JP7056030B2 - 可とう性部材用粘着剤、粘着シートおよびディスプレイ - Google Patents
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Description
前記水酸基含有ポリウレタンウレアは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、およびポリアミンの反応物であり、
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、ポリエステルポリオールおよびポリイソシアネートの反応物であり、
前記水酸基含有ポリウレタンウレア100質量部に対して、前記イソシアネート硬化剤を0.05質量部以上2質量部未満含む。
本明細書で主成分は、複数配合する成分(原料)の中で最も配合量が多い成分をいう。 本明細書で単に「ポリオール」という場合、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に使用するポリエステルポリオールを含む全てのポリオールを意味する。
前記水酸基含有ポリウレタンウレアは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、およびポリアミンの反応物であり、
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、ポリエステルポリオールおよびポリイソシアネートの反応物であり、
前記水酸基含有ポリウレタンウレア100質量部に対して、前記イソシアネート硬化剤を0.05質量部以上2質量部未満含む。
水酸基含有ポリウレタンウレアは、1種以上のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよび1種以上のポリアミンをウレア反応(ウレア結合が形成)させた反応物である。ウレア反応は、必要に応じて、触媒存在下で行うことができる。共重合反応には必要に応じて、溶媒を用いることができる。
水酸基含有ウレタンウレアは、単独または2種以上を使用できる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、ポリオール(X)およびポリイソシアネートの反応物である。ポリイソシアネートとポリオール(X)とのウレタン反応(ウレタン結合が形成)によりイソシアネート基を有する化合物が得られる。
ポリイソシアネートが有するイソシアネート基は、ポリオール(X)の水酸基よりも過剰になるモル比で使用する。ウレタン反応には、反応促進のため触媒を使用することが好ましい。なお、ポリイソシアネートは、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、2官能ポリイソシアネート、3官能以上のポリイソシアネートが挙げられるところ、2官能イソシアネートが好ましい。
ポリイソシアネートは、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、分子内のエステル結合が粘着層の凝集力および粘着力の向上に寄与するため、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの原料にポリエステルポリオールを使用すると折り曲げ適性を有する粘着層が得易くなる。そのため、ポリエステルポリオールと他のポリオールを併用する場合、ポリエステルポリオールを主成分(重量比)とすることが好ましい。また、ポリエステルポリオールが、2官能ポリエステルポリオールと3官能以上のポリエステルポリオールとを併用する場合は、2官能ポリエステルポリオールを主成分とすることが好ましい。これにより折り曲げ適性がより向上するためである。また、例えば、2官能ポリエステルポリオールと3官能以上のポリエーテルポリオールとを併用する場合も2官能ポリエステルポリオールを主成分とすることが好ましい。
(1)前記多塩基酸が芳香族多塩基酸を含む、
(2)前記ポリオール(Y)が芳香族ポリオール(Z)を含む、
(3)前記多塩基酸が芳香族多塩基酸を含み、かつ前記ポリオール(Y)が芳香族ポリオール(Z)を含む。
ポリエーテルポリオールは、ポリエステルポリオールと併用することで粘着層の凝集力と粘着力とを高度に両立できる。すなわちイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびポリイソシアネートの反応物であることも好ましい。
この場合、ポリエステルポリオール(X)とポリエーテルポリオール(Y)との重量比は、X/Y=100/0~50/50が好ましく、X/Y=100/0~70/30がより好ましい。
ポリエーテルポリオールを使用する場合、併用するポリエステルポリオールは、脂肪族ポリエステルポリオール(A)および芳香族ポリエステルポリオール(B)から任意に選択できる。なお、芳香族ポリエステルポリオール(B)を使用すると粘着層は、凝集力と粘着力とを高度により両立し易くなる。
水酸基含有化合物は、例えばエチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール等の2官能活性水素含有化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3官能活性水素含有化合物;ペンタエリスリトール等の4官能活性水素含有化合物等が挙げられる。
アミンは、例えばN-アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、およびキシリレンジアミン等の2官能活性水素含有化合物;ジエチレントリアミン等の3官能活性水素含有化合物;トリエチレンテトラミン等の4官能活性水素含有化合物;テトラエチレンペンタミン等の5官能活性水素含有化合物等が挙げられる。
