以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置(画像形成装置1)の一構成例を表すものである。画像形成装置1は、例えば普通用紙等からなる記録媒体に対して、電子写真方式を用いて画像を形成するプリンタである。画像形成装置1は、媒体収納部8と、ホッピングローラ11と、レジストローラ12と、媒体センサ13と、4つの現像ユニット14(現像ユニット14K,14Y,14M,14C)と、4つのトナー収容部15(トナー収容部15K,15Y,15M,15C)と、4つの露光ヘッド16(露光ヘッド16K,16Y,16M,16C)と、転写部30と、定着部40と、媒体センサ17と、媒体ガイド18とを備えている。これらの部材は、記録媒体9を搬送する搬送路10に沿って配置されている。
媒体収納部8は、記録媒体9を収納するとともに、収納した記録媒体9を搬送路10に供給するように構成される。媒体収納部8は、記録媒体9を縦向きまたは横向きに選択的にセットすることができるようになっている。この例では、画像形成装置1に、1つの媒体収納部8を設けているが、複数の媒体収納部8を設けてもよい。この場合、複数の媒体収納部8は、例えば、記録媒体9が横向きにセットされた媒体収納部と、記録媒体9が縦向きにセットされた媒体収納部を含んでもよい。
ホッピングローラ11は、媒体収納部8に収納されている記録媒体9をその最上部から1枚ずつ取り出し、取り出した記録媒体9を搬送路10に送り出すように構成される。ホッピングローラ11は、ホッピングモータ61(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
レジストローラ12は、搬送路10を挟む1対のローラにより構成される。レジストローラ12は、ホッピングローラ11から供給された記録媒体9の斜行を矯正するとともに、搬送路10に沿って記録媒体9を搬送する。レジストローラ12は、レジストモータ62(後述)から伝達された動力により回転するようになっている。
媒体センサ13は、4つの現像ユニット14の上流に配置され、記録媒体9の通過を検出するように構成される。媒体センサ13は、検出結果をプリンタエンジン制御部67(後述)に供給するようになっている。
4つの現像ユニット14は、トナー像を形成するように構成される。具体的には、現像ユニット14Kは、黒色(K)のトナー像を形成し、現像ユニット14Yは、黄色(Y)のトナー像を形成し、現像ユニット14Mは、マゼンタ色(M)のトナー像を形成し、現像ユニット14Cは、シアン色(C)のトナー像を形成するようになっている。この例では、4つの現像ユニット14は、記録媒体9の搬送方向Fにおいて、現像ユニット14K,14Y,14M,14Cの順に配置される。各現像ユニット14は、着脱可能に構成される。
4つのトナー収容部15は、トナーを収容するように構成される。具体的には、トナー収容部15Kは黒色のトナーを収容し、トナー収容部15Yは黄色のトナーを収容し、トナー収容部15Mはマゼンタ色のトナーを収容し、トナー収容部15Cはシアン色のトナーを収容するようになっている。4つのトナー収容部15は、対応する4つの現像ユニット14に対してそれぞれ着脱可能に構成される。
図2は、現像ユニット14の一構成例を表すものである。なお、図2では、トナー収容部15をも図示している。現像ユニット14は、感光ドラム21と、クリーニングブレード22と、帯電ローラ24と、現像ローラ26と、現像ブレード27と、供給ローラ28とを有している。
感光ドラム21は、表面(表層部分)に静電潜像を担持するように構成される。感光ドラム21は、ドラムモータ63(後述)から伝達された動力により、この例では時計回りで回転する。感光ドラム21は、帯電ローラ24により帯電し、露光ヘッド16により露光される。具体的には、現像ユニット14Kの感光ドラム21は露光ヘッド16Kにより露光され、現像ユニット14Yの感光ドラム21は露光ヘッド16Yにより露光され、現像ユニット14Mの感光ドラム21は露光ヘッド16Mにより露光され、現像ユニット14Cの感光ドラム21は露光ヘッド16Cにより露光される。これにより、各感光ドラム21の表面には、静電潜像が形成される。そして、感光ドラム21に、現像ローラ26によりトナーが供給されることにより、感光ドラム21には、静電潜像に応じたトナー像が形成されるようになっている。
クリーニングブレード22は、感光ドラム21の表面(表層部分)に残留するトナーを掻き取ってクリーニングするように構成される。
帯電ローラ24は、感光ドラム21の表面(表層部分)を帯電させるように構成される。帯電ローラ24は、感光ドラム21の表面(周面)に接するように配置され、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられるように配置される。帯電ローラ24は、感光ドラム21の回転に応じて、この例では反時計回りで回転する。帯電ローラ24には、高圧電源56(後述)により帯電電圧が印加されるようになっている。
現像ローラ26は、トナーを表面に担持するように構成される。現像ローラ26は、感光ドラム21の表面(周面)に接するように配置され、所定の押し付け量で感光ドラム21に押し付けられるように配置される。現像ローラ26は、ドラムモータ63(後述)から伝達された動力により、この例では反時計回りで回転する。現像ローラ26には、高圧電源56(後述)により現像電圧が印加されるようになっている。
現像ブレード27は、現像ローラ26の表面に当接することにより、この現像ローラ26の表面にトナーからなる層(トナー層)を形成させるとともに、そのトナー層の厚さを規制(制御,調整)するように構成される。現像ブレード27は、例えば、ステンレス等からなる板状弾性部材をL字形状に折り曲げたものである。現像ブレード27は、その折れ曲がった部分が現像ローラ26の表面に当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ26に押し付けられるように配置される。
供給ローラ28は、トナー収容部15から供給されたトナーを、現像ローラ26に対して供給するように構成される。供給ローラ28は、現像ローラ26の表面(周面)に接するように配置されており、所定の押し付け量で現像ローラ26に押し付けられるように配置される。供給ローラ28は、ドラムモータ63(後述)から伝達された動力により、この例では反時計回りで回転する。これにより、各現像ユニット14では、供給ローラ28の表面と現像ローラ26の表面との間には摩擦が生じる。その結果、各現像ユニット14では、トナーが、いわゆる摩擦帯電により帯電するようになっている。供給ローラ28には、高圧電源56(後述)により供給電圧が印加されるようになっている。
4つの露光ヘッド16(図1)は、対応する現像ユニット14の感光ドラム21に対して光を照射するように構成される。具体的には、露光ヘッド16Kは、現像ユニット14Kの感光ドラム21に対して光を照射し、露光ヘッド16Yは、現像ユニット14Yの感光ドラム21に対して光を照射し、露光ヘッド16Mは、現像ユニット14Mの感光ドラム21に対して光を照射し、露光ヘッド16Cは、現像ユニット14Cの感光ドラム21に対して光を照射するように構成される。露光ヘッド16は、例えば、主走査線方向(図1における奥行方向)に並設された複数の発光ダイオードを有し、これらの発光ダイオードを用いて、ドット単位で感光ドラム21に対して光を照射する。これにより、これらの感光ドラム21は、対応する露光ヘッド16により露光され、感光ドラム21の表面に、静電潜像が形成されるようになっている。
転写部30は、4つの現像ユニット14により形成されたトナー像を、記録媒体9の被転写面上に転写するように構成される。転写部30は、転写ベルト31と、4つの転写ローラ32(32K,32Y,32M,32C)と、駆動ローラ33と、従動ローラ34と、クリーニングブレード35と、クリーナ容器36とを有している。
転写ベルト31は、搬送路10に沿って記録媒体9を搬送方向Fに向かって搬送するように構成される。転写ベルト31は、駆動ローラ33および従動ローラ34によって張設(張架)される。そして、転写ベルト31は、駆動ローラ33の回転に応じて、搬送方向Fの方向に循環搬送されるようになっている。
転写ローラ32Kは、搬送路10および転写ベルト31を介して現像ユニット14Kの感光ドラム21に対向配置され、転写ローラ32Yは、搬送路10および転写ベルト31を介して現像ユニット14Yの感光ドラム21に対向配置され、転写ローラ32Mは、搬送路10および転写ベルト31を介して現像ユニット14Mの感光ドラム21に対向配置され、転写ローラ32Cは、搬送路10および転写ベルト31を介して現像ユニット14Cの感光ドラム21に対向配置される。転写ローラ32K,32Y,32M,32Cのそれぞれには、高圧電源56(後述)により転写電圧が印加される。これにより、画像形成装置1では、各現像ユニット14により形成されたトナー像が、記録媒体9の被転写面上にそれぞれ転写されるようになっている。
駆動ローラ33は、従動ローラ34とともに転写ベルト31を張設するとともに、この転写ベルト31を循環搬送するように構成される。この例では、駆動ローラ33は、搬送方向Fにおいて、4つの現像ユニット14の下流に配置されている。駆動ローラ33は、ベルトモータ64(後述)から伝達された動力により、この例では反時計回りで回転するようになっている。
従動ローラ34は、駆動ローラ33とともに転写ベルト31を張設するとともに、転写ベルト31の循環搬送に応じて従動回転するように構成される。この例では、従動ローラ34は、搬送方向Fにおいて、4つの現像ユニット14の上流に配置されている。
クリーニングブレード35は、転写ベルト31の被転写面に当接し、転写ベルト31の被転写面に付着したトナーを掻き取ってクリーニングするように構成される。
クリーナ容器36は、転写ベルト31の被転写面からクリーニングブレード35により掻き取られたトナーを収容するように構成される。
