JP7272201B2 - 粘着剤および粘着シート - Google Patents
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Description
本明細書において、特に明記しない限り、「RH」は相対湿度を示す。
ウレタン系粘着シートは、フラットパネルディスプレイおよびタッチパネルディスプレイ、並びに、これらの製造工程で製造または使用される基板および光学部材等の表面保護シートとして好適に用いられる。
上記電子機器の利用範囲は広がってきており、従来よりも過酷な高温高湿環境下に置かれる可能性が生じつつある。
本発明はまた、優れた湾曲性かつ低い粘着性を有する粘着剤、およびこれを用いた粘着シートを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、ポリオール(x)とポリイソシアネート(y)との反応生成物であるポリウレタンポリオール(A)、多官能イソシアネート化合物(B)、および、水酸基およびステロイド骨格を有する化合物(C)を含む粘着剤に関する。
本発明によればまた、優れた湾曲性かつ低粘着性の両立を可能とする粘着剤、およびこれを用いた粘着シートを提供することができる。
本発明の粘着剤は、ポリオール(x)とポリイソシアネート(y)との反応生成物であるポリウレタンポリオール(A)、多官能イソシアネート化合物(B)、および水酸基およびステロイド骨格を有する化合物(C)を含む。
これにより、従来よりも過酷な高温高湿環境下に置かれたとしても良好な再剥離性を有し、低粘着性かつ湾曲性にも優れた粘着剤とすることができる。
ポリウレタンポリオール(A)は、1種以上のポリオール(x)と1種以上のポリイソシアネート(y)とを共重合反応させて得られる反応生成物である。共重合反応は必要に応じて、1種以上の触媒存在下で行うことができる。共重合反応には必要に応じて、1種以上の溶剤を用いることができる。
ポリオール(x)は、2つ以上の水酸基を有する公知のポリオールが好ましい。ポリオール(x)は、例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエン変性ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ひまし油系ポリオール等が挙げられる。これらの中でもポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールがより好ましい。
ポリプロピレングリコールは、プロピレンオキシドを付加重合させることで得られるが、大部分のプロピレンオキシドがβ開裂して末端がイソシアネートと反応性の低い2級水酸基になる。そこで、多官能イソシアネート化合物(B)との反応性を上げるため、エチレンオキシドを付加重合する方法や、プロピレンオキシドを特定の触媒によってα開裂する方法で、末端1級水酸基のポリプロピレングリコールを得る公知の方法がある。
ポリエーテルポリオールの分子量は、特に制限無く使用できるところ、数平均分子量500~5,000が好ましい。数平均分子量500~5,000を使用すると適度な反応性が得られ、凝集力が良好な樹脂が得易い。ポリオール(a)を2種類以上使用する場合、ポリエーテルポリオールは、ポリオール(a)100モル%中の10~100モル%が好ましく、20~90モル%がより好ましい。
ポリイソシアネート(y)としては公知のものを使用でき、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
触媒としては公知のものを使用でき、3級アミン系化合物および有機金属系化合物等が挙げられる。
錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、および2-エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系;オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、およびナフテン酸鉛等の鉛系;2-エチルヘキサン酸鉄および鉄アセチルアセトネート等の鉄系;安息香酸コバルトおよび2-エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系;ナフテン酸亜鉛および2-エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系;ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系が挙げられる。
反応性の異なる複数種のポリオール(x)を併用する場合、これらの反応性の相違により、単一触媒の系では重合安定性の不良または反応溶液の白濁が生じやすくなる恐れがある。この場合、2種以上の触媒を用いることにより、反応(例えば反応速度等)を制御しやすく、上記問題を解決することができる。反応性の異なる複数種のポリオール(x)を併用する系では、2種以上の触媒を用いることが好ましい。2種以上の触媒の組合せは特に制限されず、3級アミン/有機金属系、錫系/非錫系、および錫系/錫系等が挙げられる。好ましくは錫系/錫系、より好ましくはジブチル錫ジラウレートと2-エチルヘキサン酸錫である。
2-エチルヘキサン酸錫とジブチル錫ジラウレートとの質量比(2-エチルヘキサン酸錫/ジブチル錫ジラウレート)は特に制限されず、好ましくは0超1未満、より好ましくは0.2~0.6である。当該質量比が1未満であれば、触媒活性のバランスが良く、反応溶液のゲル化および白濁を効果的に抑制し、重合安定性がより向上する。
ポリウレタンポリオール(A)の重合には必要に応じて、1種以上の溶剤を用いることができる。溶剤としては公知のものを使用でき、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等が挙げられる。ポリウレタンポリオール(A)の溶解性および溶剤の沸点等の点から、酢酸エチルおよびトルエン等が特に好ましい。
