本開示に係る眼科装置の一実施形態としての実施例1の眼科装置10を、図1から図6を用いて説明する。先ず、実施例1の眼科装置10の全体構成を説明する。
「全体構成」
眼科装置10は、図1に示すように、被検者が左右の被検眼を開放した状態で、被検眼の情報を両眼同時に取得する両眼開放タイプの眼科装置である。眼科装置10は、基台11と検眼用テーブル12と支柱13とアーム14と駆動機構15と一対の測定ヘッド16とを備える。眼科装置10では、検眼用テーブル12と正対する被検者が、両測定ヘッド16の間に設けられた額当部17に当てた状態で、被検眼の情報を取得する。以下では、被検者から見て、左右方向をX方向とし、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、X方向およびY方向と直交する方向(測定ヘッド16の奥行き方向(被検者側を手前側とする))をZ方向とする。
検眼用テーブル12は、後述する検者用コントローラ23や被検者用コントローラ24を置いたり検眼に用いるものを置いたりするための机であり、基台11により支持されている。検眼用テーブル12は、Y方向での位置(高さ位置)を調節可能に基台11に支持されていてもよい。支柱13は、検眼用テーブル12の後端部でY方向に伸びるように基台11により支持され、先端にアーム14が設けられる。アーム14は、検眼用テーブル12上で駆動機構15を介して両測定ヘッド16を吊り下げるもので、支柱13から手前側へとZ方向に伸びている。アーム14は、支柱13に対してY方向に移動可能とされている。なお、アーム14は、支柱13に対してX方向およびZ方向に移動可能とされていてもよい。このアーム14の先端には、駆動機構15により吊り下げられて両測定ヘッド16が支持されている。このため、支柱13およびアーム14は、後述する取付ベース板19(図3参照)と協働して、検眼用テーブル12から上方に伸びて、先端に駆動機構15が設けられる支持腕部として機能する。
測定ヘッド16は、被検者の左右の被検眼に個別に対応すべく対を為して設けられ、以下では個別に述べる際には左眼用測定ヘッド16Lおよび右眼用測定ヘッド16Rとする。左眼用測定ヘッド16Lは、被験者の左側の被検眼の情報を取得し、右眼用測定ヘッド16Rは、被験者の右側の被検眼の情報を取得する。左眼用測定ヘッド16Lと右眼用測定ヘッド16Rとは、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。各測定ヘッド16では、偏向部材18が設けられ、偏向部材18を通じて後述する眼情報取得部21により対応する被検眼の情報が取得される。このため、眼科装置10では、被検者が左右の両眼を開放した状態で、被検眼の情報を両眼同時に取得することができる。
各測定ヘッド16には、被検眼の眼情報を取得する眼情報取得部21(個別に述べる際には右眼情報取得部21Rおよび左眼情報取得部21Lとする(図2参照))が収容されている。その眼情報は、被検眼の画像や、被検眼の眼底の画像や、被検眼の網膜の断層画像や、被検眼の角膜内皮画像や、被検眼の屈折力や、被検眼の角膜形状や、被検眼の眼圧等をいう。各眼情報取得部21は、提示する視標を切り替えつつ視力検査を行う視力検査装置、矯正用レンズを切り換えて配置させて被検眼の適切な矯正屈折力を取得するフォロプタ、屈折力を測定するレフラクトメータや波面センサ、眼底の画像を撮影する眼底カメラ、網膜の断層画像を撮影する断層撮影装置(OCT)、角膜内皮画像を撮影するスペキュラマイクロスコープ、角膜形状を測定するケラトメータ、眼圧を測定するトノメータ等が、単独でまたは複数組み合わされて構成される。