定着部40は、記録媒体9に対し熱および圧力を付与することにより、記録媒体9上に転写されたトナー像を記録媒体9に定着させるように構成される。定着部40は、ヒートローラ41と、温度センサ43と、加圧ローラ44とを有している。
ヒートローラ41は、記録媒体9上のトナーに対して熱を付与するように構成される。ヒートローラ41は、ヒータモータ65(後述)から伝達された動力により、この例では時計回りで回転するようになっている。ヒートローラ41は、ヒータ42を有している。ヒータ42は、例えば、ハロゲンヒータを用いて構成される。温度センサ43は、例えばサーミスタを用いて構成され、ヒートローラ41における表面温度を検出するように構成される。加圧ローラ44は、変更可能な押し付け量でヒートローラ41に押し付けられるように構成される。これにより、定着部40では、ヒートローラ41と加圧ローラ44との間にニップ部Nが形成され、このニップ部Nにおいて、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着するようになっている。
媒体センサ17は、定着部40の下流に配置され、定着部40から出力された記録媒体9の通過を検出するように構成される。媒体センサ17は、検出結果をプリンタエンジン制御部67(後述)に供給するようになっている。
媒体ガイド18は、定着部40から出力された記録媒体9を搬送路10に沿って画像形成装置1の外部へ導くように構成される。
この構成により、画像形成装置1は、記録媒体9に対して画像を形成する。そして、画像が形成された記録媒体9は、排出トレイ19に積載されるようになっている。
図3は、画像形成装置1の制御機構の一例を表すものである。画像形成装置1は、インタフェース部51と、画像処理部52と、露光制御部53と、表示操作部54と、低圧電源55と、高圧電源56と、ホッピングモータ61と、レジストモータ62と、ドラムモータ63と、ベルトモータ64と、ヒータモータ65と、プリンタエンジン制御部67とを有している。
インタフェース部51は、例えば、図示しないホストコンピュータから、例えばPDL(Page Description Language)等により記述された印刷データDPを受け取るとともに、このホストコンピュータとの間で各種制御信号のやりとりを行うように構成される。
画像処理部52は、画像形成装置1が印刷データDPを受け取ったことをプリンタエンジン制御部67に通知するとともに、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、インタフェース部51から供給された印刷データDPに基づいて所定の処理を行うことによりビットマップデータを生成するように構成される。また、画像処理部52は、後述するように、このビットマップデータに基づいて、ページ画像PICの4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出し、その算出結果に基づいて、ページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正する機能をも有している。画像処理部52は、例えば、プロセッサやRAM(Random Access Memory)を用いて構成される。
露光制御部53は、プリンタエンジン制御部67からの指示、および画像処理部52から供給されたビットマップデータに基づいて、4つの露光ヘッド16(露光ヘッド16K,16Y,16M,16C)の動作を制御するように構成される。
表示操作部54は、ユーザの操作を受け付けるとともに、画像形成装置1の動作状態や、ユーザへの指示などを表示するように構成される。表示操作部54は、例えば、液晶ディスプレイ、タッチパネル、各種インジケータ、各種ボタンなどを用いて構成される。
低圧電源55は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、定着部40のヒータ42に電力を供給するように構成される。
高圧電源56は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、現像ユニット14K,14Y,14M,14Cの帯電ローラ24に印加する帯電電圧をそれぞれ生成し、現像ユニット14K,14Y,14M,14Cの現像ローラ26に印加する現像電圧をそれぞれ生成し、現像ユニット14K,14Y,14M,14Cの供給ローラ28に印加する供給電圧をそれぞれ生成し、転写ローラ32K,32Y,32M,32Cに印加する転写電圧をそれぞれ生成するように構成される。
ホッピングモータ61は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、ホッピングローラ11(図1)に伝達する動力を生成するように構成される。レジストモータ62は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、レジストローラ12に伝達する動力を生成するように構成される。ドラムモータ63は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、4つの現像ユニット14に伝達する動力を生成するように構成される。ベルトモータ64は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、駆動ローラ33に伝達する動力を生成するように構成される。ヒータモータ65は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、ヒートローラ41に伝達する動力を生成するように構成される。
プリンタエンジン制御部67は、画像形成装置1の各ブロックを制御するように構成される。具体的には、プリンタエンジン制御部67は、画像処理部52を制御することにより、印刷データDPに基づいてビットマップデータを生成させる。そして、プリンタエンジン制御部67は、低圧電源55を制御することにより、定着部40のヒータ42に電力を供給させるとともに、温度センサ43における検出結果に基づいてヒータ42に供給する電力を調節する。また、プリンタエンジン制御部67は、印刷データDPに含まれる記録媒体の種類についての情報に基づいて、定着部40における加圧ローラ44のヒートローラ41への押し付け量を制御する。そして、プリンタエンジン制御部67は、ホッピングモータ61を制御することによりホッピングローラ11を回転させ、レジストモータ62を制御することによりレジストローラ12を回転させ、ドラムモータ63を制御することにより4つの現像ユニット14内の感光ドラム21、現像ローラ26、および供給ローラ28をそれぞれ回転させ、ベルトモータ64を制御することにより駆動ローラ33を回転させ、ヒータモータ65を制御することによりヒートローラ41を回転させる。また、プリンタエンジン制御部67は、媒体センサ13における検出結果に基づいて、高圧電源56を制御することにより各種電圧を生成させる。また、プリンタエンジン制御部67は、媒体センサ13における検出結果に基づいて、露光制御部53の動作を制御することにより4つの露光ヘッド16を動作させる。また、プリンタエンジン制御部67は、媒体センサ17における検出結果、および温度センサ43における検出結果に基づいて、定着部40における記録媒体9の巻き付きを検出するようになっている。
プリンタエンジン制御部67は、巻付検出部58を有している。巻付検出部58は、媒体センサ17における検出結果、および温度センサ43における検出結果に基づいて、定着部40における記録媒体9の巻き付きを検出するように構成される。巻付検出部58は、温度変化検出部59を有している。この温度変化検出部59は、温度センサ43における温度変化を検出するように構成される。巻付検出部58は、温度変化検出部59により検出された温度変化についての情報に基づいて、定着部40における記録媒体9の巻き付きを検出するようになっている。
次に、この巻付検出部58の動作について説明する。
図4Aは、通常動作時における定着部40の一動作例を表すものであり、図4Bは、巻き付きが生じた場合における定着部40の一動作例を表すものである。
転写部30によりトナー像が転写された記録媒体9は、ヒートローラ41と加圧ローラ44との間のニップ部Nを通過する。このニップ部Nの幅(ニップ幅NW)は、加圧ローラ44のヒートローラ41への押し付け量に応じて変化する。すなわち、押し付け量が多い場合には、ニップ幅NWは広くなり、押し付け量が少ない場合には、ニップ幅NWは狭くなる。そして、このニップ部Nを通過することにより、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧され、その結果、トナー像が記録媒体9上に定着する。通常動作時では、図4Aに示したように、記録媒体9は、このニップ部を通過した後、搬送路10に沿って搬送され、媒体センサ17を通過する。
一方、例えば記録媒体9の、搬送方向Fにおける先端付近でのトナー濃度が高い場合や、記録媒体9が薄い場合には、図4Bに示したように、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。すなわち、この場合には、例えば、記録媒体9におけるトナーがニップ部Nにおいて融解することにより、記録媒体9がヒートローラ41に密着しやすくなるので、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付く。このように巻き付いた記録媒体9が、図4Bに示したように、温度センサ43とヒートローラ41との間に到達すると、温度センサ43が検出する温度が変化する。巻付検出部58の温度変化検出部59は、この温度の変化を検出することにより、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付いたことを検出する。