触媒は、ウレタン反応の反応促進に使用できる。触媒は、例えば、3級アミン系化合物および有機金属系化合物等が好ましい。
錫系化合物は、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、および2-エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物は、は、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系化合物;オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、およびナフテン酸鉛等の鉛系化合物;2-エチルヘキサン酸鉄および鉄アセチルアセトネート等の鉄系化合物;安息香酸コバルトおよび2-エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系化合物;ナフテン酸亜鉛および2-エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系化合物;ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系化合物が挙げられる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成には、必要に応じて、1種以上の溶剤を用いることができる。溶剤は、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等が挙げられる。これらの中でもイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの溶解性および溶剤の沸点等の点から、酢酸エチルおよびトルエン等が好ましい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの重合方法は、特に制限されず、塊状重合法および溶液重合法等の公知の重合方法を使用できる。
重合手順は、例えば、
手順1)1種以上のポリイソシアネート、1種以上のポリエステルポリオール、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶剤を一括してフラスコに仕込む手順;
手順2)1種以上のポリエステルポリオール、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶剤をフラスコに仕込み、これに1種以上のポリイソシアネートを滴下添加する手順;が挙げられる。
これらの中でも原料中の低分子成分を優先的に反応させ、分子量分散度を狭くするため、および反応制御が容易であることから、手順2)が好ましい。
反応温度は、触媒を使用しない場合、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましい。なお、反応温度の上限は、120℃程度である。
ポリアミンは、1種以上のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとウレア反応(ウレア結合を形成)することで水酸基含有ポリウレタンウレアを合成できる。ウレア結合は、粘着層の凝集力向上に寄与する。
ポリアミンの使用で形成するウレア結合により粘着層の凝集力が向上するため、水酸基含有ポリウレタンウレアは、分子量以外の面で凝集力を調整し易い。なお、2個のアミノ基および1個の1級水酸基を有するポリアミンを使用してウレア結合を形成すると水酸基含有ポリウレタンウレアの水酸基が1級水酸基になるため、イソシアネート硬化剤(B)との硬化完了までの時間が短く、生産性がより向上する。
一般式[2]:
H2N-CH2-CH2-CH2-O-(CmH2m-O)n-CH2-CH2-CH2-NH2
(式中、mは2~4の任意の整数、nは2~50の任意の整数を示す。)
前記2級アミノ基を2個以上有し、1級水酸基を1個有する化合物の合成法の一例を挙げると、1級アミノ基を2個以上有する化合物に水酸基および(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個有する化合物をマイケル付加反応させた化合物が好ましい。前記化合物の有する水酸基は、1級水酸基が好ましい。これにより、ウレタンウレアとイソシアネート硬化剤との硬化完了までの時間が短く、塗工速度を高速にできるため塗工適性がより向上する。
モノアミンは、例えば、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールが挙げられる。
イソシアネート硬化剤は、イソシアネート基を2以上有する化合物である。イソシアネート硬化剤は、既に説明したポリイソシアネートを使用できる。例示化合物の中でも芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート、ならびにこれらのトリメチロールプロパンアダクト体、ならびにこれらのビュウレット体、ならびにこれら3量体である3官能イソシアネート等がより好ましい。
粘着剤には、さらに劣化防止剤を含むことができる。劣化防止剤を含むと高温雰囲気または高温高湿雰囲気における水酸基含有ポリウレタンウレアの熱劣化を抑制できる。
劣化防止剤は、フェノール系劣化防止剤およびアミン系劣化防止剤等のラジカル連鎖禁止剤、ならびに硫黄系劣化防止剤またはリン系劣化防止剤等が好ましい。
2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフェノール系劣化防止剤;
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、および1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H、3H、5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール系劣化防止剤等が挙げられる。
