JP7030269B2 - 粘着剤および粘着シート - Google Patents
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Description
すわなち、本発明は、ウレタンポリオール(A)、イソシアネート硬化剤(B)およびエーテル系化合物(C)を含み、
前記エーテル系化合物(C)が、下記構造式(I)で表される化合物であり、かつ分子量が300以上である、粘着剤に関する。
R1―O―(AO)n―R2 ・・・ (I)
(R1は炭素数1~24の置換されてもよい炭化水素基を表す。R2は炭素数1~18の置換されてもよい炭化水素基を表す。R1とR2は同一構造でも異なる構造でも構わない。AOは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表す。nは1~30の整数である)
本明細書で被着体は、粘着シートを貼り合わせる相手方である。
本発明の粘着剤は、塗工により粘着剤層を形成し、基材、および粘着剤層を備えた粘着シートとして使用することが好ましい。
本発明の粘着シートは、テープ、ラベル、シール、および両面テープ等の形態で、使用することができる。本発明の粘着シートは、表面保護シート、化粧用シート、および滑り止めシート等として好適に使用できる。
前記被着体として、液晶ディスプレイ(LCD)および有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(OLED)等のフラット又はフレキシブルパネルディスプレイ、並びに、かかるこれらディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイは、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末、半導体等の電子機器が好ましい。また前記被着体に限らず、建築物の窓、車両、船舶、航空機の窓等のあらゆる素材の表面保護用途に使用できる。
これらの被着体の中でも本発明の粘着シートは、フラット又はフレキシブルパネルディスプレイおよびタッチパネルディスプレイ(これらを総称して単に「ディスプレイ」ともいう)、並びに、これらの製造工程で製造または使用される基板(ガラス基板、およびガラス基板上にITO(インジウム酸化錫)フィルムが形成されたITO/ガラス基板等)および光学部材等の表面保護シートとしての使用が好ましい。
(ウレタンポリオール(A))
ウレタンポリオール(A)は、1種以上のポリオール(x)と1種以上のポリイソシアネート(y)との反応物であり水酸基を有する。ウレタンポリオール(A)は、1種以上用いることができる。共重合反応は必要に応じて、触媒存在下で行うことができる。共重合反応には必要に応じて、溶媒を用いることができる。
ポリオール(x)は、少なくとも、1種以上の3官能以上のポリオール(x2)を含む。好ましくは、ポリオール(x)は、1種以上の2官能ポリオール(x1)と1種以上の3官能以上のポリオール(x2)とを含む。
ポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)は、200以上が好ましく、600以上がより好ましく、800以上がさらに好ましい。6,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、4,000以下がさらに好ましい。Mnが200以上であることで、ウレタンポリオール(A)のゲル化が効果的に抑制される。Mnが6,000以下であることで、ウレタンポリオール(A)の凝集力がより向上する。
ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mn)は、400以上が好ましく、600以上がより好ましく、1,000以上がさらに好ましい。20,000以下が好ましく、10,000以下がより好ましく、7,000以下がさらに好ましい。Mnが400以上であることで、ウレタンポリオール(A)のゲル化が効果的に抑制される。Mnが20,000以下であることで、ウレタンポリオール(A)の凝集力がより向上する。
ポリイソシアネート化合物(y)は公知のものを使用でき、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
アダクト体とは、ジイソシアネートとトリメチロールプロパン(CH3-CH2-C(CH2-OH) 3)との付加体である。ビュウレット体は、ジイソシアネートと、水または3級アルコールとの反応物である。イソシアヌレート体は、ジイソシアネートの3量体(この3量体はイソシアヌレート環を含む。)である。
ポリイソシアネート(y)は、2官能イソシアネート化合物(y1)のみを用いることが好ましい。ポリイソシアネート(y)は、ポリイソシアネート(y)は必要に応じて、1種以上の3官能以上のイソシアネート化合物を含むことができる。
ウレタンポリオールの原料ポリオールとして架橋性の高い3官能以上のポリオールのみと3官能以上のポリイソシアネートのみとを用いる場合、ウレタンポリオールの分子構造が剛直となり、粘着剤層の凝集力が好適な範囲より高くなる恐れがある。
ウレタンポリオールの原料ポリオールとして3官能以上のポリオールを用いることが好適な本発明の粘着剤では、ポリイソシアネート(y)として2官能イソシアネート化合物(y1)を含む1種以上のポリイソシアネート、好ましくは2官能イソシアネート化合物(y1)のみを用いることで、過度な架橋を抑えて、好適な凝集力と粘着力を有する粘着剤層が得ることが可能となる。
