JP7031162B2 - 自立性包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチック樹脂の積層フィルムを貼り合わせて構成する包装袋に関し、特に自立性、保形性が高く、陳列や保管の際に容易に、きれいに積み重ねることができる包装袋に関する。
パウチとも呼ばれる包装袋は、プラスチックフィルムを基材とする単体または積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、現代生活にとっては不可欠なものとなっている。
例えば飲料のほかレトルト食品などの食品分野でも広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。液体容器のほかにも、様々な用途展開がなされている。
包装袋の利点は、缶や瓶などの容器に比べて、価格が安いことや、要求品質によってきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前および流通や保管においても軽量で省スペースであることが挙げられる。
また表面から見える層への高精細の印刷によって、商品のイメージアップを図ることができ、内容物に関する必要な情報を表示することが可能であり、バーコードの印刷などは、商品の流通やマーケティング情報の源泉ともなっている。
一方で、このような包装袋にも課題があった。例えば特許文献1には、ピロー包装袋と呼ばれる形状の包装袋が開示され、小さな力で容易に開封が可能としている。しかしながらピロー包装袋は、プラスチックフィルムを基材とする単体または積層体を貼り合わせて構成されるため、外形が確定せず、紙箱や金属缶のように天面や底面が明確には形成されないため、保形性が低く、流通、保管時や、店頭に陳列する際にきれいに積み重ねることが困難であった。
プラスチックフィルムで構成する包装袋としては、ピロー包装袋以外にも、底部を広げて自立性を持たせたスタンディングパウチ、側面にマチを設けて厚みを持たせたガセットパウチなどの形態のものも広く用いられているが、これらの包装袋も天面や底面が明確には形成されないことには変わりがなく、やはりきれいに積み重ねて流通、保管、陳列をすることが困難であった。
また、プラスチックフィルムで構成する包装袋以外で、従来から用いられている包装形態では、例えば積み重ねが容易な紙箱は、組み立ての手間がかかるほか、スナック菓子のように水分や油分を含む内容物の場合は、水分や油分が紙に滲みてしまうため、特殊な耐油紙を用いるか、別に内袋が必要となってしまうという問題点があり、金属缶の場合は、形状の自由度が低く、重く、コストも掛かるという問題点があり、代替する障害となっていた。
特開2016-113214号公報
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するためになされたもので、プラスチック樹脂の積層フィルムを貼り合わせて構成する包装袋において、天面、底面を明確に形成することができ、また形成された天面、底面が強度を有して保形力が高く、天地方向にきれいに積み重ねることができると共に、内容物の取り出しも容易な自立性包装袋を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、
少なくとも基材層とシーラント層を有するフィルム積層体のシーラント層同士を対向させて貼り合わせて内部に収納空間を設けた包装袋であって、
略矩形の天面および底面と、前記天面および前記底面の周縁を取り囲む側面を有し、
前記側面は左面と右面からなり、
前記側面を構成する左面フィルムおよび右面フィルムのフィルム積層体の一層に直線カットフィルムを用いており、
前記左面および前記右面の前記底面側の端縁は、前記底面よりも前記底面の法線方向に突出して前記底面の周縁部と接着されて前記底面を周回する底稜部を形成し、
前記左面および前記右面の前記天面側の端縁は、前記天面よりも前記天面の法線方向に突出して前記天面の周縁部と接着されて前記天面を周回する天稜部を形成し、
前記左面および前記右面の前後の端縁は、それぞれ貼り合わされて前縁シール部と背縁シール部を形成し、
前記背縁シール部は前記略矩形の一辺上に位置し、
前記前縁シール部および背縁シール部は前記側面の前記天稜部から前記底稜部に亘って設けられ、
前記前縁シール部にノッチが設けられ、
前記ノッチの延長上の部位を始点とし、前記略矩形または多角形の一辺の両端を終点として、前記左面および前記右面に脆弱化線が設けられており、
