以下、モータの一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両1に搭載された電動ステアリング装置1Aは、車両1の前後方向に延びるステアリングシャフト11を回動自在に軸支している。ステアリングシャフト11の車体後方側の端部には、車室内に配置されるステアリングホイール12が装着されている。また、ステアリングシャフト11の車体前方側の端部には、ユニバーサルジョイント13を介して中間シャフト14が連結されている。中間シャフト14は、ステアリングシャフト11と同様に車両1の前後方向に延びており、当該中間シャフト14の車体前方側の端部には、ラックアンドピニオン機構等からなるステアリングギヤ15がユニバーサルジョイント16を介して連結されている。また、ステアリングギヤ15は、タイロッド17を介して前輪18に連結されている。
運転者がステアリングホイール12を回転操作すると、ステアリングシャフト11、ユニバーサルジョイント13、中間シャフト14及びユニバーサルジョイント16を介してその回動力がステアリングギヤ15に伝達される。そして、同ステアリングギヤ15のラックアンドピニオン機構を介してタイロッド17が移動され、これにより、前輪18の操舵角を変えることができるようになっている。
図2に示すように、電動コラム装置10は、ステアリングホイール12のチルト位置調整をモータの駆動力を使用して行う電動チルト式コラム装置20を備えている。ステアリングシャフト11の車体後方側の部分であって車室内に配置される部分は、ステアリングコラム21(以下、コラム21とする)に内包されており、同ステアリングコラムによって回動自在に軸支されている。ステアリングコラム21は、ステアリングホイール12よりも車体前方側に位置し、コラムカバー22によって覆われている。そして、電動チルト式コラム装置20は、ステアリングコラム21に設けられている。
コラム21の車体前方側の端部(図2において左側の端部)は、車体23に固定された下部車体取付けブラケット24に軸支され車両1の左右方向(図2において紙面垂直方向)に延びる支持軸25を支点として、下部車体取付けブラケット24に対して回動可能に支持されている。また、コラム21の車体後方側の端部(図2において右側の端部)は、車体23に固定された上部車体取付けブラケット26によって、チルト位置調整可能に支持されている。
コラム21は、電動チルト式コラム装置20の駆動源となるモータ27が固定されるブラケット28を有する。ブラケット28は、車体23の上下方向に沿って延びるように配置される送りねじ29の上端部と下端部とを図示しない転がり軸受を介してそれぞれ軸支している。また、送りねじ29の下端部寄りの部位には、円板状のウォームホイール31が一体回転可能に固定されている。ウォームホイール31は、送りねじ29と同軸となるように(互いの回転軸線が一致するように)同送りねじ29に固定されている。
モータ27の回転軸72の先端側の部位(図2において右側の部位)には、ウォーム77が設けられている。モータ27は、ウォームホイール31にウォーム77が噛み合うように配置されている。そして、回転軸72の回転がウォーム77とウォームホイール31とによって減速され、ウォームホイール31を介して送りねじ29に伝達されるようになっている。
また、送りねじ29には、送りねじ29の回転を直線運動に変換するナット32が螺合されている。ナット32における車体後方側の側面には、球体状の球体部33aを有する連結部33が設けられている。球体部33aは、前記上部車体取付けブラケット26に設けられた円筒状のスリーブ34の内側に同スリーブ34の内周面に摺動可能に嵌入されている。即ち、連結部33とスリーブ34とによって、ナット32と上部車体取付けブラケット26とを相対回動可能に連結する球面継手が構成されている。
ステアリングホイール12のチルト位置を調節する際には、車室内に設けられた図示しないスイッチを操作者が操作すると、モータ27の回転軸72がスイッチの操作に応じた方向に回転される。すると、回転軸72の回転が、ウォーム77からウォームホイール31に減速して伝達され、ウォームホイール31の回転に伴って送りねじ29が回転される。送りねじ29が回転すると、ナット32が送りねじ29の回転方向に応じて同送りねじ29に沿って上昇もしくは下降され、ナット32と一体に設けられた連結部33が上昇もしくは下降される。すると、連結部33の球体部33aは、上部車体取付けブラケット26に設けられたスリーブ34に摺動可能に嵌入されているため、コラム21の車体後方側の端部が連結部33の移動方向に応じて上方もしくは下方にチルト移動される。具体的には、送りねじ29に対して連結部33が下降されると、コラム21の後端部、ひいてはステアリングホイール12が上方にチルト移動される。一方、送りねじ29に対して連結部33が上昇されると、コラム21の後端部、ひいてはステアリングホイール12が下方にチルト移動される。
図3に示すように、電動コラム装置10は、ステアリングシャフト11の中心軸線に沿ったステアリングホイール12(コラム21)のテレスコピック位置調整をモータの駆動力を使用して行う電動テレスコピック式コラム装置40を備えている。
図3及び図4に示すように、コラム21は、円筒状のアウタコラム41と、同アウタコラム41に摺動可能に嵌入されたインナコラム42とを有する。アウタコラム41及びインナコラム42は、その軸方向が車両1の前後方向に沿うように配置されている。そして、インナコラム42は、ステアリングシャフト11を回動自在に軸支している。また、アウタコラム41の下部には車両1の前後方向に延びる開口部43が設けられている。インナコラム42に固定された円筒状のスリーブ44は、この開口部43を通ってアウタコラム41の外方に突出している。
ステアリングホイール12のテレスコピック位置調整時には、開口部43を貫通したスリーブ44が、開口部43の前端43aもしくは後端43bに当接することで、アウタコラム41に対するインナコラム42の軸方向の相対移動の範囲が決定されている。また、スリーブ44が開口部43を貫通した状態に設けられることにより、アウタコラム41に対するインナコラム42の相対回転が阻止されている。
アウタコラム41には、開口部43の車体前後方向の両側に前軸支部45及び後軸支部46が外方に突出するように設けられている。前軸支部45及び後軸支部46は、図示しない転がり軸受を介して送りねじ47の両端部を軸支している。また、送りねじ47の前端部寄りの部位には、円板状のウォームホイール51が一体回転可能に固定されている。ウォームホイール51は、送りねじ47と同軸となるように(互いの回転軸線が一致するように)同送りねじ47に固定されている。
また、アウタコラム41の外周面には、電動テレスコピック式コラム装置40の駆動源となるモータ48が固定されている。本実施形態では、モータ48は、電動チルト式コラム装置20の駆動源となるモータ27と同様の構成であるため、同じ構成及び対応する構成に同一の符号を付して説明する。
