JP7021927B2 - モータ搭載自動車の駆動制御装置 - Google Patents

モータ搭載自動車の駆動制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7021927B2
JP7021927B2 JP2017242490A JP2017242490A JP7021927B2 JP 7021927 B2 JP7021927 B2 JP 7021927B2 JP 2017242490 A JP2017242490 A JP 2017242490A JP 2017242490 A JP2017242490 A JP 2017242490A JP 7021927 B2 JP7021927 B2 JP 7021927B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
value
switching element
temperature detection
inverter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017242490A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019110682A (ja
Inventor
剛志 神田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp filed Critical NTN Corp
Priority to JP2017242490A priority Critical patent/JP7021927B2/ja
Priority to PCT/JP2018/046359 priority patent/WO2019124311A1/ja
Priority to CN201880081472.0A priority patent/CN111491821B/zh
Publication of JP2019110682A publication Critical patent/JP2019110682A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7021927B2 publication Critical patent/JP7021927B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)

Description

この発明は、モータ搭載自動車の駆動制御装置に関し、複数の温度検出部のうち異常が発生した温度検出部を特定し得る技術に関する。
電気自動車(EV:Electric Vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)等の駆動用モータを搭載した自動車において、モータおよびインバータを冷却する冷却装置がある。冷却装置では冷却水の温度によって、ファンを回すまたは冷却水の流量を変更する場合がある。
またインバータでは、内部のスイッチング素子の温度をモニタし、上限温度に達しそうな場合は、トルク制限または電流制限を行うかあるいは駆動を停止させることでスイッチング素子の異常を防止する。例えば、スイッチング素子の検出温度が実際の温度より大きい方にずれた場合は、電流制限する温度に直ぐに達してしまい、過剰にトルク制限がかかってしまう。逆に、スイッチング素子の検出温度が実際の温度より小さい方にずれた場合は、本来、電流制限をかけるべき温度になっても電流制限をかけることができず、スイッチング素子に異常が発生する場合がある。よって、各温度センサが正常に動作することは重要である。
特開2017-100482号公報 特開2009-284597号公報
温度センサの異常検出には、簡単な方法では、正常温度範囲から外れるような場合は、回路または配線のオープンまたはショート故障が発生したものとして異常だと判定する。例えば、-50℃以下の場合、200℃以上等の場合に温度センサの異常と判定する。
但し、このような検出方法では、中途半端な異常の検出ができない。中途半端な異常として、例えば、正常な温度範囲内に入るが温度検出値が固定値となってしまう、または、正常な温度範囲内に入るが温度検出値が実際の温度からずれてしまうような異常である。
特許文献1では、水温センサの異常判定手段で、ソーク時間が所定の時間以上経過している場合に、インバータの温度センサの測定値と水温センサの測定値との差分の絶対値が所定値以上のとき、水温センサを異常と判定する。
特許文献2では、同じく水温センサの異常判定手段で、IGBT素子温度から冷却水温推定値を算出し、この冷却水温推定値と水温検出値との差が所定値以上であった場合、水温センサを異常と判定する。
これらの方法は、インバータ(IGBT)温度が正しいことを前提に行われている。インバータ温度が正しく検出されていなければ、水温センサの異常を正確に判定することができない。
したがって、従来技術においても、スイッチング素子の検出温度が実際の温度より大きい方にずれた場合、電流制限する温度に直ぐに達してしまい、過剰にトルク制限がかかってしまう。逆に、スイッチング素子の検出温度が実際の温度より小さい方にずれた場合、本来、電流制限をかけるべき温度になっても電流制限をかけることができず、スイッチング素子に異常が発生する場合がある。
この発明の目的は、複数の温度検出部のうち異常が発生した温度検出部を特定することができ、またインバータのスイッチング素子の温度を精度よく検出することができるモータ搭載自動車の駆動制御装置を提供することである。
この発明のモータ搭載自動車の駆動制御装置16は、左右の駆動輪2,2を駆動する二つのモータ6,6をそれぞれ独立して駆動可能な車両に搭載され、直流電力を前記各モータ6の駆動に用いる交流電力に変換する二つのインバータ25a,25aを含むパワー回路部25,25と、与えられる指令トルクに従って前記パワー回路部25,25を介して前記各モータ6を制御するモータコントロール部26とを備え、前記各インバータ25aは、複数のスイッチング素子33の開閉により直流電力を交流電力に変換するモータ搭載自動車の駆動制御装置において、
前記各インバータ25aを冷却液で冷却する冷却機構Rkを備え、
一方のモータ6を駆動するインバータ25aの複数のスイッチング素子33のいずれか一つ、および他方のモータ6を駆動するインバータ25aの複数のスイッチング素子33のいずれか一つに設けられて対応するスイッチング素子33の温度をそれぞれ検出する二つの温度検出部29,29と、
前記冷却液の温度を検出する冷却液温度検出部24と、
前記二つの温度検出部29,29で検出された対応するスイッチング素子33,33の温度と、前記冷却液温度検出部24で検出された冷却液の温度との三つの温度を、そのまままたは定められた条件に従って演算してそれぞれの値の差が定められた範囲内に入っているとき、前記二つの温度検出部29,29および前記冷却液温度検出部24が正常であり、いずれかの値の差が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの温度検出部29,29および前記冷却液温度検出部24のいずれか一つまたは二つまたは全てに異常があると判定する温度検出異常判定部30と、を有する。
前記定められた条件、前記定められた範囲は、それぞれ設計等によって任意に定める条件、範囲であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な条件、範囲を求めて定められる。
この構成によると、温度検出異常判定部30は、一方のモータ6を駆動するインバータ25aのスイッチング素子33、および他方のモータ6を駆動するインバータ25aのスイッチング素子33の温度をそれぞれ検出する二つの温度検出部29,29で検出された温度と、冷却液温度検出部24で検出された冷却液の温度との三つの温度を、そのまままたは定められた条件に従って演算してそれぞれの値の差が定められた範囲内に入っているか否か判定する。前記演算は、例えば、前記三つの温度に対し、スイッチング素子温度上昇値および水温上昇分を減算することである。モータコントロール部26に指令トルクが与えられていない各モータ6の非通電時であれば、例えば、スイッチング素子33、ヒートシンク、インバータ25aを冷却する冷却液の温度等が上昇していないため、冷却液と二つのインバータ25a,25aは略同じ温度となるはずである。このため、単純に前記三つの温度を互いに比較することで、異常が発生した温度検出部29,29,24を特定することができる。通電時では、前記三つの温度に対しスイッチング素子温度上昇値および水温上昇分を加味した値を比較することで、前記と同様に異常が発生した温度検出部29,29,24を特定することができる。したがって、インバータ25aのスイッチング素子33の温度を精度よく検出することができる。
前記温度検出異常判定部30は、前記モータコントロール部26に指令トルクが与えられていない前記各モータ6の非通電時に、対応する二つのスイッチング素子33,33の温度および前記冷却液の温度のそれぞれの温度検出値の差が、定められた範囲内に入っているかを確認し、対象とする温度検出部につき、他の二つの温度検出値との差が共に定められた範囲内に入っていないとき、前記対象とする温度検出部に異常があると判定してもよい。この場合、非通電時に、対象とする温度検出部と他の二つの温度検出値とをそのまま比較するだけであり、簡単かつ単純に温度検出部の異常を判定することができる。