各眼情報取得部21は、固視投影系、観察系、アライメント検出系、測定系等の光学系が設けられて構成され、各光学系には適宜光源やセンサ、駆動部等が設けられる。固視投影系は、被検眼に固視標を呈示して、被検眼の視軸を固定する。観察系は、被検眼の前眼部を撮影し、その画像(観察画像)を表示部や接続された外部機器等に表示させる。これにより、被検眼の状態の確認を可能とするとともに、画像中の基準点(瞳孔や虹彩など)や投影した視標像に基づく光軸に直交する方向(XY方向)のアライメント情報の取得を可能とする。アライメント検出系は、各眼情報取得部21の光軸方向(Z方向(作動距離方向))のアライメント情報やXY方向のアライメント情報を取得する。そのアライメント情報は、各眼情報取得部21の被検眼に対するアライメント(位置合わせ)に用いる情報である。測定系は、被検眼の眼特性を取得するための光束を被検眼に照射し、反射光を受光することで眼特性を取得する。
両測定ヘッド16は、アーム14の先端に設けられた駆動機構15により移動可能に吊り下げられている。駆動機構15は、実施例1では、図2に示すように、左眼用測定ヘッド16Lに対応する左鉛直駆動部30Lと左水平駆動部40Lと左回旋駆動部50Lと、右眼用測定ヘッド16Rに対応する右鉛直駆動部30Rと右水平駆動部40Rと右回旋駆動部50Rと、を有する。この左眼用測定ヘッド16Lに対応する各駆動部の構成と、右眼用測定ヘッド16Rに対応する各駆動部の構成と、は、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされており、個別に述べる時を除くと単に鉛直駆動部30と水平駆動部40と回旋駆動部50と記す。駆動機構15では、上から鉛直駆動部30、水平駆動部40、回旋駆動部50の順に設けられており、アーム14に対して対応する測定ヘッド16を移動させる(図6参照)。
鉛直駆動部30は、アーム14の先端に固定され、アーム14に対して水平駆動部40をY方向(鉛直方向)に移動させる。水平駆動部40は、鉛直駆動部30に固定され、鉛直駆動部30に対して回旋駆動部50を水平方向すなわちX方向およびZ方向に移動させる。回旋駆動部50は、水平駆動部40に固定され、水平駆動部40に対して対応する測定ヘッド16を、対応する被検眼の眼球回旋軸を中心に回転させる。これにより、駆動機構15は、各測定ヘッド16を個別にまたは連動させて、X方向、Y方向およびZ方向に移動させることができるとともに、被検眼の眼球回旋軸を中心に回転させることができる。この鉛直駆動部30、水平駆動部40、回旋駆動部50の構成に関しては、後に詳細に説明する。
基台11には、眼科装置10の各部を統括的に制御する制御部22が、制御ボックスに収納されて設けられる(図1参照)。制御部22は、図2に示すように、上記した各眼情報取得部21と、駆動機構15としての各鉛直駆動部30、各水平駆動部40および各回旋駆動部50と、に加えて、検者用コントローラ23と被検者用コントローラ24と記憶部25と、が接続されている。眼科装置10では、商用電源から制御部22に電力が供給され、制御部22が駆動機構15および眼情報取得部21に電力を供給する。検者用コントローラ23は、検者が眼科装置10を操作するために用いられる。被検者用コントローラ24は、被検眼の各種の眼情報の取得の際に、被検者が応答するために用いられる。制御部22は、検者用コントローラ23や被検者用コントローラ24とそれぞれ有線または無線の通信路を介して接続される。制御部22は、接続された記憶部25または内蔵する内部メモリ22aに記憶したプログラムを例えばRAM(Random Access Memory)上に展開することにより、適宜検者用コントローラ23や被検者用コントローラ24に対する操作に応じて、眼科装置10の動作を統括的に制御する。実施例1では、内部メモリ22aは、RAM等で構成され、記憶部25は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等で構成される。
眼科装置10は、制御部22の制御下で、自動でアライメントを行って被検眼の眼情報を取得する。詳細には、制御部22は、眼情報取得部21(そのアライメント検出系)および駆動機構15(鉛直駆動部30、水平駆動部40および回旋駆動部50)を動作させて、上記のアライメント検出系からのアライメント情報に基づいて対応する被検眼に対する眼情報取得部21(測定ヘッド16)のXYZ方向のアライメントを行う。その後、制御部22は、適宜眼情報取得部21を駆動して、被検眼の各種の眼情報を取得させる。眼科装置10では、手動すなわち検者が検者用コントローラ23を操作することで、被検眼に対して眼情報取得部21をアライメントし、眼情報取得部21を駆動して被検眼の各種の眼情報を取得できる。眼科装置10では、被検眼の各種の眼情報を取得する際、被検者が被検者用コントローラ24を操作することで応答することができ、被検眼の各種の眼情報の取得を補助する。