粘着剤には、さらに帯電防止剤を含むことができる。帯電防止剤を含むと粘着シートを剥離する際の静電気放電を抑制し、例えば、ディスプレイ等に組み込まれた無機層等の破損を防止し易い。
帯電防止剤は、例えば、無機塩、多価アルコール化合物、イオン性液体、界面活性剤等が挙げられる。これらの中でもイオン性液体が好ましい。なお、「イオン性液体」は、常温溶融塩ともいい、25℃で液体の性状を示す。
アニオン性界面活性剤は、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート、およびポリスチレンスルホン酸型等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤は、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、および第4級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体型等が挙げられる。
両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタインおよびアルキルイミダゾリウムベタイン、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、および高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
粘着剤には、さらにシランカップリング剤を含むことができる。シランカップリング剤を含むと粘着シートと被着体との密着をより強固にし、湿熱保持力等の耐久性が向上する。シランカップリング剤は、シランの3置換体および4置換体が好ましい。
粘着剤には、必要に応じて、溶剤を含むことができる。溶剤は、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等公知の化合物が挙げられる。これらの中でも水酸基含有ポリウレタンウレアとの相溶性および溶剤の沸点等の観点から、酢酸エチルおよびトルエンが好ましい。
粘着剤には、課題を解決できる範囲内であれば必要に応じて、その他任意成分を含むことができる。その他任意成分は、水酸基含有ポリウレタンウレア以外の樹脂、充填剤、金属粉、顔料、箔状物、軟化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、重合禁止剤、消泡剤、および滑剤等が挙げられる。
本発明の粘着シートは、粘着層のみから構成される(キャスト粘着シートともいう)ことが好ましい。この場合、粘着層の両面は、通常、使用する直前まで剥離フィルムで保護する。また、粘着層の片面または両面に基材を貼り合わせた構成で使用することも好ましい。
基材の粘着層と接する面には密着性向上のため、例えば、コロナ放電処理等の乾式処理やアンカーコート剤塗布等の湿式処理といった易接着処理を予め行うことができる。
紙は、例えば、普通紙、コート紙、およびアート紙等が挙げられる。
金属箔は、例えば、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
可とう性基材は、1種または2種以上の積層体が使用できる。
(D1): 撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにイソホロンジアミン(IPDA)25.0部、トルエン25.0部を仕込み。4-ヒドロキシブチルアクリレート 21.1部とブチルアクリレート 18.8部との混合物を滴下ロートから室温で滴下した。滴下終了後、内温を徐々に80℃に昇温し、80℃を維持しつつ2時間反応させた後、トルエン39.9部を加え、2級アミノ基を2つ、かつ1級水酸基を1つ有する化合物(1)溶液を得た。
(D2):HPEA;N-(3-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(東京化成工業社製)
(合成例1)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにクラレポリオールP-2011(2官能ポリエステルポリオール、クラレ社製)1000部、イソホロンジイソシアネート166部、トルエン500部、触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.1部を仕込み、100℃まで徐々に昇温して、2時間反応を行った。40℃まで冷却し、酢酸エチル666部、アセチルアセトン3部を加えた後、化合物(1)を不揮発分換算で105部を滴下し、さらに1時間反応を継続した。滴定でイソシアネート基残量を確認した後、反応停止剤として2-アミノ-2-メチル-プロパノール(AMP)1.9部を加えて、IRチャートのNCO特性吸収(2,270cm-1)が消失していることを確認し反応を終了した。この水酸基含有ポリウレタンウレア(A-1)の重量平均分子量Mwは75,000であった。
実施例1の材料および配合比を表1に示す通りに変更した以外は合成例1と同様に行うことで、それぞれ合成例2~18の樹脂を得た。
(y1):P2011(「クラレポリオールP-2011」、ポリエステルポリオール(3-メチル-1,5-ペンタンジオール/(アジピン酸/テレフタル酸=5/5※モル比))、芳香族、Mn2000、水酸基数2、クラレ社製)
(y2):P2012(「クラレポリオールP-2012」、ポリエステルポリオール(3-メチル-1,5-ペンタンジオール/(アジピン酸/イソフタル酸=5/5※モル比))、芳香族、Mn2000、水酸基数2、クラレ社製)
(y3):P2013(「クラレポリオールP-2013」、ポリエステルポリオール(3-メチル-1,5-ペンタンジオール/(アジピン酸/テレフタル酸=1/9※モル比))、芳香族、Mn2000、水酸基数2、クラレ社製)