ポリウレタンポリオール(A)の重合方法としては特に制限されず、塊状重合法および溶液重合法等の公知重合方法を適用することができる。
重合手順は特に制限されず、
手順1)1種以上のポリオール(x)、1種以上のポリイソシアネート(y)、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶剤を一括してフラスコに仕込む手順;
手順2)1種以上のポリオール(x)、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶剤をフラスコに仕込み、これに1種以上の有機ポリイソシアネ-ト(y)を滴下添加する手順が挙げられる。
反応を制御しやすいことから、手順2)が好ましい。
触媒を使用しない場合の反応温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。触媒を使用しない場合の反応時間は、好ましくは3時間以上である。
多官能イソシアネート化合物(B)としては公知のものを使用でき、ポリウレタンポリオール(A)の原料であるポリイソシアネート(y)として例示した化合物(具体的には、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、および、これらのトリメチロールプロパンアダクト体/ビュウレット体/3量体)を用いることができる。
水酸基およびステロイド骨格を有する化合物(C)とは、水酸基を有し、シクロペンタノ-ペルヒドロフェナントレン核(ステロイド核と同義)を基本骨格とする化合物であり、一般的にホルモン等が多いが、置換基によって多様な構造を有することができ、植物に存在するものも多数ある。
水素原子、酸素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、ホルミル基、
アルキルカルボニル基、ヒドロキシアルキルカルボニル基、カルボキシアルキルカルボニル基、ホルマートアルキルカルボニル基、アセトキシアルキルカルボニル基、
アルキルカルボキシ基、ヒドロキシアルキルカルボキシ基、カルボキシアルキルカルボキシ基、ホルマートアルキルカルボキシ基、アセトキシアルキルカルボキシ基、
アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシアルコキシ基、ホルマートアルコキシ基、アセトキシアルコキシ基、
ベンゾイルオキシ基または下記式[10]のいずれかで表される基である。
アルキル基としては、メチル基やエチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基やアリル基等が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基やプロパ-2-イン-1-イル基等が挙げられる。
(「ホルマート」とは、「-O-CH=O」を意味する。下記式中、|*|は、結合手であることを示す。)
デスオキシコルチコステロン、11-デヒドロコルチコステロン、日光ケミカルズ(株)より入手できる、NIKKOL BPS-X(ただしXは、5、10、20、30)、NIKKOL BPSH-25、NIKKOL DHC-30等の第一級水酸基を有するステロイド骨格を有する化合物;
コレステロール、β-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、ラノステロール、エルゴステロール、β-コレスタノール、テストステロン、エストロン、デヒドロエピアンドロステロン、コプロスタノール、プレグネノロン、エピコレスタノール、7-デヒドロコレステロール、チゴゲニン、ヘコゲニン等の第二級水酸基を有するステロイド骨格を有する化合物;
メタンジエノン、酢酸コルチゾン、ステノロン等の第三級水酸基を有するステロイド骨格を有する化合物;
β-エストラジオール、α-エストラジオール、ボランジオール、コルチゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、アルドステロン、18-ヒドロキシコルチコステロン、4-アンドロステン-11α, 17β-ジオール-3-オン等の多官能水酸基を有するステロイド骨格を有する化合物等が挙げられる。
これらの内、コレステロール、β-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、ラノステロール、エルゴステロール、β-コレスタノール、コプロスタノール、エピコレスタノール、7-デヒドロコレステロールが、1分子中に1つの水酸基を有し、分子量が300~500であり、置換基の炭素数が5つ以上である点からより好ましい。
濡れ性を向上できることから、本発明の粘着剤はさらに1種以上可塑剤を含むことができる。可塑剤としては、脂肪酸エステル系可塑剤、ポリエーテルエステル系可塑剤、ヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤、およびリン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤は、さらに帯電防止剤を含むことができる。帯電防止剤を含むと粘着シートを剥離する際の静電気放電を抑制し、例えば、ディスプレイ等に組み込まれた部品等の破損を防止し易い。帯電防止剤は、例えば、無機塩、イオン性液体、界面活性剤等が挙げられる。これらの中でもイオン性液体が好ましい。なお、「イオン性液体」は、常温溶融塩ともいい、25℃で液体の性状を示す。