前記温度検出異常判定部30は、前記指令トルクが零となった後定められた時間の経過後の前記各モータ6の非通電時に異常判定を行うか、または前記指令トルクが零となった後二つの前記温度検出部29,29で検出された温度が定められた下降度合よりも小さくなった前記各モータ6の非通電時に異常判定を行ってもよい。
前記下降度合とは、単位時間当たりに下降する温度を言う。
前記定められた時間、前記定められた下降度合は、それぞれ設計等によって任意に定める時間、下降度合であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な時間、下降度合を求めて定められる。
この構成によると、非通電時であっても直前まで電流を流していたことによる温度上昇分を考慮することができる。温度検出異常判定部30は、指令トルクが零となった後定められた時間を経過させることで、例えば、温められたヒートシンク等も冷却水により冷やされて、略水温に近い値まで二つのスイッチング素子温度が下がる。また、その際に温度の下降度合が冷却水温に近づくにつれて小さくなるため、温度の下降度合が小さくなったことで二つのスイッチング素子温度が水温に近い値になってきたことが推測できる。
前記温度検出異常判定部30は、前記指令トルクが零となった後時間の経過に従って前記定められた範囲を小さくしてもよい。このように定められた範囲を可変とすることで、温度検出部29、冷却液温度検出部24の異常を判定するタイミングを早めることができる。すなわち、非通電時間が短くても温度検出部29、冷却液温度検出部24の異常を判定することができる。
前記冷却機構Rkは、前記各インバータ25aに冷却液を個別に流す二つの冷却路18,18と、各冷却路18にわたる循環経路19に冷却液を循環させるポンプ22と、前記冷却液を冷却するラジエータ23とを備え、前記二つの冷却路18,18が直列に接続され、前記ラジエータ23に対し前記循環経路19における前記二つの冷却路18,18の上流側に前記冷却液温度検出部24が設けられ、
前記温度検出異常判定部30は、前記モータコントロール部26から前記指令トルクが与えられている前記各モータ6の通電時に、前記ラジエータ23に対し前記循環経路19の上流側のインバータ25aに通電する電流の指令値または検出値から、冷却液の温度上昇値を冷却液温度上昇推定値Tw1uとして推定する冷却液温度上昇値推定部30aと、前記二つのインバータ25a,25aに通電する電流の指令値または検出値から、前記上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33および前記ラジエータ23に対し前記循環経路19の下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部30bと、を有するものであってもよい。
前記温度検出異常判定部30は、
前記上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T1-T1u)|) …式(1)、
前記下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(2)、
前記上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(3)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式1、式2および式3のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定してもよい。
この構成によると、二つの冷却路18,18が直列で、これら冷却路18,18の上流側に冷却液温度検出部24がある場合の通電時に、スイッチング素子33の温度上昇と、上流側での冷却液の温度上昇値を推定することで、通電時でも温度検出部に異常があるか否かを判定することができる。
前記冷却機構Rkは、前記各インバータ25aに冷却液を個別に流す二つの冷却路18,18と、各冷却路18にわたる循環経路19に冷却液を循環させるポンプ22と、前記冷却液を冷却するラジエータ23とを備え、前記二つの冷却路18,18が並列に接続され、前記ラジエータ23に対し前記循環経路19における前記二つの冷却路18,18の上流側に前記冷却液温度検出部24が設けられ、
前記温度検出異常判定部30は、前記モータコントロール部26から前記指令トルクが与えられている前記各モータ6の通電時に、前記二つのインバータ25a,25aに通電する電流の指令値または検出値から、前記二つのインバータ25a,25aにおける前記スイッチング素子33,33の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部30bを有するものであってもよい。
前記温度検出異常判定部30は、
一方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T1-T1u)|) …式(4)、
他方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T2-T2u)|) …式(5)、
一方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、他方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u)|) …式(6)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式4、式5および式6のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定してもよい。
この構成によると、二つの冷却路18,18が並列でこれら冷却路18,18の上流側に冷却液温度検出部24がある場合の通電時に、スイッチング素子33の温度上昇値を推定することで、通電時でも温度検出部に異常があるか否かを判定することができる。また二つの冷却路18,18が並列の場合、上流側での冷却液の温度上昇値を推定しなくてもよくなるため、二つの冷却路18,18が直列の場合よりも簡単に温度検出部の異常の有無を判定することができる。
前記冷却機構Rkは、前記各インバータ25aに冷却液を個別に流す二つの冷却路18,18と、各冷却路18にわたる循環経路19に冷却液を循環させるポンプ22と、前記冷却液を冷却するラジエータ23とを備え、前記二つの冷却路18,18が直列に接続され、前記ラジエータ23に対し前記循環経路19における前記二つの冷却路18,18の下流側に前記冷却液温度検出部24が設けられ、
前記温度検出異常判定部30は、
前記モータコントロール部26から前記指令トルクが与えられている前記各モータ6の通電時に、各インバータ25aに通電する電流の指令値または検出値から、前記各インバータ25aでの冷却液の温度上昇値を冷却液温度上昇推定値Tw1u,Tw2uとして推定する冷却液温度上昇値推定部30aと、
前記二つのインバータ25a,25aに通電する電流の指令値または検出値から、上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33および前記ラジエータ23に対し前記循環経路19の下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部30bと、を有するものであってもよい。
前記温度検出異常判定部30は、
上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値(T1-T1u)と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twから、前記冷却液温度上昇値推定部30aで推定した下流側の前記インバータ25aでの冷却液温度上昇推定値Tw2u、上流側の前記インバータ25aでの冷却液温度上昇推定値Tw1uをそれぞれ減算した値(Tw-Tw2u-Tw1u)との差(|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T1-T1u)|) …式(7)、
下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値(T2-T2u)に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値(T2-T2u-Tw1u)と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twから、前記冷却液温度上昇値推定部30aで推定した下流側の前記インバータ25aでの冷却液温度上昇推定値Tw2u、上流側の前記インバータ25aでの冷却液温度上昇推定値Tw1uをそれぞれ減算した値(Tw-Tw2u-Tw1u)との差(|Tw-Tw2u-Tw1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(8)、
