JP7022639B2 - 流体デバイス用樹脂部材およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、微細な流路を有する流体デバイスに用いられる樹脂部材およびその製造方法に関する。
微細な流路を有するマイクロ流体デバイスを用いると、反応、抽出、分離、測定などの各種操作を、極めて少量の試料で短時間に行うことができる。マイクロ流体デバイスを構成する部材の材料としては、ガラスが一般的である。しかしながら、ガラス製の部材に微細な凹凸を形成するには、フォトリソグラフィおよびドライエッチングなどの工程が必要である。このため、部材の製造に時間がかかり生産性が低い。また、部材がガラス製の場合、焼却による廃棄ができないという問題もある。そこで、ガラスに代わる材料として、微細加工が容易であり、光透過性、耐薬品性に優れるという理由から、シリコーンが注目されている。
特開2006-181407号公報 特開2017-154036号公報 特開2005-227223号公報 特開2006-349557号公報
顕微鏡を用いた光学検査などに用いられるマイクロ流体デバイスは、小型で薄い。このため、デバイスの材料としてシリコーンを用いると、その軟らかさ故に取り扱いが難しい。加えて、シリコーンは粘着性を有する。よって、例えば顕微鏡の試料台にデバイスを設置する際、デバイスのすべり性が悪く試料台に貼り付いてしまうため、位置合わせしにくい。検査終了後においても、試料台との密着性が高いため、デバイスを取り外しにくい。また、試料台とデバイスとの間に気泡が入り込むと、それを取り除くことは難しいため、デバイスが微小変形して顕微鏡の焦点が合わなくなるおそれがある。さらに、シリコーンは帯電しやすいため、空気中の塵埃を吸着しやすいという問題もある。
また、シリコーン製の部材は、ガラス製の部材と比較して、水に対する親和性が低い。このため、流路に親水性の液体を流す場合、流れ性の悪さから、所望の操作を正確に行えないおそれがある。また、部材上に形成された凹部に、捕捉したい成分が入りにくいという問題がある。したがって、シリコーン製の部材を用いる場合、流路に親水性を付与する処理を施すことがある(例えば、特許文献1、2参照)
上述したように、シリコーン製の部材は、その軟らかさ故に取り扱い時(試料台への設置時、取り外し時など)に変形しやすい。したがって、シリコーン製の部材に表面処理を施して、親水性層などのバリア層を形成した場合、変形によりバリア層にクラックや割れが生じてしまい、所望の効果を発揮させることができないおそれがある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、シリコーン以外の樹脂を用い、取り扱い性に優れた流体デバイス用樹脂部材を提供することを課題とする。また、当該流体デバイス用樹脂部材を容易に製造することができる製造方法を提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の流体デバイス用樹脂部材(以下、単に「本発明の樹脂部材」と称す場合がある)は、オレフィン樹脂またはアクリル樹脂製の一体物であり、一面に流体の一部を捕捉するための凹部とそれ以外の流路部とからなる流路区画部を有する基材と、該基材の該凹部の少なくとも一部に配置される第一バリア層と、該基材の該流路部に配置される第二バリア層と、を有し、該第一バリア層の最表層と該第二バリア層の最表層とは、水との親和性が異なることを特徴とする。
(2)上記課題を解決するため、本発明の流体デバイス用樹脂部材の第一の製造方法(以下、単に「本発明の第一の製造方法」と称す場合がある)は、本発明の樹脂部材の製造方法の第一例であって、一面に凹部を有するオレフィン樹脂またはアクリル樹脂製の基材において、該一面全体に疎水性層をプラズマCVD法により形成する疎水性層形成工程と、該凹部以外の該疎水性層の表面に親水性層を形成する親水性層形成工程と、を有することを特徴とする。
(3)上記課題を解決するため、本発明の流体デバイス用樹脂部材の第二の製造方法(以下、単に「本発明の第二の製造方法」と称す場合がある)は、本発明の樹脂部材の製造方法の第二例であって、一面に凹部を有するオレフィン樹脂またはアクリル樹脂製の基材において、該一面全体に親水性層をプラズマCVD法により形成する親水性層形成工程と、該凹部以外の該親水性層の表面に疎水性層を形成する疎水性層形成工程と、を有することを特徴とする。
(1)本発明の流体デバイス用樹脂部材においては、基材がオレフィン樹脂またはアクリル樹脂からなる。オレフィン樹脂は、自家蛍光性を有しない。アクリル樹脂は、自家蛍光性を若干有するものの、他の光透過性樹脂と比較して弱い。このため、基材の下側(流路区画部を有する一面とは反対側)から光を照射して、凹部における極めて弱い発光を観察する光学検査などに適している。さらに、アクリル樹脂は、安価で微細加工が容易であるという利点を有する。
また、基材がシリコーンからなる場合と比較して、基材の剛性が大きくなり、形状保持性が高くなる。したがって、本発明の流体デバイス用樹脂部材は、扱いやすい。例えば、本発明の流体デバイス用樹脂部材を顕微鏡の試料台に設置する場合、基材がシリコーン製である場合と比較して、部材のすべり性が良くなるため、位置合わせがしやすい。また、検査などの操作終了後においても、試料台から流体デバイス用樹脂部材を取り外しやすい。仮に、試料台と流体デバイス用樹脂部材との間に気泡が入り込んでも、流体デバイス用樹脂部材と試料台との密着力が小さいため、気泡を取り除くことはそれほど難しくない。また、オレフィン樹脂またはアクリル樹脂製の基材は、シリコーン製の基材と比較して、すべり性が良いため、空気中の塵埃が基材に付着しても取れやすい。
また、基材の凹部の少なくとも一部には第一バリア層が配置され、流路部には第二バリア層が配置される。第一バリア層の最表層と第二バリア層の最表層とは、水との親和性が異なる。「水との親和性が異なる」とは、水接触角が異なることを意味する。水接触角の差は10°以上であることが望ましい。例えば一方が親水性を有し、他方が疎水性を有する状態が挙げられる。
例えば、第一バリア層(凹部)の最表層に親水性層が配置され、第二バリア層(流路部)の最表層に疎水性層が配置されると、親水性の液体を流した場合の凹部における流れ性が向上すると共に、捕捉したい成分を凹部以外に付着させることなく確実に捕捉することができる。これにより、試料のロスを少なくし、分析精度を向上させることができる。
他方、第一バリア層(凹部)の最表層に疎水性層が配置され、第二バリア層(流路部)の最表層に親水性層が配置されると、オイル、有機溶剤などの疎水性の液体を流した場合に、当該液体と基材との直接的な接触が第一、第二バリア層により回避され、当該液体の基材への染み込みが抑制される。これにより、基材の膨潤が抑制され、凹部の大きさが変化しにくい。加えて、流路部に疎水性の流体が残留しにくくなるため、疎水性の流体に含まれる捕捉対象物を流路部に付着させることなく、凹部に漏れなく捕捉することができる。
