JP7020457B2 - シャローバス型酸洗装置 - Google Patents

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Description

本発明は、酸洗槽の底部におけるスラッジの堆積を抑制することのできるシャローバス型酸洗装置に関する。
熱間圧延後の鋼帯は、冷間圧延を行う前に、鋼帯表面に付着したスケール等を除去するために酸洗が施される。具体的には、酸洗液を収容した酸洗槽を通板方向に複数並べ、これら複数の酸洗槽中を連続的に通板しながら鋼帯を酸洗液に浸漬させることによって酸洗が行われることがある。
酸洗方式としては、噴流酸洗方式(Box噴流方式ともいう。)、Deep槽方式、Shallow槽方式等が挙げられる。噴流酸洗方式は、噴射ノズルを用いて酸洗液を鋼帯に直接吹き付ける方法である。噴流酸洗方式では、酸洗液の噴流を鋼帯に当たりやすくするために、非常に浅底の水槽を酸洗槽として用いる、或いは酸洗槽内に別途箱(Box)を設けて該箱内で噴流を発生させることが行われる。噴流酸洗方式は、鋼帯の洗浄効率を高められるが、設備の導入コスト等が大きいという問題がある。
また、Deep槽方式は、深底の酸洗槽中において、鋼帯を大きく垂らしながら(カテナリが大きい状態で)通板する方法である。Deep槽方式では、多量の酸液を保持する必要があり、液面制御が困難で通板速度を上げられないという問題がある。
一方で、Shallow槽方式を採用したシャローバス型酸洗装置は、中程度に浅底の酸洗槽内において、鋼帯に張力をかけることでカテナリを小さくしつつ通板を行う、装置である。シャローバス型酸洗装置では、前段の酸洗槽と後段の酸洗槽との間に堰板が設けられる。シャローバス型酸洗装置における酸洗液の攪拌は、堰板を介した後段の酸洗槽から前段の酸洗槽への酸洗液の溢流と、鋼帯の通板に伴う随伴流とによって行われることを想定している。シャローバス型酸洗装置は、構造がシンプルでありかつ低コストで建設可能であるため、既に広く普及している。
ただし、シャローバス型酸洗装置では、鋼帯が張力をかけられた状態で酸洗槽中の液面近くを通板されていくので、鋼帯と酸洗槽の底面との間の距離が相対的に大きく、酸洗槽の底部において液の流れが発生しにくいという問題がある。これにより、酸洗槽の底部において酸洗液の滞留が生じ、鋼帯の洗浄に伴って発生するスラッジが酸洗槽の底部に堆積しやすくなる。スラッジが堆積しやすいことにより、頻繁に通板を停止した上で酸洗槽の清掃作業を行わなければならず、生産性が低下してしまう。
例えば、熱間圧延後の普通鋼、珪素鋼等の鋼帯の表面に発生したスケールを連続的に除去する場合、鋼帯を酸洗したときに、表面スケールや金属と酸洗液とからなる化合物がスラッジとなって酸洗槽内の底部に堆積・凝集する。酸洗槽内の底部へのスラッジの堆積・凝集が進行すると、酸洗槽内に配置されて酸洗液を加熱する熱交換器の一部がスラッジに埋もれたり、凝集し粗大化したスラッジが鋼帯の随伴流により大量に酸洗液中に舞い上がり、鋼帯に付着して鋼帯の品質異常を起こしたりするため、堆積量が限界値に達する前に酸洗槽内のスラッジの除去作業を行う必要がある。
スラッジの除去作業は、酸洗槽から酸洗液を抜いた後に外部からスラッジを吸引して除去したり、人手でスラッジを浚って除去したりして行っているが、このような除去作業では、定期的に操業を停止する必要が有り、生産性が低下してしまう。
これに対して、操業中にスラッジを除去する方法として、酸洗槽内の底面に堆積したスラッジを吸引又は排出口に導入する方式(特許文献1、2参照)と、酸洗槽内に設置したエジェクタ又はノズルから酸洗液を吹き込んでスラッジを懸濁状態で酸洗槽外に排出する方法(特許文献3、4、5、6参照)が知られている。
また、特許文献7には、酸洗槽内の底面に噴射ノズルを設置し、噴流によってスラッジの堆積を抑制する方法が開示されている。
特開平06-128773号公報 特開2000-334218号公報 特開平10-324987号公報 特開平10-018068号公報 特開2004-353031号公報 特開2016-176132号公報 特開2018-090891号公報