上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(9)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式7、式8および式9のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定してもよい。
この構成によると、二つの冷却路18,18が直列でこれら冷却路18,18の下流側に冷却液温度検出部24がある場合の通電時に、スイッチング素子33の温度上昇と、各インバータ25aでの冷却液の温度上昇値を推定することで、下流側に冷却液温度検出部24がある場合においても温度検出部に異常があるか否かを判定することができる。
前記冷却機構Rkは、前記各インバータ25aに冷却液を個別に流す二つの冷却路18,18と、各冷却路18にわたる循環経路19に冷却液を循環させるポンプ22と、前記冷却液を冷却するラジエータ23とを備え、前記二つの冷却路18,18が並列に接続され、前記ラジエータ23に対し前記循環経路における前記二つの冷却路18,18の下流側に前記冷却液温度検出部24が設けられ、
前記温度検出異常判定部30は、前記モータコントロール部26から前記指令トルクが与えられている前記各モータ6の通電時に、前記二つのインバータ25a,25aに通電する電流の指令値または検出値から、前記二つのインバータ25a,25aにおける前記スイッチング素子33,33の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部30bを有するものであってもよい。
前記温度検出異常判定部30は、
一方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twから、前記二つの冷却路18,18での冷却液温度上昇推定値の平均を減算した値(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2|)との差(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T1-T1u)|)…式(10)、
他方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値と、前記冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度Twから、前記二つの冷却路18,18での冷却液温度上昇推定値の平均を減算した値(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2|)との差(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T2-T2u)|)…式(11)、
一方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、他方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33を対応する温度検出部29で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータ25aにおける前記スイッチング素子33のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u)|) …式(12)がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式10、式11および式12のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定してもよい。尚、前記2つの冷却路18、18は圧力損失が同じで流量も同じになるものとしているため、2つのインバータ25a、25aによる冷却液の温度上昇を各冷却路18、18での冷却液温度上昇推定値の平均で求めている。もし圧力損失及び流量が異なる場合は、各流量と各冷却液温度上昇推定値を用いて2つのインバータ25a、25aによる冷却液の温度上昇を算出する必要がある。例えば、2つのインバータ25a、25aの流量をLa、Laとすると次式より求められる。
{(Tw1u×La)+ (Tw2u×La)}/(La+La)
この構成によると、二つの冷却路18,18が並列でこれら冷却路18,18の下流側に冷却液温度検出部24がある場合の通電時に、スイッチング素子33の温度上昇と、各インバータ25aでの冷却液の温度上昇値の推定を行い、各インバータ25aでの冷却液の温度上昇値を用いて二つの冷却路18,18での冷却液温度上昇推定値を算出し得る。これらにより、下流側に冷却液温度検出部24がある場合においても温度検出部に異常があるか否かを判定することができる。
この発明のモータ搭載自動車の駆動制御装置は、左右の駆動輪を駆動する二つのモータをそれぞれ独立して駆動可能な車両に搭載され、直流電力を前記各モータの駆動に用いる交流電力に変換する二つのインバータを含むパワー回路部と、与えられる指令トルクに従って前記パワー回路部を介して前記各モータを制御するモータコントロール部とを備え、前記各インバータは、複数のスイッチング素子の開閉により直流電力を交流電力に変換するモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記各インバータを冷却液で冷却する冷却機構を備え、一方のモータを駆動するインバータの複数のスイッチング素子のいずれか一つ、および他方のモータを駆動するインバータの複数のスイッチング素子のいずれか一つに設けられて対応するスイッチング素子の温度をそれぞれ検出する二つの温度検出部と、前記冷却液の温度を検出する冷却液温度検出部と、前記二つの温度検出部で検出された対応するスイッチング素子の温度と、前記冷却液温度検出部で検出された冷却液の温度との三つの温度を、そのまままたは定められた条件に従って演算してそれぞれの値の差が定められた範囲内に入っているとき、前記二つの温度検出部および前記冷却液温度検出部が正常であり、いずれかの値の差が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの温度検出部および前記冷却液温度検出部のいずれか一つまたは二つまたは全てに異常があると判定する温度検出異常判定部と、を有する。このため、複数の温度検出部のうち異常が発生した温度検出部を特定することができ、またインバータのスイッチング素子の温度を精度よく検出することができる。
この発明の実施形態に係る駆動制御装置を搭載したモータ搭載自動車を平面図で示す概念構成のブロック図である。 同モータ搭載自動車におけるインホイールモータ駆動装置の断面図である。 同駆動制御装置のインバータの冷却路の接続例を示す図である。 同インバータの冷却路を直列に接続した例を示す図である。 同駆動制御装置の制御系のブロック図である。 通電停止後、定められた時間経過後に異常判定を行う例を示す図である。 通電停止後、スイッチング素子の温度の下降度合が定められた下降度合よりも小さくなったときに異常判定を行う例を示す図である。 通電停止後時間経過に従って定められた範囲を小さくする例を示す図である。 通電時に二つのスイッチング素子の温度が飽和してきたときに異常判定を行う例を示す図である。 スイッチング素子の温度上昇を推定するマップ例を示す図である。 水温上昇を推定するマップ例を示す図である。 (A)はこの発明の他の実施形態に係る駆動制御装置のインバータの冷却路の接続例を示す図、(B),(C)はさらに他の冷却路の接続例を示す図である。 (A)は、この発明のさらに他の実施形態に係る駆動制御装置のインバータの冷却路の接続例を示す図、(B)は、図13(A)の各インバータの冷却路を拡大して示す図である。 (A)はこの発明のさらに他の実施形態に係る駆動制御装置のインバータの冷却路の接続例を示す図、(B),(C)はさらに他の冷却路の接続例を示す図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る駆動制御装置を搭載したモータ搭載自動車を平面図で示す概念構成のブロック図である。
この発明の実施形態を図1ないし図11と共に説明する。
<このモータ搭載自動車の概念構成について>
図1は、この実施形態に係る駆動制御装置を搭載したモータ搭載自動車を平面図で示す概念構成のブロック図である。このモータ搭載自動車は、車体1の左右の後輪となる車輪2が駆動輪とされ、左右の前輪となる車輪3が従動輪とされた4輪の電気自動車である。前輪となる車輪3は操舵輪とされている。駆動輪となる左右の車輪2,2は、それぞれ独立の走行用のモータ6により駆動される。各モータ6は、後述のインホイールモータ駆動装置IWMを構成する。各車輪2,3には、ブレーキが設けられている。また左右の前輪となる操舵輪である車輪3,3は、図示しない転舵機構を介して転舵可能であり、ハンドル等の操舵手段15により操舵される。
<インホイールモータ駆動装置IWMの概略構成について>
図2に示すように、左右のインホイールモータ駆動装置IWMは、それぞれ、モータ6、減速機7および車輪用軸受4を有し、これらの一部または全体が車輪内に配置される。モータ6の回転は、減速機7および車輪用軸受4を介して駆動輪である車輪2に伝達される。車輪用軸受4のハブ輪4aのフランジ部には前記ブレーキを構成するブレーキロータ5が固定され、同ブレーキロータ5は、車輪2と一体に回転する。