このように、凹部と流路部とに水との親和性が異なるバリア層を配置することにより、用途に応じて分析精度や回収率などを向上させることができる。本明細書においては、JIS R3257:1999に準じて測定された水接触角が80°未満の場合を親水性、80°以上の場合を疎水性と定義する。
本発明の流体デバイス用樹脂部材は、基材がシリコーンからなる場合と比較して、剛性が大きく、形状保持性が高い。すなわち、取り扱い時に変形しにくいため、第一バリア層および第二バリア層を配置しても、これらにクラック、割れなどが生じにくい。したがって、第一、第二バリア層の所望の効果を充分に発揮させることができる。
ちなみに、特許文献3には、環状オレフィン樹脂製の検査素子用チップ基板が記載されている。しかし、当該チップ基板の流路形成面は、樹脂そのものからなりバリア層を有しない。このため、使用する液体の種類により、液体の流れ性が悪い、基板が膨潤、変形するなどの問題が生じる。特許文献4には、シクロオレフィン系樹脂などからなる基板と、ウェル状反応部と、を有する検出チップが記載されている。当該検出チップのウェル状反応部の内面には、試薬充填時の気泡の混入を抑制するという観点から、純水との接触角が100°以上になるような表面処理が施されている。すなわち、ウェル状反応部の内面は疎水性を有する。しかし、特許文献4に記載されている検出チップにおいては、ウェル状反応部以外の部分は樹脂そのものが露出している。このため、例えば基板が疎水性のオレフィン樹脂からなる場合には、親水性溶液を流した場合に流れ性が悪く、凹部に捕捉したい成分が入りにくいという問題が生じる。
(2)本発明の第一の製造方法においては、まず、凹部が形成されている基材の一面をプラズマCVD(化学気相蒸着)法により処理することで、一面全体に疎水性層を形成する。次に、凹部以外の部分(流路部を含む部分)に形成された疎水性層の表面に親水性層を形成する。こうすることにより、凹部全体が疎水性層(第一バリア層)で被覆され、流路部が疎水性層および親水性層(第二バリア層)で被覆され、流路部の最表層が親水性層である形態の本発明の流体デバイス用樹脂部材を、容易に製造することができる。
(3)本発明の第二の製造方法においては、まず、凹部が形成されている基材の一面をプラズマCVD法により処理することで、一面全体に親水性層を形成する。次に、凹部以外の部分(流路部を含む部分)に形成された親水性層の表面に疎水性層を形成する。こうすることにより、凹部全体が親水性層(第一バリア層)で被覆され、流路部が親水性層および疎水性層(第二バリア層)で被覆され、流路部の最表層が疎水性層である形態の本発明の流体デバイス用樹脂部材を、容易に製造することができる。
第一実施形態の流体デバイス用樹脂部材を備える流体デバイスの透過上面図である。 同流体デバイスのII-II断面図である。 同流体デバイスのIII-III断面図である。 流体デバイスの下側部材の製造における改質工程の概略図である。 同下側部材の製造における疎水性層形成工程の概略図である。 同下側部材の製造における親水性層形成工程の概略図である。 流体デバイスの製造における積層工程の概略図である。 第二実施形態の流体デバイスの下側部材の製造における疎水性層形成工程の概略図である。 同下側部材の製造におけるマスキング工程のうちの平坦化工程の概略図である。 同マスキング工程のうちの露出工程の概略図である。 同下側部材の製造における親水性層形成工程の概略図である。 第三実施形態の流体デバイス用樹脂部材を備える流体デバイスの左右方向断面図である。 同流体デバイスの下側部材の製造における親水性層形成工程の概略図である。 同流体デバイスの下側部材の製造における疎水性層形成工程の概略図である。
以下、本発明の流体デバイス用樹脂部材およびその製造方法の実施の形態を説明する。
<第一実施形態>
[流体デバイス用樹脂部材の構成]
まず、第一実施形態の流体デバイス用樹脂部材(以下の実施形態において、単に「樹脂部材」と称す場合がある)の構成を説明する。図1に、第一実施形態の樹脂部材を備える流体デバイスの透過上面図を示す。図2に、同流体デバイスのII-II断面図を示す。図3に、同流体デバイスのIII-III断面図を示す。以下の実施形態において、流体デバイス用樹脂部材は、流体デバイスの下側部材として具現化されている。以下の図においては、上下方向が流体デバイスの厚さ方向に対応している。
図1~図3に示すように、流体デバイス1は、上側部材10と、下側部材20と、を有している。上側部材10と下側部材20とは上下方向に積層されている。上側部材10と下側部材20との間には、流路11が区画されている。
上側部材10は、上側基材12と、親水性層13と、を有している。上側基材12は、シリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン(PDMS))製であり、長方形板状を呈している。上側基材12の下面には、上側凹部14が形成されている。上側基材12の前端部中央には、上側基材12を上下方向に貫通する導入孔15が穿設されている。流路11の上流端は、導入孔15と連通している。流路11の下流端には、後面に開口する排出口16が配置されている。親水性層13は、導入孔15の内周面を含めて上側基材12の下面全体に配置されている。親水性層13は、有機成分を含むケイ素酸化物膜である。
下側部材20は、下側基材21と、第一バリア層26と、第二バリア層27と、を有している。下側基材21の厚さは500μmである。下側基材21は、環状オレフィン樹脂製であり、長方形板状を呈している。下側基材21の上面210は、上側部材10との間に流路11を区画する流路区画部211を有している。上面210の中央付近には、7本の溝状の下側凹部24が形成されている。下側凹部24は、各々、左右方向に延びる直線状を呈している。下側凹部24は、各々、前後方向に所定の間隔で離間して平行に配置されている。下側凹部24の上下方向断面は矩形状を呈している。流路区画部211は、下側凹部24と、それ以外の流路部25と、からなる。下側凹部24は、流路11を流れる流体の一部を捕捉する。第一バリア層26は、下側凹部24の全体に配置されている。第二バリア層27は、流路部25に配置されている。
下側凹部24を含む下側基材21の上面210全体には、疎水性層22が配置されている。疎水性層22は、フッ化炭素膜である。疎水性層22の上面には、親水性層23が配置されている。親水性層23は、下側凹部24以外の領域に配置されている。親水性層23は、ケイ素酸化物膜である。すなわち、下側凹部24の表面は疎水性層22により被覆され、流路部25の表面は疎水性層22および親水性層23により被覆されている。下側部材20において、第一バリア層26は疎水性層22であり、第二バリア層27は疎水性層22および親水性層23の積層体である。第二バリア層27の最表層は、親水性層23である。
[流体デバイス用樹脂部材の製造方法]