(y4):P2030(「クラレポリオールP-2030」、ポリエステルポリオール(3-メチル-1,5-ペンタンジオール/(アジピン酸/イソフタル酸=0/10※モル比))、芳香族、Mn2000、水酸基数2、クラレ社製)
(y5):P2010(「クラレポリオールP-2010」、ポリエステルポリオール(3-メチル-1,5-ペンタンジオール/(アジピン酸/テレフタル酸=10/0※モル比))、脂肪族、Mn2000、水酸基数2、クラレ社製)
(y6):P2050(「クラレポリオールP-2050」、ポリエステルポリオール(3-メチル-1,5-ペンタンジオール/(アジピン酸/セバシン酸=0/10※モル比))、脂肪族、Mn2000、水酸基数2、クラレ社製)
(y‘7):PP2000(「サンニックスPP-2000」、ポリエーテルポリオール、Mn1000、水酸基数2、三洋化成工業社製)
(y‘8):DMBA(ジメチロールブタン酸、Mn148、水酸基数2)
(x1):IPDI(イソホロンジイソシアネート、住化コベストロウレタン社製「デスモジュールI」)、
(x2):HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート、住化コベストロウレタン社製「デスモジュールH」)、
(x3):H-MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、住化コベストロウレタン社製「デスモジュールW」)。
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りである。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
<測定条件>
装置:SHIMADZU Prominence(島津製作所社製)、
カラム:SHODEX LF-804(昭和電工社製)を3本直列に接続、
検出器:示差屈折率検出器、
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:0.5mL/分、
溶媒温度:40℃、
試料濃度:0.1%、
試料注入量:100μL。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、および滴下漏斗を備えた4口フラスコに、窒素雰囲気下、2-エチルヘキシルアクリレート63部、N-ビニルピロリドン15部、メチルメタクリレート9部、2-ヒドロキシエチルアクリレート13部、および酢酸エチル100部を投入した後、重合開始剤として2,2‘-アゾビスイソブチロニトリル0.05部を加え、80℃で8時間反応させた。次いでトルエン50部を投入して冷却し、不揮発分を40%に調整した。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量Mwは80万であった。
合成例1で得られたポリウレタンウレア(A1)100部、イソシアネート硬化剤(B1)0.05部、劣化防止剤(E1)0.5部、帯電防止剤(F1)0.1部、シランカップリング剤(G1)0.2部および溶剤の酢酸エチル50部を配合し、ディスパーで攪拌して、粘着剤を得た。なお、溶剤を除く各材料の使用量は、不揮発分換算値を示す。
次に、形成された塗工層を乾燥オーブンを使用して60℃で2分間乾燥した後、100℃2分間の条件で乾燥して、粘着層を形成した。この粘着層の上に、厚さ38μmの市販剥離シートを貼り合わせ、さらに23℃-50%RHの条件下で1週間養生を行うことで粘着シートを得た。
実施例1の材料および配合比を表2に示す通りに変更した以外は実施例1と同様に行うことで、それぞれ実施例2~23、比較例1~4の粘着剤および粘着シートを得た。
ただし、実施例9および10は参考例である。
(B1):HDIアダクト(「スミジュールHT」、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、住化コベストロウレタン社製)
(B2):HDIヌレート(「スミジュールN3300」、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体、住化コベストロウレタン社製)
(E1):Irg1010(「イルガノックス1010」、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、BASF社製)
(F1):FSI-アンモニウム塩(トリ-n-ブチルメチルアンモニウム・ビストリフルオロメタンスルホンイミド
(G1):KBE-403(「KBE-403」、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業社製)。
得られた粘着剤および粘着シートの評価項目および評価方法は、以下の通りである。
23℃-50%RHの雰囲気下で、得られた粘着シートから厚さ38μmの剥離フィルムを粘着層から剥がし、露出した粘着層をポリイミドフィルムにラミネートした後、厚さの75μm剥離フィルムを剥がし、偏光板にラミネートした。次いでラミネート物をオートクレーブに投入し50℃20分間保持した。次に、ラミネート物を取り出し23℃-50%RHで30分間静置した後、幅70mm・長さ100mmの大きさに準備して測定試料を作製した。前記測定試料を繰り返し曲げ試験機(卓上小型耐久試験器:ユアサシステム機器社製)を用い、5℃環境下で10万回曲げを行い、粘着層の折り曲げ部の浮き・剥がれ具合を評価した。評価基準は以下の通りである。
・浮き剥がれ評価
◎:浮き・剥がれなし。優良。
○:浮き・剥がれが1mm未満。良好。
△:浮き・剥がれが1mm以上2mm未満。実用可。
×:浮き・剥がれが2mm以上。実用不可。
・白化評価
◎:曇りや白化はなし。優良。
○:やや曇っている。良好。
△:曇っている。実用可。
×:白化している。実用不可。
