JP2018090891A - シャローバス型酸洗装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸洗槽の底部におけるスラッジの堆積を防止するとともに、鋼板の洗浄効率を向上させることのできるシャローバス型酸洗装置を提供すること。【解決手段】酸洗液を収容した酸洗槽が鋼板の通板方向に複数配置され、後段の酸洗槽から前段の酸洗槽に向かって、隣り合う酸洗槽の間に設けられた堰板を超えて酸洗液が溢流し、前記酸洗槽に収容された酸洗液中を鋼板が通板されるシャローバス型酸洗装置において、少なくともいずれか一つの酸洗槽の底部には、酸洗液を上向きに噴出させる噴射ノズルが設けられるシャローバス型酸洗装置。【選択図】図2

Description

本発明は、酸洗槽の底部におけるスラッジの堆積を抑制するとともに、酸洗槽における鋼板の洗浄効率を向上させることのできるシャローバス型酸洗装置に関する。
熱間圧延後の鋼板は、冷間圧延を行う前に、鋼板表面に付着したスケール等を除去するために酸洗が施される。具体的には、酸洗液を収容した酸洗槽を通板方向に複数並べ、これら複数の酸洗槽中を連続的に通板しながら鋼板を酸洗液に浸漬させることによって酸洗が行われることがある。
酸洗方式としては、噴流酸洗方式(Box噴流方式ともいう。)、Deep槽方式、Shallow槽方式等が挙げられる。噴流酸洗方式は、噴射ノズルを用いて酸洗液を鋼板に直接吹き付ける方法である。噴流酸洗方式では、酸洗液の噴流を鋼板に当たりやすくするために、非常に浅底の水槽を酸洗槽として用いる、或いは酸洗槽内に別途箱(Box)を設けて該箱内で噴流を発生させることが行われる。噴流酸洗方式は、鋼板の洗浄効率を高められるが、設備の導入コスト等が大きいという問題がある。
また、Deep槽方式は、深底の酸洗槽中において、鋼板を大きく垂らしながら(カテナリが大きい状態で)通板する方法である。Deep槽方式では、多量の酸液を保持する必要があり、液面制御が困難で通板速度を上げられないという問題がある。
一方で、Shallow槽方式を採用したシャローバス型酸洗装置は、比較的浅底の酸洗槽内において、鋼板に張力をかけることでカテナリを小さくしつつ通板を行う装置である。シャローバス型酸洗装置では、前段の酸洗槽と後段の酸洗槽との間に堰板が設けられる。シャローバス型酸洗装置における酸洗液の攪拌は、堰板を介した後段の酸洗槽から前段の酸洗槽への酸洗液の溢流と、鋼板の通板に伴う随伴流とによって行われることを想定している。シャローバス型酸洗装置は、構造がシンプルでありかつ低コストで建設可能であるため、既に広く普及している。
尚、シャローバス型酸洗装置について開示した文献としては、以下の特許文献1が挙げられる。
特開平6−248479号公報
しかし、本発明者らの検討によると、シャローバス型酸洗装置では、鋼板が張力をかけられた状態で酸洗槽中の液面近くを通板されていくので、鋼板と酸洗槽の底面との間の距離が相対的に大きく、酸洗槽の底部において液の流れが発生しにくいという問題があることが見出された。これにより、酸洗槽の底部において酸洗液の滞留が生じ、鋼板の洗浄に伴って発生するスラッジが酸洗槽の底部に堆積しやすくなる。スラッジが堆積しやすいことにより、頻繁に通板を停止した上で酸洗槽の清掃作業を行わなければならず、生産性が低下してしまう。