次に、流体デバイス1の製造方法を説明しながら、本実施形態の樹脂部材(下側部材)の製造方法を説明する。本実施形態の樹脂部材の製造方法は、本発明の第一の製造方法に対応している。図4に、流体デバイスの下側部材の製造における改質工程を示す。図5に、同下側部材の製造における疎水性層形成工程を示す。図6に、同下側部材の製造における親水性層形成工程を示す。図7に、流体デバイスの製造における上側部材と下側部材との積層工程を示す。
図4に示すように、改質工程においては、下側凹部24を有する下側基材21の上面210に、アルゴンガス雰囲気中でマイクロ波プラズマPを照射して、改質処理を行う。改質処理により、上面210に水酸基が付与される。
図5に示すように、疎水性層形成工程においては、改質処理された上面210に、フッ化炭素ガスを含む雰囲気中でマイクロ波プラズマPを照射して、フッ化炭素膜を形成する。これにより、下側凹部24を含む上面210全体に疎水性層22が形成される。
図6に示すように、親水性層形成工程においては、下側基材21を反転させて、下側基材21の疎水性層22側をスタンプ部材50に押しつける。スタンプ部材50には、予めポリシラザンを含む液体(ポリシラザン液)500が含浸されている。これにより、下側凹部24以外の疎水性層22の表面に、ポリシラザン液500が付着する。その後、付着したポリシラザン液500を乾燥させて、下側凹部24以外の疎水性層22の表面に、親水性層23としてのケイ素酸化物膜を形成する。このようにして、後出の図7に示すように、下側基材21に疎水性層22と親水性層23とが配置された下側部材20が製造される。
これとは別に、上側基材12の下面全体に、テトラエトキシシラン(TEOS)ガスを含む雰囲気中でマイクロ波プラズマを照射して、有機成分を含むケイ素酸化物膜(親水性層13)を形成しておく。そして、図7中、白抜き矢印で示すように、積層工程において、下側部材20に上側部材10を重ね合わせて、前出図2に示す流体デバイス1が製造される。
[作用効果]
次に、本実施形態の樹脂部材およびその製造方法の作用効果を説明する。本実施形態の流体デバイス1において、導入孔15から注入された流体は、流路11を流れて排出口16から排出される。例えば、有機溶媒に粒子が分散されている疎水性のサンプル液を流体デバイス1に流した場合、サンプル液と下側基材21との直接的な接触は、第一バリア層26および第二バリア層27により回避される。このため、下側基材21にサンプル液が染み込みにくく、下側基材21の膨潤が抑制される。したがって、下側基材21の変形が抑制され、下側凹部24の大きさが変化しにくい。また、下側凹部24は疎水性層22(第一バリア層26)で被覆され、流路部25の最表層は親水性層23(第二バリア層27)である。さらに、流路11を形成する上側基材12の下面全体にも親水性層13が配置される。流路11における下側凹部24以外の部分は全て親水性を有するため、下側凹部24以外の部分に疎水性のサンプル液が付着、残留しにくい。したがって、サンプル液中の所望の粒子を下側凹部24に漏れなく捕捉することができる。
下側基材21は、ポリプロピレン樹脂(オレフィン樹脂)からなる。オレフィン樹脂は、自家蛍光性を有しないため、下側部材20の下方から光を照射して、下側凹部24における極めて弱い発光を観察する光学検査などに適している。また、基材がシリコーンからなる場合と比較して、基材の剛性が大きくなり、形状保持性が高くなる。このため、下側部材20の取り扱い性が向上する。
下側部材20は、取り扱い時に変形しにくいため、第一バリア層26および第二バリア層27を配置しても、これらにクラック、割れなどが生じにくい。したがって、水との親和性が異なる第一バリア層26、第二バリア層27の効果を充分に発揮させることができる。また、流体デバイス1を下側部材20側を下にして顕微鏡の試料台に設置すると、基材がシリコーンからなる場合と比較して、下側部材20のすべり性が良好であるため、位置合わせがしやすい。検査などの操作終了後においても、試料台から流体デバイス1を取り外しやすい。仮に、試料台と下側部材20との間に気泡が入り込んでも、試料台との密着力が小さいため、気泡を取り除くことはそれほど難しくない。また、下側基材21は、シリコーン製の基材と比較してすべり性が良いため、空気中の塵埃が下側基材21に付着しても取れやすい。
本実施形態の樹脂部材(下側部材)の製造方法においては、疎水性層22を形成する前に、下側基材21の上面210を改質処理した。これにより、下側基材21と疎水性層22との接着性を高めることができる。また、疎水性層22を、マイクロ波プラズマを用いたプラズマCVD法により形成した。マイクロ波プラズマを用いると、成膜速度が大きいため生産性が高い。また、下側基材21へのプラズマダメージも少ない。
本実施形態の製造方法においては、親水性層23を形成する際に、ポリシラザン液500を疎水性層22の表面に転写させる転写法を採用した。これにより、下側凹部24以外の部分に容易に親水性層23を形成することができる。このように、本実施形態の製造方法によると、下側凹部24の全体が疎水性層22で被覆され、流路部25が疎水性層22および親水性層23で被覆され、流路部25の最表層が親水性層23である形態の下側部材20を、容易に製造することができる。
<第二実施形態>
第一実施形態の流体デバイスと、本実施形態の流体デバイスと、の相違点は、下側部材(流体デバイス用樹脂部材)における疎水性層および親水性層の材質とその形成方法である。よって、ここでは相違点についてのみ説明する。本実施形態の下側部材の構成は、第一実施形態の下側部材の構成と同じである。よって、各部材の符号は、前出図2に対応している。
本実施形態において、疎水性層22と親水性層23とは、いずれも有機成分を含むケイ素酸化物膜である。両者は、含まれる炭素量が異なるため、水との親和性が異なる。疎水性層22の水接触角は80°であり、炭素含有量は、疎水性層22のX線光電子分光測定により得られるSi原子、O原子、C原子の合計原子数を100%とした場合の65%である。親水性層23の水接触角は70°であり、炭素含有量は、親水性層23のX線光電子分光測定により得られるSi原子、O原子、C原子の合計原子数を100%とした場合の9%である。
次に、本実施形態の樹脂部材(下側部材)の製造方法を説明する。本実施形態の樹脂部材の製造方法は、本発明の第一の製造方法に対応している。図8に、本実施形態の下側部材の製造における疎水性層形成工程を示す。図9Aに、同下側部材の製造におけるマスキング工程のうちの平坦化工程を示す。図9Bに、同マスキング工程のうちの露出工程を示す。図10に、同下側部材の製造における親水性層形成工程を示す。
まず、前出図4に示すように、下側凹部24を有する下側基材21の上面210に、アルゴンガス雰囲気中でマイクロ波プラズマPを照射して、改質処理を行う(改質工程)。