モータ6は、三相のモータであり、例えば、ロータ6aのコア部に永久磁石が内蔵された埋込磁石型同期モータである。このモータ6は、ハウジング8に固定したステータ6bと、回転出力軸9に取り付けたロータ6aとの間にラジアルギャップを設けたモータである。
<冷却系統について>
図1および図3に示すように、この駆動制御装置16は、左右のモータ6,6の制御を行うインバータ装置13を有する。このインバータ装置13は、各モータ6に対応する二つのインバータ25a,25aに冷却液を個別に流す二つの冷却路18,18を有する。この駆動制御装置16は、各インバータ25a,25aを冷却液で冷却する冷却機構Rkを備え、この冷却機構Rkは、図3および図4に示すように、各冷却路18にわたる循環経路19に冷却液を循環させるポンプ22と、この冷却液を冷却するラジエータ23とを備える。ラジエータ23は、例えば、走行風に当たり易い車体の前部に設置される。ポンプ22としては、いわゆるウォーターポンプが適用される。
ラジエータ23の下流に、順次、各インバータ25a,25aの冷却路18,18、ポンプ22が直列に配管接続され、このポンプ22にラジエータ23が配管接続されることで、循環経路19を構成する。またこの例では、ラジエータ23の直ぐ下流で且つ上流側の冷却路18よりも上流の循環経路途中に、冷却液の水温を検出する冷却液温度検出部24が設けられている。ECU14(図1)は、例えば、冷却液温度検出部24で検出される水温が定められた温度以上になると、ラジエータ23のファン23aを回転駆動させ、またポンプ22により流量を増加させる等の制御を行う。冷却液温度検出部24で検出される水温は、後述する温度検出異常判定部30による異常判定にも用いられる。
<制御系について>
図5は、この駆動制御装置16の制御系のブロック図である。駆動制御装置16は、自動車全般の制御を行う電気制御ユニットであるECU14と、このECU14の指令に従って走行用の左右のモータ6,6の制御を行うインバータ装置13とを有する。ECU14は、電気自動車の場合、VCU(車両制御ユニット)とも称される。
インバータ装置13は、各モータ6に対してそれぞれ設けられたパワー回路部25,25と、これらパワー回路部25,25を制御するモータコントロール部26とを有する。モータコントロール部26は、各モータ6に対応するモータ駆動制御部27,27と、指令電流演算部28,28と、温度測定回路29a,29aと、温度検出異常判定部30と、トルク制限部31とを備える。モータコントロール部26は、このモータコントロール部26が持つインホイールモータ駆動装置IWM(図1)に関する各検出値および制御値等の各情報をECU14に出力する機能を有する。
各パワー回路部25は、バッテリ32の直流電力を各モータ6の駆動に用いる三相の交流電力に変換するインバータ25aと、このインバータ25aを駆動するゲートドライブ回路25bとを有する。各インバータ25aは、U相,V相,W相の半導体スイッチング素子(複数のスイッチング素子)33を含むハーフブリッジ回路で構成される。ゲートドライブ回路25bは、入力されたオンオフ指令を基に各半導体スイッチング素子(IGBT)33を駆動する。なお各インバータ25aはフルブリッジ回路で構成してもよい。
モータコントロール部26は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、および電子回路により構成され、その基本となる制御部としてモータ駆動制御部27,27を有する。各モータ駆動制御部27は、各系統を個別に制御する。図1および図5に示すように、ECU14の指令トルク演算部14aは、アクセル操作部20の出力するアクセル開度の信号(加速指令)と、ブレーキ操作部21の出力する減速指令とから、あるいは加速指令と減速指令と操舵手段15の出力する旋回指令とから、左右の後輪2,2のモータ6,6に与える加速・減速指令を指令トルクとして生成し、モータコントロール部26のトルク制限部31を介して各指令電流演算部28へ出力する。
図5に示すように、トルク制限部31は、ECU14の指令トルク演算部14aから指令トルクが送られてきた際に、必要に応じてトルク制限をかける。このトルク制限部31では、半導体スイッチング素子33、モータ6および油温度等が高温になった場合等に制限をかけ最悪駆動を停止する。また、後述するように温度検出異常判定部30から検出温度が異常だと判定された場合、トルク制限部31は、過熱状態にならない程度のトルク(例えば最大トルクの半分)に制限して制御を継続してもよいし、制御を停止させてもよい。
各指令電流演算部28は、ECU14からトルク制限部31を介して与えられる指令トルク等による加速・減速指令に対応する電流指令を演算し、各モータ駆動制御部27および後述する温度検出異常判定部30へ与える。各モータ駆動制御部27は、インバータ25aから各モータ6に流す電流を電流センサ34から得て、電流指令に対し、検出される電流を追従させる電流フィードバック制御を行う。フィードバック制御により指令電圧を算出し、指令電圧をパルス幅変調信号にして、ゲートドライブ回路25bにオンオフ指令を与える。
<温度検出部、冷却液温度検出部、温度検出異常判定部等について>
このインバータ装置13には、二つの温度検出部29,29が設けられている。一方の温度検出部29は、一方のモータ6を駆動するインバータ25aの複数の半導体スイッチング素子33のいずれか一つに設けられた測定部29bと、この測定部29bで測定された電圧等から成る測定値を温度に変換する温度測定回路29aとを有する。この一方の温度検出部29により、対応する半導体スイッチング素子33の温度を検出し得る。
他方の温度検出部29は、他方のモータ6を駆動するインバータ25aの複数の半導体スイッチング素子33のいずれか一つに設けられた測定部29bと、この測定部29bで測定された測定値を温度に変換する温度測定回路29aとを有する。この他方の温度検出部29により、対応する半導体スイッチング素子33の温度を検出し得る。各温度検出部29の測定部29bとして、例えば、温度センシング用のダイオードまたはサーミスタを適用し得る。各温度検出部29の温度測定回路29aとして、例えば、測定値をリニアライズ(直線化)する手段、高電圧と低電圧の間を絶縁して信号を伝達する手段、電圧増幅用のアンプ、フィルタ回路およびADコンバータ等が含まれる。
なお各温度検出部29は、例えば負電圧側のU相の半導体スイッチング素子33に測定部29bを固着してこの半導体スイッチング素子33の温度を検出しているが、この例に限定されるものではない。例えば、負電圧側の他の相の半導体スイッチング素子33、正電圧側のいずれかの相の半導体スイッチング素子33に測定部29bを固着してこの半導体スイッチング素子33の温度を検出してもよい。
冷却液温度検出部24は、循環経路19の途中に設けられる測定部24bと、ECU14に設けられ測定部24bで測定された測定値を温度に変換する温度測定回路24aとを有する。測定部24bとして、前記温度検出部29の測定部29bと同様に、例えば、温度センシング用のダイオードまたはサーミスタを適用し得る。また温度測定回路24aとして、例えば、測定値をリニアライズ(直線化)する手段、電圧増幅用のアンプ、フィルタ回路およびADコンバータ等が含まれる。
温度検出異常判定部30は、非通電時および通電時に、二つの温度検出部29,29および冷却液温度検出部24のいずれか一つまたは二つまたは全てに異常があるか否かを判定する。前記非通電時は、ECU14からモータコントロール部26に指令トルクが与えられていない各モータ6の通電停止時であり、前記通電時は、ECU14からモータコントロール部26に指令トルクが与えられている状態である。
図4に示すように、各インバータ25a,25aの冷却路18,18が直列に接続されている場合、図5に示すように、温度検出異常判定部30は、冷却液温度検出部24で検出される冷却液の温度と二つのインバータ25a,25aのスイッチング素子温度の比較により温度検出部29,29、冷却液温度検出部24の異常を判定する。これら温度検出部29,29、冷却液温度検出部24のいずれかの異常を総称して、温度検出部の異常という。温度検出部の異常は、例えば、(1)正常温度範囲から外れる場合、(2)正常な温度範囲内に入るが温度検出値が固定値となる場合、(3)正常な温度範囲内に入るが温度検出値が実際の温度からずれる場合等である。
<非通電時の異常判定について>
温度検出異常判定部30は、二つの温度検出部29,29で検出された二つのスイッチング素子33,33の温度および冷却液温度検出部24で検出された冷却液の温度のそれぞれの温度検出値の差が、定められた範囲内に入っていないとき、いずれかの温度検出部29,29,24に異常があると判定する。非通電時には、冷却液の温度と二つのインバータ25a,25aで略同じ温度となるはずだからである。
但し、通電時から非通電時に移行した直後であると、スイッチング素子温度が下がりきるのに時間がかかるので、温度検出異常判定部30は、図6に示すように、指令トルクが零となった後定められた時間t1の経過後異常判定を行うか、または、図7に示すように、指令トルクが零となった後二つの温度検出部29,29(図5)で検出された温度が定められた下降度合よりも小さくなったときに異常判定を行う。前記下降度合とは、単位時間当たりに下降する温度を言う。