触媒は、3級アミン系化合物および有機金属系化合物等が挙げられる。
錫系化合物は、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレート、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、および2-エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物は、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系;オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、およびナフテン酸鉛等の鉛系;2-エチルヘキサン酸鉄および鉄アセチルアセトネート等の鉄系;安息香酸コバルトおよび2-エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系;ナフテン酸亜鉛および2-エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系;ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系が挙げられる。
2-エチルヘキサン酸錫とジブチル錫ジラウレートとの質量比(2-エチルヘキサン酸錫/ジブチル錫ジラウレート)は特に制限されず、好ましくは0超1未満、より好ましくは0.2~0.6である。当該質量比が1未満であれば、触媒活性のバランスが良く、反応溶液のゲル化および白濁を効果的に抑制し、重合安定性がより向上する。
ウレタンポリオール(A)の合成には必要に応じて、溶剤を使用できる。溶剤は、例えばメチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等が挙げられる。ウレタンポリオール(A)の溶解性および溶剤の沸点等の点から、酢酸エチルおよびトルエン等が特に好ましい。
ウレタンポリオール(A)の重合方法は特に制限されず、塊状重合法および溶液重合法等の公知重合方法を適用することができる。
重合手順は特に制限されず、
手順1)ポリオール(x)、ポリイソシアネート(y)、必要に応じて触媒、および必要に応じて溶剤を一括してフラスコに仕込む手順;
手順2)ポリオール(x)、必要に応じて触媒、および必要に応じて溶剤をフラスコに仕込み、これにポリイソシアネート(y)を滴下添加する手順が挙げられる。
手順3)ポリオール(x)のうち最終滴下分を余らせた残り、必要に応じて触媒および溶剤をフラスコに仕込み、これにポリイソシアネート(y)を滴下添加し、その後余らせておいた分のポリオール(x)を追って滴下する手順;が挙げられる。
これらの中でも反応熱の制御が容易な(手順2)(手順3)が好ましい。
触媒を使用しない場合、反応温度は好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上であり、反応時間は好ましくは3時間以上である。
イソシアネート硬化剤(B)は、ウレタンポリオール(A)の原料であるポリイソシアネート(y)で例示した化合物(具体的には、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、および、これらのトリメチロールプロパンアダクト体/ビュウレット体/3量体(ヌレート体))を使用できる。
エーテル系化合物(C)は、粘着剤の可塑剤として機能する。
エーテル系化合物(C)は、構造式(I)に示した通り、中心骨格である(ポリ)アルキレングリコールの両末端を、炭素数1~24の置換されてもよい炭化水素基(R1)と、炭素数1~18の置換されてもよい炭化水素基(R2)で封止した構造をとる。アルキレンの炭素数は2~4、アルキレングリコールの繰り返し数は1~30であり、分子量は300以上である。アルキレングリコールは、エチレングリコールが好ましく、さらに、エチレングリコールとプロピレングリコールの両方を含んでいるのが好ましい。プロピレングリコールは、1,2-プロピレングリコールであっても、1,3-プロピレングリコールであってもよい。
nが2以上の場合は、複数あるA(アルキレン基)は、同じであっても異なっていてもよい。また、異なるアルキレン基がある場合、その順列はランダムであっても、ブロックを構成していてもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アルキルオキシアルキルオキシ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホ基などが挙げられる。また本発明の効果を阻害しない範囲で、ヒドロキシル基、アミノ基、エステル基、アミド基を有することができる。
本発明の粘着剤は、必要に応じて、溶剤を含むことができる。溶剤は公知の化合物を使用できる。溶剤は、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等が挙げられる。これらの中でもウレタンポリオール(A)の溶解性および溶剤の沸点等の観点から、酢酸エチルおよびトルエン等が好ましい。
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上の帯電防止剤(D)を含むことができる。