続く疎水性層形成工程においては、図8に示すように、改質処理された上面210に、アルゴンとヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とを含むガス雰囲気中でマイクロ波プラズマPを照射して、有機成分を含むケイ素酸化物膜を形成する。これにより、下側凹部24を含む上面210全体に疎水性層22が形成される。
続くマスキング工程は、平坦化工程と露出工程とを有している。図9Aに示すように、平坦化工程においては、下側基材21の疎水性層22の上からフォトレジスト51を塗布して、全体の表面を平坦化する。図9Bに示すように、露出工程においては、酸素を含むガス雰囲気中でフォトレジスト51に覆われた表面にプラズマを照射して、下側凹部24以外の部分に塗布されたフォトレジスト51を除去する。この際、同じ厚さだけ下側凹部24に塗布されたフォトレジスト51も除去される。これにより、下側凹部24のみをフォトレジスト51によりマスキングし、それ以外の疎水性層22aを露出させる。
そして、図10に示すように、親水性層形成工程においては、下側基材21の表面に、酸素ガス雰囲気中でマイクロ波プラズマPを照射して、改質処理を行うことにより、疎水性層22aの表面に親水性層23を形成する。それから、下側凹部24に残っているフォトレジスト51を、洗浄液を用いて、または酸素を含むガス雰囲気中でプラズマを照射して除去する。このようにして、下側基材21に疎水性層22と親水性層23とが配置された下側部材20が製造される(前出図2参照)。
次に、本実施形態の樹脂部材およびその製造方法の作用効果を説明する。本実施形態の下側部材20が有する疎水性層22と親水性層23とは、いずれも有機成分を含むケイ素酸化物膜である。有機成分を含むケイ素酸化物膜の場合、炭素の含有量により、水との親和性および層の硬さを調整することができる。炭素含有量が多いと、軟らかな層になる。これにより、基材との親和性が良くなり、密着性が向上する。反対に、炭素含有量が少ないと、非晶質に近い硬い層にする。これにより、液体の染み込みを抑制する効果が高くなる。本実施形態においては、疎水性層22の炭素含有量は親水性層23のそれより多い。よって、疎水性層22と親水性層23とが積層されてなる第二バリア層27においては、下側基材21に対する密着性向上効果と、疎水性の液体の染み込み抑制効果と、の両方が実現されている。また、疎水性層22および親水性層23の両方を、プラズマCVD法により形成することができるため、下側部材20を容易に製造することができる。
<第三実施形態>
第一実施形態の流体デバイスと、本実施形態の流体デバイスと、の相違点は、下側部材(流体デバイス用樹脂部材)における疎水性層および親水性層の材質、配置形態、およびその形成方法である。よって、ここでは相違点についてのみ説明する。
まず、本実施形態の樹脂部材の構成を説明する。図11に、第三実施形態の樹脂部材を備える流体デバイスの左右方向断面図を示す。図11は、前出図2に対応している。図11中、図2と対応する部位については同じ符号で示す。
図11に示すように、下側部材20は、下側基材21と、第一バリア層26と、第二バリア層27と、を有している。下側基材21の上面210は、上側部材10との間に流路11を区画する流路区画部211を有している。流路区画部211は、下側凹部24と、それ以外の流路部25と、からなる。第一バリア層26は、下側凹部24の全体に配置されている。第二バリア層27は、流路部25に配置されている。
下側凹部24を含む下側基材21の上面210全体には、親水性層28が配置されている。親水性層28は、有機成分を含むケイ素酸化物膜である。親水性層28の上面には、疎水性層29が配置されている。疎水性層29は、下側凹部24以外の領域に配置されている。疎水性層29は、フッ素樹脂膜である。すなわち、下側凹部24の表面は親水性層28により被覆され、流路部25の表面は親水性層28および疎水性層29により被覆されている。下側部材20において、第一バリア層26は親水性層28であり、第二バリア層27は親水性層28および疎水性層29の積層体である。第二バリア層27の最表層は、疎水性層29である。
次に、本実施形態の樹脂部材(下側部材)の製造方法を説明する。本実施形態の樹脂部材の製造方法は、本発明の第二の製造方法に対応している。図12に、本実施形態の下側部材の製造における親水性層形成工程を示す。図13に、同下側部材の製造における疎水性層形成工程を示す。
まず、前出図4に示すように、下側凹部24を有する下側基材21の上面210に、アルゴンガス雰囲気中でマイクロ波プラズマPを照射して、改質処理を行う(改質工程)。
続く親水性層形成工程においては、図12に示すように、改質処理された上面210に、アルゴンとテトラエトキシシラン(TEOS)とを含むガス雰囲気中でマイクロ波プラズマPを照射して、有機成分を含むケイ素酸化物膜を形成する。これにより、下側凹部24を含む上面210全体に親水性層28が形成される。
そして、図13に示すように、親水性層形成工程においては、下側基材21を反転させて、下側基材21の親水性層28側をスタンプ部材52に押しつける。スタンプ部材52には、予めフッ素樹脂液520が含浸されている。これにより、下側凹部24以外の親水性層28の表面に、フッ素樹脂液520が付着する。その後、付着したフッ素樹脂液520を乾燥させて、下側凹部24以外の親水性層28の表面に、疎水性層29としてのフッ素樹脂膜を形成する。このようにして、前出の図11に示すように、下側基材21に親水性層28と疎水性層29とが配置された下側部材20が製造される。
次に、本実施形態の樹脂部材およびその製造方法の作用効果を説明する。本実施形態の下側部材20によると、下側凹部24は親水性層28(第一バリア層26)で被覆され、流路部25の最表層は疎水性層29(第二バリア層27)である。さらに、流路11を形成する上側基材12の下面全体にも親水性層13が配置される。流路11における下側凹部24が親水性を有するため、親水性のサンプル液を流した場合の流れ性は良好である。他方、流路部25は疎水性を有するため、親水性のサンプル液が付着しにくい。よって、捕捉したい成分を流路部25に付着させることなく、下側凹部24に捕捉することができる。これにより、試料のロスを少なくし、分析精度を向上させることができる。
本実施形態の製造方法においては、親水性層28を形成する前に、下側基材21の上面210を改質処理した。これにより、下側基材21と親水性層28との接着性を高めることができる。また、親水性層28を、マイクロ波プラズマを用いたプラズマCVD法により形成した。マイクロ波プラズマを用いると、成膜速度が大きいため生産性が高い。また、下側基材21へのプラズマダメージも少ない。また、疎水性層29を形成する際に、フッ素樹脂液520を親水性層28の表面に転写させる転写法を採用した。これにより、下側凹部24以外の部分に容易に疎水性層29を形成することができる。このように、本実施形態の製造方法によると、下側凹部24の全体が親水性層28で被覆され、流路部25が親水性層28および疎水性層29で被覆され、流路部25の最表層が疎水性層29である形態の下側部材20を、容易に製造することができる。