また図5および図8に示すように、温度検出異常判定部30は、指令トルクが零となった後時間の経過に従って定められた範囲(閾値)Kを小さくする。この場合の指令トルクが零となった後の最初の閾値Kは、直前の電流値または電流の二乗の積算値等から決める。ここでいう電流値は、各指令電流演算部28から与えられる電流指令を用いてもよいし、電流センサ34で検出される電流を用いてもよい。
<通電時の異常判定について>
図3および図5に示すように、通電時、冷却液温度検出部24で検出した冷却液の温度と二つのインバータ25a,25aのスイッチング素子温の温度差は、上流にあるインバータ25aを通過したときの水温上昇分と、各インバータ25a,25aのスイッチング素子33,33の温度上昇分により発生する。
よって、温度検出異常判定部30は、各スイッチング素子温から、それぞれのスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uを減算し、下流側のインバータ25aについてはさらに水温上昇分を減算した値と、冷却液温度検出部24で検出した温度を含めた三つの温度のそれぞれの差が、定められた範囲内に入っているか確認する。定められた範囲内に入っていないとき、いずれかの温度検出部29,29,24に異常があると判定する。前記三つの温度のいずれも、両インバータ25a,25aの上流の水温相当になるため一致するはずである。なおこの例の異常判定の前提条件として、二つのインバータ25a,25aは一体もしくは別体で、別体の場合は水路上で二つのインバータ25a,25a間には他の冷却対象物は入らないこと、つまり、上流側の一方のインバータ25aの直ぐ下流には他方のインバータ25aがあることが挙げられる。
温度検出異常判定部30は、冷却液温度上昇値推定部30aと、スイッチング素子温度上昇値推定部30bとを有する。スイッチング素子温度上昇値推定部30bは、二つのインバータ25a,25aに通電する電流の指令値または検出値から、演算またはマップ等を用いて上流側および下流側のスイッチング素子33,33の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定する。電流の指令値または検出値と、スイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとの関係は、例えば、図10に示すマップ例等により予め定められている。
冷却液温度上昇値推定部30aは、上流側のインバータ25aに通電する電流の指令値または検出値から、演算またはマップ等で冷却液温度上昇推定値Tw1uとして推定する。電流の指令値または検出値と冷却液温度上昇推定値Tw1uとの関係は、図11に示すマップ例等により予め定められている。後述する冷却液温度上昇推定値Tw2uについても同じである。
冷却液温度上昇推定値Tw1uの推定に、前記電流の検出値を用いた場合、何らかの異常により電流が指令値より大きくまたは小さくなった場合でも正確に冷却液温度上昇推定値Tw1uの推定が行える。一方、前記電流の指令値を用いた場合、負荷変動または電圧変動、ノイズ、その他の外乱等により電流が変動した場合でも安定して冷却液温度上昇推定値Tw1uを算出することができる。
この通電時の異常判定では、図9に示すように、二つのスイッチング素子の温度T1,T2が飽和したときに異常判定を開始する。前記飽和したときとは、ある程度時間が経過した(所定時間経過した)とき、または温度変化の度合いが規定値以下になったときである。前記所定時間、前規定値は、試験またはシミュレーションのいずれか一方または両方により定められる。なお通電時において、スイッチング素子温度が飽和する前の過渡期も異常判定を行う場合、電流値の二乗の積分値と放熱量から常時スイッチング素子温度を推定してもよい。
なお図3および図5に示すように、スイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uは、各インバータ25aに入る直前の冷却液温からの上流側および下流側のスイッチング素子33,33の温度上昇値である。厳密にいうと、温度測定ポイントまでの経路で冷却液温が上昇している可能性があるが、インバータ直前から温度測定ポイントまでの冷却液温上昇分も含めた温度である。
以下に異常判定方法を纏めて示す。なお、水路上でインバータ25a,25aが直列に設置される場合、インバータ25aが上流、インバータ25aが下流に設置されているものとする。後述する他の実施形態についても同じである。
T1:インバータ25aのスイッチング素子の温度検出値
T2:インバータ25aのスイッチング素子の温度検出値
Tw1u:上流側のインバータでの冷却液温度上昇推定値
K:定められた範囲
T1u:インバータ25aのスイッチング素子温度上昇推定値
T2u:インバータ25aのスイッチング素子温度上昇推定値
Tw:冷却液温度検出部24の温度検出値
1.非通電時
|T1-T2|>K 成立で異常
|Tw-T1|>K 成立で異常
|Tw-T2|>K 成立で異常
二つの温度検出値の比較で異常となった温度は、対象となる温度検出部を異常と判定。
2.通電時
2-1.直列:Twと(T1-T1u)と(T2-T2u-Tw1u)を比較
|Tw-(T1-T1u)|>K …式(1)
|Tw-(T2-T2u-Tw1u)|>K …式(2)
|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)| …式(3)
式1、式2および式3のうち二つの式が成立した場合、前記二つの式に共通する温度検出部を異常と判定。
2-2.並列(後述する):Twと(T1-T1u)と(T2-T2u)を比較
|Tw-(T1-T1u)|>K …式(4)
|Tw-(T2-T2u)|>K …式(5)
|(T1-T1u)-(T2-T2u)|>K …式(6)
式4、式5および式6のうち二つの式が成立した場合、前記二つの式に共通する温度検出部を異常と判定。
<作用効果について>
以上説明した駆動制御装置16によれば、温度検出異常判定部30は、一方のモータ6を駆動するインバータ25aのスイッチング素子33、および他方のモータ6を駆動するインバータ25aのスイッチング素子33の温度をそれぞれ検出する二つの温度検出部29,29で検出された温度と、冷却液温度検出部24で検出された冷却液の温度との三つの温度を、そのまままたは定められた条件に従って演算してそれぞれの値の差が定められた範囲内に入っているか否か判定する。モータ搭載自動車の停車時である非通電時であれば、例えば、半導体スイッチング素子33、ヒートシンク、インバータ25a,25aを冷却する冷却液の温度等が上昇していないため、冷却液と二つのインバータ25a,25aは略同じ温度となるはずである。このため、単純に前記三つの温度を互いに比較することで、異常が発生した温度検出部29,29,24を特定することができる。通電時では、前記三つの温度に対しスイッチング素子温度上昇値および水温上昇分を加味した値を比較することで、前記と同様に異常が発生した温度検出部29,29,24を特定することができる。したがってインバータ25a,25aのスイッチング素子33の温度を精度よく検出することができる。
温度検出異常判定部30は、指令トルクが零となった後定められた時間の経過後の各モータ6の非通電時に異常判定を行うか、または指令トルクが零となった後二つの温度検出部29,29で検出された温度が定められた下降度合よりも小さくなった各モータ6の非通電時に異常判定を行う。この場合、非通電時であっても直前まで電流を流していたことによる温度上昇分を考慮することができる。
温度検出異常判定部30は、指令トルクが零となった後定められた時間を経過させることで、例えば、温められたヒートシンク等も冷却水により冷やされて、略水温に近い値まで二つのスイッチング素子温度が下がる。また、その際に温度の下降度合が冷却水温に近づくにつれて小さくなるため、温度の下降度合が小さくなったことで二つのスイッチング素子温度が水温に近い値になってきたことが推測できる。
温度検出異常判定部30が、指令トルク「零」の後時間の経過に従って定められた範囲を小さくする場合、温度検出部29の異常を判定するタイミングを早めることができる。すなわち、非通電時間が短くても温度検出部29の異常を判定することができる。
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図3のインバータの冷却路の接続例に代えて、以下の構成であってもよい。
図12(A)に示すように、二つのインバータ25a,25aが別体であり、上流側の一方のインバータ25aの下流に、他の冷却対象物を介在させることなく他方のインバータ25aが接続されてもよい。
図12(B)に示すように、二つのインバータ25a,25aが一体構造で、下流側のインバータ25aとポンプ22との間の循環経路途中に冷却液温度検出部24が設けられてもよい。
図12(C)に示すように、二つのインバータ25a,25aが別体で、下流側のインバータ25aとポンプ22との間の循環経路途中に冷却液温度検出部24が設けられてもよい。
