JP7021927B2 - モータ搭載自動車の駆動制御装置 - Google Patents
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Description
但し、このような検出方法では、中途半端な異常の検出ができない。中途半端な異常として、例えば、正常な温度範囲内に入るが温度検出値が固定値となってしまう、または、正常な温度範囲内に入るが温度検出値が実際の温度からずれてしまうような異常である。
特許文献2では、同じく水温センサの異常判定手段で、IGBT素子温度から冷却水温推定値を算出し、この冷却水温推定値と水温検出値との差が所定値以上であった場合、水温センサを異常と判定する。
これらの方法は、インバータ(IGBT)温度が正しいことを前提に行われている。インバータ温度が正しく検出されていなければ、水温センサの異常を正確に判定することができない。
前記各インバータ25aを冷却液で冷却する冷却機構Rkを備え、
一方のモータ6を駆動するインバータ25aの複数のスイッチング素子33のいずれか一つ、および他方のモータ6を駆動するインバータ25aの複数のスイッチング素子33のいずれか一つに設けられて対応するスイッチング素子33の温度をそれぞれ検出する二つの温度検出部29,29と、
前記冷却液の温度を検出する冷却液温度検出部24と、
前記二つの温度検出部29,29で検出された対応するスイッチング素子33,33の温度と、前記冷却液温度検出部24で検出された冷却液の温度との三つの温度を、そのまままたは定められた条件に従って演算してそれぞれの値の差が定められた範囲内に入っているとき、前記二つの温度検出部29,29および前記冷却液温度検出部24が正常であり、いずれかの値の差が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの温度検出部29,29および前記冷却液温度検出部24のいずれか一つまたは二つまたは全てに異常があると判定する温度検出異常判定部30と、を有する。
前記定められた条件、前記定められた範囲は、それぞれ設計等によって任意に定める条件、範囲であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な条件、範囲を求めて定められる。
前記下降度合とは、単位時間当たりに下降する温度を言う。
前記定められた時間、前記定められた下降度合は、それぞれ設計等によって任意に定める時間、下降度合であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な時間、下降度合を求めて定められる。
前記温度検出異常判定部30は、前記モータコントロール部26から前記指令トルクが与えられている前記各モータ6の通電時に、前記ラジエータ23に対し前記循環経路19の上流側のインバータ25a1に通電する電流の指令値または検出値から、冷却液の温度上昇値を冷却液温度上昇推定値Tw1uとして推定する冷却液温度上昇値推定部30aと、前記二つのインバータ25a1,25a2に通電する電流の指令値または検出値から、前記上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33および前記ラジエータ23に対し前記循環経路19の下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部30bと、を有するものであってもよい。
前記上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T1-T1u)|) …式(1)、
前記下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(2)、
前記上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(3)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式1、式2および式3のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定してもよい。
前記温度検出異常判定部30は、前記モータコントロール部26から前記指令トルクが与えられている前記各モータ6の通電時に、前記二つのインバータ25a1,25a2に通電する電流の指令値または検出値から、前記二つのインバータ25a1,25a2における前記スイッチング素子33,33の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部30bを有するものであってもよい。
一方の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T1-T1u)|) …式(4)、
他方の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T2-T2u)|) …式(5)、
一方の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、他方の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u)|) …式(6)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式4、式5および式6のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定してもよい。
前記温度検出異常判定部30は、
前記モータコントロール部26から前記指令トルクが与えられている前記各モータ6の通電時に、各インバータ25aに通電する電流の指令値または検出値から、前記各インバータ25aでの冷却液の温度上昇値を冷却液温度上昇推定値Tw1u,Tw2uとして推定する冷却液温度上昇値推定部30aと、
前記二つのインバータ25a1,25a2に通電する電流の指令値または検出値から、上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33および前記ラジエータ23に対し前記循環経路19の下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部30bと、を有するものであってもよい。
上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値(T1-T1u)と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twから、前記冷却液温度上昇値推定部30aで推定した下流側の前記インバータ25a2での冷却液温度上昇推定値Tw2u、上流側の前記インバータ25a1での冷却液温度上昇推定値Tw1uをそれぞれ減算した値(Tw-Tw2u-Tw1u)との差(|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T1-T1u)|) …式(7)、