さらに、酸洗槽の底部における酸洗液の滞留によって、通板される鋼板の近傍(酸洗槽の上部)における反応済の酸洗液と、酸洗槽の底部における未反応の酸洗液との入替が発生しにくいという問題もある。つまり、通板される鋼板の近傍に反応済の酸洗液が滞留することとなり、鋼板の表裏面における酸化反応が進みにくく、鋼板の洗浄効率が低下してしまう。洗浄効率が低下すると、鋼板の品質を確保するためには鋼板の通板速度を下げざるをえず、生産性の低下にも繋がる。
本発明は、上記の問題点に鑑みて想到されたものであり、酸洗槽の底部におけるスラッジの堆積を防止するとともに、鋼板の洗浄効率を向上させることのできるシャローバス型酸洗装置を提供することを課題とする。
本発明の手段は、次の通りである。
[1]酸洗液を収容した酸洗槽が鋼板の通板方向に複数配置され、後段の酸洗槽から前段の酸洗槽に向かって、隣り合う酸洗槽の間に設けられた堰板を超えて酸洗液が溢流し、前記酸洗槽に収容された酸洗液中を鋼板が通板されるシャローバス型酸洗装置において、少なくともいずれか一つの酸洗槽の底部には、酸洗液を上向きに噴出させる噴射ノズルが設けられるシャローバス型酸洗装置。
[2]酸洗液の噴流が鋼板の下面に直接接触しないように、前記噴射ノズルが配置される[1]に記載のシャローバス型酸洗装置。
[3]前記噴射ノズルは、鋼板の幅方向の両端側に、鋼板の通板方向に沿って複数設けられるとともに、前記幅方向の一端側における噴射ノズルと、前記幅方向の他端側における噴射ノズルとが、千鳥状に配置される[1]又は[2]に記載のシャローバス型酸洗装置。
[4]前記噴射ノズルは、該噴射ノズルが設置された酸洗槽に収容された酸洗液を噴出させる[1]から[3]までのいずれか一つに記載のシャローバス型酸洗装置。
[5]酸洗液を収容した酸洗槽が鋼板の通板方向に複数配置され、後段の酸洗槽から前段の酸洗槽に向かって、隣り合う酸洗槽の間に設けられた堰板を超えて酸洗液が溢流し、前記酸洗槽に収容された酸洗液中を鋼板が通板されるシャローバス型酸洗装置において、少なくともいずれか一つの酸洗槽には、酸洗液を噴出させる噴射ノズルが設けられ、該噴射ノズルは酸洗液の噴流が鋼板の上下面に直接接触しないように配置されるシャローバス型酸洗装置。
[6]前記噴射ノズルは、酸洗液を下向きに噴出させる[5]に記載のシャローバス型酸洗装置。
[7]前記噴射ノズルは、鋼板の幅方向の両端側に、鋼板の通板方向に沿って複数設けられるとともに、前記幅方向の一端側における噴射ノズルと、前記幅方向の他端側における噴射ノズルとが、千鳥状に配置される[5]又は[6]に記載のシャローバス型酸洗装置。
[8]前記噴射ノズルは、該噴射ノズルが設置された酸洗槽に収容された酸洗液を噴出させる[5]から[7]までのいずれか一つに記載のシャローバス型酸洗装置。
本発明では、シャローバス型酸洗装置において、酸洗槽の底部におけるスラッジの堆積を抑えるとともに、酸洗槽における洗浄効率を高めることができる。
図1は、シャローバス型酸洗装置の概略フロー図である。 図2は、酸洗槽を鋼板の通板方向に正対して見た正面図である。 図3は、図2における噴射ノズルを拡大して示す断面図である。 図4は、酸洗槽を上部から見た平面図である。 図5は、他の例において、酸洗槽を鋼板の通板方向に正対して見た正面図である。 図6は、実施例における結果を示すグラフである。
まず、図1を用いてシャローバス型酸洗装置1について説明する。