図13(A),(B)に示すように、二つのインバータ25a,25aが一体構造で、これらの冷却路18,18が並列に接続されてもよい。前記並列における非通電時の異常判定は、前述の直列における非通電時の異常判定と同じである。
図14(A)に示すように、二つのインバータ25a,25aが別体で二つの冷却路18,18が並列に接続されていてもよい。
<冷却路18,18が並列、通電時の異常判定について>
図5,図13(A),(B)および図14(A)に示すように、通電時の冷却液温度検出部24の温度検出値と二つのインバータ25a,25aのスイッチング素子33,33の温度検出値との温度差は、各インバータ25aのスイッチング素子33の温度上昇分により発生する。
よって、温度検出異常判定部30は、各インバータ25aのスイッチング素子33の温度検出値から、それぞれのスイッチング素子温度上昇値を減算し、冷却液温度検出部24の温度検出値を含めた三つの温度のそれぞれの差が定められた範囲内に入っているか確認する。いずれも、両インバータ25a,25aの上流の水温相当になるため一致するはずである。なお、異常判定の前提条件として、水路が分岐してから二つのインバータ25a,25aに入るまでに冷却対象物(過熱物)がないこと、また、冷却液温度検出部24は二つのインバータ25a,25aの上流かつ間に冷却対象物がないことが挙げられる。
<下流に冷却液温度検出部24が設けられている場合の異常判定方法について>
T1:インバータ25aのスイッチング素子の温度検出値
T2:インバータ25aのスイッチング素子の温度検出値
Tw1u:上流側のインバータでの冷却液温度上昇推定値
Tw2u:下流側のインバータでの冷却液温度上昇推定値
K:定められた範囲
T1u:インバータ25aのスイッチング素子温度上昇推定値
T2u:インバータ25aのスイッチング素子温度上昇推定値
Tw:冷却液温度検出部24の温度検出値
なお異常判定する制御主体は温度検出異常判定部30(図5)である。また冷却液温度上昇値推定部30aは、下流側のインバータ25aに通電する電流の指令値または検出値から、演算またはマップ等で冷却液温度上昇推定値Tw2uとして推定する。
1.非通電時
直列、並列共に、上流に冷却液温度検出部24が設けられている場合(図3)と同様である。
2.通電時
2-1.直列(図12(B),(C)):(Tw-Tw2u-Tw1u)と(T1-T1u)と(T2-T2u-Tw1u)を比較
|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T1-T1u)|>K …式(7)
|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T2-T2u-Tw1u)|>K …式(8)
|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|>K …式(9)
式7、式8および式9のうち二つの式が成立した場合、前記二つの式に共通する温度検出部を異常と判定。
2-2.並列(図14(B),(C)):(Tw-(Tw1u+Tw2u)/2)と(T1-T1u)と(T2-T2u)を比較
|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T1-T1u)|>K …式(10)
|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T2-T2u)|>K …式(11)
|(T1-T1u)-(T2-T2u)|>K …式(12)
式10、式11および式12のうち二つの式が成立した場合、前記二つの式に共通する温度検出部を異常と判定。尚、前記2つの冷却路18、18は圧力損失が同じで流量も同じになるものとしているため、2つのインバータ25a、25aによる冷却液の温度上昇を各冷却路18、18での冷却液温度上昇推定値の平均で求めている。もし圧力損失及び流量が異なる場合は、各流量と各冷却液温度上昇推定値を用いて2つのインバータ25a、25aによる冷却液の温度上昇を算出する必要がある。例えば、2つのインバータ25a、25aの流量をLa、Laとすると次式より求められる。
{(Tw1u×La)+ (Tw2u×La)}/(La+La)
図5,図12(B),(C)に示すように、下流に冷却液温度検出部24が設けられ、二つの冷却路18,18が直列の場合、通電時の冷却液温度検出部24の温度検出値と、二つのインバータ25a,25aのスイッチング素子33,33の温度検出値との温度差は、各インバータ25aを通過したときの水温上昇分と、各インバータ25aのスイッチング素子33の温度上昇分により発生する。
よって、温度検出異常判定部30は、各スイッチング素子温から、それぞれのスイッチング素子温度上昇値を減算し、下流側のインバータ25aについてはさらに水温上昇分を減算した値と、冷却液温度検出部24の温度検出値から両インバータ25a,25aによる水温上昇分を減算した値の三つの温度のそれぞれの差が定められた範囲内に入っているか確認する。いずれも、両インバータ25a,25aの上流の水温相当になるため一致するはずである。
図5,図14(B),(C)に示すように、下流に冷却液温度検出部24が設けられ、二つの冷却路18,18が並列の場合、通電時の冷却液温度検出部24の温度検出値と、二つのインバータ25a,25aのスイッチング素子33,33の温度検出値との温度差は、各インバータ25aを通過したときの水温上昇分と、各インバータ25aのスイッチング素子33の温度上昇分により発生する。ここで、二つのインバータ25a,25aに入る分岐前の水温と二つのインバータ25a,25aを通って合流した後の水温の差(二つのインバータ25a,25aで上昇させた水温)は、流量がちょうど半分になる場合は、二つのインバータ25a,25aで上昇させた水温上昇値の平均となる。仮に流量が変わる場合は、その割合に応じた計算により求める。
よって、温度検出異常判定部30は、各スイッチング素子温から、それぞれのスイッチング素子温度上昇値を減算した値と、冷却液温度検出部24の温度検出値から両インバータ25a,25aによる水温上昇分(流量が同じ場合は二つ水温上昇値の平均値)を減算した値の三つの温度のそれぞれの差が定められた範囲内に入っているか確認する。いずれも、両インバータ25a,25aの上流の水温相当になるため一致するはずである。
インホイールモータ駆動装置においては、サイクロイド式の減速機、遊星減速機、2軸並行減速機、その他の減速機を適用可能である。また、前記の実施形態のインホイールモータ駆動装置においては、後輪駆動を示したが、前輪駆動でも4輪駆動としても良い。
前記の実施形態においては、インホイールモータ駆動装置を備えた電気自動車に駆動制御装置を適用した例を説明したが、図15に示すように、車体1に二台のモータ6,6および各モータ6に対応する減速機7,7を設け、これらモータ6,6により左右の車輪3,3を駆動する二モータオンボードタイプのモータ搭載自動車に、駆動制御装置16を備えても良い。図15において、モータ6で駆動する左右の車輪は前後輪3,2のいずれであっても良い。また、4輪駆動としても良い。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2…車輪(駆動輪)
6…モータ
18…冷却路
19…循環経路
22…ポンプ
23…ラジエータ
24…冷却液温度検出部
25…パワー回路部
25a…インバータ
26…モータコントロール部
29…温度検出部
30…温度検出異常判定部
30a…冷却液温度上昇値推定部
30b…スイッチング素子温度上昇値推定部
33…スイッチング素子
Rk…冷却機構

Claims (12)

  1. 左右の駆動輪を駆動する二つのモータをそれぞれ独立して駆動可能な車両に搭載され、直流電力を前記各モータの駆動に用いる交流電力に変換する二つのインバータを含むパワー回路部と、与えられる指令トルクに従って前記パワー回路部を介して前記各モータを制御するモータコントロール部とを備え、前記各インバータは、複数のスイッチング素子の開閉により直流電力を交流電力に変換するモータ搭載自動車の駆動制御装置において、
    前記各インバータを冷却液で冷却する冷却機構を備え、
    一方のモータを駆動するインバータの複数のスイッチング素子のいずれか一つ、および他方のモータを駆動するインバータの複数のスイッチング素子のいずれか一つに設けられて対応するスイッチング素子の温度をそれぞれ検出する二つの温度検出部と、
    前記冷却液の温度を検出する冷却液温度検出部と、