前記包装袋が、背片、左片、右を有するコの字状のスリーブを内部に有し、
前記スリーブは、背片は背縁シール部側となり、前縁シール部側は開放されるように装着され、かつ、フィルム積層体と前記脆弱化線の終点の近傍であって、フィルム積層体の脆弱化線を切り裂いたときに終点を越えて切り裂きが進んでしまうことがない位置で接着されていることを特徴とする自立性包装袋である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記脆弱化線の始点の位置が前記終点の位置よりも底面側にあることを特徴とする請求項1に記載の自立性包装袋である。
また、請求項に記載の発明は、
前記スリーブがさらに底片を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の自立性包装袋である。
また、請求項に記載の発明は、
前記側面および前記天面および前記底面を形成するフィルム積層体がそれぞれ別体であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の自立性包装袋である。
また、請求項に記載の発明は、前記側面と前記天面および前記底面の境界で前記フィルム積層体が切れ目なく連続しており、前記底稜部および前記天稜部が前記境界の部位近傍の前記フィルム積層体を折り曲げて貼り合わせて稜状とされて設けられてなることを特
徴とする請求項1からのいずれかに記載の自立性包装袋である。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、略矩形または多角形の底面および天面からそ
れぞれ法線方向に突出した底稜部および天稜部が、フィルム積層体が複数枚接着された態様で他の部分よりも厚く形成されて底面および天面の周縁部を周回しているため、形成された底稜部および天稜部は剛性が高くなり、底稜部および天稜部に周囲を囲まれた態様の天面および底面の形が崩れにくくなり、また左面および右面を構成するフィルム積層体が前後の端縁で貼りあわされて形成された厚みのある前縁シール部および背縁シール部が、底稜部から天稜部に亘って延在して天地方向の剛性と保形性を高めているため、全体として保形性の高い自立性包装袋を提供できる。特に天面および底面の形が崩れにくく、略矩形または多角形であるため、包装袋を天地方向に積み重ねやすく、積み重ねたときに包装袋の形が崩れることがなく、きれいに重ねることができる自立性包装袋を提供できる。
また、前記前縁シール部に設けられたノッチよりも上部の前縁シール部を摘んで引き上げることで、ノッチをきっかけとして前縁シール部を切り裂き、連続して左面および右面に設けられた脆弱化線を始点から終点に向かって切り裂いて、背縁シール部が設けられた一辺以外の部分で側面を切り裂くことができ、背縁シール部が設けられた一辺を折り目として包装袋の脆弱化線よりも天面側の部分を上方に回動させて包装袋を開口させることができ、容易に内容物を取り出すことができる。
また請求項2に記載の発明によれば、脆弱化線を切り裂いて包装袋を開口させたとき、脆弱化線の始点の位置が終点の位置よりも底面側にあるため、脆弱化線よりも天面側の部分を背縁シール部が設けられた一辺を折り目として背側に回動および再封するのが容易で、開口部の左面側がより広く開口して内容物がより見やすく、取出しもより容易に行える自立性包装袋を提供できる。
また請求項3に記載の発明によれば、背片、左片、右片を有するコの字状のスリーブを内部に有することにより、内容物をスリーブ上にまとめて保持した状態で包装袋に収納でき、内容物の充填が効率的に行え、内容物が外力により押し潰され難く、包装袋を切り裂いて開口したときの開口部分の保形性が高まって内容物の取出しがしやすく、またスリーブが、少なくとも脆弱化線の終点を結ぶ直線上の終点の近傍において、対向する前記左面および前記右面のフィルム積層体と接着されているため、輸送中や内容物を取り出すときなどにスリーブがズレたり抜けてしまうことがなく、また脆弱化線の終点近傍でスリーブとフィルム積層体が接着されているため、フィルム積層体の脆弱化線を切り裂いたときに終点を越えて切り裂きが進んでしまうことがなく、切り裂きを適切に行える。
また請求項4に記載の発明によれば、スリーブが背片、左片、右片に加えて底辺を有することで、底辺が内容物を受け止めることができて内容物の保持がより容易になり、包装袋の保形性をより高くすることができる。