モータ48の回転軸72の先端側の部位(図3において下側の部位)には、ウォーム77が設けられている。モータ27は、ウォームホイール51にウォーム77が噛み合うように配置されている。そして、回転軸72の回転がウォーム77とウォームホイール51とによって減速され、ウォームホイール51を介して送りねじ47に伝達されるようになっている。
また、送りねじ47には、送りねじ47の回転を直線運動に変換するナット52が螺合されている。ナット52の側面には、インナコラム42に設けられた前記スリーブ44に摺動可能に嵌入される球体状の球体部53aを有する連結部53が設けられている。この連結部53とスリーブ44とによって、ナット52とインナコラム42とを相対回動可能に連結する球面継手が構成されている。
ステアリングホイール12のテレスコピック位置を調節する際には、車室内に設けられた図示しないスイッチを操作者が操作すると、モータ48の回転軸72がスイッチの操作に応じた方向に回転される。すると、回転軸72の回転が、ウォーム77からウォームホイール51に減速して伝達され、ウォームホイール51の回転に伴って送りねじ47が回転される。送りねじ47が回転すると、ナット52が送りねじ47の回転方向に応じて同送りねじ47に沿って前方もしくは後方に移動され、ナット52と一体に設けられた連結部53が前方もしくは後方に移動される。すると、連結部53の球体部53aがインナコラム42に設けられたスリーブ44に摺動可能に嵌入されているため、アウタコラム41に対してインナコラム42が車両1の前方側もしくは後方側にテレスコピック移動される。具体的には、連結部53が車両1の前方側に移動されると、アウタコラム41に対してインナコラム42が車両1の前方側に移動され、ひいてはステアリングホイール12が車両1の前方側にテレスコピック移動される。一方、連結部53が車両1の後方側に移動されると、アウタコラム41に対してインナコラム42が車両1の後方側に移動され、ひいてはステアリングホイール12が車両1の後方側にテレスコピック移動される。
次に、本実施形態のモータ27,48について説明する。なお、モータ48は、モータ27と同じ構成であるため、モータ27についてのみ説明し、モータ48の説明を省略する。
図5及び図6に示すように、モータ27は、内側に回転子71を収容するヨークハウジング61(以下、ヨーク61とする)を有する。ヨーク61は、軸方向の一端部(図5において右側の端部)が閉塞された筒状部62と、筒状部62の開口部62aから径方向外側に延びるフランジ部63とから構成されており、有底筒状をなしている。
筒状部62は、回転子71の回転軸線L1方向から見て(即ち、図6において左右方向から見て)、長手方向X1と短手方向X2(図7参照)とを有する扁平形状をなしている。なお、以下、「回転子71の回転軸線L1」を「回転軸線L1」と省略して記載することにする。図6においては、上下方向が筒状部62の長手方向X1、紙面垂直方向が筒状部62の短手方向X2となっている。また、本実施形態の筒状部62は、回転軸線L1と直交する方向の断面形状が、回転子71の径方向の両側で互いに平行をなす一対の平坦部62bと、一対の平坦部62bの間をそれぞれ繋ぐ円弧状の円弧部62cとからなる扁平形状(トラック形状)をなしている。そして、筒状部62は、平坦部62bと平行な方向が長手方向X1、平坦部62bと直交する方向が短手方向X2となっている。
フランジ部63は、回転軸線L1と直交する方向に沿って筒状部62の外周側に延出されている。また、フランジ部63において、筒状部62の開口部62aから短手方向X2の両側に延びる部分の径方向外側への延出量は、筒状部62の開口部62aから長手方向X1の両側に延びる部分の径方向外側への延出量よりも少なくなっている。そのため、ヨーク61は、フランジ部63によって筒状部62の短手方向X2に厚みが増すことが抑制されている。
筒状部62の内周面にはマグネット64が固着されるとともに、マグネット64の内側に回転子71が配置されている。回転子71は、ヨーク61の中央部に配置される回転軸72を備えている。回転軸72の基端部(図5において右側の端部)は、筒状部62の底部中央に設けられた軸受73にて軸支されるとともに、同回転軸72の先端側の部位は、筒状部62の開口部62a(ヨーク61の開口部)から外部に突出している。また、回転軸72においてマグネット64と径方向に重なる部分には、電機子コア74が同回転軸72と一体回転可能に固定されるとともに、電機子コア74には電機子巻線75が巻装されている。また、回転軸72の軸方向の略中央部には、円筒状の整流子76が同回転軸72と一体回転可能に固定されている。整流子76には、電機子巻線75が電気的に接続されている。また、回転軸72における整流子76よりも先端側の部位であって、ヨーク61から突出した部位には、同回転軸72と一体回転する螺子歯状のウォーム77が設けられている。
図9(b)に示すように、フランジ部63には、第1の締結孔65a及び第2の締結孔65bが形成されている。第1及び第2の締結孔65a,65bは、フランジ部63における回転軸線L1を挟んだ長手方向X1の一端側と他端側とにそれぞれ設けられている。第1及び第2の締結孔65a,65bの各々は、フランジ部63を回転軸線L1方向に貫通するとともに、回転軸線L1方向から見た形状が円形状をなしている。そして、フランジ部63における長手方向X1の一端側に設けられた第1の締結孔65aは、回転軸線L1方向から見て、回転軸線L1を通り短手方向X2に延びる第1の中心線C1よりも長手方向X1の一方側、且つ、回転軸線L1を通り長手方向X1に延びる第2の中心線C2よりも短手方向X2の一方側となる第1の範囲A1に設けられている。一方、フランジ部63における長手方向X1の他端側に設けられた第2の締結孔65bは、回転軸線L1方向から見て、第1の中心線C1よりも長手方向X1の他方側、且つ、第2の中心線C2よりも短手方向X2の他方側となる第2の範囲A2に設けられている。ヨーク61を回転軸線L1方向から見ると、第2の範囲A2は、第1の範囲A1に対して回転軸線L1回りに180°離間した位置(対角となる位置)に位置しており、第2の締結孔65bは、第1の締結孔65aに対して回転軸線L1を挟んでほぼ対角となる位置に設けられている。
図5及び図9(a)に示すように、筒状部62の開口部62a(ヨーク61の開口部)には、ブラシホルダ81が嵌合されている。ブラシホルダ81は、筒状部62の開口部62aを閉塞する形状をなすブラシ保持部としてのホルダ本体82と、ホルダ本体82から径方向外側に突出したコネクタ部83とを有する。
図5及び図9(b)に示すように、ホルダ本体82は、回転軸線L1方向から見た外形形状が、筒状部62の開口部62aに対応した形状をなしており、筒状部62の長手方向X1が長手方向、筒状部62の短手方向X2が短手方向となる扁平形状をなしている。そして、ホルダ本体82は、回転軸線L1方向から見て、ヨーク61の外形の範囲内に収まっている。ホルダ本体82は、その略中央部に軸受84を保持しており、該軸受84は、回転軸72における整流子76とウォーム77との間の部分を軸支している。また、ホルダ本体82は、整流子76と摺接する複数の給電ブラシ85を保持するとともに、複数の回路素子が搭載された回路基板86を保持している。また、ホルダ本体82において、ヨーク61から軸方向に突出した部分の外周縁部は、エラストマ(ゴムを含む)等の弾性材料からなる弾性部材87によって被覆されている。この弾性部材87は、ヨーク61(筒状部62)の開口部62a側の振動を抑制して低騒音化を図るとともに、ヨーク61と後述のハウジングケース100との間から潤滑油等の液体がモータ27の内部に浸入することを抑制するためのものである。
