JP7032100B2 - 支保工装置及び支保工構築方法 - Google Patents

支保工装置及び支保工構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、既設管の内周に沿うライニング管を支持する支保工装置及びその構築方法に関する。
老朽化した下水道管等の既設管を更生するために、既設管の内周に沿ってライニング管を設置することは公知である(特許文献1等参照)。ライニング管は、例えば帯状部材を螺旋状に巻き、一周違いに隣接する縁部どうしを嵌合することにより構成されている。
既設管とライニング管との間には、モルタル等の裏込め材が充填される。このときライニング管が変形したり浮き上がったりしないように、ライニング管の内部に支保工装置が設置される(特許文献1、2等参照)。支保工装置は、管軸方向に間隔を置いて設置された複数の支保工と、これら支保工どうし間に架け渡された腹起し部材とを含む。腹起し部材がライニング管の内周面に宛がわれる。
特許文献1の支保工は、2本の柱フレーム部を有する門型フレーム状になっている。2本の柱フレーム部間にスペースが形成されている。前記スペースには、例えば帯状部材を巻いたロールが設置される。これによって、製管済のライニング管を支保工で支えて裏込め工程を行なうのと同時併行して、前記ロールから帯状部材を繰り出してライニング管を延伸製管できる。
特許文献2においては、例えば矩形断面の既設管に合わせて設置された矩形断面のライニング管の4つの内壁面に腹起し部材が設置されている。90度離れて隣り合う腹起し部材どうし間に手動式ジャッキが斜めに架け渡されている。4つの腹起し部材と4つの手動式ジャッキがライニング管の管軸方向から見て八角形になるように環状に連なっている。各手動式ジャッキが伸長されることで、腹起し部材がライニング管に押し当てられる。
特開2017-145844号公報 特許第4450757号公報
既設管の内部には、製管工程、支保設置工程、モルタル注入工程などの各工程に必要な各種の物資が出し入れされる。これら物資を既設管の両端部のうち支保工で遮られていない側からしか出し入れできない場合には、前記製管工程、支保設置工程、モルタル注入工程などを同時に行うことができず、工期に時間がかかる。
特許文献1の門型フレーム状の支保工は、帯状部材のロールの配置スペースを物資運搬に利用可能であるが、該物資は2本の柱フレーム部どうし間を通過可能なものに制限される。
特許文献2の支保工装置においては、環状であるため内側にスペースが形成される。一方、1つのジャッキの伸縮操作によって該ジャッキの角度だけでなく腹起し部材の角度も変わってしまう。更に4つのジャッキで4つの腹起し部材をそれぞれライニング管に押し当てるまで安定しない。このため、設置作業が容易でない。
本発明は、かかる事情に鑑み、各種物資の運搬及び設置用のスペースを確保して工期短縮を図るとともに、容易に設置可能な支保工装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、既設管の内周に沿うライニング管を支持する支保工装置であって、
各々が一定の長さを有して前記ライニング管の内周面の周方向に離れた2点を結ぶように延び、かつ互いに前記周方向に並べられた複数の支保部材と、
前記周方向に隣接する支保部材の端部どうしを回転可能に連結する少なくとも1つの関節部材と、
前記関節部材又は前記支保部材に設けられ、前記内周面に沿う腹起し部材を支持する腹起し支持部と、
隣接する支保部材どうし間に架け渡された長さ調節可能な突張部材と、
を備えたことを特徴とする。
当該支保工装置によれば、突張部材を伸長させて突っ張ることで、関節部材又は腹起し部材がライニング管の内周面に押し当てられるとともに支保部材どうしの角度が固定される。組立の途中途中でそれまで組み立てた部分をライニング管の内周面に張り付けるように固定しながら組み立てを進めることができる。これによって、ライニング管の内周面に沿って支保工装置を容易に組み立てることができる。支保部材をライニング管の内周面に沿わせることで、各種物資の運搬及び設置用スペースを確保でき、工期を短縮できる。
前記隣接する支保部材における前記関節部材に連結された端部どうしが、前記関節部材に対して互いに同一の軸線まわりに回転可能であることが好ましい。