下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値(T2-T2u)に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値(T2-T2u-Tw1u)と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twから、前記冷却液温度上昇値推定部30aで推定した下流側の前記インバータ25a2での冷却液温度上昇推定値Tw2u、上流側の前記インバータ25a1での冷却液温度上昇推定値Tw1uをそれぞれ減算した値(Tw-Tw2u-Tw1u)との差(|Tw-Tw2u-Tw1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(8)、
上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(9)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式7、式8および式9のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定してもよい。
前記温度検出異常判定部30は、前記モータコントロール部26から前記指令トルクが与えられている前記各モータ6の通電時に、前記二つのインバータ25a1,25a2に通電する電流の指令値または検出値から、前記二つのインバータ25a1,25a2における前記スイッチング素子33,33の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部30bを有するものであってもよい。
一方の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twから、前記二つの冷却路18,18での冷却液温度上昇推定値の平均を減算した値(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2|)との差(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T1-T1u)|)…式(10)、
他方の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twから、前記二つの冷却路18,18での冷却液温度上昇推定値の平均を減算した値(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2|)との差(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T2-T2u)|)…式(11)、
一方の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータ25a1における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、他方の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータ25a2における前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u)|) …式(12)がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式10、式11および式12のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定してもよい。尚、前記2つの冷却路18、18は圧力損失が同じで流量も同じになるものとしているため、2つのインバータ25a1、25a2による冷却液の温度上昇を各冷却路18、18での冷却液温度上昇推定値の平均で求めている。もし圧力損失及び流量が異なる場合は、各流量と各冷却液温度上昇推定値を用いて2つのインバータ25a1、25a2による冷却液の温度上昇を算出する必要がある。例えば、2つのインバータ25a1、25a2の流量をLa1、La2とすると次式より求められる。
{(Tw1u×La1)+ (Tw2u×La2)}/(La1+La2)
<このモータ搭載自動車の概念構成について>
図1は、この実施形態に係る駆動制御装置を搭載したモータ搭載自動車を平面図で示す概念構成のブロック図である。このモータ搭載自動車は、車体1の左右の後輪となる車輪2が駆動輪とされ、左右の前輪となる車輪3が従動輪とされた4輪の電気自動車である。前輪となる車輪3は操舵輪とされている。駆動輪となる左右の車輪2,2は、それぞれ独立の走行用のモータ6により駆動される。各モータ6は、後述のインホイールモータ駆動装置IWMを構成する。各車輪2,3には、ブレーキが設けられている。また左右の前輪となる操舵輪である車輪3,3は、図示しない転舵機構を介して転舵可能であり、ハンドル等の操舵手段15により操舵される。
図2に示すように、左右のインホイールモータ駆動装置IWMは、それぞれ、モータ6、減速機7および車輪用軸受4を有し、これらの一部または全体が車輪内に配置される。モータ6の回転は、減速機7および車輪用軸受4を介して駆動輪である車輪2に伝達される。車輪用軸受4のハブ輪4aのフランジ部には前記ブレーキを構成するブレーキロータ5が固定され、同ブレーキロータ5は、車輪2と一体に回転する。
図1および図3に示すように、この駆動制御装置16は、左右のモータ6,6の制御を行うインバータ装置13を有する。このインバータ装置13は、各モータ6に対応する二つのインバータ25a1,25a2に冷却液を個別に流す二つの冷却路18,18を有する。この駆動制御装置16は、各インバータ25a1,25a2を冷却液で冷却する冷却機構Rkを備え、この冷却機構Rkは、図3および図4に示すように、各冷却路18にわたる循環経路19に冷却液を循環させるポンプ22と、この冷却液を冷却するラジエータ23とを備える。ラジエータ23は、例えば、走行風に当たり易い車体の前部に設置される。ポンプ22としては、いわゆるウォーターポンプが適用される。
図5は、この駆動制御装置16の制御系のブロック図である。駆動制御装置16は、自動車全般の制御を行う電気制御ユニットであるECU14と、このECU14の指令に従って走行用の左右のモータ6,6の制御を行うインバータ装置13とを有する。ECU14は、電気自動車の場合、VCU(車両制御ユニット)とも称される。