<その他の形態>
以上、本発明の流体デバイス用樹脂部材およびその製造方法の実施の形態を示したが、本発明の樹脂部材を備える流体デバイスの構成は、上記形態に限定されない。例えば、本発明の樹脂部材に積層される相手部材の材質は、PDMSなどのシリコーンの他、フッ素樹脂、ガラスなどでもよい。相手部材の形状、大きさなども何ら限定されない。本発明の樹脂部材と相手部材とは、単に積層させるだけでもよいが、接着剤などを用いて接着してもよい。
また、本発明の樹脂部材およびその製造方法は、上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。次に、本発明の樹脂部材およびその製造方法について詳しく説明する。
[流体デバイス用樹脂部材]
本発明の樹脂部材を構成する基材は、オレフィン樹脂またはアクリル樹脂製の一体物である。例えば、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂などが好適である。
基材の一面は、流路を区画する流路区画部を有する。流路区画部は、流体の一部を捕捉するための凹部とそれ以外の流路部とからなる。流路は本体部のみで形成されても、本体部と相手部材とにより形成されてもよい。流路を流れる流体は、疎水性でも親水性でもよい。凹部に捕捉される流体の一部は、流体そのものの一部でもよく、流体に含まれている特定の物質のみでもよい。
凹部の大きさ、形状、配置形態は、特に限定されない。例えば、凹部は、溝状でも窪み状でもよい。凹部の深さ方向の断面は、正方形、長方形、台形などの矩形状、半円、楕円などの曲面状、V字状などであればよい。
第一バリア層は、流路区画部の凹部の少なくとも一部に配置され、第二バリア層は、流路区画部の流路部に配置される。第一バリア層と第二バリア層とは、最表層における水との親和性が異なれば、親水性層または疎水性層の一層でも、これらの積層体であってもよい。第一バリア層および第二バリア層は、改質により形成されたものでもよく、成膜されたものでもよい。
例えば、疎水性層を改質により形成する場合、炭素および水素を含むガス雰囲気中でのプラズマの照射、エキシマ光の照射、短時間パルス過熱による極表面アニールなどを用いて、改質対象の表面を炭化水素改質することにより、表面にフェニル基(-C)、メチル基(-CH)などの疎水性の官能基を付与すればよい。疎水性層を成膜する場合、フッ化炭素膜、フッ素樹脂膜、有機成分を含む金属酸化物膜などを形成すればよい。金属酸化物としては、ケイ素酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、亜鉛酸化物などが挙げられる。この場合、膜は単分子膜でもよい。用途により、疎水性層は、疎水性に加えて撥油性などを有してもよい。
親水性層を改質により形成する場合、疎水性層と同様に、プラズマの照射などにより、改質対象の表面に水酸基、アミノ基、C-N結合、C=O結合、アミド結合(O=C-N)などを付与すればよい。親水性層を成膜する場合、金属酸化物膜、有機成分を含む金属酸化物膜などを形成すればよい。金属酸化物としては、上記同様、ケイ素酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、亜鉛酸化物などが挙げられる。この場合、膜は単分子膜でもよい。
例えば、第一バリア層および第二バリア層の両方を、有機成分を含む金属酸化物膜で構成し、層ごとに炭素含有量を変化させることにより、水との親和性を変えてもよい。炭素含有量を変化させることにより、バリア層の硬さを調整することもできる。上記第二実施形態のように、バリア層を積層構造にして、基材に接する層の炭素含有量を多くして密着性を高めてもよい。
第一バリア層または第二バリア層が配置される基材の表面は、予め改質処理されていることが望ましい。改質処理は、大気圧下または真空下におけるプラズマの照射、エキシマ光の照射、紫外線の照射、シランカップリング剤の塗布などにより行えばよい。プラズマ照射を採用する場合、プラズマの発生方法は、特に限定されない。例えば、高周波(RF)電源を用いたRFプラズマや、マイクロ波電源を用いたマイクロ波プラズマなどを採用すればよい。プラズマの照射は、アルゴンなどの希ガス雰囲気中、または酸素を含むガス雰囲気中で行うとよい。
流体デバイス用樹脂部材の厚さは、用途により適宜決定すればよい。例えば、顕微鏡を用いた光学検査などに用いる場合には、1mm以下、750μm以下、さらには500μm以下であることが望ましい。
[流体デバイス用樹脂部材の製造方法]
(1)本発明の第一の製造方法は、第一バリア層の最表層が疎水性層であり、第二バリア層の最表層が親水性層である本発明の樹脂部材の製造方法の一例であって、疎水性層形成工程と、親水性層形成工程と、を有する。
(1-1)疎水性層形成工程
本工程は、一面に凹部を有するオレフィン樹脂またはアクリル樹脂製の基材において、該一面全体に疎水性層をプラズマCVD法により形成する工程である。一面に凹部を有する基材は、樹脂材料の射出成形などにより製造すればよい。また、基材を成形した後、レーザー描画、フォトリソグラフィを用いたエッチング、マイクロビーズブラスト、ナノインプリントなどにより一面を加工して、凹部を形成してもよい。
プラズマCVD法においては、真空容器内に、原料ガスおよびキャリアガスを供給して所定のガス雰囲気を形成した後、プラズマを発生させて成膜を行う。原料ガスは、膜の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、フッ化炭素膜を形成する場合には、C(x、yは任意の整数)ガスを用いればよい。Cは、水素原子(H)またはフッ素以外のハロゲン原子を含んでいてもよい。具体的には、CHF、CH、CHF、CF、C、Cなどのガスを用いればよい。有機成分を含む金属酸化物膜を形成する場合には、HMDSO、TEOS、オルトチタン酸テトライソプロピル(TTIP)、チタン酸テトラエチル、チタン酸イソプロピルなどのガスを単独、または酸素(O)ガスと混合して用いればよい。キャリガスとしては、アルゴン(Ar)、ヘリウムなどの希ガスや窒素などが挙げられる。成膜する際の圧力は、0.1~100Pa程度にすればよい。
プラズマの発生方法は、特に限定されない。例えば、RFプラズマや、マイクロ波プラズマなどを採用すればよい。なかでも、マイクロ波プラズマは、プラズマ密度が大きく成膜速度が大きいため生産性が高い、プラズマダメージが少なく薄膜の形成に適している、などの理由から好適である。マイクロ波の周波数は、特に限定されない。8.35GHz、2.45GHz、1.98GHz、915MHzなどが挙げられる。
(1-2)親水性層形成工程