また請求項5に記載の発明によれば、側面および天面および底面を形成するフィルム積層体がそれぞれ別体であるので、包装袋の内容物や要求特性によって各面を形成する積層フィルムの構成を変えることができ、底稜部、天稜部はいずれも側面の端縁と底面、天面の周縁部が貼り合わされて厚くなっており、さらにいずれかの端縁を他の端縁に被せるように折り返して貼り合わせることで積層フィルムを三重にすることもできるため、剛性をさらに高めた底稜部および天稜部を構成することもできる。
また請求項6に記載の発明によれば、包装袋を側面と天面および底面の境界でフィルム積層体が切れ目なく連続した1枚の積層フィルムで構成することができるため、包装袋を製造する際の取り扱いが容易で、底稜部および天稜部を境界の部位近傍のフィルム積層体を折り曲げて貼り合わせるだけで容易に稜状に形成することができ、より効率的に製造できる。
本発明の自立性包装袋の第一の実施形態の左面側から見た透視斜視図である。 本発明の自立性包装袋の第一の実施形態の天面とその近傍の断面模式図である。 本発明の自立性包装袋の第一の実施形態を開封する様子の側面模式図である。 本発明の自立性包装袋の第一の実施形態の脆弱化線より天面側を大きく開口させた様子の斜視模式図である。 コの字状のスリーブの展開図である。 図5のコの字状のスリーブに棒状の内容物をセットした状態の説明図である。 別の形態のコの字状のスリーブの展開図である。 図7のコの字状のスリーブに棒状の内容物をセットした状態の説明図である。 本発明の自立性包装袋の第二の実施形態の天面とその近傍の断面模式図である。 本発明の自立性包装袋の第二の実施形態の左面側から見た透視斜視図である。 本発明の自立性包装袋の第一の実施形態の形成手順の概要を示す図である。 本発明の自立性包装袋の第二の実施形態の形成手順の概要を示す図である。 本発明の自立性包装袋の第三の実施形態の形成手順の概要を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお図面において、実質的に同一であるものには同一の番号を付し、説明を省略することがある。また、本発明は以下の実施形態に限定されて解釈されるものではない。
図1は、本発明の自立性包装袋(以下、単に包装袋ということがある)の第一の実施形態の斜視透視図である。また図2は本発明の自立性包装袋の第一の実施形態の天面とその近傍の左右方向の断面模式図である。本実施形態の自立性包装袋1は、少なくとも基材層111とシーラント層113を有し中間層112が設けられた一対のプラスチック樹脂製のフィルム積層体を、左面を構成する左面フィルム11、右面を構成する右面フィルム12として、左面フィルム11および右面フィルム12の底端縁および天端縁が、底面20を構成する底面フィルム21の縁部22および天面30を構成する天面フィルム31の縁部32とシーラント層113、313を対向させてそれぞれ一体に貼り合わされることで底稜部15および天稜部16が形成され、左面フィルム11および右面フィルム12の前後の両端縁は前縁シール部13、背縁シール部14でシールして貼り合わされている。このとき背縁シール部14は底面20および天面30を形成する略矩形または多角形の一辺上に位置している。
底稜部15および天稜部16はそれぞれ底面20および天面30の周縁に立設された態様となっている。また図2に示すように、天稜部16は左面フィルム11および右面フィルム12の端縁と天面フィルム31の縁部32が重なって接着された態様である。このとき、一方のフィルム積層体が他方のフィルム積層体の端部に被さる様に接着されていても良い。天面フィルム31は少なくとも基材フィルム311とシーラント層313を有し、中間層312が設けられた構成であるが、これ以外にも印刷層など適宜層を設けることもできる。また特に図示していないが、公知の接着剤を適宜使用しても良い。なお接着は公知の接着方法を適宜適用して行うことができ、例えばドライラミネート、ホットメルトラミネート、ウェットラミネートなどの方法が適用可能であるが、これに限定されない。底面フィルム21の構成も、詳細は図示していないが、天面フィルム31と同様である。
上記のように接着されて形成された天稜部16は、実質的に積層フィルムが2枚接着された形であり、厚みが他の部分よりも厚く、剛性が高くなっており、天面30は周縁を剛性の高い天稜部16が枠状に取り囲んでいるため、面としての保形性が高くなっている。また詳細には図示していないが、底面20も同様に剛性の高い底稜部15に周縁を枠状に取り囲まれており、保形性が高くなっている。