これによって、支保部材の角度と関節部材の角度を互いに独立して調整でき、支保工装置の組立てを一層容易化できる。
前記複数の支保部材が、前記内周面に沿って環状に連なっていることが好ましい。
これによって、ライニング管の内部に各種物資の運搬及び設置用のスペースを確実に確保できる。
前記関節部材の前記内周面を向く面には弾性部材が設けられていることが好ましい。
これによって、関節部材をライニング管に弾性的に押し当てることができ、ライニング管の損傷を防止できる。
前記腹起し部材の前記内周面を向く面には、可撓性ホース等の膨張収縮可能な膨縮部材が設けられていることが好ましい。ライニング管の内周面に多少凹凸があっても、膨縮部材が前記凹凸に倣うように変形しながら膨張される。これによって、ライニング管を腹起し部材によって均等に押えることができる。
前記弾性部材と前記膨縮部材とが一直線上に配置されることが好ましい。
前記ライニング管内の底部に走行機構が設けられ、前記支保部材の1つが前記走行機構と連なっていることが好ましい。
これによって、ライニング管の製管工程及びモルタル等の裏込め工程が進むにしたがって、支保工装置を順次前進させることができる。前進時には突張部材を緩めることでライニング管への拘束を解除する。前進操作後、再び突張部材を突っ張ることで、支保工装置をライニング管内の前進操作後の位置に固定できる。支保工装置をライニング管内において一度組み立てた後は、解体せずにライニング管内を移動させることができ、支保設置工程を効率化できる。
本発明方法は、既設管の内周に沿うライニング管内に支保工装置を構築する支保工構築方法であって、
第1の関節部材を前記ライニング管の内周面上に配置し、
前記第1の関節部材に第1の支保部材の一端部を回転可能に連結し、
前記第1の支保部材の他端部には第2の関節部材を回転可能に連結し、
前記第2の関節部材を前記第1の支保部材の長さ分だけ前記第1の関節部材から前記内周面の周方向に離して前記内周面上に配置し、
前記第2の関節部材に第2の支保部材の一端部を回転可能に連結し、
前記第2の支保部材の他端部には第3の関節部材を回転可能に連結し、
前記第3の関節部材を前記第2の支保部材の長さ分だけ前記第2の関節部材から前記周方向の前記第1の関節部材側とは反対側に離して前記内周面上に配置し、
前記第1、第2の支保部材どうし間に突張部材を架け渡し、
前記突張部材を突っ張ることを特徴とする。
これによって、既設管の断面形状ひいてはライニング管の断面形状に拘わらず、該ライニング管の内周面に沿って支保工装置を組み立てることができる。
前記第1~第3の各関節部材に設けられた腹起し支持部に腹起し部材を支持させることが好ましい。
本発明によれば、ライニング管の断面形状に合わせて支保工装置を容易に設置でき、かつ各種物資の運搬スペースを確保して工期を短縮できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る更生施工中の既設管を、ライニング管内に支保工装置を組んだ状態で示す解説正面断面図である。 図2は、図1のII-II線に沿う解説側面断面図である。 図3は、前記支保工装置の関節部分の斜視図である。 図4は、前記支保工装置の関節部材の平面図である。 図5は、前記関節部材をライニング管の管軸方向から見た正面図である。 図6は、図2のVI-VI線に沿う平面断面図である。 図7は、前記支保工装置の腹起し部材を、図6のVII-VII線に沿って切断しかつ前記腹起し部材の上下方向が図の上下方向を向くように回転させて示す断面図である。 図8(a)~図8(c)は、前記支保工装置の組立て工程を順次示す断面図である。 図9(a)~図9(b)は、前記支保工装置の組立て工程を順次示す断面図である。 図10は、前記支保工装置の組立て工程を示す断面図である。 図11は、本発明の第2実施形態に係る支保工装置の関節部材ライニング管の管軸方向から見た正面図である。 図12は、前記第2実施形態に係る関節部材の平面図である。 図13は、前記第2実施形態に係る支保工装置の関節部分の斜視図である。 図14は、本発明の第3実施形態に係る更生施工中の既設管を、ライニング管内に支保工装置を組んだ状態で示す解説正面断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1~図10は、本発明の第1実施形態を示したものである。
