス製容器内に、攪拌子を入れ、第2工程で得られた精密蒸留後の溶液20g(液組成はエタノールが4.5wt%、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールが78.4wt%、二量体が15.3wt%)を窒素雰囲気下で充填した。続いて、各種酸を添加し、液のpHを調整した(このpHの調整は、実施例3-5及び比較例4-8に対して行った)。その後、混合物に対し窒素ガスでバブリング操作を行った。バブリング操作により、容器内の酸素濃度が4000ppmとなったところで、エタノールを二量体に対して所定量添加して所定の温度で24時間攪拌し、第2工程終了時の溶液のpHが第3工程の二量体の変換率に与える影響を確認した。72時間経過後、内容液を19F-NMRによって測定した。以下を表1に示す。
第1工程~第2工程については、実施例1と同様の条件で行い、精密蒸留後の留分(後述)を得た。その留分を用い、以下の第3工程を行った。
第3工程:
100mlのガラス製容器内に、攪拌子を入れた後にα,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールの組成比72.1wt%、エタノール6.3wt%とα,α-ジフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタールの二量体が21.6wt%の、pH4.0である混合液50gを窒素雰囲気下で充填した。エタノールを二量体に対して1.8当量添加して、混合物に対し窒素ガスでバブリング操作を行った。バブリング操作により、容器内の酸素濃度が10000ppmとなったところで、窒素の混合ガスを、容器内の酸素濃度が以下の表2に示す値となるように充填した後、密封し、25℃で24時間攪拌した。
24時間経過後、内容液を19F-NMRによって測定した。以下を表2に示す。なお、実施例6について、ジフルオロ酢酸は19F-NMRで検出されなかった。なお、表2中、「N.D.」は未検出であることを示す。
Claims (12)
- 次の工程を含む、一般式[3]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールの製造方法。
第1工程:
一般式[5]で表されるα,α-ジフルオロ酢酸エステル類を、一般式[2]で表されるアルコールを溶媒とし、塩基及びルテニウム触媒の存在下、水素と反応させる、または、一般式[5]で表されるα,α-ジフルオロ酢酸エステル類を、ヒドリド還元剤と反応させる、ことにより、一般式[3]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む混合物を製造する工程。
第2工程:
第1工程で得られた前記混合物に対し、pHが3.5~10.0となるように中和処理を行い、その後、該混合物を反応容器に充填し、遮光条件下、該反応容器内の酸素濃度を5000ppm以下となるように調整し、続いて蒸留操作を行うことで、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールと、一般式[4]で表されるα,α-ジフルオロアセトアルデヒドの二量体を含む、pHが3.5~10.0の混合物を得る工程。
第3工程:
第2工程で得られた前記混合物を反応容器に充填させ、遮光条件下、該反応容器内の気相部の酸素濃度を5000ppm以下となるよう調整した後、該混合物に対し、一般式[2]で表されるアルコールを加えることで、該混合物に含まれる二量体の少なくとも1部が減少した、もしくは該混合物に含まれる二量体を実質的に含まない、α,α-ジフルオロアセトアルデヒドヘミアセタールを含む混合物を得る工程。 - 第1工程において、ルテニウム触媒が、ルテニウム化合物を担体に担持した触媒である、請求項1に記載の製造方法。
- 担体が、金属酸化物もしくは活性炭に担持した触媒である、請求項4に記載の製造方法。
- ルテニウム化合物が、ルテニウムのフッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、及びオキシフッ化塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4または5に記載の製造方法。
- 第1工程において、ヒドリド還元剤が金属水素化物である、請求項1に記載の製造方法。
- 金属水素化物が、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化シアノホウ素ナトリウムである、請求項7に記載の製造方法。
- 第2工程において、混合物のpHの調整を、酸を加えることにより行う、請求項1乃至8の何れかに記載の製造方法。
- 酸が、酢酸、安息香酸またはパラ-トルエンスルホン酸である、請求項9に記載の製造方法。
- 第3工程において、アルコールがメタノール又はエタノールである、請求項1乃至10の何れかに記載の製造方法。
- 第2工程または第3工程において、酸素濃度の調整を、容器内に不活性ガスをバブリングさせることにより行う、請求項1乃至11の何れかに記載の製造方法。
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