図5は、巻き付きを検出する際の画像形成装置1の動作を表すものであり、(A)はヒータモータ65の動作を示し、(B)はヒータ42の動作を示し、(C)は媒体センサ17の出力信号を示し、(D)は温度センサ43が検出した温度Tを示す。図5(C)において、高レベルは、記録媒体9が媒体センサ17を通過していることを示し、低レベルは記録媒体9が媒体センサ17を通過していないことを示す。
この例では、画像形成装置1が、複数の記録媒体9に画像を形成している。プリンタエンジン制御部67は、ホッピングモータ61、レジストモータ62、ドラムモータ63、ベルトモータ64、およびヒータモータ65を動作させ(図5(A))、温度Tが所定温度を維持するようにヒータ42をオンオフさせる(図5(B))。媒体センサ17は、複数の記録媒体9の通過を検出する(図5(C))。
そして、複数の記録媒体9のうちのある記録媒体9がヒートローラ41に巻き付き、タイミングt1において、巻き付いた記録媒体9の先端が温度センサ43付近に到達する。これにより、記録媒体9が温度センサ43とヒートローラ41との間を通過するので、温度センサ43は、ヒートローラ41の温度を直接検出できなくなるため、温度Tが急激に低下する(図5(D))。このように、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付いた場合には、媒体センサ17は、記録媒体9の通過を検出しないので、出力信号は低レベルを維持する(図5(C))。プリンタエンジン制御部67は、媒体センサ17の出力信号に基づいて、タイミングt2において、ホッピングモータ61、レジストモータ62、ドラムモータ63、ベルトモータ64、およびヒータモータ65の動作を停止するとともに(図5(A))、ヒータ42をオフさせる(図5(B))。転写部30では、このタイミングt2以降において、ヒートローラ41および加圧ローラ44の回転が停止するので、ヒートローラ41における熱が加圧ローラ44に伝わりにくくなり放熱しにくくなる。よって、温度Tは、このタイミングt2以降において上昇する。
巻付検出部58の温度変化検出部59は、タイミングt1~t2の期間において温度Tが低下するときの温度勾配を検出する。そして、巻付検出部58は、この温度勾配と、その温度勾配が継続する時間とに基づいて、温度センサ43が検出した温度Tの低下が、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付いたことに起因する低下であることを特定する。このようにして、巻付検出部58は、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付いたことを検出するようになっている。
この構成により、画像形成装置1では、後述するように、印刷データDPに基づいてビットマップデータを生成し、そのビットマップデータに基づいて、ページ画像PICの4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出し、その算出結果に基づいて、ページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正する。そして、画像形成装置1は、このビットマップデータに基づいて、記録媒体9に画像を形成する。これにより、画像形成装置1では、後述するように、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれを低減することができるようになっている。
ここで、インタフェース部51は、本発明における「受信部」の一具体例に対応する。画像処理部52は、本発明における「画像処理部」の一具体例に対応する。ホッピングローラ11、レジストローラ12、および定着部40は、本発明における「媒体搬送部」の一具体例に対応する。現像ユニット14は、本発明における「画像形成部」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の画像形成装置1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず、図1~3を参照して、画像形成装置1の全体動作概要を説明する。画像形成装置1では、インタフェース部51がホストコンピュータから印刷データDPを受け取ると、まず、画像処理部52が、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、印刷データDPに基づいてビットマップデータを生成する。そして、画像処理部52は、このビットマップデータに基づいて、ページ画像PICの4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出し、その算出結果に基づいて、ページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正する。低圧電源55は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、定着部40のヒータ42に電力を供給する。温度センサ43が検出した定着部40の温度が、定着動作に適した温度に到達すると、プリンタエンジン制御部67は、画像形成動作を開始させる。
印刷動作では、まず、ホッピングモータ61が、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいてホッピングローラ11を回転させ、レジストモータ62が、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいてレジストローラ12を回転させる。これにより、記録媒体9は媒体収納部8から取り出され、取り出された記録媒体9が搬送路10に沿って搬送される。
そして、ドラムモータ63が、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて4つの現像ユニット14の感光ドラム21、現像ローラ26、および供給ローラ28を回転させ、ベルトモータ64が、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて駆動ローラ33を回転させる。高圧電源56は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、4つの現像ユニット14における帯電ローラ24に印加する帯電電圧、4つの現像ユニット14の現像ローラ26に印加する現像電圧、4つの現像ユニット14の供給ローラ28に印加する供給電圧、および4つの転写ローラ32に印加する転写電圧をそれぞれ生成する。露光制御部53は、プリンタエンジン制御部67からの指示、および画像処理部52から供給されたビットマップデータに基づいて、4つの露光ヘッド16の動作を制御する。これにより、各現像ユニット14の感光ドラム21の表面には、まず、静電潜像が形成され、その後に、その静電潜像に応じてトナー像が形成される。そして、各現像ユニット14の感光ドラム21のトナー像は、記録媒体9の被転写面に転写される。
ヒータモータ65は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいてヒートローラ41を回転させる。これにより、定着部40では、記録媒体9上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体9上に定着する。
(詳細動作)
画像形成装置1では、画像処理部52が、印刷データDPに基づいてビットマップデータを生成し、そのビットマップデータに基づいて、ページ画像PICの4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出し、その算出結果に基づいて、ページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正する。そして、画像形成装置1は、このビットマップデータに基づいて、記録媒体9に画像を形成する。以下に、この動作について、詳細に説明する。
図6は、画像形成装置1の動作の一例を表すものである。この例では、ホストコンピュータから供給された印刷データDPは、複数のページ画像PICについての情報や、記録媒体9の厚さ(媒体厚)についての情報を含んでいる。画像処理部52は、このような印刷データDPに基づいて、ビットマップデータを生成する。そして、画像処理部52は、複数のページ画像PICのそれぞれにおける4つの端部領域Rでの画像濃度Dに基づいて、複数のページ画像PICから1つのページ画像PICを選択する。そして、画像処理部52は、選択されたページ画像PICにおける4つの端部領域Rでの画像濃度Dに基づいて、複数のページ画像PICのページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正する。そして、画像形成装置1は、修正されたビットマップデータに基づいて、記録媒体9に画像を形成する。以下に、この動作について詳細に説明する。
まず、画像処理部52は、例えばPDL等により記述された印刷データDPに基づいて、所定の処理を行うことにより、複数のページ画像PICについてのビットマップデータを生成する(ステップS101)。
次に、画像処理部52は、印刷データDPに含まれる、記録媒体9の厚さ(媒体厚)についての情報を取得し、その媒体厚が所定の厚さより薄いかどうかを確認する(ステップS102)。媒体厚は、例えば、厚さそのものであってもよいし、坪量であってもよい。媒体厚が所定の厚さ以上である場合(ステップS102において“N”)には、ステップS107に進む。すなわち、この場合には、記録媒体9が厚いので、巻き付きが生じるおそれが低いため、ステップS103~S106を経ずに、ステップS107に進む。
ステップS102において、媒体厚が所定の厚さより薄い場合(ステップS102において“Y”)には、画像処理部52は、記録媒体9およびページ画像PICの向きについての情報を取得する(ステップS103)。