図1に示すように、老朽化した既設管1の内周に沿ってライニング管2がライニングされることによって、既設管1が更生されている。既設管1は、下水道管でもよく、上水道管でもよく、農業用水管でもよく、ガス管でもよい。詳細な図示は省略するが、ライニング管2は、例えば合成樹脂製の帯状部材によって構成されている。該帯状部材が、既設管1の内周面に沿って螺旋状に巻かれるとともに、一周違いに隣接する縁部どうしが凹凸嵌合されている。ライニング管2と既設管1の間の隙間には、モルタルなどの裏込め材4(図6にのみ図示)が充填される。
なお、本実施形態では、帯状部材が既設管1の内周面に張り付けられるようにして製管されている。このため、ライニング管2と既設管1の間の隙間が十分に狭くなっている。
図1及び図2に示すように、裏込め工程に際して、ライニング管2の内部に支保工装置3が構築されている。
支保工装置3は、環状支保工10(支保工)と、腹起し部材40を備えている。複数の環状支保工10が、ライニング管2の管軸方向に数メートル程度の間隔を置いて配置されている。
図1に示すように、各環状支保工10は、複数の支保部材11と、関節部材20と、腹起し支持部24と、突張部材30を含む。支保部材11は、それぞれ一定の長さを有する棒状をなし、ライニング管2の内周面の周方向に離れた2点を結ぶように延びている。支保部材11は、H型鋼、I型鋼、L字鋼、U字型鋼などの型鋼によって構成されていてもよく、金属パイプ、丸棒鋼材によって構成されていてもよい。
図3に示すように、支保部材11の両端部には筒状の回転連結部12が設けられている。
図1に示すように、複数の支保部材11が、互いにライニング管2の内周面の周方向に沿って環状に連ねられている。周方向に隣接する2つの支保部材11の端部どうしが、関節部材20を介して連結されている。これら複数の支保部材11の長さは、互いに異なっていてもよく、互いに同じであってもよい。
以下、複数の支保部材11どうしを互いに区別するときは、下側のものから順に符号の末尾にA,B,C,D…を付して表記する。
図3~図5に示すように、関節部材20は、概略直方体形状になっている。関節部材20の中央部には、切り欠き部21cが形成されている。切り欠き部21cは、関節部材20におけるライニング管2の径方向内側(図4において下側)を向く側部に開口されている。関節部材20は、例えばアルミ押出型材を切断することによって構成されている。関節部材20が、腹起し部材40と同じアルミ押出型材から切り出されたものであってもよい。
関節部材20の内部に一対の筒状の軸受部22が設けられている。一対の軸受部22は、互いに同一軸線上に配置されるとともに、切り欠き部21cを介して対峙している。 これら軸受部22によって連結軸部材23の両端部が支持されている。連結軸部材23の中央部は、切り欠き部21c内に配置されている。該連結軸部材23の中央部の外周に、前記隣接する2つの支保部材11の回転連結部12がそれぞれ回転可能に嵌められている。これによって、これら支保部材11の端部どうしが関節部材20に対して互いに同一の軸線まわりに回転可能に連結されている。連結軸部材23の中心軸線ひいては支保部材11の回転軸線は、ライニング管2の管軸と平行になるように向けられている。
連結軸部材23は、軸受部22から引き抜いて分離可能である。ひいては、支保部材11と関節部材20とが互いに分離可能になっている。
図1及び図2に示すように、複数の関節部材20が、ライニング管2の内周面の周方向に間隔を置いて配置されている。前記周方向に隣接する関節部材20どうしが支保部材11を介して連結されている。
以下、複数の関節部材20どうしを互いに区別するときは、下側のものから順に符号の末尾にA,B,C,D…を付して表記する。
図4及び図5に示すように、関節部材20におけるライニング管2の内周面を向く面(図5において右側面)には、弾性部材25が設けられている。弾性部材25は、ゴムや柔軟な樹脂によって構成されている。
図3及び図4に示すように、関節部材20における切り欠き部21cを挟んで両側部には、一対の腹起し支持部24が設けられている。腹起し支持部24は、L字形の断面の鋼材によって構成されている。該腹起し支持部24が、関節部材20に溶接等によって接合されるとともに、関節部材20から前記管軸方向(図4において左右)へ延び出ている。