シャローバス型の酸洗槽では、酸洗槽間の堰を境に後段の酸洗槽ほど酸液の液面高さが段階的に高くなるように、それぞれ所定量の酸液が収容されている。その液面レベルは、槽内の鋼帯パスラインより所定量(約100mm)だけ高くなるように、鋼帯の通板運転の開始に先立つ液入れ作業により調整される。酸洗槽に対する酸液の補給は、酸液供給配管により最後段の酸洗槽において適時(連続的ないし断続的に)行われるが、前述したように、酸洗槽の底部から上部への酸液の流れは非常に緩やかで、鋼帯(特に、高いシリコン成分を含有する鋼帯)と酸洗液の反応によって副生されたスラッジ(粒径がφ300μm以下のスラッジ粒子)が酸洗槽の底部に相当量(例えば、高さ300mm/3ヶ月)堆積するという問題があった。
これに対して、前記特許文献1、2のように、酸洗槽内の底面に堆積したスラッジを吸引する方式は、槽内配管の設置とともに槽内配管の駆動装置が必要となり費用が掛かるという問題がある。
また、前記特許文献3~6のように、酸洗液を吹き込んでスラッジを懸濁状態で酸洗槽外に排出する方法は、堆積したスラッジを取り除くために必要な酸洗液の吹き込み量が多くなるという問題がある。
さらに、特許文献7のように、単に酸洗槽の底部に噴射ノズルを設けるだけでは、噴流によってスラッジが一時的に巻き上げられるものの、結局は槽内の流れが滞留する場所にスラッジが堆積するという問題が生じうる。本発明者らの検討によると、スラッジが槽の入側に設けられた堰板と衝突する等の理由により、スラッジは槽内の出側よりも入側にて滞留しやすいことが見出された。よって、槽内の位置に応じた噴射ノズルの配置を考慮せずに単に噴射ノズルを設置するだけでは、槽内の入側にスラッジが滞留するという問題を解消することが難しい。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、酸洗液を収容した酸洗槽が鋼帯の通板方向に複数配置され、通板方向の後段の酸洗槽から通板方向の前段の酸洗槽に向かって、隣り合う酸洗槽の間に設けられた堰板を超えて酸洗液が溢流し、前記酸洗槽に収容された酸洗液中を鋼帯が通板されるシャローバス型酸洗装置について、酸洗槽の底部におけるスラッジの堆積、特に酸洗槽の入側でのスラッジの堆積を抑制することのできるシャローバス型酸洗装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。
[1]酸洗液を収容した酸洗槽が鋼帯の通板方向に複数配置され、通板方向の後段の酸洗槽から通板方向の前段の酸洗槽に向かって、隣り合う酸洗槽の間に設けられた堰板を超えて酸洗液が溢流し、前記酸洗槽に収容された酸洗液中を鋼帯が通板されるシャローバス型酸洗装置において、少なくともいずれか一つの酸洗槽の底部に、酸洗液を鋼帯の通板方向と逆方向に向かって上向きに噴出する噴射ノズル群が設けられ、前記噴射ノズル群は、前記通板方向に複数列設けられ、入側の噴射ノズル群を構成する噴射ノズルの数は、出側の噴射ノズル群を構成する噴射ノズルの数よりも大きいことを特徴とするシャローバス型酸洗装置。
[2]前記噴射ノズルの噴射口の高さ位置は、酸洗槽の底面から80mm以内であることを特徴とする前記[1]に記載のシャローバス型酸洗装置。
[3]前記噴射ノズルの仰角は、10°~15°であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のシャローバス型酸洗装置。
[4]前記噴射ノズル群は、通板方向の最前段の酸洗槽に設けられていることを特徴とする前記[1]~[3]のいずれかに記載のシャローバス型酸洗装置。
本発明によれば、酸洗槽内におけるノズルの数及び配置を調節することで、槽内の液流を制御し、これにより酸洗槽の底部におけるスラッジの堆積、特に酸洗槽の入側でのスラッジの堆積を抑制することのできるシャローバス型酸洗装置を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るシャローバス型酸洗装置の基本構成を示す図である。 図2は、酸洗槽の底部における噴射ノズルの配置の一例を示す図である。 図3は、図2の噴射ノズル群の拡大図であり、図3(a)はノズル用配管12の拡大図であり、図3(b)は噴射ノズル11の拡大図である。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1は、本発明の一実施形態に係るシャローバス型酸洗装置の基本構成を示す図である。図1(a)は側面図であり、図1(b)は平面図である。