図7は、記録媒体9およびページ画像PICの向きの一例を表すものである。この例では、記録媒体9は、初期状態において、媒体収納部8に縦向きにセットされる。これにより、記録媒体9は、搬送路10に沿って、搬送方向Fに対して縦向きのまま搬送される。すなわち、記録媒体9の長辺の延伸方向(図7における縦方向)は搬送方向Fと同じ方向であり、記録媒体9の短辺の延伸方向(図7における横方向)は、搬送方向Fと交差する方向である。ページ画像PICは、この記録媒体9に形成される。よって、ページ画像PICの向きもまた、搬送方向Fに対して縦向きである。
次に、画像処理部52は、ステップS101において生成したビットマップデータに基づいて、複数のページ画像PICのそれぞれにおける、4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出する(ステップS104)。
4つの端部領域Rは、図7に示したように、ページ画像PICの4つの辺に対応する領域であり、先端領域RT、後端領域RE、左端領域RL、および右端領域RRを含む。先端領域RTは、搬送方向Fに搬送される記録媒体9の先端付近に配置される、ページ画像PICに含まれる部分領域であり、後端領域REは、搬送方向Fに搬送される記録媒体9の後端付近に配置される、ページ画像PICに含まれる部分領域である。左端領域RLは、記録媒体9の左端付近に配置される、ページ画像PICに含まれる部分領域であり、右端領域RRは、記録媒体9の右端付近に配置される、ページ画像PICに含まれる部分領域である。先端領域RT、後端領域RE、左端領域RL、および右端領域RRは、幅Wを有する帯状の領域である。この幅Wは、定着部40におけるニップ幅NW(図4A)と同程度である。
画像処理部52は、ステップS101において生成したビットマップデータに基づいて、複数のページ画像PICのそれぞれにおける、4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出する。画像濃度Dは、先端濃度DT、後端濃度DE、左端濃度DL、および右端濃度DRを含む。先端濃度DTは先端領域RTでの画像濃度Dであり、後端濃度DEは後端領域REでの画像濃度Dであり、左端濃度DLは左端領域RLでの画像濃度Dであり、右端濃度DRは右端領域RRでの画像濃度Dである。画像処理部52は、例えば、ソフトウェアにより、4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出してもよい。また、露光制御部53がドットカウントを算出するハードウェアを有している場合には、画像処理部52は、この露光制御部53のハードウェアを利用して、4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出してもよい。
次に、画像処理部52は、画像選択処理A1を行う(ステップS105)。
図8は、画像選択処理A1のサブルーチンの一例を表すものである。画像処理部52は、複数のページ画像PICのそれぞれにおける4つの端部領域Rでの画像濃度Dに基づいて、複数のページ画像PICから、複数のページ画像PICの向きを決定する際に用いる1つのページ画像PICを選択する。以下に、この動作について詳細に説明する。
まず、画像処理部52は、複数のページ画像PICから、4つの端部領域Rでの画像濃度Dのうちの1つ以上が所定値よりも大きい1または複数のページ画像PICを選択する(ステップS121)。すなわち、画像処理部52は、4つの端部領域Rでの画像濃度Dがいずれもその所定値よりも小さいページ画像PICを除外する。
次に、画像処理部52は、ステップS121において選択された1または複数のページ画像PICのそれぞれにおいて、4つの端部領域Rでの画像濃度Dのうちの最大値および最小値の差(画像濃度差ΔD)を求める(ステップS122)。
次に、画像処理部52は、ステップS121において選択された1または複数のページ画像PICから、画像濃度差ΔDが所定値よりも大きい1または複数のページ画像PICを選択する(ステップS123)。すなわち、画像処理部52は、4つの端部領域Rでの画像濃度Dの間の差がその所定値よりも小さいページ画像PICを除外する。
次に、画像処理部52は、ステップS123において選択された1または複数のページ画像PICから、4つの端部領域Rでの画像濃度Dの最小値が最も大きいページ画像PICを選択する(ステップS124)。
以下、2つのケースC1,C2を例に、画像形成装置1の動作について具体的に説明する。
図9は、ケースC1における画像選択処理A1の一例を表すものである。この例では、印刷データDPは、5つのページ画像PIC(ページ画像PIC1~PIC5)を含んでいる。画像形成装置1は、ページ画像PIC1,PIC2,PIC3,PIC4,PIC5に基づいて、この順で、記録媒体9に画像を形成する。図9において、数値は、5つのページ画像PIC1~PIC5における画像濃度Dを示している。ステップS104において、画像処理部52は、図9(A)に示した画像濃度Dを得る。
ステップS121において、画像処理部52は、これらの5つのページ画像PICから、4つの端部領域Rでの画像濃度Dのうちの1つ以上が所定値よりも大きい1または複数のページ画像PICを選択する。この例では、この所定値は、“50”である。よって、この例では、図9(B)に示したように、4つのページ画像PIC1,PIC2,PIC4,PIC5が選択される。すなわち、ページ画像PIC3では、4つの端部領域Rでの画像濃度Dがいずれも“50”以下であるため、除外される。
次に、ステップS122において、画像処理部52は、4つのページ画像PIC1,PIC2,PIC4,PIC5のそれぞれにおいて、4つの端部領域Rでの画像濃度Dのうちの最大値および最小値の差(画像濃度差ΔD)を求める(ステップS122)。そして、ステップS123において、画像処理部52は、4つのページ画像PIC1,PIC2,PIC4,PIC5から、画像濃度差ΔDが所定値よりも大きい1または複数のページ画像PICを選択する。この例では、この所定値は、“10”である。図9(B)に示したように、ページ画像PIC1における画像濃度差ΔDは“28”であり、ページ画像PIC2における画像濃度差ΔDは“27”であり、ページ画像PIC4における画像濃度差ΔDは“26”であり、ページ画像PIC5における画像濃度差ΔDは“8”である。よって、この例では、図9(C)に示したように、3つのページ画像PIC1,PIC2,PIC4が選択される。すなわち、ページ画像PIC5では、画像濃度差ΔDが“10”以下であるため、除外される。
次に、ステップS124において、画像処理部52は、3つのページ画像PIC1,PIC2,PIC4から、4つの端部領域Rでの画像濃度Dの最小値が最も大きいページ画像PICを選択する。図9(C)に示したように、ページ画像PIC1における画像濃度Dの最小値は“54”であり、ページ画像PIC2における画像濃度Dの最小値は“56”であり、ページ画像PIC4における画像濃度Dの最小値は“60”である。よって、この例では、ページ画像PIC4が選択される。
図10は、ケースC2における画像選択処理A1の一例を表すものである。この例では、ページ画像PIC4における画像濃度Dを、ケースC1とは異なる値にしている。ページ画像PIC1~PIC3,PIC5における画像濃度Dは、ケースC1と同じである。この場合でも、ケースC1と同様に、ステップS121において4つのページ画像PIC1,PIC2,PIC4,PIC5が選択され、ステップS122,S123において3つのページ画像PIC1,PIC2,PIC4が選択され、ステップS124においてページ画像PIC4が選択される。
以上で、このサブルーチンは終了する。
次に、図6に示したように、画像処理部52は、画像方向変更処理A2を行う(ステップS105)。
図11は、画像方向変更処理A2のサブルーチンの一例を表すものである。画像処理部52は、ステップS124において選択されたページ画像PICにおける4つの端部領域Rでの画像濃度Dに基づいて、印刷データDPに含まれる複数のページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正する。以下に、この動作について詳細に説明する。
まず、画像処理部52は、ステップS124において選択されたページ画像PICにおける先端濃度DTおよび後端濃度DEの差が所定のしきい値Dthよりも大きい(DT-DE>Dth)かどうかを確認する(ステップS131)。ここで、所定のしきい値Dthは、正の値を有する。
ステップS131において、先端濃度DTおよび後端濃度DEの差が所定のしきい値Dthよりも大きい場合(ステップS131において“Y”)には、画像処理部52は、先端領域RTが記録媒体9の後端付近になるように、複数のページ画像PICの向きを変更する(ステップS132)。すなわち、この場合には、先端濃度DTが後端濃度DEよりも高いので、先端領域RTを記録媒体9の先端付近に配置した場合には、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。よって、画像処理部52は、先端領域RTを記録媒体9の後端付近に配置すべく、複数のページ画像PICの向きを変更する。この場合には、ページ画像PICの向きは、例えば、記録媒体9の搬送方向Fに対して縦向きである。そして、このサブルーチンは終了する。
ステップS131において、先端濃度DTおよび後端濃度DEの差が所定のしきい値Dthよりも大きくない場合(ステップS131において“N”)には、画像処理部52は、ページ画像PICにおける後端濃度DEおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きい(DE-DT>Dth)かどうかを確認する(ステップS133)。