(駆動機構)
次に、眼科装置10における駆動機構15の構成を図3から図6を用いて説明する。なお、図3から図6では、右側の被検眼に対応する駆動機構15を示しているが、以下の説明では単に鉛直駆動部30、水平駆動部40および回旋駆動部50と記す。先ず、駆動機構15における各駆動部(鉛直駆動部30、水平駆動部40および回旋駆動部50)の構成について説明する。
鉛直駆動部30は、図3に示すように、鉛直固定板31と鉛直移動板32と鉛直駆動モータ33とを有する。鉛直固定板31は、アーム14に固定されるものであり、実施例1ではアーム14の先端に設けられた取付ベース板19に固定される。鉛直移動板32は、水平駆動部40に固定されるものであり、実施例1では水平駆動部40の後述するX移動部材44の上面44a(図4参照)に固定される。鉛直駆動モータ33は、鉛直固定板31と鉛直移動板32とをY方向(鉛直方向)で接続しており、制御部22の制御下で鉛直固定板31と鉛直移動板32とのY方向での間隔を変化させるとともに、その変化した状態を維持できる。鉛直駆動モータ33は、例えば、鉛直出力軸を直進方向に変位させるステッピングモータを用いて、その鉛直出力軸をY方向に向けて配置することで構成することができる。このため、鉛直駆動部30は、鉛直移動板32に固定された水平駆動部40(X移動部材44)を、アーム14(取付ベース板19)に対してY方向に移動させることができ、その移動した位置を維持できる。なお、鉛直駆動部30は、鉛直駆動モータ33によるY方向に移動や位置の維持を容易とするためにバネ部材を適宜用いるものとしてもよい。また、鉛直駆動部30は、アーム14に対して水平駆動部40をY方向に移動させるものであればよく、実施例1の構成に限定されない。この鉛直駆動部30は、Y方向(鉛直方向)の一方向のみに移動させるものなので、全体として直方体形状とされている。
水平駆動部40は、図4に示すように、水平方向に含まれる第1方向の一例としてのX方向に移動させる第1駆動箇所41と、水平方向に含まれる第2方向の一例としてのZ方向に移動させる第2駆動箇所42と、がL字形状に連結されて構成されている。水平駆動部40は、断面形状が略矩形状とされた長尺な筒部材とされて、略中間位置で90度に屈曲された連結部材43を有する。連結部材43は、X方向に伸びるX伸長箇所43aの一端部とZ方向に伸びるZ伸長箇所43bの一端部とが直交して接続されており、L字形状に伸びる長尺な筒部材とされている。第1駆動箇所41は、X伸長箇所43aにX移動部材44およびX駆動モータ45が設けられて構成されている。第2駆動箇所42は、Z伸長箇所43bにZ移動部材46およびZ駆動モータ47が設けられて構成されている。
X移動部材44は、断面形状が略矩形状とされた長尺な筒部材とされ、連結部材43のX伸長箇所43aを他端部側から受け入れつつ、X伸長箇所43aに対してX方向に移動可能に設けられている。X駆動モータ45は、X伸長箇所43aとX移動部材44との間に設けられている。X駆動モータ45は、本体部の駆動によりX方向に変位されるX出力軸を有し、本体部がX駆動モータ45とX伸長箇所43aとの一方に固定され、X出力軸がX駆動モータ45とX伸長箇所43aとの他方に固定されている。X駆動モータ45は、制御部22の制御下で駆動されることで、X伸長箇所43aに対するX移動部材44のX方向の位置を変化させるとともに、その変化した位置を維持できる。このため、第1駆動箇所41は、X駆動モータ45の駆動により、X伸長箇所43aに対してX移動部材44をX方向で任意の位置とすることができる。