湿熱保持力により湿熱雰囲気での粘着層の凝集力を評価した。23℃-50%RHの雰囲気下で得られた粘着シートから38μm剥離フィルムを粘着層から剥がし、ポリイミドフィルムとラミネートした後、次いでラミネート物をオートクレーブに投入し50℃20分間保持した。次に、ラミネート物を取り出し23℃-50%RHで30分間静置した後、JIS Z0237:2000に準拠して幅25mm・長さ100mmの大きさに準備して測定試料を作製した。次いで厚さ75μm剥離フィルムを粘着層から剥がして幅30mm・縦150mmの偏光板の下端部幅25mm・横25mmの部分に粘着層を貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、60℃90%RH雰囲気で1kgの荷重をかけ、7万秒放置することで保持力を測定した。基準は以下の通り粘着シート貼付面上端部が下にずれた長さを評価した。なお、偏光板は、保護フィルムにトリアセチルセルロースフィルムを使用している。
評価基準
○:測定試料のずれた長さが0.05mm未満である。良好。
△:測定試料のずれた長さが0.05mm以上0.1mm未満である。実用可。
×:測定試料のずれた長さが0.1mm以上である。実用不可
実施例1の塗工速度を30m/分に代えた以外は、実施例1と同様に行い粘着シートを作製し、高速塗工での硬化性を評価した。評価は、乾燥工程終了後の粘着層を、指で触り硬化度合をベタツキ感で評価した。
◎:ほとんどベタツキを感じない。優良。
○:若干ベタついてはいるが、粘着層を指で押し込んでも流動しない。良好。
△:ベタついてはいるが、粘着層を指で押し込むとやや流動する感触がある。実用可。
×:ベタつきが激しく、粘着層を触ると大きく流動する。実用不可。
12 粘着シート
13 透明電極層
14 偏光板
15 透明基材
Claims (8)
- 水酸基含有ポリウレタンウレア、およびイソシアネート硬化剤を含み、
前記水酸基含有ポリウレタンウレアは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、およびポリアミンの反応物であり、
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、ポリオール(X)およびポリイソシアネートの反応物であり、
前記ポリオール(X)は、2官能ポリエステルポリオールを含み、
ポリオール(X)中の2官能ポリエステルポリオールの含有率は60~100重量%であり、
前記ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオール(B)を含み、
ポリオール(X)中の芳香族ポリエステルポリオール(B)の含有率は5~100重量%であり、
前記芳香族ポリエステルポリオール(B)は、多塩基酸およびポリオール(Y)の反応物であり、かつ下記(1)~(3)のいずれかであり、
(1)前記多塩基酸が芳香族多塩基酸を含む、
(2)前記ポリオール(Y)が芳香族ポリオール(Z)を含む、
(3)前記多塩基酸が芳香族多塩基酸を含み、かつ前記ポリオール(Y)が芳香族ポリオール(Z)を含む、
前記ポリオール(X)の全構成単位100モル%中に前記芳香族多塩基酸および前記芳香族ポリオール(Z)由来の構成単位を合計0.01~30モル%有し、
前記水酸基含有ポリウレタンウレア100質量部に対して、前記イソシアネート硬化剤を0.05質量部以上2質量部未満含む、可とう性部材用粘着剤。 - 水酸基含有ポリウレタンウレア、およびイソシアネート硬化剤を含み、
前記水酸基含有ポリウレタンウレアは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、およびポリアミンの反応物であり、
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、ポリオール(X)およびポリイソシアネートの反応物であり、
前記ポリオール(X)は、2官能ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含み、
ポリオール(X)中の2官能ポリエステルポリオールの含有率は60~100重量%であり、
前記ポリエステルポリオールは、芳香族ポリエステルポリオール(B)を含み、
ポリオール(X)中の芳香族ポリエステルポリオール(B)の含有率は5~100重量%であり、
前記芳香族ポリエステルポリオール(B)は、多塩基酸およびポリオール(Y)の反応物であり、かつ下記(1)~(3)のいずれかであり、
(1)前記多塩基酸が芳香族多塩基酸を含む、
(2)前記ポリオール(Y)が芳香族ポリオール(Z)を含む、
(3)前記多塩基酸が芳香族多塩基酸を含み、かつ前記ポリオール(Y)が芳香族ポリオール(Z)を含む、
前記ポリオール(X)の全構成単位100モル%中に前記芳香族多塩基酸および前記芳香族ポリオール(Z)由来の構成単位を合計0.01~30モル%有し、
前記水酸基含有ポリウレタンウレア100質量部に対して、前記イソシアネート硬化剤を0.05質量部以上2質量部未満含む、可とう性部材用粘着剤。 - 水酸基含有ポリウレタンウレアの重量平均分子量は、10,000~250,000である、請求項1または2記載の可とう性部材用粘着剤。
- さらに劣化防止剤を含む、請求項1~3いずれか1項に記載の可とう性部材用粘着剤。
- さらに帯電防止剤を含む、請求項1~4いずれか1項に記載の可とう性部材用粘着剤。
- 請求項1~5いずれか1項に記載の可とう性部材用粘着剤の硬化物である粘着層からなる粘着シート。
- 基材、および請求項1~5いずれか1項に記載の可とう性部材用粘着剤の硬化物である粘着層を備えた、粘着シート。
- 可とう性画像表示部、および請求項6または7記載の粘着シートを備えた、可とう性ディスプレイ。
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