ステップS133において、後端濃度DEおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きい場合(ステップS133において“Y”)には、このサブルーチンは終了する。すなわち、この場合には、先端濃度DTが後端濃度DEよりも低いので、先端領域RTを記録媒体9の先端付近に配置した場合に、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれは低い。よって、画像処理部52は、複数のページ画像PICの向きを変更しない。この場合には、ページ画像PICの向きは、例えば、記録媒体9の搬送方向Fに対して縦向きである。
ステップS133において、後端濃度DEおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きくない場合(ステップS133において“N”)には、画像処理部52は、左端濃度DLおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいこと(DL-DT>Dth)、および右端濃度DRおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいこと(DR-DT>Dth)のうちの少なくとも一方を満たすかどうかを確認する(ステップS134)。
ステップS134において、左端濃度DLおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいこと、および右端濃度DRおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいことのいずれも満たさない場合(ステップS134において“N”)には、このサブルーチンは終了する。すなわち、この場合には、先端濃度DTは後端濃度DEと同程度であり、左端濃度DLおよび右端濃度DRのどちらも先端濃度DTと同程度かそれ以下であるので、先端領域RTを記録媒体9の先端付近に配置した場合に、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれは低い。よって、画像処理部52は、複数のページ画像PICの向きを変更しない。この場合には、ページ画像PICの向きは、例えば、記録媒体9の搬送方向Fに対して縦向きである。
ステップS134において、左端濃度DLおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいこと、および右端濃度DRおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいことのうちの少なくとも一方を満たす場合(ステップS134において“Y”)には、画像処理部52は、左端濃度DLが右端濃度DRよりも高い(DL>DR)かどうかを確認する(ステップS135)。
ステップS135において、左端濃度DLが右端濃度DRよりも高い場合(ステップS135において“Y”)には、画像処理部52は、左端領域RLが記録媒体9の後端付近になるように、複数のページ画像PICの向きを変更する(ステップS136)。すなわち、この場合には、左端濃度DLが右端濃度DRよりも高いので、左端領域RLを記録媒体9の先端付近に配置した場合には、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。よって、画像処理部52は、左端領域RLを記録媒体9の後端付近に配置すべく、複数のページ画像PICの向きを変更する。この場合には、ページ画像PICの向きは、例えば、記録媒体9の搬送方向Fに対して横向きである。そして、このサブルーチンは終了する。
ステップS135において、左端濃度DLが右端濃度DRよりも高くない場合(ステップS135において“N”)には、画像処理部52は、右端領域RRが記録媒体9の後端付近になるように、複数のページ画像PICの向きを変更する(ステップS137)。すなわち、この場合には、右端濃度DRが左端濃度DLよりも高いので、右端領域RRを記録媒体9の先端付近に配置した場合には、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。よって、画像処理部52は、右端領域RRを記録媒体9の後端付近に配置すべく、複数のページ画像PICの向きを変更する。この場合には、ページ画像PICの向きは、例えば、記録媒体9の搬送方向Fに対して横向きである。そして、このサブルーチンは終了する。
次に、図6に示したように、画像処理部52は、媒体収納部8にセットされた記録媒体9の向きが、ページ画像PICの向きと異なるかどうかを確認する(ステップS107)。すなわち、この例では、図7に示したように、媒体収納部8にセットされた記録媒体9の向きは、記録媒体9の搬送方向Fに対して縦向きである。一方、ページ画像PICの向きは、画像方向変更処理A2により、搬送方向Fに対して縦向きまたは横向きである。よって、画像処理部52は、記録媒体9の向きがページ画像PICの向きと異なるかどうかを確認する。
ステップS107において、媒体収納部8における記録媒体9の向きが、ページ画像PICの向きと一致する場合(ステップS107において“N”)には、ステップS111に進む。
ステップS107において、媒体収納部8における記録媒体9の向きが、ページ画像PICの向きと異なる場合(ステップS107において“Y”)には、プリンタエンジン制御部67は、記録媒体9がページ画像PICの向きと同じ向きにセットされた媒体収納部8があるかどうかを確認する(ステップS108)。すなわち、例えば、画像形成装置1に複数の媒体収納部8が設けられている場合には、記録媒体9がページ画像PICの向きと同じ向きにセットされた媒体収納部8があり得るので、プリンタエンジン制御部67は、このような媒体収納部8があるかどうかを確認する。
ステップS108において、記録媒体9がページ画像PICの向きと同じ向きにセットされた媒体収納部8がある場合(ステップS108において“Y”)には、プリンタエンジン制御部67は、記録媒体9がページ画像PICの向きと同じ向きにセットされた媒体収納部8を、記録媒体9の供給元として選択する(ステップS109)。
ステップS108において、記録媒体9がページ画像PICの向きと同じ向きにセットされた媒体収納部8がない場合(ステップS108において“N”)には、表示操作部54は、プリンタエンジン制御部67からの指示に基づいて、媒体収納部8における記録媒体9の向きを変更すべき旨をユーザに指示するメッセージを表示する(ステップS110)。ユーザは、このメッセージに従い、例えば、媒体収納部8における記録媒体9の向きを変更する。また、画像形成装置1が手差しトレイを有する場合には、この手差しトレイに、所望の向きの記録媒体9をセットするようにしてもよい。これにより、記録媒体9の向きは、ページ画像PICの向きと一致するようになる。
そして、画像形成装置1は、複数のページ画像PICに基づいて、記録媒体9に画像を形成する(ステップS111)。
以上で、このフローは終了する。
図12は、ケースC1(図9)における、画像形成装置1の動作を表すものであり、(A)はページ画像PICの向きを変更しない場合を示し、(B)はページ画像PICの向きを変更する場合(実施の形態)を示す。図9に示したように、画像選択処理A1(ステップS105)により選択されたページ画像PIC4では、4つの画像濃度Dのうち、先端領域RTにおける先端濃度DTが一番高い。これにより、画像処理部52は、画像方向変更処理A2(図11)において、先端領域RTが記録媒体9の後端付近になるように、5つのページ画像PICの向きを変更する。すなわち、画像処理部52は、5つのページ画像PICを180度回転させる。その結果、画像形成装置1は、図12(B)に示したように、記録媒体9の向きを縦向きに維持するとともに、5つのページ画像PIC1~PIC5のそれぞれを180度回転させて印刷する。これにより、ページ画像PIC4が形成された記録媒体9では、搬送方向Fにおける記録媒体9の先端付近でのトナー濃度を低くすることができるので、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれを低減することができる。
図13は、ケースC2(図10)における、画像形成装置1の動作を表すものであり、(A)はページ画像PICの向きを変更しない場合を示し、(B)はページ画像PICの向きを変更する場合(実施の形態)を示す。図10に示したように、画像選択処理A1(ステップS105)により選択されたページ画像PIC4では、4つの画像濃度Dのうち、右端領域RRにおける右端濃度DRが一番高い。これにより、画像処理部52は、画像方向変更処理A2(図11)において、右端領域RRが記録媒体9の後端付近になるように、5つのページ画像PICの向きを変更する。すなわち、画像処理部52は、5つのページ画像PICを時計回りに90度回転させる。その結果、画像形成装置1は、図13(B)に示したように、記録媒体9の向きを横向きにするとともに、5つのページ画像PIC1~PIC5のそれぞれを、時計回りに90度回転させて印刷する。これにより、ページ画像PIC4が形成された記録媒体9では、搬送方向Fにおける記録媒体9の先端付近でのトナー濃度を低くすることができるので、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれを低減することができる。
以上のように、画像形成装置1では、ページ画像PICの4つの端部領域Rのうちの画像濃度Dが最も高い端部領域Rを、搬送方向Fにおける記録媒体9の後端付近に配置するように、ページ画像PICの向きを変更した。これにより、画像形成装置1では、搬送方向Fにおける記録媒体9の先端付近でのトナー濃度を低くすることができるので、記録媒体9の詰まりを生じにくくすることができる。