このインバータ装置13には、二つの温度検出部29,29が設けられている。一方の温度検出部29は、一方のモータ6を駆動するインバータ25aの複数の半導体スイッチング素子33のいずれか一つに設けられた測定部29bと、この測定部29bで測定された電圧等から成る測定値を温度に変換する温度測定回路29aとを有する。この一方の温度検出部29により、対応する半導体スイッチング素子33の温度を検出し得る。
温度検出異常判定部30は、二つの温度検出部29,29で検出された二つのスイッチング素子33,33の温度および冷却液温度検出部24で検出された冷却液の温度のそれぞれの温度検出値の差が、定められた範囲内に入っていないとき、いずれかの温度検出部29,29,24に異常があると判定する。非通電時には、冷却液の温度と二つのインバータ25a,25aで略同じ温度となるはずだからである。
図3および図5に示すように、通電時、冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度と二つのインバータ25a1,25a2のスイッチング素子温の温度差は、上流にあるインバータ25a1を通過したときの水温上昇分と、各インバータ25a1,25a2のスイッチング素子33,33の温度上昇分により発生する。
冷却液温度上昇推定値Tw1uの推定に、前記電流の検出値を用いた場合、何らかの異常により電流が指令値より大きくまたは小さくなった場合でも正確に冷却液温度上昇推定値Tw1uの推定が行える。一方、前記電流の指令値を用いた場合、負荷変動または電圧変動、ノイズ、その他の外乱等により電流が変動した場合でも安定して冷却液温度上昇推定値Tw1uを算出することができる。
T1:インバータ25a1のスイッチング素子の温度検出値
T2:インバータ25a2のスイッチング素子の温度検出値
Tw1u:上流側のインバータでの冷却液温度上昇推定値
K:定められた範囲
T1u:インバータ25a1のスイッチング素子温度上昇推定値
T2u:インバータ25a2のスイッチング素子温度上昇推定値
Tw:冷却液温度検出部24の温度検出値
|T1-T2|>K 成立で異常
|Tw-T1|>K 成立で異常
|Tw-T2|>K 成立で異常
二つの温度検出値の比較で異常となった温度は、対象となる温度検出部を異常と判定。
2-1.直列:Twと(T1-T1u)と(T2-T2u-Tw1u)を比較
|Tw-(T1-T1u)|>K …式(1)
|Tw-(T2-T2u-Tw1u)|>K …式(2)
|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)| …式(3)
式1、式2および式3のうち二つの式が成立した場合、前記二つの式に共通する温度検出部を異常と判定。
|Tw-(T1-T1u)|>K …式(4)
|Tw-(T2-T2u)|>K …式(5)
|(T1-T1u)-(T2-T2u)|>K …式(6)
式4、式5および式6のうち二つの式が成立した場合、前記二つの式に共通する温度検出部を異常と判定。
以上説明した駆動制御装置16によれば、温度検出異常判定部30は、一方のモータ6を駆動するインバータ25aのスイッチング素子33、および他方のモータ6を駆動するインバータ25aのスイッチング素子33の温度をそれぞれ検出する二つの温度検出部29,29で検出された温度と、冷却液温度検出部24で検出された冷却液の温度との三つの温度を、そのまままたは定められた条件に従って演算してそれぞれの値の差が定められた範囲内に入っているか否か判定する。モータ搭載自動車の停車時である非通電時であれば、例えば、半導体スイッチング素子33、ヒートシンク、インバータ25a,25aを冷却する冷却液の温度等が上昇していないため、冷却液と二つのインバータ25a,25aは略同じ温度となるはずである。このため、単純に前記三つの温度を互いに比較することで、異常が発生した温度検出部29,29,24を特定することができる。通電時では、前記三つの温度に対しスイッチング素子温度上昇値および水温上昇分を加味した値を比較することで、前記と同様に異常が発生した温度検出部29,29,24を特定することができる。したがってインバータ25a,25aのスイッチング素子33の温度を精度よく検出することができる。
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図12(A)に示すように、二つのインバータ25a1,25a2が別体であり、上流側の一方のインバータ25a1の下流に、他の冷却対象物を介在させることなく他方のインバータ25a2が接続されてもよい。
図12(B)に示すように、二つのインバータ25a1,25a2が一体構造で、下流側のインバータ25a2とポンプ22との間の循環経路途中に冷却液温度検出部24が設けられてもよい。
図12(C)に示すように、二つのインバータ25a1,25a2が別体で、下流側のインバータ25a2とポンプ22との間の循環経路途中に冷却液温度検出部24が設けられてもよい。
図14(A)に示すように、二つのインバータ25a1,25a2が別体で二つの冷却路18,18が並列に接続されていてもよい。
図5,図13(A),(B)および図14(A)に示すように、通電時の冷却液温度検出部24の温度検出値と二つのインバータ25a1,25a2のスイッチング素子33,33の温度検出値との温度差は、各インバータ25aのスイッチング素子33の温度上昇分により発生する。
T1:インバータ25a1のスイッチング素子の温度検出値
T2:インバータ25a2のスイッチング素子の温度検出値
Tw1u:上流側のインバータでの冷却液温度上昇推定値
Tw2u:下流側のインバータでの冷却液温度上昇推定値
K:定められた範囲
T1u:インバータ25a1のスイッチング素子温度上昇推定値
T2u:インバータ25a2のスイッチング素子温度上昇推定値
Tw:冷却液温度検出部24の温度検出値
なお異常判定する制御主体は温度検出異常判定部30(図5)である。また冷却液温度上昇値推定部30aは、下流側のインバータ25a2に通電する電流の指令値または検出値から、演算またはマップ等で冷却液温度上昇推定値Tw2uとして推定する。
直列、並列共に、上流に冷却液温度検出部24が設けられている場合(図3)と同様である。
2.通電時
2-1.直列(図12(B),(C)):(Tw-Tw2u-Tw1u)と(T1-T1u)と(T2-T2u-Tw1u)を比較
|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T1-T1u)|>K …式(7)
|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T2-T2u-Tw1u)|>K …式(8)
|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|>K …式(9)
式7、式8および式9のうち二つの式が成立した場合、前記二つの式に共通する温度検出部を異常と判定。