シャローバス型酸洗装置1では、鋼板の通板方向に沿って複数の酸洗槽2a〜2c(総称して、「酸洗槽2」と称することがある。)が設けられる。酸洗槽2中には酸洗液4が収容される。酸洗槽と酸洗槽との間には堰板3a、3bが設けられる。詳細については図示していないが、最後段の酸洗槽2cには、連続的又は断続的に新しい酸洗液4が補給される。各酸洗槽2において酸洗液が過剰となると、順に堰板3b及び3aを酸洗液4が溢流し、最後段の酸洗槽2c側から最前段の酸洗槽2a側に向かって酸洗液が流れる。図示は省略しているが、最前段の酸洗槽2aにおいて過剰となった酸洗液4は、オーバーフロー配管等によって槽外へと排出される。図1の例では、後段側の堰板3bよりも前段側の堰板3aの方が低くなっており、後段側の酸洗槽よりも前段側の酸洗槽の方が酸洗液の液面が段階的に低くなっている。尚、酸洗槽の数は図1の例に限定されるものではない。また、シャローバス型酸洗装置1では、一般に用いられている噴流酸洗方式の装置と異なり、酸洗槽内に別途箱(Box)を設ける必要はない。
酸洗槽2の酸洗液4の中を鋼板5が連続的に浸漬されることにより、鋼板5の表裏面に付着したスケール等の洗浄が行われる。鋼板5の通板は、最前段の酸洗槽2aのさらに前段に設けられたピンチロール6、及び最後段の酸洗槽2cのさらに後段に設けられるリンガーロール7によって張力をかけられた状態で通板される。これにより、鋼板5は、ほとんど下方へ垂れることなく、水平に近い状態で通板される。鋼板5に張力をかけた状態で通板することで、酸洗槽を深底とする必要がなく、酸洗に必要な酸洗液の容量を少なくすることができるとともに液面の制御が容易となる。このように、鋼板5は、前段の酸洗槽2aから後段の酸洗槽2cへ向かって、堰板での溢流による酸洗液4の流れとは逆方向へ通板される。
また、各酸洗槽2中には、槽の底面から上方へ突出したスキッド8と、スキッド8に接するシールロール9とが設けられている。鋼板5は、スキッド8とシールロール9との間を挟まれながら通板される。尚、シールロール9の下面は、液面4a〜4cよりも下方に位置する。
シャローバス型酸洗装置1では、鋼板5が酸洗液4の液面近傍を通板され、鋼板5の上面と液面4a〜4cとの距離は相対的に小さく、鋼板5の下面と酸洗槽2a〜2cの底部との距離は相対的に大きい。一例として、酸洗槽の底面から液面までの高さに対する、鋼板のパスライン(鋼板の下面高さ)から液面までの距離(距離Aとする。)の割合は、80%〜90%程度であればよい。また、前述した距離Aの一例としては、80mm〜120mm程度を挙げることができる。
また、シャローバス型酸洗装置では、前述した堰板を介した出側の酸洗槽から入側の酸洗槽への酸洗液の溢流と、鋼板の通板時において鋼板近傍に生じる酸洗液の随伴流とによって、酸洗液の攪拌がなされる。
酸洗液の溢流によると、鋼板よりも上側における酸洗液、つまり液面の近傍における酸洗液の攪拌がなされる。一方で、鋼板よりも下側に位置する酸洗液は、鋼板自身によって溢流が阻害されることもあって攪拌されにくい。
酸洗液の随伴流によると、鋼板の上下面近傍における酸洗液の攪拌がなされる。しかし、シャローバス型酸洗装置のように、鋼板と酸洗槽の底部との距離が相対的に大きい条件では、酸洗槽の底部における酸洗液の攪拌は起こりにくい。
上述のように、シャローバス型酸洗装置では、酸洗槽の底部において酸洗液が滞留しやすいという問題がある。本発明では、酸洗槽の底部に噴射ノズル(単に、「ノズル」と称することもある。)を設置することによって、酸洗槽の底部における酸洗液の攪拌を促進する。
具体的には、図2及び図3を用いて説明する。図2は、図1に示した点線四角部について、鋼板の通板方向から見た正面図である。また、図3は、図2の噴射ノズル14を拡大した断面図である。
図2のように、鋼板5の幅方向の両端側(図の左右側)に、鋼板の通板方向(長手方向)に延在するノズル用配管11が設けられる。図2では図示を省略しているが、ノズル用配管11は、酸洗槽2aの底部に設けられるサポート部材12によって固定される。