帯電防止剤は、無機塩、多価アルコール化合物、イオン性液体、および界面活性剤等が挙げられ、中でもイオン性液体が好ましい。なお、「イオン性液体」は常温溶融塩ともいい、25℃で流動性がある塩である。
アニオン性の低分子界面活性剤は、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびアルキルホスフェート等が挙げられる。
カチオン性の低分子界面活性剤は、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
両性の低分子界面活性剤は、アルキルベタインおよびアルキルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
アニオン性の高分子界面活性剤は、ポリスチレンスルホン酸型等が挙げられる。
カチオン性の高分子界面活性剤は、第4級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体型等が挙げられる。
両性の高分子界面活性剤は、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、および高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤は、必要に応じて、1種以上の変質防止剤を含むことができる。これにより、粘着剤層の長期使用による各種特性の低下を抑制することができる。変質防止剤は、例えば、耐加水分解剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤等が挙げられる。
高温高湿環境下等において粘着剤層に加水分解反応が生じてカルボキシ基が生成した場合、このカルボキシ基を封鎖するために、耐加水分解剤を用いることができる。
耐加水分解剤、カルボジイミド系、イソシアネート系、オキサゾリン系、およびエポキシ系等が挙げられる。これらの中でも、加水分解抑制効果の観点から、カルボジイミド系が好ましい。
モノカルボジイミド化合物は、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、およびナフチルカルボジイミド等が挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させて生成することができる。ジイソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1-メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、およびテトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。カルボジイミド化触媒は、例えば1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド、3-メチル-2-ホスホレン-1-オキシド、1-エチル-3-メチル-2-ホスホレン-1-オキシド、1-エチル-2-ホスホレン-1-オキシド、およびこれらの3-ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等が挙げられる。
酸化防止剤は、ラジカル補足剤および過酸化物分解剤等が挙げられる。ラジカル補足剤は、フェノール系化合物およびアミン系化合物等が挙げられる。過酸化物分解剤は、硫黄系化合物およびリン系化合物等が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は特に制限されず、ウレタンポリオール(A)100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上がさらに好ましい。5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましい。
紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびトリアジン系化合物等が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は特に制限されず、ウレタンポリオール(A)100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上がさらに好ましい。5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましい。
光安定剤は、ヒンダードアミン系化合物およびヒンダードピペリジン系化合物等が挙げられる。光安定剤の添加量は特に制限されず、ウレタンポリオール(A)100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上がさらに好ましい。5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましい。
本発明の粘着剤は必要に応じて、レベリング剤を含むことができる。レベリング剤を添加することで、粘着剤を塗工する際、塗膜の表面張力が下がり、表面が平滑な粘着剤層が得易くなる。レベリング剤は、アクリル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、およびシリコーン系レベリング剤等が挙げられる、粘着シート再剥離後の被着体汚染抑制の観点から、アクリル系レベリング剤等が好ましい。