図1に示すように、隣接する支保部材11の互いに反対側の端部又はその近傍部どうし間に突張部材30が架け渡されている。突張部材30の各端部は、対応する支保部材11に対して回転可能になっている。
以下、複数の突張部材30どうしを互いに区別するときは、下側のものから順に符号の末尾にA,B,C,D…を付して表記する。
最も下側(底部)の突張部材30Aは、後記走行機構50と下から2番目の関節部材20との間に架け渡されている。
中間の突張部材30B,30Cは、ライニング管2の周方向に沿って1つ置きに隣り合う関節部材20どうし間に架け渡されている。
最も上側(頂部)の突張部材30Dは、ライニング管2の両側部における最も上側(頂部)の関節部材20D,20Dどうし間に水平に架け渡されている。
なお、図2等においては、突張部材30の図示を省略する。
図1に示すように、突張部材30の中間部にはターンバックルやボルト・ナット等の伸縮機構33が設けられている。伸縮機構33の操作によって、突張部材30が長さ調節可能になっている。ひいては、突張部材30による突っ張り力を発現させたり、突っ張り力を解除したりできる。
図1に示すように、ライニング管2内の底部には、特許文献1と同様の走行機構50が設けられている。走行機構50は、走行台51と、レール52を含む。レール52がライニング管2の管軸(図1の紙面と直交する方向)に沿って延びている。走行台51がレール52に沿って移動可能になっている。
最も下側(底部)の支保部材11Aの一端部が、走行台51に回転可能に連結されている。さらに、底部突張部材30Aの一端部が、底部支保部材11Aの一端部又は走行台51に回転可能に連結されている。
支保工装置3が、走行機構50によって管軸方向に移動可能になっている。
図2に示すように、ライニング管2の管軸方向に隣接する環状支保工10どうし間に腹起し部材40が架け渡されている。複数の腹起し部材40が、ライニング管2の周方向に間隔を置いて配置されている。
図6及び図7に示すように、腹起し部材40は、例えば断面四角形のアルミ押出型材によって構成され、ライニング管2の管軸に沿って延びている。該腹起し部材40の端部が、腹起し支持部24に載せられて支持されている。関節部材20と腹起し部材40とが、ライニング管2の管軸と平行な一直線上に配置されている。
図7に示すように、腹起し部材40におけるライニング管2の内周面を向く面(図7において右面)には、膨縮部材45が設けられている。膨縮部材45は、可撓性のゴムホースによって構成され、腹起し部材40に沿って延びている。図6に示すように、弾性部材25と膨縮部材45とが、ライニング管2の管軸と平行な一直線上に配置されている。
図7に示すように、注水路46(流体注入路)が、腹起し部材40を貫通して膨縮部材45に接続されている。図7の実線及び二点鎖線にて示すように、水(流体)が注水路46を介して膨縮部材45に注入、排出されることによって、膨縮部材45が膨張、収縮可能になっている。図6に示すように、膨縮部材45の膨張によって、腹起し部材40が膨縮部材45を介してライニング管2の内周面に押し当てられている。
支保工装置3は、次のようにして構築される。
支保工10は、ライニング管2に内周面に沿って下側から上側へ順次組み立てられる。
詳しくは、先ず図8(a)に示すように、最も下側(底部)の関節部材20Aをライニング管2の内周面の底部に配置するとともに、底部支保部材11Aによって走行台51と連結する。
関節部材20Aには支保部材11Bの下端部(一端部)を回転可能に連結する。該支保部材11Bの上端部(反対側の端部)には関節部材20Bを回転可能に連結する。
図8(a)の二点鎖線に示すように、該関節部材20Bをライニング管2の内周面における関節部材20Aから支保部材11Bの長さ分だけ上方へ離れた箇所に宛がう。
更に図8(b)に示すように、関節部材20Bと走行台51を底部突張部材30Aによって連結し、かつ底部突張部材30Aを伸長操作することによって関節部材20Bをライニング管2の内周面に押し当てる。これによって、関節部材20A,20Bの位置及び支保部材11Bの角度が固定される。
次に、図8(b)に示すように、関節部材20Bに支保部材11Cの下端部(一端部)を回転可能に連結する。該支保部材11Cの上端部(他端部)には関節部材20Cを回転可能に連結する。