シャローバス型酸洗装置1では、鋼帯5の通板方向に沿って酸洗槽が複数配置されており、ここでは、3個の酸洗槽2a~2c(総称して、「酸洗槽2」と称することがある。)が設けられる。酸洗槽2中には酸洗液4が収容される。隣り合う酸洗槽と酸洗槽との間には堰板3a、3bが設けられる。詳細については図示していないが、最後段の酸洗槽2cには、連続的又は断続的に新しい酸洗液4が補給される。各酸洗槽2において酸洗液が過剰となると、順に堰板3b及び3aを超えて酸洗液4が溢流し、最後段の酸洗槽2c側から最前段の酸洗槽2a側に向かって酸洗液が流れる。図示は省略しているが、最前段の酸洗槽2aにおいて過剰となった酸洗液4は、オーバーフロー配管等によって槽外へと排出される。図1の例では、後段側の堰板3bよりも前段側の堰板3aの方が低くなっており、後段側の酸洗槽よりも前段側の酸洗槽の方が酸洗液の液面が段階的に低くなっている。尚、酸洗槽の数は図1の例に限定されるものではない。また、シャローバス型酸洗装置1では、一般に用いられている噴流酸洗方式の装置と異なり、酸洗槽内に別途箱(Box)を設ける必要はない。
酸洗槽2の酸洗液4の中を鋼帯5が連続的に浸漬されることにより、鋼帯5の表裏面に付着したスケール等の洗浄が行われる。鋼帯5の通板は、最前段の酸洗槽2aのさらに前段に設けられたピンチロール6、及び最後段の酸洗槽2cのさらに後段に設けられるリンガーロール7によって張力をかけられた状態で通板される。これにより、鋼帯5は、ほとんど下方へ垂れることなく、略水平状態で通板される。鋼帯5に張力をかけた状態で通板することで、酸洗槽を深底とする必要がなく、酸洗に必要な酸洗液の容量を少なくすることができるとともに液面の制御が容易となる。このように、鋼帯5は、前段の酸洗槽2aから後段の酸洗槽2cへ向かって、堰板での溢流による酸洗液4の流れとは逆方向へ通板される。
また、各酸洗槽2中には、槽の底面から上方へ突出したスキッド8と、スキッド8に接するシールロール9とが設けられている。鋼帯5は、スキッド8とシールロール9との間を挟まれながら通板される。尚、シールロール9の下面は、液面4a~4cよりも下方に位置する。
シャローバス型酸洗装置1では、鋼帯5が酸洗液4の液面近傍を通板される。鋼帯5の上面と液面4a~4cとの距離は相対的に小さく、鋼帯5の下面と酸洗槽2a~2cの底部との距離は相対的に大きい。一例として、酸洗槽の底面から液面までの高さに対する、酸洗槽の底面から鋼帯のパスライン(鋼帯の下面高さ)までの距離(距離Aとする。)の割合は、80%~90%程度であればよい。また、前述した距離Aの一例としては、80mm~120mm程度を挙げることができる。
また、シャローバス型酸洗装置では、前述した堰板を介した出側の酸洗槽から入側の酸洗槽への酸洗液の溢流と、鋼帯の通板時において鋼帯近傍に生じる酸洗液の随伴流とによって、酸洗液の攪拌がなされる。
酸洗液の溢流によると、鋼帯よりも上側における酸洗液、つまり液面の近傍における酸洗液の攪拌がなされる。一方で、鋼帯よりも下側に位置する酸洗液は、鋼帯自身によって溢流が阻害されることもあって攪拌されにくい。
酸洗液の随伴流によると、鋼帯の上下面近傍における酸洗液の攪拌がなされる。しかし、シャローバス型酸洗装置のように、鋼帯と酸洗槽の底部との距離が相対的に大きい条件では、酸洗槽の底部における酸洗液の攪拌は起こりにくい。
次に、図2は、本発明の一実施形態に係るシャローバス型酸洗装置の要部を示す図である。図2(a)は側面図であり、図2(b)は平面図である。
上述のように、シャローバス型酸洗装置では、酸洗槽の底部において酸洗液が滞留しやすく、鋼帯と酸洗液の反応によって副生されたスラッジが酸洗槽の底部に堆積するという問題がある。そこで、本実施形態では、図2に示すように、酸洗槽2の底部に、酸洗液を鋼帯5の通板方向と逆方向に向かって上向きに噴出する噴射ノズル11を設置することによって、酸洗槽2の底部における酸洗液の攪拌を促進して、スラッジが酸洗槽の底部に堆積するのを抑制する。