特に、画像形成装置1では、ページ画像PICの向きを変更するようにしたので、例えば、ページ画像PICを修正することなく、記録媒体9の詰まりを生じにくくすることができる。すなわち、例えば、ページ画像PICの先端領域RTにおける画像濃度が低くなるように、ページ画像PICを修正することにより、記録媒体9の詰まりを生じにくくする方法もあり得る。しかしながら、この場合には、画像自体が修正されるため、例えば画質が低下するおそれがある。一方、画像形成装置1では、ページ画像PICの向きを変更するようにしたので、画像自体に変更はないので、例えば画質が低下するおそれを低減することができる。また、画像形成装置1では、このように、ページ画像PICの向きを変更することにより、記録媒体9の詰まりを生じにくくするようにしたので、記録媒体9の詰まりを防止可能な部材を追加しないで済むため、例えばコストの増加やサイズの増加を防ぐことができる。
また、画像形成装置1では、複数のページ画像PICのうちの1つのページ画像PICにおける画像濃度に基づいて、複数のページ画像PICの向きをまとめて変更するようにしたので、処理をシンプルにすることができるとともに、ユーザの利便性を高めることができる。すなわち、例えば、ページ画像PIC単位で、ページ画像PICの向きを変更するように構成した場合には、ページ画像PICの向きをページ画像PIC単位で判断するので、処理が複雑になるおそれがある。また、画像が形成された後に、縦向きの記録媒体9および横向きの記録媒体9が、排出トレイ19に混ざって積載されるので、ユーザは、画像が形成された記録媒体9の向きを揃える必要があり、手間がかかる。一方、画像形成装置1では、複数のページ画像PICのうちの1つのページ画像PICにおける画像濃度に基づいて、複数のページ画像PICの向きをまとめて変更するようにしたので、処理をシンプルにすることができる。また、画像が形成された後に、排出トレイ19に積載される記録媒体9の向きは、縦向きまたは横向きのどちらかである。よって、記録媒体9の向きが揃うので、ユーザが記録媒体9の向きを揃える必要がないので、ユーザの利便性を高めることができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、ページ画像の4つの端部領域のうちの画像濃度が最も高い端部領域を、搬送方向における記録媒体の後端付近に配置するように、ページ画像の向きを変更したので、記録媒体の詰まりを生じにくくすることができる。
本実施の形態では、複数のページ画像のうちの1つのページ画像における画像濃度に基づいて、複数のページ画像の向きをまとめて変更するようにしたので、処理をシンプルにすることができるとともに、ユーザの利便性を高めることができる。
[変形例1]
上記実施の形態では、4つの端部領域Rでの画像濃度Dに基づいてページ画像PICの方向を決定したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、4つの端部領域Rでの余白の幅に基づいてページ画像PICの方向を決定してもよい。以下に、本変形例に係る画像形成装置1Aについて詳細に説明する。
画像形成装置1Aは、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1(図3)と同様に、画像処理部52Aを有している。画像処理部52Aは、ビットマップデータに基づいて、ページ画像PICにおける4つの端部領域Rでの余白の幅(余白幅MW)を算出し、その算出結果に基づいて、ページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正するように構成される。
図14は、画像形成装置1Aの動作の一例を表すものである。
まず、画像処理部52Aは、上記第1の実施の形態の場合(図6)と同様に、例えばPDL等により記述された印刷データDPに基づいて、所定の処理を行うことにより、複数のページ画像PICについてのビットマップデータを生成する(ステップS101)。
次に、画像処理部52Aは、上記第1の実施の形態の場合(図6)と同様に、印刷データDPに含まれる、記録媒体9の厚さ(媒体厚)についての情報を取得し、その媒体厚が所定の厚さより薄いかどうかを確認する(ステップS102)。媒体厚が所定の厚さ以上である場合(ステップS102において“N”)には、ステップS107に進む。
ステップS102において、媒体厚が所定の厚さより薄い場合(ステップS102において“Y”)には、画像処理部52Aは、上記第1の実施の形態の場合(図6)と同様に、記録媒体9およびページ画像PICの向きについての情報を取得する(ステップS103)。
次に、画像処理部52Aは、ステップS101において生成したビットマップデータに基づいて、複数のページ画像PICのそれぞれにおける、4つの端部領域Rでの余白幅MWを算出する(ステップS154)。
図15は、余白幅MWの一例を表すものである。画像処理部52Aは、ステップS101において生成したビットマップデータに基づいて、複数のページ画像PICのそれぞれにおける、4つの端部領域Rでの余白幅MWを算出する。余白幅MWは、先端余白幅MWT、後端余白幅MWE、左端余白幅MWL、および右端余白幅MWRを含む。先端余白幅MWTは先端領域RTにおける余白幅MWであり、後端余白幅MWEは後端領域REでの余白幅MWであり、左端余白幅MWLは左端領域RLでの余白幅MWであり、右端余白幅MWRは右端領域RRでの余白幅MWである。画像処理部52Aは、例えば、ソフトウェアにより、4つの端部領域Rでの余白幅MWを算出することができる。
次に、画像処理部52Aは、画像選択処理A1を行う(ステップS155)。
図16は、画像選択処理A1のサブルーチンの一例を表すものである。
まず、画像処理部52Aは、複数のページ画像PICから、4つの端部領域Rでの余白幅MWのうちの1つ以上が所定値よりも小さい1または複数のページ画像PICを選択する(ステップS171)。すなわち、画像処理部52Aは、4つの端部領域Rでの余白幅MWがいずれもその所定値よりも大きいページ画像PICを除外する。
次に、画像処理部52Aは、ステップS171において選択された1または複数のページ画像PICのそれぞれにおいて、4つの端部領域Rでの余白幅MWのうちの最大値および最小値の差(余白幅差ΔMW)を求める(ステップS172)。
次に、画像処理部52Aは、ステップS171において選択された1または複数のページ画像PICから、余白幅差ΔMWが所定値よりも大きい1または複数のページ画像PICを選択する(ステップS173)。すなわち、画像処理部52Aは、4つの端部領域Rでの余白幅MWの間の差がその所定値よりも小さいページ画像PICを除外する。
次に、画像処理部52Aは、ステップS173において選択された1または複数のページ画像PICから、4つの端部領域Rでの余白幅MWの最大値が最も小さいページ画像PICを選択する(ステップS174)。
以上で、このサブルーチンは終了する。
次に、図14に示したように、画像処理部52Aは、画像方向変更処理A2を行う(ステップS155)。
図17は、画像方向変更処理A2のサブルーチンの一例を表すものである。
まず、画像処理部52Aは、ステップS174において選択されたページ画像PICにおける先端余白幅MWTおよび後端余白幅MWEの差が所定のしきい値MWthよりも小さい(MWT-MWE<MWth)かどうかを確認する(ステップS181)。ここで、所定のしきい値MWthは負の値を有する。
ステップS181において、先端余白幅MWTおよび後端余白幅MWEの差が所定のしきい値MWthよりも小さい場合(ステップS181において“Y”)には、画像処理部52Aは、先端領域RTが記録媒体9の後端付近になるように、複数のページ画像PICの向きを変更する(ステップS132)。すなわち、この場合には、先端余白幅MWTが後端余白幅MWEよりも狭いので、先端領域RTにおける画像濃度Dが高いため、先端領域RTを記録媒体9の先端付近に配置した場合には、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。よって、画像処理部52Aは、先端領域RTを記録媒体9の後端付近に配置すべく、複数のページ画像PICの向きを変更する。そして、このサブルーチンは終了する。
ステップS181において、先端余白幅MWTおよび後端余白幅MWEの差が所定のしきい値MWthよりも小さくない場合(ステップS181において“N”)には、画像処理部52Aは、ページ画像PICにおける後端余白幅MWEおよび先端余白幅MWTの差が所定のしきい値MWthよりも小さい(MWE-MWT<MWth)かどうかを確認する(ステップS183)。
ステップS183において、後端余白幅MWEおよび先端余白幅MWTの差が所定のしきい値MWthよりも小さい場合(ステップS183において“Y”)には、このサブルーチンは終了する。すなわち、この場合には、先端余白幅MWTが後端余白幅MWEよりも広いので、先端領域RTにおける画像濃度Dが低いため、先端領域RTを記録媒体9の先端付近に配置した場合に、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれは低い。よって、画像処理部52Aは、複数のページ画像PICの向きを変更しない。
ステップS183において、後端余白幅MWEおよび先端余白幅MWTの差が所定のしきい値MWthよりも小さくない場合(ステップS183において“N”)には、画像処理部52Aは、左端余白幅MWLおよび先端余白幅MWTの差が所定のしきい値MWthよりも小さいこと(MWL-MWT<MWth)、および右端余白幅MWRおよび先端余白幅MWTの差が所定のしきい値MWthよりも小さいこと(MWR-MWT<MWth)のうちの少なくとも一方を満たすかどうかを確認する(ステップS184)。