図9(a)及び図9(b)に示すように、コネクタ部83は、ホルダ本体82の長手方向の一端部(図9(b)において上側の端部)から長手方向X1に突出し、ホルダ本体82の側方でフランジ部63と反対側に回転軸線L1方向に延びている。即ち、コネクタ部は、フランジ部63に対して筒状部62と反対側(後述のハウジングケース100側)に位置する。そして、コネクタ部83は、長手方向X1が厚さ方向となる扁平形状をなしている。
コネクタ部83は、ホルダ本体82から長手方向X1の一方側(図9(b)において上方)に突出した底部91と、底部91の外周縁部からフランジ部63と反対方向に回転軸線L1方向に沿って延びる略筒状の側壁部92とを有し、フランジ部63と反対方向に回転軸線L1方向に開口した略有底筒状をなしている。本実施形態では、コネクタ部83の外形は、回転軸線L1方向から見ると(即ち図9(b)に示す状態)、短手方向X2に長い略四角形状をなしている。そして、コネクタ部83は、回転軸線L1方向から見て、フランジ部63における長手方向X1の一端側に設けられた第1の締結孔65aと短手方向X2に並ぶとともに、長手方向X1にフランジ部63よりも外周側に突出していない。本実施形態では、コネクタ部83における長手方向X1の外側の側面83aは、フランジ部63における第1の締結孔65aが設けられた側の長手方向X1の一方側の端面63aと同一平面内に位置する。
コネクタ部83は、側壁部92の内側に複数(本実施形態では6個)のコネクタ端子93を保持している。本実施形態では、コネクタ部83が保持するコネクタ端子93は、オス端子である。複数のコネクタ端子93は、短手方向X2に沿って一列に並んでいる。詳述すると、複数のコネクタ端子93において、側壁部92にて外周が囲まれた先端側の部分は、回転軸線L1方向に延びており、互いに平行をなしている。更に、複数のコネクタ端子93において、側壁部92にて外周が囲まれた先端側の部分は、一定の間隔で短手方向X2に一列に並んでいる。そして、複数のコネクタ端子93において、側壁部92にて外周が囲まれた先端側の部分はブラシホルダ81の外部に露出しているが、当該先端側の部分以外の部分は部分的にブラシホルダ81の内部に埋設されている。各コネクタ端子93は、底部91の内部で屈曲されてホルダ本体82の方へ延びるとともに、ホルダ本体82においてブラシホルダ81の外部に露出している。複数のコネクタ端子93における底部91の内部に埋設された部分は、回転軸線L1方向から見ると、第1の締結孔65aと短手方向X2に並んでいる。
図9(c)に示すように、ホルダ本体82には、コネクタ部83側の長手方向X1の端部に、ホルダ本体82の内部に埋設された複数のコネクタ端子93を露出させる露出口82aが設けられている。複数のコネクタ端子93は、導電性の金属板材にプレス加工を施して形成されており、ブラシホルダ81に部分的に埋設される前の状態では、互いに繋がった状態に形成されている。そして、複数のコネクタ端子93は、ブラシホルダ81に部分的に埋設されると、互いに繋がった部分が露出口82aから露出するようになっており、当該露出口82aにおいて各コネクタ端子93が切り離されて隣り合うコネクタ端子93同士が電気的に絶縁される。なお、各コネクタ端子93が切り離された後、露出口82aには弾性部材87が充填される(図9(b)参照)。弾性部材87は、各コネクタ端子93間の短絡(ショート)を防止する。
図9(a)、図9(c)及び図10に示すように、側壁部92には、係合部としての係合孔94が設けられている。係合孔94は、側壁部92における短手方向X2の一方側の端部であって第1の締結孔65aと隣り合う部分(側壁部92の第1端部92a)に設けられている。係合孔94は、側壁部92を短手方向X2に貫通し、回転軸線L1方向(即ち側壁部92の延びる方向と同方向)に延びている。そして、係合孔94におけるコネクタ部83の先端側の端には、コネクタ部側係合面94aが設けられている。コネクタ部側係合面94aは、係合孔94の内周面におけるコネクタ部83の先端側の端の部分であり、回転軸線L1方向と直交する平面状をなしている。
また、側壁部92には、スリット95(第2の誤組付け防止係合部)が設けられている。スリット95は、側壁部92における長手方向X1の一方側の端部、即ち、側壁部92におけるコネクタ部83の厚さ方向の一方側の端部に設けられている。本実施形態では、スリット95は、側壁部92における長手方向X1の一方側の端部であって、同側壁部92におけるヨーク61の外周側の端部に設けられている。スリット95は、側壁部92の先端から基端側に向かって回転軸線L1方向(即ち側壁部92の延びる方向と同方向)に延びる溝状をなしており、側壁部92を長手方向X1に貫通している。そして、スリット95は、側壁部92の先端において回転軸線L1方向に開口している。このスリット95によって、側壁部92は、コネクタ部83の開口部の大きさを変化させるように弾性変形することが可能となっている。
また、側壁部92における係合孔94が形成された第1端部92aは、スリット95を近傍に有することから、後述の外部コネクタ110の挿入時に短手方向X2の外側に撓みやすくなっている。一方で、第1端部92aの剛性確保のために、第1端部92aの長手方向X1の両端部からはそれぞれ延出部92bが短手方向X2の内側に延出されている。
図8(a)~図8(c)に示すように、上記のようなコネクタ部83には、外部の電源装置に電気的に接続された外部コネクタ110が接続される。外部コネクタ110は、コネクタ部83の内周面と同様の形状をなす外周面を有する略直方体形状をなしている。ここで、図8(b)において、左右方向を第1の方向X11とし、当該第1の方向X11と直交する方向(図9(b)において上下方向)を第2の方向X12とする。また、図8(a)において、第1の方向X11及び第2の方向X12と直交し左から右に向かう方向は、外部コネクタ110がコネクタ部83に差し込まれるときの差込み方向X13である。
外部コネクタ110は、差込み方向X13から見た形状(即ち図8(b)に示す形状)が第1の方向X11に薄い略四角形状をなしている。即ち、外部コネクタ110は、第1の方向X11が厚さ方向となる略板状をなしている。外部コネクタ110は、その内側に複数のコネクタ端子111を保持している。本実施形態では、外部コネクタ110は、コネクタ端子93が保持するコネクタ端子93と同数の6個のコネクタ端子111を保持している。また、本実施形態では、各コネクタ端子111は、メス端子である。これら6個のコネクタ端子93は、外部コネクタ110の内側で、一定の間隔で第2の方向X12に一列に並んでいる。