アニオン性のタイプは、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート、およびポリスチレンスルホン酸型等が挙げられる。カチオン性のタイプは、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、および第4級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体型等が挙げられる。
両性のタイプは、例えば、アルキルベタインおよびアルキルイミダゾリウムベタイン、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、および高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上の溶剤を含むことができる。溶剤としては公知のものを使用でき、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等が挙げられる。ポリウレタンポリオール(A)の溶解性および溶剤の沸点等の観点から、酢酸エチルおよびトルエン等が特に好ましい。
本発明の粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、1種以上の他の任意成分を含むことができる。他の任意成分としては、触媒、ウレタン系樹脂以外の他の樹脂、充填剤、金属粉、顔料、箔状物、軟化剤、導電剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、消泡剤、および滑剤等が挙げられる。
2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、およびステアリン-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系酸化防止剤;
2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフェノール系酸化防止剤;
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、および1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H、3H、5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤は、ポリウレタンポリオール(A)、多官能イソシアネート化合物(B)、および水酸基およびステロイド骨格を有する化合物(C)を必須成分として含む。これらの配合比は特に制限されないが、好ましい配合比は以下の通りである。
本発明の粘着剤の製造方法は、特に制限されない。
本発明に係る一態様の粘着剤の製造方法は、
ポリオール(x)とポリイソシアネート(y)とを共重合反応させて、ポリウレタンポリオール(A)を得る工程と、
ポリウレタンポリオール(A)に対して、イソシアネート化合物(B)と水酸基およびステロイド骨格を有する化合物(C)とを混合する工程とを有する。
本発明の粘着シートは、基材シートと、上記の本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む。
粘着層は、基材シートの片面または両面に形成することができる。必要に応じて、粘着層の露出面は、剥離シートで被覆することができる。なお、剥離シートは、粘着シートを被着体に貼着する際に剥離される。
ポリウレタンシートを除く樹脂シートの厚みは特に制限されず、好ましくは15~300μmである。ポリウレタンシート(発泡体を含む)の厚みは特に制限されず、好ましくは20~50,000μmである。
金属箔の構成金属としては特に制限されず、アルミニウム、銅、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
はじめに、基材シートの表面に本発明の粘着剤を塗工して、本発明の粘着剤からなる塗工層を形成する。塗布方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等が挙げられる。
次に、塗工層を乾燥および硬化して、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を形成する。加熱乾燥温度は特に制限されず、60~150℃程度が好ましい。粘着層の厚み(乾燥後の厚み)は用途によって異なるが、好ましくは0.1~200μmである。
次に必要に応じて、公知方法により粘着層の露出面に剥離シートを貼着する。
以上のようにして、片面粘着シートを製造することができる。
上記操作を両面に行うことで、両面粘着シートを製造することができる。
本発明の粘着シートは、テープ、ラベル、シール、および両面テープ等の形態で、使用することができる。本発明の粘着シートは、表面保護シート、化粧用シート、および滑り止めシート等として好適に使用される。
液晶ディスプレイ(LCD)および有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(OELD)等のフラットパネルディスプレイ、並びに、かかるフラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイは、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末等の電子機器に広く使用されている。
上記電子機器の利用範囲は広がってきており、従来よりも過酷な高温高湿環境下に置かれる可能性が生じつつある。
本発明の粘着シートは、良好な粘着性を有し、かつ、従来よりも過酷な高温高湿環境下に置かれても、良好な再剥離性を有することができ、好ましい。
本発明によればまた、優れた湾曲性かつ低粘着性を有する粘着剤、およびこれを用いた粘着シートを提供することができる。