図8(b)の二点鎖線に示すように、該関節部材20Cをライニング管2の内周面における関節部材20Bから支保部材11Cの長さ分だけ上方へ離れた箇所に宛がう。
更に図8(c)に示すように、1つ置きの関節部材20A,20Cどうしを突張部材30Bによって連結するとともに、該突張部材30Bを伸長操作することによって突っ張る。これによって、関節部材20Cをライニング管2の内周面に押し当てることができる。このとき、既に固定済の関節部材20A,20Bの位置及び支保部材11Bの角度は変える必要が無い。
さらに、突張部材30Bの突っ張りによって、関節部材20Cの位置及び支保部材11Cの角度も固定される。
図8(a)~図8(c)の組立て工程において、関節部材20Aは「第1の関節部材」、関節部材20Bは「第2の関節部材」、関節部材20Cは「第3の関節部材」、支保部材11Bは「第1の支保部材」、支保部材11Cは「第2の支保部材」をそれぞれ構成する。
次に、図9(a)に示すように、関節部材20Cに支保部材11Dの下端部(一端部)を回転可能に連結する。該支保部材11Dの上端部(他端部)には関節部材20Dを回転可能に連結する。
図9(a)の二点鎖線に示すように、該関節部材20Dをライニング管2の内周面における関節部材20Cから支保部材11Dの長さ分だけ上方へ離れた箇所に宛がう。
更に図9(b)に示すように、1つ置きの関節部材20B,20Dどうしを突張部材30Cによって連結するとともに、該突張部材30Cを伸長操作することによって突っ張る。これによって、関節部材20Dをライニング管2の内周面に押し当てることができる。このとき、既に固定済の関節部材20A,20B,20Cの位置及び支保部材11B,11Cの角度は変える必要が無く、先に固定済の突張部材30Bを再度突っ張り直す必要が無い。
さらに、突張部材30Cの突っ張りによって、関節部材20Dの位置及び支保部材11Dの角度も固定される。
図8(b)~図9(b)の組立て工程において、関節部材20Bは「第1の関節部材」、関節部材20Cは「第2の関節部材」、関節部材20Dは「第3の関節部材」、支保部材11Cは「第1の支保部材」、支保部材11Dは「第2の支保部材」をそれぞれ構成する。
図10に示すように、ライニング管2の幅方向の両側部において同様の組立て作業を行なう。前記幅方向の両側部における最上端の関節部材20Dどうしが対峙するまで組み立て後、図1に示すように、これら関節部材20Dどうしを頂部突張部材30Dによって連結し、該頂部突張部材30Dを突っ張る。
これによって、ライニング管2の内周面に沿う環状支保工10が構築される。
本発明形態の施工方法によれば、設置作業の途中途中で、それまで組み立てた部分をライニング管2の内周面に張り付けるように固定しながら設置作業を進めることができる。したがって、環状支保工10をライニング管2の内周面に沿って容易に組み立てることができる。しかも、ライニング管2の曲率や形状に合わせて支保部材11及び関節部材20を互いに独立して角度調節できるから、環状支保工10の組立てを一層容易化できる。更には、ライニング管2の断面形状ひいては既設管1の断面形状に拘わらず、環状支保工10をライニング管2の内周面に沿って確実に設置できる。
図2に示すように、ライニング管2の管軸方向に一定間隔(スパン)置きに複数の環状支保工10を設置する。
隣接する環状支保工10の腹起し支持部24間に腹起し部材40を架け渡す。
続いて、図6に示すように、膨縮部材45に水を注入して膨らませて、膨縮部材45を介して腹起し部材40をライニング管2の内周面に押し当てる。
ライニング管2の内周面に多少の凹凸があっても、膨縮部材45がその凹凸に倣うように変形されることで、腹起し部材40の押え力をライニング管2に対して均等に効かせることができる。
続いて、既設管1とライニング管2との間にモルタル4を充填する。
モルタル充填によってライニング管2には径方向内側へ圧縮力と浮力が作用する。圧縮力に対しては支保工装置3が対抗することによって、ライニング管2が変形するのを防止できる。また、ライニング管2が既設管1の内周面にぴったりと張り付けられているため、ライニング管2が浮き上がることはほとんどない。
モルタルが硬化したら、伸縮機構33を緩めることで、支保工装置3のライニング管2への拘束状態を解除する。