|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T1-T1u)|>K …式(10)
|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T2-T2u)|>K …式(11)
|(T1-T1u)-(T2-T2u)|>K …式(12)
式10、式11および式12のうち二つの式が成立した場合、前記二つの式に共通する温度検出部を異常と判定。尚、前記2つの冷却路18、18は圧力損失が同じで流量も同じになるものとしているため、2つのインバータ25a1、25a2による冷却液の温度上昇を各冷却路18、18での冷却液温度上昇推定値の平均で求めている。もし圧力損失及び流量が異なる場合は、各流量と各冷却液温度上昇推定値を用いて2つのインバータ25a1、25a2による冷却液の温度上昇を算出する必要がある。例えば、2つのインバータ25a1、25a2の流量をLa1、La2とすると次式より求められる。
{(Tw1u×La1)+ (Tw2u×La2)}/(La1+La2)
6…モータ
18…冷却路
19…循環経路
22…ポンプ
23…ラジエータ
24…冷却液温度検出部
25…パワー回路部
25a…インバータ
26…モータコントロール部
29…温度検出部
30…温度検出異常判定部
30a…冷却液温度上昇値推定部
30b…スイッチング素子温度上昇値推定部
33…スイッチング素子
Rk…冷却機構
Claims (12)
- 左右の駆動輪を駆動する二つのモータをそれぞれ独立して駆動可能な車両に搭載され、直流電力を前記各モータの駆動に用いる交流電力に変換する二つのインバータを含むパワー回路部と、与えられる指令トルクに従って前記パワー回路部を介して前記各モータを制御するモータコントロール部とを備え、前記各インバータは、複数のスイッチング素子の開閉により直流電力を交流電力に変換するモータ搭載自動車の駆動制御装置において、
前記各インバータを冷却液で冷却する冷却機構を備え、
一方のモータを駆動するインバータの複数のスイッチング素子のいずれか一つ、および他方のモータを駆動するインバータの複数のスイッチング素子のいずれか一つに設けられて対応するスイッチング素子の温度をそれぞれ検出する二つの温度検出部と、
前記冷却液の温度を検出する冷却液温度検出部と、
前記二つの温度検出部で検出された対応するスイッチング素子の温度と、前記冷却液温度検出部で検出された冷却液の温度との三つの温度を、そのまままたは定められた条件に従って演算してそれぞれの値の差が定められた範囲内に入っているとき、前記二つの温度検出部および前記冷却液温度検出部が正常であり、いずれかの値の差が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの温度検出部および前記冷却液温度検出部のいずれか一つまたは二つまたは全てに異常があると判定する温度検出異常判定部と、を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。 - 請求項1に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、前記モータコントロール部に指令トルクが与えられていない前記各モータの非通電時に、対応する二つのスイッチング素子の温度および前記冷却液の温度のそれぞれの温度検出値の差が、定められた範囲内に入っているかを確認し、対象とする温度検出部につき、他の二つの温度検出値との差が共に定められた範囲内に入っていないとき、前記対象とする温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
- 請求項2に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、前記指令トルクが零となった後定められた時間の経過後の前記各モータの非通電時に異常判定を行うか、または前記指令トルクが零となった後二つの前記温度検出部で検出された温度が定められた下降度合よりも小さくなった前記各モータの非通電時に異常判定を行うモータ搭載自動車の駆動制御装置。
- 請求項2または請求項3に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、前記指令トルクが零となった後時間の経過に従って前記定められた範囲を小さくするモータ搭載自動車の駆動制御装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記冷却機構は、前記各インバータに冷却液を個別に流す二つの冷却路と、各冷却路にわたる循環経路に冷却液を循環させるポンプと、前記冷却液を冷却するラジエータとを備え、前記二つの冷却路が直列に接続され、前記ラジエータに対し前記循環経路における前記二つの冷却路の上流側に前記冷却液温度検出部が設けられ、
前記温度検出異常判定部は、前記モータコントロール部から前記指令トルクが与えられている前記各モータの通電時に、前記ラジエータに対し前記循環経路の上流側のインバータに通電する電流の指令値または検出値から、冷却液の温度上昇値を冷却液温度上昇推定値Tw1uとして推定する冷却液温度上昇値推定部と、前記二つのインバータに通電する電流の指令値または検出値から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子および前記ラジエータに対し前記循環経路の下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部と、を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。 - 請求項5に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、
前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T1-T1u)|) …式(1)、
前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(2)、
前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(3)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式1、式2および式3のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記冷却機構は、前記各インバータに冷却液を個別に流す二つの冷却路と、各冷却路にわたる循環経路に冷却液を循環させるポンプと、前記冷却液を冷却するラジエータとを備え、前記二つの冷却路が並列に接続され、前記ラジエータに対し前記循環経路における前記二つの冷却路の上流側に前記冷却液温度検出部が設けられ、