本工程は、凹部以外の疎水性層の表面に親水性層を形成する工程である。親水性層の形成方法は特に限定されない。例えば、疎水性層の表面を改質したり、表面に親水性の膜を形成すればよい。改質する場合には、例えば酸素を含むガス雰囲気中でプラズマを照射して、疎水性層の表面に親水性の官能基を付与すればよい。成膜する場合には、転写法、プラズマCVD法などを用いればよい。前者の場合、疎水性層の表面を、成膜材料を含む液を保持する部材に押し当てて、当該液を疎水性層の表面に転写させる。後者の場合、例えばTEOSガスなどを含む雰囲気中でマイクロ波プラズマを照射すると、有機成分を含むケイ素酸化物膜を形成することができる。
(1-3)改質工程
本発明の第一の製造方法は、疎水性層形成工程の前に、基材の一面を改質処理する改質工程を含むことができる。改質工程は必ずしも必要ではないが、基材の一面を改質処理しておくことにより、基材と疎水性層との接着性が向上する。改質処理は、上述したように、大気圧下または真空下におけるプラズマの照射、エキシマ光の照射、紫外線の照射、シランカップリング剤の塗布などにより行えばよい。なかでも、短時間の処理で効果が得られ、基材に熱ダメージを与えにくい、廃液処理や乾燥の必要がないという観点から、アルゴンなどの希ガス雰囲気中、または酸素を含むガス雰囲気中で行う真空マイクロ波プラズマ処理が望ましい。これにより、基材の表面に容易に水酸基を付与することができる。また、例えばロール状に巻きつけられた連続フィルム状の基材を用いる場合などで広く用いられている技術を適用して、生産効率を高めるという観点では、シランカップリング剤の塗布が望ましい。
(2)本発明の第二の製造方法は、第一バリア層の最表層が親水性層であり、第二バリア層の最表層が疎水性層である本発明の樹脂部材の製造方法の一例であって、親水性層形成工程と、疎水性層形成工程と、を有する。
(2-1)親水性層形成工程
本工程は、一面に凹部を有するオレフィン樹脂またはアクリル樹脂製の基材において、該一面全体に親水性層をプラズマCVD法により形成する工程である。基材の製造方法、プラズマCVD法については、上記第一の製造方法と同じである。
プラズマCVD法において使用する原料ガスは、膜の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、有機成分を含む金属酸化物膜を形成する場合には、HMDSO、TEOS、TTIP、チタン酸テトラエチル、チタン酸イソプロピルなどのガスを単独、または酸素ガスと混合して用いればよい。キャリガスとしては、アルゴン、ヘリウムなどの希ガスや窒素などが挙げられる。成膜する際の圧力は、1~100Pa程度にすればよい。
(2-2)疎水性層形成工程
本工程は、凹部以外の親水性層の表面に疎水性層を形成する工程である。疎水性層の形成方法は、特に限定されない。例えば、親水性層の表面を改質したり、表面に疎水性の膜を形成すればよい。改質する場合には、例えば、炭素および水素を含むガス雰囲気中でのプラズマの照射、エキシマ光の照射、短時間パルス過熱による極表面アニールなどを用いて、親水性層の表面を炭化水素改質することにより、表面にフェニル基(-C)、メチル基(-CH)などの疎水性の官能基を付与すればよい。成膜する場合、転写法、プラズマCVD法などを用いて、フッ化炭素膜、フッ素樹脂膜、有機成分を含む金属酸化物膜などを形成すればよい。金属酸化物としては、ケイ素酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、亜鉛酸化物などが挙げられる。
(2-3)改質工程
本発明の第二の製造方法は、上記第一の製造方法と同様に、親水性層形成工程の前に、基材の一面を改質処理する改質工程を含むことができる。改質工程は必ずしも必要ではないが、基材の一面を改質処理しておくことにより、基材と親水性層との接着性が向上する。改質処理は、上記第一の製造方法と同じように行えばよい。
(3)本発明の樹脂部材は、本発明の第一の製造方法および第二の製造方法以外の方法でも製造することができる。例えば、疎水性層および親水性層は、スパッタ法や真空蒸着などの乾式処理、またはスプレーコーティング、ディップ処理などの湿式処理など、種々の方法により形成することができる。スプレーコーティングなどの湿式処理によると、薄膜化のために、コーティング材料に有機溶剤を加えて希釈することが必要になる。この際、有機溶剤が染み込んで基材が膨潤したり、基材が有機溶剤に溶解して変形するおそれがある。よって、乾式処理による形成が望ましい。なかでも、膜組成の調整が行いやすく、製造が容易であることから、プラズマCVD法がより望ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<樹脂部材の製造>
[実施例1~5]
基材の材質を変えて、上記第一実施形態の下側部材(樹脂部材)を製造した。下側部材の厚さは500μm、前後方向長さは50mm、左右方向長さは10mmである。下側凹部の前後方向長さ(幅)は6μm、左右方向長さは5mm、深さは10μm、凹部と凹部との間隔は10μmである(図1参照)。なお、下側部材の寸法は、以下の実施例6、7および比較例1、2についても同じである。
まず、後出の表1に示す樹脂材料を射出成形して、上面に所定の下側凹部を有する板状の下側基材を製造した。次に、下側基材の上面に、表1に示す改質処理を施した(実施例4については、改質処理を施さなかった)。改質処理のうち、プラズマ処理は以下の(1)~(3)の手順で行った。(1)下側基材を真空容器内に配置して、内部を0.5Pa以下の減圧状態にした。(2)真空容器内にArガスを供給して、圧力6PaのArガス雰囲気を形成した。(3)周波数2.45GHz、出力電力0.75kWにてマイクロ波プラズマを発生させて、25秒間照射した。改質処理のうち、シランカップリング剤処理は、下側基材の上面に、シランカップリング剤水溶液を塗布し、80℃で乾燥して行った。
続いて、下側基材の改質処理後の上面全体に、プラズマCVD法によりフッ化炭素膜を形成した。プラズマCVDは、以下の(a)~(c)の手順で行った。(a)下側基材を真空容器内に配置して、内部を0.5Pa以下の減圧状態にした。(b)真空容器内にArガスおよびCガスを供給して、合計圧力6Paの混合ガス雰囲気を形成した。(c)周波数2.45GHz、出力電力0.75kWにてマイクロ波プラズマを発生させて、25秒間照射した。このようにして、下側基材の上面全体に、フッ化炭素膜からなる疎水性層を形成した。疎水性層の厚さは75nmであった。
次に、厚さ0.2mmの板状のメラミンフォーム製のスタンプ部材に、ポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製「アクアミカ(登録商標)NAX120-20」)を含む液体1mlを含浸させた。そして、下側基材の上面をスタンプ部材に押しつけて、下側凹部以外の部分に試薬を転写した。その後、温度65℃にて24時間乾燥させて、下側凹部以外の部分にケイ素酸化物膜からなる親水性層を形成した。親水性層の厚さは1~50nm程度であった。製造した下側部材を実施例1~5の樹脂部材と称す。実施例1~5の樹脂部材は、本発明の樹脂部材の概念に含まれる。