本発明の粘着剤は、本発明の課題を解決できる範囲であれば、他の任意成分を含むことができる。他の任意成分は、触媒、ウレタン系樹脂以外の他の樹脂、充填剤(タルク、炭酸カルシウム、および酸化チタン等)、金属粉、着色剤(顔料等)、箔状物、シランカップリング剤、潤滑剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、重合禁止剤、および消泡剤等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、基材と、上記の本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着剤層とを含む。典型例を図1に示す。粘着剤層は、基材の片面または両面に形成することができる。必要に応じて、粘着剤層の露出面は、剥離シートで被覆することができる。なお、剥離シートは、粘着シートを被着体に貼着する際に剥離される。なお、基材はシート状が好ましい。
ポリウレタンシートを除く樹脂シートの厚みは特に制限されず、好ましくは15~300μmである。ポリウレタンシート(発泡体を含む)の厚みは特に制限されず、好ましくは20~50,000μmである。
紙は特に制限されず、普通紙、コート紙、およびアート紙等が挙げられる。
金属箔の構成金属は特に制限されず、例えば、アルミニウム、銅、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
はじめに、基材の表面に本発明の粘着剤を塗工して、本発明の粘着剤からなる塗工層を形成する。塗布方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等が挙げられる。
次に、塗工層を乾燥および硬化して、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着剤層を形成する。加熱乾燥温度は特に制限されず、60~130℃程度が好ましい。
粘着剤層の厚みは粘着シートの用途によって適宜設計でき、例えば5~300μm程度である。なお、本明細書において、「粘着剤層の厚み」は特に明記しない限り、乾燥後の厚みである。
次に必要に応じて、公知方法により粘着剤層の露出面に剥離シートを貼着する。
以上のようにして、片面粘着シートを製造することができる。
上記操作を両面に行うことで、両面粘着シートを製造することができる。
前記表示装置は、例えばテレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末、車両に搭載されるディスプレイ、つまりはCID (Center Information Display)、カーナビが挙げられる。なお、CIDは、自動車の運転席前面に配置される情報ディスプレイのことをいう。従来はカーナビの地図表示を主な用途として搭載されてきたが、近年では車載カメラの搭載によるパーキングアシスト機能や空調操作・燃費情報を表示するマルチファンクションディスプレイとして高機能化しつつあるため、あらゆる環境への適性が求められる。
表示装置の粘着シートが貼付される面(被着体)の素材は、例えば、ガラス、アクリル板、ポリカーボネート、ポリオレフィンが挙げられる。
被着体の厚みは、10μm~5mm程度である。
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りである。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
装置:SHIMADZU Prominence(株式会社島津製作所製)、
カラム:SHODEX LF-804(昭和電工株式会社製)を3本直列に接続、
検出器:示差屈折率検出器、
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:0.5mL/分、
溶媒温度:40℃、
試料濃度:0.1%、
試料注入量:200μL。
使用した材料は、以下の通りである。
<ポリオール(x)>
(x2-1):サンニックス GL-3000(ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn3000、水酸基数3、三洋化成工業社製)、
(x2-2):エクセノール5030 (ポリエーテルポリオール、数平均分子量Mn5100、水酸基数3、旭硝子社製)、
(x1-1):クラレポリオール P-1010(ポリエステルポリオール、数平均分子量Mn1000、水酸基数2、クラレ社製)、
(y1-1):デスモジュールH(ヘキサメチレンジイソシアネート、住化コベストロウレタン社製)、
(B1):スミジュール HT(ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、不揮発分75%、住化コベストロウレタン社製)、
(B2):デスモジュール N3200(ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、不揮発分100%、住化コベストロウレタン社製)、
(B3):デスモジュール N3300(ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、不揮発分100%、住化コベストロウレタン社製)。
下記の反応例で得られたものを使用した。
(C1):R1;2-エチルヘキシル基、R2;2-エチルヘキシル基、AO;エチレンオキシ基、n;3、分子量;374、
(C2):R1;2-エチルヘキシル基、R2;2-エチルヘキシル基、AO;エチレンオキシ基、n;6、分子量;506、