外部コネクタ110の外周面には、コネクタ部83の係合孔94(図10参照)と回転軸線L1方向に係合する係合凸部112が設けられている。係合凸部112は、外部コネクタ110における第2の方向X12の一端面(図9(a)において上側の端面)に設けられており、第2の方向X12に突出している。係合凸部112は、差込み方向X13の前方側(図9(a)において右側)から同差込み方向X13の後方側(図9(a)において左側)に向かうにつれて、外部コネクタ110の第2の方向X12の一端面からの第2の方向X12の突出量が徐々に多くなるように形成されている。そのため、係合凸部112における第2の方向X12の先端面には、差込み方向X13の後方側に向かうにつれて外部コネクタ110における第2の方向X12の一端面から徐々に遠ざかるように傾斜した導入面112aが形成されている。また、係合凸部112における差込み方向X13の後方側の端面は、差込み方向X13と直交する平面状をなす外部コネクタ側係合面112bとなっている。
また、外部コネクタ110の外周面には、コネクタ部83のスリット95(図10参照)に回転軸線L1方向に凹凸係合する誤組付け防止凸部113(第1の誤組付け防止係合部)が設けられている。誤組付け防止凸部113は、外部コネクタ110における第1の方向X11の一端面(図9(b)において左側の端面)に設けられている。外部コネクタ110における第1の方向X11の一端面には、差込み方向X13の後方側の端部に、第2の方向X12に沿って延びるストッパ突条部114が設けられている。そして、誤組付け防止凸部113は、このストッパ突条部114から差込み方向X13に延びる突条をなしている。外部コネクタ110における誤組付け防止凸部113の第2の方向X12の位置は、コネクタ部83におけるスリット95の短手方向X2の位置(図10参照)と対応する位置に設定されている。また、誤組付け防止凸部113の第2の方向X12の幅は、スリット95の短手方向X2の幅と等しい。更に、誤組付け防止凸部113の差込み方向X13の長さは、スリット95の回転軸線L1方向の長さと等しい(または、スリット95の回転軸線L1方向の長さよりもやや短い)。
図8、図10及び図11に示すように、外部コネクタ110は、誤組付け防止凸部113をコネクタ部83のスリット95に挿入しながら差込み方向X13(回転軸線L1方向)に沿ってコネクタ部83の内側(即ち側壁部92の内側)に挿入される。このように、誤組付け防止凸部113をスリット95に挿入しながら外部コネクタ110をコネクタ部83に挿入することで、コネクタ部83に対して外部コネクタ110が間違った向きで挿入されることが抑制される。なお、外部コネクタ110は、第1の方向X11が長手方向X1と一致し、第2の方向X12が短手方向X2と一致した状態でコネクタ部83に挿入される。そして、外部コネクタ110のコネクタ部83への差し込みに伴って、外部コネクタ110が保持する複数のコネクタ端子111とコネクタ部83が保持する複数のコネクタ端子93とがそれぞれ電気的に接続される。本実施形態では、外部コネクタ110の各コネクタ端子111に、それぞれ対応するコネクタ端子93が挿入されることにより、対応するコネクタ端子111とコネクタ端子93とが電気的に接続される。
また、図8、図10及び図12に示すように、外部コネクタ110をコネクタ部83に挿入する際には、コネクタ部83の開口部が拡がるように係合凸部112によって側壁部92が外周側に弾性変形される。この時、側壁部92の弾性変形は、スリット95が短手方向X2の幅が広くなるように開くことによって許容される。係合凸部112の全体が係合孔94と短手方向X2に重なる位置に配置されるまで外部コネクタ110がコネクタ部83に差し込まれると、側壁部92が原形に復帰し、同係合凸部112が係合孔94内に配置される。そして、外部コネクタ側係合面112bとコネクタ部側係合面94aとが回転軸線L1方向(差込み方向X13に同じ)に当接する。これにより、係合凸部112が係合孔94にスナップフィット係合し、外部コネクタ110がコネクタ部83から抜けることが抑制される。また、係合凸部112が係合凸部112に回転軸線L1方向に係合すると、ストッパ突条部114が差込み方向X13(回転軸線L1方向)からコネクタ部83の先端面(側壁部92の先端面)に当接し、それ以上の外部コネクタ110のコネクタ部83への差し込み(差込み方向X13への移動)が阻止される。
コネクタ部83の複数のコネクタ端子93は、外部コネクタ110を介して外部機器との信号のやり取りや、モータ27への給電に使用される。給電用のコネクタ端子93(給電端子)は、給電ブラシ85と電気的に接続されており、給電ブラシ85を介して回転子71に給電できるようになっている。
図5乃至図7に示すように、モータ27は、ウォーム77を収容するハウジングケース100を備えている。ハウジングケース100は、ヨーク61と回転軸線L1方向に対向する位置に(図6において右側の端部)に、該ハウジングケース100とヨーク61とを固定するための固定部101を備えている。固定部101は、ヨーク61のフランジ部63の外形と同様の外形を有しており、回転軸線L1方向から見た形状が、長手方向X1に長く且つ短手方向X2が厚さ方向となる略四角形状をなしている。
固定部101には、フランジ部63に設けられた第1の締結孔65aと回転軸線L1方向に重なる位置に第1のハウジング側締結孔102aが設けられるとともに、同フランジ部63に設けられた第2の締結孔65bと回転軸線L1方向に重なる位置に第2のハウジング側締結孔102bが設けられている。第1及び第2のハウジング側締結孔102a,102bは、固定部101における回転軸線L1を挟んだ長手方向X1の一端側と他端側とにそれぞれ設けられている。第1及び第2のハウジング側締結孔102a,102bの各々は、固定部101を回転軸線L1方向に貫通した螺子孔(雌螺子)であり、回転軸線L1方向から見た形状が円形状をなしている。固定部101における長手方向X1の一端側に設けられた第1のハウジング側締結孔102aは、回転軸線L1方向から見て第1の範囲A1に設けられている。一方、固定部101における長手方向X1の他端側に設けられた第2のハウジング側締結孔102bは、回転軸線L1方向から見て第2の範囲A2に設けられている。そして、固定部101を回転軸線L1方向から見ると、第2のハウジング側締結孔102bは、第1のハウジング側締結孔102aに対して回転軸線L1を挟んでほぼ対角となる位置に設けられている。
ハウジングケース100は、固定部101とフランジ部63との間にブラシホルダ81のホルダ本体82(図9(b)参照)の外周縁部(弾性部材87)を挟持するようにヨーク61に対して配置されている。そして、ハウジングケース100は、第1の締結孔65aを貫通し第1のハウジング側締結孔102aに螺合された締結部材としての第1の螺子103a、並びに、第2の締結孔65bを貫通し第2のハウジング側締結孔102bに螺合された締結部材としての第2の螺子103bによってヨーク61と連結されている。