前記温度検出異常判定部は、前記モータコントロール部から前記指令トルクが与えられている前記各モータの通電時に、前記二つのインバータに通電する電流の指令値または検出値から、前記二つのインバータにおける前記スイッチング素子の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。 - 請求項7に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、
一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T1-T1u)|) …式(4)、
他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T2-T2u)|) …式(5)、
一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u)|) …式(6)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式4、式5および式6のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記冷却機構は、前記各インバータに冷却液を個別に流す二つの冷却路と、各冷却路にわたる循環経路に冷却液を循環させるポンプと、前記冷却液を冷却するラジエータとを備え、前記二つの冷却路が直列に接続され、前記ラジエータに対し前記循環経路における前記二つの冷却路の下流側に前記冷却液温度検出部が設けられ、
前記温度検出異常判定部は、
前記モータコントロール部から前記指令トルクが与えられている前記各モータの通電時に、各インバータに通電する電流の指令値または検出値から、前記各インバータでの冷却液の温度上昇値を冷却液温度上昇推定値Tw1u,Tw2uとして推定する冷却液温度上昇値推定部と、
前記二つのインバータに通電する電流の指令値または検出値から、上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子および前記ラジエータに対し前記循環経路の下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部と、を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。 - 請求項9に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、
上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値(T1-T1u)と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twから、前記冷却液温度上昇値推定部で推定した下流側の前記インバータでの冷却液温度上昇推定値Tw2u、上流側の前記インバータでの冷却液温度上昇推定値Tw1uをそれぞれ減算した値(Tw-Tw2u-Tw1u)との差(|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T1-T1u)|) …式(7)、
下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値(T2-T2u)に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値(T2-T2u-Tw1u)と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twから、前記冷却液温度上昇値推定部で推定した下流側の前記インバータでの冷却液温度上昇推定値Tw2u、上流側の前記インバータでの冷却液温度上昇推定値Tw1uをそれぞれ減算した値(Tw-Tw2u-Tw1u)との差(|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(8)、
上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(9)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式7、式8および式9のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記冷却機構は、前記各インバータに冷却液を個別に流す二つの冷却路と、各冷却路にわたる循環経路に冷却液を循環させるポンプと、前記冷却液を冷却するラジエータとを備え、前記二つの冷却路が並列に接続され、前記ラジエータに対し前記循環経路における前記二つの冷却路の下流側に前記冷却液温度検出部が設けられ、
前記温度検出異常判定部は、前記モータコントロール部から前記指令トルクが与えられている前記各モータの通電時に、前記二つのインバータに通電する電流の指令値または検出値から、前記二つのインバータにおける前記スイッチング素子の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。 - 請求項11に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、
一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twから、前記二つの冷却路での冷却液温度上昇推定値の平均を減算した値(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2|)との差(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T1-T1u)|) …式(10)、
他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twから、前記二つの冷却路での冷却液温度上昇推定値の平均を減算した値(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2|)との差(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T2-T2u)|) …式(11)、
一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u)|) …式(12)がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式10、式11および式12のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
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