    前記二つの温度検出部で検出された対応するスイッチング素子の温度と、前記冷却液温度検出部で検出された冷却液の温度との三つの温度を、そのまままたは定められた条件に従って演算してそれぞれの値の差が定められた範囲内に入っているとき、前記二つの温度検出部および前記冷却液温度検出部が正常であり、いずれかの値の差が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの温度検出部および前記冷却液温度検出部のいずれか一つまたは二つまたは全てに異常があると判定する温度検出異常判定部と、を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、前記モータコントロール部に指令トルクが与えられていない前記各モータの非通電時に、対応する二つのスイッチング素子の温度および前記冷却液の温度のそれぞれの温度検出値の差が、定められた範囲内に入っているかを確認し、対象とする温度検出部につき、他の二つの温度検出値との差が共に定められた範囲内に入っていないとき、前記対象とする温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  3. 請求項2に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、前記指令トルクが零となった後定められた時間の経過後の前記各モータの非通電時に異常判定を行うか、または前記指令トルクが零となった後二つの前記温度検出部で検出された温度が定められた下降度合よりも小さくなった前記各モータの非通電時に異常判定を行うモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、前記指令トルクが零となった後時間の経過に従って前記定められた範囲を小さくするモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記冷却機構は、前記各インバータに冷却液を個別に流す二つの冷却路と、各冷却路にわたる循環経路に冷却液を循環させるポンプと、前記冷却液を冷却するラジエータとを備え、前記二つの冷却路が直列に接続され、前記ラジエータに対し前記循環経路における前記二つの冷却路の上流側に前記冷却液温度検出部が設けられ、
    前記温度検出異常判定部は、前記モータコントロール部から前記指令トルクが与えられている前記各モータの通電時に、前記ラジエータに対し前記循環経路の上流側のインバータに通電する電流の指令値または検出値から、冷却液の温度上昇値を冷却液温度上昇推定値Tw1uとして推定する冷却液温度上昇値推定部と、前記二つのインバータに通電する電流の指令値または検出値から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子および前記ラジエータに対し前記循環経路の下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部と、を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  6. 請求項5に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、
    前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T1-T1u)|) …式(1)、
    前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(2)、
    前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(3)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式1、式2および式3のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  7. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記冷却機構は、前記各インバータに冷却液を個別に流す二つの冷却路と、各冷却路にわたる循環経路に冷却液を循環させるポンプと、前記冷却液を冷却するラジエータとを備え、前記二つの冷却路が並列に接続され、前記ラジエータに対し前記循環経路における前記二つの冷却路の上流側に前記冷却液温度検出部が設けられ、
    前記温度検出異常判定部は、前記モータコントロール部から前記指令トルクが与えられている前記各モータの通電時に、前記二つのインバータに通電する電流の指令値または検出値から、前記二つのインバータにおける前記スイッチング素子の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  8. 請求項7に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、
    一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T1-T1u)|) …式(4)、
    他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twとの差(|Tw-(T2-T2u)|) …式(5)、
    一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u)|) …式(6)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式4、式5および式6のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  9. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記冷却機構は、前記各インバータに冷却液を個別に流す二つの冷却路と、各冷却路にわたる循環経路に冷却液を循環させるポンプと、前記冷却液を冷却するラジエータとを備え、前記二つの冷却路が直列に接続され、前記ラジエータに対し前記循環経路における前記二つの冷却路の下流側に前記冷却液温度検出部が設けられ、
    前記温度検出異常判定部は、
    前記モータコントロール部から前記指令トルクが与えられている前記各モータの通電時に、各インバータに通電する電流の指令値または検出値から、前記各インバータでの冷却液の温度上昇値を冷却液温度上昇推定値Tw1u,Tw2uとして推定する冷却液温度上昇値推定部と、
    前記二つのインバータに通電する電流の指令値または検出値から、上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子および前記ラジエータに対し前記循環経路の下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部と、を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  10. 請求項9に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、
    上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値(T1-T1u)と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twから、前記冷却液温度上昇値推定部で推定した下流側の前記インバータでの冷却液温度上昇推定値Tw2u、上流側の前記インバータでの冷却液温度上昇推定値Tw1uをそれぞれ減算した値(Tw-Tw2u-Tw1u)との差(|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T1-T1u)|) …式(7)、
    下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値(T2-T2u)に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値(T2-T2u-Tw1u)と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twから、前記冷却液温度上昇値推定部で推定した下流側の前記インバータでの冷却液温度上昇推定値Tw2u、上流側の前記インバータでの冷却液温度上昇推定値Tw1uをそれぞれ減算した値(Tw-Tw2u-Tw1u)との差(|(Tw-Tw2u-Tw1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(8)、
    上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記上流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記下流側の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値に対し、前記冷却液温度上昇推定値Tw1uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u-Tw1u)|) …式(9)、がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式7、式8および式9のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  11. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記冷却機構は、前記各インバータに冷却液を個別に流す二つの冷却路と、各冷却路にわたる循環経路に冷却液を循環させるポンプと、前記冷却液を冷却するラジエータとを備え、前記二つの冷却路が並列に接続され、前記ラジエータに対し前記循環経路における前記二つの冷却路の下流側に前記冷却液温度検出部が設けられ、