Z移動部材46は、断面形状が略矩形状とされた長尺な筒部材とされ、連結部材43のZ伸長箇所43bを他端部側から受け入れつつ、Z伸長箇所43bに対してZ方向に移動可能に設けられている。Z駆動モータ47は、Z伸長箇所43bとZ移動部材46との間に設けられている。Z駆動モータ47は、本体部の駆動によりZ方向に変位されるZ出力軸を有し、本体部がZ駆動モータ47とZ伸長箇所43bとの一方に固定され、Z出力軸がZ駆動モータ47とZ伸長箇所43bとの他方に固定されている。Z駆動モータ47は、制御部22の制御下で駆動されることで、Z伸長箇所43bに対するZ移動部材46のZ方向の位置を変化させるとともに、その変化した位置を維持できる。このため、第2駆動箇所42は、Z駆動モータ47の駆動により、Z伸長箇所43bに対してZ移動部材46をZ方向で任意の位置とすることができる。
このように、水平駆動部40は、第1駆動箇所41において連結部材43に対してX移動部材44をX方向の任意の位置に変化させつつ、第2駆動箇所42において連結部材43に対してZ移動部材46をZ方向の任意の位置に変化させることができる。これにより、水平駆動部40は、制御部22の制御下で、X移動部材44とZ移動部材46とのXY平面上での位置関係すなわち水平方向の位置関係を任意に設定することができる。水平駆動部40では、X移動部材44の上面44aに鉛直駆動部30の鉛直移動板32(図3参照)が固定され、Z移動部材46の内側面46aに回旋駆動部50の後述する設置部材51(図5参照)が固定される。このため、水平駆動部40は、鉛直駆動部30(その鉛直移動板32)に対して、回旋駆動部50(その設置部材51)を水平方向に移動させることができる。水平駆動部40は、第1駆動箇所41と第2駆動箇所42とがL字形状に連結されて構成されており、全体として細長い直方体がL字形状に繋ぎ合わされた形状とされている。水平駆動部40は、X方向に伸びる第1駆動箇所41およびZ方向に伸びる第2駆動箇所42の双方の内側に隣接させて直方体形状の配置空間48を形成する。なお、水平駆動部40は、鉛直駆動部30に対して回旋駆動部50を水平方向に移動させるものであって、第1駆動箇所41および第2駆動箇所42の双方の内側に隣接する配置空間48を形成するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
回旋駆動部50は、図5に示すように、設置部材51に回旋部材52と回旋駆動モータ53とが設けられて構成されている。設置部材51は、板状部材が断面L字形状に屈曲されて構成され、水平方向に伸びる設置板部分54と、そこから鉛直方向の上側に伸びる取付板部分55と、を有する。設置板部分54には、回旋部材52および回旋駆動モータ53が設けられる。取付板部分55は、水平駆動部40のZ移動部材46の内側面46aに固定される。設置部材51は、取付板部分55がZ移動部材46(その内側面46a)に固定されることで、設置板部分54を含めた全体が水平駆動部40の配置空間48に位置される(図6参照)。
回旋部材52は、板状部材が断面U字形状に屈曲されて構成され、水平方向に伸びる案内板部分56と、そこから鉛直方向の下側に伸びる連結板部分57と、そこから水平方向に伸びる固定板部分58と、を有する。案内板部分56には、円弧状に伸びる案内溝61と、外縁部に設けられたギヤ部62と、が設けられている。案内溝61には、設置板部分54からY方向に突出して設けられた一対の案内突起63が通されている。案内板部分56は、案内溝61および両案内突起63による案内作用により、案内溝61が伸びる方向すなわち案内溝61が描く円弧に沿って設置板部分54に対して移動することができる状態で、設置板部分54に設けられている。これにより、案内板部分56は、設置板部分54に対して、案内溝61が描く円弧の中心となる回転軸64を軸線として回転することが可能とされている。案内板部分56では、回旋駆動モータ53側の外縁部が案内溝61の円弧と同心状の円弧とされており、その外縁部にギヤ部62が設けられている。このギヤ部62は、回旋駆動モータ53の後述する回旋出力軸66のギヤ溝67を噛み合わせることが可能とされている。