ノズル用配管11には、循環配管13が接続される。循環配管13は、酸洗槽2aの底部から断面L字状(又は逆L字状)に立ち上がる配管である。詳細な図示は省略しているが、循環配管13の上部にはポンプ等が設けられ、循環配管13の一部に設けられた吸引口(図示せず)から酸洗槽2aの酸洗液4が吸引され、ノズル用配管11及び噴射ノズル14に酸洗液4が圧送される。このように、噴射ノズルを設けた酸洗槽に収容される酸洗液を抜き出し、そのまま噴射ノズルにより噴射させることで、酸洗槽中の酸洗液の濃度が変化することを防ぎ、鋼板の洗浄効率にむらが生じることを抑えられる。また抜き出した酸洗液をそのまま噴射させることにより、ノズルから噴出する液体を貯蔵するためのサブタンクを別途設ける必要がなく、装置の設置コストを抑えることができる。
図3に噴射ノズル14の拡大断面図を示す。ノズル用配管11に接続された噴射ノズル14は、酸洗槽の底部から上向きに酸洗液を噴出可能となっている。また、酸洗液は、噴射ノズル14から水平方向及び鉛直方向にそれぞれ一定の広がりを持って噴出される。噴射ノズル14は、酸洗槽2aの底面に直接据えつけてもよいし、図3のようにサポート部材12等により底面より上部に据えつけてもよい。図3の例でサポート部材12は、ノズル用配管11の外周を支持し、ノズル用配管11及びノズル14を酸洗槽2aの底面から僅かに持ち上げた状態で固定する。図示していないものの、サポート部材12は、鋼板5の通板方向(図面の手前−奥方向)に複数個設けられていればよい。
噴射ノズル14の仰角θは、噴射ノズル14の中心軸線と水平線との間でなす角度のうち鋭角となる角度をいう。0°<θ<90°であれば、噴射ノズルによって酸洗液を上向きに噴出可能である。
仰角θは、酸洗槽の底部における酸洗液を十分に攪拌させるだけの液流を発生させることができ、かつ噴出した液流によって鋼板の裏面に傷を発生させない角度となるように調節することが好ましい。
具体的には、仰角θが小さすぎると、上向きの液流が十分に形成されず、スラッジの堆積を防止する効果が得られない。よって、スラッジの堆積を防止するのに十分な上向きの液流を形成するには、θを大きくする、流量を増やす、又は速度を上げる必要がある。
一方で、仰角θが大きすぎると、液流によって巻き上げられたスラッジが鋼板の下面に衝突し、鋼板の下面に傷をつけてしまうことになる。
具体的には、図2を用いて説明する。噴射ノズル14から噴射された噴流の中心軸線(の延長)と鋼板5の下面とが交わらず、つまり噴流が鋼板5の下面に直接接触しないようにすることで、鋼板5の下面における傷の発生を防止することができる。より具体的に図2の例では、鋼板5の幅方向の一端側(例えば左側)の噴射ノズル14の中心軸線(の延長)と、他端側(例えば右側)における鋼板の端部とが接触する角度未満となるように、仰角θを調節することが好ましい。また、鋼板の幅方向における攪拌むらをなくすためには、幅方向の一端側のノズルと他端側のノズルとの仰角θを同じにすることが好ましい。
上記のように、酸洗槽の底部で上向きの液流を発生させ且つ鋼板の下面における傷の発生を防止するためには、θを0°よりも大きく、且つ噴流の中心軸線と鋼板5の下面とが接触する角度のうち最小の角度未満とすることが好ましい。
一例として、スラッジの堆積を防止するとともに鋼板の下面における傷の発生を防止することのできる噴射ノズルの仰角として、10°≦θ≦13.4°を挙げることができる。