[実施例6]
上記第二実施形態の下側部材(樹脂部材)を製造した。下側基材の製造方法および上面の改質処理(プラズマ処理)は、実施例1と同じである。
改質処理の後、下側基材の上面全体に、プラズマCVD法により有機成分を含むケイ素酸化物膜を形成した。プラズマCVDは、以下の(a)~(c)の手順で行った。(a)下側基材を真空容器内に配置して、内部を0.5Pa以下の減圧状態にした。(b)真空容器内にArガスおよびHMDSOガスを供給して、合計圧力7Paの混合ガス雰囲気を形成した。(c)周波数2.45GHz、出力電力1kWにてマイクロ波プラズマを発生させて、60秒間照射した。このようにして、下側基材の上面全体に、有機成分を含むケイ素酸化物膜からなる疎水性層を形成した。疎水性層の厚さは75nmであった。
次に、形成した疎水性層の上からフォトレジストを塗布して、下側基材の上面全体を平坦化した。それから、真空容器内のOガス雰囲気中でマイクロ波プラズマを照射することにより、下側凹部以外の部分に塗布されたフォトレジストと、それと同じ厚さだけの下側凹部のフォトレジストと、を除去した。これにより、下側凹部のみをフォトレジストによりマスキングし、それ以外の疎水性層を露出させた。
次に、疎水性層の表面に改質処理を施して、親水性層を形成した。改質処理は、以下の(1)~(3)の手順で行った。(1)下側基材を真空容器内に配置して、内部を0.5Pa以下の減圧状態にした。(2)真空容器内にOガスを供給して、圧力6PaのOガス雰囲気を形成した。(3)周波数2.45GHz、出力電力1.5kWにてマイクロ波プラズマを発生させて、10秒間照射した。このようにして、疎水性層の表面に親水性層を形成した。親水性層の厚さは4nmであった。最後に、下側凹部に残っているフォトレジストを、レジスト剥離液を用いて除去した。製造した下側部材を実施例6の樹脂部材と称す。実施例6の樹脂部材は、本発明の樹脂部材の概念に含まれる。
[実施例7]
上記第三実施形態の下側部材(樹脂部材)を製造した。下側基材の製造方法および上面の改質処理(プラズマ処理)は、実施例1と同じである。
改質処理の後、下側基材の上面全体に、プラズマCVD法により有機成分を含むケイ素酸化物膜を形成した。プラズマCVDは、以下の(a)~(c)の手順で行った。(a)下側基材を真空容器内に配置して、内部を0.5Pa以下の減圧状態にした。(b)真空容器内にArガスおよびTEOSガスを供給して、合計圧力11Paの混合ガス雰囲気を形成した。(c)周波数2.45GHz、出力電力1kWにてマイクロ波プラズマを発生させて、60秒間照射した。このようにして、下側基材の上面全体に、有機成分を含むケイ素酸化物膜からなる親水性層を形成した。親水性層の厚さは75nmであった。
次に、厚さ0.2mmの板状のメラミンフォーム製のスタンプ部材に、フッ素樹脂液(旭硝子(株)製「CYTOP(登録商標)」)を1ml含浸させた。そして、下側基材の上面をスタンプ部材に押しつけて、下側凹部以外の部分にフッ素樹脂液を転写した。その後、室温下にて30分間乾燥させて、下側凹部以外の部分にフッ素樹脂膜からなる疎水性層を形成した。疎水性層の厚さは5nmであった。製造した下側部材を実施例7の樹脂部材と称す。実施例7の樹脂部材は、本発明の樹脂部材の概念に含まれる。
[比較例1]
下側基材の材質をシリコーンゴム(PDMS)に変更し、親水性層を形成する前に下側基材の上面を改質処理しなかった点以外は、実施例7の樹脂部材と同様にして下側部材を製造した。製造した下側部材を比較例1の樹脂部材と称す。
[比較例2]
疎水性層を形成する前に下側基材の上面を改質処理しなかった点、および下側凹部以外の部分に親水性層を形成しなかった点以外は、実施例1の樹脂部材と同様にして下側部材を製造した。製造した下側部材を比較例2の樹脂部材と称す。比較例2の樹脂部材においては、下側基材の上面全体にフッ化炭素膜からなる厚さ75nmの疎水性層のみが形成されている。
表1に、製造した樹脂部材における下側基材の材質、改質処理の種類、第一バリア層および第二バリア層の材質および水接触角の値をまとめて示す。第一バリア層および第二バリア層の水接触角の測定方法は、以下のとおりである。まず、各々の樹脂部材における下側基材と同じ樹脂からシート状の試験片(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)を製造した。次に、当該試験片の表面に、各々の樹脂部材に形成したのと同じ疎水性層または親水性層を形成した。そして、各層の水接触角を水接触角計(協和界面科学(株)製「DM500」)を用いて測定した。本実施例においては、測定対象の層表面に水を2μl滴下して、水が接触してから1分以内の水接触角を測定した。
Figure 0007022639000001
<流体デバイスの製造>
製造した樹脂部材(下側部材)に、上記実施形態の上側部材を積層して、流体デバイスを製造した(前出図1~図3参照)。上側部材については以下の手順で製造した。まず、PDMSを射出成形して、所定の形状の上側基材を製造した。上側基材において、流路を区画する上側凹部の深さは150μm、導入孔の直径は100μmである。次に、上側基材を真空容器内に配置して、内部を0.5Pa以下の減圧状態にした。続いて、真空容器内にArガス、Oガス、およびTEOSガスを供給して、合計圧力6Paの混合ガス雰囲気を形成した。それから、周波数2.45GHz、出力電力0.5kWにてマイクロ波プラズマを発生させて、20秒間成膜処理を行った。このようにして、上側基材の下面全体に、有機成分を含むケイ素酸化物膜からなる親水性層を形成した。親水性層の厚さは30nmであった。
製造した上側部材と樹脂部材(下側部材)とを積層して両者を接合した。このようにして製造された流体デバイスを、樹脂部材の番号に対応させて、実施例1の流体デバイスなどと称す。
<粒子捕捉性>
流体デバイスの流路に試液を流し、下側凹部における粒子の捕捉性を評価した。
[実施例1~6、比較例2の樹脂部材の評価方法]
実施例1~6、比較例2の流体デバイスには、疎水性の試液を流して粒子捕捉性を評価した。まず、有機溶剤のヘキサンにシリカ粒子(Bangs Laboratories社製「SS06N」、直径5μm)を分散させて、濃度1×10個/mlの試液を調製した。次に、流体デバイスの導入孔より、試液30μlをマイクロピペットを用いて注入した。そのまま3分間静置した後、流体デバイスの前端を持ち上げ、水平から30°傾けた状態で、導入孔より純水100μlを静かに注入して、下側凹部以外の部分に残留している試液を排出口から排出した。それから、下側凹部と流路部とにおける残留物を確認した。残留物の確認は、オリンパス(株)製の倒立顕微鏡「GX-51」を用いて行い、粒子が観察されれば残留物あり、観察されなければ残留物なしとした。そして、下側凹部に残留物があり、かつ流路部に残留物がない場合のみを捕捉性良好(後出表2中、〇印で示す)と評価し、それ以外は捕捉性不良(同表中、×印で示す)と評価した。