さらに、底稜部15から天稜部16に亘って、前縁シール部13、背縁シール部14が側面10の前後の両端に設けられおり、前縁シール部13、背縁シール部14は左面フィルム11と右面フィルム12が貼り合わされているため、厚みが厚く、剛性が高くなっているため、包装袋1に天地方向に力が加わったときにも形が崩れにくく、保形性が高められている。
前縁シール部13にはノッチ131が設けられ、ノッチ131の延長上にある始点171から左面フィルム11および右面フィルム12に脆弱化線17が設けられ、背縁シール部14が設けられている一辺の両端にある終点172、172に達している。前縁シール部13のノッチ131よりも天面側を摘み部132として摘んで引き上げると、ノッチ131をきっかけとして前縁シール部13が切り裂かれ、切り裂きがノッチ131の延長上にある始点171に達し、脆弱化線17が始点171から終点172、172まで切り裂かれる。前記一辺以外の部分で切り離された脆弱化線17よりも天面側の部分を、終点172、172を結ぶ仮想線173にそって折り曲げて上方に回動することで、包装袋1を開口させることができ、内容物が収納されたときには内容物を取り出すことができ、また戻すことで再封することもできる。なおノッチ131は、図示したようなV字状の切り欠きに限らず、単なる切込みでも良い。
脆弱化線17は、側面10を構成するフィルム積層体の一部の層に設けると好ましく、その方法は、公知の方法、例えばミシン目、ハーフカット、レーザー照射加工、キズ加工などから適宜採用して設けることができる。また側面10を構成する左面フィルム11および右面フィルムのフィルム積層体の一層に、天面30に平行な方向に切り裂きが進みやすい切り裂き異方性を持ったフィルム、いわゆる直線カットフィルムを用いると、脆弱化線17の切り裂きが容易に行えるため好ましい。また始点171の位置は終点172の位置よりも底面側となっており、脆弱化線17を切り裂いて包装袋1を開口させるとき、脆弱化線17よりも天面30側の部分が一旦外側に膨らむ様な動きとなるため、内容物などに引っかかる虞がより少なくでき、また前縁シール部13側がより広く開口するので内容物がより見やすく、取出しもより容易に行える。
図3は、上記の様に包装袋1を開口させる様子の側面図であり、図4は開口された包装袋に内容物70が収納されているときの態様を示す斜視図である。図3および図4に示した包装袋1の内側には、コの字状に形成されたスリーブ40が装着されている。スリーブ40は図5に示すように板紙、プラスチックシート、またはそれらを貼り合わせたシートに折り曲げ線41を適宜設けてコの字状に折り曲げて背片42、左片44、右片43を形成したもので、背片42が背縁シール部14側となるように装着されている。前縁シール部13側は開放されており、内容物70の取り出しに支障がない。スリーブ40の背片42は、脆弱化線17の終点172、172を結ぶ仮想線173の部分のフィルム積層体と、少なくとも終点172、172の近傍で接着されている。なお接着は近傍だけでなく、仮想線173の部分全体で接着されていても良い。
スリーブ40は包装袋1と接着されていることで、装着された後に脱落し難くなり、例えば包装袋1を持って傾け、内容物を振り出すようにしてもスリーブ40は脱落しない。また、背片42が脆弱化線17の終点172、172の近傍で接着されているため、脆弱化線17を切り裂いたとき、切り裂きが終点172に達すると、スリーブ40と包装袋1が接着した部位が障害となって切り裂きが進み難くなり、切り裂きが終点172を越えて意図しない部分にまで及んでしまうことを防ぐことができ、より好ましい。
スリーブ40はまた、包装袋1の保形性をより高めることができ、外力による変形を抑制して内容物を保護し、天地方向に積み重ねたときの変形をより少なくする。また包装袋
に装着する前に、図6に示したように内容物70をまとめて保持した状態として包装袋1に収納でき、効率的に収納が行える。
スリーブ40にはまた、図7に示すような底片45を設けても良い。底片45を設けることにより、図8に示すように内容物70をまとめて保持したとき、スリーブ40を傾けた状態にしても内容物70がこぼれる虞がなく、より容易に取り扱うことができる。また底面20側の保形性をより高めることができる。