また、ハウジングケース100は、固定部101から回転軸線L1方向にヨーク61と反対側に延びるウォーム軸収容部104を有する。ウォーム軸収容部104は、回転軸線L1方向から見ると、固定部101の外形の範囲内(即ちヨーク61の外形の範囲内)に収まっている。ウォーム軸収容部104は、中空状をなしており、回転軸72におけるブラシホルダ81のホルダ本体82を貫通した先端側の部分を内側に収容している。また、ウォーム軸収容部104は、その内部に、回転軸72の先端部を軸支する軸受105を保持している。そして、回転軸72における軸受105と前記軸受84との間に設けられたウォーム77が、回転軸72と共にこのウォーム軸収容部104に収容されている。また、ウォーム軸収容部104には、ウォーム77を外部に露出させるウォーム露出口106が設けられている。このウォーム露出口106を介してウォーム77にウォームホイール31(図2参照)が噛合する。
上記のようなモータ27では、外部コネクタ110のコネクタ端子111から、コネクタ部83のコネクタ端子93及び給電ブラシ85を介して回転子71に電流が供給されると、同回転子71が回転する。そして、回転子71の回転は、回転子71の回転軸72と一体回転するウォーム77に噛合したウォームホイール31に減速されながら伝達される。
図13に示すように、電動コラム装置10は、電動チルト式コラム装置20のモータ27及び電動テレスコピック式コラム装置40のモータ48の駆動を制御する電子制御ユニット120(以下ECU120とする)を備えている。そして、モータ27及びモータ48は、二股リード線130によってECU120に電気的に接続されている。
ECU120は、モータ27,48を電気的に接続するためのモータ接続用コネクタ部121を有する。そして、二股リード線130は、このモータ接続用コネクタ部121に差し込まれることにより電気的及び機械的に接続される電子制御ユニット接続用コネクタ131(以下ECU接続用コネクタ131とする)を有する。また、二股リード線130は、第1のリード線132を介してECU接続用コネクタ131と電気的及び機械的に接続されモータ27のコネクタ部83に差し込まれる第1の外部コネクタ133を有する。更に、二股リード線130は、第2のリード線134を介してECU接続用コネクタ131と電気的及び機械的に接続されモータ48のコネクタ部83に差し込まれる第2の外部コネクタ135を有する。本実施形態では、モータ27とモータ48とは同じ形状であるため、モータ27のコネクタ部83とモータ48のコネクタ部83とは同じ形状をなしている。従って、第1の外部コネクタ133と第2の外部コネクタ135とは同じ形状をなしている。即ち、第1の外部コネクタ133及び第2の外部コネクタ135は、何れも上記した外部コネクタ110である。
このように、第1の外部コネクタ133がモータ27のコネクタ部83に差し込まれ、第2の外部コネクタ135がモータ48のコネクタ部83に差し込まれ、更にECU接続用コネクタ131がECU120のモータ接続用コネクタ部121に接続されることで、二股リード線130を介してモータ27,48とECU120とが電気的に接続される。なお、二股リード線130において、ECU接続用コネクタ131、第1の外部コネクタ133、第2の外部コネクタ135を差し込む順序は問わない。
なお、図14に示すように、互いに離れた位置に配置されたモータ27,48に対して、ECU120のモータ接続用コネクタ部121をモータ48寄りに配置する。そして、第2のリード線134の長さを第1のリード線132の長さよりも短くすることで、モータ27,48の各コネクタ部83に対して第1の外部コネクタ133及び第2の外部コネクタ135を互い違いに接続してしまう誤組付けを防止できる。
詳しくは、同図に示すように、第1のリード線132の長さは、第1の外部コネクタ133がモータ27のコネクタ部83に接続可能な長さに設定されている。第2のリード線134の長さは、第2の外部コネクタ135がモータ48のコネクタ部83には接続可能で且つモータ27のコネクタ部83には届かない長さに設定されている。これにより、第2の外部コネクタ135を誤ってモータ27のコネクタ部83に接続してしまうことを防止できる。なお、図14の例に限らず、ECU120のモータ接続用コネクタ部121をモータ27寄りに配置し、第1のリード線132の長さを第2のリード線134の長さよりも短くしても同様の効果を得ることができる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
コネクタ部83は、回転軸線L1方向から見て、フランジ部63における長手方向X1の一端側に設けられた第1の締結孔65aと短手方向X2に並ぶとともに、長手方向X1にフランジ部63よりも外周側に突出しない。更に、コネクタ部83にて保持される複数のコネクタ端子93は、短手方向X2に沿って一列に並んでいる。従って、ヨーク61の厚さ方向(即ち筒状部62の短手方向X2)にモータ27が厚くなることを抑制しつつ(ヨーク61の厚さ方向のモータ27の薄さを維持しつつ)、コネクタ部83が、ヨーク61の外周面よりも径方向に突出する量を抑えられる。
次に、本実施形態の効果を記載する。なお、モータ27についての効果のみを以下に記載するが、モータ48についても同様の効果が得られる。
(1)ヨーク61の厚さ方向(即ち筒状部62の短手方向X2)にモータ27が厚くなることを抑制しつつ、モータ27に給電するための給電部であるコネクタ部83が、ヨーク61の外周面よりも径方向に突出する量を抑えられる。その結果、回転軸線L1方向から見たモータ27の投影面積を小さく抑えることができる。
(2)フランジ部63における長手方向X1の一端側に設けられた第1の締結孔65aは、回転軸線L1方向から見て、回転軸線L1を通り短手方向X2に延びる第1の中心線C1よりも長手方向X1の一方側、且つ、回転軸線L1を通り長手方向X1に延びる第2の中心線C2よりも短手方向X2の一方側となる第1の範囲A1に設けられている。そのため、フランジ部63における長手方向X1の一端側に設けられる第1の締結孔65aは、第2の中心線C2からずれた位置、即ち、回転軸線L1方向から見て、フランジ部63における短手方向X2の中央部からずれた位置に設けられる。従って、コネクタ部83がヨーク61の外周面よりも径方向に突出する量を抑えつつ、同コネクタ部83を設ける範囲を確保することが容易となる。
また、フランジ部63における長手方向X1の他端側に設けられた第2の締結孔65bは、回転軸線L1方向から見て、第1の中心線C1よりも長手方向X1の他方側、且つ、第2の中心線C2よりも短手方向X2の他方側となる第2の範囲A2に設けられている。そして、第1の範囲A1に対して、第2の範囲A2は、回転軸線L1を挟んだ反対側に位置する。従って、第1の範囲A1に設けられた第1の締結孔65aに第1の螺子103aを挿通するとともに、第2の範囲A2に設けられた第2の締結孔65bに第2の螺子103bを挿通してヨーク61とハウジングケース100とを連結することにより、ヨーク61とハウジングケース100とを安定して固定することができる。
(3)筒状部62は、回転軸線L1と直交する方向の断面形状が、回転子71の径方向の両側で互いに平行をなす一対の平坦部62bと、一対の平坦部62bの間をそれぞれ繋ぐ円弧状の円弧部62cとからなる扁平形状をなしている。そして、コネクタ部83は、フランジ部63に対してハウジングケース100側(筒状部62と反対側)に位置する。従って、コネクタ部83は、フランジ部63に対してハウジングケース100側に配置されるため、回転軸線L1方向から見てコネクタ部83が長手方向X1にフランジ部63よりも外周側に突出しないように当該コネクタ部83を設けるスペースをより確保しやすくなる。