[実施例7、比較例1の樹脂部材の評価方法]
実施例7、比較例1の流体デバイスには、親水性の試液を流して粒子捕捉性を評価した。まず、水性染料(シャチハタ(株)製「スタンプインキS-1」)10mlと、純水5mlと、エタノール5mlと、を混合して試液を調製した。次に、流体デバイスの導入孔より、試液4μlをマイクロピペットを用いて注入した。そして、流体デバイスの前端を持ち上げ、水平から30°傾けて、流路の試液を排出口から排出した。それから、下側凹部と流路部とにおける残留物を確認した。残留物の確認は、(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープ「VHX-100」を用いて行い、染料成分残渣が観察されれば残留物あり、観察されなければ残留物なしとした。そして、下側凹部に残留物があり、かつ流路部に残留物がない場合のみを捕捉性良好(後出表2中、〇印で示す)と評価し、それ以外は捕捉性不良と評価した。なお、湿度50%環境下における水蒸発速度は0.07μl/分である。このため、試液中の水は蒸発するため残留しない。
[評価結果]
表2に、各流体デバイスにおける粒子捕捉性の評価結果を示す。
Figure 0007022639000002
表2に示すように、疎水性の液体を流した場合、実施例1~6の流体デバイスにおいては、下側凹部に残留物があり、かつ、流路部に残留物がなかった。すなわち、水に対する親和性が異なる第一バリア層と第二バリア層とを有し、前者が疎水性層、後者が親水性層である実施例1~6の樹脂部材を用いると、粒子捕捉性は良好であることが確認された。これに対して、比較例2の樹脂部材においては、下側凹部を含む上面全体に疎水性層が形成されている。つまり、第一バリア層と第二バリア層とは、水に対する親和性が同じである。したがって、比較例2の流体デバイスにおいては、下側凹部だけでなく流路部にも残留物があり、粒子捕捉性は不良になった。
また、親水性の液体を流した場合、実施例7、比較例1のいずれの流体デバイスにおいても、下側凹部に残留物があり、かつ、流路部に残留物がなかった。すなわち、下側凹部に親水性層(第一バリア層)、流路部に疎水性層(第二バリア層)を有する実施例7の樹脂部材を用いると、粒子捕捉性は良好であることが確認された。
<膨潤性>
実施例1~6、比較例2の樹脂部材について、有機溶剤に対する膨潤性を評価した。
[評価方法]
膨潤性の評価には、各々の樹脂部材における第一バリア層および第二バリア層の水接触角を測定した時に使用したシート状の試験片を用いた。そして、試験片の成膜面に、有機溶剤のトルエンを接触させて、試験片の変形の有無を観察した。
まず、試験片の成膜面の中央に、直径10mmの円筒状のステンレス管を配置した。次に、ステンレス管の内側にトルエンを10ml注入した。それから5分間経過した後、残留しているトルエンをスポイトで除去し、ステンレス管を取り外した。そして、成膜面におけるトルエン接触部と非接触部との厚さの差を、デジタルゲージ((株)小野測器製「DG-925」)にて測定した。この際、厚さの差が50μm未満であれば、変形なしと判断し、膨潤性なし(前出表2中、〇印で示す)と評価した。
[評価結果]
前出表2に、実施例1~6、比較例2の樹脂部材の膨潤性の評価結果をまとめて示す。表2に示すように、基材の種類によらず、第一バリア層または第二バリア層が形成されることにより、成膜面の変形は抑制されることが確認された。すなわち、実施例1~6の樹脂部材においては、疎水性の液体が接触しても、下側凹部および流路部のいずれも膨潤しにくいことが確認された。
<取り扱い性>
実施例1~7、比較例1、2の樹脂部材について、取り扱い性を評価した。
[評価方法]
各々の樹脂部材を金属板の上に載置し、1分間放置した後、手で樹脂部材を金属板から剥がす際の剥がしやすさを比較した。比較例1の樹脂部材を基準にして、剥がしやすい場合を取り扱い性良好(前出表2中、〇印で示す)と評価し、剥がしにくい場合を取り扱い性不良(同表中、×印で示す)と評価した。
[評価結果]
前出表2に、取り扱い性の評価結果をまとめて示す。表2に示すように、基材がシリコーンゴム製の比較例1の樹脂部材を除き、基材がオレフィン樹脂またはアクリル樹脂製のすべての樹脂部材において、取り扱い性は良好であった。
1:流体デバイス、10:上側部材、11:流路、12:上側基材、13:親水性層、14:上側凹部、15:導入孔、16:排出口、20:下側部材(流体デバイス用樹脂部材)、21:下側基材、22、22a:疎水性層、23:親水性層、24:下側凹部、25:流路部、26:第一バリア層、27:第二バリア層、28:親水性層、29:疎水性層、210:上面(一面)、211:流路区画部、50、52:スタンプ部材、51:フォトレジスト、500:ポリシラザン液、520: フッ素樹脂液、P:マイクロ波プラズマ。

Claims (7)

  1. オレフィン樹脂またはアクリル樹脂製の一体物であり、一面に流体の一部を捕捉するための凹部とそれ以外の流路部とからなる流路区画部を有する基材と、
    該基材の該凹部の少なくとも一部に配置される第一バリア層と、
    該基材の該流路部に配置される第二バリア層と、
    を有し、
    該第一バリア層の最表層と該第二バリア層の最表層とは、水との親和性が異なり、
    該第一バリア層の該最表層は疎水性を有する疎水性層であり、該第二バリア層の該最表層は親水性を有する親水性層である流体デバイス用樹脂部材。
  2. 前記疎水性層は、フッ化炭素膜、フッ素樹脂膜、または有機成分を含む金属酸化物膜である請求項1に記載の流体デバイス用樹脂部材。
  3. 前記親水性層は、金属酸化物膜または有機成分を含む金属酸化物膜である請求項1または請求項2に記載の流体デバイス用樹脂部材。
  4. 請求項1に記載の流体デバイス用樹脂部材の製造方法であって、
    一面に凹部を有するオレフィン樹脂またはアクリル樹脂製の基材において、該一面全体に疎水性層をプラズマCVD法により形成する疎水性層形成工程と、
    該凹部以外の該疎水性層の表面に親水性層を形成する親水性層形成工程と、
    を有する流体デバイス用樹脂部材の製造方法。
  5. 前記疎水性層形成工程の前に、前記基材の前記一面を改質処理する改質工程を有する請求項4に記載の流体デバイス用樹脂部材の製造方法。
  6. 前記親水性層形成工程は、前記疎水性層の表面にプラズマを照射して改質処理する工程である請求項4または請求項5に記載の流体デバイス用樹脂部材の製造方法。
  7. 前記親水性層形成工程は、前記疎水性層の表面に転写法によりケイ素酸化物膜または金属酸化物膜を形成する工程である請求項4または請求項5に記載の流体デバイス用樹脂部材の製造方法。
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