続いて、支保工装置3を走行台51と一体に管軸に沿って1スパン分だけ前進させる。そして、支保工10を組み直し、同様にしてモルタル充填を行なう。
支保工10の組み直しは、新規の組立て時と同様にライニング管2の内周面に沿って下側から上側へ順次行う。
支保工装置3によれば、一度組み立てた後は、解体せずにライニング管2内を移動させることができ、設置工程を効率化できる。
更に、支保工装置3によれば、支保工10が環状であるために、その内部に各種物資の運搬スペースを確保できる。したがって、モルタル充填、養生工程等と併行して、ライニング管2の延伸製管工程を行なうことができる。この結果、工期を短縮できる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態>
図11~図13は、本発明の第2実施形態を示したものである。
第2実施形態の関節部材20は、関節本体部21と、軸受部22を含む。関節本体部21は、概略立方体ないしは直方体形状になっている。第2実施形態の関節本体部21には、切り欠き部21cが不要である。
第2実施形態の腹起し支持部24は、2つに分かれておらず、かつ関節本体部21よりも長いL字型鋼板によって構成されている。腹起し支持部24の両端部が、関節本体部21から延び出ている。該腹起し支持部24の延出端部に腹起し部材40が載せられて支持される。
腹起し支持部24の背面(ライニング管2の内周側を向く面)の中央部に筒状の軸受部22が溶接等によって接合されている。
軸受部22に連結軸部材23が通されている。連結軸部材23の両端部が、軸受部22から突出されている。該連結軸部材23の突出端部に支保部材11の回転連結部12が回転可能に嵌められている。
<第3実施形態>
図14は、本発明の第3実施形態を示したものである。
第3実施形態の既設管1Cは、非円形かつ縦長形状になっている。これに合わせて、ライニング管2が非円形かつ縦長形状に製管されている。
なお、既設管1Cの内部空間の高さは、人の伸長より少し低いか、人の伸長程度である。
第3実施形態の支保工装置6は、2つの支保部材61,62と、1つの関節部材63と、1つの突張部材64を含む。関節部材63が、ライニング管2内の底部に設置されている。関節部材63は、ライニング管2の幅方向の中央部から少しずれて配置されている。
2つの支保部材61,62の下端部が、関節部材63にそれぞれ回転可能に連結されている。2つの支保部材61,62の長さは、少し異なっている。長めの支保部材61が、ライニング管2の一方側(図14において左側)の内壁に沿って立ち上がっている。短めの支保部材62が、ライニング管2の他方側(図14において右側)の内壁に沿って立ち上がっている。これら支保部材61の上端部は、ライニング管2の中間高さに位置されている。
なお、関節部材63がライニング管2の幅方向の中央部に配置されていてもよく、支保部材61,62が互いに同じ長さであってもよい。
各支保部材61,62の上端部近くに腹起し支持部65が設けられている。腹起し支持部65によって腹起し部材40が支持されている。
突張部材64が、2つの支保部材61,62の中間部どうしの間に架け渡されている。突張部材64は、人が跨げる高さに配置されている。該突張部材64の突っ張りによって、支保部材61,62が互いに離間方向へ付勢され、腹起し部材40がライニング管2の内周面に押し当てられている。
第3実施形態の支保工装置6においては、突張部材64の上側に各種物資の運搬スペースを確保できる。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、突張部材30は、隣接する支保部材11の中間部どうし間に架け渡されていてもよい。この場合の支保部材11は、突っ張りによる曲げ応力で変形しない程度の強度を有していることが好ましい。
或いは、突張部材30が、隣接する支保部材11の互いに反対側の端部に連なる部材(関節部材20や走行台31)どうし間に架け渡されていてもよい。すなわち、突張部材30の端部は、支保部材11に直接的に連結されるのに限られず、該支保部材11に連なる部材(関節部材20や走行台31)を介して支保部材11に連結されていてもよい。
腹起し部材40が、腹起し支持部又は関節部材に設けられたボルト等によってライニング管2の内周面に押し当てられるようになっていてもよい。
本発明は、例えば老朽化した既設管の更生技術に適用できる。