(4)コネクタ部83は、回転軸線L1方向に延び複数のコネクタ端子93を囲む側壁部92を有する。そして、側壁部92における短手方向X2の端部に、コネクタ部83に回転軸線L1方向に沿って差し込まれる外部コネクタ110と回転軸線L1方向に係合する係合孔94が設けられている。このように、外部コネクタ110と回転軸線L1方向に係合する係合孔94は、コネクタ部83の側壁部92における短手方向X2の端部に設けられている。従って、モータ27が長手方向X1に外周側に大型化されることを抑制しつつ、外部コネクタ110とコネクタ部83とが回転軸線L1方向に係合する部位(即ち係合孔94及び係合凸部112)をモータ27に設けることができる。即ち、回転軸線L1方向から見て、コネクタ部83の係合孔94及び外部コネクタ110における係合孔94と係合する係合凸部112が長手方向X1にフランジ部63よりも外周側に突出しないようにしつつ、容易に係合孔94を設けることができる。その結果、モータ27が長手方向X1に大型化されることを抑制しつつ、外部コネクタ110がコネクタ部83から脱落することを抑制することができる。
(5)コネクタ部83は、長手方向X1が厚さ方向となる扁平形状をなしている。そして、側壁部92は、コネクタ部83の厚さ方向の一方側の側面に、外部コネクタ110に設けられた誤組付け防止凸部113と回転軸線L1方向に凹凸係合するスリット95を有する。そのため、外部コネクタ110をコネクタ部83の側壁部92に差し込む際に、誤組付け防止凸部113とスリット95とを回転軸線L1方向に凹凸係合させることにより、外部コネクタ110が間違った向きでコネクタ部83に差し込まれることを抑制することができる。
(6)外部コネクタ110の係合凸部112とコネクタ部83の係合孔94とをスナップフィット係合させる時に側壁部92の弾性変形を許容するためのスリット95が、外部コネクタ110が間違った向きでコネクタ部83に差し込まれることを抑制するための誤組付け防止用の係合部を兼ねている。従って、スリット95とは別に誤組付け防止のために誤組付け防止凸部113と係合する係合部がコネクタ部83に設けられる場合に比べて、コネクタ部83の形状が複雑化されることを抑制することができる。
(7)フランジ部63は、長手方向X1の延出量に比べて短手方向X2の延出量が少ない。従って、ヨーク61の厚さ方向(即ち筒状部62の短手方向X2)にモータ27が厚くなることを抑制しやすい。また、フランジ部63における長手方向X1の一端側と他端側とに設けられる第1及び第2の締結孔65a,65bを設けやすい。
(8)外部コネクタ110の係合凸部112と係合する係合孔94は、コネクタ部83の側壁部92における短手方向X2の一方側の端部であって第1の締結孔65aと隣り合う部分に設けられている。従って、側壁部92における第1の締結孔65aと反対側の短手方向X2の他方側の端部に係合孔94が設けられる場合に比べて、係合孔94や係合凸部112によってモータ27が長手方向X1に大型化されることをより抑制しつつ、外部コネクタ110と回転軸線L1方向に係合する係合孔94を同コネクタ部83に設けることができる。
(9)本実施形態のコネクタ部83は、リード線を介して回路基板86に接続されるものではなく、ホルダ本体82に一体に設けられている。従って、本実施形態のモータ27,48は、コネクタ部がリード線を介して回路基板86に接続される構成のモータに比べて、様々な種類のECU120への対応が容易となる。即ち、モータ27,48のコネクタ部83に接続されてモータ27,48とECU120とを接続するワイヤハーネスのみ、様々な種類のECU120に応じて複数種類準備すれば、モータ27,48と様々な種類のECU120とを容易に電気的に接続することができる。その結果、モータ27,48及び該モータ27,48を備えた電動コラム装置10の製造コストを低減させることができる。
(10)モータ27及びモータ48は、回転軸線L1方向から見た投影面積が小さく抑えられているため、車両1への搭載スペースを確保しやすいとともに、電動コラム装置10の大型化を抑制することができる。
また、モータ27,48をECU120に接続する二股リード線130は、モータ27のコネクタ部83に差し込まれる第1の外部コネクタ133と、当該第1の外部コネクタ133と同じ形状をなしモータ48のコネクタ部83に差し込まれる第2の外部コネクタ135とを有する。このように、第1の外部コネクタ133と第2の外部コネクタ135との形状が同じであるため、電動チルト式コラム装置20の駆動源となるモータ27と、電動テレスコピック式コラム装置40の駆動源となるモータ48とに同じ形状のモータを用いることができる。そして、二股リード線130において、ECU接続用コネクタ131の形状をECU120のモータ接続用コネクタ部121の形状に応じて変更することにより、様々な種類のECU120にモータ27,48を電気的及び機械的に接続することができる。従って、二股リード線の形状に応じてコネクタ部の形状が異なる複数種類のモータを製造する場合に比べて、電動コラム装置10の製造コストを低減させることができる。
なお、コネクタ部がリード線を介して回路基板86に接続される従来の構成のモータを用いた場合でも、本実施形態のような二股ケーブルを使用することにより、電動チルト式コラム装置の駆動源となるモータと、電動テレスコピック式コラム装置の駆動源となるモータとに同じ形状のモータを用いることが可能である。しかしながら、部品点数が増大したり、組み付けが煩雑となったりするため、製造コストが高くなってしまう。従って、本実施形態のモータ27,48を用いることにより、電動コラム装置10において、部品点数を減少させることができるとともに、組み付けが煩雑となることを抑制できる。
(11)複数のコネクタ端子93は、短手方向X2に沿って一列に並んでいる。また、複数のコネクタ端子93において、側壁部92にて外周が囲まれた先端側の部分は、短手方向X2に一列に並んでいる。従って、コネクタ部83を長手方向X1に薄型化しやすいとともに、複数のコネクタ端子93のプレス加工を容易に行うことができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、フランジ部63は、長手方向X1の延出量に比べて短手方向X2の延出量が少ない。しかしながら、フランジ部63は、長手方向X1の延出量に比べて短手方向X2の延出量が多くてもよいし、長手方向X1の延出量と短手方向X2の延出量とが等しくてもよい。
・上記実施形態では、外部コネクタ110が間違った向きでコネクタ部83に差し込まれることを抑制するための誤組付け防止凸部113が凹凸係合するスリット95は、外部コネクタ110がコネクタ部83に差し込まれる時にコネクタ部83の開口部の大きさを変化させるように側壁部92が弾性変形することを許容するためのものである。しかしながら、スリット95とは別に、誤組付け防止凸部113が係合する誤組付け防止用のスリット(第2の誤組付け防止係合部)を側壁部92に設けてもよい。この場合、誤組付け防止凸部113は、外部コネクタ110において、誤組付け防止用の当該スリットと凹凸係合可能な位置に形成される。