図9は、本発明の自立性包装袋の第二の実施形態の天面とその近傍の断面模式図である。本実施形態においては、右面フィルム12、天面フィルム31、左面フィルム11、底面フィルム(図示せず)が切れ目のない連続した積層フィルムで構成され、右面フィルム12、天面フィルム31、左面フィルム11の各境界の近傍部位は折り曲げられて貼り合わされることで天稜部16を形成している。図示していないが底稜部15も同様に、底面フィルムと左面フィルム11、右面フィルム12の境界の近傍部位を折り曲げて形成される。左面フィルム11、右面フィルム12の一部の層に脆弱化線17が設けられていることは前述の実施形態と同様である。この様な態様でも、天稜部16は積層フィルムが2枚重なった態様となり、前述の実施形態と同様に包装袋1の保形性が高められている。
図10は、本発明の自立性包装袋の第二の実施形態の斜視透視図である。本実施形態では、天面フィルム31の縁部32は天稜部16を形成すると共に、前縁シール部13および背縁シール部14に近接する部分において底面側に三角状に折込まれた折込部18を形成した形態となり、その前後の端部19が前縁シール部13または背縁シール部14に挟みこまれて共にシールされていることにより、天面30は略矩形となっている。底面フィルム21においても同様であり、略矩形の底面20が形成されている。なお底面フィルム21、天面フィルム31の折込み方により天面フィルム31が六角形などの多角形となることもあるが、特に差し支えはない。また前縁フィルムのノッチ131は端部19が重なっていない位置に設けられる。端部19が重なっている部分は厚みが厚くなっており、切り裂き難いためである。
本発明の自立性包装袋の各実施形態は図11、図12、図13にその概要を示したような形成手順により形成できる。
図11は本発明の第一の実施形態の形成手順の概要を示す図であり、図11において、それぞれ脆弱化線17が設けられた左面フィルム11と右面フィルム12の天縁端103、104に、天面フィルム31を、底縁端101、102に底面フィルム21をそれぞれ挟み、天面フィルム31の縁部32と左面フィルム11および右面フィルム12の天端縁103、104を貼り合わせて天稜部16を形成し、底面フィルム21の縁部22と左面フィルム11および右面フィルム12の底端縁101、102を貼り合わせて底稜部15を形成する。次いで前後の端縁部を前縁シール部13、背縁シール部14で貼り合わせる。ノッチ(図示せず)は、貼り合わせ後に脆弱化線17の始点171の位置に合わせて前縁シール部13を切り欠くことで設けることができる。なお底面フィルム21および天面フィルム31を六角形や八角形などの多角形として、底面20および天面30も同様に六角形や八角形などとなる様にしても差し支えはない。
図12は本発明の自立性包装袋の第二の実施形態の形成手順の概要を示す図である。本実施形態においては、脆弱化線17が設けられた右面フィルム121、天面フィルム31、脆弱化線17が設けられた左面フィルム11、底面フィルム21が切れ目のない連続した積層フィルムで構成され、底面フィルム21は再び右面フィルム122に連続している。天面フィルム31に連続する右面フィルム121と底面フィルムに連続する右面フィルム122は背シール部120で貼り合わされて一体となって右面フィルム12となっている。右面フィルム123、天面フィルム31、左面フィルム11、底面フィルム21および右面フィルム124の各境界の近傍部位は折り曲げられて貼り合わされることで天稜部16および底稜部15を形成する。次いで前後の端縁部を矢印の様に左右方向に押し潰すように圧接して貼り合わせ、前縁シール部13、背縁シール部14を形成する。なお背シール部120が左面フィルム11側になるようにしても良いことは言うまでもない。
前縁シール部13および背縁シール部14が形成されるときに、底面フィルム21は逆V字状に、天面フィルム31はV字状に押し潰されて、前縁シール部13または背縁シール部14に挟み込まれて共にシールされる。そのため、前縁シール部13および背縁シール部14に近接する部分の底面フィルム21は逆V字状に引き込まれ、天面フィルム31はV字状に引き込まれるため図10の様な折込部18が形成されると共に、底面20および天面30は略矩形または矩形がやや潰れた六角形などの多角形に形成される。
図13は本発明の第三の実施形態の形成手順の概要を示す図であり、図13において、それぞれ脆弱化線17が設けられた左面フィルム11と右面フィルム12の天縁端に、天面フィルム31を、底縁端に底面フィルム21をそれぞれ挟み、天面フィルム31の縁部32と左面フィルム11および右面フィルム12の天端縁を貼り合わせて天稜部16を形成し、底面フィルム21の縁部22と左面フィルム11および右面フィルム12の底端縁を貼り合わせて底稜部15を形成する。前縁シール部13、背縁シール部14の形成については図12に示した形成手順と同様である。