また、仰角θとともに、噴射ノズル14の高さを調節することもできる。上向きの液流を発生させるには、上向きの角度を受けたほうが良いため、噴射ノズル14を酸洗槽2の底面に近い箇所につけることが好ましい。ノズル用配管11と酸洗槽2の隙間にスラッジを溜めないようにする場合は、噴射ノズル14を酸洗槽2の底面よりも高い位置、例えば50mm〜80mm程度高い位置に設置することが好ましい。
尚、酸洗槽2の内壁、ノズル用配管11、及び噴射ノズル14等の酸洗液と接触する部材は、耐酸性の材質、例えばポリプロピレンによって形成すればよい。
次に、図4を用いて水平方向におけるノズルの配置について説明する。図4の例では、左右のノズル用配管11には、それぞれ鋼板5の通板方向に沿って複数のノズル14が設けられる。
図4のように、一方の端部側(例えば左側)のノズル14と他方の端部側(例えば右側)のノズル14とは、千鳥状に配置することが好ましい。具体的には、一方の端部側のノズル14とノズル14との間の通板方向位置に、他方の端部側のノズル14を配置することが好ましい。このようにすることで、向かい合うノズル14から噴出された液流の干渉を防ぎ、酸洗液の攪拌効果を高めることができる。尚、一方の端部側のノズル14とノズル14との間の通板方向における中間位置に、他方の端部側のノズル14を配置することがより好ましい。
尚、通板方向において隣り合うノズル14同士のノズルピッチ15については、ノズル14の口径や循環配管13に接続されたポンプの能力等に応じて適宜決定される。具体的には、酸洗槽2の底部において十分な上昇流を発生することができ、且つ隣り合うノズル14や向かい合うノズル14の液流との干渉を防ぐように決定される。
一例として、鋼板と酸洗液との反応によって副生される直径15mm〜35mmのスラッジ粒子が酸洗槽の底部に堆積することを防止するには、噴射ノズルによる噴射量を9.8L/minとすることが好ましい。また、噴流の流速は3.0mm/s以上とすることが好ましい。
上述の説明では、鋼板5の通板方向に沿って複数設けられた噴射ノズル14から、鋼板5の幅方向に向かってかつ上向きに噴流を発生させる態様について説明してきたが、噴射ノズル14を配置する方向及び噴流の発生方向はこの例に限定されるものではない。例えば、酸洗槽2における通板方向の両端部に、鋼板5の幅方向に沿って噴流ノズル14を複数設け、該噴流ノズル14から通板方向に向かってかつ上向きに噴流を発生させてもよい。この場合にも、噴流が鋼板5の下面に直接接触することがないように、噴射ノズル14の中心軸線の延長線と鋼板5の下面とが交わらないように、ノズルの仰角θを調節することが好ましい。
また、他の例として、上述した図2に替えて、鋼板の通板方向から見た正面図を図5(a)あるいは図5(b)に示すように、鋼板5の幅方向の両端側に、鋼板5の通板方向に沿って噴流ノズル14を複数設け、該噴射ノズル14から、鋼板5の幅方向に向かってかつ下向きに噴流を発生させてもよい。または、酸洗槽2aにおける通板方向の両端部に、鋼板5の幅方向に沿って噴流ノズル14を複数設け、該噴流ノズル14から通板方向に向かってかつ下向きに噴流を発生させてもよい。これらの場合にも、噴流が鋼板5の上面に直接接触することがないように、すなわち、噴射ノズル14の中心軸線の延長線と鋼板5の上面とが交わらないように、噴流ノズル14の俯角や高さ方向設置位置等を調節することが好ましい。また、上向きの液流を発生させるために、噴射ノズル14の中心軸線の延長線と酸洗槽2aの床面とが交わるように、噴流ノズル14の俯角を調整することが好ましい。その際に、下向きに発生させた噴流が酸洗槽2aの床面に当たって向きを変えた後、スラッジを含む噴流の速度が上向きに3.0mm/s以上となるように、噴射ノズル14の噴射量と流速を調整することが好ましい。その他の事項についても、上述した、噴射ノズル14から上向きに噴流を発生させる場合を参照して定めればよい。本発明の効果は、噴流の向きがいずれの場合でも、得ることができる。