試料溶液約1gを金属容器に秤量し、150℃オーブンにて20分間乾燥して、残分を秤量して残率計算をし、不揮発分(不揮発分濃度)とした。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りとした。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
<測定条件>
装置:SHIMADZU Prominence(株式会社島津製作所製)、
カラム:SHODEX LF-804(昭和電工株式会社製)を3本直列に接続、
検出器:示差屈折率検出器、
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:0.5mL/分、
溶媒温度:40℃、
試料濃度:0.1%、
試料注入量:100μL。
共栓三角フラスコ中に試料1gを精密に量り採り、ピリジンを100ml加えて溶解した。さらに、アセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、1時間攪拌した後、0.5N-アルコール性水酸化カリウム溶液にて滴定した。水酸基価(単位:mgKOH/g)は次式により求めた。水酸基価は乾燥した試料の数値とした。
水酸基価=[{(b-a)×F×28.05}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
S:試料の採取量(g)
a:0.5N-アルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.5N-アルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.5N-アルコール性水酸化カリウム溶液のファクター
D:酸価(mgKOH/g)
共栓三角フラスコ中に試料10gを精密に量り採り、オルトジクロロベンゼン25ml、ジ-n-ブチルアミン/o-ジクロロベンゼン(質量比:ジ-n-ブチルアミン/o-ジクロロベンゼン=1/24.8)混合液10mlを加えて溶解した。この溶液に、メタノール80g、ブロムフェノールブルー試薬を指示薬として加え、0.1Nアルコール性塩酸溶液で滴定した。溶液が黄緑色を呈して30秒間以上保持したところを終点とした。NCO価(単位:%)は次式により求めた。
NCO価={0.42×(B-C)×F}/W
W:試料の採取量(g)
B:試料滴定に要した0.1Nアルコール性塩酸溶液の消費量(ml)
C:空試験の滴定に要した0.1Nアルコール性塩酸溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性塩酸溶液のファクター
使用した材料は、以下の通りである。
<ポリオール(x)>
(x-1):P-1010(クラレ社製)、2官能ポリエステルポリオール、Mn1000、水酸基数2、
(x-2):P-2010(クラレ社製)、2官能ポリエステルポリオール、Mn2000、水酸基数2、
(x-3):PP-1000(三洋化成社製)、2官能ポリエーテルポリオール、Mn1000、水酸基数2、
(x-4):GI1000(日本曹達社製)、両末端水酸基水素化 ポリブタジエン、Mn1500、水酸基数2、
(x-5):AM302(アデカ社製)、3官能ポリエーテルポリオール、Mn3000、水酸基数3、
(x-6):F-3010(クラレ社製)、3官能ポリエステルポリオール、Mn3000、水酸基数3。
(y-1):デスモジュールH(東ソー社製)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、
(y-2):タケネート500(三井化学社製)、1,3-キシリレンジイソシアネート、
(y-3):VESTANAT IPDI(EVONIK社製)、イソホロンジイソシアネート。
(B-1):TDI-TMPアダクト(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアナト基数=3、NCO価=6.5%、不揮発分=37.5%)
(B-2):IPDIヌレート(イソホロンジイソシアネートのヌレート体、イソシアナト基数=3、NCO価=11.8%、不揮発分=70.0%)
フィトステロール:(製品名「フィトステロールCO」、タマ生化学社製)、水酸基数1(第二級水酸基)
コレステロール:分子量386.7、水酸基数1(第二級水酸基)
デスオキシコルチコステロン:分子量330.5、水酸基数1(第一級水酸基)
デヒドロエピアンドロステロン:分子量288.4、水酸基数1(第二級水酸基)
ボランジオール:分子量276.4、水酸基数2(第二級水酸基)
ステノロン:分子量300.44、水酸基数1(第三級水酸基)
IPM:ミリスチン酸イソプロピル
W-260:ポリアルキレングリコール系化合物、DIC製
酢酸コレステロール:分子量428.7
(合成例1)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、および滴下漏斗を備えた4口フラスコに、ポリオール(x-1)(「P-1010」(クラレ社製))を100部仕込んだ。これに、溶剤としてトルエン77部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03部および2-エチルヘキサン酸錫0.01部を加えた後、窒素雰囲気下で90℃まで徐々に昇温した。これにポリイソシアネート(y-1)(「デスモジュールH」(東ソー社製))を15部滴下し、滴下終了後から2時間反応を行った。赤外吸収スペクトル(IR)で残存イソシアネート基の消滅を確認した上で反応液を冷却し、反応を終了した。以上のようにして、ポリウレタンポリオール(A-1)の溶液(不揮発分:60%)を得た。得られたポリウレタンポリオール(A-1)のMwは、43,000であり、水酸基価は10.7mgKOH/gであった。