・上記実施形態では、外部コネクタ110は、外部コネクタ110が間違った向きでコネクタ部83に差し込まれることを抑制するためにスリット95に挿入される誤組付け防止凸部113を有する。しかしながら、外部コネクタ110は、必ずしも誤組付け防止凸部113を備えなくてもよい。即ち、コネクタ部83及び外部コネクタ110は、外部コネクタ110が間違った向きでコネクタ部83に差し込まれることを抑制するために互いに係合する誤組付け防止係合部を必ずしも備えなくてもよい。
・上記実施形態では、コネクタ部83は、長手方向X1が厚さ方向となる扁平形状をなしている。しかしながら、コネクタ部83の形状はこれに限らない。コネクタ部83は、回転軸線L1方向から見て、フランジ部63における長手方向X1の一端側に設けられた第1の締結孔65aと短手方向X2に並ぶとともに、長手方向X1にフランジ部63よりも外周側に突出しない形状であればよい。例えば、コネクタ部83は、回転軸線L1方向から見た形状が、長手方向X1の長さと短手方向X2の長さとが等しい四角形状をなすものであってもよい。
・上記実施形態では、外部コネクタ110の係合凸部112と回転軸線L1方向に係合する係合孔94は、コネクタ部83における短手方向X2の端部に設けられている。しかしながら、係合孔94は、コネクタ部83における長手方向X1の端部に設けられてもよい。この場合、外部コネクタ110の係合凸部112は、係合孔94の位置に応じて同係合孔94と回転軸線L1方向に係合可能な位置に設けられる。
・上記実施形態では、外部コネクタ110の係合凸部112と回転軸線L1方向に係合する係合孔94は、コネクタ部83の側壁部92を貫通している。しかしながら、外部コネクタ110の係合凸部112と回転軸線L1方向に係合する係合部は、コネクタ部83の側壁部92に凹設され側壁部92を貫通しない穴状のものであってもよい。
・上記実施形態では、コネクタ部83に係合孔94が設けられ、同係合孔94と回転軸線L1方向に係合する係合凸部112が外部コネクタ110に設けられている。しかしながら、コネクタ部83に係合凸部112が設けられ、当該係合凸部112と回転軸線L1方向に係合する係合孔94もしくは係合凹部が外部コネクタ110に設けられてもよい。
・上記実施形態では、コネクタ部83の係合孔94と外部コネクタ110の係合凸部112とは、スナップフィット係合するものであるが、回転軸線L1方向に係合するのであれば、必ずしもスナップフィット係合するものでなくてもよい。また、コネクタ部83は、係合孔94を備えなくてもよい。この場合、外部コネクタ110は、係合凸部112を備えず、例えば、外部コネクタ110の外周面と側壁部92の内周面との間の摩擦力によりコネクタ部83からの脱落が抑制される。
・上記実施形態では、外部コネクタ110は、側壁部92の内側に内嵌されることによりコネクタ部83に接続される。しかしながら、外部コネクタ110は、側壁部92の外周に外嵌されることによりコネクタ部83に接続されるものであってもよい。即ち、本明細書では、「外部コネクタ110がコネクタ部83に回転軸線L1方向に沿って差し込まれる」とは、外部コネクタ110が回転軸線L1方向に沿ってコネクタ部83に内嵌されることだけでなく、外部コネクタ110が回転軸線L1方向に沿ってコネクタ部83に外嵌されることも含む。
・上記実施形態では、筒状部62は、回転軸線L1と直交する方向の断面形状が、回転子71の径方向の両側で互いに平行をなす一対の平坦部62bと、一対の平坦部62bの間をそれぞれ繋ぐ円弧状の円弧部62cとからなる扁平形状をなしている。しかしながら、筒状部62の形状はこれに限らず、例えば、回転軸線L1と直交する方向の断面形状が、楕円形状をなすことにより扁平形状をなすものであってもよい。
・上記実施形態では、第1の締結孔65aは、フランジ部63の長手方向X1の一端側で第1の範囲A1に設けられ、第2の締結孔65bは、フランジ部63の長手方向X1の他端側で第2の範囲A2に設けられている。そして、第1の締結孔65aと第2の締結孔65bとは、回転軸線L1を挟んでほぼ対角となる位置に設けられている。しかしながら、フランジ部63に設けられる第1及び第2の締結孔65a,65bは、フランジ部63において回転軸線L1を挟んだ長手方向X1の一端側と他端側とにそれぞれ設けられるのであれば、その形成位置は上記実施形態の位置に限らない。例えば、第2の締結孔65bは、回転軸線L1方向から見て、第1の中心線C1を対称軸として第1の締結孔65aと線対称となる位置に設けられてもよい。なお、ハウジングケース100に設けられる第1及び第2のハウジング側締結孔102a,102bの位置は、第1及び第2の締結孔65a,65bの位置に応じて変更すればよい。
・上記実施形態では、フランジ部63は、1つの第1の締結孔65aと1つの第2の締結孔65bとの合計2つの締結孔を有する。しかしながら、フランジ部63が有する締結孔の数は、これに限らない。但し、第1の締結孔65aは、フランジ部63の長手方向X1の一端側に少なくとも1つ設けられ、第2の締結孔65bは、フランジ部63において第1の締結孔65aに対して回転軸線L1を挟んだ長手方向X1の他端側に少なくとも1つ設けられる。例えば、第2の締結孔65bを、フランジ部63の長手方向X1の他端側に複数設けてもよい。
・上記実施形態では、ヨーク61とハウジングケース100とは、第1の締結孔65aに挿通され第1のハウジング側締結孔102aに螺合される第1の螺子103aと、第2の締結孔65bに挿通され第2のハウジング側締結孔102bに螺合される第2の螺子103bとによって連結されている。しかしながら、ヨーク61とハウジングケース100とを連結する締結部材は、これに限らない。例えば、締結部材は、ハウジングケース100と一体に形成され、第1及び第2の締結孔65a,65bにハウジングケース100側から挿通されて先端部がかしめられることによりヨーク61とハウジングケース100とを連結するかしめ突起であってもよい。また例えば、締結部材は、第1の締結孔65a及び第1のハウジング側締結孔102aを貫通するボルト及び当該ボルトに螺合されるナット、並びに、第2の締結孔65b及び第2のハウジング側締結孔102bを貫通するボルト及び当該ボルトに螺合されるナットであってもよい。
・上記実施形態では、電動コラム装置10において、電動チルト式コラム装置20の駆動源となるモータ27と、電動テレスコピック式コラム装置40の駆動源となるモータ48とは、同じ形状のモータである。しかしながら、モータ27とモータ48とは、必ずしも同じ形状でなくてもよい。
・上記実施形態では、回転軸72の先端部にウォーム77が一体回転可能に設けられている。しかしながら、ウォーム77は、回転軸72の先端部に同軸上に且つ一体回転可能に連結され同回転軸72と一体回転するウォーム軸に設けられていてもよい。
・上記実施形態では、モータ27,48は、ウォームホイール31,51を備えない構成となっている。しかしながら、ウォームだけでなくウォームホイールもハウジングケースに収容した構成のモータに上記実施形態を実施してもよい。