なお、場合によっては、噴射ノズル14から水平方向に噴流を発生させることも考えられる。
次に、本発明の作用について説明する。
シャローバス型酸洗装置1を用いて酸洗を行うと、鋼板の表面に付着したスケール(例えばシリカ系スケール)と酸洗液とが反応し、粒状のスラッジが発生する。スラッジは、比重によって酸洗槽2aの底部へ堆積しようとする。本発明では、噴射ノズル14を用いて酸洗槽2aの底部に上向きの液流を発生させることで、該液流によってスラッジを巻き上げて、酸洗槽2aの底部へのスラッジの堆積を防止する。尚、最前段の酸洗槽2aにおいて液流によって巻き上げられたスラッジは、オーバーフローされる酸洗液とともに、酸洗槽2aの外部へと排出される。このように、酸洗槽2aにおけるスラッジの堆積を防止することで、酸洗槽の清掃頻度を低減し、設備のメンテナンスコストを抑えるとともに生産性を向上させることができる。
また、シャローバス型酸洗装置1を用いて酸洗を行うと、鋼板の近傍を中心に酸洗液の反応が進むが、酸洗槽2aの底部では酸洗液の反応が起こりにくい。本発明では、ノズル14を用いて酸洗槽2aの底部に上向きの液流を発生させることで、鋼板5の近傍における反応済の酸洗液と酸洗槽2aにおける未反応の酸洗液との交換が促される。これにより、鋼板5の洗浄効率を向上させることができ、従来の方法では洗浄されにくい広幅の鋼板であっても通板速度を落とすことなく、連続的に酸洗を行うことができる。よって、設備の生産性を向上させることができる。
図1に示す酸洗槽2a〜2cのうち、いずれの槽に噴射ノズル14を設けてもよい。但し、最前段の酸洗槽2aにおいては、後段の酸洗槽から既に酸洗に使用された後の酸洗液が流れてくることから、洗浄効率が低下しやすく、スラッジも溜まりやすい。よって、最前段の酸洗槽2aでは、噴射ノズル14を設けることによる効果が特に大きい。また、同様の理由により、図1の点線四角で示すように、最前段の酸洗槽2のより入側の領域に噴射ノズル14を設けると、洗浄効率の向上及びスラッジの堆積防止という本願の効果が特に大きくなる。
図1の点線四角にて示すように、シャローバス型洗浄設備1の最前段の酸洗槽2aの入側領域の底部に、噴射ノズルを設置した。具体的には、通板方向の全長が73mである酸洗槽2aのうち、4.7mの長さに亘って鋼板幅方向の両側に所定のピッチで噴射ノズルを設置し、通板中は常時噴射ノズルを稼動させた(本発明例)。また比較例では同様の設備にて噴射ノズルによる噴流を発生させなかった。操業後の鋼板表裏面(上下面)におけるスケール欠陥の有無、及び酸洗槽底部におけるスラッジの堆積の程度を調べた。
スケール欠陥の有無の結果を図6に示す。図6では、b級とc級という2つのグレードの鋼板について、全体の通板数に対する、表面又は裏面に欠陥が生じた鋼板の数の割合(平均不良率)を示した。また、図中の「total」では、それぞれのグレードの鋼板における表面の平均不良率と裏面の平均不良率との和を示す。図6(a)は酸洗速度(通板速度)が121〜150mpmの条件下で行った結果、図6(b)は酸洗速度が151〜170mpmの条件下で行った結果を示す。