連結板部分57は、案内板部分56と固定板部分58とを連結する。固定板部分58は、対応する測定ヘッド16に固定される箇所で、実施例1では連結板部分57から伸びる板状とされており、対応する測定ヘッド16の上面に相対的な回転が防止された状態で固定される(図6参照)。
回旋駆動モータ53は、設置部材51の設置板部分54に固定されたモータ本体65から回旋出力軸66が伸びて構成され、駆動されることで回旋出力軸66を回転させる。回旋出力軸66の外周面には、案内板部分56のギヤ部62に噛み合わせることのできるギヤ溝67が設けられている。回旋駆動モータ53は、回旋出力軸66のギヤ溝67が、案内板部分56のギヤ部62に噛み合わせられた状態で、モータ本体65が設置板部分54に固定されて設けられる。この回旋出力軸66と案内板部分56とは、回旋出力軸66の回転力を、回転軸64を中心として案内板部分56を回転させる回転力に変換するウォームギヤとして機能する。回旋駆動モータ53は、制御部22の制御下で駆動されることで、案内板部分56を案内溝61が描く円弧に沿って移動させる。これにより、回旋駆動部50は、取付板部分55が固定された水平駆動部40のZ移動部材46に対して、連結板部分57に固定された測定ヘッド16を、回転軸64を中心とする回転方向に移動させることができる。
駆動機構15は、鉛直駆動部30および水平駆動部40により被検眼に対する眼情報取得部21(測定ヘッド16)のXYZ方向のアライメントを行うことで、回旋駆動部50の回転軸64が被検眼の眼球回旋軸と一致される。これにより、回旋駆動部50は、対応する被検眼の眼球回旋軸を中心に測定ヘッド16を回旋させることができる。このとき、回旋駆動部50は、左眼用測定ヘッド16Lと右眼用測定ヘッド16Rとを逆方向に回旋させることで、被検眼を開散(開散運動)させたり輻輳(輻輳運動)させたりすることができる。これにより、眼科装置10は、開散運動および輻輳運動のテストを行うことや、両眼視の状態で遠用検査や近用検査を行って両被検眼の各種の眼情報を取得することができる。
次に、駆動機構15における鉛直駆動部30、水平駆動部40および回旋駆動部50の配置関係について説明する。駆動機構15では、図6に示すように、取付ベース板19の下方に鉛直駆動部30(その鉛直固定板31)が取り付けられ、その鉛直駆動部30(その鉛直移動板32)の下方に水平駆動部40の第1駆動箇所41(X移動部材44の上面44a)が取り付けられている。また、駆動機構15では、水平駆動部40の第2駆動箇所42(Z移動部材46の内側面46a)に回旋駆動部50(その設置部材51の取付板部分55)が取り付けられて、水平駆動部40の内側に隣接する配置空間48に回旋駆動部50が配置されている。そして、駆動機構15では、回旋駆動部50(その回旋部材52の取付板部分55)の下方に測定ヘッド16が固定されている。このため、駆動機構15では、鉛直駆動部30の下方に水平駆動部40の第1駆動箇所41を位置させ、その第1駆動箇所41のZ方向前側(被検者側)であって水平駆動部40の第2駆動箇所42の内側の配置空間48に回旋駆動部50を位置させ、その下方に測定ヘッド16を位置させている。
このように、駆動機構15は、水平駆動部40を全体に細長い直方体をL字形状に繋ぎ合わせた形状として、その内側に隣接する配置空間48に回旋駆動部50を配置することで、XYZ方向での移動を可能としつつX方向、Y方向およびZ方向での各寸法を小さくする、すなわちその各寸法の小さな空間(範囲)に収めることができる。このため、駆動機構15は、鉛直駆動部30、水平駆動部40および回旋駆動部50を効率の良い配置として小型化に寄与することができ、両測定ヘッド16を吊り下げて支持するために被検者の上方に設けることを容易なものにできる。また、駆動機構15は、回旋駆動部50を3つの駆動部のうちの最も下側に設けて測定ヘッド16を直接吊り下げて支持しているので、鉛直駆動部30および水平駆動部40を駆動することなく回旋駆動部50のみを駆動することで、測定ヘッド16を回旋させて被検眼を開散(開散運動)させたり輻輳(輻輳運動)させたりすることができる。さらに、駆動機構15は、取付ベース板19から吊り下げられる鉛直駆動部30の位置と、回旋駆動部50からの測定ヘッド16の吊り下げ位置と、の水平方向でのズレ量を小さくすることができ、安定して測定ヘッド16を吊り下げることができる。