(C3):R1;2-エチルヘキシル基、R2;2-エチルヘキシル基、AO;エチレンオキシ基、n;9、分子量;638、
(C4):R1;2-エチルヘキシル基、R2;2-エチルヘキシル基、AO;エチレンオキシ基、n;12、分子量;770、
(C5):R1;n-ブチル基、R2;n-ブチル基、AO;エチレンオキシ基、n;6、分子量;450、
(C6):R1;2-エチルヘキシル基、R2;n-ブチル基、AO;エチレンオキシ基、n;6、分子量;450、
(C7):R1;n-ラウリル基、R2;i-プロピル基、AO;エチレンオキシ基、n;6、分子量;492、
(C8):R1;n-ステアリル基、R2;メチル基、AO;エチレンオキシ基、n;6、分子量;548、
(C9):R1;2-エチルヘキシル基、R2;2-エチルヘキシル基、AO;エチレンオキシ-プロピレンオキシ-エチレンオキシ基、n;5-2-5、分子量;798、
(C10):R1;n-ラウリル基、R2;i-プロピル基、AO;エチレンオキシ-プロピレンオキシ-エチレンオキシ基、n;5-2-5、分子量;784、
(C11):R1;n-ステアリル基、R2;メチル基、AO;エチレンオキシ-プロピレンオキシ-エチレンオキシ基、n;5-2-5、分子量;840、
(C12):R1;n-ステアリル基、R2;メチル基、AO;エチレンオキシ-プロピレンオキシ-エチレンオキシ基、n;8-2-8、分子量;1062。
(反応例1)
攪拌及び温度計を備えたステンレス製オートクレーブに2-エチルヘキサノール260.4g(2モル)、触媒として水酸化カリウム1gを加え、窒素で反応系内を置換した後、100℃で1時間脱水を行った。次いで、エチレンオキシド133.2g(3モル)を120℃で1時間かけて導入した。オートクレーブを室温に戻し、反応液中のアルカリ触媒を酢酸1gで中和して(C1)を得た。これは理論分子量374、AO繰り返し数3であった。
攪拌及び温度計を備えたステンレス製オートクレーブに1-ラウリルアルコール186.3g(1モル)、触媒として水酸化カリウム1gを加え、窒素で反応系内を置換した後、100℃で1時間脱水を行った。次いで、エチレンオキシド220.3g(5モル)、プロピレンオキシド116.2g(2モル)、エチレンオキシド220.3g(5モル)を120℃でそれぞれ1時間ずつかけて導入した。その後、2-ブロモプロパン123.0g(1モル)を加えて4時間反応させ、オードクレーブを室温に冷却し、アルカリ触媒を酢酸1gで中和して(C10)を得た。これは理論分子量784、AO繰り返し数12(5-2-5)であった。(C11)、(C12)も同様の方法で合成した。
(C’1):アデカサイザーRS700(エーテルエステル可塑剤、ADEKA社製)
(C’2):エマルゲン106(オキシエチレンモノラウリルエーテル、花王社製)
(C’3):R1;i-プロピル基、R2;i-プロピル基、AO;エチレンオキシ基、n;4、分子量;278。
(D1):イオン性液体、トリ-n-ブチルメチルアンモニウム・ビストリフルオロメタンスルホンイミド、
(D2):イオン性固体、リチウム・ビストリフルオロメタンスルホンイミド。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、および滴下漏斗を備えた4口フラスコに、ポリオール(x2-1)100部、およびポリイソシアネート(y1-1)6.0部を仕込んだ。これに、トルエン70部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.005部を加えて、90℃まで徐々に昇温し、90℃で3時間反応を行った。随時サンプリングを行い、赤外吸収(IR)スペクトルで残存イソシアネート基の消滅を確認した上で、反応溶液を冷却し反応を終了した。以上のようにして、ウレタンポリオール(A1)の溶液(不揮発分:60%)を得た。得られたウレタンポリオール(A1)の重量平均分子量Mwは、236,000であった。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、および滴下漏斗を備えた4口フラスコに、ポリオール(x2-2)80部、ポリオール(x1-1)20部、およびポリイソシアネート(y1-1)4.0部を仕込んだ。これに、トルエン71部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.005部を加えて、90℃まで徐々に昇温し、90℃で3時間反応を行った。随時サンプリングを行い、赤外吸収(IR)スペクトルで残存イソシアネート基の消滅を確認した上で、反応溶液を冷却し反応を終了した。以上のようにして、ウレタンポリオール(A2)の溶液(不揮発分:60%)を得た。得られたウレタンポリオール(A2)の重量平均分子量Mwは、185,000であった。
合成例1で得られた樹脂溶液中のウレタンポリオール(A1)100部に対して、それぞれ不揮発分比でイソシアネート化合物(B1)を10部、エーテル系化合物(C1)を30部配合し、さらに溶剤として酢酸エチルを50部配合し、ディスパーで攪拌することで、粘着剤を得た。
基材して、50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、ルミラーT-60:東レ社製)を用意した。この基材の片面に、得られた粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚みが12μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥して、粘着剤層を形成した。この粘着剤層上に、厚さ38μmの剥離シート(スーパーステックSP-PET38:リンテック社製)を貼着して、粘着シートを得た。23℃-50%RHで1週間養生した後、各種評価に供した。