詳しくは、酸洗槽2の底部に鋼帯5の通板方向と直交する方向に延びるように、ノズル用配管12を設置し、そのノズル用配管12に、鋼帯5の通板方向と逆方向に向かって上向きに酸洗液を噴出するように噴射ノズル11を設置する。なお、ノズル用配管12は、酸洗槽2外に配置したポンプ(図示せず)に連結させる。また、スラッジの粒径から求まる重力と浮力と、酸洗液中を移動時に発生する抵抗とから、スラッジが浮遊するために必要な流速を計算しておく。そして、酸洗槽2外に配置したポンプを使用して、酸洗槽2内に設置されている液抜き配管(図示せず)を経由させて酸洗液の一部を一度酸洗槽2外に引き抜き、スラッジが堆積しやすい個所において、スラッジが浮遊するために必要な流速以上の流速が得られるように、噴射ノズル11から酸洗液を再び酸洗槽2内に噴出させる。これによって、酸洗槽2の底部に向かって沈降しているスラッジ(場合によっては、既に酸洗槽2の底部に堆積しているスラッジも含めて)を浮遊させて、酸洗槽2からオーバーフローする酸洗液とともに酸洗槽2外へと排出させる。
1本のノズル用配管12に設けられた一連の噴射ノズル11を、噴射ノズル群と称する。尚、1本のノズル用配管12に、一つの噴射ノズル11のみが設けられることもあるが、当該例も噴射ノズル群とする。ノズル用配管12が通板方向に複数本配置されることで、噴射ノズル群は通板方向に複数列設けられる。尚、各噴射ノズル群は、鋼帯の幅方向に沿って設けられることが好ましい。この場合に、各噴射ノズル群(より具体的には各ノズル用配管12)は、鋼帯の幅方向と完全に平行であることが好ましいが、図3(a)に示すように平面図において鋼帯の幅方向に対して約±30°以内の誤差であれば許容することができる。
尚、ノズル用配管12は、幅方向の位置に応じて高さを違えることで、傾斜させるように設けてもよい。
特に、槽内の各噴射ノズル群における噴射ノズルを、いずれも通板方向とは逆方向に向けることによって、鋼帯近傍で入側から出側に向かって生じる随伴流の流れとは逆に、槽底部近傍で出側から入側に向かう液流を生じさせることができる。これにより、槽内において、液流が一方向のみに形成されることが防止され、液の撹拌能が向上する。尚、噴射ノズルが通板方向と逆方向に向く場合、平面図において、噴射ノズルの軸線方向と通板方向とが略平行となる。平面図における噴射ノズルの軸線方向は、通板方向と完全に平行であることが好ましいが、図3(b)に示すように通板方向に対して約±30°以内の誤差であれば許容することができる。
一方で本発明者らの検討によると、噴射ノズルを通板方向とは逆方向に向けた場合、特に酸洗槽の入側においてスラッジが滞留しやすいことが見出された。また、当該スラッジの滞留の原因として、槽の入側では噴射ノズルからの液流が随伴流や堰板3a、3b等と衝突することによって、液のよどみが生じやすいことも見出された。そこで本発明では、一つの酸洗槽内において、入側のノズル群を構成する噴射ノズル11の数を、出側のノズル群を構成する噴射ノズル11の数よりも大きくする。図2(b)では、最も入側(図の左側)に位置するノズル群の噴射ノズルの数を5とし、最も出側に位置するノズル群の噴射ノズルの数を1とし、中間に位置するノズル群の噴射ノズルの数を3とする。一列に設けられる噴射ノズルの数を大きくすることで、単純に噴射ノズルの数の分だけ噴射力が増加するだけでなく、隣り合う噴射ノズルの噴射流同士が干渉して、噴射流が鋼帯の幅方向に反れる影響を小さく抑えることができ、当該噴射ノズル群による噴射力が増加する。
上述の通り入側のノズルの数を出側のノズルの数よりも大きくすることで、出側に比べて入側で高い噴射力が実現される。これにより、酸洗槽入側でのスラッジの滞留を抑制できる。このように本発明では、噴射ノズルの方向及びその数を調節することによって、液の撹拌能を向上させつつ、酸洗槽の入側にスラッジが滞留することを防止できる。
なお、一例として、鋼帯5と酸洗液との反応によって副生される直径15μm~35μmのスラッジ粒子が酸洗槽2の底部に堆積することを防止するには、噴射ノズル11による噴射量を9.8L/minとすることが好ましい。また、噴流の流速は3.0mm/s以上とすることが好ましい。当該流速であれば、直径が上述の範囲内にあるスラッジ粒子の沈降を確実に防止できる。
噴射ノズル11を設置する高さ位置は、酸洗液が上向きに噴出されることから、酸洗槽2の底面に近い箇所に取りつけることが好ましい。例えば、噴射ノズル11の噴射口の高さ位置が、酸洗槽2の底面から80mm以内となるようにすればよい。噴射口の高さ位置を当該範囲内とすることで、酸洗槽2の底部に堆積したスラッジ粒子を確実に攪拌できる。尚、噴射口の高さ位置は、噴射ノズル11の開口部のうち最も低い位置を基準に決定すればよい。