本開示に係る眼科装置の実施例1の眼科装置10は、以下の各作用効果を得ることができる。
眼科装置10は、駆動機構15の水平駆動部40において、第1方向(X方向)に移動させる第1駆動箇所41と第2方向(Z方向)に移動させる第2駆動箇所42とをL字形状に連結して構成して、第1駆動箇所41および第2駆動箇所42に隣接させた配置空間48を形成する。眼科装置10は、駆動機構15において、鉛直駆動部30の下方に水平駆動部40の第1駆動箇所41を固定し、回旋駆動部50を水平駆動部40の第2駆動箇所42に固定して配置空間48に配置し、回旋駆動部50の下方に測定ヘッド16を固定している。このため、眼科装置10は、測定ヘッド16をXYZ方向に移動させるとともに被検眼の眼球回旋軸を回転中心として回旋させる駆動機構15すなわち鉛直駆動部30と水平駆動部40と回旋駆動部50との組み合わせを小さな空間に収めることができる。これにより、眼科装置10では、駆動機構15を被検者の上方に配置し、そこから測定ヘッド16を吊り下げて移動可能に支持させる構成とすることを容易なものにできる。よって、眼科装置10は、被検者の前方に駆動機構15を位置させる必要がなく、XYZ方向での移動と眼球回旋軸を回転中心とする回旋とを可能としつつ被検者の前方に空間を設けることができ、被検者が圧迫感を覚えることを防止できる。また、眼科装置10は、測定ヘッド16の上方に位置する駆動機構15を小さな空間に収めることができるので、測定ヘッド16の上方の圧迫感も抑制することができる。
眼科装置10は、水平駆動部40の第2駆動箇所42における配置空間48側の内側面46aに回旋駆動部50を固定している。このため、眼科装置10は、簡易な構成で回旋駆動部50を配置空間48に配置することができ、回旋駆動部50の小型化を容易なものにできる。
眼科装置10は、左右の被検眼に対応して対を為して測定ヘッド16を設けるとともに、鉛直駆動部30と水平駆動部40と回旋駆動部50とを、左右の測定ヘッド16に対応して対を為して設けている。このため、眼科装置10は、両眼視の状態で各被検眼の眼情報を取得することができる。また、眼科装置10は、鉛直駆動部30と水平駆動部40と回旋駆動部50との組み合わせを小さな空間に収めることができるので、各測定ヘッド16に対応させて駆動機構15を対を為して設けることを容易なものにでき、各測定ヘッド16の上方の圧迫感を抑制することができる。
眼科装置10は、被検者が正対する検眼用テーブル12と、そこから上方に伸びる支持腕部としての支柱13、アーム14および取付ベース板19を備え、その支持腕部の先端に駆動機構15を設けている。このため、検眼用テーブル12上に駆動機構15を設置する必要がなく、検眼用テーブル12を眼情報の取得(検眼)に用いるものや検者や被検者が利用するコントローラ(検者用コントローラ23、被検者用コントローラ24)の置き場等に利用することができる。
したがって、本開示に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10では、眼情報取得部21が設けられた測定ヘッド16を移動させる駆動機構15を小型化することができる。
以上、本開示の眼科装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、駆動機構15における鉛直駆動部30と水平駆動部40と回旋駆動部50とを図3から図5に示す構成としている。しかしながら、鉛直駆動部30が鉛直方向(Y方向)に移動させるもので、水平駆動部40が水平方向(XZ方向)に移動させるもので、回旋駆動部50が対応する被検眼の眼球回旋軸を中心に回転させるものであって、各駆動部が図6に示す位置関係とされていれば、各駆動部の構成は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。