以下、本発明の自立性包装袋を構成する部材について具体的に説明する。
(フィルム積層体)
本発明の自立性包装袋の側面、天面、底面を構成するフィルム積層体は、少なくとも基材層とシーラント層を有し、間に中間層を設けることができる。
基材層は、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、要求特性に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを基材フィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。厚みは特に限定するものではないが、例えば12μmとすると好適である。
中間層は、包装袋1の各種強度やバリア性の向上などのために設けられ、目的に応じてプラスチックフィルム、金属箔などから適宜選択して設けることができる。プラスチックフィルムであれば、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、要求特性に応じて適宜選択される。とくにポリアミドフィルムを用いる場合には、包装袋の機械的強度、耐衝撃性、コシ、などの点でより好ましく用いることができる。金属箔であればアルミ箔が好適に使用できる。アルミ箔を用いる場合には機械的強度やコシを高めるほか、防湿性はじめバリア性の点でより好ましく用いることができ、アルミ箔の場合の厚みは特に限定するものではないが、例えば7μmとすると好適である。またバリア性を付与するためには基材層を形成するフィルムに金属や無機酸化物の蒸着膜を設けた構成としても良い。あるいはまた、前述のような直線カットフィルムを中間層としても良い。直線カットフィルムは高密度ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムを元にしたものが各種市販されており、仕様に合わせて適宜採用して使用することができる。
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使
用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。厚みは特に限定するものではないが、例えば30μmとすると好適である。
(その他の層)
上記の各層以外にも、適宜中間に層を追加して設けることができ、例えば、印刷層を設けることができる。印刷層は、内容物に対する情報を表示したり、識別のため、あるいは意匠性向上を目的として、包装袋の外側から見える様に設ける。印刷層はプラスチックフィルムを基材として設けることができ、印刷方法および印刷インキには特に制約を設けるものではなく、既知の印刷方法の中からフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、食品容器としての安全性などを考慮して適宜選択してよく、たとえばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。中でもグラビア印刷法は生産性や絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
(積層および接着)
各フィルム積層体を構成する各層を積層する際には、接着剤層を介して積層することができる。接着剤の材料としてはたとえば、ポリエステル-イソシアネート形樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル系樹脂などを用いることができる。また積層の方法については、ドライラミネーションあるいはノンソルベントラミネーションなどの方法を用いることができる。あるいは、熱可塑性樹脂を用いる場合には、押し出し機を用いてラミネートすることもできる。
(スリーブ)
スリーブは、プラスチックシートまたはプラスチックフィルムに紙を貼り合わせたもので構成される。プラスチックシートであれば適度な厚みとコシを持つものであれば特に限定するものではないが、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂シート(厚み150μm)や、ポリスチレン樹脂シート(厚み100μm)などが例示でき、プラスチックフィルムと紙を貼り合わせたものであれば、適度な厚みとコシを持つ紙に耐水性、耐油性などを付与するためにプラスチックフィルムを貼り合わせて構成することができ、特に限定するものではないが、例えばカップ原紙(200g/m)に低密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚み15μm)を貼り合わせたものなどが例示できる。