    前記温度検出異常判定部は、前記モータコントロール部から前記指令トルクが与えられている前記各モータの通電時に、前記二つのインバータに通電する電流の指令値または検出値から、前記二つのインバータにおける前記スイッチング素子の温度上昇値をそれぞれスイッチング素子温度上昇推定値T1u,T2uとして推定するスイッチング素子温度上昇値推定部を有するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
  12. 請求項11に記載のモータ搭載自動車の駆動制御装置において、前記温度検出異常判定部は、
    一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twから、前記二つの冷却路での冷却液温度上昇推定値の平均を減算した値(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2|)との差(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T1-T1u)|) …式(10)、
    他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値と、前記冷却液温度検出部で検出した冷却液の温度Twから、前記二つの冷却路での冷却液温度上昇推定値の平均を減算した値(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2|)との差(|Tw-(Tw1u+Tw2u)/2-(T2-T2u)|) …式(11)、
    一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T1から、前記一方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T1uを減算した値と、他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子を対応する温度検出部で検出した温度検出値T2から、前記他方の前記インバータにおける前記スイッチング素子のスイッチング素子温度上昇推定値T2uを減算した値との差(|(T1-T1u)-(T2-T2u)|) …式(12)がそれぞれ定められた範囲内に入っているか確認し、式10、式11および式12のうちのいずれか二つの式で演算した値が定められた範囲内に入っていないとき、前記二つの式に共通する温度検出部に異常があると判定するモータ搭載自動車の駆動制御装置。
JP2017242490A 2017-12-18 2017-12-19 モータ搭載自動車の駆動制御装置 Active JP7021927B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017242490A JP7021927B2 (ja) 2017-12-19 2017-12-19 モータ搭載自動車の駆動制御装置
PCT/JP2018/046359 WO2019124311A1 (ja) 2017-12-18 2018-12-17 モータ搭載自動車の駆動制御装置
CN201880081472.0A CN111491821B (zh) 2017-12-18 2018-12-17 装载马达的汽车的驱动控制装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017242490A JP7021927B2 (ja) 2017-12-19 2017-12-19 モータ搭載自動車の駆動制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019110682A JP2019110682A (ja) 2019-07-04
JP7021927B2 true JP7021927B2 (ja) 2022-02-17

Family

ID=67180356

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017242490A Active JP7021927B2 (ja) 2017-12-18 2017-12-19 モータ搭載自動車の駆動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7021927B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021100300A (ja) * 2019-12-20 2021-07-01 Ntn株式会社 車輪独立駆動式車両の駆動制御装置および駆動制御方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003286888A (ja) 2002-03-27 2003-10-10 Honda Motor Co Ltd 温度センサの異常を検出する車両の制御装置
JP2015139333A (ja) 2014-01-24 2015-07-30 Ntn株式会社 モータ搭載自動車の駆動制御装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007060866A (ja) * 2005-08-26 2007-03-08 Mitsubishi Electric Corp 車載用電動機制御装置
JP4945515B2 (ja) * 2008-06-25 2012-06-06 日立オートモティブシステムズ株式会社 温度センサ診断装置
JP5776636B2 (ja) * 2012-06-20 2015-09-09 株式会社デンソー 温度検出装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003286888A (ja) 2002-03-27 2003-10-10 Honda Motor Co Ltd 温度センサの異常を検出する車両の制御装置
JP2015139333A (ja) 2014-01-24 2015-07-30 Ntn株式会社 モータ搭載自動車の駆動制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019110682A (ja) 2019-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7095984B2 (ja) モータ搭載自動車の駆動制御装置
US10516363B2 (en) Apparatus for controlling motor
JP5378264B2 (ja) 電気自動車のインバータ冷却装置
RU2419959C1 (ru) Устройство управления и способ управления двигателем
US8373367B2 (en) Dynamo-electric machine control system and vehicle driving system including the same
CN106998169B (zh) 电力变换装置
US20140027089A1 (en) Cooling system and vehicle with the same
EP3041126B1 (en) Sensor abnormality determining apparatus
CN106330035A (zh) 旋转电机控制装置
WO2017203693A1 (ja) 電力変換装置の温度異常検出方法および電力変換装置の温度異常検出装置
JP2010068641A (ja) 駆動装置およびその制御方法並びに車両
JP2009284597A (ja) パワーコントロールユニットの冷却装置
WO2016076142A1 (ja) 各輪独立駆動式車両の駆動制御装置
JP5919012B2 (ja) 車両駆動用電動機の制御装置
JP2015139333A (ja) モータ搭載自動車の駆動制御装置
JP7021927B2 (ja) モータ搭載自動車の駆動制御装置
WO2018173936A1 (ja) 異常診断装置
JP6455097B2 (ja) 冷却システム
CN111491821B (zh) 装载马达的汽车的驱动控制装置
JP5462121B2 (ja) モータ制御装置
JP4738549B2 (ja) 電気車の電力変換装置
JP7135879B2 (ja) 電力変換装置
JP2013031365A (ja) 回転電機システム制御装置
JP2021005967A (ja) 駆動制御装置
JP2005354773A (ja) モータ駆動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201127

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20210106

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20210203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7021927

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150