ただし、ノズル用配管12は酸洗槽2の底面から離して設置することが好ましい。これにより、ノズル用配管12と酸洗槽2の底面の間に酸洗液の流路を作り、ノズル用配管12周りの酸洗液の滞留を防ぐことができる。
噴射ノズル11の仰角θ(噴射ノズル11の中心軸線と水平線との間でなす角度)は、酸洗槽2の底部における酸洗液を十分に攪拌させるだけの液流を発生させることができ、かつ噴出した液流によって鋼帯5の裏面に傷を発生させない角度となるように調節することが好ましい。例えば、θ=10°~15°とすればよい。
噴射ノズル11の鋼帯幅方向の設置ピッチは、噴射ノズル11のノズル径(噴射口の径)との関係を考慮して定めればよい。
噴射ノズル11は、酸洗槽2と同じ材質(好ましくはポリプロピレン製)のものを使用することで、酸洗液の環境に長期間耐えながら、必要な流量を噴出することができる。
また、ノズル用配管12は、酸洗液への耐酸性と使用温度での耐熱性を有する材質とするとともに、酸洗液の温度上昇による変形を許容できるように、酸洗槽2の材料と同じ熱膨張率の材料を用いるのが望ましい。
ノズル用配管12には、噴射ノズル11から酸洗液を噴出した際の液抵抗(反動)に耐えられるように、酸洗槽2と同じ材質(好ましくはポリプロピレン製)のサポートを随所に設置するとよい。そのサポートは、酸洗液の温度上昇によるノズル用配管12の変形を許容できるように、サポート上でノズル用配管12が伸縮できる構造にする。
また、ノズル用配管12の内径を適切な寸法(例えば内径80A)にして、ノズル用配管12内の流速を制限して、噴射ノズル11から酸洗液を酸洗槽2内に噴出させる際に使用するポンプの必要能力を抑えることが望ましい。そのポンプは、ノズル用配管12の耐圧より低い圧力のポンプ能力があればよく、かつ耐酸性を有して、長時間連続運転が可能であればよい。
上述のように噴射ノズルの数を調節した複数の噴射ノズル列は、酸洗槽2a~2cのうちいずれの槽に設けてもよいが、最前段の酸洗槽2aに設けることが特に好ましい。最前段の酸洗槽2aにおいては、後段の酸洗槽から既に酸洗に使用された後の酸洗液が流れてくることから、スラッジも溜まりやすく、上述の噴射ノズル列を設けることによる効果が特に大きい。
このようにして、本実施形態においては、酸洗槽2の底部におけるスラッジの堆積を的確に抑制することができる。さらに、付帯効果として、酸洗槽2の底部の未反応の酸洗液と、鋼帯5近傍で鋼帯5と反応した酸洗液との間での入替を促し、鋼帯5の脱スケールを促進することもできる。
1 シャローバス型酸洗装置
2、2a、2b、2c 酸洗槽
3a、3b 堰板
4 酸洗液
4a、4b、4c 液面
5 鋼帯
6 ピンチロール
7 リンガーロール
8 スキッド
9 シールロール
11 噴射ノズル
12 ノズル用配管

Claims (4)

  1. 酸洗液を収容した酸洗槽が鋼帯の通板方向に複数配置され、通板方向の後段の酸洗槽から通板方向の前段の酸洗槽に向かって、隣り合う酸洗槽の間に設けられた堰板を超えて酸洗液が溢流し、前記酸洗槽に収容された酸洗液中を鋼帯が通板されるシャローバス型酸洗装置において、
    少なくともいずれか一つの酸洗槽の底部に、酸洗液を鋼帯の通板方向と逆方向に向かって上向きに噴出する噴射ノズル群が設けられ、
    前記噴射ノズル群は、前記通板方向に複数列設けられ、
    入側の噴射ノズル群を構成する噴射ノズルの数は、出側の噴射ノズル群を構成する噴射ノズルの数よりも大きいことを特徴とするシャローバス型酸洗装置。
  2. 前記噴射ノズルの噴射口の高さ位置は、酸洗槽の底面から80mm以内であることを特徴とする請求項1に記載のシャローバス型酸洗装置。
  3. 前記噴射ノズルの仰角は、10°~15°であることを特徴とする請求項1または2に記載のシャローバス型酸洗装置。
  4. 前記噴射ノズル群は、通板方向の最前段の酸洗槽に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のシャローバス型酸洗装置。
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