ステップS184において、左端余白幅MWLおよび先端余白幅MWTの差が所定のしきい値MWthよりも小さいこと、および右端余白幅MWRおよび先端余白幅MWTの差が所定のしきい値MWthよりも小さいことのいずれも満たさない場合(ステップS184において“N”)には、このサブルーチンは終了する。すなわち、この場合には、先端余白幅MWTは後端余白幅MWEと同程度であり、左端余白幅MWLおよび右端余白幅MWRのどちらも先端余白幅MWTと同程度かそれ以上である。言い換えれば、先端濃度DTは後端濃度DEと同程度であり、左端濃度DLおよび右端濃度DRのどちらも先端濃度DTと同程度かそれ以下である。これにより、先端領域RTを記録媒体9の先端付近に配置した場合に、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれは低い。よって、画像処理部52Aは、複数のページ画像PICの向きを変更しない。
ステップS184において、左端余白幅MWLおよび先端余白幅MWTの差が所定のしきい値MWthよりも小さいこと、および右端余白幅MWRおよび先端余白幅MWTの差が所定のしきい値MWthよりも小さいことのうちの少なくとも一方を満たす場合(ステップS184において“Y”)には、画像処理部52Aは、左端余白幅MWLが右端余白幅MWRよりも狭い(MWL<MWR)かどうかを確認する(ステップS185)。
ステップS185において、左端余白幅MWLが右端余白幅MWRよりも狭い場合(ステップS185において“Y”)には、画像処理部52Aは、左端領域RLが記録媒体9の後端付近になるように、複数のページ画像PICの向きを変更する(ステップS136)。すなわち、この場合には、左端余白幅MWLが右端余白幅MWRよりも狭いので、左端領域RLにおける画像濃度Dが高いため、左端領域RLを記録媒体9の先端付近に配置した場合には、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。よって、画像処理部52Aは、左端領域RLを記録媒体9の後端付近に配置すべく、複数のページ画像PICの向きを変更する。そして、このサブルーチンは終了する。
ステップS185において、左端余白幅MWLが右端余白幅MWRよりも狭くない場合(ステップS185において“N”)には、画像処理部52Aは、右端領域RRが記録媒体9の後端付近になるように、複数のページ画像PICの向きを変更する(ステップS137)。すなわち、この場合には、右端余白幅MWRが左端余白幅MWLよりも狭いので、右端領域RRにおける画像濃度Dが高いため、右端領域RRを記録媒体9の先端付近に配置した場合には、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。よって、画像処理部52Aは、右端領域RRを記録媒体9の後端付近に配置すべく、複数のページ画像PICの向きを変更する。そして、このサブルーチンは終了する。
その後、図14に示したように、画像形成装置1Aは、上記第1の実施の形態の場合(図6)と同様に、ステップS107~S111の動作を行う。
以上のように、画像形成装置1Aでは、ページ画像PICの4つの端部領域Rのうちの余白幅MWが最も狭い端部領域Rを、搬送方向Fにおける記録媒体9の後端付近に配置するように、ページ画像PICの向きを変更した。これにより、画像形成装置1Aでは、搬送方向Fにおける記録媒体9の先端付近でのトナー濃度を低くすることができるので、記録媒体9の詰まりを生じにくくすることができる。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る画像形成装置2について説明する。画像形成装置2は、記録媒体9の詰まりが生じた後に、詰まりが生じた記録媒体9に係るページ画像PICに基づいてそのページ画像PICの向きを変更し、そのページ画像PICに基づいて画像を形成するように構成される。なお、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
画像形成装置2は、図3に示したように、画像処理部72と、プリンタエンジン制御部77とを備えている。
画像処理部72は、画像形成装置2が印刷データDPを受け取ったことをプリンタエンジン制御部77に通知するとともに、プリンタエンジン制御部77からの指示に基づいて、インタフェース部51から供給された印刷データDPに基づいて所定の処理を行うことによりビットマップデータを生成するように構成される。また、画像処理部72は、定着部40において記録媒体9の詰まりが生じた場合に、このビットマップデータに基づいて、詰まりが生じた記録媒体9に係るページ画像PIC(ページ画像PICA)の4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出する。そして、画像処理部72は、その算出結果に基づいて、そのページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正するようになっている。
プリンタエンジン制御部77は、画像形成装置2の各ブロックを制御するように構成される。
図18は、記録媒体9の詰まりが生じた後の画像形成装置2の動作の一例を表すものである。この例では、ホストコンピュータから供給された印刷データDPは、複数のページ画像PICについての情報を含んでいる。画像処理部72は、このような印刷データDPに基づいて、ビットマップデータを生成する。そして、画像形成装置2は、このビットマップデータに基づいて、記録媒体9に画像を形成する。プリンタエンジン制御部77の巻付検出部68が、定着部40での記録媒体9の巻き付きを検出すると、画像処理部72は、詰まりが生じた記録媒体9に係るページ画像PIC(ページ画像PICA)における4つの端部領域Rでの画像濃度Dに基づいて、このページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正する。そして、画像形成装置2は、修正されたビットマップデータに基づいて、記録媒体9に画像を形成する。以下に、この動作について詳細に説明する。
まず、画像形成装置2に記録媒体9の詰まりが生じた後、プリンタエンジン制御部77の巻付検出部68は、その記録媒体9の詰まりが、定着部40での記録媒体9の巻き付きであるかどうかを確認する(ステップS201)。
ステップS201において、記録媒体9の詰まりが、定着部40での記録媒体9の巻き付きではない場合(ステップS201において“N”)には、表示操作部54は、プリンタエンジン制御部77からの指示に基づいて、詰まった記録媒体9を除去すべき旨をユーザに指示するメッセージを表示する(ステップS202)。ユーザは、このメッセージに従い、画像形成装置2に詰まった記録媒体9を除去する。そして、ステップS211に進む。
ステップS201において、記録媒体9の詰まりが、定着部40での記録媒体9の巻き付きである場合(ステップS201において“Y”)には、表示操作部54は、プリンタエンジン制御部77からの指示に基づいて、定着部40に詰まった記録媒体9を除去すべき旨をユーザに指示するメッセージを表示する(ステップS203)。ユーザは、このメッセージに従い、定着部40に詰まった記録媒体9を除去する。
次に、画像処理部72は、上記第1の実施の形態におけるステップS103(図6)と同様に、記録媒体9およびページ画像PICの向きについての情報を取得する(ステップS204)。
次に、画像処理部72は、巻き付きが生じた記録媒体9に係るページ画像PICAにおける、4つの端部領域Rでの画像濃度Dを算出する(ステップS205)。具体的には、画像処理部72は、上記第1の実施の形態に係る画像処理部52と同様に、ビットマップデータに基づいて、ページ画像PICAにおける、先端領域RTでの先端濃度DT、後端領域REでの後端濃度DE、左端領域RLでの左端濃度DL、および右端領域RRでの右端濃度DRを算出する。
次に、画像処理部72は、画像方向変更処理Bを行う(ステップS206)。
図19は、画像方向変更処理Bのサブルーチンの一例を表すものである。画像処理部72は、ステップS205において算出した、ページ画像PICAにおける4つの端部領域Rでの画像濃度Dに基づいて、印刷データDPに含まれるそのページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更することにより、ビットマップデータを修正する。以下に、この動作について詳細に説明する。
まず、画像処理部72は、ページ画像PICAにおける先端濃度DTおよび後端濃度DEの差が所定のしきい値Dthよりも大きい(DT-DE>Dth)かどうかを確認する(ステップS231)。ここで、所定のしきい値Dthは、正の値を有する。
ステップS231において、先端濃度DTおよび後端濃度DEの差が所定のしきい値Dthよりも大きい場合(ステップS231において“Y”)には、画像処理部72は、先端領域RTが記録媒体9の後端付近になるように、ページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更する(ステップS232)。すなわち、この場合には、先端濃度DTが後端濃度DEよりも高いので、先端領域RTを記録媒体9の先端付近に配置した場合には、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。よって、画像処理部72は、先端領域RTを記録媒体9の後端付近に配置すべく、ページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更する。この場合には、ページ画像PICの向きは、例えば、記録媒体9の搬送方向Fに対して縦向きである。そして、このサブルーチンは終了する。
ステップS231において、先端濃度DTおよび後端濃度DEの差が所定のしきい値Dthよりも大きくない場合(ステップS231において“N”)には、画像処理部72は、左端濃度DLおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいこと(DL-DT>Dth)、および右端濃度DRおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいこと(DR-DT>Dth)のうちの少なくとも一方を満たすかどうかを確認する(ステップS234)。