以上説明したように、本発明の自立性包装袋によれば、フィルム積層体を貼り合わせて警醒した包装袋において、天面、底面を明確に形成することができ、また形成された天面、底面が十分な強度を有して保形力が高く、天地方向にきれいに積み重ねることができる自立性包装袋を提供することができる。また側面に脆弱化線を有し、前縁シール部のノッチから脆弱化線を切り裂いて包装袋の上部を回動させて開口し、内容物を取り出すことができると共に、回動させた上部を戻して再封することが可能であり、内容物の取り出しと再封が容易に行える。本発明の自立性包装袋と従来の包装容器の特性を比較した表を表1に示す。表1に示すように、本発明の自立性包装袋は、多くの特性において優れた特性を示している。
Figure 0007031162000001
1、2・・・・自立性包装袋
10・・・側面
11・・・左面フィルム
12、121、122・・・右面フィルム
120・・・背シール部
13・・・前縁シール部
131・・・ノッチ
132・・・摘み部
14・・・背縁シール部
15・・・底稜部
16・・・天稜部
17・・・脆弱化線
171・・・始点
172・・・終点
173・・・仮想線
18・・・折込部
19・・・端部
20・・・底面
21・・・底面フィルム
22、32・・・縁部
30・・・天面
31・・・天面フィルム
40・・・スリーブ
41・・・折り曲げ線
42・・・背片
43・・・右片
44・・・左片
45・・・底片
50・・・内容物
101、102・・・底縁端
103、104・・・天縁端

Claims (5)

  1. 少なくとも基材層とシーラント層を有するフィルム積層体のシーラント層同士を対向させて貼り合わせて内部に収納空間を設けた包装袋であって、
    略矩形の天面および底面と、前記天面および前記底面の周縁を取り囲む側面を有し、
    前記側面は左面と右面からなり、
    前記側面を構成する左面フィルムおよび右面フィルムのフィルム積層体の一層に直線カットフィルムを用いており、
    前記左面および前記右面の前記底面側の端縁は、前記底面よりも前記底面の法線方向に突出して前記底面の周縁部と接着されて前記底面を周回する底稜部を形成し、
    前記左面および前記右面の前記天面側の端縁は、前記天面よりも前記天面の法線方向に突出して前記天面の周縁部と接着されて前記天面を周回する天稜部を形成し、
    前記左面および前記右面の前後の端縁は、それぞれ貼り合わされて前縁シール部と背縁シール部を形成し、
    前記背縁シール部は前記略矩形の一辺上に位置し、
    前記前縁シール部および背縁シール部は前記側面の前記天稜部から前記底稜部に亘って設けられ、
    前記前縁シール部にノッチが設けられ、
    前記ノッチの延長上の部位を始点とし、前記略矩形または多角形の一辺の両端を終点として、前記左面および前記右面に脆弱化線が設けられており、
    前記包装袋が、背片、左片、右片を有するコの字状のスリーブを内部に有し、
    前記スリーブは、背片は背縁シール部側となり、前縁シール部側は開放されるように装着され、かつ、フィルム積層体と前記脆弱化線の終点の近傍であって、フィルム積層体の脆弱化線を切り裂いたときに終点を越えて切り裂きが進んでしまうことがない位置で接着されていることを特徴とする自立性包装袋。
  2. 前記脆弱化線の始点の位置が前記終点の位置よりも底面側にあることを特徴とする請求項1に記載の自立性包装袋。
  3. 前記スリーブがさらに底片を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の自立性包装袋。
  4. 前記側面および前記天面および前記底面を形成するフィルム積層体がそれぞれ別体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自立性包装袋。
  5. 前記側面と前記天面および前記底面の境界で前記フィルム積層体が切れ目なく連続しており、前記底稜部および前記天稜部が前記境界の部位近傍の前記フィルム積層体を折り曲げて貼り合わせて稜状とされて設けられてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自立性包装袋。
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