合成例2~6においては、用いたポリオールとポリイソシアネートの種類とこれらの配合比を表1に示すように変更した以外は合成例1と同様にして、ポリウレタンポリオールル(A-2~6)を得た。各合成例において、得られたポリウレタンポリオールのMwと水酸基価を表1に示す
(実施例1)
合成例1で得られたポリウレタンポリオール(A-1)100部、多官能イソシアネート化合物(B-1)5.6部、化合物(C)として、フィトステロール1部および、溶剤として酢酸エチル50部を配合し、ディスパーで攪拌することで、ウレタン系粘着剤を得た。なお、溶剤を除く各材料の配合量は、不揮発分換算値を示す(他の実施例および比較例においても、同様)。用いた材料の種類と配合比を表2に示す。
実施例2~12、比較例1~6の各例においては、用いた材料の種類と配合比を表2、3に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、ウレタン系粘着剤を得た。
得られた粘着剤を用い、以下のようにして粘着シートの製造と評価を実施した。
(粘着シートの製造)
基材シートして、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(東レ社製「ルミラーT-60」、厚さ50μm)を用意した。コンマコーター(登録商標)を用いて、基材シートの片面に、得られたウレタン系粘着剤を、塗工速度3m/分で、乾燥後厚み)が12μmになるように、塗工した。次に、形成された塗工層を100℃で2分間乾燥して、粘着層を形成した。この粘着層の上に、厚さ38μmの剥離シート(リンテック社製「スーパーステックSP-PET38」)を貼着して、粘着シートを得た。得られた粘着シートを23℃-50%RHの条件下で1週間養生した後、粘着力、再剥離性(被着体汚染抑制性)、および湾曲性の評価に供した。
評価項目および評価方法は、以下の通りである。
(粘着力)
粘着シートから幅25mm長さ100mmの2枚の試験片を切り出した。2枚の試験片についてそれぞれ、23℃-50%RHの雰囲気下で、剥離シートを剥離し、露出した粘着層の表面にソーダガラス板を貼着し、2kgロールで圧着した。
得られた2枚の積層体のうち一方の積層体は、23℃-50%RHの雰囲気下で24時間放置した(温湿度条件1)。
他方の積層体は、85℃-85%RHのオーブン内に24時間放置した(温湿度条件2)後、オーブンから取り出し、23℃-50%RHの雰囲気下で1時間空冷した。
各積層体について、JIS Z 0237に準拠し、引張試験機を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着力を測定した。評価基準は以下の通りである。
○:20mN/25mm未満、良好。
△:20~100mN/25mm、実用可。
×:100mN/25mm超、実用不可。
粘着シートから幅70mm長さ100mmの3枚の試験片を切り出した。3枚の試験片についてそれぞれ、23℃-50%RHの雰囲気下で、剥離シートを剥離し、露出した粘着層の表面に苛性ソーダガラス板を貼着し、ラミネータで圧着した。
得られた3枚の積層体をそれぞれ、40℃-90%RH(温湿度条件1)、60℃-90%RH(温湿度条件2)、85℃-85%RH(温湿度条件3)にセットしたオーブン内に72時間放置した。
3枚の積層体をそれぞれ、オーブンから取り出し、23℃-50%RHの雰囲気下で1時間空冷した後、ガラス板から粘着シートを剥離し、再剥離性を評価した。暗室内で粘着シートを貼ってあった側のガラス板の表面にLEDランプ光を照射し、目視観察にて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:ガラス表面に粘着層成分の付着が一切見られない、優。
○:ガラス表面の1~2箇所に薄い粘着層成分の付着が見られる、良好。
△:ガラス表面の3箇所に薄い粘着層成分の付着が見られる、実用可。
×:ガラス表面の4箇所以上に薄い粘着層成分の付着が見られる/もしくはガラス表面の1~2箇所に濃い粘着層成分の付着が見られる、実用不可。
粘着シートから幅20mm長さ15mmの試験片を切り出した。23℃-50%RHの雰囲気下で、試験片から剥離シートを剥離し、露出した粘着層の表面を長さ30cm直径60mmφのポリプロピレン(PP)製の丸棒の周囲に貼着し、指で強く圧着した。この際、試験片の幅方向を、丸棒の長さ方向に対して平行方向とした。この試料を23℃-50%RHの雰囲気下に24時間放置した。その後、粘着シートの両端部についてそれぞれ丸棒からの剥離範囲の長さを測定し、剥離範囲の大きい方の端部について、以下の基準にて評価した。
◎:剥離範囲なし/または剥離範囲が1mm未満、優。
○:剥離範囲が1mm以上2mm未満、良好。
△:剥離範囲が2mm以上5mm未満、実用可。
×:剥離範囲が5mm以上、実用不可。
評価結果を、表4に示す。
Claims (4)
- ポリオール(x)およびポリイソシアネート(y)の反応生成物であるポリウレタンポリオール(A)と、多官能イソシアネート化合物(B)と、水酸基およびステロイド骨格を有する化合物(C)(但し、テストステロンを除く)とを含む粘着剤。
- ポリウレタンポリオール(A)100質量部に対して、前記水酸基およびステロイド骨格を有する化合物(C)(但し、テストステロンを除く)を0.5~20質量部含むことを特徴とする請求項1記載の粘着剤。
- 前記水酸基およびステロイド骨格を有する化合物(C)(但し、テストステロンを除く)が、1分子中に1つの水酸基を有することを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤。
- 基材シートと、請求項1~3いずれか1項記載の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む、粘着シート。
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