実施例2~26、比較例1~3の各例においては、配合組成を表1~表3に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法にて、粘着剤および粘着シートを得た。
評価項目および評価方法は、以下の通りである。
(被着体汚染性)
得られた粘着シートを幅50mm・長さ100mmの大きさに準備し、測定試料とした。次いで、23℃-50%RHの雰囲気下で、測定試料から剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層をラミネーターにて苛性ソーダガラス板に貼着した。その後、75℃-75%RH条件下で240時間放置した。23℃-50%RHの雰囲気にて30分空冷した後、暗室にてLEDライトをガラス面に当てながら剥離し、粘着シートが貼ってあった箇所を目視し、その後エタノールを浸み込ませたさらし布で拭いて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:汚染が全く見られない、優良。
○:若干の汚染が見られるが、目立たない、良好。
△:部分的に汚染が見られるが、一度で拭き取れる、実用可。
×:部分的又は全体に汚染が見られ、一度では拭き取りきれない、実用不可。
(耐熱粘着力)
得られた粘着シートを幅25mm・長さ100mmの大きさに準備し、測定試料とした。次いで、23℃-50%RHの雰囲気下で、測定試料から剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を苛性ソーダガラス板に貼着し、2kgロールを用いて圧着した。その後、75℃-75%RH条件下で240時間放置した。23℃-50%RHの雰囲気にて30分空冷した後、JISZ0237に準拠し、引張試験機(テンシロン:オリエンテック社製)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着力を測定した。なお、粘着力が低い方が再剥離しやすい。評価基準は以下の通りである。
◎:50mN/25mm未満、優良。
○:50mN/25mm以上100mN/25mm、良好。
△:100mN/25mm以上200mN/25mm、実用可。
×:200mN/25mm超、実用不可。
得られた粘着シートを幅50mm・長さ200mmの大きさに準備し、測定試料とした。次いで、23℃-50%RH雰囲気下で30分間放置した後、測定試料から剥離シートを剥離した。粘着テープの両端を両手で持ちながら露出した粘着剤層の中心部をガラス板に接触させた後、両手を離した。測定試料の自重で粘着剤層全体がガラス板に密着するまでの時間を測定することで、粘着剤の濡れ性を評価した。ガラス板と密着するまでの時間が短いほどガラスに対する濡れ性(親和性)が良好であるため、ガラスを使用した製造工程でガラスを良好に保護することができる。評価基準は以下の通りである。
◎:密着まで3秒未満、優良。
○:密着まで3秒以上4秒未満、良好。
△:密着まで4秒以上5秒未満、実用可。
×:密着まで5秒以上、実用不可。
試料(エーテル系化合物(C)又は(C‘))を直径約4cmのメンタム缶に約1g入れ、それを150℃のオーブン中に20分放置した。次いで、23℃-50%RH雰囲気下で30分間放置した後、オーブン投入前後の重量変化を測定し、試料の不揮発性を評価した。
不揮発性(%)=[1-{(加熱前の総重量-加熱後の総重量)/試料の重量}]×100
評価基準は以下の通りである。
◎:95%以上、良好。
○:90%以上95%未満、良好。
△:80%以上90%未満、実用可。
×:80%未満、実用不可。
評価結果を表1~表3に示す。
11:基材
12:粘着剤層
13:剥離シート
Claims (6)
- ウレタンポリオール(A)、イソシアネート硬化剤(B)およびエーテル系化合物(C)を含み、
前記エーテル系化合物(C)が、下記構造式(I)で表される化合物であり、かつ分子量が300以上であり、
前記エーテル系化合物(C)の配合量が、ウレタンポリオール(A)100質量部に対して3~100質量部である、粘着剤。
R1-O-(AO)n-R2 ・・・ (I)
(R1は炭素数1~24の置換されてもよい炭化水素基を表す。R2は炭素数1~18の置換されてもよい炭化水素基を表す。R1とR2は同一構造でも異なる構造でも構わない。AOは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表す。nは1~30の整数である) - 前記エーテル系化合物(C)の分子量が、400以上である、請求項1記載の粘着剤。
- 前記エーテル系化合物(C)が、エチレンオキシ基を有する化合物である、請求項1または2記載の粘着剤。
- 前記エーテル系化合物(C)が、さらにプロピレンオキシ基を含む化合物である、請求項3記載の粘着剤。
- さらに、帯電防止剤(D)を含む、請求項1~4いずれか1項に記載の粘着剤。
- 基材および請求項1~5いずれか1項に記載の粘着剤の硬化物である粘着剤層を備える、粘着シート。
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