1,1C 既設管
2 ライニング管
3 支保工装置
10 環状支保工(支保工)
11,11A~11D 支保部材
12 回転連結部
20,20A~20D 関節部材
21c 切り欠き部
22 軸受部
23 連結軸部材
24 腹起し支持部
25 弾性部材
30,30A~30D 突張部材
33 伸縮機構
40 腹起し部材
45 膨縮部材
46 注水路(流体注入路)
50 走行機構
51 走行台
52 レール
21 関節本体部
6 支保工装置
61,62 支保部材
63 関節部材
64 突張部材
65 腹起し支持部

Claims (8)

  1. 既設管の内周に沿うライニング管を支持する支保工装置であって、
    各々が一定の長さを有して前記ライニング管の内周面の周方向に離れた2点を結ぶように延び、かつ互いに前記周方向に並べられた複数の支保部材と、
    前記周方向に隣接する支保部材の端部どうしを回転可能に連結する少なくとも1つの関節部材と、
    前記関節部材に設けられ、前記内周面に沿う腹起し部材を支持する腹起し支持部と、
    隣接する支保部材どうし間に架け渡された長さ調節可能な突張部材と、
    を備え、前記関節部材と、該関節部材の腹起し支持部に支持された腹起し部材とが、前記ライニング管の内周面の軸方向に沿う一直線上に配置されていることを特徴とする支保工装置。
  2. 既設管の内周に沿うライニング管を支持する支保工装置であって、
    各々が一定の長さを有して前記ライニング管の内周面の周方向に離れた2点を結ぶように延び、かつ互いに前記周方向に並べられた複数の支保部材と、
    前記周方向に隣接する支保部材の端部どうしを回転可能に連結する少なくとも1つの関節部材と、
    前記関節部材に設けられ、前記内周面に沿う腹起し部材を支持する腹起し支持部と、
    隣接する支保部材どうし間に架け渡された長さ調節可能な突張部材と、
    を備え、前記周方向に隣接する2つの支保部材の各々が、これら支保部材間の関節部材の腹起し支持部に支持された腹起し部材に対して回転可能であることを特徴とする支保工装置。
  3. 前記隣接する支保部材における前記関節部材に連結された端部どうしが、前記関節部材に対して互いに同一の軸線まわりに回転可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の支保工装置。
  4. 前記複数の支保部材が、前記内周面に沿って環状に連なっていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の支保工装置。
  5. 前記関節部材の前記内周面を向く面には弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の支保工装置。
  6. 前記ライニング管内の底部に走行機構が設けられ、前記支保部材の1つが前記走行機構と連なっていることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の支保工装置。
  7. 既設管の内周に沿うライニング管内に支保工装置を構築する支保工構築方法であって、
    第1の関節部材を前記ライニング管の内周面上に配置し、
    前記第1の関節部材に第1の支保部材の一端部を回転可能に連結し、
    前記第1の支保部材の他端部には第2の関節部材を回転可能に連結し、
    前記第2の関節部材を前記第1の支保部材の長さ分だけ前記第1の関節部材から前記内周面の周方向に離して前記内周面上に配置し、
    その後、前記第2の関節部材に第2の支保部材の一端部を回転可能に連結し、
    前記第2の支保部材の他端部には第3の関節部材を回転可能に連結し、
    前記第3の関節部材を前記第2の支保部材の長さ分だけ前記第2の関節部材から前記周方向の前記第1の関節部材側とは反対側に離して前記内周面上に配置し、
    前記第1、第2の支保部材どうし間に突張部材を架け渡し、
    前記突張部材を突っ張ることを特徴とする支保工構築方法。
  8. 前記第1~第3の各関節部材に設けられた腹起し支持部に腹起し部材を支持させることを特徴とする請求項に記載の支保工構築方法。
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