酸洗速度が121〜150mpmの条件下では、いずれの種類の鋼板においても本発明例において不良率が低減された。また、酸洗速度を151〜170mpmと高速化した条件下においても、全ての種類の鋼板について本発明例によって不良率を低減させることができた。これにより、本発明を適用することで、通板速度を高速化しても鋼板の表裏面にスケールが残存するという問題を十分に解消できることが示された。
また、上述の本発明例と比較例とについて、3ヶ月間操業を行った後の酸洗槽の底部におけるスラッジの堆積量を測定した。本発明例では、スラッジの堆積高さはほぼ0mm(測定可能高さ未満)であり、スラッジの量(体積換算値)は約0mであった。一方比較例では、スラッジの体積高さの最大値は280mmであり、スラッジの量(体積換算値)は約3.4mであった。以上より、本発明を適用することで、シャローバス型酸洗装置の酸洗槽底部におけるスラッジの発生を抑えられることが確認された。
1 シャローバス型酸洗装置
2、2a〜2c 酸洗槽
3a、3b 堰板
4 酸洗液
4a〜4c 液面
5 鋼板
6 ピンチロール
7 リンガーロール
8 スキッド
9 シールロール
11 ノズル用配管
12 サポート部材
13 循環配管
14 噴射ノズル
15 ノズルピッチ

Claims (8)

  1. 酸洗液を収容した酸洗槽が鋼板の通板方向に複数配置され、後段の酸洗槽から前段の酸洗槽に向かって、隣り合う酸洗槽の間に設けられた堰板を超えて酸洗液が溢流し、前記酸洗槽に収容された酸洗液中を鋼板が通板されるシャローバス型酸洗装置において、
    少なくともいずれか一つの酸洗槽の底部には、酸洗液を上向きに噴出させる噴射ノズルが設けられるシャローバス型酸洗装置。
  2. 酸洗液の噴流が鋼板の下面に直接接触しないように、前記噴射ノズルが配置される請求項1に記載のシャローバス型酸洗装置。
  3. 前記噴射ノズルは、鋼板の幅方向の両端側に、鋼板の通板方向に沿って複数設けられるとともに、
    前記幅方向の一端側における噴射ノズルと、前記幅方向の他端側における噴射ノズルとが、千鳥状に配置される請求項1又は2に記載のシャローバス型酸洗装置。
  4. 前記噴射ノズルは、該噴射ノズルが設置された酸洗槽に収容された酸洗液を噴出させる請求項1から3までのいずれか一項に記載のシャローバス型酸洗装置。
  5. 酸洗液を収容した酸洗槽が鋼板の通板方向に複数配置され、後段の酸洗槽から前段の酸洗槽に向かって、隣り合う酸洗槽の間に設けられた堰板を超えて酸洗液が溢流し、前記酸洗槽に収容された酸洗液中を鋼板が通板されるシャローバス型酸洗装置において、
    少なくともいずれか一つの酸洗槽には、酸洗液を噴出させる噴射ノズルが設けられ、該噴射ノズルは酸洗液の噴流が鋼板の上下面に直接接触しないように配置されるシャローバス型酸洗装置。
  6. 前記噴射ノズルは、酸洗液を下向きに噴出させる請求項5に記載のシャローバス型酸洗装置。
  7. 前記噴射ノズルは、鋼板の幅方向の両端側に、鋼板の通板方向に沿って複数設けられるとともに、
    前記幅方向の一端側における噴射ノズルと、前記幅方向の他端側における噴射ノズルとが、千鳥状に配置される請求項5又は6に記載のシャローバス型酸洗装置。
  8. 前記噴射ノズルは、該噴射ノズルが設置された酸洗槽に収容された酸洗液を噴出させる請求項5から7までのいずれか一項に記載のシャローバス型酸洗装置。
JP2017062604A 2016-12-01 2017-03-28 シャローバス型酸洗装置 Active JP6638682B2 (ja)

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