ステップS234において、左端濃度DLおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいこと、および右端濃度DRおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいことのいずれも満たさない場合(ステップS234において“N”)には、ステップS232に進む。すなわち、この場合には、先端濃度DTは後端濃度DEと同程度かそれ以下であり、左端濃度DLおよび右端濃度DRのどちらも先端濃度DTと同程度かそれ以下である。よって、先端領域RTを記録媒体9の先端付近に配置した場合に、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれは低いと考えられる。しかしながら、画像形成装置2では、ページ画像PICAの先端領域RTを記録媒体9の先端付近に配置することにより、定着部40において記録媒体9の詰まりが生じている。よって、画像処理部72は、先端領域RTを記録媒体9の後端付近に配置すべく、ページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更する。そして、このサブルーチンは終了する。
ステップS234において、左端濃度DLおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいこと、および右端濃度DRおよび先端濃度DTの差が所定のしきい値Dthよりも大きいことのうちの少なくとも一方を満たす場合(ステップS234において“Y”)には、画像処理部72は、左端濃度DLが右端濃度DRよりも高い(DL>DR)かどうかを確認する(ステップS235)。
ステップS235において、左端濃度DLが右端濃度DRよりも高い場合(ステップS235において“Y”)には、画像処理部72は、左端領域RLが記録媒体9の後端付近になるように、ページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更する(ステップS236)。すなわち、この場合には、左端濃度DLが右端濃度DRよりも高いので、左端領域RLを記録媒体9の先端付近に配置した場合には、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。よって、画像処理部72は、左端領域RLを記録媒体9の後端付近に配置すべく、ページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更する。この場合には、ページ画像PICの向きは、例えば、記録媒体9の搬送方向Fに対して横向きである。そして、このサブルーチンは終了する。
ステップS235において、左端濃度DLが右端濃度DRよりも高くない場合(ステップS235において“N”)には、画像処理部72は、右端領域RRが記録媒体9の後端付近になるように、ページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更する(ステップS237)。すなわち、この場合には、右端濃度DRが左端濃度DLよりも高いので、右端領域RRを記録媒体9の先端付近に配置した場合には、記録媒体9がヒートローラ41に巻き付くおそれがある。よって、画像処理部72は、右端領域RRを記録媒体9の後端付近に配置すべく、ページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの向きを変更する。この場合には、ページ画像PICの向きは、例えば、記録媒体9の搬送方向Fに対して横向きである。そして、このサブルーチンは終了する。
次に、図18に示したように、画像処理部72は、上記第1の実施の形態におけるステップS107(図6)と同様に、媒体収納部8にセットされた記録媒体9の向きが、ページ画像PICの向きと異なるかどうかを確認する(ステップS207)。媒体収納部8における記録媒体9の向きが、ページ画像PICの向きと一致する場合(ステップS207において“N”)には、ステップS211に進む。
ステップS207において、媒体収納部8における記録媒体9の向きが、ページ画像PICの向きと異なる場合(ステップS207において“Y”)には、プリンタエンジン制御部77は、上記第1の実施の形態におけるステップS108(図6)と同様に、記録媒体9がページ画像PICの向きと同じ向きにセットされた媒体収納部8があるかどうかを確認する(ステップS208)。
ステップS208において、記録媒体9がページ画像PICの向きと同じ向きにセットされた媒体収納部8がある場合(ステップS208において“Y”)には、プリンタエンジン制御部87は、記録媒体9がページ画像PICの向きと同じ向きにセットされた媒体収納部8を、上記第1の実施の形態におけるステップS109(図6)と同様に、記録媒体9の供給元として選択する(ステップS209)。
ステップS208において、記録媒体9がページ画像PICの向きと同じ向きにセットされた媒体収納部8がない場合(ステップS208において“N”)には、表示操作部54は、上記第1の実施の形態におけるステップS110(図6)と同様に、プリンタエンジン制御部77からの指示に基づいて、媒体収納部8における記録媒体9の向きを変更すべき旨をユーザに指示するメッセージを表示する(ステップS210)。ユーザは、このメッセージに従い、例えば、媒体収納部8における記録媒体9の向きを変更する。また、画像形成装置2が手差しトレイを有する場合には、この手差しトレイに、所望の向きの記録媒体9をセットするようにしてもよい。これにより、記録媒体9の向きは、ページ画像PICの向きと一致するようになる。
そして、画像形成装置2は、詰まったページ画像PICA以降の全てのページ画像PICに基づいて、記録媒体9に画像を形成する(ステップS211)。すなわち、詰まったページ画像PICAより前のページ画像PICは、すでに印刷されているので、画像形成装置2は、ページ画像PICAから順に印刷を行う。
以上で、このフローは終了する。
以上のように、画像形成装置2では、定着部40において記録媒体9の詰まりが生じた場合に、詰まりが生じた記録媒体9に係るページ画像PICAの4つの端部領域Rのうちの画像濃度Dが最も高い端部領域Rを、搬送方向Fにおける記録媒体9の後端付近に配置するようにした。これにより、画像形成装置2では、実際に詰まりが生じた記録媒体9に係るページ画像PICAにおける画像濃度Dに基づいて、ページ画像PICAの向きを変更することができるので、再び記録媒体9が詰まるおそれを低減することができる。
また、画像形成装置2では、ページ画像PICAの向きを、記録媒体9が詰まったときのページ画像PICAの向きと異ならせるように変更するようにした。すなわち、図19に示したように、4つの画像濃度D(先端濃度DT、後端濃度DE、左端濃度DL、および右端濃度DR)の大小に関わらず、詰まりが生じた記録媒体9に係るページ画像PICAの向きを変更するようにした。これにより、再び記録媒体9が詰まるおそれを低減することができる。
以上のように本実施の形態では、定着部において記録媒体の詰まりが生じた場合に、詰まりが生じた記録媒体に係るページ画像PICAの4つの端部領域のうちの画像濃度が最も高い端部領域を、搬送方向における記録媒体の後端付近に配置するようにしたので、再び記録媒体が詰まるおそれを低減することができる。
また、本実施の形態では、ページ画像PICAの向きを、記録媒体9が詰まったときのページ画像PICAの向きと異ならせるように変更するようにしたので、再び記録媒体が詰まるおそれを低減することができる。
その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
[変形例2]
上記実施の形態では、ページ画像PICAにおける4つの端部領域Rでの画像濃度Dに基づいて、ページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの方向を決定したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、第1の実施の形態の変形例1と同様に、ページ画像PICAにおける4つの端部領域Rでの余白の幅に基づいて、ページ画像PICA以降の全てのページ画像PICの方向を決定してもよい。
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびにそれらの具体的な応用例および電子機器への適用例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記の各実施の形態では、図7に示したように、初期状態において、記録媒体9を媒体収納部8に縦向きにセットしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、初期状態において、記録媒体9を媒体収納部8に横向きにセットしてもよい。
例えば、上記の実施の形態等では、本技術を単機能のプリンタに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、コピー機能、ファックス機能、スキャン機能、プリント機能などを有する、いわゆる多機能周辺装置(MFP;Multi Function Peripheral)に適用してもよい。
例えば、上記の実施の形態等では、現像ユニット14が形成したトナー像を、記録媒体9に直接転写したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、現像ユニット14が形成したトナー像を、一旦中間転写ベルトに転写(1次転写)し、中間転写ベルトに転写されたトナー像を記録媒体9に転写(2次転写)してもよい。