・上記実施形態では、モータ27は、電動チルト式コラム装置20の駆動源に用いられ、モータ48は、電動テレスコピック式コラム装置40の駆動源に用いられている。しかしながら、モータ27,48は、それ以外の装置の駆動源に用いられてもよい。
・図15に示すような構成に変更してもよい。同図の例におけるコネクタ部83は、短手方向X2におけるフランジ部63の幅W1内に収められている。詳しくは、短手方向X2において、コネクタ部83の側壁部92における短手方向X2の他方側端部92c(第1の締結孔65aとは反対側の端部)の位置が、フランジ部63の短手方向X2の端縁と重なるように構成されている。
この構成によれば、コネクタ部83が短手方向X2においてもフランジ部63より外周側に突出しない。これにより、ヨーク61の厚さ方向(即ち筒状部62の短手方向X2)にモータ27が厚くなることをより一層抑制でき、その結果、回転軸線L1方向から見たモータ27の投影面積を小さく抑えることができる。
・図16に示す構成では、ブラシホルダ81のコネクタ部140は、外部コネクタ110が挿入される取付口141が軸線L1方向のヨーク61側を向いて構成されている。すなわち、外部コネクタ110は、コネクタ部140に対してヨーク61側から挿入される。外部コネクタ110の複数のリード線142は、コネクタ部140との接続部位からヨーク61側に引き出される。各リード線142は、筒状をなす例えば樹脂製のスリーブ144でまとめて包囲されており、該スリーブ144を介してバンド部材143によってヨーク61(筒状部62)の外周面に対して結束されている。
上記のような構成によれば、コネクタ部140に対する外部コネクタ110の組付性が向上される。具体的には、システムに組み付けられた状態のモータ27(モータ48)に対して外部コネクタ110を組み付けようとするとき、上記実施形態のように、外部コネクタ110をコネクタ部83に対して減速機構側(ハウジングケース100側)から組み付ける構成の場合、ハウジングケース100周辺の減速機構(及びそれに連結された関係部品)が邪魔をして、外部コネクタ110の組み付けが困難となるおそれがある。その点、図16に示すような構成では、コネクタ部140に対して外部コネクタ110をヨーク61側から組み付けることが可能となるため、外部コネクタ110の組付性を向上できる。
また、図16に示す構成では、外部コネクタ110のリード線142がバンド部材143でヨーク61に結束されるため、リード線142のばたつきを抑えることができる。また、バンド部材143の結束位置は、ヨーク61(筒状部62)の軸線L1方向の中央位置C3よりもフランジ部63側の位置に設定されることが好ましい。これによれば、リード線142を屈曲させて例えば軸線L1と直交する方向Bに引き出す際の取り回し性を向上できる。
・図17(a)(b)は、図16に示す構成において、EMC(電磁環境適合性)対策のためのノイズフィルタ145をリード線142に取り付けた構成を示している。図17(a)(b)に示すように、外部コネクタ110から引き出された一部のリード線142aの途中にノイズフィルタ145が取り付けられ、該ノイズフィルタ145は、ノイズフィルタ145が取り付けられていない一部のリード線142bと共にバンド部材143によってヨーク61(筒状部62)の外周面に結束されている。なお、ノイズフィルタ145は、筒状部62の円弧部62cと接触するようにバンド部材143にて固定されており、ノイズフィルタ145における円弧部62cとの接触面145aは、円弧部62cに倣った円弧状をなしている。
このような構成によれば、ノイズフィルタ145を簡素な構成で固定することができる。また、短手方向X2において、ノイズフィルタ145の幅W2はフランジ部63の幅W1よりも小さく設定されている。すなわち、ノイズフィルタ145はフランジ部63の幅W1内に収められている。これにより、ノイズフィルタ145を備えることによるモータ27,48の搭載性の悪化を抑制できる。
なお、図16及び図17(a)(b)に示す構成において、ヨーク61のフランジ部63の端縁に切り欠き部を形成し、該切り欠き部内にコネクタ部140の少なくとも一部が配置される構成としてもよい。
また、図16及び図17(a)(b)に示す構成では、コネクタ部140の取付口141が軸線L1方向のヨーク61側を向いて構成されたが、取付口141の開口方向が軸線L1方向と平行である必要はなく、例えば、取付口141が筒状部62の長手方向X1に沿う方向に向くように構成してもよい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記コネクタ部は、前記長手方向が厚さ方向となる扁平形状をなすとともに、前記回転軸線方向に延び複数の前記コネクタ端子を囲む側壁部を有し、前記側壁部は、前記コネクタ部の厚さ方向の一方側の側面に、前記コネクタ部に前記回転軸線方向に沿って差し込まれる外部コネクタに設けられた第1の誤組付け防止係合部と前記回転軸線方向に凹凸係合する第2の誤組付け防止係合部を有することを特徴とする。
この構成によれば、外部コネクタをコネクタ部の側壁部に差し込む際に、第1の誤組付け防止係合部と第2の誤組付け防止係合部とを回転子の回転軸線方向に凹凸係合させることにより、外部コネクタが間違った向きでコネクタ部に差し込まれることを抑制することができる。
(ロ)前記(イ)に記載のモータにおいて、前記係合部は、前記外部コネクタとスナップフィット係合するものであり、前記側壁部は、前記側壁部の先端から前記回転軸線方向に延び前記コネクタ部の開口部の大きさを変化させるように前記側壁部が弾性変形することが可能なスリットを有し、前記外部コネクタが前記コネクタ部に差し込まれる時に前記係合部と前記外部コネクタとをスナップフィット係合させるために弾性変形するものであり、前記第2の誤組付け防止係合部は、前記第1の誤組付け防止係合部が前記回転軸線方向から挿入される前記スリットであることを特徴とするモータ。
この構成によれば、外部コネクタが間違った向きでコネクタ部に差し込まれることを抑制するための第2の誤組付け防止係合部を、外部コネクタと係合部とをスナップフィット係合させる時に側壁部の弾性変形を許容するためのスリットが兼ねている。従って、スリットとは別に第2の誤組付け防止係合部がコネクタ部に設けられる場合に比べて、コネクタ部の形状が複雑化されることを抑制することができる。
(ハ)前記フランジ部は、前記長手方向の延出量に比べて前記短手方向の延出量が少ないことを特徴とする。
この構成によれば、ヨークハウジングの厚さ方向(即ち筒状部の短手方向)にモータが厚くなることを抑制しやすい。また、フランジ部における筒状部の長手方向の一端側と他端側とにそれぞれ設けられる締結孔を設けやすい。
(ニ)回転子と、前記回転子が内側に配置されたヨークハウジングと、前記回転子と一体回転するウォームを収容するハウジングケースと、前記ヨークハウジングと前記ハウジングケースとの間に配置され、コネクタ部を一体に有するブラシホルダとを備えたモータであって、
前記コネクタ部から引き出されるリード線に設けられたノイズフィルタがバンド部材によって前記ヨークハウジングに結束されていることを特徴とするモータ。
この構成によれば、EMC対策のためのノイズフィルタを簡素な構成で固定することができる。